以下、本発明の加熱調理装置について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。さらに、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
各実施例の説明の前に共通的な事項について、以下用語の定義と基本構成を説明する。
「炊飯ユニット」とは、誘導加熱調理器(誘導加熱調理器ユニット)によって加熱され、内部において炊飯動作が行われる器体をいい、使用者によって誘導加熱調理器(誘導加熱調理器ユニット)の上から別の場所へ移動できる。この炊飯ユニットには、「炊飯条件を入力する入力操作手段」を備えている。
ここでいう「炊飯条件を入力する入力操作手段」とは、炊飯開始の指令のみを与える手段を含んでいない。
「誘導加熱調理器(誘導加熱調理器ユニット)」とは、単独で誘導加熱調理が可能であり、また「炊飯ユニット」を加熱できる。使用者によって別の場所へ移動できるかどうかを問わないので、流し台等の厨房家具等に組み込まれて固定されている、いわゆる「ビルトイン」型であっても良い。
実施の形態1.
以下図1~図21に示される実施の形態1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理装置の斜視図である。図2は、図1の電気炊飯器のX-X線における縦断面図である。また、図2では、一部構成については断面表示(ハッチング)を省略している。
図1に実線で示す矢印において、R方向が炊飯ユニット(「おひつ部」ともいう)1及び誘導加熱調理器10の右方向であるものとする。L方向は左方向である。
図1の破線で示す矢印において、BK方向が炊飯ユニット1及び誘導加熱調理器10の後ろの方向であるものとする。FRは、同じくその前方の方向を示している。
図1に示されるように、加熱調理装置100は、炊飯ユニット1と、誘導加熱調理器10と、を備えている。炊飯ユニット1は、誘導加熱調理器10の上面を構成するトッププレート22の上に置かれているだけであり、ネジ等の連結手段で固定していないので、持ち上げれば誘導加熱調理器10の上面から簡単に離すことができる。誘導加熱調理器10は、炊飯ユニット1を載置する部材であり、例えば、炊飯器100の(左側からの)側面視において略L字形状に構成されている。
図1、図2に示されるように、炊飯ユニット1は、角型(立方体)形状の本体1Aと、この本体1Aにヒンジ軸51(図5参照)を中心としたヒンジ部(図示せず)で連結された蓋体1Bと、ハンドル1C(図示せず)と、上面が開口した円筒状の内釜3と、内釜温度検出手段5と、給電コイルを主体に構成された給電手段6と、受電コイル7と、蓋体開閉ボタン8と、蓋体加熱手段9Aと、内釜側面加熱手段9Bと、報知手段70の一例である表示手段11と、使用者によって炊飯条件などが入力される第2の入力操作手段12と、を備えている。
18は、後述する米の重量の計測を指示し、また消費エネルギーの演算を指示するための操作部であり、第3の入力操作手段である。
この操作部18には、複数の操作キー18A、18B、18C、18Dを配置してある。1つの操作キー(スイッチ)18Aは、炊飯前の米の重量を計測させるための計測開始指令の操作キーである。18Bは、重量の表示を指令する操作キーである。18Cは、炊飯を終えたあとのご飯(炊飯物ともいう)の重量に応じたカロリーを計算することを指令する操作キーである。カロリー計算キー18Cが押された場合、その後自動的にカロリー計算結果が第2の表示画面11Bに表示される。
前記操作キー18Aは、炊飯前の米の重量を計測させるための指令信号を発する。これに対し、操作キー18Cは、炊飯後のご飯(炊飯物)の重量を計測させるための指令信号を出すキーである。実際は、操作キー18Cを操作して指令を出すと、ご飯の重量を計測するために炊飯ユニット1の総重量を計測することと、それに続いて計測されたご飯の重量から、消費エネルギー量を換算することの一連の動作を指令することになる。
このように1つの操作キー18Cによって、重量計測とカロリー換算の2つの指示をしているが、炊飯完了後の重量計測を、前記操作キー18Aによって行わせても良い。その場合、操作キー18Cに相当するものが、操作キー18Aを含めて2つになる。
18Dは、重量の計測結果やカロリー計測結果をキャンセルする操作キー(スイッチ)である。また、このキー18Dは、カロリー計算キー18Cが押されて、後述する「カロリー報知モード」になった場合でも、それを取り消すことができ、後述する取消キー79と同じ機能がある。
前記カロリー計算キー18Cは、前記制御装置50によって、後述する炊飯工程又はむらし工程の完了前には入力できないように無効化されている。そして、炊飯工程の完了後には自動的に入力が可能となるように切り替えられる。具体的には、あとで説明する図18のステップSR15で「Yes」判定になった時点、又は同じく図19のステップSR17で「Yes」判定になった時点以降は、前記カロリー計算キー18Cで入力することが可能となる。
蓋体1Bを除き、炊飯ユニット1の外郭を構成する四角形のケースは、その全体が熱可塑性のプラスチック材料から形成されている。1Fは、その蓋体1Bのケース前壁面を示し、1Rは同じくその右壁面(右側面)を示す。
同様に、前記誘導加熱調理器10の外郭を形成する本体ケース10Aも、熱可塑性のプラスチック材料から形成されている。10Fは、その本体ケース10Aの前壁面、10Rは右壁面である。
誘導加熱調理器10は、その内部空間に、冷却ファン13と、誘導加熱コイル14と、送電コイル17と、防磁板19と、制御装置50と、キッチン等の室内空気の温度を検出する外気温度検出手段15と、を備える。誘導加熱コイル14は、以下の説明では「加熱コイル」14と呼ぶ。
また、誘導加熱調理器10の底面の4隅部には、後述する重量計測手段94の計測部94A~94Dが配置されている。計測部94A~94Dは全部で4つある。4つの計測部の計測データは1つの計測回路(図示せず)に集約され、重量が算出される。なお、計測部94A~94Dは、以下の説明では「重量センサー」と呼ぶ。
炊飯ユニット1の前記本体1Aは、内釜3を収容する部材であり、この本体1Aには、蓋体1B及びU字形状のハンドル1C(図示していない)が取り付けられている。そのハンドルは、電気炊飯器本体1Aの左右側面に両方の端部が回動自在に固定され、炊飯ユニット1全体を持ち上げる際に使用される。
蓋体1Bは、例えば、本体1Aの上面全体を覆うように設けられている平面視で正方形又は長方形の部材である。蓋体1Bは、本体1Aの平面形状と殆ど同じ大きさの平面形状を有している。蓋体1Bは、例えば、アルミニウム等のような熱伝導性の良い材料から全体が形成されている。
前記内釜3は、上部に開口部を有する有底筒状の部材である。内釜3は、磁性金属材料(例えば、ステンレス鋼板)とアルミニウムを積層したクラッド材や、磁性金属の薄い膜を外表面に形成した磁器、又は炭素等の素材で形成されている。
この内釜3には、例えば米等の被調理物が投入される。内釜温度検出手段5は、内釜3の温度を検出する温度検出手段(「温度監視手段」ともいう)であり、例えばサーミスタ5Aで構成されている。なお、サーミスタは、内釜3の外表面に接触して温度を計測するものであるが、非接触で温度を検出する赤外線温度センサー5B等を使用しても良い。赤外線温度センサー5Bは、図2に示すように、誘導加熱調理器10の内部に設置され、破線の矢印で示すように内釜3から放射される赤外線を受けて温度を計測する。
給電手段6は、内釜3よりも炊飯ユニット1の後方(背面)側に設けられており、電力を蓄える機能も備えた蓄電手段である。給電手段6は、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン蓄電池等の二次電池95(図8参照)で構成されている。なお、給電手段6は、二次電池95で構成されることに限定されるものではなく、乾電池等の一次電池で構成されていてもよい。このように、給電手段6が一次電池で構成されている場合には、給電手段6の一次電池を取り替える可能性を考慮して、給電手段6を容易に取り替えられるような位置に設けることが望ましい。
受電コイル7は、例えば、炊飯ユニット1の内部に設けられているコイルであり、送電コイル17から送られる電力に基づいて給電手段6に、非接触で給電するように機能する。なお、非接触で給電手段6に給電する方式としては、電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電界結合方式等があるが、本実施の形態1においては、電磁誘導方式である例について説明する。
前記蓋体開閉ボタン8は、炊飯ユニット1の前面側から後方側に向かう力が加えられることで、前記蓋体1Bが本体1Aから開放されるように構成されており、例えば、本体1Aの前面に設けられている。例えば、図1に示される状態で、蓋体開閉ボタン8に対して、炊飯ユニット1の前方側から後方側に向かう力が加えられることで、蓋体1Bは、本体1Aとのロック機構(図示せず)が外れ、蓋体1Bの後方に内蔵させたバネ機構(図示せず)の力で開放する。
図1において、48は、人の存在を感知する人感知センサーであり、非接触入力手段の1種である。この人感知センサーは、図1と図5から明らかなように、前記蓋体開閉ボタン8の上方で、その近傍から赤外線を一定の照射範囲に照射して、人の存在を検知するものである。人感知センサー48自体が左右方向に自動的に向きを変化させ、左右方向に広い範囲で人を感知できるようにしても良い。また、上下方向に自動的に向きを変化させ、上下方向に広い範囲で人を感知できるようにしても良い。
前記人感知センサー48は、人から発せられる赤外線を検知する赤外線センサーや、超音波センサーである。赤外線センサーにした場合には、使用者がご飯を盛り付ける場合に使用する「しゃもじ」が、炊飯後のご飯の温度を受けて熱くなるため、その温度を感知するから、他の冷たい物体と識別しやすい。
前記人感知センサー48は、カロリー報知を行わせるための「非接触入力手段」を兼ねており、蓋体1Bを開放した場合に、後述する制御装置50に対しての「非接触入力手段」に自動的に切り替わる。これは、後述する蓋体開放センサー93と制御装置50によって行われるが、詳しくは後で説明する。
蓋体加熱手段9Aは、内釜3の上方に設けられる加熱手段であり、例えば、蓋体1Bの内部に設けられている電熱線である。この蓋体加熱手段9Aは、内釜3の上方全体を加熱できるように、水平方向に蛇行しながら広がっている。
内釜側面加熱手段9Bは、内釜3の側方に設けられる加熱手段であり、例えば、本体1Aの内部に設けられている電熱線である。内釜3の側方(側面)外周を数回回るように巻かれ、内釜3の側方(側面)の上部から少なくとも上下中間部までを加熱できるようになっている。
炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上に正しく載置された状態においては、蓋体加熱手段9A及び内釜側面加熱手段9Bは、誘導加熱調理器10から供給される外部電源(商用電源)の電力によって駆動される。炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上に載置されていない状態においては、蓋体加熱手段9A及び内釜側面加熱手段9Bは、給電手段6の電力のみによって駆動される。
前記表示手段11は、2つの表示画面から構成されている。2つの表示画面11A、11Bは、炊飯器100の各種情報を画面表示する機能があり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等で構成されている。
前記蓋体1Bに設けた第1の表示画面11Aは、例えば、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上から取り外された場合において、保温可能な時間を表示する。第1の表示画面11Aは、また例えば、給電手段6の蓄電状態を表示する。第1の表示画面11Aは、また例えば、現在の蓄電状態を0%~100%の範囲内で表示する。さらに第1の表示画面11Aは、給電手段6の充電が完了するまでに要する時間を表示する。
前記本体1Aの前面に配置した第2の表示画面11Bは、炊飯する米の重量や、最適な水量、炊飯したご飯の重量に対応した消費エネルギー量等の情報を、文字や数字で表示する。なお、その消費エネルギー量は、カロリー(又はキロカロリー)という単位で表示される。
前記蓋体1Bに設けた第1の表示画面11Aは、その蓋体1Bの上方向に向けて各種情報を表示する。一方、前記本体1Aの前面に配置した第2の表示画面11Bは、当該本体1Aの前方方向に向けて、炊飯する米の重量や、最適な水量、ご飯の重量に対応した消費エネルギー量等の各種情報を表示する。
前記蓋体1Bの前方部上面には、前記第2の入力操作手段12が配置されている。その入力操作手段12は、例えば、予熱工程、炊飯工程、むらし工程等の工程を実行するための操作入力等を受け付ける操作手段である。押圧式の入力キーが複数個配置されている。詳しくは、図5で説明する。なお、押圧式の入力キーに代えて、または併用するためにタッチ式の入力キーを設けても良い。
また、第2の入力操作手段12と同じ位置には、第1の表示画面11Aが配置されている。そして、第2の入力操作手段12で、炊飯量や、米の銘柄、炊飯の硬さ、予約炊飯する場合の炊飯完了時刻や時間帯等の各種炊飯条件を使用者が入力でき、その入力結果を第1の表示画面11Aでその都度確認できる。詳しくは、図5で説明する。
前記冷却ファン13は、誘導加熱調理器10において、半導体集積回路や電子回路等で構成された制御装置50において発生した熱を、空気中に逃がすための送風手段である。冷却ファン13が回転すると、冷却ファン13から加熱コイル14側に向かう空気流れが生成される。
加熱コイル14は、発生する磁力線によって内釜3自体を加熱し、その内釜3の内部に収納される米や水等の被調理物を加熱するものであり、例えば、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上に載置された状態で、その内釜3の下方に位置するように設けられている。加熱コイル14は、細い銅線等がドーナツ状に巻かれて形成されている。
前記送電コイル17は、誘導加熱調理器10から炊飯ユニット1側へ、電力を供給するものである。送電コイル17は、加熱コイル14よりも冷却ファン13の空気流れの上流側に位置している。すなわち、送電コイル17は、加熱コイル14よりも誘導加熱調理器10の後方側に位置し、冷却ファン13よりも前方側に位置している。このように送電コイル17を設けることで、加熱コイル14を冷却して温度上昇した空気が送電コイル17に供給される可能性を低減できる。
防磁板19は、加熱コイル14から発せられる電磁波が送電コイル17に達しないように遮蔽する部材である。防磁板19は、例えば、加熱コイル14の周囲を取り囲むように、一定の高さを有しており、平面視で環状に設けられている。防磁板19は、例えば、誘導加熱調理器10の上部にあるトッププレート22の下面から下方に延びている。なお、防磁板19は、加熱コイル14よりも本体部10の径方向外側において環状に設けられている例に限定されるものではなく、少なくとも加熱コイル14と送電コイル17との間に位置するように設けられていればよい。
前記外気温度検出手段15は、誘導加熱調理器10が置かれている空間の外部の温度を検出するためのものである。誘導加熱調理器10の後部に垂直に立ち上がっている後部垂直部16の壁面に設置されている。この外気温度検出手段15の検出温度は、内釜温度検出手段5の検出温度とともに、後述する保温可能時間の算出に使用される。
なお、外気温度検出手段15は、この実施の形態1では、誘導加熱調理器10に備えるようにしているが、炊飯ユニット1に備えるようにしてもよい。あるいは、炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10の双方に設けても良い。
図1において、2は、炊飯ユニット1の底面の4つの隅部に1つずつ配置した脚部である。この脚部は、例えば硬質ゴムやプラスチック材料等から形成されている。
図1において、20は、誘導加熱調理器10の上面前方部に横長帯状に配置した第1の入力操作手段である。この入力操作手段では、押圧式の各種入力ボタン(キー)が配置されている。この入力操作手段において、前記炊飯ユニット1とは無関係に、誘導加熱調理器10単独で誘導加熱調理を行えるように、火力や調理メニュー(湯沸しや煮物等)、調理時間等の各種条件を入力できる。
前記炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10の上面の所定位置に載置した状態では、図1と図2に示すように、第1の入力操作手段20は、前記炊飯ユニット1によって上方から覆い隠された状態となる。
21は、誘導加熱調理器10の上面で前記第1の入力操作手段20の後方を真横に横切るように左右に長く形成した突起部(凸条)である。この突起部21は、誘導加熱調理器10の上面の横幅全体に及ぶような長さを有しており、耐熱性と弾力性を有した材料で形成されており、誘導加熱調理器10の上面を構成する耐熱性のガラス等から形成されたトッププレート22の上面に固定されている。なお、この突起部は、耐熱性と弾力性のある材料、例えばシリコンゴムから形成されている。
図2において、23は、前記内釜3の上面開口を開閉自在に塞ぐ内蓋であり、アルミニウム等の熱伝導性の良い金属薄板で、平面形状が円形に形成されている。前記蓋体加熱手段9Aである電気ヒータは、この内蓋23の上面に広く蛇行するように、又は環状に配置されている。
24は、その内蓋23の周囲に取り付けられたシール用パッキンであり、シリコンゴム等の耐熱性と弾力性に富む材料で形成されている。前記蓋体1Bを閉じた状態では、内蓋23とパッキン24によって内釜3は密閉される。なお、内蓋23には、炊飯時の蒸気抜きのための小さな孔(図示せず)が形成されており、炊飯ユニット1の外部に連通する蒸気排出通路(図示せず)が蓋体1Bの内部を貫通するように形成されている。
図2において、25は、前記内釜3の周囲を近接して囲んでいる耐熱樹脂製又は誘導加熱されないような非磁性金属(例えば、アルミニウム)製の内側胴部であり、この外側に前記内釜側面加熱手段9Bである電気ヒータが巻かれている。
26は、前記後部垂直部16の中に収容した無線通信モジュール(無線通信部)であり、家庭内に設置したローカルネットワーク設備(電力指令装置を含む)との間で無線通信できるようになっており、インターネット回線を通じて遠隔地にある携帯情報端末や通信機器等と情報の授受ができる。また炊飯ユニット1に対する遠隔操作信号も受信できる。無線通信手段としては、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の周知の手段を採用することができる。
前記無線通信モジュール(無線通信部)26は、後述する「第2の通信部」CT2の中の1つの通信部である。この第2の通信部は、無線通信部26と、後述する第1の基準位置判定手段33の赤外線信号送受信部35とを総称したものである。つまり、無線通信部26と赤外線信号送受信部35と、の2つの手段によって第2の通信部CT2が構成されている。
