以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
〔第1実施形態〕
図1~図3に基づき、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、基板1、配線部20、電極パッド26、半導体素子31、導電部材32、封止樹脂4、接合層5、および樹脂膜6を備える。
図1は、半導体装置A10の平面図であり、理解の便宜上、樹脂膜6を透過している。図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。図3は、図2の部分拡大断面図である。
これらの図に示す半導体装置A10は、様々な機器の回路基板に表面実装される装置である。本実施形態では、半導体装置A10は、集積回路である半導体素子31を搭載している。図1に示すように、半導体装置A10の基板1の厚さ方向Z視(以下「平面視」という。)の形状は矩形状である。ここで、説明の便宜上、基板1の厚さ方向Zに対して直角である半導体装置A10の長辺方向(平面図の左右方向)を第1方向Xと定義する。また、基板1の厚さ方向Zおよび第1方向Xに対していずれも直角である半導体装置A10の短辺方向(平面図の上下方向)を第2方向Yと定義する。本実施形態においては、半導体装置A10の厚さ方向Zの寸法は140~1000μm程度であり、第1方向Xの寸法は700~10000μm程度であり、第2方向Yの寸法は350~1000μm程度である。なお、各寸法は限定されない。
基板1は、半導体素子31を搭載し、かつ半導体装置A10を回路基板に実装するための部材である。基板1の平面視の形状は、長辺が第1方向Xに沿った矩形状である。基板1の厚さ方向Zの寸法は、50~950μm程度である。なお、基板1の形状および寸法は限定されない。基板1は、搭載面11、実装面12および溝13を有する。
図2に示すように、搭載面11および実装面12は、基板1の厚さ方向Zにおいて互いに反対側を向く面である。また、搭載面11および実装面12は、ともに基板1の厚さ方向Zに対して直交する平坦面である。搭載面11は、図2の上方を向く面である。搭載面11の形状は矩形状である。実装面12は、図2の下方を向く面である。実装面12の形状は矩形状である。また、本実施形態においては、搭載面11には、溝13が形成されている。
溝13は、搭載面11において、搭載された半導体素子31を囲むように形成されている。後述するように半導体素子31は平面視矩形状なので、本実施形態においては、図1に示すように、第1方向Xに平行な2つの溝13と第2方向Yに平行な2つの溝13とが、平面視矩形状となるように配置されている。なお、溝13は平面視形状に形成される場合に限定されない。たとえば、半導体素子31を囲む円形状などの他の形状に形成されてもよい。また、図2に示すように、各溝13の断面は三角形状であり、各溝13はそれぞれ2つの側面13aを有している。各側面13aは、搭載面11に対して傾斜している。各側面13aの搭載面11に対するそれぞれの傾斜角はいずれも同一であり、その角度は54.74°である。各溝13の幅(各溝13が延びる方向および厚さ方向Zに直交する方向の寸法)は10~50μm程度であり、各溝13の深さ(厚さ方向Zの寸法)は7~36μm程度である。なお、溝13の各寸法は限定されない。また、溝13は、2つの側面13aに接続する底面をさらに有して、断面形状が台形状であってもよい。
また、基板1は、基材101および絶縁層102を備えている。基材101は、単結晶の真性半導体材料を主成分とし、本実施形態においては、Siを主成分としている。なお、基材101の材質は限定されない。本実施形態においては、搭載面11として、基材101の結晶方位が(100)である(100)面を採用している。溝13は、基材101の(100)面に、KOHを用いた異方性エッチングで形成されている。したがって、溝13の各側面13aは、いずれも(111)面からなる。
絶縁層102は、基材101上に形成されており、基材101のうち実装面12とは反対側から臨む部分を覆うように形成された、電気絶縁性を有する被膜である。つまり、絶縁層102は、搭載面11および溝13の各側面13aを覆っている。本実施形態では、絶縁層102は、SiO2からなり、基材101を熱酸化することによって形成されている。絶縁層102は、基材101と半導体素子31とを電気的に絶縁する。本実施形態において、絶縁層102の厚さ(厚さ方向Zの寸法)は、たとえば0.7~1.0μm程度である。なお、接合層5が絶縁性を有する場合は、基板1は絶縁層102を備えなくてもよい。
半導体素子31は、基板1の搭載面11における、溝13によって囲まれた領域に、接合層5を介して搭載されている。半導体素子31は、平面視矩形状の板状であり、素子主面312および素子裏面313を有する。図2に示すように、素子主面312および素子裏面313は、厚さ方向Zにおいて互いに反対側を向く面である。素子主面312は、図2の上方を向く面である。素子裏面313は、図2の下方を向く面であり、半導体素子31を基板1に搭載する際に利用される面である。半導体素子31は、素子裏面313が搭載面11に対向する姿勢で、搭載面11に搭載されている。半導体素子31は、複数の主面電極314を備えている。主面電極314は、素子主面312に配置されており、半導体素子31の図示しない機能領域に導通している。本実施形態において、半導体素子31は、たとえばMOSFETなどを作動させるためのゲートドライバなどの回路が形成された集積回路である。なお、半導体素子31は、集積回路に限定されず、その他の半導体素子(たとえばGaAs型ホール素子など)であってもよい。
