JP7197836B2 - 圧粉磁心 - Google Patents

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Description

本発明は、圧粉磁心に関し、より詳しくは、Fe-Ni系ナノ粒子を含有する圧粉磁心に関する。
圧粉磁心は、表面が絶縁被膜で覆われた磁性粒子を圧縮成形することによって得られるものであり、変圧器(トランス)、電動機(モータ)、発電機、スピーカ、誘導加熱器、各種アクチュエータ等の電磁気を利用した様々な製品に用いられている。このような圧粉磁心に用いられる磁性粒子は、粒子径が約20nm以下になると、超常磁性現象が発現して保磁力が極めて小さくなる。このため、粒子径が約20nm以下の磁性ナノ粒子を用いた圧粉磁心においては、ヒステリシス損を極めて小さくすることができる。また、絶縁性の磁性ナノ粒子や表面に絶縁被膜を有する導電性の磁性ナノ粒子を用いた圧粉磁心において粒子径が約20nm以下の磁性ナノ粒子を用いることによって、高周波において渦電流の経路が制限され、渦電流損を極めて小さくすることができる。このように、粒子径が約20nm以下の磁性ナノ粒子を用いた圧粉磁心は、ヒステリシス損や渦電流損が極めて小さくなるため、低損失なトランスコア材として期待されている。特に、Fe-Niナノ粒子を用いた圧粉磁心は高い透磁率を有する低損失なコア材として注目されている。
このようなFe-Niナノ粒子は、例えば、Fe錯体及びNi錯体を有機溶媒中で加熱して還元することによって合成することができる。しかしながら、Fe錯体を還元するには300℃以上の高温で加熱する必要があるため、合成量が多くなると、合成温度までの昇温時間や合成後の冷却時間が長くなり、生成したナノ粒子同士がその間に結合して粒子径が増大する。このため、粒子径が30nm以下のFe-Niナノ粒子を得ることは困難であった。
また、磁性ナノ粒子を圧粉成形して圧粉磁心を作製した場合、ナノサイズ効果により磁性ナノ粒子の塑性変形強度が増大するため、圧粉磁心の密度が低下し、透磁率が低くなる。この磁性ナノ粒子の塑性変形強度の増大による圧粉磁心の低密度化は、ナノ粒子の特徴である融点の低温度化により抑制することができ、ナノ粒子の融点は粒子径が小さいほど低くなるため、粒子径がより小さい磁性ナノ粒子を用いることによって、圧粉磁心の低密度化が抑制され、透磁率を向上させることができる。しかしながら、Fe-Niナノ粒子を用いた圧粉磁心においては、上述したように、粒子径が30nm以下のFe-Niナノ粒子を得ることが困難であったため、圧粉磁心の低密度化を十分に抑制することができず、高い透磁率を有する圧粉磁心を得ることが困難であった。
一方、特開2016-63170号公報(特許文献1)には、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも1種の磁性金属と、Mg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、Zn、Mn、Ba、Sr、Cr、Mo、Ag、Ga、Sc、V、Y、Nb、Pb、Cu、In、Sn及び希土類元素のうちの少なくとも1種の非磁性金属とを含む磁性金属粒子、この磁性金属粒子の一部を絶縁被覆している絶縁被覆層、並びに、前記磁性金属粒子及び前記絶縁被覆層の周囲に配置されている絶縁性樹脂を備えている磁性部材が開示されており、前記磁性金属粒子としてFeNiSi粒子やFeNiAl粒子を用いることによって、損失が小さく、高い透磁率を有する磁性部材が得られることが具体的に記載されている。
特開2016-63170号公報
しかしながら、特許文献1に記載のFeNiSi粒子やFeNiAl粒子を用いた磁性部材においても透磁率は未だ十分に高いものではなく、更に高い透磁率を有する磁性部材が求められている。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、Fe-Ni系ナノ粒子を含有し、高い透磁率を有する圧粉磁心を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、Fe-Ni系ナノ粒子を含有する圧粉磁心において、Fe-Ni系ナノ粒子にCuを配合することによって、Fe-Ni系ナノ粒子の粒子径が小さくなり、高い透磁率を有する圧粉磁心が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の圧粉磁心は、平均粒子径が1~30nmであり、全金属含有量に対するCu含有量が1~30質量%であり、FeとNiとの合計含有量に対するNiの含有量が55~85質量%であるFe-Ni-Cuナノ粒子を含有することを特徴とするものである。
本発明の圧粉磁心においては、前記Fe-Ni-Cuナノ粒子の表面が有機酸及び有機アミンからなる群から選択される少なくとも1種の被覆剤で被覆されていることが好ましい。
なお、本発明の圧粉磁心において、Fe-Ni系ナノ粒子の粒子径が小さくなる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、Fe-Niナノ粒子を合成する際、通常、有機酸や有機アミン等の被覆剤を添加し、この被覆剤で生成したFe-Niナノ粒子の表面を被覆して、Fe-Niナノ粒子を安定化させる。しかしながら、この被覆剤は高温になると、頻繁に、Fe-Niナノ粒子の表面から脱離したり、Fe-Niナノ粒子の表面に再吸着したりするため、被覆剤の脱離時にFe-Niナノ粒子同士が結合してFe-Niナノ粒子の粒子径が増大する。