なお、この実施の形態1では、炊飯ユニット1には、第1の通信部CT1として、赤外線信号送受信部34を備えている。
図2において、27は、前記第2の表示手段11Bを垂直に支持する支持板である。28は、内釜3の底部中央に対応して前記内側胴部25に形成した窓であり、赤外線を透過する材料で覆われている。29は、その窓に対応した位置に設けた窓であり、前記トッププレート22に形成している。なお、この窓は、貫通孔ではない。赤外線の通過部である。
トッププレート22は、通常は誘導加熱調理器10の内部構造がトッププレート22を通して目視できないように、可視光線を遮断する塗装膜等が裏(下)面に施されているが、前記窓29の部分にはそのような塗装膜はないので、赤外線が容易に透過する。
図2において、30は、後部垂直部15の内部に配置された載置検知センサーの1つであるリードスイッチ31(図7参照)に対応するよう、炊飯ユニット1の後面に設置した永久磁石である。
32は、支持基板であり、内釜温度検出手段5を構成する赤外線温度センサー5Bを支持しており、誘導加熱調理器10の内部に水平に設置してある。
34は、第1の基準位置判定手段33の一部を構成する(誘導加熱調理器10側の)赤外線信号送受信部であり、前記防磁板19より外側で、かつ前記第1の操作入力手段20よりも後方の位置に配置されている。赤外線信号送受信部34は、1つではなく2つ以上設置し、少なくとも1つは赤外線信号送信用で、他の少なくとも1つは赤外線信号受信用である。その場合、接近状態で並べて設置すると後述する窓37、38を共用できて構造上有利である。
35は、第1の基準位置判定手段33の一部を構成する(炊飯ユニット1側の)赤外線信号送受信部であり、前記赤外線信号送受信部34の垂直延長線上に配置されている。この赤外線信号送受信部35も、赤外線信号送受信部34と同様に、1つではなく2つ以上設置しても良い。
36Aは、赤外線信号を解読する第1の信号処理部である。なお、赤外線信号送受信部34側にも同様な第2の信号処理部36Bがある。誘導加熱コイル14の駆動中に無線通信ではノイズが発生したりする懸念があるため、赤外線信号で通信を行うようにしている。101は、電源プラグであり、102は電源コードである。
図3において、37は、前記トッププレート22に形成した窓であり、前記窓29と同様に赤外線信号を透過させるためのものである。
39は、炊飯ユニット1の底面を構成する耐熱性のある(熱可塑性)プラスチック製の底板であり、赤外線信号を透過させるための窓38を形成している。
40は、前記赤外線信号送受信部34を支持した支持基板である。なお、底板39は、前記炊飯ユニット1の本体1Aの内側壁面から一体に形成し、本体1Aの底面を構成するようにしても良い。
図3において、1Fは、炊飯ユニット1の本体1Aの前壁面、10Fは、前記誘導加熱調理器10の外郭を形成する本体ケース10Aの前壁面である。
図3において、第1の入力操作手段20の前後方向の範囲は、実線の矢印20Wで示した通りである。
1Hは、切り欠き(開口部)であり、炊飯ユニット1の本体1Aの前壁面1Fの下端部はもちろん、炊飯ユニット1の本体1Aの右壁面(右側面)1Rや、左壁面1L、後壁面等、本体1Aの全周にわたって点在するように設けてある。この切り欠きは、炊飯ユニット1の本体1Aと前記トッププレート22との間の空隙Sから、空気が外部へ移動しやすくなる目的で設けている。このため、高温になる内釜3を内蔵した炊飯ユニット1が載置された場合でも、誘導加熱調理器10の上面、特に前方部にある第1の入力操作手段20の部分の温度を低く抑える効果が期待できる。
前記第1の入力操作手段20には、複数の押圧式電子スイッチ41が横一列に一定の間隔で配置されている。各電子スイッチ41は、上部にある操作部41Aが押されると、内部接点が閉じて所定の信号を発生させることができる。41Bは押圧棒で、プラスチック製である。
前記電子スイッチ41については、図6で詳しく説明するが、電子スイッチ41の一部には、後述する第4の入力操作手段84の一部を構成する電子スイッチ41Wと、カロリー報知用電子スイッチ41Cが含まれる。以下の説明で、電子スイッチ41という場合には、特に断りがない限り、重量計測用の電子スイッチ41Wと、カロリー報知用電子スイッチ41Cを含む。
42は、各電子スイッチ41を実装した回路基板である。43は、薄く湾曲性のあるプラスチック材料で形成された保護シート(又は保護板)であり、前記操作部41Aの上を密封状態に覆っており、上方からの水の浸入を防止している。この保護シート43が使用者の指で押された場合、操作部41Aは微小寸法下方に移動して電子スイッチ41の内部接点が閉じる。
44は、プレスチック製の支持枠45に形成した透孔であり、前記操作部41Aの上下動を許容するように、その操作部41Aの外形寸法より大きな口径である。
第1の入力操作手段20には、その操作入力結果を表示する表示手段70Dがある。この表示手段は、以下の説明では「本体側表示部」と称する。図6に詳しく示しているが、液晶表示画面70D1とレーザ発光ダイオード素子(LED)による表示部70D2、とから構成されている。表示部70D2は、第1の入力操作手段20の保護シート43を下方から光で照らして、当該保護シート43の特定部分を赤や黄色に表示させ、使用者に対して各電子スイッチ41の入力結果を表示する。
また液晶表示画面70D1は、保護シート43の一部に開口を設け、それを透明なシートで上から覆い、この開口に液晶表示画面70D1を臨ませるように設置している構成である。
この実施の形態1で、第1の入力操作手段20の入力機能を有効・無効にする説明を行うが、入力機能を無効にした場合には、上記表示手段70Aも同時に表示機能は無効となり、画面表示は消される。逆に第1の入力操作手段20の入力機能が有効になる場合(最初に起動されるとき、無効化が解除されるとき)には、同時に有効になり、表示動作が行われるようになる。
第1の入力操作手段20の入力機能を無効にした場合でも、後述する音声報知装置70Vは依然として有効に機能するように維持させても良い。炊飯ユニット1を載置した場合においても、音声報知装置70Vによって報知することは、使用者に便利な場面があるためである。なお、第4の入力操作手段84の機能についても、第1の入力操作手段20の入力機能無効化と同時に、無効にされる。または、解除されるタイミングも同時である。
図3において、Sは、前記誘導加熱調理器10の上面と炊飯ユニット1の底板39との対向面の間に形成された空隙であり、高さは10mm~15mm程度である。
図3は、炊飯中の状態を示しており、炊飯ユニット1には、所定の米と水が内釜3に収容されているので、内釜3の中が空の状態の炊飯ユニット1の重量よりも、重くなる。この状態で、炊飯ユニット1の本体1Aの前壁面1Fと、前記誘導加熱調理器10の外郭を形成する本体ケース10Aの前壁面10Fとの対向間隔G1は、数mm程度ある。このため空隙Sは、前記間隔G1によって前方に連通している。なお、炊飯ユニット1の本体1Aの前壁面1Fだけではなく左右両壁面と、前記誘導加熱調理器10の外郭を形成する本体ケース10Aの左右両壁面の下端が同一水平面で揃っているので、前記空隙Sは、前方と左右両側に連通している。
前記突起部(凸条)は、炊飯ユニット1の底面39と、第1の入力操作手段20の上面との対向間隔を狭めている。言い換えると前記空隙Sの高さを狭めているので、この突起部21より後方にある加熱コイル14の真上の位置で発生する熱気が、この突起部21を乗り越えて第1の入力操作手段20側に流れることが抑制される。このため、炊飯動作を行った際に、加熱コイル14によって炊飯ユニット1の底面が高温になっても、第1の入力操作手段20の部分が過熱状態になることが抑制される。
このため、炊飯ユニット1の使用が終わって、その炊飯ユニット1を前記誘導加熱調理器10の上から取り除いた後、第1の入力操作手段20の部分が熱くて、直ぐに誘導加熱調理器10による別の加熱調理を開始できないという事態を招かない。
図3において、20Wは、前述したように、前記第1の入力操作手段20の前後方向の幅を示しており、50mm~70mm程度である。
次に図4について説明する。図4は、誘導加熱調理器10の外郭を形成する本体ケース10Aの前方部を拡大した縦断面図である。4は、本体ケース10Aの底壁面10Bの上に固定された重量センサーである。
2は、太い支柱状の脚部であり、誘導加熱調理器10の重量を支える。つまり、この脚部2の下面が、食卓等の家具等の上面に向かい合う。
前記脚部2の真上には、詳細に図示していないが、歪センサー4Sが配置されている。脚部2によって前記歪センサー4Sを押す力、すなわち、誘導加熱調理器10と炊飯ユニット1の総重量に応じて、歪センサー4Sからの出力で重量を計測できる。なお、このような歪センサー4Sを用いた重量センサーは、既に古くから提案されており、詳しい説明は省略する。
46は、本体ケース10Aの底壁面10Bに形成した貫通孔であり、前記脚部2の上下動を許容する大きさ(口径)である。前記脚部2は、図4に示すように一定の長さで下方へ突出している。GP1は、突出高さである。炊飯ユニット1を載置した場合、誘導加熱調理器10と炊飯ユニット1の総重量を受けるから、前記突出高さGP1の寸法は小さくなる。
109は、金属製の支持板であり、前記脚部2の上下動を許容する大きさ(口径)の孔109Aが形成されている。
次に、図5に基づいて、第2の操作入力手段12と、第1の表示画面11Aについて説明する。
図5は、実施の形態1に係る電気炊飯器100の蓋体1Bの前半部分の平面図である。蓋体1Bのほぼ左右中央には、液晶表示画面等から構成された第1の表示画面11Aが配置されている。
第1の表示画面11Aには、時刻と、米種表示部60と、硬さ表示部61と、メニュー表示部62とが表示される。また、第1の表示画面11Aの外側で左側には、米種スイッチ63と、硬さスイッチ64と、メニュースイッチ65と、切/保温スイッチ66と、直前の入力を取り消すための取消スイッチ79と、が設けられ、第1の表示画面11Aの外側で右側には、炊飯スイッチ67と、予約スイッチ68と、時刻スイッチ69と、後述するカロリー報知スイッチ49と、がそれぞれ設けられている。
炊飯動作開始後は、前記切/保温スイッチ66を押すと、炊飯中止の指令信号が制御装置50に対して発せられる。また、保温動作開始後は、前記切/保温スイッチ66を押すと、保温中止の指令信号が発せられる。この実施の形態1では、むらし工程に続いて自動的に、ある時間内(例えば1時間や3時間、6時間等)は保温工程が制御装置50で実行されるような制御プログラムになっている。
49は、第1の表示画面11Aにカロリー値を表示させるためのカロリー報知スイッチである。また音声報知装置70Vにおいて、音声でカロリー値を報知させることを指令する。つまり、49は、カロリー値を報知することを制御装置50に指令するスイッチである。基本的に、このスイッチ49が押された場合のカロリー値は、第1の表示画面11Aで表示される。
後述する炊飯工程又はむらし工程を終えたあと、制御装置50は、前記カロリー報知スイッチ49が押された場合、第2の操作入力手段12における(後述する音声モードスイッチ12Vと、取消スイッチ79とを除く)各種スイッチの入力を受け付けない処理をする。つまり、米種スイッチ63、硬さスイッチ64、メニュースイッチ65、炊飯スイッチ67、予約スイッチ68及び時刻スイッチ69、の入力はできない状態に維持される。
切/保温スイッチ66は、前記カロリー報知スイッチ49が押され、「カロリー報知モード」に移行した時点から、取消スイッチ79としての機能に切り替わる。そのため、「カロリー報知モード」に移行後、この切/保温スイッチ66を押すと、「カロリー報知モード」はキャンセルされ、取消スイッチ79としての機能は解除される。
さらにこれに続いて、再び切/保温スイッチ66を押すと、保温モードに移行する。従って、炊飯が終わった段階で、そのまま蓋体1Bを開けず、保温モードに設定するには、切/保温スイッチ66を押すと良い。なお、これら操作の都度、報知手段90の音声報知手段90Vが音声で操作内容を案内し、第1の表示画面11Aにも、対応した表示がその都度行われる。
以上の説明から明らかなように、前記カロリー報知スイッチ49を押すと、その後で、取消スイッチ79を押さない限り、制御装置50は、「カロリー報知モード」に設定される。制御装置50は、ご飯の重量計測と、エネルギー量の演算及びカロリー値の報知、を順次行う「カロリー報知モード」に設定される。
「カロリー報知モード」に誤って設定してしまった場合には、取消スイッチ79を押せば良いが、前記キー18Dを押しても、「カロリー報知モード」を取り消すことができる。
なお、前記カロリー計算キー18Cが押された場合でも、前記「カロリー報知モード」に設定される。そして、この場合の「カロリー報知モード」では、制御装置50は、重量の計測開始指令の操作キー18Aと、重量の表示を指令する操作キー18Bの2つからの入力を無効にする。従って、これら2つのキー18A、18Bを操作しても、何も入力されない。但し、重量の計測結果やカロリー計測結果をキャンセルする操作キー(スイッチ)18Dの入力は有効状態に維持する。
また、前記カロリー計算キー18Cが押された場合、使用者が事前に設定しない限り、カロリー値の表示は、第2の表示画面11Bによって行われる。使用者が事前に所定の操作を行った場合、前記カロリー報知スイッチ49と、カロリー計算キー18Cの何れか一方だけが押された場合でも、第1の表示画面11Aと第2の表示画面11Bの両方で、同時にカロリー演算結果を表示する。
なお、前記カロリー報知スイッチ49と、カロリー計算キー18Cの何れが操作されても、前記音声報知90Vは、カロリー値を報知する。このカロリー表示に関連する事項も、同様に報知する。
12Vは、音声入力モードを選択する場合の音声モードスイッチであり、これを押すと、後述する音声報知手段90Vから「音声入力モードに切り替わりました」という案内が出て、以後、音声で入力できる。なお、再びスイッチ12Vを押せば、音声入力モードは解除される。音声報知手段90Vから「音声入力モードは解除されました」という案内がされる。
91は、近距離無線通信(NFC)を行う無線通信部(入出力手段)であり、NFC機能を備えた情報通信処理端末機器を接近又は接触させると通信が行える。蓋体1Bの上面を構成するケースの下方に埋め込まれている。なお、この近距離通信とは、Near Field Communication(略称:NFC)として知られている無線通信の国際規格技術のことである。
前記誘導加熱調理器10の上から炊飯ユニット1を分離させた時点から、再び誘導加熱調理器10の上に載置した時点までの期間中に、カロリー計算部50Cで算出されたカロリー値の積算量は、前記無線通信部(入出力手段)91に情報通信処理端末機器(図示せず)を接近又は接触させて読み出し、その情報通信処理端末機器へデータを移すことができる。つまり、例えば、炊飯ユニット1を分離させて、10回ご飯の重量計測を行い、10回カロリー値を報知された場合、その10回のカロリー値が、時系列のデータ形式で読み出せる。また10回のカロリーの総合計値も読み出せる。
米種スイッチ63は、炊飯する米の種類を設定するための入力手段である。米種スイッチ63が押下される度に、これに対応して米種表示部60の表示が「白米」、「無洗米」、「玄米」、「発芽玄米」に切り替わる。米種スイッチ63により設定された米の種類に関する情報は、後述する制御装置50に入力される。
図5では、米種スイッチ63に銘柄と併記されている。このスイッチ63で米の具体的な銘柄も指定できるが、スイッチ63の押し方で入力機能が2種類(銘柄と米種)の中から1方だけを選択できる。なお、詳しい説明は省略する。
硬さスイッチ64は、炊きあがりの硬さを設定するための入力手段である。硬さスイッチ64が押下される度に、これに対応して硬さ表示部61の表示が「かため」、「やわらか」に切り替わる。硬さスイッチ64に入力された炊きあがりの硬さに関する情報は、制御装置50に入力され、制御装置50が炊きあがりの硬さを選択する。「かため」が設定された場合には、後述する「硬めモード」で炊飯動作を行い、「やわらか」が設定された場合には、後述する「軟らかめモード」で炊飯動作を行う。なお、本実施の形態1では、硬さスイッチ64及び制御装置50により硬さ選択手段が構成されている。
本実施の形態1及びこれ以降の実施の形態で説明する電気炊飯器は、「軟らかめモード」と、この軟らかめモードよりも硬めに米飯を炊きあげる「硬めモード」の2種類の炊き分けが可能であるものとする。
メニュースイッチ65は、炊飯メニューを設定するための入力手段である。メニュースイッチ65が押下される度に、これに対応してメニュー表示部62の表示が「リゾット」、「おかゆ」、「炊き込み」に切り替わる。また、メニュースイッチ65により設定された炊飯メニューに関する情報は、制御装置50に入力される。
切/保温スイッチ66は、保温動作の終了/開始を切り替えるための入力手段である。炊飯スイッチ67は炊飯開始を指示するための入力手段である。予約スイッチ68は炊飯予約を設定するための入力手段であり、時刻スイッチ69は現在時刻や予約時刻などの時刻を設定するための入力手段である。切/保温スイッチ38、炊飯スイッチ39、予約スイッチ40、時刻スイッチ41により設定された情報は、制御装置50に入力される。
前記各種スイッチ63~69、49は、押圧式入力手段12P(図8参照)を構成している。なお、押圧式のスイッチ63~69、49ではなく、タッチ式のスイッチにした場合には、タッチ式入力手段12Tとなる。後述する図8では、そのタッチ式入力手段12Tも図示している。
次に図6について説明する。
図5は、誘導加熱調理器10における、前方部の平面図である。
第1の入力操作手段20には、複数の押圧式電子スイッチ41が横一列に一定の間隔で配置されている。70D1は、液晶表示画面であり、70D2はLEDによる表示部である。
41A1は、メニュー選択用の電子スイッチ41M(図示せず)の操作部である。この操作部41A1を操作して、湯沸かしや煮物、揚げ物等の調理メニューが選択できる。
41A2は、重量計測手段94に対して、重量計測を指令する電子スイッチ41Wの操作部である。炊飯ユニット1が載置されていない状態でこの操作部41A2は操作できるので、炊飯ユニット1の重量は計測できない。この操作部41A2が押されると、トッププレート22の上で行われている調理や湯沸かし等の被加熱物(金属鍋など)の総重量を計測できる。従って、鍋に入れる水量を、重量から計測できる。
従って、この重量計測を指令する操作部41A2を利用して、使用者はトッププレート22の上に載置した鍋や容器の総重量を計測でき、便利である。
41A3は、重量計測手段94で計測された重量に基づいて、食品の消費エネルギー量を演算させるカロリー報知スイッチ41Cの操作部である。
前記重量計測を指令する電子スイッチ41Wと、食品の消費エネルギー量を演算させるカロリー報知スイッチ41Cは、第4の入力操作手段84を構成している。なお、図7では、第1の入力操作手段20と第4の入力操作手段84は、ハードウエア(例えば、回路基板)で共通・共有している部分があるため、1つのブロックで図示している。
