JP7211138B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
従来の空気入りタイヤの中には、ベルト層のタイヤ径方向外側に配置する部材を工夫することにより、所望の性能を実現しているものがある。例えば、特許文献1に記載された自動車用ラジアルタイヤは、芯入りゴムストリップを、その幅より小さいピッチで巻き付け、隣接コイルを幅の一部で互いに重ねることにより、芯入りゴムストリップの巻付け時間の短縮を図っている。また、特許文献2に記載された空気入りラジアルタイヤは、センターカバー層をストリップ材のバット巻きで形成し、エッジカバー層をストリップ材のラップ巻きで形成することにより、ベルトカバー層に基づくロードノイズ低減や高速耐久性向上の効果を低下させることなく、タイヤのユニフォミティを向上させている。
また、特許文献3に記載された空気入りタイヤは、バンドストリップに撚り数の異なる第1バンドコードと第2バンドコードとを配設し、ベルト層のタイヤ径方向外側に、第1バンドコードと第2バンドコードとが積層するようにバンドストリップを螺旋状に巻き付けることにより、高速耐久性の向上を図っている。また、特許文献4に記載された空気入りタイヤは、トレッド部とベルト層との間にリボン状ストリップ材を周方向に巻き回すことによってベルト補強層を配置し、ベルト補強層をタイヤ赤道部で3層にすることにより、重量の増加を抑制しながら破壊エネルギーを確保している。
特開平2-296507号公報 特開2004-338502号公報 特許第6235859号公報 特開2010-64644号公報
ここで、近年では、車両の高性能化に伴い、空気入りタイヤにも高速性能が求められる傾向にある。高速性能を確保するには、例えば、ベルト層をタイヤ径方向外側に、複数のストリップ材を巻き付けることにより、ベルト層をタイヤ径方向外側から拘束するベルトカバーを設けるなどして、高速性能を実現するための強度を確保する必要がある。しかしながら、ベルト層をタイヤ径方向外側に複数のストリップ材を巻き付けてベルトカバーを形成することにより、高速性能を実現するための強度を確保する場合、製造時における生産性が低下するという問題がある。このため、生産性の低下を抑えつつ、高速性能を確保するのは、大変困難なものとなっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高速性能と生産性とを両立することのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド部に配設されるベルト層と、前記ベルト層のタイヤ径方向外側に配設されるベルトカバーと、を備え、前記ベルトカバーは、タイヤ幅方向における幅が前記ベルトカバーのタイヤ幅方向における幅と同じ大きさのフルカバー部と、前記フルカバー部のタイヤ幅方向における両側2箇所で前記フルカバー部に積層されるエッジカバー部と、を有し、2箇所の前記エッジカバー部のうち、一方の前記エッジカバー部は前記フルカバー部のタイヤ径方向内側に位置し、他方の前記エッジカバー部は前記フルカバー部のタイヤ径方向外側に位置し、前記ベルトカバーは、単一の帯状のストリップ材がタイヤ回転軸を中心とする螺旋状に巻かれることにより形成され、前記フルカバー部は、螺旋状に巻かれる前記ストリップ材におけるタイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士がタイヤ径方向に重なる部分を少なくとも一部に有することを特徴とする。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記フルカバー部は、タイヤ赤道面を跨ぐフルカバーセンター部のタイヤ幅方向外側に位置するフルカバーショルダー部で、前記ストリップ材におけるタイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士がタイヤ径方向に重なりながら螺旋状に巻かれることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ベルトカバーは、前記ストリップ材の幅Wsと巻き付けピッチPsとの関係が、前記エッジカバー部では、Ps/Ws=1であり、前記フルカバーセンター部では、0.5≦Ps/Ws≦1の範囲内であり、前記フルカバーショルダー部では、Ps/Ws=0.5であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記フルカバーショルダー部は、タイヤ幅方向における幅Wfsが、前記ベルトカバーのタイヤ幅方向における幅Wcに対して、0.05≦Wfs/Wc≦0.30の範囲内であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ストリップ材は、複数のコードを有しており、前記コードの数が8本以上16本以下の範囲内であることが好ましい。
また、上記空気入りタイヤにおいて、前記ベルトカバーは、タイヤ幅方向における幅が前記ベルト層のタイヤ幅方向における幅よりも広く、前記ベルト層をタイヤ径方向外側から覆うことが好ましい。
本発明に係る空気入りタイヤは、高速性能と生産性とを両立することができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態1に係る空気入りタイヤの要部を示す子午断面図である。 図2は、図1に示すベルトカバーの構成を示す模式図である。 図3は、図2のA部詳細図である。 図4は、図2のB部詳細図である。 図5は、実施形態2に係る空気入りタイヤのベルトカバーの構成を示す模式図である。 図6は、空気入りタイヤの性能評価試験の結果を示す図表である。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態1]
[空気入りタイヤ]
