JP7200624B2 - 扁平断面ポリエステル仮撚糸 - Google Patents
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A.ジエチレングリコールを1.70~2.40重量%含有。
B.単糸断面の扁平度が1.0~5.0、扁平度の最大と最小の差が2.0~4.0の不定形多角形状の断面である。
C.扁平度の度数分布におけるCV%が25~40%である。
D.強度が3.0~3.7cN/dtexである。
E.捲縮復元率CRが15~25%である。
(2)単糸繊度が0.7~1.3dtexである(1)に記載の扁平断面ポリエステル仮撚糸。
ポリエステル製品をリサイクルする手段は、粉砕したポリエステル製品を解重合によって粗原料まで分解した後、再度重合することによってポリマーを得て、チップ化した後、成形品とするケミカルリサイクル、ポリエステル製品を粉砕、チップ化した後、溶融して再び成形品にするマテリアルリサイクルが行われている。
本発明の扁平断面ポリエステル仮撚糸に用いる未延伸糸の断面形状は、繊維断面の最長軸に対して、両側になだらかな弧で形成された凹部を1つずつ持った扁平形状であると、続く仮撚加工にて扁平度の分布が広い糸条に加工し易く好ましい。好適に用いられる断面形態の例を図3に示すが、繭形(A)や空豆形(B)等は、特に紡糸性や仮撚性に優れて好ましい。
この時のヒーター温度は、使用ポリマーの結晶化温度以上、融点以下であると好ましく、150~190℃の範囲を好ましく使用できる。また、ヒーター上の通過時間は、0.13~0.20秒、より好ましくは0.15~0.18秒とするのが適当であり、糸条の芯まで予熱することができ好ましい。
試料(チップ、仮撚糸)を2-アミノエタノール/1,6-ヘキサンジオール(内標)で加水分解後、メタノールで希釈し、テレフタル酸で中和した後、ガスクロマトグラフィー(島津製GC14B)のピーク面積比から求めた。
試料(チップ)0.8gを純度98%のO-クロロフェノール10mlに100℃で溶解し、ウベローデ粘度管を用いて25℃で測定した。
仮撚糸および未延伸糸サンプルをメタクリル樹脂にて包埋し、繊維軸に垂直に切断して、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製VHX-5000)を用いて糸条を構成する全単糸の観察像を撮影した。撮影された断面写真について、断面形状の最長軸長を最短軸長で除した値を扁平度、最単軸長をそれに対して平行に引ける最長軸長で除した数値の逆数を異形度とした。なお、仮撚糸にて三角形様の最短軸長が不明な断面に対しては、最短辺の半値を最短軸長として用いた。
仮撚糸の全単糸の扁平度を統計処理し、標準偏差を平均値で除した値であるところの変動係数CVを、扁平度CVとして算出した。
仮撚糸を解舒張力1/11.1(g/dtex)で枠周1.0mの検尺機で100回巻き、天秤を用いて重量を測定し、100倍することにより得られた重量を総繊度とした。
JIS L 1013(2010)に従い、オリエンテック製テンシロンUCT-100にて測定した。
仮撚糸を周長1.0mの検尺機にて10回巻きしてカセ取りした後、このカセに繊度×0.002×巻取回数×2/1.111gの初加重をかけて、90℃×20分間熱水処理し、脱水後12時間以上放置する。放置後のカセに初荷重と繊度×0.1×巻取回数×2/1.111gの測定加重をかけて水中に垂下し2分間放置する。放置したカセの長さを測り、Lとする。さらに、測定荷重を除き初荷重だけにした状態で3分間放置し、カセの長さを測り、L1とする。次式により、伸縮復元率CRを求めた。
伸縮復元率CR(%)={(L-L1)/L}×100 。
目付150g/m2の筒編み地を作製し、背景に白板を使用した際の明度と黒板を使用した際の明度を測定し、次式にて値を求めた。
防透性(%)=(黒板を背景とした時の明度/黒板を背景とした時の明度)×100
防透性の値が85%以上を合格とした。
上記の(8)で調製した筒編地を、JIS L 1096(2010)に準じて、幅2.5cmの短冊状にカットした試験片とし、試験片の下端約2cmを水浴に浸漬して10分間放置した後に水が上昇した高さ(mm)を測定した。吸水高さが65mm以上のものを合格とした。
上記の(8)項で調製した筒編地を下記条件で染色し、熟練の検査員10名に対し、(7)項の条件にて調整し、バージンポリエチレンテレフタレートを用いた繭断面糸の筒編地(比較例1)を基準とし、以下の4段階にて濃色性を評価し、最も多い得票を得たランクを評価とした。合格レベルは○以上である。
○○:非常に濃い、○:濃い、△:同等、×:薄い
[染色条件]
染料:Dinanix Navy S-2G200%、0.3%o.w.f.
