JP7219582B2 - 超音波流量計、流量計測方法、および流量演算装置 - Google Patents
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このゼロクロス法では、検出電圧のうち同一時間位置にある目標ゼロクロス点を検出するため、検出電圧が予め設定した閾値電圧と交差した(超えたまたは達した)トリガー点を基準として、トリガー点以降に検出されたゼロクロス点を目標ゼロクロス点として特定している。
従来、このような検出電圧の強度変化に対応する技術として、検出電圧に含まれる各波のピーク電圧を検出した検出結果に基づいて閾値電圧を設定する技術が提案されている(例えば、特許文献1-2など参照)。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかる超音波流量計1について説明する。図1は、超音波流量計の構成を示すブロック図である。
次に、図2を参照して、本発明の原理について説明する。図2は、検出電圧とゼロクロス点との関係を示す信号波形図である。
トランスデューサTD1,TD2から流量演算装置10へ入力される検出信号を示す検出電圧Vinは、図2に示すように、振幅が時間軸に沿って増減する複数の正弦波様信号からなる。
図2では、M=3,H=5,N=3の場合が例として示されており、Vinの先頭から3(M=3)波目すなわち波W3以降の5(H=5)のゼロクロス点Z3~Z7のうち、先頭から3(N=3)個目のゼロクロス点Z5を目標ゼロクロス点Ztとして特定する例が示されている。
この際、WtとWnとのピーク電圧の差、すなわち隣接差分ピーク電圧が小さいと、Vinの変動によりWtを誤検出する可能性が高く、WtとWnとの隣接差分ピーク電圧が大きいと、Vinが変動してもWtを誤検出する可能性は低くなる。
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる流量演算装置10の構成について説明する。
図1に示すように、流量演算装置10は、主な機能部として、入出力I/F部11、記憶部12、計測制御部13、ゼロクロス検出部14、流量計算部15、流量出力部16、および閾値電圧設定部17を備えており、これら機能部は、内部バスBを介してデータやり取り可能に接続されている。これら機能部のうち、計測制御部13、ゼロクロス検出部14、流量計算部15、流量出力部16、および閾値電圧設定部17は、CPUとプログラムが協働することにより実現される。
記憶部12は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、流量演算装置10での流量計測動作に用いる各種処理データやプログラムを記憶する機能を有している。
また、ΔVa(i)とΔVb(i)の代表値は、最小値に限定されるものではなく、平均値、中央値、最大値など、ΔVa(i)とΔVb(i)の一般的な統計値を用いてもよい。
次に、図3および図4に基づいて、本実施の形態にかかる超音波流量計1の動作について説明する。図3は、第1の実施の形態にかかる閾値電圧設定処理を示すフローチャートである。図4は、第1の実施の形態にかかる閾値電圧設定処理を示す信号波形図である。
これにより、W(i)ごとにΔVn(i)が求められ、図4の例では、ΔVn(i)が最大となるW(3)がW(t)として選択され、Vp(3)がVsとして設定される。
このように、本実施の形態は、閾値電圧設定部17が、受信波を示す検出電圧Vinから正負極性の各波W(k)(k=1,2,…,K)のピーク電圧Vp(k)を検出し、正負いずれか一方の極性の波を示す第1の極性波W(i)(i=1,3,…,K-1)ごとに、正負いずれか他方の極性の波を示す第2の極性波W(j)(j=2,4,…,K)のうち第1の極性波W(i)と隣接する隣接波Wn(i)との間で、それぞれのピーク電圧Vp(i)の絶対値の差を示す隣接差分ピーク電圧ΔVn(i)を計算し、第1の極性波W(i)のうち隣接差分ピーク電圧ΔVn(i)が最大となる第1の極性波を、トリガー点を検出するための目標波W(t)として選択し、目標波W(t)のピーク電圧Vp(t)を閾値電圧Vsとして設定するようにしたものである。
これにより、代表値として、平均値、中央値、最大値など、ΔVa(i)とΔVb(i)の一般的な統計値を用いる場合と比較して、極めて正確に目標波W(t)を選択することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる超音波流量計1について説明する。
第1の実施の形態では、目標波W(t)を選択した後、W(t)のピーク電圧Vp(w)を閾値電圧Vsとして設定する場合を例として説明した。本実施の形態では、W(t)を選択した後、Vp(w)とΔVn(w)とに基づいて閾値電圧調整範囲Vajを設定し、Vaj内でVsを調整する場合について説明する。
