JP7213058B2 - 厚銅多層基板の半田付け方法 - Google Patents

厚銅多層基板の半田付け方法 Download PDF

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本発明は、多層基板の回路パターンを構成する導電体である銅箔を厚くした厚銅多層基板の半田付け方法に関する。
近年、パワーコンディショナ等の電源機器の大電力化や高密度化に伴い、大型で大重量のリアクトルやコンデンサ等の部品を多層基板に搭載する場合が増加している。その一方、従来から、大電流化に対応して、基板の銅箔の面積を大きくする技術が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2002-232126号公報
しかし、大電流化に対応して、単に銅箔面積を大きくしただけでは多層基板が大型化してしまい、多層基板の小型化の要請に応えられないため、従来の18μmや35μmの銅箔に代えて、70μm以上の厚い銅箔を使用することが必要とされる。
銅箔が厚くなると銅箔の熱容量が大きくなって、多層基板の下方から半田を噴き上げるフロー半田において、スルーホールの内周面等に設けられた銅箔の半田付け部分で半田熱量が拡散して、その温度が上昇しないことにより、半田上がりが不足し、十分に実用的な半田付けができない場合があった。
また、近年の鉛フリー半田の使用により融点が上昇し、前記半田熱量の拡散により半田上がりが一層不足する。さらに、前記大型で大重量の部品を多層基板に搭載した電源機器において、多層基板が縦置きに設置されたり、大きくヒートサイクルや振動、衝撃などの影響を受ける環境下に設置されるとき、より確実な固定が求められるが、困難な場合も生じていた。
すなわち、大電流化に対応して半田付け面となる銅箔の厚さが70μm以上の厚銅多層基板に対して、実用的で確実な電気接続および部品固定が可能な半田付けの実現が要請されていた。
本発明の目的は、前記の問題点を解決して、大電流化に対応する銅箔の厚さが70μm以上の厚銅多層基板に対して、実用的で確実な電気的接続及び部品固定が可能な厚銅多層基板の半田付け方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る厚銅多層基板の半田付け方法は、回路パターンを構成する銅箔の厚さが70μm以上の厚銅多層基板に対するものであって、
前記厚銅多層基板のスルーホールを介して半田付けする部品に対し、
前記スルーホールと、当該スルーホール周辺の近傍位置に設けられた複数の貫通孔であるVIAホールとを同時にフロー半田付けをして半田熱量を保持する、半田熱量保持工程と、
前記スルーホールと、当該スルーホール周囲に、平面視で半田ごての投入方向に延びる形状を有する手付け半田ランドとを設けて手半田付けをして前記半田ごての加熱量を増大させる加熱量増大工程と、を含む。
この構成によれば、例えば、厚銅多層基板に半田付けする部品に対し、主に厚銅多層基板において部品が集合して配置される箇所で半田熱量を保持させ、部品が分散して配置される箇所で半田熱量の拡散を抑制させるとともに、半田ごてにより手半田付けする部品に対し、半田ごての投入方向に当てる手半田付けランドの面積が大きくなって半田ごての加熱量を増大させるので、厚銅多層基板の各箇所において半田付けを確実に行なうことができ、大電流化に対応する銅箔の厚さが70μm以上の厚銅多層基板に対して、実用的で確実な電気的接続及び部品固定が可能な半田付けを実現できる。
本発明では、前記厚銅多層基板に手半田付けする部品に対し、前記スルーホールと、当該スルーホール周辺の近傍位置に設けられた銅箔を剥離した複数の凹部を有するサーマルランドを設けて手半田付けをして半田熱量の拡散を抑制する、半田熱量拡散抑制工程を含むことができる。この場合も実用的で確実な電気的接続及び部品固定が可能な半田付けを実現できる。
本発明では、前記厚銅多層基板において部品が集合して配置される箇所で前記半田熱量保持工程を行い、前記厚銅多層基板において部品が分散して配置される箇所で前記半田熱量拡散抑制工程を含むことができる。この場合も実用的で確実な電気的接続及び部品固定が可能な半田付けを実現できる。
本発明では、前記スルーホールおよび前記VIAホールのそれぞれの内周面および基板表裏面の開口周辺部に半田めっきまたは半田コーティングである半田レベラを設けたうえで、前記フロー半田付けして、半田上り量を増大させる工程を含むことが好ましい。この場合も実用的で確実な電気的接続及び部品固定が可能な半田付けを実現できる。
