JP2023103094A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板作成時に基材を含浸させることが容易であり、硬化物の十分な低誘電特性、低線膨張係数、及び高い銅箔接着強度の全てを満足させる硬化性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】(A)変性ポリフェニレンエーテル、(B)共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のランダム共重合体含有率が1%以上95%以下のスチレン系エラストマー、(C)分子内のビニル基の数が3個以下である芳香族ビニル化合物である架橋助剤、(D)(イ)分子量が400以下であり、1分子内のアクリル基またはメタクリル基の合計数が3個以下のアクリル系またはメタクリル系化合物、または(ロ)下記式(19)で表されるビニル基含有シラン系化合物である反応性希釈剤、を含む硬化性樹脂組成物。JPEG2023103094000062.jpg32126{式(19)中、R42は、水素原子、または炭素数4以下の炭化水素を表し、nは2~6の整数を表す。}【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物に関する。
ポリフェニレンエーテルは、優れた高周波特性、難燃性、及び耐熱性を有するため、電気・電子分野、自動車分野、その他の各種工業材料分野の材料として幅広く用いられている。近年、通常の高分子量ポリフェニレンエーテルよりも、極めて低分子量を示すポリフェニレンエーテルが基板材料等の電子材料用途に対して有効であることが期待されている。このため、2,6-ジメチルフェノールを原料として用いる一般的な高分子量ポリフェニレンエーテルよりも更に低誘電化した低分子量ポリフェニレンエーテル及びその効率的な製造方法が、特許文献1に提案されている。
また、特許文献2,3には、ポリフェニレンエーテル部分を分子構造内に有し、かつ、この分子末端に、メタクリル基を有した変性ポリマーについて記載されている。特に、メタクリル基変性は、架橋基としてのメタクリル基の反応性が適度に高いこと、水酸基末端への導入方法が容易であることから、広く用いられつつある手法となっている。一方、特許文献4には、誘電特性、耐熱性等を改善する目的で分子末端にビニルシリル基を変性基として導入した例が報告されている。
さらに特許文献5では、金属箔との密着性の向上等のため、メタクリル化したポリフェニレンエーテルに、ビニル芳香族化合物とオレフィン系アルケン化合物とのブロック共重合体、及び/又はその水素添加物(スチレン系エラストマー)を配合して溶剤中に溶解させたワニスとする試みが報告されている。
特開2004-99824号公報 特表2004-502849号公報 特表2010-538114号公報 中国特許出願公開第106916293号明細書 特開2020-200432号公報
上述した通り、種々のメリットがあるため、変性ポリフェニレンエーテルにスチレン系エラストマーを添加することが行われているが、特許文献4に開示されたようなビニルシリル基で変性されたポリフェニレンエーテルにスチレン系エラストマーを配合してワニスを作成すると、基板作成時に基材を含浸させることが困難となったり、形成された硬化物の誘電特性、線膨張係数、及び銅箔接着強度が悪化したりすることがあることが確認された。
上記課題に鑑み、本発明は、基板作成時に基材を含浸させることが容易であり、硬化物の十分な低誘電特性、低線膨張係数、及び高い銅箔接着強度の全てを満足させる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく、極性が低く、金属接着性の良い架橋基であるビニルシリル基等を変性基に用いた変性ポリフェニレンエーテル、特定のスチレン系エラストマー、及び特定の架橋助剤ならびに特定の反応性希釈剤を含むことにより硬化時の最低溶融粘度が低下することにより、上記課題を全て解決可能な硬化性樹脂組成物を得ることが出来、本発明の完成に至ったものである。すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
下記(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分を含む硬化性樹脂組成物。
(A)変性ポリフェニレンエーテル
下記式(1)で表される変性ポリフェニレンエーテル:
{式(1)中、Zは、下記式(2)で表されるa価の部分構造であり、aは2~6の整数を表し、Yは、各々独立に、下記式(4)で表される構造を有する2価の連結基であり、nは、Yの繰り返し数を表し、各々独立に、0~200の整数であり、a個の[-Y-A]中の少なくとも1つのnは、1以上の整数であり、Aは、全て水素原子の場合を除いて、水素原子、又はポリフェニレンエーテル構造と結合可能なシリル基含有誘導体を表し、
式(2)中、Xは、a価の任意の連結基であり、複数のRは、各々独立に、炭素数1~8の直鎖状アルキル基及び下記式(3)で表される部分構造のいずれかであり、kは、各々独立に、1~4の整数であり、
式(3)中、複数のR11は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、複数のR12は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは、各々独立に、0又は1であり、R13は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基、又は置換されていてもよいフェニル基のいずれかを表し、
式(4)中、複数のR21は、各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかであり、2つのR21は、同時に水素原子ではなく、2つのR21は、一方が上記式(3)で表される部分構造、もう一方が水素原子、メチル基又はエチル基のいずれかである組み合わせではなく、複数のR22は、各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかである。}
(B)共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のランダム共重合体含有率が1%以上95%以下のスチレン系エラストマー
(C)芳香族ビニル系架橋助剤
下記式(18)で表され、分子内のビニル基の数が3個以下である芳香族ビニル化合物である架橋助剤:
{式(18)中、R37、R38、R39は、水素原子、またはそれぞれ独立に炭素数4以下の炭化水素を表し、R40、R41は、それぞれ独立に水素または炭素数8以下の飽和または不飽和の炭化水素を表す。}
(D)以下の(イ)群または(ロ)群のいずれかに属する反応性希釈剤
(イ):分子量が400以下であり、1分子内のアクリル基またはメタクリル基の合計数が3個以下のアクリル系またはメタクリル系化合物
(ロ):下記式(19)で表されるビニル基含有シラン系化合物
{式(19)中、R42は、水素原子、または炭素数4以下の炭化水素を表し、nは2~6の整数を表す。}
[2]
前記(B)成分の、スチレン含有率が20%以上である、[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
[3]
前記(B)成分の、数平均分子量が300,000以下である、[1]または2に記載の硬化性樹脂組成物。
[4]
前記(B)成分が、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、水添スチレン-ブタジエン共重合体、水添スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、水添スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、および水添スチレン(ブタジエン/イソプレン)スチレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[5]
前記(B)成分が、共役ジエン単量体単位に基づく二重結合の水添率が90%以上であるスチレン系エラストマーである、[1]~[4]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[6]
前記(D)成分の(イ)群の反応性希釈剤が、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸ジシクロペンタニルのいずれかである[1]~[5]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[7]
前記(D)成分の(ロ)群の反応性希釈剤が2,4,6,8-テトラメチル-テトラビニルシクロテトラシロキサンまたは2,4,6-トリメチル-トリビニルシクロトリシロキサンである、[1]~[6]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[8]
(E)開始剤をさらに含む、[1]~[7]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[9]
最低溶融粘度が1[Pa・s]以上20000[Pa・s]以下である、[8]に記載の硬化性樹脂組成物。
[10]
(F)溶媒をさらに含む、[1]~[9]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[11]
前記式(18)中、R37、R38、R39が水素原子である、[1]~[10]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[12]
前記式(18)中、R40がtert-ブチル基である、[1]~[11]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[13]
前記式(18)中、R41がビニル基である、[1]~[12]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[14]
前記(C)成分が4-tertブチルスチレンである、[12]に記載の硬化性樹脂組成物。
[15]
前記(C)成分がジビニルベンゼンである、[13]に記載の硬化性樹脂組成物。
[16]
前記式(2)において前記Rのうち少なくとも1つは、前記式(3)で表される部分構造であり、前記式(2)中の-O-が結合するベンゼン環の炭素原子を1位とし、2位又は6位の一方の炭素原子に前記式(3)で表される部分構造を有するRが結合し、2位又は6位の他方の炭素原子に水素原子、メチル基又はエチル基が結合している、[1]~[15]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[17]
前記式(3)で表される部分構造が、t-ブチル基である、[16]に記載の硬化性樹脂組成物。
[18]
前記ポリフェニレンエーテル中に含まれるOH末端数が、0~3,000μmol/gである、[1]~[17]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[19]
前記式(4)中、R21がメチル基である、[1]~[18]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[20]
前記式(1)のAが、下記式(5):
{式(5)中、R31、及びR34は、それぞれ独立に、炭素数1~30の2価の炭化水素基であり、R32、及びR33は、それぞれ独立に、炭素数1~30の1価の炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、又はヒドロキシアルキル基であり、Bは、オレフィン系の炭素-炭素2重結合を含む炭素数1~30の炭化水素系置換基であり、その一部が、水素原子、水酸基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、イソプロペニル基、又はハロゲン基に置換されていてもよく、sとtとuは、それぞれ独立に0~8の整数である。}
で表される、[1]~[19]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[21]
前記式(1)のAが、下記式(6)及び/又は(7):
{式(6)及び/又は式(7)中、R31、及びR34は、それぞれ独立に、炭素数1~30の2価の炭化水素基であり、R32、及びR33は、それぞれ独立に、炭素数1~30の1価の炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、又はヒドロキシアルキル基であり、R35は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、又は炭素数1~30の炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、イソプロペニル基、又はハロゲン基であり、R36は、炭素数1~3の2価の炭化水素基またはアミノ基、または酸素原子であり、炭化水素基の一部は、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、イソプロペニル基、又はハロゲン基に置換されていてよく、かつsとtとuは、それぞれ独立に、0~8の整数である。}
で表される、[20]に記載の硬化性樹脂組成物。
[22]
[1]~[21]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を含む、プリプレグ。
[23]
[1]~[21]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の硬化物を含む、積層板。
[24]
[1]~[21]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の硬化物を含む、プリント配線板。
[25]
[1]~[21]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の硬化物を含む、複合材料。
[26]
炭素繊維強化複合材料である、[25]に記載の複合材料。
[27]
下記(A)成分及び(D)成分を含む硬化性樹脂組成物。
(A)変性ポリフェニレンエーテル
下記式(1)で表される変性ポリフェニレンエーテル:
{式(1)中、Zは、下記式(2)で表されるa価の部分構造であり、aは2~6の整数を表し、Yは、各々独立に、下記式(4)で表される構造を有する2価の連結基であり、nは、Yの繰り返し数を表し、各々独立に、0~200の整数であり、a個の[-Y-A]中の少なくとも1つのnは、1以上の整数であり、Aは、全て水素原子の場合を除いて、水素原子、又はポリフェニレンエーテル構造と結合可能なシリル基含有誘導体を表し、
式(2)中、Xは、a価の任意の連結基であり、複数のRは、各々独立に、炭素数1~8の直鎖状アルキル基及び下記式(3)で表される部分構造のいずれかであり、kは、各々独立に、1~4の整数であり、
式(3)中、複数のR11は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、複数のR12は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは、各々独立に、0又は1であり、R13は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基、又は置換されていてもよいフェニル基のいずれかを表し、
式(4)中、複数のR21は、各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかであり、2つのR21は、同時に水素原子ではなく、2つのR21は、一方が上記式(3)で表される部分構造、もう一方が水素原子、メチル基又はエチル基のいずれかである組み合わせではなく、複数のR22は、各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかである。}
(D)成分;
下記式(19)で表されるビニル基含有シラン系化合物。
{式(19)中、R42は、水素原子、または炭素数4以下の炭化水素を表し、nは2~6の整数を表す。}
[28]
前記(D)成分が2,4,6,8-テトラメチル-テトラビニルシクロテトラシロキサンまたは2,4,6-トリメチル-トリビニルシクロトリシロキサンのいずれかである[27]に記載の硬化性樹脂組成物。
本発明に規定した硬化性樹脂組成物を用いることにより、基板作成時に基材を含浸させることが容易であり、硬化物の十分な低誘電特性、低線膨張係数の及び高い銅箔接着強度の全てを満足させる硬化性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について、詳細に説明する。本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は、この実施形態のみに限定されるものではなく、本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
<硬化性樹脂組成物>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、下記(A)変性ポリフェニレンエーテル、(B)スチレン系エラストマー及び(C)架橋助剤および(D)反応性希釈剤を含むことを特徴とする。
(A)変性ポリフェニレンエーテル
下記式(1)で表される変性ポリフェニレンエーテル:
{式(1)中、Zは、下記式(2)で表されるa価の部分構造であり、aは2~6の整数を表し、Yは、各々独立に、下記式(4)で表される構造を有する2価の連結基であり、nは、Yの繰り返し数を表し、各々独立に、0~200の整数であり、a個の[-Y-A]中の少なくとも1つのnは、1以上の整数であり、Aは、全て水素原子の場合を除いて、水素原子、又はポリフェニレンエーテル構造と結合可能なシリル基含有誘導体を表し、
式(2)中、Xは、a価の任意の連結基であり、複数のRは、各々独立に、炭素数1~8の直鎖状アルキル基及び下記式(3)で表される部分構造のいずれかであり、kは、各々独立に、1~4の整数であり、
式(3)中、複数のR11は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、複数のR12は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは、各々独立に、0又は1であり、R13は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基、又は置換されていてもよいフェニル基のいずれかを表し、
式(4)中、複数のR21は、各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかであり、2つのR21は、同時に水素原子ではなく、2つのR21は、一方が上記式(3)で表される部分構造、もう一方が水素原子、メチル基又はエチル基のいずれかである組み合わせではなく、複数のR22は、各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかである。}
(B)スチレン系エラストマー
(C)架橋助剤
下記式(18)で表され、分子内のビニル基の数が3個以下である芳香族ビニル化合物である架橋助剤:
{式(18)中、R37、R38、R39は、水素原子、またはそれぞれ独立に炭素数4以下の炭化水素を表し、R40、R41は、それぞれ独立に水素または炭素数8以下の飽和または不飽和の炭化水素を表す。}
(D)以下の(イ)群または(ロ)群のいずれかに属する反応性希釈剤
(イ):分子量が400以下であり、1分子内のアクリル基またはメタクリル基の合計数が3個以下のアクリル系またはメタクリル系化合物
(ロ):下記式(19)で表されるビニル基含有シラン系化合物
{式(19)中、R42は、水素原子、または炭素数4以下の炭化水素を表し、nは2~6の整数を表す。}
本実施形態では、(A)変性ポリフェニレンエーテルと、(B)スチレン系エラストマーと、(C)架橋助剤と(D)反応性希釈剤とを含んだ硬化性樹脂組成物を用いることにより、均一な硬化物が得られ、硬化物の十分なTg、低誘電特性、及び低線膨張係数の全てを満足させる硬化性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本実施形態の硬化性樹脂組成物を構成する成分に関して詳述する。
<(A)変性ポリフェニレンエーテル>
本実施形態に係る変性ポリフェニレンエーテルは、下記式(1)で表される構造を有する。
式(1)中、Zは下記式(2)で表されるa価の中心フェノール部位を有する部分構造であり、aは3~6の整数である。
上記「中心フェノール部位」とは、多官能ポリフェニレンエーテルを重合する際に反応の起点となる中心骨格を意味し、多官能変性ポリフェニレンエーテル組成物を核磁気共鳴(NMR)、質量分析等の手法で解析することによりその構造を同定できる。
多官能変性ポリフェニレンエーテル組成物から上記中心フェノール部位の構造を同定する具体的方法としては、例えば、多官能変性ポリフェニレンエーテル組成物の質量分析結果から低分子量成分のみを分析し、電気衝撃又は電気イオン化(EI)でフラグメントイオンのピークから中心フェノール部位の構造を推定する方法が挙げられる。さらに、多官能変性ポリフェニレンエーテル組成物のNMR測定を行い、公知の多官能フェノール化合物のNMR測定結果と照らし合わせることで中心フェノール部位の構造を推定する方法が挙げられる。この質量分析結果とNMR測定結果を組み合わせることで、より正確に中心フェノール部位の構造を同定することが可能となる。
上記変性ポリフェニレンエーテルは、a価の中心部Xにa個の部分構造(例えば、R等で置換されていてもよいフェノール)が結合し、a価の部分構造(即ち、下記式(2)で表される中心フェノール部位)に式(1)の[-Y-A]が結合する構造であってもよい。
式(2)中、aとしては、式(1)と同様の2~6の整数が挙げられ、式(1)と同じ整数であることが好ましい。式(2)の中心フェノール部位において、a個の各部分構造は、同じ構造であってもよいし、異なっていてもよい。
式(2)中、Xは、a価の任意の連結基であり、特に制限されないが、例えば、鎖式炭化水素、環式炭化水素等の炭化水素基;窒素、リン、ケイ素及び酸素から選ばれる、一つ又は複数の原子を含有する炭化水素基;窒素、リン、ケイ素等の原子;若しくはこれらを組み合わせた基;等が挙げられる。Xは、単結合を除く連結基であってもよい。
式(2)中のXは、a価の部分構造を互いに連結する連結基であってもよい。
式(2)中、Xとしては、単結合又はエステル結合等を介して、Rが結合しているベンゼン環に結合するa価のアルキル骨格;単結合又はエステル結合等を介して、Rが結合しているベンゼン環に結合するa価のアリール骨格;単結合又はエステル結合等を介して、Rが結合しているベンゼン環に結合するa価の複素環骨格;等が挙げられる。
ここで、アルキル骨格としては、特に制限されないが、例えば、炭素数1~6の少なくともa個に分岐した鎖式炭化水素(例えば、鎖式飽和炭化水素)の分岐末端が部分構造のベンゼン環に直接結合する骨格(a個の分岐末端にベンゼン環が結合していればよく、ベンゼン環が結合しない分岐末端があってもよい。)、等が挙げられる。また、アリール骨格としては、特に制限されないが、例えば、ベンゼン環、メシチレン基、又は2-ヒドロキシ-5-メチル-1,3-フェニレン基が、単結合又はアルキル鎖を介して、Rが結合しているベンゼン環に結合する骨格等が挙げられる。さらに、複素環骨格としては、特に制限されないが、例えば、トリアジン環が単結合又はアルキル鎖を介して、Rが結合しているベンゼン環に結合する骨格等が挙げられる。
式(2)中の複数のRは、各々独立に、炭素数1~8の直鎖状アルキル基及び下記式(3)で表される部分構造のいずれかであり、そしてkは、各々独立に、1~4の整数である。
式(2)中のRとしては、メチル基、エチル基、n-プロピル基等の炭素数1~8の直鎖状アルキル基、下記式(3)で表される部分構造を有する基、等が挙げられる。Rのうち少なくとも1つは、下記式(3)で表される部分構造であってもかまわない。
