JP2021180700A - 脳波測定用電極及び脳波測定装置 - Google Patents

脳波測定用電極及び脳波測定装置 Download PDF

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拓弥 原田
Takuya Harada
雄眞 北添
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Abstract

【課題】毛髪の掻き分け性能を向上させ、脳波取得性能を向上させる技術を提供する。【解決手段】脳波検出用電極50は、基部51と、基部51から延出する複数の突起部60と、突起部60に設けられた電極部80と、を有し、突起部60は、上面視で基部51に対して最も外側の側面が脳波検出用電極50から延びる垂線(中心軸線L)に対し外側に傾いて延出しており、かつ、先端部分に略平坦な電極形成面62(接触面)を有し、電極形成面62は、最大幅の位置から先端側に向けて漸次先細りの形状を呈しており、電極部80は電極形成面62に設けられている。【選択図】図4

Description

本発明は、脳波検出用電極及び脳波測定装置に関する。
これまで脳波検出用電極に関して様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に開示の脳波測定用電極(脳波検出用電極)は、基底部と、前記基底部から突出して設けられた、ゴムからなる突出部と、前記突出部の先端に設けられ、前記脳波測定用電極の外部と電気的に接続され、前記脳波の測定時に頭皮に接触する、金属からなる接触部と、を備える。
特許第5842198号公報
一般に、脳波センサと頭皮との接触面積が大きいほど、接触抵抗が低下し、きれいな脳波取得性の向上が図られる。現状としては、頭皮と接触する際に、毛髪が邪魔になっており、毛髪の掻き分け性能の改善が求められていた。特許文献1に開示の技術では、接触部が設けられた突出部が、毛髪間に侵入することで、頭皮に接触しやすくする技術が提案されているが、毛髪の掻き分け性能については十分に考慮されておらず別の技術が求められていた。
本発明はこのような状況に鑑みなされたものであって、毛髪の掻き分け性能を向上させ、脳波取得性能を向上させる技術を提供することを目的とする。
本発明によれば、
基部と、
前記基部から延出する複数の突起部と、
前記突起部に設けられた電極部と、
を有し、
前記突起部は、上面視で前記基部に対して最も外側の側面が前記基部から延びる垂線に対し外側に傾いて延出しており、かつ、先端部分に略平坦な接触面を有し、
前記接触面は、最大幅の位置から先端側に向けて漸次先細りの形状を呈しており、
前記電極部は前記接触面に設けられている、
脳波検出用電極が提供される。
本発明によれば、上記の脳波検出用電極を備える脳波測定装置が提供される。
本発明によれば、毛髪の掻き分け性能を向上させ、脳波取得性能を向上させる技術を提供することができる。
実施形態に係る、人の頭部に装着した状態の脳波測定装置を模式的に示す図である。 実施形態に係る、フレームの斜視図である。 実施形態に係る、脳波電極ユニットの正面図である。 実施形態に係る、脳波検出用電極の斜視図である。 実施形態に係る、ひとつの突起部を横(周方向側)から見た図である。 実施形態に係る、ひとつの突起部を中心側から見た図である。 実施形態に係る、図6に示した突起部を、突起部の形状の元となった錐体の形状を重ねて示す図である。 実施形態に係る、突起部の高さHと、突起部の元になった円錐の頂点の角度αとの関係を説明する図である。 実施形態の実施例に係る、突起部の形状の一例として、高さH=6mmの場合の形状について中心側から見た側面図の一覧を示す図である。
<概要>
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は人の頭部99に装着した状態の脳波測定装置1を模式的に示す図である。
脳波測定装置1は、人の頭部99に装着され、脳波を生体からの電位変動として検出し、検出した脳波を脳波表示装置(図示せず)に出力する。脳波表示装置は、脳波測定装置1が検出した脳波を取得して、モニタ表示したり、データ保存したり、周知の脳波解析処理を行う。
<脳波測定装置1の構造>
図1に示すように、脳波測定装置1は、複数の脳波電極ユニット10と、フレーム20と、を有する。本実施形態では、脳波電極ユニット10は、5ch分(5個)設けられている。
<フレーム20の構造>
図2にフレーム20の斜視図を示す。フレーム20は、例えばポリアミド樹脂のような硬質部材で帯状に、かつ人間の頭部99の形状に沿うように湾曲して形成されている。
フレーム20には、脳波電極ユニット10を取り付けるための開孔として電極ユニット取付部21が5カ所設けられている。電極ユニット取付部21の位置(すなわち脳波電極ユニット10の取付位置)は、国際10−20電極配置法におけるT3、C3、Cz、C4、T4の位置に対応する。
電極ユニット取付部21の内周面は螺刻されており、脳波電極ユニット10がその胴部11の螺刻部13(図3参照)により螺着する。脳波電極ユニット10をネジ込む量を調整することで、頭部99側への突き出し量を調整し、頭部99(頭皮)との接触量・接触圧をコントロールする。また、脳波電極ユニット10をネジ込む動作により、毛髪を掻き分ける。このとき、後述する脳波検出用電極50の突起部60のブレード形状により、毛髪の掻き分け性能を向上させる。
<脳波電極ユニット10の構造>
図3に脳波電極ユニット10の正面図を示す。脳波電極ユニット10は、略円柱状の胴部11と、その一端側(図中下側)に設けられた脳波検出用電極50とを有する。
胴部11は、信号取出部12と、螺刻部13と、電極固定部14とを一体に有する。
螺刻部13は、円柱形状の側面に螺刻した形状である。螺刻部13の一端(図中上側)に信号取出部12が設けられている。信号取出部12には信号出力端子が設けられるとともに、脳波電極ユニット10をフレーム20に螺着する際に作業者によって必要に応じて所定の治具を用いて操作される。螺刻部13の他端(図中下側)には、螺刻部13より小径の円柱状の電極固定部14が設けられている。電極固定部14に脳波検出用電極50が取り付けられる。
<脳波検出用電極50の構造>
図4は脳波検出用電極50の斜視図である。図5はひとつの突起部60を横(周方向側)から見た図である。図6はひとつの突起部60を突起形成面52の中心59側から見た図である。図7は、図6に示した突起部60を、突起部60の形状の元となった錐体(ここでは三角錐)の形状を重ねて示した図である。
脳波検出用電極50は、基部51と、突起部60と、電極部80とを有する。基部51と突起部60は、ゴム状の弾性体によって一体に設けられている。弾性体の具体的な材料については後述する。なお、基部51と突起部60とは一体に設けられる構成に限らず、別体に設けたものを接着剤や嵌合構造により組む付けた構成でもよい。基部51や突起部60が硬度25以上35以下であるゴム状の弾性体である場合、突起部60が被験者の頭部99に押し当てられた際に、接触圧を適正に保つことができ、また、押し当てる圧力が強すぎて被験者に不快を与えることを抑制できる。
基部51は、略円柱形状であって、一端が円形状の突起形成面52、他端が円形状の取付面53となっている。取付面53が、胴部11の電極固定部14に接着剤等により取り付けられる。なお、取付面53と電極固定部14の固定構造として、凹凸形状による嵌合構造が用いられてもよい。
突起形成面52には、複数の突起部60が突起形成面52の円形状の中心59から放射状(または円環状)に並んで設けられている。本実施形態では、8個の突起部60が、周方向に45度間隔で、所定幅離間して、突起形成面52から一体に延出して設けられている。
<突起部60の構造>
