<硬貨処理装置の構成>
以下に説明する硬貨処理装置11は、ユーザにより予め設定された単一金種の硬貨の計数を行う機能を有し、この単一金種の硬貨以外の硬貨はリジェクトできる機能を有する。ここで、以下の説明において、予め設定された計数対象の単一金種の硬貨を特定金種の硬貨とも言い、この特定金種以外の硬貨を異金種硬貨とも言う。具体的に、硬貨処理装置11は、特定金種の硬貨として選択設定可能な計数対象硬貨が、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨及び500円硬貨の6金種となっている。硬貨処理装置11は、これら6金種の計数対象金種の中から選択された一の特定金種の硬貨を計数する。硬貨処理装置11は、少なくとも特定金種の硬貨を計数する機能を有するものであれば良く、勿論、他の機能を有していても良い。
図1に示すように、硬貨処理装置11は、その上部に、上方に開口する入金ホッパ12と、入金ホッパ12の上部開口を開閉するホッパカバー13とを有している。入金ホッパ12は、投入された硬貨をプールする硬貨プール部である。入金ホッパ12の下部は水平に広がる回転円板14(図2参照)で構成されている。この回転円板14は、繰出モータ(図示せず)で駆動されて鉛直軸回りに回転する。回転円板14は回転することにより硬貨を遠心力で繰り出す。回転円板14の近傍には、分別環(図示せず)が設けられている。分別環は、回転円板14から繰り出される硬貨を1枚ずつに分離する。入金ホッパ12には、入金ホッパ12内に残留する硬貨を検知する残留検知センサ(図示せず)が設けられている。硬貨処理装置11は、硬貨処理装置11の全体制御を行う制御部15(図3参照)を有している。入金ホッパ12の残留検知センサは、検知結果を制御部15に出力する。硬貨処理装置11は、各種パラメータ、及び後述する、第1判定サンプル回数、第2判定サンプル回数、計数カウンタを記憶する記憶部16(図3参照)を有している。
図1に示すように、硬貨処理装置11は、入金ホッパ12よりも下側に本体部18を有している。本体部18は、入金ホッパ12よりも前方(操作者側)に突出している。本体部18は、その前部に、下方に突出する出金シュート19と、電源スイッチ20とを有している。出金シュート19は、シュート本体21と係止リング22とを有している。シュート本体21は、計数後の特定金種の硬貨を外部に放出する部分である。シュート本体21は、硬貨を下方に放出する。係止リング22は、シュート本体21に収納袋(図示せず)を係止する。その結果、シュート本体21は、係止リング22によって係止された収納袋内に硬貨を放出する。
本体部18は、側部に、放出口25と排除ボックス26とが設けられている。放出口25は、特定金種以外の異金種硬貨を外部に放出する部分である。放出口25は、本体部18から側方に開口している。排除ボックス26は、放出口25よりも下側に設けられている。排除ボックス26は、上方に開口している。排除ボックス26は、放出口25から放出された硬貨を上部開口から受け入れて収納する。
本体部18の入金ホッパ12よりも前側部分の上面には、操作表示部30とコース幅調整ノブ31とが設けられている。操作表示部30は、操作者による押圧操作を受け付けると共に操作者に向けて表示を行う。コース幅調整ノブ31は、操作者により回転操作される。計数する特定金種の硬貨を選択する際に、コース幅調整ノブ31が対応する回転位置とされる。
本体部18の内部には、図2に示すように、回転円板14、搬送駆動部35、搬送路36、排除孔37(リジェクト機構)、磁気センサ38及び出金孔39、が設けられている。搬送路36は、回転円板14から繰り出された硬貨Cが搬送される部分である。搬送路36は、水平に配置されて直線状に延びている。搬送路36の延びる方向と直交する水平方向を搬送路36の幅方向と定義する。
搬送駆動部35は、回転円板14から1枚ずつ繰り出された硬貨Cを搬送路36に沿って移動させる。排除孔37は搬送路36に沿って搬送される硬貨Cを搬送路36から排除(リジェクト)する。磁気センサ38は、搬送駆動部35で駆動されて搬送路36に沿って搬送路36上で搬送される硬貨Cの材質から生じる磁気的特徴を、この硬貨Cの通過時に検出する。硬貨処理装置11は、1つの磁気センサ38で、硬貨Cの金種判別のための材質検出と、枚数検知とを行う。言い換えれば、磁気センサ38は、材質センサであって、計数センサを兼ねている。さらに言い換えれば、硬貨処理装置11は、硬貨Cの枚数をカウントする専用の計数センサは備えていない。なお、硬貨Cは、基本的には、搬送路36を回転円板14から出金孔39に向けて搬送される。この搬送方向を基本搬送方向と定義する。以下の説明では、硬貨Cの基本搬送方向における回転円板14側を上流側、出金孔39側を下流側と定義する。
搬送駆動部35は、取込プーリ52と、駆動プーリ53と、フィードベルト54と、を有している。取込プーリ52は、回転円板14の外周部の鉛直上方に配置されている。取込プーリ52は、中心軸が水平に配置されている。駆動プーリ53は、搬送路36の延びる方向において、搬送路36の回転円板14とは反対側に配置されている。駆動プーリ53は、取込プーリ52と同径である。駆動プーリ53は、その中心軸が、取込プーリ52の中心軸と平行に配置されている。駆動プーリ53は、取込プーリ52と、軸方向の位置及び高さ位置を合わせている。
フィードベルト54は、無端状である。フィードベルト54は、取込プーリ52及び駆動プーリ53に掛けられている。取込プーリ52及び駆動プーリ53は、フィードベルト54にテンションをかけている。フィードベルト54は、搬送路36に沿って水平方向に延びている。搬送駆動部35は、その駆動プーリ53が、搬送モータ(図示せず)で駆動されて回転する。この駆動プーリ53の回転により、フィードベルト54及び取込プーリ52が回転する。
搬送路36は、フィードベルト54の下側に設けられている。搬送路36はフィードベルト54に沿って延びている。搬送路36は、入口側通路部61と、一対の壁部63及び壁部64とを有している。入口側通路部61は、その上面62が水平に広がっている。入口側通路部61は、取込プーリ52の鉛直下方に配置されている。一対の壁部63及び壁部64は、フィードベルト54を挟んで両側に配置されている。一対の壁部63及び壁部64は、入口側通路部61の上面62から鉛直上方に立ち上がっている。入口側通路部61は、回転円板14から繰り出された硬貨Cの下面を、その上面62で下側から支持する。
