JP7218625B2 - 溶融亜鉛めっき鋼管の製造方法 - Google Patents

溶融亜鉛めっき鋼管の製造方法 Download PDF

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本発明は溶融亜鉛めっき鋼管の製造方法に関する。
溶融亜鉛めっき鋼管の製造では、鋼管をフラックス槽(FL槽)に浸漬し、鋼管の表面酸化を防止するとともに、表面の汚れや錆を除去した後、鋼管を乾燥炉で乾燥し、めっき浴中へ浸漬して製造する(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
また、フラックス槽への浸漬(浸漬によるフラックス処理;以下、フラックス浸漬処理という)は複数の鋼管を一度に浸漬させるバッチ処理で行ない、乾燥炉での乾燥(乾燥処理)は鋼管を連続的に一本ずつ挿入する連続処理で行なうことが知られている。この場合、バッチ処理としてのフラックス浸漬処理と連続処理としての乾燥処理とでは、その処理時間に大きな時間差が生じるため、フラックス槽と乾燥炉との間に時間の調整を行なうためのサブローダを設け、このサブローダ内に複数の鋼管を一時的に保管待機させている。
特開2018-95892号公報 国際公開第2013-161122号
このような溶融亜鉛めっき鋼管の製造形態において、円滑な操業を考えれば、バッチ処理(フラックス浸漬処理)を省き、連続的に表面酸化防止および汚れ錆の除去処理を行なって、乾燥炉に鋼管を連続的に導入できることが望ましい。これは、特に、溶融亜鉛外面めっき鋼管(鋼管外面にのみめっきが施された鋼管)の製造において言えることである。
すなわち、溶融亜鉛外面めっき鋼管の製造では、酸洗処理および水洗処理の後、鋼管内面に亜鉛がめっきされないように鋼管の両管端に栓が装着される(栓打処理)が、この栓装着状態では、鋼管の内側に空気が閉じ込められて浮力が働くため、鋼管の表面酸化防止および表面の汚れや錆を除去するためのフラックス槽に鋼管を浸漬することが困難となる。このため、鋼管をフラックス槽内に機械的に浸漬させることも考えられるが、その場合には、鋼管の内面にフラックス液が侵入する可能性もある。このことから、溶融亜鉛外面めっき鋼管のフラックス浸漬処理にあっては、一定の困難性があり、したがって、フラックス浸漬処理を省きたいというニーズが少なからず存在する。
一方、鋼管外面に対して十分にフラックス処理を施さないと、鋼管表面の汚れや錆等により溶融亜鉛の濡れ性が悪くなり正常なめっきが施せず、めっき不良が発生する。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、フラックス浸漬処理を行なうことなくフラックス浸漬処理と同様の効果を得て良質な溶融亜鉛めっき鋼管を製造できる製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、所定の寸法に形成された素管に対してその表面にフラックスを付着させるフラックス処理を施すフラックス処理工程と、フラックス処理後の前記素管を乾燥炉で乾燥させる乾燥処理工程と、乾燥された前記素管に対して溶融亜鉛めっき処理を施す溶融亜鉛めっき処理工程とを含み、前記フラック処理工程から前記乾燥処理工程へと至る処理経路で前記素管がコンベア搬送待機部内に配置されて一時的に待機させられた後にコンベア上に順次に並べられて該コンベアにより前記乾燥炉へと連続的に送り込まれる、溶融亜鉛めっき鋼管の製造方法であって、
前記フラックス処理工程は、前記コンベア搬送待機部内の複数の前記素管に向けてフラックスを略水平方向で吹き付ける第1のフラックス吹き付け段階と、前記コンベア上の前記素管に向けて上方からフラックスを吹き付ける第2のフラックス吹き付け段階とを含むことを特徴とする。
本発明者は、浸漬によるフラックス処理を省略しても十分な外面めっきの品質を確保できる溶融亜鉛めっき鋼管の製造方法について思案した。