染色助剤1:Tetrosin PEC、10.0%o.w.f.
染色助剤2:Sun Salt、1.0%o.w.f.
浴比:1:100
染色温度×時間:98℃×20分 。
精留塔、ポリエステル屑供給機、撹拌装置を備えた解重合反応容器に、モル比1.5のビスヒドロキシエチルテレフタレートおよび/その低重合体2000kgを常圧で窒素雰囲気下、220℃で存在させておく。そこへエチレングリコール/ポリエステル屑のモル比が0.5のポリエステル屑2000kgとエチレングリコール325kgを3時間かけて連続的に供給する。供給が終了した後、30分かけて反応容器温度を240℃に昇温し、昇温後は240℃に保持する。精留塔の塔頂温度が150℃に到達した後、10分で解重合反応を終了させ、ビスヒドロキシエチルテレフタレートおよび/その低重合体を得た。この時精留塔の塔頂までエチレングリコールは到達していなかった。なお解重合反応工程は4時間25分だった。その得られたビスヒドロキシエチルテレフタレートおよび/その低重合体をサンプリングし、そのジエチレングリコール量を測定したところ1.1重量%だった。
ポリマーIV0.60、DEG量1.8のケミカルリサイクルより得たポリエチレンテレフタレートを用いて、紡糸温度295℃にて溶融後、144ホールのダンベル型吐出孔を有した紡糸口金から吐出、口金面から30mmの位置にて糸条に冷却風を吹き付け冷却し、油剤を供給し集束させ、交絡付与を行いながら、紡糸速度2700m/分の速度で巻取り、総繊度288dtexの部分配向未延伸糸を採取した。フリクション仮撚機にて、仮撚ヒーター温度を170℃、延伸倍率を1.67に設定し、直径54mmのウレタンディスクを仮撚ディスクとして、仮撚係数32000にて、延伸仮撚加工を施して交絡付与を行い、外径65mmの紙管に巻き取った。得られたポリエステル仮撚糸は、表1に示すとおり、十分な原糸強度を有し、かつ優れた吸水性と防透性を具備し、濃色性は良好であった。
仮撚係数を29000で加工した以外は、実施例1と同様にして、167T-144フィラメントの扁平仮撚糸を得た。この仮撚糸の扁平度差は3.0であり、得られた仮撚糸は表1に示すとおり、良好な性質を持っていた。
ポリマーIV0.57、ジエチレングリコール量2.3のポリマーを用い、仮撚係数を27000で加工した以外は、実施例1と同様にして、167T-144フィラメントの扁平仮撚糸を得た。得られた仮撚糸は表1に示すとおり、良好な性質を持っていた。
ポリマーIV0.61、ジエチレングリコール量1.7のポリマーを用いた以外は、実施例1と同様にして、167T-144フィラメントの扁平仮撚糸を得た。得られた仮撚糸は表1に示すとおり、良好な性質を持っていた。
ダンベル孔を有する口金を用いて、口金ホール数、ポリマー吐出量、仮撚係数を変化させた以外は、実施例1と同様にして紡糸、仮撚加工して、総繊度、フィラメント数の異なる仮撚糸を得た。得られた仮撚糸は表1に示すとおり、良好な性質を持っていた。
ポリマーIV0.60、DEG量1.8のケミカルリサイクルより得たポリエチレンテレフタレートを用いて、紡糸温度295℃にて溶融後、24ホールのダンベル型吐出孔を有した紡糸口金から吐出、口金面から30mmの位置にて糸条に冷却風を吹き付け冷却し、油剤を供給し集束させ、交絡付与を行いながら、紡糸速度2500m/分の速度で巻取り、総繊度37dtexの部分配向未延伸糸を採取した。フリクション仮撚機にて、仮撚ヒーター温度を150℃、延伸倍率を1.71に設定し、直径51mmのウレタンディスクを仮撚ディスクとして、仮撚係数22000にて、延伸仮撚加工を施して交絡付与を行い、紙管に巻き取り22T-24フィラメントの扁平仮撚糸を得た。得られたポリエステル仮撚糸は、表1に示すとおり、良好な性質を持っていた。