式(3)中、
複数のR11は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、
複数のR12は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、
bは、各々独立に、0又は1であり、
13は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基、又は置換されていてもよいフェニル基のいずれかを表す。
上記置換基としては、ハロゲン原子等が挙げられる。
式(3)で表される部分構造は、好ましくは、2級及び/又は3級炭素を含む基であり、例えばイソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、2-ジメチルプロピル基、又はこれらの末端にフェニル基を有する構造等が挙げられ、より好ましくは、tert-ブチル基である。
本実施形態では、式(2)中の-O-が結合するベンゼン環の炭素原子を1位としたとき、2位又は6位の一方の炭素原子に式(3)で表される部分構造を有するRが結合し、2位又は6位の他方の炭素原子に水素原子、メチル基又はエチル基が結合していることが好ましい。また、式(2)中の-O-が結合するベンゼン環の2位及び6位の炭素原子に、炭化水素基、又は上記式(3)で表される部分構造が結合していてもよい。上記式(2)中のベンゼン環は、2位及び6位以外の炭素原子に、中心部X及び酸素原子を介して、上記式(1)の[Y-A]が結合していてもよく、1位に酸素原子を介して上記式(1)の[Y-A]が結合し、4位に中心部Xが結合していることが好ましい。
上記式(2)で表される部分構造のための多価フェノール化合物の例を以下に列挙する。
多価フェノール化合物としては、例えば、4,4’-[(3-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(3-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(4-ヒドロキシ-3-エトキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルエチルフェノール)、4,4’-[(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、2,2’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(2-ヒドロキシフェニル)メチレン]-ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エチル]-4-メチルフェノール、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5,6-トリメチルフェニル)メチル]-4-エチルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-6-メチルフェノール、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)メチル]-6-メチルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-6-シクロヘキシルフェノール、2,4-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-6-シクロヘキシルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル]-6-シクロヘキシルフェノール、3,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,2-ベンゼンジオール、4,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,3-ベンゼンジオール、2,4,6-トリス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,3-ベンゼンジオール、2,4,6-トリス[(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,3-ベンゼンジオール、2,2’-メチレンビス[6-[(4/2-ヒドロキシ-2,5/3,6-ジメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-[(4/2-ヒドロキシ-2,3,5/3,4,6-トリメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-[(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,4-ジヒドロキシフェニル)メチル]-6-メチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,4-ジヒドロキシフェニル)メチル]-3,6-ジメチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,4-ジヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-3,6-ジメチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メチル]-3,6-ジメチルフェノール]、6,6’-メチレンビス[4-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,2,3-ベンゼントリオール]、1,1-ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(4-ヒドロキシ-2-メチル-5-シクロヘキシルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メチル]フェノール]、4,4’,4’’,4’’’-(1,2-エタンジイリデン)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’,4’’,4’’’-(1,4-フェニレンジメチリデン)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジオール、3,3’-ジメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジオール、3,3’,5,5’-テトラメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジオール、2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4-ジオール、2,3,3’,5,5’-ペンタメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4-ジオール、2,3’,5,5’-テトラメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4-ジオール、2,2’,5,5’-テトラメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4-ジオール、2,2’,3,5,5’-ペンタメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4-ジオール、5,5’-ジ―t-ブチル―2,2’-ジメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4-ジオール、3,3’-ジ―t-ブチル―5,5’-ジメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4-ジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
多価フェノール化合物におけるフェノール性水酸基の数は、2個以上であれば特に制限はないが、ポリフェニレンエーテル末端が多くなると重合時の分子量変化が大きくなる可能性があるため、好ましくは2~6個、より好ましくは2~4個である。
特に好ましい多価フェノール化合物は、4,4’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(3-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[(3-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’,4’’,4’’’-(1,4-フェニレンジメチリデン)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tーブチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、テトラメチルビスフェノールA、3,3’,5,5’-テトラメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジオールである。
上記式(1)中、複数のYは、各々独立に、下記式(4)で表される構造を有する2価の連結基(すなわち、置換基を持つフェノールユニット)であり、nは、Yの繰り返し数を表し、各々独立に、0~200の整数であり、そしてa個の[-Y-A]中、少なくとも1つのnは、1以上の整数である。
式(4)中、複数のR21は、各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子;から成る群から選択される少なくとも1つを表す。R21は、置換されていてもよい炭素数1~6の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましく、より好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、ビニル基、アリール基、エチニル基、又はプロパルギル基であり、さらに好ましくは、メチル基、又はエチル基であり、特に好ましくはメチル基である。上記置換基としては、ハロゲン原子等が挙げられる。
式(4)中、2つのR21は、変性ポリフェニレンエーテル含有組成物について低誘電特性、適度な金属剥離性、低溶液粘度、硬化時の十分なTgなどの全てを有するという観点から、同時に水素原子ではないことが好ましく、かつ/又は、一方が上記式(3)で表される部分構造であり、もう一方が水素原子、メチル基又はエチル基のいずれかであるという組み合わせではないことが好ましい。
式(4)中、複数のR22は、各々独立に、水素原子;置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基;及びハロゲン原子;から成る群から選択される少なくとも1つを表し、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1~6の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましく、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、又はn-プロピル基であり、さらに好ましくは、水素原子、又はメチル基である。上記置換基としては、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記式(4)で表される構造のための一価のフェノール化合物としては、例えば、o-クレゾール、2,6-ジメチルフェノール、2-エチルフェノール、2-メチル-6-エチルフェノール、2,6-ジエチルフェノール、2-n-プロピルフェノール、2-エチル-6-n-プロピルフェノール、2-メチル-6-クロルフェノール、2-メチル-6-ブロモフェノール、2-メチル-6-n-プロピルフェノール、2-エチル-6-ブロモフェノール、2-メチル-6-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-n-プロピルフェノール、2-エチル-6-クロルフェノール、2-メチル-6-フェニルフェノール、2-フェニルフェノール、2,6-ジフェニルフェノール、2,6-ビス-(4-フルオロフェニル)フェノール、2-メチル-6-トリルフェノール、2,6-ジトリルフェノール、2,5-ジメチルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノール、2,5-ジエチルフェノール、2-メチル-5-エチルフェノール、2-エチル-5-メチルフェノール、2-アリル-5-メチルフェノール、2,5-ジアリルフェノール、2,3-ジエチル-6-n―プロピルフェノール、2-メチル-5-クロルフェノール、2-メチル-5-ブロモフェノール、2-メチル-5-イソプロピルフェノール、2-メチル-5-n-プロピルフェノール、2-エチル-5-ブロモフェノール、2-メチル-5-n-ブチルフェノール、2,5-ジ-n-プロピルフェノール、2-エチル-5-クロルフェノール、2-メチル-5-フェニルフェノール、2,5-ジフェニルフェノール、2,5-ビス-(4-フルオロフェニル)フェノール、2-メチル-5-トリルフェノール、2,5-ジトリルフェノール、2,6-ジメチル-3-アリルフェノール、2,3,6-トリアリルフェノール、2,3,6-トリブチルフェノール、2,6-ジ-n-ブチル-3-メチルフェノール、2,6-ジメチル-3-n-ブチルフェノール、2,6-ジメチル-3-t-ブチルフェノール等が挙げられる。
上記一価のフェノール化合物の中でも、特に、安価であり入手が容易であるため、2,6-ジメチルフェノール、2,6-ジエチルフェノール、2,6-ジフェニルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノール、又は2,5-ジメチルフェノールが好ましく、2,6-ジメチルフェノール、又は2,3,6-トリメチルフェノールがより好ましい。
なお、上記フェノール化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記一価のフェノール化合物としては、例えば、2,6-ジメチルフェノールと2,6-ジエチルフェノールとを組み合わせて使用する方法、2,6-ジメチルフェノールと2,6-ジフェニルフェノールとを組み合わせて使用する方法、2,3,6-トリメチルフェノールと2,5-ジメチルフェノールとを組み合わせて使用する方法、2,6-ジメチルフェノールと2,3,6-トリメチルフェノールとを組み合わせて使用する方法等が挙げられる。このとき、組み合わせるフェノール化合物の混合比は任意に選択できる。
また、使用するフェノール化合物には、製造の際の副産物として含まれ得る、少量のm-クレゾール、p-クレゾール、2,4-ジメチルフェノール、2,4,6-トリメチルフェノール等が含まれていてもよい。
上記式(2)で表されるようなa価の部分構造のためのフェノール化合物は、対応する一価のフェノール化合物と、アルデヒド類(例えば、ホルムアルデヒド等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン等)、又はジハロゲン化脂肪族炭化水素との反応や、対応する一価のフェノール化合物同士の反応等により、工業的に有利に製造できる。
上記式(1)中、Aは、すべて水素原子の場合を除く、水素原子、またはポリフェニレンエーテル構造と結合可能なシリル基含有誘導体を表す。
ここで、式(1)中のAとしては、低誘電特性、適度な金属剥離性、低溶液粘度、硬化時の十分なTgの特性が得られる観点から、下記式(5)で表される置換基が好ましい。
式(5)中、R31、及びR34は、それぞれ独立に、炭素数1~30の2価の炭化水素基であり、複数のR32、及びR33は、それぞれ独立に、炭素数1~30の1価の炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、又はヒドロキシアルキル基である。式(5)中、Bは、オレフィン系の炭素-炭素2重結合を含む炭素数1~30の炭化水素系置換基で、その一部が、水素、水酸基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、イソプロペニル基、又はハロゲン基に置換されていてもよい。式(5)中、s、t、及びuは、それぞれ独立に0~8の整数であり、0~5の整数であることが好ましい。
式(5)中、R32、及びR33の炭化水素基は、誘電特性、又は溶媒への溶解性の観点からは、炭素数が多い方がより好ましい。一方で、炭素数が過剰に多いと、Tgの低下若しくは金属剥離性の低下、又はオレフィン系の炭素-炭素2重結合の低下が生ずるため、R32及びR33の炭素数としては1~30程度が好ましく、1~20程度がより好ましく、1~12程度がさらに好ましい。
式(5)中、R32、及び/又はR33の1価の炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1-エチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、アミル、シクロペンチル、2,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、n-へキシル、シクロヘキシル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチレン、4-メチルペンチレン、1,1-ジメチルブチレン、2,2-ジメチルブチレン、3,3-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルへキシル、2-メチルへキシル、3-メチルへキシル、4-メチルへキシル、5-メチルへキシル、1-エチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、1,1-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、4,4-ジメチルペンチル、1,2-ジメチルペンチル、1,3-ジメチルペンチル、1,4-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、3,4-ジメチルペンチル、2-メチル-3,3-ジメチルブチル、1-メチル-3,3-ジメチルブチル、1,2,3-トリメチルブチル、1,3-ジメチル-2-ペンチル、2-イソプロピルブチル、2-メチルシクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、1-シクロヘキシルメチル、2-エチルシクロペンチル、3-エチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、2,4-ジメチルシクロペンチル、2-メチルシクロペンチルメチル、2-シクロペンチルエチル、1-シクロペンチルエチル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、1,1-ジメチルへキシル、2,2-ジメチルへキシル、3,3-ジメチルへキシル、4,4-ジメチルへキシル、5,5-ジメチルへキシル、1,2-ジメチルへキシル、1,3-ジメチルへキシル、1,4-ジメチルへキシル、1,5-ジメチルへキシル、2,3-ジメチルへキシル、2,4-ジメチルへキシル、2,5-ジメチルへキシル、1,1-エチルメチルペンチル、2,2-エチルメチルペンチル、3,3-エチルメチルペンチル、4,4-エチルメチルペンチル、1-エチル-2-メチルペンチル、1-エチル-3-メチルペンチル、1-エチル-4-メチルペンチル、2-エチル-1-メチルペンチル、3-エチル-1-メチルペンチル、4-エチル-1-メチルペンチル、2-エチル-3-メチルペンチル、2-エチル-4-メチルペンチル、3-エチル-2-メチルペンチル、4-エチル-3-メチルペンチル、3-エチル-4-メチルペンチル、4-エチル-3-メチルペンチル、1-(2-メチルプロピル)ブチル、1-(2-メチルプロピル)-2-メチルブチル、1,1-(2-メチルプロピル)エチル、1,1-(2-メチルプロピル)エチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、2,2-ジエチルプロピル、1,1-エチルメチル-2,2-ジメチルプロピル、2,2-エチルメチル-1,1-ジメチルプロピル、2-エチル-1,1-ジメチルブチル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、2,5-ジメチルシクロヘキシル、2,6-ジメチルシクロヘキシル、3,5-ジメチルシクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシルメチル、3-メチルシクロヘキシルメチル、4-メチルシクロヘキシルメチル、2-エチルシクロヘキシル、3-エチルシクロヘキシル、4-エチルシクロヘキシル、2-シクロヘキシルエチル、1-シクロヘキシルエチル、1-シクロヘキシル-2-エチレン、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、ベンジル、2-フェニルエチル等が挙げられる。
32及び/又はR33の1価の炭化水素基としては、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1-エチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、アミル、シクロペンチル、n-へキシル、シクロヘキシル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、n-ヘプチル、1-メチルへキシル、2-メチルへキシル、3-メチルへキシル、4-メチルへキシル、5-メチルへキシル、1-エチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、2-メチルシクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、及びベンジルであり、より好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1-エチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、アミル、シクロペンチル、n-へキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、及びベンジルであり、さらに好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、アミル、シクロペンチル、n-へキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、及びベンジルである。
32及び/又はR33のアリール基の具体例としては、フェニル、4-メチルフェニル、3-メチルフェニル、2-メチルフェニル、4-エチルフェニル、3-エチルフェニル、2-エチルフェニル、4-n-プロピルフェニル、3-n-プロピルフェニル、2-n-プロピルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-イソプロピルフェニル、2-イソプロピルフェニル、4-n-ブチルフェニル、3-n-ブチルフェニル、2-n-ブチルフェニル、4-イソブチルフェニル、3-イソブチルフェニル、2-イソブチルフェニル、4-t-ブチルフェニル、3-t-ブチルフェニル、2-t-ブチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、2,3-ジメチルフェニル、3,5-ジメチルフェニル、3,4-ジメチルフェニル、2,6-ジエチルフェニル、2,4-ジエチルフェニル、2,5-ジエチルフェニル、2,3-ジエチルフェニル、3,5-ジエチルフェニル、3,4-ジエチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,3,4-トリメチルフェニル、2,3,6-トリメチルフェニル、3,4,5-トリメチルフェニル、2,4,6-トリエチルフェニル、2,3,4-トリエチルフェニル、2,3,6-トリエチルフェニル、3,4,5-トリエチルフェニル等が挙げられる。
