JP7201222B2 - モールドコイル及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、モールドコイル(以下、コイルと呼ぶ)及びその製造方法に関する。
コイルは、中空の筒状に形成された筒状部を有するボビンと、ボビンの筒状部の外周に巻かれたワイヤ(一般に、マグネットワイヤと呼ばれる)と、ワイヤの始端と終端が接続された一対のターミナルとを有する。各ターミナルは、電源や制御装置等の外部装置のコネクタに接続される。このターミナルを経由して、電源や制御装置等の外部装置からワイヤに通電されることにより、コイルは励磁される。
特開2013-58578号公報
コイルにおいて、ボビンの筒状部の外周にワイヤを巻くには、自動巻線機が使用される。この場合、ターミナルは巻線作業の邪魔にならないように、自動巻線機からボビンに達するワイヤの通り道、すなわちボビンの筒状部の外周部(ボビンの2つのフランジに挟まれた部分)を避けて配置されることが必要とされる。
一方、各ターミナルは、ワイヤと外部装置のコネクタとを中継する部材であることから、コネクタとコイルの位置関係によっては、巻線作業の邪魔になるボビンの筒状部の外周に配置せざるを得ない場合もある。このような場合、従来技術では、巻線作業の終了後に、ターミナルをコネクタの接続方向に折り曲げていた。
しかしながら、巻線作業の終了後にターミナルの折り曲げを行うことは作業工数の増加に繋がる上に、ターミナルの形状が折り曲げ可能なものに制約され、外部装置が有する多様なコネクタの位置や方向に対応しにくいとの問題点があった。また、巻線作業の終了後に、ターミナルを折り曲げた場合、ターミナルの材質の弾性により変形する、いわゆるスプリングバックが生じ、精度よくターミナルの曲げ位置を確保しにくいとの問題点があった。
さらに、コイルでは、外部装置が有する様々なコネクタ(外部コネクタ)との接続態様が要求されることから、それに応じてボビンに対する接点の突出方向や突出寸法が異なる各種のコイルを製造する必要があり、部品の共通化が困難であるという問題もあった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ワイヤの巻回作業時におけるワイヤとターミナルとの干渉がなく、製造が容易で、外部装置が有する多様なコネクタに対応することができる射出成型コイル及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の射出成型コイルは、以下を備えたことを特徴とする。
(1)外周にワイヤが巻回された筒状部及び前記筒状部の両端に設けられた一対のフランジを有するボビン。
(2)前記一対のフランジに挟まれたワイヤの巻回個所を避けて前記ボビンに設けられ、前記ワイヤの始端と終端が係止された一対の中継端子。
(3)前記一対の中継端子とは別部材から構成され、前記ワイヤの巻回個所に対向する位置に配設され、前記ワイヤの始端又は終端が接続された一対のターミナル。
(4)前記ボビンに対して、前記ターミナルを着脱可能に支持する支持部。
本発明の射出成型コイルにおいて、以下の構成を採用しても良い。
(1)前記ターミナルが、前記フランジの表面と平行に伸びる基部と、前記基部に対して屈曲形成され、前記筒状部に巻かれた前記ワイヤの表面に沿って前記ボビンの巻軸方向に延びる屈曲部と、前記屈曲部の先端に設けられた接点を備える。
(2)前記接点が、前記屈曲部の先端を前記フランジ表面と平行な方向に前記コイルの外方に向かって屈曲して形成されている。
(3)前記2つのターミナルに設けられた屈曲部の前記ボビンの巻軸方向の長さが異なり、前記ターミナルの少なくとも一方では、前記屈曲部または前記接点の前記屈曲部側の部分に、対向する他のターミナル側に向かって前記ボビンの周方向に沿って伸びる段差部が設けられ、前記段差部によって2つのターミナルの前記接点が、前記ワイヤの外周において、前記ボビンの巻軸方向と平行に配置される。
