JP7219210B2 - 乳脂肪クリームおよびその製造方法 - Google Patents

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    • A23C13/00Cream; Cream preparations; Making thereof

Description

本発明は、凍結乳脂肪クリーム、乳脂肪クリームおよびそれらの製造方法に関する。
一般に、クリームと呼ばれるものには、乳から乳脂肪分以外の成分を除去して得られるクリームのほか、乳脂肪と乳化剤や安定剤を含むもの、植物性脂肪と乳化剤や安定剤を含むもの、乳脂肪と植物性脂肪の混合脂肪と乳化剤や安定剤を含むものがある。
日本国の乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令代52号、以下「乳等省令」という。)では、生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したものが「種類別 クリーム」、その他の乳化剤、安定剤、食品等の副原材料を加えたものが「乳又は乳製品を主要原料とする食品」と定義されている。
本発明は、牛、水牛、羊、山羊、馬等の獣乳から乳脂肪分以外の成分を除去して得られるクリーム、から選択される1つ又は複数の混合物を対象とする。以下、本発明ではこれらを「乳脂肪クリーム」と記載する。
製菓、製パン、デザートの製造において、乳脂肪クリーム、乳又は乳製品を主要原料と
する食品はいずれも使用されているが、近年は添加物を一切使用しないという点から乳脂肪クリームが好まれる傾向がある。しかし、乳脂肪クリームを新鮮な状態で長期間保存することは困難である。
乳脂肪クリームの保存期間を延ばす手段として凍結保存がある。しかし、従来の乳脂肪クリームは凍結処理時に生成する氷結晶により、分散している脂肪球の界面が破壊される、あるいは氷結晶の成長により脂肪球が凍結濃縮されることにより、脂肪球同士の凝集や合一が生じ、これにより解凍の際に、脂肪球径や粘度が大幅に変化し、凍結前と同様の液状状態には戻らず、凍結耐性がなかった。
凍結耐性が付与されていない乳脂肪クリームは、凍結解凍処理後にホイッピングしてもホイップできない、あるいはホイップできたとしても粗悪な組織となる。
これを解決するために、液体窒素を冷媒とした特殊な冷凍機を用い、中心温度が0℃から-5℃までの間を8分間以下で通過し、かつ、-5℃から-20℃までの間を9分間以下で到達するようにクリームを急速に凍結する方法(特許文献1)、高速高せん断機を用い、クリームに微細気泡を含有させる方法(特許文献2)、乳化剤等を添加した後、回転式乳化機を用いて、クリームを30~45m/s以上の高周速で均質化処理し、さらに乳化物を加圧しスリットを抜ける際のせん断力を利用して油滴を小さくする方法(特許文献3)が開示されている。
特許第4906979号 特許第5146894号 特開2009-118842号公報
しかしながら、上述の特許文献1~3に開示された方法は、作業が頻雑であったり、または副原材料が添加されるものであった。そのため、副原材料を加えることなく、より簡便な凍結方法により凍結耐性とホイップ性を備える乳脂肪クリームの製造方法が求められていた。
本発明は、副原材料を含まず、かつ凍結耐性と凍結解凍処理後のホイップ性を兼ね備えた新規な乳脂肪クリームとその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明には以下の構成が含まれる。
<1>原料乳の濃縮処理工程と、乳脂肪クリーム分離工程と、及び冷却工程とを含む凍結乳脂肪クリームの製造方法であって、濃縮処理工程において、原料乳を、原料乳の全固形分を基準として1.4倍~2倍に濃縮する、凍結乳脂肪クリームの製造方法。
<2>冷却工程において、乳脂肪クリームを、乳脂肪クリームの中心温度が0から-5℃となるまでの時間が30分以上100分間以下となるように冷却する、<1>に記載の凍結乳脂肪クリームの製造方法。
