JP2017170735A - 導体層付樹脂フィルム、及びプリント配線基板 - Google Patents

導体層付樹脂フィルム、及びプリント配線基板 Download PDF

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Abstract

【課題】プリント配線基板材料として好適に用いられる導体層付樹脂フィルム、及び、この導体層付樹脂フィルムを使用したプリント配線基板を提供する。【解決手段】結晶性の脂環式構造含有樹脂を含有する樹脂フィルムで構成された樹脂層と、前記樹脂層に隣接する導体層とを有する導体層付樹脂フィルムであって、前記樹脂層を構成する樹脂フィルムが、200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃以下のものであることを特徴とする導体層付樹脂フィルム、及び、この導体層付樹脂フィルムを使用したプリント配線基板。【選択図】 なし

Description

本発明は、プリント配線基板材料として好適に用いられる導体層付樹脂フィルム、及び、この導体層付樹脂フィルムを使用したプリント配線基板に関する。
高速伝送信号や高周波信号を使用する電子機器の配線基板としては、低誘電率、かつ、低誘電損失の絶縁樹脂層を有するものが求められる。このような誘電特性を有する樹脂としては、脂環式構造含有樹脂が知られている。特に、結晶性の脂環式構造含有樹脂は、融点が高く、半田リフロー温度にも十分耐え得ることから、銅張積層板(CCL)やフレキシブル銅張積層板(FCCL)等のプリント配線基板材料の絶縁樹脂層の樹脂成分として期待されている。
例えば、特許文献1には、特定の開環重合触媒を用いることにより、融点を有する(すなわち、結晶性を有する)ノルボルネン系開環重合体水素化物が得られること、及びこの結晶性を有するノルボルネン系開環重合体水素化物が、機械的強度や耐熱性に優れることが開示されている。
特開2002−20464号公報
上記のように結晶性の脂環式構造含有樹脂は、その誘電特性や耐熱性等の観点からプリント配線基板材料の樹脂成分として適すると考えられる。
しかしながら、結晶性の脂環式構造含有樹脂を含有する樹脂フィルム(以下、「樹脂フィルム(A)」ということがある。)と金属箔とを熱プレスしてプリント配線基板材料を製造する場合、以下の問題があった。
すなわち、樹脂フィルム(A)と金属箔とを熱プレスして貼り合わせる際の加熱工程や冷却工程において、樹脂フィルム(A)や金属箔は、それぞれ異なる変化量で膨張したり収縮したりするため、得られるプリント配線基板材料中の絶縁樹脂層内に残留応力が発生する。
この結果、多層基板製造時に寸法精度が出せず、結晶性の脂環式構造含有樹脂が有する誘電特性を十分に生かせないという問題があった。
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、プリント配線基板材料として好適に用いられる導体層付樹脂フィルム、及び、この導体層付樹脂フィルムを使用したプリント配線基板を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃以下の樹脂フィルム(A)(以下、「樹脂フィルム(A’)」ということがある。)を使用することで、熱プレス時に絶縁樹脂層内に発生する残留応力を低減化できること、及び、このような特性を有する樹脂フィルム(A’)は、未延伸の樹脂フィルム(A)に対して、延伸処理と熱処理を施すことにより効率よく得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記〔1〕〜〔3〕の導体層付樹脂フィルム、及び〔4〕のフレキシブルプリント基板が提供される。
〔1〕結晶性の脂環式構造含有樹脂を含有する樹脂フィルムで構成された樹脂層と、前記樹脂層に隣接する導体層とを有する導体層付樹脂フィルムであって、前記樹脂層を構成する樹脂フィルムが、200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃以下のものであることを特徴とする導体層付樹脂フィルム。
〔2〕前記脂環式構造含有樹脂がジシクロペンタジエン開環重合体水素化物である、〔1〕に記載の導体層付樹脂フィルム。
〔3〕前記導体層が銅を含有するものである、〔1〕又は〔2〕に記載の導体層付樹脂フィルム。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の導体層付樹脂フィルムを使用したプリント配線基板。
本発明によれば、プリント配線基板材料として好適に用いられる導体層付樹脂フィルム、及び、この導体層付樹脂フィルムを使用したプリント配線基板が提供される。
以下、本発明を、1)導体層付樹脂フィルム、及び、2)プリント配線基板、に項分けして詳細に説明する。
1)導体層付樹脂フィルム
本発明の導体層付樹脂フィルムは、結晶性の脂環式構造含有樹脂を含有する樹脂フィルムで構成された樹脂層と、前記樹脂層に隣接する導体層とを有する導体層付樹脂フィルムであって、前記樹脂層を構成する樹脂フィルムが、200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃以下のものであることを特徴とする。
(樹脂層)
本発明の導体層付樹脂フィルムを構成する樹脂層は、結晶性の脂環式構造含有樹脂を含有する樹脂フィルム〔樹脂フィルム(A)〕であって、200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃以下のもの〔樹脂フィルム(A’)〕で構成される。
樹脂フィルム(A’)に含まれる結晶性の脂環式構造含有樹脂は、環状オレフィンを重合して得られる重合体であって、分子内に脂環式構造を有し、結晶性を有する高分子(以下、「重合体(α)」ということがある。)である。「結晶性」とは、測定条件等を最適化することにより、示差走査熱量計(DSC)で融点を観測することができるという性質をいい、重合体鎖の立体規則性により定まる性質である。