一方、本発明に用いられるFe-Ni-Cuナノ粒子においては、有機酸や有機アミン等の被覆剤と結合しやすいCuが粒子表面に含まれているため、高温になっても、被覆剤がFe-Ni-Cuナノ粒子の表面から脱離しにくく、Fe-Ni-Cuナノ粒子同士の結合が抑制され、粒子径の小さいFe-Ni-Cuナノ粒子が得られると推察される。
また、本発明の圧粉磁心において、透磁率が向上する理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の圧粉磁心においては、CuがFe-Ni合金の透磁率を向上させる元素であることだけでなく、Fe-Niナノ粒子にCuを配合することによってFeとNiとの相溶性が向上し、Fe-Ni-Cuナノ粒子内の均一性が向上したため、圧粉磁心の透磁率が向上したと推察される。
本発明によれば、Fe-Ni系ナノ粒子を含有し、高い透磁率を有する圧粉磁心を得ることが可能となる。
全金属含有量に対するCu含有量の割合とFe-Ni-Cuナノ粒子の平均粒子径との関係を示すグラフである。 全金属含有量に対するCu含有量の割合と圧粉磁心の比透磁率との関係を示すグラフである。 FeとNiとの合計含有量に対するFeの含有量の割合(Ni/(Fe+Ni)質量比)とFe-Ni-Cuナノ粒子の平均粒子径との関係を示すグラフである。 FeとNiとの合計含有量に対するFeの含有量の割合(Ni/(Fe+Ni)質量比)と圧粉磁心の比透磁率との関係を示すグラフである。 FeとNiとの合計含有量に対するFeの含有量の割合(Ni/(Fe+Ni)質量比)と圧粉磁心の飽和磁化との関係を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の圧粉磁心は、平均粒子径が1~30nmであり、全金属含有量に対するCu含有量が1~30質量%であり、FeとNiとの合計含有量に対するFeの含有量が50~90質量%であるFe-Ni-Cuナノ粒子を含有するものである。
(Fe-Ni-Cuナノ粒子)
本発明に用いられるFe-Ni-Cuナノ粒子は、鉄(Fe)とニッケル(Ni)と銅(Cu)との合金からなるナノ粒子である。このようなFe-Ni-Cuナノ粒子においては、後述する被覆剤と結合しやすいCuが含まれているため、合成時の高温下でも被覆剤がFe-Ni-Cuナノ粒子表面から脱離しにくく、Fe-Ni-Cuナノ粒子同士の結合が抑制され、粒子径が小さくなる。また、このようなFe-Ni-Cuナノ粒子は透磁率が高い圧粉磁心を形成することができる。
本発明のFe-Ni-Cuナノ粒子においては、全金属含有量に対するCu含有量が1~30質量%である。Cu含有量の割合が前記範囲内にあるFe-Ni-Cuナノ粒子は、粒子径が小さく、良好な磁気特性を有しており、透磁率が高い圧粉磁心を形成することができる。また、この圧粉磁心は保磁力が小さくなる傾向にある。さらに、Cu含有量の割合が大きいほど、Fe-Ni-Cuナノ粒子の粒子径が小さくなり、圧粉磁心は透磁率が高くなる。また、圧粉磁心の保磁力は小さくなる傾向にある。一方、Cu含有量の割合が前記下限未満になると、Fe-Ni-Cuナノ粒子の粒子径が大きくなり、圧粉磁心は透磁率が低下する。また、圧粉磁心の保磁力は増大する傾向にある。他方、Cu含有量の割合が前記上限を超えると、Fe-Ni-Cuナノ粒子の磁気特性が低下する。さらに、Fe-Ni-Cuナノ粒子の粒子径が小さくなり、圧粉磁心の透磁率が高くなり、保磁力が小さくなる傾向にあるという観点から、Cu含有量の割合としては3~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。
また、本発明のFe-Ni-Cuナノ粒子の平均粒子径は1~30nmである。平均粒子径が前記範囲内にあるFe-Ni-Cuナノ粒子は、良好な磁気特性を有しており、透磁率が高い圧粉磁心を形成することができる。また、この圧粉磁心は保磁力が小さくなる傾向にある。さらに、Fe-Ni-Cuナノ粒子の平均粒子径が小さいほど、圧粉磁心は透磁率が高くなる。また、圧粉磁心の保磁力は小さくなる傾向にある。一方、Fe-Ni-Cuナノ粒子の平均粒子径が前記下限未満になると、Fe-Ni-Cuナノ粒子が酸化されやすく、Fe-Ni-Cuナノ粒子の磁気特性が低下する。他方、Fe-Ni-Cuナノ粒子の平均粒子径が前記上限を超えると、圧粉磁心は透磁率が低下する。また、圧粉磁心の保磁力は増大する傾向にある。さらに、圧粉磁心の透磁率が高くなり、保磁力が小さくなる傾向にあるという観点から、Fe-Ni-Cuナノ粒子の平均粒子径としては1~20nmが好ましく、5~20nmがより好ましい。
