JP2002311335A - 格子照明顕微鏡 - Google Patents

格子照明顕微鏡

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JP2002311335A
JP2002311335A JP2001113556A JP2001113556A JP2002311335A JP 2002311335 A JP2002311335 A JP 2002311335A JP 2001113556 A JP2001113556 A JP 2001113556A JP 2001113556 A JP2001113556 A JP 2001113556A JP 2002311335 A JP2002311335 A JP 2002311335A
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light
lens
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grating
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JP2001113556A
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Hisao Osawa
日佐雄 大澤
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Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成の透過型格子照明顕微鏡を得る。 【解決手段】 格子照明顕微鏡は、一次元格子3からの
一次元格子模様の照明光を出射する照明光学系と、上面
に標本を載置可能であり下面に光反射膜を有したガラス
製平行平板からなる標本台10と、標本台10の上方に
配設された対物レンズ8と、標本台10の標本載置面1
2に載置された標本から対物レンズ8を通って出射され
る光を受けて標本の像をCCDカメラ16の撮像面に結
像させる結像光学系とを備えて構成される。照明光学系
からの照明光は対物レンズ8を通して標本台10に照射
され、この標本台10の中を透過させてその下面11に
設けられた光反射膜で反射させ、標本に対して下面側か
ら格子模様の照明を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、標本に格子模様の
照明を行う格子照明顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】通常の光学顕微鏡は標本の三次元構造
(立体構造)の観察には適していないが、このことにつ
いて簡単に説明する。通常の光学顕微鏡では、焦点をぼ
かしたときに標本に細かい構造がなければ焦点がぼける
だけで合焦時の像と変わりない像しか得ることができな
い。なお、標本に細かい構造がある場合には焦点ずれに
対応して細かい構造の見え方に変化があると考えられる
が、焦点をぼかしたときには像全体の光量の積分強度は
ほとんど変化しないため、焦点ずれに伴う細かい構造の
見え方に変化があったとしても、背景光に邪魔されてそ
の変化を観察するのが困難であった。このことから分か
るように通常の顕微鏡では、標本における光学系の光軸
方向の情報変化を得ることが困難であり、このため、標
本の三次元構造(立体構造)の観察には不向きであっ
た。
【0003】一方、標本の三次元構造の観察が可能な顕
微鏡として共焦点顕微鏡がある。共焦点顕微鏡は、標本
を点状に照明するとともにその照明点で散乱された光を
もう一度結像させて点状の光検出器で捉えることによ
り、標本中で焦点の合っている面のみの情報を得ること
ができるようになっている。このため、この照明点を標
本の表面において二次元的に走査することで、従来の顕
微鏡で得ることができる標本の二次元的な情報のみなら
ず、光軸方向における第3次元の情報を得ることがで
き、標本の三次元観察が可能である。このようなことか
ら、共焦点顕微鏡は標本の立体構造を観察したいという
要求のあるところに、近年急速にその利用が広まってい
る。
【0004】ところが共焦点顕微鏡はその原理上、標本
の表面に点状の照明光(光スポット)を照射し、これを
標本表面において二次元的に走査しながらこれと同期し
て光強度を計測する必要がある。このため、光スポット
を標本に照射する光学系として、レーザー、リレーレン
ズ、偏向光学素子もしくは、ニポウディスク、ディスク
回転機構が必要になる。この結果、顕微鏡システム全体
