以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。この発明は、ホログラム又はホログラフィックステレオグラムの媒体に付加機能を与えるシステム、方法、媒体、装置に適用されるものである。
そこで、以下では、この発明を適用した装置についての説明に先だって、これら装置に取り付けられるホログラムやホログラフィックステレオグラムの一例として、ホログラフィックステレオグラムについて具体的に説明する。
まず、ホログラム用記録媒体に対する要素ホログラムの露光記録原理について説明する。
ホログラム用記録媒体3は、図1に示すように、例えばポリエチレンテレフタラート(PolyEthylene Terephthalate;以下、PETという。)フィルムからなる支持材料たるベースフィルム4の上に光重合型フォトポリマからなる記録層たるフォトポリマ層5が形成されるとともに、このフォトポリマ層5の上に、例えばPETフィルムからなる支持材料たるカバーフィルム6が被着形成されてなり、いわゆるフィルム塗布型記録媒体として構成されている。
このようなホログラム用記録媒体3は、図2Aに示すように、フォトポリマ層5を構成する光重合型フォトポリマが、初期状態においてはマトリクスポリマ中にモノマMが均一に分散している状態にある。光重合型フォトポリマは、10mJ/cm2 乃至400mJ/cm2 のパワーを有するレーザ光LAが照射されることにより、図2Bに示すように、露光部においてマトリクスポリマ中に均一に分散していたモノマMが重合してポリマ化した状態となる。
光重合型フォトポリマは、ポリマ化するにつれて、モノマMが周囲から移動することによりモノマMの濃度の不均一さが生じ、これにより露光部と未露光部とで屈折率の変調が生じる。光重合型フォトポリマは、この後、図2Cに示すように、1000mJ/cm2程度のパワーの紫外線又は可視光LBが全面に照射されることにより、マトリクスポリマ中においてモノマMの重合が完了する。
ホログラム用記録媒体3においては、上述のように、フォトポリマ層5を構成する光重合型フォトポリマが、入射されたレーザ光LAに応じて屈折率が変化することによって、物体光と参照光との干渉によって生じる干渉縞を屈折率の変化として露光記録される。
また、ホログラム用記録媒体3は、いわゆるフィルム塗布型記録媒体として構成されていることから、露光記録後に、特別な現像処理を施す工程が不要とされている。したがって、このようなホログラム用記録媒体3を用いてホログラム像を記録することによって、ホログラフィックステレオグラム作製装置において現像工程を行う構造が不要となり、装置構成を簡易化することができるとともに、ホログラフィックステレオグラムを迅速に作製することができる。
ここで、上述したホログラム用記録媒体3を用いてホログラフィックステレオグラムを作製するホログラフィックステレオグラム作製装置について説明する。
なお、以下の説明においては、短冊状の複数の要素ホログラムを1つのホログラム用記録媒体3に露光記録することにより、横方向の視差情報を有するホログラフィックステレオグラムを作製するものとして説明する。ただし、ホログラフィックステレオグラムは、例えば、ドット状の複数の要素ホログラムを1つのホログラム用記録媒体に露光記録することにより、横方向及び縦方向の視差情報を有するものであってもよいことは云うまでもない。
ホログラフィックステレオグラム作製装置10は、図3に示すように、感光フィルムからなるホログラム用記録媒体3に対してホログラフィックステレオグラム画像を露光記録するものである。ホログラフィックステレオグラム作製装置10は、露光記録対象の画像データの処理を行う画像データ処理部11と、当該ホログラフィックステレオグラム作製装置10を統括的に制御する制御用コンピュータ12と、ホログラフィックステレオグラム作製用の光学系を有するホログラフィックステレオグラム作製部13とを備える。
画像データ処理部11は、少なくとも画像処理用コンピュータ14及び記憶装置15を有し、例えば多眼式カメラや移動式カメラ等を有する視差画像列撮像装置1から供給される視差情報を含む撮像画像データD1や、画像データ生成用コンピュータ2によって生成された視差情報を含むコンピュータ画像データD2等の画像データに基づいて、視差画像データ列D3を生成する。
なお、撮像画像データD1は、例えば多眼式カメラによる同時撮影又は移動式カメラによる連続撮影によって得られた複数の画像データであり、撮像画像データD1を構成する各画像データ間には視差情報が含まれる。また、コンピュータ画像データD2は、例えばCAD(Computer Aided Design )やCG(Computer Graphics)として作成された複数の画像データであり、コンピュータ画像データD2を構成する各画像データ間には視差情報が含まれる。
画像データ処理部11は、これらの撮像画像データD1及び/又はコンピュータ画像データD2に基づく視差画像データ列D3に対して、画像処理用コンピュータ14によってホログラフィックステレオグラム用の所定の画像処理を施してホログラム画像データD4を生成する。ホログラム画像データD4は、例えばメモリやハードディスク装置等の記憶装置15に一時的に格納される。画像データ処理部11は、後述するように、ホログラム用記録媒体3に対して要素ホログラム画像を露光記録する際に、記憶装置15に格納されたホログラム画像データD4から1画像分毎の要素ホログラム画像データD5を順次読み出し、これらの要素ホログラム画像データD5を、制御用コンピュータ12に供給する。