重合体(α)としては、国際公開第2012/033076号パンフレットに記載の、シンジオタクチック立体規則性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物、特開2002−249553号公報に記載の、アイソタクチック立体規則性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物、特開2007−16102号公報に記載の、ノルボルネン開環重合体水素化物等の公知のものを用いることができる。
重合体(α)の融点は、好ましくは、180〜350℃、より好ましくは200〜320℃、特に好ましくは220〜300℃である。
融点がこの範囲にある重合体(α)は、成形性と耐熱性とのバランスが良好なものとなる。
重合体(α)としては、本願発明の導体層付樹脂フィルムを効率よく製造し得ることから、シンジオタクチック立体規則性を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物(以下、「重合体(α1)」ということがある。)が好ましい。
重合体(α1)の立体規則性の程度は特に限定されないが、耐熱性に優れる樹脂層を効率よく形成し得ることから、立体規則性の程度がより高いものが好ましい。
具体的には、ジシクロペンタジエンを開環重合して、次いで水素化して得られる繰り返し単位についてのラセモ・ダイアッドの割合が、51%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
ラセモ・ダイアッドの割合が高いものほど、すなわち、シンジオタクチック立体規則性の高いものほど、高い融点を有するジシクロペンタジエン開環重合体水素化物となる。
ラセモ・ダイアッドの割合は、13C−NMRスペクトル分析で測定し、定量することができる。具体的には、オルトジクロロベンゼン−d4を溶媒として、150℃でinverse−gated decoupling法を適用して13C−NMR測定を行い、オルトジクロロベンゼン−d4の127.5ppmのピークを基準シフトとして、メソ・ダイアッド由来の43.35ppmのシグナルと、ラセモ・ダイアッド由来の43.43ppmのシグナルの強度比からラセモ・ダイアッドの割合を決定することができる。
ジシクロペンタジエンには、エンド体及びエキソ体の立体異性体が存在するが、本発明においては、そのどちらも単量体として用いることができる。また、一方の異性体のみを単独で用いてもよいし、エンド体及びエキソ体が任意の割合で存在する異性体混合物を用いてもよい。本発明においては、重合体(α1)の結晶性が高まり、耐熱性により優れる樹脂層をより形成しやすいことから、一方の立体異性体の割合を高くすることが好ましい。例えば、エンド体又はエキソ体の割合が、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。なお、合成が容易であることから、エンド体の割合が高いことが好ましい。
重合体(α1)を合成する際、単量体として、ジシクロペンタジエンのみを用いてもよいし、ジシクロペンタジエンと共重合可能な他の単量体を用いてもよい。他の単量体としては、ジシクロペンタジエン以外のノルボルネン類や、環状オレフィン類、ジエン類等が挙げられる。
他の単量体を用いる場合、その使用量は、単量体全量中、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
開環重合体のシンジオタクチック立体規則性の度合いは、開環重合触媒の種類を選択すること等により、調節することができる。
重合体(α1)を合成する際に用いる開環重合触媒は、ジシクロペンタジエンを開環重合させ、シンジオタクチック立体規則性を有する開環重合体が得られるものであれば、特に限定されない。好ましい開環重合触媒としては、下記式(1)で示される金属化合物を含有するものが挙げられる。
Figure 2017170735
式(1)中、Mは周期律表第6族の遷移金属原子から選択される金属原子であり、Rは3,4,5位の少なくとも1つの位置に置換基を有していてもよいフェニル基、又は−CH(Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基から選択される基である。)で表される基であり、Rは置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基から選択される基であり、Xはハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基及びアルキルシリル基から選択される基であり、Lは電子供与性の中性配位子である。aは0又は1であり、bは0〜2の整数である。
Mは、周期律表第6族の遷移金属原子(クロム、モリブデン、タングステン)であり、モリブデン又はタングステンが好ましく、タングステンがより好ましい。
の、3,4,5位の少なくとも1つの位置に置換基を有していてもよいフェニル基の炭素数は、特に限定されないが、通常、6〜20、好ましくは6〜15である。
前記置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。
また、3,4,5位の少なくとも2つの位置に存在する置換基が互いに結合し、環構造を形成していてもよい。
3,4,5位の少なくとも1つの位置に置換基を有していてもよいフェニル基としては、無置換フェニル基;4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の一置換フェニル基;3,5−ジメチルフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基等の二置換フェニル基;3,4,5−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基等の三置換フェニル基;2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−2−ナフチル基等の置換基を有していてもよい2−ナフチル基;等が挙げられる。
の、−CHで表される基において、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基から選択される基を表す。