本実施形態の突起部60は、突起部本体61と、電極形成面62とを有する。具体的には、突起部60は、円錐をもとに形成されている。すなわち、突起部60は、円錐の先端部分を斜めに切り取った形状を呈する突起部本体61と、切り取られた部分の形状が楕円面となった電極形成面62とを有する。この楕円形状の電極形成面62に電極部80が設けられる。また、楕円形状は、その楕円中心の法線(垂線)が、基部51の中心59の垂線(すなわち中心軸線L)を向いている。電極形成面62が楕円のように外郭が曲線であるような場合、脳波検出用電極50が頭皮に押しつけられた際に、毛髪を円滑にかきわけることができる。なお、突起部60が角錐をもとに形成されもよく、その場合、電極形成面62は楕円面ではなく多角形の面となる。
突起部60は、もとの錐体(ここでは円錐)が外側方向(放射方向外側)に倒れるように斜めに延出している。より具体的には、図5に示すように、上面視で基部51に対して最も外側の側面64の領域、すなわち側面最外郭線64a(円錐の母線に相当する線)が脳波検出用電極50から延びる垂線(中心軸線L)に対し外側に傾いて延出している。言い換えると、側面最外郭線64aと突起形成面52の成す角θが90度より大きい。さらに、突起部60の先端部分65は、基部51の側面54より中心59側に位置する。
突起部60の先端部分には、略平坦な電極形成面62(接触面)が設けられている。電極部80は電極形成面62に設けられている。電極形成面62は、最大幅の位置から先端側に向けて漸次先細りの形状を呈する。
このような形状とすることで、突起部60は、脳波測定装置1が頭部99に装着され、脳波電極ユニット10が頭皮に押し当てられる際に、頭皮との接触圧力が増加するに伴い電極形成面62(すなわち電極部80)の接触領域が徐々に増加するように変形する。したがって、脳波検出用電極50の電極部80と頭皮の間に毛髪が入り込んでも、接触領域が増加するので、毛髪の影響を低減できる。また、突起部60が弾性変形するので、被験者に不快な思いをさせることも抑制できる。さらにまた、突起部60の接触領域が徐々に増加するように変形することで、毛髪を円滑にかきわけることができ、電極形成面62(すなわち電極部80)と頭皮の間に介在する毛髪を減少させることができる。
突起部60の元となった円錐は幅方向に対称であってもよい。すなわち、突起部60を中心軸線L側から見た場合、言い換えると放射方向外側に見た場合、周方向(横方向)に倒れることなく真っ直ぐ放射状に設けられている。このような構成により、頭部99の形状や毛髪の量にかかわらず、電極部80と頭皮の接触を安定させることができる。
なお、突起部60は幅方向に非対称であってもよい。すなわち、突起部60は、周方向に倒れるように斜めに向けて設けられてもよい。このような構成によると、毛髪が多い場合や、毛髪にクセ等がある場合に、毛髪をかき分けることができ、汎用的な形状では対応できない場合、すなわち、上述のように錐体が幅方向に対称となるような構成の脳波検出用電極50では対応できない場合でも、安定した脳波測定が可能となる。
<突起部60の寸法等のパラメータ>
まず、脳波検出用電極50の寸法及び突起部60の配置に関するパラメータについて説明する。脳波検出用電極50の外径、すなわち突起形成面52の直径は、例えば10mm以上30mm以下である。突起部60の突起部底面63の外径(すなわち円錐の底面が呈する円の直径)は、例えば、2mm以上5mm以下である。
突起部60の元となった円錐の先端(頂点)の角度αは7度以上25度以下である。具体的には、先端が切り取られていない状態の円錐を、基部51の中心軸線L側から外側放射方向に正射影したときに、頂点部分の射影図形の角度αが15度以上28度以下の範囲である。
このように、突起部60の先端が先細りである場合、特に元もなった円錐の上記角度αが15度以上28度以下の範囲である場合、毛髪を円滑にかき分けることができる。
突起部60の高さHは0.5mm以上20mm以下であり、好ましくは3mm以上15mm以下であり、より好ましく4mm以上10mm以下である。
このような高さとすることで、頭部99に接触する際に、適度に変形し、頭皮との接触面積を良好に維持できる。
図7及び図8を参照して、突起部60の高さHと、錐体(例えば突起部60の元になった円錐)の頂点の角度αについて説明する。
上記の頂点の角度αは、円錐(突起部60の突起部底面63)の直径D1、突起部60の先端部分65の位置での円錐の直径D2および突起部60の高さHの関数、すなわち次の式(2)で表すことができる。
tan(α/2)=(D1−D2)/2H ・・・式(2)
そして、式(2)で表すtan(α/2)の値が0.15以上0.25以下である。
tan(α/2)の値が上記範囲より大きければ、毛髪をかき分ける性能が低下する傾向がある。また、tan(α/2)の値が上記範囲より小さければ、低負荷時(すなわち頭皮に押しつける力が小さい条件)で大変形してしまい、突起部60の先端部分65が浮いてしまう等の現象が生じてしまうため、頭皮に適切にフィットしない場合がある。そこで、tan(α/2)を上記範囲とすることで、毛髪のかき分け性能と頭皮への適切な接触状態の確保とのバランスをとることができる。
電極形成面62の面積S(電極部80の面積でもある)は1mm以上100mm以下である。面積Sの下限は、好ましくは10mm以上、より好ましくは20mm以上である。面積Sの上限は好ましくは75mm以下、より好ましくは50mmである。
本実施形態の場合、面積Sは電極形成面62の楕円の面積として求められる。図示のように、この楕円は、元となった円錐を、先端部分65が所定の高さH、中心59に最も近い位置(下端部分66)が所定の高さhとなるように平面で切り取ることで形成される。したがって、先端部分65と下端部分66とを結ぶ直線が楕円の長軸となる。
電極部80を上述の面積Sの範囲とすることで、頭皮と十分な接触面積を確保できる。すなわち、上述した先細り形状により、頭皮に押しつけられる際に、接触領域が徐々に増加するように変形し、また、毛髪をかき分けることができる。
電極形成面62の水平方向の最大幅R1(ここでは楕円の短軸の長さ)と、最大幅の中心位置P0から最も先端側の位置Pzまで引いた直線の距離X(ここでは楕円の長軸の長さの1/2)を10等分したときの先端側の0.1Xの位置における水平方向の幅R2と、の比R2/R1は、0.1以上0.5以下である。
突起部60の電極形成面62が、上記のような先細り形状を有していることで、頭皮に押しつけられる際に、接触領域が徐々に増加するように変形し、また、毛髪をかき分けることができる。
<信号線69の構造>
突起部60の内部には、電極部80に接続する導電性の信号線69(図5において破線で示す)が設けられている。信号線69は、突起部60の内部を導通する態様であれば各種の配置構造を採用し得る。例えば、信号線69の先端は、突起部60の電極形成面62に対して、突出した構造、略同一面上となる構造、埋没した構造のいずれでもよい。電極部80との接続安定性の観点から、突出した構造を用いてもよい。信号線69の先端の突出部分は、一部または全体が電極部80で覆われている。
信号線69の先端の突出構造は、折り返し無し、折り返し有り、突起部60の先端部の表面に巻き付ける構造が採用し得る。また、信号線69の延在方向は特に限定せず、突起形成面52から延びる垂線と一致せず、垂線に対して傾斜してもよい。
<脳波検出用電極50の材料>
脳波検出用電極50の材料について説明する。脳波検出用電極50は、上述のようにゴム状の弾性体である。ゴム状の弾性体として、具体的にはゴムや熱可塑性エラストマー(単に「エラストマー(TPE)」ともいう)である。ゴムとしては、例えばシリコーンゴムがある。熱可塑性エラストマーとして、例えば、スチレン系TPE(TPS)、オレフィン系TPE(TPO)、塩化ビニル系TPE(TPVC)、ウレタン系TPE(TPU)、エステル系TPE(TPEE)、アミド系TPE(TPAE)などがある。
脳波検出用電極50がシリコーンゴムである場合、37℃、JIS K 6253(1997)に準拠して測定される、脳波検出用電極50の表面(突起部60や基部51)におけるタイプAデュロメータ硬さをゴム硬度Aとしたとき、ゴム硬度Aが、例えば、15以上55以下であり、より好ましくは25以上35以下である。
ここで、上記シリコーンゴム系硬化性組成物について説明する。
