以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施形態は、本発明の一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは、言うまでもない。
図1は、本実施形態に係るクレーン車10を示す。クレーン車10は、本発明の「作業車」の一例である。ただし、作業車は、クレーン車10に限られない。作業車は、後述のカウンタウエイト14を搭載可能なものであればよい。
クレーン車10は、走行体11と、走行体11に搭載されたクレーン装置12及びキャビン13と、を主に備える。
走行体11は、車体20と、不図示の車軸及び車輪21と、不図示のエンジンと、バッテリ24(図5)と、油圧装置22(図5)と、を備える。
車軸は、車体20に回転可能に支持されている。車輪21は、車軸の両端に保持されている。エンジンは、車軸を回転駆動し、車軸を介して車輪21を回転させる。また、エンジンは、バッテリ24を充電する。さらにまた、エンジンは、油圧装置22が備える不図示の油圧ポンプを駆動させる。油圧ポンプは、所定圧力の作動油を吐出し、図5が示す旋回モータ23、起伏シリンダ46、伸縮シリンダ47、アウトリガシリンダ36、ジャッキシリンダ37、及びウインチ48や、その他のアクチュエータ(以下、旋回モータ23等とも記載する)を駆動する。油圧装置22は、作動油のパイロット圧を制御する不図示の電磁弁を有する。電磁弁は、後述のコントローラ60(図5)から入力される駆動信号によって開閉される。電磁弁が開閉されることにより、旋回モータ23等が駆動される。すなわち、旋回モータ23等は、コントローラ60によって駆動を制御される。なお、本実施形態では、旋回モータ23等が油圧アクチュエータである例が説明されるが、旋回モータ23等の全部或いは一部は、電動アクチュエータであってもよい。
車体20は、図1が示すように、車体20の姿勢を安定させる前アウトリガ31及び後アウトリガ32を備える。
前アウトリガ31は、車体20の前部に設けられている。前アウトリガ31は、不図示の外筒と、左右一対の内筒35(図5)と、アウトリガシリンダ36(図5)と、左右一対のジャッキシリンダ37とを備える。
外筒は、車体20の幅方向(左右方向)に沿って延びている。内筒35は、外筒に内挿されており、車体20の左右方向にスライド可能である。内筒35は、スライドすることにより、外筒に格納された格納状態と、車体20の幅方向に張り出した張出状態とに姿勢変化する。アウトリガシリンダ36は、油圧装置22から作動油を供給されて伸縮し、内筒35を格納状態と張出状態との間で姿勢変化させる。ジャッキシリンダ37は、各内筒35の先端にそれぞれ固定されている。ジャッキシリンダ37は、油圧装置22によって作動油を供給され、地面から離間する離間位置と、地面または地面に敷設された鉄板等に当接する接地位置との間で伸縮する。
後アウトリガ32は、車体20の後部に設けられている。後アウトリガ32は、前アウトリガ31と同様の構成であり、外筒、左右一対の内筒35、アウトリガシリンダ36、及び左右一対のジャッキシリンダ37を備える。
キャビン13は、図1が示すように、旋回台41に搭載されている。キャビン13は、クレーン車10の運転を行う運転装置17(図5)と、クレーン装置12の操縦を行う操縦装置18(図5)と、を有する。すなわち、クレーン車10は、いわゆるラフテレーンクレーンであって、クレーン車10の運転及びクレーン装置12の操縦が1つのキャビン13で行われる作業車である。但し、クレーン車10は、運転装置17を有するキャビンと、操縦装置18を有するキャビンとの2つのキャビンを備えたオールテレーンクレーンやトラッククレーンであってもよい。
操縦装置18は、クレーン装置12やアウトリガ31、32を操作する操作レバーや操作ボタン等を有する。操縦装置18は、操作レバーの操作の向きや操作量を示す操作信号や、操作ボタンの操作の有無を示す操作信号を出力する。操縦装置18が出力した操作信号は、コントローラ60(図5)に入力される。
また、操縦装置18は、操作状況や、後述のドラムカメラ68(図3)が撮影した映像を表示するディスプレイ67(図5)を備える。ディスプレイ67は、キャビン13内において、運転席に着座したオペレータが視認し易い位置に設けられている。
また、キャビン13は、不図示の制御ボックスを有する。制御ボックスは、制御基板を収容する。制御基板は、マイクロコンピュータや抵抗やコンデンサやダイオードや種々のICを実装されており、図5が示すコントローラ60及び電源回路65を構成している。また、音声を出力するスピーカ66が制御基板に実装されている。コントローラ60や電源回路65については後述される。
クレーン装置12は、図1が示すように、車体20に旋回可能に支持された旋回台41と、旋回台41に支持されたブーム42と、を備える。ブーム42は、基端ブーム43、単一又は複数の中間ブーム44、及び先端ブーム45を有する。基端ブーム43、中間ブーム44、及び先端ブーム45は、入れ子状に配置されており、ブーム42は、伸縮可能である。基端ブーム43は、旋回台41に起伏可能に支持されている。すなわち、ブーム42は、起伏可能、かつ、伸縮可能である。クレーン装置12は、本発明の「ブーム装置」に相当する。
旋回台41は、カウンタウエイト14を支持する支持体40を備える。支持体40は、ブーム42の基端側に配置され、旋回台41に固定されている。支持体40は、カウンタウエイト14が載置される台であってもよいし、カウンタウエイト14を吊下げ或いは持ち上げる部材であってもよい。
カウンタウエイト14は、複数の分割ウエイト15で構成される。複数の分割ウエイト15は、同一形状で同一重量であってもよいし、厚みなどの形状や重量が互いに相違する複数種類であってもよい。
