以下、図1~図11を用いて、本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、画像形成装置として、トナーを用いて印刷する複合機100を例に挙げ説明する。但し、本実施形態に記載される構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定せず単なる説明例にすぎない。
(複合機100の概要)
まず、図1、図2に基づき、実施形態に係る複合機100を説明する。図1、図2は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
複合機100は、メイン制御部1(コントローラー基板)を含む。メイン制御部1は、複合機100を構成するコンポーネント(記憶部2、操作パネル3、原稿搬送部4a、画像読取部4b、エンジン制御部5、印刷部6、加熱部7、電源部8)の動作を制御する。メイン制御部1は制御回路11、画像処理回路12、時計回路13、通信部14を含む。
制御回路11は、例えば、CPUである。制御回路11は、複合機100の制御に関する処理、演算、を行う集積回路である。画像処理回路12は、印刷に必要な画像処理を画像データに施す。通信部14は、メイン制御部1の一部である。通信部14は、通信用の回路がまとめられたブロックである(通信ブロック)。通信部14は、通信用のチップ、メモリー、コネクターのようなハードウェアを含む。通信部14は、コンピューター200と通信する。コンピューター200は、例えば、PCやサーバーである。通信部14は、印刷用データをコンピューター200から受信する。印刷用データは、ページ記述言語で書かれたデータや画像データや印刷設定データを含む。メイン制御部1は、印刷用データに基づく印刷を印刷部6に行わせる。
なお、以下の説明では、メイン制御部1のうち、通信部14以外の部分(制御回路11、画像処理回路12)をメインブロック10(図4参照)と称する。メインブロック10は、制御回路11、画像処理回路12、及び、各部と通信するためのインターフェイス回路を含む。
記憶部2はROM、HDDのような不揮発性の記憶装置と、RAMのような揮発性の記憶装置を含む。記憶部2は、制御用プログラムやデータを記憶する。
操作パネル3は、表示パネル31、タッチパネル32、ハードキー33を含む。表示パネル31は、設定用画面や設定用画像を表示する。設定用画像は、例えば、ボタン、タブである。タッチパネル32は表示パネル31に付される。タッチパネル32は、使用者のタッチ位置の座標を検知する。タッチパネル32が認識したタッチ位置に基づき、メイン制御部1(メインブロック10)は、使用者に操作された設定用画像を認識する。また、操作パネル3には、ハードキー33も設けられる。例えば、ハードキー33は、ジョブの実行を指示するためのスタートキーを含む。メイン制御部1(メインブロック10)は、操作されたハードキー33を認識する。
複合機100は、原稿搬送部4a、画像読取部4bを含む。原稿搬送部4aは、セットされた原稿を読み取り位置に向けて搬送する。画像読取部4bは、原稿搬送部4aに搬送される原稿や、原稿台41にセットされた原稿を読み取り、画像データを生成する。メイン制御部1(メインブロック10)は、原稿搬送部4aと画像読取部4bの動作を制御する。
複合機100は印刷部6を含む。印刷部6は、給紙部6a、用紙搬送部6b、画像形成部6c、定着部6dを含む。エンジン制御部5は、エンジン制御回路51(エンジンCPU)やエンジンメモリー52を含む。メイン制御部1とエンジン制御部5は通信する。メイン制御部1(メインブロック10)は、印刷指示、印刷ジョブの内容、印刷に用いる画像データをエンジン制御部5に伝える。エンジン制御部5は、メイン制御部1の指示を受け、給紙、用紙搬送、トナー像の形成、転写、定着を制御する。言い換えると、エンジン制御部5は、給紙部6a、用紙搬送部6b、画像形成部6c、定着部6d、加熱部7の動作を制御する。
エンジン制御部5は、用紙を一枚ずつ給紙部6aに供給させる。エンジン制御部5は、供給された用紙を画像形成部6c、定着部6dを経て排出トレイ101まで用紙搬送部6bに搬送させる。エンジン制御部5は、搬送用紙にのせるトナー像を画像形成部6cに形成させる。エンジン制御部5はトナー像を用紙に転写させる。エンジン制御部5は、用紙に転写されたトナー像を定着部6dに定着させる。用紙搬送部6bは、トナー像が定着された用紙を排出トレイ101に排出する。
図2に示すように、画像形成部6cは、感光体ドラム61、帯電装置62、露光装置63、現像装置64、転写ローラー65(転写装置)を含む。感光体ドラム61は、例えば、アモルファスシリコンの感光体(感光層)を有する。感光体ドラム61の周面の感光層がアモルファスシリコンである。感光体ドラム61はトナー像を担持する。
用紙は感光体ドラム61と転写ローラー65のニップに進入する。印刷のとき、エンジン制御部5は、感光体ドラム61と転写ローラー65を回転させる。エンジン制御部5は、感光体ドラム61の帯電を帯電装置62に行わせる。エンジン制御部5は、感光体ドラム61の走査、露光を露光装置63に行わせる。これにより、画像データに応じた静電潜像が感光体ドラム61に形成される。エンジン制御部5はトナーによる静電潜像の現像を現像装置64に現像させる(トナー像の形成)。エンジン制御部5は、搬送用紙へのトナー像の転写を転写ローラー65に行わせる。エンジン制御部5は、用紙を画像形成部6cに搬送させつつ、用紙にトナー像を画像形成部6cに転写させる。
図2に示すように、定着部6dは加熱回転体66と加圧回転体67を含む。用紙は、加熱回転体66と加圧回転体67のニップを通過する。加熱回転体66に対して、加熱部7が設けられる。例えば、加熱部7は、加熱回転体66の上方に設けられる。加熱部7は、電磁誘導(IH)により、加熱回転体66を熱する。加熱回転体66は、トナー像が転写された用紙を加熱する。これにより、トナー像が用紙に定着する。
(電源部8)
次に、図3を用いて、実施形態に係る複合機100が含む電源部8の一例を説明する。図3は、実施形態に係る複合機100が含む電源部8の一例を示す図である。
複合機100は電源部8を含む。電源部8は、画像形成部6c(感光体ドラム61)の下方に設けられる(図2参照)。電源部8は1次電源部81、2次電源部82、電源制御部83を含む。1次電源部81は、電源ケーブルにより商用電源300(交流電源)と接続される。1次電源部81は、例えば、トランスを含むスイッチング電源である。商用電源300(交流電圧)から直流電圧を生成する。1次電源部81は予め設定された電圧を生成し出力する(例えば、モータ駆動用のDC24V)。
複合機100内に設けられる回路、素子は様々である。各回路、各素子の動作に要する電圧も複数種である。複数種の電圧がメイン制御部1、記憶部2、通信部14、操作パネル3、原稿搬送部4a、画像読取部4b、エンジン制御部5、印刷部6の動作に必要である。また、制御回路11、画像処理回路12、エンジン制御回路51、エンジンメモリー52のようなデバイス(集積回路)では、動作に複数種の電圧が必要となることがある。そこで、2次電源部82は、1次電源部81の生成電圧に基づき、複数種の直流電圧を生成する。
