JP7213172B2 - 車高調整装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の高さを調整する車高調整装置に関する。
近年、車両の車両本体の高さ(車高)を、乗り降りを楽にするためや、車両の姿勢を整えるために、調整する車高調整装置が提案されている。
例えば、特許文献1に記載されたフロントフォーク、リヤサスペンション、制御装置は、自動二輪車の車高を調整する車高調整装置の一例である。
また、特許文献2に記載された車高調整装置は、懸架スプリングの一端を支持する支持部材と、ジャッキ室とを有し、ジャッキ室への液体の供給により支持部材を移動させて車体の車高を変更する車高調整サスペンションと、を備えている。また、特許文献2に記載された車高調整装置は、油路を介してジャッキ室に接続されポンプ側ピストンの移動により容積が可変なポンプ側油室を有し、ポンプ側油室からジャッキ室に液体を供給する油圧ポンプと、ポンプ側ピストンを駆動するモータと、モータの駆動を制御する制御装置とを備えている。油圧ポンプは、より具体的には、薄肉円筒状のポンプ側シリンダと、円筒状のポンプ側シリンダの中心線方向の両端部それぞれを塞ぐ蓋部と、を備えている。
特開2018-144650号公報 特開2016-160968号公報
特許文献2に記載された車高調整装置の油圧ポンプにおいては、ピストン(ポンプ側ピストン)が貯留室(ポンプ側油室)から液体を排出し終わり、シリンダ(ポンプ側シリンダ)の端部を塞ぐ蓋部に突き当たった後にも、液体を排出させるべくピストンを移動させるためにモータを駆動させると、モータに負荷がかかり過ぎてしまうおそれがある。そのため、ピストンが蓋部に突き当たった場合には、モータの駆動を停止させる必要がある。例えば、モータに供給される電流値が基準値よりも大きければ、ピストンが蓋部に突き当たったと推定してモータの駆動を停止させることは可能である。しかしながら、低温でピストンが動き出すとき等、環境によっては、モータに供給される電流値が基準値よりも高くなるおそれがあることから、ピストンが蓋部に突き当たっていなくても、ピストンが蓋部に突き当たったと推定され、モータの駆動が停止させられるおそれがある。かかる場合には、ピストンが所望の位置まで移動していないのに、モータの駆動が停止され、車高を所望の高さに調整することが困難となる。
本発明は、車高を確度高く所望の高さに調整することができる車高調整装置を提供することを目的とする。
かかる目的のもと完成させた本発明は、スプリングを支持する支持部材が、前記スプリングの荷重を変更させるように移動するジャッキ部と、モータの駆動により前記ジャッキ部に液体を供給する供給部と、前記スプリングの荷重を大きくするべく前記支持部材を移動させる場合に、前記モータに供給する目標電流値を、予め定められた第1目標値とする基本制御を行い、前記基本制御を行っているときに、前記モータに実際に供給される実電流値が予め定められた基準値以上となった場合に、前記目標電流値を前記第1目標値よりも大きい第2目標値とする制御装置と、を備える車高調整装置である。
本発明によれば、車高を確度高く所望の高さに調整することができる車高調整装置を提供することができる。
第1の実施形態に係る自動二輪車の概略構成の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る車高調整装置の概略構成の一例を示す図である。 制御装置のブロック図の一例を示す図である。 目標電流設定部が目標電流値を設定する手法について説明するのに用いる図である。 目標電流設定部が目標電流値を設定する手法について説明するのに用いる図である。 目標電流設定部が行う目標電流設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。 目標電流設定部が行う目標電流設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係る目標電流設定部が、ピストンの移動量が最大値に到達したと判断した場合の目標電流値の変遷の一例を示す図である。 第3の実施形態に係る目標電流設定部が、ピストンの移動量が最大値に到達したと判断した場合の目標電流値の変遷の一例を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に示す形態は本発明の実施の形態の一例であり、本発明は、以下に示す形態に限定されない。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る自動二輪車1の概略構成の一例を示す図である。