32及び/又はR33のアリール基としては、好ましくは、フェニル、4-メチルフェニル、3-メチルフェニル、2-メチルフェニル、4-エチルフェニル、3-エチルフェニル、2-エチルフェニル、4-n-プロピルフェニル、3-n-プロピルフェニル、2-n-プロピルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-イソプロピルフェニル、2-イソプロピルフェニル、4-n-ブチルフェニル、3-n-ブチルフェニル、2-n-ブチルフェニル、4-イソブチルフェニル、3-イソブチルフェニル、2-イソブチルフェニル、4-t-ブチルフェニル、3-t-ブチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、2,3-ジメチルフェニル、3,5-ジメチルフェニル、3,4-ジメチルフェニル、2,6-ジエチルフェニル、2,4-ジエチルフェニル、2,5-ジエチルフェニル、2,3-ジエチルフェニル、3,5-ジエチルフェニル、3,4-ジエチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,3,4-トリメチルフェニル、2,3,6-トリメチルフェニル、3,4,5-トリメチルフェニル、及び2,4,6-トリエチルフェニルであり、より好ましくは、フェニル、4-メチルフェニル、3-メチルフェニル、2-メチルフェニル、4-エチルフェニル、3-エチルフェニル、2-エチルフェニル、4-n-プロピルフェニル、3-n-プロピルフェニル、2-n-プロピルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-イソプロピルフェニル、2-イソプロピルフェニル、4-n-ブチルフェニル、3-n-ブチルフェニル、2-n-ブチルフェニル、4-イソブチルフェニル、3-イソブチルフェニル、4-t-ブチルフェニル、3-t-ブチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、2,6-ジエチルフェニル、2,4-ジエチルフェニル、2,5-ジエチルフェニル、2,3-ジエチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,3,6-トリメチルフェニル、及び2,4,6-トリエチルフェニルであり、さらに好ましくは、フェニル、4-メチルフェニル、3-メチルフェニル、2-メチルフェニル、4-エチルフェニル、3-エチルフェニル、4-イソプロピルフェニル、3-イソプロピルフェニル、2-イソプロピルフェニル、4-n-ブチルフェニル、3-n-ブチルフェニル、4-イソブチルフェニル、3-イソブチルフェニル、4-t-ブチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、及び2,4,6-トリメチルフェニルである。
32及び/又はR33のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、2-ブトキシ、t-ブトキシ、1-ペントキシ、2-ペントキシ、3-ペントキシ、2,2-ジメチルプロポキシ、2-エチルプロポキシ、3,3-ジメチルプロポキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、シクロペントキシ、1-へキソキシ、2-へキソキシ、3-へキソキシ、4-メチルペントキシ、3-メチルペントキシ、2-メチルペントキシ、1,1-ジメチル-1-ブトキシ、2,2-ジメチル-1-ブトキシ、3,3-ジメチル-1-ブトキシ、4,4-ジメチル-1-ブトキシ、1,2-ジメチル-1-ブトキシ、1,3-ジメチル-1-ブトキシ、2-エチル-1-ブトキシ、3-エチル1-ブトキシ、3,3-エチルメチル-1-プロポキシ、シクロヘキソキシ、1-オクトキシ、2-オクトキシ、3-オクトキシ、4-オクトキシ、2-エチル-1-ヘキソキシ、フェニルメトキシ等が挙げられる。
32及び/又はR33のアルコキシ基としては、好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、2-ブトキシ、t-ブトキシ、1-ペントキシ、2,2-ジメチルプロポキシ、2-エチルプロポキシ、3,3-ジメチルプロポキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、シクロペントキシ、1-へキソキシ、2-へキソキシ、3-へキソキシ、4-メチルペントキシ、3-メチルペントキシ、2-メチルペントキシ、1,1-ジメチル-1-ブトキシ、2,2-ジメチル-1-ブトキシ、3,3-ジメチル-1-ブトキシ、2-エチル-1-ブトキシ、3-エチル1-ブトキシ、3,3-エチルメチル-1-プロポキシ、シクロヘキソキシ、1-オクトキシ、2-オクトキシ、3-オクトキシ、4-オクトキシ、2-エチル-1-ヘキソキシ、及びフェニルメトキシであり、より好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、2-ブトキシ、t-ブトキシ、2,2-ジメチルプロポキシ、3,3-ジメチルプロポキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、シクロペントキシ、1-へキソキシ、2,2-ジメチル-1-ブトキシ、3,3-ジメチル-1-ブトキシ、シクロヘキソキシ、2-エチル-1-ヘキソキシ、及びフェニルメトキシであり、さらに好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、2-ブトキシ、t-ブトキシ、2,2-ジメチルプロポキシ、シクロペントキシ、1-へキソキシ、2-エチル-1-ヘキソキシ、及びフェニルメトキシである。
32及び/又はR33のアリロキシ基の具体例としては、フェノキシ、4-メチルフェノキシ、3-メチルフェノキシ、2-メチルフェノキシ、2,6-ジメチルフェノキシ、2,4-ジメチルフェノキシ、2,3-ジメチルフェノキシ、2,4,6-トリメチルフェノキシ、4-イソプロピルフェノキシ、2-イソプロピルフェノキシ、3-イソプロピルフェノキシ、4-イソブチルフェノキシ、2-イソブチルフェノキシ、3-イソブチルフェノキシ、4-t-ブチルフェノキシ、2-t-ブチルフェノキシ、3-t-ブチルフェノキシ、2,6-ジ-t-ブチルフェノキシ、2,4-ジ-t-ブチルフェノキシ、2,3-ジ-t-ブチルフェノキシ、2-メチル-4-t-ブチルフェノキシ、2-メチル-6-t-ブチルフェノキシ、4-メチル-2-t-ブチルフェノキシ等が挙げられる。
32及び/又はR33のアリロキシ基としては、好ましくは、フェノキシ、4-メチルフェノキシ、3-メチルフェノキシ、2-メチルフェノキシ、2,6-ジメチルフェノキシ、2,4-ジメチルフェノキシ、2,4,6-トリメチルフェノキシ、4-イソプロピルフェノキシ、2-イソプロピルフェノキシ、4-イソブチルフェノキシ、2-イソブチルフェノキシ、4-t-ブチルフェノキシ、2-t-ブチルフェノキシ、3-t-ブチルフェノキシ、2,4-ジ-t-ブチルフェノキシ、2,3-ジ-t-ブチルフェノキシ、2-メチル-4-t-ブチルフェノキシ、2-メチル-6-t-ブチルフェノキシ、及び4-メチル-2-t-ブチルフェノキシであり、より好ましくは、フェノキシ、4-メチルフェノキシ、3-メチルフェノキシ、2-メチルフェノキシ、2,6-ジメチルフェノキシ、2,4-ジメチルフェノキシ、2,4,6-トリメチルフェノキシ、4-イソプロピルフェノキシ、2-イソプロピルフェノキシ、4-イソブチルフェノキシ、2-イソブチルフェノキシ、4-t-ブチルフェノキシ、2-t-ブチルフェノキシ、2-メチル-4-t-ブチルフェノキシ、及び2-メチル-6-t-ブチルフェノキシであり、さらに好ましくは、フェノキシ、4-メチルフェノキシ、2-メチルフェノキシ、2,6-ジメチルフェノキシ、2,4-ジメチルフェノキシ、2,4,6-トリメチルフェノキシ、4-t-ブチルフェノキシ、2-t-ブチルフェノキシ、2-メチル-4-t-ブチルフェノキシ、及び2-メチル-6-t-ブチルフェノキシである。
32及び/又はR33のアミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ-n-プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジ-t-ブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ等である。
式(5)中、R31及びR34の炭化水素基は、誘電特性、又は溶媒への溶解性の観点、及びさらに末端官能基の自由度を上げ、反応性を向上させる観点からは、炭素数が多い方がより好ましい。一方で、炭素数が過剰に多いと、Tgの低下若しくは金属剥離性の低下、又はオレフィン系の炭素-炭素2重結合の低下が生ずるため、R31及びR34の炭素数としては、1~30程度が好ましく、1~20程度がより好ましく、1~12程度がさらに好ましい。
式(5)中、R31及び/又はR34の2価の炭化水素基の具体例としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,2-プロピレン、テトラメチレン、2-メチル-1,3-トリメチレン、1,1-ジメチルエチレン、ペンタメチレン、1-エチル-1,3-プロピレン、1-メチル-1,4-ブチレン、2-メチル-1,4-ブチルレン、3-メチル-1,4-ブチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、1,2-シクロペンチレン、1,3-シクロペンチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、1,1-ジメチル-1,3-プロピレン、3,3-ジメチル-1,3-プロピレン、ヘキサメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレン、1-エチル-1,4-ブチレン、2-エチル-1,4-ブチレン、3-エチル-1,4-ブチレン、1-メチル-1,5-ペンチレン、2-メチル-1,5-ペンチレン、3-メチル-1,5-ペンチレン、4-メチルペンチレン、1,1-ジメチル-1,4-ブチレン、2,2-ジメチル-1,4-ブチレン、3,3-ジメチル-1,4-ブチレン、1,2-ジメチル-1,4-ブチレン、1,3-ジメチル-1,4-ブチレン、2,3-ジメチル-1,4-ブチレン、ヘプタメチレン、1-メチル-1,6-へキシレン、2-メチル-1,6-ヘキシレン、3-メチル-1,6-ヘキシレン、4-メチル-1,6-ヘキシレン、5-メチル-1,6-ヘキシレン、1-エチル-1,5-ペンチレン、2-エチル-1,5-ペンチレン、3-エチル-1,5-ペンチレン、1,1-ジメチル-1,5-ペンチレン、2,2-ジメチル-1,5-ペンチレン、3,3-ジメチル-1,5-ペンチレン、4,4-ジメチル-1,5-ペンチレン、1,2-ジメチル-1,5-ペンチレン、1,3-ジメチル-1,5-ペンチレン、1,4-ジメチル-1,5-ペンチレン、2,3-ジメチル-1,5-ペンチレン、2,4-ジメチル-1,5-ペンチレン、3,4-ジメチル-1,5-ペンチレン等が挙げられる。
また、R31及び/又はR34の2価の炭化水素基の具体例としては、2-メチル-3,3-ジメチル-1,4-ブチレン、1-メチル-3,3-ジメチル-1,4-ブチレン、1,2,3-トリメチル-1,4-ブチレン、1,3-ジメチル-1,4-ペンチレン、2-イソプロピル-1,4-ブチレン、2-メチル-1,4-シクロヘキシレン、3-メチル-1,4-シクロヘキシレン、4-メチル-1,4-シクロヘキシレン、1-シクロヘキシルメチレン、2-エチル-1,3-シクロペンチレン、3-エチル-1,3-シクロペンチレン、2,3-ジメチル-1,3-シクロペンチレン、2,4-ジメチル-1,3-シクロペンチレン、2-メチル-1,3-シクロペンチルメチレン、2-シクロペンチルエチレン、1-シクロペンチルエチレン、オクタメチレン、1メチル-1,7-ヘプチレン、1-エチル1,6-へキシレン、1-プロピル―1,5-ペンチレン、2-メチル-1,7-ヘプチレン、3-メチル-1,7-ヘプチレン、4-メチル-1,7-ヘプチレン、5-メチル-1,7-ヘプチレン、6-メチル-1,7-ヘプチレン、2-エチル-1,6-ヘキシレン、3-エチル-1,6-ヘキシレン、4-エチル-1,6-ヘキシレン、5-エチル-1,6-ヘキシレン、1,1-ジメチル-1,6-ヘキシレン、2,2-ジメチル-1,6-ヘキシレン、3,3-ジメチル-1,6-ヘキシレン、4,4-ジメチル-1,6-ヘキシレン、5,5-ジメチル-1,6-ヘキシレン、1,2-ジメチル-1,6-ヘキシレン、1,3-ジメチル-1,6-ヘキシレン、1,4-ジメチル-1,6-ヘキシレン、1,5-ジメチル-1,6-ヘキシレン、2,3-ジメチル-1,6-ヘキシレン、2,4-ジメチル-1,6-ヘキシレン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキシレン等が挙げられる。
また、R31及び/又はR34の2価の炭化水素基の具体例としては、1,1-エチルメチル-1,5-ペンチレン、2,2-エチルメチル-1,5-ペンチレン、3,3-エチルメチル-1,5-ペンチレン、4,4-エチルメチル-1,5-ペンチレン、1-エチル-2-メチル-1,5-ペンチレン、1-エチル-3-メチル-1,5-ペンチレン、1-エチル-4-メチル-1,5-ペンチレン、2-エチル-1-メチル-1,5-ペンチレン、3-エチル-1-メチル-1,5-ペンチレン、4-エチル-1-メチル-1,5-ペンチレン、2-エチル-3-メチル-1,5-ペンチレン、2-エチル-4-メチル-1,5-ペンチレン、3-エチル-2-メチル-1,5-ペンチレン、4-エチル-3-メチル-1,5-ペンチレン、3-エチル-4-メチル-1,5-ペンチレン、4-エチル-3-メチル-1,5-ペンチレン、1-(2-メチルプロピル)-1,4-ブチレン、1-(2-メチルプロピル)-2-メチル-1,4-ブチレン、1,1-(2-メチルプロピル)エチレン、1,1-(2-メチルプロピル)エチル-1,3-プロピレン、1,1-ジエチル-1,3-プロピレン、2,2-ジエチル-1,3-プロピレン、1,1-エチルメチル-2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、2,2-エチルメチル-1,1-ジメチル-1,3-プロピレン、2-エチル-1,1-ジメチル-1,4-ブチレン、2,3-ジメチル-1,4-シクロヘキシレン、2,3-ジメチル-1,4-シクロヘキシレン、2,5-ジメチル-1,4-シクロヘキシレン、2,6-ジメチル-1,4-シクロヘキシレン、3,5-ジメチル-1,4-シクロヘキシレン、2-メチル-1,4-シクロヘキシル-1-メチレン、3-メチル-1,4-シクロヘキシル-1-メチレン、4-メチル-1,4-シクロヘキシル-1-メチレン、2-エチル-1,4-シクロヘキシレン、3-エチル-1,4-シクロヘキシレン、4-エチル-1,4-シクロヘキシレン、2-シクロヘキシルエチレン、1-シクロヘキシルエチレン、1-シクロヘキシル-2-エチレン、ノニルメチレン、1-メチル-1,8-オクチレン、デシルメチレン、1-メチル-1,8-ノニレン、ウンデシルメチレン、ドデシルメチレン、1,4-フェニレン、1,3-フェニレン、1,2-フェニレン、メチレン-1,4-フェニレン-メチレン、メチレン―1,4-フェニレン、エチレン-1,4-フェニレン、エチレン-1,4-フェニレン-エチレン等が挙げられる。
31及び/又はR34の2価の炭化水素基は、好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,2-プロピレン、テトラメチレン、2-メチル-1,2-プロピレン、1,1-ジメチルエチレン、ペンタメチレン、1-エチル-1,3-プロピレン、1-メチル-1,4-ブチレン、2-メチル-1,4-ブチレン、3-メチル-1,4-ブチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、1,3-シクロペンチレン、1,6-へキサメチレン、1,4-シクロヘキシレン、1-エチル-1,4-ブチレン、2-エチル-1,4-ブチレン、3-エチル-1,4-ブチレン、1-メチル-1,5-ペンチレン、2-メチル-1,5-ペンチレン、3-メチル-1,5-ペンチレン、4-メチル-1,5-ペンチレン、ヘプタメチレン、1-メチル-1,6-ヘキシレン、2-メチル-1,6-ヘキシレン、3-メチル-1,6-ヘキシレン、4-メチル-1,6-ヘキシレン、5-メチル-1,6-ヘキシレン、1-エチル-1,5-ペンチレン、2-エチル-1,5-ペンチレン、3-エチル-1,5-ペンチレン、2-メチル-1,4-シクロヘキシレン、3-メチル-1,4-シクロヘキシレン、4-メチル-1,4-シクロヘキシレン、オクタメチレン、1-メチル-1,7-ヘプチレン、3-メチル-1,7-ヘプチレン、4-メチル-1,7-ヘプチレン、2-メチル-1,7-ヘプチレン、5-メチル-1,7-ヘプチレン、6-メチル-1,7-ヘプチレン、2-エチル-1,6-ヘキシレン、3-エチル-1,6-ヘキシレン、4-エチル-1,6-ヘキシレン、5-エチル-1,6-ヘキシレン、ノニルメチレン、デシルメチレン、ウンデシルメチレン、及びドデシルメチレンである。
31及び/又はR34の2価の炭化水素基は、より好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,2-プロピレン、テトラメチレン、2-メチル-1,2-プロピレン、1,1-ジメチルエチレン、ペンタメチレン、1-エチル-1,3-プロピレン、1-メチル-1,4-ブチレン、2-メチル―1,4-ブチレン、3-メチル―1,4-ブチレン、2,2-ジメチル―1,3-プロピレン、1,3-シクロペンチレン、1,6-へキサメチレン、1,4-シクロヘキシレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、1-メチル-1,7-ヘプチレン、3-メチル-1,7-ヘプチレン、4-メチル-1,7-ヘプチレン、2-メチル-1,7-ヘプチレン、5-メチル-1,7-ヘプチレン、6-メチル-1,7-ヘプチレン、2-エチル-1,6-ヘキシレン、3-エチル-1,6-ヘキシレン、4-エチル-1,6-ヘキシレン、5-エチル-1,6-ヘキシレン、ノニルメチレン、デシルメチレン、ウンデシルメチレン、及びドデシルメチレンである。
31及び/又はR34の2価の炭化水素基は、さらに好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,2-プロピレン、テトラメチレン、2-メチル-1,2-プロピレン、1,1-ジメチルエチレン、ペンタメチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、1,3-シクロペンチレン、1,6-へキサメチレン、1,4-シクロヘキシレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、1-メチル-1,7-ヘプチレン、3-メチル-1,7-ヘプチレン、4-メチル-1,7-ヘプチレン、2-メチル-1,7-ヘプチレン、5-メチル-1,7-ヘプチレン、6-メチル-1,7-ヘプチレン、2-エチル-1,6-ヘキシレン、3-エチル-1,6-ヘキシレン、4-エチル-1,6-ヘキシレン、5-エチル-1,6-ヘキシレン、ノニルメチレン、デシルメチレン、ウンデシルメチレン、及びドデシルメチレンである。
式(5)中、Bの炭素-炭素2重結合を含有する置換基の具体例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、5-ノルボルネン-2イル、1-ブテニル基、1-ペンテニル基、3-シクロペンテニル、4-シクロペンテニル、p-ビニルフェニル基、p-イソプロペニルフェニル基、m-ビニルフェニル基、m-イソプロペニルフェニル基、o-ビニルフェニル基、o-イソプロペニルフェニル基、p-ビニルベンジル基、p-イソプロペニルベンジル基、m-ビニルベンジル基、m-イソプロペニルベンジル基、o-ビニルベンジル基、o-イソプロペニルベンジル基、p-ビニルフェニルエテニル基、p-ビニルフェニルプロペニル基、p-ビニルフェニルブテニル基、m-ビニルフェニルエテニル基、m-ビニルフェニルプロペニル基、m-ビニルフェニルブテニル基、o-ビニルフェニルエテニル基、o-ビニルフェニルプロペニル基、o-ビニルフェニルブテニル基、メタクリル基、アクリル基、2-エチルアクリル基、2-ヒドロキシメチルアクリル基等が挙げられる。
式(1)中のAのより具体的な例、又は式(5)で表される置換基のより具体的な例としては、下記式(6)及び/又は(7)で表される構造が挙げられる。
式(6)及び/又は式(7)中、複数のR31、及びR34は、それぞれ独立に、炭素数1~30の2価の炭化水素基であり、複数のR32、及びR33は、それぞれ独立に、炭素数1~30の1価の炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、又はヒドロキシアルキル基である。これらの基の具体例、及び好ましい基としては、上記式(5)で説明された対応する基の具体例、及び好ましい基が挙げられる。
式(6)及び/又は式(7)中、複数のR35は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、または炭素数1~30の炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、イソプロペニル基、ハロゲン基である。
式(7)中、R36は、炭素数1~30の炭化水素基、またはアミノ基、または酸素であり、炭化水素基の一部は、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、イソプロペニル基、又はハロゲン基に置換されていることが好ましい。また、アミノ基の一部は炭素数1~5のアルキル基に置換されていても構わない。また、R36としての炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~3である。
式(6)及び/又は式(7)中、sとtとuは、それぞれ独立に、0~8の整数である。
式(6)及び/又は式(7)中、R35の炭化水素基は、誘電特性、又は溶媒への溶解性の観点からは、炭素数が多い方がより好ましい。一方で、炭素数が過剰に多いと、Tgの低下若しくは金属剥離性の低下、又はオレフィン系の炭素-炭素2重結合の低下が生ずるため、R35の炭素数としては1~30程度が好ましく、1~20程度がより好ましく、1~12程度がさらに好ましい。
35の炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1-エチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、アミル、シクロペンチル、2,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、n-へキシル、シクロヘキシル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチレン、4-メチルペンチレン、1,1-ジメチルブチレン、2,2-ジメチルブチレン、3,3-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルへキシル、2-メチルへキシル、3-メチルへキシル、4-メチルへキシル、5-メチルへキシル、1-エチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、1,1-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、4,4-ジメチルペンチル、1,2-ジメチルペンチル、1,3-ジメチルペンチル、1,4-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、3,4-ジメチルペンチル、2-メチル-3,3-ジメチルブチル、1-メチル-3,3-ジメチルブチル、1,2,3-トリメチルブチル、1,3-ジメチル-2-ペンチル、2-イソプロピルブチル、2-メチルシクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、1-シクロヘキシルメチル、2-エチルシクロペンチル、3-エチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、2,4-ジメチルシクロペンチル、2-メチルシクロペンチルメチル、2-シクロペンチルエチル、1-シクロペンチルエチル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル等が挙げられる。
