JP6894161B2 - 乳脂肪クリームおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、乳脂肪クリームおよびその製造方法に関する。
乳脂肪クリームは、洋菓子や料理等多岐にわたって利用されており、乳脂肪を主成分とする素材として非常に経済的な価値の高い乳製品である。しかし、乳脂肪クリームを新鮮な状態で長期間にわたって保存することは困難である。
保存期間を延ばす手段として、乳脂肪クリームを凍結保存することがある。しかしながら、従来の乳脂肪クリームにおいては、凍結処理時に生成される氷結晶により、分散している脂肪球の界面が破壊され、あるいは氷結晶成長により、脂肪球が凍結濃縮されることにより、脂肪球同士の凝集や合一を生じるため、解凍した際に、凍結前と同様な液状状態には戻らず、脂肪球径や粘度が大幅に変化するという品質の著しい低下を引き起こすという課題があった。
これに対して、凍結処理時に生成される氷結晶の成長を抑制するため、液体窒素を冷媒とした冷凍機を用い、最大氷結晶生成温度帯を、0.625℃/分以上の速度で乳脂肪クリームを急速凍結する方法がある(例えば、特許文献1)。
また、水中油滴型乳化物の製造において各種副原材料を添加することで、凍結処理時に氷結晶が生成・成長しても破壊されないようにする方法や氷結晶の生成・成長を抑制する方法が、数多く検討されている。大別して、乳化剤等の界面活性剤の添加により乳化を安定化する方法、水相にタンパク質や糖質の多量添加等により乳化物を高粘度化する方法が挙げられる。
乳化を安定化する方法として、変性ワキシースターチとポリグリセリン脂肪酸エステルを水相に併用する方法(例えば、特許文献2)、ポリソルベート60を水相に添加する方法(例えば、特許文献3)、ソルビタン脂肪酸エステルを油相に添加する方法(例えば、特許文献4)、ショ糖ステアリン酸エステル、グリセリンオレイン酸モノエステル、更にショ糖ミリスチン酸エステルを水相に添加する方法(例えば、非特許文献1)が挙げられる。
水相へタンパク質や糖類の多量添加等による方法として、分子量20,000以下のゼラチンを添加する方法がある(例えば、特許文献5)。
特許第4906979号公報 特開平2−203764号公報 特開2006−158204号公報 特許第2931252号公報 特開2002−291421号公報
三浦靖, 日本食品科学工学会誌, Vol.59, No.9, p.484-489, (2012)
特許文献1の方法は、急速凍結処理により、凍結処理時に生成される氷結晶の成長を抑制することで、凍結・解凍処理による脂肪球の破壊を抑制する方法であり、凍結速度を速めることで凍結・解凍処理による特性変化を抑制することは知られている。しかし、この方法においても、凍結処理時に生成される氷結晶の成長を抑制する効果は十分ではなく、凍結・解凍処理による脂肪球径および粘度が大きく変化してしまい、凍結・解凍前後で乳脂肪クリームの品質を維持することができなかった。
特許文献2〜4の方法は、マヨネーズのような高粘度系の水中油滴型乳化物を対象とした方法である。これらの方法を、乳脂肪クリームのような低粘度高脂肪系の乳化物に適用した場合、凍結処理時に脂肪球の凍結濃縮が起こり、脂肪球同士の接触により脂肪球同士の凝集・合一が生じるため、十分な効果を得られない。
非特許文献1の方法は、脂肪率10%程度の低脂肪系の乳化物においては一定の凍結耐性付与効果を示すが、それ以上の高脂肪系の乳化物では、凍結処理時の凍結濃縮により脂肪球同士の凝集・合一が生じるため、十分な効果を得られない。
特許文献5の方法は、ゼラチンを多量添加することによって高粘度化するため、乳脂肪クリームに適用した場合、風味や物性が乳脂肪クリーム本来のものとは大きく異なるものとなってしまう。
このように、凍結耐性を付与した低粘度高脂肪系乳脂肪クリームは提供されていないことから、本発明は凍結・解凍前後の特性変化が小さい、低粘度高脂肪系の乳脂肪クリームの提供を課題とする。
本発明は以下の構成を含むものである。
