JP7214498B2 - 波長可変レーザ装置及びマルチモード発振検知方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の波長可変レーザ装置では、反射ピーク間の波長間隔が互いに異なる2つの反射スペクトルを組み合わせて用いることで、以下に示すバーニア効果により、広い帯域の波長可変を実現している。
上述したように2つの反射要素がそれぞれ生成する2つの反射スペクトルは、反射ピーク間の波長間隔が互いに異なる。このため、両者が有する複数の反射ピークのうち、同時に一致するのはいずれか一つのみとなる。そして、当該一致した反射ピーク同士の波長で光共振器が形成されることにより、レーザ発振が発生する。さらに、この状態から、一方の反射スペクトルの波長を屈折率変化によって変更すると、他方の反射スペクトルと一致する反射ピークが別の波長のものとなる。これにより、それまでの波長とは大きく異なる波長で光共振器が形成され、レーザ発振が発生するようになる。
ここで、波長計を用いればマルチモード発振が発生しているか否かを検出することができるが、当該波長計を波長可変レーザ装置に搭載すると装置の大型化や高コスト化を招くこととなり好ましくない。
〔波長可変レーザ装置の概略構成〕
図1は、本実施の形態1に係る波長可変レーザ装置1の構成を示す図である。
波長可変レーザ装置1は、モジュール化された波長可変レーザモジュール2と、当該波長可変レーザモジュール2の動作を制御する制御装置3とを備える。
なお、図1では、波長可変レーザモジュール2と制御装置3とを別体で構成しているが、当該各部材2,3を一体にモジュール化しても構わない。
波長可変レーザモジュール2は、制御装置3による制御の下、出力するレーザ光の波長を複数の波長のうちいずれか一波長のレーザ光に可変とし、当該一波長のレーザ光を出力する。この波長可変レーザモジュール2は、波長可変光源部4と、半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifier:SOA)5と、平面光波回路(Planar Lightwave Circuit:PLC)6と、光検出部7と、温度センサ8と、温度調節器9とを備える。
波長可変光源部4は、バーニア効果を利用した波長可変レーザであり、制御装置3による制御の下、レーザ光L1を出力する。この波長可変光源部4は、出力するレーザ光L1の波長を可変とする光源部41と、制御装置3から供給される電力に応じて発熱する3つのマイクロヒータ421~423を有し、光源部41を局所的に加熱することで、光源部41から出力されるレーザ光L1の波長を変更する波長可変部42とを備える。
導波路部431は、半導体積層部432内にz方向に延伸するように形成されている。
また、第1の導波路部43内には、利得部431aと、DBR(Distributed Bragg Reflector)型の回折格子層431bとが配置されている。
ここで、利得部431aは、InGaAsPからなる多重量子井戸構造と光閉じ込め層とを有する活性層である。また、回折格子層431bは、InGaAsPとInPとからなる標本化回折格子で構成されている。
p側電極433は、半導体積層部432上において、利得部431aに沿うように配置されている。なお、半導体積層部432上には、SiN保護膜(図示略)が形成されている。そして、p側電極433は、当該SiN保護膜に形成された開口部(図示略)を介して半導体積層部432に接触している。
ここで、マイクロヒータ421は、半導体積層部432のSiN保護膜上において、回折格子層431bに沿うように配置されている。そして、マイクロヒータ421は、制御装置3から供給される電力に応じて発熱し、回折格子層431bを加熱する。また、制御装置3がマイクロヒータ421に供給する電力を制御することによって回折格子層431bの温度が変化し、その屈折率が変化する。
2分岐部441は、1×2型の多モード干渉型(MMI)導波路441aを含む1×2型の分岐型導波路で構成され、2ポート側が2つのアーム部442,443のそれぞれに接続されるとともに1ポート側が第1の導波路部43側に接続されている。すなわち、2分岐部441により、2つのアーム部442,443は、その一端が統合され、回折格子層431bと光学的に結合される。
