JP7194375B2 - 被覆粉末食品及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は被覆粉末食品及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、味及び/又は臭いが該可食性被覆材によってマスキングされている被覆粉末食品、その製造方法、及び、該被覆粉末食品を含有する健康食品に関するものである。
医薬品の製薬分野においては、服用の容易さ等のために、粉末の表面に腸溶性等の機能を持たせたフィルム液を塗布・乾燥させたものが古くから知られている。
特許文献1には、生理活性を有するタンパク質、酵素、タンパク質のリパーゼ阻害剤等の粉末又は顆粒の表面を腸溶性フィルムで被覆した腸溶性製剤が記載されている。
また、特許文献2には、粒径20μm~200μmの粉体の表面をゼイン又はセラックで被覆する際に、中鎖トリグリセリドとエタノールを噴霧する被覆粉体の製造方法が記載されており、被覆時(製造時)の団粒の発生を抑え、口に含んだときの溶出速度を遅延させ、強固な被覆が可能になるとしている。
特許文献3には、平均粒子径1μm~200μmの不快味を有する粉体の表面を、胃溶性ポリマー含有組成物で被覆して造粒してなる散剤、細粒剤又は顆粒剤が記載されており、医薬の苦味等の不快味を有効に遮断できるとしている。
また、特許文献4には、医薬成分をアミノアルキルメタアクリレートコポリマーで被覆した顆粒中に含有し、該顆粒外に崩壊剤を含有する口腔内速崩壊性錠剤が記載され、経時的な硬度の低下を抑制し、口当たりを良くするとされている。
特許文献5には、苦味を有する粉末状薬物と流動化剤との混合物を造粒又は被覆するための担体を含み、該担体がエチルセルロース、メタクリル酸コポリマー又はワックス状物質である速崩壊錠が記載されており、苦味等の不快味のマスキングと口腔内での速崩壊の両立が図れるとされている。
しかしながら、上記技術は全て、主に医薬・薬剤を対象としたものであり、健康食品や一般食品を主な対象としたものではなかった。すなわち、医療用医薬品等の薬剤粉末を対象としたものであり、食品を対象としたものではなかった。
食品粉末を対象としたものとして、特許文献6には、牡蠣肉エキス粉末を脂質粉末でコーティングすることにより、経時的にガス発生をなくし、牡蠣独自の生臭さを軽減させた牡蠣肉エキス粉末が開示されている。
しかしながら、この技術は、油脂コーティング(溶融造粒)技術であるため、被覆材が極めて限定され、口の中で全く溶解しない被覆材しか使用できないし、粉末の表面を個々に被覆することもできない。
特許文献7には、流動層造粒法を用いて、ポリフェノールを水溶性セルロース誘導体でコーティングすることにより、無味無臭のポリフェノール顆粒が得られることが開示されている。
しかしながら、該流動層造粒法では、被覆と同時に造粒(顆粒化)まで1段で行ってしまうため、個々の粉末の表面が被覆材で被覆されず、該顆粒が保存中等に割れたときには、新たな破断面が露出して、味や臭いのマスキングができなくなる。また、該流動層造粒法では、大量の被覆材を必要とする(厚塗りが必要である)ため、低濃度で均一に個々の粉末の表面が被覆されない。
特許文献8には、システインをコーティングすることによって、不快な苦味及び臭気が軽減された顆粒剤が開示されている。
しかしながら、コーティング剤に甘味及び酸味を足すことで味の変質を行っており、被覆によってのみマスキングを行っている訳ではない。また、顆粒化することにより、錠剤化時の打圧によって顆粒の崩壊が起こることがあり錠剤化には不適であり、健康食品としての形態が制限される。
特許文献9には、医薬品やにんにく等に含まれる臭気成分を2層で被覆することによって臭いや味がマスキングされた造粒物が得られることが開示されている。
また、特許文献10には、粉末粒子の表面に表面改質材(サイクロデキストリン等)を被覆し、更に被覆材の間隙に撥水性物質(リン脂質やシュラック)を充填することによって、特に吸湿抑制が可能であることが開示されている。
しかしながら、これらは、1層目を被覆した後に、2層目の被覆又は1層目の隙間への充填を必須としており、単層で味及び/又は臭いをマスキングできるものではなく、また、製造コスト的に問題がある。
健康食品や一般食品では、医薬品に比べ、味及び/又は臭いのマスキングが強く要求されるが、前記したような公知技術ではマスキングが不十分であった。
また、健康食品や一般食品では、粉末食品を、錠剤状、顆粒状、グミ状等に加工してから供給することが多く、形態に多様性が要求されるが、公知技術では加工中にマスキング構造が崩れる場合があった。
特開2005-239737号公報 特開2007-089519号公報 特開2008-231029号公報 特開2009-179603号公報 特開2012-036140号公報 特開2012-034614号公報 特開2010-154769号公報 特開2004-161701号公報 特開平6-024963号公報 特開平5-176739号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、食品粉末の有する味及び/又は臭いがマスキングされた被覆粉末食品を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、食品である粉末を被覆材で被覆するに当たり、被覆の単位である個々の粉末の表面を可食性被覆材で被覆することによって、該粉末が有する味及び/又は臭いが好適にマスキングされ、その後の造粒(顆粒化)等の加工によっても、該マスキング効果が喪失しないことを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、可食性被覆材によって粉末が被覆されており、該粉末の味及び/又は臭いが、該可食性被覆材によってマスキングされている被覆粉末食品であって、被覆の単位である粉末の表面が個々に該可食性被覆材で被覆されていることを特徴とする被覆粉末食品を提供するものである。
また、本発明は、上記可食性被覆材が、多糖、オリゴ糖、単糖、糖アルコール、有機酸、タンパク質、ペプチド、脂肪酸エステル、ワックス、乳化剤、及び、これらの誘導体よりなる群から選ばれた1種以上の物質を含有する上記の被覆粉末食品を提供するものである。
また、本発明は、上記粉末が、医療用医薬品粉末を除く健康食品粉末、又は、一般食品粉末である上記の被覆粉末食品を提供するものである。
また、本発明は、可食性被覆材によって粉末が被覆されており、該粉末の少なくとも味及び/又は臭いが、該可食性被覆材によってマスキングされている被覆粉末食品の製造方法であって、転動流動層法、側方スプレー式流動層法、解砕整粒機構付流動層法、又は、ワースター流動層法を用いて、被覆の単位である粉末の表面を個々に該可食性被覆材で被覆することを特徴とする被覆粉末食品の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の被覆粉末食品を含有する健康食品であって、粉末状食品、錠剤状食品、顆粒状食品、又は、グミ状食品であることを特徴とする健康食品を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点と上記課題を解決し、食品である粉末の有する味及び/又は臭いをマスキングした被覆粉末食品を提供することができる。
本発明においては、主食、副食、間食、調味料等の種々の「一般食品」と、健康の保持増進に資する食品として販売・利用される、顆粒剤、粉剤、錠剤等の種々の剤型の「健康食品」とを総合して、単に「食品」と略記することがある。また、飼料やペット用餌も「食品」に含まれる。
