JP7196422B2 - 顕微鏡システム - Google Patents

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Description

本開示は、顕微鏡システムに関する。
位相差観察法及び共焦点観察法等を含む任意の方法により観察対象となる試料の像を取得する顕微鏡システムに関連する技術が従来から知られている。
例えば、特許文献1には、位相差観察と共焦点観察とを同一の対物レンズを用いて行うために、外部位相差観察法を採用した顕微鏡装置が開示されている。
例えば、特許文献2には、画像処理により位相差画像を形成する技術が開示されている。
特開2010-175774号公報 特表2002-529689号公報
例えば、試料の3次元情報を取得するために、スピニングディスク型共焦点スキャナを顕微鏡システムが含む場合がある。このような共焦点スキャナを用いて、共焦点観察に加えて位相差観察等の異なる観察法により試料の像を取得しようとすると、従来技術では、顕微鏡装置及び共焦点スキャナを含む顕微鏡システム全体の光学系が複雑になる。例えば、特許文献1に記載の顕微鏡装置では、外部位相差観察を行うために、顕微鏡装置本体内で2つのリレーレンズを追加して撮像光路を延長する必要がある。これにより、顕微鏡装置に含まれる光学系が複雑になり、結果として共焦点スキャナも含めた顕微鏡システム全体の光学系が複雑になる。
特許文献2に記載の技術では、画像処理に必要な複数の画像を顕微鏡の焦点面を変化させながら撮像する必要があり、リアルタイムでの位相差観察が困難である。
本開示は、スピニングディスク型共焦点スキャナを有する場合であっても、簡便な光学系を用いて観察対象となる試料の像を異なる観察法によってリアルタイムに取得できる顕微鏡システムを提供することを目的とする。
幾つかの実施形態に係る顕微鏡システムは、観察対象となる試料の像を取得する顕微鏡システムであって、前記試料に第1照明光を照射する発光部を有する顕微鏡装置と、前記試料に第2照明光を照射する発光装置と、前記顕微鏡装置及び前記発光装置と光学的に結合され、前記第2照明光を前記試料に対して走査する走査部を有する光学ユニットと、前記試料の像に関する情報を含む観察光を検出する撮像装置と、を備え、前記光学ユニットは、前記顕微鏡装置が有する対物レンズの瞳面と共役な像側瞳共役面に配置される観察用光学素子を有する。これにより、顕微鏡システムは、スピニングディスク型共焦点スキャナを有する場合であっても、簡便な光学系を用いて観察対象となる試料の像を異なる観察法によってリアルタイムに取得できる。
一実施形態において、前記観察光は、前記第1照明光に基づく前記試料からの透過光及び回折光を含む第1観察光と、前記第2照明光に基づく前記試料からの蛍光を含む第2観察光と、を含み、前記観察用光学素子は、前記第1観察光に含まれる前記透過光及び前記回折光のいずれか一方の位相を互いの干渉が強まるようにシフトさせる位相板と、前記第2観察光に含まれる前記蛍光を選択的に透過させる蛍光フィルタと、を含んでもよい。これにより、顕微鏡システムは、共焦点観察による像と位相差観察による像とのずれを簡便な光学系を用いて低減可能であり、リアルタイムでの位相差観察を実現可能とする。
一実施形態において、前記観察光は、前記第1照明光に基づく前記試料からの透過光を含む第1観察光と、前記第2照明光に基づく前記試料からの蛍光を含む第2観察光と、を含み、前記観察用光学素子は、前記第1観察光に含まれる前記透過光及び前記第2観察光に含まれる前記蛍光の少なくとも一方の光路の一部を遮る光路マスクと、前記第2観察光に含まれる前記蛍光を選択的に透過させる蛍光フィルタと、を含んでもよい。これにより、顕微鏡システムは、簡便な光学系を用いて、画像処理に相当する機能を光学的な作用により実現しつつ、リアルタイムな観察を実現可能とする。
一実施形態において、前記光路マスクは、前記第1観察光の光軸に略直交する前記第1観察光の断面の略半分の領域を遮り、前記光路マスクにおいて、光路を遮る部分とその他の部分とは、前記第1観察光の前記光軸を挟んで互いに対称的に形成されていてもよい。これにより、顕微鏡システムは、透過光観察において、試料の立体情報を強調した像を取得可能である。
一実施形態において、前記光路マスクは、前記観察光の光軸に略直交する前記観察光の断面の中心を少なくとも遮ってもよい。これにより、顕微鏡システムは、透過光観察及び共焦点観察の少なくとも一方において、照明ムラが抑制された像又は微細構造が強調された像を取得可能である。
一実施形態において、処理装置をさらに備え、前記光学ユニットは、前記観察光の光路上に配置される光学素子を、前記観察用光学素子に含まれる光学素子のいずれかに切り替える光学素子切替部をさらに有し、前記処理装置は、前記光学素子切替部による、前記観察用光学素子に含まれるいずれかの光学素子への切り替えを制御し、該切り替えに同期させて、対応する光学素子が前記光路上に配置されたときに前記顕微鏡装置の前記発光部及び前記発光装置からの光出力をそれぞれオンにし、前記切り替えに同期させて、前記第1観察光と前記第2観察光とを前記撮像装置に交互に検出させてもよい。これにより、顕微鏡システムは、簡便な光学系を用いて、例えば、位相差観察による像と共焦点観察による像とを交互に取得可能である。顕微鏡システムは、簡便な光学系を用いて、例えば、光路マスクにより観察光が作用を受けたときの、透過光観察による像と共焦点観察による像とを交互に取得可能である。
一実施形態において、前記光学ユニットは、前記第1観察光と前記第2観察光とを分離する分岐用光学素子をさらに有し、前記撮像装置により前記第1観察光と前記第2観察光とを並行して検出してもよい。これにより、撮像のスループットが増大する。
一実施形態において、異なる2つの前記撮像装置を備え、前記第1観察光及び前記第2観察光を異なる2つの前記撮像装置によりそれぞれ検出してもよい。これにより、顕微鏡システムでは、2つの撮像装置に対して、各々の撮像方法に適した装置が適用可能である。
一実施形態において、1つの前記撮像装置を備え、前記第1観察光及び前記第2観察光を前記撮像装置の検出面における異なる部分でそれぞれ検出してもよい。これにより、並行した撮像を目的とする顕微鏡システムの製造においてもそのコストが低減する。
