JP2021142186A - 脳波測定用電極及び脳波測定装置 - Google Patents

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雄眞 北添
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拓弥 原田
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Takashi Yagisawa
隆 八木澤
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Abstract

【課題】脳波定装置において、被測定者の頭髪が長い場合や多い場合であっても、安定した脳波測定を可能とする技術を提供する。【解決手段】脳波測定用電極60は、電極基部61と、電極基部61の一の平面(ここでは先端側の基部先端面62)から突出する複数(ここでは6箇所)の突出部70と、突出部70に設けられた導電性の電極部材79と、を有し、電極基部61は、隣接する突出部70との間に、電極基部61の厚さ方向に凹状に切り込まれた溝部65を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、脳波測定用電極および脳波測定装置に関する。
これまで脳波検出用電極に関して様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に開示の脳波測定用電極(脳波電極保持具)は、基底部と、前記基底部から突出して設けられた、ゴムからなる突出部と、前記突出部の先端に設けられ、前記脳波測定用電極の外部と電気的に接続され、前記脳波の測定時に頭皮に接触する、金属からなる接触部とを有する。
特許5842198号公報
一般に、基部から頭皮の方向に向かって突出部が突出する構成の脳波検出用電極では、被測定者の頭髪が長い場合や多い場合に、突出部の間に頭髪を収容しきれず、結果的に、突出部の先端に設けられた金属からなる接触部(電極)が頭皮に接触できず、脳波測定が不安定または出来なくなるという課題があった。
本発明はこのような状況に鑑みなされたものであって、脳波測定装置において、被測定者の頭髪が長い場合や多い場合であっても、安定した脳波測定を可能とする技術を提供することを目的とする。
本発明によれば、基部と、
前記基部の一の平面から突出する複数の突出部と、
前記突出部に設けられた導電性の電極部材と、
を有し、
前記基部は、隣接する突出部との間に、前記基部の厚さ方向に凹状に切り込まれた溝部を有する、脳波測定用電極が提供される。
また、本発明によれば、上述の脳波測定用電極を有する脳波測定装置が提供される。
本発明によれば、脳波測定装置において、被測定者の頭髪が長い場合や多い場合であっても、安定した脳波測定を可能とする技術を提供することができる。
第1の実施形態に係る、人の頭部に装着した状態の脳波測定装置を模式的に示す図である。 第1の実施形態に係る、脳波電極ユニットの正面図である。 第1の実施形態に係る、脳波測定用電極の先端側から見た斜視図である。 第1の実施形態に係る、脳波測定用電極の背面側から見た斜視図である。 第1の実施形態に係る、脳波測定用電極の平面図である。 第1の実施形態に係る、電極保持部が取り付けられた固定用フレームの斜視図である。 第1の実施形態に係る、電極保持部を示した図である。 第1の実施形態に係る、電極保持部と固定用フレームの固定状態の推移を説明する図である。 第2の実施形態に係る、脳波測定用電極の先端側から見た斜視図である。 第2の実施形態に係る、脳波測定用電極の背面側から見た斜視図である。 第3の実施形態に係る、脳波測定用電極の先端側から見た斜視図である。 第3の実施形態に係る、脳波測定用電極の背面側から見た斜視図である。 第4の実施形態に係る、脳波測定用電極の先端側から見た斜視図である。 第4の実施形態に係る、脳波測定用電極の背面側から見た斜視図である。 第5の実施形態に係る、人の頭部に装着した状態の脳波測定装置を模式的に示す図である。 第5の実施形態に係る、脳波測定用電極の平面図である。 第6の実施形態に係る、脳波測定用電極の平面図である。
[第1の実施形態]
<概要>
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は人の頭部99に装着した状態の脳波測定装置10を模式的に示す図である。なお、図視において、便宜的に、矢印で示す上下/前後/左右方向で説明する。
脳波測定装置10は、人の頭部99に装着され、脳波を生体からの電位変動として検出し、検出した脳波を脳波表示装置(図示せず)に出力する。脳波表示装置は、脳波測定装置10が検出した脳波を取得して、モニタ表示したり、データ保存したり、周知の脳波解析処理を行う。
<脳波測定装置10の構造>
図1に示すように、脳波測定装置10は、複数の脳波電極ユニット80と、固定用フレーム20と、脳波電極ユニット80を固定用フレーム20に取り付けるための電極保持部40とを有する。脳波電極ユニット80は、電極保持部40に取り付けられたうえで固定用フレーム20に取り付けられる。
本実施形態では、脳波電極ユニット80は、5ch分(5個)設けられており、それにともない電極保持部40も5箇所に設けられている。上記5chの位置(すなわち脳波電極ユニット80の取付位置)は、国際10−20電極配置法におけるT3、C3、Cz、C4、T4の位置に対応する。
<脳波電極ユニット80の構造>
図2に脳波電極ユニット80の正面図を示す。脳波電極ユニット80は略円柱状の胴部81と、その一端側(図中下側)に設けられた脳波測定用電極60とを有する。胴部81の側面部分には螺刻が設けられ、電極保持部40に設けられた電極取付孔49(図6、7参照)にネジ嵌合される。なお、ネジ嵌合の他にも各種の嵌合機構(差し込み嵌合やサムターン機構)やマグネット接合機構を用いることができる。
脳波電極ユニット80の一端(図示上側の端部)には信号取出部が形成されている。脳波電極ユニット80の他端(図示下側の端部)には、脳波測定用電極60が設けられている。詳細な構造は次に説明するが、脳波測定用電極60は、複数の突出部70が頭部99側(頭部99に装着時)に向かって形成されている。突出部70は、例えば所定形状のゴム状の弾性体(シリコーンゴムなど)の構造に、導電性の電極部材79を設け、電極部材79で検出した信号を信号線で信号取出部から取り出すようになっている。なお、本実施形態では、後述するように、突出部70は電極基部61から一体に延出していることから、電極基部61も同様にゴム状の弾性体(シリコーンゴムなど)からなる。
<脳波測定用電極60の構造>
図3〜図5を参照して脳波測定用電極60の構造を説明する。図3は脳波測定用電極60を先端側(下側)から見た斜視図である。図4は脳波測定用電極60を背面側(上側)から見た斜視図である。図5は脳波測定用電極60の平面図であって、先端側(下側)から見た図である。ここでは突出部70については、底面72の外郭を示している。
脳波測定用電極60は、電極基部61と、電極基部61の一の平面(ここでは先端側の基部先端面62)から突出する複数(ここでは6個)の突出部70と、突出部70に設けられた導電性の電極部材79と、を有する。また、電極基部61は、隣接する突出部70との間に、電極基部61の厚さ方向に凹状に切り込まれた溝部65を有する。
本実施形態の脳波測定用電極60では、電極基部61は円柱形状(基部先端面62が直径R1の円形)を呈しており、電極基部61の一の平面は、円柱形状の一方の端面、すなわち、基部先端面62である。
また、突出部70は、電極基部61の一の平面(すなわち基部先端面62)に円環状(直径R2の円形)に配置されている。本実施形態では、6個の突出部70が、周方向に60度間隔で、所定幅離間して、電極基部61の基部先端面62から一体に延出して設けられている。また、突出部70の離間幅は、例えば、突出部70の(円錐形状の)底面の直径と同じ長さである。すなわち、突出部70間にもう一つ突出部70が配置可能な程度の間隔となっている。
この突出部70が設けられていない領域が厚さ方向(すなわち上下方向)に切り取られた溝部65となっている。この溝部65は、脳波測定用電極60を頭部99(頭皮)に押し当てる際に頭髪を収容する機能を果たす。
なお、突出部70の底面72の境界72aが溝部65の外郭になるのではなく、若干の余裕を有する。また、溝部65の中心方向側(すなわち基部先端面62の円中心側)の境界65aを結んで出来る円の直径R3(図5参照)としたときに、突出部70の底面72の境界72aの最も中心側位置は直径R3の円の位置と同程度の位置である。