さらに、本発明のFe-Ni-Cuナノ粒子においては、FeとNiとの合計含有量に対するNiの含有量〔Ni/(Fe+Ni)質量比〕が50~90質量%である。Ni/(Fe+Ni)質量比が前記範囲内にあるFe-Ni-Cuナノ粒子は、飽和磁化が高くなる傾向にあり、また、透磁率が高い圧粉磁心を形成することができる。さらに、この圧粉磁心は保磁力が小さくなる傾向にある。また、Ni/(Fe+Ni)質量比が小さいほど、相対的にFeの含有量が増大するため、Fe-Ni-Cuナノ粒子は飽和磁化が高くなる傾向にあり、また、圧粉磁心は透磁率が高くなる。さらに、圧粉磁心の保磁力は小さくなる傾向にある。一方、Ni/(Fe+Ni)質量比が前記下限未満になると、Fe-Ni-Cuナノ粒子は酸化されやすい。他方、Ni/(Fe+Ni)質量比が前記上限を超えると、相対的にFeの含有量が減少するため、Fe-Ni-Cuナノ粒子は飽和磁化が低下する傾向にあり、また、圧粉磁心は透磁率が低下する。さらに、圧粉磁心の保磁力は増大する傾向にある。また、圧粉磁心の透磁率が高くなり、保磁力が小さくなる傾向にあるという観点から、Ni/(Fe+Ni)質量比としては55~85質量%が好ましく、特に、結晶磁気異方性が極めて小さくなり、圧粉磁心の透磁率が高くなり、保磁力が極めて小さくなる傾向にあるという観点から、Fe-Ni-Cuナノ粒子の結晶構造が規則型面心立方構造であり、かつ、Ni/(Fe+Ni)質量比が58~67質量%であること、或いは、Fe-Ni-Cuナノ粒子結晶構造が不規則型面心立方構造であり、かつ、Ni/(Fe+Ni)質量比が75~83質量%であることがより好ましい。
(被覆剤)
本発明の圧粉磁心においては、通常、前記Fe-Ni-Cuナノ粒子の表面が被覆剤で被覆されている。これにより、Fe-Ni-Cuナノ粒子表面の酸化を抑制することができる。このような被覆剤としては、有機酸、有機アミン、有機リン化合物、ポリマー等が挙げられる。
前記有機酸としては、例えば、デカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸等の飽和脂肪酸が挙げられる。前記有機アミンとしては、例えば、デシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、リノレルアミン等の脂肪族アミンが挙げられる。前記有機リン化合物としては、例えば、トリアルキルホスフィン、トリシクロアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン等のホスフィンが挙げられる。前記ポリマーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリグリセリン、ゼラチン等が挙げられる。これらの被覆剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
これらの被覆剤のうち、Fe-Ni-Cuナノ粒子に含まれるCuと結合しやすく、高温時にFe-Ni-Cuナノ粒子表面から脱離しにくく、Fe-Ni-Cuナノ粒子同士の結合を防ぎ、Fe-Ni-Cuナノ粒子の粒子径の増大を抑制することができるという観点から、有機酸及び有機アミンが好ましく、脂肪酸及び脂肪族アミンがより好ましい。
(絶縁膜)
本発明の圧粉磁心においては、前記被覆剤で被覆されたFe-Ni-Cuナノ粒子を、さらに絶縁膜で被覆してもよい。これにより、圧粉磁心中のFe-Ni-Cuナノ粒子間を絶縁することができ、圧粉磁心の渦電流損失を低減することができる。このような絶縁膜としては、シリコーン樹脂、有機リン化合物等からなる有機絶縁膜、シリカ、アルミナ、スピネルフェライト等からなる無機絶縁膜が挙げられる。
(Fe-Ni-Cuナノ粒子の合成方法)
本発明に用いられるFe-Ni-Cuナノ粒子は、例えば、以下の方法により合成することができる。
(Ni-Cuナノ粒子合成工程)
先ず、Ni-Cuナノ粒子を合成する。すなわち、全金属含有量に対するCu含有量及びFeとNiとの合計含有量に対するNiの含有量がそれぞれ所定の割合となるように、前記被覆剤を含有する有機溶媒にNi化合物及びCu化合物を添加し、前記有機溶媒中、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で、Ni化合物及びCu化合物を還元してNi-Cuナノ粒子を形成させる。
Ni化合物としては還元反応によりNiを生成するものであれば特に制限はないが、用いる有機溶媒に対する溶解性に優れたものであることが好ましい。このようなNi化合物としては、例えば、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル及びそれらの水和物等の無機ニッケル含有化合物、ニッケルを含む錯体が挙げられる。ニッケルを含む錯体としては、例えば、酢酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトナート、テトラクロロニッケル(II)酸テトラエチルアンモニウム、テトラブロモニッケル(II)酸テトラエチルアンモニウム、ヘキサアンミンニッケル(II)塩化物、ジニトロテトラアンミンニッケル(II)、テトラシアノニッケル(II)酸カリウム一水和物、ヘキサニトロニッケル(II)酸カリウムバリウム、トリス(エチレンジアミン)ニッケル(II)硫酸塩、ビス(エチレンジアミン)ジアクアニッケル硝酸塩、エチレンジアミンテトラアクアニッケル(II)硫酸塩一水和物、ジニトロ(エチレンジアミン)ニッケル(II)、ビス(N,N-ジメチルエチレンジアミン)ニッケル(II)過塩素酸、ビス(2,3-ジメチル-2,3-ジアミノブタン)ニッケル(II)ヨウ化物、ビス(ペルクロラト)テトラピリジンニッケル(II)、アセチルアセトナート(ニトラト)(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル(II)等が挙げられる。