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸であるタイヤ回転軸(図示省略)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、タイヤ回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面であり、タイヤ赤道面CLは、空気入りタイヤ1のタイヤ幅方向における中心位置であるタイヤ幅方向中心線と、タイヤ幅方向における位置が一致する。タイヤ幅は、タイヤ幅方向において最も外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。
図1は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1の要部を示す子午断面図である。本実施形態1に係る空気入りタイヤ1は、タイヤ子午断面で見た場合、タイヤ径方向の最も外側となる部分にタイヤ周方向に延在して環状に形成されるトレッド部2が配設されており、トレッド部2は、ゴム組成物から成るトレッドゴム層4を有している。また、トレッド部2の表面、即ち、空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)の走行時に路面と接触する部分は、トレッド踏面3として形成され、トレッド踏面3は、空気入りタイヤ1の輪郭の一部を構成している。トレッド部2には、トレッド踏面3にタイヤ周方向に延びる周方向溝30と、タイヤ幅方向に延びるラグ溝(図示省略)とがそれぞれ複数形成されており、これらの周方向溝30とラグ溝とにより、トレッド部2の表面には複数の陸部20が画成されている。
なお、周方向溝30は、タイヤ周方向に直線状に延在してもよく、タイヤ周方向に延びつつタイヤ幅方向に振幅する波形状やジグザグ状に設けられてもよい。ラグ溝も、タイヤ幅方向に直線状に延在してもよく、タイヤ幅方向に延びつつタイヤ周方向に傾斜したり、タイヤ幅方向に延びつつタイヤ周方向に湾曲したり屈曲したりして形成されていてもよい。
タイヤ幅方向におけるトレッド部2の両外側端にはショルダー部5が位置しており、ショルダー部5のタイヤ径方向内側には、一対のサイドウォール部8が配設されている。即ち、一対のサイドウォール部8は、トレッド部2のタイヤ幅方向両側に配設されている。このように形成されるサイドウォール部8は、空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の最も外側に露出する部分を形成している。
一対のサイドウォール部8のそれぞれのタイヤ径方向内側には、ビード部10が配設されている。ビード部10は、タイヤ赤道面CLの両側2箇所に配設されており、即ち、ビード部10は、一対がタイヤ赤道面CLのタイヤ幅方向における両側に配設されている。また、各ビード部10には、それぞれビードコア11が設けられており、ビードコア11のタイヤ径方向外側にはビードフィラー12が設けられている。ビードコア11は、スチールワイヤであるビードワイヤを束ねて円環状に形成される環状部材になっている。ビードフィラー12は、ビードコア11のタイヤ径方向外側に配設されるゴム部材になっている。
また、トレッド部2にはベルト層14が配設されている。ベルト層14は、複数のベルト141、142が積層される多層構造によって構成されており、本実施形態1では、2層のベルト141、142が積層されている。ベルト層14を構成するベルト141、142は、スチール、またはポリエステルやレーヨンやナイロン等の有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、タイヤ周方向に対するベルトコードの傾斜角として定義されるベルト角度が、所定の範囲内(例えば、20°以上55°以下)になっている。また、2層のベルト141、142は、ベルト角度が互いに異なっている。このため、ベルト層14は、2層のベルト141、142が、ベルトコードの傾斜方向を相互に交差させて積層される、いわゆるクロスプライ構造として構成されている。つまり、2層のベルト141、142は、それぞれのベルト141、142が有するベルトコードが互いに交差する向きで配設される、いわゆる一対の交差ベルトとして設けられている。
ベルト層14のタイヤ径方向外側には、ベルトカバー40が配設されている。ベルトカバー40は、ベルト層14のタイヤ径方向外側に配設されてベルト層14をタイヤ周方向に覆っており、ベルト層14を補強する補強層として設けられている。本実施形態1では、ベルトカバー40は、タイヤ幅方向における幅がベルト層14のタイヤ幅方向における幅よりも広く、ベルト層14をタイヤ径方向外側から覆っている。これにより、ベルトカバー40は、ベルト層14が配設されるタイヤ幅方向における範囲の全域に亘って配設されており、ベルト層14のタイヤ幅方向端部を覆っている。トレッド部2が有するトレッドゴム層4は、トレッド部2におけるベルトカバー40のタイヤ径方向外側に配設されている。
また、ベルトカバー40は、タイヤ幅方向における幅がベルトカバー40のタイヤ幅方向における幅と同じ大きさのフルカバー部41と、フルカバー部41のタイヤ幅方向における両側2箇所でフルカバー部41に積層されるエッジカバー部45とを有している。2箇所のエッジカバー部45のうち、一方のエッジカバー部45はフルカバー部41のタイヤ径方向内側に位置し、他方のエッジカバー部45はフルカバー部41のタイヤ径方向外側に位置している。
ベルト層14のタイヤ径方向内側、及びサイドウォール部8のタイヤ赤道面CL側には、ラジアルプライのコードを内包するカーカス層13が連続して設けられている。このため、本実施形態1に係る空気入りタイヤ1は、いわゆるラジアルタイヤとして構成されている。カーカス層13は、1枚のカーカスプライから成る単層構造、或いは複数のカーカスプライを積層して成る多層構造を有し、タイヤ幅方向の両側に配設される一対のビード部10間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。
