JP7220312B1 - 既存建物の解体方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1の飛散防止装置は、建物の梁に支持されて建物の側面に沿って建物の上端よりも上方に突出するように配置される4体のネット保持部と、建物の上端よりも上方の位置において4体のネット保持部に保持され、建物の上面を覆う防護ネットと、を備えている。4体のネット保持部は、互いに独立して建物に対して鉛直方向に移動可能である。
特許文献2の瓦礫飛散防止構造は、建物の最上階の床材および階下の床材に固定されて最上階の床材よりも上方へ延在する支柱と、この支柱の上端に取り付けられて建物を覆う飛散防止用ネットと、を備えている。
第1の発明の飛散防止システム(例えば、後述の飛散防止ステム1)は、既存建物(例えば、後述の既存建物2)の解体時の破砕物の飛散を防止する飛散防止システムであって、前記既存建物の互いに向かい合わせとなる二側面に仮固定された第1支柱(例えば、後述の第1支柱20A)および第2支柱(例えば、後述の第2支柱20B)と、前記第1支柱と前記第2支柱との間に張られたワイヤ(例えば、後述のワイヤ21)と、前記ワイヤに支持される飛散防止ネット(例えば、後述の飛散防止ネット22)と、前記第1支柱または前記第2支柱に取り付けられて前記ワイヤに張力を導入する張力導入装置(例えば、後述の張力導入装置23)と、を備え、前記第1支柱および前記第2支柱は、地盤面(例えば、後述の地盤面3)または地下階から解体対象階の上方まで延びていることを特徴とする。
この発明によれば、既存建物の解体対象階の上を飛散防止ネットで覆うことで、既存建物を解体する際に、飛散防止ネットの外側に破砕物が飛散するのを防止することができる。また、張力導入装置により、ワイヤに張力を適宜与えることで、飛散防止ネットを保持することができる。
また、第1支柱および第2支柱を地盤面または地下階から解体対象階の上方まで延びる構成としたので、第1支柱および第2支柱が既存建物に強固に固定される。よって、飛散防止ネットに強風が作用した場合でも、支柱同士の間のワイヤが弛むのを防止して、飛散防止ネットが張られた状態を維持し、破砕物が飛散するのを確実に防止できる。
また、各支柱の下端を地盤面に限定することなく、地下階としてもよい。すなわち、既存建物が地下階を有する場合は、各支柱を地下階から解体対象階の上方まで延びる構成とする。これにより、既存建物の1階部分を解体する場合であっても、各支柱の下部が地下階で支持されるため、1階部分の上に飛散防止ネットを容易に設置することができる。
この発明によれば、ワイヤを支持する第1支柱や第2支柱を既存建物の各階の床スラブに固定したので、第1支柱や第2支柱の転倒を防止して、第1支柱や第2支柱を既存建物に強固に固定することができる。
また、第1支柱および第2支柱を地盤面または地下階から解体対象階の上方まで延びる構成としたので、第1支柱および第2支柱が既存建物に強固に固定される。よって、飛散防止ネットに強風が作用した場合でも、支柱同士の間のワイヤが弛むのを防止して、飛散防止ネットが張られた状態を維持し、破砕物が飛散するのを確実に防止できる。
また、既存建物が地下階を有する場合は、各支柱を地下階から解体対象階の上方まで延びる構成とする。これにより、既存建物の1階部分を解体する場合であっても、各支柱の下部が地下階で支持されるため、1階部分の上に飛散防止ネットを容易に設置することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る飛散防止システム1が適用された解体対象となる既存建物2の縦断面図である。図2は、既存建物2の横断面図である。
既存建物2は、7階建てであり、外周に沿って設けられた外周柱10と、外周柱10の内側に設けられた内周柱11と、外周柱10および内周柱11同士の間に設けられた大梁12と、外周柱10から外側に向かって延びる片持ち梁13と、片持ち梁13の先端部同士の間に設けられた小梁14と、大梁12、片持ち梁13、小梁14に支持された床スラブ15と、床スラブ15の外周に沿って設けられた外壁16と、を備える。
