JP7197060B1 - 脳波検出用電極及び脳波測定装置 - Google Patents

脳波検出用電極及び脳波測定装置 Download PDF

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Abstract

脳波検出用電極(50)は、柱状の基部(51)(土台部)と、弾性体であって、前記基部(51)の一端の面(突起形成面(52))に垂直に設けられた複数の多角錐形状の突起部(60)(凸部)と、前記突起部(60)の先端部分に設けられた電極部(80)と、を有し、前記多角錐形状の底面の幅Dと前記多角錐形状の高さHとの比AsであるH/Dが1.2以上2.0以下である。

Description

本発明は、脳波検出用電極及び脳波測定装置に関する。
これまで脳波検出用電極に関して様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1や特許文献2に記載の技術が知られている。
特許文献1の生体電極(脳波検出用電極)は、丸みを帯びた尖端を有する柱状の形状を有する導電性ゴムの電極部材を備える。
特許文献2に開示の脳波測定用電極(脳波検出用電極)は、基底部と、前記基底部から突出して設けられた、ゴムからなる突出部と、前記突出部の先端に設けられ、前記脳波測定用電極の外部と電気的に接続され、前記脳波の測定時に頭皮に接触する、金属からなる接触部と、を備える。
国際公開第2018/230445号 特許第5842198号公報
一般に、脳波測定用電極の電極部と頭皮との接触面積が大きいほど、きれいな脳波取得性の向上が図られる。特許文献1や2の技術では、円柱形状または円錐形状(先端部分が切り取られた形状も含む)の突出部(凸部)の先端部分に電極部が設けられる構造となっている。この種の構造では、電極を頭部に押し付けるにつれて、座屈等の変形が生じたり、電極-頭皮の接触面に滑りが発生してその過程で電極と髪が干渉するケースがあって、それらを解消可能な新たな技術が求められていた。
本発明はこのような状況に鑑みなされたものであって、突出部(凸部)の先端部分に電極部が設けられるような脳波測定用電極において、頭皮に突出部を押しつけるときに、変形を抑制することができ、変形した場合でも電極と頭皮との間の接触状態を適切に維持することができる技術を提供することを目的とする。
本発明によれば、
柱状の土台部と、
弾性体であって、前記土台部の一端の面に垂直に設けられた複数の多角錐形状の凸部と、
前記凸部の先端部分に設けられた電極部と、
を有し、
前記多角錐形状の底面の幅Dと前記多角錐形状の高さHとの比AsであるH/Dが1.2以上2.0以下である、脳波検出用電極が提供される。
本発明によれば、上記の脳波検出用電極を備える脳波測定装置が提供される。
本発明によれば、突出部の先端部分に電極部が設けられるような脳波測定用電極において、頭皮に突出部を押しつけるときに、変形を抑制することができ、変形した場合でも電極-頭皮の接触状態を適切に維持することができる技術を提供することができる。
実施形態に係る、人の頭部に装着した状態の脳波測定装置を模式的に示す図である。 実施形態に係る、フレームの斜視図である。 実施形態に係る、脳波電極ユニットの正面図である。 実施形態に係る、脳波検出用電極の平面図である。 実施形態に係る、ふたつの突起部を横(周方向側)から見た図である。 実施形態に係る、突起部が六角錐である脳波検出用電極の平面図である。 実施形態に係る、突起部の変形状態をシミュレーションした図である。 実施形態に係る、従来タイプの突起部の変形状態をシミュレーションした図である。
<概要>
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は人の頭部99に装着した状態の脳波測定装置1を模式的に示す図である。
脳波測定装置1は、人の頭部99に装着され、脳波を生体からの電位変動として検出し、検出した脳波を脳波表示装置(図示せず)に出力する。脳波表示装置は、脳波測定装置1が検出した脳波を取得して、モニタ表示したり、データ保存したり、周知の脳波解析処理を行う。
<脳波測定装置1の構造>
図1に示すように、脳波測定装置1は、複数の脳波電極ユニット10と、フレーム20と、を有する。本実施形態では、脳波電極ユニット10は、5ch分(5個)設けられている。
<フレーム20の構造>
図2にフレーム20の斜視図を示す。フレーム20は、例えばポリアミド樹脂のような硬質部材で帯状に、かつ人間の頭部99の形状に沿うように湾曲して形成されている。
フレーム20には、脳波電極ユニット10を取り付けるための開孔として電極ユニット取付部21が5カ所設けられている。電極ユニット取付部21の位置(すなわち脳波電極ユニット10の取付位置)は、国際10-20電極配置法におけるT3、C3、Cz、C4、T4の位置に対応する。
電極ユニット取付部21の内周面は螺刻されており、脳波電極ユニット10がその胴部11の螺刻部13(図3参照)により螺着する。脳波電極ユニット10をネジ込む量を調整することで、頭部99側への突き出し量を調整し、頭部99(頭皮)との接触量・接触圧をコントロールする。また、脳波電極ユニット10をネジ込む動作により、毛髪を掻き分ける。
<脳波電極ユニット10の構造>
図3に脳波電極ユニット10の正面図を示す。脳波電極ユニット10は、略円柱状の胴部11と、その一端側(図中下側)に設けられた脳波検出用電極50とを有する。
胴部11は、信号取出部12と、螺刻部13と、電極固定部14とを一体に有する。
螺刻部13は、円柱形状の側面に螺刻した形状である。螺刻部13の一端(図中上側)に信号取出部12が設けられている。信号取出部12には信号出力端子が設けられるとともに、脳波電極ユニット10をフレーム20に螺着する際に作業者によって必要に応じて所定の治具を用いて操作される。螺刻部13の他端(図中下側)には、螺刻部13より小径の円柱状の電極固定部14が設けられている。電極固定部14に脳波検出用電極50が取り付けられる。
<脳波検出用電極50の構造>
図4は脳波検出用電極50の突起部60の平面図であって、突起部60の先端側(図示で下側)から見た図である。図5は二つの突起部60を横(周方向側)から見た図である。
脳波検出用電極50は、基部51と、突起部60と、電極部80とを有する。基部51と突起部60は、ゴム状の弾性体によって一体に設けられている。弾性体の具体的な材料については後述する。なお、基部51と突起部60とは一体に設けられる構成に限らず、別体に設けたものを接着剤や嵌合構造により組み付けた構成でもよい。
基部51や突起部60の硬度Eが15以上55以下であるゴム状の弾性体である場合、突起部60が被験者の頭部99に押し当てられた際に、座屈等の不適切な変形が抑制され接触圧を適正に保つことができ、また、押し当てる圧力が強すぎて被験者に不快を与えることを抑制できる。
基部51は、略円柱形状であって、一端が円形状の突起形成面52、他端が円形状の取付面53となっている。取付面53が、胴部11の電極固定部14に接着剤等により取り付けられる。なお、取付面53と電極固定部14の固定構造として、凹凸形状による嵌合構造が用いられてもよい。
脳波検出用電極50の外径、すなわち突起形成面52の直径は、例えば10mm以上30mm以下である。
<突起部60の構造>
突起形成面52には、複数の突起部60が垂直に設けられているとともに、整列配置されている。本実施形態では、図4に示すように、7個の四角錐の突起部60が、突起形成面52から一体に延出して設けられている。なお、図6に、突起部60Aが六角錐の脳波検出用電極50Aを示す。