(4)前記支持部が、前記フランジ面と平行かつ前記フランジの径方向に沿った方向で、前記フランジに設けられた支持孔であって、この支持孔内に前記ターミナルの基部が前記フランジの外周方向から挿入されている。
(5)前記フランジに、前記ターミナルの支持孔に沿った方向に中継端子の支持孔が設けられ、この支持孔に対して前記中継端子の基部が前記フランジの外周方向から挿入されている。
(6)前記一対の中継端子は、その先端側に切り欠かれた開口部と、開口部を挟んでその入り口部分に設けられた一対の係止部を備え、前記ターミナルはその一部に折り曲げ可能な突片を備え、前記一対の係止部に対して前記ワイヤの端部が前記開口部を跨ぐように係止され、前記開口部内に、前記ターミナルに設けられた突片がはめ込まれ、前記ターミナル表面と前記突片によって前記開口部を跨ぐ前記ワイヤの端部が挟み込まれている。
本発明の射出成型コイルの製造方法は、次の工程を有する。
(1)ワイヤの始端を一対の中継端子の一方に係止し、巻線機により前記ボビンの筒状部の外周にワイヤを巻回する。
(2)前記ワイヤの終端を前記一対の中継端子の他方に係止する。
(3)一対のターミナルを、ボビンのフランジ又は前記一対の中継端子に固定する。
(4)前記一対のターミナルのそれぞれに、前記一対の中継端子に係止された始端又は終端を接続する。
(5)前記ボビンに巻かれた前記ワイヤ、中継端子、及びターミナルの外周にモールド樹脂を射出成型する。
本発明によれば、ワイヤの巻回時にボビンの筒状部外周にターミナルが存在しないので、ターミナルが巻線作業の邪魔になることがなく、しかも、巻回後はボビンにターミナルを装着することで、外部装置が有する多様なコネクタの位置や方向に対応することができる。また、多種類のターミナルを用意し、外部機器との接続態様に合わせて適切なターミナルを選択することで、ボビンや中継端子の共通化を図りながら、多様なコイルを得ることができる。
第1実施形態のコイルの内部構成を示す斜視図 第1実施形態のコイルの外周にコネクタハウジングが射出成型された状態を示す斜視図と正面図 第1実施形態のコイルにおいて、中継端子をボビンに固定する工程を示す斜視図 第1実施形態のコイルにおいて、中継端子をボビンに固定した状態を示す斜視図 第1実施形態のコイルにおいて、ボビンにワイヤを巻く工程を示す斜視図 第1実施形態のコイルにおいて、ターミナルをボビンに固定する工程を示す斜視図 ワイヤを挟持する突片を持たないターミナルを備えたコイルを示す斜視図 ワイヤ端部の係止部が1本設けられた中継端子を備えたコイルとその製造工程を示す斜視図 ボビンの軸に対し直角となる方向に配列した接点を持つターミナルを備えたコイルを示す斜視図 ボビンの軸に対し平行となる方向に突出した接点を持つターミナルを備えたコイルを示す斜視図
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1及び図2を参照して本実施形態のコイルの構成について説明する。なお、本実施形態においては、便宜的にコイルのボビンにターミナルホルダが設けられている方向を上方、その反対方向を下方とし、射出成型コイルに接続される一対のリード線の並び方向を左右方向として説明するが、実際の製品はその用途に応じて適宜異なる方向に設置される。
図1に示すように、コイルは、ABS、ポリプロピレン、PBT、フェノール等の樹脂材料により形成されたボビン2、ボビン2に巻回されたワイヤ3、ボビン2に支持された一対の中継端子4a,4b及び一対のターミナル5a,5bを有する。