<3>冷却工程前の乳脂肪クリームの乳脂肪球のメディアン径が3.3μm以上である、<1>又は<2>に記載の凍結乳脂肪クリームの製造方法。
<4>冷却工程前の乳脂肪クリームが、乳脂肪クリーム中の水分に対するタンパク質と糖質の合計の比率が0.11よりも大きい、<1>~<3>のいずれか1項に記載の凍結乳脂肪クリームの製造方法。
<5>冷却工程前の乳脂肪クリームが、その全重量基準において、30重量%以上50重量%以下の乳脂肪と、2.0重量%以上4重量%以下の乳タンパク質と、5.0重量%以上7.5重量%以下の糖質と、を含む、<1>~<4>のいずれか1項に記載の凍結乳脂肪クリームの製造方法。
<6>乳脂肪クリームの中心温度が0から-5℃となるまでの時間が30分以上100分間以下となるように乳脂肪クリームを冷却する工程を含む、凍結乳脂肪クリームの製造方法。
<7>乳脂肪クリームが、原料乳の全固形分を基準として1.4倍~2倍に濃縮された濃縮乳から分離して得られものである、<6>に記載された凍結乳脂肪クリームの製造方法。
<8>乳脂肪クリームの中心温度が0℃から-5℃となるまでの時間が30分以上100分間以下となるように乳脂肪クリームを冷却する工程を含み、乳脂肪クリームが、その全重量基準において、30重量%以上50重量%以下の乳脂肪と、2.0重量%以上4重量%以下の乳タンパク質と、5.0重量%以上7.5重量%以下の糖質とを含み、乳脂肪の乳脂肪球のメディアン径が3.3μm以上であり、乳脂肪クリーム中の水分に対する乳タンパク質と糖質の合計の比率が0.11よりも大きい、凍結乳脂肪クリームの製造方法。
<9>乳脂肪クリームの中心温度が0℃から-5℃となるまでの時間が30分以上100分間以下となるように乳脂肪クリームを冷却する工程を含み、乳脂肪クリームが、その全重量基準において、30重量%以上50重量%以下の乳脂肪と、2.0重量%以上4重量%以下の乳タンパク質と、5.0重量%以上7.5重量%以下の糖質とを含み、乳脂肪の乳脂肪球のメディアン径が3.3μm以上であり、乳脂肪クリーム中の水分に対する乳タンパク質と糖質の合計の比率が0.11よりも大きい、凍結乳脂肪クリームの製造方法。
<10>冷却工程において、乳脂肪クリームを-20℃以下まで冷却する、<1>~<9>のいずれか1項に記載の凍結乳脂肪クリームの製造方法。
<11><1>~<10>のいずれか1項に記載の凍結乳脂肪クリームの製造方法により製造された凍結乳脂肪クリームを解凍する工程を含む、乳脂肪クリームの製造方法。
<12>解凍処理後の乳脂肪クリームの乳脂肪球の90%体積径が10μm以下である、<11>に記載の凍結乳脂肪クリームの製造方法。
<13>30重量%以上50重量%以下の乳脂肪と、2.0重量%以上4重量%以下の乳タンパク質と、5.0重量%以上7.5重量%以下の糖質とを含み、乳脂肪の乳脂肪球の90%体積径が10μm以下であり、乳脂肪クリーム中の水分に対する乳タンパク質と糖質の合計の比率が0.11よりも大きく、温度が-20℃以下である、乳脂肪クリーム。
本発明は、副原材料を含まず、かつ凍結耐性と凍結解凍処理後のホイップ性を兼ね備えた新規な乳脂肪クリームを提供するものである。また、本発明は、上記したような乳脂肪クリームの製造方法として、原料乳の濃縮工程を含む新規な製造方法を提供するものである。
本発明の乳脂肪クリームおよびその製造方法について以下に詳細に説明する。
本発明の乳脂肪クリームの原材料について詳細に説明する。
本発明の乳脂肪クリームに用いる原材乳は牛、水牛、羊、山羊、馬等の獣乳であればどのようなものでもよく、これらのうちの1種類あるいは複数の混合物を用いることができる。
上記した乳から常法により分離した脂肪分が30重量%以上50重量%以下の乳脂肪クリームを原料として用いる。原料とする乳脂肪クリームは異なる獣乳のクリーム、異なる脂肪分の乳脂肪クリームから選択される複数を混合して用いてもよい。
なお、上述の通り「乳脂肪クリーム」とは、牛、水牛、羊、山羊、馬等の獣乳から乳脂肪分以外の成分を除去して得られるクリーム、から選択される1つ又は複数の混合物をいう。また乳脂肪クリームの乳脂肪球のメディアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、Microtrac MT3000、日機装製)を用いて測定した際の、体積基準での積分分布曲線の50%に相当する。
