JP7217867B2 - 排気ガス浄化装置の診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、排気通路内に尿素水を供給する尿素インジェクタと、供給された尿素水から生成されるアンモニアの還元作用により窒素酸化物を浄化する選択還元触媒とを備えた排気ガス浄化装置の診断装置に関する。
従来より、車両の排気ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)を除去するための排気ガス浄化装置として尿素水を添加する選択還元触媒(Selective Catalytic Reduction : 以下、SCR触媒という)を用いた排気浄化システムが知られている。
NOx還元反応における余剰アンモニアが排出される現象、所謂、アンモニアスリップ現象を抑制しつつ、NOx浄化率を高くするためには、SCR触媒に対して過不足のない尿素水を供給する必要がある。そこで、SCR触媒の浄化性能について、劣化(異常)診断が行われている。
特許文献1の診断装置は、エンジンの排気通路に尿素水を供給可能な尿素インジェクタと、この尿素インジェクタよりも下流側の排気通路に設けられたSCR触媒と、SCR触媒の上流側及び下流側の排気通路に夫々配設されたNOxセンサと、SCR触媒の上流側排気通路に配設されたアンモニアセンサと、上流側及び下流側NOx濃度センサのセンサ出力に基づきSCR触媒の浄化率を算出する浄化率算出部と、算出された浄化率に基づきSCR触媒を診断する診断部と、アンモニアセンサにより検出されたアンモニア検出値が所定の閾値よりも大きい場合、SCR触媒の診断を停止する診断停止部とを備えた構成が開示されている。
特開2018-131995号公報
特許文献1の診断装置は、アンモニア濃度上昇に伴うNOx濃度センサの誤検出を防止し、SCR触媒の劣化について誤診断を回避している。
しかし、特許文献1の技術では、アンモニア濃度が上昇していない状況にも拘らず、排気浄化システムの浄化異常を誤診断する虞がある。
そこで、上記誤診断の要因を解明するため、検証実験を行った。
図8(a)~図8(d)は、走行車両の速度、SCR触媒の温度、アンモニア吸着量、及びSCR触媒前後のNOx濃度を夫々示すグラフである。
この検証実験の車両では、実際にSCR触媒に吸着されている現アンモニア吸着量(以下、実吸着量という)が零の状態からエンジンが始動され、走行開始後、400secの時点でSCR触媒に対して尿素水の噴射が開始されている。
尚、検証実験に用いたSCR触媒は、銅イオン交換ゼオライトを主な構成要素として構成され、正常な浄化性能を備えている。また、SCR触媒前後に配置されたNOx濃度センサについても、正常な機能を備えている。
図8(c)に示すように、尿素水の噴射開始後、SCR触媒に吸着される実吸着量は、目標吸着量に漸近するように経過時間に比例して増加している。
図8(d)に示すように、尿素水の噴射開始直後の所定期間(400~450sec)、各NOx濃度センサが正常で且つSCR触媒も劣化していないにも拘らず、下流側NOx濃度が上流側NOx濃度よりも高くなる異常値を示し、その後、正常状態に戻っている。
この検証実験の結果、尿素水が噴射された直後の所定期間、下流側NOx濃度センサが、上流側NOx濃度センサよりも高いセンサ出力(異常出力)を出力することが知見された。
また、本発明者による検討の結果、以下のNOx特性が確認された。
図9に示すように、SCR触媒に吸着されるNOxは、SCR触媒の温度に依存し、所定温度(120℃)をピークとする放物線を描く特性を備えている。また、図10に示すように、SCR触媒に吸着されるNOxは、ガス接触性が高い程、減少する特性を備えている。しかも、SCR触媒の温度とガス接触性の何れの項目であっても、NOの吸着量よりもNO2の吸着量が多くなる傾向になっている。
上記検証実験及び検討によって、次のことが判明した。
銅は、1価の状態でゼオライト内に存在することが可能である。
また、NO2は、NO2イオンの状態でゼオライト内に存在することが可能である。
1価の銅から1つの電子がNO2に供給されると、NO2がNO2イオンになり、銅とNO2は配位結合するため、両者は電気的に結合する。
それ故、ゼオライト内にアンモニアが存在していない場合、ゼオライトに対してNO2が配位結合により吸着される。特に、DPF(Diesel Particulate Filter)の再生直後にエンジンが停止され、エンジン冷却後エンジンが再始動された場合、NOxの吸着傾向が強くなる。この状況で、ゼオライト内にアンモニアが供給されると、アンモニアが優先的にゼオライトに配位結合され、先に吸着されているNO2が放出される。
このようなNO2の脱離現象によってゼオライトから放出されたNO2を下流側NOx濃度センサが検出することにより、上流側NOx濃度センサのセンサ出力と下流側NOx濃度センサのセンサ出力の逆転現象が生じる。
即ち、SCR触媒にアンモニアが吸着されていない状況からエンジンを始動する状況では、SCR触媒のNOx浄化率が誤診断される虞がある。
本発明の目的は、NOx浄化率の誤診断を回避し、浄化診断の精度を向上可能な排気ガス浄化装置の診断装置等を提供することである。
請求項1の排気ガス浄化装置の診断装置は、エンジンの排気通路に尿素水を供給可能な尿素インジェクタと、この尿素インジェクタよりも下流側の排気通路に設けられ且つ前記尿素インジェクタが供給した尿素水から生成されたアンモニアの還元作用により排気ガス中のNOxを浄化する選択還元触媒と、この選択還元触媒の上流側及び下流側の排気通路に夫々配設された上流側及び下流側NOx濃度センサと、前記上流側及び下流側NOx濃度センサのセンサ出力に基づき前記選択還元触媒の浄化率を診断する制御手段とを備えた排気ガス浄化装置の診断装置において、前記制御手段は、前記選択還元触媒に吸着されているアンモニア吸着量を推定すると共に、推定されたアンモニア吸着量が所定閾値以下のとき、前記選択還元触媒の浄化率の診断を制限することを特徴としている。
