JP2023083705A - 脳波測定用電極、脳波測定装置および脳波測定方法 - Google Patents

脳波測定用電極、脳波測定装置および脳波測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】頭部に凹凸や曲面が形成されている場合でも、電極を頭皮に適正に接触させることができる脳波測定技術を提供する。【解決手段】脳波測定用電極10は、基部80(支持部40、電極形成部31)と、基部80に凸状に設けられた電極用突出部32と、電極用突出部32に設けられた導電性接触部33(電極部)と、基部80において電極用突出部32の突出方向とは反対側の内部に設けられた、体積が縮小可能な縮小部50と、を有する。【選択図】図5

Description

本発明は、脳波測定用電極、脳波測定装置および脳波測定方法に関する。
これまで脳波検出用電極において様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に開示の技術では、誤って外部から荷重が加わった場合でも、生体と接触する電極部分(電極脚)が生体にダメージを与えることを回避することができる生体情報測定用電極が提案されている。具体的には、その生体情報測定用電極は、生体と接触する電極脚と、前記電極脚を支持する基体部と、を有する。前記基体部は、前記電極脚が挿入される貫通孔または切欠きを有し、前記貫通孔または前記切欠きには、前記電極脚を前記基体部に対して所定の荷重で変位可能な状態で支持する支持部が設けられている。
国際公開第2019/181389号
一般に、脳波測定の際に、脳波電極の頭皮に対する接触面積が大きい方が、接触抵抗が低くなり脳波測定がしやすく、また、頭皮に対する押付力が分散し被験者が痛みを感じにくいという特徴がある。しかしながら、頭皮の状態は人により様々であって、一般に、頭部には凹凸や曲面が形成されている。凹凸や曲面があると、電極を頭皮に適正に接触させることが難しくなる。複数の電極を剣山状に配置した構成であっても、接触できる電極が限られてしまうことがあり、対策の技術が求められていた。
特許文献1に開示の技術では、上述のような課題に対して十分な考慮がされておらず、新たな技術が求められていた。
本発明はこのような状況に鑑みなされたものであって、上記の課題を解決し、頭部に凹凸や曲面が形成されている場合でも、電極を頭皮に適正に接触させることができる脳波測定技術を提供することを目的とする。
本発明によれば、基部と、
前記基部に凸状に設けられた突出部と、
前記突出部に設けられた電極部と、
前記基部において前記突出部の突出方向とは反対側の内部に設けられた、体積が縮小可能な縮小部と、
を有する脳波測定用電極が提供される。
本発明によれば、上述の脳波測定用電極を有する脳波測定装置が提供される。
本発明によれば、上述の脳波測定装置を被験者の頭部に装着して脳波を測定する脳波測定方法が提供される。
本発明によれば、頭部に凹凸や曲面が形成されている場合でも、電極を頭皮に適正に接触させることができる脳波測定技術を提供することができる。
第1の実施形態に係る、人の頭部に装着した状態の脳波測定装置を模式的に示す図である。 第1の実施形態に係る、フレームの斜視図である。 第1の実施形態に係る、脳波測定用電極の斜視図である。 第1の実施形態に係る、脳波検出用電極の平面図である。 第1の実施形態に係る、脳波検出用電極の断面図である。 第1の実施形態に係る、脳波検出用電極を頭部に押しつけたときの縮小部の状態を説明する図である。 第2の実施形態に係る、脳波検出用電極の断面図である。 第3の実施形態に係る、脳波検出用電極の断面図である。 第4の実施形態に係る、人の頭部に装着した状態の脳波測定装置を模式的に示す図である。 第4の実施形態に係る、脳波測定装置の側面図である。 第4の実施形態に係る、脳波測定装置の底面図である。 第4の実施形態に係る、脳波測定装置の一部を拡大した断面図である。 第5の実施形態に係る、脳波測定装置の一部を拡大した断面図である。
≪第1の実施形態≫
<概要>
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は人の頭部99に装着した状態の脳波測定装置1を模式的に示す図である。脳波測定装置1を被験者の頭部99に装着して脳波測定を行う脳波測定方法が実行される。脳波測定装置1は、頭部99に装着され、脳波を生体からの電位変動として検出し、検出した脳波を脳波表示装置(図示せず)に出力する。脳波表示装置は、脳波測定装置1が検出した脳波を取得して、モニタ表示したり、データ保存したり、周知の脳波解析処理を行う。
<脳波測定装置1の構造>
図1に示すように、脳波測定装置1は、複数の脳波測定用電極10と、脳波測定用電極10を取り付けるフレーム20と、を有する。本実施形態では、脳波測定用電極10は、5ch分(5個)設けられている。
<フレーム20の構造>
図2にフレーム20の斜視図を示す。フレーム20は、例えばポリアミド樹脂のような硬質部材で帯状に、かつ人間の頭部99の形状に沿うように湾曲して形成されている。
フレーム20には、脳波測定用電極10を取り付けるための開孔として電極ユニット取付部21が5カ所設けられている。電極ユニット取付部21の位置(すなわち脳波測定用電極10の取付位置)は、国際10-20電極配置法におけるT3、C3、Cz、C4、T4の位置に対応する。
電極ユニット取付部21の内周面は、脳波測定用電極10の外周面と略同一の外径となるように設定されており、脳波測定用電極10が電極ユニット取付部21に嵌め込まれて固定される。なお、電極ユニット取付部21の内周面及び脳波測定用電極10の外周面を螺刻して、脳波測定用電極10が電極ユニット取付部21に螺着する構成でもよい。
<脳波測定用電極10の構造>
図3は脳波測定用電極10の斜視図である。図4は脳波測定用電極10の正面図である。図5は脳波測定用電極10の断面図である。
脳波測定用電極10は、円柱状(または円筒状)の基部80と、基部80の一方の端面(電極形成部31の下側面)から突出する複数の電極部本体30とを有する。基部80は、電極形成部31と、支持部40と、スナップボタン60とを有する。
電極形成部31は、例えばゴム状の弾性部材により形成された円盤状の部材である。弾性部材の具体的な材料については後述する。電極形成部31の一方の面(ここでは下側面)に電極部本体30が設けられている。
<支持部40(縮小部50)>
支持部40(ケース部ともいう)は、電極部本体30を支持する部材であって、例えば、硬質プラスチックによって円筒形状に設けられている。支持部40が呈する円筒形状の下側端部は開口しており、その開口部分に電極形成部31が取り付けられ、開口部分を塞閉している。換言すると、電極形成部31と支持部40を壁面とする空洞が形成されており、その空洞が縮小部50となる。
縮小部50は、電極部本体30が頭部99に押し当てられたときに、その空洞を縮小させるように変形する。すなわち、縮小部50は変形代として機能する。具体的には、電極部本体30が設けられている電極形成部31が変形し、支持部40は変形しない。電極形成部31の厚みは、材料にもよるが、例えば、1~2mmとすることができる。
支持部40が呈する円筒形状の上面41の中央には、縮小部50(すなわち空洞)の内外を連通するとともに雄型のスナップボタン60を取り付けるためのボタン電極配置孔43が設けられている。さらに、支持部40の形状を支持・補強するために、金属リング形状の補強部材70が設けられている。また、支持部40の上面41には、縮小部50の内外を連通する小径の空気穴45が設けられている。空気穴45の形成位置は特に限定は無く、例えば側面42に設けられてもよい。空気穴45があることによって、電極用突出部32の先端に荷重に応じて、縮小部50が速やかに変形できる。
<電極部本体30>
電極部本体30は、電極用突出部32と、導電性接触部33と、信号線部34とを有する。