複数種の電圧生成のため、2次電源部82は、複数の電力変換回路84を含む。電力変換回路84は、例えば、DCDCコンバーターやレギュレーターである。各電力変換回路84は、予め設定された大きさの電圧を出力する。2次電源部82は、複合機100を構成する各コンポーネントに必要な大きさの電圧を供給する。コンポーネントは、例えば、メイン制御部1、記憶部2、操作パネル3、原稿搬送部4a、画像読取部4b、エンジン制御部5、印刷部6、加熱部7である。
複合機100の電源部8は、複数の供給モードを備える(詳細は後述)。供給モードにより、電力を供給する部分が異なる。各部(例えば、メイン制御部1、エンジン制御部5、印刷部6、加熱部7)への電力供給のON/OFFを行うため、スイッチ部85が設けられる。スイッチ部85は、トランジスタのようなスイッチング素子である。スイッチ部85は複数設けることができる。
電源制御部83は、2次電源部82(電力変換回路84)の動作、ON/OFFを制御する。また、電源制御部83は、スイッチ部85のON/OFFを制御する。
(供給モード)
次に、図4、図5を用いて、実施形態に係る電源部8の供給モードの一例を説明する。図4、図5は、実施形態に係る電源部8の供給モードの一例を示す図である。
電源部8は、第1供給モード、第2供給モード、第3供給モードの何れかのモードで電力を供給する。メイン制御部1(メインブロック10又は通信部14)の要求に基づき、電源部8は供給モードを切り替える。
第1供給モードは、印刷部6で印刷できるように電力を供給するモードである。第1供給モードは、アクティブモードや通常モードと称されることもある。第1供給モードは、第2供給モード及び第3供給モードよりも電源部8が供給する電力が大きい。言い換えると、第1供給モードは、3つのモードのうち、消費電力が最も大きいモードである。
第2供給モードは、第3供給モードよりも供給する電力が大きい。第2供給モードは、1つめの省電力モード(Low Power Mode)である。第3供給モードは、第2供給モードよりも消費電力を落とすモードである。第3供給モードは、Deep Sleep Modeと称されることもある。
供給モードによらず、電源部8は、通信部14(メイン制御部1の通信ブロック)に電力を供給する。通信部14は、供給モードによらず動作する。電源部8は、第1ブロック8aを含む。第1ブロック8aは、電源部8(電源基板)に設けられる。第1ブロック8aは、常時電力を供給する部分に電力を供給する回路、素子をまとめた部分である。なお、電源部8のうち、常時電力を供給する部分(第1ブロック8a)以外の部分は、第2ブロック8bとなる。
通信部14は、コンピューター200からの印刷用データを受信する。電源部8は、供給モードによらず通信部14に電力を供給する。通信部14は、コンピューター200から印刷要求(印刷用データの送信)があったことを供給モードによらず検知する。このように、複合機100には、常時、電力供給を受ける部分が設けられる。
また、供給モードによらず、電源部8は、タッチパネル32やハードキー33に電力を供給してもよい(電圧を印加してもよい)。この場合、第1ブロック8aがタッチパネル32やハードキー33に電力を供給する。タッチパネル32やハードキー33は、供給モードによらず、使用者が操作したことを検知できる。
[第1供給モード]
第1供給モードのとき、電源部8(電源制御部83)は、メイン制御部1(メインブロック10と通信部14の両方)、記憶部2、原稿搬送部4a、画像読取部4b、エンジン制御部5、印刷部6、加熱部7(IH制御部70、IHユニット71)、タッチパネル32、ハードキー33、表示パネル31に電力供給を供給する(図5参照)。第1供給モードのとき、例えば、電源部8は複合機100の全ての部分に電力を供給する。電力供給の開始に伴い、各部が起動し、使用できる状態になる。
ここで、定着部6dの温度制御について説明しておく。加熱回転体66を加熱する加熱部7として、IH制御部70とIHユニット71が設けられる。言い換えると、加熱部7は、IH制御部70とIHユニット71を含む。また、加熱回転体66の温度を検知するため、定着温度センサー6868が設けられる。定着温度センサー6868の出力は、加熱回転体66の温度に応じて変化する。定着温度センサー6868の出力は、エンジン制御部5に入力される。エンジン制御部5は、加熱回転体66の温度を認識する。
IHユニット71は、コア72(磁石)とコイル73を含む。コイル73から生ずる磁束により、加熱回転体66が加熱される。そのため、加熱回転体66の周面は、例えば、導電性の金属とされる。コア72は、コイル73から生ずる磁束が加熱回転体66を通るように、磁束を収束させる。コア72によって、効率よく加熱回転体66が加熱される。
IH制御部70は、IHコントローラー回路とPWM回路を含む基板である。PWM回路は、電源部8から供給された電力をコイル73に投入する。IHコントローラー回路は、コイル73に投入する電力(PWM回路がコイル73に入力するPWM信号のデューティ比)を制御する。エンジン制御部5は、周期的に加熱回転体66の温度を認識する。加熱回転体66の温度を認識するごとに、エンジン制御部5は、IH制御部70にデューティ比を指示する。加熱回転体66の温度が定着制御温度で維持されるように、エンジン制御部5はデューティ比を指示する。定着制御温度は、トナーの定着、溶融に適した温度である。例えば、定着制御温度は100°C程度である。定着制御温度は、機種(用いるトナー)により異なる。
なお、定着温度センサー6868の出力は、メイン制御部1(メインブロック10)に入力してもよい。メイン制御部1が加熱回転体66の温度を認識してもよい。メイン制御部1が、IH制御部70にデューティ比を指示してもよい。
[第2供給モード]
第2供給モードのとき、電源部8(電源制御部83)は、メイン制御部1(メインブロック10と通信部14)、記憶部2、エンジン制御部5、タッチパネル32、ハードキー33、表示パネル31に電力供給を供給する(図5参照)。なお、第2供給モードになってから操作パネル3(タッチパネル32、ハードキー33)に操作がないまま消灯時間が経過したとき、電源部8は表示パネル31への電力供給を停止してもよい。表示パネル31への電力供給は最小限とされる。例えば、第2供給モードを認識できるように、電源部8(電源制御部83)は、表示パネル31に付して設けられたLEDのみに電力を供給すしてもよい(図5の△印参照)。
一方、第2供給モードでは、電源部8(電源制御部83)は、原稿搬送部4a、画像読取部4b、印刷部6、加熱部7(IH制御部70とIHユニット71)への電力供給を停止させる。第2供給モードは、加熱回転体66を定着制御温度で維持しない。そのため、第2供給モードは、第1供給モードよりも複合機100の消費電力が小さくなる。一方、メイン制御部1とエンジン制御部5は動作している。そのため、第2供給モードは、第1供給モード(印刷可能な状態)に直ちに移行できるモードである。
[第3供給モード]
第3供給モードのとき、電源部8(電源制御部83)は、通信部14、タッチパネル32、ハードキー33に電力供給を供給する(図5参照)。電源部8のうち、第1ブロック8aのみ動作する。
一方、第3供給モードでは、電源部8(電源制御部83)は、メイン制御部1(メインブロック10)、記憶部2、原稿搬送部4a、画像読取部4b、エンジン制御部5、印刷部6、加熱部7、表示パネル31への電力供給を停止させる。第3供給モードは、できるだけ複合機100の消費電力を減らすモードである。そのため、第3供給モードは、他の供給モードに比べ、複合機100の消費電力が最も小さい。第3供給モードでの複合機100の消費電力は、例えば、1ワット未満である。