また、R35の炭化水素基の具体例としては、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、1,1-ジメチルへキシル、2,2-ジメチルへキシル、3,3-ジメチルへキシル、4,4-ジメチルへキシル、5,5-ジメチルへキシル、1,2-ジメチルへキシル、1,3-ジメチルへキシル、1,4-ジメチルへキシル、1,5-ジメチルへキシル、2,3-ジメチルへキシル、2,4-ジメチルへキシル、2,5-ジメチルへキシル、1,1-エチルメチルペンチル、2,2-エチルメチルペンチル、3,3-エチルメチルペンチル、4,4-エチルメチルペンチル、1-エチル-2-メチルペンチル、1-エチル-3-メチルペンチル、1-エチル-4-メチルペンチル、2-エチル-1-メチルペンチル、3-エチル-1-メチルペンチル、4-エチル-1-メチルペンチル、2-エチル-3-メチルペンチル、2-エチル-4-メチルペンチル、3-エチル-2-メチルペンチル、4-エチル-3-メチルペンチル、3-エチル-4-メチルペンチル、4-エチル-3-メチルペンチル、1-(2-メチルプロピル)ブチル、1-(2-メチルプロピル)-2-メチルブチル、1,1-(2-メチルプロピル)エチル、1,1-(2-メチルプロピル)エチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、2,2-ジエチルプロピル、1,1-エチルメチル-2,2-ジメチルプロピル、2,2-エチルメチル-1,1-ジメチルプロピル、2-エチル-1,1-ジメチルブチル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、2,5-ジメチルシクロヘキシル、2,6-ジメチルシクロヘキシル、3,5-ジメチルシクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシルメチル、3-メチルシクロヘキシルメチル、4-メチルシクロヘキシルメチル、2-エチルシクロヘキシル、3-エチルシクロヘキシル、4-エチルシクロヘキシル、2-シクロヘキシルエチル、1-シクロヘキシルエチル、1-シクロヘキシル-2-エチレン、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、ベンジル、2-フェニルエチル等が挙げられる。
35の炭化水素基は、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1-エチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、アミル、シクロペンチル、n-へキシル、シクロヘキシル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、n-ヘプチル、1-メチルへキシル、2-メチルへキシル、3-メチルへキシル、4-メチルへキシル、5-メチルへキシル、1-エチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、2-メチルシクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、及びベンジルであり、より好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1-エチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、アミル、シクロペンチル、n-へキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、及びベンジルであり、さらに好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、アミル、シクロペンチル、n-へキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、及びベンジルである。
36の炭化水素基の具体例としては、メチレン、1,1-ジメチルメチレン、1,1-ジエチルメチレン、エチレン、トリメチレン、1,2-プロピレン、2-メチル-1,3-トリメチレン、1,1-ジメチルエチレン、1-エチル-1,3-プロピレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、1,1-ジメチル-1,3-プロピレン、3,3-ジメチル-1,3-プロピレン等が挙げられ、また、これらの一部がアリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、イソプロペニル基、ハロゲン基に置換されている基の具体例としては、1-フェニルメチレン、1,1-ジフェニルメチレン、1-ベンジルメチレン、1,1-ジベンジルメチレン、1-メトキシメチレン、1,1-ジメトキシメチレン、1-エトキシメチレン、1,1-ジエトキシメチレン、1-ビニルメチレン、1,1-ジビニルメチレン、1-アリルメチレン、1,1-ジアリルメチレン、1-イソプロペニルメチレン、1、1-ジイソプロペニルメチレン、1-クロロメチレン、1,1-ジクロロメチレン、1-ブロモメチレン、1,1-ジブロモメチレン、1-フェニルエチレン、1,1-ジフェニルエチレン、1,2-ジフェニルエチレン、1,1,2-トリフェニルエチレン、1,1,2,2-テトラフェニルエチレン、1-ベンジルエチレン、1,1-ジベンジルエチレン、1,2-ジベンジルエチレン、1,1,2-トリベンジルエチレン、1,1,2,2-テトラベンジルエチレン、1-ビニルエチレン、1,1-ジビニルエチレン、1,2-ジビニルエチレン、1,1,2-トリビニルエチレン、1,1,2,2-テトラビニルエチレン、1-アリルエチレン、1,1-ジアリルエチレン、1,2-ジアリルエチレン、1,1,2-トリアリルエチレン、1,1,2,2-テトラアリルエチレン、1-クロロエチレン、1,1-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、1,1,2-トリクロロエチレン、1,1,2,2-テトラクロロエチレン、1-ブロモエチレン、1,1-ジブロモエチレン、1,2-ジブロモエチレン、1,1,2-トリブロモエチレン、1,1,2,2-テトラブロモエチレンが挙げられる。
上記式(1)で表される構造を有するポリフェニレンエーテル中に含まれるOH末端数は、変性ポリフェニレンエーテル含有組成物について低誘電特性、適度な金属剥離性、低溶液粘度、硬化時の十分なTgなどの全てを有するという観点から、0~3,000μmol/gであることが好ましい。
<変性ポリフェニレンエーテル組成物>
本実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、例えば、変性ポリフェニレンエーテル組成物を含み、該変性ポリフェニレンエーテル組成物は、上記式(1)で表される構造(ただし、式中、aは2~6の整数を表すものとする)を有するポリフェニレンエーテルを含み、より詳細には、下記式(8)で表される構造を有する変性ポリフェニレンエーテルを含む。
式(8)中、Zは、下記式(9)と(11)で表されるa価の部分構造であり、aは2~6の整数を表す。
式(8)中、Zに結合するa個の[-Y-A]は、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。ここで、Yは、置換フェニレンモノマー単位であり、Yは、置換フェニレンモノマー単位がn個連続して結合した、ポリフェニレンエーテル構造を表す。また、Zは、ポリフェニレンエーテルユニット構造がa個結合できるフェノール構造を有する多価フェノール化合物に基づくものである。また、式(8)中、Aは、水素原子、またはポリフェニレンエーテル構造と結合可能なシリル基含有誘導体を表し、上記式(5)(6)(7)で規定したケイ素原子(Si)を含む官能基であることが好ましい。
上記変性ポリフェニレンエーテル組成物は、上記式(8)で表される構造を有する変性ポリフェニレンエーテル、及び上記式(8)で表される構造において少なくとも1つの[-Y-A]が[-Y-H]である変性又は未変性ポリフェニレンエーテルを60mol%以上含み、H-NMR測定結果における、下記式(9)で表される構造由来のピークの積算値に対する7.6~8.3ppmに現れるピークの積算値の割合が1以下であり、ポリスチレン換算の数平均分子量が、500~15,000g/molである。
本実施形態の変性ポリフェニレンエーテル組成物に含まれる上記式(8)で表される構造を有する変性ポリフェニレンエーテルは、一種であってもよいし、複数種であってもよい。また、本実施形態の変性ポリフェニレンエーテル組成物は、上記式(8)の構造において1つ以上の[-Y-A]が[Y-H]であり、かつ全ての[-Y-A]が[Y-H]ではない変性ポリフェニレンエーテル、及び上記式(8)で表される構造において全ての[-Y-A]が[Y-H]であるポリフェニレンエーテルを含んでいてもよい。ここで、変性ポリフェニレンエーテルの[-Y-A]と、未変性ポリフェニレンエーテルの[Y-H]とにおいて、Y及びnは同じであることが好ましい。
本実施形態の多官能変性ポリフェニレンエーテル組成物は、さらに、溶媒、重合触媒、界面活性剤等の添加物を含んでいてもよい。本実施形態の多官能ポリフェニレンエーテル組成物は、固体であってもよい。
式(8)中のZは、下記式(9)で表されるa価の中心フェノール部位を有する構造でよく、そして式(8)又は(9)中のaは、3~6の整数であることが好ましい。
上記中心フェノール部位は、上記項目<変性ポリフェニレンエーテル>において説明されたとおりである。
上記変性ポリフェニレンエーテルは、a価の中心部Xにa個の部分構造(例えば、R等で置換されていてもよいフェノール)が結合し、a価の部分構造(即ち、式(9)で表される中心フェノール部位)に式(8)の[-Y-A]が結合する構造であってもよい。
式(9)中、aとしては、式(8)と同様の整数が挙げられ、式(8)と同じ整数であることが好ましい。式(9)の中心フェノール部位において、a個の各部分構造は、同じ構造であってもよいし、異なっていてもよい。
式(9)中、Xは、a価の任意の連結基であり、特に制限されないが、例えば、鎖式炭化水素、環式炭化水素等の炭化水素基;窒素、リン、ケイ素及び酸素から選ばれる、一つ又は複数の原子を含有する炭化水素基;窒素、リン、ケイ素等の原子;若しくはこれらを組み合わせた基;等が挙げられる。また、Xは単結合を除く連結基であってもよい。さらに、Xは、a価の部分構造を互いに連結する連結基であってもよい。
上記式(9)中のXとしては、単結合又はエステル結合等を介して、Rが結合しているベンゼン環に結合するa価のアルキル骨格;単結合又はエステル結合等を介して、Rが結合しているベンゼン環に結合するa価のアリール骨格;単結合又はエステル結合等を介して、Rが結合しているベンゼン環に結合するa価の複素環骨格;等が挙げられる。
ここで、アルキル骨格としては、特に制限されないが、例えば、炭素数1~6の少なくともa個に分岐した鎖式炭化水素(例えば、鎖式飽和炭化水素)の分岐末端が部分構造のベンゼン環に直接結合する骨格(a個の分岐末端にベンゼン環が結合していればよく、ベンゼン環が結合しない分岐末端があってもよい。)、等が挙げられる。また、アリール骨格としては、特に制限されないが、例えば、ベンゼン環、メシチレン基、又は2-ヒドロキシ-5-メチル-1,3-フェニレン基が、単結合又はアルキル鎖を介して、Rが結合しているベンゼン環に結合する骨格等が挙げられる。さらに、複素環骨格としては、特に制限されないが、例えば、トリアジン環が単結合又はアルキル鎖を介して、Rが結合しているベンゼン環に結合する骨格等が挙げられる。
式(9)中の複数のRは、各々独立に、炭素数1~8の直鎖状アルキル基及び下記式(3)で表される部分構造のいずれかであり、そしてkは、各々独立に1~4の整数である。
上記式(9)中のRとしては、メチル基、エチル基、n-プロピル基等の炭素数1~8の直鎖状アルキル基、下記式(10)の部分構造を有する基、等が挙げられる。Rのうち少なくとも1つは、下記式(10)の部分構造であってもかまわない。
式(10)中、
複数のR11は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり;
複数のR12は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり;bは、各々独立に0又は1であり;かつ
13は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基、又はフェニル基のいずれかを表す。
上記置換基としては、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記式(10)は、好ましくは、2級及び/又は3級炭素を含む基であり、例えばイソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、2-ジメチルプロピル基、又はこれらの末端にフェニル基を有する構造等が挙げられ、より好ましくは、tert-ブチル基である。
式(9)の-O-が結合するベンゼン環の炭素原子を1位とし、2位又は6位の一方の炭素原子に式(10)で表される部分構造を有するRが結合し、2位又は6位の他方の炭素原子に水素原子、メチル基又はエチル基が結合している。式(9)の-O-が結合するベンゼン環の2位及び6位の炭素原子に、炭化水素基、又は上記式(10)で表される部分構造が結合する構造であってもよい。上記式(9)中のベンゼン環は、2位及び6位以外の炭素原子に、中心部X及び酸素原子を介して、上記式(1)又は(8)の[Y-A]が結合していてよく、1位に酸素原子を介して上記式(8)の[Y-A]が結合し、4位に中心部Xが結合することが好ましい。
式(8)においてa=2のとき、Zは、例えば、以下のような式(11)で表される構造であっても構わない。
式(11)中の複数のRは、各々独立に、任意の置換基であり、そしてkは、各々独立に、1~4の整数である。
上記式(11)中のRとしては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基等の炭素数1~8の直鎖状アルキル基等が挙げられる。
式(8)においてa≧3の時、Zは、上記式(9)で表される構造のための多価フェノール化合物に基づいたり、由来したりするものであって構わない。具体的な多価フェノールとしては、上記式(2)で表される構造のために規定した化合物が挙げられる。
上記式(8)中、Yは、各々独立に、下記式(12)で表される1価のフェノール化合物に由来の構造を有する2価の連結基(置換基を持つフェノールユニット)であり、nは、Yの繰り返し数を表し、各々独立に、0~200の整数であり、少なくとも1つのnは1以上の整数である。
上記変性ポリフェニレンエーテル及び/又は変性ポリフェニレンエーテル組成物は、例えば、下記式(12)で表される一価のフェノール化合物と、上記式(9)で表される構造中の中心部Xと対応するa価のフェノール化合物(中心フェノール)とを共重合し、変性反応をすることにより得られる。
式(12)中、R21、及びR22としては、上記式(4)において定義された基と同様の基が挙げられ、上記式(4)で定義されたR21及びR22と同じであることが好ましい。
上記式(12)で表される一価のフェノール化合物としては、上記式(4)で表される構造のために規定した一価のフェノール化合物が具体的に挙げられる。
上記式(11)で表される2価フェノール類の例を以下に列挙する。
2価フェノール類としては、例えば、(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジオール、3,3’-ジメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジオール、3,3’,5,5’-テトラメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジオール、2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4-ジオール、2,3,3’,5,5’-ペンタメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4-ジオール、2,3’,5,5’-テトラメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4-ジオール、2,2’,5,5’-テトラメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4-ジオール、2,2’,3,5,5’-ペンタメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4-ジオール、5,5’-ジ―t-ブチル―2,2’-ジメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4-ジオール、3,3’-ジ―t-ブチル―5,5’-ジメチル(1,1’-ビフェニル)-4,4-ジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
多価フェノール化合物におけるフェノール性水酸基の数は、2個以上であれば特に制限はないが、ポリフェニレンエーテル末端が多くなると重合時の分子量変化が大きくなる可能性があるため、好ましくは2~6個、より好ましくは2~4個である。
本実施形態の変性ポリフェニレンエーテル組成物は、下記式(13)で表される単官能ポリフェニレンエーテル、及び/又は下記式(13)で表される単官能ポリフェニレンエーテルの変性物を含んでいても構わない。
式(13)中、cは、1~100の任意の整数であり、そしてR21及びR22としては、上記式(12)について説明された基と同様のものが挙げられる。
本実施形態の変性ポリフェニレンエーテル及び/又は変性ポリフェニレンエーテル組成物(以下、変性ポリフェニレンエーテル(組成物)と記す)において、上記式(1)の構造を有する多官能変性ポリフェニレンエーテルの原料となる多官能ポリフェニレンエーテルは、単官能ポリフェニレンエーテルを酸化剤の存在下で多価フェノールと平衡化する再分配反応によって製造してもよい。再分配反応は、当該技術分野において公知であり、例えばCooperらの米国特許第3496236号明細書、及びLiskaらの米国特許第5880221号明細書に記載されている。
本実施形態の変性ポリフェニレンエーテル(組成物)は、H-NMR測定結果において上記式(1)の構造を有する変性ポリフェニレンエーテル、上記式(1)の構造において1つ以上の[-Y-A]が[Y-H]であり、かつ全ての[-Y-A]が[Y-H]ではない変性ポリフェニレンエーテル、及び上記式(1)の構造において全ての[-Y-A]が[Y-H]であるポリフェニレンエーテルに含まれる、上記式(2)で表される中心フェノール部位由来のピークの積算値に対する、上記7.6~8.3ppmの領域に現れる過酸化物由来のピークの積算値の割合が、1以下であり、0.8以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましい。上記中心フェノール部位由来ピークの積算値に対して、過酸化物由来ピークの積算値が1以下であることは、変性ポリフェニレンエーテル組成物中に副生成物の過酸化物付加体が含まれておらず、目的物の多官能変性ポリフェニレンエーテル等の純度が高いことを意味する。その結果、変性ポリフェニレンエーテル組成物のガラス転移温度(Tg)を高くすることができる。
上記割合は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態における変性ポリフェニレンエーテル(組成物)の数平均分子量(Mn)は、500~15,000g/molであり、好ましくは1,000~10,000g/molであり、より好ましくは2,000~8,000g/molである。数平均分子量(Mn)が上記範囲内であることにより、基板材料への適用工程においてワニスを作製する溶媒に溶解させた際の流動性がより向上し、基板材料適用時の加工性を確保することができる。
数平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態における多官能変性ポリフェニレンエーテル(組成物)に含まれるA置換基(式(1)で定義されるAのことをいい、以下、同様とする)の数は、特に制限されないが、A置換基数からはA=水素原子(H)の場合を除くものとする。その中でも、組成物中に700~3,000μmol/gのA置換基数を含むことが好ましく、より好ましくは700~2,000μmol/gを含む。組成物中のA置換基数が700μmol/g以上であることで、硬化させる際に、架橋密度を高くすることができ、高いガラス転移温度を有し、誘電特性に優れた硬化物を得られる傾向にある。組成物中のA置換基数が3,000μmol/g以下であることで、ポリフェニレンエーテル組成物を溶媒に溶かしたワニスの粘度を低くでき、基板材料適用時に加工性が良好となる傾向にある。
A置換基数の評価方法は、官能基の種類に応じて滴定法、分光法、定量NMR法等、公知の方法を用いることができる。例えば定量NMR法では、H-NMRを用いる場合は構造既知の標準試料と多官能ポリフェニレンエーテル組成物を共存させて測定する。重量既知の多官能ポリフェニレンエーテル組成物と標準試料を重水素化溶媒に溶解させてH-NMRを測定し、A置換基由来のピークと標準試料のピークの積分値の比、多官能ポリフェニレンエーテル組成物の重量、標準試料の重量、及び標準試料の分子量から計算によりA置換基数を求めることができる。標準試料は重水素化溶媒に溶解し、多官能ポリフェニレンエーテル組成物と反応せず、かつH-NMRにおけるピークが多官能ポリフェニレンエーテル組成物由来のピークと干渉しないものであれば特に制限されない。A置換基数の具体的な評価方法については、実施例の記載を参照することができる。
本実施形態に係る変性ポリフェニレンエーテル含有組成物は、低誘電特性、適度な金属剥離性、低溶液粘度、硬化時の十分なTgなどの全てを有するという観点から、上記式(8)で表される構造を有する変性ポリフェニレンエーテルを0.5~95質量%含むことが好ましい。
<多官能変性ポリフェニレンエーテル(組成物)の製造方法>
本実施形態の多官能変性ポリフェニレンエーテル(組成物)の製造方法は、例えば、重合法により下記式(1)’で表される、分子末端が水酸基である多官能変性ポリフェニレンエーテル(組成物)(以下、未変性多官能ポリフェニレンエーテル(組成物)ともいう)を合成し、その末端に式(1)におけるA置換基を導入する、すなわち変性することにより製造することができる。
式(1)’中、Z、Y、n、及びaとしては、上記式(1)と同様のものが挙げられ、そして上記式(1)で定義されたものと同じであることが好ましい。
(重合工程)
ここで、未変性多官能ポリフェニレンエーテル(組成物)の製造方法では、重合工程において、重合溶剤として未変性多官能ポリフェニレンエーテル(組成物)の良溶剤である芳香族系溶剤を用いることが好ましい。
