JP7088142B2 - 金属めっき鋼管の製造方法および鋼管の溶融金属めっき装置 - Google Patents

金属めっき鋼管の製造方法および鋼管の溶融金属めっき装置 Download PDF

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本発明は、水、ガス、油等の配管用途に適用される金属めっき鋼管の製造方法および装置に係り、より詳しくは鋼管を溶融金属めっき浴中に浸漬し引揚げて鋼管の内外面に金属めっきを施す方法および装置に関する。
金属めっき鋼管、例えば亜鉛めっき鋼管は、前処理(脱脂、酸洗および化成処理)を施された鋼管を溶融亜鉛めっき浴に一定時間浸漬して製造する。その後、該めっき浴から引揚げた鋼管の内外面に空気または蒸気を吹き付けて、鋼管に過剰に付着した溶融亜鉛を吹き飛ばし、溶融亜鉛のたれを切った後、該鋼管は水冷槽に浸漬され冷却処理が施される。従来から溶融亜鉛めっき浴内から引揚げられた鋼管の内外面の余剰亜鉛を除去する方法については品質を確保しつつ効率的な方法が数多く提案されている。
例えば、特許文献1には、引揚げ中の鋼管が外面ブロー装置内を通過する間に、該鋼管内にマンドレル棒を貫通させ、噴射ノズルから圧縮ガスを噴射して鋼管内面の余剰亜鉛を鋼管外に吹き出す方法で、めっき厚さを均一にすることができる技術が開示されている。
また、特許文献2に開示の技術では、製造コスト低減の観点から、鋼管を溶融亜鉛浴中に浸漬した後、溶融亜鉛浴中から鋼管を長手方向に引揚げる過程で圧縮ガスにより鋼管外面の余剰亜鉛を除去し、続いて圧縮ガスにより鋼管内面の余剰亜鉛を除去する方法において、溶融亜鉛浴を低温に設定し、該溶融亜鉛浴中から鋼管を長手方向に引揚げる過程で圧縮ガスにより鋼管外面の余剰亜鉛を除去した後、当該鋼管を前記溶融亜鉛浴温度より高温に加熱し、圧縮ガスにより鋼管内面余剰亜鉛を除去する方法が提案されている。
更に、生産性向上の観点から特許文献3には、鋼管を100~600℃に予熱した後、430~480℃の溶融金属めっき浴中に20~100秒浸漬してめっきを施し、次いで、溶融亜鉛めっき浴中のめっき鋼管を引揚げ、めっき鋼管の外面めっき付着量を制御する方法が開示されている。鋼管を予熱することでめっき槽内の浴温維持に必要な熱量を低減できるとしている。
特開2011- 63844号公報 特開平 5-140722号公報 特開平11-246959号公報
しかしながら、上記従来の技術には、未だ解決すべき以下のような問題があった。上記従来技術には、亜鉛めっき鋼管の製造方法として、品質面、生産性に関する様々な技術が開示されているが、鋼管を金属めっき浴から引揚げる際のめっき品質の詳細については開示されていない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、生産性を維持しつつ、鋼管を金属めっき浴から引揚げる際にめっき外観に優れた金属めっき鋼管を安定して製造する方法を提案し、その方法に適した鋼管の溶融金属めっき装置を提供することにある。
発明者らは、上記に記した課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、生産性を維持しつつ、金属めっき鋼管の外観品質向上方法およびその方法に適した装置を見出した。上記課題を解決し、上記の目的を実現するため開発した本発明は、下記の要旨構成に示すとおりである。