Cu化合物としては還元反応によりCuを生成するものであれば特に制限はないが、用いる有機溶媒に対する溶解性に優れたものであることが好ましい。このようなCu化合物としては、例えば、塩化銅、硝酸銅、硫酸銅、炭酸銅、及びそれらの水和物等の無機銅含有化合物、銅を含む錯体が挙げられる。銅を含む錯体としては、例えば、銅(II)アセチルアセトナート、酢酸銅(II)、グルコン酸銅(II)、エチルアセト酢酸銅(II)、銅(I)フェニルアセチリド、ジメチルジチオカルバミン酸銅(II)、トリフルオロアセチルアセトナト銅(II)、2-チオフェンカルボキシラト銅(I)、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)ヘキサフルオロホスファート、テトラフルオロホウ酸銅(II)、ビス(ジイソブチリルメタナト)銅(II)、ビス(ジピバロイルメタナト)銅(II)、銅(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、銅(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナートトリメチルビニルシラン、トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)ベンゼン錯体、テトラクロロ銅(II)ジアンモニウム、ジ-μ-ヒドロキソ-ビス[(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)銅(II)]クロリド、メシチル銅(I)、2-エチルヘキサン酸銅(II)、3-メチルサリチル酸銅(I)、テトラキス(ピリジン)銅(II)トリフラート等が挙げられる。
前記有機溶媒としては、Ni化合物及びCu化合物を溶解できる有機溶媒であれば特に制限はないが、還元力を有する有機溶媒が好ましい。また、還元力のない有機溶媒であっても還元剤を添加することによって使用することができる。還元力を有する有機溶媒としては、アミノ基又はヒドロキシ基を有する常温で液体であるものが挙げられ、より具体的には、オレイルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、トリ(デシル)アミン、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。還元力のない有機溶媒としては、反応性のある官能基を有しない常温で液体のものが挙げられ、より具体的には、オクタデセン、ジオクチルエーテル、ジデシルエーテル、ジフェニルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。また、還元剤としては、ジオール、アミン、ボロヒドリド等が挙げられ、より具体的には、ヘキサデカンジオール、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリエチルホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素カリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、テトラメチルアンモニウムボロヒドリド、テトラエチルアンモニウムボロヒドリド、テトラブチルアンモニウムボロヒドリド、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、トリオクチルアミン、トリ(デシル)アミン、トリドデシルアミン等が挙げられる。
Ni-Cuナノ粒子合成工程においては、このような有機溶媒に、通常、前記被覆剤を添加して、生成したNi-Cuナノ粒子を安定化させるが、前記有機溶媒又は前記還元剤として前記有機アミンを使用する場合には、この有機アミンが被覆剤として作用して、生成したNi-Cuナノ粒子を安定化させるため、前記有機溶媒に前記被覆剤を添加しなくてもよい。
Ni化合物及びCu化合物の還元温度としては180~260℃が好ましく、200~240℃がより好ましい。前記還元温度が前記下限未満になると、Ni化合物及びCu化合物の還元反応が十分に進行しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、Ni-Cuナノ粒子が粒成長しすぎて所望の大きさのNi-Cuナノ粒子を得ることが困難となる傾向にある。また、Ni化合物及びCu化合物の還元時間としては10~120分間が好ましく、30~90分間がより好ましい。
(Fe-Ni-Cuナノ粒子合成工程)
次に、Fe-Ni-Cuナノ粒子を合成する。すなわち、全金属含有量に対するCu含有量及びFeとNiとの合計含有量に対するNiの含有量がそれぞれ所定の割合となるように、前記被覆剤を含有する有機溶媒に前記Ni-Cuナノ粒子及びFe化合物を添加し、前記有機溶媒中、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で、Fe化合物を還元して前記Ni-Cuナノ粒子にFeを導入することによりFe-Ni-Cuナノ粒子を形成させる。