この排気ガス浄化装置の診断装置では、前記制御手段が、前記選択還元触媒に吸着されているアンモニア吸着量を推定するため、アンモニア吸着量をパラメータとしてNOxの選択還元触媒に対する吸着状態を判定することができる。
前記制御手段は、推定されたアンモニア吸着量が所定閾値以下のとき、前記選択還元触媒の浄化率の診断を制限するため、前段階において配位結合により吸着され且つ尿素水の供給後選択還元触媒から放出されるNOxを浄化率の診断対象から除外することができる。
これにより、選択還元触媒にアンモニアが吸着されていない状況からエンジンを始動する場合に、NOx浄化率の誤診断を回避することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記制御手段は、前回エンジン停止時の前記選択還元触媒のアンモニア吸着量が前記閾値以下且つエンジン始動時における前記選択還元触媒の温度が第1設定温度よりも低いとき、前記選択還元触媒の浄化率の診断を制限することを特徴としている。
この構成によれば、所定温度をピークとする放物線状のNOx特性を考慮することができ、第1設定温度をNOx特性の所定温度に設定することで浄化率診断の制限領域を最小限に抑えることができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記制御手段は、前記選択還元触媒の温度が第2設定温度よりも低いとき、前記尿素インジェクタによる尿素水の供給を停止すると共に、前記選択還元触媒の温度が前記第2設定温度よりも低いとき、前記選択還元触媒の浄化率の診断を制限することを特徴としている。
この構成によれば、選択還元触媒に吸着されたNOxをアンモニアに置換した後、浄化率診断を適正に開始することができる。
請求項4の発明は、請求項1~3の何れか1項の発明において、前記制御手段は、前記選択還元触媒のアンモニア吸着量が目標吸着量になるように前記尿素インジェクタを制御することを特徴としている。
この構成によれば、適正量の尿素水を選択還元触媒に供給することができ、選択還元触媒に吸着されるアンモニア吸着量を容易に推定することができる。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記目標吸着量が、前記選択還元触媒の温度に応じて設定されることを特徴としている。
この構成によれば、アンモニアスリップ現象を防止しつつ適正量の尿素水を供給することができる。
本発明の排気ガス浄化装置の診断装置によれば、NOx浄化率の誤診断を回避することにより、浄化診断の精度を向上することができる。
本発明の排気浄化装置が適用されるエンジンの好ましい実施形態を示すシステム図である。 エンジンの制御系統を示すブロック図である。 ドージング制御の具体的手順を示すフローチャートである。 SCR触媒の温度を推定する手順を模式的に示す説明図である。 SCR触媒の温度とアンモニアの上限吸着量及び目標吸着量との関係を示すグラフである。 尿素水の噴射量を決定する手順を模式的に示す説明図である。 浄化診断制御の一例を示すフローチャートである。 検証実験結果であって、(a)は、車両速度、(b)は、SCR触媒温度、(c)は、アンモニアの目標吸着量及び実吸着量、(d)は、上流側NOx濃度及び下流側NOx濃度を夫々示すタイムチャートである。 SCR触媒温度とNOx吸着量との関係を示すグラフである。 ガス接触性とNOx吸着量との関係を示すグラフである。
[エンジンの全体構成]
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明に係る排気浄化装置が適用されるエンジンの全体構成について、図1に基づいて説明する。
図1に示されるエンジンは、走行用の動力源として車両に搭載される4サイクルのディーゼル車載エンジンであって、エンジン本体1と、エンジン本体1における燃焼に必要な空気を供給する吸気システム3Sと、エンジン本体1から排出された排気ガスを浄化して外部に排出する排気システム4S(排気ガス浄化装置)と、吸気システム3Sによって供給される空気(吸気)を圧縮しつつエンジン本体1に送り出す過給装置50と、排気システム4Sを流通する排気ガスの一部を吸気システム3Sに還流するEGR装置70等を備えている。
エンジン本体1は、一列に並ぶ複数の気筒2(図1では1つの気筒2のみを示す)を有する直列多気筒型のものであり、当該複数の気筒2が内部に形成されたシリンダブロック3と、各気筒2の上部開口を閉塞するようにシリンダブロック3の上面に取り付けられたシリンダヘッド4と、各気筒2にそれぞれ往復動可能に挿入された複数のピストン5とを有している。尚、各気筒2の構造は同一であるため、以下、基本的に1つの気筒2のみに注目して説明を進める。
ピストン5の上方には燃焼室6が区画されている。燃焼室6には、後述する燃料噴射弁15からの噴射により、軽油を主成分とする燃料が供給される。そして、供給された燃料が圧縮着火により燃焼(拡散燃焼)し、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動する。
ピストン5の下方には、エンジン本体1の出力軸であるクランク軸7が設けられている。クランク軸7は、ピストン5とコネクティングロッド8を介して連結され、ピストン5の往復運動(上下運動)に応じて中心軸回りに回転駆動される。