搬送駆動部35は、そのフィードベルト54が、入口側通路部61の上面62上の硬貨Cに上側において接触する。フィードベルト54は、この状態で、回転することにより、上面62上の硬貨Cを入口側通路部61から一対の壁部63,64の間に向けて搬送する。
一方の壁部63は、最も回転円板14側に入口ローラ71を有している。入口ローラ71は、鉛直軸回りに回転可能に設けられている。壁部63は、位置固定の固定壁73を備えている。固定壁73は、壁部64側に壁面72を有している。壁面72は、回転円板14から離れるようにフィードベルト54に沿って延びている。固定壁73は、上面62の広がる方向において入口側通路部61よりも回転円板14とは反対側まで延びている。固定壁73は、その壁面72が入口側通路部61の上面62から鉛直上方に立ち上がっている。
他方の壁部64は、最も回転円板14側にガイド壁81を有している。ガイド壁81は、回転円板14の外周面に沿って湾曲する円弧状をなしている。壁部64は、移動可能な可動壁83を備えている。可動壁83は、壁部63側に壁面82を有している。壁面82は、ガイド壁81の取込プーリ52側の端部近傍からフィードベルト54に沿って延びている。可動壁83は、上面62の広がる方向において入口側通路部61よりも回転円板14とは反対側まで延びている。可動壁83は、その壁面82が入口側通路部61の上面62から鉛直上方に立ち上がっている。
可動壁83の壁面82と、固定壁73の壁面72とは、平行である。可動壁83の壁面82と、固定壁73の壁面72とは、高さ位置を合わせて相互に対向している。可動壁83は、固定壁73に対し近接及び離間するように水平移動する。その際に、可動壁83は、その壁面82を固定壁73の壁面72と平行させた状態を維持する。また、その際に、可動壁83は、固定壁73との延在方向の位置関係も維持する。
ガイド壁81は、一端が可動壁83に連結ピン85で連結されている。連結ピン85は、鉛直に沿っている。ガイド壁81は、連結ピン85を中心に回転可能となっている。また、ガイド壁81には、他端にその長さ方向に延びる長穴86が形成されている。この長穴86内には、鉛直に沿う位置固定のピン87が配置されている。ガイド壁81は、可動壁83が移動する際に、長穴86をピン87に対し移動させながら、連結ピン85を中心に可動壁83に対し回転する。これにより、ガイド壁81は、可動壁83の水平移動に追従する。
一対の壁部63,64の回転円板14側は入口91となっている。この入口91は、入口ローラ71と、ガイド壁81の連結ピン85側の端部とで形成されている。この入口91の幅は、可動壁83の壁面82と固定壁73の壁面72との間隔と等しく設定されている。湾曲形状のガイド壁81は、回転円板14から繰り出された硬貨Cを一対の壁部63,64間に向かうように案内する。ガイド壁81の入口91側の端は、連結ピン85を介して可動壁83と連結されている。よって、ガイド壁81の入口91側の端は、可動壁83と連動して移動する。
搬送路36は、固定壁73の鉛直方向下側に、位置固定の支持部101を有している。支持部101は、壁面72よりも可動壁83側に突出している。支持部101は、その上面102が入口側通路部61の上面62と同一平面に配置されている。上面102は、上面62の広がる方向において上面62から回転円板14とは反対側に延びている。
搬送路36は、可動壁83の鉛直方向下側に、支持部103を有している。支持部103は、壁面82よりも固定壁73側に突出している。支持部103は、その上面104が入口側通路部61の上面62と同一平面に配置されている。上面104は、上面62の広がる方向において上面62から回転円板14とは反対側に延びている。支持部103は、可動壁83に固定されている。よって、支持部103は、可動壁83と一体に移動する。
搬送路36は、一対の支持部101,103よりも入口側通路部61とは反対側に、出口側通路部112を有している。出口側通路部112は、その上面111が上面62,102,104と同一平面に配置されている。出口側通路部112は、硬貨Cの下面を、その上面111で下側から支持する。壁面72を含む固定壁73と、壁面82を含む可動壁83とは、出口側通路部112まで延びている。一対の壁部63,64は、入口側通路部61と出口側通路部112との間で硬貨Cの外周面を案内する。
入口側通路部61と一対の支持部101,103と出口側通路部112とで囲まれた部分が排除孔37となっている。よって、一対の支持部101,103は、相互間に排除孔37を形成している。入口側通路部61は排除孔37よりも上流側に設けられており、出口側通路部112は排除孔37よりも下流側に設けられている。平面視において、排除孔37は硬貨Cの搬送方向に沿って延びる長方形形状をなしている。排除孔37は、搬送路36を厚み方向に貫通して設けられている。排除孔37は、リジェクトシュート(図示せず)を介して図1に示す放出口25に繋がっている。よって、排除孔37に落下した硬貨Cは放出口25から放出される。放出口25から放出された硬貨Cは排除ボックス26に収容される。
一対の支持部101,103は、中間通路部121を構成している。中間通路部121は、その上面102,104が入口側通路部61と出口側通路部112との間で硬貨Cの下面の外周側を支持する。入口側通路部61の上面62と、中間通路部121の上面102,104と、出口側通路部112の上面111とが、搬送路36の上面である搬送面125を構成している。搬送面125は、水平に広がる平坦面となっている。
磁気センサ38は、搬送面125の広がる方向において、出口側通路部112の位置に設けられている。出口側通路部112には、硬貨Cに関する検出を行うセンサとしては、この1つの磁気センサ38のみが設けられている。言い換えれば、搬送路36においては、硬貨Cの基本搬送方向における排除孔37の下流側には、センサ類として磁気センサ38が1つのみ設けられている。磁気センサ38は、出口側通路部112の上面111上を移動する硬貨Cの磁気的特徴を検出して、検出結果である磁気データを制御部15(図3参照)に出力する。
搬送路36には、出口側通路部112の中間通路部121とは反対側に、出金孔39が設けられている。出金孔39は、出口側通路部112の磁気センサ38で検出された後の硬貨Cを搬送路36から落下させる。出金孔39から落下した硬貨Cは、内部シュート(図示せず)を介して図1に示す出金シュート19のシュート本体21内に案内される。よって、出金孔39から落下した硬貨Cは、シュート本体21から硬貨処理装置11の外部に放出される。