上記シリコーンゴムは、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成することができる。シリコーンゴム系硬化性樹脂組成物の硬化工程は、例えば、100〜250℃で1〜30分間加熱(1次硬化)した後、100〜200℃で1〜4時間ポストベーク(2次硬化)することによって行われる。
絶縁性シリコーンゴムは、導電性フィラーを含まないシリコーンゴムであり、導電性シリコーンゴムは導電性フィラーを含むシリコーンゴムである。
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を含むことができる。ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物の主成分となる重合物である。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを含んでもよい。同種のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンとは、少なくとも官能基が同じビニル基を含み、直鎖状を有していればよく、分子中のビニル基量や分子量分布、あるいはその添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるビニル基含有オルガノポリシロキサンをさらに含んでもよい。
上記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、直鎖構造を有するビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を含むことができる。
上記ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、直鎖構造を有し、かつ、ビニル基を含有しており、かかるビニル基が硬化時の架橋点となる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)のビニル基の含有量は、特に限定されないが、例えば、分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ15モル%以下であるのが好ましく、0.01〜12モル%であるのがより好ましい。これにより、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中におけるビニル基の量が最適化され、後述する各成分とのネットワークの形成を確実に行うことができる。本実施形態において、「〜」は、その両端の数値を含むことを意味する。
なお、本明細書中において、ビニル基含有量とは、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する全ユニットを100モル%としたときのビニル基含有シロキサンユニットのモル%である。ただし、ビニル基含有シロキサンユニット1つに対して、ビニル基1つであると考える。
また、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の重合度は、特に限定されないが、例えば、好ましくは1000〜10000程度、より好ましくは2000〜5000程度の範囲内である。なお、重合度は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の比重は、特に限定されないが、0.9〜1.1程度の範囲であるのが好ましい。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、上記のような範囲内の重合度および比重を有するものを用いることにより、得られるシリコーンゴムの耐熱性、難燃性、化学的安定性等の向上を図ることができる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、特に、下記式(1)で表される構造を有するものであるが好ましい。
Figure 2021180700
式(1)中、Rは炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
また、Rは炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基が挙げられる。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
さらに、式(1)中のRおよびRの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(1)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。さらに、R、およびRについても同様である。
さらに、m、nは、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは0〜2000の整数、nは1000〜10000の整数である。mは、好ましくは0〜1000であり、nは、好ましくは2000〜5000である。
また、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の具体的構造としては、例えば下記式(1−1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2021180700
式(1−1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはビニル基であり、少なくとも一方がビニル基である。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、ビニル基含有量が分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ0.4モル%以下である第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)と、ビニル基含有量が0.5〜15モル%である第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)とを含有するものであるのが好ましい。シリコーンゴムの原料である生ゴムとして、一般的なビニル基含有量を有する第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)と、ビニル基含有量が高い第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)とを組み合わせることで、ビニル基を偏在化させることができ、シリコーンゴムの架橋ネットワーク中に、より効果的に架橋密度の疎密を形成することができる。その結果、より効果的にシリコーンゴムの引裂強度を高めることができる。
具体的には、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、例えば、上記式(1−1)において、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、分子内に2個以上有し、かつ0.4モル%以下を含む第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)と、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、0.5〜15モル%含む第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)とを用いるのが好ましい。
また、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)は、ビニル基含有量が0.01〜0.2モル%であるのが好ましい。また、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)は、ビニル基含有量が、0.8〜12モル%であるのが好ましい。