の、置換基を有していてもよいアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、通常1〜20、好ましくは1〜10である。このアルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
前記置換基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシル基;等が挙げられる。
の、置換基を有していてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ベンジル基、ネオフィル基等が挙げられる。
の、置換基を有していてもよいアリール基の炭素数は、特に限定されないが、通常、6〜20、好ましくは6〜15である。
前記置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。
の、置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基等が挙げられる。
これらの中でも、Rで表される基としては、炭素数が1〜20のアルキル基が好ましい。
Xのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
Xの、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基としては、それぞれ、Rの、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基として示したものと同様のものが挙げられる。
Xのアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。
また、式(1)で示される金属化合物が、2以上のXを有するとき、これらは互いに結合し、環構造を形成していてもよい。
の、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基としては、それぞれ、Rの、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基として示したものと同様のものが挙げられる。
Lの電子供与性の中性配位子としては、周期律表第14族又は第15族の原子を含有する電子供与性化合物が挙げられる。その具体例としては、トリメチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ルチジン等のアミン類;等が挙げられる。これらの中でも、エーテル類が好ましい。
式(1)で示される金属化合物としては、フェニルイミド基を有するタングステン化合物(式(1)中のMがタングステン原子で、Rがフェニル基である化合物)が好ましく、テトラクロロタングステンフェニルイミド(テトラヒドロフラン)錯体がより好ましい。
開環重合反応に用いる式(1)で示される金属化合物の量は、(金属化合物:単量体)のモル比が、通常1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000となる量である。前記金属化合物の量が多すぎると、反応後に金属化合物を除去するのが困難になるおそれがあり、少なすぎると十分な重合活性が得られない場合がある。
式(1)で表される金属化合物は公知の方法(例えば、特開平5−345817号公報に記載される方法)により製造し、入手することができる。
開環重合触媒は、式(1)で示される金属化合物のみからなるものであってもよいし、式(1)で示される金属化合物と有機金属還元剤を組み合わせたものであってもよい。式(1)で示される金属化合物と有機金属還元剤を組み合わせて用いることで、重合活性が向上する。
有機金属還元剤としては、炭素数1〜20の炭化水素基を有する周期律表第1、2、12、13、14族の有機金属化合物が挙げられる。
前記有機金属化合物としては、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、フェニルリチウム等の有機リチウム;ブチルエチルマグネシウム、ブチルオクチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、エチルマグネシウムクロリド、n−ブチルマグネシウムクロリド、アリルマグネシウムブロミド等の有機マグネシウム;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛等の有機亜鉛;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムイソブトキシド、エチルアルミニウムジエトキシド、イソブチルアルミニウムジイソブトキシド等の有機アルミニウム;テトラメチルスズ、テトラ(n−ブチル)スズ、テトラフェニルスズ等の有機スズ;等が挙げられる。
これらの中でも、有機アルミニウム又は有機スズが好ましい。
有機金属還元剤を用いる場合、その使用量は、式(1)で示される金属化合物1モルに対して、0.1〜100モルが好ましく、0.2〜50モルがより好ましく、0.5〜20モルが特に好ましい。有機金属還元剤の使用量が少なすぎると重合活性が十分に向上しない場合があり、多すぎると副反応が起こりやすくなるおそれがある。
開環重合反応は、通常、有機溶媒中で行われる。用いる有機溶媒は、開環重合体やその水素化物を、所定の条件で溶解もしくは分散させることが可能であり、かつ、開環重合反応や水素化反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。
有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系脂肪族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系芳香族炭化水素類;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素類;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン等のエ−テル類;これらを組み合わせた混合溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、有機溶媒としては、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、脂環族炭化水素類、エーテル類が好ましい。
