JP2013129956A - 基礎構造及び基礎の構築方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】地盤が液状化した場合であっても建物全体の傾きを抑制することができる基礎構造及び基礎の構築方法を提供する。
【解決手段】基礎構造は、建物本体2と連結される基礎本体3と、基礎本体3から地盤G内に延びる地中壁4と、基礎本体3と地盤Gとの間に設けられる透水層5と、を備え、基礎本体3は、建物本体2の外周に沿って設けられる基礎立上り31と、基礎立上り31の下端部と一体に連結される基礎底版32と、を有し、地中壁4は、互いに交差する水平二方向のうち第一方向に沿った第一壁部41と、第二方向に沿った第二壁部42と、を有し、第一及び第二の壁部41,42で形成される水平断面が開断面とされ、透水層5は、基礎底版32の下面に沿って設けられる第一透水層51と、基礎立上り31の外側面に沿って設けられる第二透水層32と、を有し、第一及び第二の透水層51,52がそれぞれ複数の土嚢材5Aを積層して構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、基礎構造及び基礎の構築方法に係り、特に、建物の上部構造と連結される基礎本体と、該基礎本体から下方の地盤内に延びて設けられる地中壁と、を備えた基礎構造、その基礎構造に係る基礎の構築方法に関するものである。
従来、建物として比較的小規模な戸建住宅の基礎としては、べた基礎や布基礎、独立基礎など、地盤上に直接載置される直接基礎が一般的であった。このような直接基礎の場合、その載置される地盤が軟弱地盤であったり地震時に液状化を起こす可能性がある地盤であったりすると、地盤そのものが支持力を失い、基礎及び建物が傾斜してしまうことがある。このように基礎を含めた建物全体が傾斜してしまうと、その補修が大掛かりになって補修費用も多大となるため、軟弱地盤や液状化地盤にも対応可能な基礎構造が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1に記載の基礎構造は、建物(構造物)の底版から地盤中に貫入させた支持体(杭部)と、この支持体に設けられた浮力体と、支持体に連結されて支持層に設けられたアンカー体と、を備える。この基礎構造は、地盤が液状化して支持力が低下し、過剰間隙水圧により地下水が上昇した場合でも、この地下水による浮力を浮力体に作用させて支持力を得るとともに、アンカー体によって建物の傾きを防止しようとする技術である。
特許文献2に記載の基礎構造は、建物を支持する基礎と、この基礎の側面を囲んで地盤に貫入された矢板と、基礎の下側かつ矢板で囲まれた領域に設けられる軽量材と、を備える。この基礎構造は、地盤が液状化して支持力が低下した場合に、基礎と矢板を一体的に挙動させることで、基礎及び建物の傾きを抑制し、地下水が上昇した場合にも、軽量材を介して地下水の浮力を基礎に作用させることで、支持力を確保しようとする技術である。
特開平6−240694号公報 特開2008−101379号公報
しかしながら、特許文献1に記載された基礎構造のように、地盤中に浮力体とアンカー体とを構築するためには、その施工が非常に大掛かりになってしまい、コスト増加が避けられず、比較的小規模な戸建住宅への適用が困難である。また、特許文献2に記載された基礎構造のように、基礎を矢板で囲むとともに、その囲まれた領域に軽量材を設けると、地下水が常に滞留することとなって、滞留した地下水が腐敗あるいは劣化することがある。また、地盤が液状化した際の地下水の浮力や、地下水と砂質土とが混濁した流動体の浮力は、力学的に安定したものではないため、浮力体や基礎底面に作用する浮力が一定せず、かつ建物の平面的な位置によっても浮力が異なるために、建物全体の傾きを効果的に抑制することが困難である。