さらに、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)と第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)とを組み合わせて配合する場合、(A1−1)と(A1−2)の比率は特に限定されないが、例えば、重量比で(A1−1):(A1−2)が50:50〜95:5であるのが好ましく、80:20〜90:10であるのがより好ましい。
なお、第1および第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)および(A1−2)は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、分岐構造を有するビニル基含有分岐状オルガノポリシロキサン(A2)を含んでもよい。
<<オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、架橋剤を含んでもよい。架橋剤は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を含むことができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)とに分類され、これらのうちのいずれか一方または双方を含むことができる。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種の架橋剤を含んでもよい。同種の架橋剤とは、少なくとも直鎖構造や分岐構造などの共通の構造を有していればよく、分子中の分子量分布や異なる官能基が含まれていてもよく、その添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なる架橋剤をさらに含んでもよい。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖構造を有し、かつ、Siに水素が直接結合した構造(≡Si−H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分が有するビニル基とヒドロシリル化反応し、これらの成分を架橋する重合体である。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子量は特に限定されないが、例えば、重量平均分子量が20000以下であるのが好ましく、1000以上、10000以下であることがより好ましい。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の重量平均分子量は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算により測定することができる。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
以上のような直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)としては、例えば、下記式(2)で表される構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 2021180700
式(2)中、Rは炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
なお、式(2)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。Rについても同様である。ただし、複数のRおよびRのうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。
また、Rは炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
なお、式(2)中のR,R,Rの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、分子内の架橋反応を防止する観点から、メチル基が好ましい。
さらに、m、nは、式(2)で表される直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは2〜150整数、nは2〜150の整数である。好ましくは、mは2〜100の整数、nは2〜100の整数である。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有するため、架橋密度が高い領域を形成し、シリコーンゴムの系中の架橋密度の疎密構造形成に大きく寄与する成分である。また、上記直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)同様、Siに水素が直接結合した構造(≡Si−H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分のビニル基とヒドロシリル化反応し、これら成分を架橋する重合体である。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の比重は、0.9〜0.95の範囲である。
さらに、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)としては、下記平均組成式(c)で示されるものが好ましい。
平均組成式(c)
(H(R3−aSiO1/2(SiO4/2
(式(c)において、Rは一価の有機基、aは1〜3の範囲の整数、mはH(R3−aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である)
式(c)において、Rは一価の有機基であり、好ましくは、炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
式(c)において、aは、ヒドリド基(Siに直接結合する水素原子)の数であり、1〜3の範囲の整数、好ましくは1である。
また、式(c)において、mはH(R3−aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は分岐状構造を有する。直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、その構造が直鎖状か分岐状かという点で異なり、Siの数を1とした時のSiに結合するアルキル基Rの数(R/Si)が、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)では1.8〜2.1、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)では0.8〜1.7の範囲となる。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有しているため、例えば、窒素雰囲気下、1000℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の残渣量が5%以上となる。これに対して、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖状であるため、上記条件で加熱した後の残渣量はほぼゼロとなる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の具体例としては、下記式(3)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2021180700
式(3)中、Rは炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基、もしくは水素原子である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(3)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
