JP2020026254A - エアバッグ - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な構成として、内部に流入した膨張ガスの排出を的確に制御可能なエアバッグを提供すること【解決手段】可撓性を有した袋状とされるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて、乗員を保護可能に膨張するエアバッグ15。内部の膨張用ガスを排出可能に、外周壁16を切り抜いて形成される排出孔29を、備える。排出孔が、乗員受止時におけるエアバッグの変形時に、排出孔の周囲の周縁部材30によって開口面積を減少させるように、構成されている。【選択図】図3

Description

本発明は、可撓性を有した袋状とされるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて、座席に着座した乗員を保護可能に膨張するエアバッグに、関する。
従来、エアバッグとしては、体格の大きな乗員を受け止めた際に閉じ変形可能な排気孔を有する構成のものが、あった(例えば、特許文献1参照)。この従来のエアバッグでは、内部にエアバッグと別体の帯状体を配置させ、この帯状体の状態によって、排気孔の開閉を操作する構成であり、帯状体を張らせた状態では排気孔が閉塞され、帯状体を緩ませた状態では、排気孔は開口される構成であった。
特開2002−79904公報
しかし、従来のエアバッグは、エアバッグとは別体の帯状体を、内部において左右方向に略沿わせるようにして配置させ、この帯状体によって排気孔の開閉を制御する構成であることから、構成が簡便ではなく、簡便な構成で、膨張用ガスの排出を的確に制御する点に、改善の余地があった。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、簡便な構成として、内部に流入した膨張ガスの排出を的確に制御可能なエアバッグを提供することを目的とする。
本発明に係るエアバッグは、可撓性を有した袋状とされるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて、乗員を保護可能に膨張するエアバッグであって、
内部の膨張用ガスを排出可能に、外周壁を切り抜いて形成される排出孔を、備え、
排出孔が、乗員受止時におけるエアバッグの変形時に、排出孔の周囲の周縁部材によって開口面積を減少させるように、構成されていることを特徴とする。
本発明のエアバッグでは、外周壁を切り抜いて形成される排出孔から、内部の膨張用ガスを排出させる構成であり、また、この排出孔は、乗員受止時におけるエアバッグの変形時に、周囲の周縁部材によって開口面積を減少されて、膨張用ガスの排出量を減少させる構成であることから、構成を簡便として、乗員受止時に、膨張用ガスの排出を的確に低減させることができ、乗員を円滑に保護することができる。
したがって、本発明のエアバッグでは、内部に流入した膨張ガスの排出を的確に制御することができる。
また、本発明のエアバッグにおいて、周縁部材を、エアバッグの外周壁自体から構成すれば、排出孔を、外周壁自体によって安定して覆うことが可能となり、膨張用ガスの排出量を安定させることが可能となって、好ましい。
具体的には、上記構成のエアバッグにおいて、外周壁に、膨張完了時に、屈曲して配置される屈曲部位を、配設させる構成とし、
排出孔を、屈曲部位に、若しくは、屈曲部位の近傍に、形成して、
エアバッグを、乗員の受止時に、屈曲部位の屈曲角度を小さくして、外周壁における屈曲部位近傍の領域により、排出孔を覆うように変形させる構成とすることが、好ましい。
また、上記構成のエアバッグにおいて、エアバッグを、前席に着座した乗員を保護可能に、前席の前方に折り畳んで収納させて、膨張完了時に、前記乗員の前方を覆うように膨張する構成とするとともに、収納部位側に配置される取付側部と、取付側部の後部から少なくとも上方に延びて乗員の前方に配置される乗員保護部と、を備える構成とし、
排出孔を、取付側部の上面と乗員保護部との境界部位に、若しくは、境界部位付近に、配設させる構成とすることが、好ましい。
