JP7216364B2 - 形質転換用ベクターおよび形質転換体ならびに形質転換体由来製品 - Google Patents

形質転換用ベクターおよび形質転換体ならびに形質転換体由来製品 Download PDF

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Description

本発明は、植物の形質転換用ベクターおよび形質転換体ならびに形質転換体由来製品に関する。より詳しくは、ワタの形質転換用ベクターおよび形質転換体ならびに形質転換体由来製品に関する。
従来、色付きワタは、茶色、緑の2色しかなく、繊維長、強度、収穫量、紡績性などが低く、商業的な加工が難しいため、高品質なワタの多色化が望まれていた。また、現在の色付きワタは、その繊維部分にフラボノイド類を蓄積していることが知られているが、これらの形質を交配育種により商業的な品種へ導入した例はない。
ワタの形質転換方法については、1980年代には開発されていたが(特許文献1、2)、多色化については、まだ成功していない。
一方、遺伝子組換え技術により、フラボノイド、カロテノイド、ベタレイン等の色素合成系遺伝子をクローニングし、導入することで花や葉の色を変化させる技術は開発されているが、遺伝子組換えで自由にワタの色を変化させることまではできていない。
そこで、ワタ繊維を発色させることに適したベクターおよび/または形質転換方法の開発が求められていた。
特表平2-502253号公報 特許第4463456号公報
植物、特にワタの繊維組織で特異的に発現するプロモータおよび転写因子を含むベクター、それらにより形質転換されたワタ、形質転換ワタ由来の製品を提供する。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)ワタの種子表面および/もしくはワタ繊維特異的に発現する少なくとも1以上のプロモータを含む、ベクター、または、ワタ繊維特異的に発現する少なくとも1以上のプロモータと、該プロモータからの転写を活性化する少なくとも1つのトランス活性化因子遺伝子を含む、ベクター。
(2)前記ワタの種子表面および/またはワタ繊維特異的に発現するプロモータが、
(i)RDL1および/またはEXPAプロモータ
(ii)GhRDL1またはGhEXPAプロモータとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、ワタの種子表面および/またはワタ繊維特異的に発現するプロモータ
(iii)GhRDL1またはGhEXPAプロモータと70%以上の相同性を有し、ワタの種子表面および/またはワタ繊維特異的に発現するプロモータ
のいずれかである、(1)のベクター。
(3)前記トランス活性化因子遺伝子が、
(i)GhHOX3タンパク質をコードするDNA
(ii)GhHOX3タンパク質と60%以上のアミノ酸同一性を有し、GhHOX3タンパク質と同等の転写活性化機能を有するタンパク質をコードするDNA
(iii)(i)のDNAと70%以上の相同性を有し、GhHOX3タンパク質と同等の転写活性化機能を有するタンパク質をコードするDNA
(iv)(i)のDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、GhHOX3タンパク質と同等の転写活性化機能を有するタンパク質をコードするDNA
のいずれかである、(1)または(2)のベクター。
(4)さらに、機能するように連結された、色素生合成遺伝子群の発現を促進する転写因子遺伝子および/または色素生合成遺伝子を少なくとも1つ含む、(1)~(3)のいずれかのベクター。
(5)前記色素生合成遺伝子群の発現を促進する転写因子が、
(i)Atpap1タンパク質をコードするDNA
(ii)Atpap1タンパク質と60%以上のアミノ酸同一性を有し、Atpap1タンパク質と同等の転写活性化機能を有するタンパク質をコードするDNA
(iii)(i)のDNAと70%以上の相同性を有し、Atpap1タンパク質と同等の転写活性化機能を有するタンパク質をコードするDNA
(iv)(i)のDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、Atpap1タンパク質と同等の転写活性化機能を有するタンパク質をコードするDNA
のいずれかである、(4)のベクター。
(6)配列番号1~3のいずれかの配列を有するベクター。より好ましくは、配列番号1~3のいずれかの配列からなるベクターである。
(7)T-DNAの境界領域を含む、(1)~(6)のいずれかに記載のベクター。
(8)(7)に記載のベクターを形質転換したアグロバクテリウム。
(9)(8)に記載のアグロバクテリウムを用いて形質転換された、組織、カルス、形質転換植物、および/またはその種子。
(10)(9)に記載の形質転換植物またはその種子由来のクローン植物、後代植物および/またはそれらの種子。
(11)前記形質転換された細胞、組織、カルス、形質転換植物および/またはその種子、ならびに、クローン植物、後代植物およびそれらの種子が、ワタ由来である、(9)または(10)の細胞、組織、カルス、形質転換植物、および/またはその種子ならびに、クローン植物、後代植物およびそれらの種子。