詳しくは、カーカス層13は、タイヤ幅方向における両側に位置する一対のビード部10のうち、一方のビード部10から他方のビード部10にかけて配設されており、ビードコア11及びビードフィラー12を包み込むようにビード部10でビードコア11に沿ってタイヤ幅方向外側に巻き返されている。ビードフィラー12は、このようにカーカス層13がビード部10で折り返されることにより、ビードコア11のタイヤ径方向外側に形成される空間に配置されるゴム材になっている。また、ベルト層14は、このように一対のビード部10間に架け渡されるカーカス層13における、トレッド部2に位置する部分のタイヤ径方向外側に配置されている。また、カーカス層13のカーカスプライは、スチール、或いはアラミド、ナイロン、ポリエステル、レーヨン等の有機繊維材から成る複数のカーカスコードを、コートゴムで被覆して圧延加工することによって構成されている。カーカスプライを構成するカーカスコードは、タイヤ周方向に対する角度がタイヤ子午線方向に沿いつつ、タイヤ周方向にある角度を持って複数並設されている。
ビード部10における、ビードコア11及びカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側やタイヤ幅方向外側には、リムフランジに対するビード部10の接触面を構成するリムクッションゴム17が配設されている。また、カーカス層13の内側、或いは、当該カーカス層13の、空気入りタイヤ1における内部側には、インナーライナ16がカーカス層13に沿って形成されている。インナーライナ16は、空気入りタイヤ1の内側の表面であるタイヤ内面18を形成している。
図2は、図1に示すベルトカバー40の構成を示す模式図である。ベルトカバー40は、単一の帯状のストリップ材50がタイヤ回転軸を中心とする螺旋状に巻かれることにより形成されている。即ち、ベルトカバー40は、1つのストリップ材50が螺旋状に巻かれることにより形成されており、フルカバー部41とエッジカバー部45も、連続する1つのストリップ材50によって形成されている。ベルトカバー40が有するフルカバー部41とエッジカバー部45とのうち、フルカバー部41は、螺旋状に巻かれるストリップ材50におけるタイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士がタイヤ径方向に重なる部分を少なくとも一部に有している。
本実施形態1では、ストリップ材50におけるフルカバー部41を形成する部分は全て、螺旋状に巻かれるストリップ材50におけるタイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士が、ストリップ材50の幅の約1/2の幅で互いにタイヤ径方向に重なっている。このため、フルカバー部41は、ストリップ材50が実質的に2層になっている。一方、ストリップ材50におけるエッジカバー部45を形成する部分は、螺旋状に巻かれるストリップ材50におけるタイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士がタイヤ径方向に重ならずに、タイヤ幅方向に並んで配設されている。このため、エッジカバー部45は、ストリップ材50が1層になっている。
従って、本実施形態1に係る空気入りタイヤ1が有するベルトカバー40は、タイヤ幅方向におけるエッジカバー部45が配設される部分以外の部分、即ち、フルカバー部41のみによって形成される部分では、ストリップ材50が2層になっている。また、エッジカバー部45が配設される部分、即ち、フルカバー部41とエッジカバー部45とが積層される部分では、ストリップ材50が3層になっている。
図3は、図2のA部詳細図である。図4は、図2のB部詳細図である。ストリップ材50における、タイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士がタイヤ径方向に重なる部分について詳しく説明すると、ストリップ材50は、幅方向における中央付近から一方側に位置する部分が、ストリップ材50の幅方向における同方向において隣り合う周回部分のタイヤ径方向外側に位置している。一方、ストリップ材50の幅方向における中央付近から他方側に位置する部分は、ストリップ材50の幅方向における同方向において隣り合う周回部分が、タイヤ径方向外側に位置している。
つまり、ストリップ材50は、幅方向における中央付近から一方側に位置する部分は、ストリップ材50の幅方向において隣り合う周回部分のタイヤ径方向外側に積層されており、幅方向における中央付近から他方側に位置する部分は、ストリップ材50の幅方向における異なる側で隣り合う周回部分のタイヤ径方向内側に積層されている。換言すると、ストリップ材50は、幅方向における中央付近を境とする両側が、ストリップ材50における互いに異なる周回部分に、互いに異なる積層形態で積層されている。このため、ストリップ材50は、タイヤ子午断面における形状がクランク状に近い形状になりながら、螺旋状に巻かれている。
ストリップ材50が巻かれることにより形成されるベルトカバー40は、ストリップ材50の幅Wsと巻き付けピッチPsとの関係が、フルカバー部41では、Ps/Ws=0.5±0.1の範囲内になっており、エッジカバー部45では、Ps/Ws=1±0.1の範囲内になっている。つまり、ストリップ材50の幅Wsと巻き付けピッチPsとの関係は、フルカバー部41では実質的にPs/Ws=0.5になっており、エッジカバー部45では実質的にPs/Ws=1になっている。
なお、図3及び図4では、フルカバー部41に位置するストリップ材50の幅Wsは、隣り合う周回部分同士が積層されることによってタイヤ子午断面における形状がクランク状に近い形状になった状態での幅で示されているが、ストリップ材50の幅Wsは、ストリップ材50が曲げられずに、平面状態での幅を用いるのが好ましい。また、ストリップ材50の幅Wsは、8mm以上12mm以下の範囲内であるのが好ましい。
