一般に微細な試料の3次元形状を非接触にて観察する際に、例えば共焦点レーザ走査型顕微鏡や顕微干渉計測法(干渉顕微鏡)などを使用することが知られている。
例えば、特許文献1には、共焦点レーザ走査型顕微鏡による試料の3次元形状(画像)の取り込み方法、3次元形状の観察方法について開示されている。この共焦点レーザ走査型顕微鏡は、レーザ光源から出射されたレーザ光を対物レンズによって試料表面に集光させる。次に共焦点レーザ走査型顕微鏡は、集光されたレーザ光を試料に対して平面方向に走査させ、試料から反射した反射レーザ光を受光する。また、共焦点レーザ走査型顕微鏡は、対物レンズと試料との相対距離を変えながら反射レーザ光を受光する。これにより共焦点レーザ走査型顕微鏡は、表面情報を有する高精度な観察画像(全焦点画像)を取得する。さらに、共焦点レーザ走査型顕微鏡は、反射レーザ光の受光強度が最大になったときの対物レンズと試料との相対距離情報(試料の高さ情報)と、上述した全焦点画像とを組み合わせる。これにより試料の表面情報と高さ情報を有する3次元形状画像を取得する。共焦点レーザ走査型顕微鏡は、この3次元形状画像から試料の形状を観察する。
一般的に共焦点レーザ走査型顕微鏡は、レーザ光源から出射される光にレーザ光を使用することで試料表面における集光性を増加させている。また共焦点レーザ走査型顕微鏡は、対物レンズによって集光されたレーザ光の集光位置に対する共役な位置にピンホールを配置し、ピンホールを通過した反射レーザ光のみを受光する。これにより共焦点レーザ走査型顕微鏡は、フレアが少なく、コントラストの高い高分解能な3次元形状画像を取得することができるという利点を有する。
しかし共焦点レーザ走査型顕微鏡の分解能は、対物レンズのNAに依存するため、一般にNAが小さい低倍率の対物レンズでは分解能が落ちる。したがって、より高精度な3次元形状画像を取得するためには、一般にNAが大きい高倍率の対物レンズを使用する必要がある。しかし高倍率の対物レンズでは一般に試料の観察視野が狭くなるという欠点が生じる。
このように共焦点レーザ走査型顕微鏡において、試料の表面情報及び高さ情報を有する試料の3次元形状画像を広範囲の領域に渡って高分解能に取得することは容易ではなく、また広範囲の領域の観察も容易ではない。
また、例えば特許文献2には、顕微干渉計測法による試料の3次元形状の取り込み方法と、3次元形状の観察方法について開示されている。顕微干渉計測法は、可干渉性が抑えられている低コヒーレントな照明光を例えばビームスプリッタ等によって分岐させる。顕微干渉計測法は、分岐した一方の光を対物レンズによって試料表面に集光させ、分岐した他方の光を参照ミラーなどに集光させる。次に顕微干渉計測法は、試料表面から反射した反射光と参照ミラーから反射した反射光を干渉させ、干渉像を取りこむ。顕微干渉計測法は、この干渉像を対物レンズと試料の相対距離を変えながら取り込み、この干渉像の強度分布から高精度な試料の高さ情報を有する観察画像を形成する。顕微干渉計測法は、この画像から試料の形状を観察する。
一般的に顕微干渉計測法は、NAの小さい低倍率の対物レンズでも、高精度な高さ情報を取得することができるという利点を有する。
しかし顕微干渉計測法によって取得される観察画像は、フレアがかかったコントラストの悪い画像になりやすく、また干渉縞によって平面方向における試料表面の状態がわかりにくくなる。また顕微干渉計測法における光源には、低コヒーレントな白色光を出射する例えば白色光源などが用いられる。対物レンズを出射した白色光の試料表面における集光性は、レーザ光の集光性に比べて高くはない。そのため顕微干渉計測法と共焦点レーザ走査型顕微鏡で取得される試料の表面情報を比較すると、顕微干渉計測法は観察画像の平面方向の分解能が劣るという欠点が生じる。つまり顕微干渉計測法は、ダイナミックフォーカス的な処理による全焦点画像を構築しても表面情報を高精度に取得することが出来ない。
したがって、試料の3次元形状を広範囲かつ高精度に観察する場合、低い倍率の対物レンズを用いて観察視野を広くさせた状態で、高精度な(高分解能でコントラストの高い)表面情報を有する全焦点画像を取得することができる共焦点レーザ走査型顕微鏡と、高精度な高さ情報を取得することができる顕微干渉計測法を併用する必要がある。そのために、共焦点レーザ走査型顕微鏡と顕微干渉計測法の両方が使用可能となる3次元形状観察装置が望まれている。
このように共焦点レーザ走査型顕微鏡の構成と顕微干渉計測法の構成を組み合わせた従来の3次元形状観察装置100の構成を図18に示す。
3次元形状観察装置100は、試料17を載置するステージ200と、試料17の上方に配置される干渉対物レンズ300と、ステージ200と干渉対物レンズ300を有する顕微鏡本体400と、駆動機構40と、制御部500と、から構成されている。
顕微鏡本体400は、干渉対物レンズ300の上方に、さらに共焦点レーザ走査型顕微鏡における光学系(第1の光学系)400aと、顕微干渉計測法(干渉顕微鏡)における光学系(第2の光学系)400bを搭載している。
共焦点レーザ走査型顕微鏡における光学系400aについて説明する。この光学系400aには、直線偏光の特性を有するレーザ光(第1の光)2を出射するレーザ光源(第1の光源)1と、レーザ光源1から出射されたレーザ光2を透過させ、また後述する試料17から反射したレーザ光2を反射する偏光ビームスプリッタ3と、回動することによって偏光ビームスプリッタ3を透過したレーザ光2を試料17の表面に対して2次元方向に走査する2次元走査機構4が順次配置されている。偏光ビームスプリッタ3は、レーザ光2が有する偏光特性に応じてレーザ光2を反射、または透過させる。2次元走査機構4は、例えば、レゾナントスキャナやガルバノスキャナなどであり、後述する対物レンズ31の瞳と共役な位置に配置されている。
また共焦点レーザ走査型顕微鏡の光学系400aには、2次元走査機構4によって走査されるレーザ光2の光路上に瞳投影レンズ5と、第1の結像レンズ6と、1/4波長板7と、第1のビームスプリッタ8が順次配置されている。1/4波長板7は、2次元走査機構4によって走査され、瞳投影レンズ5と、第1の結像レンズ6を透過したレーザ光2の偏光方向を1/4波長分だけ変換する。これによりレーザ光源1から出射されたレーザ光2は、円偏光に変換される。第1のビームスプリッタ8は、例えばダイクロイックプリズム、またはダイクロイックミラーであり、レーザ光2を反射し、また後述する試料17から反射した白色光13(干渉光)を透過させる。なお第1のビームスプリッタ8の反射透過率特性については後述する。
第1のビームスプリッタ8の反射光路上には、後述する顕微干渉計測法における光学系400bに設けられている第2のビームスプリッタ14と、干渉対物レンズ300と、試料17を載置しているステージ200が順次配置されている。第2のビームスプリッタ14は、第1のビームスプリッタ8によって反射されたレーザ光2や試料17から反射したレーザ光2を透過させ、後述する白色光13を一定の分岐比で分岐(反射、または透過)させる。第2のビームスプリッタ14の反射透過率特性については後述する。干渉対物レンズ300に設けられている対物レンズ31は、レーザ光2を試料17の表面上に結像(集光)させる。なお干渉対物レンズ300には、対物レンズ31の下方にハーフミラー32が設けられており、ハーフミラー32はレーザ光2を透過させる。なおハーフミラー32の反射透過特性については後述する。このように光学系400aは、レーザ光源1から出射されたレーザ光2を試料17に照射する。
またレーザ光2は、試料17から反射された後、上述した同じ光路を通り、偏光ビームスプリッタ3に戻る。その際、1/4波長板7は、試料17から反射されたレーザ光2の偏光方向を1/4波長分だけ変換する。これによりレーザ光2は、再び直線偏光に変換される。直線偏光に変換されたレーザ光2は、レーザ光源1から出射されたレーザ光2に対して直交する直線偏光の特性を有する。そのため偏光ビームスプリッタ3は、レーザ光2を反射する。
また共焦点レーザ走査型顕微鏡の光学系400aには、偏光ビームスプリッタ3によって反射されるレーザ光2の反射光路上に第2の結像レンズ9と、ピンホール10と、レーザ用受光素子(第1の受光部)11が順次配置されている。ピンホール10は、対物レンズ31の焦点位置と共役な位置に配置されており、対物レンズ31によって試料17の表面上に集光され、試料17の表面上にてピントのあったレーザ光2のみを通過させる。レーザ用受光素子11は、ピンホール10を透過したレーザ光2を受光し、受光したレーザ光2の光量(強度)に応じて変化する出力信号(第1の出力信号)を制御部500に出力する。制御部500は、出力信号から輝度情報(I)を形成する。なおレーザ用受光素子11は、ピンホール10によって試料17の表面上にてピントのあったレーザ光2のみを受光する。レーザ用受光素子11には、例えば光電子増倍管やフォトダイオードなどが用いられる。
このように光学系400aは、試料17から反射したレーザ光2(反射光)をレーザ用受光素子11に受光させ、受光したレーザ光2の強度に対応する第1の出力信号をレーザ用受光素子11から出力させる。
なお干渉対物レンズ300と試料17の光軸方向における距離(以下、相対距離)は駆動機構40によって一定のピッチだけ変わり、静止される。レーザ用受光素子11は、この相対距離における出力信号を制御部500に出力する。制御部500は、出力信号からこの相対距離における輝度情報(I)を形成する。このように輝度情報(I)は、相対距離が変化するたびに形成される。相対距離毎に形成された複数の輝度情報(I)が制御部500によって合成されると、フレアの少ない高分解能で高コントラストな試料17の表面の全焦点画像が形成される。
次に顕微干渉計測法における光学系400bについて説明する。この光学系400bには、可干渉性が抑えられた(低コヒーレントな)照明光である白色光(第2の光)13を出射する白色光源(第2の光源)12と、白色光源12から出射された白色光13を白色光13の波長域に応じて一定の分岐比で分岐する第2のビームスプリッタ14が順次配置されている。なお白色光源12は、例えば可視域から赤外域までの広い領域の光を出射するハロゲンランプなどである。第2のビームスプリッタ14は、分岐した白色光13の一部を干渉対物レンズ300に向けて反射させる。
干渉対物レンズ300において、対物レンズ31は、白色光13を試料17の表面に結像(集光)させる。その際、光分割部材であるハーフミラー32は、対物レンズ31を透過した白色光13を白色光13の波長域に応じて一定の分岐比にて分岐させる(試料17に向けて透過、または参照板(参照面)33に向けて反射させる)。ハーフミラー32の反射透過率特性については後述する。参照板33は、ハーフミラー32から反射した白色光13をハーフミラー32に向けて反射する。ハーフミラー32は、参照板33から反射した白色光13を対物レンズ31に向けて反射する。またハーフミラー32を透過した白色光13は、試料17によって反射される。ハーフミラー32は、試料17から反射したこの白色光13を対物レンズ31に向けて透過させる。これにより試料17の表面から反射した白色光13と参照板33から反射した白色光は、干渉する。このように光学系400bは、白色光源12から出射された白色光13を試料17と参照板33に照射する。