複合機100の主電源がONされたとき、電源部8(電源制御部83)は、第1供給モードでの電力供給を開始する。なお、主電源スイッチ80(図3参照)により複合機100の主電源を投入することができる。第1供給モードでの電力供給開始後、複合機100の起動は完了する。複合機100は、アクティブモード(印刷できる状態)で起動する。
メイン制御部1(メインブロック10)は、第1移行条件が満たされたか否かを確認する。第1移行条件が満たされたとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、電源部8に第2供給モードへの移行を要求する。このように、第1移行条件が満たされたとき、電源部8は、第1供給モードでの電力供給から第2供給モードでの電力供給に切り替える。第2供給モードへの移行により、複合機100は、省電力モードとなる。
第1移行条件は予め定められる。例えば、第1起点から予め定められた第1移行時間続けて操作パネル3への操作がないとき、又は、印刷用データを受信しなかったとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、第1移行条件が満たされたと認識する。第1起点は、第1供給モード中、複合機100の起動が完了した時点、印刷ジョブが終了した時点、操作パネル3に最後の操作がなされた時点のうち、最も遅い時点である。第1移行時間は、例えば、数十秒~数分である。操作パネル3は、第1移行時間の設定を受け付けてもよい。この場合、メイン制御部1は、設定された第1移行時間を用いる。
また、第2供給モードでは、メイン制御部1(メインブロック10)は、第2移行条件が満たされたか否かを確認する。この場合、第2移行条件が満たされたとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、電源部8に第3供給モードへの移行を要求する。このように、第2移行条件が満たされたとき、電源部8は、第2供給モードでの電力供給から第3供給モードでの電力供給に切り替える。第3供給モードへの移行により、複合機100は、ディープスリープモードとなる。
第2移行条件は予め定められる。例えば、第2起点から予め定められた第2移行時間続けて、操作パネル3への操作がないとき、又は、印刷用データを受信しなかったとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、第2移行条件が満たされたと認識する。第2起点は、第2供給モードが開始された時点である。第2移行時間は、例えば、数十秒~数分である。操作パネル3は、第2移行時間の設定を受け付けてもよい。この場合、メイン制御部1は、設定された第2移行時間を用いる。
第2供給モード、又は、第3供給モードで通信部14が印刷用データを受信したとき、通信部14は、電源部8に第1供給モードへの移行を要求する(アクティブモードへの復帰要求)。この要求を受け、電源部8(電源制御部83)は、第1供給モードでの電力供給を開始する。第1供給モードでの電力供給開始により、複合機100の起動は完了する。複合機100は、アクティブモード(印刷できる状態)で起動する。
タッチパネル32、ハードキー33の出力は通信部14にも入力される。第3供給モードでは、通信部14は、タッチパネル32又はハードキー33が操作されたことを認識する。なお、タッチパネル32、ハードキー33の出力を電源部8に入力してもよい。第3供給モードで電源部8がタッチパネル32又はハードキー33が操作されたことを認識したとき、電源部8は第2供給モードでの電力供給を開始する(省電力モードへの復帰)。これにより、メイン制御部1(メインブロック10)やエンジン制御部5が復帰する。また、メイン制御部1は、表示パネル31の表示を開始させる。
第2供給モードでは、操作パネル3を操作できる。操作パネル3がジョブの実行開始指示を受け付けたとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、第1供給モードへの移行を電源部8に要求する(アクティブモードへの復帰要求)。この要求を受け、電源部8(電源制御部83)は、第1供給モードでの電力供給を開始する。第1供給モードでの電力供給開始により、印刷部6、原稿搬送部4a、画像読取部4bの起動が完了する。複合機100にて、コピー、スキャン送信のようなジョブが実行される。
(結露防止機能に関する選択)
次に、図6を用いて、実施形態に係る複合機100でのモードの選択の一例を説明する。図6は、実施形態に係る結露防止機能選択画面34の一例を示す図である。
複合機100は、結露防止機能を有する。操作パネル3は、結露防止機能を用いるか否かを選択することができる。
結露防止機能は、電源部8を第3供給モードにしない機能である。複合機100の主電源がON状態、かつ、結露防止機能が機能している間、電源部8、メイン制御部1(メインブロック10と通信部14)、エンジン制御部5が動作を続ける。これらの部分から生ずる熱により、複合機100の内部にある画像形成部6c、特に感光体ドラム61の温度低下を防ぐことができる。
暖房が切られて時間が経過すると、室温が下がる。しかし、複合機100の主電源をOFFせず、かつ、結露防止機能が有効な場合、電源部8、メイン制御部1、エンジン制御部5から生ずる熱により、感光体ドラム61を室温よりも高い温度で保つことができる。例えば、業務終了により暖房をOFFし、翌朝、業務開始に伴い、暖房をONすることがある。暖房により温められた空気は、複合機100内に流れ込む。暖房で温められた空気は、感光体ドラム61に達する。しかし、感光体ドラム61は温め続けられている。
特に、電源部8は、複数の電力変換回路84を含む。電力変換回路84では熱が生ずる。しかも、電源部8は、感光体ドラム61の下方に設けられる。熱や暖かい空気は上昇し、感光体ドラム61を効率よく暖める。結露防止機能が機能しているとき、感光体ドラム61の温度は結露が生ずるほど低下しない。暖房で温められた空気に接しても、感光体ドラム61の結露が生じない。冬の工事現場のような寒さの厳しい環境でも、感光体ドラム61やトナー形成に関する部分の結露を防ぐことができる。暖房で大きく室温が上昇したときに印刷しても、結露による画質異常(像流れ)が生じない。
操作パネル3に所定の操作がなされたとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、結露防止機能選択画面34を表示パネル31に表示させる。結露防止機能選択画面34には、4つのラジオボタンが設けられる。第1ラジオボタンR1と第2ラジオボタンR2により、結露防止機能を用いるか否かを選択することができる。操作パネル3は、第1ラジオボタンR1への操作を、結露防止機能を利用しない選択として受け付ける。操作パネル3は第2ラジオボタンR2への操作を、結露防止機能を用いる選択として受け付ける。
また、第3ラジオボタンR3と第4ラジオボタンR4により、結露防止機能のモードを選択することができる。操作パネル3は、第3ラジオボタンR3への操作を、期間指定モードを利用する選択として受け付ける。操作パネル3は、第4ラジオボタンR4への操作を、自動判定モードを利用する選択として受け付ける。
