[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る画像形成システム1を説明する。なお、以下の説明において同一の構成箇所については図面上にて同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、第1実施形態に係る画像形成システム1の斜視図である。図2は、画像形成システム1の概略構成図である。図1及び図2に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置100と、後処理装置200と、画像読取装置300とを備える。
画像形成装置100は、タンデム型の電子写真方式のカラー画像形成装置である。なお、画像形成装置100は、間接転写方式に限定されず、直接転写方式でもよい。また、電子写真方式でなく、インクジェット方式を採用してもよい。
画像形成装置100は、4色の作像ユニットが配列された作像部110と、作像部110の下方に設けられた給紙部120と、給紙部120でピックアップされた用紙Pなどの媒体を二次転写部140及び定着部150に搬送する給紙搬送路130と、画像が定着された用紙Pを後処理装置200に搬送する排紙搬送路160と、表面に画像が形成された用紙Pを反転して再び二次転写部140の位置に導く両面搬送路170とを備える。
画像形成部としての作像部110は、YMCK各色用の感光体ドラム、感光体ドラムの外周に沿って配置された帯電ユニット、現像ユニット、1次転写ユニット、クリーニングユニット、及び除電ユニットを含む4つの作像ステーションからなる作像ステーション111と、感光体ドラムに形成された画像を1次転写ユニットによって中間転写する中間転写ベルト112と、感光体ドラムに色ごとに画像を書き込む光書込み部113とを備えている。
光書込み部113は、作像ステーション111の下側に配置されている。中間転写ベルト112は、作像ステーション111の上側に配置されている。中間転写ベルト112は、複数の支持ローラ114によって回転可能に支持されている。
支持ローラ114は、二次転写部140で中間転写ベルト112を介して2次転写ローラ115と対向し、中間転写ベルト112上の画像を用紙Pに2次転写できるようになっている。なお、タンデム型の電子写真方式のカラー画像形成装置の画像形成プロセスは公知であり、本発明の要旨とは直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
給紙部120は、給紙トレイ121と、ピックアップローラ122と、給紙搬送ローラ123とを備える。給紙部120は、給紙トレイ121からピックアップした用紙Pを給紙搬送路130に沿って上方に送り出す。送り出された用紙Pは、二次転写部140で画像が転写され、定着部150に送られる。
定着部150は、定着ローラと、加圧ローラとを備える。定着部150は、定着ローラ及び加圧ローラの間に用紙Pを通過させ、この間に用紙Pを加熱及び加圧し、着色剤であるトナーを用紙Pに定着させる。
定着部150の用紙Pの搬送方向下流側には、排紙搬送路160及び両面搬送路170が設けられている。排紙搬送路160及び両面搬送路170は、分岐爪161によって2方向に分岐している。分岐爪161は、用紙Pを排紙搬送路160(後処理装置200)側に搬送する状態と、用紙Pを両面搬送路170に搬送する状態とに切り替え可能である。なお、分岐爪161の用紙Pの搬送方向上流側には、用紙Pを搬送させるための分岐搬送ローラ162が設けられている。
このように構成された画像形成装置100は、画像読取装置300で読み取られた媒体としての原稿上の画像の画像データ、或いは外部のPCなどから転送された画像データに基づいて、光書き込みに使用する画像データを生成する。
光書込み部113は、生成された画像データに基づいて各感光体ドラムに対して光書き込みを行う。そして、作像ステーション111で色ごとに形成された画像が順次、中間転写ベルト112に転写されることにより、4色の画像が重畳されたカラー画像が中間転写ベルト112上に形成される。
一方、給紙トレイ121からは、画像形成が行われるタイミングに応じて用紙Pが給紙搬送路130に給送される。用紙Pは、二次転写部140の直前のレジストローラ位置で一旦停止し、中間転写ベルト112上に形成された画像の先端とタイミングを合わせるように送り出される。そして、用紙Pに対して二次転写部140で画像が2次転写され、定着部150へと送り込まれる。
定着部150で画像が定着された用紙Pは、片面印刷の場合及び両面印刷の裏面印刷後の場合には、分岐爪161の切り替え動作により排紙搬送路160側へ搬送され、両面印刷の場合には両面搬送路170側へ搬送される。
両面搬送路170に搬送された用紙Pは、反転後に再び二次転写部140に送り込まれて、裏面側に画像が形成された後、排紙搬送路160側に搬送される。排紙搬送路160側に搬送された用紙Pは、後処理装置200に排出され、後処理装置200で所定の用紙処理(後処理)が施され、或いは後処理なしで排紙トレイ204に排紙される。