図2に示すように、搬送駆動部35のフィードベルト54は、回転円板14から入口側通路部61上に1枚ずつ繰り出された硬貨Cに上側において接触する。そして、フィードベルト54は、このように接触する硬貨Cを一対の壁部63,64の入口91側から排除孔37に向け搬送する。すると、フィードベルト54で搬送される硬貨Cは、排除孔37で落下せず排除孔37上を通過すれば、さらに出口側通路部112上を移動して、最終的に出金孔39に落下する。
搬送路36には、回転円板14から硬貨Cが、1枚ずつ、入口側通路部61の上面62上に繰り出されることになる。このとき、硬貨Cは、一対の壁部63,64の固定壁73の壁面72と可動壁83の壁面82との間に向けて繰り出される。搬送駆動部35は、そのフィードベルト54が、入口側通路部61の上面62上の硬貨Cに上側から接触する。そして、フィードベルト54は、接触する硬貨Cを搬送路36に沿って移動させる。その際に、硬貨Cは、その外周面が一対の壁部63,64で案内される。また、その際に、硬貨Cは、その下面が、入口側通路部61の上面62上から中間通路部121の上面102,104上、さらには出口側通路部112の上面111上を移動する。このとき、中間通路部121は硬貨Cの下面の外周側を上面102,104で支持する。
このようにして、搬送駆動部35及び搬送路36は、硬貨Cを、入口側通路部61から中間通路部121及び出口側通路部112を介して出金孔39に向けて搬送することになる。言い換えれば、硬貨Cは、入口側通路部61、中間通路部121及び出口側通路部112で支持されて、搬送駆動部35の駆動により移動する。その際に、一対の壁部63,64は、硬貨Cの外周面を案内する。また、その際に、中間通路部121は、硬貨Cの下面の外周側を支持する。搬送駆動部35と搬送路36とが、硬貨Cを上下から挟持して搬送する硬貨搬送部128を構成している。搬送駆動部35は、硬貨搬送部128の駆動部分かつ上側部分を構成している。搬送路36は、硬貨搬送部128の下側部分を構成している。
可動壁83及び支持部103は、搬送路36の幅方向に移動可能となっている。可動壁83及び支持部103は、幅変更機構(図示せず)で移動位置が調整される。よって、搬送路36は、この幅変更機構によって幅が変更可能に構成されている。図1に示すコース幅調整ノブ31には、その回転位置を検知する回転位置センサ(図示せず)が設けられている。幅変更機構は、回転位置センサの検知結果に応じて、一対の壁部63,64間の距離及び一対の支持部101,103間の距離を変更する。言い換えれば、幅変更機構は、搬送路36の幅を変更する。さらに言い換えれば、幅変更機構は、排除孔37の幅を、搬送路36の幅の変更に伴って変更する。幅変更機構は、搬送路36の幅及び排除孔37の幅を、任意の幅に設定できるようになっている。
固定壁73及び支持部101が固定側コースガイド壁131を構成している。可動壁83及び支持部103が可動側コースガイド壁132を構成している。よって、幅変更機構は、可動側コースガイド壁132の移動位置を調整する。これら固定側コースガイド壁131及び可動側コースガイド壁132が、指定された特定金種よりも小径の硬貨Cを排除孔37から排除する。
また、指定された特定金種よりも大径の硬貨Cについては、図2に二点鎖線で示すように、入口91を構成する入口ローラ71とガイド壁81とがこれに接して、搬送路36の入口側通路部61よりも回転円板14とは反対側への移動を規制する。入口側通路部61には、壁部63の入口ローラ71の近傍に、一対の壁部63,64の入口91で移動が規制されて滞留する硬貨Cを検知して、その信号を制御部15(図3参照)に出力する硬貨検知センサ126が設けられている。硬貨検知センサ126は、入口91を通過する硬貨Cも検知する。
制御部15は、コース幅調整ノブ31の回転位置に応じて幅変更機構(図示せず)を制御して、搬送路36の幅及び排除孔37の幅を変更する。その際に、排除孔37は、搬送路36上で搬送される特定金種の硬貨を搬送路36から落下させることなく、特定金種よりも小径の異金種硬貨を搬送路36から落下させることができる幅に設定される。言い換えれば、排除孔37は、搬送路36上で搬送される異金種硬貨を落下させて搬送路36から搬送路36外にリジェクトする。
例えば、コース幅調整ノブ31の回転位置が500円硬貨の位置とされる。すると、制御部15は、幅変更機構によって、固定側コースガイド壁131と可動側コースガイド壁132との距離を所定の500円硬貨計数距離とする。すなわち、固定壁73の壁面72と可動壁83の壁面82との距離と、一対の支持部101,103の対向する先端面間の距離とを、適正な円形状の500円硬貨を排除孔37に落下させることなく、適正な円形状の10円硬貨を排除孔37に落下させる距離とする。このとき、壁面72,82間の距離は、適正な円形状の500円硬貨の直径よりも若干大きくなる。すると、入口91の幅も、適正な円形状の500円硬貨の直径よりも若干大きくなる。
これにより、適正な円形状の500円硬貨を一対の支持部101,103で支持する。その一方で、これより小径で適正な円形状の10円硬貨、100円硬貨、5円硬貨、50円硬貨、1円硬貨等を排除孔37に落下させる。なお、この状態で、500円硬貨よりも大径の硬貨は、入口91の入口ローラ71とガイド壁81とに接して停止する。このように入口91に停止している硬貨を硬貨検知センサ126が検知する。すると、制御部15が操作表示部30でエラー報知を行うことになる。これにより、操作者がこの硬貨を取り除くこととなる。
また、コース幅調整ノブ31の回転位置が10円硬貨の位置とされる。すると、制御部15は、幅変更機構によって、固定側コースガイド壁131と可動側コースガイド壁132との距離を所定の10円硬貨計数距離とする。すなわち、固定壁73の壁面72と可動壁83の壁面82との距離と、一対の支持部101,103の対向する先端面間の距離とを、適正な円形状の10円硬貨を排除孔37に落下させることなく、適正な円形状の100円硬貨を排除孔37に落下させる距離とする。このとき、壁面72,82間の距離は、適正な円形状の10円硬貨の直径よりも若干大きくなる。すると、入口91の幅も、適正な円形状の10円硬貨の直径よりも若干大きくなる。