電極用突出部32は、電極形成部31の一面に、電極形成部31と一体に突出して設けられている。ここでは複数(より具体的には24個)の電極用突出部32が電極形成部31(基部80)の所定の領域に格子状に密集して配置されている。
電極用突出部32は底面が正方形の四角錐の形状を呈しており、隣接した電極用突出部32の底面を重なるようにして配置されている。弾性部材の具体的な材料については後述する。なお、電極形成部31と電極用突出部32とは一体に設けられる構成に限らず、別体に設けたものを接着剤や嵌合構造により組み付けた構成でもよい。電極用突出部32の形状は、四角錐に限らず、三角錐等の角錐や円錐形状など各種の形状を採用することができる。
電極用突出部32の少なくとも先端側表面には導電性接触部33が設けられている。電極用突出部32の表面全体に導電性接触部33が設けられてもよい。
電極用突出部32の高さは、例えば3mm~15mmである。電極用突出部32の幅(根元部分の四角形の1辺の長さ)は、例えば1mm~10mmである。
<スナップボタン60>
スナップボタン60は、例えば、良導体の金属からなり、円盤状の円盤部61と、円盤部61の円盤上面の中心から延出する凸ボタン状のボタン部62とを有する。円盤部61は、縮小部50の内部から上面41のボタン電極配置孔43を塞いでいる。このとき、ボタン部62は、ボタン電極配置孔43から突出している。
スナップボタン60は、後述する信号線部34を介して導電性接触部33と接続される。ボタン部62は、円柱形状の先端側が根元側より拡径した接続端子の形状となっており、外部装置に接続される信号線に設けられた端子(例えば雌型のスナップボタン)と嵌合する。良導体の金属として、例えばステンレス、銅合金、アルミニウム合金、真鍮などを用いることができる。
<信号線部34の構造>
電極用突出部32には、スナップボタン60と導電性接触部33とを接続する信号経路として信号線部34が設けられている。信号線部34は、スナップボタン60と導電性接触部33間を導通する態様であれば各種の配線構造を採用し得る。ここでは、信号線部34は、電極用突出部32の先端の導電性接触部33から、電極用突出部32の内部、縮小部50の内部を通りスナップボタン60に接続するように設けられている。
信号線部34の下側先端は、電極用突出部32の先端部分またはその近傍、すなわち導電性接触部33が形成される領域に対して、突出した構造、略同一面上となる構造、埋没した構造のいずれでもよい。導電性接触部33との接続安定性の観点から、突出した構造を用いてもよい。信号線部34の先端の突出部分は、一部または全体が導電性接触部33で覆われている。信号線部34の先端の突出構造は、折り返し無し、折り返し有り、電極用突出部32の先端部の表面に巻き付ける構造が採用し得る。
信号線部34の他の配線構造として、電極用突出部32及び電極形成部31の表面に設けられる構造であってもよいし、一部が内部に一部が表面に設けられる配線構造であってもよい。すなわち、導電性接触部33が検出した信号が最終的にスナップボタン60に伝わればよい。
<縮小部50の機能>
図6を参照して縮小部50の機能について、電極部本体30説明する。図6(a)は電極部本体30の先端に荷重が作用していない状態を示しており、図6(b)は電極部本体30が頭部99に押し当てられた状態、すなわち先端に荷重が作用した状態を示している。
上述したように、縮小部50は、基部80において電極用突出部32の突出方向とは反対側の内部に設けられた体積が縮小可能な空間(空洞)である。電極用突出部32が頭部99に押しつけられて先端に荷重が作用したときに、縮小部50の体積が縮小し、電極用突出部32が基部80の内部方向に移動する。これによって、頭部99に凹凸や曲面があった場合であっても、凹凸や曲面に応じて縮小部50が変形し、電極用突出部32の向きを適正に調整することができる。
具体的には、脳波測定用電極10を頭部99に押し当てる際に、頭部99の曲面形状(凸曲面)に対して、まず複数の電極用突出部32のうち中央に配置されている電極用突出部32が接触し、その後、周辺に配置された電極用突出部32が接触する。
このとき最初に接触した電極用突出部32が縮小部50側に移動することで、電極形成部31が湾曲する。さらに、脳波測定用電極10の押し当てが進むにつれて、電極用突出部32の先端部分の接触位置が頭部99の曲面形状(凸曲面)に追従するように、電極形成部31全体が湾曲する。その結果、電極用突出部32の先端部分に設けられた導電性接触部33が頭部99に適切に接触することができ、安定した脳波測定が実現される。
上述のように、縮小部50は空洞であることから、電極形成部31が変形しやすく、電極用突出部32が基部80の内部方向に速やかに移動することができる。また、脳波測定装置1を装着する者が転倒する等によって、脳波測定装置1(脳波測定用電極10)に過剰な荷重がかかった場合であっても、電極部本体30(電極形成部31や電極形成部31)が変形し、荷重を吸収することができるため、怪我等を抑制できる。
なお、電極形成部31の位置によって厚みを調整することで、場所毎の変形のし易さを調整してもよい。例えば、複数の電極用突出部32のうち中心に位置する電極用突出部32の形成部分で厚みを薄くし変形しやすくしてもよい。また、縮小部50の幅(外径)は、ここでは、全ての電極用突出部32の底面が含まれる大きさであるが、一部の底面が含まれる大きさであってもよい。すなわち、複数の電極用突出部32のうち、中心側の電極用突出部32の底面部分に対応するように縮小部50が設けられ、外側の電極用突出部32の底面部分には縮小部50が設けられない(又は変形しない)構成としてもよい。
<電極形成部31と電極用突出部32の材料>
電極形成部31と電極用突出部32の材料について説明する。電極形成部31と電極用突出部32は、上述のようにゴム状の弾性体である。なお、電極形成部31は、頻繁に変形することを考慮して引裂耐性を有する材料が好ましい。
ゴム状の弾性体として、具体的にはゴムや熱可塑性エラストマー(単に「エラストマー(TPE)」ともいう)である。ゴムとしては、例えばシリコーンゴムがある。熱可塑性エラストマーとして、例えば、スチレン系TPE(TPS)、オレフィン系TPE(TPO)、塩化ビニル系TPE(TPVC)、ウレタン系TPE(TPU)、エステル系TPE(TPEE)、アミド系TPE(TPAE)などがある。
電極形成部31と電極用突出部32がシリコーンゴムである場合、37℃、JIS K 6253(1997)に準拠して測定される、電極形成部31と電極用突出部32の表面におけるタイプAデュロメータ硬さをゴム硬度Aとしたとき、ゴム硬度Aが、例えば、15以上55以下である。
ここで、上記シリコーンゴム系硬化性組成物について説明する。
上記シリコーンゴムは、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成することができる。シリコーンゴム系硬化性樹脂組成物の硬化工程は、例えば、100~250℃で1~30分間加熱(1次硬化)した後、100~200℃で1~4時間ポストベーク(2次硬化)することによって行われる。
絶縁性シリコーンゴムは、導電性フィラーを含まないシリコーンゴムであり、導電性シリコーンゴムは導電性フィラーを含むシリコーンゴムである。
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を含むことができる。ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物の主成分となる重合物である。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを含んでもよい。同種のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンとは、少なくとも官能基が同じビニル基を含み、直鎖状を有していればよく、分子中のビニル基量や分子量分布、あるいはその添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるビニル基含有オルガノポリシロキサンをさらに含んでもよい。