ボビン2は、ワイヤを巻き付ける筒状部21と、筒状部21の両端において外径方向に張り出して設けられた一対のフランジ22a,22bを有する。一方のフランジ22aの一部に外径方向に台形状に張り出した平坦部24が設けられ、その平坦部24に中継端子4a,4b用の支持孔25a,25bとターミナル5a,5b用の支持孔26a,26bが設けられる。各支持孔25a,25b,はフランジ22aの内径方向へ延びる孔であり、図3に示すように、中継端子4a,4b用の支持孔25a,25bが上段に広い間隔を保って設けられ、ターミナル5a,5b用の支持孔26a,26bがその下段にやや狭い間隔を保って設けられる。
中継端子4a,4bは、板状の金属部材により形成され、支持孔25a,25b内に外周方向(ボビン2の径方向外側)から挿入される基部41と、その先端側に切り欠かれた開口部42と、開口部42を挟んで設けられた一対の係止部43,44を備える。中継端子4a,4bにはそれぞれワイヤ3の端部が係止されるもので、一方の中継端子4aにはワイヤ3の始端31aが、他方の中継端子4bにはワイヤ3の終端31bが係止される。この場合、ワイヤ3の始端31aと終端31bは、それぞれ対応する中継端子4a,4bの係止部43,44の間に、開口部42を跨ぐように張設される。
ターミナル5a,5bは、板状の金属部材を折り曲げ加工することで形成される。各ターミナル5a,5bは、フランジ22aの表面と平行に伸びる基部51と、基部51に対して屈曲形成され、ボビン2に巻かれたワイヤ3の表面に沿ってボビン2の巻軸方向に延びる屈曲部52と、屈曲部52の先端に設けられた接点53(接点部)を備える。接点53は、屈曲部52の先端をフランジ22a表面と平行な方向にコイルの外方(ボビン2の径方向)に向かって屈曲して形成される。
2つのターミナル5a,5bに設けられた屈曲部52は、その先端に設けられた接点53の位置に応じて、ボビン2の巻き軸方向に対する長さが異なるもので、コイルの上部に接点53が位置するターミナル5aの屈曲部52が短く、コイルの下部に接点が位置するターミナル5bの屈曲部52は長い。また、各ターミナル5aには、屈曲部52と接点53との間に、対向する他のターミナル5b側に向かってボビン2の周方向に沿って伸びる段差部54が設けられ、段差部54によって2つのターミナル5a,5bの接点53がワイヤ3の外周においてボビン2の巻軸方向と平行に配置される。接点53の断面形状は特に限定されるものではないが、本実施形態では、接点53を屈曲部52に対して90°屈曲させることで、縦方向の幅が板厚よりも大きい断面縦長の形状としている。また、ターミナル5a,5bの屈曲部52および接点53は、ボビン2の径方向から見て、ボビン2のワイヤの巻回個所(筒状部21)に重なるように配置されている。
ターミナル5a,5bはその一部に折り曲げ可能な突片55を備える。この突片55は、中継端子4a,4bに設けられた開口部42の内側に入り込む幅を有する。中継端子4a,4bとターミナル5a,5bがフランジ22に支持された状態で、開口部42内に入り込んだ突片55とターミナル5a,5bの本体部表面との間にワイヤの端部31a,31bが挟持された状態で、ターミナル5a,5bの本体部表面と突片55及びワイヤ3の端部31a,31bがヒュージングにより接合される。なお、ヒュージングとは抵抗溶接の一種であって、上下の電極によって溶接個所を挟持して通電することで溶接を行う。
図1のような構成を有するコイルの外周には、射出成型によりモールド樹脂が被覆され、図2(a)に示すように、外部機器のコネクタに嵌合するコネクタハウジング6が一体に成型される。すなわち、コネクタハウジング6は、コイルのボビン2、そこに巻かれたワイヤ3、中継端子4a,4b、及びターミナル5a,5bの基部を被覆する略円柱形のコイル被覆部61と、コイル被覆部61の上部外周から側方(ボビン2の径方向)に突出したコネクタ嵌合部62とを備える。コネクタ嵌合部62は断面が長円形の筒状部材で、その先端開口部の内側に外部機器側のコネクタが嵌め込まれる。コネクタ嵌合部62の内側にはターミナルの5a,5bの接点53が配置されている。コネクタ嵌合部62の開口部の奥はコイル被覆部61に達しており、その突き当りの壁面には、図2(b)に示すように、一対のターミナル5a,5bの接点53が縦方向、すなわちコイルの巻軸方向に沿って上下に配置されている。そのため、巻軸方向から見ると、一対のターミナル5a,5bの接点53が重なっている。
