JP7205442B2 - 固体電解質およびフッ化物イオン電池 - Google Patents

固体電解質およびフッ化物イオン電池 Download PDF

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Description

本開示は、固体電解質およびフッ化物イオン電池に関する。
高電圧かつ高エネルギー密度な電池として、例えばLiイオン電池が知られている。Liイオン電池は、Liイオンと正極活物質との反応、および、Liイオンと負極活物質との反応を利用したカチオンベースの電池である。一方、アニオンベースの電池として、フッ化物イオン(フッ化物アニオン)の反応を利用したフッ化物イオン電池が知られている。例えば、非特許文献1には、フッ化物イオン伝導性を有する固体電解質として、(1-x)BaF:xCaFの組成を有する固体電解質が開示されている。
B. Ruprecht et al., "High anion conductivity in a ternary non-equilibrium phase of BaF2 and CaF2 with mixed cations", Phys. Chem. Chem. Phys. 2009, 11, 3071-3081
実用面を考慮すると、固体電解質は、フッ化物イオン伝導の活性化エネルギーが小さいことが好ましい。フッ化物イオン伝導の活性化エネルギーが小さいと、相対的に、低温域(例えば常温付近の温度域)でのフッ化物イオン伝導度が有利になるからである。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、フッ化物イオン伝導の活性化エネルギーが小さい固体電解質を提供することを主目的とする。
上記課題を達成するために、本開示においては、フッ化物イオン伝導性を有する固体電解質であって、M(Mは1種または2種以上の金属である)で表される結晶相を備える、固体電解質を提供する。
本開示によれば、上記結晶相を有することから、フッ化物イオン伝導の活性化エネルギーが小さい固体電解質とすることができる。
上記開示においては、上記結晶相が、上記Mとして、価数が異なる同一の金属を含有していてもよい。
上記開示においては、上記結晶相が、上記価数が異なる同一の金属として、Yb、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、TmおよびLuの少なくとも一つを含有していてもよい。
上記開示においては、上記結晶相が、上記価数が異なる同一の金属として、少なくともYbを含有していてもよい。
上記開示においては、上記結晶相が、CuKα線を用いたXRD測定において、2θ=27.2°±0.5°、32.9°±0.5°、44.0°±0.5°の位置にピークを有していてもよい。
上記開示においては、上記結晶相が、上記Mとして、3価のM’および2価のM”(M’およびM”は、互いに異なる金属である)を含有し、(M’M”)Fで表されてもよい。
また、本開示においては、正極活物質層と、負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された電解質層とを有するフッ化物イオン電池であって、上記正極活物質層、上記負極活物質層および上記電解質層の少なくとも一つが、上述した固体電解質を含有する、フッ化物イオン電池を提供する。
本開示によれば、上述した固体電解質を用いることで、フッ化物イオン伝導の活性化エネルギーが小さいフッ化物イオン電池とすることができる。
上記開示においては、上記正極活物質層および上記負極活物質層の少なくとも一方が、上記固体電解質を含有していてもよい。
本開示においては、フッ化物イオン伝導の活性化エネルギーが小さい固体電解質を提供できるという効果を奏する。
本開示におけるフッ化物イオン電池を例示する概略断面図である。 実施例1で得られた固体電解質に対するXRD測定の結果である。 成形用治具を説明する説明図である。 実施例1および比較例1~3で得られた固体電解質におけるフッ化物イオン伝導度の温度依存性を示すグラフである。 実施例1で得られた固体電解質における電子伝導度の温度依存性を示すグラフである。
以下、本開示における固体電解質およびフッ化物イオン電池について、詳細に説明する。
A.固体電解質
本開示における固体電解質は、フッ化物イオン伝導性を有する固体電解質であって、M(Mは1種または2種以上の金属である)で表される結晶相を備える。