また、電極基部61が呈する円柱形状は、突出部70が設けられていない領域の外縁部分で、突出部70間を厚さ方向に切り取るように設けられた溝部65が形成され、外縁部分が切り離されたいわゆる星型の形状となっている。
また、突出部70は、図5の平面図に示すように、上面視で円柱形状の一方の端面(すなわち基部先端面62)の内側に形成されている。具体的には、上面視において、突出部70の最も外側の位置(より具体的には突出部70の先端部分)が、基部先端面62の外郭線よりも内側に位置している。この構成では、突出部70は、基部先端面62から先端側(下)に向かって延出するため、上下方向の押しつけ動作に対して強度を保ちやすく安定している。また、その安定をベースとして、突出部70の電極部材79の形成領域が撓む際にその撓み動作が安定し、突出部70の先端部分が頭皮と離間してしまうことを防止できる。例えば、背景技術(特許文献1)のように電極基部の側面から延出するような構成で頭皮に押しつけるような場合、特にネジ込み動作を行うような場合、延出する部分において、片持ち梁の構造を有することから、押しつけ方向(上下方向)とネジ込み方向(回転方向)に大きな負荷が作用し、周方向に曲がりやすく、また頭髪に影響されその曲がり量が不安定であり、さらに壊れやすいということが想定された。しかし、本実施形態では、そのような懸念は無い。
突出部70は、円錐形状の先端側内側部分(すなわち円環形状の中心側部分)を斜めに切り取った形状となっている。切り取られた面は楕円形状となっており、この面に電極部材79が設けられる。突出部70が頭皮に押し当てられた際に、電極部材79が形成された面が先端側から徐々に撓んでいき、それに従い接触面積が増加する。
<脳波測定用電極60の材料>
脳波検出用電極60の材料について説明する。脳波検出用電極60は、上述のようにゴム状の弾性体である。ゴム状の弾性体として、具体的にはゴムや熱可塑性エラストマー(単に「エラストマー(TPE)」ともいう)である。ゴムとしては、例えばシリコーンゴムがある。熱可塑性エラストマーとして、例えば、スチレン系TPE(TPS)、オレフィン系TPE(TPO)、塩化ビニル系TPE(TPVC)、ウレタン系TPE(TPU)、エステル系TPE(TPEE)、アミド系TPE(TPAE)などがある。
脳波検出用電極60がシリコーンゴムである場合、37℃、JIS K 6253(1997)に準拠して測定される、脳波検出用電極60の表面(突出部70や電極基部61)におけるタイプAデュロメータ硬さをゴム硬度Aとしたとき、ゴム硬度Aが、例えば、15以上55以下である。
ここで、上記シリコーンゴム系硬化性組成物について説明する。
上記シリコーンゴムは、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成することができる。シリコーンゴム系硬化性樹脂組成物の硬化工程は、例えば、100〜250℃で1〜30分間加熱(1次硬化)した後、100〜200℃で1〜4時間ポストベーク(2次硬化)することによって行われる。
絶縁性シリコーンゴムは、導電性フィラーを含まないシリコーンゴムであり、導電性シリコーンゴムは導電性フィラーを含むシリコーンゴムである。
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を含むことができる。ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物の主成分となる重合物である。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを含んでもよい。同種のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンとは、少なくとも官能基が同じビニル基を含み、直鎖状を有していればよく、分子中のビニル基量や分子量分布、あるいはその添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるビニル基含有オルガノポリシロキサンをさらに含んでもよい。
上記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、直鎖構造を有するビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を含むことができる。
上記ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、直鎖構造を有し、かつ、ビニル基を含有しており、かかるビニル基が硬化時の架橋点となる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)のビニル基の含有量は、特に限定されないが、例えば、分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ15モル%以下であるのが好ましく、0.01〜12モル%であるのがより好ましい。これにより、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中におけるビニル基の量が最適化され、後述する各成分とのネットワークの形成を確実に行うことができる。本実施形態において、「〜」は、その両端の数値を含むことを意味する。
なお、本明細書中において、ビニル基含有量とは、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する全ユニットを100モル%としたときのビニル基含有シロキサンユニットのモル%である。ただし、ビニル基含有シロキサンユニット1つに対して、ビニル基1つであると考える。
また、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の重合度は、特に限定されないが、例えば、好ましくは1000〜10000程度、より好ましくは2000〜5000程度の範囲内である。なお、重合度は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の比重は、特に限定されないが、0.9〜1.1程度の範囲であるのが好ましい。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、上記のような範囲内の重合度および比重を有するものを用いることにより、得られるシリコーンゴムの耐熱性、難燃性、化学的安定性等の向上を図ることができる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、特に、下記式(1)で表される構造を有するものであるが好ましい。
Figure 2021142186
式(1)中、Rは炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
また、Rは炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基が挙げられる。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
さらに、式(1)中のRおよびRの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(1)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。さらに、R、およびRについても同様である。
さらに、m、nは、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは0〜2000の整数、nは1000〜10000の整数である。mは、好ましくは0〜1000であり、nは、好ましくは2000〜5000である。
また、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の具体的構造としては、例えば下記式(1−1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2021142186
