JP7221829B2 - 状態監視システムおよび方法 - Google Patents
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Description
図1~図13等を用いて、本発明の実施の形態1の状態監視システムについて説明する。実施の形態1の状態監視システムは、回転機械の特にメカニカルシールの状態を監視し、異常予兆等を検知し、対処を行うシステムである。実施の形態1の状態監視方法は、実施の形態1の状態監視システムにおいて実行されるステップを有する方法である。実施の形態1の状態監視システムは、回転機械の稼動に伴い、リアルタイムでの状態監視を行い、メカニカルシールの異常予兆の状態を検知した時には、アラート出力や動作制御等の出力制御を行う。これにより、メカニカルシールが破壊等の深刻な異常に達する前に、異常予兆として検知し、破壊等を防止でき、保守等の対処が可能である。実施の形態1では、メカニカルシールを持つ回転機械の例としてポンプの例で説明するが、他の回転機械にも適用可能である。
従来では、金属やセラミック等の材料中に存在するき裂が進展すると、AE信号の周波数が低くなることが知られており、その低い周波数帯域に着目する前述のような判定方式が用いられていた。それに対し、本発明者は、実験や検討の結果、メカニカルシールが正常な状態から異常な状態へと変化する際、言い換えるとその変化中に異常予兆を示す際に、AE信号における高い周波数帯域(例えば0.5MHz以上)の周波数スペクトルが増加する現象を確認した。
図1は、実施の形態1の状態監視システムの構成を示す。この状態監視システムは、大別して、回転機械1と状態監視装置10とを有し、それらが電気的な回路や通信を介して接続されている。この状態監視システムは、回転機械1、状態監視装置10、プリアンプ70、信号処理回路(信号処理装置)71、オシロスコープ72、回転動力源31、および回転機械制御装置30等を有する。状態監視に係わるユーザは、状態監視装置10を操作する。
図2は、回転機械1の構成例における容器2の回転軸3での断面(X-Z面に対応する)の模式図を示す。この構成例は、容器2に1段のメカニカルシール4を持つ回転機械1の場合である。また、図2では、容器2に対するAEセンサ5の設置位置例も示す。実施の形態1では、位置Z1にAEセンサ5が設置されている。他の実施の形態では、位置Z2にAEセンサ5が設置される。
図4は、図2の構成例に対応したAE波の伝播経路の概要を示す。ここでは主な伝播経路として2つの伝播経路を示す。(A)は、第1伝播経路として、主に固体部21を経由する経路であり、図2中の伝播経路P1と対応している。(B)は、第2伝播経路として、固体部21と液体部22とを経由する経路であり、図2中の伝播経路P2と対応している。回転機械1の稼動時に、音源であるメカニカルシール4から、摺動に伴ってAE波が発生する。(A)の伝播経路は、メカニカルシール4から、容器2の固体部21を経由し、外面のカプラント8を介して、AEセンサ5の受波面に至る経路である。(B)の伝播経路は、メカニカルシール4から、容器2の液体部22を経由し、固体部21に至り、固体部21から外面のカプラント8を介して、AEセンサ5の受波面に至る経路である。なお、(C)のように、より詳細な伝播経路では、カプラント8とAEセンサ5との間に、治具6やAEセンサユニット50のホルダー501(図5、特にフランジ部502)等が介在する。
AE波の伝播経路における音圧反射率や透過損失について補足説明する。超音波であるAE波は、音響インピーダンスが異なる領域の境界において、入射波の一部が反射し、透過するAE波は減衰する。音響インピーダンスは、次の式1で表される。
式1: Z=ρ・C
式2: Rp=(Z2-Z1)/(Z1+Z2)
式3: TL=10log10(1/TI)
図5は、容器2の外壁に取り付けられるAEセンサユニット50および治具6の構成例を示す。図5は、断面(X-Z面に対応する)の模式図を示す。容器2の外壁の側面2Sは凸型の曲面となっている。AEセンサ5は、ホルダー(言い換えるとカバー)501内に収容されることで、AEセンサユニット50として構成されている。ホルダー501および治具6は、容器2の面に対するAEセンサ5の安定的な固定のための機構を有する。