一実施形態において、前記光学ユニットの前記走査部は、複数の集光光学素子を配設した集光ディスクと、複数の前記集光光学素子による前記第2照明光の集光位置にそれぞれ配設された複数のピンホールを有するピンホールディスクと、を有し、前記ピンホールディスクが回転することで、前記集光光学素子により集光され対応する前記ピンホールを通過した前記第2照明光を前記試料に対して走査してもよい。これにより、顕微鏡システムでは、走査部は、第2照明光を用いて試料を高速に走査可能である。したがって、共焦点観察に要する時間が短縮化され、共焦点観察における効率が向上する。
本開示によれば、スピニングディスク型共焦点スキャナを有する場合であっても、簡便な光学系を用いて観察対象となる試料の像を異なる観察法によってリアルタイムに取得できる顕微鏡システムを提供可能である。
第1実施形態に係る顕微鏡システムの構成を示す模式図である。 図1の光学ユニットを用いて共焦点観察のみを行う場合の構成を示す模式図である。 図1の顕微鏡システムの共焦点観察に関する光路のみを示した模式図である。 図1の顕微鏡システムの位相差観察に関する光路のみを示した模式図である。 第2実施形態に係る顕微鏡システムの構成を示す模式図である。 第3実施形態に係る顕微鏡システムの構成を示す模式図である。 第4実施形態に係る顕微鏡システムの構成を示す模式図である。 図7の顕微鏡システムにおける第1観察光に基づいて撮像された画像の例を示す模式図である。 図7の顕微鏡システムの第1変形例を示す模式図である。 図9の顕微鏡システムにおける第1観察光に基づいて撮像された画像の例を示す模式図である。 図9の顕微鏡システムにおいて第2観察光の光路に光路マスクを配置したときの画像の例を示す模式図である。 図7の顕微鏡システムの第2変形例を示す模式図である。 図11の顕微鏡システムにおける第1観察光に基づいて撮像された画像の例を示す模式図である。 図11の顕微鏡システムにおいて第2観察光の光路に光路マスクを配置したときの画像の例を示す模式図である。 第5実施形態に係る顕微鏡システムの構成を示す模式図である。 第6実施形態に係る顕微鏡システムの構成を示す模式図である。
以下、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について主に説明する。説明の簡便のために、図1、図3、及び図4にのみ後述する処理装置50を図示する。その他の図面では、処理装置50の図示を省略する。
(第1実施形態)
従来から知られている位相差観察法を用いる場合、観察者は、例えば観察対象となる無色透明な細胞を蛍光試薬により染色することなく生きたまま観察できる。しかしながら、位相差観察法を顕微鏡装置に適用するためには、内部に位相板を有する専用の対物レンズが必要となる。この位相差観察専用の対物レンズは、内部に有する位相板及びNDフィルタにより光の透過率が低く、微弱な蛍光を観察する共焦点観察には適さない。したがって、共焦点観察を行う場合と位相差観察を行う場合とでは異なる対物レンズを用いる必要がある。このとき、両者の倍率及び収差等の違いにより共焦点観察による像と位相差観察による像とにずれが生じるという問題がある。
このような問題点を解決する一つの従来技術として、特許文献1に記載のような外部位相差観察法が知られている。外部位相差観察法では、位相差観察に必要となる位相板及びNDフィルタが対物レンズの瞳面と共役な像側の瞳共役面に配置されることで、観察者は、共焦点観察と位相差観察とを同一の対物レンズを用いて行うことができる。したがって、共焦点観察による像と位相差観察による像とのずれが低減する。
しかしながら、特許文献1に記載のような従来の外部位相差観察法を用いる場合、カメラ等の撮像装置又は接眼レンズと結像レンズとの間に新たに2つのリレーレンズを追加し、位相板を含む光学素子が配置される対物レンズの瞳共役面を顕微鏡装置本体内に形成する必要がある。これにより顕微鏡装置本体内の撮像光路が延長され、追加された2つのリレーレンズそれぞれの収差及び観察光の透過率に基づく画質の低下が生じる。
このような従来の外部位相差観察法に関する問題点を解決する一つの従来技術として、特許文献2に記載のような画像処理による位相差画像形成技術が知られている。当該技術では、顕微鏡の焦点面が異なる画像を複数枚撮像し、これらの画像にフーリエ変換等の画像演算を行って位相情報を回復させた画像が得られる。特許文献2では、観察対象となる試料を載せる顕微鏡のステージをモータ等により移動させることで、焦点面を移動させながら画像を撮像する例が開示されている。これに対して、一般的に、生物を観察する顕微鏡では観察対象となる試料を下方から観察する倒立型顕微鏡が用いられる。このような倒立型顕微鏡では、観察対象に対して対物レンズをモータ等により上下させて撮像が行われる。
このように観察対象と対物レンズとの相対距離を変化させて画像を観察することが一般的である。このような方法で撮像された複数枚の画像から位相を回復させることによって位相差観察法による画像に類似した画像が取得可能である。このような画像処理による位相差画像形成技術では、位相差観察法のように特殊な照明光及び対物レンズを用いる必要が無く、光学系が簡便になる。
しかしながら、画像処理による位相差画像形成技術における上記の構成では、観察対象となる試料を載せる顕微鏡のステージを駆動するモータと画像を撮像するカメラ等の撮像装置とを同期させながら撮像を行う必要があり、撮像システムの構成が煩雑となる。加えて、観察対象と対物レンズとの相対距離を変化させて複数の画像を撮像した後、これらの画像を用いて画像処理を行うことで初めて位相差画像が形成される。したがって、画像処理による位相差画像形成技術を用いた場合、位相差画像をリアルタイムに取得することは困難であり、撮像及び画像処理に関する作業を繰り返す必要がある。
本開示の第1実施形態に係る顕微鏡システム1は、スピニングディスク型共焦点スキャナを有する場合であっても、簡便な光学系を用いて観察対象となる試料11の像を異なる観察法によってリアルタイムに取得できる。より具体的には、顕微鏡システム1は、共焦点観察による像と位相差観察による像とのずれを簡便な光学系を用いて低減可能であり、リアルタイムでの位相差観察を実現可能とする。顕微鏡システム1では、後述する光学ユニット30が本来備えている光学系を用いることで、従来のように顕微鏡装置10の内部に新たな光学系を追加することなく、位相差観察が可能である。すなわち、外部位相差観察法に適応させるために顕微鏡装置10の内部に複雑な光学系を配置する必要なく、光学ユニット30を顕微鏡装置10に光学的に結合させることで、外部位相差観察が容易に行われる。外部位相差観察が行われることで、顕微鏡システム1では、従来のように専用の対物レンズを用いる必要がなく、製造コストが低減する。