また、画像形成装置100は、操作部としての操作パネル190を備える。操作パネル190は、各種情報を表示するディスプレイ、ディスプレイに重畳されたタッチパネル、及び押しボタン等を含むユーザインタフェースである。操作パネル190は、画像形成システム1の上部で、且つ正面に配置されている。換言すれば、操作パネル190が配置された面が、画像形成システム1の正面である。
後処理装置200は、画像形成装置100から排出された画像形成済みの用紙Pに対して後処理を施し、この用紙Pを搬送方向の最下流に位置する排紙トレイ204に積載する。後処理装置200の詳細は後述する。
なお、第1実施形態に係る画像形成システム1において、後処理装置200は、画像形成装置100の上方で、且つ画像読取装置300の下方に形成された画像形成システム1の内部空間(胴内空間)に配置される。すなわち、後処理装置200の後処理部は、後述する画像読取装置300の画像読取部と、画像形成装置100の画像形成部との間に設けられる。これにより、空間の有効利用および省スペース化を図ることができる。また、図1に示すように、画像形成システム1の胴内空間は、画像形成システム1の正面及び側面に形成された開口によって、外部に露出されている。
画像読取装置300は、コンタクトガラス上にセットされた原稿を光走査して原稿面に表現された画像を読み取る公知の画像読取部からなる。画像読取装置300自体の構成および機能については、本発明の要旨とは直接関係しないため詳細な説明を省略する。
次に、図3~図7を参照して、後処理装置200の詳細を説明する。図3は、後処理装置200の概略構成を示す断面図である。図4は、後処理装置200の平面図である。図5は、後処理装置200の斜視図である。図6は、後処理装置200を用紙Pの搬送方向の下流側から見た図である。図7は、ロック機構213の斜視図である。
後処理装置200は、用紙Pの搬送方向上流側からガイド板201、入口ローラ対202、紙面検知センサ211、後端基準フェンス210、排紙ローラ対203、ジョガーフェンス(第1積載部)205、206、後端ガイド208、ステープルユニット(後処理部)209、先端ストッパ207、及び排紙トレイ(第2積載部)204を備える。また、後処理装置200は、カバー212と、ロック機構213とを備える。
ガイド板201は、画像形成装置100の排紙搬送路160から用紙Pを受け入れる搬送路を画定する部材である。入口ローラ対202は、用紙Pの搬送方向上流側に配置されている。排紙ローラ対203は、用紙Pの搬送方向下流側に配置されている。入口ローラ対202及び排紙ローラ対203は、モータの駆動力が伝達されることによって、ガイド板201で画定される搬送路上の用紙Pを搬送する。また、排紙ローラ対203は、画像形成装置100から排出された用紙Pを、搬送方向に直交する方向(以下、「幅方向」と表記する。)にシフトさせて排出する機能を備えていてもよい。
後端ガイド208は、排紙ローラ対203より用紙Pの搬送方向の下流側に配置されている。後端ガイド208は、モータの駆動力が伝達されることによって、当接位置(図3の破線)及び離間位置(図3の実線)の間を、軸方向(幅方向)に延設された回転軸を支点に回動する。用紙Pの後端が排紙ローラ対203から抜けるタイミングで、図3に示す後端ガイド208が離間位置から当接位置に回転軸を支点に時計回りに回動することによって、用紙Pの後端が排紙ローラ対203から落下しない状態のまま、次の用紙Pが排紙されることによるジャムを防ぐことができる。
ジョガーフェンス205、206は、ガイド板201を通じて画像形成装置100から排出された用紙Pのうち、後処理が必要な用紙Pを積載する。ジョガーフェンス205、206は、幅方向に離間して配置されている。図5及び図6に示すように、ジョガーフェンス205は、下板205aと、上板205bと、下板205a及び上板205bを接続する側板205cと、切り欠き205dとを備える。ジョガーフェンス206は、下板206aと、上板206bと、下板206a及び上板206bを接続する側板206cとを備える。
ジョガーフェンス205、206は、モータの駆動力が伝達されることによって、各々が独立して幅方向に移動可能に構成されている。より詳細には、ジョガーフェンス205、206は、積載位置(図4)と、整合位置と、ステープル位置(図15)と、排出位置(図16)と、退避位置(図13)とに移動可能に構成されている。
積載位置は、画像形成装置100から排出された用紙Pを積載可能な位置である。ジョガーフェンス205、206が積載位置のとき、側板205c、206cの間隔は、画像形成装置100から排出される用紙Pの幅方向のサイズより僅かに大きく設定される。これにより、排紙ローラ対203によって排出された用紙Pは、その右辺が下板205aによって支持され、その左辺が下板206aによって支持される。
整合位置は、ジョガーフェンス205、206に支持された複数の用紙Pの幅方向の位置を揃える(整合する)ための位置である。ジョガーフェンス205、206が整合位置のとき、側板205c、206cの間隔は、画像形成装置100から排出される用紙Pの幅方向のサイズと一致するか、或いは僅かに小さく設定される。