が大型化しやすく、製造コストが高くなるという問題が
あった。
【0005】これに対して、安価に標本の三次元画像を
得ることのできる小型の顕微鏡として、格子状に標本を
照明する顕微鏡(以下、格子照明顕微鏡と称する)があ
る。この格子照明顕微鏡は、標本に照明されてここで散
乱された照明光において、焦点ずれに対して0次光の信
号強度はほとんど変化しないのに対し、0次光以外の光
は焦点ずれによって急速に信号強度を失っていくことに
着目して作られている。すなわち、格子照明顕微鏡で
は、標本を格子状に照明してわざと散乱光の主成分が0
次光以外となるようにしておき、残った0次光を画像間
演算によって除去し、焦点ずれに対して敏感な顕微鏡を
構成している。このため、格子照明顕微鏡を用いて標本
のうちの焦点があっている面のみからの信号を求める操
作を、光軸方向に標本を移動させながら行うことで標本
の三次元像を得ることができる。
【0006】この格子照明顕微鏡の原理を簡単に説明す
る。まず、標本の照明パターンとして、ピッチΛの一次
元正弦波を仮定すると、式(1)の関係が成立するた
め、画像上の各点における光強度I(t,ω)は、式
(2)のようになる。
【0007】
【数1】 S(t,ω)=1+m・cos(ν・t+φ) ・・・(1) 但し、ν=λ/(Λ・n・NA)
【0008】
【数2】 I(t,ω)=I+Icosφ+Isinφ ・・・(2)
【0009】なお、式(1)において、S(t,ω)は標
本上の光強度分布である。(t,ω)は標本上の実座標
(x,y)を波長λと屈折率nおよび開口数NAで規格化
した座標であり、(t,ω)=(2πnNA/λ)・(x,y)
の関係が成立する。符号mは正弦波の振幅を示し、mが
大きい方がコントラストの高い正弦波状照明となること
を意味する。νは標本上に投影されている照明パターン
のピッチΛ、対物レンズ−標本間の屈折率nから決まる
空間周波数である。NAは開口数で、NA=sinαであ
り、αは対物レンズの最も外側を通ってくる光と主光線
とのなす角度である。φは正弦波状照明の原点における
位相であり、本顕微鏡では3枚の画像を3つの位相で取
得するが、φはその一つ目の位相である。よって、以
下に示すφ は二つ目の位相、φは三つ目の位相であ
る。
【0010】ここで、φ=0、φ=2π/3、φ
=4π/3とすることで、通信工学におけるSquare-Law
と同様に、式(3)のようになって0次光を除去する
ことができる。その結果、このときの焦点ずれに対する
信号応答は、式(4)のように表される。従って、光学
系の光軸方向の分解能がおおよそ、式(5)に示すよう
になる。なお、これらの式において、J1は一次のベッ
セル関数であり、λは光波長であり、nは対物レンズと
標本の間の屈折率である。
【0011】
【数3】
【0012】
【数4】
【0013】
【数5】
【0014】このように式(5)により、適切なνを選
択することで光軸方向の分解能Δzは非常に小さな値に
することが可能となり、その場合は焦点ずれに対して敏
感となることが分かる。このため、この顕微鏡による観
察では光軸方向における極く小さな幅の領域においての
み焦点が合うことになり、このように焦点が合った状態
で光軸方向に観察標本を移動させて、得られた観察画像
を光軸方向の移動量に対応させて処理することにより観
察標本の三次元画像を得ることができる。
【0015】上記の原理に従って構成された格子照明顕
微鏡の例を図2に示している。この顕微鏡は、矢印A方
向に変化する正弦波状の透過率分布を持った一次元格子
53を有し、この一次元格子53が白色光源51から出
射した光をコンデンサレンズ52でほぼ平行光束とされ
た光で照明される。これにより、光強度が一次元方向に
正弦波状に変化する一次元格子模様(縞模様)の光が一
次元格子53から出射され、この光が照明レンズ56を
透過してハーフミラー57により顕微鏡観察光学経路内
に入射される。
【0016】この光学経路内には、ハーフミラー57の
下側に位置する対物レンズ58と、対物レンズ58の下
側に配設された標本台60と、ハーフミラー57の上側
に位置するリレーレンズ61と、リレーレンズ61の上
側に位置するCCDカメラ(撮像素子)62とが垂直に
延びる同一光軸上に並んで配設されている。上記のよう
にして一次元格子53から出射されて照明レンズ56を
透過した一次元格子模様の光はハーフミラー57により
反射され、照明レンズ56と瞳位置を共有する対物レン
ズ58を透過して標本台60の標本載置面60aに結像
される。すなわち、照明レンズ56に対する一次元格子
53の位置と、対物レンズ58に対する標本載置面60
