JP6620794B2 - 固体電解質材料およびフッ化物イオン電池 - Google Patents

固体電解質材料およびフッ化物イオン電池 Download PDF

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Description

本開示は、フッ化物イオン伝導性が高い固体電解質材料に関する。
高電圧かつ高エネルギー密度な電池として、例えばLiイオン電池が知られている。Liイオン電池は、Liイオンと正極活物質との反応、および、Liイオンと負極活物質との反応を利用したカチオンベースの電池である。一方、アニオンベースの電池として、フッ化物イオンの反応を利用したフッ化物イオン電池が知られている。
フッ化物イオン電池に用いられる固体電解質材料が知られている。例えば、非特許文献1には、タイソナイト型構造を有するLa1−yBa3−y(0≦y≦0.15)がフッ化物イオン伝導性を有することが開示されている。
Carine Rongeat et al., "Solid Electrolytes for Fluoride Ion Batteries: Ionic Conductivity in Polycrystalline Tysonite-Type Fluorides", ACS Appl. Mater. Interfaces 2014, 6, 2103-2110
フッ化物イオン電池の性能向上の観点から、フッ化物イオン伝導性が高い固体電解質材料が求められている。本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、フッ化物イオン伝導性が高い固体電解質材料を提供することを主目的とする。
上記課題を達成するために、本開示においては、フッ化物イオン電池に用いられる固体電解質材料であって、Bi1−x2+x(0.4≦x≦0.9、MはSn、Ca、Sr、BaおよびPbの少なくとも一種である)の組成を有し、タイソナイト型構造の結晶相を有する、固体電解質材料を提供する。
本開示によれば、特定の組成および結晶相を有することから、フッ化物イオン伝導性が高い固体電解質材料とすることができる。
上記開示においては、上記xが0.6≦x≦0.9を満たすことが好ましい。タイソナイト型構造の結晶相が単相で得られやすく、フッ化物イオン伝導性をより高くできるからである。
また、本開示においては、正極層と、負極層と、上記正極層および上記負極層の間に形成された固体電解質層とを有するフッ化物イオン電池であって、上記正極層、上記負極層および上記固体電解質層の少なくとも一つが、上述した固体電解質材料を含有する、フッ化物イオン電池を提供する。
本開示によれば、正極層、負極層および固体電解質層の少なくとも一つが、上述した固体電解質材料を含有するため、例えば高出力なフッ化物イオン電池とすることができる。
本開示の固体電解質材料は、フッ化物イオン伝導性が高いという効果を奏する。
本開示のフッ化物イオン電池の一例を示す概略断面図である。 実施例1、2、4〜6および比較例1、2で得られた固体電解質材料に対するXRD測定の結果である。 実施例1〜6および比較例1、2で得られた固体電解質材料に対するフッ化物イオン伝導度測定の結果であり、室温でのフッ化物イオン伝導度を示している。 実施例1〜6および比較例1、2で得られた固体電解質材料に対するフッ化物イオン伝導度測定の結果であり、フッ化物イオン伝導度の温度依存性を示している。 結晶構造の対称性を説明する模式図である。 実施例1、7〜10および比較例3で得られた固体電解質材料に対するXRD測定の結果である。 実施例1、7〜10および比較例3で得られた固体電解質材料に対するフッ化物イオン伝導度測定の結果であり、室温でのフッ化物イオン伝導度を示している。 実施例1、7〜10および比較例3で得られた固体電解質材料に対するフッ化物イオン伝導度測定の結果であり、フッ化物イオン伝導度の温度依存性を示している。
以下、本開示の固体電解質材料およびフッ化物イオン電池について、詳細に説明する。
A.固体電解質材料
本開示の固体電解質材料は、フッ化物イオン電池に用いられる固体電解質材料であって、
Bi1−x2+x(0.4≦x≦0.9、MはSn、Ca、Sr、BaおよびPbの少なくとも一種である)の組成を有し、タイソナイト型構造の結晶相を有する。
本開示によれば、特定の組成および結晶相を有することから、フッ化物イオン伝導性が高い固体電解質材料とすることができる。また、本開示の固体電解質材料は、従来知られていない新規材料である。