なお上述した第2のビームスプリッタ14は、この干渉光を一定の分岐比にて分岐(透過)する。また第1のビームスプリッタ8は、第2のビームスプリッタ14によって分岐された干渉光を透過させる。
また顕微干渉計測法の光学系400bには、第1のビームスプリッタ8を透過した干渉光を結像させる第3の結像レンズ15と、第3の結像レンズ15の焦点位置に配置され、試料17の干渉像(干渉しあう試料17の表面から反射した白色光13(第2の反射光)と参照板33から反射した白色光(第2の反射光))を撮像する撮像素子(第2の受光部)16が順次配置されている。第3の結像レンズ15と撮像素子16は、第1のビームスプリッタ8の上方(透過光路上)に配置されている。撮像素子16には、例えばCCDカメラやCMOSセンサなどが用いられる。撮像素子16によって撮像される干渉像には試料17の表面画像に干渉縞(干渉像情報)が重なっている。撮像素子16は、この干渉像情報を出力信号(第2の出力信号)として制御部500に出力する。このように光学系400bは、試料17と参照板33から反射されたそれぞれの第2の反射光を干渉させて撮像素子16に受光させ、受光した干渉した光を第2の出力信号として撮像素子16から出力させる。
なお上述したように相対距離は駆動機構40によって一定のピッチだけ変わり、静止される。干渉像は、相対距離が変化するたびに制御部500によって形成される。相対距離毎に形成された干渉像が制御部500に取り込まれ、取り込んだ複数の干渉像から干渉による輝度の変化が制御部500によって算出される。これにより試料17の表面の高さ情報(高さ画像)が制御部500によって形成される。上述したようにNAの小さい低倍率の対物レンズでも高分解能な高さが取得される。
次に干渉対物レンズ300の構成について説明する。干渉対物レンズ300は、上述したようにレーザ光2と、白色光13を試料17の表面に結像(集光)させる対物レンズ31と、レーザ光2を透過させ、白色光13を分岐させる(白色光13の一方を試料17に向けて透過させ、白色光13の他方を反射させる)ハーフミラー32と、ハーフミラー32から反射される白色光13によって照射される参照板33を有している。対物レンズ31と、ハーフミラー32と、参照板33は、干渉対物レンズ300の光軸上に配置されており、ミラウ型の干渉光学系を構成している。またハーフミラー32は、対物レンズ31と試料17の間に配置されている。参照板33は、ハーフミラー32を介して干渉対物レンズ300の物体側焦点位置と光学的に共役な位置(ハーフミラー32によって分岐された光路上)に配置されている。参照板33の表面(ハーフミラー32に対向する面)は、鏡面であるため、照射された白色光13をハーフミラー32に反射する。ハーフミラー32は、この白色光13を対物レンズ31に反射する。
干渉対物レンズ300における対物レンズ31は、共焦点レーザ走査型顕微鏡と顕微干渉計測法に対する共通の部材であるため、共焦点レーザ走査型顕微鏡における観察視野と顕微干渉計測法における観察視野を同一のものにしている。
なお図18ではミラウ型の干渉光学系を例としているが図19に示すようにマイケルソン型の干渉光学系でも基本構成、動作、作用は同様である。
図19に示すようにマイケルソン型の干渉対物レンズ300は、対物レンズ31と、レーザ光2を透過させ、白色光13の一方を透過させ、白色光13の他方を反射させる対物用ビームスプリッタ34と、対物用ビームスプリッタ34によって反射された白色光13によって照射される参照ミラー(参照面)35を有している。対物レンズ31と、対物用ビームスプリッタ34は、干渉対物レンズ300の光軸上に配置されている。参照ミラー35は、対物用ビームスプリッタ34の反射光路上に配置され、対物用ビームスプリッタ34を介して対物レンズ31の物体側焦点位置と光学的に共役な位置に配置されている。参照ミラー35の表面(対物用ビームスプリッタ34に対向する面)は、鏡面であるため、照射された白色光13を対物用ビームスプリッタ34に反射する。対物用ビームスプリッタ34は、この白色光13を対物レンズ31に反射する。対物用ビームスプリッタ34の反射透過率特性は、後述する。このように対物レンズ31と、対物用ビームスプリッタ34と、参照ミラー35は、マイケルソン型の干渉光学系を構成している。
次に第1のビームスプリッタ8の反射透過率特性(第1のビームスプリッタ8の反射率と透過率と、第1のビームスプリッタ8を反射、または透過する光(レーザ光2と、白色光13)の波長域の関係)について図20を参照して説明する。また第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34の反射透過率特性(第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34の反射率と透過率と、第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34を反射、または透過する光(レーザ光2と、白色光13)の波長域の関係)について図21を参照して説明する。図20、図21に示すように第1のビームスプリッタ8と、第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34は、光の波長域に応じて反射率及び透過率がそれぞれ異なる。このように第1のビームスプリッタ8は、所望する光の波長域に応じて光を反射、または透過させる。また第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34は、所望する光の波長域に応じて光を透過、または所望する比率にて分岐する。分岐した光は、透過、または反射される。つまり第1のビームスプリッタ8は、レーザ光2を略100%反射させ、白色光13を略100%透過させる分光特性を有する。また第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32と、対物用ビームスプリッタ34は、レーザ光2を略100%透過させ、白色光13を一定の分岐比にて透過及び反射させる分光特性を有する。
上述した制御部500は、駆動機構40を介して干渉対物レンズ300と接続している。この駆動機構40は、例えば干渉対物レンズ300を焦点方向(Z方向、光軸方向)に移動させ、試料17の表面に位置する焦点方向(Z方向)の位置決めを行う。このように駆動機構40は、干渉対物レンズ300、またはステージ200の少なくとも1つを光軸に沿って移動させて、光軸方向における干渉対物レンズ300と試料17の相対距離を変える。
3次元形状観察装置100が、共焦点レーザ走査型顕微鏡における光学系400aと、顕微干渉計測法における光学系400bから試料17の表面上の3次元形状画像を取得(3次元形状を観察)する場合、制御部500は駆動機構40によって相対距離を調整し、干渉対物レンズ300(相対距離の変化)を静止させる。この状態で3次元形状観察装置100において、レーザ光源1は、レーザ光2を出射し、レーザ用受光素子11は、試料17から反射したレーザ光2を受光し出力信号を制御部500に出力する。つぎに白色光源12は白色光13を出射し、撮像素子16は試料17と参照板33から反射した白色光13(干渉光)を撮像し出力信号を制御部500に出力する。次に駆動機構40は、例えば干渉対物レンズ300を移動させ、相対距離を一定のピッチだけ変えた後、3次元形状観察装置100は再び上述した動作を繰り返す。3次元形状観察装置100は、この動作を対物レンズ31によって試料17に集光されたレーザ光2と白色光13が、試料17の表面上の3次元形状に対して十分補足できる範囲だけ、相対距離を変化させながら繰り返す。
これにより3次元形状観察装置100は、広視野でNAの小さい低倍の対物レンズでも、共焦点レーザ走査型顕微鏡による平面方向に高分解能で高コントラストな試料17の全焦点画像と、顕微干渉計測法による高さ方向に高分解能な試料17の高さ画像を取得する。3次元形状観察装置100は、全焦点画像と高さ画像を合成することによって、広視野で、かつ3次元方向に高分解能で、高コントラストな、試料17の3次元形状画像を取得し、この3次元形状画像を参照して観察に使用する。
特開平09−068413号公報
特開2004−028647号公報
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る3次元形状観察装置100の構成図である。図2は、偏光ビームスプリッタ3の反射光路上に配置される部材の配置に対する変形例である。図3は、干渉対物レンズの変形例を示し、シャッタを有するマイケルソン型の干渉光学系を示している。前述した図18に示す3次元形状観察装置100と同一部には同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。また以下の説明において相対距離とは、干渉対物レンズ300と試料17の光軸方向における距離を意味する。
本実施形態における3次元形状観察装置100は、試料17を載置するステージ200と、試料17の上方に配置される干渉対物レンズ300と、ステージ200と干渉対物レンズ300を有する顕微鏡本体400と、3次元形状観察装置100が試料17の3次元形状を観察する際に3次元形状観察装置100を制御する制御部500と、試料17の3次元形状画像を表示する表示部600と、3次元形状観察装置100に試料17の3次元形状を観察させる指示を出力する指示部700と、相対距離を変える駆動機構40から構成されている。
顕微鏡本体400は、干渉対物レンズ300の上方に、さらに共焦点レーザ走査型顕微鏡における光学系400aと、顕微干渉計測法(干渉顕微鏡)における光学系400bを搭載する。この光学系400aと、光学系400bの構成は、図18に示した構成と略同一である。また本実施形態における第1のビームスプリッタ8の反射透過率特性は、図20に示す反射透過率特性と同様である。また第2のビームスプリッタ14、ハーフミラー32、対物用ビームスプリッタ34の反射透過率特性は、図21に示す反射透過率特性と同様である。
干渉対物レンズ300は、図18に示した構成と略同一であり、ミラウ型の干渉光学系である。なおこれに限定する必要はなく、図19に示すようにマイケルソン型の干渉光学系でも基本構成、動作、作用は同様である。
なお上述した相対距離の調整は、駆動機構40が干渉対物レンズ300またはステージ200の少なくとも1つを光軸方向に沿って移動させて行う。このように相対距離の調整は、特に限定されない。
また本実施形態において、図5Aに示すように対物レンズ配置部であるレボルバ45によって光学特性(例えばNA)の異なる複数の干渉対物レンズ300が保持されていても良い。この場合、本実施形態は、一方の干渉対物レンズ300のNA(以下、低いNAを有する干渉対物レンズ300と称する)を他方の干渉対物レンズ300のNA(以下、高いNAを有する干渉対物レンズ300と称する)よりも低く設定する。低いNAを有する干渉対物レンズ300(第1の対物レンズ)と高いNAを有する干渉対物レンズ300(第2の対物レンズ)は、異なる光学特性(観察視野)を有する。レボルバ45は、低いNAを有する干渉対物レンズ300と、高いNAを有する干渉対物レンズ300を保持し、いずれか1つを光軸上に配置する。これにより本実施形態は、観察視野の広さを調整でき、後述する表面光学像情報と干渉像情報を取り込む時間を調整することができる。なお光学特性は、観察視野の広さを調整できればNAに限定する必要はない。この場合、駆動機構40は、レボルバ45を光軸に沿って移動させ、光軸上に配置されている低いNAを有する干渉対物レンズ300と、高いNAを有する干渉対物レンズ300のいずれか1つと試料17との相対距離を変える。もちろんステージ200を光軸に沿って移動させてもよい。