ダンベル孔を有する口金を用いて、口金ホール数、ポリマー吐出量、仮撚係数を変更した以外は、実施例8と同様に紡糸、仮撚加工して、総繊度、フィラメント数の異なる仮撚糸を得た。得られた仮撚糸は表1に示すとおり、良好な性質を持っていた。
バージンのポリエチレンテレフタレート(IV0.64、DEG量1.0)を用いた以外は、実施例1と同様にして、167T-144フィラメントの扁平仮撚糸を得た。得られた仮撚糸は濃色性に劣るものとなった。
ポリマーIV0.57、ジエチレングリコール量2.5のポリマーを用い、仮撚係数を27000で加工した以外は、実施例1と同様にして、167T-144フィラメントの扁平仮撚糸を得た。この仮撚糸は、吸水性、防透性、濃色性は優れるものの表2に示すとおり、原糸強度の劣るものとなった。
ポリマーIV0.62、ジエチレングリコール量1.6のポリマーを用いた以外は、実施例1と同様にして、167T-144フィラメントの扁平仮撚糸を得た。この仮撚糸は、表2に示すとおり、濃色性に劣るものとなった。
仮撚係数を37000で加工した以外は、実施例1と同様にして、167T-144フィラメントの扁平仮撚糸を得た。この仮撚糸の扁平度差は4.3、扁平度CVは45%であり、表2に示すとおり、吸水性、防透性、濃色性は優れるものの、原糸強度が劣るものであった。
仮撚係数を24000で加工した以外は、実施例1と同様にして、167T-144フィラメントの扁平仮撚糸を得た。この仮撚糸の扁平度CVは22%であり、表2に示すとおり、吸水性、防透性に劣るものとなった。
仮撚係数を20000で加工した以外は、実施例1と同様にして、167T-144フィラメントの扁平仮撚糸を得た。この仮撚糸の扁平度CVは18%であり、表2に示すとおり、吸水性、防透性に劣るものとなった。
丸孔を有する口金を用いて、実施例1と同様にして紡糸、仮撚加工して、167T-144フィラメントの仮撚糸を得た。得られた仮撚糸は扁平度CV%が17%であり、防透性、吸水性および風合いに劣るものとなった。
口金を吐出後合流タイプに変更し、吐出孔3つで3玉融着状の1フィラメントを形成する、72フィラメント用に変更し、紡糸速度2000m/分の速度で巻取り、総繊度140dtexの部分配向未延伸糸を採取した。フリクション仮撚機にて、仮撚ヒーター温度を170℃、延伸倍率を1.60、仮撚係数24000にて、延伸仮撚加工を施して交絡付与を行い、外径65mmの紙管に巻き取った。得られたポリエステル仮撚糸は、表2に示すとおり、強度2.6cN/dtex、扁平度CVが23%であり、耐久性、吸水性に劣るものとなった。
2:1個の凹部を持つ断面
3:2個の凹部を持つ断面
4:回転軸
5:ガイドディスク
6:仮撚ディスク
Claims (2)
- ポリアルキレンテレフタレートを解重合して得られたテレフタル酸を、酸成分の80モル%以上含むポリエチレンテレフタレートからなり、下記A~Eを満足する扁平断面ポリエステル仮撚糸。
A.ジエチレングリコールを1.70~2.40重量%含有。
B.単糸断面の扁平度が1.0~5.0、扁平度の最大と最小の差が2.0~4.0の不定形多角形状の断面である。
C.扁平度の度数分布におけるCV%が25~40%である。
D.強度が3.0~3.7cN/dtexである。
E.捲縮復元率CRが15~25%である。 - 単糸繊度が0.7~1.3dtexである請求項1に記載の扁平断面ポリエステル仮撚糸。
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