ここで、未変性多官能ポリフェニレンエーテル組成物の良溶剤とは、多官能ポリフェニレンエーテルを溶解させることができる溶剤であり、このような溶剤を例示すると、ベンゼン、トルエン、キシレン(o-、m-、p-の各異性体を含む)、エチルベンゼン、スチレン等の芳香族炭化水素又はクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼンのようなニトロ化合物;等が挙げられる。
本実施形態で用いられる重合触媒としては、一般的にポリフェニレンエーテルの製造に用いることが可能な公知の触媒系を使用できる。一般的に知られている触媒系としては、酸化還元能を有する遷移金属イオンと当該遷移金属イオンと錯形成可能なアミン化合物から成るものが知られており、例えば、銅化合物とアミン化合物から成る触媒系、マンガン化合物とアミン化合物から成る触媒系、コバルト化合物とアミン化合物から成る触媒系、等である。重合反応は、若干のアルカリ性条件下で効率よく進行するため、ここに若干のアルカリ若しくは更なるアミン化合物を加えることもある。
本実施形態で好適に使用される重合触媒は、触媒の構成成分として銅化合物、ハロゲン化合物並びにアミン化合物から成る触媒であり、より好ましくは、アミン化合物として一般式(DA1)で表されるジアミン化合物を含む触媒である。
式(DA1)中、R14、R15、R16、及びR17は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、全てが同時に水素原子ではなく、そしてR18は、炭素数2~5の直鎖状又はメチル分岐を持つアルキレン基である。
ここで述べられた触媒成分の銅化合物の例を列挙する。好適な銅化合物としては、第一銅化合物、第二銅化合物又はそれらの混合物を使用することができる。第二銅化合物としては、例えば、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等を例示することができる。また、第一銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等を例示することができる。これらの中で特に好ましい金属化合物は、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅である。また、これらの銅塩は、酸化物(例えば酸化第一銅)、炭酸塩、水酸化物等と対応するハロゲン又は酸から使用時に合成してもよい。しばしば用いられる方法は、先に例示の酸化第一銅とハロゲン化水素(又はハロゲン化水素の溶液)を混合して作製する方法である。
ハロゲン化合物としては、例えば、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム等である。また、これらは、水溶液又は適当な溶剤を用いた溶液として使用できる。これらのハロゲン化合物は、成分として単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。好ましいハロゲン化合物は、塩化水素の水溶液、又は臭化水素の水溶液である。
これらの化合物の使用量は、特に限定されないが、銅原子のモル量に対してハロゲン原子として2倍以上20倍以下が好ましく、重合反応に添加するフェノール化合物100モルに対して好ましい銅原子の使用量としては0.02モルから0.6モルの範囲である。
次に、触媒成分のジアミン化合物の例を列挙する。例えば、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’-トリメチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N-メチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’-トリエチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N-エチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-N’-エチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチル-N-エチルエチレンジアミン、N-n-プロピルエチレンジアミン、N,N’-n-プロピルエチレンジアミン、N-i-プロピルエチレンジアミン、N,N’-i-プロピルエチレンジアミン、N-n-ブチルエチレンジアミン、N,N’-n-ブチルエチレンジアミン、N-i-ブチルエチレンジアミン、N,N’-i-ブチルエチレンジアミン、N-t-ブチルエチレンジアミン、N,N’-t-ブチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N,N’-トリメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N’-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ジアミノ-1-メチルプロパン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ジアミノ-2-メチルプロパン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ジアミノブタン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,5-ジアミノペンタン等が挙げられる。本実施形態にとって好ましいジアミン化合物は、2つの窒素原子をつなぐアルキレン基の炭素数が2又は3のものである。これらのジアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、重合反応に添加するフェノール化合物100モルに対して0.01モルから10モルの範囲が好ましい。
本実施形態においては、重合触媒の構成成分として、第1級アミン及び第2級モノアミンを含むことができる。第2級モノアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-i-プロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジ-i-ブチルアミン、ジ-t-ブチルアミン、ジペンチルアミン類、ジヘキシルアミン類、ジオクチルアミン類、ジデシルアミン類、ジベンジルアミン類、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミン、N-フェニルメタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、N-フェニルプロパノールアミン、N-(m-メチルフェニル)エタノールアミン、N-(p-メチルフェニル)エタノールアミン、N-(2’,6’-ジメチルフェニル)エタノールアミン、N-(p-クロロフェニル)エタノールアミン、N-エチルアニリン、N-ブチルアニリン、N-メチル-2-メチルアニリン、N-メチル-2,6-ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
本実施形態における重合触媒の構成成分として、第3級モノアミン化合物を含むこともできる。第3級モノアミン化合物とは、脂環式第3級アミンを含めた脂肪族第3級アミンである。例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、ジメチル-n-ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。これらの第3級モノアミンは、単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いても良い。これらの使用量は、特に限定されないが、重合反応に添加するフェノール化合物100モルに対して15モル以下の範囲が好ましい。
本実施形態では、従来、重合活性に向上効果を有することが知られている界面活性剤を添加することについて、何ら制限されない。そのような界面活性剤として、例えば、Aliquat336又はCapriquatの商品名で知られるトリオクチルメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。その使用量は、重合反応混合物の全量100質量%に対して0.1質量%を超えない範囲が好ましい。
本実施形態の重合工程における酸素含有ガスとしては、純酸素の他、酸素と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの、空気、更には空気と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの等が使用できる。重合反応中の系内圧力は、常圧で充分であるが、必要に応じて減圧でも加圧でも使用できる。
重合の温度は、特に限定されないが、低すぎると反応が進行し難く、また高すぎると反応選択性の低下又は高分子量成分の生成の恐れがあるので、好ましくは0℃~60℃、より好ましくは10℃~50℃の範囲である。
本実施形態の未変性多官能ポリフェニレンエーテル(組成物)の製造方法では、ポリフェニレンエーテル重合時において、溶液状態で重合すること(本明細書中、「溶液重合」とも称する)が好ましい。溶液重合により未変性多官能ポリフェニレンエーテル(組成物)を製造することにより、かさ高い構造を有している中心フェノールを用いた場合においても、未変性多官能ポリフェニレンエーテル(組成物)の製造時に上記式(1)’の構造を含まないポリフェニレンエーテル成分を純度よく生成することができ、又は過酸化物による副生成物が生成する割合を少なくし、目的物の上記式(1)の構造を含む多官能変性ポリフェニレンエーテル等を純度よく生成することができる。
(銅抽出及び副生成物除去工程)
本実施形態において、重合反応終了後の後処理方法については、特に制限はない。通常、塩酸若しくは酢酸等の酸、又はエチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等を反応液に加えて、触媒を失活させる。また、ポリフェニレンエーテルの重合により生じる二価フェノール体の副生成物を除去処理する方法も、従来既知の方法を用いて行うことができる。上記で説明された触媒である金属イオンが実質的に失活されている状態であれば、該混合物を加熱するだけで脱色又は後処理される。また既知の還元剤を系内に必要量添加する方法でも可能である。既知の還元剤としては、ハイドロキノン、亜二チオン酸ナトリウム等が挙げられる。
(液-液分離工程)
本実施形態の未変性多官能ポリフェニレンエーテル(組成物)の製造方法においては、銅触媒を失活させた化合物を抽出するため水を添加し、有機相と水相に液-液分離を行った後、水相を除去することで有基礎から銅触媒を除去してよい。この液-液分離工程は、特に限定しないが、静置分離、遠心分離機による分離等の方法が挙げられる。上記液-液分離を促進させるためには、公知の界面活性剤等を用いてもよい。
(濃縮・乾燥工程)
続いて、本実施形態の多官能変性ポリフェニレンエーテル(組成物)の製造方法においては、液-液分離後の上記未変性多官能ポリフェニレンエーテル(組成物)が含まれた有機相を、溶剤を揮発させることで濃縮・乾燥させてよい。なお、続いて変性反応(例えば、未変性多官能ポリフェニレンエーテル(組成物)の末端に式(1)における置換基Aを導入する反応)を行う場合は、この工程を省略してもよい。
上記有機相に含まれる溶剤を揮発させる方法としては、特に限定はしないが、有機相を高温(例えば、後述される乾燥温度などでよい)の濃縮槽に移し、溶剤を留去させて濃縮する方法、又はロータリーエバポレーター等の機器を用いてトルエンを留去させて濃縮する方法等が挙げられる。
乾燥工程における乾燥処理の温度としては、少なくとも60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましく、140℃以上が最も好ましい。多官能ポリフェニレンエーテル組成物の乾燥を60℃以上の温度で行うと、ポリフェニレンエーテル粉体中の高沸点揮発成分の含有量を効率よく低減できる。
未変性多官能ポリフェニレンエーテル(組成物)を高効率で得るためには、乾燥温度を上昇させる方法、乾燥雰囲気中の真空度を上昇させる方法、乾燥中に撹拌を行う方法等が有効であるが、特に、乾燥温度を上昇させる方法が製造効率の観点から好ましい。乾燥工程では、混合機能を備えた乾燥機を使用することが好ましい。混合機能としては、撹拌式、転動式の乾燥機等が挙げられる。これにより処理量を多くすることができ、生産性を高く維持できる。
〔変性反応工程〕
本実施形態において、式(1)又は(8)中のAの置換基(例えば、上記式(5)の官能基)を、得られた未変性ポリフェニレンエーテルの末端へ導入する方法は、ハロゲン化シリル化合物やアミノシリル化合物、アルコキシシリル化合物を用い水酸基等の官能基とのカップリング方法によることができる。ハロゲン化シリル化合物としては、塩化物、臭化物などが一般的に用いられるが、他のハロゲンを利用してもかまわない。
ハロゲン化シリル化合物の具体例としては、メチルビニルジクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、ジアリルジクロロシラン、トリクロロシリル―2-ノルボルネン、6-メチルジクロロシリル―2-ノルボルネン、6-ジメチルジクロロシリル―2-ノルボルネン、フェニルビニルジクロロシラン、3-メタクリルオキシプロピルジクロロメチルシラン、3-クロロプロピルメチルジビニルシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ジフェニルビニルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、クロロメチルジメチルビニルシラン、アリルジメチルクロロシラン、メチルフェニルビニルクロロシラン、5-ノルボルネン―2-イル(エチル)クロロジメチルシラン、メチルビニルジブロモシラン、ジビニルジブロモシラン、アリルメチルジブロモシラン、ジアリルジブロモシラン、トリブロモシリル―2-ノルボルネン、6-メチルジブロモシリル―2-ノルボルネン、6-ジメチルジブロモシリル―2-ノルボルネン、フェニルビニルジブロモシラン、3-メタクリルオキシプロピルジブロモメチルシラン、3-ブロモプロピルメチルジビニルシラン、アリルフェニルジブロモシラン、ジフェニルビニルブロモシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ブロモメチルジメチルビニルシラン、アリルジメチルブロモシラン、メチルフェニルビニルブロモシラン、5-ノルボルネン―2-イル(エチル)ブロモジメチルシラン5-ノルボルネン―2-イルクロロジブロモシラン、等が挙げられる。
アミノシリル化合物としては、メチルビニルシリル―トリス(1,2,4-トリアゾール)、ジビニルシリルビス(1,2,4-トリアゾール)、アリルメチルシリルビス(1,2,4-トリアゾール)、ジアリルシシリルビス(1,2,4-トリアゾール)、トリス(1,2,4-トリアゾリル)シリル―2-ノルボルネン、6-メチルビス(1,2,4-トリアゾリル)シリル―2-ノルボルネン、6-ジメチルビス(1,2,4-トリアゾリル)シリル―2-ノルボルネン、フェニルビニルシリルビス(1,2,4-トリアゾール)、3-メタクリルオキシプロピルメチルシリルビス(1,2,4-トリアゾール)、アリルフェニルシリル(1,2,4-トリアゾール)、ジフェニルビニルシリル(1,2,4-トリアゾール)、ジメチルビニルシリル(1,2,4-トリアゾール)、アリルジメチルシリル(1,2,4-トリアゾール)、メチルフェニルビニルシリル(1,2,4-トリアゾール)、5-ノルボルネン―2-イル(エチル)ジメチルシリル(1,2,4-トリアゾール)、メチルビニルシリル―トリスイミダゾール、ジビニルシリルビスイミダゾール、アリルメチルシリルビスイミダゾール、ジアリルシシリルビスイミダゾール、トリスイミダゾリルシリル―2-ノルボルネン、6-メチルビスイミダゾリルシリル―2-ノルボルネン、6-ジメチルビスイミダゾリルシリル―2-ノルボルネン、フェニルビニルシリルビスイミダゾール、3-メタクリルオキシプロピルメチルシリルビスイミダゾール、アリルフェニルシリルイミダゾール、ジフェニルビニルシリルイミダゾール、ジメチルビニルシリルイミダゾール、アリルジメチルシリルイミダゾール、メチルフェニルビニルシリルイミダゾール、5-ノルボルネン―2-イル(エチル)ジメチルシリルイミダゾール、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、トリメトキシビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、メタクリルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-アミノフェノキシジメチルビニルシラン、4-アミノフェノキシジメチルビニルシラン、等が挙げられる。
上記化合物を未変性ポリフェニレンエーテルの末端へ導入する反応は、水酸基との直接反応が一般的であるが、水酸基のアルカリ金属塩との反応でも構わない。またハロゲン化シリル化合物とイミダゾール、トリアゾール、ピロリジン、ピペリジン類と反応させアミン化合物にしたのちに、水酸基と反応させ多も構わない。ハロゲン化シリル化合物と水酸基との直接反応では、ハロゲン化水素等の酸が発生するため、酸をトラップする目的でアミン等の弱塩基を共存させてもよい。
副反応を防止するために、共存させるアミン類は、3級アミンであることが好ましい。共存させるアミン類の具体例としては、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジ-n-ブチルメチルアミン、ジ-n-ブチルエチルアミン、ジ-n-プロピルメチルアミン、ジイソプロピルメチルアミン、ジ-n-プロピルエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-t-ブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジ-t-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラメチルメチレンジアミン、テトラエチルメチレンジアミン、ピリジン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
共存させるアミン類は、好ましくは、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルメチルアミン、ジ-n-ブチルエチルアミン、ジ-n-プロピルメチルアミン、ジ-n-プロピルエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-t-ブチルアミン、トリイソブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラメチルメチレンジアミン、テトラエチルメチレンジアミン、ピリジン、ジメチルアニリン、及びジメチルアミノピリジンであり、より好ましくは、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-t-ブチルアミン、トリイソブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルメチレンジアミン、テトラエチルメチレンジアミン、ピリジン、ジメチルアニリン、及びジメチルアミノピリジンである。
また、水分は、反応時に好ましくない副反応等だけでなく、反応後の加水分解反応も生じさせ、反応収率を低下させる原因にもなるため、あらかじめ、反応溶媒およびアミン等の水分を除いておくことが好ましい。反応系中の好ましい水分量は、好ましくは200ppm未満、より好ましくは100ppm未満である。
精製時の副反応又は副生物の生成等を防ぐため、過剰のアミン類は、反応後に系から除去しても構わない。反応系からのアミン類の除去は、低沸点のアミンの場合は、蒸留等によって除くことが出来る。精製工程前の残存アミン量は、10,000ppm未満である。
変性反応工程での高変性率を達成するために好ましい実施形態としては、変性反応を行う際のハロゲン化シリル化合物の使用量は、ポリマー中の水酸基1モルに対して、1.00倍モル以上かつ4倍モル未満であり、好ましくは1.05倍モル~3倍モル、より好ましくは1.1倍モル~2.5倍モルである。ハロゲン化シリル化合物の使用量が、水酸基1モルに対して、1.00倍モル未満では十分な変性率が得られず、他方、4倍モル以上では、反応後の精製時に好ましくない副生物が生成し、精製収率の低下が見られることがある。反応時に酸をトラップする目的で共存させるアミンの使用量は、水酸基1モルに対して、1.00倍モル以上6倍モル未満が好ましく、より好ましくは1.05倍モル~4倍モル、更に好ましくは1.1倍モル~4倍モルである。アミンの使用量が水酸基1モルに対して1.00倍モル未満の場合には十分な変性率が得られず、そして6倍モル以上では転化率に対する効果は変わらない一方、反応後に多量のアミン除去が必要になるため好ましくない。
変性反応温度は、特に限定されないが、未変性ポリフェニレンエーテルと、その良溶媒から成る未変性ポリフェニレンエーテル溶液とから、未変性ポリフェニレンエーテルが析出しない温度条件であることが好ましい。また、複数の温度条件を組み合わせた条件でも構わない。
変性反応後は、過剰のハロゲン化シリル化合物がある場合は、例えばメタノール又はエタノールのようなアルコール類と反応させ、失活等の処理を行っても構わない。
また、変性反応後は、アミン塩等の副生物等を除くために、濾過、水、酸性、もしくはアルカリ性の水溶液で目的物を洗浄してもかまわないし、ポリマー溶液をアルコール類のような貧溶媒中に滴下し、再沈殿により、目的物を回収してもかまわない。また、ポリマー溶液を洗浄後、減圧下に溶媒を留去し、所定のポリマーを回収してもかまわない。
本実施形態の多官能変性ポリフェニレンエーテル(組成物)の製造方法は、上述の本実施形態の多官能変性ポリフェニレンエーテル組成物の製造方法に限定されることなく、上述の、重合工程、銅抽出及び副生成物除去工程、液-液分離工程、濃縮・乾燥工程の順序又は回数等を適宜調整してよい。
<(B)スチレン系エラストマー>
本実施形態の樹脂組成物は(B)共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のランダム共重合体含有率が1%以上95%以下のスチレン系エラストマーを必須の成分として含有する。本実施形態において、スチレン系エラストマーとは、炭素数1~4の炭化水素または塩素原子で置換されたスチレンまたは無置換のスチレン(ビニル芳香族化合物)と、共役ジエン化合物との共重合体、及びその水素添加物を指す。
具体的には、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、水添スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、水添スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、水添スチレン(ブタジエン/イソプレン)スチレン共重合体等のスチレン系エラストマー等が挙げられる。これらのスチレン系エラストマーは単独で用いても、二種類以上を併用してもよい。
これらのなかで、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、水添スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、水添スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体が好ましい。
<ブロック共重合体/ランダム共重合体>
本実施形態の(B)スチレン系エラストマーは、一例として、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とをモノマーとして、それらを重合することにより合成することができる。合成されたスチレン系エラストマーは、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とがランダムに共重合した構造からなる「ランダム共重合型スチレン系エラストマー」と、ビニル芳香族化合物を主体とするブロック共重合構造とランダム共重合構造との両方から構成される「ハイブリッド型スチレン系エラストマー」などが挙げられる。