シリンダブロック3には、クランク軸7の角度(クランク角)と、クランク軸7の回転速度(エンジン回転速度)とを検出するクランク角センサSN1が設けられている。シリンダヘッド4には、エンジン本体1(シリンダブロック3およびシリンダヘッド4)の内部を流通する冷却水の温度を検出する水温センサSN2が設けられている。
シリンダヘッド4には、燃焼室6に開口する吸気ポート9及び排気ポート10と、吸気ポート9を開閉する吸気弁11と、排気ポート10を開閉する排気弁12と、吸気弁11及び排気弁12をクランク軸7の回転に連動して開閉駆動する動弁機構13,14とが設けられている。
シリンダヘッド4には、更に、燃焼室6に燃料(軽油)を噴射する燃料噴射弁15が設けられている。燃料噴射弁15は、例えば、燃焼室6の天井面の中央部から放射状に燃料を噴射する多噴孔型の噴射弁である。尚、図示を省略するが、ピストン5の冠面には、燃料噴射弁15から噴射された燃料を受け入れるための凹部(キャビティ)が形成されている。
吸気システム3Sは、エンジン本体1に導入される吸気が流通する吸気通路30を含む。吸気通路30の下流端(インテークマニホールド)は、吸気ポート9と連通するようにシリンダヘッド4の一側面に接続されている。吸気通路30には、吸気中の異物を除去するエアクリーナ31と、過給装置50により圧縮された吸気を冷却するインタークーラ32と、吸気の流量を調整する開閉可能なスロットル弁33と、各気筒2に吸気が均等に取り入れられるようにするためのサージタンク34とが、吸気通路30の上流側(エンジン本体1から遠い側)からこの順に設けられている。
吸気通路30におけるエアクリーナ31よりも下流側の部分には、吸気通路30を通じてエンジン本体1に導入される空気(新気)の流量を検出するエアフローセンサSN3が設けられている。また、サージタンク34には、その内部の吸気の圧力を検出する吸気圧センサSN4が設けられている。
排気システム4Sは、エンジン本体1から排出される排気ガスが流通する排気通路40を含む。排気通路40の上流端(エキゾーストマニホールド)は、排気ポート10と連通するようにシリンダヘッド4の他側面に接続されている。この排気通路40には、排気ガスに含まれる各種の有害成分を浄化するための複数の触媒41~44が設けられている。本実施形態では、酸化触媒41と、DPF(Diesel Particulate Filter)42と、SCR触媒(Selective Catalytic Reduction)43(選択還元触媒)と、スリップ触媒44とが、排気通路40の上流側(エンジン本体1に近い側)からこの順に設けられている。
また、排気通路40におけるDPF42とSCR触媒43との間の部分には、尿素インジェクタ45とミキシングプレート47とが設けられている。
酸化触媒41は、排気ガス中のCOおよびHCを酸化して無害化する(CO2及びH2Oに変換する)ための触媒であり、例えば、多孔質性の担体と、当該担体に担持された白金やパラジウム等の触媒物質とを有している。DPF42は、排気ガス中のスート(煤)を捕集するためのフィルタである。このDPF42には、フィルタ再生時の高温条件下でスートを燃焼させるための白金等の触媒物質が含まれている。DPF42は、例えば、スートが所定量蓄積されたことや走行距離等を条件として、これらの条件が成立した際、スートを燃焼するDPF再生が実行される。
尿素インジェクタ45は、高純度の尿素を純水で水溶化してなる尿素水を排気通路40内に供給する噴射弁である。尿素インジェクタ45には、尿素水を供給する供給管46aの下流端が接続されている。供給管46aの上流端には、尿素水を貯留する尿素タンク46が接続されている。また、供給管46aには、尿素水を尿素インジェクタ45へ供給するポンプ46P(ポンプ装置)が組み入れられている。尿素インジェクタ45から排気通路40内に尿素水が噴射されると、この尿素水に含まれる尿素は、高温下での加水分解によりアンモニア(NH3)に変換されて、下流側のSCR触媒43に吸着される。
ポンプ46Pは、加圧式のポンプであり、加圧力を発生することで、供給管46aを通して、尿素タンク46に貯留された尿素水を尿素インジェクタ45へ供給する。なお、前記加圧力が停止されると、尿素インジェクタ45の内部及び供給管46a内に存在する尿素水は、尿素タンク46に引き戻される。即ち、ポンプ46Pは、尿素インジェクタ45へ尿素水を供給すると共に、尿素インジェクタ45に一旦供給された尿素水を尿素タンク46へ回収する動作を実行可能なポンプ装置である。
ミキシングプレート47は、排気通路40を前後に仕切る板状の部材であり、排気通路40における尿素インジェクタ45とSCR触媒43との間の部分に設けられている。ミキシングプレート47には、排気ガスの流れを攪拌するための複数の開口が形成されている。このようなミキシングプレート47は、尿素インジェクタ45から噴射された尿素水に含まれる尿素を均一に分散させつつ下流側(SCR触媒43)に送出する役割を果たす。
SCR触媒43は、尿素インジェクタ45よりも下流側の排気通路40に設けられ、排気ガス中のNOxを還元して浄化する(N2やH2Oに変換する)ための触媒である。
SCR触媒43は、例えば、多孔質性の担体と、当該担体に担持されたバナジウム、タングステン、またはゼオライト等の触媒物質とを有している。本実施形態では、銅イオン交換ゼオライトを用いている。上述したとおり、SCR触媒43には、尿素インジェクタ45が噴射した尿素水から生成されるアンモニアが吸着される。SCR触媒43は、このアンモニアを還元剤として用いた化学反応(アンモニアの還元作用)により、排気ガス中のNOxをN2やH2Oに変換させる。