本発明の乳脂肪クリームの脂肪分は上記したように30重量%以上50重量%以下が好ましく、35重量%以上50重量%以下がさらに好ましい。脂肪分は、乳脂肪クリームの分離工程での調整、あるいは異なる脂肪分の乳脂肪クリームや生乳を混合することで調整すればよい。
本発明の乳脂肪クリームのタンパク質は2.0重量%以上4重量%以下が好ましく、2.4重量%以上4重量%以下がさらに好ましい。タンパク質量の調整は、原料乳の膜処理工程で調整すればよい。
本発明の乳脂肪クリームの糖質は4.5重量%以上7.5重量%以下が好ましく、5.0重量%以上7.5重量%以下がさらに好ましく、5.5重量%以上7.5重量%以下がさらにいっそう好ましい。糖質量の調整は、原料乳の膜処理工程で調整すればよい。
本発明の乳脂肪クリームは、凍結時の氷結晶成長を抑制するため、水分に対するタンパク質と糖質の合計の比率を0.11よりも大きくすることが好ましく、0.15以上がさらに好ましい。上記したように、水分に対するタンパク質と糖質の合計の比率は、原料乳の膜処理工程で調整すればよい。
また、本発明の乳脂肪クリームの原料には、凍結耐性付与のための乳化剤などの添加剤を含まないことも特徴とする。
本発明の乳脂肪クリーム及び凍結乳脂肪クリームの製造方法について以下詳細に説明する。
凍結乳脂肪クリームの製造方法は、(イ)原料乳を濃縮して濃縮乳を得る工程と、(ロ)濃縮乳から乳脂肪クリームを分離して乳脂肪クリームを得る工程と、(ハ)乳脂肪クリームを冷却(凍結)して凍結乳脂肪クリームを得る工程と、を有する。なお、(ニ)上記工程により得られた凍結乳脂肪クリームを解凍処理することにより乳脂肪クリームが得られる。各工程毎に詳細に説明する。
(イ)原料乳の濃縮には、逆浸透膜(RO膜、NF膜)や限外ろ過膜(UF膜)の少なくとも一つを選択すればよく、原料乳中の脂質、タンパク質、及び糖質が所定の濃度まで濃縮されればよい。原料乳の濃縮倍率は、原料乳の全固形分を基準として1.4倍~2倍が好ましく、1.6倍~2倍がさらに好ましい。膜濃縮工程中の原料乳は10℃以下に保つことが好ましい。なお、濃縮倍率は以下の式により算出できる。
濃縮倍率=濃縮後の原料乳の全固形分/濃縮前の原料乳の全固形分
(ロ)濃縮乳を60℃程度に加温した後、遠心分離機等を用いて濃縮乳から乳脂肪分以外の成分を除去することにより、乳脂肪クリームを分離することができる。分離された乳脂肪クリームは、乳脂肪球のメディアン径が3.3μm以上、好ましくは3.4μm以上4μm以下、さらに好ましくは3.5μm以上4μm未満であることが望ましい。
任意の工程として、乳脂肪クリームの乳脂肪球径を調整する工程を設けてもよい。乳脂肪球径を調整する場合、調整の方法はどのようなでもよいが、均質機を用いる方法を例示できる。均質機はホモジナイザー、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイダイザーはマイクロフルーイディクス インターナショナル コーポレイションの登録商標)、コロイドミル等の通常の乳脂肪クリームの製造に使用されるものであればどのようなものでも使用することができる。
微生物の管理等のために、乳脂肪クリームを常法により加熱殺菌処理することができる。加熱殺菌処理は、乳脂肪クリームを凍結解凍処理する前における均質化処理の前でも後でもよい。また、凍結解凍処理した乳脂肪クリームを加熱殺菌することもできる。
(ハ)冷却工程は、均質化処理、又は均質化処理と加熱殺菌処理した乳脂肪クリームを凍結処理する工程をいう。凍結処理は、乳脂肪クリームの中心温度が0℃から-5℃となるまでの時間が30分間以上100分間以下となるように冷却することにより行うことが好ましい。冷却方法は、この冷却条件が可能なものであればどのような方法でもよいが、空気冷却式の-30℃冷凍庫内で冷却する方法を例示できる。冷却に供する乳脂肪クリームは5℃程度で24時間程度保存したものが好ましい。-5℃より低温における冷却条件には特に制限がなく、0℃から-5℃の間と同様の冷却条件とすることもできるし、これよりも緩慢な冷却条件、又は急速な冷却条件の1つ又は複数とすることもできる。本明細書中、凍結保存された状態の乳脂肪クリームを特に凍結乳脂肪クリームということがある。