図2は、第1の実施形態に係る車高調整装置100の概略構成の一例を示す図である。
自動二輪車1は、前側の車輪である前輪2と、後側の車輪である後輪3と、前輪2の回転角度を検出する前輪側センサ4と、後輪3の回転角度を検出する後輪側センサ5と、を備えている。
また、自動二輪車1は、自動二輪車1の骨格をなす車体フレーム11と、ハンドル12と、ブレーキレバー13と、シート14とを有する車両本体10を備えている。
また、自動二輪車1は、前輪2と車両本体10とを連結するフロントフォーク21を有している。また、自動二輪車1は、前輪2の左右それぞれに配置された2つのフロントフォーク21を保持する2つのブラケット15と、2つのブラケット15の間に配置されたシャフト16と、を備えている。シャフト16は、車体フレーム11に回転可能に支持されている。フロントフォーク21は、路面等から前輪2に加わった衝撃を吸収する懸架スプリング21sと、懸架スプリング21sの振動を減衰する減衰装置21dと、を備えている。
また、自動二輪車1は、後輪3と車両本体10とを連結するリアサスペンション22を、後輪3の左側と右側にそれぞれ1つずつ有している。リアサスペンション22は、路面等から後輪3に加わった衝撃を吸収する懸架スプリング22sと、懸架スプリング22sの振動を減衰する減衰装置22dと、を備えている。
以下の説明において、フロントフォーク21とリアサスペンション22とをまとめて「懸架装置23」と称する場合もある。また、懸架スプリング21sと懸架スプリング22sとをまとめて「スプリング23s」と称する場合もある。また、前輪2と後輪3とをまとめて「車輪」と称し、車両本体10を「車体」と称する場合もある。
懸架装置23は、スプリング23sの長さを調整するジャッキ部30を備えている。ジャッキ部30は、図2に示すように、スプリング23sの車体側の端部を支持する支持部材31と、支持部材31とともにジャッキ室32を形成する形成部材33とを有して、ジャッキ室32内の液体(例えばオイル)の量に応じて支持部材31が移動することで、スプリング23sの長さを調整する。支持部材31、ジャッキ室32、形成部材33は、それぞれ、特許文献1に記載されたリアサスペンション又はフロントフォークの支持部材、ジャッキ室、油圧ジャッキにて実現されることを例示することができる。
また、自動二輪車1は、ジャッキ部30のジャッキ室32に液体を供給する供給装置40を備えている。
供給装置40は、図2に示すように、円筒状のシリンダ41と、シリンダ41内を摺動する円柱状のピストン42と、シリンダ41における一方側(図2では右側)の端部を塞ぐ円板状の蓋部43と、を備えている。シリンダ41、ピストン42、及び、蓋部43にて囲まれる空間に、液体を貯留する貯留室44が形成される。ピストン42には、他方側(図2では左側)の端面から凹んだ円柱状の凹部が形成されており、この凹部には、雌ねじ42fが形成されている。
また、供給装置40は、図2に示すように、ピストン42に形成された雌ねじ42fと噛み合う雄ねじ45mが形成されたねじ部材45を備えている。また、供給装置40は、ねじ部材45を回転させるモータ46と、モータ46の駆動力を、回転速度を減速させてねじ部材45に伝達する減速部47と、を備えている。モータ46は、ブラシ付きの直流(DC)モータであることを例示することができる。減速部47は、図2に示すように、モータ46の出力軸に装着された駆動ギア47dと、ねじ部材45に装着された受動ギア47rと、駆動ギア47dと噛み合う第1中間ギア47mと受動ギア47rと噛み合う第2中間ギア47nとを有するギアユニット47uと、を備えている。