図1が示す例では、各分割ウエイト15は、それぞれ矩形板状であって、上下方向において重ねられている。図2が示す例では、各分割ウエイト15は、直方体状である。図2が示す例では、カウンタウエイト14は、左の分割ウエイト群と右の分割ウエイト群とで構成されている。左右の分割ウエイト群は、それぞれ、上下方向において重ねられた複数の分割ウエイト15(図示例では4個)で構成されている。なお、図2が示すクレーン車10は、図1が示すクレーン車10と仕様が異なるクレーン車である。
なお、分割ウエイト15の配置は、図1や図2に示す例に限られない。分割ウエイト15は、分割ウエイト15が確実に保持されれば、他の配置で配置されていてもよい。
カウンタウエイト14の総重量は、カウンタウエイト14を構成する分割ウエイト15の重量の総和に相当する。すなわち、カウンタウエイト14の総重量は、使用する分割ウエイトの種類(重量)と、使用する分割ウエイト15の個数とによって変化する。カウンタウエイト14の総重量は、後述のドラムカメラ68及びコントローラ60によって検出される。詳しくは後述される。
図5が示すように、クレーン装置12は、旋回モータ23と、ブーム42を起伏させる起伏シリンダ46と、ブーム42を伸縮させる伸縮シリンダ47と、をさらに備える。
旋回モータ23は、車体20に設けられている。旋回モータ23は、上述の油圧装置22から作動油を供給されて回転し、既知のギアを介して旋回台41を旋回させる。
起伏シリンダ46は、旋回台41に設けられている。伸縮シリンダ47は、ブーム42に設けられている。起伏シリンダ46及び伸縮シリンダ47は、油圧装置22から作動油を供給され、伸縮する。伸縮する起伏シリンダ46は、ブーム42を起伏させる。伸縮する伸縮シリンダ47は、ブーム42を伸縮させる。なお、不図示のスイベルが、車体20と旋回台41との間に設けられている。車体20に設けられた油圧装置22は、スイベルを通じて起伏シリンダ46及び伸縮シリンダ47に作動油を供給する。
また、クレーン装置12は、図3が示すように、ウインチ48及びフック49を備える。ウインチ48は、油圧装置22から上記スイベルを介して作動油を供給され、回転する。回転するウインチ48は、フック49と接続された不図示のロープを巻き取り、或いは、当該ロープを繰り出す。フック49は、先端ブーム45の先端からロープによって吊下される。フック49は、ウインチ48が回転することによって昇降する。
また、ブーム42は、図3、4が示すドラムカメラ68と、ドラムカメラ68を保持する保持装置69(図5)と、を有する。ドラムカメラ68は、ウインチ48及びカウンタウエイト14を撮像(撮影)可能な位置に配置され、基端ブーム43に固定されている。具体的には、ドラムカメラ68は、ブーム42が倒伏した状態において、ウインチ48の前方斜め上に配置されている。
保持装置69は、ドラムカメラ68の不図示のレンズがウインチ48を向く第1姿勢と、当該レンズがカウンタウエイト14を向く第2姿勢との間で姿勢変化可能にドラムカメラ68を保持している。具体的には、保持装置69は、左右方向に沿う回転軸周りに回動可能にドラムカメラ68を保持している。すなわち、保持装置69は、仰角を変更可能にドラムカメラ68を保持している。なお、第2姿勢におけるドラムカメラ68の仰角は、ブーム42の起伏角度に拘わらずカウンタウエイト14を向くように変えられる。すなわち、ドラムカメラ68は、ブーム42の起伏角度に拘わらず、カウンタウエイト14を撮像可能である。また、保持装置69は、突片など、ドラムカメラ68が第1姿勢や第2姿勢を超えて回動することを規制する規制部を有していてもよい。
保持装置69は、図5が示すように、ドラムカメラ68を第1姿勢と第2姿勢との間で回動させるモータ70を備える。モータ70は、直流モータであってもよいし、サーボモータやステッピングモータなどの交流モータであってもよい。以下では、モータ70が直流モータである例が説明される。モータ70は、後述の電源回路65から正又は負の直流電圧を供給され、直流電圧の正負に応じた向き、及び電圧値に応じた回転数で回転駆動される。電源回路65からモータ70への直流電圧の供給は、コントローラ60が出力する駆動信号によって制御される。すなわち、コントローラ60は、モータ70の駆動を制御する。
ドラムカメラ68は、ウインチ48やカウンタウエイト14を撮像し、画像データを生成する。ドラムカメラ68が生成した画像データは、後述のコントローラ60に入力される。ドラムカメラ68は、本発明の「画像データ生成装置」に相当する。ただし、画像データ生成装置は、画像データを生成可能であれば、カメラ以外であってもよい。例えば、画像データ生成装置は、撮像対象に光を照射し、撮像対象で散乱された散乱光を受光し、照射した光と受光した散乱光から撮像対象の3次元画像データを生成する3次元レーザセンサであってもよい。3次元レーザセンサは、例えば、撮像領域の各部にパルスレーザを照射して走査を行い、撮像領域にある撮像対象の3次元画像データを生成する。
なお、ブーム42において、ドラムカメラ68からウインチ48まで、また、ドラムカメラ68からカウンタウエイト14までの撮像経路は、開放されている。すなわち、ドラムカメラ68は、第1姿勢に姿勢変化されることによってウインチ48を撮像することができ、第2姿勢に姿勢変化されることによってカウンタウエイト14を撮像することができる。
上述では、回動によってドラムカメラ68が第1姿勢及び第2姿勢に姿勢変化される例が説明された。しかしながら、ドラムカメラ68は、スライドなど他の方法によって第1姿勢及び第2姿勢に姿勢変化されてもよい。また、油圧シリンダや電動シリンダなど、モータ70以外の駆動源が保持装置69に用いられてもよい。