また、式(3)中、「−O−Si≡」は、Siが三次元に広がる分岐構造を有することを表している。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)において、Siに直接結合する水素原子(ヒドリド基)の量は、それぞれ、特に限定されない。ただし、シリコーンゴム系硬化性組成物において、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中のビニル基1モルに対し、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の合計のヒドリド基量が、0.5〜5モルとなる量が好ましく、1〜3.5モルとなる量がより好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)および分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)と、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)との間で、架橋ネットワークを確実に形成させることができる。
<<シリカ粒子(C)>>
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、非導電性フィラーを含む。非導電性フィラーは、必要に応じ、シリカ粒子(C)を含んでもよい。これにより、エラストマーの硬さや機械的強度の向上を図ることができる。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種の非導電性フィラーを含んでもよい。同種の非導電性フィラーとは、少なくとも共通の構成材料を有していればよく、粒子径、比表面積、表面処理剤、又はその添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるシランカップリング剤をさらに含んでもよい。
シリカ粒子(C)としては、特に限定されないが、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ等が用いられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ粒子(C)は、例えば、BET法による比表面積が例えば50〜400m/gであるのが好ましく、100〜400m/gであるのがより好ましい。また、シリカ粒子(C)の平均一次粒径は、例えば1〜100nmであるのが好ましく、5〜20nm程度であるのがより好ましい。
シリカ粒子(C)として、かかる比表面積および平均粒径の範囲内であるものを用いることにより、形成されるシリコーンゴムの硬さや機械的強度の向上、特に引張強度の向上をさせることができる。
<<シランカップリング剤(D)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことができる。
シランカップリング剤(D)は、加水分解性基を有することができる。加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(C)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(C)の表面改質を行うことができる。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種のシランカップリング剤を含んでもよい。同種のシランカップリング剤とは、少なくとも共通の官能基を有していればよく、分子中の他の官能基や添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるシランカップリング剤をさらに含んでもよい。
また、このシランカップリング剤(D)は、疎水性基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にこの疎水性基が付与されるため、シリコーンゴム系硬化性組成物中ひいてはシリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)の凝集力が低下(シラノール基による水素結合による凝集が少なくなる)し、その結果、シリコーンゴム系硬化性組成物中のシリカ粒子(C)の分散性が向上すると推測される。これにより、シリカ粒子(C)とゴムマトリックスとの界面が増加し、シリカ粒子(C)の補強効果が増大する。さらに、ゴムのマトリックス変形の際、マトリックス内でのシリカ粒子(C)の滑り性が向上すると推測される。そして、シリカ粒子(C)の分散性の向上及び滑り性の向上によって、シリカ粒子(C)によるシリコーンゴムの機械的強度(例えば、引張強度や引裂強度など)が向上する。
さらに、シランカップリング剤(D)は、ビニル基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にビニル基が導入される。そのため、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化の際、すなわち、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)が有するビニル基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とがヒドロシリル化反応して、これらによるネットワーク(架橋構造)が形成される際に、シリカ粒子(C)が有するビニル基も、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とのヒドロシリル化反応に関与するため、ネットワーク中にシリカ粒子(C)も取り込まれるようになる。これにより、形成されるシリコーンゴムの低硬度化および高モジュラス化を図ることができる。
シランカップリング剤(D)としては、疎水性基を有するシランカップリング剤およびビニル基を有するシランカップリング剤を併用することができる。
シランカップリング剤(D)としては、例えば、下記式(4)で表わされるものが挙げられる。
−Si−(X)4−n・・・(4)
上記式(4)中、nは1〜3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
疎水性基は、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が挙げられ、中でも、特に、メチル基が好ましい。
また、親水性基は、例えば、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基またはカルボニル基等が挙げられ、中でも、特に、水酸基が好ましい。なお、親水性基は、官能基として含まれていてもよいが、シランカップリング剤(D)に疎水性を付与するという観点からは含まれていないのが好ましい。
さらに、加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、クロロ基またはシラザン基等が挙げられ、中でも、シリカ粒子(C)との反応性が高いことから、シラザン基が好ましい。なお、加水分解性基としてシラザン基を有するものは、その構造上の特性から、上記式(4)中の(Y−Si−)の構造を2つ有するものとなる。
上記式(4)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例は、次の通りである。
上記官能基として疎水性基を有するものとして、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、及びトリメチルエトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
上記官能基としてビニル基を有するものとして、例えば、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランのようなアルコキシシラン;ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランのようなクロロシラン;ジビニルテトラメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びビニルメチルジメトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