ベルトカバー40を形成するストリップ材50は、複数のコード51を有している。ストリップ材50が有するコード51は、ストリップ材50の延在方向に延びつつ、複数がストリップ材50の幅方向に並んで配置されている。また、ストリップ材50が有するコード51の数は、8本以上16本以下の範囲内になっている。このため、ベルトカバー40は、50mmあたりのコード51の打ち込み本数であるエンド数で示すと、エンド数は、40本/50mm以上70本/50mm以下の範囲内になっている。また、ストリップ材50が有するコード51は、直径が0.4mm以上0.6mm以下の範囲内になっている。ストリップ材50は、このように並設される複数のコード51をコートゴム52で被覆することにより形成されている。
ベルトカバー40のストリップ材50が有するコードは、例えば、スチール、またはポリエステルやレーヨンやナイロン等の有機繊維材からなる。タイヤ回転軸を中心とする螺旋状に巻かれるストリップ材50は、タイヤ周方向に対するコード51の傾斜角度が、0°以上1°以下の範囲内になっている。
これらのように形成されるベルトカバー40は、タイヤ幅方向における幅Wcが、ベルト層14のタイヤ幅方向における幅Wbの100%以上115%以下の範囲内になっている。この場合におけるベルト層14のタイヤ幅方向における幅Wbは、ベルト層14が有する複数のベルト141、142のうち、タイヤ幅方向における幅が最も広いベルトである最幅広ベルト143のタイヤ幅方向における幅Wbになっている。また、2箇所のエッジカバー部45は、それぞれタイヤ幅方向における幅Weが、ベルトカバー40のタイヤ幅方向における幅Wcの5%以上30%以下の範囲内になっている。一方で、フルカバー部41は、タイヤ幅方向における幅Wfが、ベルトカバー40のタイヤ幅方向における幅Wcと同じ大きさになっている。
[空気入りタイヤの製造方法]
次に、実施形態1に係る空気入りタイヤ1の製造方法について説明する。空気入りタイヤ1の製造時には、まず、空気入りタイヤ1を構成する部材ごとに加工を行い、加工した部材を組み立てる。即ち、トレッドゴム層4等のゴム部材や、ビードコア11、カーカス層13、ベルト層14、ベルトカバー40等の各部材をそれぞれ加工し、加工した部材を組み立てる。このうち、ベルトカバー40は、ベルト層14のタイヤ径方向外側に、帯状のストリップ材50をタイヤ回転軸を中心とする螺旋状に巻くことにより、ベルト層14のタイヤ径方向外側に配設する。
ベルトカバー40は、1本のストリップ材50を使用し、1本のストリップ材50を螺旋状に巻き付けることにより形成する。ストリップ材50を巻き付ける際には、ベルトカバー40が有する2箇所のエッジカバー部45のうち、フルカバー部41のタイヤ径方向内側に位置する側のエッジカバー部45を形成する部分から巻き付け始める。具体的には、当該エッジカバー部45のタイヤ幅方向内側の端部に相当する位置からストリップ材50を巻き付け、タイヤ幅方向外側に向かって螺旋状に巻き付ける。その際に、ストリップ材50は、タイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士を重ねることなく、タイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士を極力突き合わせるようにして巻き付ける。
ストリップ材50をタイヤ幅方向外側に向かって螺旋状に巻き付けることにより、ベルト層14よりもタイヤ幅方向外側の位置まで巻き付けたら、ストリップ材50のタイヤ幅方向における巻き付け方向を折り返し、ストリップ材50を、巻き付け終わった部分のストリップ材50のタイヤ径方向外側に巻き付ける。このように、ストリップ材50の巻き付けの開始位置から、ストリップ材50のタイヤ幅方向における巻き付け方向を折り返す位置までが、ベルトカバー40のエッジカバー部45として形成される。
ストリップ材50の巻き付け方向を折り返し、ストリップ材50を、エッジカバー部45のタイヤ径方向外側に巻き付けたら、さらに、ストリップ材50を、タイヤ幅方向に隣り合う部分同士をタイヤ径方向に重ねながら、タイヤ幅方向内側に向かって螺旋状に巻き付ける。これにより、エッジカバー部45のタイヤ径方向外側に、フルカバー部41を形成する。ストリップ材50における、フルカバー部41を形成する部分は、タイヤ幅方向に隣り合う部分同士をタイヤ径方向に重ねながらタイヤ幅方向内側に向かって螺旋状に巻き付け、タイヤ赤道面CLの位置を通過させた後は、タイヤ幅方向外側に向かって螺旋状に巻き付ける。即ち、ストリップ材50は、ベルト層14のタイヤ径方向外側に、タイヤ幅方向における一端側から他端側に向かって螺旋状に巻き付ける。
ストリップ材50を、ベルト層14のタイヤ幅方向の両端側においてエッジカバー部45を既に形成した側の端部の反対側の端部側に向かって螺旋状に巻き付け、ベルト層14よりもタイヤ幅方向外側の位置まで巻き付けたら、ストリップ材50を、巻き付け終わった部分のストリップ材50のタイヤ径方向外側に巻き付ける。このように、フルカバー部41のタイヤ径方向内側に位置するエッジカバー部45のタイヤ径方向外側にストリップ材50を重ねた位置から、タイヤ幅方向における当該エッジカバー部45が位置する側の反対側の端部側でストリップ材50のタイヤ幅方向における巻き付け方向を折り返す位置までが、ベルトカバー40のフルカバー部41として形成される。
ストリップ材50の巻き付け方向を折り返し、ストリップ材50を、フルカバー部41のタイヤ径方向外側に巻き付けたら、さらに、ストリップ材50を、タイヤ幅方向に隣り合う部分同士を重ねることなく、タイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士を極力突き合わせるようにしながら、タイヤ幅方向内側に向かって螺旋状に巻き付ける。これにより、フルカバー部41のタイヤ径方向外側に、エッジカバー部45を形成する。即ち、ベルトカバー40が有する2箇所のエッジカバー部45のうち、フルカバー部41のタイヤ径方向外側に位置する側のエッジカバー部45を形成する。