式(1−1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはビニル基であり、少なくとも一方がビニル基である。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、ビニル基含有量が分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ0.4モル%以下である第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)と、ビニル基含有量が0.5〜15モル%である第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)とを含有するものであるのが好ましい。シリコーンゴムの原料である生ゴムとして、一般的なビニル基含有量を有する第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)と、ビニル基含有量が高い第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)とを組み合わせることで、ビニル基を偏在化させることができ、シリコーンゴムの架橋ネットワーク中に、より効果的に架橋密度の疎密を形成することができる。その結果、より効果的にシリコーンゴムの引裂強度を高めることができる。
具体的には、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、例えば、上記式(1−1)において、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、分子内に2個以上有し、かつ0.4モル%以下を含む第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)と、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、0.5〜15モル%含む第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)とを用いるのが好ましい。
また、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)は、ビニル基含有量が0.01〜0.2モル%であるのが好ましい。また、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)は、ビニル基含有量が、0.8〜12モル%であるのが好ましい。
さらに、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)と第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)とを組み合わせて配合する場合、(A1−1)と(A1−2)の比率は特に限定されないが、例えば、重量比で(A1−1):(A1−2)が50:50〜95:5であるのが好ましく、80:20〜90:10であるのがより好ましい。
なお、第1および第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)および(A1−2)は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、分岐構造を有するビニル基含有分岐状オルガノポリシロキサン(A2)を含んでもよい。
<<オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、架橋剤を含んでもよい。架橋剤は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を含むことができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)とに分類され、これらのうちのいずれか一方または双方を含むことができる。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種の架橋剤を含んでもよい。同種の架橋剤とは、少なくとも直鎖構造や分岐構造などの共通の構造を有していればよく、分子中の分子量分布や異なる官能基が含まれていてもよく、その添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なる架橋剤をさらに含んでもよい。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖構造を有し、かつ、Siに水素が直接結合した構造(≡Si−H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分が有するビニル基とヒドロシリル化反応し、これらの成分を架橋する重合体である。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子量は特に限定されないが、例えば、重量平均分子量が20000以下であるのが好ましく、1000以上、10000以下であることがより好ましい。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の重量平均分子量は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算により測定することができる。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
以上のような直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)としては、例えば、下記式(2)で表される構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 2021142186
式(2)中、Rは炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
なお、式(2)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。Rについても同様である。ただし、複数のRおよびRのうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。
また、Rは炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
なお、式(2)中のR,R,Rの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、分子内の架橋反応を防止する観点から、メチル基が好ましい。
さらに、m、nは、式(2)で表される直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは2〜150整数、nは2〜150の整数である。好ましくは、mは2〜100の整数、nは2〜100の整数である。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有するため、架橋密度が高い領域を形成し、シリコーンゴムの系中の架橋密度の疎密構造形成に大きく寄与する成分である。また、上記直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)同様、Siに水素が直接結合した構造(≡Si−H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分のビニル基とヒドロシリル化反応し、これら成分を架橋する重合体である。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の比重は、0.9〜0.95の範囲である。
さらに、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)としては、下記平均組成式(c)で示されるものが好ましい。
平均組成式(c)
(H(R3−aSiO1/2(SiO4/2
(式(c)において、Rは一価の有機基、aは1〜3の範囲の整数、mはH(R3−aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である)
式(c)において、Rは一価の有機基であり、好ましくは、炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
式(c)において、aは、ヒドリド基(Siに直接結合する水素原子)の数であり、1〜3の範囲の整数、好ましくは1である。