制御部500には、制御本体部(例えばCPU)51と、制御本体部51と接続しているメモリ52と画像処理部53が設けられている。
制御本体部51は、レーザ光源1の照明強度と、2次元走査機構4の走査と、レーザ用受光素子11の感度調節と、白色光源12の照明強度と、撮像素子16の感度調節と、撮像素子16のシャッタ速度と、光軸上に配置する干渉対物レンズ300を切り替えるためレボルバ45を回転させる動作などを制御する。
また制御本体部51は、相対距離が変わった際にレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得し、この出力信号を輝度情報(I)として処理する。これにより制御本体部51は、試料17の表面上にてピントのあった部分だけの輝度情報(I)を取得する。制御本体部51は、この輝度情報(I)を演算し、演算結果から試料表面の光学的な特徴である表面情報を形成する。また制御本体部51は、相対距離が変わった際に撮像素子16から出力される出力信号を取得し、撮像素子16によって撮像された干渉像情報を算出する。また、制御本体部51は、後述する動作によって干渉像情報から撮像素子16により取得される試料17の高さ情報を形成する。この高さ情報は、試料17の高さを表す。
なお制御本体部51は、輝度情報(I)を演算することで試料17の高さ情報を算出する。この制御本体部51は、高さ情報をメモリ52に記憶させる。後述する画像処理部53は、この高さ情報から高さ画像を形成する。しかしながらこの輝度情報(I)から取得された高さ情報は、対物レンズのNAに依存するため、特に低倍率では撮像素子16により取得される高さ情報に比べて精度が低い。よって本実施形態は、後述する表面光学像情報と、撮像素子16により取得される高さ情報と、を使用して試料17の3次元形状を観察する。
メモリ52は、制御本体部51によって形成された表面情報を表面光学像情報として記憶する。またメモリ52は、制御本体部51によって形成された干渉像情報や高さ情報を記憶する。またメモリ52には、画像処理部53が試料17の3次元形状画像を形成する際に使用される設定パラメータや、上述した駆動機構40が相対距離を調整する際に、例えば干渉対物レンズ300が光軸に沿って移動するための移動量(一定のピッチ)が記憶されている。なお設定パラメータとは、例えば制御本体部51が出力信号を取得するための最適なピッチや、干渉対物レンズ300の移動速度である。3次元形状観察装置100が3次元形状画像を取得する際に、設定パラメータは制御本体部51に出力される。
ピッチは、光軸上に配置される干渉対物レンズ300の光学特性(例えばNA)によって予め設定されている。よってメモリ52には、干渉対物レンズ300の光学特性と、この光学特性に応じたピッチの組み合わせが記憶されている。例えば上述したように低いNAを有する干渉対物レンズ300に代わって高いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置されると、ピッチも変わる。制御本体部51は、駆動機構40に入力されたピッチだけ光軸上に配置されている干渉対物レンズ300を光軸に沿って移動させ、相対距離を調整させる。そして制御本体部51は、この相対距離におけるレーザ用受光素子11と撮像素子16から出力される出力信号を取得する。
画像処理部53は、メモリ52に記憶されている表面光学像情報を基にして試料17の全焦点画像を形成し、メモリ52に記憶されている高さ情報から高さ画像を形成する。そして画像処理部53は、全焦点画像(表面光学像情報)と高さ画像(高さ情報)を合成して、試料17の3次元形状を示す3次元形状画像を形成する。
表示部600は、画像処理部53によって形成された全焦点画像、高さ画像、または3次元形状画像を表示し、3次元形状観察装置100を使用する使用者が3次元形状観察装置100への動作指示をする制御画面を有している。表示部600は、例えば、液晶ディスプレイまたはCRTディスプレイである。
指示部700は、例えばマウス、キーボード、タッチパネルなどである。また指示部700は、制御本体部51に上述した相対距離の範囲を指示する。この範囲とは、後述する上限位置と下限位置である。
このような制御部500、表示部600、指示部700は、試料17の3次元形状を観察する専用のコントローラユニットやPCなどである。
次に3次元形状観察装置100が試料17の3次元形状を観察する際の動作方法について説明する。
まず本実施形態における共焦点レーザ走査型顕微鏡の動作方法について説明する。
レーザ光源1から出射されたレーザ光2は、偏光ビームスプリッタ3を透過し、2次元走査機構4によって反射され、試料17の表面に対して2次元方向に走査される。その際、走査されたレーザ光2は、瞳投影レンズ5を透過し、第1の結像レンズ6によって結像され、1/4波長板7を通過する。1/4波長板7を通過したレーザ光2は、第1のビームスプリッタ8によって反射される。反射されたレーザ光2は、第2のビームスプリッタ14を透過し、対物レンズ31によって試料17の表面上に結像される。なおレーザ光2は、ハーフミラー32を透過する。
なお直線偏光の特性を有するレーザ光2は、1/4波長板7を通過することで円偏光に変換される。変換されたレーザ光2は、対物レンズ31によって試料17に結像され、回折により点(スポット)状の光を生じる。点状の光は、2次元走査機構4によって試料17上を二次元走査される。この走査範囲は、2次元走査機構4で偏向されるレーザ光2の振れ幅による。
また図20、図21に示すように、レーザ光2は、第1のビームスプリッタ8によって略100%反射され、第2のビームスプリッタ14と、ハーフミラー32を略100%透過する。
試料17から反射されたレーザ光2(反射光)は、ハーフミラー32と、対物レンズ31と、第2のビームスプリッタ14を透過し、第1のビームスプリッタ8によって反射され、1/4波長板7を通過する。1/4波長板7を通過したレーザ光2は、第1の結像レンズ6によって結像され、瞳投影レンズ5を透過し、2次元走査機構4を介して偏光ビームスプリッタ3に入射する。
このようにレーザ光2は、試料17に入射した時と全く同じ経路を逆に通過して偏光ビームスプリッタ3に入射する。円偏光の特性を有するレーザ光2は、1/4波長板7を透過することで再び直線偏光に変換される。直線偏光に変換されたレーザ光2は、レーザ光源1から出射されたレーザ光2に対して直交する直線偏光の特性を有する。よって偏光ビームスプリッタ3に入射したレーザ光2は、偏光ビームスプリッタ3によって反射される。
偏光ビームスプリッタ3により反射されたレーザ光2は、第2の結像レンズ9へと導かれる。また2次元走査機構4は、対物レンズ31の瞳位置と共役な位置に配置されているため、2次元走査機構4が軸外を走査しても、レーザ光2は第2の結像レンズ9上では動かない。
レーザ光2は、第2の結像レンズ9によって点状に絞られ、ピンホール10を通過する。上述したようにピンホール10は、対物レンズ31を通過したレーザ光2の結像位置(対物レンズ31の焦点位置)と共役な位置に配置され、試料17の表面上にピントのあったレーザ光2のみを通過させる。これによりレーザ用受光素子11には、対物レンズ31によって試料17の表面に集光され、試料17の表面から反射され、ピンホール10を通過したレーザ光2のみが受光される。このようにレーザ光2は、対物レンズ31により試料17にて結像した場合のみ、ピンホール10によって遮光されることなく、レーザ用受光素子11にて受光される。レーザ用受光素子11は、受光したレーザ光2の光量に応じた出力信号を制御本体部51に出力する。
制御本体部51は、この出力信号を輝度情報(I)として処理し、輝度情報(I)を演算して表面情報を算出する。制御本体部51は、この表面情報を表面光学像情報としてメモリ52に記憶させる。
次に本実施形態における顕微干渉計測法の動作方法について説明する。
白色光源12から出射された白色光13は、第2のビームスプリッタ14によって図21に示すように一定の分岐比にて分岐される。分岐によって下方(干渉対物レンズ300側)に反射された白色光13は、対物レンズ31を透過する。透過した白色光13は、ハーフミラー32によって分岐される。分岐によってハーフミラー32を透過した一方の白色光13は、試料17を照射する。また分岐によって反射した他方の白色光13は、参照板33の表面を照射する。参照板33の表面は鏡面であるため、この白色光13は、参照板33によって反射される。
試料17から反射した白色光13は、ハーフミラー32と、対物レンズ31を透過する。また参照板33から反射した白色光13は、ハーフミラー32によって反射され、対物レンズ31を透過する。これにより試料17の表面から反射した白色光13と、参照板33から反射した白色光13は、干渉する。この干渉している白色光13(干渉光)は、第2のビームスプリッタ14と、第1のビームスプリッタ8を透過した後、第3の結像レンズ15によって撮像素子16の撮像面に結像される。この白色光13は、干渉像情報を有しており、撮像素子16は、干渉像情報(試料17の表面画像に干渉縞が重なっている)を有した画像を撮像する。
撮像素子16は、撮像した画像に含まれる干渉像情報を出力信号として制御本体部51に出力する。制御本体部51は、この干渉像情報をメモリ52に記憶させる。
次に本実施形態における制御部500の動作方法について説明する。
指示部700は、制御本体部51に試料17の表面における3次元形状画像の取得を指示する。制御本体部51は、レーザ用受光素子11からこの相対距離における出力信号を取得し、この出力信号から表面光学像情報を取得する。同様に制御本体部51は、撮像素子16からこの相対距離における出力信号を取得し、この出力信号から干渉像情報を取得する。取得された表面光学像情報と干渉像情報は、上述したようにメモリ52に記憶される。なお制御本体部51は、レーザ用受光素子11から出力される出力信号と撮像素子16から出力される出力信号を、後述するようにどちらかを先(例えば図9、図10参照)、または同時(例えば図12、図13A、図13B参照)に取得してもよい。
表示部600には、共焦点レーザ走査型顕微鏡によって取得される試料17の観察画像や顕微干渉計測法によって取得される試料17の観察画像が表示される。共焦点レーザ走査型顕微鏡によって取得される試料17の観察画像は、例えば全焦点画像を有する。また顕微干渉計測法によって取得される試料17の観察画像は、例えば干渉像情報を基に形成された干渉像情報画像や高さ画像を有する。表示されている2つの観察画像の少なくとも1つが参照されて、駆動機構40は相対距離を調整する。