制御用コンピュータ12は、ホログラフィックステレオグラム作製部13を制御して、画像データ処理部11から供給された要素ホログラム画像データD5に基づく要素表示画像を、ホログラフィックステレオグラム作製部13の一部に設けられたホログラム用記録媒体3に短冊状の要素ホログラムとして順次露光記録させる。
ホログラフィックステレオグラム作製部13は、ホログラフィックステレオグラム作製用の光学系として、入射光学系、物体光学系及び参照光学系を有する。
ホログラフィックステレオグラム作製部13は、図4Aに示すように、入射光学系として、所定の波長のレーザ光を出射するレーザ光源21と、このレーザ光源21からのレーザ光L1の光軸上に配されてレーザ光L1を後段へ入射させる又は遮断するシャッタ機構22と、レーザ光L1を物体光L2と参照光L3とに分割するハーフミラー23とを有する。
レーザ光源21は、例えば単一波長で且つ干渉性のよいレーザ光L1を出射する半導体励起YAGレーザ装置等のレーザ装置から構成される。
シャッタ機構22は、要素ホログラム画像データD5の出力タイミングに対応して制御用コンピュータ12から出力された制御信号C1によって開閉動作され、レーザ光L1を後段の光学系へと入射させる。または、レーザ光L1の後段の光学系への入射を遮断する。
ハーフミラー23は、入射されたレーザ光L1を透過光と反射光とに分割する。レーザ光L1は、透過光が上述した物体光L2として用いられる一方、反射光が参照光L3として用いられる。これらの物体光L2と参照光L3とは、それぞれ、後段に設けられた物体光学系又は参照光学系に入射される。また、ホログラフィックステレオグラム作製部13は、図4A及び図4Bに示すように、物体光学系として、ミラー24、スペーシャルフィルタ25、コリメータレンズ26、投影レンズ27、シリンドリカルレンズ28及びマスク29等の光学部品を有し、これらの各光学部品を光軸に沿ってその入力側から順次配列させている。
ミラー24は、ハーフミラー23を透過した物体光L2を反射する。このミラー24によって反射された物体光L2は、スペーシャルフィルタ25へと入射される。スペーシャルフィルタ25は、例えば凸レンズとピンホールとを組み合わせて構成されており、ミラー24によって反射された物体光L2を後述する透過型液晶表示器30の表示面幅に対応して等方的に拡大させる。
コリメータレンズ26は、スペーシャルフィルタ25によって拡大された物体光L2を、平行光化して透過型液晶表示器30へと導光する。投影レンズ27は、物体光L2を若干拡散させ、シリンドリカルレンズ28へと投影する。シリンドリカルレンズ28は、平行光化された物体光L2を横方向に対して集光する。マスク29は、短冊状の開口部を有しており、シリンドリカルレンズ28によって集光された物体光L2のうち、開口部を通過したものを、ホログラム用記録媒体3へと入射させる。
また、物体光学系には、コリメータレンズ26と投影レンズ27との間に位置して透過型液晶表示器30が配設されている。透過型液晶表示器30には、制御用コンピュータ12から供給された要素ホログラム画像データD5に基づいて、要素ホログラム画像が順次表示される。なお、制御用コンピュータ12は、要素ホログラム画像データD5の出力タイミングに対応して、駆動信号C2を後述するホログラム用記録媒体3の記録媒体送り機構34に供給し、その動作制御を行うことにより、ホログラム用記録媒体3の送り動作を制御する。
このような物体光学系においては、入射光学系から分割されて入射される細いビーム状である物体光L2が、スペーシャルフィルタ25によって拡大されるとともに、コリメータレンズ26に入射することで平行光とされる。さらに、物体光学系においては、コリメータレンズ26を介して透過型液晶表示器30に入射された物体光L2が、この透過型液晶表示器30に表示された要素ホログラム画像に応じて画像変調されるとともに、投影レンズ27を介してシリンドリカルレンズ28へと入射される。そして、物体光学系は、シャッタ機構22が開放動作されている間、画像変調された物体光L2をマスク29の開口部を介してホログラム用記録媒体3に入射させ、要素ホログラム画像に対応してこれを露光記録する。
さらに、ホログラフィックステレオグラム作製部13は、参照光学系として、スペーシャルフィルタ31、コリメータレンズ32及びミラー33を有し、これらの各光学部品を光軸に沿ってその入力側から順次配列させている。
スペーシャルフィルタ31は、上述した物体光学系におけるスペーシャルフィルタ25とは異なり、例えばシリンドリカルレンズとスリットとが組み合わされて構成され、ハーフミラー23によって反射分割された参照光L3を所定幅、具体的には、透過型液晶表示器30の表示面幅に対応して1次元方向に拡大させる。
コリメータレンズ32は、スペーシャルフィルタ31によって拡大された参照光L3を平行光化する。ミラー33は、参照光L3を反射させてホログラム用記録媒体3の後方へと導光して入射させる。
さらに、ホログラフィックステレオグラム作製装置10は、ホログラム用記録媒体3を図4B中の矢印で示す方向へと1要素ホログラム分だけ間欠送りする記録媒体送り機構34を備える。
