JP7191574B2 - 歯車構造 - Google Patents

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Description

本開示は、歯車構造に関する。
歯車のかみ合い時に発生する打撃音やうねり音を抑える方法として、熱処理ひずみ制御や、対になる歯車の精度を測定し、歯車の組み合わせ選択を行う方法が知られている。
また、より効果的に前記打撃音やうねり音を抑える方法として、歯車に熱処理を施した後、歯車研削仕上げや、歯車ホーニング仕上げを行う方法がある。この方法によれば、騒音発生要因の1つであるギヤの累積ピッチ精度も向上する。
特開平9-14396号公報
しかしながら、歯車研削仕上げや、歯車ホーニング仕上げには、歯車研削盤やホーニング盤等の専用機が必要であるため製造コストが高くなるという課題がある。
この解決手法としては、スプライン軸に第1及び第2のスプラインを設け、第1のスプラインの歯面に緩衝材を固定し、第2のスプラインとスプライン穴のスプラインとの歯面間に、緩衝材の厚さよりも小さい隙間を設けた歯車構造が考えられる。
この歯車構造によれば、歯車のかみ合い時の衝撃を第1のスプラインの緩衝材で吸収することで、打撃音やうねり音が抑えられる。また、スプライン軸及びスプライン穴の伝達トルクが大きいとき、緩衝材は大きく潰れるが、第2のスプラインとスプライン穴のスプラインの歯面間の隙間が無くなって歯面同士が当接することで、緩衝材の潰れ量を制限できる。
一方、この歯車構造では、第1のスプラインの歯面に設けられた緩衝材によって、歯車の安定性が低下する可能性があるが、第2のスプラインの歯先面をスプライン穴のスプラインの溝底面に当接させることで、歯車を径方向に安定して支持できる。また、スプライン軸にスラスト支持部材を設けることで、歯車をスラスト方向に支持できる。
しかし、第2のスプラインの歯先面とスプライン穴のスプラインの溝底面との当接部には、歯車のかみ合い時にフレッチングによる摩耗が生じる可能性がある。そのため、この当接部には潤滑用オイルが供給される必要があるが、スラスト支持部材が当接部へのオイル供給の妨げとなる虞がある。
そこで本開示は、かかる事情に鑑みて創案され、その目的は、スプライン同士の当接部にオイルを供給して、当接部の摩耗を抑制できる歯車構造を提供することにある。
本開示の一の態様によれば、中心にスプライン穴を有する歯車と、前記スプライン穴に挿入され前記歯車を支持するためのスプライン軸と、を備えた歯車構造であって、前記スプライン軸は、軸方向に互いに並列して設けられた第1及び第2のスプラインを有し、前記第1のスプラインは、第1の歯面を有し、前記第2のスプラインは、前記第1の歯面と周方向の同じ向きで配置された第2の歯面を有し、前記第1の歯面には、その第1の歯面に対向する前記スプライン穴のスプラインの歯面に当接する緩衝材が固定され、前記第2の歯面とその第2の歯面に対向する前記スプライン穴のスプラインの歯面との間には、前記緩衝材の厚さよりも小さい隙間が形成され、前記歯車をスラスト方向に支持するスラスト支持部材が設けられ、前記第2のスプラインの歯先面とその歯先面に対向する前記スプライン穴のスプラインの溝底面とは、互いに当接された当接部を有し、前記当接部へ潤滑用オイルを供給するための油路が設けられることを特徴とする歯車構造が提供される。
好ましくは、前記油路は、前記スプライン軸に形成された第1及び第2の油穴を有し、前記第1の油穴は、前記スプライン軸の軸芯に形成され、前記第2の油穴は、前記第1の油穴から径方向外側に延びて、前記第1及び第2のスプラインの少なくとも一方の軸方向の端面の位置に開口してもよい。
また、前記油路は、前記スラスト支持部材に形成され、前記第2の油穴に連通する油溝を更に有してもよい。
また、前記スラスト支持部材は、前記スプライン軸に嵌合されたスラストワッシャであり、前記油溝は、前記歯車の方を向く前記スラストワッシャの軸方向の端面に形成されてもよい。
本開示によれば、スプライン同士の当接部にオイルを供給して、当接部の摩耗を抑制できる。
本開示の一実施の形態に係る歯車構造の全体を示す概略断面図である。 図1のII-II線断面図である。 図1の要部拡大図である。 図3のIV-IV線断面図である。 図3のV-V線断面図である。 図1のVI-VI線断面図である。 図4に示した緩衝材の作用を示す断面図である。 図5に示した隙間の作用を示す断面図である。 図1に示したスラストワッシャの作用を示す断面図である。 図3に示したスラストワッシャの作用を示す断面図である。 図4に示した緩衝材が径方向に潰れる様子を示した断面図である。 第1及び第2のスプラインにおけるオイルの流れを示した概略斜視図である。 図12に示した第2のスプラインにおけるオイルの流れを示す断面図である。 図6に示した油溝の変形例を示す断面図である。 図3に示した第2の油穴の変形例を示す断面図である。 図1に示したベアリングについての変形例を示す断面図である。