また、後述する実施例に示すように、本開示の固体電解質材料は、圧粉成型体の状態でも室温で10−6S/cm以上の高いフッ化物イオン伝導度を有する。この値は、非特許文献1に記載されたLa1−yBa3−yのフッ化物イオン伝導度よりも約1桁(約10倍)も高い値である。このように、高いフッ化物イオン伝導度が得られる理由は、後述するように、上記結晶相が対称性の高い結晶構造を有するためであると推測される。
また、PbSnFは、高いフッ化物イオン伝導性を有する。しかしながら、この固体電解質材料はPb元素を含有するため、環境への負荷が大きい可能性がある。これに対して、本開示の固体電解質材料は、例えばMとしてPb以外の元素を選択した場合、環境への負荷が小さい。すなわち、本開示の固体電解質材料は、例えばMとしてPb以外の元素を選択した場合、環境への負荷が小さく、さらに、フッ化物イオン伝導性が高いという利点を有する。
本開示の固体電解質材料は、通常、Bi元素、M元素(MはSn、Ca、Sr、BaおよびPbの少なくとも一種である)およびF元素を含有するフッ化物固溶体である。さらに、本開示の固体電解質材料は、Bi1−x2+x(0.4≦x≦0.9)の組成を有する。
ここで、「Bi1−x2+x(0.4≦x≦0.9)」とは、固体電解質材料がBi元素、M元素およびF元素のみをBi1−x2+x(0.4≦x≦0.9)の組成で有する場合と、さらに、他の元素を含有する場合の双方を意味する。後者の場合、固体電解質材料を構成する全ての元素に対するBi元素、M元素およびF元素の合計の割合が、90mol%以上であることが好ましく、95mol%以上であることがより好ましい。なお、他の元素は、Bi元素、M元素およびF元素以外の元素であれば特に限定されない。また、本開示の固体電解質材料は、Pb元素を含有していても良く、Pb元素を含有していなくても良いが、後者が好ましい。環境への負荷が小さい固体電解質材料とすることができるからである。なお、本開示の固体電解質材料がPb元素を含有する場合であっても、その割合が少なければ、環境への負荷を低減できる。
また、Bi1−x2+xの組成において、xは、0.4以上であり、0.55以上であっても良く、0.6以上であっても良い。xの値が小さすぎると、タイソナイト型構造の結晶相の割合が少なくなりやすい。一方、xは、0.9以下であり、0.8以下であっても良い。特に、MはSnを含むことが好ましい。
本開示の固体電解質材料は、タイソナイト型構造の結晶相を有する。この結晶相は、Bi元素、M元素およびF元素を含有する結晶相である。また、上記結晶相の空間群は、通常、P6/mmcである。上記結晶相は、CuKα線を用いたX線回折(XRD)測定において、2θ=24.4°±0.5°、2θ=24.9°±0.5°、2θ=27.7°±0.5°、2θ=35.1°±0.5°、2θ=43.8°±0.5°、2θ=45.1°±0.5°、2θ=50.0°±0.5°、2θ=50.7°±0.5°、2θ=52.5°±0.5°を有することが好ましい。なお、これらのピーク位置は、材料組成等によって結晶格子が若干変化するため、±0.5°の範囲内とした。各ピークの位置は、±0.3°の範囲内であっても良く、±0.1°の範囲内であっても良い。なお、LaFおよびCeF等のタイソナイト型構造の結晶相の空間群P−3c1は、2θ=14.2°付近(例えば14.2°±0.5°)、40.4°付近(例えば40.4°±0.5°)にピークを有するが、結晶群P6/mmcは、通常、これらの位置にピークを有しない。
本開示の固体電解質材料は、上記結晶相を主相として有することが好ましい。固体電解質材料における全結晶相における上記結晶相(タイソナイト型構造の結晶相)の割合は、例えば、50mol%以上であり、70mol%以上であっても良く、90mol%以上であっても良い。特に、本開示の固体電解質材料は、上記結晶相を単相で有することが好ましい。フッ化物イオン伝導性が高い固体電解質材料とすることができるからである。
本開示の固体電解質材料は、フッ化物イオン伝導性が高いことが好ましい。25℃における固体電解質材料のフッ化物イオン伝導度は、例えば、1×10−6S/cm以上であることが好ましい。また、本開示の固体電解質材料の形状は、特に限定されないが、例えば、粒子状、薄膜状等が挙げられる。固体電解質材料の平均粒径(D50)は、例えば0.1μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、本開示の固体電解質材料は、フッ化物イオン電池に用いられる。フッ化物イオン電池の詳細については、後述する。
B.フッ化物イオン電池
図1は、本開示のフッ化物イオン電池の一例を示す概略断面図である。図1に示されるフッ化物イオン電池10は、正極層1と、負極層2と、正極層1および負極層2の間に形成された固体電解質層3と、正極層1の集電を行う正極集電体4と、負極層2の集電を行う負極集電体5と、これらの部材を収納する電池ケース6とを有する。