上記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、直鎖構造を有するビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を含むことができる。
上記ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、直鎖構造を有し、かつ、ビニル基を含有しており、かかるビニル基が硬化時の架橋点となる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)のビニル基の含有量は、特に限定されないが、例えば、分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ15モル%以下であるのが好ましく、0.01~12モル%であるのがより好ましい。これにより、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中におけるビニル基の量が最適化され、後述する各成分とのネットワークの形成を確実に行うことができる。本実施形態において、「~」は、その両端の数値を含むことを意味する。
なお、本明細書中において、ビニル基含有量とは、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する全ユニットを100モル%としたときのビニル基含有シロキサンユニットのモル%である。ただし、ビニル基含有シロキサンユニット1つに対して、ビニル基1つであると考える。
また、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の重合度は、特に限定されないが、例えば、好ましくは1000~10000程度、より好ましくは2000~5000程度の範囲内である。なお、重合度は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の比重は、特に限定されないが、0.9~1.1程度の範囲であるのが好ましい。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、上記のような範囲内の重合度および比重を有するものを用いることにより、得られるシリコーンゴムの耐熱性、難燃性、化学的安定性等の向上を図ることができる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、特に、下記式(1)で表される構造を有するものであるが好ましい。
Figure 2023083705000002
式(1)中、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
また、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
さらに、式(1)中のRおよびRの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(1)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。さらに、R、およびRについても同様である。
さらに、m、nは、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは0~2000の整数、nは1000~10000の整数である。mは、好ましくは0~1000であり、nは、好ましくは2000~5000である。
また、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の具体的構造としては、例えば下記式(1-1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2023083705000003
式(1-1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはビニル基であり、少なくとも一方がビニル基である。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、ビニル基含有量が分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ0.4モル%以下である第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、ビニル基含有量が0.5~15モル%である第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを含有するものであるのが好ましい。シリコーンゴムの原料である生ゴムとして、一般的なビニル基含有量を有する第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、ビニル基含有量が高い第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせることで、ビニル基を偏在化させることができ、シリコーンゴムの架橋ネットワーク中に、より効果的に架橋密度の疎密を形成することができる。その結果、より効果的にシリコーンゴムの引裂強度を高めることができる。
具体的には、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、例えば、上記式(1-1)において、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、分子内に2個以上有し、かつ0.4モル%以下を含む第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、0.5~15モル%含む第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを用いるのが好ましい。
また、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)は、ビニル基含有量が0.01~0.2モル%であるのが好ましい。また、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)は、ビニル基含有量が、0.8~12モル%であるのが好ましい。
さらに、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせて配合する場合、(A1-1)と(A1-2)の比率は特に限定されないが、例えば、重量比で(A1-1):(A1-2)が50:50~95:5であるのが好ましく、80:20~90:10であるのがより好ましい。
なお、第1および第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)および(A1-2)は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、分岐構造を有するビニル基含有分岐状オルガノポリシロキサン(A2)を含んでもよい。
