JP7218753B2 - ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物及びその製造方法、樹脂成形体、樹脂フィルム、並びに、延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物及びその製造方法、樹脂成形体、樹脂フィルム、並びに、延伸フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物及びその製造方法、樹脂成形体、樹脂フィルム、並びに、延伸フィルムの製造方法に関するものである。
ジシクロペンタジエン等のノルボルネン系単量体を開環重合して調製され得るノルボルネン系開環重合体水素化物は、「シクロオレフィンポリマー」と称され、流通している材料の一種である。かかる開環重合体水素化物は、透明性、低複屈折性、及び成形加工性等に優れることから、光学用途を初めとする種々の用途に適用可能な材料として注目されている。
ここで、ジシクロペンタジエンに由来する単量体単位を含む開環重合体水素化物(以下、「ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物」とも称する)は、アタクチックな構造を有する非晶性の重合体として得られることが一般的であった。しかしながら、アタクチックな構造を有する非晶性のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物は、その用途によっては、耐熱性、機械強度、及び耐溶剤性等が不十分となる場合があった。そこで、それらの性能を改良する手法として、主鎖に立体規則性を有するジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を製造することにより、結晶性を有するジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物が開発されてきた。
そこで、工業的な取り扱い性の向上した、結晶性ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物を含む樹脂、及びかかる樹脂を用いて得られる樹脂成形体、樹脂フィルム、及び射出成形品が提案されてきた(例えば、特許文献1~2参照)。特許文献1~2には、融解開始温度が260℃以上であるとともに、融点が280℃未満である、シンジオタクティシティーが90%超である、結晶性ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物が開示されている。
また、特許文献3には、80%超がシンジオタクチックである水素化ポリ(ジシクロペンタジエン)ポリマーが開示されている。
国際公開第2016/143795号 国際公開第2016/143424号 国際公開第2015/127192号
ここで、近年、樹脂成形体等には、強度及び延性を高いレベルで両立させることが求められている。しかし、上記特許文献1~3に記載された重合体水素化物用いて形成された樹脂成形体等には、強度及び延性の双方を高めるという点で改善の余地があった。
そこで、本発明は、強度及び延性が高いレベルで両立された樹脂成形体等を形成可能な、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物及びその製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、強度及び延性が高いレベルで両立された樹脂フィルム、及び樹脂成形体を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、強度及び延性が高いレベルで両立された樹脂フィルムを用いて、延伸フィルムを良好に製造し得る、延伸フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を調製する際に、シンジオタクティシティーを顕著に高めた場合に、水素化率を所定値以上に高めることで、得られる開環重合体水素化物を含有する樹脂成形体等の強度及び延性の双方を高いレベルで両立することが可能となることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物は、シンジオタクティシティーが99%以上、且つ、水素化率が98.0%以上であることを特徴とする。このように、シンジオタクティシティー及び水素化率の双方が、それぞれ上記範囲を満たすジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物は、得られる樹脂成形体等の強度及び延性の双方を高いレベルで両立することができる。
ここで、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のシンジオタクティシティーは、実施例に記載の13C-NMRを用いた手法で求めることができる。また、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の水素化率は、実施例に記載の1H-NMRを用いた手法で求めることができる。
ここで、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物は、水素化率が99.0%以上であることが好ましい。水素化率が99.0%以上であるジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を用いることで、リフロー耐性に優れる樹脂成形体等を提供することが可能となる。
更に、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の樹脂成形体は、上記何れかのジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含有することを特徴とする。本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含有する樹脂成形体は、強度及び延性の双方が高いレベルにある。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の樹脂フィルムは、上記何れかのジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含有することを特徴とする。本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含有する樹脂フィルムは、強度及び延性の双方が高いレベルにある。
ここで、本発明の樹脂フィルムは、加熱発生ガス質量分析法により測定した、室温~300℃までの間に発生した質量数18(m/z)に帰属する気体の発生量が、フィルムの初期質量を100質量%として、0.5質量%未満であることが好ましい。所定の条件で測定した場合のガス発生量が低減された樹脂フィルムは、電気・電子系材料としての適性が高い。ここで、加熱発生ガス質量分析(Temperature Programmed Desorption/Mass Spectrometry:TPD-MS)は、本明細書の実施例に記載の方法に従って行うことができる。また、「室温」の定義は、JIS Z 8703:1983に従う。さらに、「フィルムの初期質量」とは、加熱発生ガス質量分析法に従う測定を開始する前の段階における樹脂フィルムの質量である。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の製造方法は、以下の一般式(α)で表される開環重合触媒を用いて、ジシクロペンタジエンを含む単量体を開環重合して、ジシクロペンタジエン系開環重合体を得る開環重合工程と、前記ジシクロペンタジエン系開環重合体を水素化して、水素化率が98.0%以上であるジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を得る水素化工程と、を含むことを特徴とする。本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の製造方法によれば、強度及び延性が高いレベルで両立された樹脂成形体等を形成可能な、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を良好に製造することができる。
Figure 0007218753000001
[式(α)中、Phはフェニル基を示し、R1、R2は、それぞれ独立して、炭素数1~6の一価の直鎖状、分岐鎖状、又は環状の炭化水素基を示し;Xは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、又はシアノ基を示し、また、nは0~5の整数を示すとともに、nが1以上の整数の場合には、複数のXは同一であっても相異なっていても良く;Yは、C(R324を示し(ここで、それぞれのR3は、独立して、-R5、-OR5、-SR5、-N(R5、-OC(O)R5、-S(O)R5、-SO5、-SON(R5、-C(O)N(R5、-NR5C(O)R5、又は-NR5SO5であり、さらにここで、それぞれのR5は、独立して、水素、炭素数1~12の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する炭素数1~10のヘテロアルキル基、フェニル基、三~七員の飽和若しくは一部不飽和の炭素環、六~十員の二環式の飽和の環、一部不飽和の環、若しくはアリール環、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する五~六員の単環式ヘテロアリール環、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する三~七員の飽和若しくは一部不飽和の複素環、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する七~十員の二環式の飽和若しくは一部不飽和の複素環、及び、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する八~十員の二環式ヘテロアリール環から選択される、任意選択的に置換された基であるか、或いは、任意で、2個のR5が、介在している原子と共に任意選択的に組み合わされ、前記介在している原子に加えて、窒素、酸素、又は硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された三~十員の単環式又は二環式の、飽和の環、一部不飽和の環、又はアリール環を形成してなり;R4は、任意選択的に置換されたフェニル基である。);及び、Zは、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロアリール基を示す。]
