以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態の助手席用エアバッグ(以下「エアバッグ」と省略する)15は、図12,13に示すように、助手席PSに着座した乗員MPの前方において、インストルメントパネル(以下「インパネ」と省略する)1の上面2の内部に配置されるトップマウントタイプの助手席用エアバッグ装置Mに、使用されている。なお、実施形態において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両の前後・上下・左右の方向と一致するものである。
実施形態の助手席用エアバッグ装置Mは、図12,13に示すように、エアバッグ15と、エアバッグ15に膨張用ガスを供給するインフレーター8と、エアバッグ15及びインフレーター8を収納保持する収納部位としてのケース12と、エアバッグ15及びインフレーター8をケース12に取り付けるためのリテーナ9と、折り畳まれたエアバッグ15を覆うエアバッグカバー6と、を備えている。エアバッグカバー6は、エアバッグ15の展開膨張時に開き可能な扉部(図符号省略)を、備えている。また、実施形態では、インフレーター8は、車両の前面衝突と、斜め衝突と、オフセット衝突と、の際に、作動するように構成されている。
エアバッグ15は、可撓性を有したシート体からなる袋状として、図1~6に示すように、膨張完了形状を、軸方向を左右方向に略沿わせた略四角筒状として、構成されている。実施形態では、エアバッグ15は、膨張完了形状を略左右対称形として、構成されている。詳細には、エアバッグ15は、膨張完了時の後端側に配設されて乗員MPを保護可能に構成される乗員保護部40と、乗員保護部40の前側に配設される車体側膨張部16と、を備えている。車体側膨張部16は、膨張完了時の前端側に配置されて収納部位としてのケース12側に取り付けられる取付部17と、膨張完了時の上面側と下面側において、それぞれ、前後方向に略沿うように形成される上側支持膨張部21,下側支持膨張部24と、上側支持膨張部21と下側支持膨張部24との前端21a,24a側を連通する連通膨張部27と、を備えている。また、エアバッグ15は、左右方向側に略沿って貫通するように形成されるとともに、周囲を膨張部位によって囲まれる空洞部50を、有する構成とされている。実施形態では、空洞部50は、周囲を、連通膨張部27、上側支持膨張部21、下側支持膨張部24、及び、乗員保護部40によって、囲まれる構成であり、図1,2,4に示すように、左右方向側から見て、略四角形状に開口して、形成されている。実施形態の場合、空洞部50は、前方にかけて拡開されるような略台形状に、開口して形成されている。
取付部17は、膨張完了形状を、長手方向を左右方向に略沿わせた板状として、上端17a側を連通膨張部27の上端27a側と連通されて、膨張完了時に左右の側方から見た状態で、前下がりに傾斜するように、構成されている(図2,4参照)。取付部17において、下端17b側に配設される下壁部17eの領域には、内部に膨張用ガスを流入可能に略円形に開口して、周縁をケース12に取り付けられる流入用開口18が、形成されている(図4,6参照)。流入用開口18の周縁には、リテーナ9のボルト(図符号省略)を挿通させて、流入用開口18の周縁をケース12の底壁部(図符号省略)に取り付けるための複数(実施形態の場合、4個)の取付孔19が、形成されている。取付部17は、下端17b側の領域を、図12~14に示すように、エアバッグ15の膨張完了時に、ケース12内に配置される構成であり、膨張完了時における左右方向側の幅寸法を、他の部位と比較して小さく設定され(図6参照)、前後左右の幅寸法を、ケース12内に配置可能な寸法に、設定されている。実施形態の場合、この取付部17は、膨張完了時における上端17a側を、ウィンドシールド4に支持されることとなる(図12参照)。
連通膨張部27は、膨張完了形状を、長手方向を左右方向に略沿わせた板状として、上端27a側を取付部17の上端17a、及び、上側支持膨張部21の前端21aと連通され、下端27b側を下側支持膨張部24の前端24aと連通される構成である。この連通膨張部27は、膨張完了時に左右の側方から見た状態で、上下方向に略沿うように、配設される構成である(図2参照)。実施形態の場合、連通膨張部27は、取付部17及び上側支持膨張部21と連通される上端27a側を狭幅とし、下側支持膨張部24と連通される下端27b側にかけて左右に幅広とするように構成されるもので、膨張完了時における下部前面側(前壁部27cの下端側)を、インパネ1に支持されることとなる(図12参照)。また、連通膨張部27における後壁部27dは、図4,6に示すように、空洞部50における内周面50aを構成することとなる。