本実施形態の突起部60は、多角錐形状であって、底面が突起形成面52との境界となっている。多角錐形状の頂点が、突起部60の先端部分65となっている。本実施形態では、図4に示すように、突起部60は四角錐であり、より具体的には、底面が正方形であって頂点である先端部分65から底面(すなわち突起形成面52)への垂線が底面の重心を通る方錐であって、いわゆる「ピラミッド型」となっている。特に、多角錐形状の四角錐の場合、複数の突起部60の配置設計が容易であり、また、頭部99に押しつけた際の変形状態を予測しやすい。すなわち、脳波測定を安定的に行える。
隣接する突起部60の底面である多角形同士が接しており、隙間無く配置されている。突起部60の配置全体が回転対称となることが好ましい。これによって、脳波検出用電極50を有する脳波電極ユニット10をフレーム20に取り付けたときに、取り付け状態(すなわちネジ嵌合での回転位置)によらず頭部99への接触状態を適切に調整できる。
突起部60の数Nは4以上30以下である。下限は、好ましくは5以上であり、より好ましくは7以上である。上限は、好ましくは25以下であり、より好ましくは20以下であり、さらに好ましくは12以下である。本実施形態では、突起部60の数Nは7である。突起部60の数Nを上記範囲とすることで、頭部99への接触状態を適切に調整できる。突起部60の数Nが小さすぎる場合、フレーム20に取り付けられている脳波電極ユニット10を回転させて頭部99への当接状態を調整するときに、きめ細かな調整が難しくなる。一方、突起部60の数Nが大きすぎる場合、突起部60が細くなって、突起部60が頭部99へ押し当てられたときに座屈等の変形が大きくなり、適切な脳波測定が難しくなる。また、突起部60の数Nが大きすぎる場合、頭部99への押し当てる力が強く感じられて、短時間で痛みとなって感じられたり、接触感が強く感じられることもある。このような観点から、上記範囲とすることで脳波測定を安定させることができる。
突起部60の幅D(すなわち多角錐形状の底面の幅)は、例えば、2mm以上5mm以下である。下限は、好ましくは2.5mm以上であり、より好ましくは2.7mm以上である。上限は、好ましくは4.5mm以下であり、より好ましくは4.0mm以下である。突起部60の幅Dをこのような範囲とすることで、突起形成面52に適正数量の突起部60を配置することができる。
突起部60の高さHは、0.5mm以上20mm以下である。下限は、好ましくは2mm以上、より好ましくは4mm以上である。上限は好ましくは15mm以下であり、より好ましくは10mm以下である。突起部60の高さHをこの様な範囲とすることで、脳波検出用電極50を頭部99に押し当てた際に、押し当てる力が小さいのに突起部60が座屈等の変形をしてしまうことを防止でき、適切な接触状態を実現できる。
突起部60が呈する多角錐形状の底面の幅Dと、突起部60の高さHとの比As=H/Dが1.2以上2.0以下である。下限は、好ましくは1.3以上であり、より好ましくは1.35以上である。上限は、好ましくは1.8以下であり、より好ましくは1.4以下である。突起部60の高さHとの比Asをこの様な範囲とすることで、脳波検出用電極50を頭部99に押し当てた際に、押し当てる力が小さいのに突起部60が座屈等の変形をしてしまうことを防止でき、適切な接触状態を実現できる。特に、幅Dと高さHを上記範囲としつつ、それらの比Asを上記範囲とすることで、好適な接触状態を実現できる。
隣接する突起部60の先端部分65同士の最短距離Lが2mm以上5mm以下である。
下限は、好ましくは2.5mm以上であり、より好ましくは2.7mm以上である。上限は、好ましくは4.5mm以下であり、より好ましくは4.0mm以下である。電極部80が設けられている先端部分65同士の最短距離Lをこのような範囲とすることで、最適な接触位置に電極部80を接触させて脳波測定が可能となる。また、毛髪を円滑にかき分けることができ、毛髪が電極部80と頭皮との間に入ってしまうことを防止できる。
<信号線69の構造>
突起部60の内部には、電極部80に接続する導電性の信号線69(図5において破線で示す)が設けられている。信号線69は、突起部60の内部を導通する態様であれば各種の配置構造を採用し得る。例えば、信号線69の先端は、突起部60の先端部分65から下側に向けての所定領域(電極形成面)に対して、突出した構造、略同一面上となる構造、埋没した構造のいずれでもよい。電極部80との接続安定性の観点から、突出した構造を用いてもよい。信号線69の先端の突出部分は、一部または全体が電極部80で覆われている。
信号線69の先端の突出構造は、折り返し無し、折り返し有り、突起部60の先端部の表面に巻き付ける構造が採用し得る。また、信号線69の延在方向は特に限定せず、突起形成面52から延びる垂線と一致せず、垂線に対して傾斜してもよい。
<脳波検出用電極50の材料>
脳波検出用電極50の材料について説明する。脳波検出用電極50(基部51及び突起部60)は、上述のようにゴム状の弾性体である。ゴム状の弾性体として、具体的にはゴムや熱可塑性エラストマー(単に「エラストマー(TPE)」ともいう)である。ゴムとしては、例えばシリコーンゴムがある。熱可塑性エラストマーとして、例えば、スチレン系TPE(TPS)、オレフィン系TPE(TPO)、塩化ビニル系TPE(TPVC)、ウレタン系TPE(TPU)、エステル系TPE(TPEE)、アミド系TPE(TPAE)などがある。
脳波検出用電極50がシリコーンゴムである場合、37℃、JIS K 6253(1997)に準拠して測定される、脳波検出用電極50の表面(突起部60や基部51)におけるタイプAデュロメータ硬さをゴム硬度Eとしたとき、ゴム硬度Eが、例えば、15以上55以下であり、より好ましくは25以上30以下である。下限は、好ましくは26以上であり、より好ましくは27以上である。上限は、好ましくは29以下であり、より好ましくは28以下である。
ここで、上記シリコーンゴム系硬化性組成物について説明する。
上記シリコーンゴムは、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成することができる。シリコーンゴム系硬化性樹脂組成物の硬化工程は、例えば、100~250℃で1~30分間加熱(1次硬化)した後、100~200℃で1~4時間ポストベーク(2次硬化)することによって行われる。
絶縁性シリコーンゴムは、導電性フィラーを含まないシリコーンゴムであり、導電性シリコーンゴムは導電性フィラーを含むシリコーンゴムである。
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を含むことができる。ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物の主成分となる重合物である。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを含んでもよい。同種のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンとは、少なくとも官能基が同じビニル基を含み、直鎖状を有していればよく、分子中のビニル基量や分子量分布、あるいはその添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるビニル基含有オルガノポリシロキサンをさらに含んでもよい。