本発明では、前記厚銅多層基板において部品が前記分散して配置される箇所よりもさらに分散して配置される箇所で、前記スルーホールの半田付けランドの銅箔面積が小さすぎて熱容量が不足する場合に、当該半田付けランドの銅箔面積を前記分散して配置される箇所よりも大きくしたうえで半田付けして、半田上り量を増大させる工程を含むことが好ましい。この場合、熱容量を確保することができる。
好ましくは、前記半田ごての加熱量を増大させる加熱量増大工程において、前記手半田付けランドの形状を涙型とする。したがって、前記半田ごての加熱量を増大させるとともに、半田ごての投入方向に向かって次第に細くなるので、半田のひきずりも防止される。さらに、端子間の間隔が狭いとき、半田同士をつながりにくくできる。
また好ましくは、前記半田ごての加熱量を増大させる加熱量増大工程において、前記形状の手半田付けランドを、半田ごての投入方向と直交する方向に複数連結させる。したがって、半田熱量が良好に伝達されて、各スルーホールでの半田上がりを向上させることができる。
本発明は、厚銅多層基板の各箇所において半田付けを確実に行なうので、大電流化に対応する銅箔の厚さが70μm以上の厚銅多層基板に対して、実用的で確実な電気的接続及び部品固定が可能な厚銅多層基板の半田付け方法を得ることができる。
(A)は本発明の一実施形態に係る厚銅多層基板の半田付け方法を示す、部品が取り付けられた状態の厚銅多層基板の一部断面図、(B)はその半田付け前の平面図である。 (A)は同半田付け方法を示す、厚銅多層基板の半田付け前の一部平面図、(B)はその部品が取り付けられた状態の断面図である。 同半田付け方法を示す一部平面図である。 (A)は同半田付け方法を示す、厚銅多層基板の半田付け前の一部平面図、(B)はその部品が取り付けられる状態の断面図である。 (A)~(C)は他例を示す一部平面図である。 (A)は同半田付け方法を示す、厚銅多層基板の半田付け前の一部平面図、(B)はその部品が取り付けられる状態の断面図である。 他例を示す一部平面図である。
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる多層基板1の半田付け方法を示すものであり、(A)は部品2が半田10で取り付けられた状態の例えば4層のような厚銅多層基板1の断面図である。(B)はその半田付け前の平面図である。
図1(A)のように、多層基板1は、銅箔3と銅箔3の間に絶縁体からなる基材4が挟まれた状態で複数層をなしており、例えば銅箔3が4層に形成されている。
この例では、多層基板の回路パターンを構成する銅箔の厚さが70μm以上の厚い銅箔が使用されている。なお、銅箔の厚さが105μm以上であってもよい。105μm以上に厚くなるほど熱拡散が大きくなって、半田上がりが不足しやすくなるので、本半田付け方法がより必要とされる。
多層基板1には、その表裏面1a、1bを貫通して、部品2の端子2aが挿入されるスルーホール5と、当該スルーホール5周辺の近傍位置に設けられた複数の貫通孔であるVIAホール6とが形成されている。スルーホール5に部品2の端子2aが挿入され、多層基板1の下方(基板裏面1b側)から半田10が噴き上げられて、スルーホール5およびVIAホール6を通って基板裏面1b側から基板表面1a側に到達して、部品2の端子2aが多層基板1にフロー半田付けされる。例えばフロー半田付けは一次噴流、二次噴流により行なわれる。
銅箔3の上下の最外層部の各表面と、スルーホール5およびVIAホール6の内周面とには、銅箔3の保護用に銅めっき11が施されている。さらに、スルーホール5とVIAホール6の内周面および基板表裏面1a、1bの開口周辺部における銅めっき11表面には、半田めっきまたは半田コーティングである半田レベラ7が設けられている。半田レベラ7は、一般に銅箔3の防錆及びぬれ性向上のために設けられる。
この例では、フロー半田付けするとき、銅めっき11の表面に半田レベラ7を設けることにより半田同士となって半田が付着しやすくなり、各ホール5、6における半田上り量を増大させることができる。
主に多層基板1において部品2を集合して(高密度に)配置させる箇所で半田熱量を保持させるように、半田レベラ7が設けられたスルーホール5およびVIAホール6を同時にフロー半田付けする。このスルーホール5およびVIAホール6を同時にフロー半田付けする半田熱量保持工程と、さらに各ホール5、6に半田レベラ7を設ける半田上り量増大工程とが相俟って、より実用的で確実な固定が可能な半田付けを実現できる。
