JP7222949B2 - コンクリート構造物の構築方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、手間と工数を削減することができるコンクリート構造物の構築方法を提供することである。
本発明に係るコンクリート構造物(10a,10b,10c,10d)の構築方法は、
コンクリート構造物(10a,10b,10c,10d)の構築現場の土砂(30)を掘削することによって下穴(31)を前記構築現場に形成する下穴掘削工程と、
前記下穴掘削工程の後に、前記下穴(31)にコンクリート(19)の粗骨材(17)を投入する粗骨材投入工程と、
前記粗骨材投入工程の後に、前記下穴(31)の底面からさらに深さ方向に前記構築現場の土砂(30)を掘削するとともに、セメントミルク(18)を注入しながら掘削した前記構築現場の前記土砂(30)と投入された前記粗骨材(17)と注入された前記セメントミルク(18)とを攪拌することによって前記構築現場の地中にコンクリート(19)を造成する掘削・攪拌工程と、
を有する。
前記下穴掘削工程と、前記掘削・攪拌工程とによって前記地中部(11c)を構築するとともに、
前記掘削・攪拌工程において造成された前記コンクリート(19)が硬化する前に、前記地上部(PCコンクリート板(12c))の外部に突出している前記鉄筋(151c)を前記掘削・攪拌工程において造成された前記コンクリート(19)に埋設する地上部構築工程をさらに有する、という構成であってもよい。
前記下穴掘削工程と、前記掘削・攪拌工程とによって前記地中部(11d)を構築するとともに、
前記掘削・攪拌工程において造成された前記コンクリート(19)の上側に別のコンクリート(20)を造成可能な型枠(32)を設置し、設置した前記型枠(32)に別のコンクリート(20)を造成することにより、前記別のコンクリート(20)によって前記地上部(12d)を構築する地上部構築工程をさらに有する、という構成であってもよい。
第一実施形態に係る構築方法は、コンクリート構造物10aとして構築現場の地中に埋設されるコンクリート基礎を構築する形態である。図1は、第一実施形態に係る構築方法を示す模式図である。第一実施形態に係る構築方法は、配合割合決定工程と、下穴掘削工程と、粗骨材投入工程と、掘削・攪拌工程とを有する。
本実施形態に係る構築方法では、コンクリート構造物10a(コンクリート基礎)を構成するコンクリート19の骨材として、砂に代えて構築現場の土砂30(以下、「現場土砂」と記す)を使用する。現場土砂30の成分は場所によって異なることから、コンクリート19の骨材として現場土砂30を使用すると、構築現場ごとにコンクリート構造物10aの強度が相違することがある。そして、現場土砂30の成分によっては、構築されたコンクリート構造物10aの実際の強度が要求強度(呼び強度)を充足しないおそれがある。そこで、本実施形態に係る構築方法では、あらかじめ現場土砂30を採取し、採取した現場土砂30を骨材として使用したコンクリート19のテストピースを製作し、製作したテストピースの強度試験を行う。なお、テストピースの製作に用いる現場土砂30は、コンクリート構造物10aを構築する場所、すなわち、下穴掘削工程において下穴31を掘削する箇所の土砂、または、掘削・攪拌工程においてさらに深さ方向に掘削する箇所の土砂(またはその直近の位置の土砂)であることが好ましい。また、コンクリート構造物10aを構築する範囲(掘削する範囲)の複数の箇所において現場土砂30を採取し、複数の箇所から採取した現場土砂30のそれぞれについてコンクリート19のテストピースを製作して強度試験を行ってもよい。このような箇所で採取された現場土砂30を用いると、テストピースの強度と実際に構築されるコンクリート構造物10aの強度の差をなくすことまたは小さくすることができる。そして、強度試験の結果に基づいて、現場土砂30を使用した場合に呼び強度以上の強度が得られるコンクリート19の配合割合(セメントと水と現場土砂30と粗骨材17(砂利)の容積の割合)を決定する。これにより、構築されるコンクリート構造物10aの要求強度を確保できる。
図1(a)はこの下穴掘削工程で掘削される下穴31を模式的に示す。図1(a)に示すように、下穴掘削工程においては、コンクリート構造物10aの構築現場に下穴31を掘削する。掘削する下穴31の上面視における幅Wkおよび長さLkは、後述する掘削・攪拌工程において掘削する幅Wおよび長さLよりも大きくする。掘削する下穴31の深さD1は、掘削・攪拌工程において注入するセメントミルク18が溢れない深さであり、セメントミルク18および粗骨材17が溢れない深さ(掘削した下穴31の空間容積が粗骨材17として混合される砂利およびセメントミルク18の合計の容積以上の容積になる深さ)またはそれよりも深く、構築するコンクリート構造物10aの高さHよりも浅い。例えば、配合割合決定工程にて決定された粗骨材17の配合割合(容積比)がコンクリート1m3に対して0.4m3である場合には、下穴31の深さD1は、「(コンクリート構造物10aの高さH)×(粗骨材17の配合割合0.4)」であるかそれよりも深く、(コンクリート構造物10aの高さH(図1(c)参照))よりも浅い。
