JP7202476B2 - ポリフェニレンエーテル組成物 - Google Patents
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Description
また、特許文献3にはポリフェニレンエーテル部分を分子構造内に有し、かつ、この分子末端に、メタクリル基を有した変性ポリマーについて記載されている。
例えば、熱硬化工程を適用する上で、硬化生成物の耐熱性を確保するために、多官能ポリフェニレンエーテル組成物は熱硬化温度以上のガラス転移温度を有する必要がある。また、ガラスクロス等の支持材に均等に含浸させるためにワニスを作製、貯蔵する上で、ワニスに用いられるメチルエチルケトンのような溶媒に、長期にわたり溶解している必要がある。さらに、基板材料適用時の加工性、特にガラスクロス等の支持材への含浸性を良くするため、ワニスの液粘度が低い必要がある。
[1]
下記式(1)の構造を有するポリフェニレンエーテルを60mol%以上含み、
1H-NMR測定結果における、下記式(2)の構造由来のピークの積算値に対する、7.6~8.3ppmに現れるピークの積算値の割合が1以下であり、
ポリスチレン換算の数平均分子量が、500~15000g/molである、
ことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル組成物。
(式(1)中、Zは下記式(2)で表されるa価の部分構造であり、aは2~6の整数を表し、Yは各々独立に下記式(4)の構造を有する2価の連結基であり、nはYの繰り返し数を表し、各々独立に0~200の整数であり、a個の(-Yn-H)中少なくとも1つのnは1以上の整数である。
式(2)中、Xは単結合又はエステル結合を介して、R 5 が結合しているベンゼン環に結合するa価のアルキル骨格であり、R5は各々独立に任意の置換基であり、kは各々独立に1~4の整数であり、R5のうち少なくとも1つは下記式(3)で表される部分構造であり、
式(3)中、R11は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、R12は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは各々独立に0又は1であり、R13は水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基のいずれかを表し、
式(2)中の-O-が結合するベンゼン環の炭素原子を1位とし、2位又は6位の一方の炭素原子に式(3)の部分構造を有するR5が結合し、2位又は6位の他方の炭素原子に水素原子、メチル基又はエチル基が結合し、
式(4)中、R21は各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかであり、2つのR21は、同時に水素原子ではなく、2つのR21は、一方が上記式(3)で表される部分構造、もう一方が水素原子、メチル基又はエチル基のいずれかである組み合わせではなく、R22は各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかである。)
[2]
前記式(3)で表される部分構造がt-ブチル基である、[1]に記載のポリフェニレンエーテル組成物。
[3]
前記ポリフェニレンエーテル組成物中に含まれるOH末端数が1000~3000μmol/gである、[1]又は[2]に記載のポリフェニレンエーテル組成物。
[4]
下記式(1)’の構造を有する変性ポリフェニレンエーテルを含み、
下記式(1)’の構造を有する変性ポリフェニレンエーテル、下記式(1)’の構造において1つ以上の(-Yn-A)が(-Yn-H)であり、かつすべての(-Yn-A)が(-Yn-H)ではない変性ポリフェニレンエーテル、及び下記式(1)’の構造においてすべての(-Yn-A)が(-Yn-H)であるポリフェニレンエーテルをこれらの化合物の全量として60mol%以上含み、
1H-NMR測定結果における、下記式(2)’の構造由来のピークの積算値に対する、7.6~8.3ppmに現れるピークの積算値の割合が1以下であり、
ポリスチレン換算の数平均分子量が、500~15000g/molである、
ことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル組成物。
(式(1)’中、Zは下記式(2)’で表されるa価の部分構造であり、aは2~6の整数を表し、Aは各々独立に炭素-炭素二重結合及び/又はエポキシ結合を含有する置換基を表し、Yは各々独立に下記式(4)’の構造を有する2価の連結基であり、nはYの繰り返し数を表し、各々独立に0~200の整数であり、a個の(-Yn-A)中少なくとも1つのnは1以上の整数である。
式(2)’中、Xは単結合又はエステル結合を介して、R 5 が結合しているベンゼン環に結合するa価のアルキル骨格であり、R5は各々独立に任意の置換基であり、kは各々独立に1~4の整数であり、R5のうち少なくとも1つは下記式(3)’で表される部分構造であり、
式(3)’中、R11は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、R12は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは各々独立に0又は1であり、R13は水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基のいずれかを表し、
式(2)’中の-O-が結合するベンゼン環の炭素原子を1位とし、2位又は6位の一方の炭素原子に式(3)’の部分構造を有するR5が結合し、2位又は6位の他方の炭素原子に水素原子、メチル基又はエチル基が結合し、
式(4)’中、R21は各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかであり、2つのR21は、同時に水素原子ではなく、2つのR21は、一方が上記式(3)’で表される部分構造、もう一方が水素原子、メチル基又はエチル基のいずれかである組み合わせではなく、R22は各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかである。)
[5]
前記式(3)’で表される部分構造がt-ブチル基である、[4]に記載のポリフェニレンエーテル組成物。
[6]
前記Aが、下記式(5)’で表される基である、[4]又は[5]に記載のポリフェニレンエーテル組成物。
(式(5)’中、
R31は、それぞれ独立に水素原子、水酸基又は炭素数1~30の炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基であり、
R32は、それぞれ独立に炭素数1~30の炭化水素基であり、
sは、0~5の整数である。)
[7]
前記ポリフェニレンエーテル組成物中に含まれる前記A基の数が700~3000μmol/gである、[4]から[6]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル組成物。
なお、本明細書において、A(数値)~B(数値)は、A以上B以下を意味する。
本実施形態の多官能ポリフェニレンエーテル組成物に含まれる上記ポリフェニレンエーテルは、一種であってもよいし、複数種であってもよい。
本実施形態の多官能ポリフェニレンエーテル組成物は、さらに、溶媒、重合触媒、界面活性剤等の添加物を含んでいてもよい。本実施形態の多官能ポリフェニレンエーテル組成物は、固体であってよい。
(式(2)中、aは式(1)と同様の整数が挙げられ、式(1)と同じ整数であることが好ましい。式(2)の中心フェノール部位において、a個の各部分構造は、同じ構造であってもよいし、異なっていてもよい。中でも、ガラス転移温度が一層高く、溶媒への長期溶解性に一層優れ、溶媒溶解時の粘度が一層低いポリフェニレンエーテル組成物が得られる観点から、a個の各部分構造は同じ構造であることが好ましい。)
Xは、a価の部分構造を互いに連結する連結基であってよい。
上記Xとしては、単結合又はエステル結合等を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合するa価のアルキル骨格、単結合又はエステル結合等を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合するa価のアリール骨格、単結合又はエステル結合等を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合するa価の複素環骨格、等が挙げられる。
ここで、アルキル骨格としては、特に制限されないが、例えば、炭素数2~6の少なくともa個に分岐した鎖式炭化水素(例えば、鎖式飽和炭化水素)の分岐末端が部分構造のベンゼン環に直接結合する骨格(a個の分岐末端にベンゼン環が結合していればよく、ベンゼン環が結合しない分岐末端があってもよい。)、等が挙げられる。また、アリール骨格としては、特に制限されないが、例えば、ベンゼン環、メシチレン基、又は2-ヒドロキシ-5-メチル-1,3-フェニレン基が、単結合又はアルキル鎖を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合する骨格等が挙げられる。さらに、複素環骨格としては、特に制限されないが、例えば、トリアジン環が単結合又はアルキル鎖を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合する骨格等が挙げられる。
上記R5としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基等の炭素数1~8の直鎖状アルキル基、下記式(3)の部分構造を有する基、等が挙げられ、R5のうち少なくとも1つは下記式(3)の部分構造であることが好ましい。
上記式(3)中、
R11は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、