図6は、プリアンプ70、信号処理装置71、オシロスコープ72、および状態監視装置10等の回路構成例を示す。なお、図6の回路構成例に限らず適用可能である。この回路構成例は、大別して、AEセンサ5からのAE信号を取得して好適な信号に整える信号取得部600と、信号取得部600で取得した信号についての解析や判定や出力制御等の処理を行う状態監視装置10とを有する。信号取得部600は、プリアンプ70、信号処理装置71、およびオシロスコープ72を含む。信号処理装置71は、バンドパスフィルタ(BPF)71Aとメインアンプ71Bとを含む。オシロスコープ72は、アナログデジタル変換器(ADC)72A、表示器72B、および記憶部72Cを含む。状態監視装置10は、信号演算部601としての周波数解析部10Aと、状態判定部10Bと、出力制御部10Cと、正常信号記憶部10Dと、条件設定部10Eとを含む。状態監視装置10の各部は、図1の構成に基づいて例えばプロセッサ101によるプログラム処理で実現されてもよいし、各部の機能を実装した回路で実現されてもよい。
図7は、AE波の信号形状の例を示す。(A),(B)は、図3のようなメカニカルシール4の摺動によって発生するAE波の代表的な信号形状例を示す。(A)は正常状態時のAE波の例である。このAE波は、連続型AE波と呼ばれる形状を持つ。メカニカルシール4の摺動時には、常にこのような連続型AE波のAE信号が励振されている。このような連続型AE波は、時間相関がとれない。そのため、従来技術例として、複数のAEセンサを空間的に離れた位置に設置し、それらのAEセンサにAE波が到達する時間差から音源の位置標定を行うこと等は難しい。
図8は、異常発生時に正常状態から異常予兆状態を経由して異常状態へ変化する際のAE信号のAE波の時間-周波数応答であるスペクトログラムの例を示す。グラフの横軸が時間、縦軸が周波数[MHz]である。各点のAE信号強度[dB]をカラーマップのグレースケールで表す。本例では、-50dBから-35dBまでの強度範囲とし、-50dBを黒、-35dBを白とした。このAE信号データは、サンプリング周波数を5MHzとして測定したデータである。そのため、グラフの周波数の範囲は0から2.5MHzまでの範囲となっている。
図9は、図8の時刻TAおよび時刻TBにおける周波数特性である周波数スペクトルを示す。太線で示す特性1001は、時刻TAの正常状態時の周波数スペクトルであり、図8中の時刻TAの破線の断面に対応する。細線で示す特性1002は、時刻TBの異常予兆状態時の周波数スペクトルであり、時刻TBの破線の断面に対応する。グラフの横軸が周波数[MHz]であり、ここでは0.5MHzから2.5MHzまでの範囲を示した。縦軸がAE信号強度[dB]を示す。
図10は、状態判定部10Bによる状態判定例を模式的に示す。(A)は第1例である。状態判定部10Bは、周波数範囲H1全体の信号成分に着目し、監視対象信号SIG1の特性1102の周波数範囲H1全体の信号成分が、正常信号SIG2の特性1101の周波数範囲H1全体の信号成分に対し、所定の率(例えば率R1)以上で増加している場合、異常予兆状態と判定する。この率は、増加の割合や大きさを判断するための閾値である。状態判定部10Bは、例えば、監視対象信号SIG1の特性1102と、正常信号SIG2の特性1101との比較で、周波数範囲H1全体の信号成分についての差分(例えば周波数区間毎の差分の総和)を算出する。状態判定部10Bは、その差分が、所定の大きさ以上である場合、異常予兆状態と判定する。
図11は、変形例として、周波数範囲H1の設定に関する他の例を示す。この変形例では、周波数範囲H1は、1MHz以上の範囲とし、例えば1MHz以上で2.0MHz以下の範囲とする。(A)は、図8とは別例のAE信号のスペクトログラムを示す。周波数範囲H1bとして1MHz以上で2MHz以下の範囲を示す。(B)は、(A)に対応する周波数スペクトルを示す。例えば0.3MHz程度以下の低周波数帯域では、回転軸3に係わる振動成分等のノイズが乗っている。0.7MHz以上では、信号強度が大きい。特に、1MHz以上、2MHz以下の範囲では、信号強度が大きい。このような周波数範囲H1bの設定の場合でも、異常予兆を検知できる。