エアバッグをこのような構成とすれば、乗員保護部が上半身を前傾させつつ前進移動してくる乗員を受け止めた際に、取付側部に対して屈曲されることとなって、取付側部と乗員保護部との境界部位若しくは境界部位付近に配設される排出孔が、エアバッグの外周壁によって少なくとも一部を閉塞されることから、乗員保護部による乗員受止時に、確実に、排出孔からの膨張用ガスの排出を抑制できる。そのため、上半身を前傾させつつ前進移動する乗員を、膨張用ガスの排出を抑制された乗員保護部によって、的確に保護することができる。
本発明の一実施形態であるエアバッグを使用した乗員保護装置を車両に搭載させた状態の概略縦断面図である。 図1の乗員保護装置を車両に搭載させた状態の概略平面図である。 図1の乗員保護装置で使用されるエアバッグを単体で膨張させた状態を示す左前方から見た状態の斜視図である。 図3のエアバッグを右前方から見た状態の斜視図である。 図3のエアバッグを単体で膨張させた状態の平面図である。 図5のVI−VI部位を示す断面図である。 図5のVII−VII部位を示す断面図である。 図5のVIII−VIII部位を示す断面図である。 図5のIX−IX部位を示す断面図である。 図3のエアバッグを構成する基材を示す平面図である。 実施形態の乗員保護装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す運転席前方の部位での概略縦断面図である。 実施形態の乗員保護装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す助手席前方の部位での概略縦断面図である。 実施形態の乗員保護装置において、膨張を完了させたエアバッグにおける助手席用受止膨張部の変形時の排出孔の変形状態を示す概略拡大断面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、車両Vにおける前席(運転席DS,助手席PS)の前方に配置されたインストルメントパネル(以下「インパネ」と省略する)1の内部に設けられる乗員保護装置Mに使用されるエアバッグ15を、例に採り、説明をする。実施形態の場合、この乗員保護装置Mは、インパネ1の上面2の内部に配置されるトップマウントタイプとされている。なお、実施形態において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両Vの前後・上下・左右の方向と一致するものである。また、実施形態の乗員保護装置Mを搭載させる車両Vは、運転席DSを左側に配置させた左ハンドル車である。
実施形態の乗員保護装置Mは、図1,2に示すように、折り畳まれたエアバッグ15と、エアバッグ15に膨張用ガスを供給する2つのインフレーター8(8L,8R)と、エアバッグ15及び各インフレーター8(8L,8R)を収納保持する収納部位としてのケース12と、エアバッグ15及び各インフレーター8(8L,8R)をケース12に取り付けるための2つのリテーナ9(9L,9R)と、折り畳まれたエアバッグ15の上方を覆うエアバッグカバー6と、を備えている。
エアバッグカバー6は、合成樹脂製のインパネ1と一体的に形成されて、エアバッグ15の展開膨張時に、前後2枚の扉部6a,6bを、エアバッグ15に押されて開くように、構成されている。また、エアバッグカバー6における扉部6a,6bの周囲には、ケース12に連結される連結壁部6cが、形成されている。
2つのインフレーター8L,8Rは、実施形態の場合、図5に示すように、エアバッグ15の後述する取付側部21の流入側膨張部22の左右両端側となる位置に配置されるように、左右方向側で並設されている。この2つのインフレーター8L,8Rは、実施形態の場合、同一出力のディスクタイプとして、外形形状を同一としたものを使用されている。各インフレーター8L,8Rは、図1,11,12に示すように、複数のガス吐出口8bを有した略円柱状の本体部8aと、インフレーター8をケース12に取り付けるためのフランジ部8cと、を備えている。各インフレーター8(8L,8R)は、実施形態の場合、車両Vの前面衝突と、斜め衝突と、オフセット衝突と、の際に、作動するように構成されている。