ステープル位置は、ジョガーフェンス205、206に支持された複数の用紙Pに対して、ステープル処理を行うための位置である。より詳細には、ステープル位置は、ジョガーフェンス205の切り欠き205dがステープルユニット209に入り込む位置である。ステープル位置に移動するジョガーフェンス205、206は、積載位置のときの間隔を維持したままか、或いは用紙Pの幅方向のサイズと一致する位置に移動させてから、幅方向に平行移動する。
排出位置は、ジョガーフェンス205、206に支持された用紙P(後処理が行われた後の用紙P)を、排紙トレイ204に排出するための位置である。排出位置におけるジョガーフェンス205、206の幅は、積載位置のときより大きく、下板205a、206aの互いに向かい合う端部の間の間隔が用紙Pの幅方向のサイズより長い。積載位置から排出位置に移動するジョガーフェンス205、206は、互いに離間する向き(幅方向の外向き)に移動する。これにより、ジョガーフェンス205、206に支持されていた用紙Pが排紙トレイ204に落下する。
退避位置は、画像形成装置100から排出された用紙Pを素通りさせる位置である。ジョガーフェンス205、206が排出位置のとき、下板205a、206aの互いに向かい合う端部の間の間隔は、画像形成装置100から排出される用紙Pの幅方向のサイズより大きく設定され、下板205a、206aは排出される用紙Pの幅方向の両端部より外側に位置される。これにより、排紙ローラ対203によって排出された用紙Pは、ジョガーフェンス205、206を素通りして、排紙トレイ204に積載される。
排紙トレイ204は、画像形成装置100またはジョガーフェンス205、206から排出された用紙Pを積載すると共に、積載された用紙Pをオペレータが取り出せるようにする板状の部材である。排紙トレイ204には、用紙Pの搬送方向の下流側の端部に用紙Pの搬送方向と平行なスリット204aが形成されている。また、排紙トレイ204は、ジョガーフェンス205、206の下方に配置されている。そして、排紙トレイ204は、モータの駆動力が伝達されることによって、受取位置(図12)及び取出位置(図3)の間を上下方向に移動可能に構成されている。
受取位置は、画像形成装置100またはジョガーフェンス205、206から排出された用紙Pを受け取る位置である。受取位置は、排紙トレイ204の移動範囲の上端の位置である。すなわち、受取位置は、取出位置よりジョガーフェンス205、206に近接した位置である。より詳細には、受取位置の排紙トレイ204とジョガーフェンス205、206とは、その間にオペレータの手が入らないほど近接している。
取出位置は、排紙トレイ204に積載された用紙Pを、オペレータが取り出し可能な位置である。取出位置は、排紙トレイ204の移動範囲の下端の位置である。すなわち、排紙トレイ204が取出位置のとき、ジョガーフェンス205、206と排紙トレイ204との間には、オペレータの手が入る程度の隙間が形成される。
先端ストッパ207及び後端基準フェンス210は、ジョガーフェンス205、206或いは排紙トレイ204に積載された複数の用紙Pの搬送方向の位置を揃える(整合する)役割を担う。後端基準フェンス210は、ジョガーフェンス205、206及び排紙トレイ204より、用紙Pの搬送方向の上流側に配置されている。先端ストッパ207は、後端基準フェンス210より用紙Pの搬送方向の下流側に配置されている。すなわち、先端ストッパ207及び後端基準フェンス210は、用紙Pの搬送方向に離間している。
先端ストッパ207は、モータの駆動力が伝達されることによって、前進位置(図3、4)及び後退位置(図2、12、13、15、16)の間を、スリット204a及びジョガーフェンス205、206の間の空間に沿って用紙Pの搬送方向に移動可能に構成されている。先端ストッパ207が前進位置のとき、先端ストッパ207及び後端基準フェンス210の間隔は、画像形成装置100から排出される用紙Pの搬送方向のサイズと一致するか、或いは僅かに小さく設定される。すなわち、ジョガーフェンス205、206或いは排紙トレイ204に複数の用紙Pが積載されている状態で、先端ストッパ207を後退位置から前進位置に移動させると、複数の用紙Pが搬送方向に整合される。
ステープルユニット209は、ステープル位置のジョガーフェンス205、206に積載された複数の用紙Pを、金属製のステープル針を用いて紙束化するステープル処理(後処理)を実行する。ステープルユニット209は、モータの駆動力が伝達されることによって、切り欠き205dを通じて露出される用紙Pにステープル針を挿入し、用紙Pの裏面側に貫通したステープル針の先端を折り曲げることによって、用紙Pを紙束化する。本実施例では、後処理部としてのステープルユニット209は、ステープル針を用いた針あり綴じ方式によるものとしたが、複数の凹部と凸部を有する一対の圧着綴じ部で用紙Pを挟み込んで圧着することにより用紙Pを綴じる針無し綴じ方式であってもよい。