(1)乳から分離した脂肪源と;HLB3以下のショ糖ステアリン酸エステル、HLB3以下のショ糖パルミチン酸エステル、HLB3以下のショ糖ベヘン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第一の成分と;HLB15以上のショ糖ステアリン酸エステル、HLB15以上のショ糖パルミチン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第二の成分と;HLB14以上のポリグリセリンステアリン酸エステル、HLB14以上のポリグリセリンミリスチン酸エステル、HLB14以上のポリグリセリンラウリン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第三の成分と;グルコース、マルトース、重合度が5〜7のマルトオリゴ糖の群から選択される少なくとも1種からなる第四の成分と;を含む乳脂肪クリーム。
(2)乳脂肪クリームの全質量基準で、第一の成分の含量が0.025質量%〜0.075質量%、第二の成分の含量が0.10質量%〜0.45質量%、第三の成分の含量が0.03質量%〜0.15質量%、第四の成分の含量が5質量%〜10質量%、である乳脂肪クリーム。
(3)乳脂肪クリームを−10℃以下まで凍結処理した後に解凍処理した際に、凍結処理前の脂肪球のメディアン径をRa、解凍処理後の脂肪球のメディアン径をRbとしたときに、式1:[(Rb−Ra)/Ra×100]で表される脂肪球のメディアン径変化率が10%以下、かつ、凍結処理前の粘度をVa、凍結処理後の粘度をVbとしたときに、式2:[(Vb―Va)/Va×100]で表される粘度の変化率が10%以下である(1)又は(2)に記載の乳脂肪クリーム。
(4)凍結処理前の脂肪球のメディアン径Raが、前記解凍処理後の脂肪球のメディアン径Rbより小さいことを特徴とする(1)から(3)のいずれか1つに記載の乳脂肪クリーム。
(5)凍結処理前の粘度Vaが、解凍処理後の粘度Vbより小さい(1)から(4)のいずれか1つに記載の乳脂肪クリーム。
(6)凍結処理後の粘度Vbが150mPa・s以下である(1)から(5)のいずれか1つに記載の乳脂肪クリーム。
(7)脂肪率が30%以上である(1)から(6)のいずれか1つに記載の乳脂肪クリーム。
(8)乳から分離した脂肪源に、HLB3以下のショ糖ステアリン酸エステル、HLB3以下のショ糖パルミチン酸エステル、HLB3以下のショ糖ベヘン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第一の成分を添加して油相を調製する工程と;水に、HLB15以上のショ糖ステアリン酸エステル、HLB15以上のショ糖パルミチン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第二の成分と、HLB14以上のポリグリセリンステアリン酸エステル、HLB14以上のポリグリセリンミリスチン酸エステル、HLB14以上のポリグリセリンラウリン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第三の成分と、グルコース、マルトース、重合度が5〜7のマルトオリゴ糖の群から選択される少なくとも1種からなる第四の成分と、を添加し水相を調製する工程と;油相と前記水相を混合する工程と;を有する乳脂肪クリームの製造方法。
本発明によれば、一旦凍結したものを解凍した後であっても、凍結・解凍前後の特性変化が小さい低粘度高脂肪系の乳脂肪クリームが得られる。
(乳脂肪クリーム)
本発明は、−10℃以下まで凍結処理した後、解凍処理したときの、凍結処理前と解凍処理後の脂肪球のメディアン径の変化率が10%以下かつ粘度の変化率が10%以下である乳脂肪クリームに関する。
ここで、「乳脂肪クリーム」とは、脂肪源として、乳から分離した脂肪(乳脂肪)のみを用いて製造された水中油滴型乳化物を意味するものである。「メディアン径」とは、体積基準での積算分布曲線の50%に相当する粒子径であり、レーザー回折式粒度分布測定装置(Microtrac MT3000、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
「脂肪球のメディアン径変化率」は、凍結前のメディアン径の値に対する、凍結前と凍結解凍後の差の値の割合を示す。脂肪球のメディアン径変化率は、乳脂肪クリームを−10℃以下まで凍結処理した後に解凍処理した際に、凍結処理前の脂肪球のメディアン径をRa、解凍処理後の脂肪球のメディアン径をRbとしてときに、式1で表される。
脂肪球のメディアン径変化率=(Rb−Ra)/Ra×100 式1