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお、図中に示す各方向は、説明の便宜上定められたものに過ぎないものとする。
図1は、本実施形態に係る歯車構造の全体を示す概略断面図であり、図2は、図1のII-II線断面図である。また、図3は、図1の要部拡大図であり、図4は、図3のIV-IV線断面図であり、図5は、図3のV-V線断面図である。図6は、図1のVI-VI線断面図である。なお、図1中の一点鎖線Cは、歯車の回転中心を示す。また、図中に示す破線Oは、潤滑用オイルの流れを示す。
図1~図3に示すように、本実施の形態に係る歯車構造は、中心にスプライン穴10を有する第1の歯車1と、スプライン穴10に挿入され第1の歯車1を支持するためのスプライン軸20と、を備える。第1の歯車1は、特許請求の範囲にいう歯車に該当する。
第1の歯車1は、斜歯歯車である。但し、第1の歯車1は、ねじ歯車または傘歯車であってもよい。
また、第1の歯車1は、外歯歯車で構成される。また、第1の歯車1は、外周に形成されるリム部2と、内周に形成されるボス部3と、リム部2及びボス部3の間に形成されるウェブ部4と、を備える。
リム部2の外周には、図示しない他の歯車と噛み合わせるための歯5が形成される。歯5は、歯面の断面形状をインボリュート曲線にて形成される。すなわち、第1歯車1は、インボリュート歯車で構成される。但し、第1の歯車1は、インボリュート歯車に限るものではない。また、第1の歯車1は、サイクロイド歯車等の他のタイプの歯車であってもよい。
ボス部3は、スプライン穴10を有する。スプライン穴10の内周部には、スプライン(以下、穴側スプライン11)が形成される。
穴側スプライン11は、ボス部3の内周面に軸方向に延びるスプライン溝(以下、穴側スプライン溝11a)を周方向に複数等間隔に形成して構成される。
スプライン軸20は、軸方向に互いに並列して設けられた第1のスプライン(以下、第1の軸側スプライン21)及び第2のスプライン(以下、第2の軸側スプライン22)を有する。本実施形態では、2つの第1の軸側スプライン21が、第2の軸側スプライン22を軸方向に挟んでいる。
具体的には、スプライン軸20は、回転軸23と、軸方向に互いに並列して回転軸23に回転不能に嵌合された第1の環状部材24及び第2の環状部材25と、を有する。
回転軸23は、円管状に形成される。また、回転軸23は、軸方向の両端部の位置で、ベアリング7によって回転可能に支持される。ベアリング7は、第1の歯車1及び第2の歯車6を収容するケーシング8に対して、回転軸23を回転可能に支持する。本実施形態のベアリング7は、転がり軸受であり、ケーシング8に固定されるアウターレース7aと、回転軸23に固定されるインナーレース7bと、アウターレース7a及びインナーレース7bの間に回転可能に配置されたボール7cと、を備える。
また、本実施形態の回転軸23には、軸方向の前側の位置に第1及び第2の環状部材24,25が嵌合され、後側の位置に第2の歯車6が設けられる。
第2の歯車6は、外歯歯車で構成され、回転軸23に一体形成される。但し、回転軸23と第2の歯車6は、別体として設けられてもよい。
第1及び第2の環状部材24,25は、回転軸23に対して図示前側から圧入されることで嵌合される。なお、回転軸23と第1及び第2の環状部材24,25との圧入面は、基本的に、スプライン等の凹凸が形成されないスムーズな円筒面とされる。
本実施形態では、第1の環状部材24が2つ設けられる。2つの第1の環状部材24は、1つの第2の環状部材25を軸方向に挟んで配置される。なお、第1の環状部材24の軸方向の長さは、第2の環状部材25と同じ長さか、或いはそれより短い長さに設定される。また、第1及び第2の環状部材24,25は、鉄等の金属材料で形成される。但し、第1及び第2の環状部材24,25は、任意の長さ、数、配置、材質等であってよい。
第1の環状部材24の外周部には、第1の軸側スプライン21が形成され、第2の環状部材25の外周部には、第2の軸側スプライン22が形成される。
また、第1及び第2の環状部材24,25は、互いのスプライン位相を合わせるための位置合わせ機構Kを備える(図2を参照)。本実施形態の位置合わせ機構Kは、回転軸23の外周面と第1及び第2の環状部材24,25の内周面とにそれぞれ形成されたキー溝k1と、キー溝k1に差し込まれるキーk2と、を備えたキー機構である。
第1及び第2の環状部材24,25は、回転軸23に対してキー溝k1の位置を合わせて圧入される。そして、キー溝k1にキーk2を差し込むことで、第1及び第2の軸側スプライン21,22と回転軸23との位相が合わせられる。但し、位置合わせ機構Kは、キー機構に限るものではなく、ピン留め等の任意の構造であってよい。
図4及び図5に示すように、穴側スプライン11は、穴側スプライン溝11a間に形成される歯先面11bと、穴側スプライン溝11aの溝底で構成される溝底面11cと、を備える。また、穴側スプライン11は、歯先面11b及び溝底面11c間に径方向に延びて形成されトルク伝達をするための歯面12を備える。