ここで、マイクロヒータ422は、リング状であり、リング状導波路444を覆うように形成されたSiN保護膜(図示略)上に配置されている。そして、マイクロヒータ422は、制御装置3から供給される電力に応じて発熱し、リング状導波路444を加熱する。また、制御装置3がマイクロヒータ422に供給する電力を制御することによってリング状導波路444の温度が変化し、その屈折率が変化する。
ここで、マイクロヒータ423は、アーム部443の一部のSiN保護膜(図示略)上に配置されている。当該アーム部443のうちマイクロヒータ423の下方の領域は、光の位相を変化させる位相調整部445として機能する。そして、マイクロヒータ423は、制御装置3から供給される電力に応じて発熱し、位相調整部445を加熱する。また、制御装置3がマイクロヒータ423に供給する電力を制御することによって位相調整部445の温度が変化し、その屈折率が変化する。
次に、回折格子層431b及びリング共振器フィルタRF1の反射特性について図3及び図4を参照しつつ説明する。
回折格子層431bは、図3に凡例「SG」で示す曲線のように、所定の波長間隔で周期的な反射特性を有する第1の櫛状反射スペクトルを生成する。一方、リング共振器フィルタRF1は、図3に凡例「Ring」で示す曲線のように、所定の波長間隔で周期的な反射特性を有する第2の櫛状反射スペクトルを生成する。
ここで、第2の櫛状反射スペクトルは、第1の櫛状反射スペクトルのピークSC1(図3(b))の半値全幅よりも狭い半値全幅のピークSC2(図3(b))を有し、第1の櫛状反射スペクトルの波長間隔とは異なる波長間隔で周期的な反射特性を有する。但し、屈折率の波長分散を考慮すると、ピークは厳密には等波長間隔になっていないことに注意が必要である。
なお、上記のような重ね合わせは、マイクロヒータ421,422の少なくとも一つを用いて、マイクロヒータ421により回折格子層431bを加熱して熱光学効果によりその屈折率を変化させて第1の櫛状反射スペクトルを波長軸上で全体的に移動させて変化させる、及び、マイクロヒータ422によりリング状導波路444を加熱してその屈折率を変化させて第2の櫛状反射スペクトルを波長軸上で全体的に移動させて変化させる、の少なくともいずれか一つを行うことにより、実現することができる。
次に、波長可変光源部4におけるレーザ発振波長の選択方法について図3ないし図5を参照しつつ説明する。
波長可変光源部4では、以下に示すように、バーニア効果を利用してレーザ発振波長を選択することができる。例えば、回折格子層431bのみをマイクロヒータ421で加熱すると、熱光学効果により回折格子層431bの屈折率が上昇し、回折格子層431bの第1の櫛状反射スペクトルは、図3及び図4に示した状態から図5に矢印で示すように、全体的に長波側にシフトする。その結果、1550nm付近における第1の櫛状反射スペクトルのピークは、リング共振器フィルタRF1の第2の櫛状反射スペクトルのピークとの重なりが解かれ、長波側に存在する第2の櫛状反射スペクトルの別のピーク(例えば1556nm付近)に重なる。すなわち、1550nmでレーザ発振するためのスーパーモードが決定された状態(図3,図4)から、1556nmでレーザ発振するための別のスーパーモードが決定された状態(図5)に遷移する。さらに、位相調整部445をチューニングしてキャビティモードを微調し、キャビティモードの一つを1556nmで互いに重なり合った第1,第2の櫛状反射スペクトルのピークに重ねることで、1556nm付近でのレーザ発振を実現することができる。なお、レーザ発振波長を短波側に変更する際は、リング共振器フィルタRF1のみをマイクロヒータ422で加熱して、第2の櫛状反射スペクトルを全体的に長波側にシフトさせればよい。すなわち、波長可変光源部4では、回折格子層431bに対するマイクロヒータ421とリング共振器フィルタRF1に対するマイクロヒータ422とにより第1,第2の櫛状反射スペクトルをそれぞれチューニングすることで粗調、位相調整部445に対するマイクロヒータ423により共振器長をチューニングすることで微調を行う波長可変動作が実現される。
そして、光導波路62は、レーザ光L4を光検出部7における後述するPD(Photo Diode)71に導波する。また、光導波路63は、レーザ光L5を光検出部7における後述するPD72に導波する。さらに、光導波路64は、レーザ光L6を光検出部7における後述するPD73に導波する。