上側支持膨張部21は、膨張完了形状を、長手方向を左右方向に略沿わせた略板状として、前端21a側を連通膨張部27の上端27a、及び、取付部17の上端17aと連通され、後端21b側を乗員保護部40の上端40aと連通される構成である。この上側支持膨張部21は、膨張完了時に左右の側方から見た状態で、連通膨張部27に対して略直交して、前後方向に略沿うように配設される構成である(図2参照)。また、上側支持膨張部21は、図3に示すように、取付部17及び上側支持膨張部21と連通される前端21a側の部位を狭幅とし、乗員保護部40と連通される後端21b側の部位を広幅とするように、構成されている。そして、この上側支持膨張部21は、膨張完了時における前部上面側(上壁部21cの前端側)を、インパネ1の上方に配置されるウィンドシールド4に当接されて支持される構成である(図12参照)。すなわち、上側支持膨張部21は、膨張完了時における前部上面側に、ウィンドシールド4によって支持される上側支持面部22を、備える構成とされている(図4,12参照)。この上側支持膨張部21において、下壁部21dが、空洞部50における内周面50aを構成することとなる(図4,5参照)。
また、実施形態では、上側支持膨張部21の前端21a側と連通膨張部27の上端27a側とは、区画壁部30によって区画されている。この区画壁部30は、周縁を、全周にわたって、上側支持膨張部21と連通膨張部27との境界部位を構成する壁部に、結合されている(図4,8参照)。区画壁部30には、2つの円形に開口した連通孔31,31が、左右方向側で並設され(図1,3,5参照)、この連通孔31により、上側支持膨張部21と連通膨張部27が、連通されている。この区画壁部30及び連通孔31は、取付部17を経て流入する膨張用ガスを、上側支持膨張部21側への過度の流出を抑制して、連通膨張部27側(下側支持膨張部24側)へも安定して流出可能とするために、配設されている。実施形態の場合、上側支持膨張部21と連通膨張部27との境界部位となる区画壁部30の周縁の部位が、エアバッグ15の膨張完了時に、ウィンドシールド4に当接されることとなる(図12参照)。
下側支持膨張部24は、膨張完了形状を、長手方向を左右方向に略沿わせた略板状として、前端24a側を連通膨張部27の下端27bと連通され、後端24b側を乗員保護部40の下端40bと連通される構成である。この下側支持膨張部24は、膨張完了時に左右の側方から見た状態で、連通膨張部27に対して略直交しつつ、上側支持膨張部21に略沿うように、前後方向に略沿って配設される構成である(図2参照)。また、下側支持膨張部24は、前後方向側において幅寸法を略同一とした略長方形板状とされている。詳細には、下側支持膨張部24は、上側支持膨張部21に対して、後端24b側を僅かに接近させるように、僅かに傾斜して形成される。また、下側支持膨張部24は、膨張完了時における前部下面側(前端24a側であって、詳細には連通膨張部27との交差部位付近)を、インパネ1に当接されて支持される構成である(図12参照)。すなわち、下側支持膨張部24は、膨張完了時における前面側に、インパネ1によって支持される下部支持面部25を、備える構成とされている(図4,12参照)。下側支持膨張部24において、上壁部24cが、空洞部50の内周面50aを構成することとなる(図4,5参照)。また、下側支持膨張部24における左壁部24eと右壁部24fとには、内部に流入した余剰の膨張用ガスを排気するためのベントホール35が、略円形に開口して、2個ずつ形成されている(図1,2,4参照)。
