JP2015064462A - 共焦点顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】被検物の深さ方向の分解能を向上させた共焦点顕微鏡を提供する。【解決手段】共焦点顕微鏡150は、光源からの光束を用いて第1の共焦点絞りの少なくとも一部を均一に照明する照明光学系と、第1の共焦点絞りを通過した光束を被検物へ集光する第1の集光光学系と、被検物からの光束を第2の共焦点絞りへ集光する第2の集光光学系と、第2の共焦点絞りを通過する光束を検出する検出手段と、第1の集光光学系または第2の集光光学系の少なくとも一方に設けられ、第1の集光光学系または第2の集光光学系の少なくとも一方に設けられ、光軸を含む第1の領域の透過率が第1の領域の周囲の第2の領域の透過率よりも低い光量調整手段とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、共焦点顕微鏡に関する。
病気の診断や研究において、生体試料などの厚みのある被検物を厚さ方向(深さ方向)の構造まで含めて観察することが求められている。厚みのある物体を通常の顕微鏡で観察すると、焦平面以外の面からの光がボケ像として焦平面に重畳してしまう。このため、厚み方向の構造を正確に観察することは困難である。
そこで従来から、共焦点顕微鏡が用いられている。共焦点顕微鏡はピンホールを用い、このピンホールを通過した光だけが検出される。このため、観察に必要な光量を十分に確保するには、ピンホールはある程度の大きさが必要となる。しかし、ピンホールを拡大すると、分解能が低下する。非特許文献1には、共焦点顕微鏡の集光光学系の瞳を輪帯形状にすることにより、深さ方向の分解能を向上させる構成が開示されている。特許文献1には、集光光学系の瞳位置に輪帯マスクを配置することにより、焦点深度を可変にする手法が開示されている。
また、マルチピンホールアレイを用いて深さ方向の分解能を変化させる共焦点顕微鏡が知られている。特許文献2には、コリメートレンズの開口数を変化させることにより、深さ方向の分解能を可変する構成が開示されている。
特開平2−247605号公報 国際公開2002/068903号
しかしながら、光量を確保するためにピンホールを拡大すると、深さ方向の分解能が低下する。一方、マルチピンホールアレイを採用すると、照明光強度の均一性を保つためケーラー照明が必要となる。この場合、有限サイズのピンホールが部分的にコヒーレント照明されることになり、ピンホール面上での照明光の空間コヒーレンスが分解能に与える影響が無視できない。このため、ピンホール面での空間コヒーレンスを定量的に考慮した上で、分解能を向上させる必要がある。
そこで本発明は、被検物の深さ方向の分解能を向上させた共焦点顕微鏡を提供することができる。
本発明の一側面としての共焦点顕微鏡は、光源からの光束を用いて第1の共焦点絞りの少なくとも一部を均一に照明する照明光学系と、前記第1の共焦点絞りを通過した光束を被検物へ集光する第1の集光光学系と、前記被検物からの光束を第2の共焦点絞りへ集光する第2の集光光学系と、前記第2の共焦点絞りを通過する光束を検出する検出手段と、前記第1の集光光学系または前記第2の集光光学系の少なくとも一方に設けられ、前記第1の集光光学系または前記第2の集光光学系の少なくとも一方に設けられ、光軸を含む第1の領域の透過率が第1の領域の周囲の第2の領域の透過率よりも低い光量調整手段とを有する。
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
本発明によれば、被検物の深さ方向の分解能を向上させた共焦点顕微鏡を提供することができる。
第1の実施形態における共焦点顕微鏡の概略構成図である。 第2の実施形態における共焦点顕微鏡の概略構成図である。 第3の実施形態における共焦点顕微鏡の概略構成図である。 各実施形態におけるフィルタの構成図である。 第1の実施形態において、深さ方向のスキャン位置に対する像強度分布(光強度分布)である。 第1の実施形態において、HWHMのσ依存性を示す図である。 第1の実施形態において、HWHMのPin2依存性を示す図である。 第2の実施形態において、HWHMのσin依存性を示す図である。 第3の実施形態において、HWHMのσin依存性を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態における共焦点顕微鏡について説明する。図1は、本実施形態における共焦点顕微鏡150(共焦点光学顕微鏡)の概略構成図である。図1において、100は照明光学系である。照明光学系100には、LED光源またはハロゲン光源などを有する光源1、リレーレンズ2、および、コリメートレンズ3が設けられている。照明光学系100は、光源1からの光束を用いて後述の共焦点絞り4(第1の共焦点絞り)の少なくとも一部を均一に照明する。