Fe化合物としては還元反応によりFeを生成するものであれば特に制限はないが、用いる有機溶媒に対する溶解性に優れたものであることが好ましい。このようなFe化合物としては、例えば、塩化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、及びそれらの水和物等の無機鉄含有化合物、鉄を含む錯体が挙げられる。鉄を含む錯体としては、例えば、酢酸鉄、鉄アセチルアセトナート、テトラクロロ鉄(II)酸テトラエチルアンモニウム、テトラクロロ鉄(III)酸テトラエチルアンモニウム、ビス(スルフィド)テトラニトロシル二鉄(2-)ナトリウム八水和物、トリス(スルフィド)ヘプタニトロシル四鉄酸(1-)アンモニウム一水和物、ヘキサアンミン鉄(II)臭化物、テトラキス(チオフェノラト)鉄(II)酸テトラフェニルホスホニウム、テトラキス(2,3,5,6-テトラメチルフェノラト)鉄(III)酸テトラエチルアンモニウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、ペンタシアノアンミン鉄(II)酸ナトリウム三水和物、ペンタシアノアンミン鉄(III)酸ナトリウム三水和物、ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物、ペンタシアノニトロ鉄(II)酸カリウム一水和物、テトラシアノ(エチレンジアミン)鉄(II)酸ナトリウム三水和物等が挙げられる。
Ni-Cuナノ粒子合成工程においては、有機溶媒として、沸点が280℃以上(好ましくは300℃以上)の高沸点有機溶媒を使用する。有機溶媒の沸点が前記下限未満になると、Fe化合物を還元せしめる際の温度を高くすることができず、Fe化合物の還元反応が十分に進行しない。
このような高沸点有機溶媒としては、還元力を有するものが好ましいが、還元力のないものであっても還元剤を添加することによって使用することができる。還元力を有する高沸点有機溶媒としては、グリセリン(沸点290℃)、ジオクチルアミン(沸点298℃)、テトラエチレングリコール(沸点328℃)、オレイルアミン(沸点349℃)、トリオクチルアミン(沸点367℃)、ペンタエチレングリコール(沸点380℃)、ヘキサエチレングリコール(沸点400℃)、トリ(デシル)アミン(沸点430℃)等が挙げられる。還元力のない高沸点有機溶媒としては、ジオクチルエーテル(沸点287℃)、オクタデセン(沸点306℃)、ジデシルエーテル(沸点340℃)等が挙げられる。また、還元剤としては、ヘキサデカンジオール、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリエチルホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素カリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、テトラメチルアンモニウムボロヒドリド、テトラエチルアンモニウムボロヒドリド、テトラブチルアンモニウムボロヒドリド、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、トリオクチルアミン、トリ(デシル)アミン、トリドデシルアミン等が挙げられる。
Fe-Ni-Cuナノ粒子合成工程においては、このような高沸点有機溶媒に、通常、前記被覆剤を添加して、生成したFe-Ni-Cuナノ粒子を安定化させるが、前記高沸点有機溶媒又は前記還元剤として前記有機アミンを使用する場合には、この有機アミンが被覆剤として作用して、生成したFe-Ni-Cuナノ粒子を安定化させるため、前記高沸点有機溶媒に前記被覆剤を添加しなくてもよい。
Fe化合物の還元温度としては280~380℃が好ましく、300~340℃がより好ましい。前記還元温度が前記下限未満になると、Fe化合物の還元反応が十分に進行しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、Fe-Ni-Cuナノ粒子が粒成長しすぎて所望の大きさのFe-Ni-Cuナノ粒子を得ることが困難となる傾向にある。また、Fe化合物の還元時間としては10~120分間が好ましく、30~90分間がより好ましい。
(熱処理)
このようにして得られるFe-Ni-Cuナノ粒子には、磁気特性を向上させるために、還元性ガス雰囲気又は不活性ガス雰囲気下で熱処理を施してもよい。熱処理の温度としては特に制限はないが、Fe-Ni-Cuナノ粒子の結晶性が向上するという観点から、200~600℃が好ましく、200~400℃がより好ましく、200~350℃が特に好ましい。前記熱処理の温度が前記下限未満になると、熱処理の効果が小さく、Fe-Ni-Cuナノ粒子の磁気特性が向上しにくい傾向にあり、他方、前記上限を超えると、Fe-Ni-Cuナノ粒子同士が凝集してFe-Ni-Cuナノ粒子の粒子径が増大し、圧粉磁心の透磁率が低下し、保磁力が増大する傾向にある。また、前記熱処理の時間としては60~600分間が好ましく、120~300分間がより好ましい。前記還元性ガスとしては水素ガス、水素-窒素混合ガス、水素-アルゴン混合ガスが挙げられ、前記不活性ガスとしては窒素ガス、アルゴンガスが挙げられる。
〔圧粉磁心〕
