JP7220294B2 - 多関節ロボット、多関節ロボットの制御方法及び多関節ロボットの制御プログラム - Google Patents
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Description
また、複数の軸は、ワーク把持部外に位置する第1回転軸まわりにワーク把持部を回転可能である第1軸と、ワーク把持部内に位置する第2回転軸まわりにワーク把持部を回転可能である第2軸と、を含んで構成され、制御装置は、第1軸及び第2軸の両方の角速度及び角加速度を一致させることにより、ワーク角度を保持角度にて一定に保持する。これによれば、簡便な方法により、ワーク角度を保持角度にて一定に保持することが可能となる。
(加工システム)
以下、多関節ロボットが適用された加工システムの一例である第1実施形態について説明する。加工システム10は、図1に示すように、複数のベースモジュール20と、そのベースモジュール20に設けられた複数(本第1実施形態では10個)の作業機モジュール30と、多関節ロボット(以下、ロボットと称する場合もある。)70(例えば、図2参照)と、を備えている。以下の説明では、加工システム10に関する「前後」,「左右」,「上下」を、加工システム10の正面側から見た場合における前後,左右,上下として扱うこととする。
旋盤モジュール30Aは、旋盤がモジュール化されたものである。旋盤は、加工対象物であるワークWを回転させて、固定した切削工具43aで加工する工作機械である。旋盤モジュール30Aは、図2に示すように、可動ベッド41、主軸台42、工具台43、工具台移動装置44、加工室45、走行室46及びモジュール制御装置47を有している。
ドリミルモジュール30Bは、ドリルによる孔開けやミーリング加工等を行うマシニングセンタがモジュール化されたものである。マシニングセンタは、固定したワークWに対し、回転する工具(回転工具)を押し当てて加工する工作機械である。ドリミルモジュール30Bは、図3に示すように、可動ベッド51、主軸ヘッド52、主軸ヘッド移動装置53、ワークテーブル54、加工室55、走行室56及びモジュール制御装置57を有している。
加工前ストックモジュール30Cは、加工システム10にワークWを投入するモジュール(ワーク投入モジュール。また、単に投入モジュールと称する場合もある。)である。加工前ストックモジュール30Cは、図4に示すように、外装パネル61、ワークプール62、投入テーブル63、リフト64、およびシリンダ装置65を有している。外装パネル61は、加工前ストックモジュール30Cの前部を覆うパネルであり、内部にストック室66が設けられている。ストック室66内には、投入テーブル63が収容されている。ストック室66は、外装パネル61の側面に設けられた入出口61aを介して隣接する作業機モジュール30の走行室46,56に連通(開口)している。ストック室66は、ワークWを搬入出可能な「ワーク室」である。
ロボット70は、図5に示すように、走行可能であり、走行部71、及び本体部72を有している。
走行部71は、走行室46,56内を左右方向(作業機モジュール30の並設方向:Y軸方向)に沿って走行可能である。走行部71は、主として図5に示すように、走行駆動装置71bによって走行部本体71aを左右方向に沿って直動するための走行駆動軸(以下、X軸と称する場合もある。尚、このX軸はロボット制御系のX軸であり、加工システム10のX軸方向とは異なる。)71cを有している。走行部本体71aの背部(後部)には、走行駆動軸71cのスライダ71c2が取り付けられている。走行駆動軸71cは、ベースモジュール20の前側面に設けられて水平方向(左右方向)に沿って延在するレール71c1と、レール71c1に摺動可能に係合する複数のスライダ71c2とから構成されている。
本体部72は、主として図5,6に示すように、旋回テーブル(テーブル)73と、旋回テーブル73に設けられたアーム部74とから構成されている。
旋回テーブル73は、図6に示すように、旋回テーブル73に設けられたテーブル駆動軸(以下、D軸と称する場合もある。)73aと、テーブル駆動軸73aを回転駆動するテーブル駆動装置73bとを有している。テーブル駆動装置73bは、走行部本体71aに設けられている。テーブル駆動装置73bは、テーブル駆動軸73aに設けられた歯車(不図示)、この歯車に歯合するピニオン(不図示)、サーボモータ73b1、サーボモータ73b1の出力をピニオンに伝達する駆動力伝達機構(不図示)などから構成されている。