紙面検知センサ211は、排紙トレイ204の上面或いは排紙トレイ204に積載された用紙Pの上面を検知するセンサである。紙面検知センサ211は、例えば、光を照射するLEDと、照射された光を受光するフォトダイオードと、排紙トレイ204或いは用紙Pに当接されて回動するプローブ211aと、プローブ211aに連動してLED及びフォトダイオードの間で回動するフィラー211bとを備える光学式センサである。但し、紙面検知センサ211の具体的な構成はこれに限定されず、機械式センサなどであってもよい。
紙面検知センサ211は、モータの駆動力が伝達されることによって、検知位置(図3)及び待機位置(図12)の間を、軸方向(幅方向)に延設された回転軸を支点に回動する。検知位置は、画像形成装置100或いはジョガーフェンス205、206から排紙トレイ204に排出される用紙Pの経路上であって、排紙トレイ204の上面或いは排紙トレイ204に積載された用紙Pの上面を検知可能な位置である。待機位置は、画像形成装置100或いはジョガーフェンス205、206から排紙トレイ204に排出される用紙Pの経路から外れた位置であって、排紙トレイ204の上面或いは排紙トレイ204に積載された用紙Pの上面を検知不能な位置である。
紙面検知センサ211が検知位置で、且つ排紙トレイ204の上面或いは用紙Pの上面がプローブ211aに当接していないとき、フィラー211bは、LEDからフォトダイオードに向かう光を遮断する。すなわち、フォトダイオードは、LEDから照射された光を受光することができない。このとき、紙面検知センサ211は、後述するコントローラ410にOFF信号を出力する。
紙面検知センサ211が検知位置で、且つ排紙トレイ204の上面或いは用紙Pの上面がプローブ211aに当接しているとき、フィラー211bは、LEDからフォトダイオードに向かう光を通過させる。すなわち、フォトダイオードは、LEDから照射される光を受光することができる。このとき、紙面検知センサ211は、コントローラ410にON信号を出力する。
カバー212は、画像形成システム1の胴内空間を露出させる正面側(図1の操作パネルが設けられている側)の開口(以下、「正面開口」と称する)を開閉する。カバー212は、モータの駆動力が伝達されることによって、開放位置(図1)及び閉塞位置(図7)の間を上下方向に移動可能に構成されている。開放位置は、正面開口を開放する位置である。すなわち、カバー212が開放位置のとき、オペレータは、画像形成システム1の正面開口を通じて胴内空間に手を入れることができる。閉塞位置は、正面開口を閉塞する位置である。すなわち、カバー212が閉塞位置のとき、オペレータは、画像形成システム1の正面開口を通じて胴内空間に手を入れることができない。
なお、図6に示すように、閉塞位置のカバー212は、上下方向において正面開口の全域を覆っていなくてもよい。換言すれば、カバー212が閉塞位置のときに、正面開口の上端は、開放されたままであってもよい。より詳細には、閉塞位置のカバー212は、正面開口のうち、少なくとも排紙トレイ204の移動範囲に対面する領域を閉塞していればよい。換言すれば、閉塞位置のカバー212の上端は、受取位置の排紙トレイ204の上面より上方に位置していればよい。
また、第1実施形態に係るカバー212は、開放位置及び閉塞位置の間を上下方向にスライド(昇降)する。但し、カバー212の移動の仕方はこれに限定されない。他の例として、カバー212は、開放位置及び閉塞位置の間を、正面開口の下端を中心として回動可能に構成されていてもよい。
さらに、第1実施形態に係る後処理装置200では、胴内空間の正面開口のみがカバー212によって開閉され、側面開口は開放されたままである。しかしながら、カバー212は、側面開口をさらに開閉可能なL字形状であってもよいし、正面開口及び側面開口を独立して開閉してもよい。
図7に示すように、ロック機構213は、カバー212を閉塞位置でロックする役割を担う。具体的には、ロック機構213は、モータの駆動力が伝達されることによって進退するロックピン213aを備える。前進したロックピン213aは、カバー212に設けられたロック穴212aに進入して、カバー212が閉塞位置から移動するのを阻止する。一方、後退したロックピン213aは、ロック穴212aから退出して、カバー212が閉塞位置から開放位置に移動するのを許容する。但し、ロック機構213の具体的な構成は、図7の例に限定されない。
第1実施形態に係る後処理装置200は、後処理をせずに用紙Pを排紙するストレート排紙モードと、複数の用紙Pを紙束化(後処理)して排紙するステープルモードとに切り替え可能に構成されている。後処理装置200のモードは、例えば、操作パネル190を通じてオペレータの操作によって切り替えられる。
図8は、後処理装置200のハードウェア構成図である。後処理装置200のコントローラ410は、CPU(Central Processing Unit)411、ROM(Read Only Memory)412、RAM(Random Access Memory)413、及びシリアルI/F414を含む。