上記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、直鎖構造を有するビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を含むことができる。
上記ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、直鎖構造を有し、かつ、ビニル基を含有しており、かかるビニル基が硬化時の架橋点となる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)のビニル基の含有量は、特に限定されないが、例えば、分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ15モル%以下であるのが好ましく、0.01~12モル%であるのがより好ましい。これにより、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中におけるビニル基の量が最適化され、後述する各成分とのネットワークの形成を確実に行うことができる。本実施形態において、「~」は、その両端の数値を含むことを意味する。
なお、本明細書中において、ビニル基含有量とは、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する全ユニットを100モル%としたときのビニル基含有シロキサンユニットのモル%である。ただし、ビニル基含有シロキサンユニット1つに対して、ビニル基1つであると考える。
また、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の重合度は、特に限定されないが、例えば、好ましくは1000~10000程度、より好ましくは2000~5000程度の範囲内である。なお、重合度は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の比重は、特に限定されないが、0.9~1.1程度の範囲であるのが好ましい。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、上記のような範囲内の重合度および比重を有するものを用いることにより、得られるシリコーンゴムの耐熱性、難燃性、化学的安定性等の向上を図ることができる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、特に、下記式(1)で表される構造を有するものであるが好ましい。
Figure 0007197060000001
式(1)中、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
また、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
さらに、式(1)中のRおよびRの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(1)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。さらに、R、およびRについても同様である。
さらに、m、nは、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは0~2000の整数、nは1000~10000の整数である。mは、好ましくは0~1000であり、nは、好ましくは2000~5000である。
また、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の具体的構造としては、例えば下記式(1-1)で表されるものが挙げられる。
Figure 0007197060000002
式(1-1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはビニル基であり、少なくとも一方がビニル基である。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、ビニル基含有量が分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ0.4モル%以下である第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、ビニル基含有量が0.5~15モル%である第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを含有するものであるのが好ましい。シリコーンゴムの原料である生ゴムとして、一般的なビニル基含有量を有する第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、ビニル基含有量が高い第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせることで、ビニル基を偏在化させることができ、シリコーンゴムの架橋ネットワーク中に、より効果的に架橋密度の疎密を形成することができる。その結果、より効果的にシリコーンゴムの引裂強度を高めることができる。
具体的には、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、例えば、上記式(1-1)において、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、分子内に2個以上有し、かつ0.4モル%以下を含む第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、0.5~15モル%含む第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを用いるのが好ましい。
また、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)は、ビニル基含有量が0.01~0.2モル%であるのが好ましい。また、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)は、ビニル基含有量が、0.8~12モル%であるのが好ましい。
さらに、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせて配合する場合、(A1-1)と(A1-2)の比率は特に限定されないが、例えば、重量比で(A1-1):(A1-2)が50:50~95:5であるのが好ましく、80:20~90:10であるのがより好ましい。
なお、第1および第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)および(A1-2)は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、分岐構造を有するビニル基含有分岐状オルガノポリシロキサン(A2)を含んでもよい。