図5が示す電源回路65は、ディスプレイ67やドラムカメラ68やモータ70に供給する電力を生成する回路である。電源回路65は、例えばDC-DCコンバータである。電源回路65は、バッテリ24から供給された直流電圧を、安定した所定の電圧値の直流電圧に変換して出力する。電源回路65は、例えば、バッテリ24から供給された12Vや24V等の直流電圧を、3.3Vや5Vや12V等の安定した直流電圧に変換して出力する。電源回路65は、例えば、スイッチング素子を有するスイッチングレギュレータである。コントローラ60は、駆動信号を電源回路65のスイッチング素子に入力することにより、ディスプレイ67やドラムカメラ68やモータ70の駆動を制御する。
コントローラ60は、図5が示すように、中央演算処理装置であるCPU61と、ROM62と、RAM63と、メモリ64と、を備える。
ROM62は、オペレーションシステムであるOS51と、制御プログラム52とを記憶する。制御プログラム52は、アドレスに記述された命令をCPU61が実行することにより、実行される。制御プログラム52は、ドラムカメラ68やモータ70の駆動を制御してドラムカメラ68に画像データを生成させ、生成させた画像データからカウンタウエイト14の総重量を決定するプログラムである。詳しくは後述される。
RAM63は、制御プログラム52の実行に用いられる。メモリ64は、制御プログラム52の実行に必要なデータを記憶する。具体的には、メモリ64は、複数の基本画像データと、データテーブルと、性能データテーブルと、種々の閾値とを記憶する。
メモリ64が記憶する基本画像データは、ドラムカメラ68でカウンタウエイト14を予め撮像することによって得られた画像データである。一の基本画像データは、分割ウエイト15の一の組み合わせで構成されるカウンタウエイト14を示す。例えば、一の基本画像データは、1個の第1分割ウエイト15と、第1分割ウエイト15とは重量の相違する1個の第2分割ウエイト15とで構成されるカウンタウエイト14を撮像した画像データである。他の一の基本画像データは、2個の第2分割ウエイト15と、第2分割ウエイト15とは重量の相違する2個の第3分割ウエイト15とで構成されるカウンタウエイト14を撮像した画像データである。複数の基本画像データは、支持体40(図1)が支持可能な分割ウエイト15のあらゆる組み合わせを網羅する。すなわち、支持体40が支持可能な分割ウエイト15の組み合わせの数と同じ数の基本画像データが、メモリ64に予め記憶される。
識別記号が各基本画像データにそれぞれ付与されている。すなわち、各基本画像データは、識別記号によってそれぞれ識別される。識別記号は、数字であってもよいし、文字であってもよいし、数字と文字との組み合わせであってもよい。
メモリ64が記憶するデータテーブルは、識別記号と重量値とを対応付けて記憶している。具体的には、一の識別記号によって識別される基本画像データが示すカウンタウエイト14の総重量に相当する重量値が、当該識別記号と対応付けてデータテーブルに記憶されている。
メモリ64が記憶する性能データテーブルは、重量値と性能データとを対応付けて記憶している。性能データは、ブーム42の許容作業半径を決定するデータである。性能データは、例えば、アウトリガ31、32の張出位置やフック49が吊下する荷物の重量(以下、負荷と記載する)の大きさやブーム42の長さに応じたブーム42の起伏角の上限や下限を規定するデータである。或いは、性能データは、アウトリガ31、32の張出位置や負荷の大きさやブーム42の起伏角に応じたブーム42の長さの上限を規定するデータである。コントローラ60は、性能データを用いて、ブーム42の駆動制御を行う。詳しくは後述される。
なお、メモリ64は、上述のデータテーブルと性能データテーブルとを別々に記憶していてもよいし、1つのデータテーブルとして記憶していてもよい。
メモリ64が記憶する閾値は、カウンタウエイト14の総重量を決定する際に用いられる値であり、メモリ64に予め記憶される。詳しくは後述される。
コントローラ60は、図5が示すセンサ群16と不図示のケーブルを用いて接続されている。センサ群16は、例えば、ブーム42の起伏角度を検出する起伏角センサや、ブーム42の長さを検出するブーム長さセンサや、負荷の大きさを検出する負荷センサや、旋回台41の旋回位置を検出する旋回角センサや、アウトリガ31、32の内筒35の位置を検出するアウトリガセンサなどを含む。センサ群16が出力するセンサ信号は、コントローラ60に入力される。
また、コントローラ60は、運転装置17及び操縦装置18が備える操作レバーや操作ボタン等や、スピーカ66や、ディスプレイ67や、ドラムカメラ68や、電源回路65や、油圧装置22が備える電磁弁等と不図示のケーブルを用いて接続されている。コントローラ60は、運転装置17及び操縦装置18から操作信号を入力され、スピーカ66に音声信号を入力し、ディスプレイ67に画像信号を入力する。また、コントローラ60は、ドラムカメラ68に制御信号を入力してドラムカメラ68に撮像を行わせ、ドラムカメラ68が生成した画像データの入力を受け付ける。また、コントローラ60は、電源回路65やモータ70や電磁弁等に駆動信号を入力し、モータ70や旋回モータ23等の駆動を制御する。
[カウンタウエイト重量決定処理]
以下では、ROM62が記憶する制御プログラム52がカウンタウエイト14の総重量を決定するカウンタウエイト重量決定処理が説明される。なお、以下では、制御プログラム52が実行する処理は、コントローラ60が実行する処理として記載される。