(12)(4)、(6)もしくは(7)に記載のベクター、および/または、(7)に記載のアグロバクテリウムを用いて形質転換されたワタ細胞、組織、カルス、形質転換植物および/またはその種子、ならびに、クローン植物、後代植物およびそれらの種子を生産する方法。
(13)(11)又は(12)記載の前記形質転換植物体から得られた綿繊維、生地、または衣類。
(14)外来花色関連遺伝子を含む、綿繊維、生地、または衣類。
本発明によれば、ワタ植物で遺伝子を効率よく発現させることができる。
図1は、フラボノイドの生合成経路を示す図である。 図2は、本発明に使用するベクターpRI-GhRDL1p-Atpap1/35Sp-GhHOX3のプラスミドマップである。 図3は、本発明に使用するベクターpRI-GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3のプラスミドマップである。 図4は、本発明に使用するベクターpRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3のプラスミドマップである。 図5は、GhRDL1プロモータ領域の塩基配列を示す図である。 図6は、GhEXPAプロモータ領域の塩基配列を示す図である。 図7は、ベクターpRI-35Sp-Atpap1のプラスミドマップである。 図8は、ワタ繊維における各種プラスミドによる色素発現を示す写真である。 図9は、pRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3を用いた形質転換体タバコの葉の毛状突起細胞のみが赤く着色していることを示す写真である。 図10は、pRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3を用いた形質転換体タバコで、若い葉の毛状突起細胞が顕著に赤く着色していることを示す写真である。 図11は、pRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3を用いた形質転換体タバコで、花弁が赤く着色していることを示す写真である。 図12は、pRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1を用いた形質転換体タバコの葉の毛状突起細胞がより赤く着色していることを示す写真である。 図13は、pRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1を用いた形質転換体タバコの花弁の基部の赤色の着色と、それを拡大した写真である。
本発明は、植物、特にワタの組織特異的発現を可能にするベクターを提供する。本発明において、ワタとは、好ましくは、ワタ属に含まれ商業栽培される以下の種、Gossypium hirsutum、 Gossypium barbadense、 Gossypium arboretum、 Gossypium herbaceumをいうがこれらに限られない。
本発明のベクターは、ワタの種子表面および/またはワタ繊維特異的に発現する少なくとも1以上のプロモータを含む。かかるプロモータとしては、例えば、ワタ種子表面および/または繊維特異的プロモータであるGhRDL1、GhEXPA、GhCesA4、GhACT1、 GhDET2などが好ましく用いられるがこれらに限られない。要は、ワタ種子表面および/または繊維特異的に発現できるプロモータであればよい。これらのプロモータは、ワタの種子表面および/またはワタ繊維特異的に発現するためのシス―エレメント(シス因子)を有することが好ましいが、それ以外の制御により、種子表面および/またはワタ繊維特異的に発現するものであってもよい。
また、構成的に発現するプロモータであって、ワタの種子表面および/またはワタ繊維においても発現するプロモータを用いることもできる。この場合は、発現が不要な組織において、目的遺伝子の発現を抑制するシステムを用いればよい。例えば、RNAiやアンチセンスRNAを不要な組織において特異的に発現させることで目的遺伝子の不要な組織での発現を抑制することができる。
該プロモータの下流に機能するように連結され、目的の組織で発現させる遺伝子としては特に制限されないが、例えば、色素生産に関連する遺伝子群またはそれらの遺伝子群を制御する転写因子が好ましい。色素生産に関連する遺伝子群としては、フラボノイド色素生合成に関する遺伝子群、カロテノイド色素生合成に関する遺伝子群、ベタレイン色素生合成に関する遺伝子群等が挙げられるが、これらに限られず、色素生産に関する遺伝子であればよい。色素生合成遺伝子群の由来も植物、動物、微生物等であってもよく、特に制限されない。色素生合成遺伝子群を制御する転写因子としては、例えば、フラボノイド生合成遺伝子群の発現を活性化するシロイヌナズナのAtpap1遺伝子(図1の下線遺伝子を活性化)などが挙げられるがこれらに限られない。例えば、MYB、bHLH、WDRドメインを有する色素生合成を制御する転写因子であってもよい。