[1-2.作用]
次に、本実施形態のコイルの製造方法を、図3~図6に基づき説明する。
(1)中継端子4a,4bをボビン2に固定
図3に示すように、フランジ22に設けられた支持孔25a,25bに、中継端子4a,4bの基部41を差し込み、中継端子4a,4bをボビン2に固定する。
(2)ボビン2にワイヤ3を巻回
ボビン2の外側に突出している一方の中継端子4aに設けられた一対の係止部43,44に、巻線機(図中不示)のワイヤの供給リールから引き出したワイヤ3の始端31aを巻き付けて係止する。この場合、始端31aは、開口部42を跨ぐように一対の係止部43,44の間に張られる。この状態で、ボビン2を回転させ、筒状部21の外周にワイヤ3を多層に巻いて行く。この場合、中継端子4a,4bは、フランジ22と略同一平面にあり、自動巻線機からボビンに巻かれるワイヤの通り道を避けて配置されているため、中継端子4a,4bがワイヤの巻回作業の妨げとなることがなく、ボビン2の筒状部21にワイヤ3を効率よく巻くことができる。
(3)中継端子4bにワイヤ3の終端31bを固定
ワイヤ3の巻付作業が終了した後、ワイヤ3の終端31bを、ボビン2の外側に突出している他方の中継端子4bに設けられた一対の係止部43,44に対して、開口部42を跨ぐように巻き付けて係止する。この状態で、ワイヤ3の始端31aと終端31bは、図5に示すように、それぞれ中継端子4a,4bの一対の係止部43,44の間に張られることになる。
(4)ターミナル5a,5bをボビン2に固定
図6に示すように、フランジ22に設けられた支持孔26a,26bに、それぞれターミナル5a,5bの基部51を差し込み、ターミナル5a,5bをボビン2に固定する。この時、図1に示すように、中継端子4a,4bに設けられた開口部42の内側にターミナル5a,5bの本体部分と突片55が入り込み、開口部42を跨ぐように張られたワイヤ3の始端31aと終端31bを本体部分と突片55とで上下から挟み込む。
(5)ワイヤ3とターミナル5a,5bを接合
図1に示す状態では突片55がターミナル5a,5bの表面から浮き上がっているが、この状態でヒュージング溶接機の電極(図中不示)で、突片55、ワイヤ3の始端31aまたは終端31b、及びターミナル5a,5bの本体部分の三者を加圧して密着させ、ターミナル5a,5bに対してワイヤ3の始端31aまたは終端31bを溶接する。
(6)モールド樹脂を射出成型
ターミナル5a,5bとワイヤ3の端部31a,31bを接合した後は、コイル全体を射出成型用の金型内にセットして、コイルの外周にモールド樹脂を注型する。この場合、金型としては、コイル全体を被覆する複数の分割型を使用するが、本実施形態においては、図2(a)(b)に示すような筒状のコネクタ嵌合部62を有するコネクタハウジング6をモールド樹脂で成型することから、コネクタ嵌合部62内に入れ子を配置するなどの配慮が必要となる。
[1-3.効果]
上記のような構成を有する本実施形態の効果は、次の通りである。
(1)本実施形態では、巻線作業時において、ターミナル5a,5bがボビン2に固定されておらず、中継端子4a,4bもボビン2に巻かれるワイヤ3の通り道を避けた位置に配置されているため、中継端子4a,4bやターミナル5a,5bが巻線作業の邪魔になることがなく、巻線作業を容易かつ効率よく実施できる。一方、巻線作業の終了後に、ターミナル5a,5bがボビン2に固定されるので、ターミナル5a,5bの接点を、外部装置のコネクタと接合しやすい位置に配置することが可能になる。