穴側スプライン11の歯面12は、溝底面11cに対して、周方向の右回り側に位置する右側歯面12Rと、左回り側に位置する左側歯面12Lと、を有する。また、穴側スプライン11の歯面12R,12Lは、それぞれ圧力角を有し、径方向内方に向くように傾斜される。
また、穴側スプライン11の右側歯面12Rは、後述する第1及び第2の軸側スプライン21,22の右側歯面26R,27Rに共通して対向する。また、穴側スプライン11の左側歯面12Lは、後述する第1及び第2の軸側スプライン21,22の左側歯面26L,27Lに共通して対向する。
図4に示すように、第1の軸側スプライン21は、その外周面に軸方向に延びるスプライン歯(以下、第1の軸側スプライン歯21a)を周方向に複数等間隔に形成して構成される。また、第1の軸側スプライン21は、第1の軸側スプライン歯21aの先端面で構成される歯先面21bと、第1の軸側スプライン歯21aの間に形成される歯底面21cと、を備える。また、第1の軸側スプライン21は、歯先面21b及び歯底面21c間に径方向に延びて形成されトルク伝達をするための歯面26を備える。
第1の軸側スプライン21の歯面26は、歯先面21bに対して、周方向の右回り側に位置する右側歯面26Rと、左回り側に位置する左側歯面26Lと、を有する。第1の軸側スプライン21の歯面26R,26Lは、特許請求の範囲にいう第1の歯面に該当する。また、第1の軸側スプライン21の歯面26R,26Lは、それぞれ圧力角を有し、径方向内方に向くように傾斜される。
図5に示すように、第2の軸側スプライン22は、その外周面に軸方向に延びるスプライン歯(以下、第2の軸側スプライン歯22a)を周方向に複数等間隔に形成して構成される。また、第2の軸側スプライン22は、第2の軸側スプライン歯22aの先端面で構成される歯先面22bと、第2の軸側スプライン歯22aの間に形成される歯底面22cと、を備える。また、第2の軸側スプライン22は、歯先面22b及び歯底面22c間に径方向に延びて形成されトルク伝達をするための歯面27を備える。
第2の軸側スプライン22の歯面27は、歯先面22bに対して、周方向の右回り側を向いた右側歯面27Rと、左回り側を向いた左側歯面27Lと、を有する。第2の軸側スプライン22の歯面27R,27Lは、特許請求の範囲にいう第2の歯面に該当する。また、第2の軸側スプライン22の歯面27R,27Lは、それぞれ圧力角を有し、径方向内方に向くように傾斜される。
上述した通り、スプライン軸20のスプライン、すなわち第1及び第2の軸側スプライン21,22は、周方向の同じ向きで配置された右側歯面26R,27R及び左側歯面26L,27Lを有する。
第1の軸側スプライン21の歯面26R,26Lには、図4に示すように、緩衝材30が固定される。緩衝材30は、その第1の軸側スプライン21の歯面26R,26Lに対向する穴側スプライン11の歯面12R,12Lに当接する。すなわち、緩衝材30の厚さDは、対向して配置された第1の軸側スプライン21の歯面26R,26Lと穴側スプライン11の歯面12R,12Lとの隙間と等しい大きさで形成される。
また、本実施形態の緩衝材30は、第1の軸側スプライン21の全周に亘って、全ての歯面26R,26Lと歯先面21bと歯底面21cとに設けられる。また、緩衝材30は、ナイロンで構成され、均一の膜厚でコーティングされて形成される。なお、緩衝材30はナイロンに限るものではない。例えば、緩衝材30は、ゴム等の他の樹脂等で構成されてもよい。
また、本実施形態では、緩衝材30と穴側スプライン11の歯先面11b及び溝底面11cとの間に、それぞれ径方向の隙間Z1,Z2が形成される。
一方、図5に示すように、第2の軸側スプライン22の歯面27R,27Lと、それらの歯面27R,27Lに対向する穴側スプライン11の歯面12R,12Lとの間には、隙間(以下、歯面隙間S)が形成される。歯面隙間Sは、特許請求の範囲にいう隙間に該当する。
歯面隙間Sの大きさは、緩衝材30の厚さDよりも小さい。具体的には、第2の軸側スプライン22の歯厚T2は、第1の軸側スプライン21の歯厚T1よりも大きく設定される。
また、歯面隙間Sの大きさは、緩衝材30が第1の軸側スプライン21の歯面26と穴側スプライン11の歯面12との間で圧縮されたときに、緩衝材30が限界歪みを超えないように設定される。より詳しくは、歯面隙間Sの大きさは、緩衝材30の圧縮による最大許容潰れ量(もしくは潰れ代)と同じ大きさに設定される。
また、第2の軸側スプライン22の歯先面22bは、その歯先面22bに対向する穴側スプライン11の溝底面11cに当接される。一方、第2の軸側スプライン22の歯底面22cと穴側スプライン11の歯先面11bとの間には、径方向の隙間Z3が形成される。
他方、図1及び図3に示すように、本実施形態に係る歯車構造には、第1の歯車1をスラスト方向に支持するスラスト支持部材40が設けられる。
スラスト支持部材40は、具体的には、スプライン軸20に嵌合されたスラストワッシャ41である。スラストワッシャ41は、銅等の金属で形成されており、スラスト方向の荷重を受けることができる耐摩耗性のワッシャである。また、スラストワッシャ41は、ナイロン等の耐摩耗性樹脂でコーティングされてもよい。