図1(b)は粗骨材投入工程を示す。粗骨材投入工程では、図1(b)に示すように、掘削した下穴31に粗骨材17である砂利を投入する。なお、下穴31の内部容積を粗骨材17として混合される砂利およびセメントミルク18の合計の容積以上とすることで、粗骨材17を下穴31から溢れることなく投入することができる。この粗骨材投入工程で投入する砂利の容積は、構築するコンクリート構造物10aの容積と、配合割合決定工程において決定した粗骨材17の配合割合に応じて決定される。より具体的には、
(投入する粗骨材17の容積)=(構築するコンクリート構造物10aの容積)×(配合割合決定工程において決定した粗骨材17の配合割合(容積比率))
とする。また、粗骨材17は、下穴31の全長にわたって均等に投入する。すなわち、下穴31の単位長さ当たりの粗骨材17の投入容積を、下穴31の全長にわたって均等にする。
図1(c)は、掘削・攪拌工程を示す。掘削・攪拌工程では、図1(c)に示すように、下穴31の底面からさらに深く掘削しながら(深さ方向に追加掘削しながら)セメントミルク18(セメントと水の混合物)を注入するとともに、粗骨材投入工程において投入された粗骨材17と、この掘削・攪拌工程において掘削された現場土砂30と、この掘削・攪拌工程において注入されたセメントミルク18とを攪拌する。
(掘削・攪拌工程で掘削する現場土砂30の容積)=(構築するコンクリート構造物10aの容積)×(配合割合決定工程において決定した現場土砂30の配合割合(容積比率))
となる深さとする。なお、下穴掘削工程で掘削された下穴31の深さD1と掘削・攪拌工程における掘削深さ(追加掘削の深さ)D2の合計深さは、構築されるコンクリート構造物10aの高さHよりも深くする。掘削・攪拌工程において注入するセメントミルク18のセメントと水の配合割合は、配合割合決定工程において決定したセメントと水の配合割合と同じとする。さらに、掘削・攪拌工程で注入するセメントミルク18の量は、構築するコンクリート構造物10aの容積に応じて設定される。具体的には、「(構築するコンクリート構造物10aの容積)×(配合割合決定工程において決定したセメントの配合割合(容積比率))」で計算される量のセメントと、「(構築するコンクリート構造物10aの容積)×(配合割合決定工程において決定した水の配合割合(容積比率))」で計算される量の水とを混合して得られる量のセメントミルク18を注入する。
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態は、内部に鉄筋部材14bを有し、地下に埋設されるコンクリート構造物10bを構築する形態である。鉄筋部材14bを有するコンクリート構造物10bは、例えば地上建築物のための地下基礎構造物(コンクリート基礎)として使用される。第二実施形態に係る構築方法は、配合割合決定工程と、下穴掘削工程と、粗骨材投入工程と、掘削・攪拌工程と、鉄筋部材設置工程とを含む。そして、配合割合決定工程、下穴掘削工程、粗骨材投入工程、および掘削・攪拌工程によってコンクリート19を造成し、鉄筋部材設置工程によって造成したコンクリート19の内部に鉄筋部材14bを埋設する。
図3(a)は、掘削・攪拌工程の後の状態を示す模式図であり、図3(b)は、鉄筋部材設置工程の後の状態を示す模式図である。図3(a)に示すように、掘削・攪拌工程を経て現場土砂30の中(地中)にコンクリート19が造成される。そして、鉄筋部材設置工程では、造成されたコンクリート19が硬化する前に、コンクリート19の内部に鉄筋部材14bを埋設する。図3(a)(b)においては、鉄筋部材14bが格子状に接合された複数の鉄筋により形成されるメッシュパネル状の部材である例を示す。その後、造成したコンクリート19を養生することにより、鉄筋部材14bがコンクリート19の内部に埋設されているコンクリート構造物10bが構築される。
次に、第三実施形態について説明する。第三実施形態は、地中部11cと地上部12cとを有するコンクリート構造物10cを構築する形態である。このようなコンクリート構造物10cは、例えばコンクリート塀(立壁)や土留め壁に使用できる。第三実施形態に係る構築方法は、地中部11cを構築する配合割合決定工程、下穴掘削工程、粗骨材投入工程、および掘削・攪拌工程と、地上部12cを構築する地上部構築工程とを含む。なお、地中部11cを構築する各工程は第一実施形態と同じであるため、説明を省略する。
図4(a)(b)は地上部構築工程を示す模式図である。コンクリート構造物10cの地上部12cは、コンクリート構造物10cの地中部11cとは別体の部材であり、図4(a)に示すように一部が外部に突出する鉄筋151cを有している。コンクリート構造物10cの地上部12cには、例えば、PCコンクリート板15cが適用される。この場合、PCコンクリート板15cの鉄筋151cの一部がPCコンクリート板15cを構成するコンクリートの外部に突出している。