しかし顕微干渉計測法によって取得される試料17の観察画像は、干渉縞によって見えにくいため、一般的に共焦点レーザ走査型顕微鏡によって取得される試料17の観察画像を使用して、相対距離を調整する。
したがって試料17の3次元形状画像を取得する前の観察では、表示部600は、顕微干渉計測法によって取得される試料17の観察画像を表示しなくてもよい。ただし共焦点レーザ走査型顕微鏡は、焦点深度が浅い観察画像しか取得できない。また試料17が段差構造を有して各試料表面の高さ位置がそれぞれ異なる場合、共焦点レーザ走査型顕微鏡は、試料17の表面の一部にのみピントが合った観察画像しか取得できない。そのため共焦点レーザ走査型顕微鏡は、この観察画像を参照しながら相対距離を調整することは容易ではない可能性が生じる。
そこで制御本体部51がミラウ型の干渉光学系を有する共焦点レーザ走査型顕微鏡によって相対距離を調整する場合、例えば図2に示すように第2の結像レンズ9とピンホール10との間には、ハーフミラー19が配置される。このハーフミラー19は、レーザ光2を一定の分岐比で分岐(反射、または透過)させる。またこのハーフミラー19の反射光路上には、ハーフミラー19によって反射されたレーザ光2を受光するレーザ用受光素子20が配置される。このレーザ用受光素子20は、受光したレーザ光2の光量に応じて変化する出力信号を制御本体部51に出力する。レーザ用受光素子20に受光されるレーザ光2はピンホール10によって絞られていないため、表示部600には焦点深度の深い観察画像が表示される。よってこの観察画像を参照することで相対距離を容易に調整しやすくなる。
このように制御本体部51は、共焦点レーザ走査型顕微鏡によって取得される試料17の観察画像から相対距離を調整する際、制御本体部51は、レーザ用受光素子20から出力される出力信号を基に観察画像を形成し、表示部600は、この観察画像を表示してもよい。また3次元形状画像を取得する際、制御本体部51は、レーザ用受光素子11から出力される出力信号を基に観察画像を形成し、表示部600は、この観察画像を表示してもよい。
また制御本体部51がマイケルソン型の干渉光学系を有する顕微干渉計測法によって相対距離を調整する場合、例えば図3に示すように対物用ビームスプリッタ34と参照ミラー35の間にシャッタ36が配置されればよい。制御本体部51は、シャッタ36を閉じることで、撮像素子16から出力される出力信号によって形成される観察画像において、干渉縞がのっていない観察画像を取得する。したがって制御本体部51は、シャッタ36を閉じた状態で撮像素子16から取得した観察画像を表示部600に表示させる。よってこの観察画像を参照することで相対距離を容易に調整しやすくなる。また制御本体部51は、試料17の3次元形状画像を取得する場合、シャッタ36を開けばよい。なおシャッタ36の開閉動作は、指示部700によって指示され、開閉動作は、制御本体部51によって制御されればよい。
次に本実施形態における3次元形状観察装置100が3次元形状画像を取得する際の相対距離の設定方法について説明する。
まず3次元形状観察装置100が3次元形状画像を取得する際の干渉対物レンズ300と試料17の相対距離の調整について説明する。
3次元形状画像を取得するために必要な倍率(観察視野)を有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置される。なお上述したようにレボルバ45に複数の干渉対物レンズ300が保持されている場合、制御本体部51は、レボルバ45を回転させて例えば低いNAを有する干渉対物レンズ300を光軸上に配置させる。次に制御本体部51は、干渉対物レンズ300を光軸に沿って一定のピッチだけ移動させ、相対距離を調整する。このピッチは、上述したようにメモリ52に記憶され、光軸上に配置される干渉対物レンズ300の光学特性によって設定されている。
なお制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する際、駆動機構40が相対距離を調整するために干渉対物レンズ300を移動させる最適なピッチは、上述したように干渉対物レンズ300の光学特性に依存するが、撮像素子16から出力される出力信号を取得する際、このピッチは干渉対物レンズ300の光学特性に依存せず同じでもよい。
制御本体部51が撮像素子16から出力される出力信号を取得する際の干渉対物レンズ300のピッチは、例えば略70nmである。また制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する際の干渉対物レンズ300のピッチは、倍率20倍を有する干渉対物レンズ300において例えば略1.28μmである。
このように光軸上に配置される干渉対物レンズの光学特性によってピッチが決まり、相対距離が調整される。
次に3次元形状画像を取得する際に相対距離の範囲の設定方法について説明する。相対距離の範囲の設定とは、例えば駆動機構40が相対距離を調整するために干渉対物レンズ300を光軸に沿って移動させる場合、干渉対物レンズ300が試料17に近接する下限位置から試料17から離れた上限位置までの範囲を指示部700が設定することである。なお駆動機構40が相対距離を調整するためにステージ200を移動させる場合、ステージ200が干渉対物レンズ300に近接する上限位置から干渉対物レンズ300から離れた下限位置までの範囲を指示部700が設定する。これにより相対距離の範囲の設定が完了する。
上述したように相対距離の設定が完了すると、3次元形状観察装置100は試料17の表面形状の3次元形状画像の取得を開始する。
制御本体部51がレーザ用受光素子11と撮像素子16から出力される出力信号を取得する際のタイミングを図4に示す。図4は、駆動機構40が干渉対物レンズ300を光軸に沿って移動させている場合を想定している。
図4において、右側に位置するグラフは、制御本体部51が試料17の3次元形状画像を取得するために要した取得時間(t)を横軸に示し、干渉対物レンズ300の光軸方向における位置(z)を縦軸に示している。図4において、左側に位置するグラフは、レーザ用受光素子11、撮像素子16から出力される出力信号の出力量(I)(レーザ用受光素子11、撮像素子16の受光量)を横軸に示し、干渉対物レンズ300の光軸方向における位置(z)を縦軸に示している。図4において、右側に位置するグラフの縦軸と左側に位置するグラフの縦軸は、同じである。図4に示す「○」は、制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する際のタイミングを示し、「+」は、制御本体部51が撮像素子16から出力される出力信号を取得する際のタイミングを示している。また図4の左側に位置するグラフは、レーザ用受光素子11における受光量の推移を実線にて示し、撮像素子16における受光量の推移を破線にて示している。
制御本体部51は、レーザ用受光素子11と撮像素子16から出力された出力信号を取得する際、駆動機構40は、図4に示すように干渉対物レンズ300を光軸方向に沿って一定速度で連続的に移動させる。これにより駆動機構40が相対距離を連続的に変える。その際、制御本体部51は、最適なタイミング(図4に示す「○」と「+」)で、レーザ用受光素子11と撮像素子16から出力された出力信号を取得する。上述したように制御本体部51が撮像素子16から出力される出力信号を取得するために干渉対物レンズ300が移動するピッチは、一般的に制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するために干渉対物レンズ300が移動するピッチより細かい。そのため図4に示すように制御本体部51は、レーザ用受光素子11から出力される出力信号よりも撮像素子16から出力される出力信号を多く取得する。また制御本体部51は、レーザ用受光素子11から出力される出力信号と、撮像素子16から出力される出力信号と、を異なるタイミングで取得する。
このように干渉対物レンズ300を光軸方向に沿って移動させ、相対距離を連続的に変えている際に、制御本体部51は、レーザ用受光素子11と撮像素子16から出力された出力信号を異なるタイミングと回数で取得する。
また図5Aに示すように例えば高いNAを有する干渉対物レンズ300に代わって低いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置されると、ピッチも変わる。したがって光軸上に配置される干渉対物レンズ300が切り換わると、メモリ52に記憶されている組み合わせから光軸上に配置された干渉対物レンズ300の光学特性に応じたピッチが制御本体部51に入力される。制御本体部51は、駆動機構40に入力されたピッチだけ干渉対物レンズ300を光軸に沿って連続的に移動させ、駆動機構40に相対距離を調整させる。そして制御本体部51は、この相対距離において光軸上に配置される干渉対物レンズの光学特性に基づいたタイミングにてレーザ用受光素子11と撮像素子16から出力される出力信号を取得する。
図5Bは、光学特性(例えばNA)が異なる2本の干渉対物レンズ300のどちらかが光軸上に配置された際に、制御本体部51がレーザ用受光素子11と撮像素子16から出力される出力信号を取得する際のタイミングを示している。
図5Bに示す「○」は、低いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置されている状態において、制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する際のタイミングを示している。図5Bに示す「●」は、高いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置されている状態において、制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する際のタイミングを示している。図5Bに示す「+」は、制御本体部51が撮像素子16から出力される出力信号を取得する際のタイミングを示している。図5Bに示す横軸、縦軸は図4と同様である。
上述したように制御本体部51が撮像素子16から出力される出力信号を取得する際、ピッチは、干渉対物レンズ300の光学特性に依存しないために、高いNAを有する干渉対物レンズ300、低いNAを有する干渉対物レンズ300のどちらが光軸上に配置されていても同一である。しかし制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する際(図5Bに示す「○」と「●」のタイミングにおいて)、図5Bに示すように高いNAを有する干渉対物レンズ300のピッチは、低いNAを有する干渉対物レンズ300のピッチよりも細かくなっている。
これは高いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置された場合、レーザ用受光素子11の受光量の推移が急峻になるためである。そのためレーザ用受光素子11から出力される出力信号をより細かいピッチで取得する必要があるためである。