ここで、リング共振器型光フィルタ63a,64aは、入射する光の波長に対して周期的な透過特性をそれぞれ有し、当該透過特性に応じた透過率でレーザ光L5,L6をそれぞれ選択的に透過する。そして、リング共振器型光フィルタ63a,64aを透過したレーザ光L5,L6は、PD72,73にそれぞれ入力する。すなわち、リング共振器型光フィルタ63a,64aは、本発明に係る光フィルタ(第1,第2の光フィルタ)に相当する。以下では、説明の便宜上、リング共振器型光フィルタ63aを第1の光フィルタ63aと記載し、リング共振器型光フィルタ64aを第2の光フィルタ64aと記載する。
PD71は、レーザ光L4(波長可変光源部4から出力されたレーザ光L1と同等のレーザ光)を受光し、当該レーザ光L4の強度に応じた電気信号を制御装置3に出力する。
PD72は、本発明に係る受光素子(第1の受光素子)に相当する。このPD72は、第1の光フィルタ63aを透過したレーザ光L5を受光し、当該レーザ光L5の強度に応じた電気信号を制御装置3に出力する。
PD73は、本発明に係る受光素子(第2の受光素子)に相当する。このPD73は、第2の光フィルタ64aを透過したレーザ光L6を受光し、当該レーザ光L6の強度に応じた電気信号を制御装置3に出力する。
そして、PD71~73からそれぞれ出力された電気信号は、制御装置3による波長ロック処理(波長可変光源部4から出力されるレーザ光L1を目標波長にする処理)に用いられる。
温度調節器9は、例えばペルチェ素子を含むTEC(Thermo Electric Cooler)等で構成されている。この温度調節器9には、波長可変光源部4、半導体光増幅器5、平面光波回路6、光検出部7、及び温度センサ8が載置される。そして、温度調節器9は、供給された電力に応じて当該各部材4~8の温度を調節する。
なお、温度調節器9において、当該各部材4~8が載置される設置面91を波長可変光源部4及び半導体光増幅器5が載置される第1の領域Ar1と、平面光波回路6及び光検出部7が載置される第2の領域Ar2との2つの領域に区画した場合には、温度センサ8は、第2の領域Ar2に載置される。すなわち、温度センサ8は、平面光波回路6に近接して配置されている。
次に、制御装置3の構成について説明する。
図6は、制御装置3の構成を示すブロック図である。
制御装置3は、例えばユーザインターフェースを備えた上位の制御装置(図示略)と接続されており、当該上位の制御装置を介したユーザからの指示にしたがって、波長可変レーザモジュール2の動作を制御する。
なお、以下では、本発明の要部である制御装置3による波長ロック処理及びマルチモード発振検知処理を主に説明する。また、図6では、説明の便宜上、制御装置3の構成として、波長ロック処理及びマルチモード発振検知処理を実行する構成のみを図示している。
この制御装置3は、制御部31と、記憶部32とを備える。
モニタ値算出部311は、PD71~73からそれぞれ出力された電気信号の出力値に基づいて、レーザ光L1の波長に対応したモニタ値(第1,第2のモニタ値)を算出する。具体的に、モニタ値算出部311は、PD71から出力された電気信号の出力値に対するPD72から出力された電気信号の出力値の比率を第1のモニタ値(以下、第1のPD比と記載)として算出する。また、モニタ値算出部311は、PD71から出力された電気信号の出力値に対するPD73から出力された電気信号の出力値の比率を第2のモニタ値(以下、第2のPD比と記載)として算出する。
図7及び図8は、記憶部32に記憶された第1,第2の透過特性情報を示す図である。なお、図8において、横軸は波長を示し、縦軸はPD比を示している。
第1の透過特性情報は、基準温度(例えば35℃)での第1の光フィルタ63aの透過特性(以下、第1の透過特性と記載)を示す情報である。また、第2の透過特性情報は、基準温度(例えば35℃)での第2の光フィルタ64aの透過特性(以下、第2の透過特性と記載)を示す情報である。
図9は、記憶部32に記憶された波長電力情報を示す図である。