(ニ)凍結乳脂肪クリームの解凍条件は、特に制限はないが、凍結解凍処理後の微生物の制御等の点から、5℃雰囲気温度下に静置することにより解凍する方法を例示できる。
本発明における凍結耐性とは、凍結解凍処理による乳脂肪クリーム中の脂肪球の凝集および合一が少なく、解凍後に加温した場合においても油分が分離しないことを指す。
また、本発明における凍結解凍後のホイップ性とは、凍結前の乳脂肪クリームと同様に、ホイッピングすることにより、適度な硬さとオーバーランを有し、凝集物がなく、なめらかな組織であることを指す。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
A.製造方法
1.濃縮処理工程
原料乳(脂肪率4.2%、全固形分12.8%)を、10℃に温調しながら逆浸透膜(RO膜)を用いた膜処理装置により、原料乳の全固形分が1.6倍、あるいは2倍になるように濃縮した。なお、比較例品1は濃縮を行わなかった。
2.クリーム分離工程
膜濃縮乳を60℃まで加温した後、遠心分離機を用いて脂肪率が、35重量%、40重量%、47重量%のいずれかになるように乳脂肪クリームを分離した。遠心分離により得られた各脂肪率の乳脂肪クリームを、プレート式殺菌機に通液し、120℃、2秒の条件で殺菌処理後、約50℃まで冷却した。
3.均質化処理工程
殺菌冷却後の乳脂肪クリームを表1、表2に示す条件で均質化処理に供した。均質化処理は均質機に表1、表2に示す加圧条件(0、1、2MPa)で通液することにより行った(実施例品5、6、比較例品2)。均質化処理後の乳脂肪クリームを1L容量のパウチに700g採取した。表1、表2の均質工程条件に「-」と記載されている実施例品1から実施例品4、実施例品7、及び比較例品1、比較例品3は、均質機に通液せずに1L容量のパウチに700gを採取した。
濃縮及び又は均質化処理後の乳脂肪クリームの成分値(%)を表1、表2に示す。
4.凍結処理及び解凍処理
実施例品1から実施例品7と比較例品1から比較例品3は、5℃冷蔵庫で24時間保存した後、表1、表2に示した条件で凍結解凍処理に供した。
実施例品1から実施例品7と比較例品1から比較例品2の凍結処理は、5℃冷蔵庫で24時間保存した乳脂肪クリーム500gを570ml容量のステンレス容器に充填した後、ステンレス容器を-30℃、あるいは-60に設定した空気冷却式の冷凍庫内に静置し、試料の中心温度が0℃となった時点から-5℃となるのに要する時間が30分以上100分以下となる条件で冷却後、さらに-20℃以下まで冷却することにより行なった。
比較例品3の凍結処理は、冷風がでない機構のフリーザーに静置して緩慢に凍結した(試料の中心温度が0℃となった時点から-5℃となるのに要した時間は、200分を超えた)。
解凍処理は、-30℃冷凍庫内に保管した実施例品1から実施例品7と比較例品1から比較例品3を、5℃冷蔵庫に24時間静置することにより行なった。
B.評価方法
実施例品1から実施例品7と比較例品1から比較例品3の乳脂肪クリームを対象に、凍結処理前の脂肪球のメディアン径、凍結解凍処理後の脂肪球の90%体積径、及び凍結解凍処理前後の粘度を測定した。また、解凍後の乳脂肪クリームを対象に外観評価、加温時のオイルオフ発生、ホイップ性及び風味を評価した。
(1)乳脂肪球径の測定
乳脂肪クリームの乳脂肪球径の測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置(Microtrac MT3000、日機装製)を用いた。凍結処理前の脂肪球のメディアン径は、体積基準での積分分布曲線の50%に相当する粒子径とした。凍結解凍処理後の脂肪球の90%体積径は、体積基準での積分分布曲線の90%に相当する粒子径とした。
(2)粘度測定