重合反応系には、公知の活性調整剤や分子量調節剤を添加してもよい。添加する活性調整剤、分子量調節剤の量は、特に限定されない。活性調整剤の添加量は、通常、式(1)で示される金属化合物に対して0.01〜100モル%であり、分子量調節剤の添加量は、通常、ジシクロペンタジエンに対して、0.1〜50モル%の範囲である。
重合温度は特に制限はないが、通常、−78〜+200℃の範囲であり、好ましくは−30〜+180℃の範囲である。重合時間は、特に制限はなく、反応規模にも依存するが、通常1分間から1000時間の範囲である。
ジシクロペンタジエン開環重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、通常1,000〜1,000,000、好ましくは、2,000〜500,000である。このような重量平均分子量を有する開環重合体を水素化反応に供することによって、成形加工性と耐熱性とのバランスに優れた重合体(α1)を得ることができる。開環重合体の重量平均分子量は、重合時に用いる分子量調整剤の添加量等を調節することにより、調節することができる。
ジシクロペンタジエン開環重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、通常1.0〜4.0であり、好ましくは1.5〜3.5である。このような分子量分布を有する開環重合体を水素化反応に供することによって、成形加工性に優れた重合体(α1)を得ることができる。開環重合体の分子量分布は、重合反応時における単量体の添加方法や単量体の濃度により、調節することができる。
ジシクロペンタジエン開環重合体の重量平均分子量(Mw)や分子量分布(Mw/Mn)は、テトラヒドロフランを展開溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算値である。
前記開環重合反応により、シンジオタクチック立体規則性を有するジシクロペンタジエン開環重合体を得ることができる。開環重合反応の後に行う水素化反応において反応条件を適切に設定すれば、通常、水素化反応により開環重合体のタクチシチーが変化することはない。このため、このシンジオタクチック立体規則性を有するジシクロペンタジエン開環重合体を水素化反応に供することにより、目的の重合体(α1)を得ることができる。
用いる水素化触媒としては、オレフィン化合物の水素化触媒として公知の均一系触媒や不均一触媒を用いることができる。
均一系触媒としては、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム等の、遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなる触媒;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドリドカルボニルビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の貴金属錯体触媒;等が挙げられる。
不均一触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム等の金属触媒;ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ等の、前記金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させてなる固体触媒が挙げられる。
水素化反応は、通常、不活性有機溶媒中で行われる。不活性有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等の脂環族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;等が挙げられる。
不活性有機溶媒は、開環重合反応に用いた溶媒と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、開環重合反応液にそのまま水素化触媒を添加して、水素化反応を行ってもよい。
水素化反応の反応条件は、用いる水素化触媒によっても異なるが、反応温度は通常−20〜+250℃、好ましくは−10〜+220℃、より好ましくは0〜+200℃である。反応温度が低すぎると反応速度が遅くなりすぎる場合があり、反応温度が高すぎると副反応が起こる場合がある。
水素圧力は、通常0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜15MPa、より好ましくは0.1〜10MPaである。水素圧力が低すぎると反応速度が遅くなりすぎる場合があり、水素圧力が高すぎると高耐圧反応装置等の特別な装置が必要になる。
反応時間は、所望の水素化率が達成されるのであれば特に限定されないが、通常0.1〜10時間である。
水素化反応後は、常法に従って、目的の重合体(α1)を回収すればよい。
水素化反応における水素化率(水素化された主鎖二重結合の割合)は、特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。水素化率が高くなるほど、重合体(α1)の耐熱性が良好なものとなる。
樹脂フィルム(A’)は、重合体(α)の他に、添加剤等の他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、重合体(α)以外の樹脂、酸化防止剤、結晶核剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、滑剤等が挙げられる。
本発明の導体層付樹脂フィルムを基板材料として用いる場合、樹脂フィルム(A’)は酸化防止剤を含有することが好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、ジブチルヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、α−トコフェノール、2,2,4−トリメチル−6−ヒドロキシ−7−t−ブチルクロマン、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)4,4’−ビフェニルジホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