R12は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは各々独立に0又は1であり、
R13は水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基又はフェニル基のいずれかを表す。
上記置換基としては、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記式(4)中、R21は各々独立に、水素原子;置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基;置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基;ハロゲン原子;を表し、置換されていてもよい炭素数1~6の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、ビニル基、アリール基、エチニル基、プロパルギル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。上記式(4)中、2つのR21は、同時に水素原子ではなく、2つのR21は、一方が上記式(3)で表される部分構造、もう一方が水素原子、メチル基又はエチル基のいずれかである組み合わせではない。
R22は、各々独立に、水素原子;置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基;置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基;ハロゲン原子;を表し、水素原子又は置換されていてもよい炭素数1~6の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましく、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基であり、さらに好ましくは水素原子、メチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
上記置換基としては、ハロゲン原子等が挙げられる。
(上記式(5)中、R21、R22は、上記式(4)と同様の基が挙げられ、上記式(4)と同じであることが好ましい。)
(上記式(6)中、X、R5、aは、上記式(2)と同様のものが挙げられ、上記式(2)と同じであることが好ましい。Xに結合するa個の部分構造は、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。)
上記一価のフェノール化合物の中でも、特に、安価であり入手が容易であるため、2,6-ジメチルフェノール、2,6-ジエチルフェノール、2,6-ジフェニルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノール、2,5-ジメチルフェノールが好ましく、2,6-ジメチルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノールがより好ましい。
なお、上記フェノール化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、使用するフェノール化合物には、製造の際の副産物として含まれ得る、少量のm-クレゾール、p-クレゾール、2,4-ジメチルフェノール、2,4,6-トリメチルフェノール等が含まれていてもよい。
4,4’-[(3-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(3-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(4-ヒドロキシ-3-エトキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルエチルフェノール)、4,4’-[(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、2,2’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(2-ヒドロキシフェニル)メチレン]-ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エチル]-4-メチルフェノール、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5,6-トリメチルフェニル)メチル]-4-エチルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-6-メチルフェノール、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)メチル]-6-メチルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-6-シクロヘキシルフェノール、2,4-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-6-シクロヘキシルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル]-6-シクロヘキシルフェノール、3,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,2-ベンゼンジオール、4,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,3-ベンゼンジオール、2,4,6-トリス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,3-ベンゼンジオール、2,4,6-トリス[(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,3-ベンゼンジオール、2,2’-メチレンビス[6-[(4/2-ヒドロキシ-2,5/3,6-ジメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-[(4/2-ヒドロキシ-2,3,5/3,4,6-トリメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-[(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,4-ジヒドロキシフェニル)メチル]-6-メチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,4-ジヒドロキシフェニル)メチル]-3,6-ジメチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,4-ジヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-3,6-ジメチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メチル]-3,6-ジメチルフェノール]、6,6’-メチレンビス[4-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,2,3-ベンゼントリオール]、1,1-ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(4-ヒドロキシ-2-メチル-5-シクロヘキシルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メチル]フェノール]、4,4’,4’’,4’’’-(1,2-エタンジイリデン)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’,4’’,4’’’-(1,4-フェニレンジメチリデン)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-ターシャリーブチルフェニル)ブタン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記副生成物としては、下記式(7)で表される単官能ポリフェニレンエーテル、下記式(8)で表される中心ビフェニル構造を有する二官能ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。
上記式(7)、式(8)中、c、d、eは1~100の任意の整数である。R21及びR22は、上記式(4)と同様のものが挙げられ、同じであることが好ましい。
上記割合は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
数平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
上記OH末端数は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
上記液粘度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の多官能ポリフェニレンエーテル組成物の製造方法は、重合溶剤として、芳香族系溶媒を少なくとも一種類使用し、重合触媒として、銅触媒とアミン系配位子を使用することが好ましい。当該製造方法により、好適に本実施形態の多官能ポリフェニレンエーテル組成物を得ることができる。
ここで、本実施形態の多官能ポリフェニレンエーテル組成物の製造方法では、重合工程において、重合溶剤として多官能ポリフェニレンエーテル組成物の良溶剤である芳香族系溶剤を用いることが好ましい。
ここで、多官能ポリフェニレンエーテル組成物の良溶剤とは、多官能ポリフェニレンエーテルを溶解させることができる溶剤であり、このような溶剤を例示すると、ベンゼン、トルエン、キシレン(o-、m-、p-の各異性体を含む)、エチルベンゼン、スチレン等の芳香族炭化水素やクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼンのようなニトロ化合物;等が挙げられる。