期間指定モードは、結露防止機能を用いる期間を使用者が指定するモードである。期間指定モードが選択されたとき(第3ラジオボタンR3が操作されたとき)、メイン制御部1(メインブロック10)は、期間を指定するための画面を表示パネル31に表示させる。例えば、メイン制御部1(メインブロック10)は、期間の最初の月、日、時と最後の月、日、時を入力するための画面を表示パネルに表示させてもよい。
また、操作パネルは、指定期間とする(指定期間に含める)月日又は月の指定を受け付けてもよい。例えば、メイン制御部1は、カレンダーを表示パネル31に表示させる。使用者は、暖房をつけると結露が生じる季節、月日を勘案して、指定期間に含める月日を指定する。また、操作パネル3は、月単位での指定期間の設定を受け付けてもよい。操作パネル3は、指定期間とする(指定期間に含める)月日又は月の指定を受け付けてもよい。なお、複合機100の主電源をOFFする期間を指定しないようにすることもできる(例えば、長期休暇)。
期間(月日)が指定されたとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、指定期間データD1を記憶部2に不揮発的に記憶させる(図1参照)。指定期間データD1は、結露防止機能を用いるとして指定された期間を示すデータである。指定期間データD1を確認することにより、メイン制御部1は、今日が指定された期間内か否かを確認できる。
なお、現在(今日)の月日、時刻を確認できるようにするため、メイン制御部1に時計回路13が設けられてもよい(図1参照)。時計回路13は、年月日、時刻を計る回路である。時計回路13は、例えば、RTC(リアルタイムクロック)回路である。
自動判定モードは、複合機100(画像形成装置)が結露環境であるか否かを判定するモードである。結露環境とは、室内の暖房が入れられることにより、感光体ドラム61が結露するおそれがある環境である。結露環境と判定したとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、結露環境データD2を記憶部2に不揮発的に記憶させる(図1参照)。結露環境データD2は、結露環境と判定していることを示すフラグデータである。記憶部2の所定のアドレス(結露環境データD2を格納するアドレス)を確認することにより、メイン制御部1は、結露環境と認識すべきか否かを確認できる。
記憶部2が結露環境データD2を記憶している間(結露環境と認識している間)、メイン制御部1と電源部8は、結露防止機能を有効にする。記憶部2が結露環境データD2を記憶していないとき、メイン制御部1と電源部8は、結露防止機能を用いない(無効にする)。結露環境か否かの判定についての詳細は後述する。
(結露防止機能でのモード遷移)
次に、図7、図8を用いて、実施形態に係る結露防止機能を用いるときの供給モードの遷移の流れの一例を説明する。図7は、実施形態に係る結露防止機能を用いるときの供給モードの遷移の一例を示す。図8は、実施形態に係る結露防止機能を利用しないときの供給モードの遷移の一例を示す。
図7は、結露防止機能を用いるときのフローチャートである。言い換えると、図7は、結露防止機能が有効な場合のフローチャートである。図7のフローチャートが実行される場合は、以下のとおりである。
(1)結露防止機能及び期間指定モードを利用する選択がなされていて、指定期間内のとき(今日が指定期間に含まれる場合)。
(2)結露防止機能及び自動判定モードを利用する選択がなされていて、結露環境であるとメイン制御部1が認識している場合(結露環境データD2が記憶されている場合)。
図7のスタートは、メイン制御部1(メインブロック10)が(1)又は(2)の条件を充足していると確認した時点である。言い換えると、メイン制御部1が結露防止機能を用いると確認した時点である。指定期間データD1又は結露環境データD2を確認することにより、メイン制御部1は結露防止機能を用いるか否かを確認する。
複合機100の主電源が投入されたとき(メイン制御部1が起動したとき)、メイン制御部1(メインブロック10)は、(1)又は(2)の条件を充足しているか否かの確認を行ってもよい。また、第3供給モード(ディープスリープモード)から第1供給モード(アクティブモード)に復帰したとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、(1)又は(2)の条件を充足しているか否かの確認を行ってもよい。また、第2供給モード(省電力モード)から第1供給モードに復帰したとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、(1)又は(2)の条件を充足しているか否かの確認を行ってもよい。
なお、第3供給モード(ディープスリープモード)から第2供給モード(省電力モード)に復帰したときにも、メイン制御部1(メインブロック10)は、(1)又は(2)の条件を充足しているか否かの確認を行ってもよい。この場合、制御部(メインブロック10)は、ステップ♯15から処理を開始する。
まず、電源部8は第1供給モードとなる(ステップ♯11)。電源部8からの電力供給の開始により、メイン制御部1、記憶部2、操作パネル3、原稿搬送部4a、画像読取部4b、エンジン制御部5、印刷部6等が起動する。複合機100はアクティブモードで起動する。
メイン制御部1(メインブロック10)は、第2供給モードに移行すべきか(第1移行条件が満たされたか)否かの確認を続ける(ステップ♯12、ステップ♯12のNo→ステップ♯12)。第2供給モードに移行すべきとき(ステップ♯12のYes)、メイン制御部1(メインブロック10)は、第2供給モードへの移行を電源部8に要求する(ステップ♯13)。この要求に従い、電源部8は第2供給モードでの電力供給を行う(ステップ♯14)。これにより、複合機100は省電力モードとなる。
なお、第2供給モードにおいて、予めさだめられた時間、操作パネル3への操作がなかったとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、電源部8に表示パネル31への電力供給の停止を要求してもよい。電源部8はこの要求に基づき、表示パネル31への電力供給を停止する。使用されないまま表示パネル31を長時間点灯させ続けないようにすることができる。複合機100の消費電力を抑え、表示パネル31の寿命をのばすことができる。
指定期間内のとき、又は、記憶部2が結露環境データD2を記憶しているとき、第2供給モードの間、メイン制御部1は、第1供給モードに復帰すべきか否かの確認を続ける(ステップ♯15、ステップ♯15のNo→ステップ♯15)。第1供給モードへの復帰条件が満たされたとき、メイン制御部1は、第1供給モードへの移行を電源部8に要求する(ステップ♯16)。この要求に従い、電源部8は第1供給モードでの電力供給を行う(ステップ♯11)。に戻る。これにより、複合機100はアクティブモードとなる。
このように、指定期間内のとき、又は、記憶部2が結露環境データD2を記憶しているとき、メイン制御部1(メインブロック10と通信部14)は、第3供給モードでの電力供給を電源部8に行わせない。電源部8は第3供給モードでの電力供給を行わない。
次に、図8のフローチャートについて説明する。図8は、結露防止機能を用いないときのフローチャートである。図8のフローチャートが実行される場合は、以下のとおりである。
(4)結露防止機能を利用しない選択がなされている場合。
(5)結露防止機能及び期間指定モードを利用する選択がなされていて、指定期間外である場合。