波長電力情報は、複数の波長λ1~λn[nm]と、レーザ光L1の波長を当該波長λ1~λn[nm]に制御するためにマイクロヒータ421~423にそれぞれ供給する複数の電力(初期電力)とがそれぞれ関連付けられた情報である。なお、図9では、説明の便宜上、マイクロヒータ421~423にそれぞれ供給する総電力を各電力P1~Pn[W]として記載している。
記憶部32は、制御部31にて実行されるプログラムや、制御部31の処理に必要な情報(例えば、第1,第2の透過特性情報及び波長電力情報等)等を記憶する。
次に、上述した制御装置3が実行するマルチモード発振検知方法(波長ロック処理及びマルチモード発振検知処理)について説明する。
図10は、マルチモード発振検知方法を示すフローチャートである。
なお、図10の制御フローには図示を省略したが、制御装置3は、温度調節器9の動作を制御し、温度センサ8にて検出された温度を監視することによって、第1,第2の光フィルタ63a,64aを常時、基準温度(例えば35℃)に設定している。
ステップS1の後、目標値算出部312は、記憶部32に記憶された第1,第2の透過特性情報を参照し、第1,第2の制御目標値を算出する(ステップS2)。具体的に、目標値算出部312は、記憶部32に記憶された第1の透過特性情報における複数の制御参照値Pd11~Pd1nのうち、ステップS1にて取得された目標波長(例えば波長λ1)に関連付けられた制御参照値(例えば制御参照値Pd11)を第1の制御目標値として算出する。同様に、目標値算出部312は、記憶部32に記憶された第2の透過特性情報における複数の制御参照値Pd21~Pd2nのうち、ステップS1にて取得された目標波長(例えば波長λ1)に関連付けられた制御参照値(例えば制御参照値Pd21)を第2の制御目標値として算出する。
ステップS4の後、波長制御部313は、第1,第2の制御目標値のいずれか一方を選択し、波長ロック処理を実行する(ステップS5:波長制御ステップ)。具体的には、例えば、波長制御部313は、ステップS2にて算出された第1の制御目標値に対してステップS4以降に算出された最新の第1のPD比が合致するように、マイクロヒータ421~423にそれぞれ供給する電力を変化させる波長ロック処理を実行する。なお、第1,第2の制御目標値のいずれかの値を用いるかを予め設定しておいてもよいし、ステップS1で取得する目標波長に紐付けて第1,第2の制御目標値のいずれかを用いるかを設定するようにしてもよい。
第1の制御目標値に対して第1のPD比が合致していないと判断した場合(ステップS6:No)には、波長制御部313は、ステップS5に戻る。なお、第1の制御目標値に対して第1のPD比が合致したか否かを監視する際には、第1のPD比と第1の制御目標値との差異が所定の範囲内であるか否かに基づいて判断するようにしてもよい。また、差異を算出する際には、第1のPD比と第1の制御目標値との差、または商を算出するようにしてもよい。
第2の制御目標値に対して第2のPD比が合致していると判断した場合(ステップS7:Yes)には、マルチモード発振検知部314は、目標波長でシングルモード発振が発生していると判断する。そして、制御装置3は、本制御フローを終了する。なお、第2の制御目標値に対して第2のPD比が合致したか否かを監視する際には、第2のPD比と第2の制御目標値との差異が所定の範囲内であるか否かに基づいて判断するようにしてもよい。また、差異を算出する際には、第2のPD比と第2の制御目標値との差、または商を算出するようにしてもよい。
なお、特定処理(ステップS8)としては、マルチモード発振が発生している旨を示す情報を報知するアラーム処理や、レーザ光L1の出力を停止する処理等を例示することができる。
次に、検知ステップ(ステップS7)について、具体例を示しつつ説明する。
なお、以下では説明の便宜上、検知ステップ(ステップS7)の具体的な説明として、第1のマルチモード発振が発生している場合と、第2のマルチモード発振が発生している場合とを順に説明する。