スリップ触媒44は、SCR触媒43に吸着されずにスリップした(つまりNOxの還元に使われないまま下流側に流出した)アンモニアを酸化するための酸化触媒である。このスリップ触媒44としては、例えば、酸化触媒41と同様の構造のものを用いることができる。
排気通路40におけるDPF42とSCR触媒43との間の部分には、排気ガスに含まれるNOxの濃度を検出するNOx濃度センサSN5(上流側NOxセンサ)が設けられている。また、このNOx濃度センサSN5よりも下流側であってSCR触媒43の直上流に位置する部分の排気通路40(ミキシングプレート47とSCR触媒43との間の部分)には、排気ガスの温度を検出する排気温センサSN6が設けられている。更に、排気通路40におけるSCR触媒43とスリップ触媒44との間の部分には、排気ガスに含まれるNOxの濃度を検出するNOx濃度センサSN10(下流側NOxセンサ)が設けられている。
過給装置50は、所謂2ステージ型の過給装置であり、直列に配置された第1過給機51および第2過給機52を有している。第1過給機51は、所謂ターボ過給機であり、排気通路40を流通する排気ガスにより回転駆動されるタービン61と、タービン61と連動して回転可能に設けられ、吸気通路30を流通する吸気を圧縮する第1コンプレッサ62とを有している。第1コンプレッサ62は、吸気通路30におけるエアクリーナ31とインタークーラ32との間の部分に配置され、タービン61は、排気通路40における酸化触媒41よりも上流側の部分に配置されている。排気通路40には、タービン61をバイパスするためのバイパス通路63が設けられており、このバイパス通路63には開閉可能なウェストゲート弁64が設けられている。
第2過給機52は、所謂電動過給機であり、電気式の駆動モータ66と、駆動モータ66により回転駆動されることで吸気を圧縮する第2コンプレッサ67とを有している。第2コンプレッサ67は、吸気通路30における第1コンプレッサ62よりも下流側(第1コンプレッサ62とインタークーラ32との間)の部分に配置されている。吸気通路30には、第2コンプレッサ67をバイパスするためのバイパス通路68が設けられている。バイパス通路68には、開閉可能なバイパス弁69が設けられている。
EGR装置70は、排気通路40と吸気通路30とを接続するEGR通路71と、EGR通路71に設けられたEGRクーラ72およびEGR弁73とを有している。EGR通路71は、排気通路40におけるタービン61よりも上流側の部分と、吸気通路30におけるスロットル弁33とサージタンク34との間の部分とを互いに接続している。EGRクーラ72は、例えばエンジンの冷却水を利用した熱交換器であり、EGR通路71を通じて排気通路40から吸気通路30に還流される排気ガス(EGRガス)を冷却する。EGR弁73は、EGR通路71におけるEGRクーラ72よりも下流側(吸気通路30に近い側)の部分に設けられ、EGR通路71を流通する排気ガスの流量を調整する。
[制御系統]
図2は、本実施形態のエンジンの制御系統を示すブロック図である。本実施形態のエンジンが搭載される車両は、エンジンを統括的に制御するコントローラ100(制御手段)を備える。コントローラ100は、マイクロプロセッサであり、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されている。本実施形態においてコントローラ100は、尿素インジェクタ45及びポンプ46Pの動作を制御する制御部として機能する。
尚、コントローラ100は、単一のプロセッサである必要はなく、電気的に接続された複数のプロセッサを含んでいても良い。例えば、コントローラ100は、主にエンジン本体1を制御するための第1のプロセッサと、尿素インジェクタ45及びポンプ46P等のドーシング制御のための第2のプロセッサとを含んでいても良い。
コントローラ100には、各種センサによる検出情報が入力される。具体的には、コントローラ100は、上述したクランク角センサSN1、水温センサSN2、エアフローセンサSN3、吸気圧センサSN4、NOx濃度センサSN5、排気温センサSN6、及びNOx濃度センサSN10と電気的に接続されている。これらのセンサによって検出された各種情報、例えばクランク角、エンジン回転速度、エンジン水温、吸気流量、吸気圧(過給圧)、排気ガス中のNOx濃度、及び排気ガスの温度等の情報が、夫々コントローラ100に入力される。
上記に加えて車両には、当該車両の走行速度(以下、車速という)を検出する車速センサSN7と、車両を運転する乗員により操作されるアクセルペダルの開度を検出するアクセルセンサSN8と、外気温を検出する外気温センサSN9とが設けられている。これら車速センサSN7、アクセルセンサSN8、および外気温センサSN9による検出情報もコントローラ100に入力される。
コントローラ100は、上記各センサSN1~SN10からの入力情報に基づいて種々の判定や演算等を実行しつつエンジンの各部を制御する。即ち、コントローラ100は、燃料噴射弁15、スロットル弁33、尿素インジェクタ45、ポンプ46P、ウェストゲート弁64、駆動モータ66、バイパス弁69、およびEGR弁73等と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいてこれらの機器に夫々制御用の指令信号を出力する。
上記制御に関する機能的要素として、コントローラ100は、主制御部101、SCR状態推定部102、ドージング制御部103、浄化率演算部104、及び浄化診断部105を有している。浄化率演算部104及び浄化診断部105は、SCR触媒43によるNOx浄化性能が正常に機能しているか否かを判定するための機能部である。