41A4と41A5は、加熱コイル14に対するインバーター回路73の出力電力を調節する火力設定スイッチ(図示せず)の操作部であり、左側が火力を減らすための操作部41A4、右側が逆に火力を上げる操作部41A5である。
なお、この誘導加熱調理器10では、メニュー選択用の電子スイッチ41の操作部41A1で調理メニューを選択して誘導加熱開始した場合、その調理メニューに応じた標準的な火力値が事前に決まっており、前記火力設定スイッチ(図示せず)の操作部41A4、41A5を操作しなければ、その標準的な火力で誘導加熱動作がそのまま継続する(但し、被加熱物温度検出手段5Bからの検出温度に応じて、主制御装置80が自動的に火力を増減し、または加熱停止させる)。
41A6は、誘導加熱調理の開始を指令する操作部である。41A7は、この第1の入力操作手段20と第4の入力操作手段84において、上記電子スイッチ41の操作部41A1~41A6の直前の入力を取り消したり、誘導加熱調理の途中で任意に運転停止させたりするためのスイッチ(図示せず)の操作部である。
この誘導加熱調理器10を単体で使用する場合、前記カロリー報知スイッチ(図示せず)の操作部41A3を押しても、炊飯ユニット1の「カロリー報知モード」を設定できない。
次に誘導加熱調理器10の制御関係の構成について、図7を参照しながら説明する。図7において、80は、主制御装置であり、マイクロコンピュータを中核として構成されており、半導体記憶装置(フラッシュメモリーやROM、RAM)などの記憶手段80Rと、時刻を計算する計時手段(時計回路)80Tを内蔵している。全体の加熱制御動作を司るコンピュータプログラムと各種制御用データテーブルは、前記記憶手段80Rに格納されている。
71は、商用電源(例えば50Hz又は60Hzで、電圧100V又は200V)である。電源コード102とプラグ101を介して電源部72が商用電源の電力供給を受ける。電源部72では、整流回路等を内蔵し、所定の電圧の電力に変換する機能を有している。
73は、インバーター回路であり、前記電源部72からの電力を受けて、高周波電力を発生させ、加熱コイル14に供給するものである。インバーター回路には、半導体電力制御素子、スイッチング素子等の各種電気部品が実装されている。
20は、前記第1の入力操作手段であり、前記押圧式の複数の電子スイッチ41を押圧式入力手段として使用している。
70は、報知手段であり、本体側表示部70Dと音声合成装置等の音声報知手段70Vとを備えている。本体側表示部70Dは、前述したように、液晶表示画面70D1とレーザ発光ダイオード素子(LED)による表示部70D2とを備えている。本体側表示部70Dで、誘導加熱動作の状態や条件(例えば、火力値、加熱時間)を、文字や数字、図形等で表示できる。
音声報知手段70Vには、図示していないが、音を発するブザーやスピーカを備えている。本体側表示部70Dは、前述したように第1の入力操作手段20のある場所に配置されており、使用者が第1の入力操作手段20を操作した際に、その入力結果の確認が直ぐにできるようにしている。
74は、前記トッププレート22に接触してその温度を計測する天板温度検出手段であり、例えばサーミスタが使用されている。温度検出結果のデータは、前記主制御装置80に送信される。
図7において、被加熱物温度検出手段5Bは、炊飯ユニット1を載せた場合には、内釜3の外表面から放射される赤外線を受信して温度を計測する赤外線温度センサーから構成されている。この温度センサーは、炊飯ユニット1以外の一般の鍋やフライパン等の温度も計測できるので、主制御装置80によって被加熱物(一般の金属鍋など)の温度制御も可能になっている。
80Cは、重量計測手段94によって計測された炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10の総重量のデータを受けて、炊飯後のご飯の重量に対応した消費エネルギーを計算するカロリー計算部である。
80Dは、カロリー計算部80Cで算出されたカロリー値を自動的に記憶するカロリー記憶部である。この記憶部には、半導体記憶素子等の不揮発性メモリーが使用されている。
なお、図7に示す誘導加熱調理器10側では、誘導加熱調理器10側で炊飯後のご飯のカロリー値を算出するように、カロリー計算部80Cとカロリー記憶部80Dを設けているが、この2つは、必ずしも必要ではない。図8に示すようにこの実施の形態1では、炊飯ユニット1側において、カロリー値の算出させる構成である。
次に炊飯ユニット1の制御関係の構成について、図8を参照しながら説明する。
図8において、50は、制御装置であり、マイクロコンピュータを中核として構成されており、半導体記憶装置(フラッシュメモリーやROM、RAM)などの記憶手段50Rと、時刻を計算する計時手段(時計回路)50Tを内蔵している。吸水工程や炊飯(沸騰)工程等の火力や通電時間、目標加熱温度等の条件を含めた全体の炊飯制御動作を司る炊飯用コンピュータプログラムと、米の重量を計測する重量計測用コンピュータプログラムと、自己点検プログラムや異常時対処用のコンピュータプログラムプログラムと、各種制御用のデータテーブルとは、前記記憶手段50Rに格納されている。
50Cは、重量計測手段94によって計測された炊飯ユニット1の重量データを受けて炊飯後のご飯の重量に対応した消費エネルギーを計算するカロリー計算部である。
50Dは、カロリー計算部50Cで算出されたカロリー値を自動的に記憶する記憶部である。
93は、蓋体1Bの開放を検知するセンサーであり、前記蓋体開閉ボタン8の近傍に設置してある。蓋体1Bの機械的ロックを外した場合、このセンサーから蓋開放信号が制御装置50に送信される。
重量計測手段94は、前述した4つの重量センサー4と、それらのセンサーからの出力電圧に基づいて、炊飯ユニット1の重量を計算する処理回路(「計測回路」ともいう。図示せず)と、を備えている。
12は、前記第2の入力操作手段であり、前記蓋体1Bに設けた押圧式の各種スイッチ63~69、49を、押圧式入力手段12Pとして使用している。
90は、報知手段であり、第1の表示画面11Aと、第2の表示画面11Bと、音声合成装置を含む音声報知手段90Vと、を備えている。音声報知手段90Vには、図示していないが、音を発するブザーやスピーカを備えている。
5Aは、前記内釜3に接触してその温度を計測するサーミスタであり、温度検出結果のデータは、前記制御装置50にその都度送信される。
95は、前記給電手段6を構成する二次電池であり、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン蓄電池等で構成されている。なお、給電手段6は、この二次電池95で構成されることに限定されるものではなく、乾電池等の一次電池で構成されていてもよい。
前記第1の基準位置判定手段33は、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の所定位置に載置されたか否か判定するものである。第1の基準位置判定手段33の判定結果は制御装置50に出力される。なお、制御手段50が、基準位置判定手段33の有する機能を備えていてもよい。
第1の基準位置判定手段33は、光学的手段を利用しており、誘導加熱調理器10側の基準位置判定手段33Bと、炊飯ユニット1側の基準位置判定手段33Aとを備えている。
この実施の形態1では、磁気的手段を利用した第2の基準位置判定手段47も備えている。
第2の基準位置判定手段47は、炊飯ユニット1の後面に設置した永久磁石30と、後部垂直部16に設けた(載置検知センサーの1つである)リードスイッチ31(図3参照)との組み合わせである。
誘導加熱調理器10側の基準位置判定手段33Bは、例えば、加熱コイル14に電流を流した場合における抵抗値が基準抵抗値以上であるか否かを判定する構成を採用しても良い。具体的には例えば、主制御装置80が、加熱コイル14に電流を流した場合における抵抗値が基準抵抗値以上であると判定した場合には、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10のトッププレート22の上の正しい位置にあると判定する。また、主制御装置80が、加熱コイル14に電流を流した場合における抵抗値が基準抵抗値未満であると判定した場合には、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上から取り外されていると判定する。
なお、第1の基準位置判定手段33は、光学的手段ではなく、温度検出手段を採用しても良い。例えば、前記赤外線温度センサー5Bの検出温度に基づいて、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の所定位置に取り付けられたか否か判定するように構成してもよい。この場合には、例えば、主制御装置80は、赤外線温度センサー5Bの検出温度が閾値温度以上である場合には、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10に取り付けられている可能性が高いために、炊飯ユニット1が所定位置に載置されていると判定する。また赤外線温度センサー5Bの検出温度が閾値温度未満である場合には、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10から取り外されている可能性が高いために、炊飯ユニット1が載置されていないと判定する。
なお、主制御装置80が、記憶手段80R及び計時手段80Tを備える構成に限定されるものではない。例えば、記憶手段80R及び計時手段80Tが主制御装置80とは別に構成されており、記憶手段80R及び計時手段80Tの出力が主制御装置80に入力されるように構成してもよい。
同様に、炊飯ユニット1側においても、制御装置50が、記憶手段50R及び計時手段50Tを備える構成に限定されるものではない。例えば、記憶手段50R及び計時手段50Tが制御装置50とは別に構成されており、記憶手段50R及び計時手段50Tの出力が制御装置50に入力されるように構成してもよい。
また、音声報知手段70Vにおいては、音声(ガイド音声)は予め設定されている音量又は使用者により設定された音量で出力される。また、それら音量は複数段階に設定できるようになっている。
制御装置50は、例えば、内釜3の温度検出手段であるサーミスタ5Aの検出温度と、制御装置50に予め記憶されている閾値温度と、外気温度検出手段15の検出温度に基づき、内釜3が初期温度から閾値温度を下回るまでの時間を算出し、保温可能時間を決定し、第1の表示画面11Aに保温可能時間を表示させる。サーミスタ5Aの検出温度が閾値温度よりも高ければ高い程、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10から取り外された場合に、内釜3の温度が閾値温度に達するまでの時間は長くなるため、保温可能時間は長く設定される。
このように、第1の表示画面11Aが保温可能時間を表示することで、使用者に対して被調理物(ご飯)を速やかに食することを促したり、炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10に戻して被調理物(ご飯)の保温を行ったりすることを促すことができる。したがって、炊飯したご飯の温度が制御装置50に予め記憶されている閾値温度を下回って、そのご飯の味が劣化してしまう可能性を低減することができる。
図9は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器100の時間変化に伴う温度変化の例を示す図である。なお、図9における横軸は時間を示しており、図9における縦軸は内釜3の温度を示している。
内釜3の温度は、例えば、内釜温度検出手段5であるサーミスタ5Aの検出温度である。図9に示されるように、予熱工程を実行し、予熱工程を実行した後に炊飯工程を実行し、炊飯工程を実行した後にむらし工程を実行する場合には、炊飯工程において内釜3の温度変化が急峻になる時間帯が存在する。このように内釜3の温度変化が急峻になる時間帯においては、加熱コイル14に供給される電力が大きくなる。
したがって、内釜3の温度変化が急峻になる時間帯においては、給電手段6の給電よりも被調理物(米と水)の加熱を優先するために、主制御装置80は、送電コイル17への電力供給を停止するとよい。具体的には例えば、主制御装置80は、内釜3の単位時間当たりの変化温度が所定以上である場合に、送電コイル17への電力供給を停止し、内釜3の単位時間当たりの変化温度が所定未満である場合に、送電コイル17への電力供給を継続する。このようにして、炊飯工程における被加熱物の温度上昇を妨げる可能性を低減することができる。なお、主制御装置80は、内釜3の温度に基づいて、送電コイル17への電力供給を停止するか否かを決定する例に限定されるものではない。
例えば、炊飯工程であるか否かに応じて送電コイル17への電力供給を停止するか否かを決定するようにしてもよい。具体的には、主制御装置80は、予熱工程を終了して炊飯工程を開始した場合に、送電コイル17への電力供給を停止し、炊飯工程を終了してむらし工程を開始した場合に、送電コイル17への電力供給を開始させる。
また例えば、加熱コイル14に供給される電流値が閾値電流値以上であるか否かに応じて送電コイル17への電力供給を停止するか否かを決定するようにしてもよい。具体的には、主制御装置80は、加熱コイル14に供給される電流値が閾値電流値以上である場合に、送電コイル17への電力供給を停止し、加熱コイル14に供給される電流値が閾値電流値未満である場合に、送電コイル17への電力供給を継続させる。
この実施の形態1では、以上説明したように、炊飯ユニット1の制御装置50と、誘導加熱調理器10の主制御装置80とは、赤外線信号送受信部34と赤外線信号送受信部35との間の通信によって、炊飯動作中(予熱工程から、むらし工程まで)は常に最新の制御データを送信・受信しており、炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10とが赤外線通信によって相互に連携した動作を行っている。
また、むらし工程を終えたあとも、そのまま炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10の規定の位置に載置したままにしておくと、その後も後述するように、「炊飯ユニット専用モード」が維持され、最新の制御データを、ある時間間隔で相互に送信・受信して、炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10とが赤外線通信によって相互に連携する動作を行う。ご飯の重量を計測し、その結果を報知したり、またカロリー値に換算したりして報知するという動作は、この連携動作の一部である。
次に、本実施の形態1に係る電気炊飯器100の動作について説明する。
図10は、本発明の炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10の相互の動作関係を説明する図である。誘導加熱調理器10の電源プラグ101を商用電源71に繋いだあとの動作ステップを、符号SP1~SP6で示している。
誘導加熱調理器10の電源プラグ101を商用電源71に繋いだだけでは、誘導加熱動作も炊飯動作も開始されない(SP1)。
次に炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10の上に置くと(SP2)、正しい位置であれば、載置検知センサーであるリードスイッチ31がONとなる(SP3)。
このため、第2の基準位置判定手段の判定結果を示す信号が主制御装置80に入力される。言い換えるとリードスイッチ31がONした結果の信号が判定結果を示す信号であり、この段階から、主制御装置80は「炊飯ユニット専用モード」となる、このため、誘導加熱調理器10の側では何ら入力操作や加熱動作指令を使用者が与えなくとも、自動的に所定の時間内に、誘導加熱調理器10側から基準位置判定用の赤外線信号が発信され、炊飯ユニット1を起動する。
その後、炊飯動作が開始され(SP4)、炊飯動作が終了した(SP5)後で、炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10の上から降ろすと、炊飯ユニット専用モードは自動的に解除され、誘導加熱調理器10単体で、他の鍋やフライパン等の調理器具を使用した誘導加熱調理を行うことができる。
次に図11について説明する。
図11は、誘導加熱調理器10の動作ステップを示したものである。動作ステップはS1~S12で示している。
まず、電源プラグ101を商用電源71に繋ぐと、炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていれば、リードスイッチ31がON(閉)となる(S1)。
すると、使用者が第1の操作入力手段20や炊飯ユニット1の第2の操作入力手段12を何も操作しなくとも、主制御装置80は、赤外線温度センサー5Bや、その他の電流センサー(図示せず)によって誘導加熱調理器10の内部構成部品に異常がないかどうかの自己チェックを開始する(S2)。
そして異常が無かった場合、主制御装置80は送電コイル17を駆動し、所定の電力を供給開始する。報知手段70も起動する(S3)。一方、冷却ファン13を「弱」モードで運転開始する(S4)。このため冷却風で送電コイル17が冷却される。
この段階では、主制御装置80は、リードスイッチ31がONしていることによって、リードスイッチ31を経由した通電が行われる。この通電による信号で、主制御装置80は炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていることが分かる。そこで、主制御装置80は、赤外線信号送受信部34から赤外線信号を、赤外線信号送受信部35に向けて送信する(S5)。
その後、赤外線信号送受信部35側から、応答信号が赤外線で送信されるので、その応答信号を受けて、第1の基準位置判定手段33は炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていることを最終確認する(S6)。もし、赤外線信号送受信部35に向けて赤外線信号送受信部34から赤外線信号を送信した後、瞬時に所定の応答信号が無かった場合には、炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていないか、または窓37の上面に、前回調理した際の調理液が滴下して汚れとなって固着しており、赤外線通信を妨げている場合等の異常が想定される。これら何れの場合でも主制御装置80側ではエラー処理を行う。
炊飯動作中も2つの赤外線信号送受信部35、36の間で、動作データや温度データ等を交換するため、仮に窓37の汚れが原因でも炊飯動作は許可しない。なお、ステップS6で、基準位置判定結果がNGになった場合には、図16に示す異常対応ステップに進むが、これについては後で説明する。