ベルトカバー40は、このようにベルト層14のタイヤ径方向外側に1本のストリップ材50を、タイヤ回転軸を中心とする螺旋状に巻き付けることにより、単一のストリップ材50で、フルカバー部41と、2箇所のエッジカバー部45とを形成する。
[作用・効果]
本実施形態1に係る空気入りタイヤ1を車両に装着する際には、空気入りタイヤ1をリムホイールにリム組みし、内部に空気を充填してインフレートした状態で車両に装着する。空気入りタイヤ1を装着した車両が走行すると、トレッド部2のトレッド踏面3のうち下方に位置するトレッド踏面3が路面に接触しながら空気入りタイヤ1は回転する。空気入りタイヤ1を装着した車両で乾燥した路面を走行する場合には、主にトレッド踏面3と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。また、濡れた路面を走行する際には、トレッド踏面3と路面との間の水が周方向溝30やラグ溝等の溝に入り込み、これらの溝でトレッド踏面3と路面との間の水を排水しながら走行する。これにより、トレッド踏面3は路面に接地し易くなり、トレッド踏面3と路面との間の摩擦力により、車両は走行することが可能になる。
また、車両の走行時は、空気入りタイヤ1は車体の重量や、加減速、旋回に伴う荷重を受けるため、トレッド部2にはタイヤ径方向の荷重が作用するが、空気入りタイヤ1は回転をするため、トレッド部2に作用する荷重はタイヤ周方向に相対的に移動しながら作用する。特に、高速走行時は、空気入りタイヤ1は高速で回転をするため、トレッド部2に作用する荷重は、相対的にタイヤ周方向に高速で移動しながら作用する。また、空気入りタイヤ1が高速で回転をする場合、空気入りタイヤ1には大きな遠心力が作用し、タイヤ回転軸からの距離が大きいトレッド部2には、特に大きな遠心力が作用する。これらにより、車両の高速走行時は、トレッド部2には、大きな負荷がするが、これらの負荷は、トレッド部2に配設されるベルト層14やベルトカバー40で受けることができる。
その際に、ベルトカバー40は、ストリップ材50が螺旋状に巻かれることにより形成されており、ベルトカバー40のフルカバー部41は、ストリップ材50におけるタイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士がタイヤ径方向に重なる部分を有している。ベルト層14のタイヤ径方向外側に配設されるベルトカバー40は、このようにストリップ材50におけるタイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士が重なって形成されることにより、ストリップ材50同士が重なる部分では、実質的に2層にすることができる。これにより、ベルトカバー40は、剛性を確保することができ、タイヤ周方向やタイヤ径方向に対する強度を確保することができるため、ベルト層14に対する拘束力を確保することができる。従って、車両の高速走行時に空気入りタイヤ1が高速で回転をする際における、トレッド部2に作用する負荷に対する強度を確保することができ、空気入りタイヤ1の高速性能を確保することができる。
また、ベルトカバー40は、単一のストリップ材50が螺旋状に巻かれることにより形成されているため、複数のストリップ材50を用いてベルトカバー40を形成する場合と比較して、ベルトカバー40全体の強度の均一化を図ることができる。つまり、ストリップ材50は、ストリップ材50ごとにコード51の本数やコード51の直径、配置形態が僅かに異なることがあり、このため、ストリップ材50を複数用いてベルトカバー40を形成した場合、ベルトカバー40における、異なるストリップ材50で形成される範囲同士で、強度が異なることがある。この場合、ベルト層14に対する拘束力も、ベルトカバー40における、異なるストリップ材50で形成される範囲同士で異なることになり、空気入りタイヤ1が転がる際における、タイヤ回転軸に対して斜めの方向に転がろうとする力を示すコニシティが悪化する虞がある。これに対し、ベルトカバー40を、単一のストリップ材50によって形成した場合には、異なるストリップ材50同士でコード51の本数やコード51の直径等が異なることに起因する、ベルトカバー40の強度が不均一になることを抑制することができる。これにより、コニシティの悪化を抑制することができる。
また、ストリップ材50を螺旋状に巻き付けることによってベルトカバー40を形成すると、ストリップ材50の長さ方向における端部が、タイヤ周方向上でのタイヤ径方向における力の変動を示すRFV(Radial Force Variation)に影響を及ぼすが、ストリップ材50の端部は、ストリップ材50の数の2倍の数になっている。このため、ストリップ材50の数が増えると、RFVに影響を及ぼすストリップ材50の端部も増加することになり、RFVが悪化し易くなる虞があるが、単一のストリップ材50によってベルトカバー40を形成した場合、ストリップ材50の端部の数を最小限に抑えることができる。これにより、RFVの悪化を抑制することができる。換言すると、ベルトカバー40を、単一のストリップ材50によって形成した場合、ストリップ材50の長さ方向における端部の数を最小限に抑えることができるため、空気入りタイヤ1のユニフォミティを向上させることができ、RFVの悪化を抑制することができる。
また、ベルトカバー40の強度を確保するためにストリップ材50を積層する際に、複数のストリップ材50を用いて積層する場合、相対的にタイヤ径方向内側に位置するストリップ材50の巻き付けた後、そのストリップ材50のタイヤ径方向外側のストリップ材50を巻き付けることになる。この場合、空気入りタイヤ1の製造時における、ストリップ材50の巻き付け時間が長くなる虞があるが、本実施形態1では、ストリップ材50を積層するにあたって、単一のストリップ材50におけるタイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士をタイヤ径方向に重ねている。これにより、ストリップ材50を積層してベルトカバー40を形成する際におけるストリップ材50の巻き付け時間の短縮化を図ることができ、ストリップ材50を積層してベルトカバー40を形成する際における生産性を向上させることができる。これらの結果、高速性能と生産性とを両立することができる。