また、式(c)において、mはH(R3−aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は分岐状構造を有する。直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、その構造が直鎖状か分岐状かという点で異なり、Siの数を1とした時のSiに結合するアルキル基Rの数(R/Si)が、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)では1.8〜2.1、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)では0.8〜1.7の範囲となる。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有しているため、例えば、窒素雰囲気下、1000℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の残渣量が5%以上となる。これに対して、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖状であるため、上記条件で加熱した後の残渣量はほぼゼロとなる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の具体例としては、下記式(3)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2021142186
式(3)中、Rは炭素数1〜8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基、もしくは水素原子である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(3)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
また、式(3)中、「−O−Si≡」は、Siが三次元に広がる分岐構造を有することを表している。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)において、Siに直接結合する水素原子(ヒドリド基)の量は、それぞれ、特に限定されない。ただし、シリコーンゴム系硬化性組成物において、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中のビニル基1モルに対し、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の合計のヒドリド基量が、0.5〜5モルとなる量が好ましく、1〜3.5モルとなる量がより好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)および分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)と、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)との間で、架橋ネットワークを確実に形成させることができる。
<<シリカ粒子(C)>>
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、非導電性フィラーを含む。非導電性フィラーは、必要に応じ、シリカ粒子(C)を含んでもよい。これにより、エラストマーの硬さや機械的強度の向上を図ることができる。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種の非導電性フィラーを含んでもよい。同種の非導電性フィラーとは、少なくとも共通の構成材料を有していればよく、粒子径、比表面積、表面処理剤、又はその添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるシランカップリング剤をさらに含んでもよい。
シリカ粒子(C)としては、特に限定されないが、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ等が用いられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ粒子(C)は、例えば、BET法による比表面積が例えば50〜400m/gであるのが好ましく、100〜400m/gであるのがより好ましい。また、シリカ粒子(C)の平均一次粒径は、例えば1〜100nmであるのが好ましく、5〜20nm程度であるのがより好ましい。
シリカ粒子(C)として、かかる比表面積および平均粒径の範囲内であるものを用いることにより、形成されるシリコーンゴムの硬さや機械的強度の向上、特に引張強度の向上をさせることができる。
<<シランカップリング剤(D)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことができる。
シランカップリング剤(D)は、加水分解性基を有することができる。加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(C)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(C)の表面改質を行うことができる。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種のシランカップリング剤を含んでもよい。同種のシランカップリング剤とは、少なくとも共通の官能基を有していればよく、分子中の他の官能基や添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるシランカップリング剤をさらに含んでもよい。
また、このシランカップリング剤(D)は、疎水性基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にこの疎水性基が付与されるため、シリコーンゴム系硬化性組成物中ひいてはシリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)の凝集力が低下(シラノール基による水素結合による凝集が少なくなる)し、その結果、シリコーンゴム系硬化性組成物中のシリカ粒子(C)の分散性が向上すると推測される。これにより、シリカ粒子(C)とゴムマトリックスとの界面が増加し、シリカ粒子(C)の補強効果が増大する。さらに、ゴムのマトリックス変形の際、マトリックス内でのシリカ粒子(C)の滑り性が向上すると推測される。そして、シリカ粒子(C)の分散性の向上及び滑り性の向上によって、シリカ粒子(C)によるシリコーンゴムの機械的強度(例えば、引張強度や引裂強度など)が向上する。
さらに、シランカップリング剤(D)は、ビニル基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にビニル基が導入される。そのため、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化の際、すなわち、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)が有するビニル基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とがヒドロシリル化反応して、これらによるネットワーク(架橋構造)が形成される際に、シリカ粒子(C)が有するビニル基も、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とのヒドロシリル化反応に関与するため、ネットワーク中にシリカ粒子(C)も取り込まれるようになる。これにより、形成されるシリコーンゴムの低硬度化および高モジュラス化を図ることができる。
シランカップリング剤(D)としては、疎水性基を有するシランカップリング剤およびビニル基を有するシランカップリング剤を併用することができる。
シランカップリング剤(D)としては、例えば、下記式(4)で表わされるものが挙げられる。
−Si−(X)4−n・・・(4)
上記式(4)中、nは1〜3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
疎水性基は、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が挙げられ、中でも、特に、メチル基が好ましい。
また、親水性基は、例えば、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基またはカルボニル基等が挙げられ、中でも、特に、水酸基が好ましい。なお、親水性基は、官能基として含まれていてもよいが、シランカップリング剤(D)に疎水性を付与するという観点からは含まれていないのが好ましい。
さらに、加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、クロロ基またはシラザン基等が挙げられ、中でも、シリカ粒子(C)との反応性が高いことから、シラザン基が好ましい。なお、加水分解性基としてシラザン基を有するものは、その構造上の特性から、上記式(4)中の(Y−Si−)の構造を2つ有するものとなる。