即ち、本発明は、第一に、鋼管を溶融金属めっき浴に一定時間浸漬し、その後該めっき浴から引揚げて、金属めっき鋼管を製造する方法において、回転軸に螺旋面を有するスクリューを用いて前記鋼管を溶融金属めっき浴内に下降搬送し浸漬させ、前記螺旋面終端部を通過した鋼管をクレードル上に保持するとともに、前記回転軸の螺旋面終端部に設置した払出し装置の回転動作により前記クレードル上の前記鋼管を引揚げ位置へ払い出し、引揚げ装置により前記鋼管をめっき浴から引揚げ、マグネットロールにより搬出するに際し、前記スクリューの螺旋面に載荷されてからめっき浴に浸漬完了するまでの鋼管の傾斜角度θを2°以上5°以下とし、その後、クレードル上の鋼管が前記払出し装置により引揚げ位置に払い出されるまでの前記鋼管の傾斜角度θをθ以下とすることを特徴とする金属めっき鋼管の製造方法を提案する。
なお、本発明に係る金属めっき鋼管の製造方法については、
a.前記引揚げ装置により引揚げ完了後前記マグネットロールにより搬出される前記鋼管の傾斜角度θを10°以上20°以下とすること、
b.前記引揚げ装置は、鋼管の長手方向に少なくとも2カ所配置し、鋼管の搬出方向先端側の引揚げ速度Vtと尾端側の引揚げ速度Vbの比Vb/Vtが0.4以上1.6以下の範囲にあること、
c.前記溶融金属めっき浴が、溶融亜鉛、溶融アルミニウム、溶融亜鉛系合金、溶融アルミニウム系合金および溶融亜鉛-アルミニウム系合金から選ばれる1種からなること、
d.溶融金属めっきを施される前記鋼管が溶接鋼管または鍛接鋼管であること、
がより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
また、本発明は、第二に、溶融金属めっき浴を構成するめっき槽と、該溶融金属めっき浴中に鋼管を下降搬送し浸漬させる、回転軸に螺旋面を有するスクリューと、該スクリューの螺旋面終端部を通過した前記鋼管を一旦受け止めるためのクレードルと、前記回転軸の螺旋面終端部に設けられた前記鋼管の払出し装置と、該払出し装置によって払い出された前記クレードル上の前記鋼管を引揚げるための引揚げ装置と、引揚げられた鋼管を磁力で吸着し、搬出するためのマグネットロールとからなり、前記スクリューの螺旋面に載荷された鋼管の傾斜角度θが2°以上5°以下となるように構成されており、前記クレードル上の鋼管の傾斜角度θがθ以下となるように構成されていることを特徴とする鋼管の溶融金属めっき装置を提供する。
なお、本発明に係る鋼管の溶融金属めっき装置については、
e.前記マグネットロールにより搬出される鋼管の傾斜角度が10°以上20°以下となるように構成されていること、
f.前記引揚げ装置は鋼管長手方向で少なくとも2カ所配置されており、該引揚げ装置の引揚げ速度を個別に設定できるように構成されていること、
がより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
以上説明したように、本発明によれば、浸漬開始から引揚げ開始までの鋼管の傾斜角度を適正に管理することで、生産性を維持できる。併せて、引揚げ後の鋼管の傾斜角度を適正化することでめっきの付着量を適切に制御できるようになるので、めっき品質が向上する。加えて、引揚げ装置の引揚げ速度比を適正化することで、優れためっき外観の金属めっき鋼管を安定に製造することが可能となる。
本発明の一実施形態を示す製造フロー図である。 本発明の一実施形態を示す鋼管の溶融金属めっき装置の上面図である。 上記実施形態を示す鋼管の溶融金属めっき装置のA-A’視側面図である。 上記実施形態を示す鋼管の溶融金属めっき装置のA-A’視側面図であって、クレードル上の鋼管が払い出されて引揚げ開始位置にある状態を示す拡大図である。 上記実施形態を示す鋼管の溶融金属めっき装置のA-A’視側面図であって、引揚げられた鋼管がマグネットロールにより搬出される状態を示す拡大図である。 引揚げ時の鋼管先端側の引揚げ速度Vtと鋼管尾端側の引揚げ速度Vbの比Vb/Vtが鋼管のめっき外観に与える影響を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら詳細に説明する。本発明はこれに限定されるものでなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