ケース12は、折り畳まれたエアバッグ15を収納可能に、助手席PSから運転席DSにかけての前方側の領域にわたって、配設されている(図2参照)。詳細には、ケース12は、左右方向側の幅寸法を、車両Vにおける左側の運転席DSの左縁から右側の助手席PSの右縁までの領域よりも、小さく設定されて、左右方向に略沿って配置される長尺状として、構成されている。ケース12は、上端側に開口を有した板金製の長尺の略直方体形状に形成されて、図1に示すように、各インフレーター8を下方から挿入させて取り付ける長尺状の底壁部12aと、底壁部12aの外周縁から上方に延びてエアバッグカバー6の連結壁部6cを係止する周壁部12bと、を備えて構成されている。エアバッグ15とインフレーター8(8L,8R)とは、エアバッグ15内に配置される各リテーナ9(9L,9R)の各ボルト9aを取付手段として、エアバッグ15における後述する取付用開口24L,24Rの周縁、ケース12の底壁部12a、及び、インフレーター8(8L,8R)のフランジ部8cを、貫通させて、ナット10止めすることにより、ケース12の底壁部12aに取り付けられている(図1参照)。なお、ケース12の底壁部12aには、車両Vのボディ側に連結される図示しないブラケットが、配設されている。
エアバッグ15は、可撓性を有したシート体から形成される袋状とされるもので、図3〜5に示すように、上下方向側から見た状態の膨張完了形状を略長方形状とし、かつ、膨張完了時の後端側の領域を、後方にかけて上下に幅広として構成されている。エアバッグ15は、膨張完了時の前端15a側を、ケース12側に取り付けられて、インフレーター8から吐出される膨張用ガスを内部に流入させて、ケース12から後上方に向かって突出しつつ展開膨張し、膨張完了時に、図2の二点鎖線に示すように、助手席PSから運転席DSにかけての前方の領域を覆うように配置される構成である。
エアバッグ15は、図3〜8に示すように、膨張完了形状を、前側の領域を略長方形板状とし、後側の領域を、後端15b側にかけて上下に幅広とされるとともに左右方向に略沿って延びる略三角柱状として、構成されるもので、膨張完了時にウィンドシールド4側に配置される上壁部16と、インパネ1側に配置される下壁部17と、乗員(運転者MD,助手席搭載者MP)側に配置される後壁部18と、を備えている。また、エアバッグ15は、ケース12側に配置される取付側部21と、膨張完了時に取付側部21の後部から少なくとも上方(実施形態の場合、上下)に延びて乗員(運転者MD,助手席搭載者MP)の前方に配置される乗員保護部35と、を備えている。
取付側部21は、膨張完了時の前側の領域から構成されるもので、膨張完了時の前端15a側に配置されてケース12側に取り付けられる流入側膨張部22と、乗員保護部35と連通されて流入側膨張部22内に流入した膨張用ガスを乗員保護部35側に流す連通路部27と、を備えている。流入側膨張部22は、エアバッグ15の前端15a側において、左右方向に略沿って連続的に形成されるもので、膨張完了時の外形形状を、軸方向を左右方向に略沿わせて配置される略棒状として、構成されている(図3,5参照)。この流入側膨張部22は、膨張完了時の左右方向側の幅寸法を、膨張完了時の乗員保護部35の左右方向側の幅寸法よりもわずかに狭幅として、構成されている。この流入側膨張部22は、左端22a側と右端22b側とをケース12に取り付けられるもので、左端22a側と右端22b側とにおける下面側(下壁部17側)に、内部に膨張用ガスを流入可能に略円形に開口して、周縁を、リテーナ9(9L,9R)を利用してケース12の底壁部12aに取り付けられる取付用開口24(24L,24R)を、配設させている(図5〜7参照)。取付用開口24(24L,24R)は、インフレーター8(8L,8R)の本体部8aを挿通可能に形成されるもので、周縁に、リテーナ9(9L,9R)のボルト9aを挿通可能な複数(4個)の取付孔25を、配設させている。連通路部27(27L,27R,27C)は、流入側膨張部22の左右両端側と左右の中央側との3箇所から、それぞれ、後方に延びるように形成されて、流入側膨張部22と乗員保護部35とを連通するように、配置されている。