図1は、第1実施形態に係る顕微鏡システム1の構成を示す模式図である。図2は、図1の光学ユニット30を用いて共焦点観察のみを行う場合の構成を示す模式図である。図3は、図1の顕微鏡システム1の共焦点観察に関する光路のみを示した模式図である。図4は、図1の顕微鏡システム1の位相差観察に関する光路のみを示した模式図である。図1乃至図4を参照しながら、第1実施形態に係る顕微鏡システム1の構成について主に説明する。
図1を参照すると、第1実施形態に係る顕微鏡システム1は、大きな構成要素として、顕微鏡装置10と、発光装置20と、光学ユニット30と、撮像装置40と、処理装置50とを有する。
顕微鏡装置10は、観察対象となる試料11に第1照明光L1を照射する発光部12を有する。第1照明光L1は、試料11に対して位相差観察を行う照明光である。顕微鏡装置10は、発光部12から照射された第1照明光L1をリング状に絞るリング絞り13を有する。リング絞り13は、同心円状に形成されているスリット13aを有する。顕微鏡装置10は、リング状に絞られた第1照明光L1を試料11に集光するコンデンサレンズ14を有する。顕微鏡装置10は、対物レンズ15と結像レンズ16とを有する。対物レンズ15及び結像レンズ16は、第1照明光L1に基づく試料11からの透過光T1及び回折光D1を含む第1観察光O1に光学的に作用する。
顕微鏡装置10は、リング絞り13、対物レンズ15、及び結像レンズ16を、1つずつ有してもよいし、それぞれ複数有してもよい。いずれの場合であっても、第1照明光L1及び第1観察光O1の光路にそれぞれ配置されるリング絞り13及び対物レンズ15は、リング絞り13のスリット13aの大きさが対物レンズ15の倍率及び開口数に対応するように構成される。
発光装置20は、第1照明光L1と異なる第2照明光L2を試料11に照射する。第2照明光L2は、試料11に対して共焦点観察を行う照明光である。より具体的には、第2照明光L2は、光学ユニット30の内部を通過して、結像レンズ16から顕微鏡装置10の内部に入射し、対物レンズ15を通過して試料11に照射される。試料11に第2照明光L2が照射されると、第2照明光L2に基づく試料11からの蛍光F2を含む第2観察光O2が試料11から対物レンズ15に向けて出射する。以下では、上述した第1観察光O1及び第2観察光O2をまとめて単に「観察光」という。
光学ユニット30は、例えばスピニングディスク型共焦点スキャナを含む。光学ユニット30は、顕微鏡装置10及び発光装置20と光学的に結合される。例えば、光学ユニット30は、顕微鏡装置10と発光装置20とに取り付けられる。光学ユニット30は、試料11に対する第2照明光L2の照射位置を走査する走査部31を有する。走査部31は、複数の集光光学素子を配設した集光ディスク31aと、複数の集光光学素子による第2照明光L2の集光位置にそれぞれ配設された複数のピンホールを有するピンホールディスク31bとを有する。例えば、集光ディスク31aでは、多数のマイクロレンズが螺旋状に配設されている。ピンホールディスク31bでは、マイクロレンズの各々の配設位置に対応する第2照明光L2の集光位置にピンホールが配設されている。走査部31は、ピンホールディスク31bを回転させるモータ31cをさらに有する。モータ31cによってピンホールディスク31bが回転することで、走査部31は、集光光学素子により集光され対応するピンホールを通過した第2照明光L2を試料11に対して走査する。
光学ユニット30の集光ディスク31a及びピンホールディスク31bの組み合わせにより、集光ディスク31aを通過した第2照明光L2の大部分がピンホールディスク31bを通過するので、試料11への第2照明光L2の照射強度が増大する。さらに、ピンホールディスク31bにおけるピンホール以外の部分での第2照明光L2の反射が抑制される。したがって、第2照明光L2の観察光の光路への侵入が抑制され、試料11の像に対するノイズが低減する。
試料11から出射した観察光は、ピンホールディスク31bを通過する。位相差観察が行われる際には、ピンホールディスク31bは、モータ31c及び集光ディスク31aと共に、モータ31cが設置されているベースをリニアアクチュエータ等により観察光の光軸Aに垂直な方向に移動させることで、観察光の光路から退避可能に構成されてもよい。ピンホールディスク31bを観察光の光路から退避させることにより、観察光の光量が増大する。
光学ユニット30は、ビームスプリッタ32で反射した観察光を撮像装置40の撮像素子に結像させる無限遠補正光学系の第1リレーレンズ33及び第2リレーレンズ34を有する。試料11、ピンホールディスク31b、及び撮像装置40の検出面は、光学的に共役な配置となっている。
光学ユニット30は、第1リレーレンズ33と第2リレーレンズ34との間に、フィルタホイール35を有する。フィルタホイール35には、複数の観察用光学素子36が取り付けられている。例えば、観察用光学素子36は、位相板37及び蛍光フィルタ38を含む。フィルタホイール35は、観察光の光軸Aに対する回転移動により1つの位相板37又は1つの蛍光フィルタ38を選択的に切り替える。すなわち、フィルタホイール35は、観察光の光路上に配置される光学素子を、位相板37及び蛍光フィルタ38のいずれかに切り替える光学素子切替部として機能する。フィルタホイール35は、観察光の光軸Aに対する回転移動によって光学素子を選択的に切り替えるとして説明したが、切替方法はこれに限定されない。フィルタホイール35は、リニアアクチュエータ等を用いた平行移動により光学素子を選択的に切り替えてもよい。
位相板37は、第1観察光O1に含まれる透過光T1及び回折光D1のいずれか一方の位相を互いの干渉が強まるようにシフトさせる位相リング37aを含む。例えば、位相リング37aでは、光の位相を1/4波長シフトさせる1/4波長板及び光を吸収するNDフィルタがリング状に一体的に形成されている。位相板37において、位相リング37a以外の部分は、第1観察光O1に対して透明である。
