JP7223615B2 - エキゾーストマウント - Google Patents

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Description

本発明は、排気管を車体に防振支持させるエキゾーストマウントに関するものである。
従来から、排気管を車体に吊下げ状態で防振支持させるエキゾーストマウントが知られている。エキゾーストマウントは、例えば特開平7-032893号公報(特許文献1)に開示されているように、防振ゴムの上下方向の両側に取り付け穴が形成されており、それら取り付け穴に車体側と排気管側の各一方が取り付けられることで、排気管が車体に対して吊下げ状態で防振連結される。
ところで、特許文献1の防振ゴムは、排気管の支持荷重や振動荷重が、取り付け穴に対して、主に上下方向に入力される。それ故、防振ゴムは、排気管を安定して支持するために上下方向の静ばね定数が大きいことと、排気管の振動が車体に伝わり難くするために上下方向の動ばね定数が小さいこととが、何れも求められる。
特開平7-032893号公報
しかし、本発明者が検討したところ、エキゾーストマウントを構成する本体ゴム弾性体において、硬い静的ばね特性と、柔らかい動的ばね特性とを、両立して実現することが難しいという課題が明らかになった。即ち、本体ゴム弾性体を硬いゴムで形成して静ばね定数を大きくしようとすると、動ばね定数も大きくなって、振動入力時の防振性能に悪影響がある。本体ゴム弾性体を柔らかいゴムで形成して動ばね定数を小さくしようとすると、静ばね定数も小さくなって、排気管の安定した支持が難しくなる。本体ゴム弾性体を柔らかいゴムで形成しながら、本体ゴム弾性体の静ばね定数を大きく得るためには、本体ゴム弾性体のゴムボリュームを大きくする必要が生じることから、エキゾーストマウントの大型化が問題になる。しかも、本体ゴム弾性体に局所的な応力集中が生じ易く、本体ゴム弾性体を柔らかいゴムで形成すると、本体ゴム弾性体の耐久性の確保が難しかった。
本発明の解決課題は、コンパクトな構造によって排気管の安定した支持と優れた防振性能とを両立しつつ、十分な耐久性も確保される、新規な構造のエキゾーストマウントを提供することにある。
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
第一の態様は、本体ゴム弾性体に対して、車体から延び出した車体側の取付ピンと排気管から延び出した排気管側の取付ピンとが挿通される複数の挿通孔が設けられており、該本体ゴム弾性体が該車体と該排気管の間に介装されることにより、該車体に対して該排気管を吊下状態で防振支持するエキゾーストマウントであって、前記本体ゴム弾性体において前記挿通孔の周壁を構成する部分には、上下方向で該挿通孔から離れた位置に補強部材が設けられて、該補強部材が該挿通孔の径方向の全体を上下方向の外方において覆うように配置されており、且つ、該補強部材は左右方向の投影において該挿通孔から上下方向に離れた位置に配置されているものである。
本態様に従う構造とされたエキゾーストマウントによれば、挿通孔の周壁における上下方向の外方部分に補強部材が設けられていることにより、上下方向の振動入力に対して、挿通孔の周壁の変形量が低減される。また、補強部材によって本体ゴム弾性体のより広い領域に力が伝達されることから、本体ゴム弾性体において応力の分散化が図られて、本体ゴム弾性体の耐久性の向上が図られる。
本体ゴム弾性体の耐久性の向上が図られることにより、本体ゴム弾性体をよりゴム硬度の小さいゴム材料で形成することができる。それ故、本体ゴム弾性体の動ばね定数を小さく設定することができて、防振性能の向上が図られる。
本体ゴム弾性体をゴム硬度の小さいゴム材料で形成しても、挿通孔の周壁における上下方向の外方部分の変形量が、補強部材によって制限されていることにより、本体ゴム弾性体の静ばね定数が小さくなるのを防ぐことができる。それ故、排気管を安定して支持することができる。
静ばね定数が補強部材を設けることで大きくされていることにより、静ばね定数を大きくするために本体ゴム弾性体を大型化する必要がなく、大きな静ばね定数と小さな動ばね定数を有するエキゾーストマウントがコンパクトに実現される。