照明光学系100の後方(照明光学系100と後述の集光光学系101との間)には、共焦点絞り4が配置されている。共焦点絞り4は、例えば、ニポウディスクなどの複数のピンホールを配置して構成されたマルチピンホールアレイを有する。複数のピンホールを配置することにより、一度の撮影で複数の個所の情報が得られるため、高速な画像取得が可能となる。
共焦点絞り4の後方(図1中の下側)には、集光光学系101(第1の集光光学系)が配置されている。集光光学系101には、コリメートレンズ5、ダイクロイックミラー6、および、対物レンズ7が設けられている。集光光学系101は、共焦点絞り4を通過した光束を被検物8へ集光する。図1では、共焦点絞り4を通過する光束のうち、1つのピンホールを通過する光束が実線で示されている。被検物8は、例えば、蛍光物質で染色された生体試料である。図1では、簡単のため被検物8として点状の物体を示しているが、実際には生体試料など、ある大きさを有する試料である。被検物8は、集光光学系101により集光された光束により励起され、蛍光を発する。被検物8は、三次元方向に微動可能なステージ9の上に載置されている。このように、本実施形態の共焦点顕微鏡150は、蛍光を発する被検物8に関する情報を取得可能に構成されている。
ダイクロイックミラー6の側方(図1中の右側)には、結像レンズ11が配置されている。対物レンズ7、ダイクロイックミラー6、フィルタ10、および、結像レンズ11により、集光光学系102(第2の集光光学系)が構成される。ダイクロイックミラー6は、被検物8から出射した蛍光のみを反射する。これにより、励起光を除去して被検物8からの蛍光のみを検出することが可能となる。集光光学系102は、被検物8からの光束を後述の共焦点絞り12(第2の共焦点絞り)へ集光する。
集光光学系102には、フィルタ10(光量調整手段)が配置されている。好ましくは、フィルタ10は集光光学系102の瞳位置またはその近傍に配置されている。また好ましくは、フィルタ10は、ダイクロイックミラー6と結像レンズ11との間に配置されている。図4(A)は、本実施形態におけるフィルタ10の構成図である。フィルタ10は、円形状の遮光部10a(第1の領域)を光軸中心に配置して構成されている。遮光部10aの半径(大きさ)を、集光光学系102の瞳の半径を1とした場合、遮光部10aの半径(大きさ)をPin2とする。本実施形態において、好ましくは、半径Pin2は0.6以下に設定されている。
また遮光部10aの周囲には、透過部10bが設けられている。透過部10bは光軸を中心として円環形状であることが好ましい。このような構成により、フィルタ10は、対物レンズ7でコリメートされた蛍光を輪帯光束に変換する。このように本実施形態において、集光光学系102に設けられたフィルタ10は、光軸を含む第1の領域(遮光部10a)の透過率が第1の領域の周囲の第2の領域(透過部10b)の透過率よりも低い。
このように、フィルタ10の遮光部10aは、光軸を中心とした所定の半径(半径Pin2)を有する円形状である。また、フィルタ10の透過部10bは、光軸を中心とした遮光部10aの周囲の円環形状である。そして遮光部10aの半径Pin2は、集光光学系101の開口数の3/5以下(0.6倍以下)であることが好ましい。すなわち、遮光部10aの半径Pin2は、光軸を中心とした透過部10bの外周の半径の3/5以下(0.6倍以下)であることが好ましい。これらの点は、後述のフィルタ16についても同様である。
結像レンズ11の後方(図1中の右側)には、共焦点絞り12および光検出器13(検出手段)が配置されている。共焦点絞り12は、共焦点絞り4と同一形状であり、共焦点絞り4と共役な位置に配置されている。光検出器13は、例えばCCDやCMOSなどの光電変換素子を備えて構成されており、共焦点絞り12を通過する光束を検出する。光検出器13には、コンピュータ14が接続されている。光検出器13により検出された光信号は、コンピュータ14により取り込まれ、コンピュータ14の内部メモリなどの記憶手段に保存される。
続いて、本実施形態における共焦点顕微鏡150の動作について説明する。光源1から出射した光は、照明光学系100により平行光束となり、共焦点絞り4をケーラー照明する。ケーラー照明を行うことにより、共焦点絞り4の各ピンホールが均一な強度(光強度)で照明される。その結果、得られる画像の照度ムラを低減することができる。
共焦点絞り4を通過した光束は、集光光学系101により、被検物8に集光される。この光により被検物8(の内部)に設けられた蛍光物質が励起され、蛍光が発せられる。被検物8から発せられた蛍光は、集光光学系102により、共焦点絞り12へ集光される。このとき、フィルタ10により光束が輪帯状に変換される。共焦点絞り12により被検物8の集光位置から発せられた蛍光のみが、光検出器13に到達することができ、集光位置以外からの光は除去される。これにより、被検物8の1点の像を取得することができる。