なお、本実施の形態にかかるその他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
次に、図5および図6に基づいて、本実施の形態にかかる超音波流量計1の動作について説明する。図5は、第2の実施の形態にかかる閾値電圧設定処理を示すフローチャートである。図6は、第2の実施の形態にかかる閾値電圧設定処理を示す信号波形図である。
これにより、W(i)ごとにΔVn(i)が求められ、図6の例では、ΔVn(i)が最大となるW(3)がW(t)として選択され、Vp(3)がVsとして設定される。
次に、図7を参照して、閾値電圧調整範囲Vajを用いた閾値電圧調整動作について説明する。図7は、閾値電圧調整処理を示すフローチャートである。
流量演算装置10のゼロクロス検出部14および閾値電圧設定部17は、閾値電圧調整範囲Vajを設定した後、図7の閾値電圧調整処理を実行する。なお、閾値電圧調整処理の実行開始にあたり、閾値電圧Vsには、例えば閾値電圧調整範囲Vajの中央値、上限値、下限値などVaj内の任意の値が、初期値として予め設定されているものとする。
続いて、ゼロクロス検出部14は、検出したトリガー点以降にVin#iがゼロ電圧とゼロクロスするセロクロス点をNz個検出し(ステップS211)、これらゼロクロス点のゼロクロス時刻をVin#iと対応する時刻配列D#iに順次格納する(ステップS212)。
次に、図8を参照して、閾値電圧設定部17による先頭ゼロクロス判定動作について説明する。図8は、先頭ゼロクロス判定動作を示す説明図である。
閾値電圧設定部17は、図7のステップS213において、度合Rを計算する際、時刻配列D#iごとに、それぞれのD#iの先頭に格納されている先頭ゼロクロス時刻と対応する先頭ゼロクロス点が、目標ゼロクロス点または先行ゼロクロス点のいずれに相当するのか判定するため、先頭ゼロクロス判定動作を行う。
次に、図9を参照して、閾値電圧設定部17による閾値電圧の初期化動作について説明する。図9は、閾値電圧と調整範囲との関係を示す信号波形図である。
閾値電圧設定部17は、図7のステップS219において、閾値電圧Vsを初期化する際、検出電圧Vin#iの最大ピーク電圧Vmaxに基づき新たな調整範囲Vajを特定し、調整範囲Vaj内の任意の値をVsの新たな初期値として設定する。
Vsを繰り返し調整する場合、検出電圧Vin#iの強度変化が継続すると、VajLを下回ったり、VajHを上回ったりすることになり、Vsが適切でない電圧値へ移行してしまう可能性がある。
この際、例えば一連の計測工程で入力されたN個の検出電圧Vin#iから最大ピーク電圧Vmaxを検出しておき、予め設定されている下限係数k1および上限係数k2に基づいて新たなVajL(=k1×Vmax),VajH(=k2×Vmax)を計算し、VajLおよびVajHの間の任意の値を新たなVsとして設定する。
このように、本実施の形態は、閾値電圧設定部17が、目標波W(t)のピーク電圧Vp(t)を中心として隣接差分ピーク電圧ΔVn(t)に応じて設定される幅を上下に持つ閾値電圧調整範囲Vajを設定し、ゼロクロス検出部14で検出されるゼロクロス点Zが目標波W(t)に対応する目標ゼロクロス点Ztに相当する度合に基づいて、閾値電圧Vsを閾値電圧調整範囲Vaj内で調整するようにしたものである。
これにより、閾値電圧Vsの閾値電圧調整範囲Vajが、目標波W(t)の隣接波Wn(t)のピーク電圧Vp(t)を考慮して設定されることになる。このため、W(t)に最も適切な必要最低限の範囲でVsを調整することができる。
このため、結果として、精度の高い流量計測を実現することが可能となる。さらには、Vin#iのSN比が小さくても正しい伝搬時間差が得られるため、Vin#iに対する増幅ゲインの低減や計測回数の削減を行うことができ、流量計測に要する消費電力を低減することが可能となる。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
Claims (6)
- 一対のトランスデューサ間で計測対象となる流体を介して超音波信号を両方向で送受信し、これら超音波信号の伝搬時間差に基づいて、前記流体の流量を計測する超音波流量計であって、
前記超音波信号の受信波を示す検出電圧が、予め設定されている閾値電圧と最初に交差したトリガー点以降に、前記検出電圧がゼロクロスするゼロクロス点のゼロクロス時刻を検出するゼロクロス検出部と、
前記受信波から得られた前記ゼロクロス時刻を基準として前記伝搬時間差を求め、得られた伝搬時間差に基づいて前記流体の流量を計測する流量計算部と、
前記受信波を示す検出電圧から正負極性の各波Wのピーク電圧を検出し、正負いずれか一方の極性の波を示す第1の極性波ごとに、正負いずれか他方の極性の波を示す第2の極性波のうち前記第1の極性波と隣接する隣接波との間で、それぞれのピーク電圧の絶対値の差を示す隣接差分ピーク電圧を計算し、前記第1の極性波のうち前記隣接差分ピーク電圧が最大となる第1の極性波を、前記トリガー点を検出するための目標波として選択し、前記目標波のピーク電圧を前記閾値電圧として設定する閾値電圧設定部と
