JP2009257231A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷間始動時において、NOx吸着触媒が高いNOx吸着能力を有し、NOxの排出による排気性状の悪化を防止する内燃機関の排気浄化装置を提供する。
【解決手段】機関排気通路内にNOxを還元するNOx還元触媒24を配置すると共にNOx還元触媒24の上流の機関排気通路内にNOx吸着触媒22を配置する。NOx吸着触媒22は、冷間始動時に流入したNOxを吸着し触媒温度の上昇に伴って吸着したNOxを脱離し、脱離したNOxがNOx還元触媒24によって還元される。当該内燃機関は、NOx吸着触媒22に吸着したNOx量を推定する吸着NOx量推定手段を具備し、推定されたNOx量が予め定められた値以上になったとき、NOx吸着触媒温度の昇温制御を行い吸着したNOxを脱離させる。
【選択図】図1
【解決手段】機関排気通路内にNOxを還元するNOx還元触媒24を配置すると共にNOx還元触媒24の上流の機関排気通路内にNOx吸着触媒22を配置する。NOx吸着触媒22は、冷間始動時に流入したNOxを吸着し触媒温度の上昇に伴って吸着したNOxを脱離し、脱離したNOxがNOx還元触媒24によって還元される。当該内燃機関は、NOx吸着触媒22に吸着したNOx量を推定する吸着NOx量推定手段を具備し、推定されたNOx量が予め定められた値以上になったとき、NOx吸着触媒温度の昇温制御を行い吸着したNOxを脱離させる。
【選択図】図1
Description
本発明は内燃機関の排気浄化装置に関する。
機関排気通路内にNOx選択還元触媒を配置し、NOx選択還元触媒上流の機関排気通路内にNOx吸着触媒を配置した内燃機関において、排気ガスの温度が低いNOx選択還元触媒活性化前においては排気ガス中に含まれるNOxがNOx吸着触媒に吸着し、排気ガスの温度が高くなるとNOx吸着触媒が昇温して吸着したNOxが脱離し、NOx選択還元触媒に尿素を供給して尿素から発生するアンモニアにより排気ガス中に含まれるNOxを選択的に還元する内燃機関が公知である(特許文献1参照)。
しかしながらこの内燃機関では、軽負荷運転が続きNOx吸着触媒がNOxを脱離する温度(以下、「NOx脱離温度」と称す)まで昇温されない場合や、一旦NOx吸着触媒がNOx脱離温度まで昇温した後、NOx吸着触媒が再びNOx脱離温度以下に下がって運転が継続した場合等において、そのまま機関運転が停止してしまうと、NOx吸着触媒から吸着したNOxを十分に脱離させることができないことがある。そうすると、NOx吸着触媒のNOx吸着能力は低下し、次回の冷間始動時に排気ガス中に含まれるNOxを十分に吸着することができず、また、下流にあるNOx選択還元触媒も活性化温度に達していない場合には、NOxがそのまま大気中に排出され排気性状が悪化するという問題がある。
そこで本発明は、冷間始動時において、NOx吸着触媒が高いNOx吸着能力を有し、NOxの排出による排気性状の悪化を防止する内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために請求項1に記載の発明によれば、機関排気通路内にNOxを還元するNOx還元触媒を配置すると共にNOx還元触媒の上流の機関排気通路内にNOx吸着触媒を配置し、NOx吸着触媒が冷間始動時に流入したNOxを吸着し触媒温度の上昇に伴って吸着したNOxを脱離し、脱離したNOxがNOx還元触媒によって還元される内燃機関の排気浄化装置において、NOx吸着触媒に吸着したNOx量を推定する吸着NOx量推定手段を具備し、推定されたNOx量が予め定められた値以上になったとき、前記NOx吸着触媒温度の昇温制御を行い吸着したNOxを脱離させる内燃機関の排気浄化装置が提供される。
また、請求項2に記載の発明によれば、機関排気通路内にNOxを還元するNOx還元触媒を配置すると共にNOx還元触媒の上流の機関排気通路内にNOx吸着触媒を配置し、NOx吸着触媒が冷間始動時に流入したNOxを吸着し触媒温度の上昇に伴って吸着したNOxを脱離し、脱離したNOxがNOx還元触媒によって還元される内燃機関の排気浄化装置において、冷間始動後に、前記NOx吸着触媒温度が吸着したNOxを脱離するNOx脱離温度以上になった後、前記NOx吸着触媒温度をNOx脱離温度以上に維持するように制御する内燃機関の排気浄化装置が提供される。