上記式(4)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例は、次の通りである。
上記官能基として疎水性基を有するものとして、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、及びトリメチルエトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
上記官能基としてビニル基を有するものとして、例えば、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランのようなアルコキシシラン;ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランのようなクロロシラン;ジビニルテトラメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びビニルメチルジメトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
またシランカップリング剤(D)がトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤およびビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤の2種を含む場合、疎水性基を有するものとしてはヘキサメチルジシラザン、ビニル基を有するものとしてはジビニルテトラメチルジシラザンを含むことが好ましい。
トリメチルシリル基を有するシランカップリング剤(D1)およびビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤(D2)を併用する場合、(D1)と(D2)の比率は、特に限定されないが、例えば、重量比で(D1):(D2)が、1:0.001〜1:0.35、好ましくは1:0.01〜1:0.20、より好ましくは1:0.03〜1:0.15である。このような数値範囲とすることにより、所望のシリコーンゴムの物性を得ることができる。具体的には、ゴム中におけるシリカの分散性およびゴムの架橋性のバランスを図ることができる。
本実施形態において、シランカップリング剤(D)の含有量の下限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、シランカップリング剤(D)の含有量上限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対して、100質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
シランカップリング剤(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、エラストマーを含む柱状部と導電性樹脂層との密着性を高めることができる。また、シリコーンゴムの機械的強度の向上に資することができる。また、シランカップリング剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、シリコーンゴムが適度な機械特性を持つことができる。
<<白金または白金化合物(E)>>
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、触媒を含んでもよい。触媒は、白金または白金化合物(E)を含むことができる。白金または白金化合物(E)は、硬化の際の触媒として作用する触媒成分である。白金または白金化合物(E)の添加量は触媒量である。
絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、同種の触媒を含んでもよい。同種の触媒とは、少なくとも共通の構成材料を有していればよく、触媒中に異なる組成が含まれていてもよく、その添加量が異なっていてもよい。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なる触媒をさらに含んでもよい。
白金または白金化合物(E)としては、公知のものを使用することができ、例えば、白金黒、白金をシリカやカーボンブラック等に担持させたもの、塩化白金酸または塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンの錯塩、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩等が挙げられる。
なお、白金または白金化合物(E)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、シリコーンゴム系硬化性組成物中における白金または白金化合物(E)の含有量は、触媒量を意味し、適宜設定することができるが、具体的にはビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シリカ粒子(C)、シランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して、白金族金属が重量単位で0.01〜1000ppmとなる量であり、好ましくは、0.1〜500ppmとなる量である。
白金または白金化合物(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、シリコーンゴム系硬化性組成物が適切な速度で硬化することが可能となる。また、白金または白金化合物(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、製造コストの削減に資することができる。
<<水(F)>>
また、本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物には、上記成分(A)〜(E)以外に、水(F)が含まれていてもよい。
水(F)は、シリコーンゴム系硬化性組成物に含まれる各成分を分散させる分散媒として機能するとともに、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)との反応に寄与する成分である。そのため、シリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)とを、より確実に互いに連結したものとすることができ、全体として均一な特性を発揮することができる。
(その他の成分)
さらに、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、上記(A)〜(F)成分以外に、他の成分をさらに含むことができる。この他の成分としては、例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等のシリカ粒子(C)以外の無機充填材、反応阻害剤、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等の添加剤が挙げられる。
本実施形態に係る導電性溶液(導電性シリコーンゴム組成物)は、導電性フィラーを含まない上記シリコーンゴム系硬化性組成物に加えて、上記導電性フィラーおよび溶剤を含むものである。
上記溶剤としては、公知の各種溶剤を用いることができるが、例えば、高沸点溶剤を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記溶剤の一例としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、トリフルオロメチルベンゼン、ベンゾトリフルオリドなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロアルカン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド類などを例示することができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記導電性溶液は、溶液中の固形分量などを調整することで、スプレー塗布やディップ塗布等の各種の塗布方法に適切な粘度を備えることができる。
また、上記導電性溶液が上記導電性フィラーおよび上記シリカ粒子(C)を含む場合、突出部70が含むシリカ粒子(C)の含有量の下限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上とすることができる。これにより、突出部70の機械的強度を向上させることができる。一方で、上記突出部70が含むシリカ粒子(C)の含有量の上限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。これにより、突出部70における導電性と機械的強度や柔軟性とのバランスを図ることができる。