本開示によれば、上記結晶相を有することから、フッ化物イオン伝導の活性化エネルギーが小さい固体電解質とすることができる。そのため、本開示における固体電解質は、相対的に、低温域(例えば常温付近の温度域)でのフッ化物イオン伝導度が有利な材料であるといえる。
ここで、フッ化物イオン(F)は、イオン半径が1.3Åと大きいため、固体電解質における結晶格子内の電子密度分布を歪ませながら伝導する。F元素は、全ての元素の中で最も電気陰性度が高い。そのため、周囲のカチオンから電子を奪い、最外殻の2p軌道が完全に占有され硬いアニオン(hard anion)になりやすい。一方、電子を奪われたカチオンは、内殻電子のみが存在する硬いカチオン(hard cation)になりやすい。硬いアニオンおよび硬いカチオンで構成される結晶構造では、F伝導時に、結晶格子内の電子密度分布が歪みにくく、活性化エネルギーが大きくなりやすい。
これに対して、本開示における固体電解質は、M(Mは1種または2種以上の金属である)で表される結晶相を備える、フルオロサルファイド系の固体電解質である。上記結晶相は、S2-を含む。S2-は、分極が大きく、柔らかいアニオン(soft anion)であるため、F伝導時に、結晶格子内の電子密度分布が歪みやすくでき、活性化エネルギーを小さくできる。
一般的に、固体電解質のフッ化物イオン伝導度は温度依存性を有し、温度が高くなるとフッ化物イオン伝導度は高くなり、温度が低くなるとフッ化物イオン伝導度は低くなる。また、いわゆるアレニウスプロットの傾きから、フッ化物イオン伝導の活性化エネルギーを求めることができる。傾きが小さくなる程、高温域から低温域(例えば常温付近の温度域)に温度が変化した場合における、フッ化物イオン伝導度の低下率を小さくできる。言い換えると、フッ化物イオン伝導の活性化エネルギーが小さい程、相対的に、低温域でのフッ化物イオン伝導度が有利な材料であるといえる。本開示における固体電解質は、フッ化物イオン伝導の活性化エネルギーが小さいため、相対的に、低温域でのフッ化物イオン伝導度が有利な材料であるといえる。
また、上記結晶相は、Fの周囲に存在するカチオンの配置が、蛍石構造におけるカチオンの配置と類似している。蛍石構造では、カチオン間の空隙が大きいため、フッ化物イオンが伝導しやすい。そのため、上記結晶相も、フッ化物イオンが伝導しやすい構造を有している。そのため、本開示における固体電解質は、良好なフッ化物イオン伝導度を有する固体電解質とすることができる。なお、非特許文献1に記載された(1-x)BaF:xCaF(=CaBa1-x)、および、その原料であるBaFおよびCaFは、いずれも、蛍石構造を有する。
本開示における固体電解質は、M(Mは1種または2種以上の金属である)で表される結晶相を備える。上記結晶相は、M元素と、F元素と、S元素とを有する。なお、ここでいう「種」とは、元素の種類をいう。そのため、例えば、結晶相が、Mとして価数が異なる同一の金属を含有する場合も、1種の金属であると判断される。
上記結晶相は、Mとして、価数が異なる同一の金属を含有することが好ましい。フッ化物イオン伝導性に加えて、良好な電子伝導性を有する固体電解質となるからである。すなわち、イオン-電子の混合伝導体である固体電解質となる。このような固体電解質を活物質層に用いると、導電材の使用量を相対的に低減できるため、エネルギー密度の向上を図ることができる。上記結晶相が、Mとして、価数が異なる同一の金属を含有する場合、その同一の金属間で原子価揺動が生じ、電子伝導性が発現すると推測される。
価数が異なる同一の金属は、例えば、2価の金属および3価の金属の組み合わせであることが好ましい。また、価数が異なる同一の金属としては、例えば、Yb、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、TmおよびLuが挙げられる。上記結晶相は、Mとして、価数が異なる同一の金属を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有してもよい。特に、本開示においては、結晶相が、価数が異なる同一の金属として、少なくともYbを含有することが好ましい。
一方、結晶相は、Mとして、3価のM’および2価のM”(M’およびM”は、互いに異なる金属である)を含有し、(M’M”)Fで表されることが好ましい。Fの価数は、通常、-8であるため、M(=M’M”)が+8となる組み合わせであれば、フッ化物イオン伝導の活性化エネルギーが小さい固体電解質とすることができる。