本開示によれば、正極層、負極層および固体電解質層の少なくとも一つが、上述した固体電解質材料を含有するため、例えば高出力なフッ化物イオン電池とすることができる。
以下、本開示のフッ化物イオン電池について、構成ごとに説明する。
1.固体電解質層
本開示における固体電解質層は、少なくとも固体電解質材料を含有する層である。また、固体電解質層は、固体電解質材料のみを含有していても良く、さらに結着材を含有していても良い。
固体電解質層に含まれる固体電解質材料は、フッ化物イオン伝導性を有する材料であれば特に限定されないが、上記「A.固体電解質材料」に記載した材料であることが好ましい。すなわち、固体電解質層は、上記「A.固体電解質材料」に記載した固体電解質材料を含有することが好ましい。
結着材としては、化学的、電気的に安定なものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系結着材を挙げることができる。また、固体電解質層の厚さは、電池の構成によって大きく異なり、特に限定されない。
2.正極層
本開示における正極層は、少なくとも正極活物質を含有する層である。また、正極層は、正極活物質の他に、固体電解質材料、導電化材および結着材の少なくとも一方をさらに含有していても良い。また、正極層は、上記「A.固体電解質材料」に記載した固体電解質材料を含有することが好ましい。
本開示における正極活物質は、通常、放電時に脱フッ化する活物質である。正極活物質としては、例えば、金属単体、合金、金属酸化物、および、これらのフッ化物を挙げることができる。正極活物質に含まれる金属元素としては、例えば、Cu、Ag、Ni、Co、Pb、Ce、Mn、Au、Pt、Rh、V、Os、Ru、Fe、Cr、Bi、Nb、Sb、Ti、Sn、Zn等を挙げることができる。中でも、正極活物質は、Cu、CuF、Fe、FeF、Ag、AgFであることが好ましい。なお、上記xは、0よりも大きい実数である。また、正極活物質の他の例として、炭素材料、および、そのフッ化物を挙げることができる。炭素材料としては、例えば、黒鉛、コークス、カーボンナノチューブ等を挙げることができる。また、正極活物質のさらに他の例として、ポリマー材料を挙げることができる。ポリマー材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリチオフェン等を挙げることができる。
導電化材としては、所望の電子伝導性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば炭素材料を挙げることができる。炭素材料としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックを挙げることができる。一方、結着材としては、化学的、電気的に安定なものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系結着材を挙げることができる。また、正極層における正極活物質の含有量は、容量の観点からはより多いことが好ましい。また、正極層の厚さは、電池の構成によって大きく異なり、特に限定されない。
3.負極層
本開示における負極層は、少なくとも負極活物質を含有する層である。また、負極層は、負極活物質の他に、導電化材および結着材の少なくとも一方をさらに含有していても良い。また、負極層は、上記「A.固体電解質材料」に記載した固体電解質材料を含有することが好ましい。
本開示における負極活物質は、通常、放電時にフッ化する活物質である。また、負極活物質には、正極活物質よりも低い電位を有する任意の活物質が選択され得る。そのため、上述した正極活物質を負極活物質として用いても良い。負極活物質としては、例えば、金属単体、合金、金属酸化物、および、これらのフッ化物を挙げることができる。負極活物質に含まれる金属元素としては、例えば、La、Ca、Al、Eu、Li、Si、Ge、Sn、In、V、Cd、Cr、Fe、Zn、Ga、Ti、Nb、Mn、Yb、Zr、Sm、Ce、Mg、Pb等を挙げることができる。中でも、負極活物質は、Mg、MgF、Al、AlF、Ce、CeF、Ca、CaF、Pb、PbFであることが好ましい。なお、上記xは、0よりも大きい実数である。また、負極活物質として、上述した炭素材料およびポリマー材料を用いることもできる。
導電化材および結着材についても、上述した正極層に記載した材料と同様の材料を用いることができる。また、負極層における負極活物質の含有量は、容量の観点からはより多いことが好ましい。また、負極層の厚さは、電池の構成によって大きく異なり、特に限定されない。