<<オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、架橋剤を含んでもよい。架橋剤は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を含むことができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)とに分類され、これらのうちのいずれか一方または双方を含むことができる。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種の架橋剤を含んでもよい。同種の架橋剤とは、少なくとも直鎖構造や分岐構造などの共通の構造を有していればよく、分子中の分子量分布や異なる官能基が含まれていてもよく、その添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なる架橋剤をさらに含んでもよい。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖構造を有し、かつ、Siに水素が直接結合した構造(≡Si-H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分が有するビニル基とヒドロシリル化反応し、これらの成分を架橋する重合体である。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子量は特に限定されないが、例えば、重量平均分子量が20000以下であるのが好ましく、1000以上、10000以下であることがより好ましい。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の重量平均分子量は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算により測定することができる。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
以上のような直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)としては、例えば、下記式(2)で表される構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 0007197060000003
式(2)中、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
なお、式(2)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。Rについても同様である。ただし、複数のRおよびRのうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。
また、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
なお、式(2)中のR,R,Rの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、分子内の架橋反応を防止する観点から、メチル基が好ましい。
さらに、m、nは、式(2)で表される直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは2~150整数、nは2~150の整数である。好ましくは、mは2~100の整数、nは2~100の整数である。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有するため、架橋密度が高い領域を形成し、シリコーンゴムの系中の架橋密度の疎密構造形成に大きく寄与する成分である。また、上記直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)同様、Siに水素が直接結合した構造(≡Si-H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分のビニル基とヒドロシリル化反応し、これら成分を架橋する重合体である。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の比重は、0.9~0.95の範囲である。
さらに、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)としては、下記平均組成式(c)で示されるものが好ましい。
平均組成式(c)
(H(R3-aSiO1/2(SiO4/2
(式(c)において、Rは一価の有機基、aは1~3の範囲の整数、mはH(R3-aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である)
式(c)において、Rは一価の有機基であり、好ましくは、炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
式(c)において、aは、ヒドリド基(Siに直接結合する水素原子)の数であり、1~3の範囲の整数、好ましくは1である。
また、式(c)において、mはH(R3-aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は分岐状構造を有する。直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、その構造が直鎖状か分岐状かという点で異なり、Siの数を1とした時のSiに結合するアルキル基Rの数(R/Si)が、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)では1.8~2.1、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)では0.8~1.7の範囲となる。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有しているため、例えば、窒素雰囲気下、1000℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の残渣量が5%以上となる。これに対して、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖状であるため、上記条件で加熱した後の残渣量はほぼゼロとなる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の具体例としては、下記式(3)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 0007197060000004
式(3)中、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基、もしくは水素原子である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(3)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
また、式(3)中、「-O-Si≡」は、Siが三次元に広がる分岐構造を有することを表している。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)において、Siに直接結合する水素原子(ヒドリド基)の量は、それぞれ、特に限定されない。ただし、シリコーンゴム系硬化性組成物において、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中のビニル基1モルに対し、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の合計のヒドリド基量が、0.5~5モルとなる量が好ましく、1~3.5モルとなる量がより好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)および分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)と、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)との間で、架橋ネットワークを確実に形成させることができる。