(6)結露防止機能及び自動判定モードを利用する選択がなされていて結露環境であるとメイン制御部1が認識していない場合(結露環境データD2が記憶されていない場合)。
図8のスタートは、メイン制御部1(メインブロック10)が(4)~(6)の何れかの条件を充足していると確認した時点である。言い換えると、メイン制御部1が結露防止機能を用いないと確認した時点である。指定期間データD1又は結露環境データD2を確認することにより、メイン制御部1は結露防止機能を用いるか否かを確認できる。
複合機100の主電源が投入されたとき(メイン制御部1が起動したとき)、メイン制御部1(メインブロック10)は、(4)~(6)の何れかの条件を充足しているか否かの確認を行ってもよい。また、第3供給モード(ディープスリープモード)から第1供給モード(アクティブモード)に復帰したとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、(4)~(6)の何れかの条件を充足しているか否かの確認を行ってもよい。また、第2供給モード(省電力モード)から第1供給モードに復帰したとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、(4)~(6)の何れかの条件を充足しているか否かの確認を行ってもよい。
なお、第3供給モード(ディープスリープモード)から第2供給モード(省電力モード)に復帰したときにも、メイン制御部1(メインブロック10)は、(4)~(6)の何れかの条件を充足しているか否かの確認を行ってもよい。この場合、制御部(メインブロック10)は、ステップ♯25から処理を開始する。
まず、電源部8は第1供給モードとなる(ステップ♯21)。電源部8からの電力供給の開始により、メイン制御部1、記憶部2、操作パネル3、原稿搬送部4a、画像読取部4b、エンジン制御部5、印刷部6等が起動する。複合機100はアクティブモードで起動する。
メイン制御部1は、第2供給モードに移行すべきか否かの確認を続ける(ステップ♯22、ステップ♯22のNo→ステップ♯22)。第1移行条件が満たされたとき(ステップ♯22のYes)、メイン制御部1は、第2供給モードへの移行を電源部8に要求する(ステップ♯23)。この要求に従い、電源部8は第2供給モードでの電力供給を行う(ステップ♯24)。これにより、複合機100は省電力モードとなる。
結露防止機能を利用しないとき、指定期間外のとき、又は、結露環境データD2が記憶されていないとき、第2供給モードになると、メイン制御部1は、第1供給モードへの復帰条件が満たされたか否かを確認する(ステップ♯25)。第1供給モードへの復帰条件が満たされたとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、第1供給モードへの移行を電源部8に要求する(ステップ♯26)。この要求に従い、電源部8は第1供給モードでの電力供給を行う(ステップ♯21に戻る)。これにより、複合機100はアクティブモードとなる。
第1供給モードへの復帰条件が満たされたていないとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、第3供給モードに移行すべきか(第2移行条件が満たされたか)否かの確認する(ステップ♯27)。第3供給モードに移行すべきでないとき(ステップ♯27のNo)、メイン制御部1(メインブロック10)は、ステップ♯25を実行する(ステップ♯25に戻る)。第2移行条件が満たされたとき(ステップ♯27のYes)、メイン制御部1(メインブロック10)は、第3供給モードへの移行を電源部8に要求する(ステップ♯28)。この要求に従い、電源部8は第3供給モードでの電力供給を行う(ステップ♯29)。これにより、複合機100はディープスリープモードとなる。
第3供給モードになると、メイン制御部1(通信部14)は、第2供給モードに復帰すべきか否かを確認する(ステップ♯210)。第2供給モードへの復帰条件が満たされたとき(ステップ♯210のYes)、通信部14は、第2供給モードへの移行を電源部8に要求する(ステップ♯23に戻る)。この要求に従い、電源部8は第2供給モードでの電力供給を行う(ステップ♯24)。これにより、複合機100は省電力モードとなる。複合機100は使用者のジョブの設定を受け付ける状態となる。
第2供給モードへの復帰条件が満たされていないとき(ステップ♯210のNo)、メイン制御部1(通信部14)は、第1供給モードに復帰すべきか否かを確認する(ステップ♯211)。第1供給モードへの復帰条件が満たされていないとき(ステップ♯211のNo)、メイン制御部1(通信部14)はステップ♯210を実行する(ステップ♯210に戻る)。第1供給モードへの復帰条件が満たされたとき(ステップ♯211のYes)、通信部14は、第1供給モードへの移行を電源部8に要求する(ステップ♯212)。この要求に従い、電源部8は第1供給モードでの電力供給を行う(ステップ♯21に戻る)。これにより、複合機100はアクティブモードとなる。複合機100はジョブを実行できる状態に復帰する。
このように、指定期間外のとき、又は、記憶部2が結露環境データD2を記憶していないとき、メイン制御部1は、第3供給モードでの電力供給を行わせる。電源部8は、第3供給モードでの電力供給を行う。
複合機100の主電源が投入されている間(ONの間)、メイン制御部1(メインブロック10又は通信部14)は、供給モードの切り替えをすべきかの確認を続ける。複合機100の主電源が落とされた(OFFされた)とき、図7と図8のフローチャートは、終了する。
(結露環境の判定)
次に、図9~図11を用いて、実施形態に係る自動判定モードでの判定処理の一例を説明する。図9は、実施形態に係る第1の判定処理の一例を示す図である。図10は、実施形態に係る絶対湿度表の一例を示す図である。図11は、実施形態に係る第2の判定処理の一例を示す図である。
まず、自動判定モードでの結露環境か否かの判定のため、複合機100は、機内温度センサー91、機外温度センサー92、機外湿度センサー93を含む(図4参照)。機内温度センサー91は、複合機100の機内の温度を測るセンサーである。機内温度センサー91は、例えば、感光体ドラム61に向かい合う位置に設けられる。機内温度センサー91は、感光体ドラム61近傍の空気の温度に応じて、出力が変化する。機内温度センサー91の出力はメイン制御部1(メインブロック10)に入力される。機内温度センサー91の出力に基づき、メイン制御部1(メインブロック10)は、機内温度を認識する。
機外温度センサー92は複合機100の機外の温度を測るセンサーである。機外温度センサー92は、例えば、複合機100の通風口の部分、又は、筐体の外側に設けられる。機外温度センサー92は、複合機100の外側の空気の温度に応じて、出力が変化する。機外温度の出力はメイン制御部1(メインブロック10)に入力される。機外温度センサー92の出力に基づき、メイン制御部1(メインブロック10)は機外温度を認識する。
機外湿度センサー93は、複合機100の機外の空気の湿度を測るセンサーである。機外湿度センサー93は、例えば、複合機100の通風口の部分、又は、筐体の外側に設けられる。機外湿度センサー93は、複合機100の外側の空気の湿度に応じて、出力が変化する。機外温度の出力はメイン制御部1(メインブロック10)に入力される。機外温度センサー92の出力に基づき、メイン制御部1(メインブロック10)は、機外湿度(機外の空気の相対湿度)を認識する。