<<オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、架橋剤を含んでもよい。架橋剤は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を含むことができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)とに分類され、これらのうちのいずれか一方または双方を含むことができる。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種の架橋剤を含んでもよい。同種の架橋剤とは、少なくとも直鎖構造や分岐構造などの共通の構造を有していればよく、分子中の分子量分布や異なる官能基が含まれていてもよく、その添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なる架橋剤をさらに含んでもよい。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖構造を有し、かつ、Siに水素が直接結合した構造(≡Si-H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分が有するビニル基とヒドロシリル化反応し、これらの成分を架橋する重合体である。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子量は特に限定されないが、例えば、重量平均分子量が20000以下であるのが好ましく、1000以上、10000以下であることがより好ましい。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の重量平均分子量は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算により測定することができる。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
以上のような直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)としては、例えば、下記式(2)で表される構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 2023083705000004
式(2)中、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
なお、式(2)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。Rについても同様である。ただし、複数のRおよびRのうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。
また、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
なお、式(2)中のR,R,Rの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、分子内の架橋反応を防止する観点から、メチル基が好ましい。
さらに、m、nは、式(2)で表される直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは2~150整数、nは2~150の整数である。好ましくは、mは2~100の整数、nは2~100の整数である。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有するため、架橋密度が高い領域を形成し、シリコーンゴムの系中の架橋密度の疎密構造形成に大きく寄与する成分である。また、上記直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)同様、Siに水素が直接結合した構造(≡Si-H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分のビニル基とヒドロシリル化反応し、これら成分を架橋する重合体である。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の比重は、0.9~0.95の範囲である。
さらに、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)としては、下記平均組成式(c)で示されるものが好ましい。
平均組成式(c)
(H(R3-aSiO1/2(SiO4/2
(式(c)において、Rは一価の有機基、aは1~3の範囲の整数、mはH(R3-aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である)
式(c)において、Rは一価の有機基であり、好ましくは、炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
式(c)において、aは、ヒドリド基(Siに直接結合する水素原子)の数であり、1~3の範囲の整数、好ましくは1である。
また、式(c)において、mはH(R3-aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は分岐状構造を有する。直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、その構造が直鎖状か分岐状かという点で異なり、Siの数を1とした時のSiに結合するアルキル基Rの数(R/Si)が、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)では1.8~2.1、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)では0.8~1.7の範囲となる。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有しているため、例えば、窒素雰囲気下、1000℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の残渣量が5%以上となる。これに対して、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖状であるため、上記条件で加熱した後の残渣量はほぼゼロとなる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の具体例としては、下記式(3)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2023083705000005
式(3)中、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基、もしくは水素原子である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(3)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
また、式(3)中、「-O-Si≡」は、Siが三次元に広がる分岐構造を有することを表している。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)において、Siに直接結合する水素原子(ヒドリド基)の量は、それぞれ、特に限定されない。ただし、シリコーンゴム系硬化性組成物において、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中のビニル基1モルに対し、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の合計のヒドリド基量が、0.5~5モルとなる量が好ましく、1~3.5モルとなる量がより好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)および分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)と、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)との間で、架橋ネットワークを確実に形成させることができる。
<<シリカ粒子(C)>>