脂肪球のメディアン径変化率は10%以下が好ましく、9%以下がより好ましい。下限は特に制限されないが5%程度である。この場合、凍結処理としては、凍結前の乳脂肪クリームを、その中心温度が0℃から−10℃に至るまでの降温速度が0.1℃/分以下の条件に置く方法等が挙げられる。解凍処理としては、凍結後の乳脂肪クリームを5℃雰囲気温度下の条件に置く方法等が挙げられる。
「粘度の変化率」は、凍結処理前の粘度をVa、凍結処理後の粘度をVbとしたときに、式2で表される。
粘度の変化率=(Vb―Va)/Va×100 式2
粘度の変化率は10%以下が好ましく、9%以下がより好ましい。下限は特に制限されないが7%程度である。
凍結処理前の脂肪球のメディアン径が、解凍処理後の脂肪球のメディアン径より小さいことが好ましい。解凍処理後の脂肪球のメディアン径は2.0μm〜4.0μmであることが好ましく、2.5μm〜3.0μmがより好ましい。
凍結処理前の粘度が、解凍処理後の粘度より小さいことが好ましい。凍結処理後の粘度は150mPa・s以下であることが好まく、140mPa・s以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、20mPa・s程度である。
乳脂肪クリームの脂肪率として、30%、35%、40%、45%を例示することができる。
乳脂肪クリームの具体例としては、乳から分離した脂肪源と;HLB3以下のショ糖ステアリン酸エステル、HLB3以下のショ糖パルミチン酸エステル、HLB3以下のショ糖ベヘン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第一の成分と;HLB15以上のショ糖ステアリン酸エステル、HLB15以上のショ糖パルミチン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第二の成分と;HLB14以上のポリグリセリンステアリン酸エステル、HLB14以上のポリグリセリンミリスチン酸エステル、HLB14以上のポリグリセリンラウリン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第三の成分と;グルコース、マルトース、重合度が5〜7のマルトオリゴ糖の群から選択される少なくとも1種からなる第四の成分と、を含む乳脂肪クリームが挙げられる。
乳脂肪クリームは、乳脂肪クリームの全質量基準で、第一の成分の含量が0.025質量%〜0.075質量%、第二の成分の含量が0.10質量%〜0.45質量%、第三の成分の含量が0.03質量%〜0.15質量%、第四の成分の含量が5質量%〜10質量%が好ましい。
(乳脂肪クリームの製造方法)
乳脂肪クリームの製造方法は、例えば、(イ)乳から分離した脂肪源に、第一の成分を添加して油相を調製する工程と、(ロ)第二の成分、第三の成分、第四の成分を添加し水相を調製する工程と、(ハ)油相と前記水相を混合する工程と、を備える。
油相は、例えば、75℃程度に加温したバター等の乳から分離した脂肪源に、HLB3以下のショ糖ステアリン酸エステル、HLB3以下のショ糖パルミチン酸エステル、HLB3以下のショ糖ベヘン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第一の成分を添加することで調製することができる。
水相は、水に、カゼイン、例えば脱脂粉乳、MPC(乳タンパク質濃縮物)、MPI(ミルクプロテインアイソレート)、脱脂濃縮乳、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム等を加えることができる。
ここに、HLB15以上のショ糖ステアリン酸エステル、HLB15以上のショ糖パルミチン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第二の成分と、HLB14以上のポリグリセリンステアリン酸エステル、HLB14以上のポリグリセリンミリスチン酸エステル、HLB14以上のポリグリセリンラウリン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第三の成分と、グルコース、マルトース、重合度が5〜7のマルトオリゴ糖の群から選択される少なくとも1種からなる第四の成分と、を添加、混合し、65℃まで加温することにより水相を調製することができる。