CPU411は演算手段であり、後処理装置200全体の動作を制御する。ROM412には、CPU411によって実行されるプログラムが格納されている。RAM413は、CPU411が情報を処理する際の作業領域として用いられる。コントローラ410は、ROM412に格納されたプログラムを、CPU411が備える演算機能によって処理する。その処理によって、後処理装置200の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、後処理装置200に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、後処理装置200の機能を実現する機能ブロックが構成される。
シリアルI/F414は、画像形成装置100のコントローラから延びるシリアルケーブルを接続するためのインタフェースである。すなわち、後処理装置200のコントローラ410は、画像形成装置100と通信可能に構成されている。画像形成装置100から後処理装置200に出力される信号は、例えば、画像を形成する用紙Pのサイズを示す信号、操作パネル190を通じてオペレータが選択した後処理装置200のモードを示す信号などである。
制御部としてのコントローラ410は、紙面検知センサ211から出力される信号、及びシリアルI/F414を通じて画像形成装置100から出力される信号を取得し、取得した信号に基づいて各種モータに駆動電流を出力する。これにより、入口ローラ対202、排紙ローラ対203、排紙トレイ204、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207、後端ガイド208、ステープルユニット209、紙面検知センサ211、カバー212、及びロック機構213が動作する。
次に、図9~図13を参照して、ストレート排紙処理を説明する。図9は、ストレート排紙処理のフローチャートである。図10は、トレイ上昇処理のフローチャートである。図11は、トレイ下降処理のフローチャートである。図12は、ステップS903の時点における後処理装置200の断面図である。図13は、ステップS903の時点における後処理装置200の平面図である。
ストレート排紙処理は、後処理装置200がストレート排紙モードで、画像形成装置100によって用紙Pに画像が記録された際に、コントローラ410によって実行される。なお、ストレート排紙処理の開始時点において、例えば、排紙トレイ204は取出位置に、ジョガーフェンス205、206は排出位置に、先端ストッパ207は後退位置に、紙面検知センサ211は検知位置に、カバー212は開放位置に位置しているものとする。
まず、画像形成装置100は、画像形成JOBを開始する際に、画像を形成する用紙Pのサイズ及び枚数などを示す信号を、シリアルケーブルを通じて後処理装置200に出力する。そして、後処理装置200のコントローラ410は、シリアルI/F414を通じて画像形成装置100から信号を受信した場合に、図10に示すトレイ上昇処理を実行する(S901)。
トレイ上昇処理において、コントローラ410は、ジョガーフェンス205、206を退避位置に移動させる(S1001)。次に、コントローラ410は、開放位置から閉塞位置へのカバー212の移動を開始する(S1002)。そして、コントローラ410は、カバー212が閉塞位置に到達するまで、ステップS1004以降の処理の実行に進まない(S1003:No)。なお、コントローラ410は、例えば、カバー212の位置を検知するセンサ、或いはモータのエンコーダから出力されるエンコード値によって、カバー212が閉塞位置に到達したことを検知すればよい。
次に、コントローラ410は、カバー212が閉塞位置に到達すると(S1003:Yes)、閉塞位置のカバー212をロック機構213にロックさせる(S1004)。次に、コントローラ410は、取出位置から受取位置への排紙トレイ204の移動を開始する(S1005)。そして、コントローラ410は、排紙トレイ204が受取位置に到達すると(S1006:Yes)、トレイ上昇処理を終了する。そうすることで、コントローラ410は、カバー212を閉塞位置に移動させて、その状態で、排紙トレイ204を取出位置から受取位置に移動させる。なお、コントローラ410は、例えば、紙面検知センサ211から出力される信号がOFF信号からON信号に切り替わったことによって、排紙トレイ240が受取位置に到達したと判断する。
次に図9に戻って、コントローラ410は、紙面検知センサ211を検知位置から待機位置に移動させる(S902)。これにより、図12及び図13に示すように、排紙トレイ204が受取位置に、ジョガーフェンス205、206が退避位置に、先端ストッパ207が後退位置に、紙面検知センサ211が待機位置に、カバー212が閉塞位置に配置される。