次のステップS7では、主制御装置80は、第1の操作入力手段20からの入力指令信号発生を無効化する処理をする。具体的には、第1の操作入力手段20の入力信号を発生させるための信号を遮断して、入力信号が発生しないようにするが、この無効化手段については、この方法に何ら限定されない。
この第1の操作入力手段20からの入力操作部の無効化処理により、例えば、炊飯ユニット1を瞬間的に持ち上げて、第1の操作入力手段20を操作しても、そのような操作は主制御装置80に入力されないので、炊飯を直前で止めて、誘導加熱調理器10を単独で使用開始するということはできない。
次に誘導加熱調理器10では、音声報知手段70V等の報知手段70によって、これから炊飯動作を行うことが報知される(S8)。
次のステップS9では、炊飯ユニット1において炊飯開始の指令が行われたかどうかを判断するため、待機状態に入る。炊飯ユニット1を載置したあと、内釜3の中の水の量を調節する等、実際の炊飯開始までは時間が必要である。そのため、待機時間を計時手段80Tで計測する(S10)。
例えば、炊飯を開始したことを示す指令信号がなく(S11)、無線通信部26を経由した炊飯開始の指令信号もなく(S12)、ステップ10の段階から所定時間T1(例えば、60分)を経過した場合(S13:図12参照)、主制御装置80は、何らかの理由で炊飯を見合せているものと判断する。
図12に示すように、主制御装置80は送電コイル17の駆動停止指令を出し、また冷却ファン13の運転を停止する(S14)。
次に誘導加熱調理器10では、音声報知手段70V等の報知手段70によって、炊飯動作をキャンセルしたことが報知される(S15)。ステップ10の段階から所定時間T2(例えば、61分)を経過した場合(S16)、主制御装置80は、第1の操作入力手段20からの入力操作部の無効化処理を解除する(S17)。このため、この段階で、例えば、炊飯ユニット1を他の場所へ移動させれば、「炊飯ユニット専用モード」は自動的に解除され、第1の操作入力手段20を操作して、誘導加熱調理器10で別の加熱調理を開始できる。なお、この第1の操作入力手段20の操作も無い場合には、主制御装置80は、自ら主電源を自動で遮断し、不用意に加熱動作が行われないように安全性を考慮した動作をする(S18)。
次に炊飯開始の指令信号があった場合(図11のS11参照)について、図13を参照しながら説明する。
炊飯工程開始のステップS19に進み、主制御装置80は、炊飯ユニット1から赤外線信号送受信部34、35間の通信によって炊飯条件の情報を取得する(S20)。例えば、炊飯のための加熱時間や炊飯量等を示すデータを取得すれば良い。
次のステップS21では、冷却ファン13を「強」運転モードに変更し、インバーター回路73を駆動する(S22)。これにより、炊飯ユニット1の内釜は、加熱コイル14によって誘導加熱され、温度が上昇するので、予熱工程に入り、以後は炊飯工程に進む。
主制御装置80は、炊飯時間を把握するために経過時間の計測を開始し(S23)、また、無線通信部26を介して炊飯条件を示す情報を、電力指令装置(図示せず)等へ送信する。
「炊飯条件」とは、炊飯のための加熱時間や最大消費電力、炊飯量等をいう。なお、経過時間を主制御装置80側で把握しなくとも、炊飯ユニット1側から、炊飯開始からの経過時間や残りの加熱時間等の情報が、随時2つの赤外線信号送受信部35、36の間の交信で取得できるので、前記ステップS23は省略しても良い。
図13に示すように、主制御装置80は、以後ステップS26、S27、S28及びS29の判定、チェックを行う。
まず、炊飯中でも再び、基準位置判定手段33を駆動し(S25)、一定の時間間隔で、炊飯ユニット1が載置されているかどうかのチェックを行う(S26)。
また、トッププレート22が異常な高温度になっていないかどうかや、インバーター回路73の実装基板が過熱状態になっていないか等のチェックを行う(S27)。
そして、炊飯停止の指令が出ていないかどうのチェック(S28)と、予定されている炊飯時間を超過していないかどうかのチェックを行う(S29)。これらチェックは、所定の時間間隔で繰り返し行われる。
そして、制御装置50の動作プログラムに規定している所定の炊飯時間(例えば3合の炊飯量で、標準コースでは40分間)が経過した場合(S29)、誘導加熱調理器10の報知手段70によって炊飯動作が完了したことを報知する(S30)。
次に図14に示すように、送電コイル17の駆動停止指令を出す(S31)。そしてインバーター回路73の駆動を停止する(S32)。さらに報知手段70によってむらし工程に入ることを報知する(S33)。
むらし時間を把握するために経過時間の計測を開始し(S34)、所定のむらし工程の時間(例えば5分又は10分間)が経過した場合(S35)、冷却ファン13の運転を停止する(S36)。これにより加熱コイル14は、この段階で十分冷却されており、トッププレート22の温度は40℃~50℃以下である。
そして、主制御装置80は、第1の操作入力手段20からの入力操作部の無効化処理を解除する(S37)。そして、主制御装置80は、自ら主電源を自動で遮断し、不用意に加熱動作が行われないように安全性を考慮した動作をする(S38)。
なお、この実施の形態1では、むらし工程に続いて自動的にある時間内は保温工程が制御装置50で実行されるような制御プログラムになっていると説明したので、炊飯ユニット1をそのまま誘導加熱調理器10の上に載置したままにしておくと、実際は、むらし工程の後、例えば1時間は保温工程が続行し、その間は、基準位置判定手段33は駆動され(前記ステップS25参照)、一定の時間間隔で、炊飯ユニット1が載置されているかどうかのチェックが行われる。但し、その場合、既に誘導加熱調理器10側で加熱コイル14は駆動していないので、図16に示したステップSB11だけが行われ、第1の操作入力手段20からの入力指令操作を無効化する処理(図11のS7)は解除される。
次に図15の動作について説明する。
この図15に示す動作は、図11に示すステップS6において「No」判定となった以後のものである。つまり、基準位置判定結果がNG(不適合)であったため、再度基準位置判定を行うものである。
まず、ステップSA1において、さらに報知手段70によって、基準位置判定結果がNG(不適合)であったことを報知する。具体的には、炊飯ユニット1が正しい位置に置かれていないか、または窓37に汚れがある可能性を使用者に示唆し、窓の清掃やチェックを促す。
そして、以後の是正動作や再チェック動作を一定の時間内で完了させるため、経過時間の計測を開始する(SA2)。
次に再び、誘導加熱調理器10の赤外線信号送受信部34から赤外線信号を送信する(SA3)。そして、赤外線信号送受信部35からの応答信号の状態に基づいて、基準位置の判定を行う(SA4)。ここで、所定の応答信号が得られたことにより、正規の位置に炊飯ユニット1が存在することが確認されると、報知手段70によって「炊飯ユニットの正しいセットを確認しました」等の音声での報知を行い、ステップS7に進む。
そして、所定時間T4(例えば、5分間又は10分間)内に、ステップSA4における基準位置の判定で「Yes」にならなかった場合、ステップSA7に示すように送電コイル17と冷却ファン13の運転を停止し、報知手段70によって「炊飯動作に進めませんので、運転中止します」等の音声での報知を行い、自動的に主電源を遮断し(SA9)、一連の動作を終了する。つまり、一定の猶予期間(時間T4)の間に、是正できなかった場合は、安全上炊飯動作前に強制的に運転を停止する。
この図15の動作ステップには、図11で説明したような、第1の操作入力手段20からの入力指令操作を無効化する処理(S7)は含まれていない。そのような処理の前の段階(ステップS6)であるからである。
次に図16の動作について説明する。
図16に示す動作は、図13に示すステップS26において「No」判定になった以後のものである。つまり、炊飯動作を開始した後の工程において、基準位置判定結果がNG(不適合)であったため、再度基準位置判定を行うものである。
まず、ステップSB1において、主制御装置80はインバーター回路73の駆動を一時的に停止する。
さらに報知手段70によって、例えば「正しく炊飯ユニット1が載置されていませんので、正しい位置にセットして下さい」等の音声ガイドを行う(SB2)。
インバーター回路73が駆動開始された時点から例えば、15分経過しているかどうかの判定が行われる(SB3)。例えば、誘導加熱開始されてから10分間しか経過していない場合、内釜3の状況は、予熱工程であるので、この時点で加熱中止しても、後で再び炊飯すれば何ら支障はない。そのためSB3で、15分経過していない場合には、ステップSB9に進む。
ステップSB9では、送電コイル17と冷却ファン13が停止され、報知手段70によって炊飯動作は途中で中止したことを知らせる(SB10)。そして、第1の操作入力手段20からの入力指令操作を無効化する処理(図11のS7)は解除する(SB11)。
この後、主制御装置80は、自ら主電源を遮断し(SB12)、一連の動作を全て終了する。なお、加熱コイル14によってトッププレート22が高温になっている可能性もあるので、前記ステップSB9において、冷却ファン13の運転停止のタイミングは、所定時間(例えば数分間)遅らせ、誘導加熱調理器10の温度を下げてから停止するようにしても良い。
インバーター回路73が駆動開始された時点から例えば、15分経過しているかどうかの判定を行う前記ステップSB3で、仮に15分経過していた場合には、ステップSB5に進む。
短時間(1分以内)の間にインバーター回路73の駆動を再開するかどうかの処理をするため、ステップSB4の時点から経過時間T5の計測を開始する。
そしてその経過時間T5の経過前であるかどうかのチェックをし(SB5)、経過前であった場合には、次に誘導加熱調理器10の赤外線信号送受信部34から赤外線信号を送信する(SB6)。
そして、赤外線信号送受信部35からの応答信号の状態に基づいて、基準位置の判定を行う(SB7)。ここで、所定の応答信号が得られたことにより、正規の位置に炊飯ユニット1が存在することが確認されると、インバーター回路73を再び駆動する(SB8)。しかし、正規の位置に炊飯ユニット1が無いと判定されると、前記ステップSB9に進み、送電コイル17と冷却ファン13が停止され、報知手段70によって炊飯動作は途中で中止したことを知らせる(SB10)。そして、第1の操作入力手段20からの入力指令操作を無効化する処理(図11のS7)は解除する(SB11)。
次に図17の動作について説明する。
この図17に示す動作は、図13に示すステップS28において「No」判定になった以後のものである。つまり、炊飯動作を開始した後の工程において、何らかの理由で炊飯停止指令が炊飯ユニット1側から出された場合に対応するものである。図5に示す第2の入力操作手段12のスイッチ66が押された場合である。
まず、ステップSD1において、主制御装置80はインバーター回路73の駆動を一時的に停止する。
ステップSD2において、報知手段70は例えば「炊飯動作を途中で中止する操作が行われました」等の音声ガイドを行う。
インバーター回路73が駆動開始された時点から、例えば15分経過しているかどうかの判定が行われる(SD3)。例えば、誘導加熱開始されてから25分間経過している場合、内釜3の状況は、既に沸騰工程であるので、この時点で加熱中止すると、一旦米が冷えたあとで再び炊飯開始しても、元のような炊飯結果は得られず、味覚の劣るご飯になる懸念がある。
そのため、この段階では、再び炊飯を直ぐに開始すれば何ら支障はないので、炊飯再開を促す。そのためSD8では、報知手段70において「直ぐに炊飯ユニットをセットして、再度炊飯ボタン(炊飯スイッチ67)を押して下さい」のような音声ガイドを行う。
SD8の報知から1分以内に炊飯ボタン(炊飯スイッチ67)を押して炊飯する指令が発せられた場合(SD9)、インバーター回路73の駆動を再開し、ステップS29に進む。
インバーター回路73が駆動開始された時点から、例えば15分以内である場合には、ステップSD5に進む。報知手段70は例えば「炊飯動作を途中で中止します」等の音声ガイドを行い(SD5)、送電コイル17と冷却ファン13の駆動を中止する(SD6)。そして自動的に主電源を遮断し(SD7)、一連の動作を終了する。
図13に示すステップS27において「No」判定になった場合、つまり異常が検知された場合には、所定の異常対応ステップSC1に進む。異常の内容によっては、直ぐにインバーター回路73を停止させる等の対応を実行するものである。
次に図18の動作について説明する。
この図18は、炊飯ユニット1側の動作ステップを示したものである。
炊飯ユニット1の動作ステップはSR1~SR15で示している。
誘導加熱調理器10の電源プラグ101を商用電源71に繋いだ状態にしておいて、その後に炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10の上に正しくセットした場合、正しい位置であれば、載置検知センサーであるリードスイッチ31がONとなる(図10のSP3参照)。そして誘導加熱調理器10の主制御装置80は「炊飯ユニット専用モード」となる。
このため、主制御装置80は、炊飯ユニット1の送電コイル17に対する電力の供給を開始し、受電コイル7が駆動を開始される(SR1)。なお、給電手段6に蓄えられた電力があれば、炊飯ユニット1からの赤外線信号を受けて、前記送電コイル17は、その後に駆動停止されることもある。
使用者が炊飯ユニット1の第2の操作入力手段12を何も操作しなくとも、制御装置50は、第1の表示画面11Aと第2の表示画面11Bをサーミスタ5Aや、その他の電流センサー(図示せず)によって炊飯ユニット1の内部構成部品に異常がないかどうかの自己チェックを開始する(SR2)。
そして異常が無かった場合、制御装置50は炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていることが分かっているから、次に、誘導加熱調理器10の赤外線信号送受信部34からの赤外線信号を、赤外線信号送受信部35で受信し、赤外線信号送受信部34に向けて応答信号を送信する(SR3)。
その後、蓋体1Bの第1の表示画面11Aを起動し、第2の表示画面11Bは起動しない(SR4)。まだ米の重量計測段階ではないため、第2の表示画面11Bを起動させて表示させる必要がないためであり、また省エネにもなる。
ステップSR4では、報知手段90にて例えば「これから炊飯を開始します」という音声ガイドを行う。
制御装置50は、記憶手段50Rから前回の炊飯で使用された最新の炊飯条件を読み出す。例えば、白米で炊飯量は3合、炊き方は「やわらか」という条件を読み出す(SR5)。この時点で、人感知センサー48を起動させる。このため、以後のステップSR6~SR8までのメニュー選択や入力の際に、前記人感知センサー48が人を感知していない場合には制御装置50はエラーと判定し、入力を受け付けない。
次に、読み出した炊飯条件を、第1の表示画面11Aにて表示させる。例えば「白米」という表示をさせ、それを変更するには、スイッチ63を押せば良い。1回押すと「無洗米」、2回押すと「発芽玄米」のように順次次の候補に選択枠が進み、また元の「白米」まで巡回するから、希望の米種を選択できる(SR6)。
同様に、米の銘柄とご飯の炊き加減、すなわちご飯の硬さの情報も、順次読み出して、それらを修正できる(SR7、SR8)。
この段階で、制御装置50は第2の表示画面11Bを起動し、米の重量を計測できることを表示する。また音声報知手段90Vでも報知する(SR9)。
次に米の重量計測と報知工程に進む。米の重量を計測する方法と、計測した結果に応じて、内釜3に投入する水の量の適否を第2の表示画面11Bと、音声報知手段90Vで案内するものである(SR9)。このステップについては後で詳しく説明する。
最終的に米の量や種類、銘柄、水の量の調整等を終えた段階で、炊飯スイッチ67を押すと、音声報知手段90Vでは、例えば「米の重量計測結果300gでした。適正水量判定しましたので、炊飯開始します」のような音声ガイドを行う。また第2の表示画面11Bは表示動作を終える(OFFする)(SR10)。
次に「白米で、炊き方は・・・・、炊きあがり予想時刻は、18時50分です」のような最終的な炊飯条件を、音声ガイドで行う(SR11)。
制御装置50は、炊飯スイッチ67が押されてから10秒程度経過すると、使用者の取り消し操作は無いと推測し、誘導加熱調理器10に対して所定の「炊飯指令信号」を送信する。この場合の当該指令信号は、赤外線信号送受信部35から赤外線信号送受信部34側へ送信されるものである(SR12)。
ここでいう「炊飯指令信号」は、炊飯工程の詳細を確定する制御プログラムではない。炊飯メニューの種類、米の量や種類、銘柄等を示す基礎データを送れば、それに基づいて主制御装置80の記憶手段80Rに格納してあるコンピュータソフトウエア(炊飯制御プログラム)を使用して炊飯のための誘導加熱コイル14の通電制御を実行できる。但し、予熱工程から炊飯工程、むらし工程までの一連の制御の全てについて、詳細を確定する制御プログラム自体を直接送信しても良い。
そして次は予熱工程が終わったかどうかを判定し(SR13)、予熱工程が終わったと判定された場合には次のステップ(SR14)に進み、赤外線信号送受信部35から予熱工程が終わったことを示す信号が赤外線で送信される(SR14)。
そして次は炊飯工程が終わったかどうかを判定し(SR15)、炊飯工程が終わったと判定された場合には次のステップ(SR16)に進み、赤外線信号送受信部35から炊飯工程が終わったことを示す信号が赤外線で送信される(SR16)。
図19に示すように、次はむらし工程が終わったかどうかを判定し(SR17)、むらし工程が終わったと判定された場合には次のステップ(SR18)に進み、赤外線信号送受信部35からむらし工程が終わったことを示す信号が赤外線で送信される。
そして、炊飯ユニット1側の報知手段90によって、第1の表示画面でも炊飯終了(むらし終了)が表示され、音声報知手段90でも、炊飯を終えて、むらし工程終えていることが音声で報知される(SR19)。以上のステップで一連の炊飯動作を終える。
次に、図20の動作ステップについて説明する。
図20は、図18のステップSR9からSR10までの間を詳しく説明するためのものである。
前記ステップSR9は、図20に示したステップSR9A~SR9Mまでを含んでいる。
最初のステップSR9Aでは、音声入力モードに自動的に切り替わることを音声報知手段90Vで知らせる。この音声ガイドには、内釜3の中には、米だけを入れておくこと、また蓋体1Bは開いたままにして重量を計測することの説明を含ませてある。そして音声入力モードに自動的に切り替える(SR9B)。
次に重量を計測するモードを希望するかどうか尋ねる音声ガイドを報知手段90が行う(SR9C)。炊飯に習熟している使用者によっては、経験で水の量を適正なレベルにできる場合もあり、炊飯ユニット1での計測を希望しない場合には、音声で「計測しない」など、所定の言葉を話せば、蓋体1Bの適当な個所に設けたマイクを介して音声入力され、通常のステップSR10へ一挙に進む。そして、同時に音声入力モードは自動的に解除される。