さらにまた、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の延伸フィルムの製造方法は、上述した何れかのジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を用いて形成した未延伸フィルムを、95℃以上130℃以下の温度で延伸する延伸工程を含むことを特徴とする。かかる延伸フィルムの製造方法によれば、強度及び延性が高いレベルで両立された未延伸フィルムを良好に延伸処理することができ、優れた性能を有する延伸フィルムを効率的に製造することができる。
ここで、本発明の延伸フィルムの製造方法は、前記延伸工程を経たフィルムを、175℃以上225℃以下の温度で熱処理する熱固定処理工程を更に含むことが好ましい。上記条件に従う熱固定処理工程を実施することで、得られる延伸フィルムの寸法安定性といった物性を向上させることができる。
本発明によれば、強度及び延性が高いレベルで両立された樹脂成形体等を形成可能な、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物、及びその製造方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、強度及び延性が高いレベルで両立された樹脂フィルム及び樹脂成形体を提供することができる。
そして、本発明によれば、強度及び延性が高いレベルで両立された樹脂フィルムを用いて、延伸フィルムを良好に製造し得る、延伸フィルムの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物は、樹脂フィルム及び樹脂成形体を調製する際に好適に用いられる。また、本発明の樹脂フィルム及び樹脂成形体は、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含有することを特徴とする。また、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物は、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の製造方法により、良好に製造することができる。
(ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物)
本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物(以下、単に「HDCPD重合体」とも称する)は、シンジオタクティシティーが99%以上、且つ、水素化率が98.0%以上であることを特徴とする。シンジオタクティシティー、及び水素化率が、それぞれ上記下限値以上である本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を用いることで、強度及び延性が高いレベルで両立された樹脂材料等を形成することができる。
HDCPD重合体は、ジシクロペンタジエン由来の繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(1)」とも称する)を含む。より具体的には、繰り返し単位(1)は、下記式(1)で表される、水素化ジシクロペンタジエンの繰り返し単位であり得る。
Figure 0007218753000002
上記式(1)において、(1,4)で表される炭素が不斉炭素(式(1)中、「*」を付して表示)であるため、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物には立体規則性(タクティシティー)が存在し得る。本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物は、シンジオタクチックな立体規則性を有する。
本発明のHDCPD重合体は、繰り返し単位(1)の割合が、HDCPD重合体を構成する全繰り返し単位を100質量%として、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。HDCPD重合体における繰り返し単位(1)の割合が上記下限値以上であれば、得られる樹脂材料等の強度を一層高めることができる。
上記式(1)で表される繰り返し単位(1)は、ジシクロペンタジエンに由来する。ジシクロペンタジエンには、エンド体及びエキソ体の2つの立体異性体が存在するが、そのどちらも単量体として用いることが可能である。HDCPD重合体の調製にあたり、エンド体及びエキソ体のうちの一方を単独で用いてもよいし、エンド体及びエキソ体が任意の割合で混在する異性体混合物を用いることもできる。HDCPD重合体の結晶性を高め、得られる樹脂材料等の強度を特に高める観点からは、一方の立体異性体の割合を高くすることが好ましい。具体的には、HDCPD重合体の調製時に、ジシクロペンタジエンとして、エンド体及びエキソ体のうちの一方のみを用いることが好ましく、合成容易性の観点から、エンド体のみを用いることがより好ましい。また、HDCPD重合体の調製時にジシクロペンタジエンの異性体混合物を用いる場合には、異性体混合物全体を100質量%として、エンド体及びエキソ体のうちの一方の割合が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。さらに、合成容易性の観点から、異性体混合物中において、エンド体の比率をエキソ体の比率よりも高くすることが好ましい。
また、HDCPD重合体の調製に際して、ジシクロペンタジエンと共重合可能な他の環状オレフィン単量体を組み合わせて用いることもできる。かかる他の環状オレフィン単量体の使用量は、HDCPD重合体を構成する全繰り返し単位を100質量%として、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下であり、0質量%、即ち、HDCPD重合体が他の環状オレフィン単量体を含有しないことが好ましい。
ジシクロペンタジエンと共重合可能な他の環状オレフィン単量体としては、特に限定されることなく、例えば、国際公開第2016/143795号に開示されている既知の環状オレフィン単量体が挙げられる。
<ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の調製方法>
本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物は、まず、上記したジシクロペンタジエン、及び任意の他の環状オレフィン単量体を開環重合して、ジシクロペンタジエン系開環重合体を得て、得られた開環重合体を水素化することにより、調製することができる。
開環重合体は、特に限定されることなく、上記したような、ジシクロペンタジエン、及び任意の他の環状オレフィン単量体を、開環重合触媒を用いて開環重合することにより、調製することができる。本発明者らの検討により、開環重合触媒として、下記一般式(α)で表されうる開環重合触媒を用いることで、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を効率的に製造することができることが明らかとなった。これは、下記一般式(α)にて規定される骨格構造が、ジシクロペンタジエンの開環重合にあたり、シンジオタクティシティーが高いポリマー鎖を良好に形成し得ることに起因すると推察される。これは、一般式(α)で表されうる開環重合触媒は、アルキリデン配位子、Zにて表される5~14員ヘテロアリール配位子、フェニル置換フェノキシ配位子、末端オキソ配位子、及び含リン配位子からなることに起因すると考えられる。具体的には、フェニル置換フェノキシ配位子において、アルコキシ基が、置換フェノキシ基であって、2,3,5,6位にフェニル基が有ること、及び、2,3,5,6位のフェニル基の置換基Xが小さいことにより、ジシクロペンタジエンに対する立体効果が最適となりステレオエラーを抑制することができると推定される。また、開環重合触媒が末端オキシ配位子を有することで、ジシクロペンタジエンに対する十分な配位空間を確保することができ、ステレオエラーを抑制することができる。
Figure 0007218753000003
[式(α)中、Phはフェニル基を示し、R1、R2は、それぞれ独立して、炭素数1~6の一価の直鎖状、分岐鎖状、又は環状の炭化水素基を示し;Xは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、又はシアノ基を示し、また、nは0~5の整数を示すとともに、nが1以上の整数の場合には、複数のXは同一であっても相異なっていても良く;Yは、C(R324を示し(ここで、それぞれのR3は、独立して、-R5、-OR5、-SR5、-N(R5、-OC(O)R5、-S(O)R5、-SO5、-SON(R5、-C(O)N(R5、-NR5C(O)R5、又は-NR5SO5であり、さらにここで、それぞれのR5は、独立して、水素、炭素数1~12の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する炭素数1~10のヘテロアルキル基、フェニル基、三~七員の飽和若しくは一部不飽和の炭素環、六~十員の二環式の飽和の環、一部不飽和の環、若しくはアリール環、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する五~六員の単環式ヘテロアリール環、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する三~七員の飽和若しくは一部不飽和の複素環、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する七~十員の二環式の飽和若しくは一部不飽和の複素環、及び、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する八~十員の二環式ヘテロアリール環から選択される、任意選択的に置換された基であるか、或いは、任意で、2個のR5が、介在している原子と共に任意選択的に組み合わされ、前記介在している原子に加えて、窒素、酸素、又は硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された三~十員の単環式又は二環式の、飽和の環、一部不飽和の環、又はアリール環を形成してなり;R4は、任意選択的に置換されたフェニル基である。);及び、Zは、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロアリール基を示す。]
Xでありうるハロゲン原子としては、F、Cl、Br、及びIが挙げられる。中でも、Xがハロゲン原子である場合には、Brであることが好ましい。