本発明における処理工程の概要の一例として、溶融亜鉛めっき鋼管の製造フローを図1に示す。鋼管は、前処理工程にて脱脂、酸洗、化成処理を施されたのち、乾燥して溶融亜鉛めっき装置のめっき槽内亜鉛めっき浴に一定時間浸漬される。次いで、鋼管は該めっき浴から引揚げられるが、引揚げられた際に鋼管の内外面に空気または蒸気が吹き付けられ、過剰に付着した溶融亜鉛を除去してめっき付着量の調整が行われる。その後、鋼管は冷却槽にて冷却処理が施される。最後に亜鉛めっき鋼管は出荷前検査されることになる。ここでは、一例として、亜鉛めっき鋼管を示したが、溶融金属めっきとして、溶融亜鉛や溶融アルミニウム、溶融亜鉛系合金として5%アルミ-亜鉛めっきなど、溶融アルミニウム系合金として55%アルミ-亜鉛めっきなど、溶融亜鉛-アルミニウム系合金が例示される、なお、溶融金属中にマグネシウムやシリコン、鉄などのほか不可避不純物を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態を示す鋼管の溶融金属めっき装置の上面図およびA-A’視側面図をそれぞれ図2および3に示す。図4にクレードル4上の鋼管2が払い出されて引揚げ開始位置にある状態を図2のA-A’視側面拡大図で示す。図2~4に基づいて、本発明の方法を説明する。前処理後の鋼管2は、めっき槽1のボトム側からトップ側に水平搬送され、回転軸31に螺旋面32を有するスクリュー3の螺旋面32に載架される。図2では、溶融金属めっき装置は鋼管2を同時に2本ずつめっき槽1内に水平・下降搬送できる装置の例を示している。鋼管2はセンターガイド6とサイドガイド9によりスクリュー3の螺旋面32から外れないように支持されている。
鋼管2は同期して回転している複数のスクリュー3の回転によって、めっき槽1下部に下降搬送され、めっき槽1内の溶融金属めっき浴Zに浸漬されて溶融金属めっき処理が施される。下降搬送の際に鋼管2は、図3に示すように、トップ側(先端)が低く、ボトム側(尾端)が高く傾斜してスクリュー3に保持されて、めっき浴Zに浸漬中、鋼管2内の空気を排気することができる。図3では鋼管2の先端側が先にめっき浴に浸漬する例を示しているが、尾端側が先にめっき浴に浸漬しても差し支えない。鋼管2はスキッドプレート8により、めっき槽内での水平搬送方向位置を固定されている。
スクリュー3の回転によりめっき槽1内の下部にまで下降搬送された鋼管2は、螺旋面終端部に到達後、クレードル4に着地する。その後、鋼管2は、スクリュー3の回転軸31に設置してある払出し装置10により、引揚げ装置5の方向(図2の払出し方向)に順次払い出される。払出装置10が回転軸31の周りに回転することで鋼管2を引揚げ装置5側に押し出す。本発明のように、スクリュー3の回転軸31の螺旋面終端部に、鋼管2を引揚げ装置5へ払い出す払出し装置10を設置することで鋼管2のめっき浴Z内への浸漬と払出しを1つの装置で行うことが可能となりメンテナンス性の面でも優位であり、好ましい。
払い出された鋼管2は、複数の引揚げ装置5の支持部(図示しない)に載った後、支持部が上昇することでめっき浴Zから引揚げられる。引揚げの際は、図4に示すように個々の引揚げ装置5の引揚げ速度を制御して、鋼管2の傾斜角度を変えながら、最終的に鋼管2が設定した傾斜角度で搬出されるようになる位置で、引揚げ装置5の引揚げを終了する。設定した鋼管2の傾斜により、搬出時には、鋼管内の溶融金属が容易に排出される。