式(9)中、R14、R15、R16、R17は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1から6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、全てが同時に水素原子ではない。R18は、炭素数2から5の直鎖状又はメチル分岐を持つアルキレン基である。
これらの化合物の使用量は、特に限定されないが、銅原子のモル量に対してハロゲン原子として2倍以上20倍以下が好ましく、重合反応に添加するフェノール化合物100モルに対して好ましい銅原子の使用量としては0.02モルから0.6モルの範囲である。
本実施形態において、重合反応終了後の後処理方法については、特に制限はない。通常、塩酸や酢酸等の酸、又はエチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等を反応液に加えて、触媒を失活させる。また、ポリフェニレンエーテルの重合により生じる二価フェノール体の副生成物を除去処理する方法も、従来既知の方法を用いて行うことができる。上記の様に触媒である金属イオンが実質的に失活されている状態であれば、該混合物を加熱するだけで脱色される。また既知の還元剤を必要量添加する方法でも可能である。既知の還元剤としては、ハイドロキノン、亜二チオン酸ナトリウム等が挙げられる。
本実施形態の多官能ポリフェニレンエーテル組成物の製造方法においては、銅触媒を失活させた化合物を抽出するため水を添加し、有機相と水相に液液分離を行った後、水相を除去することで有基礎から銅触媒を除去してよい。この液液分離工程は、特に限定しないが、静置分離、遠心分離機による分離等の方法が挙げられる。上記液液分離を促進させるためには、公知の界面活性剤等を用いてもよい。
続いて、本実施形態の多官能ポリフェニレンエーテル組成物の製造方法においては、液液分離後の上記多官能ポリフェニレンエーテル組成物が含まれた有機相を、溶剤を揮発させることで濃縮・乾燥させてよい。
本実施形態に係る多官能変性ポリフェニレンエーテル組成物は、下記式(1)’で表される構造を有するポリフェニレンエーテルを含む。上記変性ポリフェニレンエーテル組成物は、下記式(1)’で表される構造を有する変性ポリフェニレンエーテル、及び下記式(1)’の構造において少なくとも1つの(-Yn-A)が(-Yn-H)である変性又は未変性ポリフェニレンエーテルを60mol%以上含み、1H-NMR測定結果における、下記式(2)’の構造由来のピークの積算値に対する7.6~8.3ppmに現れるピークの積算値の割合が1以下であり、ポリスチレン換算の数平均分子量が、500~15000g/molである。
本実施形態の多官能変性ポリフェニレンエーテル組成物は、さらに、溶媒、重合触媒、界面活性剤等の添加物を含んでいてもよい。本実施形態の多官能変性ポリフェニレンエーテル組成物は、固体であってよい。
(式(2)’中、aは式(1)’と同様の整数が挙げられ、式(1)’と同じ整数であることが好ましい。式(2)’の中心フェノール部位において、a個の各部分構造は、同じ構造であってもよいし、異なっていてもよい。中でも、ガラス転移温度が一層高く、溶媒への長期溶解性に一層優れ、溶媒溶解時の粘度が一層低い変性ポリフェニレンエーテル組成物が得られる観点から、a個の各部分構造は同じ構造であることが好ましい。)
Xは、a価の部分構造を互いに連結する連結基であってよい。
上記Xとしては、単結合又はエステル結合等を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合するa価のアルキル骨格、単結合又はエステル結合等を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合するa価のアリール骨格、単結合又はエステル結合等を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合するa価の複素環骨格、等が挙げられる。
ここで、アルキル骨格としては、特に制限されないが、例えば、炭素数2~6の少なくともa個に分岐した鎖式炭化水素(例えば、鎖式飽和炭化水素)の分岐末端が部分構造のベンゼン環に直接結合する骨格(a個の分岐末端にベンゼン環が結合していればよく、ベンゼン環が結合しない分岐末端があってもよい。)、等が挙げられる。また、アリール骨格としては、特に制限されないが、例えば、ベンゼン環、メシチレン基、又は2-ヒドロキシ-5-メチル-1,3-フェニレン基が、単結合又はアルキル鎖を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合する骨格等が挙げられる。さらに、複素環骨格としては、特に制限されないが、例えば、トリアジン環が単結合又はアルキル鎖を介して、R5が結合しているベンゼン環に結合する骨格等が挙げられる。
上記R5としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基等の炭素数1~8の直鎖状アルキル基、下記式(3)’の部分構造を有する基、等が挙げられ、R5のうち少なくとも1つは下記式(3)’の部分構造であることが好ましい。
上記式(3)’中、
R11は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、
R12は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは各々独立に0又は1であり、
R13は水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基又はフェニル基のいずれかを表す。
上記置換基としては、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記式(4)’中、R21は各々独立に、水素原子;置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基;ハロゲン原子;を表し、置換されていてもよい炭素数1~6の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、ビニル基、アリール基、エチニル基、プロパルギル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。上記式(4)’中、2つのR21は、同時に水素原子ではなく、2つのR21は、一方が上記式(3)’で表される部分構造、もう一方が水素原子、メチル基又はエチル基のいずれかである組み合わせではない。
R22は、各々独立に、水素原子;置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基;置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基;ハロゲン原子;を表し、水素原子又は置換されていてもよい炭素数1~6の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましく、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基であり、さらに好ましくは水素原子、メチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
上記置換基としては、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記Aとしては、ガラス転移温度が一層高く、溶媒への長期溶解性に一層優れ、溶媒溶解時の粘度が一層低い変性ポリフェニレンエーテル組成物が得られる観点から下記式(5)’で表される置換基が好ましい。
(上記式(6)’中、R21、R22は、上記式(4)’と同様の基が挙げられ、上記式(4)’と同じであることが好ましい。)
(上記式(7)’中、X、R5、aは、上記式(2)’と同様のものが挙げられ、上記式(2)’と同じであることが好ましい。Xに結合するa個の部分構造は、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。)
上記一価のフェノール化合物の中でも、特に、安価であり入手が容易であるため、2,6-ジメチルフェノール、2,6-ジエチルフェノール、2,6-ジフェニルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノール、2,5-ジメチルフェノールが好ましく、2,6-ジメチルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノールがより好ましい。
なお、上記フェノール化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、使用するフェノール化合物には、製造の際の副産物として含まれ得る、少量のm-クレゾール、p-クレゾール、2,4-ジメチルフェノール、2,4,6-トリメチルフェノール等が含まれていてもよい。