また、供給装置40は、貯留室44と、ジャッキ部30のジャッキ室32との間に設けられて、貯留室44とジャッキ室32との間で液体を流通させるホース48を備えている。
また、供給装置40は、ピストン42の移動量を検出する移動量検出部49を備えている。移動量検出部49が検出するピストン42の移動量は、ピストン42が基準位置に位置するときの移動量を0とした場合の移動量である。基準位置は、ジャッキ室32内の液体が0で、支持部材31が最も車体側に位置するときのピストン42の位置である。言い換えれば、ピストン42が基準位置にあるときに、貯留室44の液体の量が最大となる。移動量検出部49は、シリンダ41における他方側(図2では左側)の端面に対するピストン42における他方側の端面の位置を検出するセンサであることを例示することができる。なお、移動量検出部49は、ねじ部材45又はモータ46の回転角度を検出するセンサからの出力値を用いて、ねじ部材45又はモータ46の回転角度を積算することにより、ピストン42の移動量を検出するものであっても良い。
また、自動二輪車1は、供給装置40のモータ46の駆動を制御する制御装置50を備えている。制御装置50については、後で詳述する。
以上のように構成された懸架装置23、供給装置40、及び、制御装置50等により自動二輪車1の車高を調整する車高調整装置100が構成される。
車高調整装置100においては、供給装置40のモータ46が一方の方向に回転することにより、ピストン42の基準位置からの移動量が大きくなり、ピストン42が貯留室44から液体を排出する。これにより、ホース48を介して、ジャッキ室32内に液体が供給される。そして、支持部材31が形成部材33に対して車輪側(図2では右側)に移動し、スプリング23sのバネ長が短くなる。
支持部材31が形成部材33に対して移動することでスプリング23sのバネ長が短くなると、支持部材31が形成部材33に対して移動する前と比べてスプリング23sが支持部材31を押すバネ力が大きくなる。その結果、車体から車輪側へ力が作用したとしても、両者の相対位置を変化させない初期荷重が大きくなる。かかる場合、車体側から車輪側に同じ力が作用した場合には、懸架装置23の沈み込み量(車体と車輪との間の距離の変化)が小さくなる。それゆえ、支持部材31が形成部材33に対して移動することでスプリング23sのバネ長が短くなると、支持部材31が形成部材33に対して移動する前と比べて、シート14の高さが上昇する(車高が高くなる)。
一方、供給装置40のモータ46が他方の方向に回転することにより、ピストン42の基準位置からの移動量が小さくなり、貯留室44の容積が大きくなる。すると、支持部材31がジャッキ室32内の液体を排出し、貯留室44に供給する。これにより、支持部材31が形成部材33に対して車体側(図2では左側)に移動し、スプリング23sのバネ長が長くなる。
支持部材31が形成部材33に対して移動することでスプリング23sのバネ長が長くなると、支持部材31が形成部材33に対して移動する前と比べてスプリング23sが支持部材31を押すバネ力が小さくなる。その結果、車体側から車輪側に同じ力が作用した場合には、懸架装置23の沈み込み量が大きくなる。それゆえ、支持部材31が形成部材33に対して移動することでスプリング23sのバネ長が長くなると、支持部材31が形成部材33に対して移動する前と比べて、シート14の高さが下降する(車高が低くなる)。
(制御装置50)
次に、制御装置50について説明する。
図3は、制御装置50のブロック図の一例を示す図である。
制御装置50は、CPUと、CPUにて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROMと、CPUの作業用メモリ等として用いられるRAMと、不揮発性メモリであるEEPROMと、を備えている。制御装置50には、上述した前輪側センサ4、後輪側センサ5、及び、移動量検出部49等からの出力信号が入力される。