また、nが0であることが好ましい。
1、R2である、炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状炭化水素基としては、特に限定されることなく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、及びイソヘキシル基等の炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、並びに、環状の脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。また、R1、R2でありうる、炭素数1~6の環状炭化水素基としては、特に限定されることなく、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の環状の脂肪族炭化水素基;及びフェニル基等の芳香族炭化水素基が挙げられる。中でも、R1及びR2が、メチル基であることが好ましい。
3でありうる、炭素数1~12の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、及びノニル基等が挙げられる。中でも、R3がメチル基であることが好ましい。
この他に、R3でありうる基としては、例えば、国際公開第2015/127192号にて、基「R」として列挙された各種基が挙げられる(例えば、国際公開第2015/127192号、段落0201~0222参照)。また、これらの基のうち、任意選択的に置換された基の置換可能な炭素原子に結合した置換基としては、例えば、国際公開第2015/127192号に記載された各種置換基が挙げられる(例えば、国際公開第2015/127192号、段落0058~0064参照)。
Zである5~14員ヘテロアリール基において、少なくとも1つのヘテロ原子がNであることが好ましい。さらに、Zは、少なくとも1個の窒素原子を介してWに結合していることがより好ましい。例えば、Zは、下記一般式(Z-1)~(Z-6)の何れかにより表される基でありうる。ここで、Zは、N,O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する五員ヘテロアリールであり、少なくとも1個のヘテロ原子が、窒素であることが特に好ましい。中でも、Zが下記式(Z-1)、(Z-2)、(Z-3)、(Z-6)で表される基であることが好ましく、下記式(Z-6)で表される基であることが特に好ましい。Zが五員ヘテロアリールであり、少なくとも1個のヘテロ原子が窒素であり、かつ2,5位の置換基が水素原子もしくはメチル基であることによって、触媒構造が安定となり、かつステレオエラーが少なくなる。
Figure 0007218753000004
上記式(α)にて示したような開環重合触媒は、特に限定されることなく、例えば、国際公開第2015/127192号、国際公開第2016/14311号、及びBenjamin Autenriethら著、「Stereospecific Ring-Opening Metathesis Polymerization (ROMP) of endo-Dicyclopentadiene by Molybdenum and Tungsten Catalysts」、Macromolecules、2015年、48、p.2480~2492に開示されたような方法に従って合成することができる。
開環重合にあたり、開環重合触媒の使用量は、例えば、ジシクロペンタジエンを含む単量体100質量部に対して、0.01質量部以上0.50質量部以下とすることが好ましく、0.05質量部以上0.30質量部以下とすることがより好ましい。触媒の使用量を上記範囲内とすることで、開環重合反応を充分に促進することができる。また、重合時間は、通常、1分以上100時間以内であり、好ましくは、30分以上5時間以内とすることができる。さらに、重合温度は、通常、-30℃以上200℃以下、好ましくは、0℃以上180℃以下とすることができる。
また、開環重合にあたり、1-ヘキセン等のビニル基含有化合物であり得る既知の分子量調整剤等を一般的な配合量で添加することができる。
開環重合反応は、無溶媒系でも行うこともできるが、有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒としては、開環重合反応により得られるジシクロペンタジエン系開環重合体を溶解又は分散させることができ、且つ、開環重合反応に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されることなく、あらゆる有機溶媒を用いることができる。例えば、有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;アニソール、フェネトール等の芳香族エーテルを挙げることができる。これらは一種単独で、或いは複数種を混合して用いることができる。これらの中でも、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、エーテル、及び芳香族エーテルが好ましく、芳香族炭化水素がより好ましい。
ここで、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、通常10,000~1,000,000、好ましくは、10,000~500,000である。このような重量平均分子量の重合体は、各種樹脂成形体の材料として好ましく用いられる。
ジシクロペンタジエン系開環重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、通常4.0以下であり、好ましくは3.5以下である。このような分子量分布を有する重合体を後述する水素化反応に供して得られた水素化物は、成形加工性に優れる。
ジシクロペンタジエン系開環重合体の重量平均分子量(Mw)や分子量分布(Mw/Mn)は、テトラヒドロフランを展開溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算値である。
そして、得られた開環重合体を水素化反応に供する。水素化反応は、ジシクロペンタジエン系開環重合体が存在する系に、(a)水素源として水素化剤を添加し、次いで加熱し反応させることにより、又は、(b)水素化触媒を添加し、次いで水素源としての水素ガスを添加して、ジシクロペンタジエン系開環重合体中に存在する不飽和結合を水素化することにより、行うことができる。これらの中でも、工業的な製造の観点からは、(b)の水素化方法を採用することが好ましい。換言すれば、水素化触媒と水素ガスを用いてジシクロペンタジエン系開環重合体の水素化反応を行うことが好ましい。
前記(a)の方法としては、水素移動型水素化反応(transfer hydrogenation)のための水素化剤(水素源)として既知のヒドラジン含有化合物を用いて、ジシクロペンタジエン系開環重合体に含まれる不飽和結合を水素化する方法が挙げられる。水素化剤としては、特に限定されることなく、例えば、ヒドラジン及びパラトルエンスルホニルヒドラジド等が挙げられ、中でも、パラトルエンスルホニルヒドラジドが好ましい。
前記(b)の方法で用いられる水素化触媒は、開環重合体の水素化触媒として従来公知のものを使用することができる。その具体例としては、RuHCl(CO)(PPh、RuHCl(CO)[P(p-Me-Ph)、RuHCl(CO)(PCy、RuHCl(CO)[P(n-Bu)、RuHCl(CO)[P(i-Pr)、RuH(CO)(PPh、RuH(CO)[P(p-Me-Ph)、RuH(CO)(PCy、RuH(CO)[P(n-Bu)RuH(OCOCH)(CO)(PPh、RuH(OCOPh)(CO)(PPh、RuH(OCOPh-CH)(CO)(PPh、RuH(OCOPh-OCH)(CO)(PPh、RuH(OCOPh)(CO)(PCy、ラネーニッケル、ニッケル珪藻土、酢酸ニッケル、酢酸パラジウム、及びPdCl、RhCl(PPh)等が挙げられる。中でも、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム[RuHCl(CO)(PPh]が好ましい。
水素化反応は、通常、不活性有機溶媒中で行う。用いられうる不活性有機溶媒としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;アニソール、フェネトール等の芳香族エーテル;等が挙げられる。これらは一種単独で、或いは複数種を混合して用いることができる。中でも、脂環族炭化水素及び芳香族炭化水素が好ましい。
また、水素化反応温度等の水素化反応条件は、使用する水素化剤や、水素化触媒に応じて、適宜設定することができる。例えば、水素化反応温度は、通常-20℃以上250℃以下、好ましくは50℃以上220℃以下、より好ましくは100℃以上200℃以下、さらに好ましくは160℃以上200℃以下である。水素化温度が低すぎると反応速度が遅くなりすぎる場合があり、高すぎると副反応が起こる等して水素化速度が低下する場合がある。また、水素化温度を適切な範囲で調節することで、得られるHDCPD重合体の水素化率を所望の値とすることができる。
また、特に、上記(b)に従う水素化方法の場合には、水素圧力は、通常0.01~20MPa、好ましくは0.05~15MPa、より好ましくは0.1~10MPaでありうる。水素圧力が低すぎると水素化速度が遅くなりすぎる場合があり、高すぎると高耐圧反応装置が必要となる点において装置上の制約が生じる。
さらにまた、水素化反応時間は所望の水素化率とできれば特に限定されないが、通常0.1~10時間でありうる。
そして、任意の方法に従う水素化反応が終了した後には、常法に従ってジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を回収すればよい。ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の回収にあたっては、例えば、遠心分離、及びろ過等の既知の手法により、触媒残渣を除去することができる。
<HDCPD重合体の水素化率>
本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物は水素化率が、98.0%以上である必要があり、99.0%以上であることが好ましく、99.2%以上であることがより好ましい。水素化率が上記下限値以上であれば、得られる樹脂材料の強度及びリフロー耐性を一層向上させることができる。ここで、「リフロー耐性」とは、プリント基板等に部品をはんだ付けする際に常用されるリフロー方式に従ってプリント基板材料を加熱した場合の耐性を意味する。リフロー方式に従う加熱の温度プロファイルは、例えば、J-STD-020Cに定められている。なお、水素化率は、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の主鎖及び側鎖に含まれる全不飽和結合のうち水素化された不飽和結合の割合を示す。また、水素化率は1H-NMR測定に基づく値であり、モル基準の値である。