図11ないし図15は、第1のマルチモード発振が発生しているか否かを検知する検知ステップ(ステップS7)を説明する図である。具体的に、図11(a)は、目標波長λXでシングルモード発振が発生している場合での第1の櫛状反射スペクトルSG、第2の櫛状反射スペクトルRing、及びキャビティモードModeを示す図である。図11(b)は、図11(a)に示したシングルモード発振時でのレーザ光L1の光出力波形を示す図である。図12は、図8に示した第1の透過特性(曲線CL1)を示す図であって、図11に示したシングルモード発振時でモニタ値算出部311にて算出される第1のPD比を示す図である。図13(a)は、第1のマルチモード発振が発生している場合での第1の櫛状反射スペクトルSG、第2の櫛状反射スペクトルRing、及びキャビティモードModeを示す図である。図13(b)は、図13(a)に示した第1のマルチモード発振時でのレーザ光L1の光出力波形を示す図である。図14は、図8に示した第1の透過特性(曲線CL1)を示す図であって、図13に示した第1のマルチモード発振時でモニタ値算出部311にて算出される第1のPD比を示す図である。図15は、図8に示した第2の透過特性(曲線CL2)を示す図であって、図13に示した第1のマルチモード発振時でモニタ値算出部311にて算出される第2のPD比を示す図である。
そして、当該シングルモード発振が発生している場合には、モニタ値算出部311にて算出される第1のPD比PD1は、第1の透過特性(曲線CL1)から「P1λX」となる(図12)。また、当該シングルモード発振が発生している場合には、モニタ値算出部311にて算出される第2のPD比PD2は、第2の透過特性(曲線CL2)から「P2λX」となる(図15)。そして、マルチモード発振検知部314は、検知ステップ(ステップS7)において、第2の制御目標値(P2λX)に対して第2のPD比PD2が合致している場合(ステップS7:Yes)には、目標波長λXでシングルモード発振が発生していると判断する。
一方、当該第1のマルチモード発振が発生している場合には、モニタ値算出部311にて算出される第2のPD比PD2´は、第2の透過特性(曲線CL2)から「(P2λX-1+P2λX+1)/2」となり(図15)、目標波長λXに対応した第2の制御目標値(P2λX)とは異なる値となる。そして、マルチモード発振検知部314は、検知ステップ(ステップS7)において、第2の制御目標値(P2λX)に対して第2のPD比PD2´が合致していない場合(ステップS7:No)には、第1のマルチモード発振が発生していると判断する。
図16ないし図20は、第2のマルチモード発振が発生しているか否かを検知する検知ステップ(ステップS7)を説明する図である。具体的に、図16(a)は、目標波長λYでシングルモード発振が発生している場合での第1の櫛状反射スペクトルSG、第2の櫛状反射スペクトルRing、及びキャビティモードModeを示す図である。図16(b)は、図16(a)に示したシングルモード発振時でのレーザ光L1の光出力波形を示す図である。図17は、図8に示した第1の透過特性(曲線CL1)を示す図であって、図16に示したシングルモード発振時でモニタ値算出部311にて算出される第1のPD比を示す図である。図18(a)は、第2のマルチモード発振が発生している場合での第1の櫛状反射スペクトルSG、第2の櫛状反射スペクトルRing、及びキャビティモードModeを示す図である。図18(b)は、図18(a)に示した第2のマルチモード発振時でのレーザ光L1の光出力波形を示す図である。図19は、図8に示した第1の透過特性(曲線CL1)を示す図であって、図18に示した第2のマルチモード発振時でモニタ値算出部311にて算出される第1のPD比を示す図である。図20は、図8に示した第2の透過特性(曲線CL2)を示す図であって、図18に示した第2のマルチモード発振時でモニタ値算出部311にて算出される第2のPD比を示す図である。
そして、当該シングルモード発振が発生している場合には、モニタ値算出部311にて算出される第1のPD比PD1は、第1の透過特性(曲線CL1)から「P1λY」となる(図17)。また、当該シングルモード発振が発生している場合には、モニタ値算出部311にて算出される第2のPD比PD2は、第2の透過特性(曲線CL2)から「P2λY」となる(図20)。そして、マルチモード発振検知部314は、検知ステップ(ステップS7)において、第2の制御目標値(P2λY)に対して第2のPD比PD2が合致している場合(ステップS7:Yes)には、目標波長λYでシングルモード発振が発生していると判断する。