aの位置とが共役な関係に設定されており、標本台60
の標本載置面60aに一次元格子53の像ができるよう
になっている。この結果、標本台60の標本載置面60
aに載置された標本が、一次元格子53を透過して作ら
れて一次元的に正弦波状に変化する強度分布をもった一
次元格子模様の光による照明を受ける。
【0017】このようにして一次元格子模様の照明がな
された標本の像を、対物レンズ58、リレーレンズ61
からなる結像光学系を通してCCDカメラ62に結像さ
せ、その信号を制御用コンピュータ63に取り込んで干
渉縞の像を得る。
【0018】次に、制御用コンピュータ63から圧電素
子ドライバ55に制御信号を出力し、圧電素子ドライバ
55により圧電素子54をわずかに伸縮させ、この圧電
素子54に繋がる上記一次元格子53を格子の並びの方
向(矢印A方向)に移動させる。このとき圧電素子54
の伸縮長さを、上記一次元格子53の格子ピッチの1/
3となるようにしておく。すると、標本載置面60a上
の標本に照明される格子模様(縞)はその位相が1/3
だけずれた模様となる。そして、このときの標本像を上
記と同様にCCDカメラ62により撮像しておく。
【0019】さらに、同様にして圧電素子54により一
次元格子53を格子ピッチの2/3だけ移動させて標本
を照明し、このときの標本像もCCDカメラ62により
撮像しておく。
【0020】以上のようにして撮像されたときの各画像
を、上記の式(3)におけるI,I,Iとして式
(3)により光強度Iを計算すれば、標本上の焦点の
合っている高さにおける画像のみを得ることができる。
そして、標本台60を光軸方向に移動させて上記と同様
にして焦点の合っている高さにおける画像を取り込むこ
とにより、標本の三次元画像を得ることができる。
【0021】ところで、図2に示した格子照明顕微鏡は
反射型の顕微鏡であるが、透過型の格子照明顕微鏡もあ
り、透過型の格子照明顕微鏡は、原理的には、図3のよ
うに構成される。なお、図3の透過型格子照明顕微鏡の
構成部材のうち、図2に示した反射型格子照明顕微鏡と
同一構成部材については同一番号を付してその説明を省
略する。
【0022】透過型格子照明顕微鏡においては、標本台
60の標本載置面60a上に載置された標本を下面側か
ら照明し、そのときの標本像を対物レンズ58およびリ
レーレンズ61を介してCCDカメラ62により撮像す
るように構成されており、この結像光学系もしくは撮像
光学系の構成は図2と同一である。但し、下面側から標
本を照明できるように標本台60は透明ガラス板等から
作られている。標本を照明する照明光学系において、白
色光源51、コンデンサレンズ52、一次元格子53お
よび照明レンズ56については図2の反射型格子照明顕
微鏡と同一である。但しこの照明光学系では、照明レン
ズ56から出射された光は全反射ミラー67により反射
され、標本台60の下面側から上方に進み、照明レンズ
68を通って標本載置面60aを下面側から照明する。
これにより、標本載置面60a上の標本に下面側から一
次元格子模様の照明がなされる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】ところで、格子照明顕
微鏡においては、格子模様の照明光の強度分布は高い精
度で正弦波状になっていなければならず、一次元格子5
3により作られた正弦波状の強度分布を有する光の像を
高い精度でそのまま標本載置面60aに結像させる必要
がある。すなわち、上記透過型格子照明顕微鏡において
は、一次元格子53により作られた格子模様の照明光を
標本上に投影させる照明レンズ68が対物レンズ58と
同程度の精度を求められる。このため、事実上対物レン
ズを二個必要とすることになり、装置コストが高くなる
という問題がある。
【0024】また、このような透過型格子照明顕微鏡に
おいて、対物レンズ58を交換して拡大倍率を変化させ
たときには、照明視野と照明輝度の確保のために、さら
には高い倍率では高い縦分解能を得ようとするために、
照明レンズ68も対物レンズ58とほぼ同一の倍率、N
Aを持ったものに交換する必要がある。すなわち、対物
レンズを交換して複数の倍率観察が可能な顕微鏡におい
ては、照明レンズも交換可能とする必要があり、装置が
複雑化し、高コスト化するとともに、倍率を変更するた
めの操作が煩雑化するという問題がある。
【0025】本発明はこのような問題に鑑みたもので、
上記照明レンズを必要としない簡単な構成の透過型格子
照明顕微鏡を提供することを目的とする。本発明は、さ
らにこの透過型格子照明顕微鏡の一部部品を交換するだ
けで反射型格子照明顕微鏡を得ることができるようにす