4.その他の構成
本開示のフッ化物イオン電池は、上述した正極層、負極層および固体電解質層を少なくとも有する。さらに通常は、正極層の集電を行う正極集電体、および、負極層の集電を行う負極集電体を有する。集電体の形状としては、例えば、箔状、メッシュ状、多孔質状等を挙げることができる。
5.フッ化物イオン電池
本開示のフッ化物イオン電池は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、中でも、二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。また、本開示のフッ化物イオン電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等を挙げることができる。また、フッ化物イオン電池に用いられる電池ケースは、特に限定されない。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
BiF粉末およびSnF粉末を、BiF:SnF=0.9:0.1のモル比で混合した。得られた混合物に対して、遊星型ボールミルを用いて、回転数600rpm、12時間の条件でメカニカルミリングを行った。これにより、Bi0.9Sn0.12.9で表される固体電解質材料を得た。この組成は、BiSn1−x2+xにおけるx=0.9に該当する。
[実施例2〜6]
BiSn1−x2+xにおけるxを、それぞれ、x=0.8、x=0.7、x=0.6、x=0.5、x=0.4に変更したこと以外は、実施例1と同様にして固体電解質材料を得た。
[比較例1、2]
SnF粉末およびBiF粉末を、それぞれ比較用のサンプルとして用いた。なお、両者は、それぞれ、BiSn1−x2+xにおけるx=0およびx=1に該当する。
[評価]
(XRD測定)
実施例1、2、4〜6および比較例1、2で得られた固体電解質材料に対して、粉末X線回折測定(粉末XRD測定)を行った。具体的には、CuKα線を用い、2θ=10°〜60°の範囲で測定した。その結果を図2に示す。図2に示すように、実施例1では、2θ=24.4°付近、2θ=24.9°付近、2θ=27.7°付近、2θ=35.1°付近、2θ=43.8°付近、2θ=45.1°付近、2θ=50.0°付近、2θ=50.7°付近、2θ=52.5°付近に、空間群P6/mmcに帰属されるタイソナイト型構造の結晶相のピークが現れた。実施例2、4においても、実施例1と同様のピークが得られた。このように、実施例1、2、4では、タイソナイト型構造の結晶相が、ほぼ単相で得られた。一方、実施例5、6では、実施例1、2、4と同様に、タイソナイト型構造の結晶相のピークが現れているものの、SnFのピークも現れた。なお、比較例1、2では、それぞれSnF粉末およびBiF粉末の単相ピークが現れた。
(フッ化物イオン伝導度測定)
実施例1〜6および比較例1、2で得られた固体電解質材料に対して、交流インピーダンス法によるフッ化物イオン伝導度測定を行った。測定用セルは、次のように準備した。まず、マコール製のセラミック筒に、固体電解質材料(粉末)を200mg入れ、1ton/cmの一軸加圧成型によりペレット状に成型した。その後、ペレットの両面に、アセチレンブラック(集電体)を積層し、4ton/cmの圧力でプレスした。プレス後の積層体を6N・mのトルクでボルト締結した。これにより、測定用セルを得た。
測定環境は、10−3Paの真空下、室温(28℃)、60℃、100℃、150℃、200℃とした。また、インピーダンス測定は、周波数10Hz〜10−2Hzとし、電圧振幅は50mAとした。室温(28℃)での測定結果を図3および表1に示す。また、フッ化物イオン伝導度の温度依存性(アレニウスプロット)を図4に示す。
表1、図3および図4に示すように、タイソナイト型構造の結晶相がほぼ単相で得られた実施例1〜4(0.6≦x≦0.9)では、高いフッ化物イオン伝導度が得られた。一方、タイソナイト型構造の結晶相およびSnFの結晶相が得られた実施例5、6(0.4≦x≦0.5)は、実施例1〜4よりもフッ化物イオン伝導度が低いものの、比較例1、2よりも高いフッ化物イオン伝導度が得られた。
また、非特許文献1に開示されているように、タイソナイト型構造を有する固体電解質材料の圧粉体として、La0.9Ba0.12.9の圧粉体が高いイオン伝導度を示すことが知られている。La0.9Ba0.12.9を用いた場合を参考例とし、実施例1と同様にして得られた測定用セルを作製し、フッ化物イオン伝導度を測定した。その結果、室温でのフッ化物イオン伝導度は、3×10−7S/cmであった。図3および図4に示すように、実施例1〜6は、参考例より約1桁(約10倍)も高いフッ化物イオン伝導度を示した。