健康食品には不味いものが多い、また、ある人にとっては気にならなくても、別の人にとっては非常に不味いと感じるものも多い。また、健康食品は、一般食品として知られているものであったり、天然物(に含有されている特定の成分)であったりするため、医療用医薬品に比較して大量に摂取する必要がある場合も多い。
本発明によれば、食品粉末の味や臭いを、完璧に又は殆ど感じなくさせる程度にまでなくすことができる。従って、誰でも嫌な思いをせずに摂取でき、また、大量に又は継続して摂取しなければならない健康食品に好適である。
更に、一般食品としても、該食品素材の有する不快な味や強過ぎる味がマスキングされることによって、食べ易くなり、また料理の幅を広げることができる。
カプセル状(剤)として呑みこめば、カプセル内部の粉末の味や臭いは感じなくなるが、一般食品では、医薬品とは異なりカプセル状で摂取することはあり得ないので、そのため、本発明は一般食品にもマッチングしている。
食品は、一般に摂取する量が多いことに加え、その形態に多様性がある。本発明は、食品のかかる多くの形態に適応することが可能である。医薬品の場合は、多くは病人等が摂取できる形態でありさえすればよい。従って、医薬品における公知技術は、食品には応用が効き難い。すなわち、本発明は、前記した「発明が解決しようとする課題」を見出したことにより新たになされたとも言えるものである。
本発明の被覆粉末食品においては、食品粉末に対して、例えば、転動流動層法、側方スプレー式流動層法、解砕整粒機構付流動層法、ワースター流動層法等、特定の装置を用いて可食性被覆材を粉末単位で被覆すると、粉末の質量に対して被覆材の質量を低く抑えることが可能である。粉末一つ一つが均一に被覆されると共に、被覆時に凝集や造粒が起らないので、凝集や造粒に無駄に使われる可食性被覆材が少ないため食品粉末自体の特徴を生かすことができる。
本発明の被覆粉末食品は、例えば上記したような特定の装置を用いて、粉末一つ一つの表面を可食性被覆材で被覆させることによって、該被覆粉末食品の保存中の衝撃や、該被覆粉末食品を打錠して錠剤にする際の衝撃に対しても、被覆されていない新たな粉末表面が露出することがなく、味や臭いのマスキング効果が減少することがない。
例えば、被覆と同時に造粒して顆粒状にまでしてしまうような装置では、粉末の表面が個々に被覆されていないので、顆粒が崩れたときに、対象物である粉末の表面が直接露出する場合があり、マスキング効果が減少する場合もある。
本発明は、食品粉末の一つ一つに対して可食性被覆材を粉末単位でコートした後、打錠して錠剤状食品にしたり、改めて賦形剤等を加えて造粒して顆粒状食品にしたりしたときにでも、上記した通り本発明の効果を特に発揮する。
一方、例えば撹拌造粒方式等で粉末の表面を可食性被覆材で被覆した場合、1段の操作で顆粒状になる。しかしながら、このようにして被覆材で被覆してなる顆粒は、運搬中やハンドリング中に該顆粒が崩れ、対象物である粉末の表面が露出し、味や匂いが高度には抑制されない。
本発明の被覆粉末食品においては、被覆の単位である「粉末」が「微粉末が凝集した二次粉末」であることはあっても、実質的に一つの「粉末」の表面が被覆材で被覆されている。そのため、本発明の発泡食品材を含有する錠剤状食品では、製造時の打錠によって強く押し潰されても、味や匂いが高度に抑制される。また、本発明の被覆粉末食品を含有する顆粒状食品では、保存中に衝撃等で顆粒が崩れても、味や匂いが高度に抑制される。
本発明によれば、味及び/又は臭いが強過ぎるものや不快なものまで、(健康)食品として使用できるので、(健康)食品の素材の選択幅が広がり、今までにない形態(組み合わせ、形状等)の食品や料理を提供することができる。特に、カプセル状食品ではない一般食品や「粉末状食品、錠剤状食品、顆粒状食品又はグミ状食品等の健康食品」において、上記した効果を発揮する。
食品(健康食品、一般食品)には、栄養機能、嗜好性機能及び生体調節機能がある。これまで、日本では、生体調節機能が公に認められていなかったが、機能性表示食品制度が施行され、1300件以上が受理されており、生体調節機能に係る機能性関与成分が重要視されている。
しかしながら、機能を発揮する十分な量の関与成分の配合、保存期間中の減衰を見越した増し配合等、生体調節機能を優先した食品形態とすると、上記した嗜好性機能の低下を余儀なくされてしまう場合が多かった。
このことから、食品(健康食品、一般食品)においては、生体調節機能を発揮させつつ、嗜好性機能が低下しないような味や臭いのマスキング技術の開発が必要である。医薬品等では、嗜好性機能は、全く必要がないので、これは食品特有の課題である。そのため、少なくとも食品独特の発明の(顕著な)効果を得るに当たっては、医薬品における従来の技術は殆ど役に立たない。
食品(健康食品、一般食品)は、幼児から老人まで、健常人を含め一般に広く摂取(使用)されるものである。そのため、幼年期や高齢期世代にも安全で摂食し易い(すなわち嗜好性に問題のない)剤型が望まれているが、本発明によれば、かかる課題を解決することができる。具体的には、本発明によれば、嚥下対策製剤、胃酸のダメージを低減した腸溶性製剤等、嗜好性機能を創出つつ生体調節機能を発揮する新たな形態の食品(健康食品、一般食品)の提供が可能となる。
健康食品(サプリメント等)は、錠剤、顆粒剤、ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤、飲料(液剤)が主流であるが、食の多様性と共にサプリメントの剤型にも多様性が求められるようになってきている。
例えば、より医薬品に近い錠剤やカプセル剤から、青汁に代表される「野菜とサプリメントの間に位置する機能性粉末飲料」、口腔内で泡立つ発泡錠、弾ける粉末、グミサプリ等、従来の嗜好性機能を超えた愉快性機能までも求められるようになってきている。
本発明によれば、かかる食品(健康食品、一般食品)の多様性、従来とは一線を画した高度な嗜好性機能にも好適に対応ができる(そのような性質を有する食品形態に使用・応用ができる)。
本発明の被覆粉末食品の好ましい形態を示す概略拡大断面図である。 (a)粉末自体が一次粉末であって、該粉末の表面が被覆されている場合 (b)一旦被覆された粉末が凝集して凝集粉末を形成している場合 (c)粉末自体が二次粉末であって、該粉末の表面が被覆されている場合 可食性被覆材での被覆中に粉末が凝集(すなわち凝集・造粒と共に被覆がなされる)等して、粉末間に可食性被覆材が入り込み顆粒状になった形態を示す概略拡大断面図である。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明の被覆粉末食品は、可食性被覆材によって粉末が被覆されており、該粉末の味及び/又は臭いが、該可食性被覆材によってマスキングされている被覆粉末食品であって、被覆の単位である粉末の表面が、個々に該可食性被覆材で被覆されていることを特徴とする。
<粉末>
本発明における上記「粉末」とは、可食性であり、かつ前記した「食品」の概念に含まれるものの粉末を言い、医療用医薬品の粉末は含まれない。機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品等、一般用でも「健康食品」の概念に含まれる粉末は含まれる。
従って、本発明の被覆粉末食品における「粉末」は、「医療用医薬品粉末を除く健康食品粉末」又は「一般食品粉末」である。
ここで、「粉末」の質量平均粒径(体積平均粒径)は、1mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.3mm以下が特に好ましい。また、下限は特に限定はないが、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、10μm以上が特に好ましい。
ここでの「粉末」とは、図1(a)に示したような、それ以上には解砕できない一次粉末1でもよく、図1(c)に示したような、解砕して一次粉末1aになるような二次粉末1でもよい。すなわち、ここでの「粉末」は、一次粉末1aが複数個で形成された二次粉末1でもよい。