位相板37は、顕微鏡装置10が有する対物レンズ15の瞳面S1と共役な像側瞳共役面S2に配置されている。位相板37は、リング絞り13と光学的に共役な位置に配置されている。像側瞳共役面S2は、第1リレーレンズ33の像側の焦点面と対応する。
位相板37の位相リング37aに投影される第1観察光O1の大きさは、リング絞り13のスリット13aの大きさと対応する。リング絞り13のスリット13aが位相板37に投影される際の大きさは、対物レンズ15の倍率に依存して変化する。したがって、フィルタホイール35は、顕微鏡装置10が対物レンズ15を複数有する場合、それぞれ対応する複数の位相板37を有してもよい。これにより、複数の対物レンズ15それぞれに対して位相差観察が可能となる。
蛍光フィルタ38は、第2観察光O2に含まれる蛍光F2を選択的に透過させる。フィルタホイール35は、試料11に使用している蛍光試薬の種類に応じた複数の蛍光フィルタ38を有してもよい。これにより、共焦点観察において、複数種類の蛍光試薬にそれぞれ対応したマルチカラーの撮像が可能となる。
撮像装置40は、試料11の像に関する情報を含む観察光を検出する任意の撮像素子を含む。例えば、撮像装置40は、二次元のセンサアレイを含むカメラであってよく、CCD及びCMOS等の任意の撮像素子を含む。
処理装置50は、1つ以上のプロセッサを含む。処理装置50は、観察者が利用するコンピュータ装置であり、PC(Personal Computer)、タブレットPC、スマートフォン及びフィーチャーフォン等の携帯電話機、並びに携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)等の任意の装置を含む。処理装置50は、顕微鏡システム1に含まれる各構成部と接続され、顕微鏡システム1全体の動作を制御する。例えば、処理装置50は、フィルタホイール35による位相板37及び蛍光フィルタ38のいずれかの切り替えを制御する。処理装置50は、このような切り替えに同期させて、対応する光学素子が観察光の光路上に配置されたときに顕微鏡装置10の発光部12及び発光装置20からの光出力をそれぞれオンにする。処理装置50は、このような切り替えに同期させて、第1観察光O1と第2観察光O2とを撮像装置40に交互に検出させる。
より具体的には、処理装置50は、発光部12からの光出力がオンになっているとき、使用している対物レンズ15の倍率及び開口数に対応した位相リング37aを有する位相板37を選択して第1観察光O1の光路に配置し、位相差観察による像を取得する。同様に、処理装置50は、発光装置20からの光出力がオンになっているとき、第2照明光L2の波長と観察対象となる試料11の蛍光スペクトルとに対応した蛍光フィルタ38を選択して第2観察光O2の光路に配置し、共焦点観察による像を取得する。
図2を参照しながら、図1の光学ユニット30を用いて共焦点観察のみを行う場合の光学ユニット30の構成及び機能について主に説明する。
光学ユニット30は、本来、発光装置20と組み合わせて試料11に対する共焦点観察を行うユニットである。このとき、光学ユニット30のフィルタホイール35には、少なくとも1つの蛍光フィルタ38のみが取り付けられ、位相板37は取り付けられていない。光学ユニット30は、無限遠補正光学系を構成する2つの第1リレーレンズ33及び第2リレーレンズ34により、ピンホールディスク31bに結像した試料11の像を、撮像装置40の検出面に転送する。
図1に示す顕微鏡システム1は、図2に示す光学ユニット30と外部位相差観察用の顕微鏡装置10とを組み合わせた光学システムである。上述したとおり、光学ユニット30の第1リレーレンズ33の像側の焦点面は、リング絞り13の共役面となる。したがって、この共役面に位相板37を設置することにより、外部位相差観察用の顕微鏡装置10及び光学ユニット30に本来備わっている光学系のみで、外部位相差観察及び共焦点観察を行うことが可能となる。加えて、顕微鏡システム1では、画像処理を行う必要がなく、観察対象となる試料11と対物レンズ15との相対距離を変化させて複数枚の画像を撮像する必要がないので、位相差観察による像がリアルタイムに得られる。
図3を参照しながら、図1の顕微鏡システム1を用いた共焦点観察法について説明する。
発光装置20から照射された第2照明光L2は、集光ディスク31aの集光光学素子、ビームスプリッタ32、ピンホールディスク31bのピンホール、結像レンズ16、及び対物レンズ15を通過して、試料11に照射される。試料11から放射される第2照明光L2に基づく第2観察光O2は、再び対物レンズ15、結像レンズ16、ピンホールディスク31bのピンホールを通過して、ビームスプリッタ32で反射する。これにより、第2観察光O2は、第2照明光L2と分離される。第2観察光O2は、第1リレーレンズ33を通り平行光束となる。第2観察光O2は、蛍光フィルタ38を通過し、第2リレーレンズ34によって撮像装置40の検出面上に結像する。
図4を参照しながら、図1の顕微鏡システム1を用いた位相差観察法について説明する。
顕微鏡装置10の発光部12から照射された第1照明光L1はリング絞り13によって絞られ、コンデンサレンズ14を介して試料11に照射される。試料11に到達した第1照明光L1は、試料11の内部を直進した透過光T1と、位相物体である試料11により回折し曲がって進んだ回折光D1とに分かれる。回折現象は、屈折率に違いのある部分で発生する。したがって、回折光D1は、例えば微生物と溶液との境界部分及び微生物の内部構造部等で発生し、位相物体である試料11の形状情報を含む。
第1観察光O1は、対物レンズ15、結像レンズ16、ピンホールディスク31bのピンホールを通過して、ビームスプリッタ32で反射する。例えば、透過光T1は、第1リレーレンズ33を通りリング状の平行光束となる。透過光T1は、位相板37の位相リング37aを通過する。したがって、透過光T1の位相が1/4波長分シフトすると共に透過光T1の光量が低下する。一方で、回折光D1の大部分は、位相板37の透明部分を通過する。したがって、回折光D1の位相及び光量はほとんど変化しない。透過光T1及び回折光D1は第2リレーレンズ34によって撮像装置40の検出面上に結像する。