記録媒体送り機構34は、制御用コンピュータ12から供給される駆動信号C2に基づいて、ホログラム用記録媒体3を間欠的に走行駆動する。また、ホログラフィックステレオグラム作製装置10は、この記録媒体送り機構34の動作に連動して制御用コンピュータ12から供給される制御信号C1に基づいて、上述したシャッタ機構22が動作されてレーザ光L1の光路を開放する。
このようなホログラフィックステレオグラム作製装置10は、1要素画像分の露光記録終了毎に制御用コンピュータ12から1要素ホログラムに対応した駆動信号C2が記録媒体送り機構34に対して供給されることにより、ホログラム用記録媒体3を1要素ホログラムに対応した量だけ走行路に沿って走行駆動させ、マスク29の開口部に未露光部位を対応させて停止させる。なお、ホログラフィックステレオグラム作製装置10は、ホログラム用記録媒体3の走行動作に伴って当該ホログラム用記録媒体3に生じた振動が速やかに停止されるように構成される。ここで、ホログラム用記録媒体3は、長尺状の感光フィルムからなり、図示しないが、例えば全体が遮光状態に保持されたフィルムカートリッジの内部に回転自在に設けられた供給ロールに巻回されている。ホログラム用記録媒体3は、このフィルムカートリッジがホログラフィックステレオグラム作製装置10に装填されると、ホログラフィックステレオグラム作製装置10の内部に繰り出され、記録媒体送り機構34によって走行路を走行駆動させられる。
ホログラフィックステレオグラム作製装置10は、この状態でシャッタ機構22が開放動作されてホログラム用記録媒体3に対してその表裏面から画像変調された物体光L2と参照光L3とをホログラム用記録媒体3に入射させ、要素ホログラム画像に対応した干渉縞を露光記録する。ホログラフィックステレオグラム作製装置10は、1要素画像の露光記録が終了すると制御用コンピュータ12から記録媒体送り機構34に対して駆動信号C2が供給され、ホログラム用記録媒体3を速やかに所定量だけ走行駆動させ停止させる。
ホログラフィックステレオグラム作製装置10は、以下順次この動作を行うことにより、長尺状のホログラム用記録媒体3に対して、複数のホログラフィックステレオグラム画像を順次露光記録し、1枚のホログラフィックステレオグラム画像が露光記録されたホログラフィックステレオグラムを作製する。
大量に同じものを製造する場合、上述のようにして作製されたホログラフィックステレオグラムを原版として、未露光のホログラフィック感光材料を密着させたうえで全面レーザ露光すると、所謂コンタクトコピーと呼ばれる手法で短時間に複製することも可能である。
次に、以下では、この発明を適用して構成され、上述のようにして作成されたホログラフィックステレオグラムや、各種のホログラムが取り付けられる媒体やその照明装置の具体例について説明する。各種のホログラムとは、上述のような横方向視差のリップマン型(体積型)ワンステップホログラフィックステレオグラムに限らず、上下視差も付加したフルパララックスステレオグラム、模型等にレーザ照射撮影した実写ホログラム、それらを原版にして複製されたホログラム、表面レリーフ型の所謂エンボスホログラム、回折格子なども含む。また、ホログラム媒体に対して観察者と同じ側から照明をする反射型のみならず、観察者と反対側から照明する透過型、ホログラフィック記録層やその基材と屈折率が近い材質の端部から照明光を入射させるエッジリット型なども含む。なお、以下、特に明記しない限り、ホログラフィックステレオグラムもホログラムの一種として、ホログラムに含まれるものとする。
本発明を適用した媒体の第一の実施例を図6に示す。約1mmの厚さ、縦85.4mm、横54mmのクレジットカードサイズ大のカード200は、あるキャラクターのファンクラブ会員証であって、台紙にもなる2次元印刷媒体201の一部または全部に上述のような工程で作られたホログラム媒体202とが貼り合わされて形成されている。2次元印刷媒体201には、会員の顔写真とその会員番号、名前、関連情報を機械読取しやすいIDコード205などがインクジェット方式や熱転写方式などにより印刷されている。
一方、ホログラム媒体202には、対象となるキャラクターの像と機械読取可能な2次元バーコード、マーキング図形207-A~Cなどが、ホログラフィックに記録されている。斜め上40°から照明したときに大凡正面より各画像が観察できるようになっている。
ホログラム媒体は、基材210の下にホログラフィック記録材料211、粘着材212が表面から順に形成されていて、図示しない剥離フィルムを剥がした上で空気が入らないように密着するように貼り合わされている。この基材210、ホログラフィック記録材料211、粘着材は、すべてほぼ無色透明であるため、貼り合わせた後でも、下地となる2次元印刷媒体201はクリアに見えている。なお、材料によっては、ホログラフィック記録材料の残留色素などにより着色されていたり、基材や粘着材に着色材料が入っていたりして、色が入っていても、機能上2次元印刷媒体201の印刷像が読み取れるのであれば本発明は適用できる。
ホログラム媒体202にホログラフィックに記録する対象コンテンツは、立体像の他、ホログラフィックステレオグラムの記録方式により、視点によって異なる画像が観察されるような、動画像、モーフィング画像、2次元の切り替え画像など、様々なものを対象にできる。本発明では2次元印刷媒体に印刷される画像などの情報と関連を持たせたところに特徴がある。
透明ホログラムにし、そのホログラムからの情報と、下地に印刷された2次元画像の情報との両方を関連付けて機能を持たせた例として、主に「認証」の効果と「意匠」の効果の2つについて以下に説明する。