乗員保護部40は、膨張完了時の後端となる乗員MP側において、膨張完了時の形状を、上下方向に略沿わせた略板状として、上端40a側を上側支持膨張部21の後端21bと連通され、下端40b側を下側支持膨張部24の後端24bと連通される構成である。詳細には、乗員保護部40は、上下方向側においての幅寸法を略同一とした略長方形状とされている。また、この乗員保護部40は、エアバッグ15の膨張完了時に、上端40a側を、上側支持膨張部21に支持され、下端40b側を、下側支持膨張部24に支持される構成である。乗員保護部40においては、前壁部40cが、空洞部50の内周面50aを構成している(図4,6参照)。また、実施形態の場合、乗員保護部40は、図1,3,4,6に示すように、中央側領域42と、中央側領域42の左右両側に配置されて中央側領域42に対して後外方に向かって突出する突出領域43L,43Rと、を備えている。中央側領域42は、乗員保護部40の左右の中央側の部位の上下の略全域にわたった領域から、構成され、突出領域43L,43Rは、乗員保護部40の左右両縁側、すなわち、中央側領域42の左右両側において、それぞれ、乗員保護部40の上下の略全域にわたって、形成されている(図1,4参照)。突出領域43L,43Rは、実施形態の場合、乗員保護部40における左壁部40e若しくは右壁部40fから連なって形成される外壁部43aと、中央側領域42側に配設される内壁部43bと、を備え、この外壁部43a,内壁部43bの周縁43c,43d相互を結合させることにより、構成されている(図1,6参照)。
そして、実施形態では、乗員保護部40における中央側領域42の後壁部42a(乗員保護部40の後壁部40dにおける左右方向の中央側の部位)が、車両の前突時に前進移動する乗員MPの頭部MHを受け止めて保護可能な前突用拘束面45を、構成し、各突出領域43L,43Rにおける内壁部43bが、車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを受け止めて保護可能な斜突用拘束面46L,46Rを、構成している。斜突用拘束面46L,46R(内壁部43b)は、膨張完了時のエアバッグ15を上下方向側から見た状態で、後端側を左右の外方に位置させるように、前後方向に対して傾斜して、形成されている(図6参照)。
また、実施形態のエアバッグ15では、乗員保護部40において、中央側領域42と各突出領域43L,43Rとの境界部位(前突用拘束面45と各斜突用拘束面46L,46Rとの境界部位)に、乗員MPの頭部MHを進入させて拘束させるための拘束用凹部47L,47Rが、それぞれ、形成されている(図4,6,7参照)。拘束用凹部47L,47Rは、上下方向に略沿って、図4に示すように、乗員保護部40の上下の略全域にわたって、形成されている。具体的には、拘束用凹部47L,47Rは、図6,7に示すように、後端47b側を開口させて、ポケット状に前方に凹む構成とされている。この拘束用凹部47L,47Rは、左右方向側から見て、上下に幅広とした略長方形状の外側壁47cと内側壁47dとの上縁相互、下縁相互、前縁相互を、それぞれ、結合(縫着)させることにより、後端47b側を開口させた略ポケット状に、構成されている(図4,6,7参照)。この拘束用凹部47L,47Rは、凹みの先端(前端47a)を、空洞部50側に連結される構成であり、具体的には、前端47a側を、空洞部50の内周面50aを構成している乗員保護部40の前壁部40c(内周パネル部75における本体部76)に、結合部位48の部位で、縫合糸を用いて縫着(連結)される構成である(図6参照)。そして、拘束用凹部47L,47Rは、エアバッグ15の膨張完了時には、外側壁47cと内側壁47dとを略全域にわたって接触させるように、後端47b側の開口の口開きを抑制された状態で、前後方向に略沿って、配置されることとなる(図6参照)。この拘束用凹部47L,47Rは、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを進入させて保護するためのものであり、前後方向側の幅寸法(深さ)を、乗員保護部40における中央側領域42の膨張完了時の厚さと略同等として(図6参照)、乗員MPの頭部MHの前側の領域を進入可能な寸法に、設定されている。
実施形態のエアバッグ15では、図4~6に示すように、連通膨張部27,上側支持膨張部21,下側支持膨張部24,乗員保護部40は、内部に厚さ規制用のテザー55,56,57を配設させることにより、膨張完了形状を略板状とされている。連通膨張部27内においては、テザー55は、上下方向に略沿った帯状として、取付部17から分岐している上端27a側の領域内において、前壁部27cと後壁部27dとを連結するように配設されている。上側支持膨張部21内においては、テザー56は、前後方向に略沿った帯状として、前後の中間部位において、上壁部21cと下壁部21dとを連結するように配設されている。下側支持膨張部24内においては、テザー57は、前後方向に略沿った帯状として、前後の中間部位において、上壁部24cと下壁部24dとを連結するように配設されている。詳細には、上側支持膨張部21内と下側支持膨張部24内とに配置されるテザー56,57は、前後方向側で広く厚さ寸法を規制可能に、長さ寸法を、連通膨張部27内に配置されるテザー55よりも大きく設定されている(図4参照)。各テザー55,56,57は、それぞれ、左右方向側で2箇所に、並設されている。乗員保護部40の領域内では、図4~7に示すように、後壁部40dから延びて凹みの先端(前端47a)を前壁部40cに連結される拘束用凹部47L,47R自体を、厚さ規制用のテザーとして、利用している。
