JP7191572B2 - 歯車構造 - Google Patents

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本開示は、歯車構造に関する。
歯車のかみ合い時に発生する打撃音やうねり音を抑える方法として、熱処理ひずみ制御や、対になる歯車の精度を測定し、歯車の組み合わせ選択を行う方法が知られている。
また、より効果的に前記打撃音やうねり音を抑える方法として、歯車に熱処理を施した後、歯車研削仕上げや、歯車ホーニング仕上げを行う方法がある。この方法によれば、騒音発生要因の1つであるギヤの累積ピッチ精度も向上する。
特開平9-14396号公報
しかしながら、歯車研削仕上げや、歯車ホーニング仕上げには、歯車研削盤やホーニング盤等の専用機が必要であるため製造コストが高くなるという課題がある。
この解決手法としては、スプライン穴及びスプライン軸の各スプラインの歯面間に、緩衝材を介在させる歯車構造が考えられる。しかし、この歯車構造では、スプライン同士の伝達トルクが大きい場合に、緩衝材が歯面間で過大に圧縮されて破損する虞がある。
そこで本開示は、かかる事情に鑑みて創案され、その目的は、スプライン軸及びスプライン穴の各スプラインの歯面間に介在された緩衝材の破損を抑制することができる歯車構造を提供することにある。
本開示の一の態様によれば、中心にスプライン穴を有する歯車と、前記スプライン穴に挿入され前記歯車を支持するためのスプライン軸と、を備えた歯車構造であって、前記スプライン軸のスプラインは、周方向の同じ向きで配置された第1及び第2の歯面を有し、前記第1の歯面には、その第1の歯面に対向する前記スプライン穴のスプラインの歯面に当接する緩衝材が固定され、前記第2の歯面とその第2の歯面に対向する前記スプライン穴のスプラインの歯面との間には、隙間が形成され、前記隙間の大きさは、前記緩衝材の厚さよりも小さいことを特徴とする歯車構造が提供される。
好ましくは、前記隙間の大きさは、前記緩衝材が前記第1の歯面と前記スプライン穴のスプラインの歯面との間で圧縮されたときに、前記緩衝材が限界歪みを超えないように設定されるとよい。
また、前記第2の歯面を有するスプラインの歯先面は、その歯先面に対向する前記スプライン穴のスプラインの溝底面に当接されてもよい。
また、前記スプライン軸は、軸方向に互いに並列して設けられた第1及び第2のスプラインを有し、前記第1の歯面は、前記第1のスプラインに設けられ、前記第2の歯面は、前記第2のスプラインに設けられてもよい。
また、前記スプライン軸は、回転軸と、軸方向に互いに並列して前記回転軸に回転不能に嵌合された第1及び第2の環状部材と、を有し、前記第1のスプラインは、前記第1の環状部材の外周部に形成され、前記第2のスプラインは、前記第2の環状部材の外周部に形成されてもよい。
また、前記第1及び第2の環状部材は、互いのスプライン位相を合わせるための位相合わせ機構を備えてもよい。
本開示の他の態様によれば、中心にスプライン穴を有する歯車と、前記スプライン穴に挿入され前記歯車を支持するためのスプライン軸と、を備えた歯車構造であって、前記スプライン穴のスプラインは、周方向の同じ向きで配置された第1及び第2の歯面を有し、前記第1の歯面には、その第1の歯面に対向する前記スプライン軸のスプラインの歯面に当接する緩衝材が固定され、前記第2の歯面とその第2の歯面に対向する前記スプライン軸のスプラインの歯面との間には、隙間が形成され、前記隙間の大きさは、前記緩衝材の厚さよりも小さいことを特徴とする歯車構造が提供される。
本開示によれば、スプライン軸及びスプライン穴の各スプラインの歯面間に介在された緩衝材の破損を抑制することができる。