乳脂肪クリームの粘度測定は、B型粘度計(TOKIMEC VISCOMETER、東京計器株式会社製)を用いて、ローターNo.2、ローター回転速度30rpm、測定時間30秒間、測定時乳脂肪クリーム品温5℃の条件での値を粘度(mPa・s)とした。
(3)外観評価
凍結解凍処理後の乳脂肪クリームの外観評価は、官能評価により○、×の2段階で評価した。評価は、凍結解凍処理後の乳脂肪クリームにおける固化、増粘、凝集物発生について以下の基準で評価した。
○:固化および増粘がほとんどなく、凝集物もない
×:固化あるいは増粘があり、凝集物がある
(4)オイルオフの発生有無
凍結解凍処理後の乳脂肪クリームのオイルオフ発生は、凍結解凍処理後の乳脂肪クリームを60℃で1時間加熱処理した後のオイルオフ(クリームからの油脂の分離・浮上)について以下の基準で目視にて評価した。
○:オイルオフがない
×:オイルオフがある
(5)ホイップ性の評価 凍結解凍処理後の乳脂肪クリームをミキサー(GENERALELECTRIC製)でホイップした際のホイップ後の乳脂肪クリームの硬度を、レオメーター(CR-200D、サン科学製)を用いて、プランジャー直径20mm、侵入深度10mm、架台スピード60mm/minの条件で測定した。硬度25g以上をホイップ終点とした。
また、ホイップ終点に到達したホイップ後の乳脂肪クリームのオーバーランを、ホイップ前後で一定容積の乳脂肪クリーム重量を測定し、次式により求めた。
オーバーラン=((W1-W2)/W2)×100(%)
W1:一定容積のホイップ前の乳脂肪クリーム重量
W2:一定容積のホイップ後の乳脂肪クリーム重量
ホイップ性の評価は、オーバーラン、硬度、ホイップ後の組織を総合して○、×の2段階で実施した。具体的には、オーバーランが80%以上、硬度が25g以上、ホイップ後の組織中に凝集物がなく、なめらかな組織であるものを○とし、これらの条件のうち、1つでも満たさないものを×とした。
(6)風味
凍結解凍処理後の乳脂肪クリームの風味評価は、食べた際に乳化破壊による脂質劣化臭がないこと、凝集物によるざらつきのないこと、口溶けが良いことを満たすものを○とし、これらの条件のうち、1つでも満たさないものを×とした。
C.評価結果および考察
以上の評価結果をまとめて表1、表2に示す。
表1に示されるように、乳脂肪クリーム中の水分に対するタンパク質と糖質の合計の比率を0.17以上、凍結処理前の脂肪球のメディアン径を3.53μm以上3.85μm以下とした実施例品1から実施例品7は、0℃から-5℃となるまでの時間が30分間以上100分間以下となるように冷却することで、解凍後の90%体積径が7.85μm以上9.12μm以下となり、脂肪球同士の凝集や合一が少なく、凍結耐性が付与されていた。凍結耐性が付与された実施例品1から実施例品7は、凍結解凍処理後の外観に問題はなく、オイルオフは生じず、ホイップ性を有し、風味も良好であった。
一方、表2に示されるように、乳脂肪クリーム中の水分に対するタンパク質と糖質の合計の比率を0.11とした比較例品1や均質処理圧を高くし凍結処理前の脂肪球のメディアン径を3.3μm未満とした比較例品2、0℃から-5℃となるまでの時間が200分間以上となるように冷却した比較例品3は、解凍後の90%体積径が最も小さいもので18.65μm以上となり脂肪球同士の凝集や合一が認められ、凍結耐性はなかった。凍結耐性がない比較例品1から比較例品3は、凍結解凍処理後の外観が悪く、オイルオフが生じ、ホイップ性はなく、風味も悪かった。
(1)実施例品1から実施例品7と比較例品1との比較により、乳脂肪クリームの脂肪率、凍結前の脂肪球のメデイアン径、凍結処理条件が同じであっても、原料乳の濃縮倍率の調整などによる、乳脂肪クリーム中の成分組成の制御により凍結耐性に優れた乳脂肪クリームを製造できることがわかった。
すなわち、乳脂肪クリーム中の水分に対するタンパク質と糖質の合計の比率を0.17以上とした実施例品1から実施例品7は、凍結解凍後の90%体積径が7.85~9.12μmであり、外観に問題はなく、凍結耐性があり、オイルオフは生じず、ホイップ性を有し、風味も良好であった。