またシランカップリング剤(D)がトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤およびビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤の2種を含む場合、疎水性基を有するものとしてはヘキサメチルジシラザン、ビニル基を有するものとしてはジビニルテトラメチルジシラザンを含むことが好ましい。
トリメチルシリル基を有するシランカップリング剤(D1)およびビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤(D2)を併用する場合、(D1)と(D2)の比率は、特に限定されないが、例えば、重量比で(D1):(D2)が、1:0.001〜1:0.35、好ましくは1:0.01〜1:0.20、より好ましくは1:0.03〜1:0.15である。このような数値範囲とすることにより、所望のシリコーンゴムの物性を得ることができる。具体的には、ゴム中におけるシリカの分散性およびゴムの架橋性のバランスを図ることができる。
本実施形態において、シランカップリング剤(D)の含有量の下限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、シランカップリング剤(D)の含有量上限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対して、100質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
シランカップリング剤(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、エラストマーを含む柱状部と導電性樹脂層との密着性を高めることができる。また、シリコーンゴムの機械的強度の向上に資することができる。また、シランカップリング剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、シリコーンゴムが適度な機械特性を持つことができる。
<<白金または白金化合物(E)>
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、触媒を含んでもよい。触媒は、白金または白金化合物(E)を含むことができる。白金または白金化合物(E)は、硬化の際の触媒として作用する触媒成分である。白金または白金化合物(E)の添加量は触媒量である。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種の触媒を含んでもよい。同種の触媒とは、少なくとも共通の構成材料を有していればよく、触媒中に異なる組成が含まれていてもよく、その添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なる触媒をさらに含んでもよい。
白金または白金化合物(E)としては、公知のものを使用することができ、例えば、白金黒、白金をシリカやカーボンブラック等に担持させたもの、塩化白金酸または塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンの錯塩、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩等が挙げられる。
なお、白金または白金化合物(E)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、シリコーンゴム系硬化性組成物中における白金または白金化合物(E)の含有量は、触媒量を意味し、適宜設定することができるが、具体的にはビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シリカ粒子(C)、シランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して、白金族金属が重量単位で0.01〜1000ppmとなる量であり、好ましくは、0.1〜500ppmとなる量である。
白金または白金化合物(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、シリコーンゴム系硬化性組成物が適切な速度で硬化することが可能となる。また、白金または白金化合物(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、製造コストの削減に資することができる。
<<水(F)>>
また、本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物には、上記成分(A)〜(E)以外に、水(F)が含まれていてもよい。
水(F)は、シリコーンゴム系硬化性組成物に含まれる各成分を分散させる分散媒として機能するとともに、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)との反応に寄与する成分である。そのため、シリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)とを、より確実に互いに連結したものとすることができ、全体として均一な特性を発揮することができる。
(その他の成分)
さらに、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、上記(A)〜(F)成分以外に、他の成分をさらに含むことができる。この他の成分としては、例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等のシリカ粒子(C)以外の無機充填材、反応阻害剤、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等の添加剤が挙げられる。
本実施形態に係る導電性溶液(導電性シリコーンゴム組成物)は、導電性フィラーを含まない上記シリコーンゴム系硬化性組成物に加えて、上記導電性フィラーおよび溶剤を含むものである。
上記溶剤としては、公知の各種溶剤を用いることができるが、例えば、高沸点溶剤を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記溶剤の一例としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、トリフルオロメチルベンゼン、ベンゾトリフルオリドなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロアルカン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド類などを例示することができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記導電性溶液は、溶液中の固形分量などを調整することで、スプレー塗布やディップ塗布等の各種の塗布方法に適切な粘度を備えることができる。
また、上記導電性溶液が上記導電性フィラーおよび上記シリカ粒子(C)を含む場合、突起部60が含むシリカ粒子(C)の含有量の下限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上とすることができる。これにより、突起部60の機械的強度を向上させることができる。一方で、上記突起部60が含むシリカ粒子(C)の含有量の上限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。これにより、突起部60における導電性と機械的強度や柔軟性とのバランスを図ることができる。
導電性溶液を必要に応じて加熱乾燥することで、導電性シリコーンゴムが得られる。