導電部材32は、図2に示すように、半導体素子31の素子主面312に配置された主面電極314と配線部20との間に介在する導電体であり、両者を導通させる。導電部材32は、平面視矩形状の直方体形状であり、たとえばCuからなる。導電部材32は、半導体素子31の製造時に、主面電極314に接続するように、電解めっきによって素子主面312に形成される。なお、導電部材32の形状、材質および形成方法は限定されない。導電部材32は、図3に示すように、露出面32aを備えている。露出面32aは、封止樹脂4から露出しており、配線部20に接続している。本実施形態において、露出面32aは湾曲しており、平面視における中心部が周縁部より窪んでいる。つまり、導電部材32のZ方向の寸法は、中心部の方が周縁部より小さい。これは、後述する様に、製造工程において、研削工程で発生した導電部材32のバリを取るために、たとえばH2SO4(硫酸)およびH2O2(過酸化水素)の混合溶液を用いてウェットエッチングしたことによる。導電部材32の厚さ方向Zの寸法は、5~50μm程度である。導電部材32の平面視における中心部は、周縁部より1~5μm程度窪んでいる。
接合層5は、図2に示すように、半導体素子31の素子裏面313と基板1の搭載面11との間に介在する。本実施形態において、接合層5は、銀ペーストなどの導電性ペーストが硬化したものである。接合層5によって、半導体素子31は基板1に固着されている。なお、接合層5の材質は限定されない。本実施形態では、基板1を半導体素子31が発する熱を放熱する放熱部材としても機能させるために、熱伝導率の高い導電性ペーストを採用している。なお、絶縁性樹脂に熱伝導率を高めるためのAg粒子が混入された絶縁性ペーストを用いてもよい。また、半導体素子31が放熱を必要としない場合は、たとえばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などを主剤にした絶縁性ペーストを用いてもよい。
封止樹脂4は、電気絶縁性を有する、たとえば黒色のエポキシ樹脂を主剤とした合成樹脂である。封止樹脂4は、図2に示すように、半導体素子31および搭載面11を覆っており、平面視において基板1と重なっている。したがって、封止樹脂4の平面視の形状は矩形状である。なお、封止樹脂4の材質および形状は限定されない。本実施形態においては、封止樹脂4は、樹脂主面41および樹脂側面43を有する。図2に示すように、樹脂主面41は搭載面11と同じ側を向く面である。樹脂主面41は平たんである。樹脂側面43は、樹脂主面41と基板1との間に挟まれた、第1方向X、または第2方向Yの外側を向く4つの面である。樹脂側面43は、半導体装置A10においていずれも露出した面である。複数の樹脂側面43は、いずれも平たんである。本実施形態においては、複数の樹脂側面43はそれぞれ、基板1の側面と面一である。
配線部20は、封止樹脂4の樹脂主面41に形成され、かつ半導体素子31に導通する導電体である。配線部20は、互いに積層された下地層201およびめっき層202から構成される。下地層201は、樹脂主面41に形成されている。下地層201は互いに積層されたTi層およびCu層から構成され、その厚さは200~800nm程度である。めっき層202は、下地層201の外側(基板1とは反対側)に下地層201に接するように形成されている。めっき層202はCuから構成され、その厚さは、下地層201より厚く設定されており、3~10μm程度である。本実施形態においては、下地層201は、スパッタリング法により形成される。また、めっき層202は、電解めっきにより形成される。なお、配線部20の材質や膜厚、形成方法は限定されない。本実施形態にかかる配線部20は、導電部材接続部21、電極パッド接続部22、および連絡部23を含む。
導電部材接続部21は、配線部20の一部であり、導電部材32に接続する。導電部材接続部21は、導電部材32の平面視形状に合わせて、平面視矩形状である。図3に示すように、導電部材32の露出面32aが湾曲しているので、導電部材接続部21のうち露出面32aに接する部分は同様に湾曲している。つまり、導電部材接続部21も、平面視における中心部が周縁部より窪んでいる。電極パッド接続部22は、配線部20の一部であり、電極パッド26に接続する。電極パッド接続部22は、電極パッド26の平面視形状に合わせて、平面視矩形状である。連絡部23は、配線部20の一部であり、導電部材接続部21と電極パッド接続部22とに接続する。連絡部23は、平面視矩形状である。
樹脂膜6は、封止樹脂4の樹脂主面41および配線部20を覆うように形成されている。樹脂膜6は、配線部20を保護し、配線部20を外部から絶縁する。樹脂膜6は、たとえばポリイミド樹脂などの絶縁材料によって、たとえばフォトリソグラフィにより形成されている。樹脂膜6には、電極パッド26が形成される部分(電極パッド接続部22)に開口が設けられている。つまり、樹脂膜6は、平面視において電極パッド26を囲むように形成されている。これにより、樹脂膜6は、半導体装置A10を回路基板に面実装する際に、溶融したはんだが配線部20に沿って広がることを防止する。また、図2に示すように、樹脂主面41の周縁には樹脂膜6が形成されていない。これは、製造工程において、個片に分割するときに、切断を容易にするためである。本実施形態において、樹脂膜6の厚さ(厚さ方向Zの寸法)は、たとえば3~10μm程度である。なお、樹脂膜6の厚さ、材質および形成方法は限定されない。