共焦点絞り12を通過した光束は、光検出器13により電気信号へ変換される。この電気信号はコンピュータ14へ送られて保存される。また被検物8は、微動可能なステージ9により三次元スキャンされる。スキャン位置のそれぞれに対して、前述の検出を行うことにより、コンピュータ14は被検物8の三次元像を得ることができる。得られた三次元像は、図示されていないモニタ(表示手段)に表示される。
本実施形態の共焦点顕微鏡150によれば、被検物8の蛍光物質の分布を立体的に観察することができる。また本実施形態では、ケーラー照明された共焦点絞り4を通過する光束により励起された被検物8からの蛍光を輪帯光へ変換することにより、深さ方向の分解能を向上させることができる。
続いて、本実施形態の効果を説明する式を導出する。まず、共焦点絞り4および共焦点絞り12のピンホールの大きさが無限小の場合において、共焦点顕微鏡150に対する三次元結像式を考える。非特許文献1より、共焦点顕微鏡150に対する三次元結像式は、以下の式(1)のように表される。
式(1)において、Icol1(x,y,z)は集光光学系101の点像強度分布関数IPSF(Intensity Point Spread Function)である。Icol2(x,y,z)は、集光光学系102のIPSFである。o(x,y,z)は、被検物8の発光効率の空間分布である。x,y,zは、被検物8のスキャン位置である。
は、x,y,zの全ての変数に対する畳み込み積分を示す記号である。
実際には、共焦点絞り4および共焦点絞り12のピンホールは、有限の大きさを有するため、照明光学系100の影響を受ける。そこで、照明光学系100の影響を取り込むため、照明光学系100の有効光源s(ξ,η)を、以下の式(2)で表されるように定義する。
式(2)において、σはコリメートレンズ5の開口数NAに対するコリメートレンズ3の開口数NAの比である。すなわちσは、照明光学系100における共焦点絞り4の側の開口数NAと、集光光学系101における共焦点絞り4の側の開口数NAとの比である。ξ,ηは、有効光源面でのxy座標である。図1に示されるように、共焦点絞り4は、有効光源s(ξ,η)によりケーラー照明されている。その結果、集光光学系101の点像強度分布関数IPSFが変化する。ここで、集光光学系101の点像振幅分布関数APSF(Amplitude Point Spread Function)をhcol1(x,y,z)、共焦点絞り4の透過率分布をS(x,y)とする。このとき、集光光学系101のIPSF(I’col1(x,y,z))は、以下の式(3)のように表される。
また、共焦点絞り12のピンホールも有限の大きさを有する。このため、共焦点絞り12に対する透過率分布をD(x,y)とすると、非引用文献1より集光光学系102のIPSF(I’col2(x,y,z))は、以下の式(4)のように表される。
式(3)および式(4)を用いて修正されたIPSFから、共焦点顕微鏡150の三次元結像式は、以下の式(5)のように表される。
式(5)を用いることにより、本実施形態における共焦点顕微鏡150による三次元像が求められる。
本実施形態では、集光光学系102の瞳面にフィルタ10が配置されている。このため、集光光学系102の瞳関数Pcol2(ξ,η)は、以下の式(6)のように定義される。
式(6)において、ξ,ηは瞳面でのxy座標である。
続いて、図5を参照して、本実施形態における共焦点顕微鏡150により得られる像強度分布について説明する。図5は、大きさが無限に小さい蛍光体(被検物8)を観察した場合の深さ方向のスキャン位置zに対する像強度分布(光強度分布)である。図5において、横軸はスキャン位置z、縦軸は強度(Intensity)をそれぞれ示している。物体(被検物8)は、z=0に存在する。本実施形態において、波長は574nm、対物レンズ7の開口数NAは0.7、共焦点絞り4および共焦点絞り12における1つのピンホールの直径は1.4μmである。簡単のため、倍率は1倍、すなわちNA=NAである。また、σは1である。
本実施形態において、深さ方向の分解能を定量的に評価するため、HWHM(Half Width of Half Minimum)という値を定義する。HWHMは、検出強度がz=0の値から半減する位置に関する量(z=0の位置と検出強度が半減する位置との間の距離)であり、図5中の矢印で示される距離に相当する。HWHMの値が小さいほど、より細かいものを見分けることができる、すなわち分解能が高いということになる。