例えば、図1(c)に示したように、「粉末」自体が二次粉末1であって、被覆の単位である「粉末1」の表面が個々に該可食性被覆材3で被覆されているような形態は本発明に含まれるが、図2に示したように、被覆中に造粒(凝集)が起って、例えば「粉末1」同士の隙間に可食性被覆材3が完全に入り込む等して「粉末1」の表面が個々に該可食性被覆材で被覆されていないような形態は含まれない。
食品粉末には、厳密に「一次粉末」と言えるものはむしろ少ないことに鑑みて、上記のように定義したものであり、「解砕」とは、通常の転動流動層法で崩れる程度の現象を言う。通常の転動流動層法で崩すことのできないもので、一次粉末ではないものは、二次粉末であって、本発明における個々の「粉末」である。
一方、図2に示したように、可食性被覆材で被覆しつつ1段で(1工程で)顆粒状等にしたような形態は、被覆の単位である「粉末1」の表面が、個々に可食性被覆材3で被覆されていないので、本発明には含まれない。かかる形態では、被覆の単位である「粉末」一つ一つが個々に被覆されていないので、保存中(運搬やハンドリング等が含まれる)の衝撃;得られた被覆顆粒食品を打錠する際の衝撃;等によって、該顆粒が割れたときに、粉末1の新たな破断面が露出して味や臭いを抑制できない場合がある。
ただし、「粉末1」を個々に被覆した後に、あらためて、(好ましくは結合剤等を加えて)、顆粒状にしたような形態は、前記した本発明の効果(高度なマスキング性)を奏するので本発明に含まれる(図1(b))。後述するが、このように「粉末1」を個々に被覆することに適した装置としては、転動流動層型のコーティング装置、側方スプレー式流動層型のコーティング装置、解砕整粒機構付流動層型のコーティング装置、ワースター流動層法転動流動層型のコーティング装置等が挙げられる。
該粉末の被覆は、食品粉末自体を直接的に可食性被覆材で被覆することが好ましい。食品を担持体、吸着体等に担持、吸着等したものを、粉砕等して粉体にしたものの被覆は、本発明から排除はされないが、最初から味や臭いがそもそも低減されていること、工程が複雑であること、担持体や吸着体の内部で崩れ易いこと、食品粉末自体が非常に溶解し易くなってしまうこと、担持体や吸着体により食品自体の含有濃度が低下してしまうこと等の点から、食品粉末自体を被覆装置に投入して可食性被覆材で被覆することが好ましい。
粉末としては、医療用医薬品以外の可食性の粉末であれば、特に限定はなく、単一物質の粉末、抽出物の粉末、「天然物若しくはその一部の乾燥物の粉末」等が挙げられる。該単一物質は、天然から取り出したものも、合成したものも、天然から取り出してから化学反応等を加えて合成や変性したものが含まれる。また、該単一物質としては、種々の分子量体の集合や、置換基等が異なる誘導体の集合等であって、一括して同一名称が付けられているものも含まれる(「単一」の概念に含まれる)。
<<単一物質の粉末>>
上記単一物質としては、アミノ酸、タンパク質若しくはペプチド、又は、それらの誘導体、分解物若しくは重合物;単糖、オリゴ糖若しくは多糖、又は、それらの誘導体若しくは分解物;ビタミン;有機酸又はその塩;天然物から単離した単一物質、又は、それらの分解物;等が挙げられる。
<<<アミノ酸、タンパク質若しくはペプチド、又は、それらの誘導体、分解物若しくは重合物>>>
このうち、上記アミノ酸としては、アミノ基とカルボキシル基の両方の官能基を持つ有機化合物であれば特に限定はないが、9種の必須アミノ酸を含む22種の「タンパク質を構成するアミノ酸」;カルニチン、γ-アミノ酪酸(以下、「GABA」と記載することがある)、L-ドーパ(レボドパ)、ヒドロキシプロリン、セレノメチオニン、β-アラニン、サルコシン、オルニチン、シトルリン、クレアチン、オパイン、トリメチルグリシン、テアニン、トリコロミン、カイニン酸等の「タンパク質を構成しないアミノ酸」等が挙げられる。
また、シスチン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、サイロキシン、O-ホスホセリン、デスモシン等の「修飾されたアミノ酸」等も挙げられる。
また、分岐鎖のないアミノ酸;ロイシン、イソロイシン、バリン等の必須分岐鎖アミノ酸や必須ではないものも含む分岐鎖アミノ酸(BCAA)(以下、単に「BCAA」と略記することがある);等が挙げられる。
上記「アミノ酸の誘導体」としては、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、ムラミン酸、ノイラミン酸等のアミノ糖;N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン等の「アミノ糖のアセチル化物」;上記アミノ酸若しくはアミノ糖のアミノ基のHがグリコリル基(-COCHOH)で置換された「グリコリル化物」;クレアチン(リン酸エステル);等が挙げられる。
また、3-ヒドロキシ吉草酸(以下、「HMB」と略記することがある)、3-ヒドロキシ吉草酸カルシウム(以下、「HMB-Ca」と略記することがある)等の「アミノ酸の脱アミノ体(の塩)」;等が挙げられる。HMBは、ロイシンの脱アミノ体であり、一般に脱アミノ体はアミノ基を持たないが、ここでは、アミノ酸の脱アミノ体も、「アミノ酸の誘導体」とする。
上記「アミノ酸、タンパク質若しくはペプチドの分解物若しくは重合物」としては、上記アミノ酸の誘導体が(共)重合したもの、該重合物の誘導体等が挙げられ、具体的には、ペプチドやタンパク質の誘導体(修飾体)(誘導タンパク質等);それらの(一部)加水分解物(タンパク加水分解物等);乳タンパク質、乳タンパク質の分解物、ホエイ(乳清)等の乳由来物;等が挙げられる。ここで、「誘導タンパク質」とは、天然のタンパク質が熱、酵素等によって変質したタンパク質を言う。
上記タンパク質としては、食品に含まれる各種酵素を含む各種タンパク質、トウモロコシに含まれるゼイン(ツェイン)等が挙げられ、誘導タンパク質としては、ゼラチン等が挙げられ、タンパク加水分解物としては、各種旨味調味料として知られている化合物等が挙げられる。
<<<単糖、オリゴ糖若しくは多糖、又は、それらの誘導体若しくは分解物>>>
上記「単糖、オリゴ糖若しくは多糖、又は、それらの誘導体若しくは分解物」としては、グルコース(ブドウ糖)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(果糖)、プシコース、ソルボース、タガトース、アロース、グルコン酸、シアル酸、リボース等の単糖;スクロース(ショ糖)、マルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)、メリビオース、アラビノース、マルトース、トレハロース、ガラクトオリゴ糖等の二糖やオリゴ糖;デキストリン、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、シクロデキストリン、澱粉、加工澱粉、ガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、セルロース、寒天、プルラン、カードラン、ヒアルロン酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、フコイダン等の多糖;それらの誘導体若しくは分解物;等が挙げられる。
特に、上記「糖の誘導体」としては、アルドン酸、ウロン酸等の糖にカルボキシル基が導入された化合物;糖アルコール;アミノ糖;糖の水酸基が水素に置換した化合物;キチン;キトサン;等が挙げられる。
<<<ビタミン>>>