第1実施形態に係る顕微鏡システム1によれば、簡便な光学系を用いて観察対象となる試料11の像をリアルタイムに取得できる。第1実施形態に係る顕微鏡システム1を用いれば、観察者は、位相差観察により無色透明な細胞を染色することなく生きたまま観察できる。顕微鏡システム1では、同一の対物レンズ15で共焦点観察及び位相差観察を行えるため、共焦点観察による像と位相差観察による像との間のずれが抑制される。顕微鏡システム1は、顕微鏡装置10及び光学ユニット30に本来備わっている光学系を用いて、上記のような効果を実現できる。
上記では、光学ユニット30は、集光ディスク31aを有するとして説明したが、これに限定されない。光学ユニット30は、集光ディスク31aを有さなくてもよい。このとき、光学ユニット30の製造コストが低減し、集光ディスク31aとピンホールディスク31bとの間の光学調整を行う作業工程が削減される。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る顕微鏡システム1の構成を示す模式図である。以下では、図5を参照しながら、第2実施形態に係る顕微鏡システム1の構成及び機能について主に説明する。第2実施形態に係る顕微鏡システム1は、異なる2つの撮像装置40a及び40bを有し、共焦点観察と位相差観察とを並行して行える点で第1実施形態と相違する。第1実施形態と同様の構成部については同一の符号を付し、その説明を省略する。第1実施形態と異なる点について主に説明する。
試料11から放射される第2照明光L2に基づく蛍光F2と、第1照明光L1に基づく透過光T1及び回折光D1とは、対物レンズ15、結像レンズ16、ピンホールディスク31bのピンホールを通過し、ビームスプリッタ32によって第2照明光L2と分離される。蛍光F2と、透過光T1及び回折光D1とは、第1リレーレンズ33を通り、バリアフィルタ39aを通過する。このとき、ピンホールディスク31b及びモータ31c等で反射した第2照明光L2の反射光を主とするノイズ光は、バリアフィルタ39aによって抑制される。バリアフィルタ39aは、例えば、発光装置20が照射できる波長に応じて、観察者の設定に基づきフィルタホイール35aの回転動作によって切り替えられてもよい。
バリアフィルタ39aを透過した、蛍光F2と、透過光T1及び回折光D1とは、分岐用光学素子39bに到達する。このとき、蛍光F2は、分岐用光学素子39bで反射する。分岐用光学素子39bで反射した蛍光F2は、蛍光フィルタ38によって目的の波長を有する光のみが選択された状態で蛍光フィルタ38を透過する。このとき、蛍光フィルタ38は、例えば、試料11に使用している蛍光試薬の蛍光スペクトルに応じて、観察者の設定に基づきフィルタホイール35bの回転動作によって切り替えられてもよい。蛍光F2は、第2リレーレンズ34bによって撮像装置40bの検出面上に結像する。
一方で、透過光T1と回折光D1とは、分岐用光学素子39bを透過する。分岐用光学素子39bを透過した透過光T1と回折光D1とは、位相板37を通過する。このとき、位相板37は、例えば、対物レンズ15及びリング絞り13に応じて、観察者の設定に基づきフィルタホイール35cの回転動作によって切り替えられてもよい。透過光T1及び回折光D1は第2リレーレンズ34aによって撮像装置40aの検出面上に結像する。
以上のように、第2実施形態に係る顕微鏡システム1の光学ユニット30は、第1観察光O1と第2観察光O2とを分離する分岐用光学素子39bを有し、撮像装置40a及び40bにより第1観察光O1及び第2観察光O2をそれぞれ並行して検出する。
第2実施形態に係る顕微鏡システム1によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。加えて、顕微鏡システム1では、観察者は、共焦点観察による撮像と位相差観察による撮像とを並行して行うことができる。これにより、撮像のスループットが増大する。すなわち、共焦点観察及び位相差観察による撮像効率が向上する。加えて、顕微鏡システム1では、2つの撮像装置40a及び40bに対して、各々の撮像方法に適した装置が適用可能である。例えば、位相差観察による像を撮像する撮像装置40aは、高分解能カメラであってもよいし、共焦点観察による像を撮像する撮像装置40bは、高感度カメラであってもよい。
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態に係る顕微鏡システム1の構成を示す模式図である。以下では、図6を参照しながら、第3実施形態に係る顕微鏡システム1の構成及び機能について主に説明する。第3実施形態に係る顕微鏡システム1は、1つの撮像装置40のみで共焦点観察と位相差観察とを並行して行える点で第1実施形態及び第2実施形態と相違する。第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成部については同一の符号を付し、その説明を省略する。第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について主に説明する。
分岐用光学素子39bで反射した蛍光F2は、蛍光フィルタ38によって目的の波長を有する光のみが選択された状態で蛍光フィルタ38を透過する。その後、蛍光F2は、折り曲げミラー39cで反射し、合波ミラー39dを透過して、第2リレーレンズ34により撮像装置40の検出面上に結像する。
一方で、分岐用光学素子39bを透過した透過光T1と回折光D1とは、位相板37を通過する。その後、透過光T1と回折光D1とは、折り曲げミラー39cで反射し、合波ミラー39dで反射して、第2リレーレンズ34により撮像装置40の検出面上に結像する。
蛍光F2と、透過光T1及び回折光D1とは、分岐用光学素子39bにより分岐されて各々異なる光路を経た後、合波ミラー39dにより合波される。合波された蛍光F2を含む第2観察光O2と、透過光T1及び回折光D1を含む第1観察光O1とは、撮像装置40の検出面における異なる部分でそれぞれ検出される。
第3実施形態に係る顕微鏡システム1によれば、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏する。加えて、第3実施形態に係る顕微鏡システム1では、観察者は、第2実施形態と比較して撮像装置40の数を減らした状態で、共焦点観察による撮像と位相差観察による撮像とを並行して行うことができる。これにより、並行した撮像を目的とする顕微鏡システム1の製造においてもそのコストが低減する。