第二の態様は、第一の態様に記載されたエキゾーストマウントにおいて、前記排気管側の取付ピンが挿通される挿通孔と、前記車体側の取付ピンが挿通される挿通孔との両方に対して、上下方向の各外方にそれぞれ前記補強部材が設けられているものである。
本態様に従う構造とされたエキゾーストマウントによれば、本体ゴム弾性体の上下方向の両側に補強部材が設けられていることによって、上下方向において、静ばね定数をより大きくすることができると共に、動ばね定数をより小さくすることができる。また、本体ゴム弾性体の耐久性やコンパクト化もより有利に実現される。
第三の態様は、第一又は第二の態様に記載されたエキゾーストマウントにおいて、前記本体ゴム弾性体において前記挿通孔の前記径方向である幅方向の両側にそれぞれ連結部が設けられており、それら連結部の上下方向の外方に前記補強部材が延び出しているものである。
本態様に従う構造とされたエキゾーストマウントによれば、挿通孔に入力された上下方向の力が、補強部材を介して連結部のより広い範囲に伝達されることから、連結部がより広い範囲で弾性変形する。これにより、連結部を含む本体ゴム弾性体の上下方向の静ばね定数が大きくされると共に、連結部において歪の分散化が図られて、連結部の耐久性の向上が図られる。
第四の態様は、第一~第三の何れか1つの態様に記載されたエキゾーストマウントにおいて、前記補強部材が平板形状とされているものである。
本態様に従う構造とされたエキゾーストマウントによれば、補強部材が挿通孔の上下方向の外方に配されていても、エキゾーストマウントの上下寸法が大きくなるのを防止しつつ、本体ゴム弾性体の上下方向での自由長を確保できる。これにより、コンパクトな構造によって、耐久性や防振性能の更なる向上が図られ得る。
本発明によれば、エキゾーストマウントにおいて、コンパクトな構造によって排気管の安定した支持と優れた防振性能とを両立しつつ、十分な耐久性も確保することができる。
本発明の第一の実施形態としてのエキゾーストマウントを示す斜視図 図1に示すエキゾーストマウントの断面図であって、図3のII-II断面に相当する図 図1に示すエキゾーストマウントの平面図 図1に示すエキゾーストマウントを車両への装着状態で示す断面図 本発明の第二の実施形態としてのエキゾーストマウントを示す断面図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1~3には、本発明の第一の実施形態としてのエキゾーストマウント10が示されている。エキゾーストマウント10は、本体ゴム弾性体12を備えている。以下の説明において、上下方向とは車両への装着状態において車両の上下方向となる図2中の上下方向を、左右方向とは幅方向である図2中の左右方向を、前後方向とは後述する挿通孔14a,14bの長さ方向である図3中の上下方向を、それぞれ言う。
本体ゴム弾性体12は、略矩形ブロック状とされており、上側の挿通孔14aと下側の挿通孔14bを備えている。上下の挿通孔14a,14bは、何れも円形断面で本体ゴム弾性体12を前後方向に貫通している。上下の挿通孔14a,14bは、何れも略一定の断面形状で直線的に延びていると共に、図3に示すように、開口端部が開口側に向けて次第に大径となるテーパ状とされている。図2に示すように、上下の挿通孔14a,14bは、上側の挿通孔14aが本体ゴム弾性体12の上端部分に設けられていると共に、下側の挿通孔14bが本体ゴム弾性体12の下端部分に設けられており、上下方向で相互に離れて配置されている。上下の挿通孔14a,14bは、何れも左右方向の略中央に設けられている。本実施形態では、上側の挿通孔14aと下側の挿通孔14bが、共通の形状及び大きさを有している。
上下の挿通孔14a,14bの間には、前後方向に貫通する肉抜孔16が形成されている。肉抜孔16の左右方向の中央部分において上下方向の両側から内側へ向けて突出する上下のストッパ突部18,18が設けられている。これにより、肉抜孔16は、上下のストッパ突部18,18の対向間に位置する部分が、上下のストッパ突部18,18を左右方向両側に外れた部分よりも上下方向の寸法を小さくされており、全体として略H形断面を有している。肉抜孔16の左右方向の幅寸法は、上下の挿通孔14a,14bの左右方向の幅寸法よりも大きくされており、肉抜孔16の左右両端が上下の挿通孔14a,14bよりも左右方向の外側に位置している。