本実施形態では、第1の歯車1の軸方向前端側に第1のスラストワッシャ41Aが設けられ、第1の歯車1の軸方向後端側に第2のスラストワッシャ41Bが設けられる。
第1のスラストワッシャ41Aは、その後面が第1の歯車1のボス部3の前面に当接され、その前面がベアリング7のインナーレース7bの後面に当接されることで、両者の隙間を埋めるように介在される。また、第1のスラストワッシャ41Aの後面は、前側の第1の環状部材24Aの前面にも当接される。但し、第1のスラストワッシャ41Aの後面は、ボス部3及び第1の環状部材24Aの何れか一方の前面にのみ当接されていてもよい。
一方、第2のスラストワッシャ41Bは、その前面が第1の歯車1のボス部3の後面に当接され、その後面が第2の歯車2の前面に当接されることで、両者の隙間を埋めるように介在される。また、第2のスラストワッシャ41Bの前面は、後側の第1の環状部材24Bの後面にも当接される。但し、第2のスラストワッシャ41Bの前面は、ボス部3及び第1の環状部材24Bの何れか一方の後面にのみ当接されていてもよい。
ここで、上述したように、第2の軸側スプライン22の歯先面22bと穴側スプライン11の溝底面11cとは、互いに当接される当接部Pを有する。そして、本実施形態に係る歯車構造には、この当接部Pへ潤滑用オイルを供給するための油路50が設けられる。
油路50は、スプライン軸20に形成された第1の油穴51及び第2の油穴52を有する。また、油路50は、スラストワッシャ41に形成され、第2の油穴52に連通する油溝53を有する。
第1の油穴51は、スプライン軸20の軸芯に形成される。第1の油穴51は、円管状に形成された回転軸23の内周面によって画成される。
また、第1の油穴51は、図1及び図3に矢印Oで示すように、ケーシング8に設けられた油路(以下、ケーシング油路54)を通じて、歯車1,6側からケーシング8内のオイルが供給されるようになっている。
ケーシング油路54は、回転軸23の両端とケーシング8の内壁との間に設けられ、第1の油穴51に連通する空間54aを有する。また、ケーシング油路54は、ベアリング7のアウターレース7aが位置するケーシング8の内壁に設けられ、歯車1,6側から延びて空間54aに連通する油溝(図示せず)を有する。なお、空間54aは、径方向におけるアウターレース7aとインナーレース7bとの間の位置にまで延在しており、アウターレース7a及びインナーレース7bとボール7cとの摺動面を通じて、歯車1,6側からケーシング8内のオイルを導入できる。
図3に示すように、第2の油穴52は、軸方向に複数(本実施形態では2つ)間隔を空けて設けられる。軸方向の前側の第2の油穴52は、第1の油穴51から径方向外側に延びて、前側の第1の軸側スプライン21の前面の位置に開口する。また、軸方向の後側の第2の油穴52は、第1の油穴51から径方向外側に延びて、後側の第1の軸側スプライン21の後面の位置に開口する。また、第2の油穴52は、回転軸23の内周面から外周面にかけて貫通して形成される。
また、本実施形態における第2の油穴52は、周方向に複数(本実施形態では4つ)等間隔で設けられ、第1の油穴51から放射状に延びる(図6を参照)。また、図示しないが、第2の油穴52は、軸方向の幅に対して周方向の幅が広い長穴状に形成される。但し、第2の油穴52は、任意の数、向き、配置、長さ、形状、径等であってよい。例えば、第2の油穴52は、前側と後側の何れか一方だけに設けられていてもよく、また、前側と後側のそれぞれに1本ずつ設けられていてもよい。
油溝53は、第1及び第2のスラストワッシャ41A,41Bにそれぞれ形成される。第1の油溝53Aは、第1の歯車1の方を向く第1のスラストワッシャ41Aの後面に形成される。また、第2の油溝53Bは、第1の歯車1の方を向く第2のスラストワッシャ41Bの前面に形成される。
また、第1の油溝53Aは、前側の第2の油穴52に連通すると共に、その位置から径方向外側に延び、第2の油溝53Bは、後側の第2の油穴52に連通すると共に、その位置から径方向外側に延びる。また、それぞれの油溝53は、スラストワッシャ41の内周面から外周面にかけて貫通して形成される。
また、図6に示すように、本実施形態の油溝53は、第2の油穴52に対応して周方向に複数(本実施形態では4つ)等間隔で設けられる。また、図示しないが、油溝53は、軸方向の幅に対して周方向の幅が広く形成される。また、油溝53の幅は、第2の油穴52の幅と同じ大きさで形成される。但し、油溝53は、第2の油穴52と同様に、任意の数、向き、配置、長さ、形状、径等であってよい。