<認証効果>
2次元印刷媒体201上には2次元バーコード205が印刷されており、貼り合わされたときにはそのバーコード205の部分に重なるように、ホログラム媒体202上には別のバーコードがホログラフィックに印刷されており、それらが位置決めされた上で貼り合わされる。ホログラフィックバーコードは背景が透明に対し、白色光を当てると緑で光るように構成した。緑は、ホログラフィック記録するための高出力レーザー光源が利用しやすく、視認性も高いからであるが、他の色でも同様に本発明は適用できる。
ホログラム像をコントラスト高く再生するためには、2次元印刷媒体201の面上少なくともホログラム像が貼り合わされる部分近傍は、黒、または暗い色になっていると好適である。発明者らは実験により、ホログラフィック記録された領域の裏面は、明度L*が平均60以下になるように暗色系の画像を2次元印刷により印画しておくと見やすいことを確認した。
また、後述するように2次元印刷されたバーコードは、単独で読み取る必要もあるため、背景を黒、前景を濃い赤にて構成した。この前景の色は必ずしも濃い赤である必要はないが、ホログラフィックバーコードに使われる色とは異なる方が、画像処理で色フィルタをかける際、2種のバーコードを分離しやすいという利点がある。緑の補色であるマゼンタでも良いが、全体の明度を下げた方がホログラフィックバーコードを読み取りやすいという実験結果が得られた。但し、本発明は、この色に限定するものではない。
こうして作られた媒体をスマートフォンを使って認証する例について図13(A)のフローチャートを用いて、記述する。図7(A)のように、スマートフォン214にて専用アプリケーションソフトウエアを立ち上げると、遠隔サーバーと通信をし、スマートフォンの機種情報に基づく認証プロセス、機種依存のガイド表示情報、などがスマートフォンに伝達される。スマートフォンは機種によって光源の位置や撮像素子の位置がことなるためガイドも調整する必要があるからである。読み取るべきバーコードのバージョンやフォーマットの種類が複数存在する場合、2次元印刷バーコードかホログラフィックバーコードを単独で読取れた情報をサーバーに問い合わせて取得してもよい。対象とする媒体の上に印画されたマーキング画像と同様のガイドがスマートフォンの画面上に表示され、指示に従いユーザーがそこに合わせることにより、スマートフォンと対象媒体との相対位置、角度、距離が概ね決まる。専用アプリケーションソフトウエアは、カメラの焦点距離は既知の値に固定し、付属するLEDライト217を光らせる。ホログラフィックバーコードが明るく緑に光り、スマートフォンのカメラでホログラフィックバーコードを読み取ることができる。必要に応じて緑黒を白黒に画像処理変換し、階調も調整した上で、読取を行う。所定の時間内に読み取れたらLEDライトを消灯する。消灯するとホログラフィックバーコードを再生させる光源がなくなり、天井照明などの外光もスマートフォン214の筐体によって遮られるため、ホログラフィックバーコードは再生されず下地の2次元印刷バーコードがスマートフォンのカメラには撮像される。濃い赤色成分を画像処理にて白成分に変換し、階調(ガンマ)を調整し、コントラストを上げる処理をすることにより、2次元印刷バーコードは読み取りやすくなる。ユーザーは、特にスマートフォンを動かしたりすることなく、所定の位置に固定し保持することにより、ホログラフィックバーコードと2次元バーコードの2種のコードを順次自動的に読み取ることができるようになる。またより高度なセキュリティが要求される場合、ホログラフィックバーコードは読取角度によって異なるバーコードを再生する仕様にもできるため、画面に表示される別のガイドに合わせて指示通りに読み取れば、複数のバーコードを読取り認証に利用することができる。
LEDライトは複数回、高速に、ランダムなタイミングで、点灯と点滅を繰り返し、それに追従して正規のデータが読み取れることを確認してもよい。こうすることにより、例えばあらかじめ用意された動画像をモニターに出力し、それをスマートフォンの撮像素子で撮影するといった偽装行為を排除することができる。また、あるサンプリング間隔でバーコードを読み取る工程で、LEDをゆっくりグラデーション輝度制御し、ホログラフィックバーコードと2次元印刷バーコードが読み取れるタイミング、読み取れなくなるタイミングを測定して、認証データとすることも可能である。
ホログラフィックバーコードは、特殊な材料、装置、技術がないと製造できないため、その特徴を読み出すことで認証方法として有効である。
ホログラフィックバーコードは個別のデータとし、唯一無二のものにすれば、さらにセキ
ュリティ性は向上する。
ホログラフィックバーコードは必ずしも個別データとせずともマスターを複製するタイプでも同等のセキュリティ性を持たせることができるので以下に説明する。図11はリップマン型ホログラムの量産装置の例である。未露光の感光フィルムが供給ローラ1から繰り出され、表面保護フィルムが剥離ローラ2に巻き取られて、原版M1部分に供給される。押し当てローラ4が4aの位置から4bの位置まで押圧しながら動くことで、原版M1には空気が入らないように密着される。この状態で所定の角度からレーザーを照射すると、原版M1のホログラム像が感光フィルムに転写される。図示しない機構により原版M1と剥がされた後、フィルムは後工程において別の透明粘着フィルムと圧着ローラ7,8の間で貼り合わされ、ローラ9、10間でハーフカットされ、カッター13によりカットされ排出される。露光の際は静止しており、原版の長さ分間欠送りするタイプの量産装置である。