主制御部101は、エンジン本体1での燃焼制御を司る制御モジュールである。例えば、主制御部101は、クランク角センサSN1により検出されるエンジン回転速度と、アクセルセンサSN8の検出値(アクセル開度)から特定されるエンジン負荷(要求トルク)と、エアフローセンサSN3により検出される吸気流量と、に基づいて、燃料噴射弁15からの燃料の噴射量および噴射タイミングを決定し、その決定に従って燃料噴射弁15を制御する。
また、主制御部101は、上記エンジン回転速度/負荷等に基づいて目標過給圧を設定するとともに、吸気圧センサSN4により検出される吸気圧(過給圧)がこの目標過給圧に一致するように、ウェストゲート弁64およびバイパス弁69の各開度や駆動モータ66の回転を制御する。更に、主制御部101は、EGR率(気筒2に導入される全ガスに対するEGRガスの割合)の目標値である目標EGR率を上記エンジン回転速度/負荷等に基づいて設定し、この目標EGR率が実現されるようにスロットル弁33およびEGR弁73の各開度を制御する。
SCR状態推定部102は、SCR触媒43の状態を推定する処理を司る制御モジュールである。例えば、SCR状態推定部102は、NOx濃度センサSN5及びNOx濃度センサSN10により検出される排気ガス中のNOx濃度と、排気温センサSN6により検出される排気ガスの温度と、尿素インジェクタ45からの尿素水の噴射量とに基づいて、SCR触媒43の温度やアンモニア吸着量を推定する。
ドージング制御部103は、尿素インジェクタ45による尿素水の噴射制御を司る制御モジュールである。例えば、ドージング制御部103は、SCR状態推定部102により推定されるSCR触媒43の温度に基づいて尿素水の噴射量を決定し、その決定に従って尿素インジェクタ45を制御する。
浄化率演算部104は、複数の浄化診断実行条件が全て成立したとき、SCR触媒43のNOx浄化率(以下、浄化率と略す)Dを演算している。
浄化率Dは、次式(1)によって演算されている。
D=実浄化率/理論浄化率 …(1)
尚、実浄化率は、NOx濃度センサSN5のセンサ出力値からNOx濃度センサSN10のセンサ出力値を差分して求められ、理論浄化率は、燃料噴射弁15からの燃料噴射量、燃料噴射時期、エンジン回転速度、及び空燃比に関与する吸入空気量等に基づき気筒内に発生するNOx濃度等に基づき求められる。
浄化診断実行条件は、以下の第1,第2実行条件を有している。
第1実行条件は、現時点においてSCR触媒43に吸着されているアンモニアの実吸着量Qc(以下、現アンモニア吸着量Qcという)が零相当の判定閾値La(例えば、0.1g/l)よりも大きいことである。
現アンモニア吸着量Qcが判定閾値La以下の場合、SCR触媒43(ゼオライト)に対してNOx(NO2)が配位結合により吸着される。その後、アンモニアが供給されると、アンモニアが優先的にSCR触媒43に配位結合され、先に吸着されているNOxが脱離することから、下流側のNOx濃度センサSN10において浄化に係る正確なNOx濃度を取得できず、上流側のNOx濃度センサSN5と下流側のNOx濃度センサSN10の出力逆転現象が生じるからである。
第2実行条件は、以下の3項目である。
(a)NOx濃度センサSN5,SN10の出力が何れも設定値(例えば、100ppm)以上
(b)SCR触媒43の温度が第1設定温度(120℃)以上
(c)排気ガス流量が設定流量以上
尚、第2実行条件には、上記3項目の他に以下の項目を加えることも可能である。
(d)尿素水供給から所定時間以上経過
(e)DPF42の再生から所定時間以内
(f)NO2の存在比率が略50%
浄化診断部105は、浄化率演算部104によって演算された浄化率Dに基づき、SCR触媒43の劣化度合や機能異常等を含むNOx浄化性能を診断している。
浄化率Dが予め設定された判定閾値Ld以上の場合、SCR触媒43が正常に機能しているため、正常判定する。浄化率Dが判定閾値Ld未満の場合、SCR触媒43が劣化等の要因により機能異常を発生しているため、異常判定する。
浄化診断部105は、異常判定した場合、メータパネルに設けられたランプ等の報知手段(図示略)によって乗員に報知している。
[ドージング制御について]
次に、図3~図6を参照して、尿素インジェクタ45からの尿素水の噴射動作の制御であるドージング制御について、ドージング制御部103がエンジンの通常運転時等に実行するベーシックなドージング制御について説明する。この通常運転時のドージング制御では、SCR触媒43の温度に応じてアンモニアの目標吸着量(図5のQa)を設定し、この目標吸着量に応じた量の尿素水を尿素インジェクタ45から噴射する制御が実行される。
また、尿素インジェクタ45からの尿素水の噴射は、SCR触媒43の温度が第2設定温度(例えば、180℃)以上で実行されている。
尚、目標吸着量は、SCR触媒43において吸着可能なアンモニア量に基づいて予め定められる。
図3は、通常運転時のドージング制御の具体的手順を示すフローチャートである。
制御がスタートすると、コントローラ100(ドージング制御部103)は、SCR触媒43の温度Tsを推定する(S1)。尚、図中、Si(i=1,2,…)は、各ステップを示す。また、SCR触媒43の温度Tsは、典型的には、SCR触媒43の担体の温度、つまり床温のことである。
図4は、上記S1においてSCR触媒43の温度Tsを推定する手順を模式的に示す図である(図中ではSCR触媒のことを単にSCRと略記している)。
コントローラ100は、まず、排気温センサSN6により検出されるSCR触媒43の直前の排気ガスの温度と、排気ガスの流量とに基づいて、SCR触媒43への入熱量を算出する。上述の通り、排気ガスの流量は、エアフローセンサSN3により検出される吸気流量やEGR弁73の開度等から推定することができる。