図12は、補足として、メカニカルシール4等の摺動面に関する正常および異常の状態や一般的な摩擦等の力学について示す。摺動面は、第1固体と第2固体との面間に潤滑剤等の液体膜を有する。摺動面における間隔をhとし、表面粗さをRとし、液体膜の粘度をηとする。摺動面に対する荷重をFNとし、速度をVとする。グラフの横軸は、(粘度η×速度V)/荷重FNとして計算される値である。縦軸は摺動面における摩擦係数であり、fとする。流体潤滑領域1201では、間隔hが表面粗さRよりもずっと大きく、正常状態(または定常状態)に対応する。境界潤滑領域1203では、間隔hが0に近付く。混合潤滑領域1202は、流体潤滑領域1201と境界潤滑領域1203との間にある領域であり、間隔hは表面粗さRに近い。混合潤滑領域1202と境界潤滑領域1203は異常状態に対応する。流体潤滑領域1201と混合潤滑領域1202では、連続の力学が作用する。混合潤滑領域1202と境界潤滑領域1203では、接触の力学が作用する。摺動面の磨耗の進行に応じて、摩擦係数fは低下し、混合潤滑領域1202に入り、さらに磨耗が進行すると、摩擦係数fが増加する。
図13は、状態監視装置10がユーザに対して提供する表示画面でのグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)の例を示す。状態監視装置10は、ユーザの操作に基づいて、表示装置105の画面に、このようなGUI情報を表示する。ユーザは、この画面で設定を確認および変更でき、出力制御部10Cのモニタ表示93等の他の画面に遷移できる。図13のGUI情報は、状態判定用の条件を設定する場合の例であり、項目として、設定名、周波数範囲H1、変化(率)、注釈等を有する。ユーザは、条件を構成する、周波数範囲H1の下限値や上限値を選択して設定できる。ユーザは、条件を構成する、正常信号SIG2に対する監視対象信号SIG1の変化の大きさに関する率[%]を選択して設定できる。ユーザは、注釈項目に、設定に関する注釈等を記載できる。ユーザは、監視対象の回転機械1やメカニカルシール4の材質等に応じて設定を変更でき、これにより、感度を調整できる。ユーザは、容器2に対しAEセンサ5を設置する位置についても変更でき、これにより、感度を調整できる。
上記のように、実施の形態1の状態監視システムおよび方法によれば、AEを用いた回転機械1の状態監視に関して、メカニカルシール4の状態変化を高い感度で検知でき、回転機械1の運用・保守を向上できる。
図14は、実施の形態1の変形例(変形例1とする)における容器2の断面等の構成例を示す。変形例1では、ステンレスで構成される容器2の外壁の外面において、AEセンサ5を設置する箇所以外の少なくとも一部の領域を、吸音材9で覆う構成とする。この構成例では、容器2の側面、上面、および下面の殆どの領域が吸音材9で覆われている。吸音材9は、反射波を吸収する。これにより、音波を吸音材9側へ逃がし、液体部22の水中への反射を小さくすることができ、界面での反射による多重反射を抑制することができる。
実施の形態1の変形例2として、以下の構成も可能である。前述の図2では、変形例2に対応するAEセンサ5の設置の位置Z2も示している。位置Z2は、容器2の側面において、メカニカルシール4からのAE波が液体部22を経由して伝播する伝播経路P2に対応した位置である。伝播経路P2は、固体と液体との界面での反射が生じるため、伝播経路P1よりも感度が下がるが、同様に適用可能である。この伝播経路P2のAEセンサ5からのAE信号についても、周波数範囲H1を用いた判定によって、異常予兆を検知可能である。
図15は、実施の形態1の変形例3における容器2の断面およびAEセンサ5の設置位置等を示す。変形例3は、容器2の外壁の上部の平面の一箇所に、AEセンサ5の受波面が設置される。伝播経路P1bは、メカニカルシール4からのAE波が主に固体部21を経由して直接波として上面まで伝播する経路である。また、このAEセンサ5の設置の位置X3は、回転軸3に係わるノイズが少なくなるように、回転軸3の位置からはやや離れた位置として外周寄りの位置としている。容器2の上面において、主に固体部21を経由する伝播経路P1bに対応させて、回転軸3に係わるノイズが比較的少ない位置X3が選択されている。