一方、乳脂肪クリーム中の水分に対するタンパク質と糖質の合計の比率を0.11とした比較例品1は、凍結解凍後の90%体積径が44.25μmとなり脂肪球同士の凝集や合一が認められ、凍結耐性はなく、オイルオフが生じ、ホイップ性が悪く、風味も良くなかった。
(2)実施例品1から実施例品7と比較例品2との比較により、乳脂肪クリームの成分比、凍結処理条件が同じであっても、凍結処理前の乳脂肪クリームについて、均質化工程の処理圧の調整などにより脂肪球径を制御することにより、凍結耐性に優れた乳脂肪クリームを製造できることがわかった。
すなわち、均質化工程を経ないかあるいは処理圧を2MPa未満とすることにより凍結前の乳脂肪球のメデイアン径を3.53μm以上3.85μm以下とした実施例品1から実施例品7は、解凍後の90%体積径が7.85~9.12μmであり、外観に問題はなく、凍結耐性があり、オイルオフは生じず、ホイップ性を有し、風味も良好であった。
一方、均質化工程の処理圧を2MPaとして、凍結前の乳脂肪球のメデイアン径を3.3μm未満とした比較例品2は、解凍後の90%体積径が60μmとなり脂肪球同士の凝集や合一が認められ、固化が見られ、凍結耐性がなく、オイルオフが生じ、ホイップ性が悪く、風味も良くなかった。
(3)実施例品1、実施例品7と比較例品3の比較により、凍結処理前の乳脂肪クリームの組成が同じでメデイアン径がほぼ同じであっても、凍結処理条件の制御により凍結耐性に優れた乳脂肪クリームを製造できることがわかった。
すなわち、乳脂肪クリームの凍結処理が、0℃から-5℃となるまでの時間が30分間以上100分間以下となるように冷却した実施例1、7は、解凍後の90%体積径は8.46μmであり、外観に問題はなく、凍結耐性があり、オイルオフは生じず、ホイップ性を有し、風味も良好であった。一方、同時間が200分以上の比較例品3は、解凍後の90%体積径が18.65μmとなり脂肪球同士の凝集や合一が認められ、凍結耐性はなく、オイルオフが生じ、ホイップ性が悪く、風味も良くなかった。
Figure 0007219210000001
Figure 0007219210000002

本発明によれば、副原材料を加えることなく、より簡便な凍結方法を用いても、原料乳の濃縮による乳脂肪クリーム中の乳成分制御と脂肪球径、及び凍結条件の制御により凍結耐性に優れた乳脂肪クリームを製造することができた。

Claims (4)

  1. 原料乳の濃縮処理工程と、乳脂肪クリーム分離工程と、及び冷却工程とを含む凍結乳脂肪クリームの製造方法であって、
    前記濃縮処理工程において、前記原料乳を、前記原料乳の全固形分を基準として1.6倍~2倍に濃縮し、
    前記冷却工程において、前記乳脂肪クリームを、前記乳脂肪クリームの中心温度が0から-5℃となるまでの時間が30分以上100分間以下となるように冷却し、
    前記冷却工程前の前記乳脂肪クリームの乳脂肪球のメディアン径が3.3μm以上であり、
    前記冷却工程前の前記乳脂肪クリームが、乳脂肪クリーム中の水分に対するタンパク質と糖質の合計の比率が0.15以上であり、
    前記冷却工程前の前記乳脂肪クリームが、その全重量基準において、30重量%以上50重量%以下の乳脂肪と、
    2.0重量%以上4重量%以下の乳タンパク質と、
    5.0重量%以上7.5重量%以下の糖質と、を含む、
    凍結乳脂肪クリームの製造方法。
  2. 前記冷却工程において、前記乳脂肪クリームを-20℃以下まで冷却する、請求項に記載の凍結乳脂肪クリームの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の凍結乳脂肪クリームの製造方法により製造された前記凍結乳脂肪クリームを解凍する工程を含む、乳脂肪クリームの製造方法。
  4. 解凍処理後の前記乳脂肪クリームの乳脂肪球の90%体積径が、10μm以下である、請求項に記載の凍結乳脂肪クリームの製造方法。
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