本発明の圧粉磁心は、前記Fe-Ni-Cuナノ粒子を含有するものであり、通常、前記Fe-Ni-Cuナノ粒子の表面は前記被覆剤で被覆されている。このような本発明の圧粉磁心は、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、先ず、前記Fe-Ni-Cuナノ粒子(通常、表面が前記被覆剤で被覆されているFe-Ni-Cuナノ粒子、好ましくは、さらに表面が前記絶縁膜で被覆されているFe-Ni-Cuナノ粒子)と、加圧成形時に前記Fe-Ni-Cuナノ粒子の流動性を確保するための添加剤とを混合する。これにより、高密度の圧粉磁心を得ることができる。
前記添加剤としては、フマル酸、フマル酸モノエステル、フマル酸モノエステルの塩、ヒドロキノン等が挙げられる。
前記Fe-Ni-Cuナノ粒子と前記添加剤との混合方法としては特に制限はなく、例えば、ボールミルや乳鉢を用いて混合する方法、溶媒に前記Fe-Ni-Cuナノ粒子と前記添加剤とを分散・溶解させた後、乾燥等により溶媒を除去することによって混合する方法等が挙げられる。また、前記Fe-Ni-Cuナノ粒子は再配列性に劣るため、溶媒に前記Fe-Ni-Cuナノ粒子と前記添加剤とを分散・溶解させた後、スプレードライ等により顆粒状の混合物を調製してもよい。これにより、圧縮成形時に顆粒状の混合物が崩れて前記Fe-Ni-Cuナノ粒子が再配列しやすくなるため、圧粉磁心の密度が向上する。
次に、このようにして得られた前記Fe-Ni-Cuナノ粒子と前記添加剤との混合物を、潤滑剤を塗布した金型に充填する。前記潤滑剤としては特に制限はなく、例えば、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛等の飽和脂肪酸の金属塩、潤滑グリース(例えば、株式会社ミスミ製「M-HGSSC-H500」)等が挙げられる。
次に、金型に充填した前記Fe-Ni-Cuナノ粒子と前記添加剤との混合物を加圧成形することによって、本発明の圧粉磁心を得ることができる。成形温度としては、300~600℃が好ましく、300~400℃がより好ましい。成形温度が前記下限未満になると、磁性ナノ粒子の塑性変形強度が十分に低下せず、得られる圧粉磁性の密度が向上しにくい傾向にあり、他方、前記上限を超えると、金型の強度が低下し、金型の寿命が短くなる傾向にある。なお、金型は、設定温度(成形温度)に、前記Fe-Ni-Cuナノ粒子と前記添加剤との混合物を充填する前に昇温してもよいし、充填後に昇温してもよい。
成形圧力としては500MPa~3GPaが好ましく、800MPa~2GPaがより好ましい。成形圧力が前記下限未満になると、前記混合物が十分に圧縮されないため、圧粉磁心の密度が小さくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、スプリングバック現象の影響が大きく、クラックが発生して圧粉磁心の密度が小さくなる傾向にある。
また、このようにして製造した圧粉磁心には、必要に応じて熱処理を施してもよい。これにより、加圧により圧粉磁心に生じた歪みを緩和し、磁気特性を改善することができる。このような熱処理の温度は通常500~800℃である。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
〔Fe-Ni-Cuナノ粒子の調製〕
(Ni-Cuナノ粒子の調製)
オレイルアミン(アルドリッチ社製)480mmolにニッケルアセチルアセトナート(Ni(acac)、アルドリッチ社製)60mmol及び銅アセチルアセトナート(Cu(acac)、アルドリッチ社製)8mmolを添加し、窒素雰囲気中、130℃で30分間保持した後、220℃で60分間保持して反応を行い、Ni-Cuナノ粒子を得た。このNi-Cuナノ粒子をアセトン及びヘキサンで洗浄し、遠心分離により回収した後、真空乾燥した。
(Fe-Ni-Cuナノ粒子の調製)
オレイルアミン(アルドリッチ社製)516mmolに前記Ni-Cuナノ粒子1.5g及び鉄アセチルアセトナート(Fe(acac)、アルドリッチ社製)12mmolを添加し、窒素雰囲気中、130℃で30分間保持した後、320℃で60分間保持して反応を行い、Fe-Ni-Cuナノ粒子を得た。このFe-Ni-Cuナノ粒子をアセトン及びヘキサンで洗浄し、遠心分離により回収した後、真空乾燥した。
<平均粒子径の測定>
得られたFe-Ni-Cuナノ粒子を、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JEOL-2000EX」)を用いて加速電圧200kVで観察し、得られたTEM像において無作為に抽出した100個のFe-Ni-Cuナノ粒子の粒子径(外接円の直径)を測定し、その平均値(平均粒子径)を求めた。その結果を表1~表3に示す。
<組成分析>
得られたFe-Ni-Cuナノ粒子の組成分析を、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置(株式会社リガク製「CIROS 120EOP」)を用いてICP発光分光法により行い、粒子全体に対するFe、Ni及びCuの含有量を求めた。これらの結果を表1~表3に示す。また、得られた結果に基づいて、全金属含有量に対するCu含有量の割合及びFeとNiとの合計含有量に対するNiの含有量の割合(Ni/(Fe+Ni)質量比)を算出した。これらの結果も表1~表3に示す。