各請求項に記載の発明によれば、冷間始動時にNOx吸着触媒が高いNOx吸着能力を有するよう、前回運転時にNOx吸着触媒から吸着したNOxを脱離させる制御を行い、それによって、冷間始動時にNOxの排出による排気性状の悪化を防止することができるという共通の効果を奏する。
図1に圧縮着火式内燃機関の全体図を示す。図1を参照すると、1は機関本体、2は各気筒の燃焼室、3は各燃焼室2内にそれぞれ燃料を噴射するための電子制御式燃料噴射弁、4は吸気マニホルド、5は排気マニホルドをそれぞれ示す。吸気マニホルド4は吸気ダクト6を介して排気ターボチャージャ7のコンプレッサ7aの出口に連結され、コンプレッサ7aの入口は吸入空気量を検出するためのエアフローメータ8を介してエアクリーナ9に連結される。吸気ダクト6内にはステップモータにより駆動されるスロットル弁10が配置され、更に吸気ダクト6周りには吸気ダクト6内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置11が配置される。機関冷却水が冷却装置11内に導かれ、機関冷却水によって吸入空気が冷却される。
一方、排気マニホルド5は排気ターボチャージャ7の排気タービン7bの入口に連結され、排気タービン7bの出口は後述する排気後処理装置20に連結される。排気マニホルド5と吸気マニホルド4とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路12を介して互いに連結され、EGR通路12内には電気制御式EGR制御弁13が配置される。また、EGR通路12周りにはEGR通路12内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置14が配置される。図1に示す実施形態では機関冷却水が冷却装置14内に導かれ、機関冷却水によってEGRガスが冷却される。一方、各燃料噴射弁3は燃料供給管15を介してコモンレール16に連結される。このコモンレール16内へは電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ17を用いて燃料タンク18から燃料が供給され、コモンレール16内に供給された燃料は各燃料供給管15を介して燃料噴射弁3に供給される。
排気後処理装置20はNOx吸着触媒22とNOx還元触媒24と酸化触媒25とを有する。NOx吸着触媒22は、排気ガスの温度が低いときに排気ガス中に含まれるNOxを吸着し、排気ガスの空燃比がリーンのもとで排気ガスの温度が高くなると吸着したNOxをそのまま脱離する。ここで排気ガスの空燃比とは、燃焼室5及び排気通路内に供給された空気及び燃料(炭化水素)の比をいう。
NOx吸着触媒22は、図1に示す実施形態では白金Pt等の貴金属を担持した酸化触媒からなるが、酸化触媒を担持したパティキュレートフィルタ、又はその他貴金属を担持した触媒であってもよい。一般に貴金属を担持した触媒は所定温度以下である場合にNOxをその表面に吸着し、排気ガスの空燃比がリーンのもとで所定温度以上になると、吸着したNOxをそのまま脱離する性質を有する。脱離は、吸着可能な量である吸着容量が温度上昇と共に低下し、吸着容量を超えた分の吸着していたNOxが放出されることをいう。この所定温度を以下「NOx脱離温度」と称す。
NOx還元触媒24は、流入したNOxを還元浄化するための触媒であり、本実施形態では、NOx選択還元触媒を用いる。NOx選択還元触媒24は、排気ガスの空燃比がリーンのもとでアンモニアによって排気ガス中のNOxを選択的に還元することができる。NOx選択還元触媒24は、図1に示す実施形態では、チタニアを担体とし、この担体上に酸化バナジウムを担持した触媒V2O5/TiO2、又はゼオライトを担体とし、この担体上に銅を担持した触媒Cu/ZSM5が用いられている。