<ハイブリット型水添スチレン系エラストマーの合成例>
本発明の硬化性樹脂組成物はスチレン系エラストマーの合成方法によっては制限されないが、たとえばハイブリット型水添スチレン系エラストマーは一例として以下のようにして合成することができる。
攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器に炭化水素系溶媒に仕込んで温度を室温ないし100℃に調整した後、n-ブチルリチウムに代表される有機リチウム化合物とN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンなどのアミン化合物を適量添加し、その後モノマーとして所定量のスチレンを含有するシクロヘキサン溶液を数分間かけて添加し、反応器内温を50℃ないし100℃に調整しながら30分間反応させる。
次に、内温を調整しながらそれぞれ所定量のブタジエンとスチレンとを含有するシクロヘキサン溶液を数十分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給する。
その後、更にモノマーとして所定量のスチレンを含有するシクロヘキサン溶液を数分間かけて添加し、反応器内温を調整しながら数十分間反応させ共重合体を得る。
次に、得られた共重合体に、水添触媒(チタノセン化合物あるいはチタノセン化合物と還元性有機金属化合物との混合物など)を添加し、水素圧約0.7MPa、温度40℃ないし80℃で水添反応を行う。反応終了後にメタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを添加し、ハイブリット型水添スチレン系エラストマーを得る。
<ランダム構造の計算方法>
本発明において共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のランダム共重合体含有率は、下記の(1)、(2)のいずれかの方法によって求めることができる。
(1)非水添エラストマーの場合
四酸化オスミウムを触媒としてベース非水添エラストマーをtert-ブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法、以下、しばしば「四酸化オスミウム分解法」と称する。)で求めたビニル芳香族重合体ブロック成分の重量(但し、平均重合度が約30以下のビニル芳香族重合体成分は除かれている)を用いて、次の式から求める。
共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のランダム共重合体含有率(%)=100-(非水添エラストマー中のビニル芳香族重合体ブロックの重量/非水添エラストマーの重量)×100
(2)水添エラストマーの場合
水添エラストマーの共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のランダム共重合体含有率は、水添共重合体を検体として、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて文献(Y.Tanaka,et al.,RUBBER CHEMISTRY and TECHNOLOGY 54,685(1981))に記載の方法(以後、「NMR法」と称する。)により求めたビニル芳香族重合体ブロックの含有率(%)を用いて次の式から求める。
共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のランダム共重合体含有率(%)=100-ビニル芳香族重合体ブロックの含有率(%)
<スチレン系エラストマーの数平均分子量>
本実施形態は(B)成分のスチレン系エラストマーの数平均分子量には特定されないが、本実施形態の硬化性樹脂組成物を積層板などに適用する場合に(B)スチレン系エラストマーの数平均分子量が小さいほど成形性が高まり均一で絶縁性にすぐれた積層板が得られる傾向にあり、また、数平均分子量が大きいほど誘電正接(Df)が低い硬化物が得られる傾向にある。そのような観点から本実施形態は(B)成分のスチレン系エラストマーの数平均分子量が数平均分子量1,000以上300,000以下であることが好ましく、より好ましくは5,000以上200,000以下であり、更に好ましくは10,000以上150,000以下であり、更により好ましくは50,000以上、120,000以下であると本実施形態の目的が効果的に発現できる傾向にある。
<スチレン系エラストマーの二重結合含有量>
本実施形態の(B)スチレン系エラストマーは、スチレン系エラストマーの二重結合含有量によっては限定されないが、二重結合含有量が低いほど、硬化して得られる硬化物の絶縁信頼性や銅箔剥離強度などの劣化が抑制された硬化物が得られる傾向にある。
そのような観点から、(B)成分のスチレン系エラストマーの二重結合含有量は90%以下であることが好ましく、より好ましくは50%以下であり、さらに好ましくは10%以下であり、特に好ましくは1%以下である。
<スチレン系エラストマーのスチレン含有率>
(B)成分であるスチレン系エラストマーのスチレン含有率(ビニル芳香族化合物単位の含有率)は特に限定されないが、スチレン含有率が高いほど、組成物の相溶性が高まる傾向にあり、その結果、本実施形態の硬化性樹脂組成物を硬化した際に、硬化物の銅箔接着強度、絶縁信頼性などの特性が優れる傾向にある。
一方、スチレン系エラストマーのスチレン含有率が低いほどエラストマーの弾性率が低くなり、本実施形態の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の靭性が高まり、また誘電正接(Df)が低くなる傾向にある。
本実施形態の一例として、本実施形態の硬化性樹脂組成物に有機または無機の溶媒を加えて均一組成物を得た後に工業的に利用する方法などがあるが、(B)成分のスチレン系エラストマーのスチレン含有率が高いほど相溶性が良いために、溶液の粘度が下がる傾向にあり、その後、例えばガラスあるいは炭素繊維などの織布または不織布に含浸する際に、繊維の細部にまで硬化性樹脂組成物溶液が浸透するために優れた特性を示す複合材料が得られる傾向にある。
また、(B)成分であるスチレン系エラストマーのスチレン含有率が高いほど、溶媒を含まない状態での硬化性樹脂組成物の樹脂組成物の均一性が高まる傾向にあり、その結果、該硬化性樹脂組成物の溶融粘度が低くなる傾向にある。一方、(B)成分であるスチレン系エラストマーのスチレン含有率が低いほど、本実施形態の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の靭性が高まり、銅箔剥離強度が高くなる傾向がある。
そのような観点より、(B)成分のスチレン系エラストマーの好ましいスチレン含有率は、20%以上99%以下であることが好ましく、より好ましくは23%以上80%以下、さらに好ましくは30%以上70%以下、特に好ましくは40%以上60%以下、殊に好ましくは45%以上55%以下であり、求める硬化性樹脂組成物のプロセス特性、硬化物特性によって選択することができる。
<スチレン系エラストマーの二重結合の水添率>
(B)成分であるスチレン系エラストマーにおいて、共役ジエン単量体単位に基づく二重結合の水添(水素添加)率は特に限定されないが、劣化抑止の観点から、90%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。
<(C)架橋助剤>
本実施形態に係る(C)成分の架橋助剤は、下記式(18)で示され、分子内のビニル基の数が3個以下である構造を有する芳香族ビニル化合物である。
{式(18)中、R37、R38、R39は、水素原子、またはそれぞれ独立に炭素数4以下の炭化水素を表し、R40、R41は、それぞれ独立に水素または炭素数8以下の飽和または不飽和の炭化水素を表す。}
を必須の成分として含有する。
37、R38、R39は、水素原子、またはそれぞれ独立に炭素数4以下の炭化水素である。炭素数が少ないほど反応性が高い傾向にある一方、炭素数が多くなるほど蒸気圧が低くなり該樹脂組成物を加熱する段階で(C)成分の蒸発量が少なくなる傾向にある。そのような観点から、R37、R38、R39の炭素数は少ないほど好ましく、水素原子が最も好ましい。
40、R41は、それぞれ独立に水素または炭素数8以下の飽和または不飽和の炭化水素である。炭素数が少ないほど樹脂組成物の粘度が低くなる傾向にあり、炭素数が多いほど蒸気圧が低くなり該樹脂組成物を加熱する段階で(C)成分の蒸発量が少なくなる傾向にある。
そのような観点から、より好ましいR40、R41の組み合わせとして、一方が水素原子、もう一方が炭素数は1以上6以下の炭化水素、さらに好ましくは2以上4以下の炭化水素の組み合わせである。
また、R40、R41が飽和炭化水素の場合は、該硬化性樹脂組成物を硬化して形成される硬化物の靭性が高くなる傾向にあり、不飽和炭化水素の場合は該硬化物のガラス転移温度が高くなる傾向にある。そのような観点から、R40とR41に含まれる不飽和基は合計で1つまたは0であることがより好ましい。
40がtert-ブチル基であることが好ましく、R41がビニル基であることが好ましい。
以上の観点より、(C)成分の架橋助剤の特に好ましい構造として4-tert-ブチルスチレン、3-tert-ブチルスチレン、2-tert-ブチルスチレン、1,2-ジビニルベンゼン、1,3-ジビニルベンゼン、1,4-ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
<架橋助剤の効果発現理由>
(C)成分の架橋助剤は芳香族を含む低分子であることから、(A)成分である変性ポリフェニレンエーテルおよび(B)成分であるスチレン系エラストマーと相溶性が高いことから、それらに該架橋助剤を配合することにより均一な樹脂組成物やワニスが得られるだけでなく、溶融状態あるいは樹脂溶液の粘度が低下して流動性が高まり、良好な成形性を示す。更に、架橋助剤シリル基と良好な反応性を示すのでスチレンエラストマーを主体とする非連続相とポリフェニレンエーテルを主体とする連続相からなる反応誘起型スピノーダル分解構造を有するマトリックスを形成させることができる。
また、架橋密度が過度に高まると硬化物の均一性が低下し、誘電正接が低下したり脆弱な硬化物となったりするが、(C)成分は1分子内のビニル基の数が3個以下に限られているので、硬化物の架橋密度が過度に高まることを抑制し、特にターシャリー(tert-)ブチルスチレンは単官能であるため、その硬化物は均一性に富む硬化物を与えるので靭性に富み、誘電正接の低い硬化物を形成する。
その結果、本実施形態の硬化性樹脂組成物は、均一な硬化物が得られ、硬化物の十分なTg、低誘電特性、銅箔接着性、及び低線膨張係数の全てを満足させるものとなる。
<(A)成分と(B)成分との配合比率>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は(A)成分と(B)成分とが、硬化前の溶媒を含む溶液状態および溶液を含まない樹脂混合状態のいずれの段階においても相溶性が良く、均一な組成物を形成する傾向にある一方で、硬化反応段階で硬化反応の進行に伴い、(A)成分と(B)成分とが相分離(反応誘起型のスピノーダル分解)し、しかもTgが高く線膨張係数が低い(A)成分を主体とする相が連続相を形成し、Dfの低い(B)成分を主体とする相が非連続相を形成するので、最終的にTgが高く線膨張係数とDfの低い硬化物が形成される傾向にある。
従って、本実施形態は、(A)成分の比率が高いほどTgを指標とする耐熱性が高く、線膨張係数が低くなる傾向にあり、(B)成分の配合比率が高いほど、誘電正接(Df)が低くなる傾向にある。
本実施形態は(A)成分と(B)成分の比率によっては制限されないが、耐熱性と誘電正接のバランスを良好にする観点から、(A)成分と(B)成分の比率は99:1~10:90の範囲にあることが好ましく、より好ましくは98:2~50:50の範囲であり、さらに好ましくは95:5~70:30の範囲であり、特に好ましくは90:10~80:20の範囲である。
<(C)成分の配合比率>
本実施形態は(C)成分の配合比率によっては制限されないが、(A)成分、(B)成分および(D)成分の合計量に対する(C)成分の比率が少ないほど耐熱性が高い傾向にあり、(C)成分の比率が多いほど、粘度が低く成形性に優れる傾向にある。そのような観点から、本実施形態の(A)成分、(B)成分および(D)成分と、(C)成分の配合比率は(A)成分、(B)成分および(D)成分の合計量と、(C)成分の比率が99:1~20:80の範囲であると本実施形態の効果が良好に発現される傾向にある。より好ましくは95:5~30:70の範囲であり、さらに好ましくは90:10~50:50の範囲であり、よりさらに好ましくは80:20~60:40の範囲であり、特に好ましくは70:30~65:35の範囲である。
<D>反応性希釈剤
本発明の(D)成分の反応性希釈剤は以下の(イ)群(ロ)群のいずれかから選択される1種または複数の化合物である。
(イ):分子量が400以下であり、1分子内のアクリル基またはメタクリル基の合計数が3個以下のアクリル系またはメタクリル系化合物
(ロ):
下記式(19)で表されるビニル基含有シラン系化合物
{式(19)中、R42は、水素原子、または炭素数4以下の炭化水素を表し、nは2~6の整数を表す。}
(イ)群のアクリル系またはメタクリル系化合物の分子量は400以下である。400よりも大きいと化合物単体としての粘度が高くなり希釈剤としての効果が十分に発揮できない。
一方、分子量が小さいほど希釈効果は高くなるが沸点が低くなる傾向にある。そのような観点から、アクリル系またはメタクリル系化合物の分子量は、好ましくは50~350、より好ましくは100~300、特に好ましくは150~250である。
(イ)群のアクリル系またはメタクリル系化合物のアクリル基またはメタクリル基の合計数は3個以下である。アクリル基またはメタクリル基の合計数が3個よりも大きいとゲル化が早くなり、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物が脆弱になってしまう。
そのような観点から(イ)群のアクリル系またはメタクリル系化合物のアクリル基またはメタクリル基の合計数は好ましくは2個以下、特に好ましくは1個である。
そのようなアクリル系またはメタクリル系化合物を例示すると、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸ベンジル、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2,3-ジブロモプロピルアクリレート、ステアリルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2-ジメチルアミノエチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、ter-ブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、アダマンタンー1-イルーアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート、2-シアノエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ドデシルアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソノニルアクリレート、3-(メトキシジメチルシリル)-プロピルアクリレート、2-メチルアダマンタンー2-イルアクリレート、1-メチルシクロペンチルアクリレート、ノナフルオルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アクリル酸 N-スクシンイミジル、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラデシルアクリレート、トリメチルシリルアクリレート、
ブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、2,3-ジブロモプロピルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、ter-ブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、アダマンタンー1-イルーメタクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、2-シアノエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、イソボニルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、3-(メトキシジメチルシリル)-プロピルメタクリレート、2-メチルアダマンタンー2-イルメタクリレート、1-メチルシクロペンチルメタクリレート、ノナフルオルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ペンタブロモベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、メタクリル酸 N-スクシンイミジル、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、トリメチルシリルメタクリレート、などが挙げられ、メタクリル酸イソボルニル(MacIso)、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸ジシクロペンタニル(MacDCP)などが耐熱性の尺度であるTgと誘電正接のバランスの観点から好ましく、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸ステアリルが特に好ましい。
(ロ)群に属するビニル基含有シラン系化合物は式(19)で表され、式中のR42は、水素原子、または炭素数4以下の炭化水素である。R42の炭素数が5以上であると単体の粘度が高くなり希釈効果が十分に発揮されない。
一方、R42の炭素数が小さくなるほど沸点が低くなり、本発明の硬化性樹脂組成物に溶媒を添加させて均一にした後に溶媒を留去(乾燥)する際に蒸発し易くなる傾向にある。
そのような観点から、好ましいR42は水素原子または炭素数は3以下であり、より好ましくは水素原子または炭素数2以下であり、特に好ましくは炭素数1である。
式(19)中のnは2~6の整数を表す。nが7よりも大きいと単体の粘度が高くなり希釈効果が十分に発揮されない。
一方、nが小さくなるほど沸点が低くなり本発明の硬化性樹脂組成物に溶媒を添加させて均一にした後に溶媒を留去(乾燥)する際に蒸発し易くなる傾向にある。
そのような観点から好ましいnは2~5であり、より好ましくは3~4であり、特に好ましくは4である。
このような(ロ)群のビニル基含有シラン系化合物としては、
2,4,6,8-テトラメチル-テトラビニルシクロテトラシロキサン:
2,4,6-トリメチル-トリビニルシクロトリシロキサン:
などが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は(D)成分の配合量については特に制限されないが、(B)成分の比率が高いほど本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる樹脂硬化物のDfが低い傾向にあり、また(D)成分の比率が高いほど硬化反応を抑制する傾向にあるため、積層板などの複合材料を作製した場合に外観に優れ、またDfが低くなる傾向にある。
そのような観点から、(B)成分と(D)成分の比率が99.9:0.1~10:90の範囲であることが好ましく、より好ましくは99:1~20:80の範囲であり、さらに好ましくは97:3~30:70、特に好ましくは95:5~40:60、殊に好ましくは90:10~50:50である。
<(E)開始剤>
本実施形態の硬化性樹脂組成物には、開始剤を含有してもよい。開始剤としては特に限定はされないが、有機過酸化物が挙げられ、1分間半減期温度が155℃~180℃の範囲内にあるものが、組成物の保存時の安定性と反応性の観点から好ましく、例えば、t-へキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート(1分間半減期温度、以下同様:155.0℃)、t-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート(166.0℃)、t-ブチルペルオキシラウレート(159.4℃)、t-ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート(158.8℃)、t-ブチルペルオキシ2-エチルへキシルモノカーボネート(161.4℃)、t-へキシルパーオキシベンゾエート(160.3℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(158.2℃)、t-ブチルペルオキシアセテート(159.9℃)、2,2-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ブタン(159.9℃)、t-ブチルパーオキシベンゾエート(166.8℃)、n-ブチル4,4-ジ-(t-ブチルペルオキシ)バレラート(172.5℃)、ジ(2-t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(175.4℃)、ジクミルパーオキサイド(175.2℃)、ジ-t-へキシルパーオキサイド(176.7℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(179.8℃)、及びt-ブチルクミルパーオキサイド(173.3℃)等が挙げられる。
これらの中でも、有機過酸化物としては、t-ブチルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ(2-t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、及びt-ブチルクミルパーオキサイドからなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。
(E)成分の配合量は、(A)成分、(C)成分および(D)成分の合計量を基準に0.001~10phrであることが好ましい。(E)成分の配合量が0.001phr以上であることで、(E)成分の効果が充分に発揮され、硬化反応の進行を促進することで硬化物のTgをより高くできる傾向にある。また、10phr以下であることで、硬化物への開始剤およびその分解物の残留を少なくすることができ、硬化物の誘電正接が高くなることを防止できる傾向にある。そのような観点から、(E)成分のより好ましい配合量は0.1~5phrであり、さらに好ましくは0.5~2phrである。
<(F)溶媒>
本実施形態の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて有機または無機の溶媒を添加することができる。有機溶媒を添加することにより組成物の粘度を低下させることができ、そのような硬化性樹脂組成物は、ガラス繊維に含浸させて積層板を作製する場合などに於いて、ガラス繊維への含浸性を高めることができることがある。
そのような有機溶媒としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、酢酸エチルなどが挙げられ、沸点が低く樹脂組成物から蒸発除去し易い観点より、トルエン及びメチルエチルケトンが特に好ましい。
<その他の成分>
本実施形態の硬化性樹脂組成物には、その目的を損なわない範囲において難燃剤、エラストマー、フィラー等の添加物を配合することができる。