ステップSR9Cで、重量計測モードを希望するとの使用者が発声した場合、制御装置50は、蓋体1Bが開いているかどうかを判定する(SR9D)。この判定は、蓋体開放センサー93からの出力を制御装置50が判定して行う。なお、蓋体1Bが開放されていない場合には、音声報知手段90Vで開放するように音声でガイドしても良い。
次のステップSR9Eで、「計測開始」と使用者が発声した場合、制御装置50は、重量計測手段94によって、4つの重量センサー4の計測値から炊飯ユニット1全体の重量を計算で求める(SR9F)。
そして計測した結果を音声で報知する(SR9G)。そしてその重量に見合った水量を計算し、結果を音声報知手段90Vで報知する(SR9H)。この報知を聞いて、使用者が蓋体1Bの開いたままの炊飯ユニット1の内釜3の中に水を注入すると、その注入の過程で重量計測手段94が適正重量と現在の重量との乖離を計算し、音声で知らせる(SR9K)。
このような注水又は入れ過ぎた水の取り出し過程を経て、最終的に適正水量レベルになったと制御装置50で判定された場合(SR9L)は、音声入力モードを自動的に解除することを音声報知手段90Vと第2の表示画面11Bで報知し、前記したステップSR10に進む。すなわち、最終的に米の量や種類、銘柄、水の量の調整等を終えた段階で、適正水量を計測したことを音声報知手段90Vと第2の表示画面11Bで報知する(SR10)。
次のステップSR11では、炊飯スイッチ67を押すことを音声で推奨し、さらに音声報知手段90Vでは、例えば「白米で、炊き方は・・・で炊飯開始します。炊きあがり予想時刻は、18時50分です」のような音声ガイドを行う(SR11)。
この実施の形態1では、このような米の重量計測と水の注入段階で自動的に音声入力モードに設定したため、使用者が水を入れる動作に集中でき、また蓋体1Bを開けたり、閉めて第1の表示画面11Aを確認したりする動作を避けることができ、使用者の利便性を向上させる効果が期待できる。
次にカロリー表示モードの動作について説明する。
炊飯を終えた炊飯ユニット1が、誘導加熱調理器10の上にそのまま載置されている場合を想定して、以下説明する。
前述したように、カロリー計算キー18Cが押された場合、ご飯の重量に応じてカロリー計算部50Cによりカロリーが計算され、第2の表示画面11Bに表示される。また、カロリー報知スイッチ49が押された場合にも、ご飯の重量に応じてカロリー計算部50Cによりカロリーが計算され、第1の表示画面11Aに表示される。
カロリー計算キー18C、カロリー報知スイッチ49の何れを操作した場合も、音声報知装置70Vにおいて、音声でカロリー値が報知させる。例えば「○○キロカロリーです」のように報知される。
以下、図21について説明する。図21のフローチャートは、カロリー値を計算し、報知する一連の制御動作のステップを示すものである。炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10の双方の動作を示している。
制御装置50は、前記カロリー報知スイッチ49が押された場合、この図21に示す動作を行う「カロリー報知モード」に設定される。なお、この「カロリー報知モード」への自動的な移行は、炊飯工程やむらし工程以後において蓋体1Bが開放された時点を検知し、その時点から「カロリー報知モード」に設定されるようにしても良い。これによれば、カロリー報知スイッチ49を押さなくとも、蓋体1Bの開放動作で、自動的に「カロリー報知モード」へ移行する。
図21では、「カロリー報知モード」は、カロリー報知スイッチ49が押された時点と、蓋体1Bが開放された時点(ステップSS1)の、2つのケースがあることを、2本の破線BL1、BL2と実線の矢印で示している。
まず蓋体1Bが開放されているかどうかをチェックする(SS1)。もし、蓋体1Bが開放されていない場合には、一定の時間(例えば1時間)を経過するまで、この図21の処理が継続する。
次に、蓋体開放センサー93によって蓋体1Bの開放が検知されると、この時点で、人感知センサー48を起動させる(SS2)。このため、以後のステップSS5の入力の際に、この人感知センサー48が人を感知していない場合には、制御装置50は、ご飯の重量を計測することを指令していないと判断する。
人感知センサー48は、前述したようにカロリー報知を行わせるための「非接触入力手段」を兼ねており、蓋体1Bを開放した場合に、「非接触入力手段」に自動的に切り替わる。
次に、人感知センサー48が起動されたとき、制御装置50は誘導加熱調理器10側にカロリー報知モードの開始を示す特定の信号を送信する。当該信号は、前記赤外線信号送受信部35から発信され、赤外線信号送受信部34を経由して主制御装置80側に伝達される。
重量センサー4を備えた重量計測手段94は、内釜3の中にある炊飯されたご飯の重量を計測する(SS3)。この場合、炊飯されてから使用者が内釜3の中にある炊飯されたご飯を少しも取り出していないので、次回以降の計測値と比較する基準値となる重要なデータである。そこで、この1回目の計測重量は、主制御装置80が記憶手段80Rの中の一時的記憶部に記憶させる(SS4)。このときの計測された重量をWT1とする。なお、この重量WT1には、炊飯ユニット1の重量も含まれている。
次に制御装置50は、使用者がカロリーの報知を求めているかどうかを判断するため、「非接触入力手段」(人感知センサー48)によって、入力が行われたかどうかを判定する(SS5)。
内釜3の中にある炊飯されたご飯を、しゃもじ等で茶碗やお皿に盛りつける場合、1回の動作でご飯を取り出す場合と、2回以上しゃもじ等を入れて取り出す場合がある。
従って、1回の取り出しの段階で重量を計測して報知すると、途中段階の報知であり、それを聞いた使用者に混乱を招くおそれがある。
従って、使用者が特別に「重量計測」という意思を押しボタンスイッチ等で示す方法が考えられる。
しかしながら、通常は片方の手でしゃもじを持ち、他方の手で茶碗やお皿を持ってご飯を盛り付ける動作をするため、両方の手がふさがっている状態である。そのため、一旦、茶碗やしゃもじを置いて、上記したような「重量計測」の押しボタンスイッチ等を操作することが現実的ではなく、このような方法では操作性を損なう。
そこで、この実施の形態1では、片方の手でしゃもじを持ち、他方の手で茶碗やお皿を持ってご飯を盛り付ける動作をしている途中でも、簡単に重量計測の指令を発信することができるように工夫をしている。
具体的には、前記人感知センサー48の上方に、例えば、しゃもじを持っている片方の手をかざすか、またはそのしゃもじをかざすことで、前記人感知センサー48(非接触入力手段)の入力が行われる。
蓋体1Bを開放した場合に、人感知センサー48は、「非接触入力手段」に自動的に切り替わっており、しかも、蓋体1Bは垂直又はそれに近い状態にある。さらに内釜3の上方の位置にあり、ご飯を取り出す領域に位置していない。
このため、人が意識的に手等を差し伸べない限り、その非接触入力手段の上方には何も存在しないので、この非接触入力手段によって入力が行われることはない。
以上の説明から明らかなように、非接触入力手段によって制御装置50に対する指令を与えることができる。
制御装置50に対して、「重量計測」の指令が行われた場合、制御装置50は誘導加熱調理器10側に、「重量計測」動作を指令する特定の信号を送信する。当該信号は、前記赤外線信号送受信部35から発信され、赤外線信号送受信部34を経由して主制御装置80側に伝達される。
このように、炊飯ユニット1側において、人感知センサー48(非接触入力手段)で入力が行われた場合、ステップSS5は「Yes」となり、制御装置50は、このステップSS5の「Yes」判定を受けて、「重量計測」の指令を行うため、再び誘導加熱調理器10側に、「重量計測」動作を指令する特定の信号を送信する。当該信号は、前記赤外線信号送受信部35から発信され、赤外線信号送受信部34を経由して主制御装置80側に伝達される。
次のステップSS6で再びご飯の重量が計測される。この2回目に計測された重量をWT2とする。この2回目の計測重量は、主制御装置80が記憶手段80Rの中の一時的記憶部に記憶させる。なお、この重量WT2には、炊飯ユニット1単体の重量も含まれている。
次に、主制御装置80は、重量の計測結果がある時間内(例えば30秒以内)に2回あった場合、最新の重量WT2と、その直前の重量WT1に基づいて重量変化を演算する(SS7)。この計算は、誘導加熱調理器10側の重量計測手段94で行うが、制御装置50によって行うことでも良い。前記したように、2回の計測で計測された重量は、WT1とWT2であるため、WT1からWT2を引けば、この2回の計測の間で減少した重量WXが算出される。
主制御装置80は、重量が減少した値(重量WX)を、炊飯ユニット1側に送信する。この重量データの送信は、重量データを示す信号として、前記赤外線信号送受信部34から発信され、赤外線信号送受信部35を経由して制御装置50側に伝達される。
炊飯ユニット1側では、カロリー計算部50Cが、重量WXのデータを受け取り、この重量WXに換算値を乗じてカロリー値を算出する(SS8)。なお、米の種類等によってカロリー計算の換算値が異なった場合でも、炊飯動作開始前の段階で使用者が入力した「炊飯条件」は、図18のステップSR11で示したように確定しており、その条件は記憶装置50Rに格納されているので、そこに記憶されている炊飯条件を参考にしてカロリー計算部50Cがカロリー計算の換算値を選定できる。因みに白米のご飯100g当りのカロリーは167~170キロカロリーと言われている。なお、この実施の形態1では、厳密なカロリー値を報知することを目的にしていないので、実験結果や文献等から平均的な換算値を用いても良い。
次に算出されたカロリー値は、カロリー記憶部50Dに記憶される(SS9)。この記憶は、算出時間の順に記憶される。
そして算出されたカロリー値は、第2の表示画面11Bに表示されるが、蓋体1Bを閉じた直後に確認できるように、第1の表示画面11Aにも表示して良い。また、音声報知手段90Vによって「ただいまのご飯のカロリーは、252キロカロリーです」のように音声で報知する(SS10)。
制御装置50は、蓋体開放センサー93によって蓋体1Bが開放されたか、閉じられたかどうかを検知できるので、算出されたカロリー値を、第2の表示画面11Bに表示せず、第1の表示画面11Aによる表示と、音声報知だけ行うようにしても良い。さらには、音声報知だけ行うようにしても良い。これらの報知の設定は、使用者が事前に第2の入力操作手段12や第3の入力操作手段18を操作し、または情報通信端末機器によって近距離無線通信部91を介して設定信号を入力し、適宜選択できるようにすると更に良い。
そして、蓋体1Bが開放されたか、閉じられたかどうかの判定が次のステップSS11で行われ、蓋体1Bが閉じられていないと判定すると、次のステップSS16に進む。
ステップSS16で、エラーが発生していないかどうかの判定が行われ、再びステップSS5に戻る。
人感知センサー48(非接触入力手段)で入力が行われた場合、ステップSS5は「Yes」となり、次のステップSS6で、誘導加熱調理器10において再びご飯の重量が計測される。つまり、この場合には3回目の重量計測になり、ここで計測された重量をWT3とする。この3回目の計測重量は、記憶手段80Rの中の一時的記憶部に記憶される。
3回目の重量計測が炊飯ユニット1から指令されると、再び重量計測手段94は、炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10の合計重量を計測する。そして、主制御装置80は、重量が減少した値(重量WX)を、炊飯ユニット1側に送信する。この重量データの送信は、重量データを示す信号として、前記赤外線信号送受信部34から発信され、赤外線信号送受信部35を経由して制御装置50側に伝達される。
前記3回目の重量計測は、前回と異なる茶碗やお皿にご飯を盛り付けた場合と推定される。そこで、この場合のカロリー値は、WT2からWT3を引いてカロリー計算部50Cで算出する。以後は、前記したステップSS9~SS11と同じである。
蓋体1Bが閉じられた場合には、ステップSS11が「Yes」となるので、次のステップSS12に進む。
ステップSS12では、炊飯ユニット1側の基準位置判定手段33Aを構成している赤外線信号送受信部35から、赤外線信号送受信部34に対して、カロリー値記憶部50Dに記憶されたカロリー値の算出結果が一括送信される。
カロリー値の算出結果を一括して送信するタイミングは、誘導加熱調理器10の上面の所定位置に載置されている期間中である。つまり、炊飯ユニット1側の基準位置判定手段33Aと、誘導加熱調理器10側の基準位置判定手段33Bとの間で、図11のステップS6で説明したように、基準位置判定結果が「OK」になった後である。
炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上面に戻されるまで、最新のカロリー値は、第1の表示画面11A又は第2の表示画面11Bの何れか一方、又はその双方に表示されるが、表示開始から一定時間(例えば10秒間)経過後に消えるようにしても良い。この実施の形態1では、少なくとも誘導加熱調理器10の上面に炊飯ユニット1が戻されたタイミングで、カロリー値の表示は終了させる(SS13)。
この表示終了後、制御装置50は、起動されている第1の表示画面11A又は第2の表示画面11Bの何れも、表示動作を自動的に終了させて、電力消費量を減少させることを図っても良い。その場合、また蓋体1Bが開放された場合には、起動してカロリー値の表示に備える必要がある。
ステップSS14は、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上面に戻された後に行うカロリー報知モードの解除と報知の処理であるが、これは必須ではない。例えば、蓋体1Bが閉じたことを検知した段階(ステップSS11)で、カロリー報知モードの解除と報知を行い(SS14)、ステップSS1に戻っても良い。そして、ステップSS1において時間を計測し(SS15)、例えば30分間蓋体1Bの開放が1度も行われない場合、この図21に示すカロリー報知モードは解除しても良い。
なお、この図21に示すカロリー報知モードは、図19に示した炊飯ユニットの制御動作を示すフローチャート2におけるステップSR18、SR17又はSR19を経過したあとの「特定の条件」の成立によって開始するようになっている。つまり、炊飯が完全に終わった段階で、次にご飯を食する場面に備えて、カロリー報知モードを開始できるようにしている。
前記「特定の条件」の成立とは、前述したように、前記カロリー報知スイッチ49が押された場合と、蓋体1Bが開放されたことが検知された場合の両方を指す。これら2つの場面の何れか1つでも、「カロリー報知モード」へ移行する。
実施の形態1の図21に示したように、炊飯が完全に終わった段階で、ご飯を食する場面に備えて、カロリー報知モードを開始したが、この方法によれば、誘導加熱調理器10の上に炊飯ユニット1が載置され続けた場合でも、速やかにカロリー報知モードを開始できるという利点がある。
以上の説明から明らかなようにこの実施の形態1においては、以下の各種構成を備えていた。
すなわち、実施の形態1の加熱調理装置100は、
トッププレート22を備えた誘導加熱調理器10と、前記トッププレート22上に近接又は接触するように置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定する第1の入力操作手段20と、重量計測手段94と、を備え、
前記炊飯ユニット1は、前記内釜3の上面開口を開閉自在に閉鎖する蓋体1Bと、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、前記炊飯ユニット1の重量を前記重量計測手段で計測することを指示する第3の入力操作手段18C、49と、前記第3の入力操作手段18C、49の入力によって、前記重量計測手段94で計測した炊飯物の重量をカロリー値に変換する演算処理手段(カロリー計算部)50Cと、前記演算処理手段50Cの演算結果をカロリー値で報知する報知手段90と、第2の入力操作手段12と前記第3の入力手段18C、49の指令を受け、前記演算処理手段と前記報知手段90とを制御する制御装置50と、をそれぞれ備え、
前記報知手段90には、前記炊飯ユニット1の上方に向けて表示するため前記蓋体1Bの上部に配置した第1の表示画面11Aと、前記炊飯ユニット1の前方に向けて表示するため炊飯ユニット1の前部に配置した第2の表示画面11Bとを有し、
前記第3の入力操作手段18C、49は、前記第1の表示画面11Aの近傍又はその表示画面の範囲内と、前記第2の表示画面11Bの近傍又はその表示画面の範囲内の、2個所にそれぞれ設け、
前記制御装置50は、前記第1の表示画面11A側にある前記第3の入力操作手段49が操作された場合には、前記第1の表示画面11Aで前記カロリー値を表示し、前記第2の表示画面11B側にある前記第3の入力操作手段11Cが操作された場合には、前記第2の表示画面11Bで前記カロリー値を表示することを特徴とする構成である。
この構成の加熱調理装置によれば、使用者が炊飯ユニット1(の異なる2つの面、すなわち上面と前面部)の2個所に設けたカロリー値の表示を指令するスイッチ(第3の入力操作手段18C、49)によって、そのスイッチの近傍にある表示画面で、ご飯の消費エネルギー量を知ることができる。
さらに詳しく説明すると、実施の形態1のように、外観形状が箱(角)型形状の炊飯ユニット1において、上面と前面の2個所に第1、第2の表示画面11A、11Bを備えたものでは、カロリー値の表示を指令するスイッチ(第3の入力操作手段18C、49)を操作した場合、第1、第2の表示画面11A、11Bの何れにカロリー値が表示されるのか使用者が迷うことが懸念される。
また、ご飯を盛り付け、カロリー値を炊飯ユニット1の報知によって確認する前に、蓋体1Bを閉じたり、次の人がご飯を盛り付けたりして、自分の盛り付けたご飯の量のカロリーを認識できない可能性もある。
これに対し、この実施の形態1では、カロリー報知モードにして、不用意な操作キーを操作してもカロリー報知が途中で止まったり、表示が消えて別の表示がされたりする等の混乱を招くことが防止される。また、操作したスイッチ(第3の入力操作手段18C、49)に近い部分の表示画面11A、11Bで、それぞれカロリーが表示される。
これらにより、使用者の使い勝手を向上させることが期待できる。
さらに、実施の形態1に開示した加熱調理装置100は、
加熱コイル14と、当該加熱コイル14の加熱条件を入力する第1の入力操作手段20と、重量計測手段94とを備えた誘導加熱調理器10と、
被炊飯物を収容し前記加熱コイル14によって加熱される内釜3と、炊飯条件を入力する第2の入力操作手段12とを備えた炊飯ユニット1と、を備え、
前記炊飯ユニット1は、前記誘導加熱調理器10の上に載置した状態で前記加熱コイル14によって加熱できる第1の使用形態と、前記誘導加熱調理器10と分離させた第2の使用形態とを選択できるものであり、