酸化触媒25は、その上流に配置されたNOx選択還元触媒24と反応せずに流出したアンモニアを酸化する役割を果たす。
排気タービン7bの出口が排気通路21を介してNOx吸着触媒22の入口に連結される。また、NOx吸着触媒22の出口が排気管23を介してNOx選択還元触媒24の入口に連結される。そして、NOx選択還元触媒24のすぐ下流には酸化触媒25が配置され、酸化触媒25の出口が排気管26に連結される。また、排気通路21内には、NOx吸着触媒22に流入する排気ガス中に含まれるNOx量NOXiを検出するNOxセンサ27が配置され、排気管23内には、NOx吸着触媒22から流出する排気ガス中に含まれるNOx量NOXoを検出するNOxセンサ28がそれぞれ配置される。排気管23内にはNOx吸着触媒22から流出した排気ガスの温度を検出するための温度センサ29が配置され、排気管26内には酸化触媒25から流出した排気ガスの温度を検出するための温度センサ30が配置される。NOx吸着触媒22から流出した排気ガスの温度はNOx吸着触媒温度Tを表し、酸化触媒25から流出した排気ガスの温度はNOx選択還元触媒温度及び酸化触媒温度を表す。
NOx選択還元触媒24上流の排気管23内には尿素水供給弁31が配置され、この尿素水供給弁31は供給管、供給ポンプ32を介して尿素水タンク33に連結される。尿素水を供給すべきときには尿素水タンク33内に貯蔵されている尿素水が供給ポンプ32によって尿素水供給弁31から排気管23内を流れる排気ガス中に噴射され、このとき尿素から発生したアンモニア((NH2)2CO+H2O→2NH3+CO2)によって排気ガス中に含まれるNOxがNOx選択還元触媒24において例えば次式に示されるように選択的に還元される。
NO+NO2+2NH3→2N2+3H2O
NO+NO2+2NH3→2N2+3H2O
電子制御ユニット(ECU)40はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス41によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)42、RAM(ランダムアクセスメモリ)43、CPU(マイクロプロセッサ)44、入力ポート45及び出力ポート46を具備する。エアフローメータ8、NOxセンサ27,28、及び温度センサ29,30の出力信号はそれぞれ対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。また、アクセルペダル49にはアクセルペダル49の踏み込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ50が接続され、負荷センサ50の出力電圧は対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。更に入力ポート45にはクランクシャフトが例えば15°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ51が接続される。CPU44ではクランク角センサ51からの出力パルスに基づいて機関回転数Nが算出される。一方、出力ポート46は対応する駆動回路48を介して燃料噴射弁3、スロットル弁10駆動装置、EGR制御弁13、燃料ポンプ17、尿素水供給弁31及び供給ポンプ32に接続される。
図2に別の実施形態による圧縮着火式内燃機関の全体図を示す。図1に示す実施形態による圧縮着火式内燃機関とは、排気後処理装置20内の構成において異なる。図2に示す実施形態による圧縮着火式内燃機関において、排気後処理装置20はNOx吸着触媒22とNOx還元触媒36と酸化触媒25とを有する。NOx吸着触媒22及び酸化触媒25は図1に示す実施形態による圧縮着火式内燃機関と同様である。
NOx還元触媒36は、流入したNOxを還元浄化するための触媒であり、本実施形態では、NOx吸蔵還元触媒を用いる。NOx吸蔵還元触媒36は、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときには排気ガス中に含まれるNOxを吸蔵し、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比又はリッチになると吸蔵したNOxを還元浄化する。