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、非導電性フィラーを含む。非導電性フィラーは、必要に応じ、シリカ粒子(C)を含んでもよい。これにより、エラストマーの硬さや機械的強度の向上を図ることができる。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種の非導電性フィラーを含んでもよい。同種の非導電性フィラーとは、少なくとも共通の構成材料を有していればよく、粒子径、比表面積、表面処理剤、又はその添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるシランカップリング剤をさらに含んでもよい。
シリカ粒子(C)としては、特に限定されないが、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ等が用いられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ粒子(C)は、例えば、BET法による比表面積が例えば50~400m/gであるのが好ましく、100~400m/gであるのがより好ましい。また、シリカ粒子(C)の平均一次粒径は、例えば1~100nmであるのが好ましく、5~20nm程度であるのがより好ましい。
シリカ粒子(C)として、かかる比表面積および平均粒径の範囲内であるものを用いることにより、形成されるシリコーンゴムの硬さや機械的強度の向上、特に引張強度の向上をさせることができる。
<<シランカップリング剤(D)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことができる。
シランカップリング剤(D)は、加水分解性基を有することができる。加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(C)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(C)の表面改質を行うことができる。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種のシランカップリング剤を含んでもよい。同種のシランカップリング剤とは、少なくとも共通の官能基を有していればよく、分子中の他の官能基や添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるシランカップリング剤をさらに含んでもよい。
また、このシランカップリング剤(D)は、疎水性基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にこの疎水性基が付与されるため、シリコーンゴム系硬化性組成物中ひいてはシリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)の凝集力が低下(シラノール基による水素結合による凝集が少なくなる)し、その結果、シリコーンゴム系硬化性組成物中のシリカ粒子(C)の分散性が向上すると推測される。これにより、シリカ粒子(C)とゴムマトリックスとの界面が増加し、シリカ粒子(C)の補強効果が増大する。さらに、ゴムのマトリックス変形の際、マトリックス内でのシリカ粒子(C)の滑り性が向上すると推測される。そして、シリカ粒子(C)の分散性の向上及び滑り性の向上によって、シリカ粒子(C)によるシリコーンゴムの機械的強度(例えば、引張強度や引裂強度など)が向上する。
さらに、シランカップリング剤(D)は、ビニル基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にビニル基が導入される。そのため、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化の際、すなわち、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)が有するビニル基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とがヒドロシリル化反応して、これらによるネットワーク(架橋構造)が形成される際に、シリカ粒子(C)が有するビニル基も、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とのヒドロシリル化反応に関与するため、ネットワーク中にシリカ粒子(C)も取り込まれるようになる。これにより、形成されるシリコーンゴムの低硬度化および高モジュラス化を図ることができる。
シランカップリング剤(D)としては、疎水性基を有するシランカップリング剤およびビニル基を有するシランカップリング剤を併用することができる。
シランカップリング剤(D)としては、例えば、下記式(4)で表わされるものが挙げられる。
-Si-(X)4-n・・・(4)
上記式(4)中、nは1~3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
疎水性基は、炭素数1~6のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が挙げられ、中でも、特に、メチル基が好ましい。
また、親水性基は、例えば、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基またはカルボニル基等が挙げられ、中でも、特に、水酸基が好ましい。なお、親水性基は、官能基として含まれていてもよいが、シランカップリング剤(D)に疎水性を付与するという観点からは含まれていないのが好ましい。
さらに、加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、クロロ基またはシラザン基等が挙げられ、中でも、シリカ粒子(C)との反応性が高いことから、シラザン基が好ましい。なお、加水分解性基としてシラザン基を有するものは、その構造上の特性から、上記式(4)中の(Y-Si-)の構造を2つ有するものとなる。
上記式(4)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例は、次の通りである。
上記官能基として疎水性基を有するものとして、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、及びトリメチルエトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
上記官能基としてビニル基を有するものとして、例えば、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランのようなアルコキシシラン;ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランのようなクロロシラン;ジビニルテトラメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びビニルメチルジメトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
またシランカップリング剤(D)がトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤およびビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤の2種を含む場合、疎水性基を有するものとしてはヘキサメチルジシラザン、ビニル基を有するものとしてはジビニルテトラメチルジシラザンを含むことが好ましい。
トリメチルシリル基を有するシランカップリング剤(D1)およびビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤(D2)を併用する場合、(D1)と(D2)の比率は、特に限定されないが、例えば、重量比で(D1):(D2)が、1:0.001~1:0.35、好ましくは1:0.01~1:0.20、より好ましくは1:0.03~1:0.15である。このような数値範囲とすることにより、所望のシリコーンゴムの物性を得ることができる。具体的には、ゴム中におけるシリカの分散性およびゴムの架橋性のバランスを図ることができる。