そのため図5Bに示すように制御本体部51は、高いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置された際にレーザ用受光素子11から出力される出力信号と、低いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置された際に撮像素子16から出力される出力信号と、を異なるタイミングで取得する。
また図5Bに示すように制御本体部51は、低いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置された際にレーザ用受光素子11から出力される出力信号よりも、高いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置された際に撮像素子16から出力される出力信号を多く取得する。
図4、図5Bにおいてレーザ用受光素子11がレーザ光2を受光する際、例えば白色光13の波長域における第1のビームスプリッタ8の透過率が略100%に達していないと、レーザ用受光素子11が白色光13を受光する虞が生じる。これにより高精度に表面光学像情報が取得されない虞が生じる。また撮像素子16が白色光13を受光する際、例えばレーザ光2の波長域における第1のビームスプリッタ8の反射率が略100%に達していないと、撮像素子16がレーザ光2を受光する虞が生じる。これにより高精度に高さ情報が取得されない虞が生じる。
そのため制御本体部51は、一方の光学系における点灯した光源から出射された光を他方の光学系における受光部が受光することを防止するために、この光源の出力をOFF(消灯)にする。これにより他方の光学系における受光部には、他方の光学系における点灯した光源から出力された光のみが受光される。
例えば撮像素子16が第2の光である干渉光を撮像する際、レーザ光源1は消灯する。またレーザ用受光素子11が第1の光であるレーザ光2を受光する際、白色光源12は消灯し、レーザ光源1が点灯し、撮像素子16が第2の光を受光する際、白色光源12は点灯し、レーザ光源1は消灯する。
詳細には制御本体部51は、例えば白色光源12をOFF(消灯)にすることで、レーザ光源1を点灯させた際にレーザ用受光素子11にレーザ光2のみを受光させ、レーザ用受光素子11に白色光13を受光させることを防止する。また制御本体部51は、例えばレーザ光源1をOFF(消灯)にすることで、白色光源12を点灯させた際に撮像素子16に白色光13のみを受光させ、撮像素子16にレーザ光2を受光させることを防止する。
これによりレーザ用受光素子11はレーザ光2のみを受光し、制御本体部51は、高精度に表面光学像情報を取得できる。また撮像素子16は白色光13のみを受光し、制御本体部51は、高精度な高さ情報を取得できる。
なお白色光13は、レーザ光2と比較して集光性が悪いため、制御本体部51が白色光源12をOFFにしなくとも、ピンホール10によってほとんど遮光される。そのため制御本体部51は、レーザ用受光素子11にレーザ光2を受光させる際、必ずしも白色光源12をOFFする必要はない。しかし例えば図2に示すようにハーフミラー19とレーザ用受光素子20の間にピンホール10が配置されず、レーザ用受光素子20がレーザ光2を受光する場合、制御本体部51は、白色光源12をOFFにする必要がある。
レーザ用受光素子11と撮像素子16から出力された出力信号は、表面光学像情報、高さ情報としてメモリ52に記憶される。画像処理部53は、記憶された表面光学像情報を基にして全焦点画像を形成し、記憶された高さ情報から高さ画像を形成する。また画像処理部53は、形成した全焦点画像と高さ画像を合成して試料17の表面形状の3次元形状画像を形成する。
これら全焦点画像、高さ画像、3次元形状画像は、表示部600に表示される。なお全焦点画像、高さ画像のみが表示されても良い。これら画像が参照されて観察が行われる。その際、表示された3次元形状画像の表示倍率、アングルの調整、画像のノイズ除去や傾き補正といった画像処理、粗さ計測や線幅観察といった3次元観察などが行われる。
このように本実施形態の3次元形状観察装置100は、例えば干渉対物レンズ300を連続して光軸に沿って移動させ、相対距離を連続的に変え、レーザ用受光素子11と撮像素子16から出力される出力信号を各光学系に対して最適化したタイミングで取得する。これにより本実施形態は、全焦点画像と高さ画像を効率よく取得できる。よって本実施形態は、試料17の3次元形状画像をより短時間で取得することができる。
また本実施形態において、レーザ用受光素子11はレーザ光2のみを受光し、制御本体部51は、高精度に表面光学像情報を取得できる。また撮像素子16は白色光13のみを受光し、制御本体部51は、高精度な高さ情報を取得できる。よって本実施形態は、高精度な試料17の3次元形状画像を取得できる。
なお前述した第1の実施形態は、一方の光学系における点灯した光源から出射された光を他方の光学系における受光部が受光することを防止するために、この光源の出力をOFF(消灯)にしている。しかし一方の光学系における光源から出射された光を他方の光学系における受光部が受光することを防止する形態は、上述した形態に限定する必要はない。
第1の変形例として例えば図6に示すように、レーザ光源1と偏光ビームスプリッタ3の間にシャッタ(第1のシャッタ)22a、白色光源12と第2のビームスプリッタ14の間にシャッタ(第2のシャッタ)22bが配置されても良い。これらシャッタ22a,22bの開閉指示は、指示部700によって指示され、開閉動作は、制御本体部51によって制御される。閉じた状態のシャッタ22aはレーザ光2を遮光し、開いた状態のシャッタ22aはレーザ光2を通過させる。閉じた状態のシャッタ22bは白色光13を遮光し、開いた状態のシャッタ22bは白色光13を通過させる。このように制御本体部51は、例えば所望するタイミングでシャッタ22bを閉じることで、レーザ用受光素子11にレーザ光源1から出射されたレーザ光2のみを受光させ、レーザ用受光素子11に白色光13を受光させることを防止できる。また制御本体部51は、例えば所望するタイミングでシャッタ22aを閉じることで、撮像素子16に白色光源12から出射された白色光13のみを受光させ、撮像素子16にレーザ光2を受光させることを防止できる。
このように光学系400aは、レーザ光2を所望するタイミングで遮光するシャッタ22aを有している。また光学系400bは、白色光13を所望するタイミングで遮光するシャッタ22bを有している。
なおシャッタ22aの配置位置は、上述した位置に限定する必要はなく、レーザ光源1と第1のビームスプリッタ8の間で、レーザ光2を遮光、通過できる位置に配置されていれば良い。
なお白色光13は、レーザ光2と比較して集光性が悪いため、シャッタ22aが配置されなくとも、ピンホール10によってほとんど遮光される。そのため制御本体部51がレーザ用受光素子11にレーザ光2を受光させる際、必ずしもシャッタ22aは配置される必要はない。しかし例えば図2に示すようにハーフミラー19とレーザ用受光素子20の間にピンホール10が配置されない状態でレーザ用受光素子20がレーザ光を受光する場合、シャッタ22aはハーフミラー19とレーザ用受光素子20の間、または試料17から反射したレーザ光2の反射光路上である第1のビームスプリッタ8からハーフミラー19の間に配置される必要がある。
このように本変形例の3次元形状観察装置100は、3次元形状画像を取得する際に、シャッタ22a,22bによってレーザ光源1および白色光源12を多様に制御しない。また本変形例の3次元形状観察装置100は、レーザ用受光素子11にレーザ光2を受光させる、または撮像素子16に白色光13を受光させる際に、レーザ光源1および白色光源12の出力が不安定になることを防止できる。また本変形例の3次元形状観察装置100は、レーザ用受光素子11にレーザ光2を受光させるためにレーザ光源1の出力の安定化、撮像素子16に白色光13を受光させるために白色光源12の出力の安定化させる時間を省略することができるために、より短時間で3次元形状画像を取得することが可能となる。
また前述した第1の変形例ではシャッタ22a,22bが配置されが、これに限定される必要はなく、第2の変形例として例えば光学フィルタ(第1の光学フィルタ)23aと光学フィルタ(第2の光学フィルタ)23bが配置されても良い。図7に示すように光学フィルタ23aは例えば第2の結像レンズ9とピンホール10の間に配置され、光学フィルタ23bは第3の結像レンズ15と撮像素子16の間に配置されている。なお光学フィルタ23aは、試料17から反射したレーザ光2の反射光路上である第1のビームスプリッタ8からレーザ用受光素子11の間に配置されても良く、また光学フィルタ23bは、第1のビームスプリッタ8から撮像素子16の間に配置されても良い。
この光学フィルタ23aの反射透過率特性を図8に示す。図8に示すように光学フィルタ23aは、レーザ光2の波長域に対しては高い透過率(低い反射率)を有し、逆に白色光13の波長域に対しては低い透過率(高い反射率)を有している。このように光学フィルタ23aは、レーザ光2を透過させ、白色光13を反射する。また光学フィルタ23bは図20に示す反射透過率特性を有する。図20に示すように光学フィルタ23bは、白色光13の波長域に対しては高い透過率(低い反射率)を有し、逆にレーザ光2の波長域に対しては低い透過率(高い反射率)を有している。このように光学フィルタ23bは、白色光13を透過させ、レーザ光2を反射する。
なお白色光13は、レーザ光2と比較して集光性が悪いため、光学フィルタ23aが配置されなくとも、ピンホール10によってほとんど遮光される。そのため制御本体部51がレーザ用受光素子11にレーザ光2を受光させる際、必ずしも光学フィルタ23aは配置される必要はない。しかし例えば図2に示すようにハーフミラー19とレーザ用受光素子20の間にピンホール10が配置されない状態でレーザ用受光素子20がレーザ光を受光する場合、光学フィルタ23aはハーフミラー19とレーザ用受光素子20の間、または試料17から反射したレーザ光2の反射光路上である第1のビームスプリッタ8からハーフミラー19の間に配置される必要がある。
このように光学系400aは、レーザ光2を透過させ白色光13を反射させる光学フィルタ23aを有している。また光学系400bは、レーザ光2を反射させ白色光13を透過させる光学フィルタ23bを有している。
このように本変形例の3次元形状観察装置100は、3次元形状画像を取得する際に、光学フィルタ23a,23bによってレーザ光源1および白色光源12を多様に制御しない。本変形例の3次元形状観察装置100は、レーザ用受光素子11にレーザ光2を受光させる、または撮像素子16に白色光13を受光させる際に、レーザ光源1および白色光源12の出力が不安定になることを防止できる。また本変形例の3次元形状観察装置100は、レーザ用受光素子11にレーザ光2を受光させるためにレーザ光源1の出力の安定化、撮像素子16に白色光13を受光させるために白色光源12の出力の安定化させる時間を省略することができるために、より短時間で3次元形状画像を取得することが可能となる。また本変形例は、第1の変形例にようにシャッタ22a,22bを制御する必要がないためにより短時間で3次元形状画像を取得することが可能となる。