次に、本実施の形態の作用について述べる。図7は、図4に示した第1の軸側スプライン21における緩衝材30の作用を示す断面図であり、図8は、図5に示した第2の軸側スプライン22における歯面隙間Sの作用を示す断面図である。また、図9は、図1に示したスラストワッシャ41の作用を示す断面図であり、図10は、図3に示したスラストワッシャ41の作用を示す断面図である。また、図11は、図4に示した緩衝材30が径方向に潰れる様子を示した断面図である。また、図12は、第1及び第2の軸側スプライン21,22におけるオイルOの流れを示した概略斜視図であり、図13は、図12に示した第2の軸側スプライン22におけるオイルOの流れを示す断面図である。なお、図12中、穴側スプライン11は、一点鎖線で示すものとする。
第1の歯車1が他の歯車(図示せず)と噛み合った状態で回転駆動された場合、これら歯車の歯面同士が周期的に当たる。このため、歯面同士が当たる打撃音及び振動は発生する。しかし、本実施形態に係る歯車構造では、歯面同士が当たるとき、第1の軸側スプライン21に固定された緩衝材30が圧縮されて変形することで、衝撃を吸収する。このため、打撃音及び振動は抑えられる。
また、一般的な歯車のプロファイルには、加工精度に応じた加工誤差があり、この加工誤差が打撃音の周波数に変化を生じさせる。そして、微妙に周波数の異なる複数の打撃音同士が干渉し合うことにより、うねり音が発生する。
しかし、本実施形態に係る歯車構造は、加工誤差が大きな歯面同士が当たるとき、緩衝材30は比較的大きく変形し、加工誤差が小さな歯面同士が当たるとき、緩衝材30は比較的小さく変形する。このため、加工誤差が与える打撃音周波数への影響を抑えることができ、うねり音の発生を抑えることができる。
また、従来の歯車は研削加工により歯車の接触面の加工精度を高め、プロファイルを適正化することにより、振動や騒音の低減を図ってきたが、かかる高精度な歯車の研削には相当の加工時間を要し、歯車研削盤やホーニング盤等の専用の加工機が必要なため製造コストが高くなることが課題であった。
しかし、本実施の形態にかかる歯車構造によれば、専用の加工機による高い加工精度を追求することなく第1の歯車1の噛み合い時に発生する打撃音やうねり音を抑えることができ、静粛性を向上でき、振動騒音を低減できる。そして、第1の歯車1のプロファイルを、シェービング等の工法で仕上げればよいため、低コストで第1の歯車1を製造できる。
また、近年盛んに開発が進められている電気自動車(内燃機関を搭載せず電動モータの駆動力のみで走行する車両)は、内燃機関を搭載する車両よりも駆動源の騒音、振動が小さい。このため、騒音及び振動に関する性能がこれまで以上に歯車に求められることが考えられる。そこで、電気自動車に上述した本実施の形態に係る歯車構造を採用することにより、歯車の噛み合い時に発生する騒音や振動を安価に低減でき、電気自動車の低騒音化及び低振動化を安価に達成できる。
また、本実施形態では、図7及び図8に矢印A1で示すように、例えば第1の歯車1の左回りの回転トルクを受けて、スプライン穴10からスプライン軸20にトルクが伝達され、緩衝材30を介して穴側スプライン11から第1の軸側スプライン21にトルクが伝達される。
このとき、伝達トルクが小さければ、穴側スプライン11と第1の軸側スプライン21との歯面間で緩衝材30が僅かに潰れるだけであり、穴側スプライン11と第2の軸側スプライン22との歯面隙間Sが残っている(図5を参照)。しかし、伝達トルクが大きくなると、緩衝材30が大きく圧縮されて潰され、穴側スプライン11と第2の軸側スプライン22との歯面隙間Sが無くなってこれらは互いに当接する。
すると、緩衝材30はそれ以上潰れることがなくなり、緩衝材30の潰れ量は制限される。従って、緩衝材30が過大に圧縮されるのを制限し、緩衝材30に割れや亀裂等の破損が生じるのを抑制できる。
また、穴側スプライン11と第2の軸側スプライン22の歯面同士が当接することで、これら歯面同士の当接部においてもトルクを伝達できるようになる。従って、伝達トルクが大きくなった場合でも、トルク伝達箇所の面積を増やして大トルクを確実に伝達できる。
また、本実施形態の歯面隙間Sは、緩衝材30が限界歪みを超えない大きさに設定される。そのため、緩衝材30が限界歪みを超えて潰れるのを確実に抑制できる。
また、図4及び図5に示したように、第2の軸側スプライン22の歯先面22bは、緩衝材30を介在させずに穴側スプライン11の溝底面11cに当接される。これにより、第2の軸側スプライン22は、歯先面22bで第1の歯車1の径方向の位置を規制しつつ、第1の歯車1を径方向に安定して支持できる。
特に、第2の軸側スプライン22の歯厚T2は、第1の軸側スプライン21の歯厚T1よりも大きく設定されるので、第1の軸側スプライン21の歯先面21bを穴側スプライン11の溝底面11cに当接させるよりも、第1の歯車1を安定して支持できる。
他方、本実施形態の歯車構造では、第1の軸側スプライン21と穴側スプライン11との歯面間に介在された緩衝材30によって、第1の歯車1の安定性が低下する可能性がある。
例えば、上述したように、本実施形態では、第2の軸側スプライン22の歯先面22bと穴側スプライン11の溝底面11cとが当接しているが、第1の軸側スプライン21と穴側スプライン11の歯面同士は当接していない。そのため、軸方向における第1の軸側スプライン21の長さの分だけ、第1の歯車1を径方向に安定して支持できる面積が減少してしまう。