樹脂フィルム(A’)中の重合体(α)の含有量は、樹脂フィルム(A’)に対して、通常、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは、80重量%以上である。
前記他の成分の含有量は、目的に合わせて適宜決定することができるが、樹脂フィルム(A’)に対して、通常、50重量%未満、好ましくは40重量%未満、より好ましくは20重量%未満である。
また、酸化防止剤の含有量は、樹脂フィルム(A’)に対して、通常、0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜4重量%、より好ましくは0.1〜3重量%である。
樹脂フィルム(A’)の厚みは特に限定されず、導体層付樹脂フィルムの使用目的に合わせて適宜決定することができる。樹脂フィルム(A’)の厚みは、通常、1〜250μm、好ましくは5〜150μmである。
樹脂フィルム(A’)の200℃から60℃まで降温したときの収縮率は100ppm/℃以下であり、40〜100ppm/℃が好ましい。
この収縮率は、実施例に記載の方法に従って求めることができる。
200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃以下の樹脂フィルム(A)で構成された樹脂層を有する導体層付樹脂フィルムは、多層基板製造時に十分な寸法精度を示す。
樹脂フィルム(A’)の、ガラス転移点以下の温度における熱膨張係数(以下、「Tg点以下熱膨張係数」と記載することがある。)は、好ましくは40ppm/℃以下であり、より好ましくは20〜40ppm/℃である。樹脂フィルム(A’)のTg点以下熱膨張係数が40ppm/℃以下であることで、搭載するLSIや電子部品の熱膨張変化量と樹脂層の熱膨張変化量の差が小さくなり、また、このTg点以下熱膨張係数値は、半田や導体層の熱膨張係数と近い値であるため、実装信頼性が高まる。
なお、上記の収縮率やTg点以下熱膨張係数は、異方性を有する樹脂フィルムにおいては、いずれもその最大値を、「樹脂フィルムの200℃から60℃まで降温したときの収縮率」又は「樹脂フィルムのTg点以下熱膨張係数」とする。
上記の収縮率やTg点以下熱膨張係数を有する樹脂フィルム(A)は、例えば、未延伸の樹脂フィルム(A)に対して、延伸処理と熱処理を施すことにより、効率よく得ることができる。
未延伸の樹脂フィルム(A)の製造方法は特に限定されない。例えば、結晶性の脂環式構造含有樹脂、及び、所望により他の成分を含有する樹脂組成物を、射出成形、押出成形、プレス成形、インフレーション成形、ブロー成形、カレンダー成形、注型成形、圧縮成形等の公知の成形方法により、シート状に成形して得ることができる。これらの中でも、厚み制御が容易であることから、押出成形が好ましい。
押出成形により樹脂フィルム(A)を製造する場合、シリンダー温度(溶融樹脂温度)は、通常、250〜330℃、好ましくは260〜310℃であり、キャストロール温度は、通常、45〜160℃、好ましくは45〜130℃であり、冷却ロール温度は、通常、25〜150℃、好ましくは45〜120℃である。
得られた未延伸の樹脂フィルム(A)に対して行う延伸処理に格別な制限はなく、公知の延伸方法を利用することができる。
延伸方法としては、一軸延伸法、二軸延伸法、斜め延伸法等が挙げられる。
一軸延伸法としては、フィルム搬送用のロールの周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法;テンター延伸機を用いて横方向に一軸延伸する方法;等が挙げられる。
二軸延伸法としては、固定するクリップの間隔を開いて、縦方向の延伸と同時に、ガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法;フィルム搬送用のロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後、その両端部をクリップで把持してテンター延伸機を用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法;等が挙げられる。
斜め延伸法は、例えば、縦方向又は横方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機を用いて、樹脂フィルム(A)の幅方向に対して任意の角度θ(0°<θ<90°)をなす方向に連続的に斜めに延伸することにより行うことができる。
延伸倍率は、特に限定されないが、面倍率は、通常、2〜15倍、好ましくは3〜13倍である。ここで面倍率とは、一軸延伸法の場合はその延伸倍率に等しく、二軸延伸法の場合はその各軸方向の延伸倍率の積として算出される値である。
200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃以下の樹脂フィルム(A)が得られ易いことから、延伸方法は、二軸延伸法が好ましい。また、二軸延伸法における延伸倍率は、2.0倍×2.0倍以上3.5倍×3.5倍以下が好ましく、2.5倍×2.5倍以上3.0倍×3.0倍以下がより好ましい。
延伸処理における温度は、通常、95〜135℃、好ましくは100〜130℃である。延伸温度が低すぎると、フィルムが破断して目的の樹脂フィルム(A’)が得られないおそれがある。一方、延伸温度が高すぎると、目的の収縮率を有する樹脂フィルム(A)が得られないおそれがある。
延伸処理後に行う熱処理は、重合体(α)の結晶化を促進するためのアニール処理である。
熱処理方法に格別な制限はない。例えば、熱処理オーブンや赤外線ヒーター等を用いて熱処理を行うことができる。
加熱温度は、通常、150〜220℃、好ましくは160〜210℃であり、加熱時間は、通常、1〜600分間、好ましくは3〜300分間である。
(導体層)
本発明の導体層付樹脂フィルムを構成する導体層は、導電性を有する層であって、前記樹脂層に隣接するものである。