まず、図9を用いて、第1の判定処理の一例を説明する。複合機100の主電源が投入されたとき、又は、第3供給モード(ディープスリープモード)から第1供給モード(アクティブモード)又は第2供給モード(省電力モード)への復帰により、起動したとき、メイン制御部1(メインブロック10)は第1の判定処理を開始する。そのため、図9のスタートは、複合機100の主電源が投入されたとき、又は、第3供給モードから第1供給モード又は第2供給モード(省電力モード)に復帰した時点である。
各センサーの出力に基づき、メイン制御部1(メインブロック10)は、機内温度、機外温度、機外湿度(相対湿度)を認識する(ステップ♯31)。次に、メイン制御部1(メインブロック10)は機内温度に対応する飽和水蒸気量を認識する(ステップ♯32)。飽和水蒸気量の認識のため、記憶部2は絶対湿度データD3を記憶する(図1参照)。
図10は絶対湿度データD3の一例を示す図である。絶対湿度データD3は、気温と湿度の組み合わせに対応する飽和水蒸気量を定義したデータである。例えば、絶対湿度データD3は表(テーブル)形式である。メイン制御部1(メインブロック10)は、絶対湿度データD3を参照して、認識した機内温度での飽和水蒸気量を認識する。
次に、機外温度と機外湿度に基づき、メイン制御部1(メインブロック10)は、機外の空気の単位体積当たりの水分量(絶対湿度)を求める(ステップ♯33)。単位体積当たりの水分量の単位は、グラム/立方メートルである。具体的に、メイン制御部1(メインブロック10)は、絶対湿度データD3を参照する。そして、メイン制御部1(メインブロック10)は、機外温度に対応する飽和水蒸気量を求める。メイン制御部1(メインブロック10)は、機外温度に対応する飽和水蒸気量に機外湿度を乗ずることにより、単位体積当たりの水分量を求める。
次に、メイン制御部1(メインブロック10)は、求めた水分量が認識した機内温度の飽和水蒸気量よりも多いか否かを確認する(ステップ♯34)。多ければ(ステップ♯34のYes)、感光体ドラム61に触れることにより、機外(室内)の空気が冷えると、水滴が感光体ドラム61に付着する。そこで、多いとき(ステップ♯34のYes)、メイン制御部1(メインブロック10)は、結露環境であると判定する(ステップ♯35)。言い換えると、メイン制御部1は、複合機100が結露環境に設置されていると判定する。
結露環境と判定したとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、結露環境データD2(結露環境であることを示すフラグ)を記憶部2に不揮発的に記憶させる(ステップ♯36)。既に、記憶部2に結露環境であることを示すフラグが書き込まれているとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、ステップ♯36をスキップしてもよい。
次に、メイン制御部1(メインブロック10)は、結露環境と判定した結果を判定ログデータD4に追加する(ステップ♯37)。記憶部2は判定ログデータD4を不揮発的に記憶する(図1参照)。例えば、メイン制御部1(メインブロック10)は、結露環境と判定した日時を判定ログデータD4の最終行に追加する。そして、メイン制御部1(メインブロック10)は、本フローチャートを終了させる(エンド)。一方、水分量が認識した機内温度の飽和水蒸気量以下のとき(ステップ♯34のNo)、メイン制御部1(メインブロック10)は、本フローチャートを終了させる(エンド)。
次に、図11を用いて、第2の判定処理の一例を説明する。複合機100の主電源が投入されている間、メイン制御部1(メインブロック10)は、第2の判定処理を周期的に行う。例えば、メイン制御部1(メインブロック10)は、主電源の投入後、予め定められた実行周期が経過するごとに1回、第2の判定処理を行う。実行周期は、例えば、1時間~数時間である。なお、操作パネル3は、第2の判定処理の実行周期の設定を受け付けてもよい。この場合、メイン制御部1(メインブロック10)は、設定された実行周期に基づき、第2の判定処理を行う。
第2の判定処理を実行するとき、電源部8が第3供給モードで電力を供給している場合がある。この場合、メインブロック10は動作していない。そこで、第3供給モードのとき、通信部14は、第2の判定処理の実行時点になったこと(実行周期が経過したこと)を認識する。第2の判定処理を実行時点になったとき、通信部14は、メイン制御部1(メインブロック10)、記憶部2、機外温度センサー92への電力供給の一時再開を電源部8に要求する。
一時再開により、メイン制御部1(メインブロック10)、記憶部2、機外温度センサー92が一時復帰する。そして、メイン制御部1(メインブロック10)は、第2の判定処理を実行する。第2の判定処理(図11のフローチャート)が完了すると、メイン制御部1(メインブロック10)は、メインブロック10、記憶部2、機外温度センサー92への電力供給の停止を要求する。これにより、第2判定処理のための一時的な電力供給再開が終了する。
図11のスタートは、複合機100の主電源が投入された時点である。まず、メイン制御部1(メインブロック10)は、機外温度を認識する(ステップ♯41)。メイン制御部1は、機外温度センサー92の出力に基づき、機外温度を検知する。メイン制御部1(メインブロック10)は、検知した機外温度を記憶部2に不揮発的に記憶させる(ステップ♯42)。
次に、メイン制御部1(メインブロック10又は通信部14)は、直前の機外温度の記憶から第2の判定処理の実行周期が経過したか否かの確認を続ける。(ステップ♯43、ステップ♯43のNo→ステップ♯43)。実行周期が経過したしたとき(ステップ♯43のYes)、メイン制御部1は、機外温度を認識する(ステップ♯44)。メイン制御部1は、新たに検知した機外温度を記憶部2に不揮発的に記憶させる(ステップ♯45)。
そして、メイン制御部1(メインブロック10)は、実行周期間に、予め定められた閾値D5以上、機外温度が上がったか否かを確認する(ステップ♯46)。具体的に、メイン制御部1(メインブロック10)は、新たに検知した機内温度から1実行周期前の機内温度を減算する。減算で得られた値が閾値D5以上のとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、ステップ♯46をYesと判定する。減算で得られた値が閾値D5未満のとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、ステップ♯46をNoと判定する。
閾値D5は予め定められる。記憶部2は閾値D5を不揮発的に記憶する。閾値D5は、例えば、10度~15度のうち、何れかの温度とされる。また、操作パネル3は閾値D5の設定を受け付けてもよい。この場合、メイン制御部1(メインブロック10)は設定された閾値D5を記憶部2に記憶させる。メイン制御部1(メインブロック10)は、ステップ♯46の処理で設定された閾値D5を用いる。
ここで、結露防止機能が有効な場合(第3供給モードに移行しない間)、感光体ドラム61は、電源部8、メイン制御部1、エンジン制御部5の熱で温められる。機内温度は、寒い室内よりも暖かい。第1の判定処理のみでは、結露環境か否かを正確に判定できない場合がある。