制御装置50は、前輪側センサ4からの出力信号を基に前輪2の回転速度を演算する前輪側演算部51と、後輪側センサ5からの出力信号を基に後輪3の回転速度を演算する後輪側演算部52と、を備えている。これら前輪側演算部51及び後輪側演算部52は、それぞれ、センサからの出力信号であるパルス信号を基に回転角度を把握し、それを経過時間で微分することで回転速度を演算する。
また、制御装置50は、前輪側演算部51が演算した前輪2の回転速度及び後輪側演算部52が演算した後輪3の回転速度の少なくともいずれかを用いて自動二輪車1の移動速度である車速Vcを把握する車速把握部53を備えている。
また、制御装置50は、車速把握部53が把握した車速Vcに基づいて、モータ46の駆動を制御するモータ制御部60を有している。
これら前輪側演算部51、後輪側演算部52、車速把握部53、及び、モータ制御部60は、CPUがROM等の記憶領域に記憶されたソフトウェアを実行することにより実現される。
(モータ制御部60)
モータ制御部60は、ピストン42の目標移動量Ltを設定する目標移動量設定部61と、モータ46に供給する目標電流値Itを設定する目標電流設定部62と、モータ46を駆動させる駆動部63と、モータ46に実際に流れる実電流値を検出する電流検出部64と、を備えている。
目標移動量設定部61は、自動二輪車1にユーザが乗車する前は、目標移動量Ltを、予め定められた最小側の目標移動量に設定する。そして、自動二輪車1にユーザが乗車した後、目標移動量設定部61は、目標移動量Ltを、最大側の目標移動量に設定する。最小側の目標移動量は0であることを例示することができる。最大側の目標移動量は、自動二輪車1に設けられたユーザインターフェースを介してユーザにより選択された目標車高に応じた値であることを例示することができる。
また、目標移動量設定部61は、目標移動量Ltから、移動量検出部49からの出力値を用いて把握した検出移動量Laを減算した減算値ΔL(=Lt-La)が0となったときの実際の車高が、目標車高と異なる場合には目標移動量Ltを補正する。補正後の目標移動量Ltは、実際の車高と目標車高との差に応じて設定する。なお、実際の車高は、懸架装置23のストローク量を検出するストロークセンサからの出力値を用いて把握することを例示することができる。
また、目標移動量設定部61は、シート14に生じている荷重を検出する荷重センサからの出力値を用いて把握した荷重と、目標車高に応じて予め定められた値との偏差を用いて補正後の目標移動量Ltを設定しても良い。
上述したように、目標移動量設定部61が補正後の目標移動量Ltを新たな目標移動量Ltとして設定することで、例えば2人乗りや荷物積載等により、実際の車高が目標車高から乖離してしまうことを抑制する。
目標電流設定部62については、後で詳述する。
駆動部63は、例えば、電源の正極側ラインとモータ46のコイルとの間に接続された、スイッチング素子としてのトランジスタ(FET)を備えている。そして、このトランジスタのゲートを駆動してこのトランジスタをスイッチング動作させることにより、モータ46の駆動を制御する。
電流検出部64は、駆動部63に接続されたシャント抵抗の両端に生じる電圧からモータ46に流れる実電流値を検出する。
(目標電流設定部62)
図4、図5は、目標電流設定部62が目標電流値Itを設定する手法について説明するのに用いる図である。
目標電流設定部62は、目標移動量設定部61が決定した目標移動量Ltと、移動量検出部49からの出力値を用いて把握した検出移動量Laとが一致するように、ピストン42を移動させる。
目標電流設定部62は、貯留室44から液体を排出させる方向にピストン42を移動させる場合には、目標電流値Itを、予め定められた一方側目標値に設定する。他方、目標電流設定部62は、ジャッキ室32から液体を排出させる方向にピストン42を移動させる場合には、目標電流値Itを、予め定められた他方側目標値に設定する。一方側目標値は8A、他方側目標値は-8Aであることを例示することができる。