コントローラ60は、図6が示すように、カウンタウエイト14の総重量の検出を開始するトリガとなる操作信号が入力されたか否かを判断する(S11)。操作信号は、例えば、カウンタウエイト14の総重量の検出を開始させる特定の操作ボタンがオペレータによって操作されたことに応じてコントローラ60に入力されてもよい。或いは、操作信号は、クレーン装置12を操作する操作レバーや操作ボタンがオペレータによって操作されたことに応じてコントローラ60に入力されてもよい。すなわち、カウンタウエイト重量決定処理は、クレーン装置12の動作が開始される前に実行される。
コントローラ60は、操作信号が入力されるまで待機する(S11:No)。そして、コントローラ60は、操作信号が入力されたと判断すると(S11:Yes)、ドラムカメラ調整処理を実行する(S12)。
ドラムカメラ調整処理は、ドラムカメラ68の姿勢を第1姿勢から第2姿勢にする処理である。詳しく説明すると、コントローラ60は、駆動信号を電源回路65に出力し、モータ70を駆動させる。駆動したモータ70は、ドラムカメラ68を第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化させる。
なお、ドラムカメラ68の初期姿勢が第2姿勢である場合は、ドラムカメラ調整処理は省略されてもよい。また、ドラムカメラ調整処理において、コントローラ60は、ドラムカメラ68の焦点距離を変更させる制御信号をドラムカメラ68に入力してもよい。当該制御信号を入力されたドラムカメラ68は、ウインチ48までの距離であった焦点距離をカウンタウエイト14までの距離に変更する。ただし、ドラムカメラ68は、オートフォーカス機能を有していてもよい。
コントローラ60は、ドラムカメラ調整処理の実行後、撮像処理を実行する(S13)。具体的には、コントローラ60は、ドラムカメラ68に制御信号を入力し、ドラムカメラ68にカウンタウエイト14を撮像させる。カウンタウエイト14を撮像したドラムカメラ68は、画像データを生成し、出力する。
コントローラ60は、ドラムカメラ68から画像データが入力されるまで待機する(S14:No)。コントローラ60は、ドラムカメラ68から画像データが入力されると(S14:Yes)、画像解析処理を実行する(S15)。
詳しく説明すると、コントローラ60は、入力された画像データにおいて、色や明度や輝度が閾値以上変化する特異点を抽出する。当該閾値は、メモリ64に予め記憶される。そして、コントローラ60は、抽出した特異点の分布を示すデータ(以下、検出データとも記載する)をメモリ64に一時記憶し、画像解析処理を終了する。なお、コントローラ60は、CPU61の処理負担を低減するため、また、解析処理の処理速度を高めるため、ドラムカメラ68から入力された画像データに2値化処理を実行してから特異点を抽出してもよい。
コントローラ60は、画像解析処理の実行後、基本画像データ決定処理を実行する(S16)。基本画像データ決定処理は、メモリ64に記憶された複数の基本画像データの中から、ドラムカメラ68から入力された画像データに一致するものを選択して決定する処理である。
詳しく説明すると、コントローラ60は、複数の基本画像データの中から一の基本画像データを選択し、選択した基本画像データに対して上述の画像解析処理を実行し、特異点の分布を示すデータ(以下、基本データとも記載する)を取得する。そして、コントローラ60は、取得した基本データと、上述の検出データとの一致率を算出し、算出した一致率を、基本画像データの識別記号と対応付けてメモリ64に記憶させる。コントローラ60は、全ての基本画像データに対して画像解析処理を実行し、識別記号と対応付けて算出した一致率をメモリ64に記憶させる。そして、コントローラ60は、最も高い一致率と対応付けられた識別記号が示す基本画像データを、ドラムカメラ68から入力された画像データに一致する基本画像データとして決定する。
なお、コントローラ60は、算出した一致率がメモリ64に予め記憶された閾値以上である基本画像データを、ドラムカメラ68から入力された画像データに一致する基本画像データとして決定してもよい。その場合、全ての基本画像データについて一致率が算出される必要が無くなる。その結果、CPU61の処理負担が低減し、また、コントローラ60の処理速度が速くなる。
また、複数の基本画像データに代えて、或いは基本画像データとともに、特異点の分布を示す複数の基本データがメモリ64に予め記憶されていてもよい。その場合、基本データは、本発明の「基本画像データ」に相当する。基本データがメモリ64に予め記憶されることにより、各基本画像データに対して画像解析処理がそれぞれ実行されることがなくなる。その結果、CPU61の処理負担が低減し、また、コントローラ60の処理速度が速くなる。
上述では、特異点の分布の一致率によって、ドラムカメラ68から入力された画像データに一致する基本画像データを決定する例が説明された。しかしながら、他の方法によって、複数の基本画像データの中から、ドラムカメラ68から入力された画像データに一致する基本画像データが決定されてもよい。すなわち、複数の基本画像データの中から、ドラムカメラ68から入力された画像データに一致する基本画像データを決定可能であれば、どのような画像解析方法が選択されてもよい。
次に、コントローラ60は、ドラムカメラ68が撮像したカウンタウエイト14の総重量を決定する総重量決定処理を実行する(S17)。具体的には、コントローラ60は、基本画像データ決定処理で決定した基本画像データの識別記号と対応付けられた重量値を、メモリ64に記憶されたデータテーブルから選択して決定する。コントローラ60は、データテーブルから選択して決定した重量値を、ドラムカメラ68が撮像したカウンタウエイト14の総重量に決定する。
コントローラ60は、カウンタウエイト14の総重量を示す重量値を決定した後、性能データ決定処理を実行する(S18)。具体的には、コントローラ60は、ステップS17で決定した重量値と対応する性能データを、メモリ64に記憶された性能データテーブルから選択して決定する。なお、性能データテーブルは、重量値と補正値とを対応付けて記憶していてもよい。その場合、コントローラ60は、ステップS17で決定した重量値と対応する補正値を選択して決定する。コントローラ60は、決定した補正値を用いて、予め決められた性能データを補正する。