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態に係る顕微鏡システム1の構成を示す模式図である。図8は、図7の顕微鏡システム1における第1観察光O1に基づいて撮像された画像の例を示す模式図である。
以下では、図7及び図8を参照しながら、第4実施形態に係る顕微鏡システム1の構成及び機能について主に説明する。第4実施形態に係る顕微鏡システム1は、位相板37に代えて光路マスク37bを観察用光学素子36が含む点と、リング絞り13を除去した点とで第1実施形態と相違する。第1実施形態と同様の構成部については同一の符号を付し、その説明を省略する。第1実施形態と異なる点について主に説明する。
従来、例えば試料11の形状に陰影をつけたような図8に示す像を撮像する場合、観察方法として微分干渉法及びレリーフコントラスト法が知られている。微分干渉法によると、無色透明な細胞を染色することなく生きたまま観察できる。しかしながら、微分干渉法を実現するには、アナライザ及びポラライザと呼ばれる偏光素子、並びにウォラストンプリズムが必要となり、光学系が複雑になるという問題があった。加えて、微分干渉法では樹脂製の観察容器が用いられると、樹脂の複屈折性により照明光の位相が乱されて、正常な微分干渉像が得られないという問題があった。
このような問題点を解決するための技術として、レリーフコントラスト法が知られている。レリーフコントラスト法によれば、樹脂製の観察容器を用いて、微分干渉法による観察のように無色透明な細胞を染色することなく生きたまま観察できる。しかしながら、レリーフコントラスト法を実現するには、内部にモジュレータを有する専用の対物レンズ、偏光板、及びスリット絞りが必要となり、光学系は依然として複雑なままであった。
第4実施形態に係る顕微鏡システム1によれば、このような問題点を解決して、スピニングディスク型共焦点スキャナを有する場合であっても、簡便な光学系を用いて観察対象となる試料11の像を異なる観察法によってリアルタイムに取得できる。より具体的には、顕微鏡システム1は、簡便な光学系を用いて、試料11の形状に陰影をつけたような像のリアルタイムでの観察を実現可能とする。
第4実施形態に係る顕微鏡システム1では、第1実施形態と異なり、観察光は、第1照明光L1に基づく試料11からの透過光T1を含む第1観察光O1と、第2照明光L2に基づく試料11からの蛍光F2を含む第2観察光O2とを含む。すなわち、第1観察光O1には、第1照明光L1に基づく試料11からの回折光D1は含まれていない。このとき、観察用光学素子36は、第1観察光O1に含まれる透過光T1の光路の一部を遮る光路マスク37bと、第2観察光O2に含まれる蛍光F2を選択的に透過させる蛍光フィルタ38とを含む。
例えば、処理装置50は、フィルタホイール35による光路マスク37b及び蛍光フィルタ38のいずれかの切り替えを制御する。処理装置50は、このような切り替えに同期させて、対応する光学素子が観察光の光路上に配置されたときに顕微鏡装置10の発光部12及び発光装置20からの光出力をそれぞれオンにする。処理装置50は、このような切り替えに同期させて、第1観察光O1と第2観察光O2とを撮像装置40に交互に検出させる。
光路マスク37bは、光軸Aに略直交する透過光T1の断面の略半分の領域を遮る。光路マスク37bにおいて、光路を遮る部分とその他の部分とは、光軸Aを挟んで互いに対称的に形成されている。例えば、光路マスク37bは、全体として略円形状に形成され、略半円を形成するその略半分の領域で透過光T1を遮る。透過光T1は、光路マスク37bにおいて光路を遮る部分以外の部分においてのみ光路マスク37bを透過可能である。
光路マスク37bは、第1リレーレンズ33と第2リレーレンズ34との中間位置に形成されるフーリエ面S3に配置される。このとき、光路マスク37bの位置には試料11のフーリエ変換像が投影される。すなわち、透過光T1の光軸Aを中心として、試料11の画像における空間周波数成分が光軸Aに対して直交する面に分布したフーリエ変換像が形成される。このとき、光軸Aから離れるほど空間周波数は高くなる。図7に示すような形状の光路マスク37bは、光軸Aを挟んで対称的に形成される空間周波数領域の一方の全体を遮る。
図8を参照すると、第4実施形態に係る顕微鏡システム1によれば、光路マスク37bが透過光T1の光路から外れた場合の画像(光路マスクなし)と比較して、試料11の形状に陰影をつけたような画像(光路マスクあり)が取得可能である。すなわち、試料11の立体情報を強調した透過光観察による像が取得可能である。このように、第4実施形態に係る顕微鏡システム1によれば、観察者は、通常の共焦点観察による像と、試料11の立体情報を強調した透過光観察による像とを交互に撮像可能である。
以上のように、第4実施形態に係る顕微鏡システム1は、第1観察光O1に光路マスク37bを作用させることで、透過光観察による像を試料11の立体情報を強調した像として取得可能である。
光路マスク37bの配置は、上述した内容に限定されない。光路マスク37bは、例えば、図1のリング絞り13の位置に配置されていてもよい。
上述したフーリエ面S3に様々な形状の光路マスク37bを配置することにより、撮像装置40に投影される像を変換することができる。上述した第4実施形態に係る顕微鏡システム1の第1変形例及び第2変形例について以下で説明する。
図9は、図7の顕微鏡システム1の第1変形例を示す模式図である。図10Aは、図9の顕微鏡システム1における第1観察光O1に基づいて撮像された画像の例を示す模式図である。図10Bは、図9の顕微鏡システム1において第2観察光O2の光路に光路マスク37bを配置したときの画像の例を示す模式図である。図11は、図7の顕微鏡システム1の第2変形例を示す模式図である。図12Aは、図11の顕微鏡システム1における第1観察光O1に基づいて撮像された画像の例を示す模式図である。図12Bは、図11の顕微鏡システム1において第2観察光O2の光路に光路マスク37bを配置したときの画像の例を示す模式図である。
図9及び図11を参照すると、第1変形例及び第2変形例に係る顕微鏡システム1の光路マスク37bは、透過光T1の光軸Aに略直交する透過光T1の断面の中心を少なくとも遮る。第1変形例及び第2変形例に係る顕微鏡システム1では、光路マスク37bにおいて透過光T1を遮る部分の面積が互いに異なる。第1変形例のように、光路マスク37bにおいて透過光T1を遮る部分の面積が小さい場合、第1照明光L1に含まれる照明ムラが抑制される。一方で、第2変形例のように、光路マスク37bにおいて透過光T1を遮る部分の面積が大きい場合、微細構造を強調した透過光観察を行うことができる。