エアバッグ15は、可撓性を有したシート体からなる複数の所定形状のパネル部(基材)の対応する縁部相互を結合させることにより、袋状とされている。具体的には、エアバッグ15を構成するパネル部は、図9,10に示すように、外周パネル部60と、内周パネル部75と、側壁パネル部80L,80Rと、を備える構成とされている。
外周パネル部60は、膨張完了時のエアバッグ15における外周面側に配置されるもので、乗員MP側に配設される乗員側パネル65と、車体側膨張部16を構成する周壁パネル61と、を備える。周壁パネル61は、上側パネル62と下側パネル63とを備えている。
上側パネル62は、上側支持膨張部21の上壁部21cを構成するもので、図9に示すように、外形形状を、前端側の部位を僅かに狭幅とした略長方形状とされている。下側パネル63は、取付部17における前壁部17c,下壁部17e,後壁部17dと、下側支持膨張部24の下壁部24dと、を構成するもので、図9に示すように、前上縁63a側近傍の取付部17を構成している領域を狭幅とした略帯状とされている。上側パネル62と下側パネル63とは、ともに、左右対称形とされている。
乗員側パネル65は、乗員保護部40において乗員MP側に配置される後壁部40dを、構成するもので、詳細には、各突出領域43L,43Rにおける内壁部43b(斜突用拘束面46L,46R)から、各拘束用凹部47L,47Rを経て、中央側領域42の後壁部42a(前突用拘束面45)にかけてを、構成している。詳細には、乗員側パネル65は、図10,11のAに示す乗員側パネル用基材68から、構成されている。乗員側パネル用基材68は、各突出領域43L,43Rの内壁部43bを構成する突出領域構成部73L,73Rと、各拘束用凹部47L,47Rを構成する凹部構成部70L,70Rと、中央側領域42の後壁部42aを構成する中央側領域構成部69と、を、並設させた略帯状として構成されている。各凹部構成部70L,70Rは、それぞれ、各拘束用凹部47L,47Rの外側壁47c,内側壁47dを構成する外壁構成部71L,71R,内壁構成部72L,72Rを有するとともに、外壁構成部71L,71R,内壁構成部72L,72Rを、後端側を中央側領域構成部69若しくは突出領域構成部73L,73Rと連ならせて前端側で連結させたような外形形状とされている。そして、各凹部構成部70L,70Rは、外壁構成部71L,71R,内壁構成部72L,72R相互を重ねるように二つ折りして、周縁71a,72a相互を結合させることにより、拘束用凹部47L,47Rを形成することができる(図11のB参照)。そして、乗員側パネル65は、図11のBに示すように、乗員側パネル用基材68において、拘束用凹部47L,47Rを形成した状態から、構成される。乗員側パネル用基材68と乗員側パネル65とは、ともに、左右対称形とされている。
そして、このように形成した乗員側パネル65は、上縁65a側と下縁65b側とに、中央側領域42の後壁部42aを構成する中央側領域構成部69(中央側部位)を、突出領域43L,43Rの内壁部43bを構成する突出領域構成部73L,73R(突出側部位)に対して凹ませるような凹状部位66U,66Dを、有する構成とされている。乗員側パネル65において、中央側領域構成部69は、上下方向側に幅広の略長方形状とされており、中央側領域構成部69に隣接して配置される各突出領域構成部73L,73Rは、それぞれ、中央側領域構成部69から離れる外縁73c側にかけてわずかに上下に拡開されるような略台形状とされている。すなわち、中央側領域構成部69は、上下方向側の幅寸法を、突出領域構成部73L,73Rにおける外縁73c側の上下方向側の幅寸法より小さく設定されており、突出領域構成部73L,73Rの上縁73a及び下縁73bは、中央側領域構成部69にかけて相互に接近するように傾斜して配設される構成である。そして、このような中央側領域構成部69と突出領域構成部73L,73Rとの上縁69a,73a若しくは下縁69b,73bの形状が、凹状部位66U,66Dを、構成している。具体的には、中央側領域構成部69は、上下方向側の幅寸法L1を、突出領域構成部73L,73Rにおける外縁73c側の上下方向側の幅寸法L2の11/12程度に、設定されている(図11のB参照)。この乗員側パネル65は、上下方向側においても対称形とされている。