本発明のベクターは、さらに、前期シス―エレメントを活性化するトランス活性化因子(transacting factor)をも含有してもよい。かかるトランス活性化因子としては、特に制限されないが、例えば、ワタのGhHOX3、GhMYB109、GhMYB25、GhMYB2A、GhMYB2D遺伝子が挙げられるがこれらに限られない。該トランス活性化因子が、前期シス―エレメントに結合することにより、前期プロモータからの転写を促進することで、遺伝子の発現を促進することができる。該トランス活性化因子をコードする遺伝子の上流に結合させるプロモータとしては、構成的に発現するプロモータであっても、組織および/または時期特異的に発現するプロモータであってもよいが、少なくとも、目的遺伝子を発現させたい組織で発現するプロモータであることが好ましい。
本発明のベクターは、さらに、色素の生合成に関与する遺伝子を含んでいてもよい。色素生合成に関与する遺伝子としては、例えば、フラボノイド系色素生合成系遺伝子、カロテノイド系色素生合成系遺伝子、ベタレイン生合成系遺伝子などが挙げられるが、これらに限られず、色素を生産する生合成経路に関与する遺伝子であれば本発明のベクターに含めることができる。
フラボノイド系色素生合成系遺伝子の例としては、例えば、青色色素生合成に関与するフラボノイド3‘、5’―デヒドロゲナーゼなどが挙げられる。アントシアン合成経路を持ち、フラボノイド3‘、5’―デヒドロゲナーゼを持たない植物に該酵素遺伝子を導入し、発現させることで、紫~青色の方向に色をシフトさせることができる。さらに、デルフィニジンを安定化させる糖鎖を生合成する遺伝子と、該糖鎖をデルフィニジンに付加する遺伝子を併せて導入することで、デルフィニジンを安定化させることができ、紫~青色を安定化させることができる。また、より青色に近づけるために、DFR遺伝子の発現をRNAiやアンチセンス法により抑制することが望ましい。
また、黄色系色素生合成系遺伝子としては、オーロン合成酵素、ルティン合成酵素、カロテノイド合成系酵素などの遺伝子が挙げられる。
プロモータ領域のDNAや、転写因子の遺伝子、色素生合成系遺伝子については、天然に存在するDNA配列をそのまま用いることもできるが、必要な機能を有する限り、一部が変異(付加、欠失、置換など)したDNA配列を用いても良い。
例えば、ワタ繊維特異的プロモータについては、配列番号14または15のDNAにストリンジェントな条件でハイブリダイズし、ワタ繊維特異的に発現するプロモータを用いることができる。
ここで、ストリンジェントな条件とは、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件および高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。ここで、1×SSCは、150mMNaClおよび15mMクエン酸ナトリウム、pH7.0であり、5×デンハルト溶液は、0.1%(w/v)BSA、0.1%(w/v)Ficol(登録商標)400、0.1%(w/v)ポリビニルピロリドン(PVP)である。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、50℃、2×SSC、0.1%SDSの条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、65℃、0.1×SSCおよび0.1%SDSの条件である。これらの条件において、温度を上げるほど高い相同性を有するDNAが効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては、温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
該ストリンジェントな条件で、ライブラリーからプラークハイブリダイゼーションやコロニーハイブリダイゼーションなどによりハイブリダイズさせて取得したDNAは、GFPやルシフェラーゼ等のレポーター遺伝子に連結し、遺伝子銃でワタの繊維に撃ち込むことでワタ繊維特異的なプロモータ活性を有するかどうか容易に確認することができる。
また、配列番号14または15のワタ繊維特異的プロモータと、DNA配列の相同性が、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%以上で、かつ、ワタ繊維特異的発現を示すDNAも本発明のプロモータとして使用できる。この場合、相同性の上限は100%である。DNAの相同性は、当業者に周知のNCBIのBLAST(登録商標)などのプログラムにより決定できる。本明細書でいうDNA配列の相同性、アミノ酸配列の同一性は、NCBIのBLASTの標準的な設定における相同性、同一性である。
また、転写因子または色素生合成系遺伝子についても、DNAの相同性が、99%以上、98%以上、97%以上、96%以上、95%以上、94%以上、93%以上、92%以上、91%以上、90%以上、85%以上、80%以上、75%以上、70%以上、65%以上、60%以上で、かつ、元の遺伝子と同様の転写活性化能または色素合成活性を有する遺伝子を本発明のベクターに連結して使用することができる。この場合、同一性の上限は100%である。ここで、「同等の」とは、同種の、という意味であり、活性の強さまで同じである必要はない。これらの相同性を有する遺伝子は、cDNAライブラリー又はジェノミックライブラリーから、プラークハイブリダイゼーションやコロニーハイブリダイゼーションなどによりスクリーニングして取得することができ、転写因子活性や、色素生合成活性についても当業者に周知の手法を組み合わせることで確認することができる。