したがって、本発明は、地盤が液状化した場合であっても建物全体の傾きを抑制することができる基礎構造及び基礎の構築方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の基礎構造は、建物の上部構造と連結される基礎本体と、該基礎本体から下方の地盤内に延びて設けられる地中壁と、を備えた基礎構造であって、前記基礎本体は、前記上部構造の外周に沿って設けられる基礎立上りと、該基礎立上りの下端部と一体に連結される基礎底版と、を有し、該基礎本体と地盤との間に透水層が設けられ、前記地中壁は、互いに交差する水平二方向のうち第一方向に沿った第一壁部と、第二方向に沿った第二壁部と、を有し、該第一及び第二の壁部で形成される水平断面が開断面とされ、前記透水層は、前記基礎底版の下面に沿って設けられる第一透水層と、前記基礎立上りの外側面に沿って設けられる第二透水層と、を有し、該第一及び第二の透水層がそれぞれ複数の土嚢材を積層して構成され、前記土嚢材は、透水性を有した所定寸法の袋に粒状物を詰めて構成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の基礎構造は、請求項1に記載された基礎構造において、前記地中壁が鉄筋コンクリート壁か又はソイルセメント壁からなり、該地中壁の水平断面が前記水平二方向に沿った鉛直面に対して面対称に形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の基礎構造は、請求項1又は2に記載された基礎構造において、前記上部構造と、前記基礎本体と、前記地中壁と、の重量比が1:1:1.5〜2.0程度に設定されていることを特徴とする。
請求項4に記載の基礎構造は、請求項1〜3のいずれか一項に記載された基礎構造において、前記透水層が前記地中壁の側面と地盤との間に設けられるとともに前記土嚢材を積層した第三透水層を有し、該第三透水層が前記第一透水層に接続されていることを特徴とする。
請求項5に記載の基礎の構築方法は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基礎構造に係る基礎の構築方法であって、前記地中壁の寸法に応じて地盤を掘削し、該地中壁を構築するとともに、該地中壁と前記基礎本体とを連結する連結材を設け、前記基礎本体の基礎底版が構築される領域の地盤上に前記複数の土嚢材を積層して前記第一透水層を形成し、前記第一透水層の上側に前記基礎底版を構築するとともに、該基礎底版と一体に前記基礎立上りを形成しかつ前記連結材を連結して前記基礎本体を構築し、前記基礎立上りの外側面に沿って前記複数の土嚢材を積層して前記第二透水層を形成することを特徴とする。
請求項6に記載の基礎の構築方法は、請求項5に記載の基礎の構築方法において、前記地中壁を構築した後に、該地中壁の側面と前記掘削した地盤との間に前記複数の土嚢材を積層して第三透水層を形成することを特徴とする。
請求項1に記載された発明によれば、基礎本体から地盤内に延びる地中壁を設けたことで、地震時に地盤が液状化した場合であって、地震力によって建物が揺れた場合でも、地震後に、地中壁の重量がカウンターウェイトとして作用することで、建物全体の傾きを抑制することができる。また、地中壁の水平断面が開断面に形成されていることで、地中壁と液状化した地盤とが一体的に挙動せず、即ち、流動化した地盤に対して地中壁が抵抗板(制動板)となり、建物の揺れを抑制する制震効果を期待することもできる。さらに、地中壁が開断面であることから、地下水が滞留することがなく、その腐敗や劣化を防止することができる。
さらに、複数の土嚢材を積層して第一及び第二の透水層を構成したことで、地震時の地盤の液状化によって過剰間隙水圧が発生して地下水位が上昇した場合でも、この地下水を透水層から地上へ排水することができる。従って、地下水による過大な浮力が基礎底版に作用することを防止して、不均一な浮力による建物の傾きを抑制することができる。また、透水性を有した袋に粒状物を詰めて土嚢材が構成され、このような土嚢材を複数積層して第一及び第二の透水層が構成されているので、土嚢材同士の隙間が土砂で埋まったとしても、土嚢材の袋及び内部の粒状物による透水性が確保でき、地下水をより確実に排水することができる。なお、土嚢材としては、袋に詰める粒状物としては、土や砂、砕石等に限らず、ガラス片や樹脂片等であってもよく、化学変化や継時変化が少ない素材であって耐荷重性に優れたものが好ましい。