これにより、適正な円形状の10円硬貨を一対の支持部101,103で支持する。その一方で、これより小径で適正な円形状の100円硬貨、5円硬貨、50円硬貨、1円硬貨等を排除孔37に落下させる。なお、この状態で、10円硬貨よりも大径の硬貨、例えば500円硬貨は、入口91の入口ローラ71とガイド壁81とに接して停止する。このように入口91に停止している硬貨を硬貨検知センサ126が検知する。すると、制御部15が操作表示部30でエラー報知を行うことになる。これにより、操作者がこの硬貨を取り除くこととなる。
また、コース幅調整ノブ31の回転位置が100円硬貨の位置とされる。すると、制御部15は、幅変更機構によって、固定側コースガイド壁131と可動側コースガイド壁132との距離を所定の100円硬貨計数距離とする。すなわち、固定壁73の壁面72と可動壁83の壁面82との距離と、一対の支持部101,103の対向する先端面間の距離とを、適正な円形状の100円硬貨を排除孔37に落下させることなく、適正な円形状の5円硬貨を排除孔37に落下させる距離とする。このとき、壁面72,82間の距離は、適正な円形状の100円硬貨の直径よりも若干大きくなる。すると、入口91の幅も、適正な円形状の100円硬貨の直径よりも若干大きくなる。
これにより、適正な円形状の100円硬貨を一対の支持部101,103で支持する。その一方で、これより小径で適正な円形状の5円硬貨、50円硬貨、1円硬貨等を排除孔37に落下させる。なお、この状態で、100円硬貨よりも大径の硬貨、例えば10円硬貨は、入口91の入口ローラ71とガイド壁81とに接して停止する。このように入口91に停止している硬貨を硬貨検知センサ126が検知する。すると、制御部15が操作表示部30でエラー報知を行うことになる。これにより、操作者がこの硬貨を取り除くこととなる。
また、コース幅調整ノブ31の回転位置が5円硬貨の位置とされる。すると、制御部15は、幅変更機構によって、固定側コースガイド壁131と可動側コースガイド壁132との距離を所定の5円硬貨計数距離とする。すなわち、固定壁73の壁面72と可動壁83の壁面82との距離と、一対の支持部101,103の対向する先端面間の距離とを、適正な円形状の5円硬貨を排除孔37に落下させることなく、適正な円形状の50円硬貨を排除孔37に落下させる距離とする。このとき、壁面72,82間の距離は、適正な円形状の5円硬貨の直径よりも若干大きくなる。すると、入口91の幅も、適正な円形状の5円硬貨の直径よりも若干大きくなる。
これにより、適正な円形状の5円硬貨を一対の支持部101,103で支持する。その一方で、これより小径で適正な円形状の50円硬貨、1円硬貨等を排除孔37に落下させる。なお、この状態で、5円硬貨よりも大径の硬貨、例えば100円硬貨は、入口91の入口ローラ71とガイド壁81とに接して停止する。このように入口91に停止している硬貨を硬貨検知センサ126が検知する。すると、制御部15が操作表示部30でエラー報知を行うことになる。これにより、操作者がこの硬貨を取り除くこととなる。
また、コース幅調整ノブ31の回転位置が50円硬貨の位置とされる。すると、制御部15は、幅変更機構によって、固定側コースガイド壁131と可動側コースガイド壁132との距離を所定の50円硬貨計数距離とする。すなわち、固定壁73の壁面72と可動壁83の壁面82との距離と、一対の支持部101,103の対向する先端面間の距離とを、適正な円形状の50円硬貨を排除孔37に落下させることなく、適正な円形状の1円硬貨を排除孔37に落下させる距離とする。このとき、壁面72,82間の距離は、適正な円形状の50円硬貨の直径よりも若干大きくなる。すると、入口91の幅も、適正な円形状の50円硬貨の直径よりも若干大きくなる。
これにより、適正な円形状の50円硬貨を一対の支持部101,103で支持する。その一方で、これより小径で適正な円形状の1円硬貨等を排除孔37に落下させる。なお、この状態で、50円硬貨よりも大径の硬貨、例えば5円硬貨は、入口91の入口ローラ71とガイド壁81とに接して停止する。このように入口91に停止している硬貨を硬貨検知センサ126が検知する。すると、制御部15が操作表示部30でエラー報知を行うことになる。これにより、操作者がこの硬貨を取り除くこととなる。
また、コース幅調整ノブ31の回転位置が1円硬貨の位置とされる。すると、制御部15は、変更機構によって、固定側コースガイド壁131と可動側コースガイド壁132との距離を所定の1円硬貨計数距離とする。すなわち、固定壁73の壁面72と可動壁83の壁面82との距離と、一対の支持部101,103の対向する先端面間の距離とを、適正な円形状の1円硬貨を排除孔37に落下させることなく、1円硬貨よりも小径の硬貨を排除孔37に落下させる距離とする。このとき、壁面72,82間の距離は、適正な円形状の1円硬貨の直径よりも若干大きくなる。すると、入口91の幅も、適正な円形状の1円硬貨の直径よりも若干大きくなる。
これにより、適正な円形状の1円硬貨を一対の支持部101,103で支持する。その一方で、これより小径の硬貨等を排除孔37に落下させる。なお、この状態で、1円硬貨よりも大径の硬貨、例えば50円硬貨は、入口91の入口ローラ71とガイド壁81とに接して停止する。このように入口91に停止している硬貨を硬貨検知センサ126が検知する。すると、制御部15が操作表示部30でエラー報知を行うことになる。これにより、操作者がこの硬貨を取り除くこととなる。
このように、硬貨処理装置11では、特定金種の硬貨に混入した異金種硬貨を排除孔37からリジェクトしたり、搬送路36上で停止させたりすることができる。なお、異金種硬貨を排除孔37に落下させる構成として、排除孔37の幅を幅変更機構により任意の幅に設定できるようにする以外の構成を採用することも可能である。例えば、搬送路36に沿って上流側から下流側に向けて段階的に幅が狭くなる孔が設けられていても良い。この場合、特定金種の硬貨用の孔から落下した硬貨を内部シュートでシュート本体21に搬送する。また、特定金種以外の硬貨用の孔から落下した硬貨を内部シュートで放出口25に搬送する。このように内部シュートを切り替える機構を設けることになる。
搬送路36において、基本搬送方向における排除孔37の下流側に磁気センサ38が設けられている。これにより、硬貨処理装置11では、基本的に特定金種の硬貨のみを磁気センサ38で計数することができる。