次に、上記のように調製した油相と水相を混合して一般攪拌機を用いて予備乳化後、ホモジナイザー、ホモミキサー、ウルトラミキサー等の高速回転攪拌分散機のほか、バルブ式均質機やマイクロフルイダイザー等の高圧均質機、コロイドミル等を用いて均質化する。必要に応じて均質処理後の乳脂肪クリームを加熱殺菌してもよく、プレート式熱交換器、バッチ式加熱機等を用いることができる。中でも、乳脂肪クリームの加温効率の点から、プレート式熱交換器を用いることが好ましい。得られたクリームは、5℃まで氷水への浸漬あるいはプレート式熱交換器等を用いて急速冷却した後、5℃冷蔵庫で24時間程度保存することが好ましい。
脂肪源に添加する、(i)HLB3以下のショ糖ステアリン酸エステル、(ii)HLB3以下のショ糖パルミチン酸エステル、および/または(iii)HLB3以下のショ糖ベヘン酸エステルの添加量の合計の割合が、乳脂肪クリームの全質量に対して0.025質量%〜0.075質量%であることが好ましい。なお、成分(i)〜(iii)の組み合わせとしては、それらを単独で用いることの他に、(i)と(ii)、(i)と(iii)、(ii)と(iii)、または(i)〜(iii)の全てが挙げられる。
水に添加する、(iV)HLB15以上のショ糖ステアリン酸エステルおよび(V)HLB15以上のショ糖パルミチン酸エステルの添加量の合計の割合が、乳脂肪クリームの全質量に対して0.10質量%〜0.45質量%であることが好ましい。なお、成分(iV)、(V)は、いずれか一方を単独で、または(iV)、(V)を組み合わせて用いることができる。
(iV)、(V)のいずれか単独、または(iV)、(V)の組み合わせに、さらに(Vi)HLB14以上のポリグリセリンステアリン酸エステル、(Vii)HLB15以上のポリグリセリンミリスチン酸エステル、および/または(Viii)HLB16以上のポリグリセリンラウリン酸エステルを添加することができ、(Vi)、(Vii)、(Viii)の添加量の合計の割合が、乳脂肪クリームの全質量に対して0.03質量%〜0.15質量%であることが好ましい。なお、成分(Vi)〜(Viii)の組み合わせとしては、それらを単独で用いることの他に、(Vi)と(Vii)、(Vi)と(Viii)、(Vii)と(Viii)、または(Vi)〜(Viii)の全てが挙げられる。
グルコース、マルトース、重合度が5〜7のマルトオリゴ糖から選択される1つ又は複数の添加量は、乳脂肪クリームの全質量に対して5質量%〜10質量%が好ましく、さらに7質量%〜9質量%であることが好ましい。
以下に本発明の実施例を挙げて説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
70℃に加温融解したバター946gに、HLBが約3のショ糖ベヘン酸エステル1gを添加し、75℃まで加温することで油相を調製した。
水786gに脱脂粉乳100gを加え、HLBが約15のショ糖ステアリン酸エステル7gとHLBが約14のポリグリセリンステアリン酸エステル2g、D−グルコースを160g添加し、65℃まで加温することで水相を調製した。
水相に油相を少量ずつ添加し、ホモミキサーを用いた高速剪断により予備乳化を行った後、2段式均質機を用いて均質圧5.0MPa(1段目4.0MPa、2段目1.0MPa)で均質処理した。その後、5℃まで冷却して、脂肪率40%の乳脂肪クリーム2,000gを得た。
得られた乳脂肪クリームを一旦凍結してから解凍した場合の品質の変化を調べるため、(イ)5℃冷蔵庫で24時間保存した本実施例の乳脂肪クリームを500ml容量のステンレス鋼製容器に500g充填した。(ロ)このステンレス鋼製容器を、一般的な家庭用の冷凍設備である、凍結処理時における0℃から−10℃に至る試料中心温度の降温速度が0.1℃/分以下となる、−30℃冷凍庫内に24時間静置してステンレス鋼製容器内の乳脂肪クリームを凍結処理した。その後、(ハ)ステンレス鋼製容器を5℃冷蔵庫に移して24時間かけてステンレス鋼製容器内の凍結した乳脂肪クリームを解凍した。
[実施例2]
70℃に加温融解したバター946gに、HLBが約3のショ糖ベヘン酸エステル1gを添加し、75℃まで加温することで油相を調製した。