請求項2に記載された発明によれば、地中壁が鉄筋コンクリート壁やソイルセメント壁から形成され、その水平断面が二つの鉛直面に対して面対称に形成されていることで、流動化した地盤に対する制動板として地中壁が作用する際に、その制動力を建物全体の平面方向にバランスよく発揮させることができる。ここで、水平二方向に沿った鉛直面に対して面対称に形成された地中壁の断面形状としては、十字形や、X字形、H字形、王字形などが例示できる。また、例えば、卍字形のように、十字形に交差した第一及び第二の壁部の先端部や中間部から突出したリブ状の部分を有した形態であって、二つの鉛直面に対して完全に面対称ではない水平断面であっても、地中壁の主要部分である第一及び第二の壁部で構成される水平断面が面対称に形成されていればよい。
請求項3に記載された発明によれば、上部構造と基礎本体と地中壁との重量比を1:1:1.5〜2.0程度に設定することで、建物全体を低重心化することができ、地震時における建物の揺れを低減させるとともに、建物全体の傾きをより効果的に抑制することができる。なお、重量比としては、多少の誤差を含んでいてもよいことは当然であり、前記比率の±20%の誤差は本発明の範囲内であり、該比率の±10%以内に設定されていることが好ましい。
請求項4に記載された発明によれば、地中壁の側面と地盤との間に第三透水層を設け、この第三透水層を第一透水層に接続したことで、地中壁の側面位置における地下水を第三透水層、第一透水層及び第二透水層を通して地上へ確実に排水することができる。従って、基礎底版に過剰かつ不均一な浮力を作用させることなく、建物の傾きをよく確実に抑制することができる。
請求項5に記載された発明によれば、地中壁を構築してから第一透水層を形成し、その後に基礎底版及び基礎立上りを形成してから記第二透水層を形成することで、地中壁と基礎本体を連結材で確実に連結して一体化することができるとともに、第一及び第二の透水層における土嚢材の積層作業を容易かつ確実に実施することができ、施工性を向上させることができる。
請求項6に記載された発明によれば、地中壁の構築後に第三透水層を形成する際に、地中壁の側面と掘削した地盤との間に地表から土嚢材を投入して積層するような施工手順を採用することができ、重機等を用いなくても第三透水層を容易に形成することができる。従って、地盤を広い範囲で掘削しなくても第三透水層が形成できるので、地中壁の周囲の限られた範囲を掘削すればよいことから、排土量が低減できて施工手間及び施工コストの削減を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る建物の基礎構造を示す斜視図である。 前記建物の下部を示す縦断面図である。 前記建物の基礎部分を下方から見上げた横断面図である。 前記建物の基礎を構築する構築手順を示す斜視図である。 図4に続く前記基礎の構築手順を示す斜視図である。 図5に続く前記基礎の構築手順を示す斜視図である。 図6に続く前記基礎の構築手順を示す斜視図である。 図7に続く前記基礎の構築手順を示す斜視図である。 図8に続く前記基礎の構築手順を示す斜視図である。 前記基礎構造の変形例を示す縦断面図である。 (A)〜(C)は、前記基礎構造の他の変形例を示す横断面図である。
以下、本発明の一実施形態にかかる基礎構造を、図1〜図3に基づいて説明する。本実施形態に係る基礎構造は、建物1の上部構造としての建物本体2を支持するものであって、建物1は、戸建住宅やアパート等に利用されるものである。建物本体2は、木造や軽量鉄骨造などの比較的小規模かつ軽量な2〜3階建てであって、図3に示すように、水平二方向であるX,Y方向に沿った矩形状かつ整形な平面形状を有している。ここで、図3に一点鎖線で示す矩形領域L1は、建物1を構築するための敷地内における施工エリアを示し、ニ点鎖線で示す矩形領域L2は、建物本体2の平面形状を示している。また、建物1は、地盤G上に構築され、この地盤Gを地表GLから鉛直方向であるZ方向下方に掘削して、後述する基礎本体3、地中壁4及び透水層5が構築される。
基礎本体3は、建物本体2の外周に沿って設けられる基礎立上り31と、この基礎立上り31の下端部と一体に連結されて水平面内に延びる基礎底版32と、この基礎底版32の上方に対向して基礎立上り31に連結される基礎スラブ33と、を有して構成されている。基礎底版32と基礎スラブ33との間には、設備配管等を配設するための基礎ピットが形成され、基礎ピット内の適宜な位置に基礎底版32と基礎スラブ33とを連結する基礎梁34が設けられている。このような基礎本体3の根入れ深さ、即ち地表GLから基礎底版32の下面までの距離は、例えば、800mm〜1m程度に設定されている。