上記「ビタミン」としては、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、葉酸等の水溶性ビタミン;ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE等の脂溶性ビタミン;等が挙げられる。
<<<有機酸又はその塩>>>
上記「有機酸又はその塩」としては、可食性の有機酸(塩)が挙げられ、具体的には、クエン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸等の有機酸;それらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等の塩;等が挙げられる。
<<<天然物から単離した単一物質、又は、それらの分解物>>>
単一物質のうち、「天然物から単離した単一物質又はそれらの誘導体」としては、縮合型タンニン;没食子酸エステル等の加水分解性タンニン;キチン、キトサン等の多糖;カプサイシン;プロテアーゼ、リパーゼ、オキシゲナーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、イソメラーゼ等の食品工業で使用される各種酵素;ルンブロキナーゼ等のキナーゼ;前記した有機酸若しくはその塩、ポリフェノール、テアニン等の植物抽出物からの単離した物質;等が挙げられる。
上記タンニンには、エピカテキン、カテキンガレート、エピガロカテキン、ガロカテキンガレート等のカテキン;茶、ブドウ、ワイン、柿等に含有されるタンニン;等が挙げられる。
上記した単一物質の粉末は、例えば、辛味、渋み、収斂性、苦味、酸味等を有するものが多いので、本発明においては特にその効果を発揮する。
上記した「単一物質」には、それらの塩も含まれる。該塩としては、特に限定はされないが、例えば、「アミノ酸、アミノ糖、それらのアセチル化物及び/又はそれらのグリコリル化物」のアミン基が塩酸塩等となったもの;カルボキシル基がナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等になったもの;ビタミンの塩;等が挙げられる。
<<天然物若しくはその一部の乾燥物の粉末>>
「天然物若しくはその一部の乾燥物の粉末」としては、大麦若葉、ケール、ホウレンソウ、長命草(ボタンボウフウ)、明日葉、オリーブ葉、クマザサ、沈香葉(ジンコウヨウ)、桑葉、イグサ(トウシントウ)、ゴーヤー(ニガウリ)、甘藷若葉、等の「植物若しくはその一部」(例えば青汁の原料となる粉末);等が挙げられる。
また、牡蠣、シジミ、蛤、アサリ等の貝;イワシ、サンマ、カツオ等の魚;花、葉、種子、果実等の植物(の部位);(筋)肉、内臓、肉汁、乳、皮膚、胎盤、眼球、卵等の動物(の部位);各種キノコ;イナゴ、竹虫、コオロギ、ガムシ、タガメ、ハチ・ハチミツ・ハチの巣等の昆虫(成虫、蛹、幼虫、卵)若しくは昆虫由来物;ミミズ;サソリ、蜘蛛等のクモ類;各種海藻;各種プランクトン;ミドリムシ等の原生動物;各種細菌・真菌、等の乾燥物の粉末;等が挙げられる。
これら乾燥物の粉末には、不味いもの、渋いもの、収斂性のあるもの、異臭を放つもの、臭いの強いもの等が多いので、本発明においては特にその効果を発揮する。
<<抽出物又は発酵物の粉末>>
「抽出物の粉末」としては、上記した「天然物若しくはその一部」からの抽出物の乾燥物等が挙げられる。また、植物エキス、肉エキス、魚介エキス等の各種エキスの粉末も挙げられる。
また、これらを原料とした発酵物からの抽出物の乾燥物等も挙げられる。該発酵物としては、それ以外に、例えば、γ-ポリグルタミン酸(γ-PGA)、納豆菌分泌物(納豆のネバネバ)等が挙げられる。
これら抽出物又は発酵物の粉末には、不味いもの、渋いもの、収斂性のあるもの、異臭を放つもの、臭いの強いもの等が多いので、本発明においては特にその効果を発揮する。
<粉末の性質>
上記した通り、本発明は、被覆の対象となる「粉末」が、限定はされないが、具体的には、例えばカプサイシンのような辛味、例えば柿渋等のような渋味、例えばワイン等のような収斂性、例えばポリフェノール等のような苦味、例えばクエン酸のような酸味、例えばルンブロキナーゼ(ルンブルキナーゼ)や牡蠣エキスのような臭い等が強いものである場合に特に効果的である。
従って、本発明は、可食性被覆材によって粉末が被覆されており、該粉末の有する、辛味、渋味、収斂性、苦味、酸味及び/又は臭いが、該可食性被覆材によってマスキングされている被覆粉末食品であって、被覆の単位である粉末の表面が個々に該可食性被覆材で被覆されていることを特徴とする被覆粉末食品でもある。
<可食性被覆材>
本発明の被覆粉末食品は、可食性被覆材によって粉末が被覆されており、該粉末の味及び/又は臭いが、該可食性被覆材によってマスキングされている。
可食性被覆材としては、食に適した物質であり(すなわち可食性であり)、固形物の表面に対して被膜を作るようなものであればどのような物質でもよいが、好ましいものとして、多糖、オリゴ糖、単糖、糖アルコール、有機酸、タンパク質、ペプチド、脂肪酸エステル、ワックス、乳化剤、及び、これらの誘導体よりなる群から選ばれた1種以上の物質を含有するもの(それらの組み合わせ)が挙げられる。
具体的には、上記多糖としては、例えば、澱粉、澱粉分解物、加工澱粉、デキストリン、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、シクロデキストリン、ガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩、ペクチン、セルロース、寒天、プルラン、カードラン、ヒアルロン酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、フコイダン等が挙げられる。上記多糖は、粉末化したものでもよく、ナノ粉末にまで微粒化されたものでもよい。
上記「多糖若しくは多糖の誘導体」としては、マスキング性等の点から、例えば、ガム、プルラン、デキストリン、難消化性デキストリン、寒天、セルロース、カラギーナン、アルギン酸(塩)、ペクチン、澱粉、又は、加工澱粉等がより好ましい。
上記ガムとしては、グァーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、アラビアガム、キサンタンガム、タマリンドガム等が特に好ましいものとして挙げられる。また、上記加工澱粉としては、多糖のコハク酸誘導体、酸化澱粉等が特に好ましいものとして挙げられる。
更に、上記「多糖を化学修飾等した糖誘導体」としては、多糖の、ヒドロキシプロピル化物、メチル化物、ヒドロキシプロピルメチル化物、カルボキシメチル化物、加水分解物、酸化物、リン酸化物、オクテルコハク酸化物、ナノ化物、又は、発酵物等が好ましいものとして挙げられる。
具体的には、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉、セルロースナノファイバー等が、被覆性、マスキング性等の点から特に好ましいものとして挙げられる。これらは(一部)塩であってもよい。以下、例えば「HPMC」等のように、それぞれの化合物を、上記括弧内のみで略記することがある。
また、上記多糖の発酵物としては、例えば、キサンタムガム等が挙げられる。
オリゴ糖とは二糖以上の糖を言う。上記オリゴ糖としては、例えば、大豆オリゴ糖、マルチトール、乳糖、ショ糖、ラクチュロース、マルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キトオリゴ糖等が挙げられる。
また、上記単糖としては、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、N-アセチルグルコサミン等が挙げられる。
上記糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール等が挙げられる。