目標電流設定部62は、ピストン42の移動方向を決定するにあたって、先ず、目標移動量設定部61が設定した目標移動量Ltから、移動量検出部49からの出力値を用いて把握した検出移動量Laを減算した減算値ΔL(=Lt-La)が0より大きいか否かを判断する。そして、減算値ΔLが0より大きい場合(ΔL>0)、目標電流設定部62は、ピストン42を、貯留室44から液体を排出させる方向に移動させるべく、目標電流値Itを一方側目標値に設定する。他方、減算値ΔLが0より小さい場合(ΔL<0)、目標電流設定部62は、ピストン42を、ジャッキ室32から液体を排出させる方向に移動させるべく、目標電流値Itを他方側目標値に設定する。一方、減算値ΔLが0である場合(ΔL=0)、目標電流設定部62は、目標電流値Itを0Aに設定する。
目標電流値Itの算出に当たっては、目標移動量Ltと検出移動量Laとが一致するようにフィードバック制御を行うように設定でき、減算値ΔLに対して、比例要素で比例処理し、積分要素で積分処理し、加算演算部でこれらの値を加算することで、目標電流値Itを算出しても良い。
以上が、目標電流設定部62が行う基本制御である。
なお、目標電流設定部62は、減算値ΔLの絶対値が予め定められた基準偏差より大きいか否かを判断し、減算値ΔLの絶対値が基準偏差以下である場合には目標電流値Itを0Aに設定し、減算値ΔLの絶対値が基準偏差より大きい場合には、目標電流値Itを、減算値ΔLの符号に応じて、一方側目標値又は他方側目標値に設定しても良い。
次に、目標電流設定部62が行う判定制御について説明する。
ここで、ピストン42が貯留室44から液体を排出し終わり、ピストン42が蓋部43に突き当たった後にも、貯留室44から液体を排出させるべくピストン42を移動させるためにモータ46を駆動させると、モータ46に負荷がかかり過ぎてしまう。例えば、移動量検出部49に故障が生じ、ピストン42の実際の位置を検出することができない場合には、ピストン42が蓋部43に突き当たった後にも目標電流値Itを一方側目標値に設定してしまい、モータ46に負荷がかかり過ぎてしまうおそれがある。
そのため、ピストン42が蓋部43に突き当たった場合、言い換えれば、ピストン42の移動量が最大値に到達した場合には、モータ46の駆動を停止させる必要がある。例えば、モータ46に供給される電流値が予め定められた基準値よりも大きければ、ピストン42の移動量が最大値に到達し、モータ46の負荷が大きくなったと推定してモータ46の駆動を停止させることは可能である。しかしながら、例えば、低温動き出し時や、シート14のタンデムシートに想定以上に重いパッセンジャが乗っている又は荷台に想定以上に重い荷物が載せられている等の最大積載荷重時等に、モータ46に供給される電流値が基準値よりも大きくなると、ピストン42の移動量が最大値に到達したと誤判定してしまうおそれがある。ピストン42の移動量が最大値に到達したと誤判定してモータ46の駆動を停止させると、ピストン42の実際の移動量が目標移動量Ltに到達していないにもかかわらず、ピストン42の移動を停止させることから、車高を目標の高さに調整することが困難となる。
上記事項に鑑み、目標電流設定部62は、ピストン42の移動量が最大値に到達したか否かを精度高く判定するために、以下に述べる判定制御を行う。
目標電流設定部62は、目標電流値Itを一方側目標値に設定しているときに、第1条件が成立したか否かを判断する。第1条件は、電流検出部64にて検出された検出電流値Iaが、予め定められた第1基準値以上である期間が予め定められた第1基準期間継続すること、であることを例示することができる。なお、第1基準値は、一方側目標値よりも小さい電流値であることを例示することができ、例えば、7.85Aであることを例示することができる。第1基準期間は、500ミリ秒(msec)であることを例示することができる。なお、第1条件は、電流検出部64にて検出された検出電流値Iaが第1基準値以上となったこと、であっても良い。
そして、目標電流設定部62は、第1条件が成立したと判断した場合には、ピストン42の移動量が最大値に到達したと仮に判断して、目標電流値Itを、一方側目標値よりも大きい値に定められた第2目標値に設定する。第2目標値は、例えば、12Aであることを例示することができる。