磁気センサ38は、硬貨Cの計数も行う。図4に示すように、磁気センサ38は、硬貨Cを透過した磁界を検出する透過型の磁気センサである。磁気センサ38は、所定の長さに巻かれた発信コイル(図示せず)を有する発信部141と、所定の長さに巻かれた受信コイル(図示せず)を有する受信部142とを有して構成されている。磁気センサ38としては、透過型に限定されることなく、硬貨Cで反射した磁界を検出する反射型の磁気センサを用いることもできる。
発信コイル及びこれを有する発信部141は、図3に示すように、搬送路36の搬送面125の上方に設けられている。発信コイル及び発信部141は、搬送路36の幅方向に沿って設けられている。発信コイル及び発信部141は、搬送路36の搬送面125に平行に配置されている。
受信コイル及びこれを有する受信部142は、図4に示すように、搬送路36の搬送面125の下方に設けられている。受信コイル及び受信部142は、搬送路36の幅方向に沿って設けられている。受信コイル及び受信部142は、搬送路36の搬送面125に平行に配置されている。受信コイル及び受信部142は、発信コイル及び発信部141と平行に配置されている。受信コイル及び受信部142と、発信コイル及び発信部141とは、搬送路36が延びる方向の位置を合わせている。受信コイル及び受信部142と、発信コイル及び発信部141とは、搬送路36の幅方向の位置を合わせている。
以上により、発信部141及び受信部142を有する磁気センサ38は、搬送路36の幅方向に沿って設けられている。磁気センサ38は、搬送路36の搬送面125を搬送路36の幅方向に横断している。
磁気センサ38の発信部141は、交流電流を生成する交流電源回路145に接続されている。発信部141は、交流電源回路145から供給された交流電流の周期及び振幅に応じた周期及び振幅の交流磁界Hを発生させる。ここで、この磁気センサ38は、本来、硬貨Cの材質を検出するための材質センサである。従って、発信部141で発生した交流磁界Hは、材質を検出するために適した発振周波数(例えば、20kHz)で作られたものであり、硬貨枚数をカウントする計数センサに適した発振周波数(例えば、80kHz)よりも低く設定されている。
発信部141で発生した交流磁界Hは受信部142で受信される。ここで、発信部141と受信部142との間に硬貨Cなどが存在すると、発信部141で発生した交流磁界Hを受信部142で受信した際の磁気減衰量が、何もない場合に対して変動する。制御部15は、磁気センサ38の検出結果である磁気減衰量に基づいて、磁気センサ38を通過する硬貨Cの材質を判断し、当該硬貨Cが特定金種であるか否かを判定する異金種判定処理を行う。
ここで、材質センサは一般的に透過型又は反射型の磁気センサが用いられる。他方、計数センサは、光学センサで構成することもできる他、材質センサのような透過型又は反射型の磁気センサで構成することもできる。従って、部品コストの削減や部品実装の効率化を考慮した場合、計数センサと材質センサとを磁気センサで共通化することが考えられる。しかしながら、計数センサ及び材質センサの発振周波数は、それぞれの用途に適した値に設定されることになるため、容易には共通化できない。具体的には、従来装置では透過磁気センサを計数センサとして利用する場合、材質センサの発振周波数(例えば、20kHz)よりも高い周波数(例えば、80kHz)を設定している。従来装置の計数センサは、搬送される硬貨の材質(アルミ・白銅・銅・ステンレス・鉄)によらず、計数センサの受信回路からの出力(磁気レベル)を共通化された一つの閾値によって区別し、通過硬貨の有無を判断してカウントしている。
計数センサの発信周波数を高周波(80kHz)に設定している理由としては、それぞれの媒体材質による磁気変化量のばらつきが少ないことに起因している。計数センサに適した周波数でセンサを発信すれば、媒体材質の種類に影響を受けることなく、計数センサの受信出力(磁気減衰量)が規定値(一つの固定値)よりも上か下かを診ることにより、硬貨をカウント可能となる。逆に材質を検出するためには、材質の違いにより、磁気変化量が大きい方が精度良く判別できるため、計数センサよりも低い周波数(20kHz)が好ましい。
しかしながら、計数センサと材質センサとの共通化を図る場合、計数センサの発信周波数を材質センサの発信周波数に合わせる必要があり、この逆は、材質センサの識別能力が確保できなくなる虞があり難しい。従って、計数センサの発信周波数を材質センサの低周波(20kHz)に設定することとなる。このように設定すると、硬貨の材質によって磁気データの減衰量(以下、磁気減衰量ともいう)が大きく異なることになる。このため、閾値を一律に設定すると、硬貨を正確にカウントすることが困難になってしまう。閾値を一律に設定する従来のカウント方式では、例えば、硬貨が複数枚、隙間なく連なって連鎖状に搬送される場合にカウントすることが困難になってしまう。
具体的に、発振周波数を、材質を検出するために適した発振周波数(例えば、20kHz)とした場合に、受信部142で受信される磁気減衰量は、図5に示す特性となる。なお、図5は、縦軸が磁気減衰量であり、横軸が時間軸であって、磁気減衰量は図5の下側ほど大きくなる。図5の破線で囲んだ範囲a1は、500円硬貨2枚を連鎖状に搬送したときの磁気センサ38の検出結果を示しており、図5の破線で囲んだ範囲a2は、1円硬貨2枚を連鎖状に搬送したときの磁気センサ38の検出結果を示している。
まず、図5において、連鎖状に搬送される2枚の500円硬貨をそれぞれカウントできるように磁気減衰量の閾値x1を固定で設定する。つまり、この閾値x1よりも磁気減衰量が大きくなり、その後初めて、この閾値x1よりも磁気減衰量が小さくなると、500円硬貨を1枚カウントするようにして、連鎖状に搬送される2枚の500円硬貨をそれぞれカウントできるように閾値x1を設定する。しかしながら、同じ閾値x1で連鎖状に搬送される1円硬貨をカウントしようとしても、1円硬貨の磁気減衰量はこの閾値x1よりも大きくなることがない。すなわち、1円硬貨をカウントできなくなってしまう。
逆に、連鎖状に搬送される2枚の1円硬貨をそれぞれカウントできるように磁気減衰量の閾値x2を固定で設定する。すると、連鎖状に搬送される2枚の1円硬貨をそれぞれカウントできることになる。しかしながら、同じ閾値x2で連鎖状に搬送される2枚の500円硬貨をカウントしようとしても、この閾値x2よりも磁気減衰量が大きくなった後、初めてこの閾値x2よりも磁気減衰量が小さくなる間に2枚の500円硬貨が通過してしまう。すなわち、連鎖状に搬送される複数の500円硬貨を1枚とカウントしてしまう。