を備えることを特徴とする超音波流量計。 - 一対のトランスデューサ間で計測対象となる流体を介して超音波信号を両方向で送受信し、これら超音波信号の伝搬時間差に基づいて、前記流体の流量を計測する超音波流量計であって、
前記超音波信号の受信波を示す検出電圧が、予め設定されている閾値電圧と最初に交差したトリガー点以降に、前記検出電圧がゼロクロスするゼロクロス点のゼロクロス時刻を検出するゼロクロス検出部と、
前記受信波から得られた前記ゼロクロス時刻を基準として前記伝搬時間差を求め、得られた伝搬時間差に基づいて前記流体の流量を計測する流量計算部と、
前記受信波を示す検出電圧から正負極性の各波Wのピーク電圧を検出し、正負いずれか一方の極性の波を示す第1の極性波ごとに、正負いずれか他方の極性の波を示す第2の極性波のうち前記第1の極性波の前に隣接する前隣接波との間で、それぞれのピーク電圧の絶対値の差を示す前隣接差分ピーク電圧を計算するとともに、前記第1の極性波の後に隣接する後隣接波との間で、それぞれのピーク電圧の絶対値の差を示す後隣接差分ピーク電圧を計算し、これら前隣接差分ピーク電圧と後隣接差分ピーク電圧との代表値からなる隣接差分ピーク電圧が最大となる第1の極性波を、前記トリガー点を検出するための目標波として選択し、前記目標波のピーク電圧を前記閾値電圧として設定する閾値電圧設定部と
を備えることを特徴とする超音波流量計。 - 請求項2に記載の超音波流量計において、
前記閾値電圧設定部は、前記代表値として、前記前隣接差分ピーク電圧と前記後隣接差分ピーク電圧のいずれか小さい値を選択することを特徴とする超音波流量計。 - 請求項1~3のいずれかに記載の超音波流量計において、
前記閾値電圧設定部は、前記目標波のピーク電圧を中心として前記隣接差分ピーク電圧に応じて設定される幅を上下に持つ閾値電圧調整範囲を設定し、前記ゼロクロス検出部で検出される所定の期間における前記ゼロクロス点のうち先頭の先頭ゼロクロス点が、前記目標波に対応する目標ゼロクロス点に先行する先行ゼロクロス点として検出される前記所定の期間における検出頻度に基づいて、前記閾値電圧を前記閾値電圧調整範囲内で調整することを特徴とする超音波流量計。 - 一対のトランスデューサ間で計測対象となる流体を介して超音波信号を両方向で送受信し、これら超音波信号の伝搬時間差に基づいて、前記流体の流量を計測する超音波流量計で用いられる流量計測方法であって、
ゼロクロス検出部が、前記超音波信号の受信波を示す検出電圧が、予め設定されている閾値電圧と最初に交差したトリガー点以降に、前記検出電圧がゼロクロスするゼロクロス点のゼロクロス時刻を検出するゼロクロス検出ステップと、
流量計算部が、前記受信波から得られた前記ゼロクロス時刻を基準として前記伝搬時間差を求め、得られた伝搬時間差に基づいて前記流体の流量を計測する流量計算ステップと、
閾値電圧設定部が、前記受信波を示す検出電圧から正負極性の各波Wのピーク電圧を検出し、正負いずれか一方の極性の波を示す第1の極性波ごとに、正負いずれか他方の極性の波を示す第2の極性波のうち前記第1の極性波と隣接する隣接波との間で、それぞれのピーク電圧の絶対値の差を示す隣接差分ピーク電圧を計算し、前記第1の極性波のうち前記隣接差分ピーク電圧が最大となる第1の極性波を、前記トリガー点を検出するための目標波として選択し、前記目標波のピーク電圧を前記閾値電圧として設定する閾値電圧設定ステップと
を備えることを特徴とする流量計測方法。 - 超音波流量計で用いられて、一対のトランスデューサ間で計測対象となる流体を介して超音波信号を両方向で送受信し、これら超音波信号の伝搬時間差に基づいて、前記流体の流量を計測する流量演算装置であって、
前記超音波信号の受信波を示す検出電圧が、予め設定されている閾値電圧と最初に交差したトリガー点以降に、前記検出電圧がゼロクロスするゼロクロス点のゼロクロス時刻を検出するゼロクロス検出部と、
前記受信波から得られた前記ゼロクロス時刻を基準として前記伝搬時間差を求め、得られた伝搬時間差に基づいて前記流体の流量を計測する流量計算部と、
前記受信波を示す検出電圧から正負極性の各波Wのピーク電圧を検出し、正負いずれか一方の極性の波を示す第1の極性波ごとに、正負いずれか他方の極性の波を示す第2の極性波のうち前記第1の極性波と隣接する隣接波との間で、それぞれのピーク電圧の絶対値の差を示す隣接差分ピーク電圧を計算し、前記第1の極性波のうち前記隣接差分ピーク電圧が最大となる第1の極性波を、前記トリガー点を検出するための目標波として選択し、前記目標波のピーク電圧を前記閾値電圧として設定する閾値電圧設定部と
を備えることを特徴とする流量演算装置。
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