また、既存建物2の外側には、既存建物2を囲んで外部足場24が架設されており、外部足場24の外側側面には、防音パネル25が取り付けられている。
ワイヤ21は、互いに対向する第1支柱20Aと第2支柱20Bとの間に、既存建物2の屋上階を跨ぐように張られている。したがって、図2に示すように、ワイヤ21は、既存建物2の上方で互いに略平行に複数設けられている。各ワイヤ21の第1支柱20A側の端部は、第1支柱20Aの中間高さに取り付けられた張力導入装置23(図7参照)に連結されている。一方、各ワイヤ21の第2支柱20B側の端部は、第2支柱20Bの中間の高さ位置に連結されている。
飛散防止ネット22は、複数のワイヤ21および外部足場24の上端部同士の間に、展張されて取り付けられている。すなわち、飛散防止ネット22の周縁部は、外部足場24の上端部に仮固定されており、飛散防止ネット22の周縁部以外の部分は、ワイヤ21に支持されている。
各階の床スラブ15うち第1支柱20Aが設けられる部分は、斫られて撤去されており、貫通孔30が形成されている。第1支柱20Aは、H形鋼であり、貫通孔30に挿通されて、山形鋼31を介して床スラブ15に固定される。具体的には、山形鋼31は、床スラブ15にあと施工アンカーにボルト固定されており、この山形鋼31と第1支柱20Aとは、図示しない株式会社リキマン製のリキマンなどの挟締金具で仮固定されている。
なお、第2支柱20Bについても、第1支柱20Aと同様の構成であり、山形鋼31を介して床スラブ15に固定されている。
図5(a)および図5(b)に示すように、第1支柱20Aおよび第2支柱20Bの頂部には、貫通孔40が形成されており、この貫通孔40に長シャックル41が取り付けられている。ワイヤ21は、この長シャックル41に挿通されている。
図6に示すように、第2支柱20Bの中間高さには、貫通孔50が形成されており、この貫通孔50に長シャックル51が取り付けられている。ワイヤ21の第2支柱20B側の端部は、この長シャックル51に挿通されて、この状態で、ワイヤークリップ52で固定されて環状となっている。これにより、ワイヤ21の第2支柱20B側の端部は、第2支柱20Bの中間の高さ位置に連結される。
ワイヤ21の第1支柱20A側の端部には、株式会社キトー製のキトークリップ(登録商標)65が取り付けられており、張力導入装置23のチェーン62の先端のフック61は、このキトークリップ65に連結されている。張力導入装置23によれば、レバー60を操作することにより、チェーン62を巻き取ってワイヤ21に張力を導入したり、チェーン62を巻き出してワイヤ21に導入した張力を緩めたりできる。
ステップS1では、図1に示すように、既存建物2の外側に外部足場24を架設し、この外部足場24に防音パネル25を取り付ける。
ステップS2では、図1に示すように、第1支柱20Aおよび第2支柱20Bを、地盤面3から既存建物2の解体対象階である屋上階の上方まで突出して設置する。具体的には、各階の床スラブ15に貫通孔30を形成し、この貫通孔30に第1支柱20Aおよび第2支柱20Bを挿通して、山形鋼31を介して第1支柱20Aおよび第2支柱20Bを床スラブ15に固定する。
ステップS4では、図1に示すように、張力導入装置23によりワイヤ21に張力を導入することで、飛散防止ネット22で既存建物2の屋上階を覆う。
ステップS5では、図9に示すように、飛散防止ネット22の直下で、既存建物2を1層分解体する。
ステップS7では、ステップS4からステップS6を、既存建物2の上層階から下層階に向かって繰り返す。
(1)既存建物2の解体対象階の上を飛散防止ネット22で覆うことで、既存建物2を解体する際に、飛散防止ネットの外側に破砕物が飛散するのを防止することができる。また、張力導入装置23により、ワイヤ21に張力を適宜与えることで、飛散防止ネット22を保持することができる。
また、第1支柱20Aおよび第2支柱20Bを地盤面3から解体対象階の上方まで延びる構成としたので、第1支柱20Aおよび第2支柱20Bが既存建物2に強固に固定される。よって、飛散防止ネット22に強風が作用した場合でも、支柱20A、20B同士の間のワイヤ21が弛むのを防止して、飛散防止ネット22が張られた状態を維持し、破砕物が飛散するのを確実に防止できる。