乗員保護部35は、膨張完了時に、助手席PSの前方から運転席DSの前方にかけての領域に配置されるもので、実施形態の場合、内部に膨張用ガスを流入させて膨張する膨張領域を、左右方向側で連ならせるように、構成されている。具体的には、乗員保護部35は、膨張完了時に左側となる運転席DSの前方に配置されて運転者MDを保護可能に膨張する運転席用受止膨張部36と、膨張完了時に右側となる助手席PSの前方に配置されて助手席搭載者MPを保護可能に膨張する助手席用受止膨張部38と、運転席用受止膨張部36と助手席用受止膨張部38とを連通させるように膨張する連通部42と、を備えている。
運転席用受止膨張部36は、前側に配置される後述する開口部46に、運転席DSの前方に配置されるステアリングホイールWを挿通させることにより、膨張完了時に、ステアリングホイールWの上面(後面)を略全面にわたって覆うように配置される構成である(図11参照)。助手席用受止膨張部38は、膨張完了時に、前下面側をインパネ1に接近させるようにして、助手席PSの前方に配置される構成である(図12参照)。また、助手席用受止膨張部38は、図1,12に示すように、ウィンドシールド4との間に隙間を設けるようにして(ウィンドシールド4と接触されない状態で)、膨張する構成とされている。これらの運転席用受止膨張部36と助手席用受止膨張部38とは、図5〜7,11,12に示すように、膨張完了時に、後面36a,38a(後壁部18)を略面一として、上下方向に略沿わせるようにして、配置されることとなる。また、助手席用受止膨張部38は、膨張完了時の前後方向側の幅寸法を、膨張完了時に、インパネ1から突出しているステアリングホイールWを覆うように配置される運転席用受止膨張部36よりも大きく設定されて(図6,7,11,12参照)、膨張完了時の前下面側をインパネ1に接近させるように配置される構成である。さらに、助手席用受止膨張部38における上面38b側(エアバッグ15を構成する外周壁としての上壁部16)には、図7,12に示すように、膨張完了時に、屈曲して配置される屈曲部位39が、形成されている。この屈曲部位39は、図7に示すように、上壁部16に、内部側から部分的につまむようなタック16aを設けるようにして、形成されるもので、実施形態の場合、後述する右側結合部位47よりも後方であって、左側結合部位45の後縁47bと、前後の位置を略一致させるような位置に、左右方向に略沿うようにして、形成されている。この屈曲部位39を構成するタック16aは、左右方向側の幅寸法(長さ寸法)を、右側結合部位47の左右方向側の幅寸法と略一致させて構成され、左右の全域にわたって、連続的に、形成されている。また、助手席用受止膨張部38は、膨張完了形状を、前端38c側の領域(屈曲部位39までの領域)を薄肉として、屈曲部位39から上下に拡開するようにして、後面38a側にかけて上下に幅広とするように、構成されている。なお、屈曲部位39を構成するタック16aは、助手席用受止膨張部38の左右両縁側を除いて、形成されているが(図5参照)、助手席用受止膨張部38の左縁38d,右縁38e側の部位(連通路部27C,27Rと助手席用受止膨張部38との境界部位、すなわち、後述する排出孔29C,29Rの配置領域)も、タック16aの影響を受けて、膨張完了時に、屈曲して配設されることとなる(図8参照)。そして、実施形態のエアバッグ15では、助手席用受止膨張部38は、膨張完了時に、後面側によって助手席搭載者MPを受け止めると、助手席搭載者MPによって前方に向かって押圧されて、屈曲部位39を起点として、上面38b(前面)における右縁側と左縁側とを、前側に配置される連通路部27C,27Rに接触させるように、変形することとなる(図12,13参照)。