電極パッド26は、樹脂膜6に形成された開口から露出している電極パッド接続部22
に接するように形成された、平面視矩形状の導電体である。本実施形態では、電極パッド26は、たとえば互いに積層されたNi層、Pd層およびAu層から構成される。本実施形態において、電極パッド26の厚さ(厚さ方向Zの寸法)は、たとえば3~15μm程度である。本実施形態では、電極パッド26は、無電解めっきにより形成される。なお、電極パッド26の厚さ、材質、形状、および形成方法は限定されない。電極パッド26は、半導体装置A10をたとえば図示しない電子機器の回路基板に面実装するために用いられる。なお、電極パッド26に代えて、はんだボールが、露出している電極パッド接続部22に搭載されてもよい。
導電部材32、配線部20および電極パッド26は、半導体素子31と半導体装置A10が実装される回路基板との導電経路を構成する。なお、図1~図3に示す導電部材32、配線部20および電極パッド26の配置形態は一例であり、実際の半導体装置A10における導電部材32、配線部20および電極パッド26の配置形態はこれに限定されない。
次に、図4~図19に基づき、半導体装置A10の製造方法の一例について説明する。なお、図4~11,13,15,17~19においては、図1のII-II線に沿うXZ平面における断面を示している。図12,14,16においては、図3に示す部分に相当する部分の部分拡大断面図(図1のII-II線に沿うXZ平面における断面の部分拡大断面図)を示している。また、これらの図において示される後述する基板材料100の厚さ方向Z、第1方向Xおよび第2方向Yは、図1~図3に示される基板1の厚さ方向Z、第1方向Xおよび第2方向Yが示す方向と同一である。
まず、基板材料100を用意する。基板材料100は、半導体材料の単結晶からなり、本実施形態においては、Si単結晶からなる。基板材料100は、上述した半導体装置A10の基板1が複数個取りできるサイズである。すなわち、以降の製造工程においては、複数の半導体装置A10を一括して製造する手法を前提としている。基板材料100は、厚さ方向Zにおいて互いに反対側を向く表面110および裏面120を有している。本実施形態においては、表面110として結晶方位が(100)である(100)面を採用する。表面110は後に搭載面11となる部分であり、裏面120は後に実装面12となる部分である。
次いで、図4に示すように、表面110をたとえば熱酸化させることによりSiO2からなるマスク層801を形成する。マスク層801の厚さは、たとえば0.7~1.0μm程度である。
次いで、図5に示すように、マスク層801に対してエッチングによるパターニングを行う。具体的には、マスク層801にフォトリソグラフィによりレジストを形成して、マスク層801をエッチングし、その後、レジストを剥離する。これにより、マスク層801に、平面視矩形枠状の開口801aが形成される。この開口801aの形状および大きさは、最終的に得ようとする溝13の形状および大きさに応じて設定される。また、開口801aの枠の幅は、溝13の幅に応じて設定される。
次いで、図6に示すように、溝13を形成する。溝13の形成は、たとえばKOHを用いた異方性エッチングによって行う。KOHは、Si単結晶に対して良好な異方性エッチングを実現しうるアルカリエッチング溶液の一例である。この異方性エッチングを行うことにより、2つの側面13aを有する溝13が形成される。本実施形態においては、表面110として(100)面を採用しているので、各側面13aは(111)面になり、側面13aが表面110(XY平面)に対してなす角度は、54.74°となる。基板材料100のエッチングは、マスク層801の開口801aで設定された溝13の幅によって定まる深さまでしか進まない。したがって、溝13の深さは、溝13の幅よって定まる。なお、エッチング溶液はKOHに限定されず、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)やEDP(エチレンジアミンピロカテール)などのアルカリ溶液であってもよい。また、フッ硝酸(HFとHNO3の混酸)溶液をエッチング溶液として、等方性エッチングを行ってもよい。本工程により、マスク層801に形成された開口801aに応じた溝13が形成される。次いで、マスク層801を除去する。マスク層801の除去は、たとえばHFを用いたエッチングによって行う。
次いで、図7に示すように、たとえばSiO2からなる絶縁層102を形成する。絶縁層102の形成は、基板材料100のうち表面110および溝13の内面(側面13a)を熱酸化させることにより行う。これにより、厚さがたとえば0.7~1.0μm程度の絶縁層102が得られる。
次いで、図8~図9に示すように、半導体素子31を基板材料100の表面110に搭載する。
半導体素子31の素子主面312には、あらかじめ、導電部材32が形成されている。導電部材32は、半導体素子31の製造工程において、個片に分割する工程の前に、主面電極314に接続するように、電解めっきによって素子主面312に形成される。なお、半導体素子31を個片に分割した後に、導電部材32を形成してもよい。
まず、図8に示すように、基板材料100の表面110における、溝13によって囲まれた領域に、導電性ペースト500を塗布する。
次いで、図9に示すように、半導体素子31の素子裏面313が基板材料100の表面110に対向する姿勢で、ダイボンディングにより、半導体素子31を基板材料100の表面110に固着させる。硬化した導電性ペースト500が接合層5になる。導電性ペースト500は、溝13と表面110とが接続する境界部分において、導電性ペースト500の表面張力によって広がることを妨げられる。以上の工程により、半導体素子31が基板材料100の表面110に搭載される。