水786gに脱脂粉乳100gを加え、HLBが約15のショ糖ステアリン酸エステル7gとHLBが約14のポリグリセリンステアリン酸エステル2g、D−マルトース−水和物を160g添加し、65℃まで加温することで水相を調製した。
これらの水相と油相を実施例1と同様に処理することで、脂肪率40%の乳脂肪クリーム2,000gを得た。そして、得られた乳脂肪クリームを実施例1と同様の条件で凍結処理した後、解凍した。
[実施例3]
70℃に加温融解したバター946gに、HLBが約3のショ糖ベヘン酸エステル1gを添加し、75℃まで加温することで油相を調製した。
水786gに脱脂粉乳100gを加え、HLBが約15のショ糖ステアリン酸エステル7gとHLBが約14のポリグリセリンステアリン酸エステル2g、マルトペンタオースを15重量%、マルトヘキサオースを15重量%含むオリゴ糖シロップを160g添加し、65℃まで加温することで水相を調製した。
これらの水相と油相を実施例1と同様に処理することで、脂肪率40%の乳脂肪クリーム2,000gを得た。そして、得られた乳脂肪クリームを実施例1と同様の条件で凍結処理した後、解凍した。
[実施例4]
70℃に加温融解したバター946gに、HLBが約3のショ糖ベヘン酸エステル1gを添加し、75℃まで加温することで油相を調製した。
水786gに脱脂粉乳100gを加え、HLBが約15のショ糖ステアリン酸エステル7gとHLBが約14のポリグリセリンステアリン酸エステル2g、マルトヘキサオースを15重量%、マルトヘプタオースを15重量%含むオリゴ糖シロップを160g添加し、65℃まで加温することで水相を調製した。
これらの水相と油相を実施例1と同様に処理することで、脂肪率40%の乳脂肪クリーム2,000gを得た。そして、得られた乳脂肪クリームを実施例1と同様の条件で凍結処理した後、解凍した。
[実施例5]
70℃に加温融解したバター714gに、HLBが約3のショ糖ベヘン酸エステル1gを添加し、75℃まで加温することで油相を調製した。
水1016gに脱脂粉乳100gを加え、HLBが約15のショ糖ステアリン酸エステル7gとHLBが約14のポリグリセリンステアリン酸エステル2g、マルトヘキサオースを15重量%、マルトヘプタオースを15重量%含むオリゴ糖シロップを160g添加し、65℃まで加温することで水相を調製した。
これらの水相と油相を実施例1と同様に処理することで、脂肪率30%の乳脂肪クリーム2,000gを得た。そして、得られた乳脂肪クリームを実施例1と同様の条件で凍結処理した後、解凍した。
[実施例6]
70℃に加温融解したバター834gに、HLBが約3のショ糖ベヘン酸エステル1gを添加し、75℃まで加温することで油相を調製した。
水896gに脱脂粉乳100gを加え、HLBが約15のショ糖ステアリン酸エステル7gとHLBが約14のポリグリセリンステアリン酸エステル2g、マルトヘキサオースを15重量%、マルトヘプタオースを15重量%含むオリゴ糖シロップを160g添加し、65℃まで加温することで水相を調製した。
これらの水相と油相を実施例1と同様に処理することで、脂肪率35%の乳脂肪クリーム2,000gを得た。そして、得られた乳脂肪クリームを実施例1と同様の条件で凍結処理した後、解凍した。
[実施例7]
70℃に加温融解したバター1,076gに、HLBが約3のショ糖ベヘン酸エステル1gを添加し、75℃まで加温することで油相を調製した。
水654gに脱脂粉乳100gを加え、HLBが約15のショ糖ステアリン酸エステル7gとHLBが約14のポリグリセリンステアリン酸エステル2g、マルトヘキサオースを15重量%、マルトヘプタオースを15重量%含むオリゴ糖シロップを160g添加し、65℃まで加温することで水相を調製した。
これらの水相と油相を実施例1と同様に処理することで、脂肪率45%の乳脂肪クリーム2,000gを得た。そして、得られた乳脂肪クリームを実施例1と同様の条件で凍結処理した後、解凍した。
[比較例1]
バター954gを75℃に加温融解し油相を調製した。水946gに脱脂粉乳100gを加え、65℃まで加温することで水相を調製した。
これらの水相と油相を実施例1と同様に処理することで、脂肪率40%の乳脂肪クリーム2,000gを得た。
そして、5℃冷蔵庫で保存された乳脂肪クリームを150ml容量のステンレス鋼製容器に50g充填し、凍結処理時における0℃から−10℃に至る試料中心温度の降温速度が30.0℃/分以上となる、液体窒素5分間浸漬による急速凍結処理をした。その後、5℃冷蔵庫で24時間かけて凍結した乳脂肪クリームを解凍した。