本実施形態において、シランカップリング剤(D)の含有量の下限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、シランカップリング剤(D)の含有量上限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対して、100質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
シランカップリング剤(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、エラストマーを含む柱状部と導電性樹脂層との密着性を高めることができる。また、シリコーンゴムの機械的強度の向上に資することができる。また、シランカップリング剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、シリコーンゴムが適度な機械特性を持つことができる。
<<白金または白金化合物(E)>>
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、触媒を含んでもよい。触媒は、白金または白金化合物(E)を含むことができる。白金または白金化合物(E)は、硬化の際の触媒として作用する触媒成分である。白金または白金化合物(E)の添加量は触媒量である。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種の触媒を含んでもよい。同種の触媒とは、少なくとも共通の構成材料を有していればよく、触媒中に異なる組成が含まれていてもよく、その添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なる触媒をさらに含んでもよい。
白金または白金化合物(E)としては、公知のものを使用することができ、例えば、白金黒、白金をシリカやカーボンブラック等に担持させたもの、塩化白金酸または塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンの錯塩、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩等が挙げられる。
なお、白金または白金化合物(E)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、シリコーンゴム系硬化性組成物中における白金または白金化合物(E)の含有量は、触媒量を意味し、適宜設定することができるが、具体的にはビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シリカ粒子(C)、シランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して、白金族金属が重量単位で0.01~1000ppmとなる量であり、好ましくは、0.1~500ppmとなる量である。
白金または白金化合物(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、シリコーンゴム系硬化性組成物が適切な速度で硬化することが可能となる。また、白金または白金化合物(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、製造コストの削減に資することができる。
<<水(F)>>
また、本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物には、上記成分(A)~(E)以外に、水(F)が含まれていてもよい。
水(F)は、シリコーンゴム系硬化性組成物に含まれる各成分を分散させる分散媒として機能するとともに、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)との反応に寄与する成分である。そのため、シリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)とを、より確実に互いに連結したものとすることができ、全体として均一な特性を発揮することができる。
(その他の成分)
さらに、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、上記(A)~(F)成分以外に、他の成分をさらに含むことができる。この他の成分としては、例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等のシリカ粒子(C)以外の無機充填材、反応阻害剤、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等の添加剤が挙げられる。
本実施形態に係る導電性溶液(導電性シリコーンゴム組成物)は、導電性フィラーを含まない上記シリコーンゴム系硬化性組成物に加えて、上記導電性フィラーおよび溶剤を含むものである。
上記溶剤としては、公知の各種溶剤を用いることができるが、例えば、高沸点溶剤を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記溶剤の一例としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、トリフルオロメチルベンゼン、ベンゾトリフルオリドなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタンなどのハロアルカン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド類などを例示することができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記導電性溶液は、溶液中の固形分量などを調整することで、スプレー塗布やディップ塗布等の各種の塗布方法に適切な粘度を備えることができる。
また、上記導電性溶液が上記導電性フィラーおよび上記シリカ粒子(C)を含む場合、電極部本体30が含むシリカ粒子(C)の含有量の下限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上とすることができる。これにより、電極部本体30の機械的強度を向上させることができる。一方で、上記電極部本体30が含むシリカ粒子(C)の含有量の上限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。これにより、電極部本体30における導電性と機械的強度や柔軟性とのバランスを図ることができる。
導電性溶液を必要に応じて加熱乾燥することで、導電性シリコーンゴムが得られる。
導電性シリコーンゴムは、シリコーンオイルを含まない構成であってもよい。これにより、電極形成部31と電極用突出部32の表面にシリコーンオイルがブリードアウトすることで導通性が低下することを抑制できる。
<信号線部34の材料>
信号線部34は、公知のものを使用することができるが、例えば、導電繊維で構成され得る。導電繊維としては、金属繊維、金属被覆繊維、炭素繊維、導電性ポリマー繊維、導電性ポリマー被覆繊維、および導電ペースト被覆繊維からなる群から選択される一種以上を用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記金属繊維、金属被覆繊維、の金属材料は、導電性を有するものであれば限定されないが、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、ステンレス、アルミニウム、銀/塩化銀およびこれらの合金等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、導通性の観点から、銀を用いることができる。また、金属材料は、クロム等の環境に負荷を与える金属を含まないことが好ましい。