4,4’-[(3-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(3-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(4-ヒドロキシ-3-エトキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルエチルフェノール)、4,4’-[(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、2,2’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(2-ヒドロキシフェニル)メチレン]-ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エチル]-4-メチルフェノール、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5,6-トリメチルフェニル)メチル]-4-エチルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-6-メチルフェノール、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)メチル]-6-メチルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-6-シクロヘキシルフェノール、2,4-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-6-シクロヘキシルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル]-6-シクロヘキシルフェノール、3,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,2-ベンゼンジオール、4,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,3-ベンゼンジオール、2,4,6-トリス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,3-ベンゼンジオール、2,4,6-トリス[(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,3-ベンゼンジオール、2,2’-メチレンビス[6-[(4/2-ヒドロキシ-2,5/3,6-ジメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-[(4/2-ヒドロキシ-2,3,5/3,4,6-トリメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-[(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,4-ジヒドロキシフェニル)メチル]-6-メチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,4-ジヒドロキシフェニル)メチル]-3,6-ジメチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,4-ジヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-3,6-ジメチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メチル]-3,6-ジメチルフェノール]、6,6’-メチレンビス[4-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,2,3-ベンゼントリオール]、1,1-ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(4-ヒドロキシ-2-メチル-5-シクロヘキシルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メチル]フェノール]、4,4’,4’’,4’’’-(1,2-エタンジイリデン)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’,4’’,4’’’-(1,4-フェニレンジメチリデン)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-ターシャリーブチルフェニル)ブタン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記副生成物としては、下記式(8)’で表される単官能ポリフェニレンエーテル、下記式(8)’で表される単官能ポリフェニレンエーテルの末端変性物、下記式(9)’で表される中心ビフェニル構造を有する二官能ポリフェニレンエーテル、下記式(9)’で表される二官能ポリフェニレンエーテルの末端変性物、上記式(1)’の構造において1つ以上の(-Yn-A)が(-Yn-H)であり、かつすべての(-Yn-A)が(-Yn-H)ではない変性ポリフェニレンエーテル、及び上記式(1)’の構造においてすべての(-Yn-A)が(-Yn-H)であるポリフェニレンエーテル等が挙げられる。
上記式(8)’、式(9)’中、c、d、eは1~100の任意の整数である。R21及びR22は、上記式(4)’と同様のものが挙げられ、同じであることが好ましい。
上記割合は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
数平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
上記液粘度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の多官能変性ポリフェニレンエーテル組成物の製造方法は、例えば、重合法により下記式(1)’’で表される、分子末端が水酸基である多官能ポリフェニレンエーテル組成物(以下、未変性多官能ポリフェニレンエーテル組成物ともいう)を合成し、その末端に式(1)’におけるA置換基を導入する、すなわち変性することにより製造することができる。
(式(1)’’中、Z、Yn、aは式(1)’と同様のものが挙げられ、同じであることが好ましい。)
ここで、未変性多官能ポリフェニレンエーテル組成物の製造方法では、重合工程において、重合溶剤として未変性多官能ポリフェニレンエーテル組成物の良溶剤である芳香族系溶剤を用いることが好ましい。
ここで、未変性多官能ポリフェニレンエーテル組成物の良溶剤とは、多官能ポリフェニレンエーテルを溶解させることができる溶剤であり、このような溶剤を例示すると、ベンゼン、トルエン、キシレン(o-、m-、p-の各異性体を含む)、エチルベンゼン、スチレン等の芳香族炭化水素やクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼンのようなニトロ化合物;等が挙げられる。
式(10)’中、R14、R15、R16、R17は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1から6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、全てが同時に水素原子ではない。R18は、炭素数2から5の直鎖状又はメチル分岐を持つアルキレン基である。
これらの化合物の使用量は、特に限定されないが、銅原子のモル量に対してハロゲン原子として2倍以上20倍以下が好ましく、重合反応に添加するフェノール化合物100モルに対して好ましい銅原子の使用量としては0.02モルから0.6モルの範囲である。
本実施形態において、重合反応終了後の後処理方法については、特に制限はない。通常、塩酸や酢酸等の酸、又はエチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等を反応液に加えて、触媒を失活させる。また、ポリフェニレンエーテルの重合により生じる二価フェノール体の副生成物を除去処理する方法も、従来既知の方法を用いて行うことができる。上記の様に触媒である金属イオンが実質的に失活されている状態であれば、該混合物を加熱するだけで脱色される。また既知の還元剤を必要量添加する方法でも可能である。既知の還元剤としては、ハイドロキノン、亜二チオン酸ナトリウム等が挙げられる。
本実施形態の未変性多官能ポリフェニレンエーテル組成物の製造方法においては、銅触媒を失活させた化合物を抽出するため水を添加し、有機相と水相に液液分離を行った後、水相を除去することで有基礎から銅触媒を除去してよい。この液液分離工程は、特に限定しないが、静置分離、遠心分離機による分離等の方法が挙げられる。上記液液分離を促進させるためには、公知の界面活性剤等を用いてもよい。
続いて、本実施形態の多官能変性ポリフェニレンエーテル組成物の製造方法においては、液液分離後の上記未変性多官能ポリフェニレンエーテル組成物が含まれた有機相を、溶剤を揮発させることで濃縮・乾燥させてよい。なお、続いて変性反応(未変性多官能ポリフェニレンエーテル組成物の末端に式(1)’における置換基Aを導入する反応)を行う場合はこの工程を省略してもよい。
Aの置換基(例えば、上記式(5)’の官能基)を得られた未変性ポリフェニレンエーテルの末端へ導入する方法に限定はなく、例えば、未変性ポリフェニレンエーテルの末端の水酸基と、炭素-炭素2重結合を有するカルボン酸(以下カルボン酸)とのエステル結合の形成反応により得られる。エステル結合の形成法は、公知の様々な方法を利用することが出来る。たとえば、a.カルボン酸ハロゲン化物とポリマー末端の水酸基との反応、b.カルボン酸無水物との反応によるエステル結合の形成、c.カルボン酸との直接反応、d.エステル交換反応による方法、等があげられる。aのカルボン酸ハロゲン化物との反応は最も一般的な方法の一つである。カルボン酸ハロゲン化物としては、塩化物、臭化物が一般的に用いられるが、他のハロゲンを利用してもかまわない。反応は、水酸基との直接反応、水酸基のアルカリ金属塩との反応いずれでも構わない。カルボン酸ハロゲン化物と水酸基との直接反応ではハロゲン化水素等の酸が発生するため、酸をトラップする目的でアミン等の弱塩基を共存させてもよい。bのカルボン酸無水物との反応やcのカルボン酸との直接反応では、反応点を活性化し、反応を促進するために、例えばカルボジイミド類やジメチルアミノピリジン等の化合物を共存させてもかまわない。dのエステル交換反応の場合は、必要に応じて、生成したアルコール類の除去を行うことが望ましい。また、反応を促進させるために公知の金属触媒類を共存させてもかまわない。反応後は、アミン塩等の副生物等を除くために、水、酸性、もしくはアルカリ性の水溶液で洗浄してもかまわないし、ポリマー溶液をアルコール類のような貧溶媒中に滴下し、再沈殿により、目的物を回収してもかまわない。またポリマー溶液を洗浄後、減圧下に溶媒を留去し、ポリマーを回収してもかまわない。