内周パネル部75は、膨張完了時のエアバッグ15における内周面側に配置されるもので、図9に示すように、本体部76と、本体部76の前後両端側に配置されて区画壁部30を構成する区画壁構成部77U,77Dと、を備えている。この内周パネル部75は、左右対称形の帯状体から、構成されている。内周パネル部75の本体部76は、上側支持膨張部21の下壁部21dと、乗員保護部40の前壁部40cと、下側支持膨張部24の上壁部24cと、連通膨張部27の後壁部27dと、を構成している。すなわち、内周パネル部75の本体部76は、空洞部50の内周面50aを構成している。
側壁パネル部80L,80Rは、膨張完了時のエアバッグ15における左右の側面側を構成する左右一対として、それぞれ、図10に示すように、略四角環状の側壁構成部81L,81Rと、側壁構成部81L,81Rの前上端側から延びる略長方形状の取付部構成部82L,82Rと、を備えている。側壁パネル部80Lにおける側壁構成部81Lは、上側支持膨張部21,下側支持膨張部24,連通膨張部27,乗員保護部40における左壁部21e,24e,27e,40eを構成し、側壁パネル部80Rにおける側壁構成部81Rは、上側支持膨張部21,下側支持膨張部24,連通膨張部27,乗員保護部40における左壁部21f,24f,27f,40fを構成している。各側壁パネル部80L,80Rにおける取付部構成部82L,82Rは、それぞれ、取付部17における左壁部17f,右壁部17gを、構成している。
実施形態では、エアバッグ15を構成する外周パネル部60(上側パネル62,下側パネル63,乗員側パネル用基材68),内周パネル部75,側壁パネル部80L,80R、及び、テザー55,56,57は、それぞれ、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布から形成されている。
そして、実施形態のエアバッグ15は、図4~10に示すように、外周パネル部60における上側パネル62,下側パネル63,乗員側パネル65(乗員側パネル用基材68)、内周パネル部75、及び、側壁パネル部80L,80Rの対応する縁部相互を、縫合糸を用いて縫着(結合)させることにより、袋状とされている。
具体的には、上側パネル62の前縁62aは、下側パネル63における前上縁63a、及び、内周パネル部75の区画壁構成部77U,77Dにおける前縁77aと、結合される。上側パネル62の後縁62bは、乗員側パネル65の上縁65a(中央側領域構成部69の上縁69aと各突出領域構成部73L,73Rの上縁73a、凹状部位66U)と結合される。上側パネル62の左縁62cは、側壁パネル部80Lにおける側壁構成部81Lの上縁81aa(外周縁81aの一部)と結合され、上側パネル62の右縁62dは、側壁パネル部80Rにおける側壁構成部81Rの上縁81aa(外周縁81aの一部)と結合される。下側パネル63の後縁63bは、乗員側パネル65の下縁65b(中央側領域構成部69の下縁69bと各突出領域構成部73L,73Rの下縁73b、凹状部位66D)と結合される。下側パネル63の左縁63cは、側壁パネル部80Lにおける取付部構成部82Lの前縁82a,下縁82c,後縁82b、及び、側壁パネル部80Lにおける側壁構成部81Lの前縁81ac,下縁81ab(外周縁81aの一部)と、結合され、下側パネル63の右縁63dは、同様に、取付部構成部82Rの前縁82a,下縁82c,後縁82b、及び、側壁構成部81Rの前縁81ac,下縁81ab(外周縁81aの一部)と、結合される。乗員側パネル65の左縁65c,右縁65d(各突出領域構成部73L,73Rの外縁73c)は、それぞれ、側壁パネル部80L,80Rにおける側壁構成部81L,81Rの後縁81ad(外周縁81aの一部)と、結合される。内周パネル部75における本体部76の左縁76a,右縁76bは、それぞれ、各側壁パネル部80L,80Rにおける側壁構成部81L,81Rの内周縁81bと、結合される。また、内周パネル部75における区画壁構成部77U,77Dは、後縁77bを相互に結合されるとともに、左縁77cと右縁77dとを、相互に重ねられた状態で、それぞれ、各側壁パネル部80L,80Rにおける側壁構成部81L,81Rの前上端側の領域に、結合されている(図8参照)。