<<シリカ粒子(C)>>
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、非導電性フィラーを含む。非導電性フィラーは、必要に応じ、シリカ粒子(C)を含んでもよい。これにより、エラストマーの硬さや機械的強度の向上を図ることができる。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種の非導電性フィラーを含んでもよい。同種の非導電性フィラーとは、少なくとも共通の構成材料を有していればよく、粒子径、比表面積、表面処理剤、又はその添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるシランカップリング剤をさらに含んでもよい。
シリカ粒子(C)としては、特に限定されないが、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ等が用いられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ粒子(C)は、例えば、BET法による比表面積が例えば50~400m/gであるのが好ましく、100~400m/gであるのがより好ましい。また、シリカ粒子(C)の平均一次粒径は、例えば1~100nmであるのが好ましく、5~20nm程度であるのがより好ましい。
シリカ粒子(C)として、かかる比表面積および平均粒径の範囲内であるものを用いることにより、形成されるシリコーンゴムの硬さや機械的強度の向上、特に引張強度の向上をさせることができる。
<<シランカップリング剤(D)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことができる。
シランカップリング剤(D)は、加水分解性基を有することができる。加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(C)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(C)の表面改質を行うことができる。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種のシランカップリング剤を含んでもよい。同種のシランカップリング剤とは、少なくとも共通の官能基を有していればよく、分子中の他の官能基や添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるシランカップリング剤をさらに含んでもよい。
また、このシランカップリング剤(D)は、疎水性基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にこの疎水性基が付与されるため、シリコーンゴム系硬化性組成物中ひいてはシリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)の凝集力が低下(シラノール基による水素結合による凝集が少なくなる)し、その結果、シリコーンゴム系硬化性組成物中のシリカ粒子(C)の分散性が向上すると推測される。これにより、シリカ粒子(C)とゴムマトリックスとの界面が増加し、シリカ粒子(C)の補強効果が増大する。さらに、ゴムのマトリックス変形の際、マトリックス内でのシリカ粒子(C)の滑り性が向上すると推測される。そして、シリカ粒子(C)の分散性の向上及び滑り性の向上によって、シリカ粒子(C)によるシリコーンゴムの機械的強度(例えば、引張強度や引裂強度など)が向上する。
さらに、シランカップリング剤(D)は、ビニル基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にビニル基が導入される。そのため、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化の際、すなわち、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)が有するビニル基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とがヒドロシリル化反応して、これらによるネットワーク(架橋構造)が形成される際に、シリカ粒子(C)が有するビニル基も、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とのヒドロシリル化反応に関与するため、ネットワーク中にシリカ粒子(C)も取り込まれるようになる。これにより、形成されるシリコーンゴムの低硬度化および高モジュラス化を図ることができる。
シランカップリング剤(D)としては、疎水性基を有するシランカップリング剤およびビニル基を有するシランカップリング剤を併用することができる。
シランカップリング剤(D)としては、例えば、下記式(4)で表わされるものが挙げられる。
-Si-(X)4-n・・・(4)
上記式(4)中、nは1~3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
疎水性基は、炭素数1~6のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が挙げられ、中でも、特に、メチル基が好ましい。
また、親水性基は、例えば、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基またはカルボニル基等が挙げられ、中でも、特に、水酸基が好ましい。なお、親水性基は、官能基として含まれていてもよいが、シランカップリング剤(D)に疎水性を付与するという観点からは含まれていないのが好ましい。
さらに、加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、クロロ基またはシラザン基等が挙げられ、中でも、シリカ粒子(C)との反応性が高いことから、シラザン基が好ましい。なお、加水分解性基としてシラザン基を有するものは、その構造上の特性から、上記式(4)中の(Y-Si-)の構造を2つ有するものとなる。
上記式(4)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例は、次の通りである。
上記官能基として疎水性基を有するものとして、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、及びトリメチルエトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
上記官能基としてビニル基を有するものとして、例えば、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランのようなアルコキシシラン;ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランのようなクロロシラン;ジビニルテトラメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びビニルメチルジメトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