また、実施形態の乗員保護部35では、図4,5,8に示すように、運転席用受止膨張部36と助手席用受止膨張部38との間の領域(連通部42の領域)の上縁側と下縁側とをそれぞれ凹ませて構成されている。このような上側凹部40,下側凹部41は、車室内におけるインパネ1周囲の領域に配置される突出物を、迂回するために配設されるものであり、例えば、図示しないルーフから下方に突出する図示しないルーフミラーや、インパネ1から後方に突出する図示しないシフトレバー等の部材を迂回するものである。そして、実施形態の乗員保護部35では、連通部42は、上側凹部40と下側凹部41とを上下に配置させる構成であり、膨張完了時の後面42aを、運転席用受止膨張部36及び助手席用受止膨張部38の後面36a,38aよりも、前側に位置させるように構成されている(図5,8参照)。
実施形態のエアバッグ15では、図3〜6,9に示すように、運転席用受止膨張部36の前方となる位置であって、運転席用受止膨張部36と流入側膨張部22との間に、上壁部16と下壁部17とを、結合(縫着)させて形成される左側結合部位45が、形成されている。この左側結合部位45は、エアバッグ15の左縁15cとの間に隙間を設けるようにして形成されるもので、外形形状を、前後方向側の幅寸法を僅かに大きく設定されるとともに、角部を面取りされた略長方形状とされている。この左側結合部位45で囲まれた領域には、上壁部16と下壁部17とを切り抜くようにして、開口部46が、上下方向側で貫通して形成されている。この開口部46は、図9,11に示すように、運転席DSの前方に配設されるステアリングホイールWのリング部Rを挿通可能に、略長方形状に開口して、形成されている。この開口部46は、実施形態の場合、ステアリングホイールWのリング部Rにおける上端側の部位を挿通可能に、左右方向側の開口幅寸法を、ステアリングホイールWにおけるリング部Rの外径寸法よりも小さく設定されている。
また、助手席用受止膨張部38の前方となる位置であって、助手席用受止膨張部38と流入側膨張部22との間にも、図3〜5,7,9に示すように、上壁部16と下壁部17とを、結合(縫着)させて形成される右側結合部位47が、形成されている。右側結合部位47は、エアバッグ15の左右の中央よりも右側となる領域において、エアバッグ15の右縁15dとの間に隙間を設けるようにして形成されるもので、外形形状を、左右方向側の幅寸法を大きく設定されるとともに、角部を面取りされた略長方形状とされている。この右側結合部位47は、左右方向側の幅寸法を、左側結合部位45よりも大きくして、前後方向側の幅寸法を、左側結合部位45よりも小さく設定されている。そして、左側結合部位45と右側結合部位47とは、前縁45a,47aを左右方向側で一致させるように配置されており、右側結合部位47の後縁47bは、上述したごとく、左側結合部位45の後縁45bよりも前方となる位置に、配置されている。さらに、右側結合部位47の後方には、左側結合部位45の後縁45bと略一致した位置に、屈曲部位39を構成するタック16aが、上壁部16をつまんで結合(縫着)させるようにして形成されている。
そして、実施形態のエアバッグ15では、図9に示すように、エアバッグ15における左縁15cと左側結合部位45の左縁45cとの間の領域、右縁15dと右側結合部位の右縁45dとの間の領域、左側結合部位45の右縁45dと右側結合部位47の左縁47cとの間の領域が、それぞれ、連通路部27L,27R,27Cを、構成している。各連通路部27L,27R,27Cは、左右方向の幅寸法を略一致させて構成されて、膨張完了形状を、前後方向に略沿った棒状として構成され、前端27b側を流入側膨張部22に連通され、後端27c側を運転席用受止膨張部36若しくは助手席用受止膨張部38と連通されている。すなわち、実施形態のエアバッグ15では、助手席用受止膨張部38と運転席用受止膨張部36とは、左右両端側から、内部に膨張用ガスを流入させるように、構成されている。