<飽和磁化の測定>
得られたFe-Ni-Cuナノ粒子に80%H/20%Ar混合ガス中、300℃で2時間の熱処理を施して有機被膜を除去した後、飽和磁化を、振動試料型磁力計(株式会社玉川製作所製「TM-VSM311483-HGC」)を用いて室温、最大磁場20kOeの条件で測定した。その結果を表2に示す。
〔圧粉磁心の作製〕
先ず、前記Fe-Ni-Cuナノ粒子5gとシリカコート剤(株式会社高純度化学研究所製「Si-05S」)5mlとを混合し、さらに、エタノール(富士フィルム和光純薬株式会社製)10mlを添加した後、3周波超音波洗浄器(アズワン株式会社製「VS-100III」)を用いてエタノール中に前記Fe-Ni-Cuナノ粒子を均一に分散させた。得られた分散液からロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、表面に前記シリカコート剤が付着した前記Fe-Ni-Cuナノ粒子を得た。このナノ粒子を、酸素を2%含む窒素雰囲気中、300℃で2時間加熱して、シリカ被覆Fe-Ni-Cuナノ粒子を得た。
次に、このシリカ被覆Fe-Ni-Cuナノ粒子4.975gとフマル酸ステアリルナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)0.025gとを混合し、さらに、乳鉢で30分間破砕混合した。得られた破砕混合物を、グリース(株式会社ミスミ製「M-HGSSC-H500」)を塗布したリング試験片用金型(外径14mmφ、内径10mmφ)に充填し、手動油圧真空加熱プレス(井元製作所「IMC-1823型改」)を用いて、真空中、1.2GPaに加圧しながら300℃で1分間加熱した。加圧を停止した後、室温まで冷却して磁性ナノ粒子成形体を金型から取り出し、圧粉磁心を得た。
<比透磁率の測定>
得られた圧粉磁心を真空中、500℃で加熱して、リング試験片を得た。このリング試験片にポリアミドイミド被覆銅線を巻き付けて励磁コイル(15回巻き)と検出コイル(15回巻き)とを形成し、B-Hアナライザ(岩崎通信機株式会社製「SY-8232」)を用いて信号振幅160A/mの条件で透磁率を測定し、比透磁率μ’を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例2)
Cu(acac)の添加量を4mmolに、Fe-Ni-Cuナノ粒子調製時のオレイルアミンの量を566mmolに、Fe(acac)の添加量を13mmolに変更した以外は実施例1と同様にして、Fe-Ni-Cuナノ粒子を調製し、さらに、圧粉磁心を作製した。
実施例1と同様にして、得られたFe-Ni-Cuナノ粒子について、平均粒子径を測定し、組成分析を行った。また、実施例1と同様にして、得られた圧粉磁心を用いてリング試験片を作製し、比透磁率を求めた。これらの結果を表1に示す。
(実施例3)
Cu(acac)の添加量を0.7mmolに、Fe-Ni-Cuナノ粒子調製時のオレイルアミンの量を548mmolに変更した以外は実施例1と同様にして、Fe-Ni-Cuナノ粒子を調製し、さらに、圧粉磁心を作製した。
実施例1と同様にして、得られたFe-Ni-Cuナノ粒子について、平均粒子径を測定し、組成分析を行った。また、実施例1と同様にして、得られた圧粉磁心を用いてリング試験片を作製し、比透磁率を求めた。これらの結果を表1に示す。
(比較例1)
Cu(acac)を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、Fe-Niナノ粒子を調製し、さらに、圧粉磁心を作製した。
実施例1と同様にして、得られたFe-Niナノ粒子について、平均粒子径を測定し、組成分析を行った。また、実施例1と同様にして、得られた圧粉磁心を用いてリング試験片を作製し、比透磁率を求めた。これらの結果を表1に示す。
Figure 0007197836000001
表1に示した結果に基づいて、Cu含有量の割合に対してFe-Ni-Cuナノ粒子の平均粒子径をプロットした。その結果を図1に示す。図1に示したように、Fe-Niナノ粒子にCuを配合することによって、Fe-Ni系ナノ粒子の平均粒子径が小さくなることがわかった。また、全金属含有量に対するCu含有量の割合の増加とともに、Fe-Ni-Cuナノ粒子の平均粒子径が小さくなることもわかった。
また、表1に示した結果に基づいて、Cu含有量の割合に対して圧粉磁心の比透磁率をプロットした。その結果を図2に示す。図2に示したように、Fe-Niナノ粒子にCuを配合することによって、圧粉磁心の比透磁率が大きくなることがわかった。また、全金属含有量に対するCu含有量の割合の増加とともに、圧粉磁心の比透磁率が増大することがわかった。
(実施例4)
Cu(acac)の添加量を9mmolに、Fe(acac)の添加量を17mmolに、Fe-Ni-Cuナノ粒子調製時のオレイルアミンの量を562mmolに変更した以外は実施例1と同様にして、Fe-Ni-Cuナノ粒子を調製し、さらに、圧粉磁心を作製した。
実施例1と同様にして、得られたFe-Ni-Cuナノ粒子について、平均粒子径及び飽和磁化を測定し、組成分析を行った。また、実施例1と同様にして、得られた圧粉磁心を用いてリング試験片を作製し、比透磁率を求めた。これらの結果を表2に示す。
(実施例5)