例えば、図9に示す光路マスク37bは、全体として略円形状に形成され、その中心部で透過光T1を遮る。透過光観察の際に、透過光T1の光路の中心部を遮る光路マスク37bをフーリエ面S3に配置すると、撮像装置40において、空間周波数の低周波成分が除去された像が形成される。これにより、第1照明光L1に含まれる照明ムラが抑制される。
より具体的には、図10Aに示すとおり、光路マスク37bが透過光T1の光路から外れた場合の画像(光路マスクなし)と比較して、照明ムラが抑制された画像(光路マスクあり)が取得可能である。すなわち、第1照明光L1に含まれる照明ムラが抑制された透過光観察による像が取得可能である。
第1変形例に係る顕微鏡システム1では、共焦点観察による像に対して同様の処理が施されてもよい。このとき、第1変形例に係る顕微鏡システム1では、観察用光学素子36は、第2観察光O2に含まれる蛍光F2の光路の一部を遮る上記と同様の光路マスク37bをさらに含んでもよい。例えば、蛍光F2に作用する光路マスク37bと蛍光フィルタ38とは、共焦点観察による像の取得が可能な任意の位置に別体として配置されていてもよいし、互いに一体化した光学素子38aとしてフィルタホイール35に取り付けられていてもよい。すなわち、光学素子38aは、蛍光F2の光路の一部を遮る光路マスク37bの機能と、蛍光フィルタ38の機能とを兼ね備えてもよい。
このとき、第1変形例に係る顕微鏡システム1によれば、図10Bに示すとおり、光路マスク37bが蛍光F2の光路から外れた場合の画像(光路マスクなし)と比較して、照明ムラが抑制された画像(光路マスクあり)が取得可能である。すなわち、第2照明光L2に含まれる照明ムラが抑制された共焦点観察による像が取得可能である。
例えば、処理装置50は、フィルタホイール35による光路マスク37b及び光学素子38aのいずれかの切り替えを制御する。処理装置50は、このような切り替えに同期させて、対応する光学素子が観察光の光路上に配置されたときに顕微鏡装置10の発光部12及び発光装置20からの光出力をそれぞれオンにする。処理装置50は、このような切り替えに同期させて、第1観察光O1と第2観察光O2とを撮像装置40に交互に検出させる。観察者は、照明ムラが抑制された、透過光観察による像及び共焦点観察による像を交互に撮像可能である。
上記に加えて、第1変形例に係る顕微鏡システム1は、通常の透過光観察による像と照明ムラが抑制された共焦点観察による像とを撮像可能に構成されてもよい。このとき、透過光T1の光路に配置される光路マスク37bは除去される。
以上のように、第1変形例に係る顕微鏡システム1は、第1観察光O1及び第2観察光O2の少なくとも一方に光路マスク37bを作用させることで、透過光観察による像及び共焦点観察による像の少なくとも一方を照明ムラが抑制された像として取得してもよい。
例えば、図11に示す光路マスク37bは、全体として略円形状に形成され、その外縁部のみで透過光T1を透過させる。透過光観察の際に、透過光T1の光路の外縁部のみを透過させる光路マスク37bをフーリエ面S3に配置すると、撮像装置40において、空間周波数の高周波成分のみを含む像が形成される。第2変形例における光路マスク37bのカットオフ周波数は、第1変形例における光路マスク37bのカットオフ周波数よりも高い。これにより、微細構造を強調した透過光観察を行うことができる。
より具体的には、図12Aに示すとおり、光路マスク37bが透過光T1の光路から外れた場合の画像(光路マスクなし)と比較して、微細構造が強調された画像(光路マスクあり)が取得可能である。すなわち、微細構造が強調された透過光観察による像が取得可能である。
第2変形例に係る顕微鏡システム1では、共焦点観察による像に対して同様の処理が施されてもよい。このとき、観察用光学素子36の構成及び処理装置50による処理等について、第1変形例に係る顕微鏡システム1における上記の説明が適用される。第2変形例に係る顕微鏡システム1によれば、図12Bに示すとおり、光路マスク37bが蛍光F2の光路から外れた場合の画像(光路マスクなし)と比較して、微細構造が強調された画像(光路マスクあり)が取得可能である。すなわち、微細構造が強調された共焦点観察による像が取得可能である。
このように、第2変形例に係る顕微鏡システム1は、第1変形例に係る顕微鏡システム1と同様に、第1観察光O1及び第2観察光O2の少なくとも一方に光路マスク37bを作用させることで、透過光観察による像及び共焦点観察による像の少なくとも一方を微細構造が強調された像として取得してもよい。
(第5実施形態)
図13は、第5実施形態に係る顕微鏡システム1の構成を示す模式図である。
以下では、図13を参照しながら、第5実施形態に係る顕微鏡システム1の構成及び機能について主に説明する。第5実施形態に係る顕微鏡システム1は、第2実施形態に係る顕微鏡システム1の位相板37を光路マスク37bに置き換え、リング絞り13を除去したものである。したがって、第5実施形態に係る顕微鏡システム1では、リング絞り13及び位相板37を用いた第2実施形態における位相差観察法を、光路マスク37bを用いた第4実施形態における透過光観察法に置き換えて試料11の像が取得される。第5実施形態に係る顕微鏡システム1では、蛍光フィルタ38を用いた第2実施形態における共焦点観察法を、光学素子38aを用いた第4実施形態の第1変形例及び第2変形例における共焦点観察法に置き換えて試料11の像が取得されてもよい。このように、第5実施形態に係る顕微鏡システム1の構成及び機能等の説明については、上記の第2実施形態及び第4実施形態に関する説明が適用される。
(第6実施形態)
図14は、第6実施形態に係る顕微鏡システム1の構成を示す模式図である。