排気タービン7bの出口が排気通路21を介してNOx吸着触媒22の入口に連結され、NOx吸着触媒22の出口が排気管35を介してNOx吸蔵還元触媒36の入口に連結される。また、NOx吸蔵還元触媒36の出口が排気管23を介して酸化触媒25の入口に連結される。そして、酸化触媒25の出口が排気管26に連結される。また、排気通路21内には、NOx吸着触媒22に流入する排気ガス中に含まれるNOx量NOXiを検出するNOxセンサ27が配置され、排気管35内には、NOx吸着触媒22から流出する排気ガス中に含まれるNOx量NOXoを検出するNOxセンサ28がそれぞれ配置される。排気管35内にはNOx吸着触媒22から流出した排気ガスの温度を検出するための温度センサ29が配置され、排気管26内には酸化触媒25から流出した排気ガスの温度を検出するための温度センサ30が配置される。NOx吸着触媒22から流出した排気ガスの温度はNOx吸着触媒温度T及びNOx吸蔵還元触媒温度を表し、酸化触媒25から流出した排気ガスの温度は酸化触媒温度を表す。
図3は、図1及び図2に示す実施形態において用いられる、本発明によるNOx脱離制御を説明するタイムチャートである。図3において、一番上のタイムチャートは、NOx吸着触媒22に吸着されているNOx量であるNOx吸着量ΣNOXを示し、2番目のタイムチャートは、NOx吸着触媒温度Tを示し、3番目のタイムチャートは、後述する昇温制御の実行タイミングを示す。
NOx吸着量ΣNOXは、機関始動直後から上昇を開始する。そして、NOx吸着量ΣNOXが、予め定められたNOx吸着上限値NOXmaxに達すると、吸着したNOxを脱離させるべく、NOx吸着触媒温度TがNOx脱離温度T0以上となるように昇温制御が開始される。NOx吸着触媒温度TがNOx脱離温度T0に達すると、吸着したNOxの脱離が開始し、NOx吸着量ΣNOXは減少し始める。その後、NOx吸着量ΣNOXが、予め定められたNOx吸着下限値NOXminに達すると、昇温制御が停止される。その後再びNOx吸着量ΣNOXは上昇し、上記サイクルが繰り返される。
ここで、昇温制御として、例えば、主噴射の後更に付加的に噴射することにより、高温の排気ガスを排気通路内に導入する方法や、上記付加的な噴射によって、未燃燃料を排気通路内に送り込み、NOx吸着触媒22のHCとの酸化反応によって触媒温度を昇温させる方法、また、電気的負荷(オルタネータ 、ブロア等)または物理的負荷(エアコン、トルクコンバータ等)を増大させ排気ガスの温度を高める方法や、アイドリング時の機関回転数Nを増加させることにより、燃焼室内に噴射される燃料量を増加させ、排気ガスの温度を上昇させる方法等、一般的な昇温方法が使用可能である。
NOx吸着上限値NOXmaxは、仮にNOx吸着量がその値の時に機関運転が停止しても、次回の冷間始動後NOx還元触媒24,36が活性化温度に達しNOxを還元できる状態になるまでの間、流入するNOxを吸着するのに十分な吸着能力を有するように設定される。一方、NOx吸着下限値NOXminは、昇温制御が長時間継続されると、高温によって触媒を劣化させる恐れがあるため、それを防止するために設定される。NOx吸着下限値NOXminとして、例えば、NOx吸着量ΣNOXが0や、0近傍の値等が考えられる。
上記NOx脱離制御を行うことによって、どの段階で機関運転が停止しても、次回冷間始動時に、NOx吸着触媒22は十分なNOx吸着能力を有することとなる。
次に図4を参照しながら、本発明によるNOx脱離制御操作のフローチャートについて説明する。この操作は、電子制御ユニット(ECU)40によって予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行されるルーチンとして行われる。