まず、フラックス浸漬処理を行なった場合、フラックス槽から取り出される素管(以下、適宜、鋼管とも称する)にはフラックスの水分が残存する。このような鋼管同士が前記コンベア搬送待機部(例えば前述したサブローダ)内で接触すると、水分により接触部にスジ状の錆が発生する。また、フラックス浸漬処理後にフラックスが乾燥すると、鋼管同士の接触または鋼管とコンベアなどの設備との接触によって鋼管表面からフラックスの脱落が起こる。この脱落箇所は錆やめっき不良の原因となる。
これに対し、フラックス浸漬処理を行なわなかった場合には、フラックスの水分が残存していないため、前述したスジ状の錆の発生はフラックス浸漬処理を行った場合と比べて低い。しかしながら、鋼管の汚れ錆の除去が行なわれていない状態にある。鋼管内面の汚れ錆の除去を考えなければ(鋼管外面の錆汚れの除去だけを考えれば)、汚れ錆の除去には、前述した特許文献1に開示される方法のように、コンベア上方から汚れ錆の除去を行なうのに十分な量のフラックスを吹き付ければよい。
しかしながら、コンベア上方のみからフラックスを吹き付けて汚れ錆の除去を行なうには大量のフラックスが必要になる。そのため、本発明者は、効率的に汚れ錆の除去ができるフラックスの吹き付け方法について思案した。
製造ラインを考えた場合、コンベア上に鋼管を一本ずつ順次に配置するためには前記コンベア搬送待機部が必要となる。コンベア搬送待機部では、一定数の鋼管を貯蔵し、駆動アームにより一本ずつ鋼管をコンベア上へ送出する。コンベア搬送待機部内の鋼管に対しフラックスを吹き付ければ、送出される鋼管にフラックスが吹き掛かるとともに、貯蔵されたコンベア搬送待機部の下方にある鋼管にもフラックスが掛かることになる。
したがって、コンベア搬送待機部内の鋼管およびコンベア上の鋼管に二重にフラックスを適切に吹き付けること(フラックスシャワー処理をすること)ができれば、鋼管外面の汚れ錆を効率的に除去でき、溶融亜鉛めっきを施してもめっきが十分に付着すると考えられる。
以上のような製造ができれば、特に溶融亜鉛外面めっき鋼管の製造には非常に有用である。溶融亜鉛外面めっき鋼管の製造では、乾燥処理および溶融亜鉛めっき処理の前に、「脱脂処理→水洗処理1→酸洗処理→水洗処理2→栓打処理→フラックス処理」といった一連の処理を行なう。このうち、栓打処理は鋼管外面のみをめっきすることおよびフラックス処理時に鋼管内面にフラックスが侵入しないようにするためである。
フラックス浸漬処理を行なわなければ、前述したような製造中の鋼管に存在する中空部による浮力が問題になることもなく、また、栓が緩い場合に生じ得る鋼管内面へのフラックスの侵入も回避することができる。
このような考えに基づき、本発明者は、前述したように、コンベア搬送待機部内の複数の素管に向けてフラックスを略水平方向で吹き付ける第1のフラックス吹き付け段階と、コンベア上の素管に向けて上方からフラックスを吹き付ける第2のフラックス吹き付け段階とを含むフラックス処理工程を導き出すに至った。
このようなフラックス処理工程を含む本発明の製造方法によれば、従来バッチ処理で行なっていたフラックス浸漬処理を行なうことなく溶融亜鉛めっき鋼管を製造することができるため、処理時間の差に伴う大きな時間調整を行なう必要がなくなる(本発明において、コンベア搬送待機部は時間調整用ではなくフラックス処理用である)。加えて、第1のフラックス吹き付け段階と第2のフラックス吹き付け段階とによる複合的な効果により、素管をフラックス槽中に浸漬しなくても適切に鋼管外面の表面酸化防止および汚れ錆の除去処理が可能であり、品質の担保された溶融亜鉛めっき鋼管を製造することができる。特に、溶融亜鉛外面めっき鋼管を製造する場合には、鋼管の両管端に栓打ちを行ない、鋼管内面にめっきが施されないようにするが、栓打ちに伴いフラックス槽への浸漬が困難にもなるため、フラックス浸漬処理を行なわずに溶融亜鉛外面めっき鋼管を製造できることのメリットは大きい。