図2および3に示す溶融金属めっき装置において、スクリュー3の本数は鋼管1本に対して、水平搬送方向(鋼管の長手方向)に3本設置されている。鋼管2の姿勢の安定のためには、少なくとも2本のスクリュー3が必要であるが、2本の場合、めっき浴Z投入直後の、下降搬送する鋼管2の姿勢が不安定となる可能性が高いこと、および、鋼管2が撓んで鋼管内空気の十分な排気ができないおそれがあるため、3本以上設置するのが望ましい。
鋼管2の傾斜角度は、図3および図4に示すように、スクリュー3の螺旋面32に載荷されてから、クレードル4上に着地し、引揚げ位置に払い出されるまで、ほぼ同じ角度となっている。ここで、「引揚げ位置」とは、クレードル4上の鋼管2の位置であって、引揚げ装置5の支持部が上昇する際に、鋼管2が安定して支持部に載荷される位置をいう。本発明に係る金属めっき方法では、多数の長尺の鋼管2を生産性良く操業するために、めっき浴Zへの鋼管2の浸漬開始から引揚げ開始までは、鋼管2の傾斜角度を略同じとすることが好ましい。めっき浴への浸漬開始から引揚げ開始までの途中で鋼管2の傾斜角度を大きく変えた場合には、連続して処理する長尺の鋼管2同士の接触を防止するため、次の鋼管2のめっき処理までの時間間隔を拡げる必要があり、具体的には、スクリュー3の螺旋面32を数回転分飛ばして載荷することになり、生産性が阻害される。なお、傾斜角度が変動しても+1°~-1°の範囲であれば問題ない。
図3に示すめっき浴Zへの浸漬開始から浸漬完了までの鋼管2の傾斜角度θは、2°以上5°以下とする。ここで、「浸漬完了」とは、鋼管の先端部から尾端部まで、鋼管の全体がめっき浴内に浸漬したときとする。鋼管2のめっき浴Zへの浸漬時の傾斜角度θが2°未満の場合には、鋼管2を浸漬する際に鋼管2内部の空気が充分抜け切れずに残り、めっき浴Z内部で鋼管2に浮力が働いて、クレードル上に正常に着地せず、浮遊してしまい、鋼管2の払い出しが正常にはできなくなる。この場合には、払出し不良に基づく、鋼管2の曲がりやキズが発生するおそれがある。一方、浸漬時の傾斜角度θが5°を超えた場合には、鋼管2内部の空気の残存はなくなるが、尾端がめっき浴に没入する際、鋼管2内部の排気が急激となり、めっき浴Zからの溶融金属の吹き出しが顕著となって、周辺装置などに溶融金属が付着するなどの悪影響が出てしまう。とくに、引揚げ装置等の回転機器に付着した場合には設備トラブルとなって生産性を阻害する。また、付着量調整後のめっき鋼管に付着した場合には、めっき外観不良となってしまう。なお、鋼管2内空気残存によるトラブルは、鋼と溶融金属の比重差の小さい、亜鉛リッチの溶融金属で顕著であった。
図4に示すめっき浴への浸漬完了後引揚げ開始までの鋼管2の傾斜角度θは、浸漬時の傾斜角度θ以下であれば、水平であってもよい。なお、先端側を低く、尾端側を高くして、わずかに傾斜させることが好ましい。それは、クレードル上で払い出される鋼管2の姿勢を安定させるために、鋼管長手方向での位置をどの鋼管2も同じにすることが有効だからである。鋼管2の先端側を低く傾斜させることにより、鋼管2の先端は常にスキッドプレート8に接触することになり、払い出される鋼管の姿勢を安定させることができる。
図5に引揚げられた鋼管2がマグネットロールにより搬出されている状態を図2のA-A’視側面拡大図で示す。鋼管2は、引揚げ装置5によって引き揚げられた後、鋼管2の先端近傍が1対のマグネットロール12に磁力で吸着され、マグネットロール12の回転とともに次工程に搬出される。この際、鋼管2はリング状の余剰めっき除去ノズル11の中央を通り、余剰めっき除去ノズル11から吹き付けられる空気または蒸気により、余剰の金属めっきが除去される。これにより、めっきの被膜量を制御できるようになっている。なお、めっき外観に優れためっき鋼管を得るためには、リング状の余剰めっき除去ノズル11の中央を適切な角度で通過することが好ましい。ここで、「適切な角度」とは、単にノズルの中央を通るだけではなく、ノズルから吹き付けられる気体が鋼管外面に均等に分配される状態をいう。また、鋼管内面にもマンドレル等で気体ジェットを吹き付けるように構成することが好ましい。