また、基礎立上り31及び基礎底版32の厚さ寸法は、例えば、200mm程度であり、基礎スラブ33の厚さ寸法は、例えば、120mm〜150mm程度に設定されている。基礎立上り31は、地表GLから上方に500mm〜800mm程度突出して設けられ、その上端に建物本体2の土台がアンカーボルト及び接合金物を介して連結されている。なお、基礎本体3の根入れ深さ(地表GLから基礎底版32の下面までの距離)は、液状化時に生じる地下水の水圧によって基礎底版32の下面に作用する浮力とともに、後述するように、建物本体2と基礎本体3と地中壁4との重量比を考慮し、浮力が大きくなることが予測される場合には、根入れ深さを浅くし、浮力が小さい場合には、根入れ深さを深くするなど、適宜に設定することが可能である。
地中壁4は、鉄筋コンクリート製の壁であり、基礎底版32の下面から下方の地盤G中に延びるとともに、基礎本体3に連結されている。具体的には、後述する連結材としての鉄筋R(図6参照)が地中壁4の内部から上方に延びて設けられ、この鉄筋Rが基礎底版32及び基礎梁34の内部に定着されている。なお、地中壁4は、鉄筋コンクリート製に限らず、オーガー等の掘削撹拌機を用いて地盤Gの土とセメントとを撹拌、混合して構築されるソイルセメント壁(SMW)であってもよい。地中壁4がSMWの場合にも、SMW内部と基礎本体3内部とに亘って鉄筋やアンカー等の連結材を設けることで、地中壁4と基礎本体3とが連結できる。この地中壁4は、X方向(第一方向)に沿った第一壁部41と、Y方向(第二方向)に沿った第二壁部42と、を有して平面略十字形に形成され、即ち、地中壁4の水平断面形状は、その側方の地盤Gに対して開放された開断面とされている。さらに、地中壁4は、水平二方向(X方向及びY方向)に沿った鉛直面であるX−Z平面及びY−Z平面の各々に対し、面対称の水平断面を有して形成されている。
第一壁部41及び第二壁部42は、それぞれ200mm程度の壁厚と、基礎底版32から壁の下端縁まで4m〜8m深さ寸法とを有して形成されている。第一壁部41は、建物本体2のX方向長さと略同一の水平長さ寸法を有し、第二壁部42は、建物本体2のY方向長さと略同一の水平長さ寸法を有して形成されている。このような第一壁部41及び第二壁部42を含んだ地中壁4全体の重量は、建物本体2の重量の1.5倍〜2.0倍程度であり、かつ、基礎本体3の重量の1.5倍〜2.0倍程度に設定されている。即ち、上部構造である建物本体2と、基礎本体3と、地中壁4と、の重量比が1:1:1.5〜2.0程度となるように、地中壁4の壁厚、深さ寸法及び水平長さ寸法が設定されている。なお、地中壁4がソイルセメント壁の場合には、壁厚が400mm〜600mm程度となり、比重も鉄筋コンクリート製の壁とは異なることから、深さ寸法や水平長さ寸法を適宜に調整して重量を設定すればよい。
透水層5は、複数の土嚢材5Aを積層して構成されるものであって、土嚢材5Aとしては、例えば、ポリエチレン製等の透水性を有した織布で構成された袋にガラス片やガラス粒等の粒状物を詰めたものが利用できる。このような土嚢材5Aとしては、その寸法が400mmx400mmx100mm程度であり、その重量が5kg〜10kg程度のものであれば、搬送や積層に係る作業性の面で好適である。また、土嚢材5Aは、袋及び粒状物の両方が水を通すことから土嚢材5A自体が透水性を有するとともに、積層した土嚢材5A同士に適度な隙間が形成されることから、この隙間によっても透水性が得られるようになっている。
このような透水層5は、基礎本体2と地盤Gとの間に設けられ、具体的には、基礎底版32の下面に沿って設けられる第一透水層51と、基礎立上り31の外側面に沿って設けられる第二透水層52と、を有して構成されている。第一透水層51は、建物本体2の平面形状に応じた矩形領域L2の範囲、又は地盤Gを掘削する施工エリアである矩形領域L1の範囲に設けられ、当該範囲のうち地中壁4を除いた部分に隙間なく並べるとともに積層した土嚢材5Aによって構成されている。第二透水層52は、矩形領域L1から矩形領域L2を除いた範囲、即ち基礎本体3の外周に沿った環状の範囲において、第一透水層51に連続する深さから地表GL近傍まで積層した土嚢材5Aによって構成されている。