次に、コントローラ100は、車速センサSN7により検出される車速と、外気温センサSN9により検出される外気温とに基づいて、SCR触媒43からの放熱量を算出する。コントローラ100は、算出されたSCR触媒43の入熱量および放熱量と、予め記憶されているSCR触媒43の熱容量とに基づいて、SCR触媒43の温度Tsを算出する。SCR触媒43の温度Tsは、入熱量が大きいか又は放熱量が小さい程高い値に算出され、入熱量が小さいか又は放熱量が大きい程低い値に算出される。
ここで、SCR触媒43からの放熱量は、車速が高い程大きいものとして扱うことができる。これは、車速が高い程SCR触媒43に吹き当たる走行風が増えて放熱が促進されるからである。逆に、放熱量は、車速が低い程小さくなるので、SCR触媒43の温度Tsは、車速が低い程高いと推定されることになる。
次いで、コントローラ100は、SCR触媒43に吸着させるべきアンモニアの目標吸着量Qaを決定する(S2)。図5は、SCR触媒43の温度とアンモニアの上限吸着量Qx及び目標吸着量Qaとの関係を示すグラフである。目標吸着量Qaは、SCR触媒43において所要のNOx浄化を行い得る適正なアンモニア吸着量であって、図5のグラフに示すように、上限吸着量Qxよりも少ない領域において、SCR触媒43の温度(SCR温度)Tsに応じて可変的に設定される。コントローラ100は、SCR触媒43の温度Tsと目標吸着量Qaとの関係を定めたマップを予め記憶しており、上記S1で推定されたSCR触媒43の温度Tsをこのマップに照合することにより、目標吸着量Qaを決定する。
アンモニアの目標吸着量Qaは、上限吸着量Qxよりも小さい値に設定される。上限吸着量Qxとは、SCR触媒43に吸着させることが可能な上限のアンモニア吸着量であり、飽和吸着量とも呼ばれるものである。SCR触媒43は、その内部温度が高くなるほどアンモニアを吸着し難くなるという性質がある。このため、図5の上限吸着量Qxのラインは、全体として、高温側(右側)ほど吸着量が少なくなる(右下がりの)傾向を有している。上限吸着量Qxを越える領域は、アンモニアがSCR触媒43をスリップして排気通路40の下流側に流出するアンモニアスリップ領域となる。
上記のような上限吸着量Qxの傾向に合わせて、アンモニアの目標吸着量Qaも、SCR触媒43の温度Tsが高いほど低下する(逆に温度Tsが低い程高くなる)可変的な値に設定される。コントローラ100は、このような可変的な目標吸着量Qaに応じて、尿素インジェクタ45及びポンプ46Pの動作を制御することになる。但し、このように温度に依存して目標吸着量Qaが変化するのは、SCR触媒43の温度Tsが一定の高温化領域(Ts=T1~T2の範囲)に属している範囲だけである。温度T1以下となる低温側の範囲では、目標吸着量Qaが一定値Q1に設定され、温度T2以上となる高温側の範囲では、目標吸着量Qaが一律に零に設定される。尚、低温側(Ts≦T1)で目標吸着量Qaが一定値Q1とされるのは、Q1程度のアンモニアが吸着されていればNOxの浄化性能が十分に良好になるので、Q1よりもさらに吸着量を増やす意味がないからである。
次いで、コントローラ100は、現時点でSCR触媒43に吸着されているアンモニアの実吸着量、所謂現アンモニア吸着量Qcを推定する(S3)。後述のステップS5で詳述するが、現アンモニア吸着量Qcは、尿素インジェクタ45からの尿素水の噴射量を決定する過程で使用されるパラメータである。このため、現アンモニア吸着量Qcは、これまでの尿素水の噴射量の履歴から逆算により求めることができる。即ち、尿素水の噴射量の履歴から求められる各時点のアンモニア供給量から、SCR触媒43での各時点のアンモニア消費量(次述のS4で算出)を差し引いた分が、SCR触媒43に都度蓄積されることになるので、この蓄積分を時間ごとに積算したものを現アンモニア吸着量Qcとして算出することができる。
次いで、コントローラ100は、SCR触媒43において消費されるアンモニアの量であるアンモニア消費量Wを推定する(S4)。コントローラ100は、NOx濃度センサSN5により検出される排気ガス中のNOx濃度と、演算により推定される排気ガスの流量(吸気流量の検出値やEGR弁73の開度等から求められる値)とに基づいて、SCR触媒43に流入するNOxの量を算出する。算出されたNOxの流入量に基づいて、コントローラ100は、SCR触媒43でNOx還元のために消費されるアンモニアの量、つまりアンモニア消費量Wを算出する(後述する図6の一部参照)。
次いで、コントローラ100は、尿素インジェクタ45から噴射すべき尿素水の噴射量Uを決定し(S5)、この決定した噴射量Uに相当する尿素を尿素インジェクタ45から噴射させるよう、尿素インジェクタ45及びポンプ46Pの動作を制御する(S6)。
図6は、上記S5において噴射量Uを決定する手順を模式的に示す図である。
コントローラ100は、上記S4で求められたアンモニア消費量Wと、アンモニアの要求余剰供給量Qdとに基づいて、尿素水の噴射量Uを算出する。ここで、アンモニアの要求余剰供給量Qdとは、SCR触媒43において現アンモニア吸着量Qcを目標吸着量Qaまで高めるのに必要なアンモニアの余剰供給量のことであり、上記S2で決定されたアンモニアの目標吸着量Qaから、上記S3で算出された現アンモニア吸着量Qcを差し引くことで得られる値である。尿素水の噴射量Uは、要求余剰供給量Qdが多い程、また、アンモニア消費量Wが多い程、より大きい値として算出される。
[浄化診断制御]
以上が、ドージング制御の基本動作である。続いて、SCR触媒43の浄化性能が正常に機能しているかを診断する浄化診断制御について説明する。