また、ベルトカバー40は、ストリップ材50の幅Wsと巻き付けピッチPsとの関係が、フルカバー部41ではPs/Ws=0.5になっており、エッジカバー部45ではPs/Ws=1になっているため、フルカバー部41ではストリップ材50を2層にすることができ、エッジカバー部45ではストリップ材50を1層にすることができる。これにより、タイヤ幅方向におけるセンター付近の領域では、ストリップ材50を2層にすることができ、ショルダー部5寄りの領域ではストリップ材50を3層にすることができる。従って、タイヤ幅方向においてベルト層14が配設される全範囲の強度を確保することができ、さらに、トレッド部2において大きな荷重が作用し易いショルダー部5寄りの位置での、トレッド部2に作用する負荷に対する強度を、より確実に確保することができる。この結果、より確実に高速性能を向上させることができる。
また、ストリップ材50は、複数のコード51を有しており、コード51の数が8本以上16本以下の範囲内であるため、ストリップ材50を重ねながら螺旋状に巻き付ける際における容易性を確保しつつ、ベルト層14に対するベルトカバー40の拘束力を確保することができる。つまり、ストリップ材50のコード51の数が8本未満である場合は、コード51の数が少な過ぎるため、ストリップ材50の強度を確保し難くなる虞がある。この場合、ストリップ材50をベルト層14のタイヤ径方向外側に螺旋状に巻き付けることにより形成するベルトカバー40の強度を確保し難くなるため、ベルト層14に対するベルトカバー40の拘束力を確保し難くなる虞がある。また、ストリップ材50のコード51の数が16本より多い場合は、コード51の数が多過ぎるため、ストリップ材50の強度が高くなり過ぎる虞がある。この場合、ストリップ材50における幅方向の中央付近を境とする両側を、互いに異なる周回部分に互いに異なる積層形態で積層する際に、ストリップ材50はクランク状に変形し難くなるため、ストリップ材50を重ねながら螺旋状に巻き付けるのが困難になる虞がある。
これに対し、ストリップ材50のコード51の数が、8本以上16本以下の範囲内である場合は、ストリップ材50の強度を適度な大きさにすることができるため、ストリップ材50を重ねながら螺旋状に巻き付ける際における容易性を確保しつつ、ベルト層14に対するベルトカバー40の拘束力を確保することができる。この結果、より確実に高速性能と生産性とを両立することができる。
また、ベルトカバー40は、タイヤ幅方向における幅Wcがベルト層14のタイヤ幅方向における幅Wbよりも広く、ベルト層14をタイヤ径方向外側から覆うため、ベルト層14のタイヤ幅方向に全範囲を、タイヤ径方向外側からベルトカバー40によってより確実に拘束することができる。これにより、車両の高速走行時に空気入りタイヤ1が高速で回転をする際における、トレッド部2に作用する負荷に対する強度を、より確実に確保することができる。この結果、より確実に高速性能を向上させることができる。
[実施形態2]
実施形態2に係る空気入りタイヤ1は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1と略同様の構成であるが、ベルトカバー40のフルカバー部41が、ストリップ材50が積層される部分と積層されない部分とを有する点に特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
図5は、実施形態2に係る空気入りタイヤ1のベルトカバー40の構成を示す模式図である。実施形態2に係る空気入りタイヤ1は、実施形態1に係る空気入りタイヤ1と同様に、ベルト層14のタイヤ径方向外側に、単一のストリップ材50がタイヤ回転軸を中心とする螺旋状に巻かれることにより形成されるベルトカバー40が配設されている。また、実施形態2に係る空気入りタイヤ1では、実施形態1とは異なり、ベルトカバー40が有するフルカバー部41が、ストリップ材50におけるタイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士でタイヤ径方向に重なる部分と重ならない部分とを有している。
詳しくは、実施形態2に係る空気入りタイヤ1が有するベルトカバー40のフルカバー部41は、タイヤ赤道面CLを跨ぐフルカバーセンター部42と、フルカバーセンター部42のタイヤ幅方向外側に位置するフルカバーショルダー部43とを有しており、フルカバーショルダー部43は、フルカバーセンター部42のタイヤ幅方向両側に配設されている。このうち、フルカバーショルダー部43では、ストリップ材50におけるタイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士が、タイヤ径方向に重なりながら螺旋状に巻かれている。一方で、フルカバーセンター部42では、ストリップ材50におけるタイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士がタイヤ径方向に重ならずに、タイヤ幅方向に並んで螺旋状に巻かれている。
つまり、実施形態2では、ベルトカバー40は、ストリップ材50の幅Wsと巻き付けピッチPsとの関係が、フルカバーセンター部42では、エッジカバー部45と同様に実質的にPs/Ws=1になっており、フルカバーショルダー部43では、実施形態1のフルカバー部41と同様に実質的にPs/Ws=0.5になっている。
また、これらのようにベルトカバー40のフルカバー部41が有するフルカバーセンター部42とフルカバーショルダー部43とのうち、フルカバーショルダー部43は、タイヤ幅方向における幅Wfsが、ベルトカバー40のタイヤ幅方向における幅Wcに対して、0.05≦Wfs/Wc≦0.30の範囲内になっている。