M’としては、例えば、Al、Sc、Ga、Y、In、SbおよびBiが挙げられる。上記結晶相は、M’として、価数が異なる同一の金属を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有してもよい。一方、M”としては、例えば、Be、Mg、Ca、Zn、Sr、Sn、BaおよびPbが挙げられる。上記結晶相は、M”として、価数が異なる同一の金属を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有してもよい。また、M’およびM”として、上述した「価数が異なる同一の金属」に例示した金属を用いることもできる。
本開示における固体電解質は、上記結晶相(Mで表される結晶相)を主相として備えることが好ましい。固体電解質に含まれる全ての結晶相に対する上記結晶相の割合は、例えば50重量%以上であり、70重量%以上であってもよく、90重量%以上であってもよい。上記結晶相の割合は、例えば、放射光XRDにより測定することができる。
本開示における固体電解質は、上記結晶相として、Yb結晶相、または、それに類似する結晶構造を有する類似結晶相を備えることが好ましい。類似結晶相は、例えば、YbにおけるYbの一部が他の金属に置換された結晶相が挙げられる。これらの結晶相は、CuKα線を用いたXRD測定において、通常、2θ= 27.2°±0.5°、28.4°±0.5°、32.9°±0.5°、44.0°±0.5°、47.2°±0.5°、49.5°±0.5°、55.3°±0.5°の位置に典型的なピークを有する。これらのピーク位置は、それぞれ独立に、±0.3°の範囲内であってもよく、±0.1°の範囲内であってもよい。
本開示における固体電解質は、上記結晶相に加えて、YbS結晶相、または、それに類似する結晶構造を有する類似結晶相を備えることが好ましい。類似結晶相は、例えば、YbSにおけるYbの一部が他の金属に置換された結晶相が挙げられる。これらの結晶相は、CuKα線を用いたXRD測定において、通常、2θ=27.5°±0.5°、30.9°±0.5°、39.3°±0.5°、48.8°±0.5°、50.6°±0.5°の位置に典型的なピークを有する。また、Yb結晶相またはその類似結晶相における2θ=27.2°付近のピーク強度をIとし、YbS結晶相またはその類似結晶相における2θ=30.9°付近のピーク強度をIとした場合に、Iに対するIの割合(I/I)は、例えば0.5以下であり、0.21以下であってもよい。一方、I/Iは、0であってもよく、0より大きくてもよく、0.1以上であってもよい。
本開示における固体電解質は、M元素(Mは1種または2種以上の金属である)、F元素およびS元素のみを含有していてもよく、他の元素をさらに含有していてもよい。固体電解質に含まれる全ての元素に対する、M元素、F元素およびS元素の合計割合は、例えば80mol%以上であり、90mol%以上であってもよい。
本開示における固体電解質は、例えば、M3+a4+b2+c(-0.5≦a≦0.5、-0.5≦b≦0.5、-0.3≦c≦0.3)で表される組成を有していてもよい。aは、-0.3≦aを満たしてもよく、-0.1≦aを満たしてもよい。同様に、aは、a≦0.3を満たしてもよく、a≦0.1を満たしてもよい。bは、-0.3≦bを満たしてもよく、-0.1≦bを満たしてもよい。同様に、bは、b≦0.3を満たしてもよく、b≦0.1を満たしてもよい。cは、-0.2≦cを満たしてもよく、-0.1≦cを満たしてもよい。同様に、cは、c≦0.2を満たしてもよく、c≦0.1を満たしてもよい。
本開示における固体電解質は、フッ化物イオン伝導性を有する。「固体電解質がフッ化物イオン伝導性を有する」とは、25℃における固体電解質のフッ化物イオン伝導度が1×10-10S/cmよりも大きいことをいう。25℃における固体電解質のフッ化物イオン伝導度は、1×10-9S/cm以上であることが好ましく、1×10-8S/cm以上であることがより好ましく、1×10-7S/cm以上であることがさらに好ましい。フッ化物イオン伝導の活性化エネルギーは、例えば0.45eV以下であり、0.3eV以下であってもよく、0.2eV以下であってもよい。
本開示における固体電解質は、電子伝導性を有していてもよく、電子伝導性を有していなくてもよい。「固体電解質が電子伝導性を有する」とは、25℃における固体電解質の電子伝導度が1×10-10S/cmよりも大きいことをいい、「固体電解質が電子伝導性を有しない」とは、25℃における固体電解質の電子伝導度が1×10-10S/cm以下であることをいう。25℃における固体電解質の電子伝導度は、1×10-9S/cm以上であってもよく、1×10-8S/cm以上であってもよく、1×10-7S/cm以上であってもよく、1×10-6S/cm以上であってもよい。