本開示の一実施の形態に係る歯車構造の全体を示す概略断面図である。 図1のII-II線断面図である。 図1の要部拡大図である。 図3のIV-IV線断面図である。 図3のV-V線断面図である。 図4に示した緩衝材の作用を示す断面図である。 図5に示した隙間の作用を示す断面図である。 他の実施の形態に係る歯車構造の要部拡大図である。 図8のIX-IX線断面図である。 図8のX-X線断面図である。 図1に示したベアリングについての変形例を示す断面図である。
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお、図中に示す各方向は、説明の便宜上定められたものに過ぎないものとする。
図1は、本実施形態に係る歯車構造の全体を示す概略断面図であり、図2は、図1のII-II線断面図である。また、図3は、図1の要部拡大図であり、図4は、図3のIV-IV線断面図であり、図5は、図3のV-V線断面図である。なお、図1中の一点鎖線Cは、歯車の回転中心を示す。
図1~図3に示すように、本実施の形態に係る歯車構造は、中心にスプライン穴10を有する第1の歯車1と、スプライン穴10に挿入され第1の歯車1を支持するためのスプライン軸20と、を備える。第1の歯車1は、特許請求の範囲にいう歯車に該当する。
第1の歯車1は、外歯歯車で構成される。また、第1の歯車1は、外周に形成されるリム部2と、内周に形成されるボス部3と、リム部2及びボス部3の間に形成されるウェブ部4と、を備える。
リム部2の外周には、図示しない他の歯車と噛み合わせるための歯5が形成される。歯5は、歯面の断面形状をインボリュート曲線にて形成される。すなわち、第1の歯車1は、インボリュート歯車で構成される。但し、第1の歯車1は、インボリュート歯車に限るものではない。また、第1の歯車1は、サイクロイド歯車等の他のタイプの歯車であってもよい。
ボス部3は、スプライン穴10を有する。スプライン穴10の内周部には、スプライン(以下、穴側スプライン11)が形成される。
穴側スプライン11は、ボス部3の内周面に軸方向に延びるスプライン溝(以下、穴側スプライン溝11a)を周方向に複数等間隔に形成して構成される。
スプライン軸20は、軸方向に互いに並列して設けられた第1のスプライン(以下、第1の軸側スプライン21)及び第2のスプライン(以下、第2の軸側スプライン22)を有する。
具体的には、スプライン軸20は、回転軸23と、軸方向に互いに並列して回転軸23に回転不能に嵌合された第1の環状部材24及び第2の環状部材25と、を有する。
回転軸23は、円管状に形成される。また、回転軸23は、軸方向の両端部の位置で、ベアリング7によって回転可能に支持される。ベアリング7は、第1の歯車1及び第2の歯車6を収容するケーシング8に対して、回転軸23を回転可能に支持する。本実施形態のベアリング7は、転がり軸受であり、ケーシング8に固定されるアウターレース7aと、回転軸23に固定されるインナーレース7bと、アウターレース7a及びインナーレース7bの間に回転可能に配置されたボール7cと、を備える。
また、本実施形態の回転軸23には、軸方向の前側の位置に第1及び第2の環状部材24,25が嵌合され、後側の位置に第2の歯車6が設けられる。
第2の歯車6は、外歯歯車で構成され、回転軸23に一体形成される。但し、回転軸23と第2の歯車6は、別体として設けられてもよい。
第1及び第2の環状部材24,25は、回転軸23に対して図示前側から圧入されることで嵌合される。なお、回転軸23と第1及び第2の環状部材24,25との圧入面は、基本的に、スプライン等の凹凸が形成されないスムーズな円筒面とされる。
本実施形態では、第1の環状部材24が2つ設けられる。2つの第1の環状部材24は、1つの第2の環状部材25を軸方向に挟んで配置される。なお、第1の環状部材24の軸方向の長さは、第2の環状部材25と同じ長さか、或いはそれより短い長さに設定される。また、第1及び第2の環状部材24,25は、鉄等の金属材料で形成される。但し、第1及び第2の環状部材24,25は、任意の長さ、数、配置、材質等であってよい。例えば、2つの第2の環状部材25が、1つの第1の環状部材24を軸方向に挟んで配置されてもよい。