また、本実施形態では、第1の歯車1に斜歯歯車が用いられる。斜歯歯車は、例えば平歯車と比べて、歯車の耐久寿命と噛み合い率が向上するという利点があるが、図9及び図10に矢印B1で示すように、歯車の噛み合い時にスラスト方向の荷重を受ける。そして、第1の歯車1は、スラスト方向の荷重を受けると、矢印B2で示すように、スラスト方向に倒れようとする。
このとき、第1の軸側スプライン21では、図11に矢印A2で示すように、緩衝材30が径方向に潰れてしまい、第1の歯車1を径方向に安定して支持できないので、スラスト方向への歯車の倒れが発生し易くなる。
そして、歯車の倒れが発生すると、スプライン軸20等の歯車支持部にミスアライメント入力が生じ、異常摩耗や早期破損を引き起こす虞がある。
そこで、本実施形態では、図1及び図3に示したように、スラストワッシャ41によって第1の歯車1をスラスト方向に支持している。すなわち、スラストワッシャ41は、第1の歯車1がスラスト方向の荷重を受けた場合でも、第1の歯車1をスラスト方向に支持及び拘束し、第1の歯車1のスラスト方向への移動及び倒れを抑制することが可能である。
従って、本実施形態に係る歯車構造によれば、緩衝材30を介してスプライン軸20に支持される第1の歯車1の倒れを抑制することができる。
また特に、本実施形態では、第1の歯車1の軸方向両端側にそれぞれスラストワッシャ41A,41Bが設けられる。そのため、スラストワッシャ41A,41Bのうちの一方だけを設けて軸方向の片側のみで第1の歯車1を支えるよりも確実に歯車の倒れを防止できる。
ところで、本実施形態の歯車構造では、第2の軸側スプライン22の歯先面22bと穴側スプライン11の溝底面11cとの当接部Pに、加工誤差等による微小な隙間が形成される場合がある。そして、第1の歯車1の噛み合い時には、歯先面22bと溝底面11cとが叩かれ合う等して、当接部Pにフレッチングによる摩耗が生じる可能性がある。
そこで、本実施形態では、図1及び図3に矢印Oで示すように、油路50を通じて当接部PにオイルOを供給し、当接部PをオイルOで潤滑できるようにしている。
具体的には、先ず、図1に示すように、ケーシング8内で歯車1,6を潤滑しているオイルOが、ケーシング油路54を通じて第1の油穴51に導入される。また、第1の油穴51に導入されたオイルOは、第2の油穴52に入り、第2の油穴52から径方向外側に送られる。
次に、図3及び図6に示すように、第2の油穴52から送られたオイルOは、油溝53を径方向外側に流れ、スラストワッシャ41の外周面に位置する油溝53の下流端から排出される。このとき、油溝53を流れるオイルOの一部が、図12に示すように、緩衝材30と穴側スプライン11の歯先面11bとの隙間Z1、及び、緩衝材30と穴側スプライン11の溝底面11cとの隙間Z2に流入する。そして、これらの流入したオイルOが、それぞれの隙間Z1,Z2を第2の軸側スプライン22側に向かって軸方向に流れる。
図12及び図13に示すように、穴側スプライン11の歯先面11b側の隙間Z1を流れたオイルOは、第2の軸側スプライン22の位置で径方向外側に向きを変え、歯面隙間Sを通じて当接部Pに供給される。一方、穴側スプライン11の溝底面11c側の隙間Z2を流れたオイルOは、そのまま直進して当接部Pに供給される。
このように本実施形態によれば、油路50を通じて当接部Pにオイルを確実に供給できる。その結果、第1の歯車1の噛み合い時に、第2の軸側スプライン22の歯先面22bと穴側スプライン11の溝底面11cとが叩かれ合う等しても、当接部Pにフレッチングによる摩耗が生じるのを抑制できる。よって当接部Pの摩耗を抑制することが可能になる。
ところで、本実施形態では、図1及び図3に示したように、スラストワッシャ41と第1の歯車1のボス部3との端面同士が当接している。そのため、仮に本実施形態の油路50(第1の油穴51,第2の油穴52,油溝53,ケーシング油路54)が無いとすると、ボス部3の内側の空間がスラストワッシャ41によって塞がれてしまい、この空間にオイルを供給するのが非常に困難となる。
しかし、本実施形態であれば、上述したように、油路50を通じて当該空間にオイルを確実に供給できる。
また特に、本実施形態では、第2の油穴52から出たオイルOがスラストワッシャ41に形成された油溝53を流れて、隙間Z1,Z2に流入する。そのため、第1及び第2の軸側スプライン21,22に穴を開ける等の加工を施すことなく、潤滑に必要な十分な量のオイルを当接部Pに供給できる。
また、第2の油穴52及び油溝53は、第1の油穴51から径方向外側に延びる。そのため、スプライン軸20の回転による遠心力を利用して、第2の油穴52から油溝53へとオイルOを円滑に径方向外側に送ることができる。その結果、当接部Pに供給されるオイル量を増加させることができる。
また、本実施形態では、油溝53を通じて、第2の油穴52から出たオイルOを隙間Z1,Z2に送ることができる。そのため、本実施形態のように、スラストワッシャ41の端面が第1のスプライン21の端面に当接されていても、オイルの流れが妨げられることなく、円滑にオイルを送ることができる。