<硬化性樹脂組成物の溶液粘度>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、固形分濃度62%に調製して得られるトルエン溶液の25℃における粘度が、1[mPa・s]以上7000[mPa・s]以下となることにより規定される。
硬化性樹脂組成物の溶液粘度は、東機産業社製粘度計TVE-22Hなどのコーンプレート型回転式粘度計で、1rpmの測定条件で測定することにより求めることができる。
例えば、本実施形態の工業的実施形態の一例として、ガラス繊維に含浸・乾燥させてプリプレグを作製する用途において、トルエン溶液の粘度が低くなるほど、該トルエン溶液がガラス繊維に含浸し易くなり、ボイドやカスレの少ない良好な積層板が得られる傾向にある。また、トルエン溶液の粘度が高くなるほど、絶縁性に優れた積層板が得られる傾向にある。
そのような観点から、本実施形態の硬化性樹脂組成物は、該硬化性樹脂組成物を62%に調製して得られるトルエン溶液が、コーンプレート型回転式粘度計で25℃、1rpmにおいて測定された粘度が1[mPa・s]以上7000[mPa・s]以下となることにより規定される。
該トルエン溶液の上記粘度が1[mPa・s]よりも低い硬化性樹脂組成物は、該硬化性樹脂組成物をトルエン等の有機溶媒に溶解して得られる有機溶媒溶液をガラス繊維などに含浸させた後に、熱風乾燥機内に吊るして乾燥しトルエンなどの有機溶媒を蒸発させてプリプレグを作製する際などに、粘度が低いために、多量の樹脂組成物溶液および/または樹脂組成物がガラスクロスからしたたり落ちてしまい、樹脂含有率の低いプリプレグとなり、そのようなプリプレグを積層・プレスして作製される積層板の樹脂含有率が非常に低いものとなってしまう。
一方、該トルエン溶液の上記粘度が7000[mPa・s]よりも高い硬化性樹脂組成物は、該硬化性樹脂組成物をトルエン等の有機溶媒に溶解して得られる有機溶媒溶液をガラス繊維などに含浸させる工程で、該樹脂組成物溶液が充分にガラスクロスに含浸せず、またガラス繊維表面に十分に親和する(濡れる)ことができない。そのようにして得られたプリプレグをプレスなどにより作製された積層板はボイドやカスレの多いものとなり、充分な絶縁性を発現することができず工業的に使用することが困難である。
そのような観点から、該トルエン溶液の上記粘度が10[mPa・s]以上5000[mPa・s]以下となることが好ましく、より好ましくは50[mPa・s]以上2000[mPa・s]以下、さらに好ましくは80[mPa・s]以上1500[mPa・s]以下、特に好ましくは粘度が100[mPa・s]以上500[mPa・s]以下、殊に好ましくは粘度が150[mPa・s]以上300[mPa・s]以下である。
該トルエン溶液の上記粘度を調整する方法は特に限定されるものではないが、(A)変性ポリフェニレンエーテルに含まれるA置換基量を調整する方法、(A)変性ポリフェニレンエーテルの数平均分子量を調整する方法、(B)スチレン系エラストマーのスチレン含有率を調整する方法、(B)スチレン系エラストマーの含有量を調整する方法、及び(C)架橋助剤の含有量を調整する方法等が挙げられる。
具体的には、(A)変性ポリフェニレンエーテルに含まれるA置換基量を少なくすることで、上記粘度を低くすることができる傾向にある。また、(A)変性ポリフェニレンエーテルの数平均分子量を小さくすることで、上記粘度を低くすることができる傾向にある。また、(B)スチレン系エラストマーのスチレン含有率を高くすることで、上記粘度を低くすることができる傾向にあり、(B)スチレン系エラストマーの含有量を少なくすることで、上記粘度を低くすることができる傾向にあり、(C)架橋助剤の含有量を多くすることで、上記粘度を低くすることができる傾向にある。
<最低溶融粘度>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて開始剤を配合することにより、工業的に使用することができる。その工業的実施形態の一例として積層板を挙げることができる。積層板は、本実施形態の硬化性樹脂組成物をトルエン等の有機溶媒に溶解して得られる有機溶媒溶液をガラス繊維などに含浸させた後に、熱風乾燥機内に吊るして乾燥し、トルエンなどの有機溶媒を蒸発させてプリプレグを作製し、該プリプレグを単独または複数枚積層して作製することができる。上記の工程の中で、プリプレグをプレスして硬化する際に、最低溶融粘度が低いほど、ガラスクロスの細部にまで含浸する傾向にあり、最低溶融粘度が高いほど、作製される積層板の樹脂含有率が高まる傾向にあるが、高すぎると樹脂含有率が低くなる傾向にある。
そのような観点から、本実施形態の硬化性樹脂組成物は溶媒を実質的に含まない状態において、最低溶融粘度が1[Pa・s]以上20000[Pa・s]以下であることが好ましい。
最低溶融粘度が1[Pa・s]よりも低いと、硬化過程でより多くの樹脂組成物がガラスクロスから漏れ出てしまい、樹脂含有率の低い積層板となってしまうことがあり、最低溶融粘度が20000[Pa・s]よりも高いと、ガラスクロスの細部にまで樹脂組成物が浸透することができず、カスレやボイドの多い積層板となってしまうことがある。
そのような観点から、本実施形態の硬化性樹脂組成物は、最低溶融粘度が10[Pa・s]以上10000[Pa・s]以下となることがより好ましく、より好ましくは50[Pa・s]以上5000[Pa・s]以下、さらに好ましくは100[Pa・s]以上1000[Pa・s]以下、特に好ましくは粘度が150[Pa・s]以上500[Pa・s]以下、殊に好ましくは粘度が180[Pa・s]以上300[Pa・s]以下である。
本実施形態の最低溶融粘度の測定方法は、硬化性樹脂組成物が開始剤を含有し、溶媒を含有しない場合は開始剤を含有する硬化性樹脂組成物をコーンプレート型回転式粘度計(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製HAAKE MARSIIIなど)を用いて、振動モードで測定することにより、最低溶融粘度を求めることができる。
一方、本実施形態の硬化性樹脂組成物が開始剤および溶媒を含有する場合は、本実施形態の硬化性樹脂組成物から、エバポレータ、あるいは熱風乾燥機などで溶媒を蒸発させ、実質的に溶媒を含まない固形の硬化性樹脂組成物とした後に、コーンプレート型回転式粘度計の振動モードで測定することにより最低溶融粘度を求めることができる。
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、(A)成分及び(D)成分(ロ)群を含むものであってもよい。
(A)変性ポリフェニレンエーテル
(D)成分(ロ)群;上記式(19)で表されるビニル基含有シラン系化合物
上記(A)成分、(D)成分はそれぞれ、上述した(A)変性ポリフェニレンエーテル、(D)成分(ロ)群と同様のものとすることができる。
<プリプレグ>
本実施形態のプリプレグは、本実施形態の硬化性樹脂組成物を含む。
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて有機または無機の溶媒を添加して得られた硬化性樹脂組成物溶液にガラス繊維あるいは炭素繊維などの織布または不織布に含浸させた後に、熱風乾燥機などにより溶媒を蒸発させることにより、プリプレグを作製することができる。
<プリプレグ作成時のワニスの濃度>
本実施形態はプリプレグを作製する際に調製する硬化性樹脂組成物溶液の濃度には特定されないが、硬化性樹脂組成物溶液の濃度が低いほど粘度が下がり、ガラスクロスなどの補強材への含浸性が高まる傾向にあり、硬化性樹脂組成物溶液の濃度が高いほど、該プリプレグを硬化して得られる積層板の樹脂含有率(レジンコンテント)が高まり、絶縁信頼性などに優れる傾向にある。
そのような観点から、好ましい硬化性樹脂組成物溶液の濃度は10%~90%、より好ましくは30%~80%、更に好ましくは40%~75%、特に好ましくは40%~70%、殊に好ましくは50%~65%である。
<乾燥温度、時間>
硬化性樹脂組成物溶液から溶媒を蒸発させてプリプレグを作製するときには、必要に応じて、熱風乾燥機などにより加熱しながら熱風をあてて乾燥することにより、効率的にプリプレグを作製できることがある。
その際、設定する乾燥温度は、プリプレグをDSC測定して得られるDSCチャートの発熱開始温度(T)に対して低いほど、乾燥中に硬化反応が進行することを抑制できる傾向にあり、Tに対して高い温度で乾燥するほど、より完全に溶媒を蒸発除去できる傾向にある。そのような観点から、(T-80)℃~(T+80)℃の温度範囲であることが望ましく、好ましくは(T-60)℃~(T+30)℃の温度範囲、より好ましくは(T-40)℃~(T+10)℃の温度範囲、更に好ましくは(T-30)℃~Tの温度範囲ですると、硬化性が好適なプリプレグを得られる傾向にある。
本実施形態は、プリプレグを作製するための乾燥時間には特定されないが、乾燥時間が短いほど、乾燥中に硬化反応が進行することを抑制できる傾向にあり、乾燥時間が長いほど、より完全に溶媒を蒸発除去できる傾向にある。そのような観点から、乾燥時間は通常30秒~60分であることが望ましく、好ましくは1分~30分、より好ましくは1.5分~20分、さらに好ましくは2分~15分、特に好ましくは3分~10分である。
<プリプレグのレジコン>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、その実施形態の一例として、該硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸させてプリプレグを作製し、該プリプレグを積層・硬化する工業的利用方法が挙げられる。そのようなプリプレグは、樹脂含有率が高いほど、該プリプレグを積層・硬化して得られる積層板の電気絶縁性が高くなる傾向にあり、また樹脂含有率が低いほど、線膨張係数が低くなる傾向にある。そのような観点から、好ましいプリプレグの樹脂含有率は、質量基準で10%以上90%以下であり、より好ましくは20%以上80%以下であり、さらに好ましくは30%以上75%以下であり、特に好ましくは40%以上70%以下であり、殊に好ましくは50%以上65%以下である。
<積層板>
本実施形態の積層板は、本実施形態の硬化性樹脂組成物の硬化物を含む。
本実施形態の積層板の製造方法の一例として、該硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸させてプリプレグを作製し、該プリプレグを積層・硬化する工業的利用方法が挙げられる。そのようなプリプレグは、樹脂含有率が高いほど、該プリプレグを積層・硬化して得られる積層板の電気絶縁性が高くなる傾向にあり、また樹脂含有率が低いほど、線膨張係数が低くなる傾向にある。そのような観点から、好ましいプリプレグの樹脂含有率は、質量基準で10%以上90%以下であり、より好ましくは20%以上80%以下であり、さらに好ましくは30%以上70%以下であり、特に好ましくは40%以上60%以下であり、殊に好ましくは45%以上55%以下である。
<積層板のプレス温度、圧力>
本実施形態の積層板の製造方法の一例として、プリプレグを積層し、例えばプレス成形により積層板を作製することが挙げられる。積層板を作製する際の硬化温度が高いほど、硬化時間を短縮でき積層板の生産性が高まる傾向があり、低温で硬化するほど、硬化段階での熱劣化が抑制でき、Tgと靭性が高い積層板が作製できる傾向にある。そのような観点より、硬化温度は20℃~350℃であることが望ましく、より好ましくは80℃~300℃であり、より好ましくは100℃~250℃であり、さらに好ましくは150℃~230℃であり、特に好ましくは180℃~220℃である。
また、硬化時に硬化温度を昇温させるとより靭性に優れる積層板を得られる傾向にあり、昇温速度は0.5℃/分~20℃/分であることが望ましく、好ましくは1℃/分~10℃/分、より好ましくは1.5℃/分~10℃/分、さらに好ましくは2℃/分~5℃/分である。
また、硬化段階でプリプレグをプレス成形することにより積層板を作製することができる。その際のプレス圧が高いほど、ボイドの少ない積層板が作製できる傾向にあり、プレス圧が低いほど樹脂の流出が少なくなるので、樹脂含有率が高く絶縁信頼性に優れ誘電正接の低い積層板が得られる傾向にある。
そのような観点より、プレス圧はプリプレグに印加される面圧として2kgf/cm以上100kgf/cm以下であることが望ましく、好ましくは5kgf/cm以上50kgf/cm以下、より好ましくは10kgf/cm以上50kgf/cm以下、更に好ましくは20kgf/cm以上40kgf/cm以下でsる。
<プリント配線板>
本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の硬化性樹脂組成物の硬化物を含む。
本実施形態の硬化性樹脂組成物の実施形態の一例として、プリプレグを積層し積層体を作製する際に、プリプレグを銅箔などの金属箔で挟むなどの方法により、両面に銅箔などの金属箔を接着させた金属張積層板などが挙げられる。さらに、金属張積層板の金属層をエッチングなどによりパターン化させることによりプリント配線板とする利用形態が挙げられる。
<複合材料>
本実施形態の複合材料は、本実施形態の硬化性樹脂組成物の硬化物を含む。
本実施形態の硬化性樹脂組成物の実施形態の一例として、炭素繊維あるいは炭素繊維の織布または不織布に本実施形態の硬化性樹脂組成物を含浸させた後に硬化させることにより炭素繊維強化複合材料(CFRP)を作製する利用形態が挙げられる。
以下、製造例及び実施例に基づいて本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態は、以下の製造例及び実施例に限定されるものではない。
先ず、各物性及び評価の測定方法及び評価基準について以下に述べる。
(1)ポリフェニレンエーテルの存在割合
ここで、ポリフェニレンエーテルの存在割合は、式(1)の構造を有する変性ポリフェニレンエーテル、式(1)の構造において1つ以上の[-Y-A]が[-Y-H]であり、かつ全ての[-Y-A]が[-Y-H]ではない変性ポリフェニレンエーテル、及び式(1)の構造において全ての[-Y-A]が[-Y-H]であるポリフェニレンエーテル(主成分ポリフェニレンエーテル)の存在割合である。
(1-1)
実施例及び比較例で得られた変性ポリフェニレンエーテル組成物、及び原料として用いる多価フェノールを重クロロホルムに溶解し、テトラメチルシランを内部標準として用い、H-NMR測定(JEOL製500MHz)を行った。
(1-2)
中心フェノール部位に起因するピーク位置より、生成物に含まれる多価フェノールのピークを同定した。
(1-3)
式(2)で表される主成分ポリフェニレンエーテルの中心フェノールユニット、及び式(14):
{式(14)中、複数のR21、R21’は、各々独立に、水素原子;置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基;及びハロゲン原子;から成る群から選択される少なくとも1つを表し、同時に水素原子ではないことが好ましく、かつ/又は、一方が上記式(3)で表される部分構造、もう一方が水素原子、メチル基又はエチル基のいずれかであるという組み合わせではない。
式(14)中、複数のR22、R22’は、各々独立に、水素原子;置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基;及びハロゲン原子;から成る群から選択される少なくとも1つを表し、
cは1~100の任意の整数である。}
で表される副生成物に特有の末端フェノキシユニット、及び式(15):
{式(15)中、複数のR21、R21”は、各々独立に、水素原子;置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基;及びハロゲン原子;から成る群から選択される少なくとも1つを表し、同時に水素原子ではないことが好ましく、かつ/又は、一方が上記式(3)で表される部分構造、もう一方が水素原子、メチル基又はエチル基のいずれかであるという組み合わせではない。
複数のR22、R22”は、各々独立に、水素原子;置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基;及びハロゲン原子;から成る群から選択される少なくとも1つを表し、
d及びeは、それぞれ独立に、1~100の任意の整数である。}
で表される副生成物に特有のジフェニルユニットを、得られたNMRスペクトル中のピークにそれぞれ帰属させ、各種ポリフェニレンエーテルの存在割合を下記数式(16):
{式中、
C:式(14)で表される副生成物に特有の末端フェノキシユニットのH、及びR22’に起因するピーク面積の積算値;
D:式(15)で表される副生成物に特有のジフェニルユニットの中心フェノール内部のR22”に起因するピーク面積の積算値;
E:式(2)で表される主成分ポリフェニレンエーテルの中心フェノール部位に起因するピーク面積の積算値;及び
F:積分値Cを求めたピークに該当する式(2)で表される中心フェノール部位由来のプロトン数;
である。}
に従って定量した。
なお、実施例及び比較例に用いられる式(2)で表される主成分ポリフェニレンエーテルの中心フェノール部位に起因するピークや式(14)で表される副生成物の末端フェノールのH、及びR22’に起因するピーク、式(15)で表される副生成物の中心フェノール内部のR22”に起因するピークは、次のような領域に現れる。
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(1H):2.8~3.2ppm
1,1-ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(1H):4.0~4.3ppm
2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(4H):6.95~7.0ppm
式(14)で表される副生成物の末端フェノキシユニット(3H):7.05~7.1ppm
式(15)で表される副生成物のジフェニル(4H):7.34~7.4ppm
(2)式(2)の構造由来のピークの積算値に対する、7.6~8.3ppmに現れるピークの積算値の割合(過酸化物ピークの存在割合)
上記H-NMR測定において、式(2)で表される主成分ポリフェニレンエーテルの中心フェノール部位に起因するピーク面積の積算値をEとし、7.6~8.3ppmの領域に現れる過酸化物由来の不純物ピーク(すなわち、過酸化物ピーク)面積の積算値Gを計算し、下記数式(17)に代入することで過酸化物ピークの存在割合を解析した。
(3)数平均分子量(Mn)
測定装置として、昭和電工(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーSystem21を用い、標準ポリスチレンとエチルベンゼンにより検量線を作成した。この検量線を利用して、得られた変性ポリフェニレンエーテル組成物の数平均分子量(Mn)の測定を行った。
標準ポリスチレンとしては、分子量が、3,650,000、2,170,000、1,090,000、681,000、204,000、52,000、30,200、13,800、3,360、1,300、及び550のものを用いた。
カラムは、昭和電工(株)製K-805Lを2本直列につないだものを使用した。溶剤は、クロロホルムを使用し、溶剤の流量は1.0mL/分、カラムの温度は40℃として測定した。測定用試料としては、変性ポリフェニレンエーテル組成物の1g/Lクロロホルム溶液を作製して用いた。検出部のUVの波長は、標準ポリスチレンの場合は254nm、ポリフェニレンエーテルの場合は283nmとした。
上記測定データに基づきGPCにより得られた分子量分布を示す曲線に基づくピーク面積の割合から、数平均分子量(Mn)(g/mol)を算出した。
(4)組成物のガラス転移温度(Tg)
変性ポリフェニレンエーテル組成物のガラス転移温度は、示差走査熱量計DSC(PerkinElmer製-Pyrisl)を用いて測定した。窒素雰囲気中、毎分20℃の昇温速度で室温から200℃まで加熱後、50℃まで毎分20℃で降温し、その後、毎分20℃の昇温速度でガラス転移温度を測定した。
(5)組成物中に含まれるA置換基数
変性ポリフェニレンエーテル組成物、及び内部標準試料として1,3,5-トリメトキシベンゼン標準品(富士フィルム和光純薬株式会社製、分子量168.19)を規定量採り、トリメチルシラン入り重クロロホルムに溶解させ、H-NMR測定(JEOL製500MHz)を行った。
次いで、1,3,5-トリメトキシベンゼンのメトキシ基由来のプロトンのピーク(3.7~3.8ppm:9H)の積分値、及びメタクリル基のC=C結合末端のプロトンのうち高磁場側に現れるピーク(5.5~5.9ppm:1H)の積分値を求め、これらの積分値と、測定に用いたポリフェニレンエーテル組成物と1,3,5-トリメトキシベンゼンの重量から変性ポリフェニレンエーテル組成物1g当たりのメタクリル基数(単位μmol/g)を算出した。
(6)変性ポリフェニレンエーテル組成物のトルエン溶液の粘度(溶液粘度)
変性ポリフェニレンエーテル組成物を2gとトルエン3gを秤量した。攪拌子とマグネチックスターラーを用い、これらを1時間攪拌し、溶液が透明になるまで完全に溶解させることで40wt%のトルエン溶液を調製した。この溶液について、B型粘度計を用い、25℃、30rpmの条件で溶液粘度を測定した。
(7)変性率
変性率は、特表2004-502849号公報(特許文献2)に記載の方法に従い、二硫化炭素中IR測定による反応前後の水酸基の量変化から算出した。
(8)スチレン系エラストマーの数平均分子量
下記の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、得られたピークでのPS(ポリスチレン)換算検量線から、重量平均分子量を求めた。
測定装置:GPC HLC-8220(TOSOH社製、商品名)
カラム:TAKgelGMHXL SuperH5000:1本、SuperH4000:2本(TOSOH社製、商品名)
溶媒:テトラヒドロフラン
温度:40℃
検量線用サンプル:市販(TOSOH社製)の標準サンプル、10点測定
(9)スチレン系エラストマーの二重結合含有量
スチレン系エラストマーの二重結合含有量は、スチレン系エラストマーのスチレン含有率と同条件で核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により測定し、求めた。
共役ジエン単量体単位のビニル結合量に基づき、共役ジエン単量体重量比率に換算して算出した。
(10)スチレン系エラストマーのスチレン含有率
ビニル芳香族化合物単量体単位の含有量(スチレン含有率)は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により、下記の条件で測定し、求めた。
測定機器:JNM-LA400(JEOL製)
溶媒:重水素化クロロホルム
サンプル濃度:50mg/mL
観測周波数:400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数:64回
パルス幅:45°
測定温度:26℃
(11)水添スチレン系エラストマーの共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のランダム共重合体含有率
核磁気共鳴装置(NMR)を用いて文献(Y.Tanaka,et al.,RUBBER CHEMISTRY and TECHNOLOGY 54,685(1981))に記載の方法により求めたビニル芳香族重合体ブロックの含有率(%)を用いて次の式から求めた。
共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のランダム共重合体含有率(%)=100-ビニル芳香族重合体ブロックの含有率(%)
<樹脂硬化物の調製>
ガラス繊維などの強化繊維等を含まない樹脂硬化物は以下の条件で、プレス法により、厚さ0.1~0.3mmのフィルム状試験片を作製した。