そこで、メイン制御部1(メインブロック10)は、第2の判定処理(ステップ♯46の処理)を行う。ステップ♯46の処理は、暖房により急速に室温が上昇したか否かを確認する処理である。室温が急速に上昇したとき、感光体ドラム61で結露が生じやすい。第2の判定処理を行うことにより、結露環境の判定漏れを防ぐことができる。
閾値D5以上、機外温度が上がったとき(ステップ♯46のYes)、メイン制御部1(メインブロック10)は、複合機100は結露環境に設置されていると判定する(ステップ♯47)。そして、メイン制御部1(メインブロック10)は、結露環境データD2(結露環境であることを示すフラグ)を記憶部2に不揮発的に記憶させる(ステップ♯48)。既に、記憶部2に結露環境であることを示すフラグが書き込まれているとき、メイン制御部1(メインブロック10)は、ステップ♯48をスキップしてもよい。また、メイン制御部1(メインブロック10)は、結露環境と判定した結果を判定ログデータD4に追加する(ステップ♯49)。例えば、メイン制御部1(メインブロック10)は、結露環境と判定した日時を判定ログデータD4の最終行に追加する。そして、メイン制御部1(メインブロック10又は通信部14)は、ステップ♯43を実行する(ステップ♯43に戻る)。これにより、周期的に、結露環境か否かの判定がなされる。
機外温度の上昇が閾値D5未満のとき(ステップ♯46のNo)、メイン制御部1(メインブロック10)は、予め定められた一定期間内に、結露環境と判定したことがあるか否かを確認する(ステップ♯410)。第1の判定手法の判定結果と、第2の判定手法の判定結果の両方が考慮される。
具体的に、メイン制御部1(メインブロック10)は、判定ログデータD4を参照する。一定期間は、例えば、一定期間は1週間~1ヶ月の間の範囲内で定められる。操作パネル3は一定期間の設定を受け付けてもよい。この場合、メイン制御部1(メインブロック10)は設定された一定期間を記憶部2に記憶させる。メイン制御部1(メインブロック10)は、ステップ♯49の処理で設定された一定期間を用いる。
一定期間内に結露環境と判定したことがないとき(ステップ♯410のNo)、メイン制御部1(メインブロック10)は、結露環境データD2を消去する(ステップ♯411)。メイン制御部1は、複合機100が結露環境に設置されていることを示すフラグを消す。データ(フラグ)消去により、以後、結露環境データD2がないので、メイン制御部1(メインブロック10)は、複合機100が結露環境にない、と認識する。
一定期間内に結露環境と判定したことがあるとき(ステップ♯410のYes)、メイン制御部1(メインブロック10)は、結露環境データD2(フラグ)を消さない(ステップ♯412)。暖かい季節になったと即断できないためである。
ステップ♯411、ステップ♯412の後、メイン制御部1(メインブロック10又は通信部14)は、ステップ♯43を実行する(ステップ♯43に戻る)。このように、メイン制御部1(メインブロック10)は、周期的に第2の判定処理を行う。結露環境か否かを問わず、メイン制御部1は、第2の判定処理を行う。
このようにして、期間指定モードを利用できる画像形成装置は、印刷部6、加熱部7、制御部(メイン制御部1とエンジン制御部5)、電源部8を備える。印刷部6は、感光体ドラム61を有し、トナー像を形成する画像形成部6cを含む。また、印刷部6は、加熱回転体66を有しトナー像が転写された用紙を加熱する定着部6dを含む。加熱部7は加熱回転体66を加熱する。制御部は、制御回路11を含み、制御を行う。電源部8は、印刷部6、加熱部7及び制御部への電力供給のON/OFFを行う。電源部8は、第1供給モード、第2供給モード、第3供給モードの何れかのモードで電力を供給する。第1供給モードは、印刷部6で印刷できるように電力を供給し、第2供給モードと第3供給モードよりも供給する電力が大きい。第2供給モードは、第3供給モードよりも供給する電力が大きい。予め指定された指定期間以外では、電源部8は、予め定められた第1移行条件が満たされたとき、第1供給モードでの電力供給から第2供給モードでの電力供給に切り替える。予め定められた第2移行条件が満たされたとき、電源部8は、第2供給モードでの電力供給から第3供給モードでの電力供給に切り替える。指定期間では、電源部8は、第1移行条件が満たされたとき、第1供給モードでの電力供給から第2供給モードでの電力供給に切り替える。電源部8は、第2供給モードでの電力供給から第3供給モードでの電力供給に切り替えず、第2供給モードを維持する。
この構成によれば、主電源をOFFしない限り、指定期間では、画像形成装置の消費電力の低下を抑えることができる。意図的に第3供給モード(ディープスリープモード)への移行を防ぐことができる。結露が生じないように画像形成装置の電力消費量を意図的に上昇させることができる。指定期間か否かによって、電源部8の電力供給のモードの種類を切り替えることができる。
第2供給モードは、第3供給モードよりも電力を消費する部分が多い。指定期間では、第2供給モードで電力を消費する部分(例えば、電源部8)から生ずる熱によって、トナー像形成に関する回転体(例えば、感光体ドラム61)を温めることができる。暖房が切られて室温が低下しても、感光体ドラム61の温度低下を防ぐことができる。感光体ドラム61の冷えすぎを防ぐことができる。暖房ONによって室温が上昇しても、結露が生じないように感光体ドラム61の温度を保ち続けることができる。さらに、感光体ドラム61だけでなくトナー像を形成に関連する部分(例えば、現像装置64)も温めることができる。トナー像形成に関する部分全体で結露の発生を防ぐことができる。従って、暖房のON/OFFで室温が大きく変わる環境において、トナー像形成に関する回転体での結露を防ぐことができる。また、感光体ドラム61用ヒーターを設けなくても、結露が生じないように感光体ドラム61を温め続けることができる。電源部8の発熱量が維持され、あたかも保温ヒーターを追加したかの様に機内を保温することができる。また、指定期間外では、画像形成装置の電力消費量を抑えることができる。
画像形成装置(複合機100)は、指定期間の指定を受け付ける操作パネル3を含む。指定期間を使用者が設定することができる。季節にあわせて指定期間を設定することができる。北半球であるか南半球であるかを問わず、結露が生じないように暖房OFF中に感光体ドラム61を温める期間を自由に設定することができる。
操作パネル3は、指定期間とする月日又は月の指定を受け付けてもよい。使用者は指定期間に含める月日を細かく設定することができる。また、使用者は、月単位で指定期間を定めることもできる。