実施形態2に係る空気入りタイヤ1は、これらのように、ベルトカバー40のフルカバー部41が、ストリップ材50が重ならずに巻き付けられるフルカバーセンター部42と、ストリップ材50が重なりながら巻き付けられるフルカバーショルダー部43とを有するため、ベルトカバー40によるベルト層14に対する拘束力を、より適切な位置で発揮することができる。つまり、車両の走行時におけるトレッド部2には、ショルダー部5寄りの位置に大きな荷重が作用し易くなるが、フルカバーセンター部42のタイヤ幅方向両側に位置するフルカバーショルダー部43を、ストリップ材50を重ねながら巻き付けることにより、ショルダー部5寄りの位置の強度を確保することができる。これにより、高速性能を向上させることができる。
また、トレッド部2において、ショルダー部5寄りに位置と比較して大きな荷重が作用し難い、タイヤ幅方向におけるセンター付近に位置するフルカバーセンター部42は、ストリップ材50を重ねずに巻き付けることによって形成するため、より確実にストリップ材50の巻き付け時間の短縮化を図ることができる。これにより、ストリップ材50を螺旋状に巻き付けることによってベルトカバー40を形成する際における生産性を向上させることができる。これらの結果、より確実に高速性能と生産性とを両立することができる。
また、ベルトカバー40は、ストリップ材50の幅Wsと巻き付けピッチPsとの関係が、フルカバーセンター部42ではPs/Ws=1になっており、フルカバーショルダー部43ではPs/Ws=0.5になっているため、フルカバーセンター部42ではストリップ材50を1層にすることができ、フルカバーショルダー部43ではストリップ材50を2層にすることができる。これにより、フルカバー部41における、ショルダー部5寄りの領域ではストリップ材50を2層にすることができるため、トレッド部2において大きな荷重が作用し易いショルダー部5寄りの位置での、トレッド部2に作用する負荷に対する強度を、より確実に確保することができる。また、フルカバー部41における、タイヤ幅方向のセンター付近の領域ではストリップ材50を1層にすることができるため、トレッド部2において作用する負荷が比較的低い、センター付近の位置でのストリップ材50の巻き付け時間の短縮化を図ることができる。この結果、より確実に高速性能と生産性とを両立することができる。
また、ベルトカバー40のフルカバーショルダー部43は、タイヤ幅方向における幅Wfsが、ベルトカバー40のタイヤ幅方向における幅Wcに対して、0.05≦Wfs/Wc≦0.30の範囲内であるため、ストリップ材50の巻き付け時間の短縮化を図りつつ、ベルトカバー40におけるタイヤ幅方向の両端寄りの位置の強度をより確実に確保することができる。つまり、フルカバーショルダー部43の幅Wfsが、ベルトカバー40の幅Wcに対して、Wfs/Wc<0.05である場合は、フルカバーショルダー部43の幅Wfsが狭過ぎるため、ベルトカバー40におけるタイヤ幅方向の両端寄りの位置の強度を確保し難くなる虞がある。この場合、トレッド部2のショルダー部5寄りの位置での強度を確保し難くなる虞がある。また、フルカバーショルダー部43の幅Wfsが、ベルトカバー40の幅Wcに対して、Wfs/Wc>0.30である場合は、フルカバーショルダー部43の幅Wfsが広過ぎるため、フルカバーセンター部42の幅が狭くなり過ぎる虞がある。この場合、ストリップ材50を1層で巻き付ける範囲が狭くなるため、ストリップ材50の巻き付け時間を効果的に短縮するのが困難になる虞がある。
これに対し、フルカバーショルダー部43の幅Wfsが、ベルトカバー40の幅Wcに対して、0.05≦Wfs/Wc≦0.30の範囲内である場合は、ストリップ材50の巻き付け時間の短縮化をより確実に図りつつ、ベルトカバー40におけるタイヤ幅方向の両端寄りの位置の強度を、より確実に確保することができる。この結果、より確実に高速性能と生産性とを両立することができる。
[変形例]
なお、上述した実施形態1に係る空気入りタイヤ1では、ベルトカバー40が有するフルカバー部41のストリップ材50の幅Wsと巻き付けピッチPsとの関係が、Ps/Ws=0.5になっており、実施形態2に係る空気入りタイヤ1では、フルカバーセンター部42のストリップ材50の幅Wsと巻き付けピッチPsとの関係が、Ps/Ws=1になっているが、ストリップ材50の幅Wsと巻き付けピッチPsとの関係は、これ以外であってもよい。ベルトカバー40が有するフルカバー部41のストリップ材50の幅Wsと巻き付けピッチPsとの関係は、実施形態1と実施形態2とを含んで、フルカバーセンター部42が0.5≦Ps/Ws≦1の範囲内になっていればよい。即ち、ベルトカバー40のストリップ材50の幅Wsと巻き付けピッチPsとの関係は、エッジカバー部45では、Ps/Ws=1であり、フルカバーセンター部42では、0.5≦Ps/Ws≦1の範囲内であり、フルカバーショルダー部43では、Ps/Ws=0.5であればよい。ベルトカバー40は、ストリップ材50の幅Wsと巻き付けピッチPsとの関係が、これらの範囲内で形成されることにより、高速性能と生産性とを両立することができる。
[実施例]
図6は、空気入りタイヤの性能評価試験の結果を示す図表である。以下、上記の空気入りタイヤ1について、従来例の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1とについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、高速性能と生産性とについての試験を行った。