図4を参照すると、まず初めにステップ101において後述するNOx吸着量算出操作によって算出されたNOx吸着量ΣNOXの読み込みが行われ、ステップ102へと進む。次いで、ステップ102では、ステップ101で読み込んだNOx吸着量ΣNOXがNOx吸着上限値NOXmaxよりも大きいか否かが判定される。ステップ102において、NOx吸着量ΣNOXがNOx吸着上限値NOXmax以下であると判定された場合には、昇温制御を行わずにルーチンを終了する。一方、ステップ102において、NOx吸着量ΣNOXがNOx吸着上限値NOXmaxよりも大きいと判定された場合には、ステップ103へと進む。
次いで、ステップ103では、昇温制御が実行され、ステップ104へと進む。次いで、ステップ104では、昇温制御実行中のNOx吸着量ΣNOXをステップ101と同様に読み込み、ステップ105へと進む。次いで、ステップ105では、ステップ104で読み込んだNOx吸着量ΣNOXがNOx吸着下限値NOXminよりも小さいか否かが判定される。ステップ105において、NOX吸着量ΣNOXがNOx吸着下限値NOXmin以上であると判定された場合には、再びステップ103へと進み、昇温制御を継続する。一方、ステップ105において、NOx吸着量ΣNOXがNOx吸着下限値NOXminよりも小さいと判定された場合には、ステップ106へと進む。次いで、ステップ106では、実行していた昇温制御を停止し、ルーチンを終了する。
次に図5を参照しながら、NOx吸着量算出操作のフローチャートについて説明する。この操作は前述のように図4に示すNOx脱離制御操作のステップ101及びステップ104で読み込まれるNOx吸着量ΣNOXを算出するための操作である。この操作は、電子制御ユニット(ECU)40によって予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行されるルーチンとして行われる。
図5を参照すると、まず初めにステップ201において、NOxセンサ27によるNOx吸着触媒22に流入する排気ガス中に含まれるNOx量NOXiと、NOxセンサ28によるNOx吸着触媒22から流出する排気ガス中に含まれるNOx量NOXoとが検出される。次いで、ステップ202では、NOx量NOXiからNOx量NOXoを減算した値を積算することによって、NOx吸着量ΣNOXが算出され、ルーチンを終了する。
図1及び図2に示す実施形態による圧縮着火式内燃機関では、NOxセンサ27,28を用いることによって、排気ガス中のNOx量を直接測定し、NOx吸着触媒22に吸着したNOX量を算出した。それに対し、図6及び図7に示す実施形態による圧縮着火式内燃機関では、これらNOxセンサを用いることなく推定によって、NOx吸着量ΣNOXを算出する。以下、これら実施形態に用いられる図5とは別のNOx吸着量算出操作について説明する。
なお、図6及び図7に示す実施形態による圧縮着火式内燃機関は、NOxセンサ27,28を有さない点以外、その構成において図1及び図2に示す実施形態による圧縮着火式内燃機関とそれぞれ同一であり、図4に示すNOx脱離制御操作が、電子制御ユニット(ECU)40によって予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行されるルーチンとして行われる。
本実施形態によるNOx吸着量算出操作について説明する前に、まず、NOx吸着触媒22に流入する排気ガス中に含まれるNOx量の推定する方法について説明する。NOx吸着触媒22に流入する排気ガス中に含まれるNOx量は、要求トルクTQ及び機関回転数Nの関数で表すことができる。従って、本発明による実施形態では、NOx吸着触媒22に単位時間当たりに流入するNOx量NOXinが、予め実験又は計算によって求められ、図8に示されるようなマップの形で予めROM42内に記憶されている。従って、NOx量NOXinを積算することによって、NOx吸着触媒22に流入する排気ガス中に含まれるNOx流入量ΣNOXinが推定できる。
次に、図9を参照しながらNOx吸着触媒22の吸着特性及び脱離特性について説明する。図9(A)は、NOx吸着触媒22が流入したNOxを単位時間当たりに吸着する量であるNOx吸着速度Vi[g/s]とNOx吸着触媒温度Tとの関係を示し、図9(B)は、NOx吸着触媒22が吸着したNOxを単位時間当たりに脱離する量であるNOx脱離速度Vo[g/s]とNOx吸着触媒温度Tとの関係を示す。