(2)ワイヤ3の巻回後に、ターミナル5a,5bがボビン2に固定されるので、様々な形状を有するターミナル5a,5bを予め用意しておくことにより、多様なコネクタの位置や方向を有する外部装置に対応することができる。また、ターミナル5a,5b以外のボビン2、ワイヤ3、中継端子4a,4bなどを共通化することができ、部品の種類、型等の製造設備を増やすことなく、種々のコイルを製造することができる。
(3)ワイヤ3の始端31aと終端31bは、それぞれ中継端子4a,4bの一対の係止部43,44の間に開口部42を跨ぐように張られているので、その部分をターミナル本体と突片55とで挟み込むことにより、ワイヤ3の端部とターミナル5a,5bとの位置決めが正確に行えるとともに、ワイヤ3の端部がターミナル本体の表面で直線状に引っ張られた状態となり両者を密着して重ね合わせることが可能になる。その結果、ヒュージング溶接の際に、上下の電極でワイヤ3の端部を精度よく挟持でき、両者を確実に接合することができる。
[2.他の実施形態]
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下は、その一例である。
(1)上記実施形態では、ターミナル5a,5bは、ターミナル本体と突片55によってワイヤ3の始端31aと終端31bを挟持してヒュージングされるものとしたが、ターミナル5a,5bは突片55を有していなくてもよい。例えば図7に示すように、突片55を有しないターミナル5a,5bが、それぞれワイヤ3の始端31aと終端31bに、ヒュージングや半田付け等の手段により接合されるようにしてもよい。突片55を持たないターミナル5a,5bを使用すると、突片55とワイヤ3の端部との圧着作業が不要となり、上下の挟持電極を使用しない半田付けなどの手段でワイヤ3を接合する場合に有利である。
(2)上記実施形態では、中継端子4a,4bは、一対の係止部43,44の間の開口部42にワイヤの始端31aまたは終端31bを張ることのできるものを使用したが、係止部43,44の形状はこれに限られない。例えば、図8に示すように各中継端子4a,4bに1本の係止部43のみを設けて、この係止部43とフランジ22の縁との間にワイヤ3の始端31a又は終端31bを張ることによって、ターミナル5a,5bに設けた突片55によってワイヤ3の端部を挟み込んで溶接することもできる。このようにすると、中継端子4a,4bの形状を小型、単純化することができる。
(3)上記実施形態では、ターミナル5a,5bの2つの接点53は、縦に配列された状態でボビン2の外方に突出するものとしたが、接点53の配列方向や突出方向はこれに限らない。例えば、図9に示すように、2つのターミナル5a,5bとして、屈曲部52の長さが等しいものを使用し、屈曲部52の先端を直接ボビンの外方に向けて屈曲させて接点53を構成することで、横に並んだ2つの接点をボビン2の外方に突出させてもよい。また、図10に示すように、2つのターミナル5a,5bとして、屈曲部52の長さが等しいものを使用し、屈曲部52をワイヤの3の外周面に沿って配置して、その先端に接点53を設けてもよい。このように、本発明によれば、ターミナル5a,5bをボビン2に対して着脱可能としたことにより、外部機器のコネクタの態様に応じた種々のコイルを簡単に得ることができる。
(4)上記実施形態では、中継端子4a,4bやターミナル5a,5bの支持部はフランジ22aに一体に形成されるものとしたが、それに限らない。ボビン2とは別部材であって、中継端子4a,4b用の支持孔とターミナル用の支持孔を有するターミナルホルダを用意し、このターミナルホルダをボビン2に固定した後、ターミナルホルダに対して、中継端子4a,4bおよびターミナル5a,5bを支持させても良い。また、フランジ22に中継端子4a,4bを差し込んで固定するのではなく、ボビン2の成型時にフランジ22の一部に中継端子4a,4bの基部41をインサート成型により固定しても良い。さらに、中継端子4a,4bやターミナル5a,5bの支持部は、ボビン2ではなく、中継端子4a,4bに設けてもよい。要するに、中継端子4a,4bやターミナル5a,5bが、ボビン2に対して、直接または間接的に支持されるのであれば、その形態は限定されるものではない。