性能評価試験は、JATMAで規定されるタイヤの呼びが275/40R19 101Yサイズの空気入りタイヤ1を用いて行った。各試験項目の評価方法は、高速性能については、各試験タイヤをリムサイズ19×9.5のホイールに装着し、空気圧を320kPaにしてECE30に準拠する室内ドラム試験機(ドラム径1707mm)に取付け、速度81km/hの条件で、ECE30で規定された空気圧条件に対応する荷重の80%を負荷し、260km/hの速度から試験を開始し、10分毎に10km/hずつ段階的に速度を上昇させ故障が発生するまで走行させ、タイヤ故障が起きるまでの走行距離を測定した。評価結果は、後述する従来例1を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど、高速耐久性が優れることを意味する。特に、指数値が105以上のものが高速耐久性が高く好ましい。
また、生産性については、タイヤ製造時におけるストリップ材50を巻き付ける工程で、ストリップ材50の巻き付けに要する時間を測定した。生産性は、測定した時間の逆数を、後述する従来例1を100とする指数評価によって表し、指数値が大きいほど巻き付けの時間が短く、生産性が高いことを示している。
性能評価試験は、従来の空気入りタイヤの一例である従来例1、2の空気入りタイヤと、本発明に係る空気入りタイヤ1である実施例1~6との8種類の空気入りタイヤについて行った。このうち、従来例1の空気入りタイヤは、特許文献4のように、ベルトカバー40が2本のストリップ材50により形成されており、ストリップ材50の周回部分同士が重なる部分を有していない。また、従来例2の空気入りタイヤは、特許文献3のように、ベルトカバー40は1本のストリップ材50により形成されており、ストリップ材50の周回部分同士が重なる部分を有しているものの、フルカバー部41に積層されるエッジカバー部45を有していない。
これに対し、本発明に係る空気入りタイヤ1の一例である実施例1~6は、全てベルトカバー40は1本のストリップ材50により形成され、ストリップ材50の周回部分同士が重なる部分を有しており、フルカバー部41に積層される2箇所のエッジカバー部45を有している。さらに、実施例1~6に係る空気入りタイヤ1は、フルカバーセンター部42とフルカバーショルダー部43の有無や、ベルトカバー40の幅Wcに対するフルカバーショルダー部43の幅Wfs、ストリップ材50のコード51の数が、それぞれ異なっている。
これらの空気入りタイヤ1を用いて性能評価試験を行った結果、図6に示すように、実施例1~6に係る空気入りタイヤ1は、従来例1、2に対して、生産性の低下を抑えつつ、高速性能を向上させることができることが分かった。つまり、実施例1~6に係る空気入りタイヤ1は、高速性能と生産性とを両立することができる。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 トレッド踏面
4 トレッドゴム層
5 ショルダー部
8 サイドウォール部
10 ビード部
11 ビードコア
12 ビードフィラー
13 カーカス層
14 ベルト層
141、142 ベルト
143 最幅広ベルト
16 インナーライナ
17 リムクッションゴム
18 タイヤ内面
20 陸部
30 周方向溝
40 ベルトカバー
41 フルカバー部
42 フルカバーセンター部
43 フルカバーショルダー部
45 エッジカバー部
50 ストリップ材
51 コード
52 コートゴム

Claims (6)

  1. トレッド部に配設されるベルト層と、
    前記ベルト層のタイヤ径方向外側に配設されるベルトカバーと、
    を備え、
    前記ベルトカバーは、
    タイヤ幅方向における幅が前記ベルトカバーのタイヤ幅方向における幅と同じ大きさのフルカバー部と、
    前記フルカバー部のタイヤ幅方向における両側2箇所で前記フルカバー部に積層されるエッジカバー部と、
    を有し、
    2箇所の前記エッジカバー部のうち、一方の前記エッジカバー部は前記フルカバー部のタイヤ径方向内側に位置し、他方の前記エッジカバー部は前記フルカバー部のタイヤ径方向外側に位置し、
    前記ベルトカバーは、単一の帯状のストリップ材がタイヤ回転軸を中心とする螺旋状に巻かれることにより形成され、
    前記フルカバー部は、螺旋状に巻かれる前記ストリップ材におけるタイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士がタイヤ径方向に重なる部分を少なくとも一部に有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記フルカバー部は、タイヤ赤道面を跨ぐフルカバーセンター部のタイヤ幅方向外側に位置するフルカバーショルダー部で、前記ストリップ材におけるタイヤ幅方向に隣り合う周回部分同士がタイヤ径方向に重なりながら螺旋状に巻かれる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ベルトカバーは、前記ストリップ材の幅Wsと巻き付けピッチPsとの関係が、
    前記エッジカバー部では、Ps/Ws=1であり、
    前記フルカバーセンター部では、0.5≦Ps/Ws≦1の範囲内であり、
    前記フルカバーショルダー部では、Ps/Ws=0.5である請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記フルカバーショルダー部は、タイヤ幅方向における幅Wfsが、前記ベルトカバーのタイヤ幅方向における幅Wcに対して、0.05≦Wfs/Wc≦0.30の範囲内である請求項2または3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ストリップ材は、複数のコードを有しており、前記コードの数が8本以上16本以下の範囲内である請求項1~4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ベルトカバーは、タイヤ幅方向における幅が前記ベルト層のタイヤ幅方向における幅よりも広く、前記ベルト層をタイヤ径方向外側から覆う請求項1~5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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