そして、目標電流設定部62は、目標電流値Itを第2目標値に設定しているとき、予め定められた判定期間内に、第2条件が成立したか否かを判断する。第2条件は、検出電流値Iaが、予め定められた第2基準値以上であることを例示することができる。なお、第2基準値は、第1基準値及び一方側目標値よりも大きく、かつ、第2目標値よりも小さい電流値であることを例示することができ、例えば、11.85Aであることを例示することができる。判定期間は、500ミリ秒であることを例示することができる。
そして、目標電流設定部62は、判定期間内に第2条件が成立したと判断した場合には、図4に示すように、ピストン42の移動量が最大値に到達したと正式に判断して、モータ46の駆動を停止するべく、目標電流値Itを0Aに設定する。他方、目標電流設定部62は、判定期間内に第2条件が成立しなかったと判断した場合には、図5に示すように、ピストン42の移動量が最大値に到達したとの仮の判断を解除して、目標電流値Itを、一方側目標値とする。つまり、目標電流設定部62は、基本制御を行う。
図6は、目標電流設定部62が行う目標電流設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
目標電流設定部62は、この目標電流設定処理を、例えば予め定めた期間(例えば1ミリ秒)毎に繰り返し実行する。
目標電流設定部62は、先ず、目標移動量Ltから検出移動量Laを減算した減算値ΔL(=Lt-La)が0であるか否かを判断する(S601)。そして、ΔLが0ではない場合(S601でno)、目標電流設定部62は、減算値ΔLが0より大きいか否かを判断する(S602)。
減算値ΔLが0より大きい場合(S602でyes)、目標電流設定部62は、目標電流値Itを、一方側目標値に設定する(S603)。他方、減算値ΔLが0より大きくない場合(S602でno)、目標電流設定部62は、目標電流値Itを、他方側目標値に設定する(S604)。
一方、ΔLが0である場合(S601でyes)、目標電流設定部62は、目標電流値Itを0Aに設定する(S605)。
図7は、目標電流設定部62が行う目標電流設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
目標電流設定部62は、この目標電流設定処理を、例えば予め定めた期間(例えば1ミリ秒)毎に繰り返し実行する。
目標電流設定部62は、先ず、目標電流値Itが一方側目標値であるか否かを判断する(S701)。目標電流値Itが一方側目標値である場合(S701でyes)、目標電流設定部62は、第1条件が成立したか否かを判断する(S702)。つまり、目標電流設定部62は、検出電流値Iaが第1基準値以上である期間が第1基準期間継続したか否かを判断する。
そして、第1条件が成立した場合(S702でyes)、目標電流設定部62は、目標電流値Itを第2目標値に設定する(S703)。他方、第1条件が成立していない場合(S702でno)、本処理を終了する。
S703で目標電流値Itを第2目標値に設定した後、第2条件が成立したか否かを判断する(S704)。つまり、検出電流値Iaが第2基準値以上となったか否かを判断する。
そして、第2条件が成立した場合(S704でyes)、目標電流設定部62は、目標電流値Itを0Aに設定する(S705)。他方、第2条件が成立していない場合(S704でno)、目標電流設定部62は、目標電流値Itを第2目標値に設定した後、判定期間が経過したか否かを判断する(S706)。
そして、判定期間が経過した場合(S706でyes)、目標電流設定部62は、目標電流値Itを、一方側目標値に設定する(S707)。他方、判定期間が経過していない場合(S706でno)、目標電流設定部62は、S704以降の処理を行う。
目標電流設定部62が上述した目標電流設定処理を行うことで、例えば、低温動き出し時や最大積載荷重時等に、一時的に負荷が高くなることに起因して、第1条件が成立したとしても(検出電流値Iaが第1基準値以上である期間が第1基準期間継続したとしても)、直ちにモータ46の駆動が停止されることが抑制される。これにより、ピストン42の実際の移動量が目標移動量Ltに到達していないにもかかわらず、ピストン42の移動が停止させられることが抑制される。その結果、車高が、確度高く所望の高さに調整される。