このとき、原版には多数のホログラムを面付し、同時に作成することが可能であるが、図のように例えばa1~f5の30面付とすると30種類の異なるコードを原版に用意することは容易である。ホログラフィックバーコードが貼られる対象の2次元バーコードとが関連を持ち、その関連性を秘匿情報としておく。秘匿情報とするには、紐づけしたデータをデータベースとして保存、スマートフォンで読取り、認証サーバーに問い合わせることにより照合するようにするか、秘密鍵でホログラフィックバーコードの情報を暗号化し2次元バーコード情報に加えれば、読み取った機器本体で真贋判定するなど、いろいろな方法がある。
ホログラフィックバーコードを2次元バーコードと一体化させる工程で、2つのコードがバラバラになってしまっては上記の紐づけはやりにくいため、粘着材を使って一体化する場合は、原版上の面付け位置がわかる状態のまま、装置内で貼り合せると良い。但し、2次元バーコードは後工程にて発行する必要がある場合は、貼り合せ工程にて、ホログラフィックコードを機械読み取りして、関連する2次元バーコードを発行印字してもよい。
なお、感圧粘着材、感熱接着剤などにて一体化させる場合、ホログラフィックバーコードと2次元バーコードを分離しようとしても、凝集破壊によりホログラム材料が壊れたり分離したりするようにしておけば、悪意を持って貼り換えをする行為も防ぐことができる。
さらに、量産置内、例えばローラ5の対抗の位置にバーコード印画装置6を配置し、ホログラムの製造工程内で2次元バーコードをホログラム用記録媒体そのもの、あるいはその保護フィルムなどに記録すれば、上記データの紐づけ工程の煩雑さもなくし、貼り換えられるリスクも防ぐことができる。こうしてホログラフィックバーコードと2次元バーコードが一体になったシールを別媒体に貼り合せるようにしてもよい。
第一の実施例では、ホログラフィックバーコードと2次元印刷バーコードは重なった位置に貼り合せた場合について説明したが、必ずしも重なる必要はない。第二の実施例として、図8、図9を用いて説明する。カード300は、カード200とほぼ同等の材料、記録方法で構成されている。2次元印刷媒体301とホログラム媒体302は、第一の実施例とほぼ同じで、2次元印刷バーコードが貼付される位置だけが異なり、ホログラフィックバーコードとは離れた位置に配置されている。
このカードをスマートフォンを使って認証する際、第一の実施例と同様スマートフォン画面にガイドが表示されるが、カードとほぼ平行でも読み取れるようにしてある。LEDを点灯させるとホログラフィックバーコード206が再生され読取完了するが、このとき、LEDの正反射光が撮像素子に入射する。そのLEDの正反射光はちょうど2次元印刷バーコード305の位置にくるため、読取はできない。また、LEDを消灯すれば、ホログフィックバーコードは再生されないため読取不可能となるのに対し、2次元印刷バーコードは外光環境光があれば十分読み取れる。
この特性を認証でも用いている。読み取りのフローチャートを図13(B)を用いて説明する。即ち、スマートフォン上で動作する専用アプリケーションソフトウエアは、ガイドを表示し、カメラの焦点距離は既知の値に固定し、付属するLEDライト217を光らせる。ホログラフィックバーコードが明るく緑に光り、スマートフォンのカメラでホログラフィックバーコードを読み取ることができる。このとき、2次元印刷バーコードの領域を推定することができるが、そこにLEDの正反射像が見えて、そのために2次元印刷バーコードは読取不可能となっていることを確認する。スマートフォンは必要に応じて緑黒を白黒に画像処理変換し、所定の時間内に読み取れたらLEDライトを消灯する。消灯するとホログラフィックバーコードを再生させる光源がなくなり、天井照明などの外光もスマートフォン214の筐体によって遮られるため、ホログラフィックバーコードは再生されず下地の2次元印刷バーコードがスマートフォンのカメラには撮像される。LEDを光らせたときにホログラフィックバーコードが読み取れて2次元印刷コードが読み取れない状況となり、LEDを消灯したときにホログラフィックバーコードが読み取れずに2次元印刷コードが読み取れる状況となることが確認できることを認証に用いることができる。
この場合でもユーザーは、特にスマートフォンを動かしたりすることなく、所定の位置に固定し保持することにより、ホログラフィックバーコードと2次元バーコードの2種のコードを順次自動的に読み取ることができるようになる。
正反射光によりその下にあるバーコードが読み取りづらくなる理由は、鏡面光沢度が高いからである。普通紙に2次元バーコード印刷した場合は表面散乱が大きく、光源と媒体面と撮像素子が反射する角度関係にあったとしても読み取りづらくなることはあまりない。ホログラム媒体は一般的に光の直進性が重視されるため、散乱の少ない平面性が良いプラスチックフィルムやガラスが基材として使われることが多い。鏡面光沢度が30を超えると、正反射光により読み取りづらくなることが実験よりわかった。