次いで、図10に示すように、半導体素子31を覆う封止樹脂4を形成する。本実施形態にかかる封止樹脂4は、電気絶縁性を有する、たとえば黒色のエポキシ樹脂を主剤とした合成樹脂である。封止樹脂4は、半導体素子31および導電部材32を露出させることなく覆うように形成される。なお、導電部材32は封止樹脂4から露出していてもよい。封止樹脂4は、溝13にも充填される。
次いで、図11に示すように、基板材料100の表面110側から、たとえば機械研削により封止樹脂4を研削する。本工程により、封止樹脂4および導電部材32が研削されて、導電部材32の一部が封止樹脂4から露出する。研削後の封止樹脂4の上面が樹脂主面41になる。導電部材32の封止樹脂4から露出する面および封止樹脂4の樹脂主面41は、いずれも平たんであり、面一になっている。一方、半導体素子31の素子主面312は、封止樹脂4から露出せず、研削されない。
次いで、研削により発生した導電部材32のバリを取るために、たとえばH2SO4(硫酸)およびH2O2(過酸化水素)の混合溶液(エッチング液)を用いてウェットエッチングを行う。当該エッチング液は、Cuからなる導電部材32をエッチングするが、封止樹脂4および基板材料100を侵食しない。なお、エッチング液は限定されない。本工程により、導電部材32のバリが除去される。また、本工程により、導電部材32の封止樹脂4から露出した面もエッチングされて、図12に示すように、露出面32aが形成される。導電部材32のうち封止樹脂4に近い部分は、封止樹脂4から離れている部分と比較して、エッチング液が循環しにくく滞留しやすいので、エッチング量が小さい。したがって、露出面32aは、平面視における中心部が周縁部より窪んで湾曲している。
次いで、図13~図17に示すように、配線部20を形成する。
まず、図13および図14に示すように、封止樹脂4の樹脂主面41および導電部材32の露出面32aに、下地層201を形成する。下地層201は、樹脂主面41および露出面32aを覆っている。下地層201はスパッタリング法により形成される。本実施形態にかかる下地層201は、互いに積層されたTi層およびCu層から構成され、その厚さは200~800nm程度である。下地層201の形成にあたっては、樹脂主面41および露出面32aに接するTi層を形成した後に当該Ti層に接するCu層を形成する。図14に示すように、導電部材32の露出面32aは、樹脂主面41から連続的にゆるやかに窪んだ形状になっているので、露出面32aと樹脂主面41との境界部分にも下地層201が形成しやすい。また、図14に示すように、下地層201のうち露出面32aに接する部分も、露出面32aと同様に湾曲している。つまり、下地層201のうち露出面32aに接する部分も、平面視における中心部が周縁部より窪んでいる。
次いで、図15および図16に示すように、めっき層202を形成する。まず、めっき層202を形成するためのレジスト層802を、フォトリソグラフィにより形成する。下地層201の全面を覆うように感光性レジストを塗布した後、感光性レジストに対して露光・現像を行うことによって、パターニングを行う。これにより、レジスト層802が得られる。感光性レジストは、たとえばスピンコータ(回転式塗布装置)を用いて塗布される。本実施形態にかかる感光性レジストは、ポジ型であるため、露光された部分が現像液により除去される。露光により除去されたレジスト層802の部分から下地層201が露出する。レジスト層802は、最終的に配線部20として残す部分が除去されている。そして、レジスト層802から露出した下地層201に接するめっき層202を形成する。めっき層202は、Cuから構成され、下地層201を導電経路とした電解めっきにより形成される。本実施形態では、めっき層202の厚さは、3~10μm程度である。図16に示すように、下地層201のうち露出面32aに接する部分が湾曲しているので、めっき層202のうちの平面視において露出面32aに位置する部分も、露出面32aと同様に湾曲している。つまり、めっき層202の当該部分も、平面視における中心部が周縁部より窪んでいる。次いで、レジスト層802を除去する。
次いで、図17に示すように、樹脂主面41においてめっき層202に覆われていない不要な下地層201を全て除去する。不要な下地層201は、たとえばウェットエッチングにより除去される。当該ウェットエッチングでは、たとえばH2SO4(硫酸)およびH2O2(過酸化水素)の混合溶液が用いられる。下地層201が除去された部分から、樹脂主面41が露出する。以上の工程により、配線部20が形成される。
次いで、図18に示すように、封止樹脂4の樹脂主面41および配線部20を覆うように、樹脂膜6を形成する。本実施形態にかかる樹脂膜6は、フォトリソグラフィにより形成される。まず、封止樹脂4の樹脂主面41および配線部20の全体を覆うように、たとえば感光性ポリイミド樹脂を塗布する。感光性ポリイミド樹脂は、たとえばスピンコータ(回転式塗布装置)を用いて塗布される。次いで、塗布された感光性ポリイミド樹脂に対して露光・現像を行うことによって、パターニングを行う。これにより、樹脂膜6が得られる。露光・現像により、樹脂膜6には、平面視において電極パッド接続部22に重なる領域に開口6aが形成されている。開口6aからは、配線部20(電極パッド接続部22)が露出している。また、樹脂膜6には、製造工程において個片に切断するときの切断線に沿った除去部6bが形成されている。除去部6bからは、樹脂主面41が露出している。除去部6bで囲まれた部分が、切断の工程によって、それぞれ半導体装置A10になる。したがって、半導体装置A10の樹脂主面41の周縁には樹脂膜6が形成されていない。