この浄化診断制御は、NOx浄化率の誤診断を回避し、浄化診断の精度を向上することを企図するもので、主に浄化率演算部104及び浄化診断部105によって実行される。
図7に示すフローチャートを参照しながら、コントローラ100による浄化診断制御動作の一例について説明する。尚、図中、Si(i=11,12,…)は、各ステップを示す。コントローラ100のドージング制御部103によって図3に示したドージング制御が実行されている状況下において、並行して浄化診断制御が実行されている。
図7のフローチャートに示すように、S11にて、各センサSN1~SN10等からの出力信号及び各種情報を読み込み、S12に移行する。
S12では、現アンモニア吸着量Qcが推定され、S13に移行する。
前述したドージング制御(S3)と同様に、アンモニア供給量から、SCR触媒43での各時点のアンモニア消費量を差し引いた蓄積分を時間ごとに積算して現アンモニア吸着量Qcを推定する。
S13では、第1実行条件である、現アンモニア吸着量Qcが閾値Laよりも大きいか否かを判定する。
S13の判定の結果、現アンモニア吸着量Qcが閾値Laよりも大きい場合、第1実行条件が成立するため、S14に移行する。
S14では、第2実行条件(a)~(c)が成立したか否か判定する。
S14の判定の結果、第2実行条件(a)~(c)が成立した場合、浄化診断を行う条件を満たすため、S15に移行する。S14の判定の結果、第2実行条件(a)~(c)が成立しない場合、正確な浄化診断を行える状態ではないため、リターンする。
S15では、浄化率Dを式(1)を用いて演算し、S16に移行する。
S16では、浄化率Dが閾値Ld以上か否か判定する。
S16の判定の結果、浄化率Dが閾値Ld以上の場合、SCR触媒43の浄化性能が十分に機能しているため、正常判定を行い(S17)、リターンする。
S16の判定の結果、浄化率Dが閾値Ld未満の場合、SCR触媒43の浄化性能が十分に機能していないため、異常判定を行い(S18)、リターンする。
S13の判定の結果、現アンモニア吸着量Qcが閾値La以下の場合、NOxの脱離現象が発生する虞があるため、S19に移行する。
現アンモニア吸着量Qcが閾値La以下の場合、排気ガス中のNOxがSCR触媒43に吸着され、アンモニアの供給によりNOxが脱離するため、本来、存在しないはずのNOxがSCR触媒43の下流に放出される。この放出されたNOxが、NOx濃度センサSN10に検出された場合、正確な浄化率Dを取得できないからである。
S19では、尿素インジェクタ45から尿素水を噴射可能か否か判定する。
S19の判定の結果、尿素インジェクタ45から尿素水を噴射可能、つまり、SCR触媒43温度Tsが第2設定温度(180℃)以上である場合、現アンモニア吸着量Qcが閾値La以下であっても、アンモニアがSCR触媒43に吸着され、NOxの脱離現象が発生しないため、S14に移行する。S19の判定の結果、尿素インジェクタ45から尿素水を噴射可能ではない場合、S20に移行する。
S20では、SCR触媒43にNOxが流入したか否か判定する。
SCR触媒43へのNOxの流入は、上流側NOx濃度センサSN5のセンサ出力に基づき判定される。S20の判定の結果、SCR触媒43にNOxが流入した場合、既に排気ガス中のNOxがSCR触媒43に吸着されているため、S21に移行する。
S20の判定の結果、SCR触媒43にNOxが流入していない場合、未だ排気ガス中のNOxがSCR触媒43に吸着されていないため、S19に移行する。
S21では、浄化診断中止条件が不成立か否か判定する。
S21の判定の結果、浄化診断中止条件が不成立の場合、リターンする。
浄化診断中止条件は、例えば、現アンモニア吸着量Qcが閾値La以下、又はSCR触媒43の温度Tsが第1設定温度(120℃)未満である。
現アンモニア吸着量Qcが閾値La超の場合、NOxはSCR触媒43に吸着され難く、また、温度Tsが第1設定温度以上の場合、NOx特性上、SCR触媒43から脱離するNOxが減少するからである。
S21の判定の結果、浄化診断中止条件が不成立ではない、つまり、成立する場合、浄化診断を中止し(S22)、継続して浄化診断中止条件を判定する。
例えば、前回エンジン停止時において現アンモニア吸着量Qcが閾値La以下(S13:No)且つ今回エンジン始動時のSCR触媒43の温度Tsが第1設定温度よりも低い場合(S19:No,S20:Yes)、NOx特性上、SCR触媒43の温度Ts上昇に比例してNOx吸着量が増加し、SCR触媒43から脱離するNOxも増加するため、浄化診断を中止している。この浄化診断の中止は、エンジン始動後、現アンモニア吸着量Qcが増加すると共にSCR触媒43の温度Tsが上昇して浄化診断中止条件が不成立になるまで継続される。
次に、本発明の実施形態による排気ガス浄化装置の診断装置の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、コントローラ100(SCR状態推定部102)が、SCR触媒43に吸着されている現アンモニア吸着量Qcを推定するため、現アンモニア吸着量QcをパラメータとしてNOxのSCR触媒43に対する吸着状態、所謂吸着され易さを判定することができる。コントローラ100(浄化率演算部104)は、推定された現アンモニア吸着量Qcが所定閾値La以下のとき、SCR触媒43の浄化率Dの診断を制限するため、前段階において配位結合により吸着され且つ尿素水の供給後SCR触媒43から放出されるNOxを浄化率Dの診断対象から除外することができる。
これにより、SCR触媒43にアンモニアが吸着されていない状況からエンジンを始動する場合に、NOx浄化率Dの誤診断を回避することができる。