また、転写因子または色素合成系遺伝子については、そのコードするタンパク質との同一性が、99%以上、98%以上、97%以上、96%以上、95%以上、94%以上、93%以上、92%以上、91%以上、90%以上、85%以上、80%以上、75%以上、70%以上、65%以上、60%以上で、かつ、元の遺伝子と同等の転写活性化能または色素合成活性を有するタンパク質をコードするDNAであってもよい。ここで、「同等の」とは、同種の、という意味であり、活性の強さまで同じである必要はない。
本発明のプロモータに連結させた色素生合成経路の転写因子(例えば、Atpap1)およびトランス活性化因子を含むベクターを用いて植物を形質転換することで、特にワタの種子表面および/またはワタ繊維特異的に発現させることで、ワタの繊維に色素を発現させることができる。ただし、この場合、転写因子に対応する色素生合成系遺伝子群がそろっていることが必要である。例えば、Atpap1の場合は、フラボノイド系色素生合成系遺伝子を少なくとも1色発色できる遺伝子群が揃っている必要がある。しかし、シアニジン、ペラルゴニジン、デルフィニジンの全ての生合成系遺伝子が揃っていることまでは必要ない。あるいは、各色素合成系遺伝子群全部を導入して色素を生合成させることも可能である。
本発明のベクターは、アグロバクテリウムのT-DNAの両端の境界領域DNA(右境界領域(Rb)および左境界領域(Lb)の両方またはRbのいずれかを含むことが好ましい。
植物に遺伝子を導入するためには、アグロバクテリウムのTiプラスミドシステムまたはRiプラスミドシステムを使用することができる。Tiプラスミドに2重交叉組換えでT-DNA領域を置換した中間ベクター法を用いて該組換えTiプラスミドをアグロバクテリウムに導入し、植物細胞に感染させることにより、植物細胞の核ゲノムにT-DNA領域を挿入することができる。
本発明のベクターは、Tiプラスミドのバイナリーベクターシステムであることがより好ましい。バイナリーベクターの場合は、T-DNAと、T-DNA領域を植物に導入するために必要な遺伝子群が別々のプラスミドに含まれているものをいう。この場合、あらかじめT-DNA領域を植物に導入する機能を有する遺伝子群を含むプラスミド(例えば、LBA4404等)を含むアグロバクテリウムに対して、T-DNAを含むプラスミドを形質転換する。形質転換法としては、三親交雑法や電気穿孔法(エレクロトポレーション法)等が好ましく使用できる。
T-DNAを含むプラスミドを形質転換(または二重交叉組換え)されたアグロバクテリウムは、LB培地等で液体培養され、その後、植物組織片に接触させ、共存培養される。必要に応じてアセトシリンゴンを添加してもよい。アグロバクテリウムを植物組織片に接触させる方法は、真空浸透法、ディップ法等が好ましく用いられる。接触させたのちの共存培養は、保護培養(フィーダー培養)が好ましいが、多くの植物ではフィーダー培養なしでも形質転換体を取得することが可能である。共存培養の期間は、2日間~1週間程度が好ましいがこれに限られない。要は、アグロバクテリウムがオーバーグロースして植物組織片が死滅したり、感染量が少なすぎて十分な数の形質転換カルスが取れないという問題が起きない範囲の期間培養すればよい。
植物組織片としては、葉片、茎、胚軸、胚、茎頂、根、カルスなどが好ましく用いられるがこれらに限られない。
共存培養された植物組織片は、アグロバクテリウムを除去するために、抗生物質カルベニシリンなどを含む培地でさらに培養される。
アグロバクテリウムを除去された植物組織由来の形質転換カルスなどはその後、通常の組織培養の手法により再分化され、発根、順化により通常の植物体が得られる。
用いた組織片の植物が固定された品種であれば、種子を取ることにより、後代の植物を得ることができる。F1種子由来の植物の場合は、栄養増殖(挿し芽増殖など)してクローン植物として繁殖してもよく、戻し交配を繰り返して品種として固定させてもよい。
また、形質転換体から胚を誘導し、人工種子を作成してもよい。
上記で得られたワタの種子からは、当業者に周知の方法で、ワタの繊維を調製し、糸、生地にし、さらに、衣類を製造することができる。すなわち、綿の実(コットンボール)を摘み取り、繰綿工場で綿繊維と種子を分離後、紡績して糸にし、織り編み、染色、仕上げ加工、縫製という工程を経て、最終製品を製造することができる。
生地や製品の製造方法は、より詳細には、以下のとおりである。圧縮された原料のワタを解きほぐすと同時に、原料に含まれる葉片、種子片、砂塵などを取り除き、シート状にする。次にシート状のラップをくしけずることにより、繊維を1本1本分離し、平行にすることで小さなゴミや短い繊維を取り除く。残った長い繊維を略平行にし、集束させ、ひも状のスライバーにする。スライバーをダブリングとドラフトを何回も繰り返し、細く均一にする。細くなったスライバーを糸の太さまで引き伸ばしながら撚りをかけて糸を紡ぐことにより、単糸と呼ばれる一本の糸が製造される。更にこの単糸を二本逆方向に撚り合わせて双糸とすることができる。その後、必要に応じて、糸をチーズやコーンの形態に巻き返す。出来上がった糸を経糸と緯糸に用いて織機などにより生地となる布を織ることができる。このようにして得られた織布を用いて当業者に周知の方法などにより衣類やバッグなどを製造することができる。