Cu(acac)の添加量を7mmolに、Fe(acac)の添加量を6mmolに、Fe-Ni-Cuナノ粒子調製時のオレイルアミンの量を524mmolに変更した以外は実施例1と同様にして、Fe-Ni-Cuナノ粒子を調製し、さらに、圧粉磁心を作製した。
実施例1と同様にして、得られたFe-Ni-Cuナノ粒子について、平均粒子径及び飽和磁化を測定し、組成分析を行った。また、実施例1と同様にして、得られた圧粉磁心を用いてリング試験片を作製し、比透磁率を求めた。これらの結果を表2に示す。
(比較例2)
Ni(acac)の添加量を7mmolに変更し、Fe(acac)を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、Ni-Cuナノ粒子を調製し、さらに、圧粉磁心を作製した。
実施例1と同様にして、得られたNi-Cuナノ粒子について、平均粒子径及び飽和磁化を測定し、組成分析を行った。また、実施例1と同様にして、得られた圧粉磁心を用いてリング試験片を作製し、比透磁率を求めた。これらの結果を表2に示す。
Figure 0007197836000002
表2に示した結果に基づいて、Ni/(Fe+Ni)質量比に対してFe-Ni-Cuナノ粒子の平均粒子径をプロットした。その結果を図3に示す。図3に示したように、Ni/(Fe+Ni)質量比によらず、Fe-Niナノ粒子にCuを配合することによって、Fe-Ni系ナノ粒子の平均粒子径が小さくなることがわかった。
また、表2に示した結果に基づいて、Ni/(Fe+Ni)質量比に対して圧粉磁心の比透磁率をプロットした。その結果を図4に示す。図4に示したように、Ni/(Fe+Ni)質量比が50~90質量%(好ましくは、60~80質量%)の範囲内で圧粉磁心の比透磁率が大きくなることがわかった。
さらに、表2に示した結果に基づいて、Ni/(Fe+Ni)質量比に対してFe-Ni-Cuナノ粒子の飽和磁化をプロットした。その結果を図5に示す。図5に示したように、Fe-Ni-Cuナノ粒子はNi-Cuナノ粒子に比べて飽和磁性が高くなることがわかった。また、Ni/(Fe+Ni)質量比の減少(すなわち、Fe含有量の増加)とともに、Fe-Ni-Cuナノ粒子の飽和磁化が増大することがわかった。
(比較例3)
Cu(acac)の代わりに塩化スズ(II)(富士フィルム和光純薬株式会社製)8mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、Fe-Ni-Snナノ粒子を調製し、さらに、圧粉磁心を作製した。
実施例1と同様にして、得られたFe-Ni-Snナノ粒子について、平均粒子径及び飽和磁化を測定し、組成分析を行った。また、実施例1と同様にして、得られた圧粉磁心を用いてリング試験片を作製し、比透磁率を求めた。これらの結果を表3に示す。
(比較例4)
Cu(acac)の代わりに炭酸銀(富士フィルム和光純薬株式会社製)8mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、Fe-Ni-Agナノ粒子を調製し、さらに、圧粉磁心を作製した。
実施例1と同様にして、得られたFe-Ni-Agナノ粒子について、平均粒子径及び飽和磁化を測定し、組成分析を行った。また、実施例1と同様にして、得られた圧粉磁心を用いてリング試験片を作製し、比透磁率を求めた。これらの結果を表3に示す。
(比較例5)
Cu(acac)の代わりに塩化アルミニウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)8mmolを用いた以外は実施例1と同様にして、Fe-Ni-Alナノ粒子の調製を試みたが、Fe-Niナノ粒子と酸化アルミニウム粒子が生成し、Fe-Ni-Alナノ粒子は得られなかった。これは、アルミニウムが酸化されやすく、Ni-Alナノ粒子を形成する前に、酸化アルミニウムが析出したためと考えられる。
Figure 0007197836000003
表3に示したように、Fe-Niナノ粒子にSnを配合した場合(比較例3)には、平均粒子径が30nm以下のFe-Ni-Snナノ粒子を得ることは困難であった。また、Fe-Niナノ粒子にAgを配合した場合(比較例4)には、平均粒子径が1~30nmのFe-Ni-Agナノ粒子は得られたが、圧粉磁心の比透磁率は低くなった。
以上説明したように、本発明によれば、Fe-Ni系ナノ粒子を含有し、高い透磁率を有する圧粉磁心を得ることが可能となる。したがって、本発明の圧粉磁心は、変圧器(トランス)、電動機(モータ)、発電機、スピーカ、誘導加熱器、各種アクチュエータ等の電磁気を利用した製品のコア材等として有用である。

Claims (2)

  1. 平均粒子径が1~30nmであり、全金属含有量に対するCu含有量が1~30質量%であり、FeとNiとの合計含有量に対するNiの含有量が55~85質量%であるFe-Ni-Cuナノ粒子を含有することを特徴とする圧粉磁心。
  2. 前記Fe-Ni-Cuナノ粒子の表面が有機酸及び有機アミンからなる群から選択される少なくとも1種の被覆剤で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心。
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