以上のような基礎構造の施工手順について図4〜図9も参照して説明する。先ず、図4に示すように、敷地内の施工エリアである矩形領域L1において、地中壁4の形状に応じて地盤Gを平面十字形に掘削し、掘削溝Dを形成する。この掘削は、例えば、小型のバックホー等の重機を用いて行い、場合によっては、人手によって掘削してもよい。次に、掘削溝D内部に、図5に示すように、型枠Kを建て込むとともに、型枠Kの内部に鉄筋を配筋してからコンクリートを打設する。このようにして構築した鉄筋コンクリート製の地中壁4は、図6に示すように、水平断面が十字形の一体構造を有した立体壁となる。また、地中壁4の上端には、連結材としての鉄筋Rを上方に突出させておき、この鉄筋Rを介して地中壁4と基礎本体3とが連結される。
次に、図7に示すように、矩形領域L1の範囲に土嚢材5Aを並べて積層し、第一透水層51を形成する。この積層作業は、人手によって行ってもよいし、適宜な装置あるいは重機を用いて行ってもよい。次に、図8に示すように、第一透水層51の上側に基礎本体2を構築する。この際、基礎底版32の構築方法としては、第一透水層51の上側に直接コンクリートを打設してもよいし、第一透水層51の上側に砕石や軽量骨材等を敷き並べた上にコンクリートを打設してもよい。また、地中壁4から突出させておいた鉄筋Rを基礎底版32及び基礎梁34のコンクリート内部に定着させることで、地中壁4と基礎本体3とを一体化する。次に、図9に示すように、矩形領域L1内部における基礎本体3の基礎立上り31の外側面に沿って、第一透水層51の上側に土嚢材5Aを積層して第二透水層52を形成する。以上のようにして基礎構造の構築が完了したら、基礎立上り31及び基礎梁34の上に建物本体2を構築して建物1を完成させる。
本実施形態によれば、基礎本体3と一体的に地中壁4が形成されているので、地震時に地盤Gが液状化して支持力が低下した場合であっても、地中壁4がカウンターウェイトとして作用するとともに、流動化した地盤Gに対して地中壁4が制動板として作用することから、建物1の揺れが抑制されるとともに、地震後に建物1が初期状態に復帰して全体の傾きが抑制できる。また、地中壁4が開断面に形成され、地中壁4によって地盤Gが囲まれていないので、建物1下方の地盤G中に地下水が滞留することがなく、地下水の腐敗や劣化を防止することができる。さらに、基礎本体3と地盤Gとの間に透水層5が設けられているので、液状化によって発生した地下水を透水層5から地上へ排水することができ、地下水による過大な浮力が基礎底版32に作用することを防止して、不均一な浮力による建物1の傾きを抑制することができる。また、透水性を有した袋に粒状物を詰めた土嚢材5Aを積層して透水層5が構成されているので、土嚢材5A同士の隙間及び土嚢材5A自体の透水性によって地下水をより確実に排水することができる。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、前記実施形態では、透水層5が第一透水層51と第二透水層52とで構成されていたが、図10に示すように、第一透水層51及び第二透水層52に加えて透水層5が第三透水層53を備えていてもよい。この第三透水層53は、地中壁4の側面と地盤Gとの間に土嚢材5Aを積層して構成されるものであり、その上部が第一透水層51に接続されている。従って、地盤Gの深い位置で発生した地下水も第三透水層53から上方に透水され、第一透水層51及び第二透水層52を介して地上に排水することができる。このような第三透水層53は、前述したように地中壁4を構築した後に、この地中壁4に沿って地表GLから掘削溝D内部に土嚢材5Aを投入することによって形成される。なお、第三透水層53は、地中壁4の深さ方向全長に沿って設けられるものに限らず、第一透水層51から所定の深さまで設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、地中壁4を矩形状の建物1の水平二方向であるX方向及びY方向に沿った第一壁部41及び第二壁部42で構成したが、地中壁4は、図11に示すような断面形状を有していてもよい。具体的には、図11(A)に示すように、地中壁4の第一壁部41及び第二壁部42が建物の平面形状である矩形領域L2の対角線に沿って設けられ、地中壁4が水平断面X字形に形成されていてもよい。また、図11(B)に示すように、建物の平面形状が細長い場合には、十字形の地中壁4における第一壁部41の端部に連続して第二壁部42と平行な第三壁部43を設けることで、地中壁4が水平断面王字形に形成されていてもよい。