(5)上記実施形態では、中継端子4a,4bは、板状の金属部材により形成されるものとしたが、中継端子4a,4bの材質はこれに限られない。中継端子4a,4bは、導電性を有しない例えば樹脂やセラミック等の材質により構成されるものであってもよい。また、樹脂製のボビン2の一部を突出させて、中継端子4a,4bとして機能させることも可能である。
(6)上記実施形態では、フランジ22に、二つの中継端子4a,4bおよび二つのターミナル5a,5bが固定されるものとしたが、フランジ22に固定される中継端子およびターミナルの数量は、これに限られない。例えば、ボビン2に巻かれるワイヤ3に中間タップを設け、中間タップに接続された中継端子およびターミナルが、フランジ22に固定されるようにしてもよい。また、2次巻線を構成するワイヤ3がボビン2に巻かれるようにし、2次巻線に接続された中継端子およびターミナルが、フランジ22に固定されるようにしてもよい。例えば、ワイヤに中間タップを有するコイルや、2次巻線を構成するワイヤを巻回したコイルにあっては、中間タップ部分や2次巻線の端部を第1実施形態と同様な中継端子とターミナルを利用して外部装置に接続することもできる。
(7)上記実施形態では、中継端子4a,4bにそれぞれ固定されたワイヤ3の始端31aと終端31bは、ヒュージングによりそれぞれ突片55に接合されるものとしたが、半田付けによる接続、レーザー溶着による溶接、またはカシメにより接合されるようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、ボビン2の径方向に伸びたコネクタ嵌合部62の例を説明したが、ボビン2の巻軸方向に伸びたコネクタ嵌合部としてもよいことはもちろんであり、この場合、コネクタ嵌合部の内側のターミナルの5a,5bの接点部も巻軸方向に伸びて配置される。
さらに、上記実施形態ではターミナル5aの屈曲部52を下方に伸ばしたが、ターミナル5aの屈曲部52を上方に折り曲げれば、ターミナル5aの屈曲部52および接点53は、ボビン2の径方向から見て、ボビン2の筒状部21に重ならない。すなわち、ターミナル5bの屈曲部52および接点53のみが、ボビン2の径方向から見て、ボビン2の筒状部21に重なる配置となる。また、ターミナル5aの屈曲部52を形成せず、ターミナルの基部51から径方向に伸ばした先端側に接点を形成したターミナル5aを用いた場合も、ボビン2の径方向から見て、ターミナル5aの接点は、ボビン2の筒状部21に重ならない配置となる。
なお、上記の実施形態では射出成形コイルの説明を行ったが、本発明は注型コイルにも適用できることはもちろんである。
2・・・ボビン
3・・・ワイヤ
4a,4b・・・中継端子
5a,5b・・・ターミナル
6・・・コネクタハウジング
21・・・筒状部
22・・・フランジ
24・・・平坦部
25a,25b・・・中継端子の支持孔
26a,26b・・・ターミナルの支持孔
31a・・・ワイヤの始端
31b・・・ワイヤの終端
41・・・中継端子の基部
42・・・開口部
43,44・・係止部
51・・・ターミナルの基部
52・・・屈曲部
53・・・接点
54・・・段差部
55・・・突片

Claims (6)

  1. 外周にワイヤが巻回された筒状部及び前記筒状部の両端に設けられた一対のフランジを有するボビンと、
    前記ボビンの径方向から見て、前記一対のフランジに挟まれた前記ワイヤの巻回個所を避けて前記ボビンに設けられ、前記ワイヤの始端と終端のそれぞれに接続された一対の中継端子と、
    前記一対の中継端子とは別部材から構成され、前記ワイヤの始端と終端のそれぞれに電気的に接続された一対のターミナルと、を有し、