導電性シリコーンゴムは、シリコーンオイルを含まない構成であってもよい。これにより、突起部60の表面にシリコーンオイルがブリードアウトすることで導通性が低下することを抑制できる。
<信号線69の材料>
信号線69は、公知のものを使用することができるが、例えば、導電繊維で構成され得る。導電繊維としては、金属繊維、金属被覆繊維、炭素繊維、導電性ポリマー繊維、導電性ポリマー被覆繊維、および導電ペースト被覆繊維からなる群から選択される一種以上を用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記金属繊維、金属被覆繊維、の金属材料は、導電性を有するものであれば限定されないが、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、ステンレス、アルミニウム、銀/塩化銀およびこれらの合金等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、導通性の観点から、銀を用いることができる。また、金属材料は、クロム等の環境に負荷を与える金属を含まないことが好ましい。
上記金属被覆繊維、導電性ポリマー被覆繊維、導電ペースト被覆繊維の繊維材料は、特に限定されないが、合成繊維、半合成繊維、天然繊維のいずれでもよい。これらの中でも、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、絹および綿等を用いることが好ましい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記炭素繊維は、例えば、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。
上記導電性ポリマー繊維および導電性ポリマー被覆繊維の導電性ポリマー材料は、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリナフタレン、及びこれらの誘導体等の導電性高分子およびバインダ樹脂の混合物、あるいは、PEDOT−PSS((3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸))等の導電性高分子の水溶液が用いられる。
上記導電ペースト被覆繊維の導電ペーストに含まれる樹脂材料は特に限定されないが伸縮性を有することが好ましく、例えばシリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、およびエチレンプロピレンゴムからなる群から選択される一種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記導電ペースト被覆繊維の導電ペーストに含まれる導電性フィラーは特に限定されないが、公知の導電材料を用いてもよいが、金属粒子、金属繊維、金属被覆繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー、導電性ポリマー被覆繊維および金属ナノワイヤーからなる群から選択される一種以上を含むことができる。
上記導電性フィラーを構成する金属は、特に限定はされないが、例えば、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銀/塩化銀、或いはこれらの合金のうち少なくとも一種類、あるいは、これらのうちの二種以上を含むことができる。この中でも、導電性の高さや入手容易性の高さから、銀または銅が好ましい。
上記信号線69が、線状の導電繊維を複数本撚り合わせた撚糸で構成されてもよい。これにより、変形時における信号線69の断線を抑制できる。
本実施形態において、導電繊維における被覆とは、単に繊維材料の外表面を覆うことのみならず、単繊維を撚り合わせた撚糸などの場合は、その撚糸の中の繊維間隙に金属、導電性ポリマー、または導電ペーストが含浸し、撚糸を構成する単繊維を1本毎に被覆するものを含む。
信号線69の引張破断伸度は、例えば、1%以上〜50%以下、好ましくは1.5%以上〜45%である。このような数値範囲内とすることで、変形時の破断を抑制しつつも、突起部60の過度な変形を抑制できる。
<電極部80の材料>
電極部80の導電部材は、例えば、良導性金属を含むペーストである。良導性金属は、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、或いはこれらの合金からなる群から選択される一種以上を含む。特に、入手性や導電性の観点から、銀や塩化銀、銅が好適である。
良導性金属を含むペーストで電極部80を形成する場合は、ゴム状の弾性体でできた突起部60の頂部を、良導性金属を含むペースト状の導電性溶液にディップ(浸漬塗布)する。これにより、突起部60の電極形成面62表面に電極部80が形成される。
なお、導電性フィラーおよび溶剤を含む導電性溶液を、突起部60の電極形成面62に塗布することにより、導電性樹脂層としての電極部80を形成してもよい。このとき、溶剤を突起部60と同じ系統の材質(シリコーンゴム)とすることで、電極部80(導電性樹脂層)の密着性を高められる。
導電性溶液を必要に応じて加熱乾燥することで、導電性シリコーンゴムが得られる。
導電性シリコーンゴムは、シリコーンオイルを含まない構成であってもよい。電極部80の表面にシリコーンオイルがブリードアウトすることで導通性が低下することを抑制できる。
これにより、脳波測定装置1を頭部99へ装着する際の毛髪の掻き分け性能を向上させることができる。また、脳波測定装置1を装着した際の電極形成面62(すなわち電極部80)の接触面積の十分な確保が可能となる。
<脳波検出用電極50の製造方法>
本実施形態の脳波検出用電極50の製造方法の一例は次の工程を含むことができる。
まず、金型を用いて、上記シリコーンゴム系硬化性組成物を加熱加圧成形し、基部51および突起部60からなる成形体を得る。続いて、得られた成形体の各突起部60の内部に、縫い針を用いて、信号線69を通す。その後得られた成形体の突起部60の電極形成面62に、ペースト状の導電性溶液をディップ塗布し、加熱乾燥後、ポストキュアを行う。これにより、突起部60の電極形成面62に電極部80を形成できる。
以上により、脳波検出用電極50を製造することができる。
なお、上記成形工程時において、信号線69を配置した成形空間内に、上記シリコーンゴム系硬化性組成物を導入し、加圧加熱成形するインサート成形を用いてもよい。
<脳波検出用電極50の特徴のまとめ>
脳波検出用電極50の特徴について、特に突起部60の構造についてまとめて説明する。
(1)脳波検出用電極50は、
基部51(支持体)と、
基部51から延出する複数の突起部60と、
突起部60に設けられた電極部80と、
を有し、
突起部60は、上面視で基部51に対して最も外側の側面が脳波検出用電極50から延びる垂線(中心軸線L)に対し外側に傾いて延出しており、かつ、先端部分に略平坦な電極形成面62(接触面)を有し、
電極形成面62は、最大幅の位置から先端側に向けて漸次先細りの形状を呈しており、
電極部80は電極形成面62に設けられている。
これによって、突起部60は、頭皮との接触圧力が増加するに伴い電極形成面62(すなわち電極部80)の接触領域が徐々に増加するように変形する。したがって、電極部80と頭皮の間に毛髪が入り込んでも、接触領域が増加するので、毛髪の影響を低減できる。また、突起部60が弾性変形するので、被験者に不快な思いをさせることも抑制できる。さらにまた、接触領域が徐々に増加するように変形することで、毛髪を円滑にかきわけることができ、電極形成面62(すなわち電極部80)と頭皮の間に介在する毛髪を減少させることができる。
(2)突起部60は錐体の先端部分を斜めに切り取った形状を呈し、電極形成面62は錐体の先端部分を斜めに切り取られて形成された面である。
これによって、脳波検出用電極50が頭皮に押しつけられた際に、毛髪を円滑にかきわけることができる。
(3)突起部60のもととなった錐体は円錐であり、電極形成面62は楕円となっている。
特に電極形成面62が楕円のように外郭が曲線であるような場合、脳波検出用電極50が頭皮に押しつけられた際に、毛髪を円滑にかきわけることができる。