また、実施形態のエアバッグ15では、各連通路部27L,27R,27Cの後端27c側における上面27a側に、内部に流入した膨張用ガスを排出可能な排出孔29(29L,29R,29C)が、上壁部16(外周壁)を切り抜くようにして、形成されている。すなわち、各排出孔29L,29R,29Cは、上壁部16において、取付側部21の上面と乗員保護部35との境界部位付近であって、具体的には、運転席用受止膨張部36と助手席用受止膨張部38との左右両端側(左右の中央付近に配置されるものは共用)に、配設されている(図3〜5,8参照)。各排出孔29L,29R,29Cは、実施形態の場合、外形形状を、前後方向側の幅寸法を大きくした長穴状として、図3,8に示すように、上述した屈曲部位39を跨ぐように、配設されている。そして、助手席用受止膨張部38の左右両側に配置される排出孔29C,29Rは、助手席搭載者MP受止時における助手席用受止膨張部38の変形時に、開口面積を減少させるように、構成されている。詳細には、助手席用受止膨張部38は、助手席搭載者MPの受止時に、屈曲部位39を起点として、上面38bにおける右縁側と左縁側とを、連通路部27C,27Rに接触させるように、変形する構成であり、このとき、排出孔29C,29Rは、周縁部位30を、屈曲部位39を起点として二つ折りされるような態様となる(図13参照)。すなわち、エアバッグ15は、屈曲部位39の屈曲角度を小さくして、上壁部16(外周壁)における屈曲部位39近傍の領域(周縁部位30)により、排出孔29C,29Rを覆うこととなり、排出孔29C,29Rが、閉塞されることとなる。
エアバッグ15は、所定形状の基布の周縁相互を結合させて袋状に構成されるもので、実施形態の場合、図10に示すように、膨張完了時に上側に配置されて上壁部16を構成する上パネル52と、膨張完了時に下側に配置される下壁部17を構成する下パネル53と、膨張完了時に後側に配置されて後壁部18を構成する後パネル54と、を備える構成とされている。
上パネル52と下パネル53とは、外形形状を略同一の略長方形状として構成されている。上パネル52には、開口部46と上側凹部40と排出孔29とをそれぞれ構成する切欠部(図符号省略)が、形成され、下パネル53には、開口部46と取付用開口24と取付孔25と下側凹部41とをそれぞれ構成する切欠部(図符号省略)が、形成されている。後パネル54は、外形形状を略長方形状とされており、実施形態の場合、左右方向側で3分割されている。後パネル54は、左右両端側に配置される左側部位55及び右側部位56と、左側部位55と右側部位56との間に配置される中央側部位57と、の隣り合う縁部相互を縫着(結合)させることにより、構成されている。実施形態のエアバッグ15を構成する上パネル52,下パネル53,後パネル54は、それぞれ、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布から形成されるもので、詳細な説明を省略するが、対応する縁部相互を、縫合糸を用いて縫着(結合)させることににより、袋状のエアバッグ15を構成している。
次に、実施形態の乗員保護装置Mの車両Vへの搭載について、説明をする。内部に各リテーナ9を挿入させた状態で、エアバッグ15を、ケース12内に収納可能に折り畳み、折り畳んだエアバッグ15を、ケース12の底壁部12aに載置させるようにして、ケース12内に収納させる。各インフレーター8の本体部8aを、底壁部12aの下方からケース12内に収納させるとともに、底壁部12aから下方に突出している各リテーナ9のボルト9aを、インフレーター8のフランジ部8cに挿通させて、ナット10止めすれば、折り畳んだエアバッグ15とインフレーター8とをケース12に取り付けることができる。そして、車両Vに搭載されたインパネ1におけるエアバッグカバー6の連結壁部6cに、ケース12の周壁部12bを係止させ、ケース12の図示しないブラケットを、車両Vのボディ側に固定させれば、乗員保護装置Mを車両Vに搭載することができる。
実施形態の乗員保護装置Mでは、車両Vに搭載した状態で、車両Vの前面衝突時、斜め衝突時、若しくはオフセット衝突時に、インフレーター8(8L,8R)のガス吐出口から膨張用ガスが吐出されれば、エアバッグ15が、内部に膨張用ガスを流入させて膨張し、エアバッグカバー6の扉部6a,6bを押し開かせることとなる。そして、エアバッグ15は、エアバッグカバー6の扉部6a,6bを押し開いて形成される開口を経て、ケース12から上方へ突出するとともに、車両後方側に向かって突出しつつ展開膨張して、図1,2の二点鎖線及び図11,12に示すように、インパネ1の上面2を覆いつつ、助手席PSから運転席DSにかけての前方の領域を覆うように、膨張を完了させることとなる。