次に、コントローラ410は、排紙ローラ対203に用紙Pを排出させる(S903)。このとき、コントローラ410は、用紙Pの後端が排紙ローラ対203を通過したタイミングで、後端ガイド208を離間位置から当接位置に回動させ、再び離間位置に戻す。これにより、排紙ローラ対203から排出された用紙Pは、退避位置のジョガーフェンス205、206を素通りして、排紙トレイ204上に積載される。
次に、コントローラ410は、先端ストッパ207を後退位置から前進位置に移動させ、再び後退位置に戻す(S904)。これにより、排紙トレイ204上の用紙Pが先端ストッパ207及び後端基準フェンス210に挟まれて、搬送方向の位置(用紙Pの排紙方向の後端位置)が後端基準フェンス210に突き当てられた状態で揃えられる。次に、コントローラ410は、紙面検知センサ211を待機位置から検知位置に移動させる(S905)。このとき、排紙トレイ204に積載された用紙Pの上面にプローブ211aが当接するので、紙面検知センサ211は、コントローラ410にON信号を出力する。
次に、コントローラ410は、紙面検知センサ211から出力される信号がON信号からOFF信号に切り替わるまで(S907:No)、排紙トレイ204を下降させる(S906)。すなわち、コントローラ410は、ステップS903で新たに積載された用紙Pの上面の位置が、トレイ上昇処理における排紙トレイ204の上面の位置まで下降させる。このときの排紙トレイ204の位置は、次に排出される用紙Pの受取位置である。
次に、コントローラ410は、排紙トレイ204が所定位置まで下降すると(S907:Yes)、画像形成JOB(画像形成開始時に設定されたJOBの数)が完了したか否かを判定する(S908)。より詳細には、コントローラ410は、排紙ローラ対203から排出された用紙Pの枚数が、設定されたJOBの部数分の枚数、すなわち画像形成装置100から取得した値に達したか否かを判定する。
そして、コントローラ410は、画像形成JOBが完了していないと判定すると(S908:No)、ステップS902に戻って、次の用紙Pに対するステップS902~S907の処理を実行する。一方、コントローラ410は、画像形成JOBが完了したと判定すると(S908:Yes)、図11に示すトレイ下降処理を実行する(S909)。
トレイ下降処理において、コントローラ410は、受取位置から取出位置への排紙トレイ204の移動を開始する(S1101)。そして、コントローラ410は、排紙トレイ204が取出位置に到達するまで、ステップS1103以降の処理の実行を待機する(S1102:No)。なお、コントローラ410は、例えば、排紙トレイ204の位置を検知するセンサ、或いはモータのエンコーダから出力されるエンコード値によって、排紙トレイ204が取出位置に到達したことを検知すればよい。
次に、コントローラ410は、排紙トレイ204が取出位置に到達すると(S1102:Yes)、ロック機構213によるカバー212のロックを解除する(S1103)。次に、コントローラ410は、閉塞位置から開放位置へのカバー212の移動を開始する(S1204)。そうすることで、コントローラ410は、カバー212を閉塞位置に移動させている状態で、排紙トレイ204を受取位置から取出位置に移動させる。カバー212が開放位置に到達したことは、例えば、ステップS1003と同様の方法で判定すればよい。これにより、オペレータは、排紙トレイ204に積載された用紙Pを、正面開口を通じて取り出すことができる。
そして、コントローラ410は、カバー212が開放位置に到達すると(S1105:Yes)、ジョガーフェンス205及び先端ストッパ207を初期位置に移動させる(S1106)。一例として、ジョガーフェンス205、206の初期位置は排出位置であり、先端ストッパ207の初期位置は後退位置である。但し、初期位置の具体例はこれらに限定されない。これにより、ストレート排紙処理が終了する。
次に、図14~図16を参照して、ステープル処理を説明する。図14は、ステープル処理のフローチャートである。図15は、ステップS1406の時点における後処理装置200の平面図である。図16は、ステップS1407の時点における後処理装置200の平面図である。
ステープル処理は、後処理装置200がステープルモードで、画像形成装置100によって用紙Pに画像が記録された際に、コントローラ410によって実行される。なお、ストレート排紙処理と共通する処理の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
まず、画像形成装置100は、画像形成JOBを開始する際に、画像を形成する用紙Pのサイズ、紙束に含まれる用紙Pの枚数、及び紙束の部数などを示す信号を、シリアルケーブルを通じて後処理装置200に出力する。そして、後処理装置200のコントローラ410は、シリアルI/F414を通じて画像形成装置100から信号を受信した場合に、図10に示すトレイ上昇処理を実行する(S1401)。
ステップS1401で実行されるトレイ上昇処理は、図9のステップS901で実行されるトレイ上昇処理と相違し、具体的には、図10のステップS1001の処理が相違し、それ以外のステップS1002~S1006の処理が同じである。コントローラ410は、ステップS1401で実行されるトレイ上昇処理において、図10のトレイ上昇処理のステップS1001の処理に代えて、ジョガーフェンス205、206を積載位置に移動させる処理を行う。