以下、実施例に基づいて本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
(1-1)
実施例1~2及び比較例1~3で得られたポリフェニレンエーテル組成物、及び原料として用いる多価フェノールを重クロロホルムに溶解し、テトラメチルシランを内部標準として用い、1H-NMR測定(JEOL製500MHz)を行った。
(1-2)
中心フェノール部位に起因するピーク位置より、生成物に含まれる多価フェノールのピークを同定した。
(1-3)
式(2)で表される主成分ポリフェニレンエーテルの中心フェノールユニット、及び式(10)で表される副生成物に特有の末端フェノキシユニット、また式(11)で表される副生成物に特有のジフェニルユニットを、得られたNMRスペクトル中のピークにそれぞれ帰属させ、各種ポリフェニレンエーテルの存在割合を下記数式(12)に従い定量した。
上記式(10)、式(11)中、c、d、eは1~100の任意の整数である。
C:式(10)で表される副生成物に特有の末端フェノキシユニットのH1、R22'部位に起因するピーク面積の積算値
D:式(11)で表される副生成物に特有の中心フェノール内部のR22"部位に起因するピーク面積の積算値
E:式(2)で表される主成分ポリフェニレンエーテルの中心フェノール部位に起因するピーク面積の積算値
F:積分値Eを求めたピークに該当する式(2)で表される中心フェノール部位由来のプロトン数
なお、実施例及び比較例に用いられる式(2)で表される主成分ポリフェニレンエーテルの中心フェノール部位に起因するピークや式(10)で表される副生成物末端フェノールのH1、R22'に起因するピーク、式(11)で表される副生成物の中心フェノール内部のR22"に起因するピークは次のような領域に現れる。
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(1H):2.8~3.2ppm
1,1-ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(1H):4.0~4.3ppm
2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(4H):6.95~7.0ppm
式(10)で表される副生成物末端フェノキシユニット(3H):7.05~7.1ppm
式(11)で表される副生成物のジフェニル(4H):7.34~7.4ppm
式(2)で表される主成分ポリフェニレンエーテルの中心フェノール部位に起因するピーク面積の積算値をEとし、7.6~8.3ppmの領域に現れる過酸化物由来の不純物ピーク面積の積算値Gを計算し、下記数式(13)に代入することで不純物ピークの存在割合を解析した。
測定装置として、昭和電工(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーSystem21を用い、標準ポリスチレンとエチルベンゼンにより検量線を作成し、この検量線を利用して、得られたポリフェニレンエーテル組成物の数平均分子量(Mn)の測定を行った。
標準ポリスチレンとしては、分子量が、3650000、2170000、1090000、681000、204000、52000、30200、13800、3360、1300、550のものを用いた。
カラムは、昭和電工(株)製K-805Lを2本直列につないだものを使用した。溶剤は、クロロホルムを使用し、溶剤の流量は1.0mL/分、カラムの温度は40℃として測定した。測定用試料としては、ポリフェニレンエーテル組成物の1g/Lクロロホルム溶液を作製して用いた。検出部のUVの波長は、標準ポリスチレンの場合は254nm、ポリフェニレンエーテルの場合は283nmとした。
上記測定データに基づきGPCにより得られた分子量分布を示す曲線に基づくピーク面積の割合から数平均分子量(Mn)(g/mol)算出した。
ポリフェニレンエーテル組成物のガラス転移温度は、示差走査熱量計DSC(PerkinElmer製-Pyrisl)を用いて測定した。窒素雰囲気中、毎分20℃の昇温速度で室温から200℃まで加熱後、50℃まで毎分20℃で降温し、その後、毎分20℃の昇温速度でガラス転移温度を測定した。
ポリフェニレンエーテル組成物を5.0mg秤量した。そして、この秤量したポリフェニレンエーテル組成物を、25mLの塩化メチレンに溶解させた。調製した溶液2.0mLに対して、2質量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)のエタノール溶液を150μL添加した後、UV分光光度計(日立製作所:U-3210型)を用いて、318nmの吸光度(Abs)を測定した(セル長1cmの吸光度測定用セルを使用)。そして、その測定結果に基づき、吸光度から得られる擬似分子量を、下記数式(9)により求めた。
吸光度から得られる擬似分子量(g/mol)=[((ε×5)/(25×Abs)]
数式(9)
ここで、εは、吸光係数を示し、4700L/mol・cmである。
また、上記疑似分子量の逆数に106をかけることでポリフェニレンエーテル組成物1g当たりのOH末端数(μmol/g)を計算した。
ガラス製の透明スクリュー管にポリフェニレンエーテル組成物を2gとメチルエチルケトン3gを秤量した。攪拌子とマグネチックスターラーを用い1時間攪拌し溶液が透明になるまで完全に溶解させることで40wt%のメチルエチルケトン溶液を調製した。この溶液を25℃で7日間放置し、透明性を保っている場合は「〇」(良好)、溶液中に濁りが発生した場合は「×」(不良)と判定した。
ポリフェニレンエーテル組成物を2gとトルエン3gを秤量した。攪拌子とマグネチックスターラーを用い1時間攪拌し溶液が透明になるまで完全に溶解させることで40wt%のトルエン溶液を調製した。この溶液を、B型粘度計を用い25℃、30rpmの条件で液粘度を測定した。
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた1.5リットルのジャケット付き反応器に、予め調整した0.1026gの酸化第一銅及び0.7712gの47%臭化水素の混合物と、0.2471gのN,N’-ジ-t-ブチルエチレンジアミン、3.6407gのジメチル-n-ブチルアミン、1.1962gのジ-n-ブチルアミン、894.04gのトルエン、73.72gの2,6-ジメチルフェノール、26.28gの1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(ADEKA製:AO-30)を入れた。次いで激しく攪拌しながら反応器へ1.05L/分の速度で空気をスパージャーより導入し始めると同時に、重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。空気を導入し始めてから160分後、空気の通気をやめ、この重合混合物に1.1021gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩四水和物(同仁化学研究所製試薬)を100gの水溶液として添加し、70℃に温めた。70℃にて2時間保温し触媒抽出と副生したジフェノキノン除去処理を行った後、混合液をシャープレス社製遠心分離機に移し、ポリフェニレンエーテル組成物溶液(有機相)と、触媒金属を移した水性相とに分離した。得られたポリフェニレンエーテル組成物溶液をジャケット付き濃縮槽に移し、ポリフェニレンエーテル組成物溶液中の固形分が55質量%になるまでトルエンを留去させて濃縮した。次いで、230℃に設定したオイルバスとロータリーエバポレーターを用いて更にトルエンを留去し、固形分を乾固させてポリフェニレンエーテル組成物を得た。得られたポリフェニレンエーテル組成物の分析結果を表1に示す。
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた1.5リットルのジャケット付き反応器に、予め調整した0.1081gの酸化第一銅及び0.8126gの47%臭化水素の混合物と、0.2603gのN,N’-ジ-t-ブチルエチレンジアミン、3.8360gのジメチル-n-ブチルアミン、1.2604gのジ-n-ブチルアミン、893.72gのトルエン、76.33gの2,6-ジメチルフェノール、23.67gの1,1-ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(ADEKA製:AO-40)を入れた。次いで激しく攪拌しながら反応器へ1.05L/分の速度で空気をスパージャーより導入し始めると同時に、重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。空気を導入し始めてから160分後、空気の通気をやめ、この重合混合物に1.1612gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩四水和物(同仁化学研究所製試薬)を100gの水溶液として添加し、70℃に温めた。70℃にて2時間保温し触媒抽出と副生したジフェノキノン除去処理を行った後、混合液をシャープレス社製遠心分離機に移し、ポリフェニレンエーテル組成物溶液(有機相)と、触媒金属を移した水性相とに分離した。得られたポリフェニレンエーテル組成物溶液をジャケット付き濃縮槽に移し、ポリフェニレンエーテル組成物溶液中の固形分が55質量%になるまでトルエンを留去させて濃縮した。次いで、230℃に設定したオイルバスとロータリーエバポレーターを用いて更にトルエンを留去し、固形分を乾固させてポリフェニレンエーテル組成物を得た。得られたポリフェニレンエーテル組成物の分析結果を表1に示す。