そして、実施形態の乗員保護装置Mに使用されるエアバッグ15では、上壁部16を切り抜いて形成される排出孔29(29L,29R,29C)から、内部の膨張用ガスを排出させる構成であるものの、この排出孔29C,29Rは、助手席PSに着座している乗員としての助手席搭載者MPの受止時におけるエアバッグ15(助手席用受止膨張部38)の変形時に、周囲の周縁部材によって開口面積を減少されて、膨張用ガスの排出量を減少させる構成であることから、構成を簡便として、助手席搭載者MP受止時に、膨張用ガスの排出を的確に低減させることができ、助手席搭載者MPを円滑に保護することができる。
したがって、実施形態のエアバッグ15では、内部に流入した膨張ガスの排出を的確に制御することができる。
また、実施形態のエアバッグ15では、周縁部材を、エアバッグ15を構成する外周壁としての上壁部16自体、具体的には、排出孔29の周縁部位30から構成していることから、排出孔29を、上壁部16自体(周縁部位30)によって安定して覆うことが可能となり、膨張用ガスの排出量を安定させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、排出孔を、乗員受止時に、周縁の車体側部材(周縁部材)によって塞がれるように、エアバッグの所定位置に配設させる構成としてもよい。
具体的には、実施形態では、エアバッグ15は、前席(運転席DS,助手席PS)に着座した運転者MDと助手席搭載者MPとを保護可能に、運転席DS,助手席PSの前方に折り畳まれて収納されて、膨張完了時に、運転者MD及び助手席搭載者MPの前方を覆うように膨張する構成であり、収納部位としてのケース12側に配置される取付側部21と、取付側部21から上下に延びて運転者MD,助手席搭載者MPの前方に配置される乗員保護部35と、を備える構成とされている。そして、取付側部21の上面(上壁部16)と乗員保護部35との境界部位付近を、膨張完了時に、屈曲して配置される構成とし、排出孔29を、取付側部21の上面と乗員保護部35との境界部位であって、この上壁部16において屈曲の起点を構成している屈曲部位39の近傍に、形成している。そして、エアバッグ15は、助手席用受止膨張部38による助手席搭載者MPの受止時に、屈曲部位39の屈曲角度を小さくして、外周壁としての上壁部16における屈曲部位39近傍の領域により、排出孔29C,29Rを覆うように変形させる構成である。そのため、乗員保護部35(助手席用受止膨張部38)が上半身を前傾させつつ前進移動してくる助手席搭載者MPを受け止めた際に、取付側部21の連通路部27C,27Rに対して屈曲されることとなって、連通路部27C,27Rと乗員保護部35(助手席用受止膨張部38)との境界部位に配設される排出孔29C,29Rが、上壁部16によって少なくとも一部を閉塞されることから、助手席用受止膨張部38による助手席搭載者MPの受け止め時に、確実に、排出孔29C,29Rからの膨張用ガスの排出を抑制できる。その結果、上半身を前傾させつつ前進移動する助手席搭載者MPを、膨張用ガスの排出を抑制された助手席用受止膨張部38によって、的確に保護することができる。具体的には、実施形態のエアバッグ15では、助手席用受止膨張部38による助手席搭載者MPの受止時には、図12に示すように、助手席用受止膨張部38の上端側の前方への変位により、助手席用受止膨張部38は、左縁38d側と右縁38e側とを、それぞれ、連通路部27C,27Rの上面27aに接触させるように変形することとなり、助手席用受止膨張部38の左右両側に配置される排出孔29C,29Rは、周縁部位30を二つ折りされるような態様となって、周縁部位30自体によって塞がれることとなる(図13参照)。