第一、及び第二の実施例のような角度・位置関係でホログラフィックバーコードを読み取ると好適であるという背景について説明を加える。一般的にホログラムは媒体に対して正面即ち0度から読み出される設計をすることが多い。観察すると光のロスも少なく、撮像された図形に台形歪も生じず、焦点も合わせやすいためである。読み出しを0度とする場合、正反射像が撮像素子に戻らないようにするために、参照光の入射角度は一般的に30~60度程度に設計される。しかし、スマートフォンのように光源と撮像素子が既に決まって近接して固定されている装置を利用する場合、これらの角度が自由に設計できるわけではないため、参照光照明角度と読み出し角度がほぼ同一という条件で、約20度傾けて読み取ることを仕様とした。第一の実施例では、スマートフォンをホログラフィックバーコードに向けて撮像したことにより、撮像されたバーコードは台形歪が生じることになり、ホログラムの特性を知らない人に読取をしてもらうには、感覚的に違和感があり難しいため、マーキング画像をスマートフォンの画面に表示することを考案し、合わせやすいようにした。第二の実施例では、感覚的には違和感が少なくなるように媒体に対して平行にスマートフォンを構える設計となっているが、スマートフォンの光源、媒体、撮像素子が正反射を生む角度関係となるため、ホログラフィックバーコードと2次元印刷バーコードを同時に読み取ることは難しくなる。このため時間順次で読み取る方式を考案し、さらに正反射の光を積極的に認証プロセスに加えるようにした。
後述する意匠向上の機能は不要の場合、第二の実施例より第一の実施例の方がホログラム材料を少なくできるため、コストダウンできるが、その場合、カード全体に別のラミネート加工などをして鏡面光沢度を上げるか、第二の実施例における2次元バーコードの印刷領域付近だけPETフィルムなどの高光沢フィルムを貼り合せることによって、同等の効果を得ることができ、2次元バーコードの保護層の目的、偽装防止の目的は果たすことができる。
第一、第二の実施例では、ユーザーに複雑な動作を強いるのではなく、一つの動作だけで完結する方法について述べたが、さらに高度なセキュリティが求められる場合は、ホログラムの特性を活かし、スマートフォンの画面に別のガイドを表示し、複数の位置から読み取り、照合することも可能である。ガイドは、媒体上に2次元印刷により印画されたマーキング画像を使わなくても、カードの外形、あるいはLEDを光らせたときの正反射光なども使うことができる。スマートフォンの画面上に表示し、ユーザーには、それに合わせるように促すことができる。
ホログラフィックバーコードと2次元印刷バーコードの位置関係は、一体化された対象物に固定されていれば、様々な変形例が可能である。2次元印刷バーコードの例として、QRコード(登録商標)は誤り訂正のため、バーコードの一部に文字や図形が入れられる仕様となっているが、図10に示すように2次元バーコード401の内側のエリアにホログラフィックバーコード402を入れてもよい。こうすると、ホログラム媒体は小さくてすみ、2つのバーコードを読み取るときのクロストークは少なくなるという利点がある。
さて、ホログラフィックバーコードと2次元バーコードの両方の読取に成功したあと、スマートフォンの通信機能を用いて、認証サーバーと読取データを照合し、正規に発行されたものかどうかと判定することができる。第一、第二の実施例では、ファンクラブの会員証とし、例えば、会員にしかアクセスできない特別なコンテンツを見たり聞いたりすることができるようになっている。もちろん、この例に限らず、金融系カード、プリペイドカード、社員証、身分証明書など、高度な認証に適用することは可能である。
ここまで、スマートフォンを使って認証をおこなう方法の例として2種の実施例を用いて説明したが、その認証方法は様々な変形が可能である。また運用段階で仕様が追加、変更されていくことも考えられる。認証にあたり、ホログラフィックバーコードか2次元印刷バーコードの少なくとも一つには、その認証方法、バージョンなどの情報を読み出すことができ、それに応じた認証方法をおこなうようにすれば、複数の仕様が混在していても、同じアプリケーションソフトウエアで対応することができる。
ホログラム媒体を機械読み取りする対象として、バーコードとして説明してきたが、文字や模様であってもよく、特徴点を認識できるものであれば良い。
また、拡張現実、AR(AUGMENTED REALITY:オーグメンテッド・リアリティ)のアプリケーションと融合させ、付加価値を高めることもできる。スマートフォンのカメラで撮影した画像をリアルタイムで表示中、特徴点を認識すると、関連情報や画像、音楽などがスマートフォンで合成されて見ることができる。従来のARでは、これら特徴点は簡単にコピーできてしまうため、例えば雑誌や商品パッケージなどについているものはコピーしたものでも反応してしまう。これに対し、本発明を適用し、スマートフォンのLEDを点灯、点滅させるタイミングで、透明ホログラム媒体の存在を認識すれば、本物が存在する鍵として機能を付加することができるようになる。
<意匠効果>
カード200は、目で見て鑑賞することができるホログラムも記録されている。図6に示した例では、観察者の視点の動きに応じて、有名キャラクターが2次元画像に印刷された画像の顔の人の耳元で話をしているかのような横顔から、正面を向いた顔に変わり、笑うとかウインクするとかの一連の表情の変化を楽しむことができる。光源、カード、目の位置の相対位置が変われば画像の変化は観察できるため、図5はカードと目の位置を固定して、光源の位置を変えたときの画像の変化を示している。スマートフォンのLEDを点灯させて動かすと、それに応じて滑らかに画像が変化するのを楽しむことができる。