第1の環状部材24の外周部には、第1の軸側スプライン21が形成され、第2の環状部材25の外周部には、第2の軸側スプライン22が形成される。
また、第1及び第2の環状部材24,25は、互いのスプライン位相を合わせるための位置合わせ機構Kを備える(図2を参照)。本実施形態の位置合わせ機構Kは、回転軸23の外周面と第1及び第2の環状部材24,25の内周面とにそれぞれ形成されたキー溝k1と、キー溝k1に差し込まれるキーk2と、を備えたキー機構である。
第1及び第2の環状部材24,25は、回転軸23に対してキー溝k1の位置を合わせて圧入される。そして、キー溝k1にキーk2を差し込むことで、第1及び第2の軸側スプライン21,22と回転軸23との位相が合わせられる。但し、位置合わせ機構Kは、キー機構に限るものではなく、ピン留め等の任意の構造であってよい。
図4及び図5に示すように、穴側スプライン11は、穴側スプライン溝11a間に形成される歯先面11bと、穴側スプライン溝11aの溝底で構成される溝底面11cと、を備える。また、穴側スプライン11は、歯先面11b及び溝底面11c間に径方向に延びて形成されトルク伝達をするための歯面12を備える。
穴側スプライン11の歯面12は、溝底面11cに対して、周方向の右回り側に位置する右側歯面12Rと、左回り側に位置する左側歯面12Lと、を有する。また、穴側スプライン11の歯面12R,12Lは、それぞれ圧力角を有し、径方向内方に向くように傾斜される。
また、穴側スプライン11の右側歯面12Rは、後述する第1及び第2の軸側スプライン21,22の右側歯面26R,27Rに共通して対向する。また、穴側スプライン11の左側歯面12Lは、後述する第1及び第2の軸側スプライン21,22の左側歯面26L,27Lに共通して対向する。
図4に示すように、第1の軸側スプライン21は、その外周面に軸方向に延びるスプライン歯(以下、第1の軸側スプライン歯21a)を周方向に複数等間隔に形成して構成される。また、第1の軸側スプライン21は、第1の軸側スプライン歯21aの先端面で構成される歯先面21bと、第1の軸側スプライン歯21aの間に形成される歯底面21cと、を備える。また、第1の軸側スプライン21は、歯先面21b及び歯底面21c間に径方向に延びて形成されトルク伝達をするための歯面26を備える。
第1の軸側スプライン21の歯面26は、歯先面21bに対して、周方向の右回り側に位置する右側歯面26Rと、左回り側に位置する左側歯面26Lと、を有する。第1の軸側スプライン21の歯面26R,26Lは、特許請求の範囲にいう第1の歯面に該当する。また、第1の軸側スプライン21の歯面26R,26Lは、それぞれ圧力角を有し、径方向内方に向くように傾斜される。
図5に示すように、第2の軸側スプライン22は、その外周面に軸方向に延びるスプライン歯(以下、第2の軸側スプライン歯22a)を周方向に複数等間隔に形成して構成される。また、第2の軸側スプライン22は、第2の軸側スプライン歯22aの先端面で構成される歯先面22bと、第2の軸側スプライン歯22aの間に形成される歯底面22cと、を備える。また、第2の軸側スプライン22は、歯先面22b及び歯底面22c間に径方向に延びて形成されトルク伝達をするための歯面27を備える。
第2の軸側スプライン22の歯面27は、歯先面22bに対して、周方向の右回り側を向いた右側歯面27Rと、左回り側を向いた左側歯面27Lと、を有する。第2の軸側スプライン22の歯面27R,27Lは、特許請求の範囲にいう第2の歯面に該当する。また、第2の軸側スプライン22の歯面27R,27Lは、それぞれ圧力角を有し、径方向内方に向くように傾斜される。