導体層としては、銅、金、銀、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属を含有する層が挙げられる。これらの中でも、基板材料として有用な導体層付樹脂フィルムが得られることから、銅が好ましい。
導体層の厚みは特に限定されず、導体層付樹脂フィルムの使用目的に合わせて適宜決定することができる。導体層の厚みは、通常、1〜35μm、好ましくは3〜18μmである。
(導体層付樹脂フィルム)
本発明の導体層付樹脂フィルムは、樹脂フィルム(A’)で構成された樹脂層と、前記樹脂層に隣接する導体層とを有するものである。
「導体層が樹脂層に隣接する」とは、導体層が樹脂層と直接又は接着層を介して接していることをいう。すなわち、本発明の導体層付樹脂フィルムにおいては、樹脂フィルム(A’)で構成された樹脂層と導体層との間に他の層が存在していなくてもよいし、樹脂フィルム(A’)で構成された樹脂層と導体層との間に接着層が存在していてもよい。
本発明の導体層付樹脂フィルムが接着層を有するものである場合、接着層は特に制限されず、銅張積層板等に用いられる公知の接着層を利用することができる。
接着層を形成する際に用いる接着剤としては、フェノールブチラール系接着剤、ポリアミドエポキシ系接着剤、ポリアミドフェノール系接着剤、NBRエポキシ系接着剤、熱可塑性ポリイミド系接着剤等が挙げられる。
接着層の厚みは特に限定されない。接着層の厚みは、通常、5〜50μm、好ましくは10〜30μmである。
本発明の導体層付樹脂フィルムは、樹脂フィルム(A’)で構成された樹脂層の一方の側のみに導体層を有するものであってもよいし、両方の側に導体層を有するものであってもよい。
本発明の導体層付樹脂フィルムの製造方法は特に限定されない。例えば、樹脂フィルム(A’)と金属箔とを重ね、このものに対して加熱加圧処理することにより、本発明の導体層付樹脂フィルムを製造することができる。また、本発明の導体層付樹脂フィルムが接着層を有するものである場合、樹脂フィルム(A’)、接着シート、金属箔をこの順に重ね、このものに対して加熱加圧処理を行うことにより、本発明の導体層付樹脂フィルムを製造することができる。
これらの方法において、金属箔は、最終的に導体層になるものである。
金属箔としては、銅箔、金箔、銀箔、ステンレス箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、クロム箔等が挙げられる。これらの中でも、基板材料として有用な導体層付樹脂フィルムが得られることから、銅箔が好ましい。
金属箔の厚みは特に限定されないが、通常、1〜35μm、好ましくは3〜18μmである。
加熱加圧処理における温度は、通常、樹脂フィルム(A’)を構成する重合体(α)の融点±50℃の範囲内の温度であり、好ましくは、前記融点±40℃の範囲内の温度であり、より好ましくは前記融点±30℃の範囲内の温度である。この温度が低すぎると、ピール強度に劣る導体層付樹脂フィルムになるおそれがあり、この温度が高すぎると、目的の導体層付樹脂フィルムを厚み精度よく製造することが困難になるおそれがある。
加熱加圧処理における圧力は、通常、0.1〜5.0MPaであり、処理時間は、通常、1秒〜60分である。
加熱加圧処理は、例えば、樹脂フィルム(A’)と金属箔を重ね合せたものを熱プレスする方法(熱プレス法)や、樹脂フィルム(A’)と金属箔を重ね合せたものを熱ロールの間を通過させる方法(熱ロール法)等が挙げられる。
本発明の導体層付樹脂フィルムは、配線形成材料等として好適に用いられる。
例えば、本発明の導体層付樹脂フィルムを用いることで、プリント配線基板の高速信号伝送線路、電源層、グランド層や、フラットケーブルのシールド層を効率よく形成することができる。
本発明の導体層付樹脂フィルムを用いてプリント配線基板を形成する場合、導体層付樹脂フィルムの導体層に配線パターンを形成することでフレキシブルプリント基板を得ることができる。また、別途用意したプリント配線基板上に本発明の導体層付樹脂フィルムを貼り合わせることで、配線層を複数有するフレキシブルプリント基板やリジッドプリント基板を得ることができる。
2)プリント配線基板
本発明のプリント配線基板は、本発明の導体層付樹脂フィルムを使用したものである。
このため、本発明のプリント配線基板は、配線パターンが精度よく形成されたものである。また、本発明のプリント配線基板は、冷熱衝撃試験耐性、伝送特性のバランスに優れており、高周波信号の伝送用に特に好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。また、下記の実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
各例における測定は、以下の方法により行った。
〔ガラス転移温度及び融点〕
示差走査熱量計(製品名「DSC6220」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、昇温速度が10℃/分の条件で示差走査熱量測定を行い、重合体のガラス転移温度及び融点を測定した。
〔重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)〕
テトラヒドロフランを溶媒として、40℃でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を行い、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)をポリスチレン換算値として求めた。
測定装置:ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)システム「HLC−8220」(東ソー社製)
カラム:「Hタイプカラム」(東ソー社製)
〔重合体中の不飽和結合の水素化率〕
H−NMR測定に基づいて、重合体中の不飽和結合の水素化率を求めた。
〔樹脂フィルムの収縮率〕
熱機械分析装置(製品名「TMA/SS6100」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、製造例2〜13で得られた樹脂フィルムを、昇温速度5℃/分で220℃まで昇温した後、降温速度20℃/分で45℃まで降温した。この降温過程における200℃から60℃までの間の収縮率を測定した。