また、本発明においては、第2のフラックス吹き付け段階で、コンベアによって搬送される素管の搬送方向に対し、素管の円周長以上の幅で素管に向けてフラックスを吹き付けることが好ましい。
このような構成によれば、コンベアによって搬送される素管の搬送方向に対し、素管の円周長以上の幅でフラックスが吹き付けられる。コンベアによって搬送される素管は、コンベア上を転がりながら搬送されるが、フラックスが、素管の円周長以上の幅で素管に向けて吹き付けられているため、転がる素管の全周にわたり、フラックスを吹き付けることができる。このため、より確実に、フラックスの吹き付け前に発生した錆を落とすことができる。また、より確実に、フラックスの吹き付け前に自然乾燥等により脱落したフラックスを再生することができる。したがって、より確実に、めっき不良を抑制することができるとともに、素管にめっきを均一に付着させ、めっき厚の均一な溶融亜鉛めっき鋼管を製造することができる。
また、本発明においては、前記素管に対して酸洗処理を施す酸洗処理工程と、酸洗処理後に前記素管の内面の水抜きを行なう水抜き工程と、水抜き後の前記素管の端部に栓を装着して前記素管の内部を密閉する栓打処理工程とが更に含まれ、前記栓打処理工程の後に前記フラックス処理工程が行なわれることが好ましい。
このような構成は、フラックス浸漬処理を行わない溶融亜鉛外面めっき鋼管の製造に適する。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼管の製造方法によれば、コンベア搬送待機部内の複数の素管に向けてフラックスを略水平方向で吹き付ける第1のフラックス吹き付け段階と、コンベア上の素管に向けて上方からフラックスを吹き付ける第2のフラックス吹き付け段階とを含むフラックス処理工程が行なわれるため、フラックス浸漬処理を行なうことなくフラックス浸漬処理と同様の効果を得て良質な溶融亜鉛めっき鋼管を製造できる。
本発明の一実施の形態に係る溶融亜鉛めっき鋼管の製造方法の工程を概略的に示す図である。 フラックス処理工程の2つのフラックス吹き付け段階を示す概略的な拡大図である。 第1のフラックス吹き付け段階を示す概略的な拡大図である。 第2のフラックス吹き付け段階を説明するための図であり、フラックスシャワー装置をコンベアの上方から見た図である。 第2のフラックス吹き付け段階を説明するための図であり、フラックスシャワー装置をコンベアの側方から見た図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態に係る溶融亜鉛めっき鋼管の製造方法は、所定の寸法に形成された素管に対して脱脂処理を施す脱脂処理工程と、素管に対して酸洗処理を施す酸洗処理工程と、酸洗処理後に素管の内面の水抜きを行なう水抜き工程と、水抜き後の素管の端部(管端)に栓を装着して素管の内部を密閉する栓打処理工程と、素管の表面にフラックスを付着させる2段階のフラックス処理工程と、フラックス処理後の素管を乾燥炉で乾燥させる乾燥処理工程と、乾燥された素管に対して溶融亜鉛めっき処理を施す溶融亜鉛めっき処理工程とを含む。
溶融亜鉛めっき鋼管の製造にあたり、まず、所定の寸法に形成された素管10を用意する。なお、素管10の寸法については、特に問わない。本発明を実施するにあたり使用する溶融亜鉛めっき鋼管の製造装置で、一連のめっき処理を行える寸法の素管10を用意すればよい。
また、素管10には、任意の鋼管を使用すればよく、例えば、JIS G3452に規定されるSGP鋼管(一般配管用鋼管)や、JIS G3454に規定されるSTPG鋼管(圧力配管用鋼管)等を使用すればよい。
なお、SGP鋼管およびSTPG鋼管の製造方法は、特に問わない。すなわち、鍛接管、電気抵抗溶接管、熱間電気抵抗溶接管、または継目無管等のいずれであっても素管10として使用することができる。この場合、鍛接管は、熱間で帯鋼をロール成形したのち、帯鋼の端部同士を鍛接した鋼管である。また、電気抵抗溶接管は、冷間で帯鋼の端部同士を電気抵抗溶接した鋼管である。また、熱間電気抵抗溶接管は、熱間で帯鋼の端部同士を電気抵抗溶接した鋼管である。また、継目無管は、ビレットを穿孔機で中空管とし、延伸圧延した鋼管である。