固体電解質の形状としては、例えば、粒子状が挙げられる。固体電解質の平均粒径(D50)は、例えば1nm以上であり、5nm以上であってもよい。一方、固体電解質の平均粒径(D50)は、例えば30μm以下であり、10μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。なお、平均粒径(D50)は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)による測定から算出できる。サンプル数は多いことが好ましく、例えば100以上である。
固体電解質の製造方法は、特に限定されないが、例えば固相反応法が挙げられる。固相反応法では、例えば、M単体、S単体およびMFを含有する組成物を、減圧下で熱処理する方法が挙げられる。熱処理温度は、例えば600℃以上であり、700℃以上であってもよく、800℃以上であってもよい。一方、熱処理温度は、例えば1200℃以下である。また、熱処理時間は、例えば1時間以上であり、20時間以上であってもよく、40時間以上であってもよい。一方、熱処理時間は、例えば100時間以下である。
B.フッ化物イオン電池
図1は、本開示におけるフッ化物イオン電池の一例を示す概略断面図である。図1に示されるフッ化物イオン電池10は、正極活物質層1と、負極活物質層2と、正極活物質層1および負極活物質層2の間に形成された電解質層3と、正極活物質層1の集電を行う正極集電体4と、負極活物質層2の集電を行う負極集電体5と、これらの部材を収納する電池ケース6とを有する。本開示においては、正極活物質層1、負極活物質層2および電解質層3の少なくとも一つが、上述した固体電解質を含有する。
本開示によれば、上述した固体電解質を用いることで、フッ化物イオン伝導の活性化エネルギーが小さいフッ化物イオン電池とすることができる。
1.正極活物質層
本開示における正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含有する層である。正極活物質においては、通常、充電時にフッ化反応が生じ、放電時に脱フッ化反応が生じる。また、正極活物質層は、正極活物質の他に、導電材、バインダーおよび電解質の少なくとも一つをさらに含有していてもよい。
正極活物質としては、例えば、金属単体、合金、金属酸化物、および、これらのフッ化物が挙げられる。正極活物質に含まれる金属元素としては、例えば、Cu、Ag、Ni、Co、Pb、Ce、Mn、Au、Pt、Rh、V、Os、Ru、Fe、Cr、Bi、Nb、Sb、Ti、Sn、Znが挙げられる。また、正極活物質の他の例として、炭素材料、および、そのフッ化物が挙げられる。炭素材料としては、例えば、黒鉛、コークス、カーボンナノチューブが挙げられる。また、正極活物質のさらに他の例として、ポリマー材料、および、そのフッ化物が挙げられる。ポリマー材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリチオフェンが挙げられる。
導電材としては、所望の電子伝導性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば炭素材料が挙げられる。炭素材料としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブが挙げられる。正極活物質層における導電材の割合は、例えば1重量%以上であり、5重量%以上であってもよい。導電材の割合が少なすぎると、良好な電子伝導パスが形成されない可能性がある。一方、正極活物質層における導電材の割合は、例えば20重量%以下であり、15重量%以下であってもよい。導電材の割合が多すぎると、相対的に正極活物質の割合が少なくなり、エネルギー密度が低下する可能性がある。
バインダーとしては、化学的、電気的に安定なものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダーが挙げられる。
電解質については、後述する「3.電解質層」に記載する内容と同様である。特に、正極活物質層は、上記「A.固体電解質」に記載した固体電解質を含有することが好ましい。この場合、正極活物質層に含まれる固体電解質は、電子伝導性を有することが好ましい。導電材の使用量を低減でき、エネルギー密度を向上させることができるからである。
また、正極活物質層における正極活物質の含有量は、容量の観点からはより多いことが好ましく、例えば30重量%以上であり、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましい。また、正極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