本体ゴム弾性体12における肉抜孔16よりも左右方向の両外側には、左右の連結部20,20が設けられている。左右の連結部20,20は、上下方向に延びる略板状とされている。
上下の挿通孔14a,14bに対して上下方向の外方には、上下の補強部材22a,22bが設けられている。上下の補強部材22a,22bは、何れも金属や硬質の合成樹脂などで形成されている。上下の補強部材22a,22bは、板状であることが望ましく、本実施形態では何れも曲率が略0の略平板形状とされている。上下の補強部材22a,22bは、前後方向の寸法が本体ゴム弾性体12の前後方向の寸法よりも僅かに小さくされていると共に、左右方向の寸法が本体ゴム弾性体12の左右方向の寸法よりも僅かに小さくされている。本実施形態では、上側の補強部材22aと下側の補強部材22bが、共通の形状及び大きさを有しており、部品の共通化が図られている。
そして、上側の補強部材22aが、本体ゴム弾性体12において上側の挿通孔14aの周壁を構成する本体ゴム弾性体12の上端部分に対して、略埋設状態で固着されている。また、下側の補強部材22bが、本体ゴム弾性体12において下側の挿通孔14bの周壁を構成する本体ゴム弾性体12の下端部分に対して、略埋設状態で固着されている。上側の補強部材22aが上側の挿通孔14aから上方へ離れた位置に配されていると共に、下側の補強部材22bが下側の挿通孔14bから下方へ離れた位置に配されている。
換言すれば、上側の補強部材22aが本体ゴム弾性体12の上端面と上側の挿通孔14aとの間に設けられていると共に、下側の補強部材22bが本体ゴム弾性体12の下端面と下側の挿通孔14bとの間に設けられている。好適には、上下の補強部材22a,22bは、上下の挿通孔14a,14bよりも本体ゴム弾性体12の上下端面に近い位置に設けられる。これにより、本体ゴム弾性体12を上下方向で小型化しながら、上下の挿通孔14a,14bに対する第一,第二取付ピン28,30(後述)の挿入を容易にすることができる。
本実施形態では、上下の補強部材22a,22bは、本体ゴム弾性体12の成形時に加硫接着されているが、接着剤などによって後固着することもできる。上下の補強部材22a,22bは、上下方向に対して略直交して広がる向きで配置されている。
上側の補強部材22aの左右方向の幅寸法W1は、上側の挿通孔14aの左右方向の径寸法r1よりも大きくされている。これにより、上側の補強部材22aは、上側の挿通孔14aの左右径方向の全体を上下方向の外方である上方において覆うように配置されている。同様に、下側の補強部材22bの左右方向の幅寸法W2は、下側の挿通孔14bの左右方向の径寸法r2よりも大きくされている。これにより、下側の補強部材22bは、下側の挿通孔14bの左右径方向の全体を上下方向の外方である下方において覆うように配置されている。換言すれば、上下の補強部材22a,22bは、上下方向の投影において、上下の挿通孔14a,14bよりも左右方向の両外側まで延び出している。
なお、図3に示すように、本実施形態では、上下の挿通孔14a,14bの開口部分は、上下の補強部材22a,22bによって覆われていない。尤も、上下の挿通孔14a,14bは、前後方向において、より広い範囲が上下の補強部材22a,22bによって上下方向の外方を覆われていることが望ましい。好適には、上下の挿通孔14a,14bは、長さ寸法の半分以上が上下の補強部材22a,22bによって上下方向の外方を覆われており、より好適には、長さ寸法の4/5以上が補強部材22a,22bによって覆われている。
本実施形態では、上側の補強部材22aの幅寸法W1と、下側の補強部材22bの幅寸法W2が、同じ大きさとされている。また、上側の挿通孔14aの径寸法r1と、下側の挿通孔14bの径寸法r2が、同じ大きさとされている。尤も、上下の補強部材22a,22bは、互いに異なる形状や大きさであっても良いし、上下の挿通孔14a,14bは、互いに異なる形状や大きさであっても良い。