(4)突起部60のもととなった三角錐の先端の角度αは15度以上28度以下である。
このように、突起部60の先端が先細りである場合、特に突起部60のもととなった円錐の頂角の角度αが15度以上28度以下である場合、毛髪を円滑にかき分けることができる。
(5)錐体は幅方向に対称であってもよい。
言い換えると、突起部60は、周方向に倒れることなく真っ直ぐ放射状に設けられている。このような構成により、頭部99の形状や毛髪の量にかかわらず、電極部80と頭皮の接触を安定させることができる。
(6)突起部60は幅方向に非対称であってもよい。
言い換えると、突起部60は、周方向に倒れるように斜めに向けて設けられている。
このような構成によると、毛髪が多い場合や、毛髪にクセ等がある場合に、毛髪をかき分けることができ、汎用的な形状では対応できない場合、すなわち、上述のように錐体が幅方向に対称となるような構成の脳波検出用電極50では対応できない場合でも、安定した脳波測定が可能となる。
(7)電極形成面62の面積S(電極部80の面積でもある)は1mm以上100mm以下である。
電極部80を上述の面積Sの範囲(1mm以上100mm以下)とすることで、頭皮と十分な接触面積を確保できる。すなわち、上述した先細り形状により、頭皮に押しつけられる際に、接触領域が徐々に増加するように変形し、また、毛髪をかき分けることができる。
(8)電極形成面62の水平方向の最大幅R1と、最大幅の中心位置P0から最も先端側の位置Pzまで引いた直線の距離Xを10等分したときの先端側の0.1Xの位置における水平方向の幅R2との比R2/R1は、0.1以上0.5以下である。
突起部60の電極形成面62が、上記のような先細り形状を有していることで、頭皮に押しつけられる際に、接触領域が徐々に増加するように変形し、また、毛髪をかき分けることができる。
(9)突起部60の高さhは0.5mm以上20mm以下である。
このような高さとすることで、頭部99に接触する際に、適度に変形し、頭皮との接触面積を良好に維持できる。
(10)突起部60の元となった円錐の頂点の角度αは、円錐(突起部60の突起部底面63)の直径D1、突起部60の先端部分65の位置での円錐の直径D2および突起部60の高さHとした場合に、次の式(2)で表すtan(α/2)の値が0.15以上0.25以下である。
tan(α/2)=(D1−D2)/2H ・・・式(2)
tan(α/2)の値が上記範囲より大きければ、毛髪をかき分ける性能が低下する傾向がある。また、tan(α/2)の値が上記範囲より小さければ、低負荷時(すなわち頭皮に押しつける力が小さい条件)で大変形してしまい、突起部60の先端部分65が浮いてしまう等の現象が生じてしまうため、頭皮に適切にフィットしない場合がある。そこで、tan(α/2)を上記範囲とすることで、毛髪のかき分け性能と頭皮への適切な接触状態の確保とのバランスをとることができる。
(11)基部51と突起部60とは、ゴム状の弾性体からなり、弾性体の硬度は、25以上35以下である。
突起部60が上記の硬度のゴム状の弾性体であるため、被験者の頭部99に押し当てられた際に、接触圧を適正に保つことができ、また、押し当てる圧力が強すぎて被験者に不快を与えることを抑制できる。
(12)脳波測定装置は、上述の脳波電極ユニット10を有する。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成(変形例)を採用することもできる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
表1に、図7および図8を参照して説明した突起部60の寸法(直径D1、直径D2、先端部分65の高さH、頂角の角度α)について、実施例および比較例を示す。ここでは、上述した式(2)の値を示している。表2は、式(2)の値に対応する頂角の角度αを示している。表中で、実施例を太文字及び太線で囲んだ領域として示している。ここでは、楕円形状の電極形成面62の下端部分66の高さhは2mmで固定している。すなわち、以下の寸法の円錐を先端部分65(高さH)と下端部分66(高さh=2mm固定)とを結ぶ直線が楕円長軸となるような平面で切リ取った面が電極形成面62である。
高さH:1〜10mm(1mm間隔で10種)
D1:2.3mm、2.7mm、3.2mm
D2:0.3mm、0.5mm、1.0mm
また、図9に、突起部60の形状の一例として、高さH=6mmの場合の形状について、突起部60を中心59側から見た側面図の一覧を示している。
表1および表2において、それぞれの突起部底面63の直径D1の値について見た場合、次のような傾向がある。
(a)表中において、右側及び上側に位置する突起部60ほど、低負荷で変形が大きくなる。すなわち、高さHが高いほど、また、先端側の直径D2が小さいほど変形しやすく、電極形成面62と頭皮の接触が良好に維持できないケースが増える。
(b)表中において、左側及び下側に位置する突起部60ほど、毛髪のかき分け性能が低くなる。すなわち、高さHが低いほど、また、先端側の直径D2が大きいほど、毛髪のかき分けが良好に行われず、電極形成面62と頭皮との間に毛髪が介在するケースが増える。
Figure 2021180700
Figure 2021180700
1 脳波測定装置
10 脳波電極ユニット
20 フレーム
21 電極ユニット取付部
50 脳波検出用電極
51 基部
52 突起形成面
54 側面
60 突起部
61 突起部本体
62 電極形成面
63 突起部底面
65 先端部分
66 下端部分

Claims (12)

  1. 基部と、
    前記基部から延出する複数の突起部と、
    前記突起部に設けられた電極部と、
    を有し、
    前記突起部は、上面視で前記基部に対して最も外側の側面が前記基部から延びる垂線に対し外側に傾いて延出しており、かつ、先端部分に略平坦な接触面を有し、
    前記接触面は、最大幅の位置から先端側に向けて漸次先細りの形状を呈しており、
    前記電極部は前記接触面に設けられている、
    脳波測定用電極。
  2. 前記突起部は錐体の先端部分を斜めに切り取った形状を呈し、
    前記接触面は前記錐体の先端部分を斜めに切り取られて形成された面である、
    請求項1に記載の脳波測定用電極。
  3. 前記錐体は円錐であり、
    前記接触面は楕円となっている、
    請求項2に記載の脳波測定用電極。
  4. 前記錐体の先端の角度は15度以上28度以下である、
    請求項2または3に記載の脳波測定用電極。
  5. 前記錐体は幅方向に対称である、
    請求項2から4までのいずれか1項に記載の脳波測定用電極。
  6. 前記錐体は幅方向に非対称である、
    請求項2から5までのいずれか1項に記載の脳波測定用電極。
  7. 前記接触面の面積は1mm以上100mm以下である、
    請求項1から6までのいずれか1項に記載の脳波測定用電極。
  8. 前記接触面の水平方向の最大幅R1と、前記最大幅の中心位置から最も先端側の位置まで引いた直線の距離を10等分したときの先端側の1/10の位置における水平方向の幅R2との比R2/R1は、0.1以上0.5以下である、
    請求項1から7までのいずれか1項に記載の脳波測定用電極。
  9. 前記突起部の高さは0.5mm以上20mm以下である、
    請求項1から8までのいずれか1項に記載の脳波測定用電極。
  10. 前記錐体の頂点の角度をαとしたときに、
    式tan(α/2)が0.15以上0.25以下である、
    請求項2から6までのいずれか1項に記載の脳波測定用電極。
  11. 前記基部と前記突起部とは、ゴム状の弾性体からなり、
    前記弾性体の硬度は、25以上35以下である、
    請求項1から10までのいずれか1項に記載の脳波測定用電極。
  12. 請求項1から11までのいずれか1項に記載の脳波測定装置。
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