一方、当該第2のマルチモード発振が発生している場合には、モニタ値算出部311にて算出される第2のPD比PD2´は、第2の透過特性(曲線CL2)から「(P2λY´+P2λY+1´)/2」となり(図20)、目標波長λYに対応した第2の制御目標値(P2λY)とは異なる値となる。そして、マルチモード発振検知部314は、検知ステップ(ステップS7)において、第2の制御目標値(P2λY)に対して第2のPD比PD2´が合致していない場合(ステップS7:No)には、第2のマルチモード発振が発生していると判断する。
第1,第2の光フィルタ63a,64aを基準温度に設定した状態で、第1の透過特性(第1の透過特性情報)を利用して第1の制御目標値と第1のPD比とが合致した状態(ステップS6:Yes)になると、マルチモード発振が発生している場合には、第2の透過特性(第2の透過特性情報)に基づく第2の制御目標値と第2のPD比とに差が生じる。
本実施の形態1では、上述した点に着目し、マルチモード発振が発生しているか否かを検知する。このため、マルチモード発振が発生しているか否かを精度良く検知することができ、マルチモード発振が発生している場合に適切な処理(特定処理(ステップS8))を実行することができる。
次に、本実施の形態2について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図21は、本実施の形態2に係る波長可変レーザ装置1Aの構成を示す図である。
本実施の形態2に係る波長可変レーザ装置1Aでは、図21に示すように、上述した実施の形態1で説明した波長可変レーザ装置1に対して、第2の光フィルタ64aを含む光導波路64とPD73とが省略されている。
ここで、本実施の形態2に係る第1の光フィルタ63aは、第1の温度(例えば上述した実施の形態1で説明した基準温度)に設定された場合に第1の透過特性(図8に示した曲線CL1)を有し、第1の温度とは異なる第2の温度に設定された場合に第2の透過特性(図8に示した曲線CL2)を有する光フィルタである。
そして、本実施の形態2では、第2の光フィルタ64aを含む光導波路64とPD73とを省略したことに伴い、制御装置3が実行するマルチモード発振検知方法が上述した実施の形態1で説明したマルチモード発振検知方法とは異なる。
本実施の形態2に係るマルチモード発振検知方法では、図22に示すように、上述した実施の形態1で説明したマルチモード発振検知方法に対して、ステップS4,S7の代わりにステップS4A,S7Aが採用され、さらに、ステップS9,S10が追加されている。このため、以下では、ステップS4A,S7A,S9,S10のみを説明する。
具体的に、波長制御部313は、ステップS9において、温度調節器9の動作を制御し、温度センサ8にて検出された温度を監視することによって、第1の光フィルタ63aを第1の温度に設定する。なお、第1の光フィルタ63aは、ステップS9以降、ステップS4A、ステップS5、及びステップS6において、常時、第1の温度に設定される。
ステップS9の後、モニタ値算出部311は、第1のPD比の算出を開始する(ステップS4A:モニタ値算出ステップ)。この後、制御装置3は、ステップS5に移行する。
具体的に、マルチモード発振検知部314は、ステップS10において、温度調節器9の動作を制御し、温度センサ8にて検出された温度を監視することによって、第1の光フィルタ63aを第2の温度に設定する。なお、第1の光フィルタ63aは、ステップS10以降、ステップS7Aにおいて、常時、第2の温度に設定される。
ステップS10の後、マルチモード発振検知部314は、ステップS2にて算出された第2の制御目標値に対してステップS4A以降に算出された最新の第1のPD比が合致しているか否かを判断するマルチモード発振検知処理を実行する(ステップS7A:検知ステップ)。
一方、第2の制御目標値に対して第1のPD比が合致していないと判断した場合(ステップS7A:No)には、マルチモード発振検知部314は、マルチモード発振が発生していると判断する。そして、制御装置3は、ステップS8に移行する。
マルチモード発振が発生している場合には、第1の光フィルタ63aを第1の温度に設定した状態で第1の透過特性(第1の透過特性情報)を利用して波長制御ステップ(ステップS5)を実行した後、当該第1の光フィルタ63aを第2の温度に設定した状態で算出された第1のPD比は、第2の透過特性(第2の透過特性情報)に基づく第2の制御目標値からずれた値となる。