    前記ボビンの径方向から見て、前記一対のターミナルの少なくとも一方は、前記筒状部に重なるように配設されており、
    前記ターミナルは、接点部と、前記ボビンに支持された基部と、前記接点部と前記基部との間に配置された屈曲部とを有し、
    前記一対のターミナルの前記屈曲部は前記ボビンの巻軸方向の長さが異なり、
    前記一対のターミナルにはそれぞれ、前記屈曲部と前記接点部の間に、前記ボビンの周方向に沿って伸びる段差部が設けられ、
    前記巻軸方向から見て、前記一対のターミナルの接点部が重なっていることを特徴とするモールドコイル。
  2. 前記ターミナルの接点部が内側に配置されたコネクタ嵌合部をさらに有し、
    前記ターミナルの前記接点部は、前記ボビンの径方向に伸びている、請求項1に記載のモールドコイル。
  3. 前記ターミナルは、前記コネクタ嵌合部の内側に配置された前記接点部と、前記ボビンに支持された基部と、前記接点部と前記基部との間に配置された屈曲部とを有し、
    前記屈曲部は、前記巻軸方向に伸びている、請求項2に記載のモールドコイル。
  4. 前記フランジは、前記一対の中継端子および前記一対のターミナルの基部を外周方向から挿入して支持する支持孔が設けられている、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のモールドコイル。
  5. 前記一対の中継端子はそれぞれ、その先端側に切り欠かれた開口部と、開口部を挟んでその入り口部分に設けられた一対の係止部を備え、
    前記一対のターミナルはそれぞれ、その一部に折り曲げ可能な突片を備え、
    前記一対の係止部に対して前記ワイヤの端部が開口部を跨ぐように係止され、
    開口部内に、前記ターミナルに設けられた突片がはめ込まれ、
    前記ターミナルの表面と突片によって開口部を跨ぐ前記ワイヤの端部が挟み込まれている、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のモールドコイル。
  6. 外周にワイヤが巻回された筒状部及び前記筒状部の両端に設けられた一対のフランジを有するボビンと、
    前記ボビンの径方向から見て、前記一対のフランジに挟まれた前記ワイヤの巻回個所を避けて前記ボビンに設けられ、前記ワイヤの始端と終端のそれぞれに接続された一対の中継端子と、
    前記一対の中継端子とは別部材から構成され、前記ワイヤの始端と終端のそれぞれに電気的に接続された一対のターミナルと、を有し、
    前記ボビンの径方向から見て、前記一対のターミナルの少なくとも一方は、前記筒状部に重なるように配設されており、
    前記ターミナルは、接点部と、前記ボビンに支持された基部と、前記接点部と前記基部との間に配置された屈曲部とを有し、
    前記一対のターミナルの前記屈曲部は前記ボビンの巻軸方向の長さが異なり、
    前記一対のターミナルにはそれぞれ、前記屈曲部と前記接点部の間に、前記ボビンの周方向に沿って伸びる段差部が設けられ、
    前記巻軸方向から見て、前記一対のターミナルの接点部が重なっているモールドコイルの製造方法であって、
    前記ワイヤの始端を前記一対の中継端子の一方に係止し、巻線機により前記ボビンの筒状部の外周に前記ワイヤを巻回する手順と、
    前記ワイヤの終端を前記一対の中継端子の他方に係止する手順と、
    前記一対のターミナルを、前記ボビンのフランジ又は前記一対の中継端子に固定する手順と、
    前記一対のターミナルのそれぞれに、前記一対の中継端子に係止された前記ワイヤの始端又は終端を接続する手順と、
    前記ボビンに巻かれた前記ワイヤ、前記中継端子、及び前記ターミナルの外周をモールド成形する手順と、を有することを特徴とする、モールドコイルの製造方法。
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