さらに、鋼管内外面の余剰金属めっきの除去効率を高めるためには、図5に示す引揚げ後めっき浴外への搬出時の鋼管2の傾斜角度θを大きくし垂直に近づけることが好ましい。しかし、長尺の鋼管を、略水平から垂直に回転させるには、鋼管の把持具や回転設備を導入する必要があるので、設備コストが高くなり、また、引揚げ時に鋼管2は引揚げ装置5の支持部に載荷されているだけであるので、傾斜角度θが大きすぎると鋼管2が長手方向に引揚げ装置5の支持部から滑落してしまうおそれがある。したがって、引揚げ後搬出時の鋼管2の傾斜角度θは、10°以上20°以下とすることが好ましい。
以上説明したように、本発明に係る金属めっき方法では、スクリュー3の螺旋面32に載荷されてからめっき浴に浸漬完了するまでの鋼管2の傾斜角度θを2°以上5°以下とし、その後、クレードル4上の鋼管2が払出し装置5により引揚げ位置に払い出されるまでの鋼管2の傾斜角度をθ以下とし、引揚げ装置5により引揚げ完了後マグネットロール12により搬出される鋼管2の傾斜角度θを10°以上20°以下とすることが生産性および品質上有効である。
次に、発明者らは、引揚げ装置5にて鋼管2を引揚げる際の引揚げ速度がめっき外観に与える影響について調査した。図4および図5に示すように、鋼管2の引揚げ開始から引揚げ終了までの引揚げ距離は、鋼管2の先端と尾端とで異なる。具体的には、図5に示すように鋼管先端部の引揚げ距離Ltが、鋼管尾端部の引揚げ距離Lbより大きい。引揚げ装置は、鋼管長手方向で2カ所以上配置されており、図4に示すように、鋼管2の先端から鋼管全長の1/3以内に設置した、もっとも先端側の引揚げ装置5の引揚げ速度をVtとし、鋼管の尾端から鋼管全長の1/3以内に設置した、もっとも尾端側の引揚げ装置5の引揚げ速度をVbとした。VtおよびVbは、それぞれ平均速度であって、引揚げ装置5の移動距離を移動時間で除したものである。鋼管は引揚げ装置の支持部に載荷されているだけであり、鋼管先端側の引揚げ速度Vtを早くしすぎると、マグネットロールに衝突する鋼管の運動量が大きすぎて、マグネットロールへの鋼管の磁力吸着がうまく働かないおそれがあり、一方、Vtを遅くしすぎると移動に時間がかかりすぎて、生産性を阻害するおそれがあることがわかった。
次いで、鋼管尾端側の引揚げ速度Vbについて、先端側の引揚げ速度Vtとの比が、めっき外観に与える影響を調べ、図6に示す。溶融亜鉛めっき浴を用い、鋼管径D=65Aおよび浸漬時の鋼管傾斜角度θを2°、引揚げ開始時の鋼管傾斜角度θを1°とし、引揚げ後搬出時の傾斜角度θを15°とした。鋼管先端側の引揚げ速度Vtは0.85m/sで一定とした。また、めっき外観評価は、鋼管の亜鉛めっき後、目視によりめっきヤケの有無を評価した。図6に示すように鋼管尾端側の引揚げ速度Vbの変化に応じて外観の良否が評価できることが明らかとなった。図6から0.4≦Vb/Vt≦1.6の範囲で操業することでめっき外観の良好な金属めっき鋼管を製造可能となることが明らかとなった。Vb/Vt<0.4の場合には鋼管尾端側の引揚げ速度が遅すぎるためにめっき鋼管の尾端側が充分に引揚げられない状態でマグネットロールへ吸着してしまうため、余剰めっき除去ノズル11の中心位置を通過することができなくなってしまい、余剰めっき除去ノズル通過後鋼管表面にヤケが発生してしまうおそれがある。一方、Vb/Vt>1.6の場合には、鋼管の尾端側の引揚げ装置が停止後、慣性力により鋼管尾端が更に上昇してしまい引揚げ後の好ましい鋼管の傾斜角15°よりも小さい鋼管の傾斜角度でマグネットロールへ吸着してしまい、余剰めっき除去ノズル11の中心部を通過することが困難となり、余剰めっき除去ノズル通過後鋼管表面にヤケが発生してしまうおそれがある。