導電性溶液を必要に応じて加熱乾燥することで、導電性シリコーンゴムが得られる。
導電性シリコーンゴムは、シリコーンオイルを含まない構成であってもよい。これにより、突出部70の表面にシリコーンオイルがブリードアウトすることで導通性が低下することを抑制できる。
<信号線の材料>
信号線は、公知のものを使用することができるが、例えば、導電繊維で構成され得る。導電繊維としては、金属繊維、金属被覆繊維、炭素繊維、導電性ポリマー繊維、導電性ポリマー被覆繊維、および導電ペースト被覆繊維からなる群から選択される一種以上を用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記金属繊維、金属被覆繊維、の金属材料は、導電性を有するものであれば限定されないが、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、ステンレス、アルミニウム、銀/塩化銀およびこれらの合金等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、導通性の観点から、銀を用いることができる。また、金属材料は、クロム等の環境に負荷を与える金属を含まないことが好ましい。
上記金属被覆繊維、導電性ポリマー被覆繊維、導電ペースト被覆繊維の繊維材料は、特に限定されないが、合成繊維、半合成繊維、天然繊維のいずれでもよい。これらの中でも、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、絹および綿等を用いることが好ましい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記炭素繊維は、例えば、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。
上記導電性ポリマー繊維および導電性ポリマー被覆繊維の導電性ポリマー材料は、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリナフタレン、及びこれらの誘導体等の導電性高分子およびバインダ樹脂の混合物、あるいは、PEDOT−PSS((3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸))等の導電性高分子の水溶液が用いられる。
上記導電ペースト被覆繊維の導電ペーストに含まれる樹脂材料は特に限定されないが伸縮性を有することが好ましく、例えばシリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、およびエチレンプロピレンゴムからなる群から選択される一種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記導電ペースト被覆繊維の導電ペーストに含まれる導電性フィラーは特に限定されないが、公知の導電材料を用いてもよいが、金属粒子、金属繊維、金属被覆繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー、導電性ポリマー被覆繊維および金属ナノワイヤーからなる群から選択される一種以上を含むことができる。
上記導電性フィラーを構成する金属は、特に限定はされないが、例えば、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、銀/塩化銀、或いはこれらの合金のうち少なくとも一種類、あるいは、これらのうちの二種以上を含むことができる。この中でも、導電性の高さや入手容易性の高さから、銀または銅が好ましい。
上記信号線が、線状の導電繊維を複数本撚り合わせた撚糸で構成されてもよい。これにより、変形時における信号線の断線を抑制できる。
本実施形態において、導電繊維における被覆とは、単に繊維材料の外表面を覆うことのみならず、単繊維を撚り合わせた撚糸などの場合は、その撚糸の中の繊維間隙に金属、導電性ポリマー、または導電ペーストが含浸し、撚糸を構成する単繊維を1本毎に被覆するものを含む。
信号線の引張破断伸度は、例えば、1%以上〜50%以下、好ましくは1.5%以上〜45%である。このような数値範囲内とすることで、変形時の破断を抑制しつつも、突出部70の過度な変形を抑制できる。
<電極部材79の材料>
電極部材79の導電部材は、例えば、良導性金属を含むペーストである。良導性金属は、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、或いはこれらの合金からなる群から選択される一種以上を含む。特に、入手性や導電性の観点から、銀や塩化銀、銅が好適である。
良導性金属を含むペーストで電極部材79を形成する場合は、ゴム状の弾性体でできた突出部70の先端の楕円面の領域を、良導性金属を含むペースト状の導電性溶液にディップ(浸漬塗布)する。これにより、突出部70の所定の領域(ここでは先端の楕円面)に電極部材79が形成される。
なお、導電性フィラーおよび溶剤を含む導電性溶液を、突出部70の領域(ここでは先端の楕円面)に塗布することにより、導電性樹脂層としての電極部材79を形成してもよい。このとき、溶剤を突出部70と同じ系統の材質(シリコーンゴム)とすることで、電極部材79(導電性樹脂層)の密着性を高められる。
導電性溶液を必要に応じて加熱乾燥することで、導電性シリコーンゴムが得られる。
導電性シリコーンゴムは、シリコーンオイルを含まない構成であってもよい。これにより、電極部材79の表面にシリコーンオイルがブリードアウトすることで導通性が低下することを抑制できる。
これにより、脳波測定装置10を頭部99へ装着する際の頭髪の掻き分け性能を向上させることができる。また、脳波測定装置1を装着した際の電極部材79の接触面積の十分な確保が可能となる。
<脳波検出用電極60の製造方法>
本実施形態の脳波検出用電極60の製造方法の一例は次の工程を含むことができる。
まず、金型を用いて、上記シリコーンゴム系硬化性組成物を加熱加圧成形し、電極基部61、溝部65および突出部70からなる成形体を得る。続いて、得られた成形体の各突出部70の内部に、縫い針を用いて、信号線を通す。その後得られた成形体の突出部70の先端部分(楕円面)に、ペースト状の導電性溶液をディップ塗布し、加熱乾燥後、ポストキュアを行う。これにより、突出部70に電極部材79を形成できる。
以上により、脳波検出用電極60を製造することができる。
なお、上記成形工程時において、信号線を配置した成形空間内に、上記シリコーンゴム系硬化性組成物を導入し、加圧加熱成形するインサート成形を用いてもよい。
<固定用フレーム20及び電極保持部40の構造>
図6に電極保持部40が取り付けられた固定用フレーム20の斜視図を示す。固定用フレーム20及び電極保持部40は、例えばポリアミド樹脂のような硬質部材で形成されているが、これら材料に限る趣旨では無く、脳波検出に影響を及ぼさず、また装着性や作業性に適した材料であればよい。また、固定用フレーム20と電極保持部40として異なる材料が用いられてもよい。
<固定用フレーム20の構造>
固定用フレーム20は、平行に配置された一対(2本)のレール21と、それらレール21を複数箇所でわたすように連結するレール締結部23とを有する。
図1や図6で示すように、一対のレール21は、頭部99に沿うように湾曲している。また、図6に示すように、一対のレール21とレール締結部23で囲まれた空間は、電極保持部40が移動可能となる可動領域29となる。すなわち、可動領域29は、電極保持部40(脳波電極ユニット80)が配置され一定範囲で移動する範囲に設けられる。換言すると、レール締結部23は、電極保持部40の移動を阻害しない位置に設けられる。本実施形態では、可動領域29は、5つの電極保持部40(脳波電極ユニット80)のそれぞれに対応した5カ所に設けられている。
<固定用フレーム40の構造>
図6や図7を参照して、電極保持部40の構造について説明する。図7は電極保持部40を示した図であり、図7(a)は斜視図、図7(b)は側面図である。
電極保持部40は、略板状で前後に長い矩形の第1の連結面41と、第1の連結面41の前後の端部のそれぞれにおいて下方向に延出するアーム状の連結部50とを有する。第1の連結面41の中央には、脳波電極ユニット80をネジ嵌合可能とする電極取付孔49が設けられている。