前記炊飯ユニット1には、炊飯工程の完了後において、前記内釜3の上面開口を閉鎖している蓋体1Bが開放状態にあるかどうかを検知する蓋体開放センサー93と、この蓋体開放センサー93によって蓋体の開放が検知されている状態で、使用者の指令を感知する人感知センサー(非接触センサー)48と、前記蓋体開放センサー93と前記非接触センサーの検知出力を受けて、カロリー報知指令を発する制御装置50と、前記重量計測手段94によって計測された、前記内釜3から取り出された炊飯物の重量から、炊飯物のエネルギー量を演算するカロリー計算部(演算処理手段)50Cと、前記カロリー計算部の演算結果をカロリーで表示する表示手段11(第1の表示画面11A、第2の表示画面11B)と、をそれぞれ備えたことを特徴とする構成である。
この構成の加熱調理装置によれば、炊飯ユニットにおいて、使用者等が炊飯ユニットに接触する場面を減らして、ご飯の消費エネルギー量の報知をすることができる。
さらにこの実施の形態1に開示した加熱調理装置100は、
上面にトッププレート22を備えた誘導加熱調理器10と、前記トッププレート22上に近接又は接触するように置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定するため前記加熱コイル14よりも前方側に位置している第1の入力操作手段20と、重量計測手段94とを備え、
前記炊飯ユニット1は、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、炊飯ユニット1の重量計測を前記誘導加熱調理器10に対して指示する第3の入力操作手段(計測指示スイッチ)18C、49と、前記第3の入力操作手段18C,49の入力によって、前記重量計測手段94により炊飯物の重量が計測されたあと、使用者からの指令を受ける人感知センサー(非接触入力手段)48と、前記人感知センサー48からの指令を受けて、計測された前記重量をカロリー値に変換するカロリー計算部(演算処理手段)50Cと、このカロリー計算部(演算処理手段)50Cの演算結果を報知する報知手段90と、をそれぞれ備えている。
この構成の加熱調理装置100によれば、使用者が炊飯ユニット1の重量を計測することを指示することによって、重量計測手段94で炊飯物の重量の計測が行われるので、茶碗に盛り付ける動作をしている途中に重量の計測がされて、混乱するという懸念がなく、また人感知センサー(非接触入力手段)48によってエネルギー量への換算指示が行われるので、炊飯物を盛り付けている過程で使用者が片手に茶碗、もう一方の片手に、しゃもじを持っている状況でも、炊飯物の重量をエネルギー量に換算する使用者の操作を軽減し、ご飯の消費エネルギー量を容易に知ることができる。
さらにこの実施の形態1に開示した加熱調理装置100は、
上面にトッププレート22を備えた誘導加熱調理器10と、前記トッププレート22上に近接又は接触するように置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定するため前記加熱コイル14よりも前方側に位置している第1の入力操作手段20と、重量計測手段94とを備え、
前記炊飯ユニット1は、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、炊飯ユニット1の重量を計測することを前記誘導加熱調理器10に対して指示する第3の入力操作手段(計測指示スイッチ)18C,49と、前記第3の入力操作手段18C,49の入力によって、前記重量計測手段94で計測した炊飯物の重量をカロリー値に変換するカロリー計算部(演算処理手段)50Cと、このカロリー計算部(演算処理手段)50Cの演算結果を報知する報知手段90と、をそれぞれ備え、
前記誘導加熱調理器10に前記炊飯ユニット1を載置した状態で前記第1の入力操作手段20の上方を前記炊飯ユニット1が覆い隠し、
前記炊飯ユニット1の底面と前記誘導加熱調理器10の上面の対向部には、当該炊飯ユニット1と前記誘導加熱調理器10との間で赤外線信号を通過させるための窓37、38を形成し、
前記誘導加熱調理器10は、前記炊飯ユニット1による炊飯工程を開始する前に、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、この後前記第1の入力操作手段20の機能を無効化し、
さらに前記誘導加熱調理器10は、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1が所定の炊飯工程を終了したことを検知した場合、前記第1の入力操作手段20の入力操作の無効状態を解除することを特徴とする構成である。
この構成によれば、使用者が炊飯ユニット1の重量を計測することを指示することによって炊飯物の重量の計測が行われるので、茶碗に盛り付ける動作をしている途中に重量の計測がされて、混乱するという懸念がない。
また、炊飯ユニット1による炊飯工程を開始する前に、赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、この後誘導加熱調理器10の第1の入力操作手段20の入力機能を無効化するので、所定の炊飯ユニット1を使用する場合、炊飯動作中においては第1の入力操作手段20によって不用意な入力操作がされることを防止できるものである。また炊飯工程が終われば自動的に入力機能の無効状態が解除され、誘導加熱調理器10単体での使用に支障となることはない。
さらにこの実施の形態1に開示した加熱調理装置100は、
上面にトッププレート22を備えた誘導加熱調理器10と、前記トッププレート22上に近接又は接触するように置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定するため前記加熱コイル14よりも前方側に位置している第1の入力操作手段20と、重量計測手段94とを備え、
前記炊飯ユニット1は、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、前記炊飯ユニット1の重量を計測することを前記誘導加熱調理器10に対して指示する第3の入力操作手段(計測指示スイッチ)18C,49と、前記第3の入力操作手段18C,49の入力によって、前記重量計測手段94で計測した炊飯物の重量をカロリー値に変換するカロリー計算部(演算処理手段)50Cと、前記演算処理手段の演算結果をカロリー値で報知する報知手段90と、をそれぞれ備え、
前記誘導加熱調理器10に前記炊飯ユニット1を載置した状態で前記第1の入力操作手段20の上方を前記炊飯ユニット1が覆い隠し、
前記第1の入力操作手段20上面と前記炊飯ユニットの下面との間には、外部に通ずる空隙Sが形成され、
前記空隙Sよりも後方で前記炊飯ユニット1の底面と前記誘導加熱調理器10との対向部には、当該炊飯ユニット1と前記誘導加熱調理器10との間で炊飯制御のための情報を伝達する赤外線信号を通過させるための窓37、38を形成し、
前記誘導加熱調理器10は、炊飯工程中又は予約炊飯の期間中の少なくとも何れか一方において、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、所定の基準位置に前記炊飯ユニット1が無いと判定(図13 ステップS26)したときは、炊飯工程の進捗度合に応じて、炊飯動作を継続するか中止するかを決定する処理(図16 ステップSB3)を行うとともに、炊飯動作を中止する場合には、報知動作(図16 ステップSB2、SB10)をすることを特徴とする構成である。
この構成の加熱調理装置100によれば、使用者が炊飯ユニット1の重量を計測することを指示することによって、誘導加熱調理器10側で炊飯物の重量の計測が行われるので、茶碗に盛り付ける動作をしている途中に重量の計測がされて、混乱するという懸念がない。
また炊飯ユニット1による炊飯工程を開始する前又は後で、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、炊飯工程の進捗度合に応じて、炊飯動作を継続するか中止するかを決定する処理を行うとともに、炊飯動作を中止する場合には、使用者へ報知動作をするので、使用者の誤解や誤操作を防止できるという利点がある。
さらに、この実施の形態1に開示した加熱調理装置100は、
上面にトッププレート22を備えた誘導加熱調理器10と、前記トッププレート22上に近接又は接触するように置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定するため前記加熱コイル14よりも前方側に位置している第1の入力操作手段20と、重量計測手段94とを備え、
前記炊飯ユニット1は、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、前記炊飯ユニット1の重量を計測することを前記誘導加熱調理器10に対して指示する第3の入力操作手段(計測指示スイッチ)18C、49と、前記第3の入力操作手段18C、49入力によって、重量センサー4で計測した炊飯物の重量をカロリー値に変換するカロリー計算部(演算処理手段)50Cと、前記演算処理手段の演算結果をカロリー値で報知する報知手段90と、をそれぞれ備え、
前記誘導加熱調理器10に前記炊飯ユニット1を載置した状態で前記第1の入力操作手段20の上方を前記炊飯ユニット1が覆い隠し、
前記第1の入力操作手段20上面と前記炊飯ユニット1の下面との間には、外部に通ずる空隙Sが形成され、
前記空隙Sよりも後方で前記炊飯ユニット1の底面と前記誘導加熱調理器10の対向部には、当該炊飯ユニット1と前記誘導加熱調理器10との間で赤外線信号を通過させるための窓37、38を形成し、
前記誘導加熱調理器10は、所定の位置に前記炊飯ユニット1が載置されて保温工程を実行中に、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を監視し、また前記第1の入力操作手段20の入力機能を無効にし、
さらに前記誘導加熱調理器10は、所定の位置に炊飯ユニット1があることを前記赤外線信号によって検知できない場合、前記炊飯ユニット1の保温工程を終了させ、かつ前記第1の入力操作手段20の無効状態を解除する構成である。
この構成の加熱調理装置100によれば、使用者が炊飯ユニット1の重量を計測することを指示することによって炊飯物の重量の計測が行われるので、茶碗に盛り付ける動作をしている途中に重量の計測がされて、混乱するという懸念がない。
また炊飯ユニット1による保温工程の段階で、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、炊飯ユニット1の載置に問題のあることを検知した段階で、保温動作を中止し、かつ第1の入力操作手段20の入力操作の無効状態を解除することができるので、使用者の誤解や誤操作を防止できるという利点がある。
さらにこの実施の形態1に開示した加熱調理装置100は、
誘導加熱コイル14と、当該加熱コイル14の加熱条件を入力する第1の入力操作手段20と、重量計測手段94とを備えた誘導加熱調理器10と、
被炊飯物を収容し前記加熱コイル14によって加熱される内釜3と、炊飯条件を入力する第2の入力操作手段12とを備えた炊飯ユニット1と、を備え、
前記炊飯ユニット1は、前記誘導加熱調理器10の上に載置した状態で前記誘導加熱コイル14によって加熱する第1の使用形態と、前記誘導加熱調理器10と分離させた第2の使用形態とを選択できるものであり、
前記炊飯ユニット1は、制御装置50と、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、前記炊飯ユニット1の重量計測を前記重量計測手段94に対して指示する第3の入力操作手段(計測指示スイッチ)18C、49と、前記第3の入力操作手段18C、49の入力によって、前記重量計測手段94によって計測された炊飯物の重量をカロリー値に変換するカロリー計算部(演算処理手段)50Cと、前記カロリー計算部50Cの計算結果をカロリー値で報知する報知手段90と、をそれぞれ備え、
前記制御装置50は、炊飯工程又はむらし工程の完了前には前記第3の入力操作手段(計測指示スイッチ)18Cの入力を無効にし(受付せず)、炊飯工程の完了後に自動的に有効にすることを特徴とする構成である。
この構成の加熱調理装置100によれば、使用者が炊飯ユニット1の重量計測とカロリー報知することを指示することによって炊飯物の重量の計測が行われるので、茶碗に盛り付ける動作をしている途中に重量の計測がされて、混乱するという懸念がない。
また炊飯工程やむらし工程の完了前に、ご飯をかき混ぜたり、食材を投入したりして炊飯ユニットの重量が変化した場合において、第3の入力操作手段を誤って操作しても、その入力操作は無効になるので、不必要なカロリー値の表示や報知等が行われないという利点がある。
なお、炊飯工程の進捗度合を、炊飯開始からの経過時間だけではなく、内釜3の温度情報も加味して判断するように主制御装置80又は制御装置50の制御プログラムを変更しても良い。
実施の形態1の総括.
以上の説明から明らかなようにこの実施の形態1においては、以下の形態によって第1の発明を実施していた。
すなわち、実施の形態1の加熱調理装置100は、
誘導加熱調理器10と、前記誘導加熱調理器10上に置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定する第1の入力操作手段20と、第1の通信部としての赤外線通信部34と、前記炊飯ユニット1の重量を計測する重量計測手段94と、主制御装置80と、を備え、
前記炊飯ユニット1は、前記内釜3の上面開口を開閉自在に閉鎖する蓋体1Bと、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、炊飯物の重量をカロリー値に換算して報知することを指示する第3の入力操作手段18C、49と、前記重量計測手段で計測した炊飯物の重量をカロリー値に変換する演算処理手段50Cと、炊飯物のカロリー値を報知する報知手段90と、第2の入力操作手段12と前記第3の入力操作手段18C、49の指令を受け、前記演算処理手段50Cと前記報知手段90を制御する制御装置50と、第2の通信部としての赤外線通信部35と、をそれぞれ備え、
前記炊飯ユニット1の前記制御装置50は、前記第3の入力操作手段18C、49が操作された場合、前記第2の通信部(赤外線通信部)35からカロリー報知指令を発信し、 前記誘導加熱調理器10の前記主制御装置80は、前記第1の通信部(赤外線通信部)34で前記カロリー報知指令を受信した場合、前記重量計測手段94で計測した前記炊飯ユニット1の重量を示す情報を、前記第1の通信部(赤外線通信部)34から発信し、
前記炊飯ユニット1は、前記誘導加熱調理器10側から送信された炊飯物の重量計測データから、前記演算処理手段50Cでカロリー値を算出し、そのカロリー換算結果を前記報知手段90で報知することを特徴とする構成である。
このような構成の加熱調理装置100によれば、炊飯ユニット1側を使用者が操作することで、誘導加熱調理器10からの重量計測データに基づいて、炊飯ユニット1側でご飯の消費エネルギー量を知ることができる。
さらに実施の形態1においては、以下の形態によって第2の発明を実施していた。
すなわち、実施の形態1の加熱調理装置100は、
誘導加熱調理器10と、前記誘導加熱調理器10上に置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定する第1の入力操作手段20と、第1の通信部としての赤外線通信部34と、前記炊飯ユニット1の重量を計測する重量計測手段94と、前記重量計測手段94で計測した炊飯物の重量をカロリー値に変換する演算処理手段80Cと、主制御装置80と、を備え、
前記炊飯ユニット1は、前記内釜3の上面開口を開閉自在に閉鎖する蓋体1Bと、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、炊飯物の重量をカロリー値に換算して報知することを指示する第3の入力操作手段18C、49と、炊飯物のカロリー値を報知する報知手段90と、第2の入力操作手段12と前記第3の入力操作手段18C、49の指令を受け、前記報知手段90を制御する制御装置50と、第2の通信部としての赤外線通信部35と、をそれぞれ備え、
前記炊飯ユニット1の制御装置50は、前記第3の入力操作手段18C、49が操作された場合、前記第2の通信部(赤外線通信部)35からカロリー報知指令を発信し、
前記誘導加熱調理器10の前記主制御装置80は、前記第1の通信部(赤外線通信部)34で前記カロリー報知指令を受信した場合、前記重量計測手段94で計測した炊飯物の重量に基づくカロリー情報を、前記第1の通信部(赤外線通信部)34から発信し、
前記炊飯ユニット1は、前記誘導加熱調理器10側から送信された炊飯物のカロリー情報を前記報知手段90で報知することを特徴とする構成である。
さらに実施の形態1においては、以下の形態によって第3の発明を実施していた。
すなわち、実施の形態1の加熱調理装置100は、
誘導加熱調理器10と、前記誘導加熱調理器10上に置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定する第1の入力操作手段20と、第1の通信部としての赤外線通信部34と、前記炊飯ユニット1の重量を計測する重量計測手段94と、主制御装置80と、を備え、
前記炊飯ユニット1は、前記内釜3の上面開口を開閉自在に閉鎖する蓋体1Bと、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、炊飯物の重量を計測することを指示する第3の入力操作手段18C、49と、前記重量計測手段94で計測した炊飯物の重量をカロリー値に変換する演算処理手段50Cと、炊飯物のカロリー値を報知する報知手段90と、前記第2の入力操作手段12と前記第3の入力手段18C、49の指令を受け、前記演算処理手段50Cと前記報知手段90とを制御する制御装置50と、第2の通信部としての赤外線通信部35と、をそれぞれ備え、
前記炊飯ユニット1の制御装置50は、前記第3の入力操作手段18C、49からのカロリー報知指令を受けた場合、前記第2の通信部(赤外線通信部)35からカロリー報知指令を発信し、
前記誘導加熱調理器10の前記主制御装置80は、前記カロリー報知指令を前記第1の通信部(赤外線通信部)34が受信した場合、前記重量計測手段94で計測した前記炊飯ユニット1の重量を示す情報を、前記第1の通信部(赤外線通信部)34から発信し、
さらに前記炊飯ユニット1の前記制御装置50は、前記第3の入力手段18C、49によってカロリー計測の指示がされた場合、前記第2の入力手段12の中の入力キー63、64、65、67、68、69の一部又は全部からの入力を受け付けず、前記報知手段90に含まれた表示画面11A、11Bによってカロリー値を表示することを特徴とする構成である。
このような構成の加熱調理装置100によれば、炊飯ユニット1側を使用者が操作することで、誘導加熱調理器10からの重量計測データに基づいて、炊飯ユニット1側でご飯の消費エネルギー量を知ることができる。また、使用者がカロリー表示を指令する操作を行うと、カロリー報知と関係ない入力キーの入力が禁止され、使用者が意図しない不用意な表示や運転が防止できる。
実施の形態2.