次いで、図19に示すように、樹脂膜6の開口6aに、配線部20(電極パッド接続部22)に接する電極パッド26を形成する。本実施形態にかかる電極パッド26は、互いに積層されたNi層、Pd層およびAu層から構成される。電極パッド26は、無電解めっきによりNi層、Pd層、Au層の順に各々を析出させることにより形成される。
次いで、基板材料100の裏面120側から、たとえば機械研削により基板材料100を研削する。次いで、第1方向Xに沿って基板材料100および封止樹脂4を切断し、第2方向Yに沿って基板材料100および封止樹脂4を切断することによって、半導体装置A10の基板1に対応する範囲ごとの個片に分割する。切断にあたっては、たとえばプラズマダイシングにより切断線に沿って基板材料100および封止樹脂4を切断する。当該工程において分割された個片が半導体装置A10となる。以上の工程を経ることによって、半導体装置A10が製造される。
次に、半導体装置A10およびその製造方法の作用効果について説明する。
本実施形態によると、導電部材32を介して半導体素子31の主面電極314に導通する配線部20が、樹脂主面41に形成される。そして、配線部20に接する電極パッド26が、基板1の実装面12とは反対側に形成される。主面電極314に接続するワイヤを必要としないので、封止樹脂4は当該ワイヤを覆うように形成する必要がない。封止樹脂4を薄型化できるので、半導体装置A10は薄型化が可能である。また、製造工程の封止樹脂4の研削工程において、封止樹脂4の研削量を増加することで、さらなる薄型化が可能である。
また、本実施形態によると、半導体素子31が基板1にフェイスアップで搭載され、主面電極314が、導電部材32および樹脂主面41に形成された配線部20を介して、封止樹脂4側に配置された電極パッド26に導通する。一方、基板1に形成された配線を利用する場合、封止樹脂4側に配置された電極パッド26に導通するためには、基板1から樹脂主面41まで延びる導電性の部材(例えばCuピラー)が必要になる。したがって、基板1に形成された配線を利用する場合と比較して、主面電極314を封止樹脂4側に配置された電極パッド26に導通させる導電経路を形成するための材料の使用量を抑制できる。
また、本実施形態によると、導電部材32の露出面32aは、ウェットエッチングにより形成され、樹脂主面41から連続的にゆるやかに窪んだ形状になっている。したがって、スパッタリングで下地層201を形成する際に、露出面32aと樹脂主面41との境界部分にも下地層201を形成しやすい。
また、本実施形態によると、搭載面11に、搭載された半導体素子31を囲む溝13が形成されている。したがって、半導体素子31を基板材料100の表面110に搭載する工程において、導電性ペースト500が表面110に沿って広がることを防止できる。
また、本実施形態によると、半導体素子31は、熱伝導率の高い導電性ペーストを介して基板1に搭載されている。したがって、半導体素子31が発する熱を、基板1によって放熱することができる。
なお、本実施形態では、接合層5の形成に導電性ペーストを用いる場合について説明したが、これに限られない。たとえば、接合層5の形成に、DAF(ダイアタッチフィルム)テープを用いてもよい。また、はんだを用いてもよい。これらの場合、基板1は溝13を備える必要はない。
〔第2実施形態〕
図20~図21に基づき、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置A20について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図20は、半導体装置A20の平面図であり、理解の便宜上、樹脂膜6を透過している。図21は、図20のXXI-XXI線に沿う断面図である。
本実施形態にかかる半導体装置A20は、導電性ペーストを硬化した接合層5に代えて、はんだ層を含む接合層51を備えている点で半導体装置A10と異なる。接合層51は、互いに積層されたTi層、Cu層、Ni層およびはんだ層から構成され、この順で基板1に積層されている。Ti層およびCu層は、スパッタリング法により形成される。また、Ni層およびはんだ層は、電解めっきにより形成される。半導体素子31は、接合層51のはんだ層によって、基板1に固着されている。はんだ層は、たとえばSn-Ag系合金またはSn-Sb系合金などの鉛フリーはんだである。なお、はんだ層の材質は限定されない。また、接合層51の構成は限定されない。また、半導体装置A20は、基板1に溝13が形成されていない。
半導体装置A20の製造方法は、半導体装置A10の製造方法の一例(図4~図19参照)において、図4~図6に示す溝13の形成工程を省略し、図8~図9に示す半導体素子31の搭載工程を変更したものになる。
半導体装置A20の製造方法における半導体素子31の搭載工程では、まず、接合層51が形成される。接合層51の形成工程では、まず、スパッタリング法により、基板材料100の表面110に接するTi層を形成し、その後、当該Ti層に接するCu層を形成する。次いで、Cu層に対してフォトリソグラフィによりレジスト層を形成する。レジスト層には、接合層51に応じた開口が形成され、当該開口からCu層が露出する。次いで、レジスト層の開口から露出するCu層に接するNi層を、Cu層を導電経路とした電解めっきによって形成する。次いで、レジスト層の開口から露出するNi層に接するはんだ層を、Ni層およびCu層を導電経路とした電解めっきによって形成する。次いで、レジスト層を除去し、はんだ層およびNi層に覆われていない不要なTi層およびCu層を全て除去する。以上の工程により、接合層51が形成される。