半田レベラ7が設けられていない銅めっき11の表面にはソルダーレジスト8が設けられている。ソルダーレジスト8により銅箔3が保護され、半田付け時に不要な半田付着が防止される。
図2(B)に示すように、フロー半田付けに不適で、部品2Aに対して脂入り半田13を半田ごて15によって前記フロー半田付け時の噴き上げ方向と逆に上方(基板表面1a側)から、手半田付けする半田熱量拡散抑制工程を含む。この場合、多層基板1において、主に部品2Aを分散して(低密度に)配置させる箇所で半田熱量の拡散を抑制させるように、図2(A)に示すように、スルーホール5周辺の近傍位置に設けられた銅箔3を剥離した複数の凹部9aを有するサーマルランド9を設けて手半田付けする。このサーマルランド9により、半田熱量の伝達経路が狭くなって半田熱量の拡散が抑制される。スルーホール5には、図1と同様に半田レベラ7が設けられている。
銅箔3の厚さが70μmよりも105μmの方が熱拡散が大きいので、熱拡散を抑制するため、105μmの場合にはサーマルランド9の面積をより大きくする必要がある。なお、VIAホール6とサーマルランド9の両方を設けてもよい。
図3に示すように、半田付けする方法において、部品2がさらに分散して(より低密度)配置される箇所で、スルーホール5の半田付けランド12の銅箔面積が小さすぎて半田熱容量が不足する場合に、当該ランド12の銅箔面積を大きくしたうえで、フロー半田付けまたは手半田付けして、半田上り量を増大させる工程を含む。これにより熱容量を確保することができる。具体的には、部品2がさらに分散して配置される箇所における当該半田付けランドの銅箔面積を、上記分散(低密度)して配置される箇所よりも1.5~3倍程度大きくしたうえで半田付けして、半田上り量を増大させる工程を含むものである。
図4(A)、(B)に示すように、フロー半田付けに不適で、半田ごて15により手半田付けする部品2Bに対して、スルーホール5の周囲に設けられて銅箔3の半田付け面である手半田付けランド21を、半田ごて15の投入方向に延びる形状にして、半田ごて15の加熱量を増大させる。
図4(B)のように、脂入り半田13を半田ごて15により手半田付けランド21に当てて、手半田付けする。図4(A)のように、この例では、手半田付けランド21は、半田ごて15の投入方向に向かって次第に細くなる涙型の形状をしている。この形状により、半田ごて15の投入方向に当てる手半田付けランド21の面積が大きくなって半田ごて15の加熱量を増大させる。また、先細り形状により半田付け時の溶融した半田10のひきずりも防止される。さらに、端子2a、2a間の間隔が狭くても先端同士が細いので、半田10同士をつながりにくくできる。なお、この例では半田レベラ7を設けていないが、設けるようにしてもよい。
図5(A)~(C)は他例を示す平面図である。いずれの手半田付けランド21A~21Cも半田ごての投入方向に延びる形状を有しており、半田ごて15の加熱量を増大させる。図5(A)の手半田付けランド21Aは略楕円形の形状を有している。図5(B)の手半田付けランド21Bは一部くびれ22を有している。このくびれ22により、半田フィレットを安定化させることができる。図5(C)の手半田付けランド21Cは、2つの半田ごての投入方向に涙型が形成されている。
図6(A)に示すように、複数の手半田付けランド21Dは、それぞれの形状を涙型にするとともに、部品の半田ごての投入方向と直交する方向に複数連結させている。図6(B)は部品2Cの複数の端子2aが取り付けられる状態の断面図である。図1の銅めっき11の図示は省略されている。部品2Cの複数の端子2aを互いに連結できる場合に、半田熱量が良好に伝達されて、各スルーホール5での半田上がりを向上させることができる。
図7は他例を示す平面図である。連結された手半田付けランド21Eは、図6(A)よりもくびれ23を大きくしている。これにより、半田フィレットを安定化させる効果を有する。
手半田付け前に、半田付け促進剤であるフラックスを予備的に塗布する予備フラックスを使用できる。予備フラックス塗布により、その効果持続時間を延ばすことができる。また、半田の表面張力を低下させてねばりを弱くして、半田の濡れを良好にすることにより半田付けが促進される。また、半田の再酸化を防止すると共に、金属の表面の異物や酸化膜、汚れも除去できる。