500mLの3つ口フラスコに、3方コックをつけた、ジムロート、等圧滴下ロートを設置した。フラスコ内を窒素に置換した後、原料ポリフェニレンエーテルとしてS202A 100g、トルエン200g、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(ADEKA製:AO-30)12.8gを加えた。フラスコに温度計を設置し、マグネチックスターラーにて撹拌しながら、オイルバスにてフラスコを90℃に加熱し、原料ポリフェニレンエーテルを溶解させた。開始剤として、ベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルm-メチルベンゾイルペルオキシド、m-トルイルペルオキシドの混合物の40%メタキシレン溶液(日本油脂製:ナイパーBMT)の37.5gをトルエン87.5gに希釈し、等圧滴下ロートに仕込んだ。フラスコ内の温度を80℃まで降温させたのち、開始剤溶液を、フラスコ内へ滴下開始し、反応を開始した。開始剤を2時間かけて滴下し、滴下後、再び90℃に昇温し、4時間撹拌を継続した。反応後、ポリマー溶液をメタノール中に滴下し、再沈させた後、溶液と濾別し、ポリマーを回収した。その後、これを真空下100℃で3時間乾燥させた。得られたポリフェニレンエーテル組成物の分析結果を表1に示す。
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた1.5Lのジャケット付き反応器に、0.04gの塩化第二銅2水和物、0.19gの35%塩酸、1.70gのN,N,N’,N’-テトラメチルプロパンジアミン、718.0gのメタノール、21.0gの2,6-ジメチルフェノール、59.0gの1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(ADEKA製:AO-30)を入れた。次いで激しく攪拌しながら反応器へ1.05L/分の速度で空気をスパージャーより導入し始めると同時に、重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。重合液は次第にスラリーの様態を呈した。
酸素を導入し始めてから120分後、酸素含有ガスの通気をやめ、この重合混合物に0.23gのエチレンジアミン四酢酸3カリウム塩(同仁化学研究所製試薬)を溶かした50%水溶液を添加し、60℃で2時間反応させた。反応終了後、濾過して、メタノール洗浄液(b)と、洗浄されるポリフェニレンエーテル組成物(a)との質量比(b/a)が4となる量の洗浄液(b)で3回洗浄し、湿潤ポリフェニレンエーテル組成物を得た。次いで120℃で1時間、真空乾燥し乾燥ポリフェニレンエーテル組成物を得た。得られたポリフェニレンエーテル組成物の分析結果を表1に示す。
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた1.5リットルのジャケット付き反応器に、予め調整した0.1590gの酸化第一銅及び2.2854gの47%臭化水素の混合物と、0.4891gのN,N’-ジ-t-ブチルエチレンジアミン、7.1809gのジメチル-n-ブチルアミン、3.3629gのジ-n-ブチルアミン、666.52gのトルエン、265.6gの2,6-ジメチルフェノール、54.40gの2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンを入れた。次いで激しく攪拌しながら反応器へ2.19L/分の速度で空気をスパージャーより導入し始めると同時に、重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。空気を導入し始めてから160分後、空気の通気をやめ、この重合混合物に1.0053gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩四水和物(同仁化学研究所製試薬)を100gの水溶液として添加し、70℃に温めた。70℃にて2時間保温し触媒抽出と副生したジフェノキノン除去処理を行った後、混合液をシャープレス社製遠心分離機に移し、ポリフェニレンエーテル組成物溶液(有機相)と、触媒金属を移した水性相とに分離した。得られたポリフェニレンエーテル組成物溶液をジャケット付き濃縮槽に移し、ポリフェニレンエーテル組成物溶液中の固形分が55質量%になるまでトルエンを留去させて濃縮した。次いで、230℃に設定したオイルバスとロータリーエバポレーターを用いて更にトルエンを留去し、固形分を乾固させてポリフェニレンエーテル組成物を得た。得られたポリフェニレンエーテル組成物中の主成分は2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンを中心フェノールとして2,6-ジメチルフェノールが結合した重合体であり、式(7)で表される単官能ポリフェニレンエーテル、式(8)で表される二官能ポリフェニレンエーテル、及び2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンを中心フェノールとして2,6-ジメチルフェノールが結合した重合体の合計モルに対する、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンを中心フェノールとして2,6-ジメチルフェノールが結合した重合体のモル割合は、93mol%であった。また、得られたポリフェニレンエーテル組成物の分析結果を表1に示す。
一方、比較例1によるポリフェニレンエーテル組成物は主成分ポリフェニレンエーテルの存在割合は60mol%以上を示し、トルエン溶液の液粘度は低かったが、過酸化物由来の不純物ピークが多く、メチルエチルケトンへの長期溶解性が確保できず、かつ低いTgを示しており、基板材料への適用が困難と考えられる。
比較例2によるポリフェニレンエーテル組成物は不純物ピークが存在せず、高いTgを示したものの、主成分ポリフェニレンエーテルの存在割合が低く、メチルエチルケトンへの長期溶解性が確保できないことから基板材料への適用は困難と考えられる。
また、比較例3によるポリフェニレンエーテル組成物は、主成分ポリフェニレンエーテルの存在割合、不純物ピークの存在有無、OH末端数、Tg、メチルエチルケトンへの長期溶解性に関しては優れた物性を示したものの、数平均分子量に対するトルエン溶液の液粘度が高く、各実施例に比較して基板材料適用時に加工性が劣ると考えられる。
まず、下記に各物性及び評価の測定方法及び評価基準について述べる。
(1-1)
実施例及び比較例で得られた変性ポリフェニレンエーテル組成物、及び原料として用いる多価フェノールを重クロロホルムに溶解し、テトラメチルシランを内部標準として用い、1H-NMR測定(JEOL製500MHz)を行った。
(1-2)
中心フェノール部位に起因するピーク位置より、生成物に含まれる多価フェノールのピークを同定した。
(1-3)
式(2)’で表される主成分ポリフェニレンエーテルの中心フェノールユニット、及び式(11)’で表される副生成物に特有の末端フェノキシユニット、また式(12)’で表される副生成物に特有のジフェニルユニットを、得られたNMRスペクトル中のピークにそれぞれ帰属させ、各種ポリフェニレンエーテルの存在割合を下記数式(13)’に従い定量した。
上記式(11)’及び式(12)’中、c、d、eは1~100の任意の整数である。
C:式(11)’で表される副生成物に特有の末端フェノキシユニットのH1、R22'に起因するピーク面積の積算値
D:式(12)’で表される副生成物に特有の中心フェノール内部のR22"に起因するピーク面積の積算値
E:式(2)’で表される主成分ポリフェニレンエーテルの中心フェノール部位に起因するピーク面積の積算値
F:積分値Eを求めたピークに該当する式(2)’で表される中心フェノール部位由来のプロトン数
なお、実施例及び比較例に用いられる式(2)’で表される主成分ポリフェニレンエーテルの中心フェノール部位に起因するピークや式(11)’で表される副生成物末端フェノールのH1、R22'に起因するピーク、式(12)’で表される副生成物の中心フェノール内部のR22"に起因するピークは次のような領域に現れる。
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(1H):2.8~3.2ppm
1,1-ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(1H):4.0~4.3ppm
2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(4H):6.95~7.0ppm
式(11)’で表される副生成物末端フェノキシユニット(3H):7.05~7.1ppm
式(12)’で表される副生成物のジフェニル(4H):7.34~7.4ppm
式(2)’で表される主成分ポリフェニレンエーテルの中心フェノール部位に起因するピーク面積の積算値をEとし、7.6~8.3ppmの領域に現れる過酸化物由来の不純物ピーク(過酸化物ピーク)面積の積算値Gを計算し、下記数式(14)’に代入することで過酸化物ピークの存在割合を解析した。
測定装置として、昭和電工(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーSystem21を用い、標準ポリスチレンとエチルベンゼンにより検量線を作成し、この検量線を利用して、得られた変性ポリフェニレンエーテル組成物の数平均分子量(Mn)の測定を行った。
標準ポリスチレンとしては、分子量が、3650000、2170000、1090000、681000、204000、52000、30200、13800、3360、1300、550のものを用いた。
カラムは、昭和電工(株)製K-805Lを2本直列につないだものを使用した。溶剤は、クロロホルムを使用し、溶剤の流量は1.0mL/分、カラムの温度は40℃として測定した。測定用試料としては、変性ポリフェニレンエーテル組成物の1g/Lクロロホルム溶液を作製して用いた。検出部のUVの波長は、標準ポリスチレンの場合は254nm、ポリフェニレンエーテルの場合は283nmとした。