次いで、半導体素子31を接合層51に仮付けする。このとき、接合層51は、基板材料100と半導体素子31とに挟まれた状態となる。次いで、リフローにより接合層51のはんだ層を溶融させた後、冷却によりはんだ層を固化させることによって、半導体素子31の搭載が完了する。
本実施形態によると、半導体素子31は、熱伝導率の高い接合層51を介して基板1に搭載されている。したがって、半導体素子31が発する熱を、基板1によって放熱することができる。また、本実施形態によると、接合層51は、互いに積層されたTi層、Cu層、Ni層およびはんだ層から構成されているので、導電性ペースト500のように表面110に沿って広がらない。したがって、基板1に溝13を形成する必要がない。これにより、溝13を形成する場合と比較して、製造工程を簡略化できる。
〔第3実施形態〕
図22に基づき、本発明の第3実施形態にかかる半導体装置A30について説明する。同図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図22は、半導体装置A30の断面図であり、第1実施形態における図2に対応する図である。図22においては、理解の便宜上、樹脂膜6を透過している。
本実施形態にかかる半導体装置A30は、基板1を備えていない点で半導体装置A10と異なる。半導体装置A30は、半導体装置A10の製造方法の一例(図4~図19参照)における電極パッド26の形成工程(図19参照)の後、基板材料100の研削工程で、封止樹脂4および半導体素子31が露出するまで研削を行うことで製造される。つまり、半導体装置A30は、研削により基板材料100をすべて研削したものである。
本実施形態によると、基板1を備えていないので、さらなる薄型化を図ることができる。また、半導体素子31の素子裏面313側に、半導体素子31の機能に影響する構造がなければ、さらに半導体素子31を研削してもよい。この場合、さらなる薄型化を図ることができる。
〔第4実施形態〕
図23~図31に基づき、本発明の第4実施形態にかかる半導体装置A40について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図23は、半導体装置A40の平面図であり、理解の便宜上、樹脂膜6を透過している。図24は、図23のXXIV-XXIV線に沿う断面図である。
本実施形態にかかる半導体装置A40は、半導体素子31の素子裏面313に裏面電極315が配置されており、当該裏面電極315に導通する電極パッド27を備えている点で、半導体装置A10と異なる。
本実施形態において、半導体素子31は、裏面電極315を備えている。裏面電極315は、素子裏面313に配置されており、半導体素子31の図示しない機能領域に導通している。半導体装置A40は、基板配線部28、包囲層7、柱状体25、および電極パッド27をさらに備えている。また、半導体装置A40は、接合層5に代えて接合層52を備えている。
基板配線部28は、基板1の搭載面11に形成され、半導体素子31の裏面電極315に導通する導電体である。基板配線部28は、互いに積層された下地層281およびめっき層282から構成される。下地層281は、搭載面11に接するように形成されている。下地層281は互いに積層されたTi層およびCu層から構成され、その厚さは200~800nm程度である。めっき層282は、下地層281の外側(基板1とは反対側)に下地層281に接するように形成されている。めっき層282はCuから構成され、その厚さは、下地層281より厚く設定されており、3~10μm程度である。本実施形態においては、下地層281は、スパッタリング法により形成される。また、めっき層282は、電解めっきにより形成される。なお、基板配線部28の材質や膜厚、形成方法は限定されない。本実施形態にかかる基板配線部28は、接合層52を介して半導体素子31の裏面電極315に接続する部位と、柱状体25に接続する部位と、これらの2つの部位を接続する部位とを備えている。
本実施形態において、配線部20は、電極パッド接続部24をさらに含んでいる。電極パッド接続部24は、樹脂主面41に形成されており、平面視において、柱状体25に重なる位置(基板配線部28の柱状体25に接続する部位に重なる位置)に配置されている。電極パッド接続部24は、柱状体25および電極パッド27に接続する。電極パッド接続部24は、電極パッド27の平面視形状に合わせて、平面視矩形状である。
接合層52は、互いに積層されたNi層およびはんだ層から構成され、この順で基板配線部28に積層されている。Ni層およびはんだ層は、電解めっきにより形成される。半導体素子31は、接合層52のはんだ層によって、基板配線部28に固着されている。はんだ層は、たとえばSn-Ag系合金またはSn-Sb系合金などの鉛フリーはんだである。なお、はんだ層の材質は限定されない。また、接合層52の構成は限定されない。接合層52は、基板配線部28のめっき層282に形成されるので、第2実施形態にかかる接合層51のTi層およびCu層を必要としない。