上記金属被覆繊維、導電性ポリマー被覆繊維、導電ペースト被覆繊維の繊維材料は、特に限定されないが、合成繊維、半合成繊維、天然繊維のいずれでもよい。これらの中でも、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、絹および綿等を用いることが好ましい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記炭素繊維は、例えば、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。
上記導電性ポリマー繊維および導電性ポリマー被覆繊維の導電性ポリマー材料は、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリナフタレン、及びこれらの誘導体等の導電性高分子およびバインダ樹脂の混合物、あるいは、PEDOT-PSS((3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリ(スチレンスルホン酸))等の導電性高分子の水溶液が用いられる。
上記導電ペースト被覆繊維の導電ペーストに含まれる樹脂材料は特に限定されないが伸縮性を有することが好ましく、例えばシリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、およびエチレンプロピレンゴムからなる群から選択される一種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記導電ペースト被覆繊維の導電ペーストに含まれる導電性フィラーは特に限定されないが、公知の導電材料を用いてもよいが、金属粒子、金属繊維、金属被覆繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー、導電性ポリマー被覆繊維および金属ナノワイヤーからなる群から選択される一種以上を含むことができる。
上記導電性フィラーを構成する金属は、特に限定はされないが、例えば、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銀/塩化銀、或いはこれらの合金のうち少なくとも一種類、あるいは、これらのうちの二種以上を含むことができる。この中でも、導電性の高さや入手容易性の高さから、銀または銅が好ましい。
信号線部34が、線状の導電繊維を複数本撚り合わせた撚糸で構成されてもよい。これにより、変形時における信号線部34の断線を抑制できる。
本実施形態において、導電繊維における被覆とは、単に繊維材料の外表面を覆うことのみならず、単繊維を撚り合わせた撚糸などの場合は、その撚糸の中の繊維間隙に金属、導電性ポリマー、または導電ペーストが含浸し、撚糸を構成する単繊維を1本毎に被覆するものを含む。
信号線部34の引張破断伸度は、例えば、1%以上~50%以下、好ましくは1.5%以上~45%である。このような数値範囲内とすることで、変形時の破断を抑制しつつも、電極用突出部32の過度な変形を抑制できる。
<導電性接触部33の材料>
導電性接触部33の導電部材は、例えば、良導性金属を含むペースト(いわゆる導電性ペースト)である。良導性金属は、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、或いはこれらの合金からなる群から選択される一種以上を含む。特に、入手性や導電性の観点から、銀や塩化銀、銅が好適である。
良導性金属を含むペーストで導電性接触部33を形成する場合は、ゴム状の弾性体でできた電極用突出部32の頂部を、良導性金属を含むペースト状の導電性溶液にディップ(浸漬塗布)する。これにより、電極用突出部32の表面に導電性接触部33が形成される。
なお、導電性フィラーおよび溶剤を含む導電性溶液を、電極用突出部32に塗布することにより、導電性樹脂層としての導電性接触部33を形成してもよい。このとき、溶剤を電極用突出部32と同じ系統の材質(シリコーンゴム)とすることで、導電性接触部33(導電性樹脂層)の密着性を高められる。
導電性溶液を必要に応じて加熱乾燥することで、導電性シリコーンゴムが得られる。
導電性シリコーンゴムは、シリコーンオイルを含まない構成であってもよい。これにより、導電性接触部33の表面にシリコーンオイルがブリードアウトすることで導通性が低下することを抑制できる。
これにより、脳波測定装置1を頭部99へ装着する際の毛髪の掻き分け性能を向上させることができる。また、脳波測定装置1を装着した際の導電性接触部33の接触面積の十分な確保が可能となる。
≪第2の実施形態≫
図7を参照して本実施形態の脳波測定用電極10Aを説明する。本実施形態の脳波測定用電極10Aは、第1の実施形態の脳波測定用電極10の変形例であって、異なる構成・機能について説明し、同一の構成・機能については説明を省略する。
図7は、脳波測定用電極10Aの断面図であって、第1の実施形態の図5に対応する図である。脳波測定用電極10Aでは、基部80Aと電極部本体30Aとがゴム状の弾性部材で一体に構成されている。すなわち、内部に円柱形状の空洞となった縮小部50を有する円柱状(又は円筒状)の基部80Aの底面から、複数の電極用突出部32が図視下方向に突出している。また、基部80の上面81Aにスナップボタン60が取り付けられている。また、基部80Aの側面には、縮小部50の内外を連通する空気穴45が設けられている。
脳波測定用電極10Aによると、第1の実施形態と同様の効果を奏する。なお、基部80Aの形状(特に厚み)及び材料は、電極形成部31Aが頭部99への押しつけ時に適正に変形し、一方で、側面82Aおよび上面81Aは変形せず所望の剛性を実現できるように適宜選択される。
≪第3の実施形態≫
図8を参照して本実施形態の脳波測定用電極10Bを説明する。本実施形態の脳波測定用電極10Bは、第2の実施形態の脳波測定用電極10Aの変形例であって、異なる構成・機能について説明し、同一の構成・機能については説明を省略する。図8は、脳波測定用電極10Bの断面図であって、第1の実施形態の図5や第2の実施形態の図7に対応する図である。
本実施形態の脳波測定用電極10Bの縮小部50Bは、第2の実施形態の脳波測定用電極10Aの縮小部50と異なり、空洞ではなくクッション性部材が充填された構成となっている。クッション性部材は、材料自体を柔らかくした構成であってもよいし、構造を網目形状(スポンジ状)としてクッション性を付与した構成であってもよい。
脳波測定用電極10Bによると、第1及び第2の実施形態と同様の効果を奏する。クッション性部材の構造を調整することで、部位によって柔らかさを調整することができる。
≪第4の実施形態≫
図9は本実施形態に係る頭部99に装着した状態の脳波測定装置101を模式的に示す図である。図10は脳波測定装置101の側面図である。図11は、脳波測定装置101の底面図である。図12は脳波測定装置101の一部を拡大した断面図である。本実施形態では、第1の実施形態において設けられていたフレーム20を廃して頭部99の形状に追従する長尺状のバンド部材110を設けている。以下具体的に説明する。
脳波測定装置101は、基部であるバンド部材110と、バンド部材110に一体に設けられた電極部本体130と、フレキシブル回路基板140とを有する。
<バンド部材110>
バンド部材110は、頭部99の形状に追従可能に設けられた長尺状の板状部材である。具体的には、バンド部材110は、上面視(平面図)で帯状の矩形形状を呈する。
バンド部材110の厚さは、例えば、1.0mm~30mmである。矩形形状の長手方向の長さは、例えば20cm~65cmである。矩形形状の短手方向の長さは、例えば0.5cm~5cmである。