一方、自動判定モードを利用できる画像形成装置(複合機100)は、印刷部6、加熱部7、制御部(メイン制御部1とエンジン制御部5)、電源部8、機内温度センサー91、機外温度センサー92、機外湿度センサー93、記憶部2を備える。印刷部6は、感光体ドラム61を有し、トナー像を形成する画像形成部6cを含む。また、印刷部6は、加熱回転体66を有しトナー像が転写された用紙を加熱する定着部6dを含む。加熱部7は加熱回転体66を加熱する。制御部は、制御回路11を含み、制御を行う。電源部8は、印刷部6、加熱部7及び制御部への電力供給のON/OFFを行う。機内温度センサー91は、機内温度を検知する。機外温度センサー92は機外温度を検知する。機外湿度センサー93は、機外湿度を検知する。電源部8は、第1供給モード、第2供給モード、第3供給モードの何れかのモードで電力を供給する。第1供給モードは、印刷部6で印刷できるように電力を供給する。第1供給モードは第2供給モードと第3供給モードよりも供給する電力が大きい。第2供給モードは、第3供給モードよりも供給する電力が大きい。制御部は、機内温度センサー91の出力に基づき機内温度を認識する。制御部は、機外温度センサー92の出力に基づき機外温度を認識する。制御部は、機外湿度センサー93の出力に基づき機外湿度を認識する。認識した機内温度と機外温度と機外湿度に基づき、制御部は、結露環境であるか否かを判定する。結露環境と判定したとき、制御部は、結露環境であることを示す結露環境データD2を記憶部2に不揮発的に記憶させる。記憶部2が結露環境データD2を記憶していないとき、電源部8は、予め定められた第1移行条件が満たされたとき、第1供給モードでの電力供給から第2供給モードでの電力供給に切り替える。予め定められた第2移行条件が満たされたとき、電源部8は、第2供給モードでの電力供給から第3供給モードでの電力供給に切り替える。記憶部2が結露環境データD2を記憶しているとき、電源部8は、第1移行条件が満たされたとき、第1供給モードでの電力供給から第2供給モードでの電力供給に切り替える。電源部8は、第2供給モードでの電力供給から第3供給モードでの電力供給に切り替えずに第2供給モードを維持する。
この構成によれば、暖房のON/OFFにより結露が生ずる環境か否かを判定することができる。結露環境データD2を記憶している間(寒い季節の間)、画像形成装置の消費電力の低下を自動的に抑えることができる。第3供給モードへの移行を自動的に防ぐことができる。結露が生じないように画像形成装置の電力消費量を意図的に上昇させることができる。電源部8の電力供給のモードの種類を自動的に切り替えることができる。
第2供給モードは、第3供給モードよりも電力を消費する部分が多い。結露環境データD2を記憶している間(寒い季節の間)、主電源をOFFしない限り、第2供給モードで電力を消費する部分(例えば、電源部8)から生ずる熱によって、トナー像形成に関する回転体(例えば、感光体ドラム61)を温めることができる。暖房が切られて室温が低下しても、感光体ドラム61の温度低下を防ぐことができる。感光体ドラム61の冷えすぎを防ぐことができる。暖房ONによって室温が上昇しても、結露が生じないように感光体ドラム61の温度を保ち続けることができる。寒い季節になると、結露が生じないように画像形成装置の電力消費量を自動的に上昇させることができる。暖房のON/OFFによって結露が生ずる季節か否かによって、電源部8の電力供給のモードの種類を自動的に切り替えることができる。
また、感光体ドラム61用ヒーターを設けなくても、結露が生じないように感光体ドラム61を自動的に温め続けることができる。また、暖房のON/OFFによって結露が生ずる季節がすぎれば、画像形成装置の電力消費量を自動的に抑えることができる。さらに、結露環境データD2(結露環境であることを示すフラグ)が記憶されているかに基づき、画像形成装置が結露環境に設置されているか否かを確認(認識)することができる。
制御部は、機外温度と機外湿度に基づき機外の空気の単位体積当たりの水分量を求める。制御部は、機内温度での飽和水蒸気量を認識する。求めた水分量が認識した飽和水蒸気量よりも多いとき、制御部は、結露環境であると判定する。結露が生ずる環境か否かを正確に判定することができる。結露が生じないのに結露が生ずると誤判定することがない。
また、制御部は、予め定められた実行周期ごとに機外温度を認識する。制御部は、機外温度が、予め定められた閾値D5以上、実行周期中に上がったか否かを確認する。一定期間以上、機外温度が閾値D5以上に実行周期中に上がったことがないとき、制御部は、結露環境でないと判定する。結露環境でないと判定したとき、制御部は、結露環境データD2を記憶部2に消去させる。一定期間以内に、機外温度が閾値D5以上に実行周期中に上がっている場合、機外温度が閾値D5以上に実行周期中に上がっていなくても、制御部は、結露環境データD2を記憶部2に消去させない。結露環境(結露が生ずる環境)にある間、感光体ドラム61及び画像形成装置の機内が暖められる。室内の温度が下がっても、機内温度は室内の温度ほど下がらない。結露環境と判定しているとき、機内温度を参照して現在の環境が結露環境か否かを正確に判定することが難しくなる。そこで、機外温度の変化量に基づき現在の環境が結露環境か否かも判定する。結露環境か否かを正確に判定することができる。暖房のON/OFFによって結露が生じなくなったとき(暖かい季節になったとき)、第3供給モードへの移行制限を自動的に解除することができる。
第1供給モードの場合、電源部8は、印刷部6、加熱部7、制御部への電力供給を行う。第1供給モードでは、制御部は、加熱回転体66の温度を定着制御温度で加熱部7に維持させる。定着制御温度は、トナーを用紙に定着させるときの加熱回転体66の温度である。第2供給モードの場合、電源部8は、制御部への電力供給を行うが、印刷部6と加熱部7への電力供給を停止する。第3供給モードの場合、電源部8は、印刷部6と加熱部7への電力供給を停止し、制御部への電力供給を制限する。
指定期間では、複合機100の主電源をOFFしない限り、電源部8と制御部から生ずる熱により、感光体ドラム61を温め続けることができる。指定期間外では、第3供給モードで電力を供給することにより、画像形成装置での電力消費をできるだけ抑えることができる。
電源部8は、感光体ドラム61の下方に設けられる。熱は上昇する傾向がある。指定期間では、電源部8から立ち上がる熱により、感光体ドラム61やトナー像形成に関する部材を効率よく温めることができる。
制御部は、メイン制御部1とエンジン制御部5を含む。エンジン制御部5はメイン制御部1の指示に基づき、印刷部6の動作を制御する。電源部8は、第1供給モードと第2供給モードでは、メイン制御部1とエンジン制御部5に電力を供給する。電源部8は、第3供給モードでは、メイン制御部1への電力供給を制限し、エンジン制御部5への電力供給を停止する。第3供給モードにおいて、エンジン制御部5への電力供給を停止し、メイン制御部1の電力供給を制限することができる。第3供給モードでの画像形成装置の消費電力をできるだけ減らすことができる。
メイン制御部1は外部と通信する通信部14を含む。電源部8は、第1供給モード、第2供給モード、第3供給モードの何れでも通信部14に電力を供給する。電源部8は、第1供給モードと第2供給モードでは、メイン制御部1のメインブロック10と通信部14の両方に電力を供給する。第3供給モードでは、メインブロック10への電力供給を停止する。印刷用データを受信したとき、通信部14は、電源部8に第1供給モードへの復帰を要求する。第1供給モードへの復帰要求を受信したとき、電源部8は、第1供給モードでの電力供給を行う。第3供給モードでは、メイン制御部1の電力供給先を、外部と通信する通信部14に絞ることができる。第3供給モードでの画像形成装置の消費電力をできるだけ減らすことができる。また、通信部14は何れのモードでも動作するので、画像形成装置の消費電力を落としていても、印刷指示(印刷用データ)を受信することができる。印刷用データを受信したとき、画像形成装置を印刷できる状態に速やかに戻すことができる。
感光体ドラム61は、感光体がアモルファスシリコンのドラムでもよい。結露が生じないので印刷物の画質が高く、かつ、長寿命な画像形成装置を提供することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。