包囲層7は、平面視において接合層52を囲む、基板配線部28に形成された部材である。本実施形態においては、包囲層7の平面視形状は中央に開口を有した枠状であり、かつ、包囲層7の平面視中央を向く内縁に接合層52が接している。また、本実施形態においては、包囲層7は電気絶縁性を有した有機化合物、たとえばポリイミド樹脂からなり、その厚さは0.3~5μm程度である。包囲層7は、製造工程において、リフローにより接合層52のはんだ層を溶融させたときに、溶融したはんだが基板配線部28に沿って広がることを防止する。なお、包囲層7の材質は、電気絶縁性を有し、かつ、熱に強い材料であればポリイミド樹脂以外であってもよい。また、包囲層7の形状および厚さも限定されない。
柱状体25は、基板1に形成された基板配線部28と樹脂主面41に形成された電極パッド接続部24(配線部20)とを接続する導電体である。本実施形態では、柱状体25は、XY平面での断面が矩形の角柱形状である。なお、柱状体25の形状は限定されず、たとえば円柱形状などであってもよい。柱状体25の厚さ方向Zの一方端(図24に示す下端)は、基板配線部28に接続している。また、柱状体25の厚さ方向Zの他方端(図24に示す上端)は、封止樹脂4から露出しており、電極パッド接続部24(配線部20)に接続している。本実施形態では、柱状体25は、たとえばCuから構成され、電解めっきにより形成される。なお、柱状体25の材質や形成方法は限定されない。
電極パッド27は、樹脂膜6に形成された開口から露出している電極パッド接続部24に接するように形成された、平面視矩形状の導電体である。電極パッド27は、電極パッド26と同様の構成である。電極パッド27が、本発明の「第2の電極パッド」に相当する。
基板配線部28、柱状体25、電極パッド接続部24および電極パッド27は、半導体素子31の裏面電極315と半導体装置A40が実装される回路基板との導電経路を構成する。なお、図23~図24に示す基板配線部28、柱状体25、電極パッド接続部24、電極パッド27、導電部材32、配線部20および電極パッド26の配置形態は一例であり、実際の半導体装置A40におけるこれらの配置形態は限定されない。
次に、図25~図31に基づき、半導体装置A40の製造方法の一例について説明する。なお、第1~2実施形態にかかる半導体装置A10,A20の製造方法と共通する部分は説明を省略する。図25~図31は、半導体装置A40の製造工程を説明する断面図であり、図23のXXIV-XXIV線に沿うXZ平面における断面を示している。
まず、基板材料100を用意し、表面110をたとえば熱酸化させることによりSiO2からなる絶縁層102を形成する。
次いで、図25に示すように、基板材料100の表面110に、下地層281を形成する。下地層281は、表面110を覆っている。下地層281はスパッタリング法により形成される。本実施形態にかかる下地層281は、互いに積層されたTi層およびCu層から構成され、その厚さは200~800nm程度である。下地層281の形成にあたっては、表面110に接するTi層を形成した後に当該Ti層に接するCu層を形成する。
次いで、図26に示すように、めっき層282を形成する。まず、めっき層282を形成するためのレジスト層803を、フォトリソグラフィにより形成する。レジスト層803の構成および形成方法は、レジスト層802と同一である。下地層281の全面を覆うように感光性レジストを基板材料100に塗布した後、感光性レジストに対して露光・現像を行うことによって、パターニングを行う。これにより、レジスト層803が得られる。レジスト層803は、最終的に基板配線部28として残す部分が除去されている。そして、レジスト層803から露出した下地層281に接するめっき層282を形成する。めっき層282は、Cuから構成され、下地層281を導電経路とした電解めっきにより形成される。本実施形態では、めっき層282の厚さは、3~10μm程度である。次いで、レジスト層803を除去する。
次いで、図27に示すように、包囲層7を形成する。まず、包囲層7を形成するためのレジスト層804を、フォトリソグラフィにより形成する。当該レジスト層804の構成および形成方法は、レジスト層802と同一である。下地層281およびめっき層282の全面を覆うように感光性レジストを塗布した後、感光性レジストに対して露光・現像を行うことによって、パターニングを行う。これにより、レジスト層804が得られる。レジスト層804には、包囲層7に応じた開口が形成され、当該開口からめっき層282が露出する。次いで、レジスト層804の開口から露出するめっき層282に接する包囲層7を、下地層281を活用した電着法によって、たとえばポリイミド樹脂を析出させることで形成する。次いで、レジスト層804を除去する。以上の工程により、包囲層7が形成される。このとき形成された包囲層7は、平面視において枠状であり、開口を有する。当該開口は平面視において矩形であり、開口からめっき層282が露出する。
次いで、図28に示すように、包囲層7の開口内に接合層52を形成する。まず、接合層52を形成するためのレジスト層を、フォトリソグラフィにより形成する。当該レジスト層の構成および形成方法は、レジスト層802と同一である。下地層281、めっき層282および包囲層7の全面を覆うように感光性レジストを塗布した後、感光性レジストに対して露光・現像を行うことによって、パターニングを行う。これにより、レジスト層が得られる。当該レジスト層には、包囲層7の開口に一致する開口が形成され、レジスト層の開口からめっき層282が露出する。次いで、レジスト層の開口から露出するめっき層282に接するNi層を、下地層281を導電経路とした電解めっきによって形成する。次いで、レジスト層の開口から露出するNi層に接するはんだ層を、下地層281を導電経路とした電解めっきによって形成する。次いで、レジスト層を除去する。以上の工程により、接合層52が形成される。