ることを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】このような目的達成のた
め、本発明に係る格子照明顕微鏡は、格子模様の照明光
を出射する照明光学系と、上面に標本を載置可能であり
下面に光反射膜を有した透明板からなる標本台と、この
標本台の上方に配設された対物レンズと、撮像素子と、
標本台の上面に載置された標本から対物レンズを通って
出射される光を受けて標本の像を撮像素子の撮像面に結
像させる結像光学系とを備えて構成され、照明光学系か
らの照明光を対物レンズを通して標本台の上面に照射
し、透明板の中を透過させてその下面に設けられた光反
射膜または下面近傍に設けられた反射膜で反射させ、標
本に対して下面側から格子模様の照明を行うように構成
される。
【0027】このような構成の格子照明顕微鏡によれ
ば、対物レンズを通して上方から標本台に照射される照
明光学系からの照明光を透明板の下面の光反射膜で反射
させることにより、標本に対して下面側から照明させる
ことができ、図3に示した従来の透過型の格子照明顕微
鏡のように標本台に下方から格子模様の照明を行う照明
光学系が不要となる。すなわち、本発明の格子照明顕微
鏡においては対物レンズが従来の透過型の格子照明顕微
鏡における照明レンズの役割を兼用し、従来の透過型の
格子照明顕微鏡において必要とされる照明レンズが不要
である。このため、構成が簡単で低コストな格子照明顕
微鏡を得ることができる。
【0028】なお、照明光学系を、格子模様に対応する
透過率分布を有し透過光を格子模様の照明光にして出射
させる格子部材と、対物レンズと組み合わせることによ
り格子模様の光を受けて格子模様を標本台に投影する照
明レンズとから構成することができる。この場合、照明
レンズに対する格子部材の位置が、対物レンズから透明
板内を透過するとともに光反射膜で反射されて標本台の
上面に至る光路に沿った上面の位置と共役な関係に設定
される。なお、照明レンズを透過した照明光を結像光学
系の光路内に入れて対物レンズに向けて照射させる光路
変更光学素子(例えば、ハーフミラー)を備えても良
い。
【0029】上記照明光学系における格子部材を、面内
における一方向に正弦波状に変化する透過率分布を有し
た一次元格子から構成することができる。
【0030】上記のように照明光学系から出射された照
明光が透明板を透過するとともに光反射膜で反射されて
標本台の上面に至るときに、透明板内において球面収差
が発生するため、照明レンズにこの球面収差を補正する
収差補正機能を持たせるのが望ましい。
【0031】本発明に係る格子照明顕微鏡において、そ
の照明光学系を同様な格子模様の照明光を出射する第2
の照明光学系に換えることができるように構成し、この
ように照明光学系を第2の照明光学系に換えることによ
り、第2の照明光学系からの格子模様の照明光が対物レ
ンズにより集光されて標本台の上面に上方から格子模様
の照明を行うように構成しても良い。
【0032】なお、この第2の照明光学系を、格子部材
と、この格子部材を透過して出射される格子模様の照明
光を受けて上記対物レンズと組み合わせることにより上
記格子模様を標本台に投影する第2の照明レンズと、こ
の第2の照明レンズを透過した照明光を結像光学系の光
路内に入れて対物レンズに向けて照射させる光路変更光
学素子とを有して構成することかできる。この構成で
は、格子部材および光路変更光学素子を照明光学系およ
び第2の照明光学系において共用し、照明レンズを第2
の照明レンズに換えて照明光学系を第2の照明光学系に
換えるように構成するのが好ましい。
【0033】さらに、上記照明レンズを基本照明レンズ
と焦点位置補償レンズとから構成し、上記第2の照明レ
ンズを基本照明レンズのみから構成するようにしても良
く、この場合には、照明レンズから焦点位置補償レンズ
を取り外すことにより照明レンズを第2の照明レンズに
換えることができる。
【0034】このように照明レンズを第2の照明レンズ
に換えて照明光学系を第2の照明光学系に換えたとき
に、第2の照明レンズに対する格子部材の位置が、対物
レンズから標本台の上面に至る光路に沿った位置と共役
な関係に設定される。
【0035】なお、上記のように照明光学系を第2の照
明光学系に換えたときには、標本台として光反射膜を有
しない通常の標本台を用いることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
ましい実施形態について説明する。本発明の実施形態に
係る格子照明顕微鏡の構成を図1に示している。この構