次に、第四実施形態について説明する。第四実施形態は、第三実施形態と同様に、構築現場の地中に位置する地中部11dと地上に位置する地上部12dとを有するコンクリート構造物10dを構築する形態である。第四実施形態に係る構築方法により構築されるコンクリート構造物10dも、第三実施形態と同様に、コンクリート塀(立壁)や土留め壁などに使用できる。第四実施形態に係る構築方法は、コンクリート構造物10dの地中部11dを構築するための配合割合決定工程、下穴掘削工程、粗骨材投入工程、および掘削・攪拌工程と、地上部12dを構築するための地上部構築工程を有する。地上部構築工程には、鉄筋部材設置工程、地上部型枠設置工程、地上部コンクリート造成工程、および地上部型枠撤去工程が含まれる。図5(a)は鉄筋部材設置工程を示し、図5(b)は地上部型枠設置工程を示し、図6(a)は地上部コンクリート造成工程を示し、図6(b)は地上部型枠撤去工程を示す。なお、地中部11dを構築する各工程および構築される地中部11dの構成は第一実施形態~第三実施形態と同じであるため、説明を省略する。
図5(a)に示すように、掘削・攪拌工程を経て現場土砂30の中(地中)にコンクリート19が造成される。そして、鉄筋部材設置工程では、造成されたコンクリート19が硬化する前に、鉄筋部材14dの下部をコンクリート19の内部に埋設し、鉄筋部材14dの上部をコンクリート19の上部から突出させる。図5(a)においては、鉄筋部材14dが格子状に接合された複数の鉄筋により形成されるメッシュパネル状の部材である例を示す。その後、造成したコンクリート19を養生することにより、鉄筋部材14bの下部がコンクリート19の内部に埋設されているコンクリート構造物10bが構築される。
本実施形態では、地上部12dは構築現場において造成されるコンクリートにより構成される。そして、図5(b)および図6(a)に示すように、地上部12dの構築には型枠32を使用する。
Claims (6)
- コンクリート構造物の構築現場の土砂を掘削することによって下穴を前記構築現場に形成する下穴掘削工程と、
前記下穴掘削工程の後に、前記下穴にコンクリートの粗骨材を投入する粗骨材投入工程と、
前記粗骨材投入工程の後に、前記下穴の底面からさらに深さ方向に前記構築現場の土砂を掘削するとともに、セメントミルクを注入しながら掘削した前記構築現場の前記土砂と投入された前記粗骨材と注入された前記セメントミルクとを攪拌することによって前記構築現場の地中にコンクリートを造成する掘削・攪拌工程と、
を有する、コンクリート構造物の構築方法。 - 請求項1に記載のコンクリート構造物の構築方法であって、
前記構築現場の前記土砂を採取し、セメントと水と採取した前記土砂と前記粗骨材を混合してコンクリートのテストピースを製作し、所望の呼び強度を有する前記テストピースが得られた前記セメントと前記水と前記構築現場の土砂と前記粗骨材との配合割合を、前記構築現場の前記地中に造成する前記コンクリートの前記セメントと前記水と前記構築現場の前記土砂と前記粗骨材との配合割合として決定する配合割合決定工程をさらに有する、コンクリート構造物の構築方法。 - 請求項1または請求項2に記載のコンクリート構造物の構築方法であって、
前記掘削・攪拌工程においては、掘削チェーンおよび前記掘削チェーンにより掘削している位置に前記セメントミルクを注入する注入管を有する施工機を用いて、前記下穴の底面からさらに深さ方向に前記構築現場の前記土砂を掘削するとともに、前記セメントミルクを注入しながら掘削された前記構築現場の前記土砂と投入された前記粗骨材と注入された前記セメントミルクとを攪拌する、コンクリート構造物の構築方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の構築方法であって、
前記掘削・攪拌工程において造成された前記コンクリートが硬化する前に、造成された前記コンクリートに鉄筋部材を埋設する鉄筋部材設置工程をさらに有する、コンクリート構造物の構築方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の構築方法であって、
前記コンクリート構造物は、前記構築現場の前記地中に位置する地中部と、前記構築現場の地上に位置する地上部とを有し、前記地上部は外部に突出する鉄筋を有する部材からなる構造物であり、
前記下穴掘削工程と、前記掘削・攪拌工程とによって前記地中部を構築するとともに、
前記掘削・攪拌工程において造成された前記コンクリートが硬化する前に、前記地上部の外部に突出している前記鉄筋を前記掘削・攪拌工程において造成された前記コンクリートに埋設する地上部構築工程をさらに有する、コンクリート構造物の構築方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の構築方法であって、
前記コンクリート構造物は、前記構築現場の前記地中に位置する地中部と、前記構築現場の地上に位置する地上部とを有する構造物であり、
前記下穴掘削工程と、前記掘削・攪拌工程とによって前記地中部を構築するとともに、
前記掘削・攪拌工程において造成された前記コンクリートの上側に別のコンクリートを造成可能な型枠を設置し、設置した前記型枠に別のコンクリートを造成することにより、前記別のコンクリートによって前記地上部を構築する地上部構築工程をさらに有する、コンクリート構造物の構築方法。
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