コントローラ60は、性能データを決定したことに応じて、カウンタウエイト重量決定処理を終了する。そして、コントローラ60は、決定した性能データを用いて、図7が示すブーム制御処理を実行する。
なお、図6のフローチャートには示されていないが、コントローラ60は、画像データが入力されたと判断した後(S14:Yes)、カウンタウエイト14を向くドラムカメラ68のレンズの向きを、ウインチ48を向く向きに変える。具体的には、コントローラ60は、ドラムカメラ調整処理とは逆向きにモータ70を駆動させ、第2姿勢にあるドラムカメラ68を第1姿勢に姿勢変化させる。
[ブーム制御処理]
コントローラ60は、図7が示すように、操縦装置18からブーム42を操作する操作信号が入力するまで待機する(S21:No)。すなわち、ブーム制御処理は、操作信号の入力をトリガとして実行される。
コントローラ60は、操作信号が入力したと判断すると(S21:Yes)、入力した操作信号に基づいて、ブーム42の動作を開始させる(S22)。具体的には、コントローラ60は、駆動信号を油圧装置22の電磁弁等に入力して、旋回モータ23、起伏シリンダ46、及び伸縮シリンダ47を駆動させる。
次に、コントローラ60は、センサ群16(旋回角センサ、起伏角センサ、ブーム長さセンサ)から入力される検出信号に基づいて、旋回台41の旋回位置、ブーム42の起伏角度、及びブーム42の伸長長さを検出する。コントローラ60は、検出した旋回位置におけるブーム42の起伏角度や伸長長さが、カウンタウエイト重量決定処理で決定した性能データで決まる値に達したか否かを判断する(S23)。すなわち、ステップS23では、ブーム42が許容作業半径の端まで到達したか否かが判断される。
コントローラ60は、ブーム42の起伏角度や伸長長さが、決定した性能データで決まる値に達していないと判断すると(S23:No)、操作信号の入力が停止したか否かを判断する(S24)。コントローラ60は、操作信号の入力が停止したと判断すると(S24:Yes)、ブーム42を通常停止させ(S25)、ブーム制御処理を終了する。通常停止とは、操作信号が入力されなくなったことに起因して、ブーム42を停止させることを意味する。この場合においてコントローラ60は、操作信号が再び入力すると、ブーム制御処理を再び実行する。
コントローラ60は、ステップS24において、操作信号が継続して入力されていると判断すると(S24:No)、ステップS23の処理を再び実行する。すなわち、コントローラ60は、入力された操作信号によってブーム42が動作されている間、ブーム42の起伏角度や伸長長さがカウンタウエイト重量決定処理で決定した性能データで決まる値に達したか否かを継続して判断する(S23)。
コントローラ60は、ステップS23において、ブーム42の起伏角度や伸長長さが、カウンタウエイト重量決定処理で決定した性能データで決まる値に達したと判断すると(S23:Yes)、ブーム42の停止を報知する(S26)。具体的には、コントローラ60は、ディスプレイ67に警告画面を表示し、或いは、スピーカ66に警告音を出力させる。その後、コントローラ60は、ブーム42を強制停止させ(S27)、ブーム制御処理を終了する。強制停止とは、操作信号が入力しているか否かに拘わらず、ブーム42を停止させることを意味する。この場合において、コントローラ60は、例えば、強制停止を解除する不図示のスイッチが操作されるまで、操作信号が入力されてもブーム制御処理を実行しない。
なお、図7のフローチャートには示されていないが、コントローラ60は、ブーム42やウインチ48を動作させる操作信号が入力されたことに応じて、ウインチ48を向くドラムカメラ68にウインチ48を撮像させる。ドラムカメラ68は、ウインチ48を撮像して画像データ(映像データ)を生成し、生成した画像データをコントローラ60に入力する。コントローラ60は、入力された画像データをディスプレイ67に入力し、ウインチ48の画像をディスプレイ67に表示させる。
また、図7のフローチャートには示されていないが、コントローラ60は、ブーム42を動作させている間において、すなわち、図7に示されるブーム制御処理を実行している間において、図6に示されるカウンタウエイト重量決定処理を定期的に実行してもよい。例えば、コントローラ60は、カウンタウエイト重量決定処理の実行後、カウントダウンタイマカウンタを動作させ、カウントダウンタイマカウンタがゼロになったと判断すると、カウンタウエイト重量決定処理を再度実行する。したがって、クレーン車10の安全性がさらに高められる。
[実施形態の作用効果]
コントローラ60は、ドラムカメラ68が生成した画像データに基づいて、支持体40に支持されたカウンタウエイト14の総重量を決定する。したがって、本実施形態のクレーン車10は、カウンタウエイト14を構成する分割ウエイト15の種類及び個数に拘わらず、簡単な構成でカウンタウエイト14の総重量を検出することができる。
また、カウンタウエイト14を撮像した画像データは、ウインチ48を撮像するドラムカメラ68を用いて生成される。したがって、カウンタウエイト14を撮像した画像データを得るために新たにカメラを設ける必要がない。その結果、本実施形態のクレーン車10は、部品点数や、製造コストや、製造工数を低減することができる。
また、決定したカウンタウエイト14の総重量(性能データ)を用いてブーム制御処理が実行されるので、クレーン車10の安全性が高められる。