成は、図2に示した従来の反射型格子照明顕微鏡の構成
と類似しており、矢印A方向に変化する正弦波状の透過
率分布を持った一次元格子3を有し、この一次元格子3
が白色光源1から出射した光をコンデンサレンズ2でほ
ぼ平行光束とされた光で照明される。これにより、光強
度が一次元方向に正弦波状に変化する一次元格子模様
(縞模様)の照明光が一次元格子3から出射される。そ
して、この照明光が基本照明レンズ4および焦点位置補
償レンズ5から構成される照明レンズ6を透過してハー
フミラー7により顕微鏡観察光学経路(結像光学系を含
む)内に入射されるように照明光学系が構成される。一
次元格子を用いることにより、格子照明顕微鏡構成が最
も簡単となり、さらに、三次元観察が最も容易である。
【0037】上記顕微鏡観察光学経路内には、ハーフミ
ラー7の下側に位置する対物レンズ8と、対物レンズ8
の下側に配設された標本台10と、ハーフミラー7の上
側に位置するリレーレンズ15と、リレーレンズ15の
上側に位置するCCDカメラ(撮像素子)16とが垂直
に延びる同一光軸上に並んで配設されている。上記のよ
うにして一次元格子3から出射されて照明レンズ6を透
過した一次元格子模様の照明光はハーフミラー7により
反射され、対物レンズ8を透過して標本台10に向けて
照射される。
【0038】ここで標本台10は、透明ガラス製の平行
平板から構成されており、上面が標本載置面12として
用いられ、下面11に光反射膜が形成されている。この
ため、上記のように対物レンズ8を透過して標本台10
に照射された照明光は、標本台10の上面となる標本載
置面12を透過して下面11に設けられた光反射膜によ
り反射され、標本台10内を戻って標本載置面12を下
面側から照明する。このような下面側からの照明におい
て照明レンズ6と瞳位置を共有するように対物レンズ8
が設けられており、標本載置面12を下面側から照明す
る照明光によりこの標本載置面に一次元格子3の格子像
が結像される。
【0039】すなわち、照明レンズ6に対する一次元格
子3の位置と、対物レンズ8から標本台10内を通って
下面11の光反射膜で反射されて標本載置面12に至る
光路における対物レンズ8に対する標本載置面12の位
置とが共役な関係に設定されており、標本台10の標本
載置面12に下面側からの照明により一次元格子3の像
ができるようになっている。この結果、標本台10の標
本載置面12に載置された標本が、標本載置面12の下
面側から、一次元格子格子3を透過して作られて一次元
的に正弦波状に変化する強度分布をもった一次元格子模
様の光による照明を受ける。これにより、標本台の下面
で反射されてその上面に照射される光により格子部材の
表面の像を標本台の上面に結像させることができ、標本
台の上面を下面側から正確な格子模様で照明することが
できる。
【0040】なお、上記のように、対物レンズ8を通っ
た照明光はまず標本台10の標本載置面12を通って下
面11の光反射膜により反射される構成であるため、標
本載置面12は対物レンズ8を通った照明光の上面側か
らの直接の照射も受けるため、この上面側からの照明光
の照射の影響について以下に説明する。
【0041】高い空間周波数を有した物体の像は焦点ず
れと共に急速にそのコントラストが減衰する。このた
め、物体からの光を結像レンズによりスクリーンに結像
させる光学系を仮定したときに、このように結像対象物
体から結像レンズを通ってスクリーンに至る光学経路内
に何か他の小物体があったとしても、これが透明もしく
は半透明であれば、この小物体の存在に影響されず結像
対象物体の像をスクリーンに結像させることができる。
もちろん、結像対象物体の像は光学経路内の小物体によ
る影響である程度悪化するが、この小物体が小さいほ
ど、また平坦なほど像に与える影響は少ない。
【0042】ところで、透過型の顕微鏡で観察されるも
のは主に透明もしくは半透明なものであるから、図1に
示す本発明に係る格子照明顕微鏡において、対物レンズ
8から標本台10内を通って下面11の光反射膜で反射
されて標本載置面12に至る光路中に半透明な物体があ
ったとしても、この物体は焦点がずれた位置に位置する
ため、この物体の影響を受けることなく、下面側からの
照明光により標本載置面12に一次元格子3の像を結像
させ、この標本載置面12を一次元格子模様の光により
照明することができる。
【0043】なお、一次元格子3からの照明光が対物レ
ンズ8から標本台10内を通って下面11の光反射膜で
反射されて標本載置面12に至るときに、ガラスの屈折
率の影響を受けて標本載置面12に結像された像に球面
収差が発生するという問題がある。このため、この球面