上記測定データに基づきGPCにより得られた分子量分布を示す曲線に基づくピーク面積の割合から数平均分子量(Mn)(g/mol)算出した。
変性ポリフェニレンエーテル組成物のガラス転移温度は、示差走査熱量計DSC(PerkinElmer製-Pyrisl)を用いて測定した。窒素雰囲気中、毎分20℃の昇温速度で室温から200℃まで加熱後、50℃まで毎分20℃で降温し、その後、毎分20℃の昇温速度でガラス転移温度を測定した。
変性ポリフェニレンエーテル組成物及び内部標準試料として1,3,5-トリメトキシベンゼン標準品(富士フィルム和光純薬株式会社製、分子量168.19)を規定量採り、トリメチルシラン入り重クロロホルムに溶解させ、1H-NMR測定(JEOL製500MHz)を行った。
次いで、1,3,5-トリメトキシベンゼンのメトキシ基由来のプロトンのピーク(3.7~3.8ppm:9H)の積分値、及びメタクリル基のC=C結合末端のプロトンのうち高磁場側に現れるピーク(5.5~5.9ppm:1H)の積分値を求め、これらの積分値と、測定に用いたポリフェニレンエーテル組成物と1,3,5-トリメトキシベンゼンの重量から変性ポリフェニレンエーテル組成物1g当たりのメタクリル基数(単位μmol/g)を算出した。
ガラス製の透明スクリュー管に変性ポリフェニレンエーテル組成物を2gとメチルエチルケトン3gを秤量した。攪拌子とマグネチックスターラーを用い1時間攪拌し溶液が透明になるまで完全に溶解させることで40wt%のメチルエチルケトン溶液を調製した。この溶液を25℃で7日間放置し、透明性を保っている場合は「〇」(良好)、溶液中に濁りが発生した場合は「×」(不良)と判定した。
変性ポリフェニレンエーテル組成物を2gとトルエン3gを秤量した。攪拌子とマグネチックスターラーを用い1時間攪拌し溶液が透明になるまで完全に溶解させることで40wt%のトルエン溶液を調製した。この溶液を、B型粘度計を用い25℃、30rpmの条件で液粘度を測定した。
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた1.5リットルのジャケット付き反応器に、予め調整した0.1026gの酸化第一銅及び0.7712gの47%臭化水素の混合物と、0.2471gのN,N’-ジ-t-ブチルエチレンジアミン、3.6407gのジメチル-n-ブチルアミン、1.1962gのジ-n-ブチルアミン、894.04gのトルエン、73.72gの2,6-ジメチルフェノール、26.28gの1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(ADEKA製:AO-30)を入れた。次いで激しく攪拌しながら反応器へ1.05L/分の速度で空気をスパージャーより導入し始めると同時に、重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。空気を導入し始めてから160分後、空気の通気をやめ、この重合混合物に1.1021gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩四水和物(同仁化学研究所製試薬)を100gの水溶液として添加し、70℃に温めた。70℃にて2時間保温し触媒抽出と副生したジフェノキノン除去処理を行った後、混合液をシャープレス社製遠心分離機に移し、未変性ポリフェニレンエーテル組成物溶液(有機相)と、触媒金属を移した水性相とに分離した。得られた未変性ポリフェニレンエーテル組成物溶液をジャケット付き濃縮槽に移し、未変性ポリフェニレンエーテル組成物溶液中の固形分が55質量%になるまでトルエンを留去させて濃縮した。次いで、230℃に設定したオイルバスとロータリーエバポレーターを用いて更にトルエンを留去し、固形分を乾固させて未変性ポリフェニレンエーテル組成物を得た。
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた1.5リットルのジャケット付き反応器に、予め調整した0.1081gの酸化第一銅及び0.8126gの47%臭化水素の混合物と、0.2603gのN,N’-ジ-t-ブチルエチレンジアミン、3.8360gのジメチル-n-ブチルアミン、1.2604gのジ-n-ブチルアミン、893.72gのトルエン、76.33gの2,6-ジメチルフェノール、23.67gの1,1-ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(ADEKA製:AO-40)を入れた。次いで激しく攪拌しながら反応器へ1.05L/分の速度で空気をスパージャーより導入し始めると同時に、重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。空気を導入し始めてから160分後、空気の通気をやめ、この重合混合物に1.1612gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩四水和物(同仁化学研究所製試薬)を100gの水溶液として添加し、70℃に温めた。70℃にて2時間保温し触媒抽出と副生したジフェノキノン除去処理を行った後、混合液をシャープレス社製遠心分離機に移し、未変性ポリフェニレンエーテル組成物溶液(有機相)と、触媒金属を移した水性相とに分離した。得られた未変性ポリフェニレンエーテル組成物溶液をジャケット付き濃縮槽に移し、未変性ポリフェニレンエーテル組成物溶液中の固形分が55質量%になるまでトルエンを留去させて濃縮した。次いで、230℃に設定したオイルバスとロータリーエバポレーターを用いて更にトルエンを留去し、固形分を乾固させて未変性ポリフェニレンエーテル組成物を得た。
500mLの3つ口フラスコに、3方コックをつけた、ジムロート、等圧滴下ロートを設置した。フラスコ内を窒素に置換した後、原料ポリフェニレンエーテルとしてS202A 100g、トルエン200g、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(ADEKA製:AO-30)12.8gを加えた。フラスコに温度計を設置し、マグネチックスターラーにて撹拌しながら、オイルバスにてフラスコを90℃に加熱し、原料ポリフェニレンエーテルを溶解させた。開始剤として、ベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルm-メチルベンゾイルペルオキシド、m-トルイルペルオキシドの混合物の40%メタキシレン溶液(日本油脂製:ナイパーBMT)の37.5gをトルエン87.5gに希釈し、等圧滴下ロートに仕込んだ。フラスコ内の温度を80℃まで降温させたのち、開始剤溶液を、フラスコ内へ滴下開始し、反応を開始した。開始剤を2時間かけて滴下し、滴下後、再び90℃に昇温し、4時間撹拌を継続した。反応後、ポリマー溶液をメタノール中に滴下し、再沈させた後、溶液と濾別し、ポリマーを回収した。その後、これを真空下100℃で3時間乾燥させ、未変性ポリフェニレンエーテル組成物を得た。
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた1.5Lのジャケット付き反応器に、0.04gの塩化第二銅2水和物、0.19gの35%塩酸、1.70gのN,N,N’,N’-テトラメチルプロパンジアミン、718.0gのメタノール、21.0gの2,6-ジメチルフェノール、59.0gの1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(ADEKA製:AO-30)を入れた。次いで激しく攪拌しながら反応器へ1.05L/分の速度で空気をスパージャーより導入し始めると同時に、重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。重合液は次第にスラリーの様態を呈した。
酸素を導入し始めてから120分後、酸素含有ガスの通気をやめ、この重合混合物に0.23gのエチレンジアミン四酢酸3カリウム塩(同仁化学研究所製試薬)を溶かした50%水溶液を添加し、60℃で2時間反応させた。反応終了後、濾過して、メタノール洗浄液(b)と、洗浄される未変性ポリフェニレンエーテル組成物(a)との質量比(b/a)が4となる量の洗浄液(b)で3回洗浄し、湿潤未変性ポリフェニレンエーテル組成物を得た。次いで120℃で1時間真空乾燥し、未変性多官能ポリフェニレンエーテル組成物を得た。
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた1.5リットルのジャケット付き反応器に、予め調整した0.1590gの酸化第一銅及び2.2854gの47%臭化水素の混合物と、0.4891gのN,N’-ジ-t-ブチルエチレンジアミン、7.1809gのジメチル-n-ブチルアミン、3.3629gのジ-n-ブチルアミン、666.52gのトルエン、265.6gの2,6-ジメチルフェノール、54.40gの2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンを入れた。次いで激しく攪拌しながら反応器へ2.19L/分の速度で空気をスパージャーより導入し始めると同時に、重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。空気を導入し始めてから160分後、空気の通気をやめ、この重合混合物に1.0053gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩四水和物(同仁化学研究所製試薬)を100gの水溶液として添加し、70℃に温めた。70℃にて2時間保温し触媒抽出と副生したジフェノキノン除去処理を行った後、混合液をシャープレス社製遠心分離機に移し、未変性ポリフェニレンエーテル組成物溶液(有機相)と、触媒金属を移した水性相とに分離した。得られた未変性ポリフェニレンエーテル組成物溶液をジャケット付き濃縮槽に移し、未変性ポリフェニレンエーテル組成物溶液中の固形分が55質量%になるまでトルエンを留去させて濃縮した。次いで、230℃に設定したオイルバスとロータリーエバポレーターを用いて更にトルエンを留去し、固形分を乾固させて未変性ポリフェニレンエーテル組成物を得た。