旋回テーブル73は、ワークWを反転する反転装置76が設けられている。反転装置76は、ワークWを保持可能であるワーク把持部(以下、単に把持部と称する場合もある。)85から受け取ったワークWを反転し、反転したワークWを把持部85に受け渡すことができる。反転装置76は、図5,7に示すように、取付台76a、回転装置76b、把持装置76c、一対の把持爪(以下、反転装置チャックと称する場合もある。)76d,76dから構成されている。
アーム部74は、駆動軸(またはアーム)が直列に並んでいる、いわゆるシリアルリンク型のアームである。アーム部74は、主として図5,6に示すように、第1アーム81、第1アーム駆動軸(以下、A軸と称する場合もある。)82、第2アーム83、第2アーム駆動軸(以下、B軸と称する場合もある。)84、把持部85、及び把持部駆動軸(以下、C軸と称する場合もある。)86から構成されている。
また、加工システム10は、入出力装置11、入出力装置12、及び記憶装置13(図8参照)をさらに有している。入出力装置11は、図1に示すように、作業機モジュール30の前面に設けられており、作業者が各種設定、各種指示などを加工システム10(特にベースモジュール20)に入力したり、作業者に対して運転状況など加工システム10(特にベースモジュール20)の情報を表示したりするためのものである。入出力装置12は、図1に示すように、作業機モジュール30の前面に設けられており、作業者が各種設定、各種指示などを加工システム10(特に作業機モジュール30)に入力したり、作業者に対して運転状況など加工システム10(特に作業機モジュール30)の情報を表示したりするためのものである。記憶装置13は、後述する保持角度θRCaなどを記憶している。入出力装置11,12は、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)、マンマシンインターフェースなどの人間と機械とが情報をやり取りする装置である。
制御装置90は、走行駆動装置71bを駆動して走行駆動軸71cを、テーブル駆動装置73bを駆動してテーブル駆動軸73aを、第1アーム駆動装置81bを駆動して第1アーム駆動軸82を、第2アーム駆動装置83bを駆動して第2アーム駆動軸84を、把持部駆動装置85bを駆動して把持部駆動軸86を制御する。制御装置90は、専用の装置を設けてもよいが、作業機モジュール30のモジュール制御装置47、57にて兼用(代用)するようにしてもよい。
さらに、上述した制御装置90による多関節ロボット70のワーク角度保持動作について図9に示すフローチャートに沿って説明する。尚、ワーク角度は、把持部85に保持されているワークWとワーク角度設定用基準面Rf0との間で形成される角度である。ワーク角度設定用基準面Rf0は、ワーク角度を設定(定義)するための基準面であり、例えば、鉛直面でもよく、水平面でもよい。また、ワーク角度保持動作は、上述した複数の軸(例えば、第1アーム駆動軸82、第2アーム駆動軸84、及び把持部駆動軸86)を制御して、ワーク角度を所定の保持角度θRCaにて一定に保持したまま把持部85を移動させる動作である。
A軸角度θAは、A軸82(ひいてはA軸82の回転軸)を基点として第1アーム81と鉛直線(1点鎖線で示す)又は鉛直面とのなす角度である。B軸角度θBは、B軸84(ひいてはB軸84の回転軸)を基点として第1アーム81と第2アーム83とのなす角度である。C軸角度θCは、C軸86(ひいてはC軸86の回転軸)を基点として第2アーム83と把持部85(ひいてはロボットチャック85c)とのなす角度である。尚、図10では、C軸角度θCは、第2アーム83とロボットチャック85cの軸線方向(実線にて示す)とのなす角度であり、一方のロボットチャック85cのみを図示している。RC軸角度θRCは、上述したワーク角度のことであり、把持部85に保持されているワークW(ロボットチャック85cの軸線方向(開口方向))とワーク角度設定用基準面Rf0である鉛直面(1点鎖線で示す)との間で形成される角度である。尚、RC軸角度θRCは、鉛直面でなく水平面とのなす角度でもよい。また、RC軸角度θRCは、原点を地上に有する直交座標系((RY,RZ)座標で示される。)における角度(絶対的な角度)である。
(数1)
θRC=θC-(θB-θA)