この実施形態の助手席用エアバッグ装置Mは、内部にリテーナ9を収納させた状態のエアバッグ15を、ケース12内に収納可能に折り畳み、周囲を、破断可能な図示しないラッピングシートにくるんだ状態で、ケース12内に収納させ、インフレーター8を、リテーナ9を利用してエアバッグ15の流入用開口18の周縁とともに、ケース12に連結させ、その後、折り畳まれたエアバッグ15とインフレーター8とを保持させたケース12を、車両に搭載されたインパネ1に形成されるエアバッグカバー6に連結させれば、車両に搭載させることができる。
実施形態の助手席用エアバッグ装置Mでは、車両に搭載した状態で、車両の前面衝突時、斜め衝突時、若しくは、オフセット衝突時に、インフレーター8が作動することとなり、エアバッグ15が、内部に膨張用ガスを流入させて膨張し、ケース12から突出しつつ、図12,13に示すように膨張を完了させることとなる。
そして、実施形態のエアバッグ15では、膨張完了時の前端側に配置される取付部17と、膨張完了時の後端側に配置される乗員保護部40と、の間に、左右方向側に略沿って貫通するように、空洞部50が設けられる構成であり、換言すれば、実施形態のエアバッグ15では、膨張完了時における前後方向に略沿った断面において、空洞部50を間に介在させることにより、乗員保護部40は、取付部17側(実施形態の場合、取付部17及び連通膨張部27)と分離されて、単独で左右方向に略沿った略板状に膨張するような態様となる(図13参照)。そして、乗員保護部40における乗員側の面(後壁部40d)を構成する乗員側パネル65は、上縁65aと下縁65bとを、中央側にかけて凹ませるように構成されており、換言すれば、乗員側パネル65は、中央側領域42(中央側領域構成部69)の上下方向側の長さ寸法を相対的に小さくし、左縁65c側と右縁65d側とに形成される突出領域43L,43R側(突出領域構成部73L,73R)の上下方向側の長さ寸法を相対的に大きくするように、構成されている。また、乗員側パネル65は、中央側を凹ませて構成されている上縁65aと下縁65bとを、周壁パネル61における対応する端末(上側パネル62,下側パネル63における後縁62b,63b)と結合させる構成であることから、膨張完了時において、乗員保護部40における中央側領域42が、上下方向側の膜長を、左縁側と右縁側に配設される突出領域43L,43Rの膜長よりも、短く設定されるような態様となり、このような膜長差により、突出領域43L,43Rが、中央側領域42に対して斜め後外方に向かって突出するように、配設されることとなる。詳細に説明すれば、実施形態のエアバッグ15は、左右方向側に略沿って貫通する空洞部50を有した環状とされていることから、膨張完了時に、空洞部50側の内周パネル部75に比べて、外周パネル部60側が、空洞部50から離れる方向に膨らみやすくなる。乗員保護部40は、膨張完了時に、左右方向に貫通する空洞部50を囲む環状の膨張部位の後部側の部位から構成されていることから、乗員保護部40においても、外周面側に配置される乗員側パネル65が、外方へ膨らみやすく、その際、左右の縁側に配設される突出領域43L,43Rが、中央側領域42よりも、上下の膜長(結合部からの膜長)を長く設定されることから、後外方へ膨らみやすくなって、突出領域43L,43Rが、後外方へ膨らむこととなる。そのため、側壁パネル部80L,80Rの後縁81ad側の外形形状や乗員側パネル65における左縁65c,右縁65d側(突出領域構成部73L,73R)の外形形状を上下方向の膜長を長くするように設定するだけで、別途、別部材を設けなくとも、突出領域43L,43Rの中央側領域42に対する突出状態を安定して維持させることができる。そして、車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に、乗員MPが斜め前方に向かって移動することとなっても、乗員MPを、中央側領域42に対して斜め後外方に向かって突出するように配置される突出領域43L,43Rによって、的確に保護することができる。
したがって、本発明のエアバッグ15では、簡便な構成として、乗員MPを的確に保護することができる。