コントローラ100(浄化率演算部104)は、前回エンジン停止時のSCR触媒43の現アンモニア吸着量Qcが閾値La以下且つエンジン始動時におけるSCR触媒43の温度Tsが第1設定温度よりも低いとき、SCR触媒43の浄化率Dの診断を制限している。これにより、所定温度をピークとする放物線状のNOx特性を考慮することができ、第1設定温度をNOx特性の所定温度に設定することで浄化率診断の制限領域を最小限に抑えることができる。
コントローラ100(ドージング制御部103)は、SCR触媒43の温度Tsが第2設定温度よりも低いとき、尿素インジェクタ45による尿素水の供給を停止すると共に、SCR触媒43の温度Tsが第2設定温度よりも低いとき、SCR触媒43の浄化率Dの診断を制限している。これにより、SCR触媒43に吸着されたNOxをアンモニアに置換した後、浄化率診断を適正に開始することができる。
コントローラ100(ドージング制御部103)は、SCR触媒43のアンモニア吸着量が目標吸着量Qaになるように尿素インジェクタ45を制御するため、適正量の尿素水をSCR触媒43に供給することができ、SCR触媒43に吸着される現アンモニア吸着量Qcを容易に推定することができる。
目標吸着量Qaが、SCR触媒43の温度Tsに応じて設定されるため、アンモニアスリップを防止しつつ適正量の尿素水を供給することができる。
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、軽油を主成分とする燃料を圧着着火させるディーゼルエンジンに本発明の排気浄化装置を適用した例について説明した。本発明を適用可能なエンジンは、NOxを浄化するためにSCR触媒を設ける必要のあるエンジンであれば良く、例えばガソリンを主成分とする燃料をリーンな空燃比下で燃焼させるリーンバーンガソリンエンジンに本発明を適用しても良い。
2〕前記実施形態においては、現アンモニア吸着量Qcが閾値La以下で且つSCR触媒43にNOxが流入した場合、浄化診断を中止(S23)した例を説明したが、浄化診断を中止するのではなく制限しても良い。具体的には、下流側NOx濃度センサSN10のセンサ出力値を脱離NOx相当減少補正し、上流側NOx濃度センサSN5のセンサ出力値と下流側NOx濃度センサSN10の補正センサ出力値を用いて浄化率Dを算出することも可能である。
3〕前記実施形態においては、SCR触媒43にNOxが流入した場合、DPF42の再生実行判定(S21)で浄化診断中止を解除する例を説明したが、SCR触媒43に吸着されたNOxの脱離を判定できれば良く、SCR触媒43の温度Ts、例えば、160℃以上で浄化診断中止を解除することも可能である。
4〕前記実施形態においては、第1実行条件として、現アンモニア吸着量Qcが零相当の0.1g/l以下のとき、SCR触媒43の浄化診断を制限する例を説明したが、少なくともSCR触媒43にNOxが結合する可能性が判定できれば良く、判定閾値Laは、排気ガス浄化装置の仕様に応じて適宜設定可能である。
5〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態や各実施形態を組み合わせた形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
40 排気通路
43 SCR触媒
45 尿素インジェクタ
100 コントローラ
4S 排気システム
SN5 (上流側)NOx濃度センサ
SN10 (下流側)NOx濃度センサ

Claims (5)

  1. エンジンの排気通路に尿素水を供給可能な尿素インジェクタと、この尿素インジェクタよりも下流側の排気通路に設けられ且つ前記尿素インジェクタが供給した尿素水から生成されたアンモニアの還元作用により排気ガス中のNOxを浄化する選択還元触媒と、この選択還元触媒の上流側及び下流側の排気通路に夫々配設された上流側及び下流側NOx濃度センサと、前記上流側及び下流側NOx濃度センサのセンサ出力に基づき前記選択還元触媒の浄化率を診断する制御手段とを備えた排気ガス浄化装置の診断装置において、
    前記制御手段は、前記選択還元触媒に吸着されているアンモニア吸着量を推定すると共に、推定されたアンモニア吸着量が所定閾値以下のとき、前記選択還元触媒の浄化率の診断を制限することを特徴とする排気ガス浄化装置の診断装置。
  2. 前記制御手段は、前回エンジン停止時の前記選択還元触媒のアンモニア吸着量が前記閾値以下且つエンジン始動時における前記選択還元触媒の温度が第1設定温度よりも低いとき、前記選択還元触媒の浄化率の診断を制限することを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化装置の診断装置。
  3. 前記制御手段は、前記選択還元触媒の温度が第2設定温度よりも低いとき、前記尿素インジェクタによる尿素水の供給を停止すると共に、前記選択還元触媒の温度が前記第2設定温度よりも低いとき、前記選択還元触媒の浄化率の診断を制限することを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガス浄化装置の診断装置。
  4. 前記制御手段は、前記選択還元触媒のアンモニア吸着量が目標吸着量になるように前記尿素インジェクタを制御することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の排気ガス浄化装置の診断装置。
  5. 前記目標吸着量が、前記選択還元触媒の温度に応じて設定されることを特徴とする請求項4に記載の排気ガス浄化装置の診断装置。
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