上述した通り、スプライン軸20のスプライン、すなわち第1及び第2の軸側スプライン21,22は、周方向の同じ向きで配置された右側歯面26R,27R及び左側歯面26L,27Lを有する。
第1の軸側スプライン21の歯面26R,26Lには、図4に示すように、緩衝材30が固定される。緩衝材30は、その第1の軸側スプライン21の歯面26R,26Lに対向する穴側スプライン11の歯面12R,12Lに当接する。すなわち、緩衝材30の厚さDは、対向して配置された第1の軸側スプライン21の歯面26R,26Lと穴側スプライン11の歯面12R,12Lとの隙間と等しい大きさで形成される。
また、本実施形態の緩衝材30は、第1の軸側スプライン21の全周に亘って、全ての歯面26R,26Lと歯先面21bと歯底面21cとに設けられる。また、緩衝材30は、ナイロンで構成され、均一の膜厚でコーティングされて形成される。なお、緩衝材30はナイロンに限るものではない。例えば、緩衝材30は、ゴム等の他の樹脂等で構成されてもよい。
また、本実施形態では、緩衝材30と穴側スプライン11の歯先面11b及び溝底面11cとの間に、それぞれ径方向の隙間Z1,Z2が形成される。但し、これら径方向の隙間Z1,Z2は設けられなくてもよい。
一方、図5に示すように、第2の軸側スプライン22の歯面27R,27Lと、それらの歯面27R,27Lに対向する穴側スプライン11の歯面12R,12Lとの間には、隙間(以下、歯面隙間S)が形成される。歯面隙間Sは、特許請求の範囲にいう隙間に該当する。
歯面隙間Sの大きさは、緩衝材30の厚さDよりも小さい。具体的には、第2の軸側スプライン22の歯厚T2は、第1の軸側スプライン21の歯厚T1よりも大きく設定される。
また、歯面隙間Sの大きさは、緩衝材30が第1の軸側スプライン21の歯面26と穴側スプライン11の歯面12との間で圧縮されたときに、緩衝材30が限界歪みを超えないように設定される。より詳しくは、歯面隙間Sの大きさは、緩衝材30の圧縮による最大許容潰れ量(もしくは潰れ代)と同じ大きさに設定される。
また、第2の軸側スプライン22の歯先面22bは、その歯先面22bに対向する穴側スプライン11の溝底面11cに当接される。一方、第2の軸側スプライン22の歯底面22cと穴側スプライン11の歯先面11bとの間には、径方向の隙間Z3が形成される。
次に、本実施の形態の作用について述べる。図6は、図4に示した第1の軸側スプライン21における緩衝材30の作用を示す断面図である。また、図7は、図5に示した第2の軸側スプライン22における歯面隙間Sの作用を示す断面図である。
第1の歯車1が他の歯車(図示せず)と噛み合った状態で回転駆動された場合、これら歯車の歯面同士が周期的に当たる。このため、歯面同士が当たる打撃音及び振動は発生する。しかし、本実施形態に係る歯車構造では、歯面同士が当たるとき、第1の軸側スプライン21に固定された緩衝材30が圧縮されて変形することで、衝撃を吸収する。このため、打撃音及び振動は抑えられる。
また、一般的な歯車のプロファイルには、加工精度に応じた加工誤差があり、この加工誤差が打撃音の周波数に変化を生じさせる。そして、微妙に周波数の異なる複数の打撃音同士が干渉し合うことにより、うねり音が発生する。
しかし、本実施形態に係る歯車構造は、加工誤差が大きな歯面同士が当たるとき、緩衝材30は比較的大きく変形し、加工誤差が小さな歯面同士が当たるとき、緩衝材30は比較的小さく変形する。このため、加工誤差が与える打撃音周波数への影響を抑えることができ、うねり音の発生を抑えることができる。
また、従来の歯車は研削加工により歯車の接触面の加工精度を高め、プロファイルを適正化することにより、振動や騒音の低減を図ってきたが、かかる高精度な歯車の研削には相当の加工時間を要し、歯車研削盤やホーニング盤等の専用の加工機が必要なため製造コストが高くなることが課題であった。