〔樹脂フィルムのTg点以下熱膨張係数〕
熱機械分析装置(製品名「TMA/SS6100」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、製造例2〜13で得られた樹脂フィルムを、昇温速度5℃/分で50℃から90℃まで昇温し、このときのTg点以下熱膨張係数を測定した。
〔製造例1〕〔ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物の合成〕
内部を窒素置換した金属製耐圧反応容器に、シクロヘキサン154.5部、ジシクロペンタジエン(エンド体含有率99%以上)のシクロヘキサン溶液(濃度70%)42.8部(ジシクロペンタジエンとして30部)、1−ヘキセン1.9部を加え、全容を53℃に加熱した。
一方、テトラクロロタングステンフェニルイミド(テトラヒドロフラン)錯体0.014部を0.70部のトルエンに溶解して得られた溶液に、ジエチルアルミニウムエトキシドのn−ヘキサン溶液(濃度19%)0.061部を加えて10分間攪拌し、触媒溶液を調製した。この触媒溶液を前記反応器内に添加し、53℃で4時間、開環重合反応を行い、ジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液を得た。
得られたジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液200部に、停止剤として、1,2−エタンジオール0.037部を加えて、60℃で1時間攪拌し、重合反応を停止させた。その後、ハイドロタルサイト様化合物(製品名「キョーワード(登録商標)2000」、協和化学工業社製)を1部加えて、60℃に加温し、1時間攪拌した。濾過助剤(製品名「ラヂオライト(登録商標)#1500」昭和化学工業社製)を0.4部加え、PPプリーツカートリッジフィルター(製品名「TCP−HX」、ADVANTEC東洋社製)を用いて、吸着剤を濾別し、ジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液を得た。
この溶液の一部を用いて、ジシクロペンタジエン開環重合体の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は28,100、数平均分子量(Mn)は8,750、分子量分布(Mw/Mn)は3.21であった。
精製処理後の、ジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液200部(重合体含有量30部)に、シクロヘキサン100部、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.0043部を添加し、水素圧6MPa、180℃で4時間水素化反応を行なった。反応液は、固形分が析出したスラリー液であった。
反応液を遠心分離することにより、固形分と溶液とを分離し、固形分を、60℃で24時間減圧乾燥し、ジシクロペンタジエン開環重合体水素化物28.5部を得た。
水素化反応における不飽和結合の水素化率は99%以上、ガラス転移温度は98℃、融点は262℃であった。
〔製造例2〕50μm厚の結晶性の脂環式構造含有樹脂の延伸フィルム〔樹脂フィルム(1)〕の製造〕
製造例1で得たジシクロペンタジエン開環重合体水素化物100部に、酸化防止剤(テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、製品名「イルガノックス(登録商標)1010」、BASFジャパン社製)0.8部を混合した後、混合物を二軸押出し機(TEM−37B、東芝機械社製)に投入し、熱溶融押出し成形によりストランド状の成形体を得た後、これをストランドカッターにて細断し、ペレットを得た。
二軸押出し機の運転条件を以下に示す。
・バレル設定温度:270〜280℃
・ダイ設定温度:250℃
・スクリュー回転数:145rpm
・フィーダー回転数:50rpm
得られたペレットを用いて以下の条件で成形処理を行い、幅120mm、厚み200μmのフィルム成形体を得た。
・成形機:Tダイを備える熱溶融押出しフィルム成形機(製品名「Measuring Extruder Type Me−20/2800V3」、Optical Control Systems社製)
・バレル温度設定:280℃〜290℃
・ダイ温度:270℃
・スクリュー回転数:30rpm
・フィルム巻き取り速度:1m/分
得られたフィルム成形体の一部を切り出した後、小型延伸機(製品名「EX10―Bタイプ」、東洋精機製作所社製)に設置し、逐次2軸延伸処理を行うことにより延伸フィルムを得た。次いで、延伸フィルムを鉄板に固定し、200℃で20分間、オーブン内で加熱処理を実施し、厚さ50μmの樹脂フィルム(1)を得た。
小型延伸機の運転条件を、以下に示す。
・延伸速度:10000mm/min
・延伸温度:100℃
・延伸倍率:MD方向(Machine Direction)2.0倍
TD方向(Transverse Direction)2.0倍
〔製造例3〕
製造例2において、延伸倍率を、MD方向2.5倍、TD方向2.5倍に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(2)を得た。
〔製造例4〕
製造例2において、延伸倍率を、MD方向3.0倍、TD方向3.0倍に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(3)を得た。
〔製造例5〕
製造例2において、延伸倍率を、MD方向3.5倍、TD方向3.5倍に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(4)を得た。
〔製造例6〕
製造例2において、延伸温度を130℃に変更し、延伸倍率を、MD方向3.0倍、TD方向3.0倍に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(5)を得た。
〔製造例7〕