具体的には、連結部50は、第1の連結面41の前後の端部それぞれから下方向に延出する第2の連結面42と、第2の連結面42の下端から内側方向に所定方向延出する第の3連結面43と、を有する。ここで内側方向とは、前後反対側の端部の方向という意味で有り、具体的には、前側の第2の連結面42から延出する第3の連結面43は、後ろ側に所定長だけ延出する。後ろ側の第2の連結面42から延出する第3の連結面43は、前側に所定長だけ延出する。このときは、前後の第3の連結面43の間隔が、電極取付孔49に脳波電極ユニット80が取り付けられたときに干渉しない程度離れる。
また、第3の連結面43の内側に延出した端部には、さらに上方向に所定長だけ、延出する規制面44が設けられている。規制面44の延出端部(上端部)は、第1の連結面41の内壁面に当たること無く、一定の間隔を有している。
第1の連結面41、第2の連結面42、第3の連結面43及び規制面44で囲まれる空間を余空間48と呼ぶ。電極保持部40をレール21に取り付ける際に、この余空間48にレール21が収容される(図8参照)。なお、規制面44の上端と第1の連結面41の内壁面との間隔は、レール21に電極保持部40を取り付ける際に利用される。
<電極保持部40と固定用フレーム20の固定状態の推移>
図8は電極保持部40と固定用フレーム20の固定状態の推移を説明する図である。
図8(a)は脳波電極ユニット80が取り付けられた電極保持部40が、固定用フレーム20(レール21)に配置した状態を示している。この状態では、レール21と電極保持部40とは固定されておらず、電極保持部40は、レール21に対して上下左右、またレール21の延在方向に移動可能である。
図8(b)は脳波電極ユニット80を電極保持部40にネジ込み、脳波測定用電極60の突出部70が頭部99に当接し、かつ、レール21が連結部50の当接面45に当接した状態である。この状態から更に脳波電極ユニット80をネジ込むと、レール21と当接面45との固定状態が強くなる。さらに、頭部99に当接した脳波測定用電極60の先端(突出部70)が屈曲し、脳波測定用電極60(突出部70)が頭皮に押し当てられる力が強くなる。すなわち、脳波電極ユニット80の脳波測定用電極60と頭皮(頭部99)との圧接状態が強くなるにしたがい、電極保持部40(連結部50の当接面45)とレール21との固定が強くなる。この取り付け動作と固定動作は、それぞれの電極保持部40で独立に行われる。したがって、ある脳波電極ユニット80の取り付け作業や位置調整作業が他の脳波電極ユニット80の取り付け状態に影響を与えることはない。
脳波電極ユニット80(電極部)が電極保持部40に固定されていない状態において、連結部50とレール21との相対位置を調整可能な余空間48が設けられている。すなわち、この余空間48の範囲で、連結部50をレール21に対して相対的に上下前後左右に位置調整することができる。これは、他の電極保持部40の固定状態に影響を与えることはない。
また、電極保持部40と電極部(脳波電極ユニット80)との固定は、他の電極保持部40と電極部(脳波電極ユニット80)との固定と独立している。ある脳波電極ユニット80の固定位置を調整する場合に、他の電極保持部40と電極部(脳波電極ユニット80)との固定作業に影響を与えることがない。
なお、上記の固定構造として、ネジ込む/戻す動作を伴う機構の場合、固定動作で頭髪を掻き分ける機能も同時に実現できる。特に、本実施系の形態の脳波測定用電極60ように、円柱の基部(電極基部61)に複数の突起(突出部70)が環状に形成されていて構造では、ネジ込み位置(回転位置)に寄らず、適正な接触位置が得られ、脳波測定の精度が安定する。
<脳波測定用電極60の頭髪収容機能について>
上述したように、脳波測定用電極60には、突出部70間に溝部65が形成されている。これによって、脳波電極ユニット80を頭部99に押し当てる際、すなわち、脳波測定用電極60の電極部材79を頭皮に接触させる際に、頭髪を溝部65に収容することができる。特に、被測定者の頭髪が長い場合や多い場合において、突出部70間の空間、すなわち、基部先端面62と頭部99(頭皮)の間の空間だけでは、被験者の頭髪が収まり切らない場合もある。そこで電極基部61に形成された溝部65に頭髪を収容することで、頭髪が長い場合や多い場合であっても、突出部70(電極部材79)と頭皮との接触を短時間の調整により安定させることができ、効率的な脳波測定が可能となる。
また、基部先端面62と頭皮との間の頭髪を、上述のネジ込み動作時に、溝部65から径外方向に流すようにガイドできる。その結果、突出部70に形成された電極部材79が適切に頭皮に接触でき、さらに安定した脳波測定が可能となる。
また、ネジ込み動作時に、頭髪を溝部65に収容することで、多くの頭髪が突出部70間に留まって脳波測定用電極60(突出部70)に大きな負荷を作用させることが無いため、突出部70の形状設計や材料選択等の自由度が高まる。
[第2の実施形態]
図9及び図10を参照して本実施形態の脳波測定用電極260を説明する。本実施形態の脳波測定用電極260は、上述の第1の実施形態で説明した脳波測定用電極60の変形例であり、以下では異なる構成について主に説明し同様の構成については図示及び説明を省略する。
図9は脳波測定用電極260を先端側(下側)から見た斜視図である。図10は脳波測定用電極260を背面側(上側)から見た斜視図である。第1の実施形態と同様に、電極基部261の基部先端面262から複数の突出部270が延出している。また、電極基部261において、突出部270間に溝部265が設けられている。
本実施形態において特徴的な点は、電極基部261に形成されている溝部265の形状にある。すなわち、溝部265の基部背面263側が有底の段差状に形成されている。言い換えると、溝部265の基部背面263側の基部側面264が残った形状となっている。ここでは1段の段差であるが複数の段差で階段状に形成されてもよく、その場合、基部側面264が残らないような形状であってもよい。
このように、溝部265は、基部背面263が貫通せず有底となっていることで、突出部270間の頭髪の収容と脳波測定用電極260の強度(特に軸回転方向(ネジ込み動作方向)の強度)のバランスを取ることができる。
[第3の実施形態]
図11及び図12を参照して本実施形態の脳波測定用電極360を説明する。本実施形態の脳波測定用電極360は、上述の第1及び第2の実施形態で説明した脳波測定用電極60、260の変形例であり、以下では異なる構成について主に説明し同様の構成については図示及び説明を省略する。
図11は脳波測定用電極360を先端側(下側)から見た斜視図である。図12は脳波測定用電極360を背面側(上側)から見た斜視図である。第1及び第2の実施形態と同様に、電極基部361の基部先端面362から複数の突出部370が延出している。また、電極基部361において、突出部370間に溝部365が設けられている。
本実施形態において特徴的な点は、電極基部361に形成されている溝部365の形状にある。すなわち、溝部365は、基部先端面362から基部背面363に向かうに従って径方向外側(基部側面364側)に向かう斜面状に形成されている。なお、この斜面は平面でなく曲面であってもよい。
このように、溝部365が斜面状に形成されているので、頭髪収容と脳波測定用電極360の強度(特に軸回転方向(ネジ込み動作方向)の強度)のバランスを取ることができる。また、頭髪を斜面に沿ってスムーズに外側にガイドできる。
[第4の実施形態]
図13及び図14を参照して本実施形態の脳波測定用電極460を説明する。本実施形態の脳波測定用電極460は、上述の第1〜第3の実施形態で説明した脳波測定用電極60、260、360の変形例であり、以下では異なる構成について主に説明し同様の構成については図示及び説明を省略する。
図13は脳波測定用電極460を先端側(下側)から見た斜視図である。図14は脳波測定用電極460を背面側(上側)から見た斜視図である。第1〜第3の実施形態と同様に、電極基部461の基部先端面462から複数の突出部470が延出している。また、突出部470間に溝部465が設けられている。
本実施形態において特徴的な点は、電極基部461に形成されている溝部465の形状にある。すなわち、溝部465は、基部先端面462から基部背面463に向けた貫通孔として形成され、かつ、基部側面464が繋がっている。
このように、溝部465が貫通孔として形成されているので、脳波測定用電極460の強度を高めことができる。また、第1〜第3の実施形態と比較すると少ないものの、一定の量の頭髪を溝部465に収容できる。例えば、頭髪は長くないが量が多いような場合に、好適である。なお、溝部465が形成されている部分の基部側面464は、一部(例えば基部先端面462側の半分)が切り取られた構造であってもよい。