またシランカップリング剤(D)がトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤およびビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤の2種を含む場合、疎水性基を有するものとしてはヘキサメチルジシラザン、ビニル基を有するものとしてはジビニルテトラメチルジシラザンを含むことが好ましい。
トリメチルシリル基を有するシランカップリング剤(D1)およびビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤(D2)を併用する場合、(D1)と(D2)の比率は、特に限定されないが、例えば、重量比で(D1):(D2)が、1:0.001~1:0.35、好ましくは1:0.01~1:0.20、より好ましくは1:0.03~1:0.15である。このような数値範囲とすることにより、所望のシリコーンゴムの物性を得ることができる。具体的には、ゴム中におけるシリカの分散性およびゴムの架橋性のバランスを図ることができる。
本実施形態において、シランカップリング剤(D)の含有量の下限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、シランカップリング剤(D)の含有量上限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対して、100質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
シランカップリング剤(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、エラストマーを含む柱状部と導電性樹脂層との密着性を高めることができる。また、シリコーンゴムの機械的強度の向上に資することができる。また、シランカップリング剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、シリコーンゴムが適度な機械特性を持つことができる。
<<白金または白金化合物(E)>
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、触媒を含んでもよい。触媒は、白金または白金化合物(E)を含むことができる。白金または白金化合物(E)は、硬化の際の触媒として作用する触媒成分である。白金または白金化合物(E)の添加量は触媒量である。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種の触媒を含んでもよい。同種の触媒とは、少なくとも共通の構成材料を有していればよく、触媒中に異なる組成が含まれていてもよく、その添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なる触媒をさらに含んでもよい。
白金または白金化合物(E)としては、公知のものを使用することができ、例えば、白金黒、白金をシリカやカーボンブラック等に担持させたもの、塩化白金酸または塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンの錯塩、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩等が挙げられる。
なお、白金または白金化合物(E)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、シリコーンゴム系硬化性組成物中における白金または白金化合物(E)の含有量は、触媒量を意味し、適宜設定することができるが、具体的にはビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シリカ粒子(C)、シランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して、白金族金属が重量単位で0.01~1000ppmとなる量であり、好ましくは、0.1~500ppmとなる量である。
白金または白金化合物(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、シリコーンゴム系硬化性組成物が適切な速度で硬化することが可能となる。また、白金または白金化合物(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、製造コストの削減に資することができる。
<<水(F)>>
また、本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物には、上記成分(A)~(E)以外に、水(F)が含まれていてもよい。
水(F)は、シリコーンゴム系硬化性組成物に含まれる各成分を分散させる分散媒として機能するとともに、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)との反応に寄与する成分である。そのため、シリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)とを、より確実に互いに連結したものとすることができ、全体として均一な特性を発揮することができる。
(その他の成分)
さらに、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、上記(A)~(F)成分以外に、他の成分をさらに含むことができる。この他の成分としては、例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等のシリカ粒子(C)以外の無機充填材、反応阻害剤、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等の添加剤が挙げられる。
本実施形態に係る導電性溶液(導電性シリコーンゴム組成物)は、導電性フィラーを含まない上記シリコーンゴム系硬化性組成物に加えて、上記導電性フィラーおよび溶剤を含むものである。
上記溶剤としては、公知の各種溶剤を用いることができるが、例えば、高沸点溶剤を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記溶剤の一例としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、トリフルオロメチルベンゼン、ベンゾトリフルオリドなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタンなどのハロアルカン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド類などを例示することができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記導電性溶液は、溶液中の固形分量などを調整することで、スプレー塗布やディップ塗布等の各種の塗布方法に適切な粘度を備えることができる。
また、上記導電性溶液が上記導電性フィラーおよび上記シリカ粒子(C)を含む場合、突起部60が含むシリカ粒子(C)の含有量の下限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上とすることができる。これにより、突起部60の機械的強度を向上させることができる。一方で、上記突起部60が含むシリカ粒子(C)の含有量の上限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。これにより、突起部60における導電性と機械的強度や柔軟性とのバランスを図ることができる。