製造例2において、延伸倍率を、MD方向3.0倍、TD方向3.0倍に変更し、延伸後の熱処理の温度を150℃に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(6)を得た。
〔製造例8〕
製造例2において、延伸倍率を、MD方向3.0倍、TD方向3.0倍に変更し、延伸後の熱処理の処理時間を5分に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(7)を得た。
〔製造例9〕
製造例2において、延伸倍率を、MD方向1.5倍、TD方向1.5倍に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(8)を得た。
〔製造例10〕
製造例2において、延伸処理を、MD方向3.0倍の一軸延伸に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(9)を得た。
〔製造例11〕
製造例2において、延伸温度を140℃に変更し、延伸倍率を、MD方向3.0倍、TD方向3.0倍に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(10)を得た。
〔製造例12〕
製造例2において、延伸倍率を、MD方向3.0倍、TD方向3.0倍に変更し、延伸後の熱処理の温度を140℃に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(11)を得た。
〔製造例13〕
製造例2において、延伸倍率を、MD方向3.0倍、TD方向3.0倍に変更し、延伸後の熱処理の処理時間を1分に変更したことを除き、製造例2と同様にして樹脂フィルム(12)を得た。
〔実施例1〕
製造例2で得た樹脂フィルム(1)の両面に、それぞれ、接着フィルム(製品名 SATY25μm、ニッカン工業社製)、及び銅箔(製品名CF−T4X−SV−18、福田金属箔粉工業社製、Rz1.0μm)を重ね、このものに、油圧真空感熱プレス(IMC−182F、井元製作所製)を用いて、温度200℃、圧力1MPaで10分間プレス処理を行い、樹脂フィルム(A1)で構成された樹脂層と、この樹脂層の両側にそれぞれ隣接する導体層とを有する導体層付樹脂フィルム(1)を得た。
〔実施例2〜7、比較例1〜5〕
実施例1において、製造例2で得た樹脂フィルム(1)に代えて、製造例2〜13で得た樹脂フィルム(2)〜(12)を使用したことを除き、実施例1と同様にして導体層付樹脂フィルム(2)〜(12)を得た。
〔冷熱衝撃試験〕
実施例、比較例で得られた導体層付樹脂フィルムを、100mm×80mmの大きさに切り出した後、キリ径φ0.30mmのスルーホールを10個×4列設けた。次いで、これに、デスミア処理、還元処理を行った後、無電解銅めっき、電気銅めっきを行い、スルーホールの側壁に厚さ約15μmの導体層を形成し、スルーホールめっき済み基板を得た。
得られた基板の両面に、ドライフィルムレジスト(日立化成工業社製 RY3215)をロールラミネターにて熱ラミネートし、所定の導体回路パターン印刷されたフィルムマスクを基板の両面に配置した後、両面プリンターで露光を行った。さらに、露光後のレジストを1%炭酸ナトリウム水溶液で現像して、所定の部位を開口させた後、塩化第二鉄でエッチングを行い、5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬してレジストを剥離し、40個のスルーホールからなるデイジーチェーン回路を作製した。
デイジーチェーン回路に、接続信頼性評価システム(MLR21、楠本化成社製)のケーブルを接続した後、試験片を、気槽式熱衝撃試験機(WINTECH NT1200W、楠本化成社製)中に投入し、低温槽−45℃、高温槽125℃、さらし時間15分の条件にて、冷熱衝撃試験を500サイクル及び1000サイクルまで行った。評価は以下の基準に従って行った。
○:1000サイクル迄、断線が1つも無い。
△:500サイクル迄、断線が1つも無いが、1000サイクルまでに断線が発生。
×:500サイクル迄に、断線が発生。
〔寸法変化率(パターン精度)〕
実施例、比較例で得られた導体付き絶縁フィルムを300mm×300mmに切り出し、4角に所定の穴を形成し、これを試験片として、エッチング後の寸法変化率及び加熱処理(150℃2時間)後の寸法変化率を測定し、以下の基準で評価した。
○:加熱処理後の寸法変化率が0.1%以下
△:エッチング後の寸法変化率は0.1%以下だが、加熱処理後の寸法変化率は超過
×:エッチング後の寸法変化率が0.1%を超過
なお、上記試験において、エッチング後の寸法変化率は、JIS C6481に準拠し、加熱処理後の寸法変化率は、IPC−TM−650に準拠して行った。
Figure 2017170735
第1表から以下のことが分かる。
実施例1〜7で得られた導体層付樹脂フィルム(1)〜(7)は、冷熱衝撃試験において良好な結果を示し、また、寸法変化率が小さく、パターン精度に優れる。
一方、比較例1〜5で得られた導体層付樹脂フィルム(8)〜(12)は、樹脂層を構成する樹脂フィルムは、200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃を超えるものであり、冷熱衝撃試験において良好な結果が得られず、また、寸法変化率が大きい。

Claims (4)

  1. 結晶性の脂環式構造含有樹脂を含有する樹脂フィルムで構成された樹脂層と、前記樹脂層に隣接する導体層とを有する導体層付樹脂フィルムであって、
    前記樹脂層を構成する樹脂フィルムが、200℃から60℃まで降温したときの収縮率が100ppm/℃以下のものであることを特徴とする導体層付樹脂フィルム。
  2. 前記脂環式構造含有樹脂がジシクロペンタジエン開環重合体水素化物である、請求項1に記載の導体層付樹脂フィルム。
  3. 前記導体層が銅を含有するものである、請求項1又は2に記載の導体層付樹脂フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の導体層付樹脂フィルムを使用したプリント配線基板。
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