上記有機酸としては、例えば、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酢酸、酒石酸、これらのカルシウム等の有機酸塩;ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等の脂肪酸;等が挙げられる。
上記脂肪酸エステルとしては、上記脂肪酸等が結合したグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
上記タンパク質とペプチドは、何れもアミノ酸が縮合したものであり、本発明で「ペプチド」はタンパク質より縮合数が小さいものを言い、通常は50個以下の長さであり、オリゴペプチド、ポリペプチド等が含まれる。
上記タンパク質又はペプチドとしては、例えば、ゼイン、ゼラチン、コラーゲン、卵白、卵白加水分解物、ホエイ、エラスチン、これらの分解物等が挙げられる。
また、上記ワックスとしては、セラック、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ライスワックス等が挙げられる。
上記乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。
本発明においては、上記可食性被覆材が、プルラン、デキストリン、アラビアガム、ペクチン、カラギーナン、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、澱粉、酸化澱粉、セラック、卵白、卵白加水分解物、乳ホエイ、又は、エラスチンであることが、被覆性や、味及び/又は臭いのマスキング性、吸湿防止等の点から特に好ましい。
上記可食性被覆材は、前記した物質を単独で用いてもよいが、被覆性、マスキング性等を向上させる点から、前記した物質の2種以上を被覆液に同時に溶解して粉末を被覆することも好ましい。
また、本発明はマスキング性が良いことから、上記可食性被覆材に別の味を付与することは特に必要はないが、目的に合わせて、更に、カラメル、食用香料等の芳香性物質;甘味料、酸味料、調味料等の呈味性物質;二酸化チタン等の着色剤若しくは遮光剤;カラメル、各種食用色素等の着色物質;グリセリン等の可塑剤;酸素遮断物質;防湿剤;紫外線遮断物質;防腐剤等を含有させることもできる。
<可食性被覆材含有量>
本発明の被覆粉末食品においては、上記粉末100質量部に対して、上記可食性被覆材が0.1質量部以上500質量部以下で含有されていることが、均一な被覆性、味及び/又は臭いのマスキング性等の点から好ましい。
上記点から、粉末100質量部に対して、可食性被覆材が、より好ましくは0.3質量部以上200質量部以下であり、更に好ましくは1質量部以上100質量部以下であり、特に好ましくは3質量部以上60質量部以下であり、最も好ましくは10質量部以上40質量部以下である。
<香味成分又は呈味成分の付着>
本発明は、上記可食性被覆材の外側に、更に香味成分又は呈味成分が付着されている前記の被覆粉末食品でもある。
前記したように、可食性被覆材によって、被覆の単位である粉末の表面が個々に該可食性被覆材で被覆され、該粉末の味及び/又は臭いが、該可食性被覆材によってマスキングされているものに対して、その外側に、更に香味成分又は呈味成分が付着されている被覆粉末食品は、完全に該粉末の味及び/又は臭いがマスキングされて、使用した香味成分又は呈味成分の香味になる。
そのマスキング効果は、可食性被覆材によって被覆しないで、又は、個々に被覆しないで、香味成分又は呈味成分のみを付着させたものとは比較にならない程大きい。例えば、カプサイシンにセラックを被覆した後、呈味成分のひとつである甘味料(スクラロース、アセスルファムカリウム、パルスウィート等)を付着させることで、全く辛味も刺激も感じられないようになり、「甘いカプサイシン」を提供することができる。
香味成分としては、具体的には、例えば、アップル、レモン、オレンジ、パイナップル、グレープフルーツ、ブドウ、バナナ、ローズ、桜、梅、ハイビスカス等の香りが挙げられる。
呈味成分としては、具体的には、例えば、甘味(スクラロース、アセスルファムカリウム、パルスウィート、ステビア等);酸味(クエン酸、リンゴ酸、酢酸等の有機酸類);旨味(グルタミン酸等のアミノ酸類、イノシン酸、グアニル酸等);苦味、辛味、清涼感(l-メントール等);冷感(ソルビトール、マルチトール等の糖アルコール);等を呈する「粉末や液体」を、下記する付着材と共に付着することが好ましい。
香味成分又は呈味成分は、付着材の中に溶解(相溶)又は分散させた状態で、上記可食性被覆材の外側に設けてもよい(付着させてもよい)。
該付着材としては、前記した可食性被覆材と同様のものが好適に用いられる。付着材としては、プルラン、デキストリン、アラビアガム、ペクチン、カラギーナン、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、澱粉、酸化澱粉、セラック、卵白、卵白加水分解物、乳ホエイ、エラスチン等が、被覆性や、味及び/又は臭いの更なるマスキング性、吸湿防止等の点から特に好ましい。
<被覆粉末食品の製造方法>
本発明における粉末の被覆方法は、被覆の単位である粉末の表面が個々に可食性被覆材で被覆されており、該粉末の味及び/又は臭いが、該可食性被覆材によってマスキングされていれば特に限定はないが、転動流動層法、側方スプレー式流動層法、解砕整粒機構付流動層法、ワースター流動層法等の湿式法が、粉末1つ1つを単位として被覆される点、被覆の均一性、味及び/又は臭いのマスキング性、少ない可食性被覆材によってマスキングが可能な点等から好ましい。
すなわち、本発明の被覆粉末食品の製造方法は、可食性被覆材によって粉末が被覆されており、該粉末の少なくとも味及び/又は臭いが、該可食性被覆材によってマスキングされている被覆粉末食品の製造方法であって、転動流動層法、側方スプレー式流動層法、解砕整粒機構付流動層法、又は、ワースター流動層法を用いて、被覆の単位である粉末の表面を個々に該可食性被覆材で被覆することを特徴とする。
上記被覆方法に用いる装置としては特に限定はなく、市販のものも好適に用いられる。
転動流動層法に用いられる装置としては、以下に限定はされないが、(株)パウレック製のMP、フロイント産業(株)製のスパイラルフロー等が挙げられ、側方スプレー式流動層法に用いられる装置としては、フロイント産業(株)製のFL等が挙げられ、解砕整粒機構付流動層法に用いられる装置としては、(株)パウレック製のSFP等が挙げられ、ワースター流動層法に用いられる装置としては、(株)パウレック製のGPCG等が挙げられる。
被覆粉末食品の製造に際しては湿式法で被覆するので、該被覆に先立って被覆液を調製する。可食性被覆材を溶解又は微分散する溶媒・分散媒は、該可食性被覆材が溶解及び/又は分散し、食に適しているものであればどのようなものでもよいが、純水、pH調整水等の水;エタノール;それらの混合溶媒等を用いることが好ましい。
すなわち、被覆粉末食品の製造方法は、前記可食性被覆材を、水及び/又はエタノールを主成分とする可食性溶媒に溶解又は微分散して被覆液を調製し、前記粉末に該被覆液を付与することによって、該粉末の表面を可食性被覆材で被覆することが好ましい。
被覆粉末食品は、図1(a)に示したように、被覆粉末のそれぞれが単独で存在していてもよく、図1(b)に示したように、被覆粉末が複数個凝集して存在していてもよい。
本発明の態様としては、図1(a)(b)のように一次粉末であれ、図1(c)のように二次粉末であれ、該粉末1個ずつがそれぞれ表面コートされている。