導電性溶液を必要に応じて加熱乾燥することで、導電性シリコーンゴムが得られる。
導電性シリコーンゴムは、シリコーンオイルを含まない構成であってもよい。これにより、突起部60の表面にシリコーンオイルがブリードアウトすることで導通性が低下することを抑制できる。
<信号線69の材料>
信号線69は、公知のものを使用することができるが、例えば、導電繊維で構成され得る。導電繊維としては、金属繊維、金属被覆繊維、炭素繊維、導電性ポリマー繊維、導電性ポリマー被覆繊維、および導電ペースト被覆繊維からなる群から選択される一種以上を用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記金属繊維、金属被覆繊維、の金属材料は、導電性を有するものであれば限定されないが、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、ステンレス、アルミニウム、銀/塩化銀およびこれらの合金等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、導通性の観点から、銀を用いることができる。また、金属材料は、クロム等の環境に負荷を与える金属を含まないことが好ましい。
上記金属被覆繊維、導電性ポリマー被覆繊維、導電ペースト被覆繊維の繊維材料は、特に限定されないが、合成繊維、半合成繊維、天然繊維のいずれでもよい。これらの中でも、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、絹および綿等を用いることが好ましい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記炭素繊維は、例えば、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。
上記導電性ポリマー繊維および導電性ポリマー被覆繊維の導電性ポリマー材料は、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリナフタレン、及びこれらの誘導体等の導電性高分子およびバインダ樹脂の混合物、あるいは、PEDOT-PSS((3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホン酸))等の導電性高分子の水溶液が用いられる。
上記導電ペースト被覆繊維の導電ペーストに含まれる樹脂材料は特に限定されないが伸縮性を有することが好ましく、例えばシリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、およびエチレンプロピレンゴムからなる群から選択される一種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記導電ペースト被覆繊維の導電ペーストに含まれる導電性フィラーは特に限定されないが、公知の導電材料を用いてもよいが、金属粒子、金属繊維、金属被覆繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー、導電性ポリマー被覆繊維および金属ナノワイヤーからなる群から選択される一種以上を含むことができる。
上記導電性フィラーを構成する金属は、特に限定はされないが、例えば、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銀/塩化銀、或いはこれらの合金のうち少なくとも一種類、あるいは、これらのうちの二種以上を含むことができる。この中でも、導電性の高さや入手容易性の高さから、銀または銅が好ましい。
上記信号線69が、線状の導電繊維を複数本撚り合わせた撚糸で構成されてもよい。これにより、変形時における信号線69の断線を抑制できる。
本実施形態において、導電繊維における被覆とは、単に繊維材料の外表面を覆うことのみならず、単繊維を撚り合わせた撚糸などの場合は、その撚糸の中の繊維間隙に金属、導電性ポリマー、または導電ペーストが含浸し、撚糸を構成する単繊維を1本毎に被覆するものを含む。
信号線69の引張破断伸度は、例えば、1%以上~50%以下、好ましくは1.5%以上~45%である。このような数値範囲内とすることで、変形時の破断を抑制しつつも、突起部60の過度な変形を抑制できる。
<電極部80の材料>
電極部80の導電部材は、例えば、良導性金属を含むペーストである。良導性金属は、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、或いはこれらの合金からなる群から選択される一種以上を含む。特に、入手性や導電性の観点から、銀や塩化銀、銅が好適である。
良導性金属を含むペーストで電極部80を形成する場合は、ゴム状の弾性体でできた突起部60の頂部を、良導性金属を含むペースト状の導電性溶液にディップ(浸漬塗布)する。これにより、突起部60の先端部分65から下側に向けての所定領域である電極形成面に電極部80が形成される。
なお、導電性フィラーおよび溶剤を含む導電性溶液を、突起部60の電極形成面に塗布することにより、導電性樹脂層としての電極部80を形成してもよい。このとき、溶剤を突起部60と同じ系統の材質(シリコーンゴム)とすることで、電極部80(導電性樹脂層)の密着性を高められる。
導電性溶液を必要に応じて加熱乾燥することで、導電性シリコーンゴムが得られる。
導電性シリコーンゴムは、シリコーンオイルを含まない構成であってもよい。電極部80の表面にシリコーンオイルがブリードアウトすることで導通性が低下することを抑制できる。
これにより、脳波測定装置1を頭部99へ装着する際の毛髪の掻き分け性能を向上させることができる。また、脳波測定装置1を装着した際の電極形成面(すなわち電極部80)の接触面積の十分な確保が可能となる。
<脳波検出用電極50の製造方法>
本実施形態の脳波検出用電極50の製造方法の一例は次の工程を含むことができる。
まず、金型を用いて、上記シリコーンゴム系硬化性組成物を加熱加圧成形し、基部51および突起部60からなる成形体を得る。続いて、得られた成形体の各突起部60の内部に、縫い針を用いて、信号線69を通す。その後得られた成形体の突起部60の電極形成面に、ペースト状の導電性溶液をディップ塗布し、加熱乾燥後、ポストキュアを行う。これにより、突起部60の電極形成面に電極部80を形成できる。
以上により、脳波検出用電極50を製造することができる。
なお、上記成形工程時において、信号線69を配置した成形空間内に、上記シリコーンゴム系硬化性組成物を導入し、加圧加熱成形するインサート成形を用いてもよい。
<突起部60の変形比較>
図7および図8に、本実施形態の突起部60の構造を有する脳波検出用電極50(図7)と、比較タイプの構造を有する脳波検出用電極(図8)とについて、頭部99に押し当てた状態を模したシミュレーションした結果を示す。ここでは平板に突起部60(電極部80)を押し当てたときの変形状態を示している。図7(a)と図8(a)が押し当てる前の状態、図7(b)と図8(b)が押し当てた状態を示している。比較タイプの突起部は、円錐形状の先端部分を平面で斜めに切り取った形状となっている。