<HDCPD重合体のシンジオタクティシティー>
本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物は、シンジオタクティシティーが99%以上である必要がある。ここで、シンジオタクティシティーとは、立体規則性を有するポリマー鎖中に存在する、イソタクチックダイアッド(メソダイアッド)及びラセモダイアッドの合計存在量に対するラセモダイアッドの割合(以下、単に、「ラセモダイアッドの割合」と称する場合がある)を意味する。特に、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物は、シンジオタクティシティーが99.5%以上であることが好ましく、100%であることがより好ましい。シンジオタクティシティーが上記下限値以上であれば、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の結晶性が十分に高く、得られる樹脂材料等の強度を充分に高めることができる。なお、シンジオタクティシティーは13C-NMR測定に基づく値であり、モル基準の値である。
ここで、本発明において、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のシンジオタクティシティーは、上記したような特定の触媒を用いて、重合時間及び重合温度を含む重合時の諸条件を適宜調節することにより、所望の値まで高めることができる。
<HDCPD重合体のガラス転移温度>
本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のガラス転移温度は、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のガラス転移温度がかかる範囲にあれば、耐熱性が良好で、例えば、得られる樹脂成形体等の荷重たわみ温度が高く、好適である。ガラス転移点の上限は、特に限定されないが、概ね120℃である。
<HDCPD重合体の融点>
本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の融点は、260℃以上300℃以下であることが好ましく、266℃以上295℃以下であることがより好ましく、270℃以上290℃以下であることが特に好ましい。HDCPD重合体の融点が上記下限値以上であれば、耐熱性に優れる樹脂材料を提供することができる。また、HDCPD重合体の融点が上記上限値以下であれば、得られる樹脂材料を加工する際の加工温度を過度に高くする必要性が無くなり、過度に高い加工温度に起因する樹脂材料の劣化を回避することができる。
(樹脂材料)
上述した本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含有する樹脂材料は、強度及び延性の双方が高いレベルにある。樹脂材料は、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の他に、任意成分を含有していてもよい。かかる任意成分としては、特に限定されることなく、例えば、国際公開第2016/143795号に開示された無機充填材、並びに、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、酸捕捉剤、難燃剤、及び難燃助剤等の添加剤が挙げられる。
無機充填材、及び添加剤の配合量は目的に応じて任意に設定することができる。例えば、無機充填材の配合量は、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物100質量部に対して、5質量部以上200質量部以下であり得る。また、添加剤の配合量は、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であり得る。換言すれば、樹脂材料における本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の含有割合は、樹脂材料全体を100質量%として、30質量%以上であり得る。もちろん、樹脂材料が任意成分を含有せず、実質的に100質量%が本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物により構成されていても良い。なお、本明細書において、「実質的に100質量%」とは、例えば、製造時の精製限界等に起因して混入し得る重合溶媒等の不可避的不純物を0.05質量%以下含有し得ることを意味する。
樹脂材料は、特に限定されることなく、例えば、上述のようにして得られた本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物と、任意成分とを混合することにより調製することができる。より具体的には、混合に際して、HDCPD重合体及び任意成分を溶融状態として混練することが挙げられる。混練は、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、及びフィーダールーダー等の溶融混練機を用いて行うことができる。混練温度は、好ましくは250℃~400℃、より好ましくは260℃~350℃の範囲である。混練に際し、各成分を一括添加して混練してもよいし、数回に分けて添加しながら混練してもよい。そして、混錬後は、常法に従って、得られた混練物を棒状に押出し、ストランドカッターで適当な長さに切ることで、ペレット化された樹脂材料を得ることができる。
(樹脂成形体)
本発明の樹脂成形体は、上述した本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含有する。本発明の樹脂成形体は、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含有するので、強度及び延性の双方が高いレベルにある。なお、樹脂成形体は、上述した樹脂材料を任意の形状に成形してなる成形物であり得る。従って、樹脂成形体も、上記樹脂材料に配合され得る各種任意成分を上記した割合で含有していても良い。また、樹脂成形体は、樹脂成形体の全質量を100質量%として、30質量%以上が本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物により構成されていても良く、上述したような任意成分を含有せず、実質的に100質量%が、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物により構成されていても良い。
樹脂成形体を形成するための成形方法としては、溶融成形法が好ましい。溶融成形法としては、例えば、押出成形法、射出成形法、溶融紡糸成形法、プレス成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法等の方法が挙げられる。成形方法は、目的の樹脂成形体の形状に応じて適宜選択することができる。
(樹脂フィルム)
本発明の樹脂フィルムは、上述した本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含有する。本発明の樹脂フィルムは、上述した本発明の樹脂成形体の一種であり、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含有するので、強度及び延性の双方が高いレベルにある。本発明の樹脂フィルムは、上述した樹脂材料をフィルム状に成形してなる成形物であり得る。従って、樹脂フィルムも、上記樹脂材料に配合され得る各種任意成分を上記した割合で含有していても良い。また、樹脂フィルムは、樹脂フィルムの全質量を100質量%として、30質量%以上が本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物により構成されていても良く、上述したような任意成分を含有せず、実質的に100質量%が、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物により構成されていても良い。
樹脂成形体の一種である樹脂フィルムを製造するために好適に用い得る溶融成形法としては、押出成形法が挙げられる。押出成形法により樹脂フィルムを製造する場合、公知の方法を適宜使用することができる。例えば、上記樹脂材料を押出機に投入して、溶融混練し、次いで、押出機に接続したTダイから溶融樹脂を連続的にフィルム状に押出し、これを冷却することで樹脂フィルムを得ることができる。
<樹脂フィルムのガス発生量>
本発明の樹脂フィルムは、加熱発生ガス質量分析法により測定した、室温~300℃までの間に発生した質量数18(m/z)に帰属する気体の発生量が、樹脂フィルムの質量を100質量%として、0.5質量%未満であることが好ましい。ここで、質量数18(m/z)に帰属する気体は、具体的には、HOである。樹脂フィルムのガス発生量が上記上限値未満であれば、樹脂フィルムを所望の用途で使用した際に加熱された場合に放出し得る水分量が充分に少ないため、特に、電気・電子系材料としての適性が高い。なお、上記測定の際にフィルムから発生するHOは、主にフィルムに対する吸着水分である。
樹脂フィルムの厚みは特に限定されないが、通常、1~300μm、好ましくは2~200μmである。
成形して得られた樹脂フィルムに対して、国際公開第2016/143795号に記載されているような、既知の延伸処理や、熱固定処理を施してもよい。
延伸処理を行うことで、結晶化度が高く、より強度に優れる樹脂フィルムが得られる。また、熱固定処理をすることで、熱収縮率が小さい樹脂フィルムが得られる。
さらに、本発明の樹脂フィルムの両面または片面に、金属層を公知の方法により積層した積層フィルムは、フレキシブルプリント基板材料として、好適に用いることができる。積層フィルムの製造方法としては、樹脂フィルムと金属層を構成するための金属箔とを熱プレスしつつ、樹脂フィルムの融点付近迄加温して融着させる方法、樹脂フィルムと金属層を構成するための金属箔とを、接着層を介して接着する方法、及び樹脂フィルムをスパッタまたはめっき処理することで樹脂フィルムの両面又は片面上に金属層を形成する方法等があげられる。
金属層としては、銅、金、銀、アルミニウム、ニッケル、及びクロム等の金属を含有する層が挙げられる。これらの中でも、フレキシブルプリント基板材料として有用な積層フィルムが得られることから、銅が好ましい。また、上記接着層は、エポキシフィルム等の市販の接着シートにより形成することができる。