また、油溝53は、スラストワッシャ41の内周面から外周面にかけて貫通して形成される。これにより、オイルの循環を良好にし、潤滑に必要なオイルを当接部Pに確実に供給できる。
また、本実施形態では、第2の油穴52及び油溝53が、それぞれ周方向に複数(本実施形態では4つ)等間隔で設けられている。これにより、周方向にバランス良くオイルを供給できる。
ちなみに、本実施形態では、緩衝材30を設けた2つの第1の軸側スプライン21が、緩衝材30を設けた1つの第2の軸側スプライン22を軸方向に挟んで設けられる。そのため、スプライン軸20は、第1の歯車1を軸方向にバランス良く支持することができる。
また、本実施形態のスプライン軸20では、第1の軸側スプライン21を有する第1の環状部材24と、第2の軸側スプライン22を有する第2の環状部材25とが、回転軸23と別体として設けられる。そのため、異なる歯面を有し且つ緩衝材30の有無がある2種類の環状部材24,25を個別に精度良く製造できる一方、これら第1及び第2の環状部材24,25を回転軸23に嵌合させるだけでスプライン軸20を簡単に製造することができる。
また、本実施形態の位置合わせ機構K(図2を参照)によれば、第1及び第2の軸側スプライン21,22の位相を、正確に合わせることが可能である。また、位置合わせ機構Kを用いることで、第1及び第2の軸側スプライン21,22を回転軸23に対して回転方向に固定できる。そのため、トルク伝達が大きいときでも、回転軸23に対して環状部材24,25が周方向に滑って回転するのを確実に防止できる。
また、本実施形態の緩衝材30は、第1の軸側スプライン21の全周に亘って、全ての歯面26R,26Lと歯先面21bと歯底面21cとに設けられる。そのため、ナイロン等をコーティングする範囲を細かく限定せずに緩衝材30を容易に製造できる。
以上、本開示の基本実施形態を詳細に述べたが、本開示は以下のような他の実施形態も可能である。なお、下記の説明において、基本実施形態と同一の構成要素には同じ符号を用い、また、基本実施形態と対応する構成要素に記号「’」を付した符号を用い、それらの詳細な説明を省略する。
(変形例1)
図14に示すように、変形例1では、基本実施形態の油溝53に加えて、周方向に延びる油溝53’がスラストワッシャ41に設けられる。具体的には、変形例1の油溝53’は、全周に延びる円環状に形成され、径方向における当接部Pの位置に設けられる。また油溝53’は、径方向に延びる油溝53に交差し、第1の軸側スプライン21における緩衝材30と穴側スプライン11との径方向の隙間Z2に向かって開口している。
変形例1によれば、円環状の油溝53’から隙間Z2を通じて、全ての当接部Pにオイルを直接供給できる。
(変形例2)
図15に示すように、変形例2における第2の油穴52’は、第1の油穴51から径方向外側に延びて、回転軸23と第2の環状部材25とを同軸状に貫通し、第2の軸側スプライン22の歯先面22bの位置に開口する。
変形例2によれば、基本実施形態における油溝53と第1の軸側スプライン21の隙間Z1,Z2とを介さずに、当接部Pにオイルを直接供給できる。また、基本実施形態における第2の油穴52及び油溝53を省略できる。なお、図示しないが、変形例2における第2の油穴52’は、第2の軸側スプライン22の歯底面22cの位置に開口していてもよい。すなわち、図13に示したように、歯底面22cの位置から歯面隙間Sを通じて当接部PにオイルOを供給できる。
(変形例3)
図16に示すように、変形例3では、ベアリング7のアウターレース7aとケーシング8の内壁との間にワッシャWが介在される。これにより、ベアリング7をケーシング8に対して軸方向に精度よく位置決めできる。
(変形例4)
図示しないが、変形例4では、第1の軸側スプライン21と第2の軸側スプライン22の位置が、基本実施形態と逆である。すなわち、2つの第2の軸側スプライン22が、1つの第1の軸側スプライン21を軸方向に挟んでいる。そして、第2の油穴52は、前側の第2の軸側スプライン22の前面の位置、及び、後側の第2の軸側スプライン22の後面の位置に開口する。
変形例4によれば、第1の軸側スプライン21の隙間Z1,Z2を介さずに、油溝53から当接部Pにオイルを直接供給できる。なお、この変形例4では、2つの第2の環状部材25が、1つの第1の環状部材24を軸方向に挟んで配置されている。
(変形例5)
図示しないが、変形例5では、第2の軸側スプライン22の一部に欠歯が設けられる。変形例5によれば、第2の軸側スプライン22において、例えば周方向に3つ置きに1つ欠歯が設けられることで、欠歯部分をオイル溜まりとし、隣り合う当接部P間にオイルが流れ易くなり、当接部Pに効率的にオイルを供給できるようになる。
また、当接部Pにオイルを供給し易くするために、当接部Pに油溝や凹部を設けることも可能である。例えば、第2の軸側スプライン22の歯先面22bに、周方向或いは径方向の油溝を設けてもよい。