[比較例2]
凍結処理の違いによる影響を調べるため、比較例1で得られた乳脂肪クリームを実施例1と同様の条件で凍結処理した後、解凍した。
[比較例3]
70℃に加温融解したバター946gに、HLBが約3のショ糖ベヘン酸エステル1gを添加し、75℃まで加温することで油相を調製した。
水786gに脱脂粉乳100gを加え、HLBが約15のショ糖ステアリン酸エステル7gとHLBが約14のポリグリセリンステアリン酸エステル2.0g添加し、65℃まで加温することで水相を調製した。
これらの水相と油相を実施例1と同様に処理することで、脂肪率40%の乳脂肪クリーム2,000gを得た。
そして、得られた乳脂肪クリームを実施例1と同様の条件で凍結処理した後、解凍した。
[試験例]
実施例品1〜7、および比較例品1〜3の乳脂肪クリームについて、凍結処理前および解凍後に測定した脂肪球のメディアン径および粘度の値および外観評価について表1に示す。
乳脂肪クリームの脂肪球のメディアン径測定には、レーザー回折式粒度分布測定装置(Microtrac MT3000、日機装株式会社製)を用いた。脂肪球のメディアン径変化率は、凍結前のメディアン径の値に対する、凍結前と凍結解凍後の差の値の割合を示す。
乳脂肪クリームの粘度測定には、B型粘度計(TOKIMEC VISCOMETER、東京計器株式会社製)を用いて、ローターNo.2、ローター回転速度30rpm、測定時間30秒間、測定時クリーム品温5℃の条件での値を粘度(mPa・s)とした。粘度変化率は、凍結前の粘度に対する、凍結前と凍結・解凍後の差の値の割合を示す。
乳脂肪クリームの外観評価は、○、△、×の3段階での官能評価により実施した。評価は、凍結・解凍後のクリームにおける固化、増粘、凝集物発生について以下の基準で評価した。
○:固化および増粘がなく、凝集物もない
△:増粘がみられ、凝集物が僅かに散見される
×:固化あるいは増粘が顕著にみられ、凝集物は散見される
乳脂肪クリームの調理適性は、○、△、×の3段階での官能評価により実施した。評価は、凍結・解凍後のクリームにおける5分間加熱処理後のオイルオフ(クリームからの油脂の分離・浮上)、色調変化、流動性について以下の基準で評価した。
○:オイルオフや色調変化がなく、流動性がある
△:オイルオフや色調変化が僅かにみられ、流動性の低下が僅かにみられる
×:オイルオフや色調変化が顕著にみられ、流動性の低下がみられる
Figure 0006894161
表1に示したように、外観評価が○であった実施例品1〜7の乳脂肪クリームは、凍結前の脂肪球のメディアン径および粘度に対する解凍後の脂肪球のメディアン径変化率が10%以下かつ粘度変化率が10%以下であった。
一方、外観評価が×であった比較例品1、比較例品2のメディアン径変化率は実施例品の数倍から数百倍も大きく、粘度変化率も数倍から数十倍大きくなった。また、実施例品1〜7で添加した乳化剤のみで調製した比較例品3のメディアン径変化率は10%以上かつ粘度変化率が10%以上であり、実施例品よりも凍結耐性処理による変化が大きくなった。以上のとおり、実施例品の乳脂肪クリームは比較例品に比べて、凍結・解凍処理による影響が格段に少なくなった。
比較例において、液体窒素を用いて凍結処理における降温速度を速くした比較例品1と、−20℃冷凍庫内での緩慢凍結条件で凍結処理した比較例品2とを比較すると、比較例品1の方が凍結・解凍前後の脂肪球のメディアン径変化および粘度変化率は小さくなったものの、実施例品1〜7の測定値と比べると1桁高い値であり、凍結・解凍処理による影響が大きく十分ではなかった。
乳脂肪クリーム中の脂肪率を30%、35%、45%と変化させた実施例品5〜7の測定値をみると、メディアン径変化率および粘度変化率に大差は見られず、凍結・解凍処理による影響が少なかった。

Claims (7)

  1. 乳から分離した脂肪源と、
    HLB3以下のショ糖ステアリン酸エステル、HLB3以下のショ糖パルミチン酸エステル、HLB3以下のショ糖ベヘン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第一の成分と、