このため、実施の形態では、制御部15が、磁気センサ38の受信部142で検出される磁気減衰量の増加または減少の時系列傾向に基づいて搬送路36で搬送される硬貨Cの枚数をカウントするカウント処理を行う。すなわち、このカウント処理では、図6にb1で示すように磁気センサ38の受信部142が受信する磁気減衰量の増加状態が所定の第1判定サンプル回数分連続し、図6にb2で示すように、その後初めて、磁気センサ38の受信部142が受信する磁気減衰量の減少状態が所定の第2判定サンプル回数分連続した場合に、硬貨を1枚分カウントする。すると、連鎖状に搬送される2枚の硬貨を、磁気減衰量の増加状態b1および減少状態b2により1枚、その後の増加状態b3および減少状態b4により1枚と、それぞれカウントすることができる。
ここで、上記した第1判定サンプル回数と第2判定サンプル回数とは、操作表示部30への入力で、それぞれ変更設定可能となっている。任意の回数に設定された第1判定サンプル回数と第2判定サンプル回数とが記憶部16に記憶される。制御部15は、記憶部16に記憶されている第1判定サンプル回数と第2判定サンプル回数とを用いてカウント処理を行う。
実施の形態では、制御部15が、カウント処理中に、磁気センサ38の磁気減衰量に基づいて搬送路36で搬送される硬貨Cが予め設定された特定金種の硬貨であるか否かを判定する異金種判定処理をも行う。
<カウント処理の動作説明>
硬貨処理装置11では、カウント処理を行う場合、コース幅調整ノブ31の回転位置が計数対象の特定金種の硬貨の位置とされて、操作表示部30に、図7に示すように、ステップS101でスタート操作が入力される(ステップS101:YES)。
すると、制御部15は、ステップS102において、回転位置センサ(図示せず)の検出結果からコース幅調整ノブ31の回転位置を割り出し、コース幅調整ノブ31の回転位置から、選択された特定金種を決定し、決定した特定金種を記憶部16の計数カウンタの数値(初期値0)と共に操作表示部30に表示させる。
そして、制御部15は、ステップS103において、幅変更機構(図示せず)によって、可動側コースガイド壁132の位置を調整し、固定側コースガイド壁131と可動側コースガイド壁132との距離を、この特定金種の硬貨に対応する所定の計数距離とする。
それと共に、制御部15は、磁気センサ38の発信部141から交流磁界Hを発生させ、交流磁界Hから受信部142で振幅と位相を検出し、基準値になるように発信部141の出力量と出力タイミングとを調整するセンサ調整を行う(ステップS104)。このときの発信周波数は、材質センサに適した周波数(例えば、20kHz)であり、計数センサに適した周波数(例えば、80kHz)よりも低くなっている。これは、高速で搬送されて、硬貨Cが磁気センサ38を通過する限られた時間の中で、硬貨Cの材質検出に基づく金種判別処理とカウント処理(計数処理)とを同時に行わせるためである。すなわち、煩雑な制御を省き、発信周波数を切り替えるリスクを排除している。なお、カウント処理の開始時に計数カウンタの値は初期値の0となっている。
その後、ステップS105において、回転円板14及び搬送駆動部35を、基本搬送方向で硬貨Cを搬送する向きに駆動する。
ステップS106において、受信部142で検出される磁気減衰量が所定値以上となったか否かを検出する。硬貨Cが磁気センサ38へ進入すると、受信部142で検出される磁気減衰量が所定値以上となる(ステップS106:YES)。硬貨Cが磁気センサ38へ進入しなければ(ステップS106:NO)、ステップS107において、この状態で所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過していれば(ステップS107:YES)、カウント処理を終了する。
受信部142で検出される磁気減衰量が所定値以上となる(ステップS106:YES)と、制御部15は、受信部142が検出する磁気減衰量を監視し、この磁気減衰量が増加状態にあり、増加状態が予め記憶部16に記憶されている第1判定サンプル回数(例えば、200μsecのサンプリング間隔で10回)の分、連続していることが確認される(ステップS108:YES)と(図6のb1参照)、1枚の硬貨Cが磁気センサ38に進入したものと判断して、この1枚の硬貨Cに対するカウントアップ判定処理を開始する(ステップS109)。カウントアップ判定処理を開始する条件は、磁気減衰量が増加状態となる下記の式が、第1判定サンプル回数連続して成立する場合である。
磁気減衰量[n-1]<磁気減衰量[n]
ここで、磁気減衰量[n]は現在のデータあり、磁気減衰量[n-1]は現在より1つ前のサンプリング時のデータである。
なお、上記式は、磁気減衰量[n-1]≦磁気減衰量[n]ではなく、磁気減衰量[n-1]<磁気減衰量[n]となっている。つまり、磁気センサ38で検出される磁気減衰量の増加状態には、磁気減衰量[n-1]=磁気減衰量[n]、すなわち磁気減衰量の維持は含まない。磁気減衰量の維持があると、第1判定サンプル回数の計数を最初からやり直す。言い換えれば、磁気減衰量が前回サンプリング時を上回る状態が、第1判定サンプル回数連続した場合に限り、カウントアップ判定処理を開始する。これは、搬送ジャム等により硬貨Cが磁気センサ38の位置で停滞した場合において、誤ってカウントすることを防止するためである。
次に、硬貨Cが磁気センサ38を通過する過程では、受信部142が検出する磁気減衰量は、増加後、減少状態に転じることになる。すると、制御部15は、磁気減衰量が減少状態にあり、予め記憶部16に記憶されている第2判定サンプル回数(例えば、200μsecのサンプリング間隔で10回)の分、連続いていることが確認される(ステップS110:YES)と(図6のb2参照)、1枚の硬貨Cが磁気センサ38を抜けたものと判断して、この1枚の硬貨Cに対するカウントアップ判定処理を終了する(ステップS111)。カウントアップ判定処理を終了する条件は、磁気減衰量が減少状態となる下記の式が、第2判定サンプル回数連続して成立する場合である。
磁気減衰量[n-1]>磁気減衰量[n]
ここでも、磁気減衰量[n]は現在のデータあり、磁気減衰量[n-1]は現在より1つ前のサンプリング時のデータである。