しかし、本実施の形態にかかる歯車構造によれば、専用の加工機による高い加工精度を追求することなく第1の歯車1の噛み合い時に発生する打撃音やうねり音を抑えることができ、静粛性を向上でき、振動騒音を低減できる。そして、第1の歯車1のプロファイルを、シェービング等の工法で仕上げればよいため、低コストで第1の歯車1を製造できる。
また、近年盛んに開発が進められている電気自動車(内燃機関を搭載せず電動モータの駆動力のみで走行する車両)は、内燃機関を搭載する車両よりも駆動源の騒音、振動が小さい。このため、騒音及び振動に関する性能がこれまで以上に歯車に求められることが考えられる。そこで、電気自動車に上述した本実施の形態に係る歯車構造を採用することにより、歯車の噛み合い時に発生する騒音や振動を安価に低減でき、電気自動車の低騒音化及び低振動化を安価に達成できる。
ところで、本実施形態では、図6及び図7に矢印Aで示すように、例えば第1の歯車1の左回りの回転トルクを受けて、スプライン穴10からスプライン軸20にトルクが伝達され、緩衝材30を介して穴側スプライン11から第1の軸側スプライン21にトルクが伝達される。
このとき、伝達トルクが小さければ、穴側スプライン11と第1の軸側スプライン21との歯面間で緩衝材30が僅かに潰れるだけであり、穴側スプライン11と第2の軸側スプライン22との歯面隙間Sが残っている(図5を参照)。しかし、伝達トルクが大きくなると、緩衝材30が大きく圧縮されて潰され、穴側スプライン11と第2の軸側スプライン22との歯面隙間Sが無くなってこれらは互いに当接する。
すると、緩衝材30はそれ以上潰れることがなくなり、緩衝材30の潰れ量は制限される。従って、緩衝材30が過大に圧縮されるのを制限し、緩衝材30に割れや亀裂等の破損が生じるのを抑制できる。
また、穴側スプライン11と第2の軸側スプライン22の歯面同士が当接することで、これら歯面同士の当接部においてもトルクを伝達できるようになる。従って、伝達トルクが大きくなった場合でも、トルク伝達箇所の面積を増やして大トルクを確実に伝達できる。
また、本実施形態の歯面隙間Sは、緩衝材30が限界歪みを超えない大きさに設定される。そのため、緩衝材30が限界歪みを超えて潰れるのを確実に抑制できる。
また、図4及び図5に示したように、第2の軸側スプライン22の歯先面22bは、緩衝材30を介在させずに穴側スプライン11の溝底面11cに当接される。これにより、第2の軸側スプライン22は、歯先面22bで第1の歯車1の径方向の位置を規制しつつ、第1の歯車1を径方向に安定して支持できる。
特に、第2の軸側スプライン22の歯厚T2は、第1の軸側スプライン21の歯厚T1よりも大きく設定されるので、第1の軸側スプライン21の歯先面21bを穴側スプライン11の溝底面11cに当接させるよりも、第1の歯車1を安定して支持できる。
また、図1~図3に示したように、本実施形態のスプライン軸20では、第1の軸側スプライン21を有する第1の環状部材24と、第2の軸側スプライン22を有する第2の環状部材25とが、回転軸23と別体として設けられる。そのため、異なる歯面を有し且つ緩衝材30の有無がある2種類の環状部材24,25を個別に精度良く製造できる一方、これら第1及び第2の環状部材24,25を回転軸23に嵌合させるだけでスプライン軸20を簡単に製造することができる。
また、本実施形態の位置合わせ機構K(図2を参照)によれば、第1及び第2の軸側スプライン21,22の位相を、正確に合わせることが可能である。また、位置合わせ機構Kを用いることで、第1及び第2の軸側スプライン21,22を回転軸23に対して回転方向に固定できる。そのため、トルク伝達が大きいときでも、回転軸23に対して環状部材24,25が周方向に滑って回転するのを確実に防止できる。
また、本実施形態では、2つの第1の環状部材24が1つの第2の環状部材25を軸方向に挟んだ状態で配置される。そのため、スプライン軸20は、第1の歯車1を軸方向にバランス良く支持することができる。