ステップS1401で実行されるトレイ上昇処理が完了すると、コントローラ410は、紙面検知センサ211を検知位置から待機位置に移動させる(S1402)。次に、コントローラ410は、排紙ローラ対203に用紙Pを排出させる(S1403)。ステップS1402~S1403の処理は、ステップS902~S903と同じ処理なので説明を省略する。
これにより、排紙ローラ対203から排出された用紙Pは、積載位置のジョガーフェンス205、206の下板205a、206a、上板205b、206b、及び側板205c、206cで囲まれる空間に進入し、下板205a、206a上に積載される。
次に、コントローラ410は、先端ストッパ207を後退位置から前進位置に移動させ、再び後退位置に戻すと共に、ジョガーフェンス205、206を積載位置から整合位置に移動させ、再び積載位置に戻す(S1404)。これにより、ジョガーフェンス205、206上の用紙Pの搬送方向及び幅方向の位置が揃えられる。先端ストッパ207及びジョガーフェンス205、206の往復動は、同時に実行されてもよいし、順番に実行されてもよい。
次に、コントローラ410は、1JOBの用紙束の最終紙が排出されたか否かを判定する(S1405)。すなわち、コントローラ410は、ジョガーフェンス205、206に積載されている用紙Pの枚数が、1JOBの用紙束に含まれる用紙Pの枚数に達したか否かを判定する。そして、コントローラ410は、1JOBの用紙束の最終紙が未だ排出されていないと判定すると(S1405:No)、ステップS1403に戻って、次の用紙Pに対するステップS1403~S1404の処理を実行する。
次に、コントローラ410は、1JOBの用紙束の最終紙が排出されたと判定すると(S1405:Yes)、図15に示すように、ジョガーフェンス205、206を積載位置からステープル位置に移動させる。そして、コントローラ410は、ステープル位置のジョガーフェンス205、206に積載された複数の用紙Pに対して、ステープルユニット209にてステープル処理を実行する(S1406)。
次に、コントローラ410は、ジョガーフェンス205、206を積載位置に移動させ、さらにジョガーフェンス205、206を排出位置に移動させ、再び積載位置に戻す(S1407)。すなわち、コントローラ410は、積載位置に戻ったジョガーフェンス205、206を互いに離間する向きに移動させる。これにより、ジョガーフェンス205、206に積載され、ステープル処理された用紙Pの用紙束が排紙トレイ204に落下する。
次に、コントローラ410は、紙面検知センサ211を待機位置から検知位置に移動させる(S1408)。次に、コントローラ410は、紙面検知センサ211から出力される信号がON信号からOFF信号に切り替わるまで(S1410:No)、排紙トレイ204を下降させる(S1409)。ステップS1408~S1410の処理は、ステップS905~S907と同じ処理なので説明を省略する。
次に、コントローラ410は、排紙トレイ204が所定位置まで下降すると(S1410:Yes)、画像形成JOBが完了したか否かを判定する(S1411)。より詳細には、コントローラ410は、ジョガーフェンス205、206から排出された用紙Pの枚数が、設定されたJOBの部数分の枚数、すなわち画像形成装置100から取得した値に達したか否かを判定する。
そして、コントローラ410は、画像形成JOBが完了していないと判定すると(S1411:No)、ステップS1402に戻って、次の用紙Pに対するステップS1402~S1410の処理を実行する。一方、コントローラ410は、画像形成JOBが完了したと判定すると(S1411:Yes)、図11に示すトレイ下降処理を実行する(S1412)。ステップS1412で実行されるトレイ下降処理は、ステップS909で実行されるトレイ下降処理と同じ処理なので説明を省略する。これにより、ステープル処理が終了する。
第1実施形態によれば、例えば、以下の作用効果を奏する。
第1実施形態に係るトレイ上昇処理によれば、カバー212を閉塞位置に移動させている状態で、排紙トレイ204を取出位置から受取位置に移動させるので、排紙トレイ204の上昇中に正面開口を通じて胴内空間に異物が侵入することを防止できる。
また、第1実施形態に係るトレイ下降処理によれば、カバー212を閉塞位置に移動させている状態で、排紙トレイ204を受取位置から取出位置に移動させるので、排紙トレイ204の下降中に正面開口を通じて胴内空間に異物が侵入することを防止できる。
なお、胴内空間に侵入し得る異物には、例えば、排紙トレイ204上の用紙Pを取り出そうとするオペレータの手も含まれる。すなわち、上記構成によれば、後処理装置200の構成部品の間に、オペレータの手が挟まれることを有効に防止できる。