前述した第1の実施形態、第1乃至第2の変形例において、図4に示すように干渉対物レンズ300が光軸方向に沿って移動し、相対距離を連続的に変化させている際に、制御本体部51は、レーザ用受光素子11と撮像素子16から出力された出力信号を取得する。しかしこれに限定する必要はなく、以下に説明する第3の変形例を用いても良い。この第3の変形例は、図9、図10に示すように例えば撮像素子16から出力される出力信号を所望する回数取得した後、レーザ用受光素子11から出力される出力信号を所望する回数取得する。この順番は、逆でも良い。
図9は、干渉対物レンズ300を光軸に沿って移動させた際に制御本体部51は撮像素子16から出力される出力信号を取得し、干渉対物レンズ300を原点位置に戻し再び干渉対物レンズ300を光軸に沿って移動させた際に制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する際のタイミングを示す。また図10は、干渉対物レンズ300が光軸に沿って往復移動した際に、往路において制御本体部51が撮像素子16から出力される出力信号を取得し、復路において制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する際のタイミングを示す。図9、図10に示す横軸、縦軸、「○」、「+」、実線、破線は図4と同様である。
図9に示すように駆動機構40は、干渉対物レンズ300を光軸に沿って連続的に往復移動させて相対距離を変える際に、制御本体部51は往路において撮像素子16から出力される出力信号を所望する回数取得する。取得が完了すると、駆動機構40は、干渉対物レンズ300を光軸に沿って原点位置(例えば下限位置)にまで戻す。つぎに駆動機構40は、干渉対物レンズ300を光軸に沿って再び連続的に移動させる際に、制御本体部51は往路においてレーザ用受光素子11から出力される出力信号を所望する回数取得する。
また図10に示すように駆動機構40は、干渉対物レンズ300を光軸に沿って連続的往復移動させて相対距離を変える際に、制御本体部51は往路において撮像素子16から出力される出力信号を所望する回数取得する。取得が完了すると、制御本体部51は、復路において(干渉対物レンズ300を光軸に沿って連続的に逆移動させて)、レーザ用受光素子11から出力される出力信号を所望する回数取得する。
本変形例の3次元形状観察装置100は、第1の実施形態と同様に試料17の3次元形状画像が短時間で取得できる。
また例えば、図9、図10に示すように制御本体部51は例えばレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得している際に、撮像素子16から出力される出力信号を基に画像処理部53に高さ画像を形成させることができる。よって本変形例の3次元形状観察装置100は、より短時間で3次元形状画像を取得することが可能となる。
また図10に示す3次元形状観察装置100は、干渉対物レンズ300が上述した相対距離を往復移動する際にレーザ用受光素子11と撮像素子16から出力される出力信号を取得するためにより短時間で3次元形状画像を取得することが可能となる。
本変形例は、上述した第1の実施形態、第1の変形例、第2の変形例に組み込むことができるため、これらに本変形例の効果を組み込むことができる。
次に図11、図12、図13A、図13Bを参照して本発明に係る第2の実施形態について説明する。
前述した第1の実施形態と同様の箇所には同じ参照符号を付し、詳細な説明は省略する。 本実施形態の制御部500以外の構成は、前述した第1の実施形態の第2の変形例(図7参照)と同様であるため、詳細な説明を省略する。本実施形態の制御部500は、第1の制御本体部61、第2の制御本体部63、第3の制御本体部65、第1の画像処理部62、第2の画像処理部64、第3の画像処理部66を有する。第1の制御本体部61、第2の制御本体部63、第3の制御本体部65は、指示部700によって操作される。
第1の制御本体部61は、レーザ光源1の照明強度と、レーザ用受光素子11の感度を制御し、レーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得し、表面光学像情報を形成する。第1の画像処理部62は、この表面光学像情報から全焦点画像を形成する。
第2の制御本体部63は、白色光源12の照明強度と、撮像素子16の感度を制御し、撮像素子16から出力される出力信号を取得し、高さ情報を形成する。第2の画像処理部64は、この高さ情報から高さ画像を形成する。
第3の制御本体部65は、2次元走査機構4の走査と、光軸上に配置する干渉対物レンズ300の切り替えるためにレボルバ45を回転させる動作などを制御する。また第3の制御本体部65は、駆動機構40と接続している。
第3の画像処理部66は、第1の画像処理部62によって形成された全焦点画像と、第2の画像処理部64によって形成された高さ画像とを表示部600に表示させる。また第3の画像処理部66は、この全焦点画像とこの高さ画像を合成して試料17の3次元形状画像を形成し、表示部600に表示させる。また第3の画像処理部66は、全焦点画像、高さ画像、3次元形状画像から表示倍率やアングルの調整、画像データのノイズ除去や傾き補正といった画像処理、さらには粗さ計測や線幅観察といった3次元観察などを行う。
またメモリ52は、第1の制御本体部61、第2の制御本体部63、第3の制御本体部65と接続している。このメモリ52には、第1の実施形態と同様に第1の画像処理部62と、第2の画像処理部64と、第3の画像処理部66が試料17の観察画像を形成する際に使用する設定パラメータや、上述した相対距離が調整される際に、例えば干渉対物レンズ300が光軸に沿って移動するための移動量(一定のピッチ)が記憶されている。またメモリ52は、第1の実施形態と同様に第1の制御本体部61によって算出された表面情報を表面光学像情報として記憶し、第2の制御本体部63によって算出された干渉像情報や高さ情報を記憶してもよい。
このように制御部500は、レーザ用受光素子11から出力される出力信号を第1の制御本体部61に処理させ、撮像素子16から出力される出力信号を第2の制御本体部63に処理させる。これにより制御部500は、取得した出力信号を同時(並列)に素早く処理する。
図12に本実施形態における制御部500がレーザ用受光素子11と撮像素子16から出力される出力信号を取得する際のタイミングを示す。図12に示す横軸、縦軸は図4と同様である。図12は、第3の制御本体部65が駆動機構40に干渉対物レンズ300を光軸に沿って移動させた場合を想定している。
図12に示す「◇」は、第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するタイミングと、第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得するタイミングが同時であることを示している。また図12に示す「+」は、第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得する際のタイミングを示している。また図12の左側に位置するグラフは、レーザ用受光素子11と撮像素子16における受光量の和の推移を実線にて示し、撮像素子16における受光量の推移を破線にて示している。
駆動機構40は、図12に示すように干渉対物レンズ300を光軸方向に沿って一定速度で連続的に移動させる。その際、第1の制御本体部61は、最適なタイミングで(図12に示す「◇」)、レーザ用受光素子11から出力された出力信号を取得する。同様に第2の制御本体部63は、最適なタイミング(図12に示す「◇」と「+」、)で、撮像素子16から出力された出力信号を取得する。上述したように第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得するために干渉対物レンズ300が移動するピッチは、一般的に第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するために干渉対物レンズ300が移動するピッチより細かい。そのため図12に示すように第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得する回数は、第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する回数よりも多くなっている。
このように制御部500は第1の制御本体部61と第2の制御本体部63を設けているため、干渉対物レンズ300が光軸方向に沿って移動し、相対距離を連続的に変化させている際に、第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するタイミングと、第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得するタイミングを同時にすることができる。
また上述したように例えば低いNAを有する干渉対物レンズ300に代わって高いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置されると、ピッチも変わる。したがって光軸上に配置される干渉対物レンズ300が切り換わると、メモリ52に記憶されている組み合わせから光軸上に配置された干渉対物レンズ300の光学特性に応じたピッチが第1の制御本体部61、第2の制御本体部63、第3の制御本体部65に入力される。第3の制御本体部65は、駆動機構40に、入力されたピッチだけ干渉対物レンズ300を光軸に沿って移動させ、相対距離を調整させる。第1の制御本体部61は、この相対距離におけるレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する。また第2の制御本体部63は、この相対距離における撮像素子16から出力される出力信号を取得する。
また図13A、図13Bは、光学特性(例えばNA)が異なる2本の干渉対物レンズ300のどちらか一方が光軸上に配置された際に、制御部500がレーザ用受光素子11と撮像素子16から出力される出力信号を取得する際のタイミングを示す。図13Aは低いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置され、図13Bは高いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置されていることを示す。図13A、図13Bに示す横軸、縦軸、「◇」、「+」、実線、破線は、図12と同様である。なお図13Bにおいて、右側に位置するグラフに示される低いNAを有する干渉対物レンズ300における取得時間と相対距離の関係は、図13Aにおいて右側に位置するグラフに示される低いNAを有する干渉対物レンズ300における取得時間と相対距離の関係と同一である。