本発明の被覆粉末食品は、可食性被覆材によって、2層以上で被覆されていてもよいが、本発明の前記効果を奏するために、1層で被覆されていることが好ましい。1層で被覆されていると、可食性被覆材の被覆粉末食品全体に占める割合が低くなり優れたものができる、製造中の切り替え洗浄がない、製造コスト的に有利である等の効果がある。
<健康食品>
本発明の健康食品は、前記の被覆粉末食品を含有するものであって、粉末状食品、錠剤状食品、顆粒状食品、又は、グミ状食品であることを特徴とする。
本発明の被覆粉末食品を含有させて健康食品とする場合には、被覆粉末食品を単に混合させて粉末状食品としてもよいが、錠剤状食品、顆粒状食品又はグミ状食品の場合には、それを形成させるための形成剤・賦形剤・結合剤を併用することが好ましい。
また、一般食品や健康食品としての「他の有効成分(粉体)」、芳香性物質、呈味性物質、着色剤若しくは遮光剤、着色物質、防腐剤、増量剤等を混合させることも好ましい。
本発明の被覆粉末食品を含有させて錠剤状食品とする場合には、好ましくは、有機又は無機の賦形剤、要すればその他の有効成分等と共に、圧縮成形、打錠等により一定の形(錠剤状)にする。なお、チュアブル錠も錠剤状食品に含まれる。
本発明の被覆粉末食品を含有させて顆粒状食品とする場合には、好ましくは、顆粒形成に必要な有機又は無機の結合剤、要すればその他の有効成分等と共に顆粒状とする。
本発明の被覆粉末食品を含有させてグミ状食品とする場合には、好ましくは、グミ形成に必要な有機又は無機の結合剤、要すればその他の有効成分等と共にグミ状とする。
本発明の健康食品は、そこに含有される被覆粉末食品の実質的に略一つ一つが可食性被覆材で個々に被覆されているので、被覆粉末食品の粉末自体として保存安定性が良い。
また、本発明の被覆粉末食品を用いて得られる錠剤状食品や顆粒状食品は、それらの製造中や保存中の衝撃で崩れても、臭いが放出することが抑制される。該「崩れ」による剥離は、結合剤・賦形剤の内部や、結合剤・賦形剤と可食性被覆材との界面で生じ、食品粉末の内部や、食品粉末と可食性被覆材との界面では生じていないためと考えられる。また、本発明の健康食品では、その製造中の打錠や顆粒化によって、被覆粉末から被覆材が剥離しなかったと考えられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
<カテキン>
カテキン粉末500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度70℃、吸気量0.6m/minに設定し、水1000mL中に水溶性セラック100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が100μmの「水溶性セラックコートカテキン粉末」を532g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例2
<BCAA>
BCAA粉末500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度70℃、吸気量0.6m/minに設定し、水1000mL中に水溶性セラック100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が100μmの「水溶性セラックコートBCAA粉末」を540g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例3
<BCAA>
BCAA粉末500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度70℃、吸気量0.6m/minに設定し、水1000mL中に酸化澱粉100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が100μmの「酸化澱粉コートBCAA粉末」を529g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例4
<BCAA>
BCAA粉末500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度70℃、吸気量0.6m/minに設定し、水1000mL中にHPMC100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が100μmの「HPMCコートBCAA粉末」を533g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例5
<コンドロイチン>
コンドロイチン粉末500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度70℃、吸気量0.6m/minに設定し、水1000mL中に水溶性セラック100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が100μmの「水溶性セラックコートコンドロイチン粉末」を538g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例6
<コンドロイチン>
コンドロイチン粉末500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度70℃、吸気量0.6m/minに設定し、水1000mL中にアラビアガム100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が100μmの「アラビアガムコートコンドロイチン粉末」を541g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例7
<コンドロイチン>
コンドロイチン粉末500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度70℃、吸気量0.6m/minに設定し、水1000mL中にプルラン100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が100μmの「プルランコートコンドロイチン粉末」を538g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例8
<牡蠣エキス>
牡蠣エキス粉末500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度70℃、吸気量0.6m/minに設定し、水1000mL中に水溶性セラック100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が100μmの「水溶性セラックコート牡蠣エキス粉末」を529g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例9
<牡蠣エキス>
牡蠣エキス粉末500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度70℃、吸気量0.6m/minに設定し、水1000mL中にアラビアガム100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が100μmの「アラビアガムコート牡蠣エキス粉末」を537g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例10
<牡蠣エキス>
牡蠣エキス粉末500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度70℃、吸気量0.6m/minに設定し、水1000mL中にプルラン100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が100μmの「プルランコート牡蠣エキス粉末」を544g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