また、図11(B)に示す地中壁4から第二壁部42を省略することで、地中壁4が水平断面H字形又はI字形に形成されていてもよい。さらに、図11(C)に示すように、平面形状がL字形等の異形建物の場合には、第一壁部44及び第二壁部45を建物平面内の適宜な位置に設けてもよく、この場合には、水平二方向に沿った鉛直面に対して面対称の水平断面を有さずに地中壁4が形成されていてもよい。このような面対称ではない水平断面としては、例えば、L字形やT字形、コ字形などの形態が例示できる。さらに、地中壁は、第一壁部と第二壁部とが交差して一体的に形成されたものに限らず、それぞれ個別に配置されたものであってもよい。また、上部構造の平面形状が異形であったり、部分的に上部構造の階数が異なったり、部分的に地下やピットなどが形成されたりするような場合、あるいは上部構造における構造要素(柱・梁や壁)の配置の偏るような場合には、上部構造の重心と剛心とが基礎位置において偏心することがある。このような場合には、上部構造と地中壁とで互いの重心及び剛心を合致させるために、地中壁の水平断面形状を適宜に設定したり、第一方向と第二方向の長さ寸法を適宜に調整したりすることができる。
1 建物
2 建物本体(上部構造)
3 基礎本体
4 地中壁
5 透水層
5A 土嚢材
31 基礎立上り
32 基礎底版
41 第一壁部
42 第二壁部
51 第一透水層
52 第二透水層
53 第三透水層

Claims (6)

  1. 建物の上部構造と連結される基礎本体と、該基礎本体から下方の地盤内に延びて設けられる地中壁と、を備えた基礎構造であって、
    前記基礎本体は、前記上部構造の外周に沿って設けられる基礎立上りと、該基礎立上りの下端部と一体に連結される基礎底版と、を有し、該基礎本体と地盤との間に透水層が設けられ、
    前記地中壁は、互いに交差する水平二方向のうち第一方向に沿った第一壁部と、第二方向に沿った第二壁部と、を有し、該第一及び第二の壁部で形成される水平断面が開断面とされ、
    前記透水層は、前記基礎底版の下面に沿って設けられる第一透水層と、前記基礎立上りの外側面に沿って設けられる第二透水層と、を有し、該第一及び第二の透水層がそれぞれ複数の土嚢材を積層して構成され、
    前記土嚢材は、透水性を有した所定寸法の袋に粒状物を詰めて構成されていることを特徴とする基礎構造。
  2. 前記地中壁が鉄筋コンクリート壁か又はソイルセメント壁からなり、該地中壁の水平断面が前記水平二方向に沿った鉛直面に対して面対称に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の基礎構造。
  3. 前記上部構造と、前記基礎本体と、前記地中壁と、の重量比が1:1:1.5〜2.0程度に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の基礎構造。
  4. 前記透水層が前記地中壁の側面と地盤との間に設けられるとともに前記土嚢材を積層した第三透水層を有し、該第三透水層が前記第一透水層に接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の基礎構造。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の基礎構造に係る基礎の構築方法であって、
    前記地中壁の寸法に応じて地盤を掘削し、該地中壁を構築するとともに、該地中壁と前記基礎本体とを連結する連結材を設け、
    前記基礎本体の基礎底版が構築される領域の地盤上に前記複数の土嚢材を積層して前記第一透水層を形成し、
    前記第一透水層の上側に前記基礎底版を構築するとともに、該基礎底版と一体に前記基礎立上りを形成しかつ前記連結材を連結して前記基礎本体を構築し、
    前記基礎立上りの外側面に沿って前記複数の土嚢材を積層して前記第二透水層を形成することを特徴とする基礎の構築方法。
  6. 前記地中壁を構築した後に、該地中壁の側面と前記掘削した地盤との間に前記複数の土嚢材を積層して第三透水層を形成することを特徴とする請求項5に記載の基礎の構築方法。
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