上側の補強部材22aは、上側の挿通孔14aの上下方向の中央L1よりも上下方向の外方である上方に位置していることが望ましい。より好適には、上側の補強部材22aは、前後方向及び左右方向の投影において、上側の挿通孔14aから離れている。また、上側の補強部材22aは、上側の挿通孔14aに対して上下方向の内方となる下方には設けられていない。
同様に、下側の補強部材22bは、下側の挿通孔14bの上下方向の中央L2よりも上下方向の外方である下方に位置していることが望ましい。より好適には、下側の補強部材22bは、前後方向及び左右方向の投影において、下側の挿通孔14bから離れている。また、下側の補強部材22bは、下側の挿通孔14bに対して上下方向の内方となる上方には設けられていない。
本実施形態において、上側の補強部材22aの幅寸法W1と,下側の補強部材22bの幅寸法W2は、それぞれ肉抜孔16の左右方向の幅寸法W3よりも大きくされている。これにより、上下の補強部材22a,22bの左右方向の端部は、左右の連結部20,20の上下方向の外方に延び出して位置している。換言すれば、上下の補強部材22a,22bは、何れも、上下方向の投影において、左右の連結部20,20に対して重なり合う位置まで延び出して設けられている。上下の補強部材22a,22bは、上下方向の投影において左右の連結部20,20と重なる部分の左右寸法が、左右の連結部20,20の左右寸法の半分以上、より好適に2/3以上とされることが望ましい。
このような構造とされたエキゾーストマウント10は、車体24と排気管26の間に介装される。即ち、図4に示すように、上側の挿通孔14aに車体24側の第一取付ピン28が挿通されると共に、下側の挿通孔14bに排気管26側の第二取付ピン30が挿通される。これにより、排気管26が車体24に対してエキゾーストマウント10によって吊下げ状態で防振支持されている。エキゾーストマウント10の車体24及び排気管26への装着状態において、エキゾーストマウント10には、排気管26の支持荷重が上下方向に入力されており、本体ゴム弾性体12に上下方向の引張荷重が作用している。なお、図4では、引張荷重の作用による本体ゴム弾性体12の変形が省略されている。
エキゾーストマウント10は、上下の挿通孔14a,14bの上下方向の外方に上下の補強部材22a,22bが配されていることによって、上下方向の静ばね定数が大きくされており、排気管26の安定した支持が実現されている。
すなわち、上下の挿通孔14a,14bよりも大きな左右方向の幅寸法を有する上下の補強部材22a,22bが第一,第二取付ピン28,30に追従して上下方向に変位する。これにより、第一,第二取付ピン28,30から入力される上下方向の力が、本体ゴム弾性体12のより広い範囲に分散して伝達される。その結果、上下方向の入力に対して、本体ゴム弾性体12のより広い範囲が弾性変形して、実質的なゴムボリュームが増大することで、上下方向の静ばね定数が大きくなる。
本実施形態では、上下の補強部材22a,22bが左右の連結部20,20の上下外方まで延び出して設けられている。それ故、上下の補強部材22a,22bによって、左右の連結部20,20に及ぼされる力の分散化が図られて、左右の連結部20,20における歪の局所的な集中が回避される。その結果、左右の連結部20,20がより広い範囲で弾性変形して、大きな静ばね定数を設定し易くなる。特に、上下の補強部材22a,22bが、左右の連結部20,20に対して、上下方向の投影において広い範囲で重なるように設けられていると、より大きな静ばね定数を設定し易くなる。
さらに、上側の挿通孔14aの周壁における上部と、下側の挿通孔14bの周壁における下部は、上下の補強部材22a,22bによって変形が拘束されている。これにより、第一取付ピン28が挿通された上側の挿通孔14aの周壁と、第二取付ピン30が挿通された下側の挿通孔14bの周壁とに上下方向の荷重が入力される際に、上側の挿通孔14aの周壁と下側の挿通孔14bの周壁が変形をある程度拘束される。従って、上下の挿通孔14a,14bの周壁が局所的に変形することによる静ばね定数の低下が回避される。
上下の補強部材22a,22bが設けられていることによって、本体ゴム弾性体12の静ばね定数が大きくされていることから、本体ゴム弾性体12のゴム硬度を小さくしながら、本体ゴム弾性体12の静ばね定数を十分に大きく得ることができる。このように、本体ゴム弾性体12をゴム硬度の小さいゴム材料で形成することにより、動ばね定数を小さくすることができて、振動入力時に発揮される振動絶縁などの防振効果を有利に得ることができる。