2.負極活物質層
本開示における負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有する層である。負極活物質においては、通常、充電時に脱フッ化反応が生じ、放電時にフッ化反応が生じる。また、負極活物質層は、負極活物質の他に、導電材、バインダーおよび電解質の少なくとも一つをさらに含有していてもよい。
負極活物質としては、例えば、金属単体、合金、金属酸化物、および、これらのフッ化物が挙げられる。負極活物質に含まれる金属元素としては、例えば、La、Ca、Al、Eu、Li、Si、Ge、Sn、In、V、Cd、Cr、Fe、Zn、Ga、Ti、Nb、Mn、Yb、Zr、Sm、Ce、Mg、Pbが挙げられる。また、負極活物質として、上述した炭素材料およびポリマー材料を用いることもできる。
導電材、バインダーおよび電解質については、上述した「1.正極活物質層」に記載した材料と同様の材料を用いることができる。特に、負極活物質層は、上記「A.固体電解質」に記載した固体電解質を含有することが好ましい。この場合、負極活物質層に含まれる固体電解質は、電子伝導性を有することが好ましい。導電材の使用量を低減でき、エネルギー密度を向上させることができるからである。また、負極活物質層における負極活物質の含有量は、容量の観点からはより多いことが好ましく、例えば30重量%以上であり、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましい。また、負極活物質層の厚さは、例えば、0.1μm以上、1000μm以下である。
3.電解質層
本開示における電解質層は、正極活物質層および負極活物質層の間に形成される層である。電解質層を構成する電解質は、無機固体電解質であってもよく、液体電解質(電解液)であってもよく、ポリマー電解質であってもよい。特に、固体電解質層は、無機固体電解質として、上記「A.固体電解質」に記載した固体電解質を含有することが好ましい。この場合、固体電解質層に含まれる固体電解質は、電子伝導性が低いことが好ましい。短絡の発生を抑制できるからである。
電解液は、例えば、フッ化物塩および溶媒を含有する。フッ化物塩および溶媒については、公知の材料を用いることができる。また、ポリマー電解質は、例えば液体電解質にポリマーを添加し、ゲル化することで、得ることができる。
4.その他の構成
本開示におけるフッ化物イオン電池は、上述した正極活物質層、負極活物質層および電解質層を少なくとも有する。さらに通常は、正極活物質層の集電を行う正極集電体、および、負極活物質層の集電を行う負極集電体を有する。集電体の形状としては、例えば、箔状、メッシュ状、多孔質状が挙げられる。また、フッ化物イオン電池は、正極活物質層および負極活物質層の間に、セパレータを有していてもよい。セパレータを設けることで、より安全性の高い電池が得られる。
5.フッ化物イオン電池
本開示におけるフッ化物イオン電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。また、本開示におけるフッ化物イオン電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型が挙げられる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
[実施例1]
Ar雰囲気下において、Yb、SおよびYbFを、5:6:4のモル比で秤量し、乳鉢内で15分間混合した。混合した粉末を6MPaで1分間一軸プレスし、タブレット状に成型した。成形した試料をTa製容器に入れ、石英ガラス管内に真空封入した。その後、850℃で48時間焼成した。これにより、Ybの組成を有する固体電解質を得た。
[比較例1]
CaFおよびBaFを、6:4のモル比で秤量し、600rpm、12時間の条件でメカニカルミリングを行った。これにより、Ca0.6Ba0.4の組成を有する固体電解質を得た。
[比較例2]
比較用の固体電解質としてCaFを準備した。
[比較例3]
比較用の固体電解質としてBaFを準備した。
[評価]
(XRD測定)
実施例1で得られた固体電解質に対して、CuKα線を用いたXRD測定を行った。その結果を図2に示す。図2に示すように、実施例1で得られた固体電解質は、Yb結晶相を主相として有し、僅かにYbS結晶相を有することが確認された。また、Yb結晶相における2θ=27.2°付近のピーク強度をIとし、YbS結晶相における2θ=30.9°付近のピーク強度をIとした場合に、Iに対するIの割合(I/I)は、0.21であった。なお、YbS結晶相が析出した理由は、原料として用いたYbおよびYbFに酸化物が含まれていたためであると推測される。