金属層の厚みは特に限定されず、積層フィルムの使用目的に合わせて適宜決定することができる。金属層の厚みは、通常、1~35μmであり、好ましくは3~18μmである。
(延伸フィルムの製造方法)
本発明の延伸フィルムの製造方法は、本発明に従うジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を用いて形成した未延伸フィルムを、95℃以上130℃以下の温度で延伸処理する延伸工程を含むことを特徴とする。なお、「未延伸フィルム」は、上述した本発明の樹脂フィルムであって、延伸処理を施していないものを指す。さらに、本発明の延伸フィルムの製造方法は、熱固定処理工程を更に含むことが好ましい。以下、各工程について詳述する。
<延伸工程>
延伸工程では、上記所定の未延伸フィルムを95℃以上130℃以下の温度で延伸処理する。ここで、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物は、シンジオタクティシティー及び水素化率の値が共に高いレベルにある。かかる本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を用いて形成した未延伸フィルムは、結晶性が高く、強度に富む一方で、従来法に従って延伸処理を施した際にヘイズが生じ易く、透明性の高い延伸フィルムが得られないことがあった。そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、延伸処理の際の温度を、95℃以上130℃以下とすることで、延伸フィルムの曇り度(即ち、ヘイズ)の値が過度に高くならないようにしつつ、未延伸フィルムを良好に延伸することができることが明らかになった。より具体的には、延伸処理の際の温度を95℃以上とすることで、延伸時に未延伸フィルムが硬すぎて延伸し難くなりフィルムが破断することを抑制するとともに、生産性が悪化することを抑制することができる。また、延伸処理の際の温度を130℃以下とすることで、延伸工程を経て得られたフィルムにヘイズが発生することを抑制するとともに、得られたフィルムが熱膨張し易くなることを抑制することができる。さらに、ヘイズ及び熱膨張に関するこれらの効果を一層高める観点から、延伸処理の際の温度が125℃以下であることが好ましく、115℃以下であることがより好ましい。なお、フィルムが熱膨張し易いか否かは、線膨張係数によって定量的に表すことができる。線膨張係数は、1℃の温度変化で長さの変化する割合(単位:ppm/℃)で表される。
延伸処理は、特に限定されることなく、既知の方途に従って実施することができる。具体的には、ロール間の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法、及びテンター延伸機を用いて横方向に一軸延伸する方法等の一軸延伸法;固定するクリップの間隔を開いての縦方向の延伸と同時に、ガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法、及びロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後、その両端部をクリップ把持してテンター延伸機を用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法などの二軸延伸法;並びに、横又は縦方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機を用いてフィルムの幅方向に対して任意の角度θの方向に連続的に斜め延伸する方法などが挙げられる。中でも、二軸延伸法が好ましい。
また、延伸工程における延伸倍率は、1.2倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましく、10倍以下が好ましく、5倍以下がより好ましい。延伸倍率が上記下限値以上であれば、得られるフィルムが過度に熱膨張し易くなることを抑制することができる。また、延伸倍率が上記上限値以下であれば、ヘイズの発生を抑制することができる。尚、延伸方法として、各種の二軸延伸法を採用した場合には延伸倍率は、縦と横の延伸倍率の積によって規定される。
また、延伸工程における延伸速度は、延伸温度に応じて調節することが好ましい。より具体的には、延伸温度が高くなるほど、フィルムにて結晶化の進行が促進されるため、効率的且つ良好に延伸工程を実施する観点から、延伸速度を速めることが好ましい。
<熱固定処理工程>
熱固定処理工程では、延伸工程を経たフィルムを、175℃以上225℃以下の温度で熱処理する。延伸工程を経たフィルムに対して熱固定処理を施すことで、熱固定処理工程を経て得られたフィルムが熱膨張し易くなること、及びフィルムにヘイズが発生することを一層効果的に抑制することができる。特に、フィルムが熱膨張し難い、ということは、フィルムの寸法安定性が高い、ということを意味する。さらに、熱固定処理工程における熱固定温度は、フィルムが熱膨張し易くなることをより一層良好に抑制する観点から、190℃以上であることが好ましく、205℃以上であることがより好ましい。
本工程における熱処理方法は、特に限定されることなく、例えば、熱処理オーブン内に熱風を吹き込むこと、及び、赤外線ヒーターのような熱源を用いた輻射熱によって加熱すること、等が挙げられる。
本工程における熱処理時間(熱固定時間)は、10秒以上が好ましく、20秒以上がより好ましく、10分以下が好ましく、5分以下がより好ましく、2分以下が更に好ましい。特に、熱固定時間が上記上限以下であれば、得られるフィルムにヘイズが発生することを一層効果的に抑制することができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。なお、圧力はゲージ圧力である。
各例における測定及び評価は、以下の方法により行った。
<開環重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)>
テトラヒドロフランを溶媒として、40℃でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を行い、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)をポリスチレン換算値として求めた。
測定装置:ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)システム「HLC-8320」(東ソー社製)
カラム:「Hタイプカラム」(東ソー社製)
<HDCPD重合体の融点>
示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度が10℃/分の条件で示差走査熱量測定を行い、HDCPD重合体の融点を測定した。
<HDCPD重合体の水素化率>
H-NMR測定に基づいて、HDCPD重合体中の不飽和結合の水素化率を求めた。
<HDCPD重合体のシンジオタクティシティー>
オルトジクロロベンゼン-d/1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)-d(混合比(質量基準)1/2)を溶媒として、200℃でinverse-gated decoupling法を適用して13C-NMR測定を行い、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のラセモダイアッドの割合を求めた。具体的には、オルトジクロロベンゼン-dの127.5ppmのピークを基準シフトとして、メソ・ダイアッド由来の43.35ppmのシグナルと、ラセモダイアッド由来の43.43ppmのシグナルの強度比に基づいて、ラセモダイアッドの割合(%)を求めた。
<樹脂フィルム(無延伸フィルム及び延伸フィルム)の強度及び延性>
実施例1~9、及び比較例1~2で得られた無延伸フィルム及び実施例10~15で得られた延伸フィルムを、JIS K7127:1999規格の試験片タイプ1Bの形状でMD方向(MD:Machine Direction)に打ち抜き、引張試験用サンプルを作製した。得られたサンプルを、万能材料試験機(「インストロン社製」、5582型)にて、試験速度100m/分で引張試験を行い、引張強度(強度)と破断伸び(延性)を測定した。試験結果は、5サンプルの平均値とした。
<樹脂フィルムのリフロー耐性>
実施例1~9、比較例1~2で得られた樹脂フィルムである延伸フィルムを、5cm角で切り出し、10cm角に切り出した0.8mm厚の銅張積層板(パナソニック社製、「R-1766」)上に、4辺をポリイミドテープで固定した状態で貼りつけて試験片とした。この試験片を、J-STD-020Cに準拠し、260℃をピーク温度に設定した小型リフロー炉(アントム社製、「HAS-6116H」)へ1回投入し、取り出した後の試験片の外観を目視にて評価した。評価は各例について3個の試験片について行い、以下の基準に従って評価した。
A:3個の試験片のいずれにも変形がない。
B:1~2個の試験片に変形がある。
C:3個の試験片全てに変形がある。
<樹脂フィルムのガス発生量>
実施例1~9、比較例1~2で得られた樹脂フィルムである延伸フィルム0.5mgを、温度23℃,湿度60%の恒温恒湿槽内に24時間以上静置した後、秤量して、初期質量W0を得た。そして、かかる延伸フィルムを、加熱発生ガス質量分析装置(昇温脱離ガス分析装置)にてヘリウム気流下、昇温速度10℃/minにて、室温~300℃迄分析した。樹脂フィルムの初期質量を100質量%として、水に由来する質量数18(m/z)の成分の量が占める割合を算出し、以下の基準により評価した。
A:0.5質量%未満
B:0.5質量%以上
<ヘイズ(曇り度)>
実施例10~15で得られた延伸フィルムから、50mm×50mmの正方形薄膜サンプルを切り出し、ヘイズメーター(日本電色工業社製、「NDH5000」)を用いて、曇り度(散乱光/全光線透過光×100(%))の値を得た。
<線膨張係数>
実施例10~15で得られた延伸フィルムから、MD(Machine Direction)方向20mm×TD(Transverse Direction)方向4mmの長方形薄膜サンプルを切り出した後、TMA(日立ハイテクサイエンス社製、「TMASS7100」)を用いて、温度範囲40℃~80℃、及び120℃~160℃での線膨張係数(ppm/℃=μm/℃/m)をそれぞれ測定した。
(実施例1)
<ジシクロペンタジエン系開環重合体の調製>
内部を窒素置換した金属製耐圧反応容器に、トルエン344部、ジシクロペンタジエン(エンド体含有率99%以上)のトルエン溶液(濃度35%)286部(ジシクロペンタジエンとして100部)、1-ヘキセン8部を加え、全容を35℃に加熱した。