上下の補強部材22a,22bが、上下の挿通孔14a,14bに対して、上下方向の外方に設けられて、上下方向の内方には設けられていない。これにより、本体ゴム弾性体12の上下方向の自由長が長く確保されて、本体ゴム弾性体12の耐久性の向上が図られると共に、本体ゴム弾性体12のばね特性の設定自由度を大きくすることができる。
図5には、本発明の第二の実施形態としてのエキゾーストマウント40が示されている。エキゾーストマウント40は、本体ゴム弾性体42に対して、2つの上側の挿通孔14a,14aと、1つの下側の挿通孔14bとが形成された構造を有している。以下の説明において、第一の実施形態と実質的に同一の部材及び部位については、図中に同一の符号を付すことで説明を省略する。
本体ゴム弾性体42は、上部が下部よりも左右方向の幅寸法を大きくされている。幅寸法が大きい本体ゴム弾性体42の上部には、2つの上側の挿通孔14a,14aが左右方向で相互に離れて設けられている。幅寸法が小さい本体ゴム弾性体42の下部には、1つの下側の挿通孔14bが左右方向の中央部分に設けられている。上側の挿通孔14a,14aは、下側の挿通孔14bよりも左右方向で外方に外れた位置に設けられている。
本体ゴム弾性体42の上下方向の中央部分には、肉抜孔44が形成されている。肉抜孔44は、上方に向けて左右幅寸法が小さくなる略台形の孔断面形状を有している。また、肉抜孔44には、ストッパ突部46が突出している。ストッパ突部46は、肉抜孔44の下側内面から上向きに突出しており、突出先端に向けて左右方向の幅寸法が小さくなっている。肉抜孔44の左右方向の両側部分が、ストッパ突部46が設けられることによって左右方向の外側に向けて下傾する傾斜形状とされて、上側の挿通孔14a,14aと下側の挿通孔14bの間に位置している。なお、本体ゴム弾性体42における肉抜孔44の左右両側部分によって、下方に向けて左右方向の内側へ傾斜する傾斜形状で上下に延びる連結部20,20が構成されている。
本体ゴム弾性体42の下部には、補強部材22bが固着されている。補強部材22bは、金属や合成樹脂などの本体ゴム弾性体42よりも硬質の材料で形成されている。補強部材22bは、平板形状とされている。補強部材22bは、下側の挿通孔14bに対して下方に離れて配置されている。補強部材22bは、下側の挿通孔14bよりも大きな左右方向の幅寸法を有しており、下側の挿通孔14bの左右方向の全体を下方において覆うように配置されている。要するに、補強部材22bは、下側の挿通孔14bよりも左右方向の外側にまで広がっている。なお、補強部材22bは、上側の挿通孔14a,14aよりも左右方向の内側に配置されており、上下方向の投影において上側の挿通孔14a,14aと重なっていない。また、上側の挿通孔14a,14aの上方には、補強部材が設けられていない。
エキゾーストマウント40は、上側の挿通孔14a,14aに図示しない車体側の第一取付ピンがそれぞれ挿通されると共に、下側の挿通孔14bに図示しない排気管側の第二取付ピンが挿通されることにより、排気管を車体に対して防振連結させる。
このような本実施形態に従う構造のエキゾーストマウント40によれば、下側の挿通孔14bの下方に補強部材22bが設けられていることによって、下側の挿通孔14bに下向きの荷重が作用する際に、下側の挿通孔14bの周壁の下端部分に歪が集中するのを防ぐことができる。それ故、本体ゴム弾性体42の局所的な大変形による損傷を防いで、耐久性の向上が図られる。
2つの上側の挿通孔14a,14aが設けられていることから、上下方向の振動入力時に各上側の挿通孔14aの周壁の上端部分に作用する上向きの荷重は、下側の挿通孔14bに作用する下向きの荷重に比して、分散されて小さくなる。それ故、上側の挿通孔14a,14aの上方に補強部材がなくても、上側の挿通孔14a,14aの周壁における本体ゴム弾性体42の損傷は問題になり難い。尤も、上側の挿通孔14a,14aの上方にも、必要に応じて補強部材が設けられ得る。