図16は、実施の形態1の変形例4におけるAEセンサ5の設置位置等を示す。変形例4は、容器2の外壁の周方向にある外周面において、2箇所以上の位置に、2個以上のAEセンサ5を設置する。本例では、容器2の外周における直径を介して対向する2箇所に、それぞれ治具6を介して、AEセンサ5a,5bが設置されている。容器2やメカニカルシール4は、軸対称形状を持つので、音源からのAE波は、外周の各位置に到達する。そのため、基本的には1個のAEセンサ5があれば、AE波を検出できる。しかしながら、場合によっては、AE波が外周の一部にしか伝播しない可能性も想定される。そこで、本例のように、外周上に複数のAEセンサ5を設置する。これにより、常時に少なくとも1つのAEセンサ5がAE波を検出できる。なお、容器2の側面に限らず、同様に、上面等において、軸対称である複数の位置を選択し、複数のAEセンサを配置してもよい。
図17は、実施の形態1の変形例5におけるAEセンサ5の設置位置等を示す。変形例5は、容器2の内部にAEセンサ5を設置する。図17では、いくつかの設置位置例を示す。設置例Aは、AEセンサ5が収容されたAEセンサユニット50を静止リング41に直接的に設置する例である。設置例Bは、固体部21のうち液体部22Aに面する位置にAEセンサユニット50を設置する例である。設置例Cや設置例Dは、固体部21内に埋め込むようにAEセンサユニット50を設置する例である。いずれの設置例も、メカニカルシール4からの直接波の伝播経路上で、空気には接しない位置として選択されている。AEセンサ5からのケーブルは、容器2内を貫通して外に出る。
図18を用いて、本発明の実施の形態2の状態監視システムについて説明する。以下では、実施の形態2等における実施の形態1とは異なる構成部分について説明する。実施の形態2の状態監視システムは、ポンプ等の回転機械において、追加して設置されるAEセンサを用いて、回転軸に係わるノイズの影響をキャンセルし、状態判定の精度を高める。
図18は、実施の形態2におけるAEセンサ5の設置位置等を示す。実施の形態2は、容器2の外面において、2個のAEセンサ5としてAEセンサ5m,5nを有する。実施の形態2では、容器2の側面の一箇所にメインのAEセンサ5mが設置され、上面の一箇所にサブのAEセンサ5が設置される。サブのAEセンサ5は、回転軸3に係わるノイズを検出して減算等によってキャンセルするために用いられる。まず、容器2の側面には、例えば実施の形態1と同様に伝播経路P1の先の位置Z1に、AEセンサ5mが設置されている。さらに、容器2の上面には、回転軸3に対して比較的近い内周寄りの位置Xnに、サブのAEセンサ5nが設置されている。この位置Xnは、メカニカルシール4からの直接波の伝播経路Pnに対応する位置のうちで、回転軸3に係わるノイズをある程度拾う位置として選択されている。メインのAEセンサ5mは、回転軸3に係わるノイズをなるべく拾わない位置として選択されている。
図19を用いて、本発明の実施の形態3の状態監視システムについて説明する。実施の形態3の状態監視システムは、ポンプ等の回転機械において複数段のメカニカルシールを持つ構成を有し、複数のAEセンサを用いて各メカニカルシールの状態を監視する。
図19は、実施の形態3における回転機械1の容器2の断面、および複数のAEセンサ5の設置位置等を示す。この容器2には、Z方向において2段のメカニカルシール4として、メカニカルシール4A,4Bを有する。Z方向の下側のメカニカルシール4Aを第1メカニカルシール(言い換えると第1段摺動部)とし、Z方向の上側のメカニカルシール4Bを第2メカニカルシール(言い換えると第2段摺動部)とする。メカニカルシール4Aは、第1静止リングである静止リング41Aと第1回転リングである回転リング42Aとの組で構成されている。メカニカルシール4Bは、第2静止リングである静止リング41Bと第2回転リングである回転リング42Bとの組で構成されている。いずれのメカニカルシール4も、材料としては、図3と同様に、カーボンとSiCの組み合わせで構成されている。
図20は、実施の形態3の変形例(変形例6とする)における構成を示す。変形例6は、容器2において2段のメカニカルシール4を持つ場合で、側面の一箇所に、1個のAEセンサ5を設置する構成である。1個のAEセンサ5の設置位置である位置ZABは、例えば、第1メカニカルシール4Aからの固体部21Aを経由する伝播経路PA1と、第2メカニカルシール4Bからの液体部22Bを経由する伝播経路PB1との両方が一箇所に到達する位置として選択されている。