本発明の好適な実施形態にかかる装置の構成は、溶融金属めっき浴Zを構成するめっき槽1と、該溶融金属めっき浴Z中に鋼管2を下降搬送し、浸漬させるために、回転軸31に螺旋面32を有するスクリュー3と、該スクリュー3の螺旋面終端部を通過した前記鋼管2を一旦受け止めるためのクレードル4と、前記回転軸31の螺旋面終端部に設けられた前記鋼管2の払出し装置10と、該払出し装置10によって払い出された前記クレードル4上の前記鋼管2を引揚げるための引揚げ装置5と引揚げられた鋼管を磁力で吸着し、搬出するためのマグネットロール12とからなり、前記スクリュー3の螺旋面32に載荷された鋼管2の傾斜角度およびクレードル4上の鋼管2の傾斜角度と前記マグネットロール12により搬出される鋼管2の傾斜角度が異なるように構成されていることを特徴とする鋼管の溶融金属めっき装置である。スクリュー3の螺旋面32に載荷された鋼管2の傾斜角度θは、鋼管2がめっき浴に浸漬完了するまでは、水平面に対し、2°以上5°以下の範囲にあり、浸漬完了後引揚げ開始までの鋼管2の傾斜角度θは、浸漬時の傾斜角度θ以下である構成とする。マグネットロール12により搬出される鋼管2の傾斜角度θは、10°以上20°以下の範囲にある構成とすることが好ましい。なお、搬出途中に、気体を吹き付けて鋼管内外面の溶融金属を除去するための余剰めっき除去ノズル11を設置することが好ましい。
また、引揚げ装置5は鋼管長手方向で2カ所以上配置し、該引揚げ装置5の引揚げ速度を個別に設定できるように構成されていることが好ましい。そうすることで、引揚げ開始時の鋼管の傾斜角度θからスムーズに引揚げ後搬出時の鋼管の傾斜角度θにまで移行することができる。
図2や3では、一例として金属めっき装置内に設置したスクリュー3の配置を2列の場合について記載しているが、鋼管のサイズによっては1列の場合や2列以上設置することも可能であり、スクリューの配置列数については特に限定しない。
なお、本発明の方法は、素管として、鍛接鋼管や溶接鋼管に好適に適用できる。鍛接鋼管とは、鋼帯素材、例えば熱延鋼帯全体を加熱後、熱間で成形し、シーム部は鍛接によって接合してパイプに成形した鋼管をいう。溶接鋼管とは、いわゆる、電縫鋼管であり、鋼帯素材、例えば熱延鋼帯を成形機で管状に成形し,高周波溶接機でシームの高速溶接を行うものである。
(製造例1)
図1に示す製造フローにて鋼管の溶融亜鉛めっきを行った。めっき槽内の各装置配置については、図2および図3に示す配置で設置した。ここで、めっき槽は、内法で長さ7m×幅2m×深さ5mのものを用い、鋼管の長さは5mであった。鋼管径50Aの場合のスクリュー回転速度は、約9rpmであり、鋼管のめっき浴への浸漬時間は2~3分であった。
表1に鋼管の引揚げ時の先端側の引揚げ装置の引揚げ速度Vtと尾端側の引揚げ装置の引揚げ速度Vbの比Vb/Vtを種々変えて亜鉛めっき処理を実施した場合のめっき外観評価の結果を示す。ここで、浸漬時の鋼管傾斜角度θを2~3.5°、引揚げ開始時の鋼管傾斜角度θを1~2.5°とし、引揚げ後搬出時の傾斜角度θを15~20°とした。鋼管先端側の引揚げ速度Vtは0.2~0.9m/sの範囲とした。また、めっき外観評価は、鋼管の亜鉛めっき後、目視によりめっきヤケの有無を評価した。