一方、表2に示す重合触媒No.1で示される開環重合触媒であるタングステン錯体0.086部を29部のトルエンに溶解して触媒溶液を調製した。この触媒溶液を前記反応器内に添加し、35℃で1時間、開環重合反応を行い、ジシクロペンタジエン系開環重合体を含む溶液を得た。なお、表2にて、「Me」はメチル基を示す。
得られたジシクロペンタジエン系開環重合体を含む溶液667部に、停止剤として、2-プロパノール1.1部を加えて、重合反応を停止させた。
この溶液の一部を用いて、ジシクロペンタジエン系開環重合体の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は24,600、数平均分子量(Mn)は8,600、分子量分布(Mw/Mn)は2.86であった。
<開環重合体の水素化>
得られたジシクロペンタジエン系開環重合体を含む反応液を、攪拌機、温調ジャケット付きの金属製耐圧容器に移送した後、トルエン330部、水素化触媒としてのカルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.027部を添加した。次いで全容を回転数64rpmで撹拌しながら、水素圧2.0MPa、120℃まで昇温・昇圧し、さらに0.03MPa/minで4.0MPaまで、1℃/minで180℃まで昇温・昇圧を行った後に6時間水素添加反応を行なった。冷却後の反応液は、固形分が析出したスラリー液であった。
反応液を遠心分離することにより、固形分と溶液とを分離し、固形分を、120℃で24時間減圧乾燥し、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物90部を得た。
得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の水素化率は99.5%、融点は276℃、ラセモダイアッドの割合(即ち、シンジオタクティシティー)は100%であった。また、示差走査熱量計(DSC)を用いて、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のガラス転移温度が90℃以上120℃以下であることを確認した。
<樹脂材料の調製>
上記のようにして得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物20部に、酸化防止剤(テトラキス〔メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、製品名「イルガノックス(登録商標)1010」、BASFジャパン社製)0.16部を混合した後、混合物を二軸押出し機(TEM-37B、東芝機械社製)に投入し、熱溶融押出し成形により、ストランド状の成形体を得た。その後、かかるストランド状の成形体をストランドカッターにて細断し、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含む樹脂材料であるペレットを得た。
二軸押出し機の運転条件を、以下に示す。
・バレル設定温度:280~290℃
・ダイ設定温度:260℃
・スクリュー回転数:145rpm
・フィーダー回転数:50rpm
<樹脂フィルム(無延伸)の製造>
上記に従って得られた樹脂材料(ペレット)を、Tダイを備える熱溶融押出しフィルム成形機(Optical Control Systems社製、製品名「Measuring Extruder Type Me-20/2800V3」)を用いて、幅130mmのフィルムを1m/分の速度でロールに巻き取ることで、厚さ100μmのジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含む樹脂フィルムである無延伸フィルムを得た。
フィルム成形機の運転条件を、以下に示す。
・バレル温度設定:290℃~300℃
・ダイ温度:280℃
・スクリュー回転数:35rpm
<樹脂フィルム(延伸)の製造>
上記に従って得られた樹脂フィルム(無延伸フィルム)を120mm角に切り出し、多槽式二軸延伸複屈折配向軸測定装置(ヱトー社製)にて、同時2軸延伸処理及び熱固定処理を行うことにより、厚さ25μmのジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含む樹脂フィルムであるジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の延伸フィルムを得た。
多槽式二軸延伸複屈折配向軸測定装置の運転条件を、以下に示す。
・延伸速度:15mm/sec
・延伸温度:130℃
・延伸倍率:MD(Machine Direction)方向2倍、TD(Transverse Direction)方向2倍
・熱固定温度:220℃
・熱固定時間:60秒
(実施例2)
<開環重合体の水素化>工程における水素添加反応を185℃で行ったこと以外は実施例1と同様にして、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物27.2部を得た。
ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の水素化率は99.2%、融点は272℃、ラセモダイアッドの割合(シンジオタクティシティー)は100%であった。また、示差走査熱量計(DSC)を用いて、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のガラス転移温度が90℃以上120℃以下であることを確認した。
得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を、実施例1と同様に処理して、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のペレット、無延伸フィルム、延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様にして各種測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
<開環重合体の水素化>工程水素添加反応を190℃で行ったこと以外は実施例1と同様にして、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物26.9部を得た。
ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の水素化率は98.6%、融点は269℃、ラセモダイアッドの割合(シンジオタクティシティー)は100%であった。また、示差走査熱量計(DSC)を用いて、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のガラス転移温度が90℃以上120℃以下であることを確認した。
そして、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を、実施例1と同様に処理して、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のペレット、無延伸フィルム、延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様にして各種測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
<ジシクロペンタジエン系開環重合体の調製>工程において、25℃で5時間、開環重合反応を行った以外は、実施例1と同様に行い、ジシクロペンタジエン系開環重合体を含む溶液を得た。この溶液の一部を用いて、ジシクロペンタジエン系開環重合体の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は23,600、数平均分子量(Mn)は8,700、分子量分布(Mw/Mn)は2.71であった。同様に以降の工程を行い、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物26.9部を得た。ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の水素化率は99.4%、融点は276℃、ラセモダイアッドの割合(シンジオタクティシティー)は100%であった。また、示差走査熱量計(DSC)を用いて、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のガラス転移温度が90℃以上120℃以下であることを確認した。
そして、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を、実施例1と同様に処理して、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のペレット、無延伸フィルム、延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様にして各種測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
<ジシクロペンタジエン系開環重合体の調製>工程において、80℃で1時間、開環重合反応を行った以外は、実施例1と同様に行い、ジシクロペンタジエン系開環重合体を含む溶液を得た。この溶液の一部を用いて、ジシクロペンタジエン系開環重合体の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は26,100、数平均分子量(Mn)は8,100、分子量分布(Mw/Mn)は3.22であった。同様に以降の工程を行い、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物26.9部を得た。ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の水素化率は99.5%、融点は276℃、ラセモダイアッドの割合(シンジオタクティシティー)は100%であった。また、示差走査熱量計(DSC)を用いて、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のガラス転移温度が90℃以上120℃以下であることを確認した。
そして、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を、実施例1と同様に処理して、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のペレット、無延伸フィルム、延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様にして各種測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