収差を補正する機能が照明レンズ6に設けられる。この
収差補正機能は、照明レンズ6を構成する基本照明レン
ズ4および焦点位置補償レンズ5のいずれかに設けた
り、球面収差補正用のレンズを光路内に組み込んだりす
れば得られるが、後述のように、取り外し可能に構成さ
れる焦点位置補償レンズ5に設けるのが好ましい。これ
により、収差のない正確な格子模様の照明を行うことが
でき、正確な像観察が可能となる。
【0044】上述のように、図1に示す本発明に係る格
子照明顕微鏡においては、対物レンズ8により集光され
た照明光が標本台11の標本載置面12を一旦透過して
その下面12の光反射膜で反射されて表面載置面12に
戻った光路位置において一次元格子3の像を結像させる
ように構成されている。このとき、標本台10の厚さは
十分な焦点ずれを起こさせるに足る寸法に設定されてお
り、対物レンズ8から標本台10の標本載置面12に照
射された照射光がこの標本載置面12を透過する位置に
おいては、標本載置面12に載置された半透明の標本は
焦点ずれを起こした位置にあり、これが格子模様の結像
に影響を及ぼすことが殆ど無い。このため、この標本に
影響されることなく、標本載置面12に下面側から一次
元格子模様の正確な照明を行なわせることができる。
【0045】ここで例えば、一次元格子3のピッチを1
0μm、照明レンズ6と対物レンズ8の標本10上への
総合倍率を1/10倍に設定した場合には、縦分解能は
上述の式から約1μmであるから、標本台10の厚さは
0.1mm程度あれば十分である。
【0046】以上のようにして、標本載置面12上に載
置された標本に下面側から一次元格子模様の照明がなさ
れた状態で、この標本を透過した光を対物レンズ8およ
びリレーレンズ15からなる結像光学系を通して集光し
てCCDカメラ16に標本の像を結像させ、その信号を
制御用コンピュータ17に取り込んで干渉縞の像を得
る。
【0047】次に、制御用コンピュータ17から圧電素
子ドライバ18に制御信号を出力し、圧電素子ドライバ
18により圧電素子19をわずかに伸縮させ、この圧電
素子19に繋がる上記一次元格子3を格子の並びの方向
(矢印A方向)に移動させる。このとき圧電素子19の
伸縮長さを、上記一次元格子3の格子ピッチの1/3と
なるようにしておく。すると、標本載置面12上の標本
に照明される格子模様(縞)はその位相が1/3だけず
れた模様となる。そして、このときの標本像を上記と同
様にCCDカメラ16により撮像しておく。
【0048】さらに、同様にして圧電素子19により一
次元格子3を格子ピッチの2/3だけ移動させて標本を
照明し、このときの標本像もCCDカメラ16により撮
像しておく。
【0049】以上のようにして撮像されたときの各画像
を、上記の式(3)におけるI,I,Iとして式
(3)により光強度Iを計算すれば、標本上の焦点の
合っている高さにおける画像のみを得ることができる。
そして、標本台10を標本台移動機構14により光軸方
向に移動させて上記と同様にして焦点の合っている高さ
における画像を取り込む。このときの標本台移動機構1
4による移動情報を制御用コンピュータ17に入力さ
せ、移動情報と上述のようにして得られた画像とを組み
合わせて画像処理することにより、標本載置面12の上
に載置された標本の三次元画像を得ることができる。
【0050】ところで、図1に示す本発明に係る格子照
明顕微鏡は上述のように標本載置面12を下面側から照
明する透過型顕微鏡として構成しているが、これを反射
型顕微鏡としても用いることができるようになってお
り、これについて以下に説明する。
【0051】この格子照明顕微鏡においては、上述のよ
うに照明レンズ6は基本照明レンズ4と焦点位置補償レ
ンズ5とから構成されているが、焦点位置補償レンズ5
は着脱自在に構成されている。この焦点位置補償レンズ
5を取り外した状態、すなわち、照明レンズを基本照明
レンズ4のみにより構成した状態では、一次元格子3か
らの一次元格子模様の照明光は基本照明レンズ4を通っ
てハーフミラー7で反射され、対物レンズ8を通して標
本台10の標本載置面12の上に一次元格子3の像を結
像させるようになっている。これにより、標本載置面1
2の上に載置された標本は上方から一次元格子模様の照
明を受ける。
【0052】よって、この照明を受けて標本から反射さ
れて出射される光を対物レンズ8およびリレーレンズ1
5を通してCCDカメラ16に結像させれば、標本の干
渉縞の像を得ることができる。すなわち、反射型の格子
照明顕微鏡を得ることができ、この顕微鏡によっても上
記と同様な画像処理を行って標本の三次元像を得ること