比較例1~4
上記実施例で用いた(食品)粉末自体、すなわち、被覆のされていない粉末(未コート粉末)をそれぞれ準備した。
評価例1
<「味」の評価>
5人の被験者に、実施例の被覆粉末食品(コート化粉末)、及び、表1に示した比較例の被覆されていない粉末(未コート粉末)それぞれ0.1gを口に含んでもらい、「味」の評価をした。
評価法は、10cmの直線状に、被覆されていない粉末(未コート粉末)を中央点とし、味が弱くなったものを程度に合わせて左にマークしてもらい、味が強くなったものを程度に合わせて右にマークしてもらった。中央点より左側の長さ(cm)をプラス、右側の長さ(cm)をマイナスとして、5人の平均点で味を評価し、下記の基準で判定した。
結果を表1に示す。
<<「味」の判定基準>>
◎:+3.0cm以上、マスキング性に非常に優れている
○:+1.5cm以上で、+3.0cm未満、マスキング性に優れている
△:±0.0より大きく、+1.5cm未満、マスキング性の効果が薄い
×:±0(中心点)
評価例2
<「臭い」の評価>
5人の被験者に、実施例の被覆粉末食品(コート化粉末)、及び、表1に示した比較例の被覆されていない粉末(未コート粉末)それぞれ5gの臭いを嗅いでもらい、「臭い」の評価をした。
評価法は、10cmの直線状に、被覆されていない粉末(未コート粉末)を中央点とし、臭いが弱くなったものを程度に合わせて左にマークしてもらい、臭いが強くなったものを程度に合わせて右にマークしてもらった。中央点より左側の長さ(cm)をプラス、右側の長さ(cm)をマイナスとして、5人の平均点で臭いを評価し、下記の基準で判定した。
結果を表1に示す。
<<「臭い」の判定基準>>
◎:+3.0cm以上、マスキング性に非常に優れている
○:+1.5cm以上で、+3.0cm未満、マスキング性に優れている
△:±0.0より大きく、+1.5cm未満、マスキング性の効果が薄い
×:±0(中心点)
Figure 0007194375000001
表1中、「コンドロイチン」は、コンドロイチン硫酸ナトリウムを表す。
「カテキン」は、茶カテキンである。
「BCAA」は、ロイシン、イソロイシン、バリンを含有する分岐鎖アミノ酸である。
比較例1~4の被覆のされていない粉末は、何れも「±0」としたので、判定は「×」であったが、一方、実施例1~10の可食性被覆材で被覆された被覆粉末食品は、「味」に関しても、「臭い」に関しても、何れも「◎」か「○」であり、粉末の味及び/又は臭いのマスキング性に優れていることが分かった。
また、被覆の均一性は、全て良好であった。
<健康食品の調製と評価>
実施例11
<<錠剤状食品の調製と評価>>
上記実施例1~10で得られた被覆粉末食品をそれぞれ10g、クエン酸10g、還元麦芽糖水飴77g、微粒二酸化ケイ素1g、及び、ステアリン酸カルシウム2gを、32メッシュサイズの網目を有する篩にて篩通し、次いで、この混合粉末を、500μmにて篩過した。
この混合粉末を、φ9.0mmサイズの杵臼をセットした打錠機SEワークプレス(岡田精工社製)を用いて、打錠圧力1000kgfにて打錠化を行った。質量が約300mgの錠剤状食品を調製した。
好適に錠剤化ができた。錠剤状食品にしても、味も臭いも悪化することはなかった。このことは、何れの被覆粉末食品も打錠の最中に被覆が剥離しなかったことを示す。
実施例12
<<顆粒状食品の調製と評価>>
上記実施例1~10で得られた被覆粉末食品をそれぞれ0.3kg、デキストリン2.7kgを混合後、流動層造粒機(フロイント産業(株)製、FLO-5)に投入した。風量は、0.5m/minとし、風の温度は給気70℃及び排気35℃とした。
結合剤として、0.6%(w/v)のグァーガム水溶液を上部からスプレーしながら、1時間処理を行なった。結合剤は、被覆粉末食品100質量部に対して20質量部になるよう噴霧した。その結果、2.8kgの顆粒状食品を得ることができた。
好適に顆粒化ができた。顆粒状食品にしても、味も臭いも悪化することはなかった。
実施例13
<HMB-Ca>
HMB-Ca(製品名:「HMB-Ca」、小林香料社製)500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度80℃、吸気量0.6m/minに設定し、水400mL中に水溶性セラック100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が53μmの「水溶化セラックコートHMB-Ca粉末」を542g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例14
<カプサイシン>
カプサイシン1%含有粉末(製品名:「トウガラシP-10」、三栄源エフエフアイ社製)500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度80℃、吸気量0.6m/minに設定し、水400mL中に水溶性セラック100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が101μmの「水溶化セラックコートカプサイシン粉末」を544g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例15
<カプサイシン><香味成分・呈味成分付着>
カプサイシン1%含有粉末500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度80℃、吸気量0.6m/minに設定し、水400mL中に水溶性セラック100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行った。
次に、水450mL中に、「付着材としてのヒドロキシプロピルセルロース48g、スクラロース2gを含む被覆液」を噴霧しながら被覆(付着)を行い、体積平均粒径が114μmの「2層コート化カプサイシン粉末」を575g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.2倍となった。
実施例16
<ニンニク>
ニンニクエキス末(製品名:「ニンニク末-H」、日本粉末薬品社製)500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度80℃、吸気量0.6m/minに設定し、水400mL中に水溶性水溶化セラック100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が104μmの「水溶化セラックコートニンニク末」を533g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例17
<ニンニク>
ニンニクエキス末(製品名:「ニンニク末-H」、日本粉末薬品社製)500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度80℃、吸気量0.6m/minに設定し、水400mL中にアラビアガム100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が108μmの「アラビアガムコートニンニク末」を539g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例18
<ケール>
ケール末(製品名:「ケールパウダー国産」、こだま食品社製)500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度80℃、吸気量0.6m/minに設定し、水400mL中に水溶性セラック100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が38μmの「水溶化セラックコートケール粉末」を529g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例19