本発明の形質転換ワタから製造される糸、生地、衣類としては、例えば、綿織物、綿織物で作った衣類などが挙げられる。綿織物の生地としては、例えば、ローン、ブロード、シーチング、CBポプリン、オックス、カツラギ ・綿麻キャンバス、帆布などが挙げられるがこれらに限られない。衣類としては、下着、シャツ、ブラウス、パンツ、スカート、Tシャツ、カーディガン、チュニック、などが挙げられるがこれらに限られない。要は、ワタの繊維から製造される織物、編物、衣類であれば、本発明のワタから製造できる。
本発明の遺伝子を含む種子から得られたワタの繊維、糸、生地、または衣類については、常法によりDNAを抽出してPCR法により、外来遺伝子の存在を確認してもよい。ワタの繊維、糸、生地、衣類からのDNA抽出方法は、市販のDNA抽出キットを用いてもよく、CTAB法などを用いて抽出することができる(例えば、米国特許9938586、WO2010/056642)。
1.バイナリーベクターの作成方法
pRI-GhRDL1p-Atpap1/35Sp-GhHOX3(図2、配列番号1)
pRI-GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3(図3、配列番号2)
pRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3(図4、配列番号3)
用いたプライマー配列を以下に示す。
プライマー配列:
Atpap1 U-XbaI:CCAGTGTCTAGACTATCTTTGTTCCATGGAGGG(配列番号4)
Atpap1 L-SacI:CCAGTGGAGCTCCACAAACGCAAACAAATGTTC(配列番号5)
GhRDL1p U-HindIII:CCAGTGAAGCTTAATTAGTTATGTTTGGTAAAT(配列番号6)
GhRDL1p L-XbaI:CCAGTGTCTAGACTAGAACAGGAGTGACTAATT(配列番号7)
GhEXPAp U-HindIII:CCAGTGAAGCTTTTTAAGCAAAAAATTAATAGT(配列番号8)
GhEXPAp L-XbaI:CCAGTGTCTAGATTGAGTAAGAGCTAGCTAGCT(配列番号9)
GhHOX3 U-XbaI:CCAGTGTCTAGAATGGATTGCGGAAGCGGCGGC(配列番号10)
GhHOX L-SacI:CCAGTGGAGCTCTCAAGAACTAGGACAATTCAA(配列番号11)
hspT L-PstI:ACTACTCTGCAGAATTCCTTATCTTTAATCATA(配列番号12)
GhRDL1p U-SphI:CCAGTGGCATGCAATTAGTTATGTTTGGTAAAT(配列番号13)
プロモータ領域の塩基配列:
GhRDL1プロモータ領域および(配列番号14)、GhEXPAプロモータ領域(配列番号15)の塩基配列およびシス因子を図5および図6に示す。
また、Atapa1(accession No.AK221639)およびGhHOX3(accession No.KJ595847)のタンパク質をコードする領域の塩基配列を配列番号16および17に示す。
pRI-GhRDL1p-Atpap1、pRI-GhEXPAp-Atpap1および35Sp-GhHOX3の作成:
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のcDNAより、Atpap1遺伝子(787bp、 アントシアニン生合成転写因子)を、プライマーAtpap1 U-XbaIおよびAtpap1 L-SacIを用いてPCR法により増幅した。ワタ(Gossypium hirsutum)ゲノムDNAより、ワタ繊維特異的プロモータ配列のGhRDL1p(302bp)およびGhEXPAp(2000bp)、ワタ繊維特異的転写因子のGhHOX3遺伝子(2142bp)を、以下のプライマーを用いPCR法により増幅した。GhRDL1p U-HindIIIおよびGhRDL1p L-XbaI、GhEXPAp U-HindIIIおよびGhEXPAp L-XbaI、GhHOX3 U-XbaIおよびGhHOX L-SacI。
これら単離遺伝子を、基本ベクターpRI201-AN-GUS(TaKaRa)に導入した。制限酵素XbaIおよびSacIでGUS遺伝子を除去したpRI201-AN-GUSベクターに、インサート配列のXbaI-Atpap1-SacI断片を挿入しpRI-35Sp-Atpap1を作成した。さらに、pRI-35Sp-Atpap1のCaMV35Sプロモータ遺伝子を制限酵素HindIIIおよびXbaIで除去し、インサートのHindIII-GhRDL1p-XbaI またはHindIII-GhEXPAp-XbaI断片をプロモータ配列として挿入し、pRI-GhRDL1p-Atpap1およびpRI-GhEXPAp-Atpap1を作成した。
制限酵素XbaIおよびSacIでGUS遺伝子を除去したpRI201-AN-GUSベクターに、インサート配列のXbaI-GhHOX3-SacI断片を挿入しpRI-35Sp-GhHOX3を作成した。