また、実施形態のエアバッグ15では、膨張完了時の前端側に配置される取付部17と、膨張完了時の後端側に配置される乗員保護部40と、の間に、左右方向側に略沿って貫通する空洞部50が、設けられていることから、空洞部50を備えない構成とする場合と比較して、実際に内部に膨張用ガスを流入させて膨張する領域の容積を小さくすることができ、使用するインフレーター8を小型化できて、車両に搭載される装置全体をコンパクトにすることができる。
さらに、実施形態のエアバッグ15では、乗員側パネル65が、上縁65aと下縁65bとをともに周壁パネル61における対応する端末(上側パネル62,下側パネル63における後縁62b,63b)と結合させる構成として、凹状とされる(凹状部位66U,66Dを有する)構成であることから、膨張完了時に、突出領域43L,43Rを、上下の略全域にわたって、安定して後外方に突出するように配設させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、乗員側パネルを、上縁若しくは下縁のどちらか一方のみを凹状とする構成としてもよく、さらには、乗員側パネルを、周壁パネルと別体とせず、上縁側若しくは下縁側の一方を、周壁パネルと分離させ、周壁パネルから連ならせるようにして、構成してもよい。
さらにまた、実施形態のエアバッグ15では、突出領域43L,43Rが、を、中央側領域42の左右両側に形成される構成であることから、車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に、斜め前方に向かって移動する乗員MPを受け止める部位(斜突用拘束面46L,46R)を、左右両側に配設させることができて、左斜め前方と右斜め前方とに向かって移動する乗員MPを、的確に保護することができる。なお、このような点を考慮しなければ、突出領域は、左右のどちらか一方のみに配設させる構成としてもよい。
さらにまた、実施形態のエアバッグ15では、乗員保護部40の内部に、突出領域43L,43Rと中央側領域42との境界部位付近と、空洞部50側の内周パネル部75(乗員保護部40の前壁部40c)と、を連結するテザーとして、拘束用凹部47L,47Rが、配設される構成であることから、突出領域43L,43Rの突出形状(中央側領域42に対する突出状態)を一層安定させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、乗員保護部の内部に、突出領域と中央側領域との境界部位付近から延びて空洞部側の内周パネル部に連結されるテザーを、配設させない構成としてもよい。また、実施形態では、拘束用凹部からテザーを形成しているが、拘束用凹部を設けず、突出領域と中央側領域との境界部位付近と、空洞部側の内周パネル部と、を連結する別体のテザーを、配設させる構成としてもよい。
特に、実施形態のエアバッグ15では、突出領域43L,43Rと中央側領域42との境界部位付近と、空洞部50側の内周パネル部75(乗員保護部40の前壁部40c)と、を連結するテザーとして、後端47b側を開口させてポケット状に凹む拘束用凹部47L,47Rが、配設される構成であり、換言すれば、前突用拘束面45と、斜突用拘束面46L,46Rとの境界部位に、拘束用凹部47L,47Rが、配設される構成である。そのため、車両の斜め衝突時やオフセット衝突時等において、斜め前方に向かって移動する乗員MPの頭部MHを、斜突用拘束面46L,46Rによって受け止めつつ、拘束用凹部47L,47R内に進入させることができて、乗員MPの頭部MHを的確に保護することができる(図14参照)。また、前突時において、前方に向かって移動する乗員MPは、中央側領域42の後壁部42a(前突用拘束面45)によって、的確に保護することができる(図13参照)。そして、実施形態のエアバッグ15では、左右方向側に貫通する空洞部50を有し、乗員保護部40は、膨張完了時における前後方向に略沿った断面において、取付部17側と分離されて、単独で左右方向に略沿った略板状に膨張する構成であるものの、上端40a側と下端40b側とを、前後方向に略沿って配置される上側支持膨張部21と下側支持膨張部24とに支持され、上側支持膨張部21と下側支持膨張部24とは、それぞれ、ウィンドシールド4とインパネ1とに支持される構成である(図12参照)。そのため、上側支持膨張部21と下側支持膨張部24とにより、乗員保護部40を的確に支持することができ、中間部位に空洞部50を備える構成であっても、前方移動する乗員MPを、乗員保護部40によって安定して拘束することができる。