(伝導度測定)
実施例1および比較例1~3で得られた固体電解質を、図3に示すように、マコール製治具の開口部(φ10mm)に配置した。固体電解質の両面をSUS製治具により6MPaの圧力で一軸プレスし、タブレット状に成型した。成形した試料に対して、交流インピーダンス法により、25℃における全伝導度(フッ化物イオン伝導度および電子伝導度の合計)を測定した。
次に、全伝導度測定で作製した成形試料(タブレット状に成形した試料)を、マコール製治具の開口部(φ10mm)に配置し、その両面に、電子伝導性を有さずフッ化物イオン伝導性を有する固体電解質(PbSnF)を配置し、さらに、それらの表面に、それぞれPb板を配置した。得られた積層体の両面をSUS製治具により一軸プレスし、タブレット状に成型した。成形した試料に対して、直流電流法により、フッ化物イオン伝導度を測定した。
具体的に、積層体に対して、一定電流Iを流し、2秒後の電圧Vを測定し、I-Vプロットの傾きから、フッ化物イオン伝導の抵抗Rを測定し、その値からフッ化物イオン伝導度を求めた。I-Vプロットは、一定電流Iを1.0μAから0.2μA間隔で2.2μAまで変化させることにより作成した。その後、全伝導度(フッ化物イオン伝導度および電子伝導度の合計)と、フッ化物イオン伝導度との差を、電子伝導度とした。その結果を表1に示す。
次に、実施例1および比較例1で得られた固体電解質に対して、測定温度を変更して、全伝導度、フッ化物イオン伝導度および電子伝導度を求めた。これにより、フッ化物イオン伝導度および電子伝導度の温度依存性を評価した。それぞれの結果を、図4および図5に示す。なお、比較例2、3は、今回の測定温度域では、いずれも全伝導度が測定限界以下であったため、図4には文献値を記載した。また、図4におけるアレニウスプロットの傾きから、活性化エネルギーを求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0007205442000001
表1および図4に示すように、25℃(3.35×10-1)において、実施例1で得られた固体電解質は、比較例1~3で得られた固体電解質よりも、フッ化物イオン伝導度が高かった。なお、図4に示すように、温度が高くなると、比較例1におけるフッ化物イオン伝導度が、実施例1におけるフッ化物イオン伝導度よりも高くなる。しかしながら、実用面を考慮すると、固体電解質は、高温域ではなく低温域(例えば常温付近の温度域)でフッ化物イオン伝導度が高いことが好ましい。そのため、実施例1で得られた固体電解質は、より実用的であるといえる。
また、表1および図5に示すように、実施例1で得られた固体電解質は、電子伝導性を有することが確認された。これに対して、比較例1~3で得られた固体電解質は、電子伝導度が測定限界(10-10)以下であった。また、表1に示すように、実施例1で得られた固体電解質は、比較例1~3で得られた固体電解質に比べて、活性化エネルギーが大幅に小さかった。その理由は、固体電解質が、分極が大きく柔らかいSを含有することで、Fイオンが伝導する際に、結晶格子内の電子密度分布を歪ませやすくなったためであると推測される。
1 … 正極活物質層
2 … 負極活物質層
3 … 電解質層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
6 … 電池ケース
10 … フッ化物イオン電池

Claims (2)

  1. フッ化物イオン伝導性を有する固体電解質であって、
    Yb の組成を有する、固体電解質。
  2. 前記固体電解質における結晶相が、CuKα線を用いたXRD測定において、2θ=27.2°±0.5°、32.9°±0.5°、44.0°±0.5°の位置にピークを有する、請求項に記載の固体電解質。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Thomas Schleid,Yb3F4S2: A mixed-valent Ytterbium Fluoride Sulfide according to YbF2・2YbFS,Z. Anorg. Allg. Chem,2000年,626,2429-2431
小坂昌史 他,Yb3F4S2の単結晶育成と物性,日本物理学会2009年会秋季大会予稿集,日本,日本物理学会,2009年,28aRL-9

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