また、ワイヤ21で支持された飛散防止ネット22は、地盤面3から解体対象階の上方まで延びる第1支柱20Aおよび第2支柱20Bの間に張られるため、解体工事の進行に従って、各支柱20A、20Bの上部を切断して撤去し、ワイヤ21および飛散防止ネット22を張り直すことで、飛散防止ネットシステム1を容易に下層階側に移動させることが可能である。
また、第1支柱20Aに張力導入装置23を設けることで、ワイヤ21の張力が外部足場24に作用することはない。よって、ワイヤ21に支持させた飛散防止ネット22を、既存建物2の床スラブ15を貫通する第1支柱20Aおよび第2支柱20Bによって強固に固定することができる。
(3)張力導入装置23を第1支柱20Aの中間高さに設けたので、解体作業の進行に伴って、ワイヤ21および飛散防止ネット22を下方に盛り替える際に、張力導入装置23については盛り替える必要がなく、既存建物2の解体作業を円滑に行うことができる。
例えば、上述の実施形態では、ワイヤ21を第1支柱20Aの頂部と第2支柱20Bの頂部との間に張ったが、これに限らず、解体工事の方法によっては、ワイヤ21を、第1支柱20Aの中間高さ位置と第2支柱20Bの中間高さ位置との間や、一方の支柱の中間高さ位置と他方の支柱の頂部との間に張ってもよい。
また、上述の実施形態では、第1支柱20Aおよび第2支柱20Bを、地盤面3(1階床レベル)から解体対象階である屋上階の上方まで延ばしたが、これに限らない。すなわち、既存建物が地下階を有する場合は、各支柱の下端を地下階に設定し、第1支柱および第2支柱を、地下階から解体対象階の上方まで延ばしてもよい。
10…外周柱 11…内周柱 12…大梁 13…片持ち梁
14…小梁 15…床スラブ 16…外壁
20A…第1支柱 20B…第2支柱 21…ワイヤ 22…飛散防止ネット
23…張力導入装置 24…外部足場 25…防音パネル
30…貫通孔 31…山形鋼 40…貫通孔 41…長シャックル
50…貫通孔 51…長シャックル 52…ワイヤークリップ
60…レバー 61…フック 62…チェーン 63…貫通孔
64…長シャックル 65…キトークリップ
Claims (2)
- 飛散防止システムを用いて、既存建物を解体する方法であって、
前記飛散防止システムは、前記既存建物の互いに向かい合わせとなる二側面に仮固定された第1支柱および第2支柱と、前記第1支柱と前記第2支柱との間に張られたワイヤと、前記ワイヤに支持される飛散防止ネットと、前記第1支柱または前記第2支柱に取り付けられて前記ワイヤに張力を導入する張力導入装置と、を備え、
前記第1支柱および前記第2支柱は、地盤面または地下階から解体対象階の上方まで延びており、
前記第1支柱および前記第2支柱を、地盤面または地下階から前記既存建物の解体対象階の上方まで突出して設置する第1工程と、
前記第1支柱と前記第2支柱との間に前記解体対象階を跨ぐようにワイヤを架け渡すとともに、前記ワイヤに飛散防止ネットを展張する第2工程と、
前記張力導入装置により前記ワイヤに張力を導入することで、前記飛散防止ネットで前記既存建物の解体対象階を覆う第3工程と、
前記飛散防止ネットの直下で、前記既存建物を所定フロア分解体する第4工程と、
前記張力導入装置により前記ワイヤの張力を緩めて、前記ワイヤを前記第1支柱および前記第2支柱から取り外し、その後、前記第1支柱および前記第2支柱の上端部を切断して撤去し、次に、再度、前記ワイヤを前記第1支柱および前記第2支柱に取り付ける第5工程と、
前記第3工程から前記第5工程を、前記既存建物の上層階から下層階に向かって繰り返す第6工程と、を備えることを特徴とする既存建物の解体方法。 - 前記第1支柱および前記第2支柱の少なくとも一方は、前記既存建物の各階の床スラブに設けた貫通孔に挿通されて、前記各階の床スラブに固定されることを特徴とする請求項1に記載の既存建物の解体方法。
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