また、本実施形態の緩衝材30は、第1の軸側スプライン21の全周に亘って、全ての歯面26R,26Lと歯先面21bと歯底面21cとに設けられる。そのため、ナイロン等をコーティングする範囲を細かく限定せずに緩衝材30を容易に製造できる。
以上、本開示の基本実施形態を詳細に述べたが、本開示は以下のような他の実施形態も可能である。なお、下記の説明において、基本実施形態と同一の構成要素には同じ符号を用い、また、基本実施形態と対応する構成要素に記号「’」を付した符号を用い、それらの詳細な説明を省略する。
(変形例1)
変形例1では、スプライン穴10とスプライン軸20との構成が基本実施形態と逆とされる。すなわち、図8に示すように、スプライン穴10は、第1及び第2の穴側スプライン21’,22’が内周部に形成された第1及び第2の環状部材24’,25’を有し、これらの環状部材24’,25’は、ボス部3の内周面に嵌合される。また、スプライン軸20は、回転軸23の外周部に軸側スプライン11’を有する。
また、図9に示すように、緩衝材30は、第1の穴側スプライン21’の歯面26’に固定され、その歯面26’に対向する軸側スプライン11’の歯面12’に当接される。また、図10に示すように、歯面隙間Sは、第2の穴側スプライン22’の歯面27’と、その歯面27’に対向する軸側スプライン11’の歯面12’との間に形成される。
この場合、小トルク時には、緩衝材30を介して第1の穴側スプライン21’と軸側スプライン11’との間でのみトルクが伝達される。また、大トルク時には、緩衝材30の潰れ量が制限される一方で、第1の穴側スプライン21’と軸側スプライン11’との間でトルクが伝達される共に、第2の穴側スプライン22’と軸側スプライン11’との間でもトルクが伝達される。
よって、本変形例によれば、上述した基本実施形態と同様に、緩衝材30が過大に圧縮されるのを制限し、緩衝材30に割れや亀裂等の破損を生じるのを抑制できる。
(変形例2)
図示しないが、上述した基本実施形態の緩衝材30は、第1の軸側スプライン21の歯先面21b及び歯底面21cから省略してもよい。また、変形例1の緩衝材30は、第1の穴側スプライン21’の歯先面21b’及び溝底面21c’から省略してもよい。
また、基本実施形態の緩衝材30は、第1の軸側スプライン21の全ての歯のうちの一部の歯にのみ設けられてもよい。変形例1の緩衝材30は、第1の穴側スプライン21’の全ての溝のうちの一部の溝にのみ設けられてもよい。
また、緩衝材30は、1つの歯または溝において、周方向の左右何れか一方の歯面にのみ設けられてもよい。
(変形例3)
上述した基本実施形態のスプライン軸20では、回転軸23に第1及び第2の環状部材24,25が一体形成されていてもよい。また、変形例1のスプライン穴10’では、ボス部3に第1及び第2の環状部材24’,25’が一体形成されていてもよい。
(変形例4)
本開示の第1及び第2の歯面は、軸方向に互いに並列に配置された第1及び第2の環状部材の各スプラインに形成されなくてもよい。例えば、1つの軸側スプラインにおいて、周方向の同じ向きで配置された第1の歯面及び第2の歯面を、周方向の異なる位置の歯にそれぞれ設けてもよい。
(変形例5)
図11に示すように、ベアリング7のアウターレース7aとケーシング8の内壁との間には、ワッシャWが介在されてもよい。これにより、ベアリング7をケーシング8に対して軸方向に精度よく位置決めできる。
前述の各実施形態の構成は、特に矛盾が無い限り、部分的にまたは全体的に組み合わせることが可能である。本開示の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本開示の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本開示に含まれる。従って本開示は、限定的に解釈されるべきではなく、本開示の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 第1の歯車(歯車)