本実施の形態2では、上述した点に着目し、マルチモード発振が発生しているか否かを検知する。このため、マルチモード発振が発生しているか否かを精度良く検知することができ、マルチモード発振が発生している場合に適切な処理(特定処理(ステップS8))を実行することができる。
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1,2によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態1,2では、記憶部32は、第1,第2の透過特性情報の双方を記憶していたが、これに限らない。例えば、記憶部32は、第1,第2の透過特性情報の一方(例えば、第1の透過特性情報)のみを記憶する。そして、制御部31は、第1,第2の透過特性情報の他方(例えば、第2の透過特性情報)を必要とする際に、記憶部32に記憶された第1,第2の透過特性情報の一方から当該他方を生成する。
上述した実施の形態1,2では、本発明に係る光フィルタとして、リング共振器型光フィルタ63a,64aを採用していたが、これに限らない。入射する光の波長に対して周期的な透過特性を有する光フィルタであれば、エタロン等のその他の光フィルタを本発明に係る光フィルタとして採用しても構わない。
2 波長可変レーザモジュール
3 制御装置
4 波長可変光源部
5 半導体光増幅器
6 平面光波回路
7 光検出部
8 温度センサ
9 温度調節器
31 制御部
32 記憶部
41 光源部
42 波長可変部
43 第1の導波路部
44 第2の導波路部
44a 光導波層
45 n側電極
61 光分岐部
62 光導波路
63 光導波路
63a リング共振器型光フィルタ(第1の光フィルタ)
64 光導波路
64a リング共振器型光フィルタ(第2の光フィルタ)
71~73 PD
91 設置面
311 モニタ値算出部
312 目標値算出部
313 波長制御部
314 マルチモード発振検知部
421~423 マイクロヒータ
431 導波路部
431a 利得部
431b 回折格子層
432 半導体積層部
433 p側電極
441 2分岐部
441a 多モード干渉型導波路
442,443 アーム部
444 リング状導波路
445 位相調整部
Ar1 第1の領域
Ar2 第2の領域
B1 基部
C1 光共振器
CL1,CL2 曲線
L1~L6 レーザ光
M1 反射ミラー
Mode キャビティモード
RF1 リング共振器フィルタ
Ring 第2の櫛状反射スペクトル
SC1,SC2 ピーク
SG 第1の櫛状反射スペクトル
Z1 第1の不感帯
Z2 第2の不感帯
λX,λY 目標波長
Claims (7)
- バーニア効果を利用してレーザ光の発振波長を可変とする波長可変光源部と、
前記波長可変光源部から出力される前記レーザ光の波長に対して周期的な透過特性を有する光フィルタと、
前記光フィルタを透過した前記レーザ光の強度を取得する受光素子と、
前記波長可変光源部の動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記受光素子が取得した前記レーザ光の強度に基づいて、前記レーザ光の波長に対応するモニタ値を算出するモニタ値算出部と、
前記光フィルタの第1の透過特性情報と前記モニタ値とに基づいて、目標波長における前記第1の透過特性情報と前記モニタ値とを合致するように制御する波長制御部と、
前記第1の透過特性情報とは異なる前記光フィルタの第2の透過特性情報の前記目標波長における前記第2の透過特性情報と前記モニタ値との差異に基づいて、マルチモード発振が発生しているか否かを検知するマルチモード発振検知部とを備え、
前記第1の透過特性情報及び前記第2の透過特性情報は、
複数の波長と、前記複数の波長にそれぞれ対応するとともに、前記モニタ値の参照値となる複数の制御参照値とがそれぞれ関連付けられた情報によってそれぞれ構成されている
ことを特徴とする波長可変レーザ装置。 - 前記光フィルタは、
前記透過特性として第1の透過特性を有する第1の光フィルタと、前記透過特性として前記第1の透過特性とは異なる第2の透過特性を有する第2の光フィルタとを含み、
前記受光素子は、
前記第1の光フィルタを透過した前記レーザ光の強度を取得する第1の受光素子と、前記第2の光フィルタを透過した前記レーザ光の強度を取得する第2の受光素子とを含み、