図7(b)に示すように、本実施形態の突起部60の構造では、突起部60を押し付けた際、突起部60が真下に変形する。すなわち、突起部60が座屈して大きく折れ曲がるように変形することはない。この結果、電極部80と頭部99との接触面の滑りや毛髪との干渉が生じてしまうことを抑制できる。一方、図8に示すように、比較タイプの構造の場合、突起部(電極)を押し付けるにつれて、電極部と頭皮との接触面に滑りが発生することがあり、その過程で電極と毛髪が干渉するケースがある。
<脳波検出用電極50の特徴のまとめ>
脳波検出用電極50の特徴について、特に突起部60の構造についてまとめて説明する。
(1)脳波検出用電極50は、
柱状の基部51(土台部)と、
弾性体であって、前記基部51の一端の面(突起形成面52)に垂直に設けられた複数の多角錐形状の突起部60(凸部)と、
前記突起部60の先端部分に設けられた電極部80と、
を有し、
前記多角錐形状の底面の幅Dと前記多角錐形状の高さHとの比AsであるH/Dが1.2以上2.0以下である。
突起部60を多角錐とし、高さHとの比Asをこの様な範囲とすることで、脳波検出用電極50を頭部99に押し当てた際に、押し当てる力が小さいのに突起部60が座屈等の変形をしてしまうことを防止でき、適切な接触状態を実現できる。
(2)多角錐形状は四角錐である。
突起部60が呈する多角錐形状が四角錐の場合、複数の突起部60の配置設計が容易であり、また、頭部99に押しつけた際の変形状態を予測しやく、その結果、脳波想定を安定的に行える。
(3)前記複数の突起部60において、隣接する突起部60の底面の多角形同士が接している。
これによって、突起部本体61(電極形成面62)に多数の突起部60が配置できるとともに、突起部60が変形しすぎてしまうことを抑制できる。
(4)前記突起部60の数Nが4以上30以下である。
突起部60の数Nを上記範囲とすることで、頭部99への接触状態を適切に調整できる。
(5)隣接する前記突起部60同士の頂点(先端部65)間の最短距離Lが2mm以上5mm以下である。
先端部分65同士の最短距離Lをこのような範囲とすることで、最適な接触位置に電極部80を接触させて脳波測定が可能となる。また、毛髪を円滑にかき分けることができ、毛髪が電極部80との間に入ってしまうことを防止できる。
(6)前記弾性体(すなわち突起部60)の硬度Eは15以上55以下である。
硬度Eをこの様な範囲とすることで、変形のしにくさと、脳波検出用電極50が押し当てられたときに不快感・痛み等の抑制とのバランスをとることができる。
(7)前記突起部60と前記基部51とは一体に形成されている。
(8)脳波測定装置1は、上述の脳波検出用電極50を備える。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成(変形例)を採用することもできる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
以下の実施例では、表1に示すように、形状の異なる12種類の脳波検出用電極50を3Dプリンターで作成し、(1)変形挙動、(2)髪かき分け性、(3)短時間での痛み・接触感について評価した。表1の形状1及び2が比較例1及び2、形状3~8が実施例1~6に対応する。なお、全ての形状について、脳波検出用電極50の硬度27の材料とした。
(1)変形挙動
変形挙動(座屈しないか)については、脳波検出用電極の突起部を透明板に複数種類の力(ここでは、0N、2N、4N、6N、8N)で押し当てたときに、突起部60がどのように変形し、座屈しやすいか否かを観察して評価した。評価結果を表中の「○」「△」「×」で示す。それらの基準は次の通りである。
・〇:高荷重(6N以上)においても座屈変形しない
・△:低荷重(4N以下)では座屈しないが、高荷重(6N以上)では座屈する
・×:低荷重(4N以下)においても座屈する
評価の結果、比Asが大きいほど、低荷重でも座屈変形しやすい傾向が確認された。
(2)髪かき分け性
髪かき分け性の評価として、透明板上に模擬毛髪を置いて、突起部60の電極部80に相当する領域が模擬毛髪に干渉されるか否かを観察して評価した。評価結果を表中の「○」「△」「×」で示す。それらの基準は次の通りである。
・〇:半数以上の突起部60が髪を掻き分けて、頭皮と接触
・△:半数未満の突起部60が髪を掻き分けて、頭皮と接触
・×:すべての突起部60が髪上に載り、頭皮と接触していない
実施例1~3(形状3~5)において、髪かき分け性が良好であった。
土台部(基部51)の外径が小さい形状が、髪掻き分け性がやや良好であった。これは、土台部外径が小さいと髪が突起部60(電極部80)の外側に流れやすいと考えられる。ただし、突起部の幅Dが小さいと、同一面積中の突起部60の数Nが大きくなり、突起部60の間隔が狭く、間隔数が多くなるため、毛髪がその間隔にはまり、外側に流す性能が低下すると考えられる。
(3)短時間での痛み・接触感
変形挙動の評価で「座屈無し」の評価結果であった形状1、形状3~8(比較例1、実施例1~6)について、短時間で痛みや接触感を感じるかを評価した。評価結果を表中の「○」「△」「×」で示す。それらの基準は次の通りである。
まず、複数人により頭頂部に突起部60(電極部80)を荷重4Nで1分間押し付けた際の接触感を下記4段階で官能評価した。
1:接触感はあるが、気にならない
2:痛みは感じないが、違和感がある
3:痛みを感じるが、短時間なら耐えられる
4:痛みを感じ、短時間でも耐えられない
官能評価の平均値により「○」「△」「×」として表中に示した。
〇:1.5未満
△:1.5以上2.5未満
×:2.5以上
以上の(1)~(3)の評価を総合すると、形状3及び形状4(実施例1及び実施例2)が最も良好な評価であった。
Figure 0007197060000005
この出願は、2021年3月2日に出願された日本出願特願2021-032537号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1 脳波測定装置
10 脳波電極ユニット
20 フレーム
21 電極ユニット取付部
50 脳波検出用電極
51 基部
52 突起形成面
54 側面
60 突起部
61 突起部本体
63 突起部底面
65 先端部分
80 電極部

Claims (5)

  1. 柱状の土台部と、
    弾性体であって、前記土台部の一端の面に垂直に設けられた複数の多角錐形状の凸部と、
    前記凸部の先端部分に設けられた電極部と、
    を有し、
    前記多角錐形状の底面の幅Dと前記多角錐形状の高さHとの比AsであるH/Dが1.2以上2.0以下であって、
    前記多角錐形状は四角錐または六角錐であり、
    複数の前記凸部において、隣接する凸部の底面の多角形同士が接しており、
    隣接する前記凸部同士の頂点間の最短距離Lが2mm以上5mm以下であり、
    37℃、JIS K 6253(1997)に準拠して測定される、前記凸部の表面におけるタイプAデュロメータ硬さが15以上55以下である、脳波検出用電極。
  2. 前記凸部の高さが4mm以上6mm以下である、請求項1に記載の脳波検出用電極。
  3. 前記凸部の数Nが4以上30以下である、請求項1または2に記載の脳波検出用電極。
  4. 前記凸部と前記土台部とは一体に形成されている、請求項1からまでのいずれか1項に記載の脳波検出用電極。
  5. 請求項1からまでのいずれか1項に記載の脳波検出用電極を備える脳波測定装置。
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