10 スプライン穴
11 穴側スプライン(スプライン穴のスプライン)
20 スプライン軸
21 第1の軸側スプライン(スプライン軸のスプライン)
22 第2の軸側スプライン(スプライン軸のスプライン)
23 回転軸
24 第1の環状部材
25 第2の環状部材
26 第1の軸側スプラインの歯面(第1の歯面)
27 第2の軸側スプライン歯面(第2の歯面)
30 緩衝材
D 緩衝材の厚さ
S 歯面隙間(隙間)

Claims (6)

  1. 中心にスプライン穴を有する歯車と、
    前記スプライン穴に挿入され前記歯車を支持するためのスプライン軸と、を備えた歯車構造であって、
    前記スプライン軸のスプラインは、周方向の同じ向きで配置された第1及び第2の歯面を有し、
    前記第1の歯面には、その第1の歯面に対向する前記スプライン穴のスプラインの歯面に当接する緩衝材が固定され、
    前記第2の歯面とその第2の歯面に対向する前記スプライン穴のスプラインの歯面との間には、隙間が形成され、
    前記隙間の大きさは、前記緩衝材の厚さよりも小さく、
    前記第2の歯面を有するスプラインの歯先面は、その歯先面に対向する前記スプライン穴のスプラインの溝底面に当接され、
    前記第1の歯面を有するスプラインの歯先面に前記緩衝材が固定され、その緩衝材と、その緩衝材に対向する前記スプライン穴のスプラインの溝底面との間には、隙間が形成される
    ことを特徴とする歯車構造。
  2. 前記隙間の大きさは、前記緩衝材が前記第1の歯面と前記スプライン穴のスプラインの歯面との間で圧縮されたときに、前記緩衝材が限界歪みを超えないように設定される
    請求項1に記載の歯車構造。
  3. 前記スプライン軸は、軸方向に互いに並列して設けられた第1及び第2のスプラインを有し、
    前記第1の歯面は、前記第1のスプラインに設けられ、
    前記第2の歯面は、前記第2のスプラインに設けられる
    請求項1または2に記載の歯車構造。
  4. 前記スプライン軸は、回転軸と、軸方向に互いに並列して前記回転軸に回転不能に嵌合された第1及び第2の環状部材と、を有し、
    前記第1のスプラインは、前記第1の環状部材の外周部に形成され、
    前記第2のスプラインは、前記第2の環状部材の外周部に形成される
    請求項に記載の歯車構造。
  5. 前記第1及び第2の環状部材は、互いのスプライン位相を合わせるための位相合わせ機構を備える
    請求項に記載の歯車構造。
  6. 中心にスプライン穴を有する歯車と、
    前記スプライン穴に挿入され前記歯車を支持するためのスプライン軸と、を備えた歯車構造であって、
    前記スプライン穴のスプラインは、周方向の同じ向きで配置された第1及び第2の歯面を有し、
    前記第1の歯面には、その第1の歯面に対向する前記スプライン軸のスプラインの歯面に当接する緩衝材が固定され、
    前記第2の歯面とその第2の歯面に対向する前記スプライン軸のスプラインの歯面との間には、隙間が形成され、
    前記隙間の大きさは、前記緩衝材の厚さよりも小さく、
    前記第2の歯面を有するスプラインの歯先面は、その歯先面に対向する前記スプライン軸のスプラインの歯底面に当接され、
    前記第1の歯面を有するスプラインの歯先面に前記緩衝材が固定され、その緩衝材と、その緩衝材に対向する前記スプライン軸のスプラインの歯底面との間には、隙間が形成される
    ことを特徴とする歯車構造。
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