<ジシクロペンタジエン系開環重合体の調製>工程において、表2に示す重合触媒No.2であるタングステン錯体0.100部を用いて開環重合反応を行った以外は、実施例1と同様に行い、ジシクロペンタジエン系開環重合体を含む溶液を得た。この溶液の一部を用いて、ジシクロペンタジエン系開環重合体の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は24,300、数平均分子量(Mn)は8,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.96であった。得られた溶液を2‐プロパノール2000部に混合して凝固し、濾別・乾燥してジシクロペンタジエン系開環重合体99部を得た。
<開環重合体の水素化>
ガラス製フラスコに、ジシクロペンタジエン系開環重合体30.0部と、水素化剤であるパラトルエンスルホニルヒドラジド170部と、パラキシレン600部とを混合し、乾燥窒素雰囲気下にて120℃に加温し、4時間反応させた。反応液は、固形分が析出したスラリー液であった。反応液を遠心分離することにより、固形分と溶液とを分離し、固形分を60℃で24時間減圧乾燥し、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物27.0部を得た。
得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の水素化率は99.4%、融点は284℃、ラセモダイアッドの割合(シンジオタクティシティー)は100%であった。また、示差走査熱量計(DSC)を用いて、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のガラス転移温度が90℃以上120℃以下であることを確認した。
そして、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を、実施例1と同様に処理して、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のペレット、無延伸フィルム、延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様にして各種測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
表2に示す重合触媒No.3であるタングステン錯体0.100部を用いて開環重合反応を行った以外は、実施例6と同様に行い、ジシクロペンタジエン系開環重合体を含む溶液を得た。この溶液の一部を用いて、ジシクロペンタジエン系開環重合体の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は25,000、数平均分子量(Mn)は8,500、分子量分布(Mw/Mn)は2.94であった。得られた溶液を2‐プロパノール2000部に混合して凝固し、濾別・乾燥してジシクロペンタジエン系開環重合体99部を得た。
同様に以降の工程を行い、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物26.9部を得た。ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の水素化率は99.6%、融点は286℃、ラセモダイアッドの割合(シンジオタクティシティー)は99%であった。また、示差走査熱量計(DSC)を用いて、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のガラス転移温度が90℃以上120℃以下であることを確認した。
そして、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を、実施例1と同様に処理して、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のペレット、無延伸フィルム、延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様にして各種測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
表2に示す重合触媒No.4であるタングステン錯体0.100部を用いて開環重合反応を行った以外は、実施例6と同様に行い、ジシクロペンタジエン系開環重合体を含む溶液を得た。この溶液の一部を用いて、ジシクロペンタジエン系開環重合体の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は23,900、数平均分子量(Mn)は8,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.91であった。得られた溶液を2‐プロパノール2000部に混合して凝固し、濾別・乾燥してジシクロペンタジエン系開環重合体99部を得た。
同様に以降の工程を行い、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物26.9部を得た。ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の水素化率は99.5%、融点は285℃、ラセモダイアッドの割合(シンジオタクティシティー)は100%であった。また、示差走査熱量計(DSC)を用いて、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のガラス転移温度が90℃以上120℃以下であることを確認した。
そして、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を、実施例1と同様に処理して、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のペレット、無延伸フィルム、延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様にして各種測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
表2に示す重合触媒No.5であるタングステン錯体0.100部を用いて開環重合反応を行った以外は、実施例6と同様に行い、ジシクロペンタジエン系開環重合体を含む溶液を得た。この溶液の一部を用いて、ジシクロペンタジエン系開環重合体の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は25,300、数平均分子量(Mn)は8,400、分子量分布(Mw/Mn)は3.01であった。得られた溶液を2‐プロパノール2000部に混合して凝固し、濾別・乾燥してジシクロペンタジエン系開環重合体99部を得た。
同様に以降の工程を行い、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物26.9部を得た。ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の水素化率は99.2%、融点は287℃、ラセモダイアッドの割合(シンジオタクティシティー)は100%であった。また、示差走査熱量計(DSC)を用いて、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のガラス転移温度が90℃以上120℃以下であることを確認した。
そして、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を、実施例1と同様に処理して、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のペレット、無延伸フィルム、延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様にして各種測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
<開環重合体の水素化>工程における水素添加反応を190℃で4時間行ったこと以外は実施例1と同様にして、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物25.4部を得た。ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の水素化率は97.8%、融点は265℃、ラセモダイアッドの割合(シンジオタクティシティー)は100%であった。
そして、得られたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を、実施例1と同様に処理して、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物のペレット、無延伸フィルム、延伸フィルムを得た。そして、実施例1と同様にして各種測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
以下のようにして、シンジオタクティシティーが89%、水素化率が99.5%のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を調製した。
<ジシクロペンタジエン系開環重合体の調製>
濃度19%のジエチルアルミニウムエトキシドのn-ヘキサン溶液0.3部、テトラクロロタングステンフェニルイミド(テトラヒドロフラン)錯体(表2に示す重合触媒No.6)0.1部を3部のトルエンに溶解させて触媒溶液を得た。
一方、内部を十分に乾燥し、窒素で置換した、攪拌機、温調ジャケット付きの金属製反応器(住友重機械工業社製)に、シクロヘキサン350部、1-ヘキセン6.4部、濃度70%のジシクロペンタジエン(エンド体含有率99%以上)のシクロヘキサン溶液145部を入れ、全容を50℃に昇温した。そこへ、前記触媒溶液を加えて、開環重合反応を開始させた。
全容を55℃に保ちながら270分攪拌した後、メタノール1.5部を加え、開環重合反応を停止させた。なお、重合反応液にメタノールを添加することで、触媒分を不溶化させる効果も得られる。
得られた重合反応液に含まれるジシクロペンタジエン系開環重合体の重量平均分子量(Mw)は28,700、数平均分子量(Mn)は9570、分子量分布(Mw/Mn)は3.0であった。
得られた重合反応液に、濾過助剤として珪藻土(昭和化学工業社製、ラヂオライト#1500)1部を加えた。この懸濁液に対して、リーフフィルター(IHI社製、CFR2)にて濾過処理を行い、不溶化した触媒分を珪藻土とともに濾別し、ジシクロペンタジエン系開環重合体の溶液を得た。