以上説明したように、第1の実施形態に係る車高調整装置100は、ジャッキ室32内に収容した液体の量に応じて、スプリング23sを支持する支持部材31が移動するジャッキ部30と、モータ46の駆動によりジャッキ室32内に液体を供給する供給部の一例としての供給装置40と、を備えている。また、車高調整装置100は、スプリング23sの荷重を大きくするべく支持部材31を移動させる場合に、モータ46に供給する目標電流値Itを、第1目標値の一例としての一方側目標値とする基本制御を行う制御装置50を備えている。そして、制御装置50は、基本制御を行っているときに、モータ46に実際に供給される実電流値、言い換えれば、検出電流値Iaが第1基準値以上となった場合に、目標電流値Itを一方側目標値よりも大きい第2目標値とする。
そして、制御装置50は、目標電流値Itを第2目標値とした後、第2条件が成立するか否かでピストン42の移動量が最大値に到達したか否かを判断することが可能になる。これにより、制御装置50は、検出電流値Iaが第1基準値以上となったときにモータ46の駆動を停止させるのと比較して、ピストン42の実際の移動量が目標移動量Ltに到達していないにもかかわらず、ピストン42の移動を停止することを抑制する。その結果、車高調整装置100によれば、車高を、確度高く所望の高さに調整することができる。
制御装置50は、目標電流値Itを第2目標値としているときに、予め定められた判定期間内に、検出電流値Iaが、前記基準値よりも大きな値に予め定められた判定値の一例としての第2基準値以上となった場合に、モータ46の駆動を停止する。検出電流値Iaが第2基準値以上となった場合は、ピストン42の移動量が最大値に到達したと判断することが可能であることから、制御装置50は、モータ46の駆動を停止することで、モータ46に負荷がかかり過ぎてしまうことを抑制することができる。
制御装置50は、目標電流値Itを第2目標値としているときに、判定期間内に、検出電流値Iaが判定値以上とならなかった場合に、基本制御を行う。つまり、制御装置50は、目標電流値Itを一方側目標値とする。これにより、制御装置50は、低温動き出し時や最大積載荷重時等に、一時的に負荷が高くなることに起因して、ピストン42の実際の移動量が目標移動量Ltに到達していないにもかかわらず、ピストン42の移動を停止することを抑制することができる。
制御装置50は、基本制御を行っているときに、検出電流値Iaが第1基準値以上である期間が予め定められた所定期間の一例としての第1基準期間継続した場合に、目標電流値Itを第2目標値とする。これにより、例えば、電流検出部64からの出力値にノイズが生じることに起因して、頻繁に目標電流値Itを第2目標値とすることを抑制することができる。
<第2の実施形態>
図8は、第2の実施形態に係る目標電流設定部が、ピストン42の移動量が最大値に到達したと判断した場合の目標電流値Itの変遷の一例を示す図である。
第2の実施形態に係る目標電流設定部は、第1の実施形態に係る目標電流設定部62に対して、目標電流値Itを0Aにするか一方側目標値とするかの判断に用いる第2条件が異なる。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。第1の実施形態と第2の実施形態とで、同じ機能、意味を有するものについては同じ符号、用語を用い、その詳細な説明は省略する。
第2の実施形態に係る目標電流設定部は、第2条件を、検出電流値Iaが第2基準値以上である期間が第2基準期間継続したこと、とする。なお、第2基準期間は、判定期間よりも短い期間である100ミリ秒であることを例示することができる。つまり、第2の実施形態に係る目標電流設定部は、目標電流値Itを第2目標値に設定しているとき、判定期間内に、検出電流値Iaが第2基準値以上である期間が第2基準期間継続した場合には、ピストン42の移動量が最大値に到達したと正式に判断して、モータ46の駆動を停止するべく、目標電流値Itを0Aに設定する。
これにより、ピストン42の移動量が最大値に到達したことを、精度高く判断することができる。
<第3の実施形態>