図6は、HWHMのσ依存性を示す図である。図6において、横軸はσ、縦軸はHWHMをそれぞれ示している。図6に示されるように、遮光部10aの半径Pin2の値に依存せず(Pin2=0、0.4のいずれの場合でも)、σが0.3より大きくなると、σが0のときよりもHWHMが小さくなる。そしてその効果(減少量)が顕著になるのは、σが0.3より大きい場合である。また、遮光部10aの半径Pin2を0から0.4へ変化させると、σの全ての値に対してHWHMが減少する。このように、中央遮蔽を行う(すなわち、輪帯照明を行う)ことにより、深さ方向の分解能を向上させることができる。本実施形態において、好ましくは、σは0.3≦σ≦1の範囲に設定される。
続いて、この効果を評価するため、遮光部10aの半径Pin2に応じたHWHMの変化について説明する。図7は、HWHMのPin2依存性を示す図である。図7において、横軸は遮光部10aの半径Pin2、縦軸はHWHM[μm]を示している。また、σは1である。図7に示されるように、遮光部10aの半径Pin2が0から0.6の間の範囲(0<Pin2≦0.6)において、Pin2が0のときよりもHWHMが小さくなっている。このように、中央遮蔽を行うと(輪帯照明を行うと)、深さ方向の分解能を向上させることができる。
なお本実施形態において、フィルタ10は集光光学系102の瞳位置に配置されているが、これに限定されるものではない。例えば、フィルタ10を集光光学系101に配置してもよい。すなわち本実施形態において、フィルタ10は、集光光学系101または集光光学系102の少なくとも一方に設けられる。好ましくは、フィルタ10は、集光光学系101または集光光学系102の少なくとも一方の瞳位置または瞳位置と共役な位置(または、その近傍)に配置されている。また好ましくは、フィルタ10が集光光学系101に設けられる場合、フィルタ10は、コリメートレンズ5とダイクロイックミラー6との間に配置される。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態における共焦点顕微鏡について説明する。図2は、本実施形態における共焦点顕微鏡150a(共焦点光学顕微鏡)の概略構成図である。なお図2において、図1と同一の部分には同一の符号を付し、それらの詳細な説明については省略する。
本実施形態の共焦点顕微鏡150aは、第1の実施形態の共焦点顕微鏡150の照明光学系100に代えて、フィルタ15(第2の光量調整手段)を含む照明光学系100aを備えている点で、共焦点顕微鏡150とは異なる。好ましくは、フィルタ15は、集光光学系101および集光光学系102の瞳位置と共役な位置に配置されている。また好ましくは、フィルタ15は、リレーレンズ2とコリメートレンズ3との間に配置されている。共焦点顕微鏡150aの他の構成は、共焦点顕微鏡150と同様である。
図4(B)は、フィルタ15の構成図である。フィルタ15は、円形状の遮光部15a(第3の領域)を光軸の中心に配置して構成されている。コリメートレンズ5の開口数NAに対するコリメートレンズ3の開口数NAの比をσ、遮光部15aの半径(大きさ)をσin(第2の半径)とする。図4(B)中の白い領域(第4の領域)は、光(光束)の通過する領域(透過部15b)であり、中央の黒い領域は光を遮光する素子(遮光部15a)、灰色の領域はコリメートレンズ3とコリメートレンズ5の開口数の大きさの違いを示している。
本実施形態において、遮光部15aの半径σinは0.8以下(0<σin≦0.8)に設定されることが好ましい。すなわち遮光部の半径σinは、集光光学系101の開口数の4/5以下(0.8倍以下)であることが好ましい。このような構成を有するフィルタ15を配置することにより、光源1からの光束が輪帯形状となる。このように本実施形態において、照明光学系100に設けられたフィルタ15は、光軸を含む第3の領域(遮光部15a)の透過率が第3の領域の周囲の第4の領域(透過部15b)の透過率よりも低い。好ましくは、フィルタ15は、照明光学系100の瞳位置または瞳位置と共役な位置(または、その近傍)に配置されている。
フィルタ15により、照明光学系100aの有効光源の形状は、以下の式(7)のように定義される(変更される)
続いて、本実施形態における共焦点顕微鏡150aの動作について説明する。光源1から出射した光束の形状は、リレーレンズ2およびフィルタ15を介して輪帯形状に変換される。変換された輪帯光束は、コリメートレンズ3により共焦点絞り4をケーラー照明する。照明光束の形状が変化すると、共焦点絞り4上での照明光の空間コヒーレンスが変化する。その結果、共焦点顕微鏡150aの分解能が変化する。この場合、本実施形態では、照明光束を輪帯光束へ変換することにより、深さ方向分解能を向上させることができる。