画像の対象物や動きはこれに限らず、キスをしたり、周りで一緒に踊ったり、スポーツしたりしてもよい。2次元印刷像にはサッカーボールを蹴るようなポーズした少年を印刷し、ホログラム像にはその足元からサッカーボールが動き、有名サッカー選手へラストパスが送られ、ゴールする動きなどが表現されていても良い。また、サンタクロースの恰好をした立体ホログラムの顔の部分を透明シールにして、実写印刷像に重ね合わせることで、光を照射しないときにはもともとの2次元画像が見え、光を当てるとサンタクロースに変身するといった効果を持たせることも可能である。2次元画像とホログラム画像はそれぞれ自由に拡大縮小できるため、現実的にはあり得ない比で印刷することにより、2次元画像に印刷された人物の手のひらの上で小さなホログラム像が踊るとか、巨大なビルのホログラム像を吹き飛ばすといった効果も表現することができる。観光地やテーマパークをモチーフにしたホログラムを用意し、被写体を撮影し、オンデマンドで2次元印刷、貼り合せ合成してもよい。
ホログラムはマスターを作って光学的または機械的に複製するとコストを抑えられるが、大量複製したホログラム媒体を事前に用意した上で、2次元印刷媒体にオンデマンドで個別画像を印刷する段階で貼り合わせれば、2次元媒体の画像とホログラム画像があたかも融合している合成画像を短時間に完成させることができる。
後から2次元印刷データをはめ込むためには、通常の2次元の画像処理とは異なる高度な位置合わせが必要となる。例えば、視点の位置を左右に変えたときにホログラム媒体に記録されたキャラクターのオブジェクトの位置は媒体上で移動してしまうため、特徴点をどのタイミングで2次元オブジェクトと融合させるかを想定しておく必要がある。また、不透明な2次元媒体が印刷された部分より奥行き深い位置に、ホログラム像が定位していると、本来奥に隠れているべきものが見えてしまい違和感が生じるという、いわゆるオクルージョンの問題が生じてしまう。このため、ホログラム媒体に記録するオブジェクトをデザインする際、2次元媒体に印刷されるべき領域を決めておき、その部分には媒体より奥に像を定位させないようにし、回避をした。
このように特徴点やオクルージョン領域は設定できるとして、それはホログラムデザインによって変わるため、ホログラム媒体に応じて、その情報を知らなければ後工程にて合成できない。そのため、2次元印刷にて厳密に合成すべき領域情報をテンプレートにして、それに合わせて2次元画像コンテンツを撮影したり、編集加工したりできるようにした。ホログラム媒体の種類によって管理番号を発行し、既に説明したホログラフィックバーコード情報と紐づければ、ホログラム単体でもテンプレートが読み出せて、画像合成ができるようになる。
例えば、スマートフォンのアプリケーションソフトウエア上で、これら一連の作業ができるようにした例を図12を用いて説明する。テンプレートを選ぶと、カメラ機能が働き、モニターが画面500上で確認されるとともに、顔画像を配置すべきガイドライン501が画面上に表示される。そこに顔がぴったり収まるように撮影し、確認が促される。撮り直しも可能。あるいは、既に撮影済の保存データを読み込み、位置・大きさを決めることも可能である。あるいは、ユーザーが位置や大きさを意識しなくても、写真さえ決めれば、そこから顔画像を自動認識してテンプレートに自動的にはめ込むようにソフトウエアプログラムが行ってもよい。確認画面で決定すれば、オンラインまたはオフラインにてプリント出力される。ネット注文の販売形態では、注文とともに、プリント、ラボにて貼り合わされたものが送られてくる。これら一連の流れはスマートフォンでなくとも、タブレット、パーソナルコンピューターなどでも行うことができる他、撮像工程はデジタルスチルカメラで行い、撮影した画像をパーソナルコンピュータで、WEBアプリを使って編集し、インターネットで送信するといった、複数の装置を使っても本発明は適用できる。
別の実施例として、アーケードゲーム型写真シール印刷機内でこれらの一連の処理が行われても良い。即ち、写真シール印刷の撮影工程で、ユーザーが自ら表示されたガイドに合わせこむか、自動認識処理かによって、対象画像がテンプレートに合わせてシール印刷が完了する。装置内でホログラム媒体との貼り合せまでなされて出力されてもよいし、一体化はユーザーが手で行うようにしてもよい。
透明ホログラム媒体のコンテンツが複数種用意されている場合、予めユーザーが分かった上で購入するようにしてもよいが、不透明な袋に入っていて購入するまで中身がわからないようにした売り方、カプセルトイ販売機を使った売り方など、様々な形態が可能である。
年賀状やクリスマスカード、メッセージカードなどをユーザーが簡単に自作できるように、透明ホログラム媒体のコンテンツに合うデザイン例や素材例が提案され、テンプレートとして、ユーザーがインターネットを通じてダウンロードできるようにしてもよい。ユーザーは撮ったオリジナル写真を合わせてプリントし、指示に従って貼り合せるだけで完成する。手で貼り合せることを前提にすると厳密な位置合わせは期待できない。その場合は、オクルージョンの矛盾を目立たなくするには2次元画像をはめ込む場所の境界近傍の背 景は敢えて明るい色、望ましくは明度L*が60以上の色を使うと良い。明るい色が背景にあると観察者に近い側にホログラム記録媒体があったとしてもホログラム像が目立たなくなるからである。ただし、コンテンツによってはホログラム像と2次元画像を厳密に合わせないと魅力が半減してしまうものもあるため、その場合は、オクルージョンを犠牲にしてでも黒い背景を使ったり、境界近傍領域は暗い色から明るい色へのグラデーションを使ったりしてもよい。