図13Aと図13Bを比較すると、第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得する際(図13A、図13Bに示す「+」のタイミング)、ピッチは干渉対物レンズ300の光学特性に依存しないために、高いNAを有する干渉対物レンズ300、低いNAを有する干渉対物レンズ300のどちらが光軸上に配置されていても同一である。しかし第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するタイミングと、第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得するタイミングが同時である(図13A、図13Bに示す「◇」のタイミング)場合、図13Bに示すように高いNAを有する干渉対物レンズ300のピッチは、低いNAを有する干渉対物レンズ300のピッチよりも細かくなっている。
これは高いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置された場合、レーザ用受光素子11の受光量の推移が急峻になるためである。そのためレーザ用受光素子11から出力される出力信号をより細かいピッチで取得する必要があるためである。
そのため高いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置された場合の「◇」のタイミングと、低いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置された場合の「◇」のタイミングは、異なる。また高いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置された場合の「◇」のタイミングの回数は、低いNAを有する干渉対物レンズ300が光軸上に配置された場合の「◇」のタイミングの回数よりも多い。
また図11に示す構成であれば、同時だけではなく、第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するタイミングと、第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得するタイミングを近接させることも可能である。この場合、取得するタイミングは異なっても、第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11を制御する時間と第2の制御本体部63が撮像素子16を制御する時間が重複する虞が生じる。また第1の制御本体部61が出力信号を処理する時間と第2の制御本体部63が出力信号を処理する時間とが重複する虞が生じる。しかしながら本実施形態の構成は、出力信号を処理する制御部を第1の制御本体部61と第2の制御本体部63とに分けており、それぞれ出力信号を独立して処理させている。また本実施形態の構成は、画像を形成する画像処理部を第1の画像処理部62と第2の画像処理部64とに分けており、それぞれ独立して画像を形成させている。
よって制御部500は、レーザ用受光素子11から出力される出力信号を第1の制御本体部61に処理させ、撮像素子16から出力される出力信号を第2の制御本体部63に処理させる。これにより制御部500は、取得した出力信号を同時(並列)に素早く処理する。
また本実施形態は、第1の実施形態の第2の変形例と同様に光学フィルタ23aと光学フィルタ23bを配置している。光学フィルタ23aは、レーザ用受光素子11にレーザ光源1から出射されたレーザ光2のみを受光させ、白色光13を反射させレーザ用受光素子11に白色光13を受光させることを防止する。また光学フィルタ23bは、撮像素子16に白色光源12から出射された白色光13のみを受光させ、レーザ光2を反射させ撮像素子16にレーザ光2を受光させることを防止する。
このように本実施形態の3次元形状観察装置100は、干渉対物レンズ300を連続で光軸に沿って移動させ、第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するタイミングと、第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得するタイミングを同時にすることができ、レーザ用受光素子11と撮像素子16から出力される出力信号を各光学系に対して最適化したタイミングで取得する。これにより本実施形態は、試料17の3次元形状画像をより短時間で取得することができる。
また本実施形態の3次元形状観察装置100は、レーザ用受光素子11と撮像素子16に対する制御部と画像処理部を分けて独立させているために、例えば画像形成などの処理を並列させることができる。これにより本実施形態における3次元形状観察装置100は、試料17の3次元形状画像をより短時間で取得することができる。
また本実施形態の3次元形状観察装置100は、第1の実施形態における第2の変形例と同様の効果を得ることができる。
なお前述した第1、または第2の実施形態において、出力信号を取得するタイミングは上述したタイミングに限定する必要はない。以下に説明する第4の変形例のように例えば図14A、図14Bに示すタイミングにて出力信号を取得してもよい。
図14Aに示すように制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力される出力信号のみを取得する際に、駆動機構40は干渉対物レンズ300を少なくとも1回静止させる。また制御本体部51が撮像素子16から出力される出力信号のみを取得する際に、駆動機構40は干渉対物レンズ300例えば等速で移動させ、相対距離を連続的に変える。
なお駆動機構40は、制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力される出力信号のみを取得する際に、干渉対物レンズ300に限定する必要はなく、干渉対物レンズ300とステージ200の少なくとも一方を1回静止すればよい。またその際、駆動機構40は、干渉対物レンズ300に限定する必要はなく、干渉対物レンズ300とステージ200の少なくとも一方を移動させ、相対距離を連続的に変えればよい。
また図14Bに示すように、第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される第1の出力信号を取得するタイミングと、第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される第2の出力信号を取得するタイミングと、が同時の(「◇」のタイミング)場合、駆動機構40は、干渉対物レンズ300を少なくとも1回静止させる。また第2の制御本体部63が、撮像素子16から出力される第2の出力信号のみを取得する(「+」のタイミング)場合、駆動機構40は干渉対物レンズ300を例えば等速で移動させ、相対距離を連続的に変える。
なお「◇」のタイミングの場合、駆動機構40は、相対距離を連続的に変える際、干渉対物レンズ300に限定する必要はなく、干渉対物レンズ300とステージ200の少なくとも一方を1回静止すればよい。またまた第2の制御本体部63が、撮像素子16から出力される第2の出力信号のみを取得する際、駆動機構40は、干渉対物レンズ300に限定する必要はなく、干渉対物レンズ300とステージ200の少なくとも一方を例えば等速で移動させ、相対距離を連続的に変えればよい。
例えばレーザ用受光素子11がレーザ光2を受光する場合、3次元形状観察装置100は、相対距離の変化を静止させ、2次元走査機構4によってレーザ光2を試料17表面に対して走査する必要がある。しかしながら撮像素子16が白色光13を受光する際、この動作は不要である。走査のために相対距離の変化が静止されているために、顕微干渉計測法は、干渉像の取得に時間がかかる。また干渉対物レンズ300が連続して移動(相対距離が連続的に変化)しながらレーザ用受光素子11がレーザ光2を受光すると、3次元形状観察装置100の光学系400aは、特定の観察条件のもとでは3次元形状画像を取り込みたい観察視野内で正確な全焦点画像を得られない虞が生じる。このような観察条件とは、例えば干渉対物レンズ300の焦点深度や、2次元走査機構4の駆動(走査)周期、観察視野範囲、または試料17表面の凹凸などである。
また3次元形状観察装置100が、光学系400aによって試料17の高さ画像も取得する場合、相対距離を連続的に変化させながらレーザ用受光素子11にレーザ光2を受光させると、正確な高さ画像を容易に取得することができない。
そこで3次元形状観察装置100が光学系400aによって高精度な試料17の全焦点画像と高さ画像を取得するために、本変形例は、レーザ用受光素子11がレーザ光2を受光する際に、駆動機構40にて例えば干渉対物レンズ300を静止させ、相対距離の変化を静止させる。
例えば図4において、本変形例は、制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する場合のみ、駆動機構40に例えば干渉対物レンズ300を静止させ、相対距離の変化を静止させる。これにより制御本体部51は、上述した図14Aに示すように相対距離の変化が静止した際に、レーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する。
また例えば図12において、本変形例は、第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する(図12に示す「◇」のタイミング)場合のみ、駆動機構40に例えば干渉対物レンズ300を静止させ、相対距離の変化を静止させる。これにより第1の制御本体部61、第2の制御本体部63は、図14Bに示すように相対距離の変化が静止した際に、レーザ用受光素子11と撮像素子16から出力される出力信号を同時に取得する。
図14Bに示すように第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するタイミングと第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得するタイミングは同時である。よって本変形例は、撮像素子16から出力される出力信号を取得するタイミングにおいても干渉対物レンズ300を静止させることになる。
このように第2の実施形態において本変形例は、レーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するタイミングに限定する必要はなく、撮像素子16から出力される出力信号を取得するタイミングにおいて、干渉対物レンズ300を静止させ、相対距離の変化を静止させても構わない。
なお図14A、図14Bに示すように3次元形状観察装置100が干渉対物レンズ300を光軸に沿って移動させている移動状態から干渉対物レンズ300を静止させる静止状態、または静止状態から移動状態に干渉対物レンズ300を変化させる際、干渉対物レンズ300の速度変化は不連続である。この状態を部分的に拡大した図を図15(A)に示す。このように速度変化が不連続である場合、例えば干渉対物レンズ300が急に静止すると、干渉対物レンズ300が振動する可能性が生じる。そのため3次元形状観察装置100は、例えば干渉対物レンズ300を移動させて相対距離を変化させる際に、振動が治まるまで待たなければならず、観察に対して時間を要してしまう虞が生じる。
そのため本変形例において駆動機構40は、干渉対物レンズ300の移動速度を連続的に変化させる。つまり駆動機構40は、移動している干渉対物レンズ300を徐々に静止させ、また静止している干渉対物レンズ300を徐々に移動させる。これにより本変形例は、図15(B)に示すように干渉対物レンズ300の速度変化を連続的にすることもできる。よって本変形例は、干渉対物レンズ300の連続的な速度変化を制御することで、干渉対物レンズ300を静止、または移動させた際に生じる振動を抑えることができる。