pRI-GhRDL1p-Atpap1/35Sp-GhHOX3およびpRI-GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3の作成:
以下のPCRプライマー、GhRDL1p U-HindIIIおよびhspT L-PstI、GhEXPAp U-HindIIIおよびhspT L-PstIを用い、pRI-GhRDL1p-Atpap1からHindIII-[pRI-GhRDL1p-Atpap1]-PstI断片を、pRI-GhEXPAp-Atpap1からHindIII-[GhEXPAp-Atpap1]-PstI断片を増幅した。それぞれのインサート断片を、制限酵素HindIIIおよびPstIで切断したpRI-35Sp-GhHOX3ベクターに挿入し、pRI-GhRDL1p-Atpap1/pp-GhHOX3およびpRI-GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3を作成した。
pRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3の作成:
以下のPCRプライマー、GhRDL1p U-SphIおよびhspT L-PstIを用い、pRI-GhRDL1p-Atpap1からSphI -[pRI-GhRDL1p-Atpap1]-PstI断片を増幅した。この断片をインサートとして、制限酵素SphIおよびPstIで切断したpRI-GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3ベクターに挿入し、pRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3を作成した。
PCR反応、アガロースゲル電気泳動、目的断片のアガロースゲルからの回収・精製は、TaKaRa Ex Taq、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up (TaKaRa)を用い、マニュアルに従い行った。ライゲーション反応、大腸菌への形質転換、プラスミド抽出は、DNA Ligation Kit Long(TaKaRa)、E. coli DH5α Competent Cells、NucleoSpin Plasmid EasyPureを用い、マニュアルに従い行った。
アグロバクテリウムへのバイナリープラスミドの導入:
50 μLのディスアーム型Tiプラスミドを持つアグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens)EHA105またはLBA4404と、プラスミド溶液 2 μLをキュベット内で混合し、ジーンパルサーGENEPULSER II(BIORAD)を用い、2.5KV、125μFDおよび200Ωの条件でエレクトロポレーションした。エレクトロポレーション後のアグロバクテリウム菌液を1.5 mlチューブ内の500 μLのSOC液体培地に移し、28℃で1時間培養した。この培養液を、カナマイシン30 ppmに調整したYEP培地プレート上にコンラージ棒を用いて塗り広げた。プレートをパラフィルムでシールし、28℃で一晩インキュベートし、翌日コロニーの形成を確認した。バイナリープラスミドの導入確認は、コロニーPCR法により目的遺伝子配列を増幅することにより行った。
2.綿花の形質転換方法
接種材料の準備:
ワタ(Gossypium hirsutum)種子を1.5mlエッペンドルフチューブに入れ80%エタノールに30秒間浸漬し表面殺菌を行い、エタノールを捨て蒸発させた後、tween 20を少量添加した有効塩素濃度1%のアンチホルミンを加え、転倒混和させながら10 分間殺菌を行った。クリーンベンチ内でアンチホルミンを除き、滅菌水で10回洗浄した。滅菌した種子をMS培地に播種し培養した。培養条件は90 mm ×20 mm 滅菌シャーレを用い、25℃、暗黒下で培養した。
アグロバクテリウム懸濁液の作成
グリセロールストックにより凍結保存していた、各ベクターが導入されたアグロバクテリウムを解凍後、カナマイシン30ppm添加YEP培地10mLに加え、28℃で24時間振とうし、選抜および増殖を行った。その後3000rpmで10分間遠心し、上澄みを取り除いた。沈殿した菌体に10ppmアセトシリンゴンを添加したYEP培地10mLを加え再懸濁し、アグロバクテリウム懸濁液を作成した。
アグロバクテリウムの接種と共存培養:
無菌播種した種子を25℃無菌播種後暗黒下で3日目培養した実生の胚軸を準備した。クリーンベンチ内にて、濾紙を敷いた滅菌シャーレ90mm×20mmに実生を置き、そこに作成したアグロバクテリウム懸濁液を流し入れた。実生の胚軸をアグロバクテリウム懸濁液に浸した状態で2~3mmに切断し、アグロバクテリウムを接種した。その後、胚軸に付着した余分なアグロバクテリウム懸濁液を濾紙で吸い取り、共存培養用培地(1)に置床し培養した。培養条件はシャーレを用い25℃暗黒下とし、3日間培養を行った。
植物体の再生:
共存培養後、胚軸を滅菌水で3回すすぎ、アグロバクテリウムの除菌と形質転換体の選抜のため、胚軸をカルス誘導選抜培地(2)に移植した。継代は5~7日ごとに行った。誘導されたカルスが十分肥大したところ(接種2か月以降)で、カルスを不定芽誘導選抜培地(3)へと移植した。カルスから発生した約1~2cmの不定芽をカルスから切り取り、発根を促すために不定根誘導培地(4)に移植した。不定芽が十分に伸長するまで25℃連続照明下にて培養した。カルス誘導から不定芽発生に至るまでの過程での培養条件は、すべて滅菌シャーレ90mm×20mmを用い、25℃連続照明下とした。不定根誘導培地のみプラントボックス(72×72×100mm)で培養を行った。
植物体の順化:
十分に不定根が伸長した個体は培地から取り出し、根を流水で洗浄した後に、滅菌した園芸植物用土壌を用いて直径90mmポットへ移植した。湿度を保つため、ビニールの袋で被覆し、25℃の人工気象室(14h/10h日長)で育成した。その後、ビニールの袋を徐々に取り除き、順化を行った。
形質転転換体の確認:
得られた植物体の葉からDNAを抽出し、PCR法によりカナマイシン耐性遺伝子(nptII遺伝子)の一部を増幅することにより、形質転換の確認を行なった。
(1)共存培養用培地:MS培地(Murashige and Skoog medium)+0.1ppm NAA(1-Naphthaleneacetic acid) +0.1ppm BAP(6-Benzylaminopurine)
(2)カルス誘導選抜培地:MS培地+0.1ppm NAA +0.1ppm BAP+75ppm カナマイシン+10ppmメロペン(Meropenem Hydrate)
(3)不定芽誘導選抜培地:MS培地+1ppm GA3(Gibberellin)+75ppm カナマイシン+10ppmメロペン
(4)不定根誘導培地:1/2 MS培地+0.3ppm IBA(indole-3-acetic acid)+10ppmメロペン
(ワタ繊維細胞における遺伝子の一過的発現)
pRI-35Sp-Atpap1の作成
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のcDNAより、Atpap1遺伝子(787bp、アントシアニン生合成転写因子)を、プライマーAtpap1 U-XbaIおよびAtpap1 L-SacIを用いてPCR法により増幅した。制限酵素XbaIおよびSacIでGUS遺伝子を除去したpRI201-AN-GUS(TaKaRa)ベクターに、インサート配列のXbaI-Atpap1-SacI断片を挿入しpRI-35Sp-Atpap1を作成した(図7)。
パーティクルガン法(遺伝子銃)によるワタ未熟種子におけるAtpap1の一過性発現
目的遺伝子の導入と一過性発現の確認には、パーティクルガン式遺伝子導入装置(PDS-1000/He、 Bio-Rad)を用いた。
金粒子の前処理
12mgの金粒子(直径1 μm)をはかりとり、200 μLの100%エタノールを加え、5分間ボルテックスした。約5分間室温で静置した後、5000 rpmで遠心した。上清を捨て、250 μLの75%エタノールを加え、指で強く弾きよく混合し、3分ボルテックスをした後、約5分静置し、5000 rpmで遠心し、上清を捨てた。その後、300 μLの滅菌水を加え、指で強く弾きよく混合し1分間ボルテックス、静置1分、5000 rpmで遠心して上清を捨てるという工程を3回繰り返した。50%グリセロールを200 μL加えてボルテックスし混合した。
金粒子へプラスミドDNAのコーティング
各種プラスミドはあらかじめ1 μg/μLに調製しておき、1.5 mLのチューブにプラスミドを5 μg入れ、上記により調整した60 mg/mL金属粒子を50 μL加え、ピペッティングで混合した。ふたを開けたままボルテックスし、よく混合していることを確認してから2.5M CaCl2を50 μL、さらに素早く0.1M スペルミジンを10 μL加え、ふたをして3分間ボルテックスし、1分間静置した。その後、5000 rpmで遠心を行い、上清を取り除いた。140 μLの70%エタノールを、金粒子の沈殿を乱さないようにゆっくり入れ、すぐに吸い出して捨てた。同様に100%エタノールで2回洗浄を行い、80 μLの100%エタノールを加え、チューブを強く弾いて金属微粒子を舞い上がらせ、コーティングを行った。
パーティクルガンの打ち込み条件
クリーンベンチ内で、マクロキャリアーをペーパータオルの上に載せ、プラスミドをコーティングした金粒子のエタノール溶液12 μLをマクロキャリアーの中央に置き、風乾させた。1回の打ち込みにより、0.45mgの金粒子と750ngのプラスミドDNAを使用した。乾燥後、マクロキャリアーとストッピングスクリーンを装置にセットした。打ち込みのガス圧は900psiとし、900psi用のラプチャーディスクを使用した。ストッピングスクリーンからターゲットのワタ未熟種子までの距離は、6cmとした。
打ち込み用のワタ未熟種子の前処理
未熟種子を含む長さ約10 mmのワタ子房器官をメスで縦方向に切断し、切断面が上になるように粘土に固定した。切断面には、約2 mmの未熟種子が5~8個見える状態で、未熟種子表面の繊維細胞の長さは0.5 mm以下となる。固定したサンプルを本体装置のステージにセットし、打ち込みを行った。