<開環重合体の水素化>
上記に従って得たジシクロペンタジエン系開環重合体の溶液を、攪拌機、温調ジャケット付きの反応器(住友重機械工業社製)に移送した後、ジシクロペンタジエン系開環重合体の濃度が9%になるようにシクロヘキサン600部、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.1部を加えた。次いで、全容を回転数64rpmで攪拌しながら、水素圧4MPa、温度180℃にて6時間水素化反応を行い、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の粒子を含有するスラリーを得た。
このようにして得られたスラリーを遠心分離することにより、固形分と溶液とを分離し、固形分を、60℃で24時間減圧乾燥し、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物27.0部を得た。
ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の水素化率は99.5%、融点は265℃、ラセモダイアッドの割合(シンジオタクティシティー)は89%であった。
<樹脂材料の調製>
二軸押出し機の運転時に、バレル設定温度を270~280℃とし、ダイ設定温度を250℃とした以外は、実施例1と同様にして、ペレットを得た。
<樹脂フィルム(無延伸)の製造>
フィルム成形機の運転条件を、以下に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、無延伸フィルムを得た。得られた無延伸フィルムについて、上記に従って引張強度及び破断伸びを測定した。結果を表1に示す。
・バレル温度設定:280℃~290℃
・ダイ温度:270℃
・スクリュー回転数:30rpm
<樹脂フィルム(延伸)の製造>
実施例1と同じ操作をして、延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムについて、リフロー耐性及びガス発生量を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007218753000005
Figure 0007218753000006
表1より明らかなように、シンジオタクティシティーが100%であり、且つ、水素化率が98.0%以上である実施例1~3のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物によれば、強度及び延性が高いレベルで両立された樹脂成形体等を形成可能であったことが分かる。従って、本発明のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物は、各種樹脂成形体及びフィルム等の製造に好適に利用することができる。また、実施例1~3で製造した、シンジオタクティシティーが100%であり、水素化率が98.0%以上であるジシクロペンタンジエン系開環重合体水素化物を含む二軸延伸フィルムは、リフロー耐性に優れるとともに、フィルムからのガス発生量が少ないため、特に電気・電子用材料として有用である。
(実施例10)
実施例1と同様にして作製した、無延伸の樹脂フィルム(未延伸フィルム)を、下記のような延伸工程、及び熱固定処理工程に供することで、延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムについて、上記に従ってヘイズ、引張強度、破断伸び、及び線膨張係数を測定した。結果を表3に示す。
<延伸工程及び熱固定処理工程>
上記に従って得られた未延伸フィルムを120mm角に切り出し、多槽式二軸延伸複屈折配向軸測定装置(ヱトー社製)にて、下記条件に従う延伸工程と、熱固定処理工程とをこの順で実施した。その結果、厚さ25μmのジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含む樹脂フィルムであるジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の延伸フィルムを得た。
-延伸工程
・同時2軸延伸処理
・延伸速度:3.3mm/sec
・延伸温度:100℃
・延伸倍率:MD(Machine Direction)方向2倍、TD(Transverse Direction)方向2倍
-熱固定処理工程
・熱固定温度:220℃
・熱固定時間:30秒
(実施例11~15)
延伸工程における延伸温度、延伸速度、及び熱固定処理工程における熱固定温度を、それぞれ表3に示す通りに変更した以外は、実施例10と同様にして、延伸フィルムを得て、各種測定を行った。結果を表3に示す。
Figure 0007218753000007
実施例10~15にて、シンジオタクティシティーが100%であり、且つ、水素化率が98.0%以上であるジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を用いて形成した未延伸フィルムを、95℃以上130℃以下の延伸温度で延伸処理することで、延伸フィルムを良好に製造可能であることを確認した。特に、表3より、延伸温度を調節することにより、得られる延伸フィルムにヘイズが生じることを効果的に抑制し得ることが分かる。
本発明によれば、強度及び延性が高いレベルで両立された樹脂成形体等を形成可能な、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を提供することができる。
さらに、本発明によれば、強度及び延性が高いレベルで両立された樹脂フィルム、樹脂成形体を提供することができる。
そして、本発明によれば、強度及び延性が高いレベルで両立された樹脂フィルムを用いて、延伸フィルムを良好に製造し得る、延伸フィルムの製造方法を提供することができる。

Claims (8)

  1. シンジオタクティシティーが99%以上、且つ、水素化率が98.0%以上であり、融点が266℃以上295℃以下である、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物。
  2. 水素化率が99.0%以上である、請求項1に記載のジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物。
  3. 請求項1又は2に記載されたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含有する、樹脂成形体。
  4. 請求項1又は2に記載されたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を含有する、樹脂フィルム。
  5. 加熱発生ガス質量分析法により測定した、室温~300℃までの間に発生した質量数18(m/z)に帰属する気体の発生量が、樹脂フィルムの初期質量を100質量%として、0.5質量%未満である、請求項4に記載の樹脂フィルム。
  6. 以下の一般式(α)で表される開環重合触媒を用いて、ジシクロペンタジエンを含む単量体を開環重合して、ジシクロペンタジエン系開環重合体を得る開環重合工程と、
    前記ジシクロペンタジエン系開環重合体を水素化して、水素化率が98.0%以上であり、融点が266℃以上295℃以下であるジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を得る水素化工程と、
    を含む、ジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物の製造方法。
    Figure 0007218753000008
    [式(α)中、Phはフェニル基を示し、R1、R2は、それぞれ独立して、炭素数1~6の一価の直鎖状、分岐鎖状、又は環状の炭化水素基を示し;Xは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、又はシアノ基を示し、また、nは0~5の整数を示すとともに、nが1以上の整数の場合には、複数のXは同一であっても相異なっていても良く;Yは、C(R324を示し(ここで、それぞれのR3は、独立して、-R5、-OR5、-SR5、-N(R5、-OC(O)R5、-S(O)R5、-SO5、-SON(R5、-C(O)N(R5、-NR5C(O)R5、又は-NR5SO5であり、さらにここで、それぞれのR5は、独立して、水素、炭素数1~12の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する炭素数1~10のヘテロアルキル基、フェニル基、三~七員の飽和若しくは一部不飽和の炭素環、六~十員の二環式の飽和の環、一部不飽和の環、若しくはアリール環、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する五~六員の単環式ヘテロアリール環、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する三~七員の飽和若しくは一部不飽和の複素環、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する七~十員の二環式の飽和若しくは一部不飽和の複素環、及び、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する八~十員の二環式ヘテロアリール環から選択される、任意選択的に置換された基であるか、或いは、任意で、2個のR5が、介在している原子と共に任意選択的に組み合わされ、前記介在している原子に加えて、窒素、酸素、又は硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された三~十員の単環式又は二環式の、飽和の環、一部不飽和の環、又はアリール環を形成してなり;R4は、任意選択的に置換されたフェニル基である。);及び、Zは、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロアリール基を示す。]
  7. 請求項1又は2に記載されたジシクロペンタジエン系開環重合体水素化物を用いて形成した未延伸フィルムを、95℃以上130℃以下の延伸温度で延伸処理する延伸工程を含む、延伸フィルムの製造方法。
  8. 前記延伸工程を経たフィルムを、175℃以上225℃以下の熱固定温度で熱処理する熱固定処理工程を更に含む、請求項7に記載の延伸フィルムの製造方法。
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