溶融亜鉛めっき鋼管の製造においては、まず、脱脂処理を行う。脱脂処理においては、まず、素管10を脱脂液に浸漬して、脱脂を行う。脱脂は、例えば、アルカリ脱脂または溶剤脱脂等を行えばよい。また、脱脂を行った後は、素管10を水洗いし、脱脂液を除去する。以上で、脱脂処理が完了する。
このような、脱脂をすることによって、素管10の表面に付着した油脂を除去することができる。なお、水洗は、水洗槽4へ浸漬すればよい。水洗は酸洗処理槽2へのアルカリ持ち出しを防ぐため行うものであり、洗浄力を上げるために湯を用いて行ってもよい。
脱脂処理に続いて、脱脂した素管10に対し、酸洗処理を行う。酸洗処理においては、まず、素管10を酸洗処理槽2中の酸洗液に浸漬して酸洗を行なう。酸洗時間は、スケールの付着状況等に応じて決めればよく、例えば、10~60分程度行えばよい。また、酸洗後は、素管10を水洗し、酸洗液を除去する。以上で、酸洗処理が完了する。
酸洗処理において、酸洗液には、例えば、硫酸や塩酸等を使用すればよい。また、酸洗液に酸腐食抑制剤(インヒビター)を適量含有させることで、素管10の過酸洗および粒界腐食を抑制することができる。このような、酸洗をすることによって、素管10の表面のスケールを除去することができる。
なお、水洗は脱脂処理の際と同様、水洗槽4へ浸漬すればよい。水洗はフラックス処理に際し酸持ち出しを防ぐため行うものであり、この場合も洗浄力を上げるために湯を用いて行ってもよい。
酸洗処理の後、後述するフラックス処理の前に、素管10の内面の水抜きを処理部6で行なう水抜き工程と、水抜き後の素管10の端部(管端)に栓打処理部8内で栓を装着して素管10の内部を密閉する栓打処理工程とを行なう。本実施の形態のように溶融亜鉛外面めっき鋼管を製造する場合は、酸洗処理後に、このように素管10の内面の水抜きを行なって栓打処理を行なうことにより素管に蓋をして素管の内面がめっきされないようにする。
酸洗処理における水洗後の素管10の内面への水残りは溶融亜鉛めっき処理工程において水の気化に伴う爆発を招く虞があることから、素管10の内面については十分な水抜きを行なう。水抜きは、例えば素管10を斜めに傾けて十分に水を排出した後、素管10を斜めにしたまま素管10の内面をエアーブローすればよい。水抜き後は、次工程のフラックス処理時に素管10の内面へフラックス液の侵入を防止するため、素管の両管端へ栓を打つ。次工程以降で栓が抜けるリスクを考慮し、栓打ち後に溶接することが好ましい。
このような栓打処理に続いて、素管10に対してフラックス処理を行う。なお、このフラック処理工程から後述する乾燥処理工程へと至る処理経路では、素管10がコンベア搬送待機部としてのサブローダ12内に配置されて一時的に待機させられた後にコンベア13上に順次に並べられて該コンベア13により乾燥炉16へと連続的に送り込まれる。フラックス処理は、具体的には、サブローダ12内の複数の素管10に向けてフラックスを略水平方向で吹き付ける第1のフラックス吹き付け段階と、コンベア13上の素管10に向けて上方からフラックスを吹き付ける第2のフラックス吹き付け段階とを含むが、その詳細は後述する。フラックス処理を行なうことにより、素管10にフラックス液の膜が形成され、この膜により素管10の表面が保護されるとともに、後述する溶融亜鉛めっき処理をする際に酸化亜鉛を巻き込み等のめっき不良の発生が抑制される。また、フラックス液の膜が形成されることで溶融亜鉛の濡れ性を向上させることもできる。
フラックス液は、例えば、塩化亜鉛および塩化アンモニウムの水溶液を用いればよい。また、塩化亜鉛と塩化アンモニウムとの分量比(モル比)は、好ましくは1:1~1:6であり、より好ましくは、1:2~1:4である。
また、フラックス処理に際しては、フラックス液は50~90℃に加熱して使用する。フラックス液としては、その濃度(水1リットル(L)に対して含有される塩化亜鉛および塩化アンモニウムの合計の質量(g))が高いほど好ましく、例えば、400g/L以上の高濃度のフラックス液を用いるとよい。