以下では、図14を参照しながら、第6実施形態に係る顕微鏡システム1の構成及び機能について主に説明する。第6実施形態に係る顕微鏡システム1は、第3実施形態に係る顕微鏡システム1の位相板37を光路マスク37bに置き換え、リング絞り13を除去したものである。したがって、第6実施形態に係る顕微鏡システム1では、リング絞り13及び位相板37を用いた第3実施形態における位相差観察法を、光路マスク37bを用いた第4実施形態における透過光観察法に置き換えて試料11の像が取得される。第6実施形態に係る顕微鏡システム1では、蛍光フィルタ38を用いた第3実施形態における共焦点観察法を、光学素子38aを用いた第4実施形態の第1変形例及び第2変形例における共焦点観察法に置き換えて試料11の像が取得されてもよい。このように、第6実施形態に係る顕微鏡システム1の構成及び機能等の説明については、上記の第3実施形態及び第4実施形態に関する説明が適用される。
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
例えば、上述した各構成部の形状、配置、向き、及び個数等は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、配置、向き、及び個数等は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
1 顕微鏡システム
10 顕微鏡装置
11 試料
12 発光部
13 リング絞り
13a スリット
14 コンデンサレンズ
15 対物レンズ
16 結像レンズ
20 発光装置
30 光学ユニット
31 走査部
31a 集光ディスク
31b ピンホールディスク
31c モータ
32 ビームスプリッタ
33 第1リレーレンズ
34、34a、34b 第2リレーレンズ
35、35a、35b、35c フィルタホイール
36 観察用光学素子
37 位相板
37a 位相リング
37b 光路マスク
38 蛍光フィルタ
38a 光学素子
39a バリアフィルタ
39b 分岐用光学素子
39c 折り曲げミラー
39d 合波ミラー
40、40a、40b 撮像装置
50 処理装置
A 光軸
D1 回折光
F2 蛍光
L1 第1照明光
L2 第2照明光
O1 第1観察光
O2 第2観察光
S1 瞳面
S2 像側瞳共役面
S3 フーリエ面
T1 透過光

Claims (7)

  1. 観察対象となる試料の像を取得する顕微鏡システムであって、
    前記試料に第1照明光を照射する発光部を有し、第1観察に用いられる顕微鏡装置と、
    前記試料に第2照明光を照射する発光装置と、
    前記顕微鏡装置及び前記発光装置と光学的に結合され、前記第2照明光を前記試料に対して走査する走査部と、無限遠補正光学系と、を有し、前記発光装置と組み合わせて第2観察に用いられる光学ユニットと、
    前記試料の像に関する情報を含む観察光を検出する撮像装置と、
    を備え、
    前記光学ユニットは、前記顕微鏡装置が有する対物レンズの瞳面と共役な像側瞳共役面であって、前記第2観察に用いられる前記光学ユニットに本来備わっている前記無限遠補正光学系に位置する像側瞳共役面に配置される観察用光学素子を有し、
    前記観察光は、前記第1照明光に基づく前記第1観察用の第1観察光と、前記第2照明光に基づく前記第2観察用の第2観察光と、を含み、
    前記光学ユニットは、前記観察用光学素子を前記第1観察光及び前記第2観察光が共に通過する一の光路を有し、
    前記観察用光学素子を用いて前記第1観察及び前記第2観察を行うことを可能にする
    顕微鏡システム。
  2. 前記観察光は、
    前記第1照明光に基づく前記試料からの透過光及び回折光を含む前記第1観察光と、
    前記第2照明光に基づく前記試料からの蛍光を含む前記第2観察光と、
    を含み、
    前記観察用光学素子は、
    前記第1観察光に含まれる前記透過光及び前記回折光のいずれか一方の位相を互いの干渉が強まるようにシフトさせる位相板と、
    前記第2観察光に含まれる前記蛍光を選択的に透過させる蛍光フィルタと、
    を含む、
    請求項1に記載の顕微鏡システム。
  3. 前記観察光は、
    前記第1照明光に基づく前記試料からの透過光を含む前記第1観察光と、
    前記第2照明光に基づく前記試料からの蛍光を含む前記第2観察光と、
    を含み、
    前記観察用光学素子は、
    前記第1観察光に含まれる前記透過光及び前記第2観察光に含まれる前記蛍光の少なくとも一方の光路の一部を遮る光路マスクと、
    前記第2観察光に含まれる前記蛍光を選択的に透過させる蛍光フィルタと、
    を含む、
    請求項1に記載の顕微鏡システム。
  4. 前記光路マスクは、前記第1観察光の光軸に略直交する前記第1観察光の断面の略半分の領域を遮り、
    前記光路マスクにおいて、光路を遮る部分とその他の部分とは、前記第1観察光の前記光軸を挟んで互いに対称的に形成されている、
    請求項3に記載の顕微鏡システム。
  5. 前記光路マスクは、前記観察光の光軸に略直交する前記観察光の断面の中心を少なくとも遮る、
    請求項3に記載の顕微鏡システム。
  6. 処理装置をさらに備え、
    前記光学ユニットは、前記観察光の光路上に配置される光学素子を、前記観察用光学素子に含まれる光学素子のいずれかに切り替える光学素子切替部をさらに有し、
    前記処理装置は、
    前記光学素子切替部による、前記観察用光学素子に含まれるいずれかの光学素子への切り替えを制御し、
    該切り替えに同期させて、対応する光学素子が前記光路上に配置されたときに前記顕微鏡装置の前記発光部及び前記発光装置からの光出力をそれぞれオンにし、
    前記切り替えに同期させて、前記第1観察光と前記第2観察光とを前記撮像装置に交互に検出させる、
    請求項2乃至5のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
  7. 前記光学ユニットの前記走査部は、
    複数の集光光学素子を配設した集光ディスクと、
    複数の前記集光光学素子による前記第2照明光の集光位置にそれぞれ配設された複数のピンホールを有するピンホールディスクと、
    を有し、
    前記ピンホールディスクが回転することで、前記集光光学素子により集光され対応する前記ピンホールを通過した前記第2照明光を前記試料に対して走査する、
    請求項1乃至6のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
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