なお、上記式は、磁気減衰量[n-1]≧磁気減衰量[n]ではなく、磁気減衰量[n-1]>磁気減衰量[n]となっている。つまり、磁気センサ38で検出される磁気減衰量の減少状態にも、磁気減衰量[n-1]=磁気減衰量[n]、すなわち磁気減衰量の維持は含まない。磁気減衰量の維持があると、第2判定サンプル回数の計数を最初からやり直す。言い換えれば、磁気減衰量が前回サンプリング時を下回る状態が、第2判定サンプル回数連続した場合に限り、カウントアップ判定処理を終了する。これも、搬送ジャム等により硬貨Cが磁気センサ38の位置で停滞した場合において、誤ってカウントすることを防止するためである。
カウントアップ判定処理を終了すると、制御部15は、カウントアップ判定処理の開始から終了までのカウントアップ判定処理中に検出した磁気減衰量の、例えばピーク値に基づいて、カウントアップ判定処理を行った1枚の硬貨Cが、ステップS102で決定された特定金種の硬貨であるか否かを判定する異金種判定処理(ステップS112)を行う。
ここで、図8は、磁気センサ38の発振周波数を、材質を検出するために適した発振周波数(例えば、20kHz)とした時の磁気センサ38の受信部142で受信される磁気減衰量を示している。なお、図8も、縦軸が磁気減衰量であり、横軸が時間軸であって、磁気減衰量は図8の下側ほど大きくなる。
図8の破線で囲んだ範囲c1は、1円硬貨2枚を連鎖状に搬送した場合の検出結果を、図8の破線で囲んだ範囲c2は、5円硬貨2枚を連鎖状に搬送した場合の検出結果を、図8の破線で囲んだ範囲c3は、10円硬貨2枚を連鎖状に搬送した場合の検出結果を、図8の破線で囲んだ範囲c4は、50円硬貨2枚を連鎖状に搬送した場合の検出結果を、図8の破線で囲んだ範囲c5は、100円硬貨2枚を連鎖状に搬送した場合の検出結果を、図8の破線で囲んだ範囲c6は、新500円硬貨2枚を連鎖状に搬送した場合の検出結果を、図8の破線で囲んだ範囲c7は、旧500円硬貨2枚を連鎖状に搬送した場合の検出結果を、それぞれ示している。
磁気センサ38の発振周波数を、材質を検出するために適した発振周波数(例えば、20kHz)とすることで、図8に示すように、範囲c1の1円硬貨と、範囲c2の5円硬貨と、範囲c3の10円硬貨及び範囲c4の50円硬貨と、範囲c5の100円硬貨と、範囲c6,c7の新旧500円硬貨とが、磁気減衰量のピーク値を大きく異ならせることになる。これを利用して、制御部15は、金種判定処理において、例えば、カウントアップ判定処理中に磁気センサ38の受信部142で検出される磁気減衰量のピーク値が、第1閾値未満であれば、1円硬貨であると判定し、第1閾値以上であって第1閾値よりも大きい第2閾値未満であれば、5円硬貨であると判定し、第2閾値以上であって第2閾値よりも大きい第3閾値未満であれば、10円硬貨または50円硬貨であると判定し、第3閾値以上であって第3閾値よりも大きい第4閾値未満であれば、100円硬貨であると判定し、第4閾値以上であれば、500円硬貨であると判定する。
制御部15は、金種判定処理において、磁気減衰量のピーク値から、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが、ステップS102で決定された特定金種の硬貨であるか否かを判定する(ステップS112)。
すなわち、特定金種の硬貨が1円硬貨である場合、磁気減衰量のピーク値が第1閾値未満であれば、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが特定金種の硬貨であると判定する(ステップS112:YES)一方、磁気減衰量のピーク値が第1閾値以上であれば、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが、特定金種の硬貨ではないと判定する(ステップS112:NO)。
特定金種の硬貨が5円硬貨である場合、磁気減衰量のピーク値が第1閾値以上、第2閾値未満であれば、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが特定金種の硬貨であると判定する(ステップS112:YES)一方、磁気減衰量のピーク値が第1閾値未満または第2閾値以上であれば、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが、特定金種の硬貨ではないと判定する(ステップS112:NO)。
特定金種の硬貨が10円硬貨である場合、磁気減衰量のピーク値が第2閾値以上、第3閾値未満であれば、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが特定金種の硬貨であると判定する(ステップS112:YES)一方、磁気減衰量のピーク値が第2閾値未満または第3閾値以上であれば、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが、特定金種の硬貨ではないと判定する(ステップS112:NO)。
特定金種の硬貨が50円硬貨である場合、磁気減衰量のピーク値が第2閾値以上、第3閾値未満であれば、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが特定金種の硬貨であると判定する(ステップS112:YES)一方、磁気減衰量のピーク値が第2閾値未満または第3閾値以上であれば、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが、特定金種の硬貨ではないと判定する(ステップS112:NO)。
特定金種の硬貨が100円硬貨である場合、磁気減衰量のピーク値が第3閾値以上、第4閾値未満であれば、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが特定金種の硬貨であると判定する(ステップS112:YES)一方、磁気減衰量のピーク値が第3閾値未満または第4閾値以上であれば、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが、特定金種の硬貨ではないと判定する(ステップS112:NO)。
特定金種の硬貨が500円硬貨である場合、磁気減衰量のピーク値が第4閾値以上であれば、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが特定金種の硬貨であると判定する(ステップS112:YES)一方、磁気減衰量のピーク値が第4閾値未満であれば、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが、特定金種の硬貨ではないと判定する(ステップS112:NO)。