このように、本発明では、厚銅多層基板にフロー半田付けする部品に対し、主に厚銅多層基板において部品が集合して配置される箇所で半田熱量を保持させ、部品が分散して配置される箇所で半田熱量の拡散を抑制させるとともに、フロー半田付けに不適で半田ごてにより手半田付けする部品に対し、半田ごての投入方向に当てる手半田付けランドの面積が大きくなって半田ごての加熱量を増大させる。これにより、厚銅多層基板の各箇所において半田付けを確実に行なうので、大電流化に対応する銅箔の厚さが70μm以上の厚銅多層基板に対して、実用的で確実な固定が可能な半田付けを実現できる。
なお、この実施形態では、多層基板1は4層をなしているが、これに何ら限定するものではなく、より高密度な6層なども含まれる。多層になるほど半田の噴き上げ距離も若干長くなるので、本半田付け方法がより必要とされる。
なお、この実施形態では、半田熱量保持工程、半田熱量拡散抑制工程、半田ごて加熱量増大工程、半田上り量増大工程および半田付けランド面積増大工程をすべて実施しているが、必要に応じて、いずれか一つ以上を省略してもよい。
以上のとおり図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。したがって、そのような変更および修正は、添付の請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
1:厚銅多層基板
2:部品
2A~2C:部品
2a:端子
3:銅箔
4:基材
5:スルーホール
6:VIAホール
7:半田レベラ
8:ソルダーレジスト
9:サーマルランド
10:半田
11:銅めっき
12:半田付けランド
15:半田ごて
21:手半田付けランド

Claims (7)

  1. 回路パターンを構成する銅箔の厚さが70μm以上の厚銅多層基板における半田付け方法であって、
    前記厚銅多層基板に半田付けする部品に対し、
    スルーホールと、当該スルーホール周辺の近傍位置に設けられた複数の貫通孔であるVIAホールとを同時にフロー半田付けをして半田熱量を保持する、半田熱量保持工程、および
    スルーホールと、当該スルーホール周囲に平面視で半田ごての投入方向に延びた形状を有する手付け半田ランドとを設けて手半田付けをして前記半田ごての加熱量を増大させる加熱量増大工程、の両工程を行う
    厚銅多層基板の半田付け方法。
  2. 請求項1において、
    前記厚銅多層基板に半田付けする部品に対し、スルーホールと、当該スルーホール周辺の近傍位置に設けられた銅箔を剥離した複数の凹部を有するサーマルランドとを設けて半田付けをして、半田熱量の拡散を抑制する半田熱量拡散抑制工程を含む、厚銅多層基板の半田付け方法。
  3. 請求項2において、
    前記厚銅多層基板において部品が集合して配置される箇所で前記半田熱量保持工程を行い、前記厚銅多層基板において部品が分散して配置される箇所で前記半田熱量拡散抑制工程を行う、厚銅多層基板の半田付け方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項において、
    前記スルーホールおよび前記VIAホールのそれぞれの内周面および基板表裏面の開口周辺部に半田めっきまたは半田コーティングである半田レベラを設けたうえで、前記フロー半田付けして、半田上り量を増大させる工程を含む、厚銅多層基板の半田付け方法。
  5. 請求項1から4のいずれか一項において、
    前記厚銅多層基板において部品が前記分散して配置される箇所よりもさらに分散して配置される箇所で、前記スルーホールの半田付けランドの銅箔面積が小さすぎて熱容量が不足する場合に、当該半田付けランドの銅箔面積を前記分散して配置される箇所よりも大きくしたうえで半田付けして、半田上り量を増大させる工程を含む、厚銅多層基板の半田付け方法。
  6. 請求項1から5のいずれか一項において、
    前記半田ごての加熱量を増大させるか熱量増大工程において、前記手半田付けランドの形状を涙型とする、厚銅多層基板の半田付け方法。
  7. 請求項1から6のいずれか一項において、
    前記半田ごての加熱量を増大させる熱量増大工程において、前記形状の手半田付けランドを、前記半田ごての投入方向と直交する方向に複数連結させる、厚銅多層基板の半田付け方法。


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