=θA-θB+θC
(数2)
θRC1=θA1-θB1+θC1
(数3)
θC1=θRC1-θA1+θB1
ここで、RC軸角度θRC1は、所定の保持角度θRCaである。また、A軸82及びB軸84は回転されないで、C軸86のみ回転されるので、A軸角度θA1は、RC軸を所定の保持角度θRCaに変更する直前(変更前、現在)における、A軸角度θA0と同じ値であり、B軸角度θB1は、変更前(現在)における、B軸角度θB0と同じ値である。
(数4)
θC1=θRCa-θA0+θB0
制御装置90は、このように算出したC軸の目標角度であるθC1(C軸第1ポイントである)となるように、把持部駆動装置85bを駆動させる。
(数5)
θRC1=θA1-θB1+θC1
ただし、RC軸角度θRC1、A軸角度θA1、B軸角度θB1、及びC軸角度θC1は、C軸86が位置P1に位置する場合のRC軸角度、A軸角度、B軸角度、及びC軸角度である。
(数6)
θRC2=θA2-θB2+θC2
ただし、RC軸角度θRC2、A軸角度θA2、B軸角度θB2、及びC軸角度θC2は、C軸86が位置P2に位置する場合のRC軸角度、A軸角度、B軸角度、及びC軸角度である。
(数7)
0=-θB1+θC1-(-θB2+θC2)
(数8)
θC1-θC2=θB1-θB2
上記数8は、RC軸角度を保持角度θRCaに保持した状態でB軸84を回転駆動させた場合には、B軸角度の差分とC軸角度の差分が等しいことを示している。換言すると、B軸84及びC軸86の両方の角度差を一致させることにより、RC軸角度を保持角度θRCaにて一定に保持することができる。すなわち、B軸84及びC軸86の両方を同じ角速度及び角加速度で駆動させることにより、RC軸角度(ワーク角度)を保持角度θRCaにて一定に保持することができる。
これによれば、ワーク角度設定用基準面Rf0に対して把持部85ひいてはワークWを保持角度θRCaにて一定に保持したまま移動させることが可能となる。さらに、保持角度θRCaを把持部85やワークWが被接触物に接触しない角度に設定することで、ロボット70は、把持部85に保持されているワークWを移動させる際に把持部85やワークWの被接触物への接触(衝突、干渉)を抑制することが可能となる。
これによれば、簡便な方法により、RC軸角度を保持角度θRCaにて一定に保持することが可能となる。
これによれば、比較的速度の遅い安定した動作により把持部85ひいてはワークWを確実に移動させることができる。
これによれば、把持部85及びワークWは着脱位置WPに対して平行に接近することができるので、把持部85やワークWが着脱位置WPひいては反転装置76に対して傾きながら接近する場合と比較して、把持部85やワークWの接触をより確実に抑制することが可能となる。
次に、ロボット70が適用された加工システムの第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態においては、ロボット70が反転装置76と把持部85との間でワークWを受け渡し及び受け取りを実施する際に、保持角度θRCaを、把持部85に保持されているワークWが着脱位置の参照面Rf1に対して平行となる角度に設定するようにしたが、本第2実施形態では、ワークWを、ワークWを搬入出可能なワーク室(加工室45,55、ストック室66など)に搬入出する際に、保持角度θRCaを、把持部85に保持されているワークWが加工室45,55及びストック室66の開口周縁部に対向する仮想平面Rf21に対して平行となる角度に設定するようにした。
さらに、上述した制御装置90による多関節ロボット70のワーク角度保持動作について図15に示すフローチャートに沿って説明する。制御装置90は、ステップS202において、ロボット70を駆動させて、前工程からワークWを受け取る。例えば、前工程は、ワークWが加工前ストックモジュール30Cに載置されている工程であり、旋盤モジュール30Aやドリミルモジュール30Bでの加工工程である。
これによれば、把持部85及びワークWは入出口45a1の下縁部に対して平行に接近することができるので、把持部85やワークWが入出口45a1の下縁部に対して比較的大きく傾きながら接近する場合と比較して、把持部85やワークWの接触をより確実に抑制することが可能となる。
Claims (6)
- ワークを保持可能であるワーク把持部と、
前記ワーク把持部を移動させるための複数の軸と、