バンド部材110の形状は、帯状の矩形形状に限る趣旨ではない。例えば、矩形形状の代わりに長細い楕円形状であってよい。また、バンド部材110の厚さが一定に限る趣旨ではなく、一部の厚さが薄くなったり厚くなったりしてもよい。いずれにせよ、バンド部材110は、頭部99に装着された際に、その頭部99の形状に追従する。
<電極部本体130>
電極部本体130は、バンド部材110の下面111に、国際10-20電極配置法におけるT3、C3、Cz、C4、T4の位置に対応する5箇所に長尺方向に並んで設けられている。
電極部本体130は、それぞれ、バンド部材110と一体に構成された複数の電極用突出部132の集合構造と、電極用突出部132の先端部分に設けられた導電性接触部133と、信号線部134とを有する。電極用突出部132、導電性接触部133、信号線部134の構造・材料は第1の実施形態と同様の構造・材料とすることができ、ここでは説明を省略する。
<縮小部150>
バンド部材110において、電極部本体130が設けられている領域の厚み方向内側部分には、縮小部150が設けられている。すなわち、電極部本体130(複数の電極用突出部132の集合構造)と縮小部150の組が、長尺方向に並んで5組配置されている。
縮小部150は、円柱形状の空洞となっている。縮小部150の外径は全ての電極用突出部132の底面が含まれる大きさとなっている。縮小部150の高さ(厚み)は、バンド部材110の厚みや電極用突出部132に荷重が掛かったときのその移動量を考慮して設定されるが、例えば、0.5mm~10mmとすることができる。また、電極形成部131の厚みは、材料にもよるが、例えば、0.5~2mmとすることができる。なお、ここでは図視していないが、第1の実施形態と同様に、縮小部150には内外を連通する空気穴が設けられている。
このような縮小部150を設けることで、第1~第3の実施形態と同様に、電極用突出部132の先端部分の接触位置が頭部99の曲面形状(凸曲面)に追従するように、電極形成部131が湾曲する。その結果、電極用突出部132の先端部分に設けられた導電性接触部133が頭部99に適切に接触することができ、安定した脳波測定が実現される。また、脳波測定装置101の装着者が転倒する等により想定外の荷重が掛かった場合でも、怪我してしまうことを防止できる。
<フレキシブル回路基板140>
フレキシブル回路基板140は、薄膜状の絶縁体であるベースフィルム(ポリイミドなど)と、その上に接着層と導体箔を貼りあわせた構造を有し、電極部本体130(導電性接触部133)で取得した信号を外部(脳波表示装置など)に送る接続部として機能する。
フレキシブル回路基板140は、バンド部材110の形状に対応した長尺状であって、板状部材であるバンド部材110の電極用突出部132が設けられていない側の面(上面112)に設けられている。
フレキシブル回路基板140は、電極用突出部132と縮小部150の5組共通に設けられている。すなわち、複数の電極用突出部132の集合構造とその集合構造に対応して設けられた縮小部150とを1セットとして5セットが長尺方向に、より具体的には国際10-20電極配置法におけるT3、C3、Cz、C4、T4の位置に対応する5箇所に並んで配置されている。それら5セット共通に一つのフレキシブル回路基板140がバンド部材110の上面112に取り付けられて、各セットからの信号を取得している。
<バンド部材110とフレキシブル回路基板140との信号接続>
バンド部材110の上面112には、縮小部150の近傍、ここでは縮小部150の上側の領域に、接続端子となる接続パッド115が設けられている。接続パッド115には、導電性接触部133から延びる信号線134が接続されている。フレキシブル回路基板140には、バンド部材110の接続パッド115と対応する位置に接続パッド145が設けられている。バンド部材110とフレキシブル回路基板140とは、それら間に導電性ペーストやACF(異方性導電膜)を介在させて接続される。これにより、バンド部材110とフレキシブル回路基板140とは電気的に接続される。
≪第5の実施形態≫
図13は本実施形態に係る脳波測定装置101Aを模式的に示す断面図である。本実施形態の脳波測定装置101Aは、第4の実施形態の変形例であって、バンド部材110とフレキシブル回路基板140との電気的な接続態様として、スルーホール160を用いている。例えば、スルーホール160には銅メッキが施されており、スルーホール160の上端がフレキシブル回路基板140の導体箔(回路部分)に接続される。スルーホール160の下端は導電性接触部133に接続される。導電性接触部33との接続には、例えば導電性接触部133とスルーホール160とを接続する信号線134を設けてもよいし、導電性接触部133が電極用突出部132全体を覆うようにして設けてスルーホール160と接続してもよい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
1、101、101A 脳波測定装置
10、10A、10B 脳波測定用電極
20 フレーム
30、30A、130 電極部本体
31、31A 電極形成部
32、132 電極用突出部
33、133 導電性接触部
34、134 信号線部
40 支持部
45 空気穴
50、50B、150 縮小部
60 スナップボタン
80、80A、80B 基部
110 バンド部材
115、145 接続パッド
140 フレキシブル回路基板
160 スルーホール

Claims (12)

  1. 基部と、
    前記基部に凸状に設けられた突出部と、
    前記突出部に設けられた電極部と、
    前記基部において前記突出部の突出方向とは反対側の内部に設けられた、体積が縮小可能な縮小部と、
    を有する脳波測定用電極。
  2. 前記突出部の先端に荷重が作用したときに、前記縮小部の体積が縮小することで、前記突出部が前記基部の内部方向に移動する
    請求項1に記載の脳波測定用電極。
  3. 前記縮小部は空洞である、請求項1または2に記載の脳波測定用電極。
  4. 前記空洞の内外を連通する連通穴を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の脳波測定用電極。
  5. 前記縮小部はクッション性部材で構成される、請求項1または2に記載の脳波測定用電極。
  6. 前記基部は円柱形状であって、
    前記突出部は前記円柱形状の一方の端部に設けられている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の脳波測定用電極。
  7. 前記電極部で取得した信号を外部に送る接続部を備え、
    前記接続部は、前記基部が呈する前記円柱形状の前記突出部が設けられていない側の端部に設けられている、請求項6に記載の脳波測定用電極。
  8. 前記基部は頭部形状に追従可能に設けられた長尺状の板状部材であって、
    前記突出部と前記縮小部の組が、長尺方向に並んで複数組配置されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載の脳波測定用電極。
  9. 前記電極部で取得した信号を外部に送る接続部を備え、
    前記接続部は、前記板状部材の前記突出部が設けられていない側の面に設けられている、請求項8に記載の脳波測定用電極。
  10. 前記接続部は、フレキシブル回路基板であって、前記突出部と前記縮小部の複数組共通に設けられている、請求項9に記載の脳波測定用電極。
  11. 請求項1から10までのいずれか1項に記載の脳波測定用電極を有する脳波測定装置。
  12. 請求項11に記載の脳波測定装置を被験者の頭部に装着して脳波を測定する脳波測定方法。
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