前記モニタ値算出部は、
前記第1の受光素子が取得した前記レーザ光の強度に基づいて前記モニタ値として第1のモニタ値を算出するとともに、前記第2の受光素子が取得した前記レーザ光の強度に基づいて前記モニタ値として第2のモニタ値を算出し、
前記波長制御部は、
前記第1の透過特性を示す前記第1の透過特性情報と前記第1のモニタ値とに基づいて、目標波長における前記第1の透過特性情報と前記第1のモニタ値とを合致するように制御し、
前記マルチモード発振検知部は、
前記第2の透過特性を示す前記第2の透過特性情報の前記目標波長における前記第2の透過特性情報と前記第2のモニタ値との差異に基づいて、マルチモード発振が発生しているか否かを検知する
ことを特徴とする請求項1に記載の波長可変レーザ装置。 - 前記光フィルタの温度を調節する温度調節器をさらに備え、
前記第1の透過特性情報は、
第1の温度に設定された状態での前記光フィルタの前記透過特性を示す情報であり、
前記第2の透過特性情報は、
前記第1の温度とは異なる第2の温度に設定された状態での前記光フィルタの前記透過特性を示す情報であり、
前記波長制御部は、
前記温度調節器の動作を制御して前記光フィルタを前記第1の温度に設定した状態で、前記第1の透過特性情報と前記モニタ値とに基づいて、目標波長における前記第1の透過特性情報と前記モニタ値とを合致するように制御し、
前記マルチモード発振検知部は、
前記温度調節器の動作を制御して前記光フィルタを前記第2の温度に設定した状態で、前記目標波長における前記第2の透過特性情報と前記モニタ値との差異に基づいて、マルチモード発振が発生しているか否かを検知する
ことを特徴とする請求項1に記載の波長可変レーザ装置。 - 前記第1の透過特性情報及び前記第2の透過特性情報は、
互いに異なる波長において、波長の変化に対する前記モニタ値の変化量が所定の値より小さい不感帯となるように構成されている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の波長可変レーザ装置。 - 前記第1の透過特性情報及び前記第2の透過特性情報は、
所定の波長において、一方が前記不感帯となり、他方が前記不感帯とは異なる領域であるスロープとなるように構成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の波長可変レーザ装置。 - 前記マルチモード発振検知部は、
前記第2の透過特性情報の前記不感帯に含まれる前記制御参照値と前記モニタ値との差異に基づいて、マルチモード発振が発生しているか否かを検知する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の波長可変レーザ装置。 - 波長可変レーザ装置の制御装置が実行するマルチモード発振検知方法であって、
前記波長可変レーザ装置は、
バーニア効果を利用してレーザ光の発振波長を可変とする波長可変光源部と、前記波長可変光源部から出力される前記レーザ光の波長に対して周期的な透過特性を有する光フィルタと、前記光フィルタを透過した前記レーザ光の強度を取得する受光素子と、前記波長可変光源部の動作を制御する前記制御装置とを備え、
前記マルチモード発振検知方法は、
前記受光素子が取得した前記レーザ光の強度に基づいて、前記レーザ光の波長に対応するモニタ値を算出するモニタ値算出ステップと、
前記光フィルタの第1の透過特性情報と前記モニタ値とに基づいて、目標波長における前記第1の透過特性情報と前記モニタ値とを合致するように制御する波長制御ステップと、
前記波長制御ステップの後、前記第1の透過特性情報とは異なる前記光フィルタの第2の透過特性情報の前記目標波長における前記第2の透過特性情報と前記モニタ値との差異に基づいて、マルチモード発振が発生しているか否かを検知する検知ステップとを備え、
前記第1の透過特性情報及び前記第2の透過特性情報は、
複数の波長と、前記複数の波長にそれぞれ対応するとともに、前記モニタ値の参照値となる複数の制御参照値とがそれぞれ関連付けられた情報によってそれぞれ構成されている
ことを特徴とするマルチモード発振検知方法。
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