また、第1実施形態によれば、閉塞位置のカバー212をロック機構213でロックする。これにより、オペレータは、ストレート排紙処理及びステープル処理の実行中に、手動でカバー212を開放位置に移動させることができない。その結果、後処理中に異物が胴内空間に侵入することを有効に防止できる。
なお、第1実施形態に係るトレイ上昇処理では、カバー212を閉塞位置に移動させた後に、取出位置から受取位置への排紙トレイ204の移動を開始する。これにより、排紙トレイ204の上昇中にオペレータが胴内空間に異物が侵入することを確実に防止できる。
但し、排紙トレイ204の上昇開始のタイミングは、図10の例に限定されない。すなわち、コントローラ410は、カバー212の閉塞位置への移動と、排紙トレイ204の受取位置への移動とを並行して実行してもよい。これにより、トレイ上昇処理の処理速度が向上する。但し、排紙トレイ204が受取位置に到達する前に、カバー212が閉塞位置に到達するように、排紙トレイ204及びカバー212の移動開始タイミング及び移動速度が調整されるのが望ましい。すなわち、コントローラ410は、少なくとも排紙トレイ204が受取位置に到達する瞬間に、カバー212を閉塞位置に位置させればよい。
また、第1実施形態に係るトレイ下降処理では、排紙トレイ204を取出位置に移動させた後に、閉塞位置から開放位置へのカバー212の移動を開始する。これにより、排紙トレイ204の下降中に胴内空間に異物が侵入することを確実に防止できる。
但し、カバー212の移動開始のタイミングは、図11の例に限定されない。すなわち、コントローラ410は、カバー212の開放位置への移動と、排紙トレイ204の取出位置への移動とを並行して実行してもよい。これにより、トレイ下降処理の処理速度が向上する。但し、カバー212が開放位置に到達する前に、排紙トレイ204が取出位置に到達するように、排紙トレイ204及びカバー212の移動開始タイミング及び移動速度が調整されるのが望ましい。すなわち、コントローラ410は、少なくともカバー212が開放位置に位置する瞬間に、排紙トレイ204を停止させていればよい。
また、第1実施形態に係るストレート排紙処理及びステープル処理では、カバー212を閉塞位置に位置させた状態で、ステップS902~S908、ステップS1402~S1411の処理が実行される。これにより、胴内空間で移動する排紙トレイ204、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207、紙面検知センサ211に異物が接触することを防止できる。但し、ステップS902~S908、ステップS1402~S1411におけるカバー212の位置は、第1実施形態の例に限定されない。
[第2実施形態]
次に、図17及び図18を参照して、第2実施形態に係る画像形成システム1を説明する。図17は、第2実施形態に係るトレイ上昇処理のフローチャートである。図18は、第2実施形態に係るトレイ下降処理のフローチャートである。なお、第1実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。第2実施形態に係る画像形成システム1の構造は、第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。
図17に示すトレイ上昇処理において、ステップS1701~S1705の処理は、図10のステップS1001~S1003、S1005~S1006と同じなので、説明は省略する。一方、第2実施形態に係るコントローラ410は、排紙トレイ204が受取位置に到達すると(S1705:Yes)、閉塞位置から開放位置へのカバー212の移動を開始する(S1706)。そして、コントローラ410は、カバー212が開放位置に到達すると(S1707:Yes)、トレイ上昇処理を終了する。
また、図18に示すトレイ下降処理において、ステップS1803~S1807の処理は、図11のステップS1101~S1102、S1104~S1106の処理と同じなので説明は省略する。一方、第2実施形態に係るコントローラ410は、ステップS1803の処理に先立って、開放位置から閉塞位置へのカバー212の移動を開始する(S1801)。そして、コントローラ410は、カバー212が閉塞位置に到達すると(S1802:Yes)、ステップS1803以降の処理を開始する。
第2実施形態によれば、第1実施形態の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
第2実施形態に係るストレート排紙処理及びステープル処理では、カバー212を開放位置に位置させた状態で、ステップS902~S908、ステップS1402~S1411の処理が実行される。これにより、ストレート排紙処理及びステープル処理中に他の画像形成JOBが実行された場合でも、オペレータは、当該JOBで排出された用紙Pを取り出すことができる。なお、ステップS902~S908、ステップS1402~S1411における各部の移動量は小さいので、異物を挟み込んで損傷する可能性は低い。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。