実施例1〜6で得られたタイソナイト型構造の結晶相の空間群はP6/mmcであり、BiF(空間群Pnma)ともSnF(空間群C2/c)とも異なる。また、図5(a)、(b)に示すように、実施例1〜6で得られたタイソナイト型構造の結晶相の空間群(P6/mmc)は、LaFおよびCeF等のタイソナイト型構造の結晶相の空間群(P−3c1)とも異なる。より具体的には、空間群P6/mmcは、空間群P−3c1よりもフッ化物イオンサイトの対称性が高い。空間群P−3c1では、フッ化物イオンが、ポテンシャル的に安定なサイトと、ポテンシャル的に不安定なサイトに分かれているため、安定なサイトのフッ化物イオンのホッピング障壁が高くなり、結果として、フッ化物イオン伝導度が低くなると推測される。これに対して、空間群P6/mmcでは、フッ化物イオンサイトの対称性が高く、フッ化物イオンが、ポテンシャル的に安定なサイトと、ポテンシャル的に不安定なサイトに分かれていないため、フッ化物イオンが特定のサイトに留まらずにホッピングでき、結果として、フッ化物イオン伝導度が高くなると推測される。なお、LaFのフッ化物イオン伝導度は、室温で7×10−9S/cm程度である。
[実施例7〜10]
SnF粉末の代わりに、CaF粉末、SrF粉末、BaF粉末、PbF粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固体電解質材料を得た(Bi0.10.12.9、M=Ca、Sr、Ba、Pb)。
[比較例3]
SnF粉末の代わりに、MgF粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固体電解質材料を得た(Bi0.1Mg0.12.9)。
[評価]
(XRD測定)
実施例7〜10および比較例3で得られた固体電解質材料に対して、粉末X線回折測定(粉末XRD測定)を行った。具体的には、CuKα線を用い、2θ=20°〜60°の範囲で測定した。その結果を図6に示す。図6に示すように、実施例7〜10および比較例3は、実施例1と同様のピークが得られた。なお、実施例7には、極僅かにBiFのピークが確認されるが、タイソナイト型構造の結晶相が主相であった。一方、実施例8〜10では、タイソナイト型構造の結晶相が、ほぼ単相で得られた。
(フッ化物イオン伝導度測定)
実施例7〜10および比較例3で得られた固体電解質材料に対して、交流インピーダンス法によるフッ化物イオン伝導度測定を行った。測定方法は、上述した内容と同様である。室温(28℃)での測定結果を図7および表2に示す。また、フッ化物イオン伝導度の温度依存性(アレニウスプロット)を図8に示す。
表2、図7および図8に示すように、実施例7〜10では、実施例1と同様に、室温で10−6S/cm以上の高いフッ化物イオン伝導度が得られた。一方、比較例3で得られた固体電解質材料は、タイソナイト型構造の結晶相を有するが、室温でのフッ化物イオン伝導度は、2.9×10−7S/cmであり、実施例7〜10より約1桁も低かった。Mg2+はイオン半径が小さく、Fと強いイオン結合を形成するため、キャリアであるFが、Mg2+の周囲にトラップされ、結果として、フッ化物イオン伝導度が低くなったと推測される。
1 … 正極層
2 … 負極層
3 … 固体電解質層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
6 … 電池ケース
10 … フッ化物イオン電池

Claims (3)

  1. フッ化物イオン電池に用いられる固体電解質材料であって、
    Bi1−x2+x(0.4≦x≦0.9、MはSn、Ca、Sr、BaおよびPbの少なくとも一種である)の組成を有し、
    空間群がP6 /mmcであるタイソナイト型構造の結晶相を有する、固体電解質材料。
  2. フッ化物イオン電池に用いられる固体電解質材料であって、
    Bi 1−x 2+x (0.6≦x≦0.9、MはSn、Ca、Sr、BaおよびPbの少なくとも一種である)の組成を有し、
    タイソナイト型構造の結晶相を有する、固体電解質材料。
  3. 正極層と、負極層と、前記正極層および前記負極層の間に形成された固体電解質層とを有するフッ化物イオン電池であって、
    前記正極層、前記負極層および前記固体電解質層の少なくとも一つが、請求項1または請求項2に記載の固体電解質材料を含有する、フッ化物イオン電池。
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