左右の連結部20,20の下方に補強部材22bが広がっていることによって、上下方向の振動入力時に、左右の連結部20,20がより広い範囲で弾性変形して、歪の分散化が図られる。その結果、左右の連結部20,20における本体ゴム弾性体42の耐久性の向上も実現される。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、第一の実施形態では、上下の補強部材22a,22bが上下の挿通孔14a,14bの各上下外方に設けられていたが、上下の挿通孔14a,14bの何れか一方の上下外方だけに補強部材が設けられていても良い。
補強部材は平板形状が望ましいが、形状が限定されるものではない。例えば、本体ゴム弾性体の上面と下面が、特開平7-032893号公報の防振ゴムのように、上下方向の外方へ向けて凸の湾曲面である場合に、補強部材は、本体ゴム弾性体の上下面に沿った湾曲板形状とされ得る。尤も、補強部材の形状は、本体ゴム弾性体の上下面に対応する形状に限定されない。
さらに、補強部材は、板状でなくても良く、例えば柱状(ブロック状)などでも良い。補強部材には、部分的な曲げや折れ、凹凸、孔などがあっても良い。補強部材に曲げや折れ、凹凸などがある場合にも、補強部材の全体が挿通孔の上下方向の中心(L1,L2)よりも上下方向の外方に位置していることが望ましい。
補強部材は、左右の連結部20,20の上下外方まで延びていることが望ましいが、例えば、左右方向の幅寸法が肉抜孔16よりも小さくされて、左右の連結部20,20よりも左右方向の内側だけに設けられていても良い。
複数の補強部材が設けられる場合に、各補強部材は、形状やサイズ、形成材料などが互いに異なっていても良い。
補強部材は、左右方向や前後方向で相互に独立した複数が設けられても良い。例えば、第二の実施形態のように、2つの上側の挿通孔14a,14aがある場合には、各上側の挿通孔14aの上方に相互に独立した上側の補強部材22a,22aが設けられていても良い。
挿通孔は、必ずしも周壁内面がゴムで形成されていなくても良く、例えば、金属などで形成された硬質のスリーブによって挿通孔の周壁内面が構成されていても良い。
挿通孔の孔断面形状は、円形に限定されず、楕円形や多角形、異形であっても良い。なお、挿通孔の孔断面形状が円形以外の場合にも、補強部材の全体が、孔断面の中心よりも上下方向の外方に設けられることが望ましい。
肉抜孔は必須ではない。また、複数の肉抜孔が形成されていても良い。肉抜孔の孔断面形状は限定されない。
10,40 エキゾーストマウント
12,42 本体ゴム弾性体
14 挿通孔
14a 上側の挿通孔
14b 下側の挿通孔
16,44 肉抜孔
18,46 ストッパ突部
20 連結部
22 補強部材
22a 上側の補強部材
22b 下側の補強部材
24 車体
26 排気管
28 第一取付ピン(車体側の取付ピン)
30 第二取付ピン(排気管側の取付ピン)

Claims (4)

  1. 本体ゴム弾性体に対して、車体から延び出した車体側の取付ピンと排気管から延び出した排気管側の取付ピンとが挿通される複数の挿通孔が設けられており、該本体ゴム弾性体が該車体と該排気管の間に介装されることにより、該車体に対して該排気管を吊下状態で防振支持するエキゾーストマウントであって、
    前記本体ゴム弾性体において前記挿通孔の周壁を構成する部分には、上下方向で該挿通孔から離れた位置に補強部材が設けられて、該補強部材が該挿通孔の径方向の全体を上下方向の外方において覆うように配置されており、且つ、該補強部材は左右方向の投影において該挿通孔から上下方向に離れた位置に配置されているエキゾーストマウント。
  2. 前記排気管側の取付ピンが挿通される前記挿通孔と、前記車体側の取付ピンが挿通される前記挿通孔との両方に対して、上下方向の各外方にそれぞれ前記補強部材が設けられている請求項1に記載のエキゾーストマウント。
  3. 前記本体ゴム弾性体において前記挿通孔の前記径方向である幅方向の両側にそれぞれ連結部が設けられており、それら連結部の上下方向の外方に前記補強部材が延び出している請求項1又は2に記載のエキゾーストマウント。
  4. 前記補強部材が平板形状とされている請求項1~3の何れか一項に記載のエキゾーストマウント。
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