フラックス処理に続いて、フラックス処理をした後の素管10に対して乾燥処理を行なう。乾燥処理は、乾燥炉16に素管10を一本ずつ連続的に挿入することにより行なう。乾燥炉16内は、季節や鋼管径に応じて70~150℃に調整する。また、素管10は、乾燥炉16の入口から挿入してから、5~10分経過後、出口から排出されるようになっている。
素管10に水分が残存していると、水分が溶融亜鉛めっき浴17に接触した際に気化し、溶融亜鉛を飛散させてめっき不良の原因となる。このため、素管10を十分に乾燥させる必要があるが、乾燥処理により、素管10に残存する水分を十分に排除することができる。
乾燥処理に続いて、乾燥処理をした後の素管10に対し、溶融亜鉛めっき処理を行なう。溶融亜鉛めっき処理は、素管10を、溶融亜鉛めっき浴17に浸漬することにより行なう。溶融亜鉛めっき浴17は、蒸留亜鉛地金1種以上の純度を有する地金を溶融したものとすればよく、環境面を配慮し、最純亜鉛地金を溶融させたものであることが好ましい。
溶融亜鉛めっき浴17の温度は440~490℃、浸漬時間は25~360秒とし、必要とするめっき層の厚さに応じて、溶融亜鉛めっき浴17の温度および浸漬時間を調節すればよい。
また、所定の浸漬時間経過後、素管10を溶融亜鉛めっき浴17から取り出した場合、素管10に過剰な溶融亜鉛が付着していることもある。この場合、溶融亜鉛めっき処理後の素管10にエアを吹きかけて溶融亜鉛めっきの付着量を調整してもよい。そして、溶融亜鉛めっき処理がされた素管10を冷却することで、溶融亜鉛めっき鋼管が製造される。
次に、本実施の形態に係る製造方法のフラックス処理工程について詳細に説明する。前述したように、フラックス処理は、サブローダ12内の複数の素管10に向けてフラックスを略水平方向で吹き付ける第1のフラックス吹き付け段階と、コンベア13上の素管10に向けて上方からフラックスを吹き付ける第2のフラックス吹き付け段階とを含む。具体的には、各段階においてフラックスシャワー装置14A,14Bを用いて素管10にフラックスシャワー処理を施す。
まず、第1のフラックス吹き付け段階では、図2および図3に拡大して示されるように、複数の素管10をサブローダ(導入アーム)12内に配置し、素管10の長手方向に沿って所定の間隔で配列される複数の第1のフラックスシャワー装置14Aからサブローダ12(サブローダ12内に配置される複数の素管10)に向けて略水平方向にフラックスFを吹き付けるとともに、サブローダ12を稼働させる。このようにサブローダ12を稼働させることで、素管10が回転しながら重力で下方に移動してコンベア13に導入されるとともに、フラックスFが素管10全体に塗布される。ここで、略水平方向にフラックスFを吹き付けるのは、サブローダ12に配置された素管10へ向けてフラックスFを吹き付けることで素管10全体へフラックス液Fが行きわたるためである。これに対し、前述した特許文献1のようにコンベアの上方からフラックスを吹き付けるだけの場合では、コンベア上で素管が回転ぜずに搬送されるものがあったため、素管周方向のフラックス塗布漏れや塗布不足となる箇所が発生する場合がある。
サブローダ12でのこのような第1のフラックス吹き付け段階に加えて、本実施の形態のフラックス処理工程では、第1のフラックス吹き付け段階での塗布漏れや塗布不足を補うために、コンベア13に並べた素管10に対して乾燥炉16に挿入される前にコンベア13の上方から第2のフラックスシャワー装置14Bを用いてフラックスを吹き付けるフラックスシャワー処理(仕上のフラックスシャワー処理)としての第2のフラックス吹き付け段階を行なう(図2も参照)。これにより、素管10にフラックス液の膜が形成され、この膜により素管10の表面が保護されるとともに、後述する溶融亜鉛めっき処理をする際に酸化亜鉛を巻き込みなどのめっき不良の発生を抑制する。また、フラックス液の膜が形成されることで溶融亜鉛の濡れ性を向上させることもできる(シャワー塗布時間が長くなり、酸洗後に発生する多少の黄錆も除去できるため、溶融亜鉛の濡れ性が向上する)。