即ち、NOx吸着触媒温度Tが低いときには、NOx吸着速度ViがNOx脱離速度Voよりも大きいため、NOx吸着触媒22に流入した排気ガス中に含まれるNOxを吸着し、逆に、NOx吸着触媒温度Tが高いときには、NOx脱離速度VoがNOx吸着速度Viよりも大きいため、NOx吸着触媒22に吸着したNOxが脱離する。従って、NOx吸着速度ViとNOx脱離速度Voとが等しいときが、NOx脱離温度T0であると考えられる。これらNOx吸着触媒22の吸着特性及び脱離特性に関する図9に示す関係は、予め実験又は計算によって求められ、予めROM42内に記憶されている。
以上より、要求トルクTQ及び機関回転数Nから図8に示すマップに基づいて、NOx吸着触媒22に単位時間当たりに流入するNOx量NOXinが算出され、更にこれを積算することにより、NOx吸着触媒22に流入する排気ガス中に含まれるNOx流入量ΣNOXinが算出される。また、NOx吸着触媒温度Tから図9に示す特性に基づいて、NOx吸着速度Vi及びNOx脱離速度Voが算出される。従って、これらNOx流入量ΣNOXin、NOx吸着速度Vi及びNOx脱離速度Voに基づいて、最終的にNOx吸着触媒22に吸着されるNOx吸着量ΣNOXを算出することができる。
次に図10を参照しながら、図6及び図7に示す実施形態による圧縮着火式内燃機関に用いられる、図5とは別の実施形態によるNOx吸着量算出操作のフローチャートについて説明する。これは、図4に示すNOx脱離制御操作のステップ101及びステップ104で読み込まれるNOx吸着量ΣNOXを算出するための操作である。この操作は、電子制御ユニット(ECU)40によって予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行されるルーチンとして行われる。
図10を参照すると、まず初めにステップ301において、NOx吸着触媒22に単位時間当たりに流入するNOx量NOXin、NOx吸着速度Vi及びNOx脱離速度Voが算出され、ステップ302へと進む。次いで、ステップ302では、NOx量NOXinを積算することによってNOx流入量ΣNOXinが算出され、ステップ303へと進む。次いで、ステップ303では、ステップ303で算出したNOx流入量ΣNOXinと、ステップ301で算出したNOx吸着速度Vi及びNOx脱離速度Voとに基づいて、NOx吸着量ΣNOXが算出され、ルーチンを終了する。
次に、図6及び7に示す実施形態による圧縮着火式内燃機関に用いられる、図4とは異なるNOx脱離制御について図11を参照しながら説明する。図11は、或る運転条件における、NOx吸着触媒温度Tと時間との関係、並びにNOx吸着触媒22に単位時間当たりに流入するNOx量NOXin及びNOx吸着触媒22から単位時間当たりに流出するNOx量NOXoutと時間との関係を示している。
本実施形態によるNOx脱離制御によれば、冷間始動後、NOx吸着触媒温度TがNOx脱離温度T0に最初に達するまでの区間Iでは、何ら制御を行うことなく、NOx吸着触媒22は、流入した排気ガス中に含まれるNOxを吸着する。その後、NOx脱離温度T0に達した後の区間IIでは、NOx吸着触媒温度Tを監視し、NOx吸着触媒温度TをNOx脱離温度T0以上に維持するように、前述のような昇温制御を行う。
即ち、図11に示すように、NOx吸着触媒温度TがNOx脱離温度T0より小さい場合には、NOx吸着触媒22に単位時間当たりに流入するNOx量NOXinがNOx吸着触媒22から単位時間当たりに流出するNOx量NOXoutよりも大きいため、NOx吸着量ΣNOXが増加してしまう。従って、NOx吸着触媒温度Tを常にNOx脱離温度T0よりも大きくなるように維持することによって、吸着したNOxを脱離させると共に、新たな吸着を抑えることができる。即ち、機関運転停止後の次回冷間始動時においても、NOx吸着触媒22は十分なNOx吸着能力を有することとなる。