ここで、10円硬貨と50円硬貨とは、磁気減衰量のピーク値では区別が困難であるが、直径差が大きいため、特定金種の硬貨が10円硬貨である場合に、50円硬貨が排除孔37上を通過する可能性は低く、特定金種の硬貨が50円硬貨である場合に、10円硬貨が入口91を通過する可能性も低い。このため、特定金種の硬貨が10円硬貨である場合、磁気減衰量のピーク値が第2閾値以上、第3閾値未満であれば、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが特定金種の硬貨であると判定する。同様に、特定金種の硬貨が50円硬貨である場合、磁気減衰量のピーク値が第2閾値以上、第3閾値未満であれば、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが特定金種の硬貨であると判定する。
異金種判定処理において、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが特定金種の硬貨であると判定すると(ステップS112:YES)、制御部15は、ステップS113において、硬貨1枚をカウントして記憶部16の計数カウンタの数値を1加算する。これにより、操作表示部30に表示されている計数カウンタの数値も1加算される。このようにカウントされた硬貨Cは、搬送駆動部35でそのまま基本搬送方向の下流側に搬送され、出金孔39から落下してシュート本体21から放出される。そして、制御部15は、ステップS106に戻って、次の硬貨Cに対して、受信部142で検出される磁気減衰量が所定値以上となったか否かを判定する。
異金種判定処理において、カウントアップ判定処理が行われた硬貨Cが特定金種の硬貨でないと判定すると(ステップS112:NO)、特定金種外の硬貨Cを、一旦、磁気センサ38を抜けるまで移動させて停止後、回転円板14及び搬送駆動部35を逆転させて硬貨Cを基本搬送方向とは逆方向に搬送し(ステップS114)、固定側コースガイド壁131と可動側コースガイド壁132との距離を500円硬貨を落下可能な最大値とするリジェクト処理を行う(ステップS115)。すると、この硬貨Cは排除孔37から落下し、放出口25から排除ボックス26に向けて放出される。その後、ステップS105に戻って、回転円板14及び搬送駆動部35を、基本搬送方向で硬貨Cを搬送する向きに駆動する。
以上により、磁気センサ38の検出結果に基づいて硬貨Cの枚数をカウントするカウント処理と、カウント処理の最中に行われる、磁気センサ38の検出結果に基づいて当該硬貨Cが特定金種の硬貨であるか否かを判定する異金種判定処理とで、磁気センサ38は、共通で一つの発振周波数(例えば、20kHz)にて発信する。
以上の通り、実施の形態では、
(1)少なくとも特定金種の硬貨Cを計数する機能を有する硬貨処理装置11であって、硬貨Cを搬送する搬送路36と、搬送路36上で搬送される硬貨Cの材質から生じる磁気的特徴を検出する磁気センサ38と、磁気センサ38の検出結果に基づいて当該硬貨Cが少なくとも前記特定金種の硬貨であるか否かを判定する異金種判定処理を行う制御部15と、を有し、制御部15は、更に、磁気センサ38の磁気減衰量の増加または減少の時系列傾向に基づいて搬送路36で搬送される硬貨Cの枚数をカウントするカウント処理を行う構成とした。
このように構成すると、硬貨処理装置11は、硬貨Cの材質から生じる磁気的特徴を検出する磁気センサ38の検出結果に基づいて、少なくとも搬送の対象としている特定金種とは磁気的特徴が異なる金種(異金種)の硬貨Cを判定するとともに、磁気センサ38の出力レベルの時系列傾向に基づいて硬貨Cの枚数をカウントできる。従って、硬貨Cの材質検出と枚数検知とを一つの磁気センサ38で共通化できるため、部品コストの削減と部品実装スペースの効率化とを図ることができる。
(2)前記カウント処理では、磁気センサ38の磁気減衰量の増加状態が所定の第1判定サンプル回数分連続した後、磁気センサ38の磁気減衰量の減少状態が所定の第2判定サンプル回数分連続した場合に、硬貨Cを1枚分カウントする構成とした。
このように構成すると、制御部15は、磁気センサ38の磁気減衰量の増加状態が所定の第1判定サンプル回数分連続した後、磁気センサ38の磁気減衰量の減少状態が所定の第2判定サンプル回数分連続した場合に、硬貨を1枚分カウントするため、本来は材質を検出するための磁気センサ38を利用して、搬送硬貨Cの枚数を適正にカウントすることができる。
(3)磁気センサ38の磁気減衰量の増加状態には、磁気センサ38の磁気減衰量の維持は含まない構成とした。
このように構成すると、搬送ジャム等により硬貨Cが磁気センサ38の位置で停滞した場合において、誤ってカウントしてしまうことを防止することができる。
(4)前記第1判定サンプル回数と前記第2判定サンプル回数とが、それぞれ変更設定可能である構成とした。
このように構成すると、硬貨Cの計数に伴い、予め、カウントアップ判定処理の開始条件となる第1判定サンプル回数(カウントアップ判定処理の開始判定用の規定値)と、カウントアップ判定処理の終了条件となる第2判定サンプル回数(カウントアップ判定処理の終了判定用の規定値)とをそれぞれ自由に設定することができる。従って、媒体(硬貨・コインを含む)の種類に応じた、枚数判断のためのカウントアップ判定処理の条件を最適な値にすることが可能となり、より適切に枚数を計数することができる。例えば、日本硬貨の金種のみで硬貨処理装置11を使用していた運用から、外国硬貨の金種を含めて計数処理を行わせる運用に変更された場合であっても、より最適な値を再設定することが容易にできる。
(5)磁気センサ38は、透過型または反射型の磁気センサであり、異金種判定処理とカウント処理とで、共通で一つの発振周波数にて発信する構成とした。
このように構成すると、磁気センサ38は、一つの発振周波数で使用されることになる。すなわち、硬貨Cが1枚ずつ高速に搬送される状況下において、1枚の硬貨Cが磁気センサ38を通過する限られた時間の中でタイミング良く2つの発振周波数を切り替えるような制御をする必要はない。従って、切り替えに伴う制御の煩雑化をなくし、切り替えに伴う不具合も生じないため、より確実に一つの磁気センサ38で、材質検出と枚数検知の両方を行わせることができる。また、磁気センサ38の制御基板の煩雑化と実装スペースの増大を抑制し、コストダウンに繋げることが可能となる。