具体的には、この第2のフラックス吹き付け段階では、適時にコンベア13へ送出される素管10が、素管10の長手方向を搬送方向に略直角な方向に向けた状態でコンベア13上に並べられ、コンベア13によって乾燥炉16に向けて搬送される。このときに、コンベア13の上方から、第2のフラックスシャワー装置14Bによって素管10にフラックスを吹き付ける。このようなフラックス吹き付け処理を行なうことにより、素管10表面に形成されたフラックス浸漬処理後のスジ状の錆を除去するとともに、乾燥により素管10表面から部分的に脱落したフラックスを修復(リカバー)することができ、めっき不良の発生を低減できる。
第2のフラックスシャワー装置14Bは、コンベア13の上方に設けられている。また、第2のフラックスシャワー装置14Bは、図4に示されるように、コンベア13の幅方向(搬送方向(図4および図5に矢印Dで示す)に直角な方向、すなわち、コンベア13上に並べられた素管10の長手方向に略平行な方向)に向けて、一列に等間隔で配置された複数の充円錐ノズル15を備える。また、隣り合うノズル15から吹き出されるフラックスの噴霧面Pは、互いに一部が重複するようになっている。ここで、噴霧面Pとは、ノズル15から吹き出されるフラックスが届く範囲(円状の面)であって、コンベア13上を流れる素管10の上端に接する面をいう(図4参照)。これにより、コンベア13上に長手方向を搬送方向に直角な方向に向けた状態で並べられた素管10の長手方向に対して隙間なくフラックスを吹き付けることができる。
また、コンベア13上を搬送される素管10の搬送方向に対するフラックスの吹き付け幅Wは、素管10の円周長以上の幅となっている。ここで、吹き付け幅Wとは、図5に示されるように、コンベア13上を搬送される素管10に、第2のフラックスシャワー装置14Bから吹き付けるフラックスが届く幅であって、搬送方向における幅をいう。
素管10はコンベア13上を回転しながら搬送されるので、吹き付け幅Wをこのように素管10の円周長以上の幅とすれば、素管10の全周方向にムラなくフラックスを吹き付けることができ、錆の除去を確実に行なえるようになるとともに、フラックス膜が均一になる。そのため、めっき不良を確実になくすことができる。
本実施の形態においては、図4に示されるように、第2のフラックスシャワー装置14Bの隣り合うノズル15から噴き出されるフラックスの噴霧面Pの重複する部分の搬送方向後端部から搬送方向前端部までの幅を吹き付け幅Wとする。このようにすることで、素管10の長手方向全域にわたり、素管10の搬送方向に対して素管10の円周長以上の幅でフラックスが吹き付けられるようになり、素管10の長手方向全域にわたって素管10の周方向にムラなくフラックスを吹き付けることができる。
なお、第2のフラックスシャワー装置14Bは、ノズル15を、複数ではなく、1つしか備えていなくてもよい。また、図4および図5では隣り合う素管10を分かり易いように一定間隔をおいて図示したが、実際のフラックス吹き付け処理工程では図1に示されるコンベア13上の素管10のように素管10は通常接するか、殆ど距離なく搬送される。
以上説明したように、このような2段階のフラックス処理工程を含む本実施の形態の製造方法によれば、従来バッチ処理で行なっていたフラックス浸漬処理を行なうことなく溶融亜鉛めっき鋼管を製造することができるため、処理時間の差に伴う大きな時間調整を行なう必要がなくなる(本実施の形態において、サブローダ12は時間調整用ではなくフラックス処理用である)。加えて、第1のフラックス吹き付け段階と第2のフラックス吹き付け段階とによる複合的な効果により、素管10をフラックス槽中に浸漬しなくても適切に鋼管外面の表面酸化防止および汚れ錆の除去処理が可能であり、品質の担保された溶融亜鉛めっき鋼管を製造することができる。特に、本実施の形態のように溶融亜鉛外面めっき鋼管を製造する場合には、鋼管の両管端に栓打ちを行ない、鋼管内面にめっきが施されないようにするが、栓打ちに伴いフラックス槽への浸漬が困難にもなるため、フラックス浸漬処理を行なわずに溶融亜鉛外面めっき鋼管を製造できることのメリットは大きい。