<肉エキス>
鳥肉エキス(製品名:「鳥肉抽出物」、丸大食品社製)500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度80℃、吸気量0.6m/minに設定し、水400mL中に水溶性セラック100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が105μmの「水溶化セラックコート肉エキス粉末」を662g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例20
<ブドウ種子エキス>
ブドウ種子エキス(製品名:「ブドウ種子エキス」、バイオアクティブズジャパン社製)500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度80℃、吸気量0.6m/minに設定し、水800mL中に水溶性セラック200gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が45μmの「水溶化セラックコートブドウ種子エキス粉末」を659g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例21
<乳ペプチド>
乳ペプチド(製品名:Lacprodan、アーラフーズ社製)500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度80℃、吸気量0.6m/minに設定し、水800mL中に水溶性セラック200gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が21μmの「水溶化セラックコートペプチド粉末」を662g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
実施例22
<納豆菌抽出物>
納豆菌抽出物(製品名:「NSK-SDP」、日本生物化学研究所社製)500gを転動流動層型コーティング装置MP-01(株式会社パウレック製)に入れ、インペラー回転数300rpm、吸気温度80℃、吸気量0.6m/minに設定し、水400mL中にアラビアガム100gを含む被覆液を噴霧しながら被覆(表面コート)を行い、体積平均粒径が105μmの「水溶化セラックコート納豆菌抽出物粉末」を545g得た。被覆前後で体積平均粒径は約1.1倍となった。
比較例5~比較例12
上記した実施例13~22において、表2に示すように、可食性被覆材を被覆(表面コート)しなかったものを、それぞれ比較例5~比較例12とした(表2)。
Figure 0007194375000002
比較例5~12の被覆のされていない粉末は、何れも平均点「±0」なので、判定は「×」であった。
一方、実施例13~22の可食性被覆材で被覆された被覆粉末食品は、「味」に関しても、「臭い」に関しても、何れも「◎」か「○」であり、粉末の味及び/又は臭いのマスキング性に優れていることが分かった。
また、被覆の均一性は、全て良好であった。
実施例15の、可食性被覆材(セラック)の外側に、香味成分又は呈味成分として、甘味料であるスクラロースを付着させた「2層コート化カプサイシン粉末」は、特に「味」に関して極めて良い結果が得られた。
本発明の被覆粉末食品や該被覆粉末食品を含有する健康食品は、味及び/又は臭いが可食性被覆材によってマスキングされ、味及び/又は臭いが抑制されるので、健康食品分野、一般食品分野等に広く利用されるものである。
1 粉末(一次、二次粉末を含む)
1a 一次粉末
3 可食性被覆材

Claims (13)

  1. 可食性被覆材によって粉末が被覆されており、該粉末の味及び/又は臭いが、該可食性被覆材によってマスキングされている被覆粉末食品であって、
    該可食性被覆材が、多糖、オリゴ糖、単糖、糖アルコール、ワックス、及び、これらの誘導体よりなる群から選ばれた1種以上の物質を含有するものであり、
    被覆の単位である粉末の表面が個々に該可食性被覆材で被覆されており、該粉末が造粒されていないことを特徴とする被覆粉末食品。
  2. 上記多糖の誘導体が、多糖の、ヒドロキシプロピル化物、メチル化物、ヒドロキシプロピルメチル化物、カルボキシメチル化物、加水分解物、酸化物、リン酸化物、オクテルコハク酸化物、ナノ化物、又は、発酵物である請求項1に記載の被覆粉末食品。
  3. 上記多糖若しくは多糖の誘導体が、ガム、プルラン、デキストリン、難消化性デキストリン、寒天、セルロース、カラギーナン、アルギン酸(塩)、ペクチン、澱粉、又は、加工澱粉である請求項1に記載の被覆粉末食品。
  4. 上記可食性被覆材が、プルラン、デキストリン、アラビアガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、酸化澱粉、又は、セラックである請求項1に記載の被覆粉末食品。
  5. 上記可食性被覆材が、プルラン、アラビアガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、酸化澱粉、又は、セラックである請求項4に記載の被覆粉末食品。
  6. 上記可食性被覆材によって被覆されて、味及び/又は臭いが、該可食性被覆材によってマスキングされる粉末が、カテキン、分岐鎖アミノ酸(BCAA)、コンドロイチン、又は、牡蠣エキスの粉末である請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の被覆粉末食品。
  7. 上記粉末100質量部に対して、上記可食性被覆材が1質量部以上100質量部以下で含有されている請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の被覆粉末食品。
  8. 更に、上記可食性被覆材の外側に香味成分又は呈味成分が付着されている請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の被覆粉末食品。
  9. 上記粉末が、医療用医薬品粉末を除く健康食品粉末、又は、一般食品粉末である請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の被覆粉末食品。
  10. 可食性被覆材によって粉末の表面が個々に被覆されており、該粉末が造粒されておらず、該粉末の少なくとも味及び/又は臭いが、該可食性被覆材によってマスキングされている被覆粉末食品の製造方法であって
    砕整粒機構付流動層法を用いて、被覆の単位である粉末の表面を個々に該可食性被覆材で被覆することを特徴とする被覆粉末食品の製造方法。
  11. 上記可食性被覆材を、水及び/又はエタノールを主成分とする可食性溶媒に溶解又は微分散して被覆液を調製し、上記粉末に該被覆液を付与することによって、該粉末の表面を可食性被覆材で被覆する請求項10に記載の被覆粉末食品の製造方法。
  12. 請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の被覆粉末食品の製造方法である請求項10又は請求項11に記載の被覆粉末食品の製造方法。
  13. 請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の被覆粉末食品を含有する健康食品であって、粉末状食品、錠剤状食品、顆粒状食品、又は、グミ状食品であることを特徴とする健康食品。
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