また、カウンタウエイト重量決定処理は、ブーム42の動作中に定期的に実行されるので、性能データが定期的に再決定される。その結果、クレーン車10の安全性がさらに高められる。
また、ドラムカメラ68は、ブーム42に設けられているので、カウンタウエイト14と共に旋回する。したがって、ドラムカメラ68は、旋回台41の旋回位置に拘わらず、カウンタウエイト14を撮像して画像データを生成することができる。
[変形例1]
上述の実施形態のクレーン車10は、ドラムカメラ68を用いてカウンタウエイト14を撮像する。図8が示すように、本変形例のクレーン車10’は、クレーン車10’の後方を撮像する後方カメラ71を用いてカウンタウエイト14を撮像する。以下、詳しく説明がされる。なお、上述の実施形態と同一の構成及び処理は、実施形態と同一の符号が付されて説明が省略される。
後方カメラ71は、車体20の後部の上面に設置されている。後方カメラ71は、図9に示される保持装置72によって、後方カメラ71のレンズが車体20の後方を向く第3姿勢と、後方カメラ71のレンズが前方のカウンタウエイト14を向く第4姿勢とに姿勢変化可能に保持されている。なお、図8は、後方カメラ71が前方のカウンタウエイト14を向く第4姿勢である状態を示している。
詳しく説明すると、保持装置72は、上下方向に沿う第1回転軸周りに回動可能に車体20に保持されている。そして、保持装置72は、水平方向に沿う第2回転軸周りに回動可能に後方カメラ71を保持している。保持装置72は、後方カメラ71のレンズが車体20の後方を向く第3姿勢と、レンズが前方を向く第4姿勢との間で回動される。
保持装置72は、図9が示す第1モータ73によって、第1回転軸周りに回動される。第1モータ73は、車体20に設けられている。また、保持装置72は、第2モータ74を備える。第2モータ74は、第2回転軸周りに後方カメラ71を回動させる。すなわち、第2モータ74は、後方カメラ71の仰角を変える。第1モータ73及び第2モータ74は、実施形態で説明されたモータ70と同様に、直流モータや交流モータである。以下では、第1モータ73及び第2モータ74が直流モータである例が説明される。第1モータ73及び第2モータ74は、電源回路65から直流電圧を供給されて駆動される。電源回路65から第1モータ73及び第2モータ74への直流電圧の供給は、コントローラ60から電源回路65に入力される駆動信号によって制御される。すなわち、第1モータ73及び第2モータ74は、コントローラ60によって、回転の向きや回転数を制御される。
なお、保持装置72は、実施形態の保持装置69と同様に、後方カメラ71が必要以上に回動することを規制する規制部を有していてもよい。また、車体20は、後方カメラ71が第3姿勢及び第4姿勢を超えて回動することを規制する規制部を有していてもよい。
本変形例のコントローラ60が実行するカウンタウエイト重量決定処理が、図10を参照して説明される。コントローラ60は、上述の実施形態と同様にステップS11の処理の実行後、旋回台41が所定の旋回位置にあるか否かを判断する(S31)。所定の旋回位置は、例えば、倒伏したブーム42の先端が車体20の前方を向く位置である。すなわち、コントローラ60は、後方カメラ71がカウンタウエイト14に正対する旋回位置に旋回台41を旋回させる。なお、後方カメラ71がカウンタウエイト14の全体を撮像可能であれば、後方カメラ71とカウンタウエイト14とは、必ずしも正対していなくてもよい。カウンタウエイト14の全体を後方カメラ71が撮像可能なように、後方カメラ71がカウンタウエイト14を斜めに撮像する位置が所定の旋回位置とされてもよい。
コントローラ60は、旋回台41が所定の旋回位置にあると判断すると(S31:Yes)、ステップS32の処理をスキップする。コントローラ60は、旋回台41が所定の旋回位置にないと判断すると(S31:No)、所定の旋回位置まで旋回台41を旋回させる(S32)。所定の旋回位置は、メモリ64に予め記憶される。コントローラ60は、センサ群16の旋回角センサが検出した旋回位置が、メモリ64に予め記憶された旋回位置に到達したことに応じて旋回台41の旋回を停止し、旋回台41を所定の旋回位置にする。
コントローラ60は、旋回台41を所定の旋回位置に旋回させた後、後方カメラ71のレンズが向く向きを後方から前方に変える後方カメラ調整処理を実行する(S33)。具体的には、コントローラ60は、駆動信号を電源回路65に入力し、第1モータ73を駆動させる。駆動した第1モータ73は、後方カメラ71のレンズが前方を向く姿勢まで保持装置72を回動させる。次に、コントローラ60は、駆動信号を電源回路65に入力し、第2モータ74を駆動させる。駆動した第2モータ74は、後方カメラ71のレンズが前方斜め上を向く第4姿勢まで後方カメラ71を回動させる。なお、後方カメラ71の初期姿勢が第4姿勢である場合は、後方カメラ調整処理は省略されてもよい。
そして、コントローラ60は、実施形態と同様にステップS13からステップS18までの処理を実行して、カウンタウエイト14の総重量を決定し、決定したカウンタウエイト14の総重量から性能データを決定してカウンタウエイト重量決定処理を終了する。そして、コントローラ60は、決定した性能データを用いて、図7に示されるブーム制御処理を実行する。
[変形例1の作用効果]
本変形例のクレーン車10’は、既設の後方カメラ71を用いてカウンタウエイト14を撮像する。したがって、カウンタウエイト14を撮像した画像データを得るために新たにカメラを設ける必要がない。その結果、本変形例のクレーン車10’は、部品点数や、製造コストや、製造工数を低減することができる。
[変形例2]