また、このような効果は、検証試験により本発明者が確認済みである。すなわち、本発明者は、熱間電気抵抗溶接を施して作製した15A~100A(外径21.7~114.3mm)の素管について、脱脂処理、酸洗処理、栓打処理を行ない、フラックス浸漬処理を行なわずに、サブローダと乾燥炉との間に設置された素管搬送用コンベア上方にフラックスシャワー装置からフラックスシャワーによるフラックス処理を行ない、乾燥炉で乾燥処理を行ない、溶融亜鉛めっき処理して溶融亜鉛外面めっき鋼管を製造したところ、鋼管外面のめっき不良率(外面不めっき率)が6.0%であるという結果を得た(半年の実績)。
これに対し、酸洗条件の見直しおよびフラックス液中の界面活性剤濃度の見直し等を行なったが、同様に製造した溶融亜鉛外面めっき鋼管についての外面不めっき率は概ね数値が変わらず、殆ど改善が見られない状態であった。
フラックスシャワー装置によるフラックスの素管への塗布状態を調査したところ、シャワーノズルの噴出範囲が狭く、また、コンベアで素管がうまく回転しておらず素管下面にフラックスがかからない状態であることが分かった。
そこで、サブローダに向けて水平方向にフラックスを吹き付けることのできる広角扇型ノズルを旧来のフラックスシャワー装置に取り付け、サブローダ方向にもフラックスを噴射することで、サブローダ上に束になっている素管がコンベアへ転がる際に素管全周にフラックスを塗布できるように改良した。その結果、外面不めっき率は取付後1カ月実績で1.3%まで減少した。さらに微修正を行なったところ、0.7%程度まで減少させることができた。
10 素管
12 サブローダ(コンベア搬送待機部)
13 コンベア
16 乾燥炉

Claims (3)

  1. 所定の寸法に形成された素管に対してその表面にフラックスを付着させるフラックス処理を施すフラックス処理工程と、フラックス処理後の前記素管を乾燥炉で乾燥させる乾燥処理工程と、乾燥された前記素管に対して溶融亜鉛めっき処理を施す溶融亜鉛めっき処理工程とを含み、前記フラック処理工程から前記乾燥処理工程へと至る処理経路で前記素管がコンベア搬送待機部内に配置されて一時的に待機させられた後にコンベア上に順次に並べられて該コンベアにより前記乾燥炉へと連続的に送り込まれる、溶融亜鉛めっき鋼管の製造方法であって、
    前記フラックス処理工程は、前記コンベア搬送待機部内の複数の前記素管に向けてフラックスを略水平方向で吹き付ける第1のフラックス吹き付け段階と、前記コンベア上の前記素管に向けて上方からフラックスを吹き付ける第2のフラックス吹き付け段階とを含み、フラックス浸漬処理を行なわないことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼管の製造方法。
  2. 前記第2のフラックス吹き付け段階では、前記コンベアによって搬送される前記素管の搬送方向に対し、前記素管の円周長以上の幅で前記素管に向けてフラックスを吹き付けることを特徴とする請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼管の製造方法。
  3. 前記素管に対して酸洗処理を施す酸洗処理工程と、酸洗処理後に前記素管の内面の水抜きを行なう水抜き工程と、水抜き後の前記素管の端部に栓を装着して前記素管の内部を密閉する栓打処理工程とを更に含み、前記栓打処理工程の後に前記フラックス処理工程が行なわれることを特徴とする請求項1または2に記載の溶融亜鉛めっき鋼管の製造方法。
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