このように本変形例における3次元形状観察装置100は、光学系400aによって試料17の全焦点画像や高さ画像を高精度に取得することができるため、より高精度、短時間に試料17の3次元形状画像を取得することができる。
また前述した第1の実施形態、第1の変形例、第2の変形例、第2の実施形態は、例えば干渉対物レンズ300を一定の等速度で連続して移動させ、相対距離を一定の割合で変化させている。しかしながらこの場合、駆動機構40が相対距離を変化させるために干渉対物レンズ300を移動させる速度は、例えば制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力された出力信号を取得する条件に合わせる必要がある。そのため例えば制御本体部51が撮像素子16から出力される出力信号を取得する際、速度が遅い状態である。
しかしながら本変形例は、例えば制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力された出力信号を取得する際、干渉対物レンズ300を静止させるため、この速度を制御本体部51が撮像素子16から出力される出力信号を取得する条件に合わせて最適化できる。よって本変形例は、第1の実施形態、第1の変形例、第2の変形例、第2の実施形態と比較して、より短時間で3次元形状画像を取得することができる。
また前述した第1、または第2の実施形態において、出力信号を取得するタイミングは上述したタイミングに限定する必要はない。以下に説明する第5の変形例のように例えば図16A、図16Bに示すタイミングにて出力信号を取得してもよい。本変形例において3次元形状観察装置100は、例えば干渉対物レンズ300を連続して光軸に沿って移動させている際に、図16A、図16Bに示すように一時的に干渉対物レンズ300の移動速度を変化させ、相対距離の変化を可変させる。本変形例は、相対距離の変化を可変させている際に、レーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する。
上述した第4の変形例は、レーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する際に、上述した観察条件によって干渉対物レンズ300を静止させ、相対距離の変化を静止させている。しかしこれら観察条件によっては、相対距離の変化を静止させる必要がない場合も生じる。ただし相対距離の変化させるための干渉対物レンズ300の移動速度が、例えば制御本体部51が撮像素子16から出力される出力信号を取得するために最適な速度まで上昇すると、3次元形状観察装置100は光学系400aによって試料17の全焦点画像、必要によっては高さ画像を高精度に取得することができない虞が生じる。
そのため本変形例において、制御本体部51、または第1の制御本体部61と第2の制御本体部63がレーザ用受光素子11と撮像素子16から出力される出力信号を取得する際に、駆動機構40は例えば干渉対物レンズ300の移動速度を制御する。この移動速度は、制御本体部51、または第1の制御本体部61、第2の制御本体部63がレーザ用受光素子11と撮像素子16から出力される出力信号を取得するための最適な速度となる。
例えば第1の実施形態の図4において、制御本体部51がレーザ用受光素子11と撮像素子16から出力される出力信号を取得する場合、本変形例において駆動機構40は干渉対物レンズ300の移動速度を可変させている。つまり図16Aに示すように駆動機構40は、相対距離を変える際に、干渉対物レンズ300を光軸に沿って移動させる際の移動速度を、制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得する場合と、制御本体部51が撮像素子16から出力される出力信号を取得する場合で変えている。
なお駆動機構40は、相対距離を変える際に、干渉対物レンズ300の移動速度のみを変えることに限定する必要はなく、干渉対物レンズ300とステージ200の少なくとも一方の移動速度を、それぞれの場合で変えればよい。
また例えば第2の実施形態の図12に示すように、第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するタイミングと第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得するタイミングが同時である場合と、第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得する場合において、本変形例の駆動機構40は、干渉対物レンズ300の移動速度を可変させている。つまり図16Bに示すように駆動機構40は、相対距離を変える際に、干渉対物レンズ300を光軸に沿って移動させる際の移動速度を、第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するタイミングと、第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得するタイミングと、が同時の場合と、第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号のみを取得する場合と、で変えている。
なお駆動機構40は、相対距離を変える際に、干渉対物レンズ300の移動速度のみを変えることに限定する必要はなく、干渉対物レンズ300とステージ200の少なくとも一方の移動速度を、それぞれの場合で変えればよい。
このように本変形例において、「◇」のタイミングにおける干渉対物レンズ300の移動速度と、「+」のタイミングにおける干渉対物レンズ300の移動速度は、それぞれ異なる。
また図16Bに示すように第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するタイミングと第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得するタイミングは同時である。そのため第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得するタイミングであっても第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するタイミングである場合、干渉対物レンズ300の移動速度は、第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するための最適な速度に可変される。つまり「◇」のタイミングの場合、干渉対物レンズ300の移動速度は、第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するための最適な速度に可変される。
この場合、2次元走査機構4によってレーザ光2を試料17表面に対して走査する必要があるため、レーザ用受光素子11から出力された出力信号を取得するための最適な干渉対物レンズ300の移動速度は、撮像素子16から出力された出力信号を取得するための最適な干渉対物レンズ300の移動速度より一般的に遅くなってしまう。
よって本変形例は、「+」のタイミングにおける干渉対物レンズ300の移動速度を「◇」のタイミングにおける干渉対物レンズ300の移動速度と同一にしても良い。これにより本変形例は、高精度な試料17の高さ画像を取得することができる。
なお図16A、図16Bに示すように3次元形状観察装置100が干渉対物レンズ300を光軸に沿って移動させている移動状態から干渉対物レンズ300を減速させる減速状態、または減速状態から移動状態に干渉対物レンズ300を変化させる際、干渉対物レンズ300の速度変化は不連続である。この状態を部分的に拡大した図を図17(A)に示す。このように速度変化が不連続である場合、例えば干渉対物レンズ300が急に減速すると、干渉対物レンズ300が振動する可能性が生じる。そのため3次元形状観察装置100は、例えば干渉対物レンズ300を移動させて相対距離を変化させる際に、振動が治まるまで待たなければならず、観察に対して時間を要してしまう虞が生じる。
そのため本変形例は、第4の変形例と同様に駆動機構40は、干渉対物レンズ300の移動速度を連続的に変化させる。つまり駆動機構40は、干渉対物レンズ300の移動速度を徐々に下げ、また干渉対物レンズ300の移動速度を徐々に上げる。これにより本変形例は、図17(B)に示すように干渉対物レンズ300の速度変化を連続的にすることもできる。よって本変形例は、干渉対物レンズ300の連続的な速度変化を制御することで、干渉対物レンズ300を減速、または加速させた際に生じる振動を抑えることができる。
これにより本変形例における3次元形状観察装置100は、光学系400aによって試料17の全焦点画像や高さ画像を高精度に取得することができるため、より高精度、短時間に試料17の3次元形状画像を取得することができる。
また前述した第1の実施形態、第1の変形例、第2の変形例、第2の実施形態は、干渉対物レンズ300を一定の等速度で連続して移動させ、相対距離を一定の割合で変化させている。しかしながらこの場合、駆動機構40が相対距離を変化させるために干渉対物レンズ300を移動させる速度は、例えば制御本体部51がレーザ用受光素子11から出力された出力信号を取得する条件に合わせる必要がある。そのため例えば制御本体部51が撮像素子16から出力される出力信号を取得する際、速度が遅い状態である。
また3の変形例は、観察条件によっては干渉対物レンズ300を静止させる必要はない。このような場合に、駆動機構40が干渉対物レンズ300を静止させると、試料17の3次元形状画像の取得に時間を要してしまう。
しかしながら本変形例は、例えば第1の制御本体部61がレーザ用受光素子11から出力される出力信号を取得するタイミングと第2の制御本体部63が撮像素子16から出力される出力信号を取得するタイミングにおいて、干渉対物レンズ300の移動速度を最適化できるために、第1の実施形態、第1の変形例、第2に変形例、第2の実施形態、第1の変形例よりも短時間に試料17の3次元形状画像を取得することができる。
1…レーザ光源、2…レーザ光、3…偏光ビームスプリッタ、4…2次元走査機構、5…瞳投影レンズ、6…第1の結像レンズ、7…1/4波長板、8…第1のビームスプリッタ、9…第2の結像レンズ、10…ピンホール、11…レーザ用受光素子、12…白色光源、13…白色光、14…第2のビームスプリッタ、15…第3の結像レンズ、16…撮像素子、17…試料、19…ハーフミラー、20…レーザ用受光素子、22a,22b…シャッタ、23a,23b…光学フィルタ、31…対物レンズ、32…ハーフミラー、33…参照板、34…対物用ビームスプリッタ、35…参照ミラー、36…シャッタ、51…制御本体部、52…メモリ、53…画像処理部、100…3次元形状観察装置、200…ステージ、300…干渉対物レンズ、400…顕微鏡本体、400a,400b…光学系、500…制御部、600…表示部、700…指示部。