[第5の実施形態]
図15に本実施形態に係る脳波測定用電極560を頭部99に装着した状態を模式的に示す。図16は脳波測定用電極560の平面図であり、装着時に頭部99に接する側を見た図である。図16では、図15で湾曲していた脳波測定用電極560を平らな状態にして示している。
脳波測定用電極560は、人間の頭部99の形状に追随して装着するフレーム機能と電極機能とを併せ持つ。図示のように、脳波測定用電極560は、人間の頭部99の形状に追随して装着されるバンド状(板状)かつゴム状の弾性体の電極基部561と、電極基部561の一面に、電極基部561と一体に設けられた、複数の弾性体の突出部570と、を有する。突出部570の少なくとも先端部が、導電部材からなる電極部材579を構成している。
<電極基部561の形状>
電極基部561は、所定厚さの板状体である。具体的には、電極基部561は、図16に示すように、上面視で帯状の矩形形状を呈する。
電極基部561の厚さは、例えば、0.1mm〜30mmである。
矩形形状の長手方向の長さL51は、例えば20cm〜65cmである。
矩形形状の短手方向の長さL52は、例えば0.5cm〜5cmである。
なお、電極基部561の形状は、帯状の矩形形状に限る趣旨ではない。例えば、矩形形状の代わりに長細い楕円形状であってよい。また、電極基部561の厚さが一定であることに限る趣旨ではなく、一部の厚さが薄くなったり厚くなったりしてもよい。なお、電極基部561の材料は、例えば、第1の実施形態で説明したシリコーンゴムを用いることができる。
<突出部570の配置>
突出部570は、電極基部561の一面(基部先端面562)に、電極基部561と一体に複数設けられる。ここでは、複数の突出部570は、上面視で一列に所定ピッチP5で並んで設けられる。突出部570(すなわち電極部材579)のピッチP5は、例えば、1mm〜20mmである。ピッチP5は、脳波の検知に必要とされる突出部570の数及び頭部99への電極基部561の追従性の観点から定まる。
<突出部570の形状>
突出部570は、錐体、より具体的には三角錐である。突出部570の高さは、例えば、0.5mm〜20mmであり、好ましくは3mm〜15mmであり、より好ましく4mm〜10mmである。
突出部570が呈する三角錐の具体的な形状として、例えば、図16に示すように、三角錐の底面(すなわち、基部先端面562との境界部分)の形状が頂点を鋭角とする二等辺三角形であって、向きが揃っている。また、三角錐の頂点(すなわち突出部570の先端)は、図示の例では、上面視で、二等辺三角形の重心に位置する。
脳波測定用電極560を頭部99に取り付けるときに、なだらかな側(二等辺三角形の頂点側)から突出部570を頭部99に当てることで、被験者に不快感(痛み等)等を与えること無く、また、頭髪からの抵抗が少なくスムーズに脳波測定用電極560を取り付けることができる。
<溝部565の配置>
電極基部561には、矩形形状の長手方向の両側の基部側面564に、所定間隔で複数(ここでは片側8箇所)の溝部565が形成されている。溝部565は、矩形形状の長手方向において、突出部570が形成されていない領域に形成されている。
溝部565は、短手方向に所定長a5、長手方向に所定長b5の大きさの矩形形状となっている。
短手方向の所定長a5は、例えば電極基部61の短手方向の長さL52の1/4である。
長手方向の所定長b5は、例えば突出部570のピッチP5の1/3である。
溝部565の大きさ(所定長a5、b5)や形状は、収容目標となる頭髪の量に応じて適宜設定される。
このような溝部565を設けることで、頭髪が長かったり多かったりする被験者の頭部99に脳波測定用電極560を装着した際に、溝部565に頭髪を収容したり、そこから外へ案内することができる。これによって、突出部570の間、すなわち基部先端面562(電極部材579)と頭皮(頭部99)の間に介在する頭髪が長かったり多かったりする場合でも、基部先端面562(電極部材579)と頭皮の接触を良好にすることができ、結果として安定した脳波測定が可能となる。
なお、本実施形態では、長手方向の両方の基部側面564に対向するように溝部565を設けているが、さらに、それらを有底の凹部(溝部の一部)で連結した構成としてもよい。これによって、突出部570間の収容可能な頭髪量を拡大できる。また、溝部565を長手方向の片方の基部側面564にのみ設けてもよい。その場合、溝部565の短手方向の所定長b5を長くして、突出部570間にも達するようにすることで、収容可能な頭髪量を拡大できる。また、第2、第3実施形態と同様に、溝部565を段差形状としたり斜面形状としてもよい。
[第6の実施形態]
図17を参照して本実施形態の脳波測定用電極660を説明する。本実施形態の脳波測定用電極660は、上述の第5の実施形態で説明した脳波測定用電極560の変形例であり、以下では異なる構成について主に説明し同様の構成については図示及び説明を省略する。
図17は脳波測定用電極660の平面図であり、第5の実施形態の図16に対応している。本実施形態において特徴的な点は、電極基部661に設けられる突出部670の配置が、長手方向に2列になっており、さらに並びが互い違いになっている点にある。換言すると、複数の突出部670が千鳥格子状(すなわちジグザグ状)に配置されている。なお、突出部670の配置は3列以上であってもよいし、正格子配列等の様々な配置を適用できる。
また、溝部665は、突出部670のそれぞれの列に近い側の基部側面664において、突出部670の間に位置するように形成されている。また、突出部670の千鳥状の配置に従って、長手方向のそれぞれの基部側面664において、互い違いになるように、溝部665が形成されている。
このような溝部665を設けることで、頭髪が長かったり多かったりする被験者の頭部99に脳波測定用電極660を装着した際に、溝部665に頭髪を収容したり、そこから外へ案内することができる。これによって、頭髪が長かったり量が多い場合であっても、安定した脳波測定が可能となる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成(変形例)を採用することもできる。
10 脳波測定装置
20 固定用フレーム
21 レール
23 レール締結部
29 可動領域
40 電極保持部
41 第1の連結面
42 第2の連結面
43 第3の連結面
44 規制面
45 当接面
48 余空間
49 電極取付孔
50 連結部
60、260、360、460、560、660 脳波測定用電極
61、261、361、461、561、661 電極基部
62、262、362、462、562、662 基部先端面
63、263、363、463 基部背面
64、264、364、464、564、664 基部側面
65、265、365、465、565、665 溝部
70、270、370、470、570、670 突出部
79 電極部材
80 脳波電極ユニット

Claims (9)

  1. 基部と、
    前記基部の一の平面から突出する複数の突出部と、
    前記突出部に設けられた導電性の電極部材と、
    を有し、
    前記基部は、隣接する突出部との間に、前記基部の厚さ方向に凹状に切り込まれた溝部を有する、
    脳波測定用電極。
  2. 前記基部は円柱形状を呈しており、
    前記基部の一の平面は、前記円柱形状の一方の端面である、
    請求項1に記載の脳波測定用電極。
  3. 前記突出部は前記基部の一の平面に円環状に配置されている、
    請求項1または2に記載の脳波測定用電極。
  4. 前記突出部は上面視で前記突出部が前記円柱形状の前記一方の端面の内側に位置している、
    請求項2に記載の脳波測定用電極。
  5. 前記突出部の配置構造は、前記基部の前記一の平面に列状または格子状に配置された配置構造を有する、
    請求項1に記載の脳波測定用電極。
  6. 前記溝部は、前記基部の厚さ方向に貫通している、
    請求項1から5までのいずれか1項に記載の脳波測定用電極。
  7. 前記溝部は、全ての隣接する前記突出部の間に形成されている
    請求項1から6までのいずれか1項に記載の脳波測定用電極。
  8. 前記溝部は、前記基部の前記一の平面の外縁部分が切り込まれている、
    請求項1から7までのいずれか1項に記載の脳波測定用電極。
  9. 請求項1から8までのいずれか1項に記載の脳波測定用電極を備える、脳波測定装置。
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