上述の実施形態のクレーン車10は、ドラムカメラ68を用いてカウンタウエイト14を撮像する。本変形例のクレーン車10’(図8)は、車体20の側方を撮像する左カメラ75及び右カメラ76を用いてカウンタウエイト14を撮像する。本変形例は、例えば、図2が示すように、カウンタウエイト14が左側の分割ウエイト群と右側の分割ウエイト群とで構成されている場合に、特に有用である。なお、上述の実施形態と同一の構成及び処理は、実施形態と同一の符号が付されて説明が省略される。
左カメラ75は、図8が示すように、車体20の左部であって、車体20の前後方向における中央部の上面に設置されている。右カメラ76は、車体20の右部であって、車体20の前後方向における中央部の上面に設置されている。
左右のカメラ75、76は、図11に示される保持装置77によって、それぞれ保持されている。保持装置77の構成は、変形例1で説明された保持装置72と、ほぼ同じである。一方の保持装置77は、左カメラ75のレンズが車体20の左方を向く姿勢(図8で破線表示)と、左カメラ75のレンズ(不図示)が後方のカウンタウエイト14を向く姿勢(図8で実線表示)とに姿勢変化可能に左カメラ75を保持している。他方の保持装置77は、右カメラ76のレンズが車体20の右方を向く姿勢(図8で破線表示)と、右カメラ76のレンズが後方のカウンタウエイト14を向く姿勢(図8で実線表示)とに姿勢変化可能に右カメラ76を保持している。
本変形例のコントローラ60が実行するカウンタウエイト重量決定処理が、図12を参照して説明される。コントローラ60は、上述の実施形態と同様にステップS11の処理の実行後、旋回台41が所定の第1旋回位置にあるか否かを判断する(S41)。所定の第1旋回位置は、後方を向く左カメラ75がカウンタウエイト14の左側(左側の分割ウエイト群)を撮像可能な位置である。所定の第1旋回位置は、メモリ64に予め記憶される。
コントローラ60は、旋回台41が所定の第1旋回位置にあると判断すると(S41:Yes)、ステップS42の処理をスキップする。コントローラ60は、旋回台41が所定の第1旋回位置にないと判断すると(S41:No)、上述の変形例1と同様にして、旋回台41を所定の第1旋回位置に旋回させる(S42)。
コントローラ60は、旋回台41を所定の第1旋回位置に旋回させた後、左カメラ75のレンズが向く向きを左方から後方に変える左カメラ調整処理を実行する(S43)。具体的には、コントローラ60は、変形例1と同様にしてモータ73、74を駆動させ、左カメラ75の向き及び仰角を変える。
コントローラ60は、左カメラ調整処理の実行後、左カメラ75にカウンタウエイト14を撮像させる左カメラ撮像処理を実行する(S44)。そして、コントローラ60は、左カメラ75がカウンタウエイト14を撮像して生成した画像データ(以下、左側画像データとも記載する)が入力されるまで待機する(S45:No)。コントローラ60は、左側画像データが入力されたと判断すると(S45:Yes)、入力された左側画像データをメモリ64に記憶させた後、旋回台41が所定の第2旋回位置にあるか否かを判断する(S51)。
所定の第2旋回位置は、後方を向く右カメラ76がカウンタウエイト14の右側(右側の分割ウエイト群)を撮像可能な位置である。所定の第2旋回位置は、メモリ64に予め記憶される。
コントローラ60は、旋回台41が所定の第2旋回位置にあると判断すると(S51:Yes)、ステップS52の処理をスキップする。コントローラ60は、旋回台41が所定の第2旋回位置にないと判断すると(S51:No)、上述の変形例1と同様にして、旋回台41を所定の第2旋回位置に旋回させる(S52)。なお、上述の第1旋回位置と第2旋回位置とは、同じ位置であってもよいし、相違していてもよい。
コントローラ60は、旋回台41を所定の第2旋回位置に旋回させた後、右カメラ76のレンズが向く向きを右方から後方に変える右カメラ調整処理を実行する(S53)。具体的には、コントローラ60は、変形例1と同様にしてモータ73、74を駆動させ、右カメラ76の向きを変える。
コントローラ60は、右カメラ調整処理の実行後、右カメラ76にカウンタウエイト14を撮像させる右カメラ撮像処理を実行する(S54)。そして、コントローラ60は、右カメラ76がカウンタウエイト14を撮像して生成した画像データ(以下、右側画像データとも記載する)が入力されるまで待機する(S55:No)。コントローラ60は、右側画像データが入力されたと判断すると(S55:Yes)、入力された右側画像データをメモリ64に記憶させた後、上述の実施形態と同様にステップS15~S18までの処理を実行する。例えば、コントローラ60は、左側画像データに基づいて、左側の分割ウエイト群の総重量を決定し、右側画像データに基づいて、右側の分割ウエイト群の総重量を決定し、決定した左右の分割ウエイト群の総重量の和をカウンタウエイト14の総重量に決定する。そして、コントローラ60は、決定したカウンタウエイト14の総重量に基づいて性能データを決定し、決定した性能データを用いて、図7に示されるブーム制御処理を実行する。左側画像データと右側画像データとは、本発明の「第1画像データ」と「第2画像データ」とに相当する。
なお、メモリ64は、第1旋回位置において左カメラ75がカウンタウエイト14の左側(左側の分割ウエイト群)を撮像して得られる複数の左側基本画像データを予め記憶する。また、メモリ64は、第2旋回位置において右カメラ76がカウンタウエイト14の右側(右側の分割ウエイト群)を撮像して得られる複数の右側基本画像データを予め記憶する。左側基本画像データ及び右側基本画像データは、分割ウエイト15のあらゆる組み合わせを網羅する。
[変形例2の作用効果]
左カメラ75がカウンタウエイト14の左側を撮像し、右カメラ76がカウンタウエイト14の右側を撮像する。したがって、図2が示すように、カウンタウエイト14が左側の分割ウエイト群と右側の分割ウエイト群とで構成される場合など、1台のカメラでカウンタウエイト14の全体の撮像が困難であるクレーン車10’であっても、クレーン車10’は、カウンタウエイト14を撮像してカウンタウエイト14の総重量を決定することができる。