図21を用いて、本発明の実施の形態4の状態監視システムについて説明する。実施の形態4の状態監視システムは、容器に1段のメカニカルシールを持つ構成の場合で、AEセンサの設置の向きを好適にして感度を高める構成を示す。
図21は、実施の形態4における構成を示す。(A)は、容器2の断面やAEセンサ5の設置位置等を示す。(B)は、(A)に対応して、容器2の側面に対するAEセンサ5および治具6の設置例の概要を示す。容器2に1段のメカニカルシール4を持つ場合で、容器2の側面の一箇所にAEセンサ5が設置されている。実施の形態4では、AEセンサ5の受波面が、メカニカルシール4からの直接波の伝播経路P1の方向に対し、垂直となるように、変換のための治具6を介して、AEセンサ5が設置されている。前述のように、高い周波数のAE波は、直進して伝播する。そのため、AEセンサ5の設置の向きは、AE波の伝播方向に向けた方が、高感度の検知ができる。すなわち、AEセンサ5の設置の向きは、受波面を、到来するAE波の伝播方向に対し垂直とする向きとする。
図22を用いて、本発明の実施の形態5の状態監視システムについて説明する。実施の形態5の状態監視システムは、回転機械において複数段のメカニカルシールを持つ構成の場合において、選択した好適な1つの位置に、治具を介して複数のAEセンサが設置される。
図22の(A)は、実施の形態5における容器2の断面等の構成を示す。(B)や(C)は変形例を示す。回転機械1は、容器2に2段のメカニカルシール4(4A,4B)を持つ場合である。本構成例では、容器2の外壁の上面における選択された好適な1つの位置X5に、変換のための治具6を介して、2個のAEセンサ5(5A,5B)が設置される。各AEセンサ5は、それぞれ対応する音源からのAE波に対して正対する向きで設置される。
Claims (15)
- メカニカルシールを持つ回転機械の状態を監視する状態監視システムであって、
前記回転機械の容器に設置されているAEセンサと、
前記AEセンサからのAE信号を取得する信号取得回路と、
前記信号取得回路で得た情報に基づいて、前記メカニカルシールに関する正常か否かを含む状態を判定し、前記状態に応じて、アラート出力または前記回転機械の動作制御を含む出力制御を行う状態監視装置と、
を備え、
前記状態監視装置は、監視対象の前記AE信号の周波数スペクトルの時間-周波数応答を、過去の正常時の信号と比較し、設定された所定の周波数範囲として0.7MHz以上の範囲に連続的に発生する信号成分の増加の判断に基づいて、前記状態を判定する、
状態監視システム。 - 請求項1記載の状態監視システムにおいて、
前記AEセンサは、前記回転機械の回転軸に対する前記容器の側面のうち、前記メカニカルシールから固体部を経由する伝播経路のうち直接波の伝播距離が最小の伝播経路に対応する位置に設置されている、
状態監視システム。 - 請求項1記載の状態監視システムにおいて、
前記AEセンサは、前記回転機械の回転軸に対する前記容器の側面のうち、前記メカニカルシールから液体部を経由する伝播経路のうち直接波の伝播距離が最小の伝播経路に対応する位置に設置されている、
状態監視システム。 - 請求項1記載の状態監視システムにおいて、
前記AEセンサは、前記回転機械の回転軸に対する前記容器の上面のうち、前記メカニカルシールから固体部を経由する伝播経路のうち直接波の伝播距離が最小の伝播経路に対応した位置に設置されている、
状態監視システム。 - 請求項1記載の状態監視システムにおいて、
前記容器の外面の少なくとも一部の領域に、前記容器内で発生する反射波の影響を抑制するための吸音材が設置されている、
状態監視システム。 - 請求項1記載の状態監視システムにおいて、
前記AEセンサは、前記容器の曲面に対し、前記曲面から平面に変換するための治具を介して設置されている、
状態監視システム。 - 請求項1記載の状態監視システムにおいて、
前記AEセンサは、前記容器の外面のうち、軸対称の複数の位置に、複数のAEセンサとして設置されている、
状態監視システム。 - 請求項1記載の状態監視システムにおいて、