ワタ未熟種子におけるAtpap1の一過性発現の結果
打ち込み処理後、滅菌水で十分に湿らせたキプワイプ上に未熟種子を載せ、そのままプラスチックシャーレに入れ、25℃の弱光条件下においた。処理後、1日おきに未熟種子の状態を観察した。
プラスミドをコーティングしない金粒子を未熟種子に導入した場合、3日以上経過しても白色のままであった(図8A)。pRI-35Sp-Atpap1を導入した場合は、未熟種子あたり1~最大4ヶ所の繊維細胞で、赤色化が観察された(図8B)pRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1を導入した場合は、未熟種子あたり1~最大6ヶ所の繊維細胞で、赤色化が観察された(図8C)pRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3を導入した場合は、未熟種子あたり1~最大6ヶ所の繊維細胞で赤色化が観察され、赤色程度が最も濃くみられた(図8D)結果として、一般的に利用される構成的プロモータの35Spで制御したAtpap1よりも、ワタ種子表面特異的なプロモータのGhRDL1pとGhEXPAp、および転写因子のGhHOX3で制御したAtpap1において、赤色化の頻度と濃さの増加が観察された。
タバコ形質転換体における遺伝子発現
タバコに対し、プラスミドpRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3またはpRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1を含むアグロバクテリウムを感染させ、常法により、形質転換体を得た。
その結果、pRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3を用いて得た形質転換体においては、葉の毛状突起細胞のみが赤く着色した(図9)。葉の表面細胞は緑色のままで、特に若い葉の毛状突起細胞が、より顕著に赤色化した(図10、上側)。
プラスミドpRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1およびpRI-GhRDL1p-Atpap1/GhEXPAp-Atpap1/35Sp-GhHOX3を用いた形質転換タバコはいずれも花弁が着色した(図11の中央、右側。左は対照)。
本発明は、繊維産業、繊維製品産業等に利用できる。

Claims (12)

  1. (1)GhRDL1および/またはGhEXPAプロモータ、
    (2)GhRDL1またはGhEXPAプロモータと90%以上の相同性を有し、ワタの種子表面および/またはワタ繊維特異的に発現するプロモータ
    のいずれかと、
    (i)GhHOX3タンパク質をコードするcDNA、
    (ii)GhHOX3タンパク質と90%以上のアミノ酸同一性を有し、GhHOX3タンパク質と同等の転写活性化機能を有するタンパク質をコードするDNA
    (iii)(1)のcDNAと90%以上の相同性を有し、GhHOX3タンパク質と同等の転写活性化機能を有するタンパク質をコードするDNA
    のいずれかと、
    (a)Atpap1タンパク質をコードするDNA
    (b)Atpap1タンパク質と90%以上のアミノ酸同一性を有し、Atpap1タンパク質と同等の転写活性化機能を有するタンパク質をコードするDNA
    (c)(a)のDNAと90%以上の相同性を有し、Atpap1タンパク質と同等の転写活性化機能を有するタンパク質をコードするDNA
    のいずれかと
    を有するベクター
  2. 配列番号1~3のいずれかの配列を有するベクター。
  3. T-DNAの境界領域を含む請求項1または2に記載のベクター。
  4. 請求項に記載のベクターを形質転換したアグロバクテリウム。
  5. 請求項に記載のアグロバクテリウムを用いて形質転換された細胞、組織、カルス、形質転換植物、および/またはその種子。
  6. 請求項に記載の形質転換植物またはその種子由来のクローン植物、後代植物および/またはそれらの種子。
  7. 前記形質転換された細胞、組織、カルス、形質転換植物および/またはその種子、ならびに、クローン植物、後代植物およびそれらの種子が、ワタ由来である、請求項またはの細胞、組織、カルス、形質転換植物、および/またはその種子、ならびに、クローン植物、後代植物およびそれらの種子。
  8. 請求項1~3のいずれかに記載のベクター、および/または、請求項に記載のアグロバクテリウムを用いて形質転換されたワタ細胞、組織、カルス、形質転換植物および/またはその種子、ならびに、クローン植物、後代植物およびそれらの種子を生産する方法。
  9. 請求項またはに記載の前記形質転換植物体から得られた綿繊維、生地、または衣類。
  10. 請求項1~3のいずれか1項に記載のベクターを用いて、ワタを形質転換し、ワタ種子繊維細胞を着色させる方法。
  11. 前記着色がアントシアニンによる赤色化である、請求項10の方法。
  12. 一過性発現による赤色化である、請求項10または12に記載の方法。
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