また、本変形例のクレーン車10’は、既設の左右のカメラ75、76を用いてカウンタウエイト14を撮像する。したがって、カウンタウエイト14を撮像した画像データを得るために、新たにカメラが設けられる必要がない。その結果、本変形例のクレーン車10’は、部品点数や、製造コストや、製造工数を低減することができる。
[その他の変形例]
ドラムカメラ68が生成した画像データと、メモリ64に記憶された複数の基本画像データとに基づいてカウンタウエイト14の総重量が決定される例が、上述の実施形態で説明された。しかしながら、ドラムカメラ68が生成した画像データのみに基づいて、カウンタウエイト14の総重量が決定されてもよい。例えば、コントローラ60は、ドラムカメラ68が生成した画像データに基づいて、特異点を抽出し、抽出した特異点からカウンタウエイト14の外形(輪郭)を決定し、決定した外形に囲まれた面積を決定する。メモリ64は、面積と重量値とが対応付けられたデータテーブルを記憶する。コントローラ60は、決定した面積に対応する重量値を選択し、選択した重量値をカウンタウエイト14の総重量に決定する。或いは、メモリ64は、カウンタウエイト14の外形を示す複数の外形画像と、当該外形画像に付与された識別記号と、重量値とが対応付けられたデータテーブルを記憶する。コントローラ60は、決定したカウンタウエイト14の外形との一致率がメモリ64に記憶された閾値以上である外形画像をメモリ64に記憶された複数の外形画像の中から選択して決定する。そして、コントローラ60は、決定した外形画像に付与された識別記号と対応付けられた重量値をデータテーブルから選択して決定する。コントローラ60は、決定した重量値をカウンタウエイトの総重量に決定する。上述のように、ドラムカメラ68が生成した画像データに基づいて重量値を決定可能であれば、どのような方法が用いられてもよい。
ドラムカメラ68、後方カメラ71、及び左右のカメラ75、76が画像データを生成する例が、上述の実施形態及び変形例1、2で説明された。すなわち、既設のカメラを用いてカウンタウエイト14を撮像して画像データが生成される例が説明された。しかしながら、既設のカメラではなく、カウンタウエイト14を撮像する専用のカメラや3次元レーザセンサがクレーン車10、10’に設けられてもよい。専用のカメラや3次元レーザセンサは、車体20に設けられていてもよいし、旋回台41に設けられていてもよいし、ブーム42に設けられていてもよい。また、ドラムカメラ68、後方カメラ71、及び左右のカメラ75、76以外の既設のカメラを用いてカウンタウエイト14が撮像され、画像データが生成されてもよい。
また、カメラや3次元レーザセンサは、クレーン車10、10’に設けられていなくてもよい。例えば、カメラ及び通信モジュールを備えた携帯端末が用いられてもよい。オペレータは、携帯端末を用いて所定の画角及び距離からカウンタウエイト14を撮像する。携帯端末は、カウンタウエイト14を撮像することによって生成した画像データを通信モジュールを用いて送信する。一方、コントローラ60は、通信モジュールを備える。コントローラ60は、携帯端末が送信した画像データを、直接或いは通信基地局などを介して受信する。コントローラ60は、受信した画像データを用いてカウンタウエイト14の総重量を決定する。なお、所定の距離とは、例えば、カウンタウエイト14に正対して2から8m程度離れた距離であって、所定の画角とは、例えば地面から1mの高さ位置からカウンタウエイト14を撮像する際の画角である。
また、本発明の「ブーム装置」の一例としてクレーン装置12が上述の実施形態で説明された。しかしながら、本発明の「ブーム装置」は、クレーン装置12の他、ブーム42の先端に把持機構が設けられた把持装置であってもよいし、その他の装置であってもよい。
また、CPU61や、制御プログラム52を記憶するROM62などによってコントローラ60が構成された例が、上述の実施形態で説明された。しかしながら、コントローラ60は、オペアンプなどのICや抵抗やコンデンサなど、マイクロコンピュータを用いない、いわゆるアナログ回路として構成されていてもよい。
また、基本画像データやデータテーブルや性能データテーブルがメモリ64に記憶された例が、上述の実施形態で説明された。しかしながら、基本画像データやデータテーブルや性能データテーブルが記憶されたUSBメモリやSDカードなどの可搬記憶媒体が装着される装着部が制御基板等に設けられていてもよい。その場合、分割ウエイト15の種類の追加に合わせて可搬記憶媒体が入れ替えられる。したがって、コントローラ60を形成する制御基板を入れ替えることなく、分割ウエイト15の種類の追加に対応させることができる。可搬記憶媒体は、本発明の「メモリ」に相当する。
また、ドラムカメラ68が基端ブーム43に設けられた例が、上述の実施形態で説明された。しかしながら、ドラムカメラ68は、ウインチ48の取付位置に応じて、旋回台41に設けられていてもよい。
また、ドラムカメラ68、後方カメラ71、並びに左右のカメラ75、76がモータ70、73、74によって移動される例が、上述の実施形態及び変形例で説明された。しかしながら、ドラムカメラ68、後方カメラ71、並びに左右のカメラ75、76は、オペレータによって手動で移動されてもよい。
ドラムカメラ68や、後方カメラ71や、左右のカメラ75、76は、ケーブル等によってコントローラ60と有線接続されていてもよいが、コントローラ60と無線接続されていてもよい。その場合、ドラムカメラ68、後方カメラ71、及び左右のカメラ75、76は、充電池などのバッテリを内蔵する。