300ml3つ口フラスコに撹拌子を入れ、主管に三方コックを付けたジムロート冷却器を設置し、一方の側管に温度計を差したゴム栓を取り付けた。もう一方の側管から製造例1で得られた未変性ポリフェニレンエーテル組成物20gを投入し、ゴム栓を取り付けた。フラスコ内部を窒素置換した後、マグネチックスターラーで内部の攪拌をしながらシリンジを用いてトルエン140gで溶解させ、次いでトリエチルアミン6.32gを加えた。その後塩化メタクリロイル3.27gをシリンジに採取し、ゴム栓から系内に滴下した。滴下終了後から3時間常温で攪拌を継続した後にオイルバスでフラスコを加熱し、還流状態で反応を継続した。還流開始から2時間経過した段階で加熱をやめ、常温に戻った後にメタノール1.00gを加えて反応を停止した。次いで当該反応液を固形分濃度が20重量%となるまで濃縮した後、濃縮液と等重量のイオン交換水を用いて水洗した。その後、水槽を除去し、有機層をメタノール(有機層の5倍重量)に攪拌しながら滴下した。次いで沈殿物をろ過し、ろ物を110℃で1時間真空乾燥し、変性ポリフェニレンエーテル組成物を得た。得られた変性ポリフェニレンエーテル組成物の分析結果を表2に示す。
未変性ポリフェニレンエーテル組成物として製造例2で得られた組成物20gを用い、トリエチルアミンの量を7.94g、塩化メタクリロイルの量を4.10gとした他は実施例3と同様の方法で操作を実施し、変性ポリフェニレンエーテル組成物を得た。得られた変性ポリフェニレンエーテル組成物の分析結果を表2に示す。
製造例1において未変性ポリフェニレンエーテル組成物溶液中の固形分が55質量%になるまでトルエンを留去させて濃縮した濃縮液36.4gにトルエン123.6gを加えた未変性ポリフェニレンエーテル組成物溶液を用いて実施例3と同様の方法で操作を実施し、変性ポリフェニレンエーテル組成物を得た。得られた変性ポリフェニレンエーテル組成物の分析結果を表2に示す。
未変性ポリフェニレンエーテル組成物として製造比較例1で得られた組成物20gを用い、トリエチルアミンの量を10.79g、塩化メタクリロイルの量を5.57gとした他は実施例3と同様の方法で操作を実施し、変性ポリフェニレンエーテル組成物を得た。得られた変性ポリフェニレンエーテル組成物の分析結果を表2に示す。
未変性ポリフェニレンエーテル組成物として製造比較例2で得られた組成物20gを用い、トリエチルアミンの量を10.94g、塩化メタクリロイルの量を5.65gとした他は実施例3と同様の方法で操作を実施し、変性ポリフェニレンエーテル組成物を得た。得られた変性ポリフェニレンエーテル組成物の分析結果を表2に示す。
未変性ポリフェニレンエーテル組成物として製造比較例3で得られた組成物20gを用い、トリエチルアミンの量を7.86g、塩化メタクリロイルの量を4.06gとした他は実施例3と同様の方法で操作を実施し、変性ポリフェニレンエーテル組成物を得た。得られた変性多官能ポリフェニレンエーテルの分析結果を表2に示す。
一方、比較例4によるポリフェニレンエーテル組成物は主成分ポリフェニレンエーテルの存在割合は60mol%以上を示し、トルエン溶液の液粘度は低かったが、過酸化物ピークが多く、メチルエチルケトンへの長期溶解性が確保できず、低いTgを示しており、基板材料への適用が困難と考えられる。
比較例5によるポリフェニレンエーテル組成物は過酸化物ピークが存在せず、高いTgを示したものの、主成分ポリフェニレンエーテルの存在割合が低く、メチルエチルケトンへの長期溶解性が確保できないことから基板材料への適用は困難と考えられる。
また、比較例6によるポリフェニレンエーテル組成物は、主成分ポリフェニレンエーテルの存在比率、過酸化物ピークの存在有無、置換基Aの数、Tg、メチルエチルケトンへの長期溶解性に関しては優れた物性を示したものの、数平均分子量に対するトルエン溶液の液粘度が高く、各実施例に比較して基板材料適用時に加工性が劣ると考えられる。
Claims (7)
- 下記式(1)の構造を有するポリフェニレンエーテルを60mol%以上含み、
1H-NMR測定結果における、下記式(2)の構造由来のピークの積算値に対する、7.6~8.3ppmに現れるピークの積算値の割合が1以下であり、
ポリスチレン換算の数平均分子量が、500~15000g/molである、
ことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル組成物。
(式(1)中、Zは下記式(2)で表されるa価の部分構造であり、aは2~6の整数を表し、Yは各々独立に下記式(4)の構造を有する2価の連結基であり、nはYの繰り返し数を表し、各々独立に0~200の整数であり、a個の(-Yn-H)中少なくとも1つのnは1以上の整数である。
式(2)中、Xは単結合又はエステル結合を介して、R 5 が結合しているベンゼン環に結合するa価のアルキル骨格であり、R5は各々独立に任意の置換基であり、kは各々独立に1~4の整数であり、R5のうち少なくとも1つは下記式(3)で表される部分構造であり、
式(3)中、R11は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、R12は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは各々独立に0又は1であり、R13は水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基のいずれかを表し、
式(2)中の-O-が結合するベンゼン環の炭素原子を1位とし、2位又は6位の一方の炭素原子に式(3)の部分構造を有するR5が結合し、2位又は6位の他方の炭素原子に水素原子、メチル基又はエチル基が結合し、
式(4)中、R21は各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかであり、2つのR21は、同時に水素原子ではなく、2つのR21は、一方が上記式(3)で表される部分構造、もう一方が水素原子、メチル基又はエチル基のいずれかである組み合わせではなく、R22は各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかである。) - 前記式(3)で表される部分構造がt-ブチル基である、請求項1に記載のポリフェニレンエーテル組成物。
- 前記ポリフェニレンエーテル組成物中に含まれるOH末端数が1000~3000μmol/gである、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル組成物。
- 下記式(1)’の構造を有する変性ポリフェニレンエーテルを含み、
下記式(1)’の構造を有する変性ポリフェニレンエーテル、下記式(1)’の構造において1つ以上の(-Yn-A)が(-Yn-H)であり、かつすべての(-Yn-A)が(-Yn-H)ではない変性ポリフェニレンエーテル、及び下記式(1)’の構造においてすべての(-Yn-A)が(-Yn-H)であるポリフェニレンエーテルをこれらの化合物の全量として60mol%以上含み、
1H-NMR測定結果における、下記式(2)’の構造由来のピークの積算値に対する、7.6~8.3ppmに現れるピークの積算値の割合が1以下であり、
ポリスチレン換算の数平均分子量が、500~15000g/molである、
ことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル組成物。
(式(1)’中、Zは下記式(2)’で表されるa価の部分構造であり、aは2~6の整数を表し、Aは各々独立に炭素-炭素二重結合及び/又はエポキシ結合を含有する置換基を表し、Yは各々独立に下記式(4)’の構造を有する2価の連結基であり、nはYの繰り返し数を表し、各々独立に0~200の整数であり、a個の(-Yn-A)中少なくとも1つのnは1以上の整数である。
式(2)’中、Xは単結合又はエステル結合を介して、R 5 が結合しているベンゼン環に結合するa価のアルキル骨格であり、R5は各々独立に任意の置換基であり、kは各々独立に1~4の整数であり、R5のうち少なくとも1つは下記式(3)’で表される部分構造であり、
式(3)’中、R11は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、R12は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは各々独立に0又は1であり、R13は水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基のいずれかを表し、
式(2)’中の-O-が結合するベンゼン環の炭素原子を1位とし、2位又は6位の一方の炭素原子に式(3)’の部分構造を有するR5が結合し、2位又は6位の他方の炭素原子に水素原子、メチル基又はエチル基が結合し、
式(4)’中、R21は各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかであり、2つのR21は、同時に水素原子ではなく、2つのR21は、一方が上記式(3)’で表される部分構造、もう一方が水素原子、メチル基又はエチル基のいずれかである組み合わせではなく、R22は各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかである。) - 前記式(3)’で表される部分構造がt-ブチル基である、請求項4に記載のポリフェニレンエーテル組成物。
- 前記ポリフェニレンエーテル組成物中に含まれる前記A基の数が700~3000μmol/gである、請求項4から6のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル組成物。
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