ができる。なお、この場合に、標本台は上述のように下
面に光反射膜を設けたものである必要はなく、通常の標
本台でも良い。
【0053】以上のように、照明レンズ6を構成する焦
点位置補償レンズ5を着脱することにより、本発明に係
る格子照明顕微鏡を透過型として用いたり、反射型とし
て用いたりすることができる。この構成から分かるよう
に、焦点位置補償レンズ5は、装着することにより、対
物レンズ8により結像される一次元格子3の像の結像位
置を、対物レンズ8からΔL=2t/n(但し、nは標
本台10を構成するガラス材料の屈折率であり、tは標
本台10の厚さである)だけ遠ざける。これにより、格
子部材の表面の格子模様の像を標本台の上面にそのまま
正確に結像させることができ、標本台の上面を下面側か
らの透過光により格子部材により作られた格子模様と同
一の格子模様により正確に照明することができる。
【0054】以上においては、照明レンズ6を構成する
焦点位置補償レンズ5を装着して透過型格子照明顕微鏡
を構成し、これを取り外して反射型格子照明顕微鏡を構
成しているが、基本照明レンズ4と焦点位置補償レンズ
5を合わせた照明レンズ全体を交換して透過型と反射型
との切り替えを行うように構成してもよい。また、上記
の例では一次元格子を用いて一次元格子模様の照明を行
うようにしているが、二次元格子を用いて二次元格子模
様の照明を行っても良い。
【0055】なお、上記透明平行平板からなる標本台の
下面には光反射膜を形成していたが、この透明平行平板
に換えて、光反射膜を持たない透明平行平板と、さらに
この下側に平行に設置した反射鏡を組み合わせても良
い。すなわち、対物レンズを通して上方から標本台に照
射される照明光学系からの照明光は上記透明平行平板を
一旦透過し、その下側に設置した反射鏡で反射されて再
び上記平行平板を透過して標本を下側から照明するよう
に構成しても良い。また、平行平板の上面と下面の間に
反射膜を形成し、透明平行平板に照射された光を、この
反射膜において反射させて標本を照明しても良い。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
対物レンズを通して上方から標本台に照射される照明光
学系からの照明光を透明板の下面の光反射膜(もしくは
その近傍に設けた光反射膜)で反射させることにより、
標本に対して下面側から照明させることができ、図3に
示した従来の透過型の格子照明顕微鏡のように標本台に
下方から格子模様の照明を行う照明光学系が不要とな
る。すなわち、本発明の格子照明顕微鏡においては対物
レンズが従来の透過型の格子照明顕微鏡における照明レ
ンズの役割を兼用し、従来の透過型の格子照明顕微鏡に
おいて必要とされる照明レンズが不要であり、構成が簡
単で低コストな格子照明顕微鏡を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る格子照明顕微鏡の構成を説明する
概略図である。
【図2】従来の透過型の格子照明顕微鏡の構成を説明す
る概略図である。
【図3】従来の反射型の格子照明顕微鏡の構成を説明す
る概略図である。
【符号の説明】
3 一次元格子 4 基本照明レンズ 5 焦点位置補償レンズ 6 照明レンズ 7 ハーフミラー 8 対物レンズ 10 標本台 16 CCDカメラ 17 制御用コンピュータ 19 圧電素子

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 格子模様の照明光を出射する照明光学系
    と、上面に標本を載置可能であり下面に光反射膜を有し
    た透明板からなる標本台と、前記標本台の上方に配設さ
    れた対物レンズと、撮像素子と、前記標本台の前記上面
    に載置された標本から前記対物レンズを通って出射され
    る光を受けて前記標本の像を前記撮像素子の撮像面に結
    像させる結像光学系とを備え、 前記照明光学系からの前記照明光を前記対物レンズを通
    して前記標本台の前記上面に照射し、前記透明板の中を
    透過させて前記下面に設けられた前記光反射膜または前
    記下面近傍に設けられた反射膜で反射させ、前記標本台
    の前記上面に載置された前記標本に対して下面側から前
    記格子模様の照明を行うように構成されていることを特
    徴とする格子照明顕微鏡。
  2. 【請求項2】 前記照明光学系が、前記格子模様に対応
    する透過率分布を有し透過光を前記格子模様の照明光に
    して出射させる格子部材と、前記対物レンズと組み合わ
    せることにより前記格子模様の光を受けて前記格子模様