Figure 0007088142000001
表1に示すように本発明法の処理を行うことにより、生産性を下げることなく鋼管の溶融亜鉛めっき処理におけるめっき外観が良好となった。
本発明は、鋼管だけでなく、他の金属管や長尺の棒鋼などにも適用可能である。また、溶融亜鉛めっきに限らず、各種溶融金属めっきに適用して好適である。
1 めっき槽
2 鋼管
3 スクリュー
31 回転軸
32 螺旋面
4 クレードル
5 引揚げ装置
6 センターガイド
7 ストッパー
8 スキッドプレート
9 サイドガイド
10 払出し装置
11 余剰めっき除去ノズル
12 マグネットロール
Z 溶融金属めっき浴

Claims (4)

  1. 鋼管を溶融金属めっき浴に浸漬し、その後該めっき浴から引揚げて、金属めっき鋼管を製造する方法において、
    回転軸に螺旋面を有するスクリューを用いて前記鋼管を溶融金属めっき浴内に下降搬送し浸漬させ、前記螺旋面終端部を通過した鋼管をクレードル上に保持するとともに、前記回転軸の螺旋面終端部に設置した払出し装置の回転動作により前記クレードル上の前記鋼管を引揚げ位置へ払い出し、引揚げ装置により前記鋼管をめっき浴から引揚げ、マグネットロールにより搬出するに際し、
    前記スクリューの螺旋面に載荷されてからめっき浴に浸漬完了するまでの鋼管の傾斜角度θが2°以上5°以下であり、
    その後、クレードル上の鋼管が前記払出し装置により引揚げ位置に払い出されるまでの前記鋼管の傾斜角度θがθ以下であり、
    前記引揚げ装置により引揚げ完了後前記マグネットロールにより搬出される前記鋼管の傾斜角度θ が10°以上20°以下であり、
    前記引揚げ装置は、鋼管の長手方向に少なくとも2カ所配置し、鋼管の搬出方向先端側の引揚げ速度Vtと尾端側の引揚げ速度Vbの比Vb/Vtが0.4以上1.6以下の範囲にあるように調整することを特徴とする金属めっき鋼管の製造方法。
  2. 前記溶融金属めっき浴が、溶融亜鉛、溶融アルミニウム、溶融亜鉛系合金、溶融アルミニウム系合金および溶融亜鉛-アルミニウム系合金から選ばれる1種からなることを特徴とする請求項1に記載の金属めっき鋼管の製造方法。
  3. 溶融金属めっきを施される前記鋼管が溶接鋼管または鍛接鋼管であることを特徴とする請求項1または2に記載の亜鉛めっき鋼管の製造方法。
  4. 溶融金属めっき浴を構成するめっき槽と、
    該溶融金属めっき浴中に鋼管を下降搬送し浸漬させる、回転軸に螺旋面を有するスクリューと、
    該スクリューの螺旋面終端部を通過した前記鋼管を一旦受け止めるためのクレードルと、
    前記回転軸の螺旋面終端部に設けられた前記鋼管の払出し装置と、
    該払出し装置によって払い出された前記クレードル上の前記鋼管を引揚げるための引揚げ装置と、
    引揚げられた鋼管を磁力で吸着し、搬出するためのマグネットロールとからなり、
    前記スクリューの螺旋面に載荷された鋼管の傾斜角度θが2°以上5°以下となるようにスクリューの設置高さが構成されており、
    前記クレードル上の鋼管の傾斜角度θがθ以下となるようにクレードルの設置高さが構成されており、
    前記マグネットロールにより搬出される鋼管の傾斜角度θ が10°以上20°以下となるように構成されており、
    前記引揚げ装置は、鋼管の長手方向に少なくとも2カ所配置され、鋼管の搬出方向先端側の引揚げ速度Vtと尾端側の引揚げ速度Vbの比Vb/Vtが0.4以上1.6以下の範囲にあるように制御されていることを特徴とする鋼管の溶融金属めっき装置。
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