    HLB15以上のショ糖ステアリン酸エステル、HLB15以上のショ糖パルミチン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第二の成分と、
    HLB14以上のポリグリセリンステアリン酸エステル、HLB14以上のポリグリセリンミリスチン酸エステル、HLB14以上のポリグリセリンラウリン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第三の成分と、
    グルコース、マルトース、重合度が5〜7のマルトオリゴ糖の群から選択される少なくとも1種からなる第四の成分と、
    を含むことを特徴とする乳脂肪クリームであって、
    前記乳脂肪クリームを−10℃以下まで凍結処理した後に解凍処理した際に、
    凍結処理前の脂肪球のメディアン径をRa、解凍処理後の脂肪球のメディアン径をRbとしたときに、
    式1:[(Rb−Ra)/Ra×100]
    で表される脂肪球のメディアン径変化率が10%以下、かつ、
    凍結処理前の粘度をVa、凍結処理後の粘度をVbとしたときに、
    式2:[(Vb―Va)/Va×100]で表される粘度の変化率が10%以下である、前記乳脂肪クリーム
  2. 乳脂肪クリームの全質量基準で、
    前記第一の成分の含量が0.025質量%〜0.075質量%、
    前記第二の成分の含量が0.10質量%〜0.45質量%、
    前記第三の成分量が0.03質量%〜0.15質量%、
    前記第四の成分の含量が5質量%〜10質量%、
    であることを特徴とする請求項1に記載の乳脂肪クリーム。
  3. 前記凍結処理前の脂肪球のメディアン径Raが、前記解凍処理後の脂肪球のメディアン径Rbより小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乳脂肪クリーム。
  4. 前記凍結処理前の粘度Vaが、前記解凍処理後の粘度Vbより小さいことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の乳脂肪クリーム。
  5. 前記凍結処理後の粘度Vbが150mPa・s以下であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の乳脂肪クリーム。
  6. 脂肪率が20%以上であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の乳脂肪クリーム。
  7. 乳から分離した脂肪源に、HLB3以下のショ糖ステアリン酸エステル、HLB3以下のショ糖パルミチン酸エステル、HLB3以下のショ糖ベヘン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第一の成分を添加して油相を調製する工程と、
    水に、HLB15以上のショ糖ステアリン酸エステル、HLB15以上のショ糖パルミチン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第二の成分と、HLB14以上のポリグリセリンステアリン酸エステル、HLB14以上のポリグリセリンミリスチン酸エステル、HLB14以上のポリグリセリンラウリン酸エステルの群から選択される少なくとも1種からなる第三の成分と、グルコース、マルトース、重合度が5〜7のマルトオリゴ糖の群から選択される少なくとも1種からなる第四の成分と、を添加し水相を調製する工程と、
    前記油相と前記水相を混合する工程と、
    を有することを特徴とする乳脂肪クリームの製造方法であって、
    前記乳脂肪クリームが、以下の物性を有する、前記乳脂肪クリームの製造方法。
    前記乳脂肪クリームを−10℃以下まで凍結処理した後に解凍処理した際に、
    凍結処理前の脂肪球のメディアン径をRa、解凍処理後の脂肪球のメディアン径をRbとしたときに、
    式1:[(Rb−Ra)/Ra×100]
    で表される脂肪球のメディアン径変化率が10%以下、かつ、
    凍結処理前の粘度をVa、凍結処理後の粘度をVbとしたときに、
    式2:[(Vb―Va)/Va×100]で表される粘度の変化率が10%以下
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