図22~図24は、本発明の実施の形態2に関するものである。図22は、加熱調理装置の全体を示す縦断面図、図23は、図22の加熱調理装置の前方の拡大縦断面図である。図24は、図22の加熱調理装置の制御関係構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複した説明を省略している。
この実施の形態2における加熱調理装置100は、
加熱コイル14と、当該加熱コイル14の加熱条件を入力する第1の入力操作手段20とを備えた誘導加熱調理器10と、
被炊飯物を収容し前記加熱コイル14によって加熱される内釜3と、炊飯条件を入力する第2の入力操作手段12とを備えた炊飯ユニット1と、を備え、
前記炊飯ユニット1は、前記誘導加熱調理器10の上に載置した状態で前記誘導加熱コイル14によって加熱できる第1の使用形態と、前記誘導加熱調理器10と分離させた第2の使用形態と、を択一的に選択できるものであり、
前記炊飯ユニット1は、制御装置50と、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、前記炊飯ユニット1の重量を計測することを指示する第3の入力操作手段(計測指示スイッチ)18C、49と、をそれぞれ備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3の加熱工程を制御する主制御装置80と、前記炊飯ユニット1が基準の位置に載置された状態であるかどうかを判定する基準位置判定手段と、当該基準位置判定手段によって基準の位置に前記炊飯ユニットがあり、かつ前記第3の入力操作手段からのカロリー報知指令を受信した場合に限り、前記炊飯ユニットの重量を含めて誘導加熱調理器10の重量を計測する重量計測手段94と、主制御装置80と、を備え、
前記炊飯ユニット1は、前記重量計測手段194によって計測された炊飯物の重量データを受信し、当該重量をカロリー値に変換するカロリー計算部(演算処理手段)50Cと、前記カロリー計算部50Cの計算結果をカロリー値で報知する報知手段90と、を備え、
前記主制御装置80は、炊飯工程又はむらし工程の完了前には前記第3の入力操作手段(計測指示スイッチ)18C、49からの指令を受け付けず、前記カロリー計算部(演算処理手段)50Cによるカロリー計算を行わせないことを特徴とする構成である。
この構成の加熱調理装置100によれば、炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10が、正しい位置関係にある場合において、使用者が炊飯ユニット1の重量を計測することを指示することによって、誘導加熱調理器10側で炊飯物の重量の計測が行われるので、茶碗に盛り付ける動作をしている途中に重量の計測がされて、混乱するという懸念がない。
また炊飯工程やむらし工程の完了前に、ご飯をかき混ぜたり、食材を投入したりして炊飯ユニットの重量が変化した場合において、第3の入力操作手段を誤って操作しても、それによってカロリー計算を行わせないので、不必要なカロリー値の表示や報知等が行われないという利点がある。
更に、この実施の形態2における加熱調理装置100は、
加熱コイル14と、当該加熱コイル14の加熱条件を入力する第1の入力操作手段20とを備えた誘導加熱調理器10と、
被炊飯物を収容し前記加熱コイル14によって加熱される内釜3と、炊飯条件を入力する第2の入力操作手段12とを備えた炊飯ユニット1と、を備え、
前記炊飯ユニット1は、前記誘導加熱調理器10の上に載置した状態で前記誘導加熱コイル14によって加熱できる第1の使用形態と、前記誘導加熱調理器10と分離させた第2の使用形態とを選択できるものであり、
前記炊飯ユニット1は、制御装置50と、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、前記炊飯ユニット1の重量を計測することを指示する第3の入力操作手段(計測指示スイッチ)18C、49と、をそれぞれ備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3の加熱工程を制御する動作プログラムを保有し、カロリー報知モードに移行することを決定する主制御装置80と、前記炊飯ユニット1が基準の位置に載置された状態であるかどうかを判定する基準位置判定手段と、当該基準位置判定手段によって基準の位置に前記炊飯ユニットがある場合に限り、誘導加熱調理器10の重量を計測する重量計測手段94と、前記第3の入力操作手段18C、49からの指令を前記主制御装置80が受けた場合、前記重量計測手段194によって炊飯物を含んだ前記炊飯ユニットと誘導加熱調理器の重量を計測し、
前記炊飯ユニット1は、カロリー報知モードに移行したあと、前記重量計測手段94によって計測された炊飯物の重量データを受けて、それをカロリー値に変換するカロリー計算部(演算処理手段)50Cと、そのカロリー計算の結果をカロリー値で報知する報知手段90と、を備え、
前記主制御装置80は、前記カロリー報知モードに移行する特定の条件を満たさない場合、前記第3の入力操作手段(計測指示スイッチ)18C、49による指令に応じたカロリー報知動作を行わせないことを特徴とする構成である。
実施の形態2に係る加熱調理装置100について、以下詳細に説明する。
図22において、103は、実施の形態1の永久磁石30に代えて設置したICタグである。このタグの情報を読み取るリーダー(ICタグ情報読み取り部)104(図示せず)は、実施の形態1の載置検知センサー(リードスイッチ)31に相当するものである。
なお、リーダー104は、炊飯ユニット1を正しい位置に載置した場合、前記ICタグ103に最も接近するように、後部垂直部16の前面側に設置してある。
図22において、105は、誘導加熱調理器10の底面の4隅部に取り付けた支持脚部であり、この内部には、実施の形態1の重量センサー4に相当する重量センサー4(図示せず)が配置されている。なお、炊飯ユニット1側には、この重量センサー4に相当する重量センサーや、重量計測手段94を設けていない。
図23において、22Aは、誘導加熱調理器10の上面を構成するトッププレート22の周囲(前後左右)に形成した傾斜部である。つまり、傾斜部よりも内側は、最も外周縁部の上面に比較して、10mm程度高くなっている。
図23において、106は、炊飯ユニット1の底板39の下面に一体に形成した突起部である。この突起部は、図23から明らかなように前記傾斜部22Aの周囲を囲むように、底板39の下面に平面視で正方形又は長方形に形成されている。
前記突起部106は、図23に示すように前記傾斜部22Aの外側に嵌合する形になっている。なお、傾斜部22Aと突起部106とは、密着していなくとも良く、数mm程度の隙間を保っていることでも良い。この傾斜部22Aと突起部106との嵌合により、前記炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上で前後左右に不用意に移動しないようなストッパー機能が発揮される。
前記突起部106の突出高さは、周縁部の下端面と面一で良く、特に下方へ大きく突出させる必要はない。大きく突出させると、炊飯ユニット1をテーブル等の上に置いた際に安定性が悪くなる。
130は、冷却ファンであり、炊飯ユニット1の内部、特に内釜3の底部やその周囲に熱気が滞留することを抑制するために設置されている。107は、その冷却ファン130の吸気風路を構成する通気孔であり、手指が挿入できない程度の口径数mm程度の円形の孔や細いスリット状である。太い矢印は、冷却ファン130に吸引される冷却用空気の流れを示している。
図23において、94は、米の重量を計測する重量計測手段であり、前記重量センサー4(図示せず)を備えている。なお、この重量計測手段は、実施の形態1と同様に、炊飯ユニット1だけを計測するものではなく、炊飯ユニット1を載置した状態での誘導加熱調理器10の重量を計測するものである。
図24において、80Cは、重量計測手段94によって計測された炊飯ユニット1の重量データを受けて炊飯後のご飯の重量に対応した消費エネルギーを計算するカロリー計算部である。このカロリー計算部は、実施の形態1のカロリー計算部50Cに相当する構成である。
80Dは、カロリー計算部80Cで算出されたカロリー値を自動的に記憶する記憶部である。カロリー記憶部80Dは、実施の形態1のカロリー記憶部50Dに相当する構成である。
この実施の形態2においては、誘導加熱調理器10側に、実施の形態1で述べたカロリー計算部(演算処理手段)50C、カロリー記憶部50Dに相当する機能をそれぞれ具備している。
このため、炊飯ユニット1側の計測指示スイッチ18C、カロリー報知スイッチ49によって、カロリー報知指令が赤外線信号送受信部35、34を介して、主制御装置80側へ伝達された場合、炊飯後のご飯の重量計測と、カロリー値の報知を行う。
つまり、炊飯ユニット1の表示手段11にて、カロリー値を表示させ、また音声報知手段70Vによってカロリー値を報知させることができる。
さらに、この実施の形態2では、誘導加熱調理器10の第1の入力操作手段20の中に、前記計測指示スイッチ18C又はカロリー報知スイッチ49に相当するスイッチ(図示せず)を設けていないが、炊飯ユニット1側の計測指示スイッチ18C又はカロリー報知スイッチ49が押された場合、炊飯工程又はむらし工程が終了している場合には、制御装置50が、赤外線信号送受信部35、34を介して、主制御装置80側へ重量計測指示の指令信号があったことを伝達する。
つまり、炊飯ユニット1が炊飯動作を完了後もそのまま誘導加熱調理器10の上に載置されたままの場合、計測指示スイッチ18C又はカロリー報知スイッチ49が押された場合には、実施の形態1と同様にカロリー計算の結果が、炊飯ユニット1の第1の表示画面11A又は第2の表示画面11Bの双方、又は少なくともその何れか一方で表示され、また音声報知手段90Vでも報知される。
この実施の形態2では、炊飯工程又はむらし工程が終了し、「特定の条件」が満たされた段階で、誘導加熱調理器10において、カロリー報知モードの制御が自動的に開始される。
この実施の形態2では、前記「特定の条件」とは、炊飯工程又はむらし工程が終了しており、かつ、蓋体1Bが閉じられた状態(むらし工程が終了直後は、当然にこの状態)から、その後蓋体1Bが開けられた場合である。
その「特定の条件」が成立した時点から実施の形態1の図21で示したようなカロリー報知モードの制御が自動的に開始される。このため、誘導加熱調理器10側では、蓋体1Bを開放したことに続き、その炊飯ユニット1側の計測指示スイッチ18C又はカロリー報知スイッチ49の少なくとも何れか一方が押されない場合でも、ご飯の重量計測やカロリー値の算出等の一連の動作を行うことができる。
この実施の形態2においても、炊飯ユニット1においてカロリー値を、その都度知ることができる。
さらに、この実施の形態2においては、前記第1の入力操作手段20と前記加熱コイル14との間において、前記誘導加熱調理器10の上面と炊飯ユニット1の下面と間には、外部に通ずる空隙SSが形成され、この空隙SSに対応して前記炊飯ユニット1の底面には、当該炊飯ユニット1に内蔵された冷却ファン130の冷却風を流すための通気孔107を形成している。この構成により、前記第1の入力操作手段20の部分の温度を低く保つことができ、第1の入力操作手段20を構成する電子部品の温度上昇による劣化や故障も防止でき、また第1の入力操作手段20を操作する使用者に無用な不安感を与えることがないという利点がある。
実施の形態3.
図25~図28は、本発明の実施の形態3に関するものである。図25は、加熱調理装置の炊飯ユニットにおいて、カロリー報知モードの制御動作を示すフローチャートである。図26は、加熱調理装置の前方下部の縦断面図である。図27は、図26に示した加熱調理装置の前方部にある操作入力部の縦断面図である。図28は、図26に示した加熱調理装置の左側面下部の縦断面図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複した説明を省略している。
この実施の形態3における加熱調理装置100は、特に誘導加熱調理器10の前方部にある第1の操作入力部20の温度上昇を抑制すること、及び炊飯ユニット1の左右側面部の温度上昇も抑制して、安全性を更に高めているものである。
まず、図25について説明する。図25のフローチャートは、カロリー値を計算し、報知する一連の制御動作のステップを示すものである。実施の形態1の図21で説明したフローチャートと大部分が同じであるので、同一部分には同一符号を付して重複した説明は省略する。
この図25のフローチャートにおいて、ステップSS1が「カロリー報知モード」の開始時点であり、テップSS14が「カロリー報知モード」の終了時点である。言い換えると、ステップSS1~ステップSS14までが、カロリー報知モードの動作である。
この図25のフローチャートによれば、カロリー値を第2の表示画面11Bや第1の表示画面11Aに表示し、また音声報知手段90Vによって「ただいまのご飯のカロリーは、252キロカロリーです」のように音声で報知(SS10)するが、その後で蓋体1Bが開放されたか、閉じられたかどうかの判定がステップSS11で行われる。
実施の形態1では、蓋体1Bが閉じられたと判定すると、最新のカロリー値は、第1の表示画面11A又は第2の表示画面11Bの何れか一方、又はその双方に表示され続けるか、または表示開始から一定時間(例えば10秒間)経過後に消えるようにしていた。
これに対し、この実施の形態3では、「食事時間」を経過したかどうかという判断のステップSS11Aを設けた。この「食事時間」は、使用者が事前に選択でき、例えば10秒にすることもできるし、30分にも設定できる。
例えば、ご飯を使用者(居住者)が1人だけで食べる事が殆どである場合には、10秒間でも良い。
しかし、多人数の家庭では、朝食時等にはご飯の盛り付けが連続する場合があり、そのような場合では、次のご飯の盛り付けや、その重量の計測、カロリー値表示等が、間欠的に何度も行われる可能性がある。そのため、短い時間でカロリー報知モードを解除する(ステップSS14)と、その後にまた蓋体1Bを開け、ご飯を盛り付ける際に、制御装置50は、ステップSS1から動作を開始する必要がある。
これに対し、この実施の形態3では、使用者が事前にステップSS11Aの時間を設定し、さらにはそれを変更できるようにしているので、各家庭の実情に応じ、カロリー報知モードの継続時間を選択できる。また、この「食事時間」を短くすれば、第1の表示画面11A又は第2の表示画面11Bの表示時間を短くでき、消費電力を減らすことも期待できる。
次に図26について説明する。図に示しているように、炊飯ユニット1は、その底板39は平面視で長方形又は正方形に近い形状であり、その周辺4隅の下面には、プラスチック製又はゴム製の支持脚92が固定されている。支持脚92は、上部が太く、下部に行くに従って細くなる形状であるため、周囲は傾斜面92Sとなっている。支持脚92は、炊飯ユニット1を支えるものである。
CLは、垂直方向に伸びた中心線であり、前記支持脚92の中心を示している。この図25から分かるように、炊飯ユニット1の前面と誘導加熱調理器10の外郭の前面10Fの位置は、ほぼ面一になっている。そして、その前面1F、10Fから所定距離離れたところに前記支持脚92が配置されている。
支持脚92の傾斜面92Sが、トッププレート22が途中から上方へ盛り上がる傾斜面22Aの所に当り、これよりも後方には支持脚2は移動しにくい構造である。つまり、炊飯ユニット1が後方へ簡単に移動しないように支持脚92と傾斜面22Aがストッパーになっている。
この構造であるため、後部垂直部16に炊飯ユニット1を最も接近させた状態(基準位置)にするには、この支持脚92が図25に示しているように傾斜面22Aに当るまで後ろに移動させれば良い。
なお、支持脚92の位置は、図26に示すように第1の入力操作手段20の前後方向の幅20Wの中にあるため、炊飯ユニット1の前方側にある2つの支持脚92は、第1の入力操作手段20の位置を避けるよう、左右方向に離れて設けてある。これによって支持脚92が第1の入力操作手段20を上方から押すという事態は発生しない。このことは、次の図27からも明らかである。
図27について説明する。
赤外線信号を透過させる窓37は、赤外線透過させるガラス板等で密閉状態に覆われている。そしてこの窓37はトッププレート22の傾斜面22Aに形成したところがこの実施の形態3の1つの特徴である。
赤外線信号は、図27に破線の矢印IRで示すように垂直ではなく、前方に傾いた方向になる。またHZは、炊飯ユニット1やその他金属鍋等が載置されて誘導加熱される最大外周範囲を示している。この範囲は、加熱コイル14の最大外径寸法によって定まる。
トッププレート22上での一般的な鍋やフライパン等の調理器具での調理時に、溢れた調理液や調理の具材等で窓37が覆われる可能性があり、それを放置すると固形化して汚れがこびりついてしまう懸念がある。
そこで、この実施の形態3では重要な窓37が汚れにくいようにトッププレート22の傾斜面22Aに配置したものである。また前方から第1の入力操作手段20を操作するときに、窓37が前方側から目視しやすいので、汚れがあった場合でも使用者がそれに気が付きやすいという利点もある。
次に図28について説明する。
この図28は、図26に示した加熱調理装置の左側面下部の縦断面図である。図示していないが、右側面下部の形状は、この図28と左右対称になる。
図28から分かるように、トッププレート22は、炊飯ユニット1の底板39と出来るだけ接近して誘導加熱できるようにするため、左右端部の一部(横幅WL)を除いて一段と高くしている。言い換えると左右端部には、ほぼ垂直に立ち上がった段部22L、22R(図示していない)が一体に形成されている。
図28において、1Pは、炊飯ユニット1の外郭を構成する熱塑性プラスチック製ケースの下部内側に、一体成型で形成した突起部(又は、「リブ」ともいう)である。この突起部1Pは、炊飯ユニット1のケースの下部内側に、一定の間隔(例えば30~50mm)で形成されている。この突起部1Pの先端が、図28に示しているように前記段部22Lに接触又は近接している。このため、仮に誘導加熱調理器10の上に正しく置かれた炊飯ユニット1は、前記突起部1Pがあるため、左右方向の不用意な移動が防止される。
このため、図28に示すように、炊飯ユニット1のケースの少なくとも左右の下部には、所定の横幅寸法WLの空隙Sが形成される。しかも、その空隙は、対向間隔G1の隙間を介して外部と連通しているので、空隙Sに熱気が籠ることが防止され、炊飯ユニット1のケースの温度上昇を抑制できる。仮に炊飯動作中に、使用者が炊飯ユニット1の左側面下部に触れても、トッププレート22の段部22Lのところには手が触れることはない。
図28に示しているように、この実施の形態3では、トッププレート22は、炊飯ユニット1の底板39と接近又は接触する部分と、左右の周辺部は別部材で形成しており、周辺部22Tは熱伝導性の低いプラスチック材料で形成しており、このため、(左側と右側の)周辺部22Tの温度上昇を特に抑制できる。なお、前方と後方の周辺部も同様に別部材で形成しても良い。
トッププレート22において、炊飯ユニット1の底板39と接近又は接触する部分は耐熱性が高く、かつ加熱コイル14からの磁力線を透過させやすい材料を選ぶ必要がある。これに対し、左右の周辺部は別部材で形成すれば、そのような高耐熱性材料を使用しなくとも良いので、コスト的にも有利である。
この実施の形態3においても、基本的な動作は実施の形態1と同じであるので、実施の形態1と同等な効果が期待できる。
さらにこの実施の形態3では、炊飯ユニット1の外郭ケースの温度上昇を抑制でき、また炊飯ユニット1の設置安定性を高める効果が期待できる。
実施の形態4.