次に図12を参照しながら、本発明の別の実施形態によるNOx脱離制御操作のフローチャートについて説明する。この操作は、電子制御ユニット(ECU)40によって予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行されるルーチンとして行われる。
図12を参照すると、まず初めにステップ401においてNOx吸着触媒温度Tの検出が行われ、ステップ402へと進む。次いで、ステップ402では、ステップ401で検出したNOx吸着触媒温度TがNOx脱離温度T0よりも小さいか否かが判定される。ステップ402において、NOx吸着触媒温度TがNOx脱離温度T0よりも小さいと判定された場合には、ステップ403へと進む。次いで、ステップ403では、フラグFが1であるか否かが判定される。このフラグFは、機関始動後に、NOx吸着触媒温度TがNOx脱離温度T0に少なくとも1回は達したことを表すフラグである。従って、ステップ403において、フラグFが1でない場合には、昇温制御が実行されることなくルーチンが終了する。即ち、機関運転状態は、図11において区間Iの状態にあり、機関始動後に、NOx吸着触媒温度Tは未だNOx脱離温度T0に達していない。
一方、ステップ402おいて、NOx吸着触媒温度TがNOx脱離温度T0以上であると判定された場合には、ステップ404へと進む。次いで、ステップ404では、フラグFに1をセットし、ルーチンを終了する。即ち、フラグFに1をセットすることによって、機関始動後、NOx吸着触媒温度TがNOx脱離温度T0に初めて達したか、又は少なくとも1回は達していることが判別される。従って、機関運転状態は、図11において区間IIの状態にある。
従って、このとき、ステップ402において、NOx吸着触媒温度TがNOx脱離温度T0よりも小さいと判定された場合には、次いで、ステップ403においてフラグFが1であるので、ステップ405へと進む。そして、ステップ405で昇温制御が行われ、NOx吸着触媒温度TをNOx脱離温度T0以上に上昇させ、ルーチンを終了する。
なお、フラグFは機関停止時に0にリセットされる。
1 機関本体
4 吸気マニホルド
5 排気マニホルド
7 排気ターボチャージャ
22 NOx吸着触媒
24 NOx還元触媒
27,28 NOxセンサ
29,30 温度センサ
4 吸気マニホルド
5 排気マニホルド
7 排気ターボチャージャ
22 NOx吸着触媒
24 NOx還元触媒
27,28 NOxセンサ
29,30 温度センサ
Claims (2)
- 機関排気通路内にNOxを還元するNOx還元触媒を配置すると共にNOx還元触媒の上流の機関排気通路内にNOx吸着触媒を配置し、NOx吸着触媒が冷間始動時に流入したNOxを吸着し触媒温度の上昇に伴って吸着したNOxを脱離し、脱離したNOxがNOx還元触媒によって還元される内燃機関の排気浄化装置において、NOx吸着触媒に吸着したNOx量を推定する吸着NOx量推定手段を具備し、推定されたNOx量が予め定められた値以上になったとき、前記NOx吸着触媒温度の昇温制御を行い吸着したNOxを脱離させる内燃機関の排気浄化装置。
- 機関排気通路内にNOxを還元するNOx還元触媒を配置すると共にNOx還元触媒の上流の機関排気通路内にNOx吸着触媒を配置し、NOx吸着触媒が冷間始動時に流入したNOxを吸着し触媒温度の上昇に伴って吸着したNOxを脱離し、脱離したNOxがNOx還元触媒によって還元される内燃機関の排気浄化装置において、冷間始動後に、前記NOx吸着触媒温度が吸着したNOxを脱離するNOx脱離温度以上になった後、前記NOx吸着触媒温度をNOx脱離温度以上に維持するように制御する内燃機関の排気浄化装置。
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-
2008
- 2008-04-17 JP JP2008108098A patent/JP2009257231A/ja not_active Withdrawn
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