    を前記標本台に投影する照明レンズとを有して構成さ
    れ、 前記照明レンズに対する前記格子部材の位置が、前記対
    物レンズから前記透明板内を透過するとともに前記光反
    射膜で反射されて前記標本台の前記上面に至る光路に沿
    った前記上面の位置と共役な関係に設定されており、前
    記標本台の前記上面を下面側から照射する前記照射光に
    より前記格子部材の前記格子模様の像を前記上面に結像
    させるように構成されていることを特徴とする請求項1
    に記載の格子照明顕微鏡。
  3. 【請求項3】 前記照明レンズを透過した照明光を前記
    結像光学系の光路内に入れて前記対物レンズに向けて照
    射させる光路変更光学素子を有することを特徴とする請
    求項1もしくは2に記載の格子照明顕微鏡。
  4. 【請求項4】 前記格子部材が面内における一方向に正
    弦波状に変化する透過率分布を有した一次元格子からな
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の格
    子照明顕微鏡。
  5. 【請求項5】 前記照明レンズに、前記照明光が前記透
    明板を透過するとともに前記光反射膜で反射されて前記
    標本台の前記上面に至る光路内において発生する収差を
    補正する収差補正機能が含まれていることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載の格子照明顕微鏡。
  6. 【請求項6】 前記透明板がガラス製平行平板からな
    り、前記収差補正機能は、前記照明光が前記ガラス製平
    行平板を透過するときに発生する球面収差を補正するこ
    とを特徴とする請求項5に記載の格子照明顕微鏡。
  7. 【請求項7】 前記照明光学系を格子模様の照明光を出
    射する第2の照明光学系に換えることができるように構
    成されており、 前記照明光学系を前記第2の照明光学系に換えることに
    より、前記第2の照明光学系からの前記格子模様の照明
    光が前記対物レンズにより集光されて前記標本台の前記
    上面に上方から前記格子模様の照明を行うことを特徴と
    する請求項1に記載の格子照明顕微鏡。
  8. 【請求項8】 前記第2の照明光学系が、前記格子部材
    と、前記格子部材を透過して出射される前記格子模様の
    照明光を受けて前記対物レンズと組み合わせることによ
    り前記格子模様を前記標本台に投影する第2の照明レン
    ズと、前記第2の照明レンズを透過した前記照明光を前
    記結像光学系の光路内に入れて前記対物レンズに向けて
    照射させる前記光路変更光学素子とを有して構成され、 前記格子部材および前記光路変更光学素子は前記照明光
    学系および前記第2の照明光学系において共用され、前
    記照明レンズを前記第2の照明レンズに換えて前記照明
    光学系を前記第2の照明光学系に換えるようになってい
    ることを特徴とする請求項7に記載の格子照明顕微鏡。
  9. 【請求項9】 前記照明レンズが基本照明レンズと焦点
    位置補償レンズとから構成され、前記第2の照明レンズ
    が前記基本照明レンズのみから構成されており、前記照
    明レンズから前記焦点位置補償レンズを取り外すことに
    より前記照明レンズを前記第2の照明レンズに換えるよ
    うに構成されていることを特徴とする請求項8に記載の
    格子照明顕微鏡。
  10. 【請求項10】 前記照明レンズを前記第2の照明レン
    ズに換えて前記照明光学系を前記第2の照明光学系に換
    えたときに、 前記第2の照明レンズに対する前記格子部材の位置が、
    前記対物レンズから前記標本台の前記上面に至る光路に
    沿った位置と共役な関係に設定されており、前記標本台
    の前記上面を上面側から直接照射する前記照射光により
    前記格子部材の前記格子模様の像を前記上面に結像させ
    るように構成されているいることを特徴とする請求項8
    もしくは9に記載の格子照明顕微鏡。
  11. 【請求項11】 前記照明光学系を前記第2の照明光学
    系に換えたときに、前記標本台として平板を用いること
    を特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の格子照
    明顕微鏡。
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