前記AEセンサは、前記容器内の固体部において、空気に接していない位置のうち、前記メカニカルシールからのAE波の伝播経路上の位置に設置されている、
状態監視システム。 - 請求項1記載の状態監視システムにおいて、
前記AEセンサは、前記回転機械の回転軸に対する前記容器の側面に設置されている第1AEセンサと、前記容器の上面に設置されている第2AEセンサと、を有し、
前記信号取得回路または前記状態監視装置は、前記第1AEセンサからの第1AE信号から、前記第2AEセンサからの第2AE信号を減算し、
前記状態監視装置は、前記減算後の信号に基づいて、前記状態を判定する、
状態監視システム。 - 請求項1記載の状態監視システムにおいて、
前記回転機械は、回転軸の方向に、前記メカニカルシールとして、第1メカニカルシールおよび第2メカニカルシールを有し、
前記AEセンサは、前記第1メカニカルシールからの第1伝播経路に対応する第1位置に設置されている第1AEセンサと、前記第2メカニカルシールからの第2伝播経路に対応する第2位置に設置されている第2AEセンサと、を有し、
前記状態監視装置は、前記第1AEセンサからの第1AE信号に基づいて前記第1メカニカルシールの状態を判定し、前記第2AEセンサからの第2AE信号に基づいて前記第2メカニカルシールの状態を判定する、
状態監視システム。 - 請求項1記載の状態監視システムにおいて、
前記回転機械は、回転軸の方向に、前記メカニカルシールとして、第1メカニカルシールおよび第2メカニカルシールを有し、
前記AEセンサは、前記第1メカニカルシールからの第1伝播経路と、前記第2メカニカルシールからの第2伝播経路との両方が到達する位置に設置され、
前記状態監視装置は、前記AEセンサからのAE信号に基づいて、前記第1メカニカルシールと前記第2メカニカルシールとを1つにまとめた単位で、前記状態を判定する、
状態監視システム。 - 請求項1記載の状態監視システムにおいて、
前記AEセンサは、前記容器の外面に対し、前記メカニカルシールからの伝播経路の方向に対して前記AEセンサの受波面が垂直になるように変換するための治具を介して設置されている、
状態監視システム。 - 請求項1記載の状態監視システムにおいて、
前記回転機械は、回転軸の方向に、前記メカニカルシールとして、第1メカニカルシールおよび第2メカニカルシールを有し、
前記AEセンサは、前記容器の外面において、前記第1メカニカルシールからの第1伝播経路の反射波と、前記第2メカニカルシールからの第2伝播経路の直接波との両方が到達する位置に、治具を介して設置されている第1AEセンサおよび第2AEセンサを有し、
前記第1AEセンサは、前記反射波の方向に対して受波面が垂直になるように前記治具を介して設置され、かつ、前記第2AEセンサは、前記直接波の方向に対して受波面が垂直になるように前記治具を介して設置され、
前記状態監視装置は、前記第1AEセンサからの第1AE信号に基づいて、前記第1メカニカルシールの状態を判定し、前記第2AEセンサからの第2AE信号に基づいて、前記第2メカニカルシールの状態を判定する、
状態監視システム。 - 請求項1記載の状態監視システムにおいて、
前記状態監視装置は、前記動作制御として、前記回転機械の回転軸の動作を停止する制御、または、前記回転軸の速度を減速する制御、または、前記回転機械の減圧装置の制御を行う、
状態監視システム。 - メカニカルシールを持つ回転機械の状態を監視する状態監視システムにおける状態監視方法であって、
前記状態監視システムは、
前記回転機械の容器に設置されているAEセンサと、
前記AEセンサからのAE信号を取得する信号取得回路と、
前記信号取得回路で得た情報に基づいて、前記メカニカルシールに関する正常か否かを含む状態を判定し、前記状態に応じて、アラート出力または前記回転機械の動作制御を含む出力制御を行う状態監視装置と、
を備え、
前記状態監視装置が、監視対象の前記AE信号の周波数スペクトルの時間-周波数応答を、過去の正常時の信号と比較し、設定された所定の周波数範囲として0.7MHz以上の範囲に連続的に発生する信号成分の増加の判断に基づいて、前記状態を判定するステップを有する、
状態監視方法。
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