透明なホログラム媒体の透明粘着材の裏側の剥離フィルムも透明でできており、その背面にサンプルとして、合成されるオブジェクト例を印刷し、重ね合わせておけば、ユーザーは貼り合せる事前に出来上がりを想像できるので好適である。
2次元印刷媒体は、透明でできているものを構成しても良い。アクリル板、PET、PET-G、ポリカーボネイト板、ガラス板などを基材とすることができる。こうすることにより、2次元画像が無い部分は透明でさらに奥に配置されるものが良く見えて、それらの画像との融合も可能である。
ホログラム媒体、2次元印刷媒体は、いずれかあるいは両方とも複数枚重ね合わされていてもよい。この場合、重ね合わせる順は様々に設定できる。どのような順番に重ね合わせてもよいがそれぞれ効果は異なる。例えば、赤、緑、青それぞれ違う層に分けて、重ね合わせてもよい。赤と青を1層に記録したものと、緑だけを1層に記録したものとにわけて、それら2枚を重ね合わせるなど、いろいろなバリエーションが可能である。複数枚のホログラム媒体を重ねるだけの場合、材料透過率の関係で、観察者に近い側の像が明るくなる程度だが、2次元印刷媒体が入るとそれより奥にホログラム媒体が配置されても光が届かずに極端にホログラム像が見えづらくなる。その効果を利用し、ホログラム媒体よりも奥にしかオブジェクトを定位させないのであれば、2次元印刷媒体を手前、ホログラム媒体を奥に配置することにより、オクルージョンを気にせずに奥行き感のある画像表示媒体を作ることもできる。
さらに望ましいのは、ホログラフィックステレオグラム記録用画像をレンダリング時に、ホログラム媒体面より手前に配置されるオブジェクトの面と奥に配置されるオブジェクトの面をわけ、手前用の画像だけ記録した媒体を手前、2次元媒体を中間、奥用の画像だけ記録した媒体を奥、という三層構造で重ね合わせれば、オクルージョンの問題は自動的に解決された媒体が完成する。
例えば0.5~1mm程度の透明基材の一面に2次元印刷を施し、その上から透明ホログラム媒体を透明粘着材を介して貼り合せ、観察者から反対側の面に位置決めした上で裏面用のホログラム媒体を同様に粘着材を介して貼り合せるようにしてもよい。但し、このとき、光の入射方向が表面とは共役になるようにする、像を鏡面反転させるだけでなく奥・手前反転をさせるなど、単純な2次元印刷とは異なる画像処理をしなければならないことは言うまでもない。
このような三層構造のホログラム媒体を作る際、中間層である2次元印刷媒体に最後の工程で印画する必要があるため、記録済ホログラム媒体である中間製品を流通させる必要がある。貼り合せたときに三層の像にずれが生じないように、ラミネーションフィルムのように媒体の一辺を接着しておくこともできる。
上記の例は、アミューズメントに適用した例で説明したが、これに限らず、パスポート、運転免許証、企業の社員証、学生証などの各種身分証明書、クレジットカード、キャッシュカード、プリペイドカードなどの金融系カードなどにも応用することができる。顔写真情報など重要な要素の上、すなわち手前には、ホログラフィックオブジェクトを配置せず、すべて背景にホログラム像を配置させることも可能である。
ホログラム媒体は透明であると説明してきたが、材料に一見視認性を阻害しない程度に識別可能材料などが付加されていても良い。
2次元印刷媒体はカードに限らず、フォトフレーム、缶バッチ、名刺、スマートフォン、PC、タブレット、モバイルバッテリー及びそれらのケース、メダル、キーホルダー、ストラップ、ゴルフマーカー、ハガキ、手紙、メッセージカード、懐中電灯、陶器、磁器、木材、紙、皿などであってもよい。
さらには、ネイル、体の一部、皮膚などであってもよい。透明であるが故にネイルアートのデコレーション、マニキュア、フェイスペインティング、化粧などをした上に貼った上で、下地も見せることができる。透明媒体であるが故に、人体の指紋、静脈などの情報との組み合わせを認証に利用することも可能である。
実施例では、2次元印刷像のテンプレートとしてデジタル画像の合成を前提に説明したが、リアルなものに絵を描くアートに適用しても良い。ネイルアート、フェイスペインティングのようなもの適用する場合、型紙を作り、それに合わせて絵を描き、ホログラム媒体を貼り合せることでホログラムと2次元アートとの融合が完成する。
2次元印刷されるオブジェクトは、人の顔写真、ペット写真、集合写真などの写真、イベント名の文字、日付、場所、名前、優勝、準優勝など順位、タイムやスコアなどの記録、誕生、結婚、金婚、銀婚、長寿祝い、表彰文字、企業名などのテキスト情報、バーコードなどであってもよい。
ホログラフィック記録されるオブジェクトの例としては、アニメキャラクタ、タレント、スポーツ選手、様々なスポーツの動き、道具、楽器、文字、干支、動物、メッセージ、企業ロゴなどであってもよい。
一体化させる際、永久接着を前提にすると様々な改ざん防止目的に効力が増すが、単に意匠目的であれば、再剥離可能な粘着材を使ってもよい。粘着材を使わず、転写箔としても良い。さらには、キーホルダー、フォトフレームなどでは、写真を入れて固定するタイプを用い、ホログラム媒体を観察者側に、2次元印刷媒体を観察者から遠い側にして、2枚を重ね合わせて固定するだけでも良い。即ち、透明媒体を通して、ホログラム媒体の画像とその下地の印刷とを重ね合わせて効果が得られるのであれば、様々な変形例に応用できることは言うまでもない。