前記ワーク把持部に保持されている前記ワークとワーク角度設定用基準面との間で形成される角度であるワーク角度を、所定の保持角度にて一定に保持したまま前記ワーク把持部を移動させるように前記複数の軸を制御する制御装置と、
を備えた多関節ロボットであって、
前記複数の軸は、前記ワーク把持部外に位置する第1回転軸まわりに前記ワーク把持部を回転可能である第1軸と、前記ワーク把持部内に位置する第2回転軸まわりに前記ワーク把持部を回転可能である第2軸と、を含んで構成され、
前記制御装置は、前記第1軸及び前記第2軸の両方の角速度及び角加速度を一致させることにより、前記ワーク角度を前記保持角度にて一定に保持する多関節ロボット。 - 前記制御装置は、前記第1軸及び前記第2軸のうち前記角速度の速い軸を前記角速度の遅い軸に合わせることにより、前記第1軸及び前記第2軸の両方の前記角速度及び前記角加速度を一致させる請求項1に記載の多関節ロボット。
- ワークを保持可能であるワーク把持部と、
前記ワーク把持部を移動させるための複数の軸と、
前記ワーク把持部に保持されている前記ワークとワーク角度設定用基準面との間で形成される角度であるワーク角度を、所定の保持角度にて一定に保持したまま前記ワーク把持部を移動させるように前記複数の軸を制御する制御装置と、
を備えた多関節ロボットであって、
前記多関節ロボットは、前記ワークを着脱位置に着脱可能に保持すると共に前記ワークを保持したまま反転させる反転装置と前記ワーク把持部との間で前記ワークを受け渡し及び受け取りを実施可能であり、
前記制御装置は、前記受け渡し及び受け取りを実施する際には、前記保持角度を、前記ワーク把持部に保持されている前記ワークが前記着脱位置の参照面に対して平行となる角度に設定する多関節ロボット。 - ワークを保持可能であるワーク把持部と、
前記ワーク把持部を移動させるための複数の軸と、
前記ワーク把持部に保持されている前記ワークとワーク角度設定用基準面との間で形成される角度であるワーク角度を、所定の保持角度にて一定に保持したまま前記ワーク把持部を移動させるように前記複数の軸を制御する制御装置と、
を備えた多関節ロボットであって、
前記多関節ロボットは、前記ワーク把持部に把持されている前記ワークを、前記ワークを搬入出可能なワーク室に搬入出することが可能であり、
前記制御装置は、前記ワークの搬入出を実施する際には、前記保持角度を、前記ワーク把持部に保持されている前記ワークが前記ワーク室の開口周縁部に対向する仮想平面に対して平行となる角度に設定する多関節ロボット。 - ワークを保持可能であるワーク把持部と、
前記ワーク把持部を移動させるための複数の軸と、を備えた多関節ロボットの制御方法であり、
前記ワーク把持部に保持されている前記ワークとワーク角度設定用基準面との間で形成される角度であるワーク角度を、所定の保持角度にて一定に保持したまま前記ワーク把持部を移動させるように前記複数の軸を制御する多関節ロボットの制御方法であって、
前記複数の軸は、前記ワーク把持部外に位置する第1回転軸まわりに前記ワーク把持部を回転可能である第1軸と、前記ワーク把持部内に位置する第2回転軸まわりに前記ワーク把持部を回転可能である第2軸と、を含んで構成され、
前記多関節ロボットの制御方法は、前記第1軸及び前記第2軸の両方の角速度及び角加速度を一致させることにより、前記ワーク角度を前記保持角度にて一定に保持する多関節ロボットの制御方法。 - ワークを保持可能であるワーク把持部と、
前記ワーク把持部を移動させるための複数の軸と、を備えた多関節ロボットの制御プログラムであり、
前記ワーク把持部に保持されている前記ワークとワーク角度設定用基準面との間で形成される角度であるワーク角度を、所定の保持角度にて一定に保持したまま前記ワーク把持部を移動させるように前記複数の軸を制御する多関節ロボットの制御プログラムであって、
前記複数の軸は、前記ワーク把持部外に位置する第1回転軸まわりに前記ワーク把持部を回転可能である第1軸と、前記ワーク把持部内に位置する第2回転軸まわりに前記ワーク把持部を回転可能である第2軸と、を含んで構成され、
前記多関節ロボットの制御プログラムは、前記第1軸及び前記第2軸の両方の角速度及び角加速度を一致させることにより、前記ワーク角度を前記保持角度にて一定に保持する多関節ロボットの制御プログラム。
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