図8は、HWHMのσin依存性を示す図である。図8において、横軸はσin、縦軸はHWHMをそれぞれ示している。ここで、σinはフィルタ15により遮蔽される領域の開口数をコリメートレンズの開口数NAで割って得られた値である。算出条件は、第1の実施形態と同様であり、Pin2は0.4、σは1である。図8より、σinが0から0.8の間の範囲(0<σin≦0.8)では、σinが0のときよりもHWHMが小さくなっている。すなわち、0<σin≦0.8の範囲に設定することにより、HWHMを減少させる効果が得られる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態における共焦点顕微鏡について説明する。図3は、本実施形態における共焦点顕微鏡150b(共焦点光学顕微鏡)の概略構成図である。なお図3において、図1または図2と同一の部分には同一の符号を付し、それらの詳細な説明については省略する。
本実施形態の共焦点顕微鏡150bは、第2の実施形態の共焦点顕微鏡150aの集光光学系101に代えて、フィルタ16(光量調整手段)を含む集光光学系101aを備えている点で、共焦点顕微鏡150aとは異なる。フィルタ16は、集光光学系101aおよび集光光学系102の瞳位置と共役な位置に配置されている。好ましくは、フィルタ16は、コリメートレンズ5とダイクロイックミラー6との間に配置されている。共焦点顕微鏡150bの他の構成は、共焦点顕微鏡150aと同様である。
図4(C)は、フィルタ16の構成図である。フィルタ16は、フィルタ10と同様に、円形の遮光部16aを光軸中心に配置して構成されている。集光光学系101の瞳の半径を1、遮光部16aの半径(大きさ)はPin1とする場合、遮光部16aの半径Pin1を0.6以下(0<Pin1≦0.6)に設定することが好ましい。また遮光部16aの周囲には、透過部16bが設けられている。透過部16bは光軸を中心として円環状であることが好ましい。フィルタ16を配置することにより、共焦点スリット4を通過した光束は輪帯光束へ変換される。このように本実施形態において、集光光学系101に設けられたフィルタ16は、光軸を含む第1の領域(遮光部16a)の透過率が第1の領域の周囲の第2の領域(透過部16b)の透過率よりも低い。
フィルタ16により、集光光学系101の瞳関数Pcol1(ξ,η)は、以下の式(8)のように定義(変更)される。
続いて、本実施形態における共焦点顕微鏡150bの動作について説明する。共焦点絞り4を通過した光束の形状は、コリメートレンズ5およびフィルタ16を介して輪帯形状に変換される。変換された輪帯光束は、対物レンズ7により被検物8へ集光され、被検物8の蛍光色素を励起する。このとき本実施形態では、照明光束を輪帯光束へ変換することにより、深さ方向の分解能を向上させることができる。
図9は、HWHMのσin依存性を示す図である。図9において、白丸はPin1が0.2の場合、黒丸はPin1が0すなわちフィルタ16を配置していない場合をそれぞれ示している。また本実施形態において、Pin2は0.4、σは1である。図9より、σinが0から0.8の間の範囲(0<σin≦0.8)において、集光光学系101aにフィルタ16を配置した場合(Pin1=0.2)のほうが、フィルタ16を配置しない場合(Pin1=0)に比べて、HWHMが小さくなっている。
各実施形態において、フィルタ10、15、16の形状は、それぞれ輪帯形状であるが、これに限定されるものではなく、輪帯以外の形状を有するフィルタを配置してもよい。光軸中心の近傍に任意の形状で光を減衰させる素子(部材)が配置されれば、同様な効果が得られる。また、各実施形態において、コリメートレンズ5と対物レンズ7との間にダイクロイックミラー6を配置しているが、これに限定されるものではない。例えば、ダイクロイックミラー6をコリメートレンズ3と共焦点絞り4との間に配置してもよい。この場合、共焦点絞り12を省略することが可能である。また本実施形態では、被検物8からの蛍光を観察する場合について説明しているが、これに限定されるものではない。各実施形態の効果は、被検物8からの反射光または透過光を観察する場合でも同様に得られる。
各実施形態の共焦点顕微鏡によれば、生体試料の観察やLSI表面の形状観察などを行う場合において、被検物の深さ方向の構造を高精度に観察することが可能となる。このため各実施形態によれば、被検物の深さ方向の分解能を向上させた共焦点顕微鏡を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
4…共焦点絞り
10…フィルタ
12…共焦点絞り
13…光検出器
100…照明光学系
101…集光光学系
102…集光光学系

Claims (15)

  1. 光源からの光束を用いて第1の共焦点絞りの少なくとも一部を均一に照明する照明光学系と、