次いで、図28に示すように、柱状体25を形成する。まず、柱状体25を形成するためのレジスト層を、フォトリソグラフィにより形成する。当該レジスト層の構成および形成方法は、レジスト層802と同一である。下地層281、めっき層282、包囲層7および接合層52の全面を覆うように感光性レジストを塗布した後、感光性レジストに対して露光・現像を行うことによって、パターニングを行う。これにより、レジスト層が得られる。当該レジスト層には、柱状体25に応じた開口が形成され、レジスト層の開口からめっき層282が露出する。次いで、レジスト層の開口から露出するめっき層282に接する柱状体25を、下地層281を導電経路とした電解めっきによって形成する。次いで、レジスト層を除去する。以上の工程により、柱状体25が形成される。
次いで、図29に示すように、表面110においてめっき層282に覆われていない不要な下地層281を全て除去する。不要な下地層281は、たとえばウェットエッチングにより除去される。当該ウェットエッチングでは、たとえばH2SO4(硫酸)およびH2O2(過酸化水素)の混合溶液が用いられる。下地層281が除去された部分から、表面110が露出する。これにより、基板配線部28が形成される。
次いで、図30に示すように、半導体素子31を基板材料100の表面110に搭載し、半導体素子31を覆う封止樹脂4を形成する。そして、基板材料100の表面110側から、封止樹脂4を研削する。本実施形態では、封止樹脂4および導電部材32とともに柱状体25も研削され、柱状体25の一部が封止樹脂4から露出する。柱状体25の封止樹脂4から露出する面は、平たんであり、樹脂主面41に対して面一になっている。次いで、研削により発生した導電部材32および柱状体25のバリを取るために、ウェットエッチングを行う。本工程により、導電部材32および柱状体25のバリが除去される。また、本工程により、導電部材32の封止樹脂4から露出した面がエッチングされて、露出面32aが形成される。また、柱状体25の封止樹脂4から露出した面もエッチングされて、露出面25aが形成される。露出面32aと同様に、露出面25aは、平面視における中心部が周縁部より窪んで湾曲している。
次いで、図31に示すように、配線部20を形成する。本実施形態では、柱状体25の露出面25aに接する電極パッド接続部24も形成される。柱状体25の露出面25aは、樹脂主面41から連続的にゆるやかに窪んだ形状になっているので、露出面25aと樹脂主面41との境界部分にも下地層201が形成しやすい。また、下地層201のうち露出面25aに接する部分も、露出面25aと同様に湾曲している。つまり、下地層201のうち露出面25aに接する部分も、平面視における中心部が周縁部より窪んでいる。また、めっき層202のうちの平面視において露出面25aに位置する部分も、露出面25aと同様に湾曲している。つまり、めっき層202の当該部分も、平面視における中心部が周縁部より窪んでいる。
次いで、樹脂膜6を形成し、電極パッド接続部22に接する電極パッド26を形成する。本実施形態では、樹脂膜6には、平面視において電極パッド接続部24に重なる領域にも開口が形成されている。当該開口には、電極パッド接続部24に接する電極パッド27が形成される。次いで、基板材料100の裏面120側から基板材料100を研削し、基板材料100および封止樹脂4を第1方向Xおよび第2方向Yに沿って切断することによって、半導体装置A40の基板1に対応する範囲ごとの個片に分割する。以上の工程を経ることによって、半導体装置A40が製造される。
本実施形態によると、基板1の搭載面11に基板配線部28が形成され、基板配線部28と、封止樹脂4の樹脂主面41に形成された電極パッド接続部24とが、柱状体25を介して導通している。そして、半導体素子31が接合層52を介してフェイスアップで基板配線部28に搭載され、電極パッド接続部24に電極パッド27が接続している。したがって、半導体素子31が裏面電極315を備えている場合に、裏面電極315を封止樹脂4側に配置された電極パッド27に導通させることができる。
また、本実施形態によると、柱状体25の露出面25aは、ウェットエッチングにより形成され、樹脂主面41から連続的にゆるやかに窪んだ形状になっている。したがって、スパッタリングで下地層201を形成する際に、露出面25aと樹脂主面41との境界部分にも下地層201を形成しやすい。
また、本実施形態によると、包囲層7が、基板配線部28上で、平面視において接合層52を囲むように形成されている。したがって、製造工程において、リフローにより接合層52のはんだ層を溶融させたときに、溶融したはんだが基板配線部28に沿って広がることを防止できる。
なお、本実施形態においては、半導体素子31が裏面電極315を1つだけ備えている場合について説明したが、これに限られない。半導体素子31は、複数の裏面電極315を備えていてもよい。この場合は、各裏面電極315に導通する電極パッド27をそれぞれ設けて、各裏面電極315と対応する電極パッド27とを接続するための接合層52、基板配線部28、柱状体25および電極パッド接続部24を、それぞれ備えればよい。
本発明にかかる半導体装置およびその製造方法は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明にかかる半導体装置およびその製造方法の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。