所定の配合成分を固形分濃度が34%となるようにトルエンに加え室温で一晩かけ均一溶解した。その後、日油製パーブチルPを加えてワニスとした。これを銅箔のシャイン面に塗布し、120℃で10分間乾燥させ、得られた固形樹脂組成物を、メノウ乳鉢で粉砕した。
100μm厚のテフロン(登録商標)シートを60×60mmの形状に切り抜き、銅箔のシャイン面上に上記テフロン(登録商標)シートを置き、キャビティー部に理論値の約1.5倍量(比重1として6×6×0.01×1.5=0.54g)の上記固形樹脂組成物を添加し、銅箔のシャイン面を被せ、プレス圧40(kg/cm)、常時真空条件で、下記の温度条件で真空プレス硬化した。
室温~50℃、 4℃/分、 50℃ Hold 1分
50℃~160℃ 4℃/分、160℃ Hold 3分
160℃~220℃ 4℃/分、220℃ Hold時間:60分
(12)樹脂硬化物のTg測定
日立ハイテクサイエンス社(DMS6100)を使用して、次の条件下でDMAにより硬化物のガラス転移温度(Tg)を測定した。
DMA装置の全温度領域で適格な測定が可能なサイズに試験片を切り出し、動的粘弾性試験を実施した。
試験片:短冊、測定モード:引張モード
試験開始温度:室温
昇温速度:4℃/分
試験最高温度:300℃
最高温度保持時間:5分
測定周波数:1Hz
解析:tanδピークをTgとした。
さらにtanδピークから更に30℃高い温度における貯蔵弾性率を読み取り、架橋密度の計算に利用した。
(13)樹脂硬化物の線膨張係数(CTE)の測定
ガラスクロス等の補強材料を含まない樹脂硬化物の線膨張係数は、日立ハイテクサイエンス社TMA7100を使用して、誘電正接測定用試験片より切削したサンプルを用いて、下記の条件で測定して求めた。
測定モード:引張り
サイズ:幅2mm、長さ10mm、厚さ0.2mm
試験開始温度:-50℃
昇温速度:10℃/分
試験最高温度:250℃
最高温度保持時間:5分
(14)樹脂硬化物および積層板の誘電正接(Df)測定
0.1~0.3mm厚の硬化物を50×50mmの形状に切削し、ネットワークアナライザー(KEYSIGHT TECHNOLOGIES社 PNA N5227B、空洞共振器法、スプリットシリンダー共振器使用)を用いて10GHzでの誘電正接を測定した。
(15)硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度
PPE、架橋助剤、スチレン系エラストマー、開始剤等を固形分濃度が34%となるようにトルエンに加え室温で一晩かけ均一溶解し、その後、日本油脂社製パーブチルPを加えてワニスとした。これを銅箔のシャイン面に塗布し、120℃で10分間乾燥させ、得られた固形樹脂組成物を、メノウ乳鉢で粉砕した。
得られた固形樹脂組成物をコーンプレート型回転式粘度計(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製HAAKE MARSIII、直径20mmアルミ製パラレルプレート)で振動モード(振動数1Hz、設定歪0.001、ギャップ1mm)で窒素雰囲気下で測定(100℃~250℃、昇温速度4℃/分)した。100℃から250℃の温度範囲で最も低い粘度を最低溶融粘度とした。
<プリプレグの作製方法>
所定の配合成分をトルエンに溶解し62%トルエン溶液として得られたプリプレグ作製用ワニスにガラスクロスを含浸させ、熱風乾燥機で120℃10分間乾燥させてプリプレグを得た。
(17)DSC反応挙動測定
硬化性樹脂組成物、プリプレグを示差走査熱量計DSC(日立ハイテクサイエンス社製7000X)で窒素気流下で-50℃から280℃まで10℃/分で昇温させ280℃到達後10分間保持して測定し、反応開始温度、反応終了温度、発熱量を求めた。プリプレグの発熱量は、樹脂含有率に基づき樹脂の単位質量当たりの発熱量に換算した。
<積層板の作製方法>
プリプレグを6枚積層し、銅箔で挟んで面圧40kgf/cmを印加しながら室温から220℃まで2℃/分の昇温速度で昇温させた後、さらに220℃1時間加圧下加熱して積層板を得た。
銅箔剥離強度の測定用試験片を作製する場合は銅箔の粗化面を内側にしてプリプレグと接着させ、銅張積層板を作成して銅箔剥離強度を測定した。それ以外の場合はシャイン面を内側にして積層板作成後銅箔を剥がして各種特性を評価した。
(18)積層板およびプリプレグの樹脂含有率の測定
プリプレグおよび積層板の樹脂含有率はTG-DTAにより測定した。空気気流下で室温から600℃まで20℃/分で昇温し、さらに600℃で5時間保持した時点の重量減少率から樹脂含有率を求めた。
(19)積層板含浸性
前記<樹脂硬化物の調製>で記載した方法で調製したワニスを、30×60mmの形状に切り抜いたガラスクロスに含浸させ、120℃で10分間乾燥させた。得られたプリプレグを4枚重ね、プレス圧40(kg/cm)、常時真空条件で、下記の温度条件でプレス硬化した。
室温~50℃、 4℃/分、 50℃ Hold 1分
50℃~160℃ 4℃/分、160℃ Hold 3分
160℃~220℃ 4℃/分、220℃ Hold時間:60分
透明感のある積層板が得られた場合を〇、得られた積層板が全面的に曇っていたり、著しいカスレがあったりした場合をXとし、得られた積層板に部分的に曇った部分があった場合を△とした。
(20)積層板の線膨張係数
積層板の線膨張係数(CTE)は、日立のTMASS6100を使用して、誘電正接測定用試験片より切削したサンプルを用いて、下記の条件で測定して求めた。
測定モード:圧縮
試験開始温度:-50℃
昇温速度:10℃/分
試験最高温度:250℃
最高温度保持時間:5分
(21)積層板の銅箔接着強度
上記の方法により作製した積層板を用いてインストロン社製万能材料試験機(59R5582型)にて積層板と銅箔の粗化面との銅箔接着強度を下記の条件で測定した。
試験温度:23℃、試験速度:50mm/分、引き剥がし幅:10mm
以下、各製造例、製造比較例の未変性ポリフェニレンエーテル組成物の製造方法、及び各実施例及び比較例の変性ポリフェニレンエーテル組成物の製造方法を説明する。
(22)積層板のTg
積層板のTgはTA社製DMA850を使用して下記の条件で測定した。 試験片:短冊、測定モード:引張モード
試験開始温度:-80℃
昇温速度:4℃/分
試験最高温度:300℃
最高温度保持時間:5分
測定周波数:1Hz
解析:tanδピークをTgとした。
(製造例1)PPE-1の合成
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた1.5リットルのジャケット付き反応器に、予め調製した0.1026gの酸化第一銅及び0.7712gの47%臭化水素の混合物と、0.2471gのN,N’-ジ-t-ブチルエチレンジアミン、3.6407gのジメチル-n-ブチルアミン、1.1962gのジ-n-ブチルアミン、894.04gのトルエン、73.72gの2,6-ジメチルフェノール、26.28gの1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(ADEKA製:AO-30)を入れた。次いで、これらの成分を激しく攪拌しながら、反応器へ1.05L/分の速度で空気をスパージャーより導入し始めると同時に、重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。空気を導入し始めてから160分後、空気の通気を止め、この重合混合物に1.1021gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩四水和物(同仁化学研究所製試薬)を100gの水溶液として添加し、70℃に温めた。70℃にて2時間保温し、触媒抽出と副生したジフェノキノン除去処理を行った後、混合液をシャープレス社製遠心分離機に移し、未変性ポリフェニレンエーテル組成物溶液(有機相)と、触媒金属を移した水性相とに分離した。得られた未変性ポリフェニレンエーテル組成物溶液をジャケット付き濃縮槽に移し、未変性ポリフェニレンエーテル組成物溶液中の固形分が55質量%になるまでトルエンを留去させて濃縮した。次いで、230℃に設定したオイルバスとロータリーエバポレーターを用いて更に濃縮物からトルエンを留去し、固形分を乾固させて未変性ポリフェニレンエーテル組成物を得た。
300mlの3つ口フラスコに撹拌子を入れ、主管に三方コックを付けたジムロート冷却器を設置し、一方の側管に温度計を差したゴム栓を取り付けた。もう一方の側管から上記工程で得られた未変性ポリフェニレンエーテル組成物20.0gを投入し、ゴム栓を取り付けた。フラスコ内部を窒素置換した後、マグネチックスターラーで内部の攪拌をしながらシリンジを用いて和光純薬製超脱水トルエン60.0gで溶解させた。次いでトリエチルアミン5.72gを系内に加えた。その後ジメチルビニルクロロシラン3.38gをシリンジに採取し、ゴム栓から系内に滴下した。滴下終了後から3時間にわたって30℃で攪拌を継続した後に、和光純薬製超脱水メタノール0.86gを系内に加えて反応を停止した。
次いで、当該反応液を減圧下、トルエンとともにトリエチルアミンを留去した。その後、和光純薬製超脱水トルエンを反応液に加え、固形分濃度を20重量%に調節した。その後、ポリマー溶液をメタノール(有機層の5倍重量)に攪拌しながら滴下した。次いで沈殿物をろ過し、ろ物を110℃で1時間真空乾燥し、変性ポリフェニレンエーテル組成物を得た。NMRの測定結果から反応が進行していることを確認した。得られた変性ポリフェニレンエーテル組成物(PPE-1)の分子量はMw=4,810、Mn=2,610であった。また、得られたPPE-1の転化率は96%であった。得られたポリマーのトルエン40wt%溶液粘度は、23mPa・sであった。
(実施例1-4、比較例1-3)
表1に示すスチレン系エラストマーを使用し、表2に示す配合で硬化性樹脂組成物溶液を調製し、上記の方法で得られた樹脂硬化物を評価した結果を表2に示した。また、表2に示す配合でプリプレグ作製用ワニスを調製し上記に示す方法でプリプレグ、および積層板を作製し評価した結果を表2に示した。尚、配合量は質量部を示す。
表2中における略語は以下のとおりである。
tBS:4-tert-ブチルスチレン(東京化成工業社製品)
D4V:2,4,6,8-テトラメチル-テトラビニルシクロテトラシロキサン(東京化成工業社製品)
MacISO:メタクリル酸イソボルニル(東京化成工業社製品)
パーブチルP:日本油脂社製 α,α―ジ(ターシャリーブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン
表2から明らかなように、実施例では均一な硬化物が得られ、硬化物の十分なTg、低誘電特性、及び低線膨張係数の全てを満足させる成形性の良い硬化性樹脂組成物が得られた。
これに対し、(D)成分を含まず本実施形態の要件を満たさない比較例1、2では、積層板含浸性が不良であり、銅箔ピールは低く、満足なDf値を発現しなかった。また、(B)成分のスチレン系エラストマーが本実施態様の要件を満たさない比較例3,4では最低溶融粘度が低いために積層板含浸性が不良であり、銅箔ピールは低く、満足なDf値を発現しなかった。
本発明の硬化性樹脂組成物は、特定の構造を有する末端変性ポリフェニレンエーテルと、スチレン系エラストマー、および特定構造の架橋助剤を含み、さらに特定の溶媒溶解時粘度を有することにより、均一な硬化物が得られ、硬化物の十分なTg、低誘電特性、接着性、及び低線膨張係数、成形性の全てを満足させ、基板材料として有用な硬化性樹脂組成物を提供することが出来る。

Claims (28)

  1. 下記(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分を含む硬化性樹脂組成物。
    (A)変性ポリフェニレンエーテル
    下記式(1)で表される変性ポリフェニレンエーテル:
    {式(1)中、Zは、下記式(2)で表されるa価の部分構造であり、aは2~6の整数を表し、Yは、各々独立に、下記式(4)で表される構造を有する2価の連結基であり、nは、Yの繰り返し数を表し、各々独立に、0~200の整数であり、a個の[-Y-A]中の少なくとも1つのnは、1以上の整数であり、Aは、全て水素原子の場合を除いて、水素原子、又はポリフェニレンエーテル構造と結合可能なシリル基含有誘導体を表し、
    式(2)中、Xは、a価の任意の連結基であり、複数のRは、各々独立に、炭素数1~8の直鎖状アルキル基及び下記式(3)で表される部分構造のいずれかであり、kは、各々独立に、1~4の整数であり、
    式(3)中、複数のR11は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、複数のR12は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは、各々独立に、0又は1であり、R13は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基、又は置換されていてもよいフェニル基のいずれかを表し、
    式(4)中、複数のR21は、各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかであり、2つのR21は、同時に水素原子ではなく、2つのR21は、一方が上記式(3)で表される部分構造、もう一方が水素原子、メチル基又はエチル基のいずれかである組み合わせではなく、複数のR22は、各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかである。}
    (B)共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のランダム共重合体含有率が1%以上95%以下のスチレン系エラストマー
    (C)芳香族ビニル系架橋助剤
    下記式(18)で表され、分子内のビニル基の数が3個以下である芳香族ビニル化合物である架橋助剤:
    {式(18)中、R37、R38、R39は、水素原子、またはそれぞれ独立に炭素数4以下の炭化水素を表し、R40、R41は、それぞれ独立に水素または炭素数8以下の飽和または不飽和の炭化水素を表す。}
    (D)以下の(イ)群または(ロ)群のいずれかに属する反応性希釈剤
    (イ):分子量が400以下であり、1分子内のアクリル基またはメタクリル基の合計数が3個以下のアクリル系またはメタクリル系化合物
    (ロ):下記式(19)で表されるビニル基含有シラン系化合物
    {式(19)中、R42は、水素原子、または炭素数4以下の炭化水素を表し、nは2~6の整数を表す。}
  2. 前記(B)成分の、スチレン含有率が20%以上である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(B)成分の、数平均分子量が300,000以下である、請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(B)成分が、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、水添スチレン-ブタジエン共重合体、水添スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、水添スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、および水添スチレン(ブタジエン/イソプレン)スチレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記(B)成分が、共役ジエン単量体単位に基づく二重結合の水添率が90%以上であるスチレン系エラストマーである、請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記(D)成分の(イ)群の反応性希釈剤が、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸ジシクロペンタニルのいずれかである、請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 前記(D)成分の(ロ)群の反応性希釈剤が2,4,6,8-テトラメチル-テトラビニルシクロテトラシロキサンまたは2,4,6-トリメチル-トリビニルシクロトリシロキサンである、請求項1~6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. (E)開始剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 最低溶融粘度が1[Pa・s]以上20000[Pa・s]以下である、請求項8に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. (F)溶媒をさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  11. 前記式(18)中、R37、R38、R39が水素原子である、請求項1~10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  12. 前記式(18)中、R40がtert-ブチル基である、請求項1~11のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  13. 前記式(18)中、R41がビニル基である、請求項1~12のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  14. 前記(C)成分が4-tertブチルスチレンである、請求項12に記載の硬化性樹脂組成物。
  15. 前記(C)成分がジビニルベンゼンである、請求項13に記載の硬化性樹脂組成物。
  16. 前記式(2)において前記Rのうち少なくとも1つは、前記式(3)で表される部分構造であり、前記式(2)中の-O-が結合するベンゼン環の炭素原子を1位とし、2位又は6位の一方の炭素原子に前記式(3)で表される部分構造を有するRが結合し、2位又は6位の他方の炭素原子に水素原子、メチル基又はエチル基が結合している、請求項1~15のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  17. 前記式(3)で表される部分構造が、t-ブチル基である、請求項16に記載の硬化性樹脂組成物。
  18. 前記ポリフェニレンエーテル中に含まれるOH末端数が、0~3,000μmol/gである、請求項1~17のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  19. 前記式(4)中、R21がメチル基である、請求項1~18のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  20. 前記式(1)のAが、下記式(5):
    {式(5)中、R31、及びR34は、それぞれ独立に、炭素数1~30の2価の炭化水素基であり、R32、及びR33は、それぞれ独立に、炭素数1~30の1価の炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、又はヒドロキシアルキル基であり、Bは、オレフィン系の炭素-炭素2重結合を含む炭素数1~30の炭化水素系置換基であり、その一部が、水素原子、水酸基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、イソプロペニル基、又はハロゲン基に置換されていてもよく、sとtとuは、それぞれ独立に0~8の整数である。}
    で表される、請求項1~19のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  21. 前記式(1)のAが、下記式(6)及び/又は(7):

    {式(6)及び/又は式(7)中、R31、及びR34は、それぞれ独立に、炭素数1~30の2価の炭化水素基であり、R32、及びR33は、それぞれ独立に、炭素数1~30の1価の炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、又はヒドロキシアルキル基であり、R35は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、又は炭素数1~30の炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、イソプロペニル基、又はハロゲン基であり、R36は、炭素数1~3の2価の炭化水素基またはアミノ基、または酸素原子であり、炭化水素基の一部は、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、イソプロペニル基、又はハロゲン基に置換されていてよく、かつsとtとuは、それぞれ独立に、0~8の整数である。}
    で表される、請求項20に記載の硬化性樹脂組成物。
  22. 請求項1~21のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を含む、プリプレグ。
  23. 請求項1~21のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物を含む、積層板。
  24. 請求項1~21のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物を含む、プリント配線板。
  25. 請求項1~21のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物を含む、複合材料。
  26. 炭素繊維強化複合材料である、請求項25に記載の複合材料。
  27. 下記(A)成分及び(D)成分を含む硬化性樹脂組成物。
    (A)変性ポリフェニレンエーテル
    下記式(1)で表される変性ポリフェニレンエーテル:
    {式(1)中、Zは、下記式(2)で表されるa価の部分構造であり、aは2~6の整数を表し、Yは、各々独立に、下記式(4)で表される構造を有する2価の連結基であり、nは、Yの繰り返し数を表し、各々独立に、0~200の整数であり、a個の[-Y-A]中の少なくとも1つのnは、1以上の整数であり、Aは、全て水素原子の場合を除いて、水素原子、又はポリフェニレンエーテル構造と結合可能なシリル基含有誘導体を表し、
    式(2)中、Xは、a価の任意の連結基であり、複数のRは、各々独立に、炭素数1~8の直鎖状アルキル基及び下記式(3)で表される部分構造のいずれかであり、kは、各々独立に、1~4の整数であり、
    式(3)中、複数のR11は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、複数のR12は、各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは、各々独立に、0又は1であり、R13は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基、又は置換されていてもよいフェニル基のいずれかを表し、
    式(4)中、複数のR21は、各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかであり、2つのR21は、同時に水素原子ではなく、2つのR21は、一方が上記式(3)で表される部分構造、もう一方が水素原子、メチル基又はエチル基のいずれかである組み合わせではなく、複数のR22は、各々独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかである。}
    (D)成分;
    下記式(19)で表されるビニル基含有シラン系化合物。
    {式(19)中、R42は、水素原子、または炭素数4以下の炭化水素を表し、nは2~6の整数を表す。}
  28. 前記(D)成分が2,4,6,8-テトラメチル-テトラビニルシクロテトラシロキサンまたは2,4,6-トリメチル-トリビニルシクロトリシロキサンのいずれかである請求項27に記載の硬化性樹脂組成物。
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