    前記第1の共焦点絞りを通過した光束を被検物へ集光する第1の集光光学系と、
    前記被検物からの光束を第2の共焦点絞りへ集光する第2の集光光学系と、
    前記第2の共焦点絞りを通過する光束を検出する検出手段と、
    前記第1の集光光学系または前記第2の集光光学系の少なくとも一方に設けられ、光軸を含む第1の領域の透過率が第1の領域の周囲の第2の領域の透過率よりも低い光量調整手段と、を有することを特徴とする共焦点顕微鏡。
  2. 前記光量調整手段は、前記第1の集光光学系または前記第2の集光光学系の少なくとも一方の瞳位置または該瞳位置と共役な位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の共焦点顕微鏡。
  3. 前記照明光学系に設けられ、前記光軸を含む第3の領域の透過率が該第3の領域の周囲の第4の領域の透過率よりも低い第2の光量調整手段を更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の共焦点顕微鏡。
  4. 前記第2の光量調整手段は、前記照明光学系の瞳位置または該瞳位置と共役な位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の共焦点顕微鏡。
  5. 前記光量調整手段の前記第1の領域は、前記光軸を中心とした所定の半径を有する円形状であり、
    前記所定の半径は、前記第1の集光光学系または前記第2の集光光学系の開口数の3/5以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡。
  6. 前記光量調整手段の前記第1の領域は、前記光軸を中心とした所定の半径を有する円形状であり、前記第2の領域は、該光軸を中心とした該第1の領域の周囲の円環形状であり、
    前記第1の領域の前記所定の半径は、前記光軸を中心とした前記第2の領域の外周の半径の3/5以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡。
  7. 前記照明光学系における前記第1の共焦点絞りの側の開口数と、前記第1の集光光学系における該第1の共焦点絞りの側の開口数との比をσとするとき、0.3≦σ≦1の範囲を満たすことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡。
  8. 前記第2の光量調整手段の前記第3の領域は、前記光軸を中心とした第2の半径を有する円形状であり、
    前記第2の半径は、前記第1の集光光学系の開口数の4/5以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の共焦点顕微鏡。
  9. 前記第1の共焦点絞りは、複数のピンホールを配置して構成されたマルチピンホールアレイを有し、
    前記照明光学系は、前記第1の共焦点絞りをケーラー照明するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡。
  10. 前記第1の集光光学系は、コリメートレンズ、ダイクロイックミラー、および、対物レンズを備えて構成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡。
  11. 前記光量調整手段は、前記コリメートレンズと前記ダイクロイックミラーとの間に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の共焦点顕微鏡。
  12. 前記第2の集光光学系は、対物レンズ、ダイクロイックミラー、および、結像レンズを備えて構成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡。
  13. 前記光量調整手段は、前記ダイクロイックミラーと前記結像レンズとの間に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の共焦点顕微鏡。
  14. 前記照明光学系は、リレーレンズおよびコリメートレンズを備えて構成されており、
    前記第2の光量調整手段は、前記リレーレンズと前記コリメートレンズとの間に配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の共焦点顕微鏡。
  15. 前記共焦点顕微鏡は、前記第1の集光光学系により集光された光束により蛍光を発する前記被検物に関する情報を取得可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の共焦点顕微鏡。
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