そのため、排出孔29C,29Rからのさらなる膨張用ガスの排出を規制されることとなり、また、助手席用受止膨張部38は、左縁38d側と右縁38e側とを、連通路部27C,27Rに支持されることから、膨張完了時に、ウィンドシールド4との間に隙間を有し、ウィンドシールド4によって支持されない構成であっても、助手席用受止膨張部38によって、前進移動する助手席搭載者MPを、安定して保護することができる。なお、運転席用受止膨張部36は、ステアリングホイールWを全面にわたって覆うように膨張する構成であり、運転者MDの受止時には、前面側をステアリングホイールW(リング部R)によって支持されることから、変形せず、運転席用受止膨張部36の左縁36b側に配置されている排出孔29Lに関しては、運転者MD受止後にも、開口面積を減少させることはない。
なお、実施形態のエアバッグ15では、各排出孔29は、屈曲部位39を跨ぐように、取付側部21と乗員保護部35との境界部位に形成されて、助手席用受止膨張部38の変形時(屈曲部位39のさらなる屈曲時)に、排出孔29の周縁部位30相互を接触させることにより、排出孔29を閉塞させる構成であるが、排出孔の配置位置は、実施形態に限られるものではない。屈曲部位のさらなる屈曲時に、開口面積を減少させるように、上壁部自体によって覆い可能であれば、図13の括弧内に示すように、排出孔29´を、屈曲部位39´を跨がないように、屈曲部位39´の近傍(取付側部と乗員保護部との境界部位近傍)に配設させる構成としてもよい。
また、実施形態では、運転席に着座した運転者と助手席に着座した助手席搭載者(乗員)とを保護可能なエアバッグを例に採り、説明したが、本発明を適用可能なエアバッグは、実施形態に限られるものではない。例えば、助手席に着座した乗員を保護可能な助手席用のエアバッグ等にも、本発明は適用可能である。
1…インストルメントパネル(インパネ)、6…エアバッグカバー、8(8L,8R)…インフレーター、12…ケース(収納部位)、15…エアバッグ、16…上壁部(外周壁)、21…取付側部、27(27L,27R,27C)…連通路部、29(29L,29R,29C)…排出孔、30…周縁部位、35…乗員保護部、36…運転席用受止膨張部、38…助手席用受止膨張部、39…屈曲部位、MP…助手席搭載者、MD…運転者、W…ステアリングホイール、PS…助手席(前席)、DS…運転席(前席)、V…車両、M…乗員保護装置。

Claims (4)

  1. 可撓性を有した袋状とされるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて、乗員を保護可能に膨張するエアバッグであって、
    内部の膨張用ガスを排出可能に、外周壁を切り抜いて形成される排出孔を、備え、
    該排出孔が、前記乗員受止時における前記エアバッグの変形時に、前記排出孔の周囲の周縁部材によって開口面積を減少させるように、構成されていることを特徴とするエアバッグ。
  2. 前記周縁部材が、前記エアバッグの外周壁自体から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ。
  3. 前記外周壁が、膨張完了時に、屈曲して配置される屈曲部位を、備える構成とされ、
    前記排出孔が、前記屈曲部位に、若しくは、前記屈曲部位の近傍に、形成されて、
    前記エアバッグが、前記乗員の受止時に、前記屈曲部位の屈曲角度を小さくして、前記外周壁における前記屈曲部位近傍の領域により、前記排出孔を覆うように変形することを特徴とする請求項2に記載のエアバッグ。
  4. 前記エアバッグが、前席に着座した乗員を保護可能に、前記前席の前方に折り畳まれて収納されて、膨張完了時に、前記乗員の前方を覆うように膨張する構成とされるとともに、収納部位側に配置される取付側部と、該取付側部の後部から少なくとも上方に延びて前記乗員の前方に配置される乗員保護部と、を備える構成とされ、
    前記排出孔が、前記取付側部の上面と前記乗員保護部との境界部位に、若しくは、前記境界部位付近に、配設されていることを特徴とする請求項3に記載のエアバッグ。
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