図9は、第3の実施形態に係る目標電流設定部が、ピストン42の移動量が最大値に到達したと判断した場合の目標電流値Itの変遷の一例を示す図である。
第3の実施形態に係る目標電流設定部は、第2の実施形態に係る目標電流設定部に対して、目標電流値Itを0Aにするか一方側目標値とするかの判断に用いる第2条件が異なる。以下、第2の実施形態と異なる点について説明する。第2の実施形態と第3の実施形態とで、同じ機能、意味を有するものについては同じ符号、用語を用い、その詳細な説明は省略する。
第3の実施形態に係る目標電流設定部は、第2条件を、検出電流値Iaが第2基準値以上である期間が第3基準期間継続することが予め定められた所定回数生じたこと、とする。なお、第3基準期間は、判定期間よりも短い期間である100ミリ秒であることを例示することができる。また、所定回数は、2回であることを例示することができる。つまり、第3の実施形態に係る目標電流設定部は、目標電流値Itを第2目標値に設定しているとき、判定期間内に、検出電流値Iaが第2基準値以上である期間が第3基準期間継続することが所定回数生じた場合には、ピストン42の移動量が最大値に到達したと正式に判断して、モータ46の駆動を停止するべく、目標電流値Itを0Aに設定する。
これにより、ピストン42の移動量が最大値に到達したことを、精度高く判断することができる。
1…自動二輪車、2…前輪、3…後輪、10…車両本体、14…シート、21…フロントフォーク、22…リアサスペンション、23s…スプリング、30…ジャッキ部、31…支持部材、32…ジャッキ室、40…供給装置、41…シリンダ、42…ピストン、43…蓋部、44…貯留室、46…モータ、49…移動量検出部、50…制御装置、60…モータ制御部、61…目標移動量設定部、62…目標電流設定部、63…駆動部、64…電流検出部

Claims (6)

  1. スプリングを支持する支持部材が、前記スプリングの荷重を変更させるように移動するジャッキ部と、
    モータの駆動により前記ジャッキ部に液体を供給する供給部と、
    前記スプリングの荷重を大きくするべく前記支持部材を移動させる場合に、前記モータに供給する目標電流値を、予め定められた第1目標値とする基本制御を行い、前記基本制御を行っているときに、前記モータに実際に供給される実電流値が予め定められた基準値以上となった場合に、前記目標電流値を前記第1目標値よりも大きい第2目標値とする制御装置と、
    を備える車高調整装置。
  2. 前記制御装置は、前記目標電流値を前記第2目標値としているときに、予め定められた判定期間内に、前記実電流値が、前記基準値よりも大きな値に予め定められた判定値以上となった場合に、前記モータの駆動を停止する
    請求項1に記載の車高調整装置。
  3. 前記制御装置は、前記判定期間内に、前記実電流値が前記判定値以上である期間が予め定められた基準期間継続した場合に、前記モータの駆動を停止する
    請求項2に記載の車高調整装置。
  4. 前記制御装置は、前記目標電流値を前記第2目標値としているときに、予め定められた判定期間内に、前記実電流値が前記判定値以上とならなかった場合に、前記基本制御を行う
    請求項2又は3に記載の車高調整装置。
  5. 前記制御装置は、前記基本制御を行っているときに、前記実電流値が前記基準値以上である期間が予め定められた所定期間継続した場合に、前記目標電流値を前記第2目標値とする
    請求項1から4のいずれか1項に記載の車高調整装置。
  6. 前記供給部は、円筒状のシリンダと、前記シリンダ内を摺動するピストンと、前記シリンダの端部を塞ぐ蓋部と、を備え、前記モータの駆動により前記ピストンを前記蓋部の方へ移動させることにより、前記シリンダ内の液体を前記ジャッキ部に供給し、
    前記制御装置は、前記スプリングの荷重を大きくするべく前記支持部材を移動させる場合に、前記ピストンを前記蓋部の方へ移動させる方向に前記モータを駆動させる
    請求項1から5のいずれか1項に記載の車高調整装置。
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