(変形例6)
図4に示した緩衝材30と穴側スプライン11との径方向の隙間Z1,Z2は、必ずしも設けられなくてもよい。
(変形例7)
スプライン穴10とスプライン軸20との構成は、基本実施形態と逆であってもよい。図示しないが、この変形例では、スプライン穴10は、第1及び第2の穴側スプラインが内周部に形成された第1及び第2の環状部材を有し、これらの環状部材は、ボス部3の内周面に嵌合される。また、スプライン軸20は、回転軸23の外周部に軸側スプラインを有する。
また、緩衝材30は、第1の穴側スプラインの歯面に固定され、その歯面に対向する軸側スプラインの歯面に当接される。また、歯面隙間Sは、第2の穴側スプラインの歯面と、その歯面に対向する軸側スプラインの歯面との間に形成される。
(変形例8)
緩衝材30は、第1の軸側スプライン21の歯先面21b及び歯底面21cから省略してもよい。緩衝材30は、第1の軸側スプライン21の全ての歯のうちの一部の歯にのみ設けられてもよい。また、緩衝材30は、1つの歯または溝において、周方向の左右何れか一方の歯面にのみ設けられてもよい。スプライン軸20では、回転軸23に第1及び第2の環状部材24,25が一体形成されていてもよい。
(変形例9)
スラストワッシャ41は、可能な場合には、第1の歯車1に対して軸方向の片側のみに設けられていてもよい。
(変形例10)
スラストワッシャ41は、ベアリング7及び第2の歯車6以外の任意の部材によって固定できる。例えば、スラストワッシャ41の軸方向の位置をスナップリングで固定してもよい。また、スナップリングをスラスト支持部材として用い、スナップリングによって第1の歯車1をスラスト方向に直接支持してもよい。
(変形例11)
歯車がスラスト方向に安定しない場合には、歯車は平歯車であってもよい。
前述の各実施形態の構成は、特に矛盾が無い限り、部分的にまたは全体的に組み合わせることが可能である。本開示の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本開示の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本開示に含まれる。従って本開示は、限定的に解釈されるべきではなく、本開示の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 第1の歯車(歯車)
10 スプライン穴
11 穴側スプライン(スプライン穴のスプライン)
20 スプライン軸
21 第1の軸側スプライン(スプライン軸のスプライン)
22 第2の軸側スプライン(スプライン軸のスプライン)
23 回転軸
24 第1の環状部材
25 第2の環状部材
26 第1の軸側スプラインの歯面(第1の歯面)
27 第2の軸側スプライン歯面(第2の歯面)
30 緩衝材
40 スラスト支持部材
41 スラストワッシャ
50 油路
51 第1の油穴
52 第2の油穴
53 油溝
D 緩衝材の厚さ
S 歯面隙間(隙間)
O 潤滑用オイル
P 当接部
1 径方向の隙間
2 径方向の隙間
3 径方向の隙間

Claims (3)

  1. 中心にスプライン穴を有する歯車と、
    前記スプライン穴に挿入され前記歯車を支持するためのスプライン軸と、を備えた歯車構造であって、
    前記スプライン軸は、軸方向に互いに並列して設けられた第1及び第2のスプラインを有し、
    前記第1のスプラインは、第1の歯面を有し、
    前記第2のスプラインは、前記第1の歯面と周方向の同じ向きで配置された第2の歯面を有し、
    前記第1の歯面には、その第1の歯面に対向する前記スプライン穴のスプラインの歯面に当接する緩衝材が固定され、
    前記第2の歯面とその第2の歯面に対向する前記スプライン穴のスプラインの歯面との間には、前記緩衝材の厚さよりも小さい隙間が形成され、
    前記歯車をスラスト方向に支持するスラスト支持部材が設けられ、
    前記第2のスプラインの歯先面とその歯先面に対向する前記スプライン穴のスプラインの溝底面とは、互いに当接された当接部を有し、
    前記当接部へ潤滑用オイルを供給するための油路が設けられ、
    前記油路は、
    前記スプライン軸に形成された第1及び第2の油穴を有し、
    前記第1の油穴は、前記スプライン軸の軸芯に形成され、
    前記第2の油穴は、前記第1の油穴から径方向外側に延びて、前記第1及び第2のスプラインの少なくとも一方の軸方向の端面の位置に開口する
    ことを特徴とする歯車構造。
  2. 前記油路は、前記スラスト支持部材に形成され、前記第2の油穴に連通する油溝を更に有する
    請求項に記載の歯車構造。
  3. 前記スラスト支持部材は、前記スプライン軸に嵌合されたスラストワッシャであり、
    前記油溝は、前記歯車の方を向く前記スラストワッシャの軸方向の端面に形成される
    請求項に記載の歯車構造。
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