図29~図34は、本発明の実施の形態4に関するものである。図29は、1つの家屋(家庭)の全体像を示す説明図である。図30は、図29に示した加熱調理装置の縦断面図である。図31は、図29に示した加熱調理装置において、その炊飯ユニットの蓋体の平面図である。図32は、図29に示した熱調理装置における炊飯ユニットの構成を示す制御ブロック図である。図33は、図29に示した家庭における加熱調理装置と電力指令装置との連携関係を時系列に示す説明図である。図34は、炊飯ユニットの予約炊飯動作のステップを示すフローチャートである。図35は、加熱調理装置の監視と通知動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
この実施の形態4における加熱調理装置100は、特に誘導加熱調理器10が備えた通信機能によって使用者の利便性を更に向上させることができる。
また誘導加熱調理器10の内部構造を改良し、加熱コイルの冷却効率向上を図っているものである。
以下、図29~図34を参照して、実施の形態4を説明する。
この実施の形態4で、「家電機器」EEとは、主に家庭で使用されることを想定して設計された電気機器をいい、加熱調理装置100等のキッチン内家電機器、テレビジョンの受像機等の映像機器、空気調和機、電気掃除機、電気洗濯機(乾燥機能付きを含む)、お風呂に使用される給湯機器等含むが、これに限定されない。なお、以下の説明では、家電機器EEという場合には、特に断りがない限り、加熱調理装置100を含む。
この実施の形態4で家電機器EEの「識別情報」とは、家電機器EEを特定するための情報で、家電機器EEに固有の情報のことであり、的確な修理や点検を行う場合に必要となる重要な情報である。例えば、具体的には、以下のようなものが識別情報に含まれるが、これらには限定されない。なお、家電機器EEについては、あとで詳しく説明する。
(1)家電機器の製造者名
(2)型名
(3)形式番号
(4)定格消費電力
(5)購入年月日(製造業者や販売業者の品質保証期間の起算日になる場合が多い)
(6)使用開始年月日(食器洗い乾燥機では、法定点検時期の起算日になる)
(7)品質保証書番号
この実施の形態4でいう「統合管理装置」200とは、2つ以上の家電機器EEを連携して動作させるための装置をいう。例えば、本発明の対象となる加熱調理装置100と、他の家電機器EE、例えば空気調和機や換気装置とを連携させる装置をいう。また炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10の2者を連携動作させるものも含む。
「連携」とは、一方の運転状態を示す情報や取得したデータを、他方の家電機器が運転や表示等に利用することをいう。このため、統合管理装置200は、家電機器EEの運転や停止、待機状態、計測結果等の現在又は過去の状況に関する情報を、有線又は無線信号で家電機器EEから取得する機能を有する。
この実施の形態4でいう「電力指令装置」とは、「統合管理装置」200の内、消費電力の制限機能を有し、1つの家庭における総消費電力の上限を規制する機能を備えたものをいう。1つの家電機器において、「統合管理装置」が「電力指令装置」を兼ねている場合がある。また1つの家電機器の「電力指令装置」が、他の家電機器についても電力指令装置であるとは限らない。以下の説明では、電力指令装置と統合管理装置では、共に参照符号は200を用いる。
この実施の形態4でいう「居住者」とは、後述する1つの家屋に居住する者をいい、血縁関係にある親子、兄弟、姉妹等を含むが、後述する居住空間HAに所定期間だけ臨時で宿泊する訪問者や、生活を共にするその他の者を含んでいる。1つ又は複数の居住空間を1人又は数人で借用している者も含む。なお、加熱調理装置100やその他家電機器EEを使用した場合には、居住者を「使用者」と呼ぶ。
この実施の形態4でいうでは、「家庭」とは、特定の管理者が管理する1つの家屋を意味しており、複数の部屋があり、複数の家族が入居している集合住宅も含む場合がある。すなわち、そのような集合住宅でも、1つの家屋の場合と同様に商用電力の上限が1つの電力遮断機器(1つのブレーカーBK、あるいは複数の電力遮断器等)で、一元管理されている場合は、ここでいう家庭とみなす。
本実施の形態4において、後述する統合管理装置(「電力指令装置」ともいう)200の「動作情報」とは、1つの家庭に設定されている上限の総電力量を示す情報、現在使用している使用電力量を示す情報、前記総電力量と使用電力量の差を表す情報、前記電力指令装置200が制御対象にしている家電機器EEを具体的に特定する名称等の情報、当該家電機器EEの使用状態を示した情報、各家電機器EEで使用されている電力量の情報(例えば1分間の平均電力量)等をいうが、これに限定されるものではない。
本実施の形態4において、「家電機器側の電力制限情報」とは、電力指令装置200から家電機器が受けた電力消費量に関する何らかの信号に関する情報をいい、後述する電力削減要請信号AS1、電力削減指令信号AS2等のような指令に関する情報を含んだものをいう。それら情報には、その信号の受信時期(年月と秒単位の時刻)と信号の意味を示す情報が含まれる。例えば、後述する加熱調理装置100に対するある時点の電力削減指令信号AS2について「受信時刻:2017年11月1日 17時00秒 瞬間最大消費電力量を2%下げ」のような情報である。なお、この家電機器側の電力制限情報は、家電機器、例えば加熱調理装置100では、その全体を制御する主制御装置80の記憶手段80Rの中に時系列で記憶されており、主電源を遮断しても消えない。主電源投入と遮断を1回の調理と考えて、少なくとも10回分は記憶保持されるようになっている。それを超えた分が順次自動的に消去される。
本実施の形態4において、「家電機器側の位置情報」とは、居住空間HAの中のどの部屋に、家電機器が存在しているのかを示す情報(コード)であり、例えば居間はコード001、キッチンはコード002、寝室は003、のように事前に電力指令装置200の中央制御部によってルール化されており、家電機器EEを使用して電力指令装置200の(電力)制御対象になる場合には、その家電機器の識別情報とともに当該位置情報が電力指令装置200に登録される。なお、電力指令装置200の(電力)制御対象ではない家電機器EEであっても、その設置位置、使用場所を示す最新の位置情報を発信させても良い。
キッチンの厨房家具の中に設置されて使用されるビルトイン式の誘導加熱調理器や、壁に固定して使用される空気調和機のように、最初の設置位置が変化しない(非可搬式)家電機器EEの場合は、そのまま永続的に位置情報を利用できる。
この実施の形態4の説明では、加熱調理装置100は可搬性のある装置であるが、加熱調理装置100及び、その他個々の可搬性家電機器の、最新の位置を把握する手段についての詳細な説明は省略する。
(全体構成)
図29は、本実施の形態4の加熱調理装置100を使用した1つの家屋の例を示している。図29において、HA1は1つの家屋の居住空間(キッチン)を示す。なお、他の居住空間はこの図29には示していないが、そのほかに「居間」や「浴室」等があり、これ以外の部屋があっても良い。
全ての居住空間HAには、家屋の外部にある電力会社の商用電源71から例えば、電圧が200Vの電力が供給されている。その電力は、電力量計110を介して家屋の内部に引き込まれている。111は、電圧が200Vの前記商用電源71にブレーカーBKを介して接続された電源線(主幹線)である。前記電源線111には、各種家電機器EEがそれぞれ接続されている。加熱調理装置100以外の家電機器は図示を省略している。
200は、ブレーカーBKを介して電力が供給される電力指令装置(統合管理装置を兼ねている)であり、居住空間HA(キッチン)の壁面等のように、家族が容易に接近できる場所に壁掛け状態で設置されているか、又は床面の上に置いてある。
図29において、ADは、電源タップである。なお、この実施の形態4では、居住空間HAの各家電機器EE自体から、設置されている居住空間HAを示す位置情報、部屋情報等の識別コードを電力指令装置200に対して送信するため、この電源タップは省略しても良い。
図29において、112は、前記電力指令装置200に接続されたルーターであり、このルーターは、電力削減指令信号や電力逼迫情報等を発信する地域電力会社や公共機関、情報提供機関等の外部機関113にインターネット等の広域の通信回路網(「通信ネットワーク」又は「インターネット」ともいう)114を介して接続している。
115は、情報通信端末機器である。この実施の形態4でいう「情報通信端末機器」115は、使用者が気軽に携帯して屋内や屋外、その他外出先等で通話やデータ(メール情報を含む)の通信を行える端末機器のことである。電話はできないが、インターネットで情報をダウンロードしたり、メールを送信したり、遠隔操作信号を発信できる機器は「携帯用通信機器」と呼ぶ。持ち運びできる小型のパーソナル・コンピュータも、情報通信端末機器の1種である。
本実施の形態4における情報通信端末機器115は、各家電機器EEの入出力部に数センチメートル程度接近させ(又は接触させても良い)、近距離(NFC)通信で信号の授受をさせる機能を備えている。
このNFCの通信は、家電機器EE側に、いわゆる無線タグ(NFCタグ)が埋め込まれている。当該NFCタグは、NFC用の通信制御IC(以下、「NFC制御回路」という)と、この制御回路に接続されていて、外部から所定の周波数の無線を受けると前記制御回路のための電力が発生するアンテナと、前記NFC制御回路に接続されているマイクロチップメモリー(以下、「NFC記憶部」という)とから構成されている。
一方、情報通信端末機器115側では、そのNFCタグを介して家電機器EEの1つである前記加熱調理装置100の(炊飯ユニット1の)NFC記憶部(図示せず)からデータを読み取る(ステータス情報を取得)こと、さらには、逆に情報通信端末機器115側から制御データ(制御コマンド)を前記炊飯ユニット50のNFC記憶部(図示せず)へ送り、制御装置50が、前記NFC記憶部に記憶された前記制御コマンドに従って制御動作することができる。このような形式のNFCタグを、「アクティブ・タグ」と呼ぶ場合がある。
加熱調理装置100以外の家電機器EEでも同様な構成を備えている。つまり、この実施の形態4のNFCは、家電機器EEの内部記憶装置にある情報を、情報通信端末機器115側で読み出す機能(このような機能のNFCタグを、「単純タグ」と呼ぶ場合がある)だけではなく、家電機器EE側の動作も情報通信端末機器115からの制御コマンドによって起動できる機能まで保有している。言い換えると、情報通信端末機器115は、家電機器EEからの各種情報の読み出しだけではなく、NFC記憶部への書き込み機能を有しており、リーダーとライターの2つの機能を保有している。
なお、NFCの利点は、一般的には通信で交換できるデータの形式を制限しておらず、テキストデータは勿論、動画やXMLデータ等を交換できる点にあると言われている。
通信回路網114には、図示していないが、中継サーバーを介して情報通信端末機器115の基地局が接続されており、情報通信端末機器115から当該基地局を介してルーター112にアクセスすることができるようになっている。つまり、この家庭の居住者が所有している情報通信端末機器115を、遠隔地から通信回路網114に接続すれば、電力指令装置200に接続することができる。
また当該電力指令装置200を介して加熱調理装置100の無線通信部26(図2参照)に接続し、居住空間HAから離れた場所より遠隔制御することができる。但し、この実施の形態4においては、情報通信端末機器115から加熱調理装置100やその他電気機器EEに対する直接的な遠隔操作はできないようにしてある。これは家電機器EEの中には、加熱調理装置100のように室内へ直接熱を放射するものもあるため、家屋の外から多くの人が利用する通信回路を経由して遠隔操作することは、安全面を考慮して採用せず、その代わり、全て電力指令装置200を経由した操作となるようにしている。
家屋の内部では、ルーター112や家庭用サーバー(図示せず)、ローカルネットワーク設備(図示せず)を経由して加熱調理装置100と接続できるようにしても良い。
次に図30について説明する。図30は、加熱調理装置100全体を、実施の形態1の図2と同じように真横から見た場合の縦断面図である。一部構成については断面表示(ハッチング)を省略している。
誘導加熱調理器10は、その内部空間に、冷却ファン13と、薄い円盤状(ドーナッツ状)に巻いた加熱コイル14と、送電コイル17と、平面視で円形の防磁板19と、制御手段50と、キッチン等の室内空気の温度を検出する外気温度検出手段15と、を備えている。防磁板19の形状は、加熱コイル14の全周囲を囲むように円筒状である。
前記防磁板19は、誘導加熱調理器10の内部空間を横に仕切るような高さを有しており、この防磁板19と、水平に設置された大きな平面積のプラスチック製仕切り板96とによって、平面視で円形の部屋97が、内側に区画されている。
前記部屋97は、加熱コイル14を収容している。前記冷却ファン13は、この部屋97よりも後部にあって、吹出口は前方に、また吸気口は後方になるように縦に設置してある。
98は、通気口であり、前記部屋97を構成する防磁板19の後部に形成してある。前記冷却ファン13から吹出された冷却風は、この通気口98から部屋97の中を貫通するように進み、左側方に設けた排気口(図示せず)を介して、誘導加熱調理器10の外部へ放出される。
なお、冷却ファン13を、図30において更に右側に配置し、冷却ファン13の冷却風で、前記送電コイル17を先に冷却してから、部屋97の中を冷却するようにしても良い。あるいは、部屋97の手前で風路を2つに分岐させ、1つは送電コイル17側に、残りの1つは部屋97に送風するようにしても良い。
99は、冷却ファン13から見て冷却用空気流の上流側に配置した風向板である。
図30に太い矢印で示したものは、冷却ファン13によって誘導加熱調理器10の内部空間に発生する冷却風の流れである。
図30から明らかなように、この実施の形態4では、主制御装置80の背後側の吸気孔から居住空間HAに新鮮な空気が吸引され、その冷却風は主制御装置80の周囲を流れてそれを冷却し、その後で前記部屋97に送り込まれる。このため、加熱コイル14が効果的に冷却されるとともに、その真上に存在するトッププレート22も冷却される。
96Aは、前記仕切り板96の中央部に形成した透孔である。この透孔は、内釜3から放射される赤外線を感知して非接触で温度を感知する赤外線温度センサー5Bの真上に形成され、赤外線を通過させるように開口している。
前記仕切り板96によって、その下方には防磁板19で囲まれた下部空間108が区画され、この空間に支持基板32によって固定された赤外線温度センサー5Bが配置されている。この構造であるため、赤外線温度センサー5Bは、加熱コイル14からの高熱を受けにくいので、より正確な温度検知ができる。
また、炊飯ユニット1との間で重要な制御情報を伝達する手段である赤外線信号送受信部34は、前記部屋97の前方側にあり、加熱コイル14とは防磁板19を挟んで反対側にある。このため、この赤外線信号送受信部34も加熱コイル14からの熱的な影響を受けにくい。また第1の入力操作手段20についても同様に、温度上昇が避けられる構成である。
なお、防磁板19によって部屋97を区画形成していたが、防磁板に沿って例えばプラスチック板等を配置しても良い。つまり、部屋97の全部を防磁板19で構成する必要はない。
次に図31について説明する。図31は、図29に示した電気炊飯ユニット1の蓋体11Bの平面図である。
図31において、12は、加熱調理装置100の炊飯ユニット1の第2の入力操作手段(入力操作部)であり、炊飯動作を開始したり予約を確定したりする「炊飯開始スイッチ」67、炊き上がった米飯を一定の所定の温度で保温するモードを指令する「保温スイッチ」75、通常の炊飯やおかゆや炊き込みご飯などの各種炊飯メニューの選択を行う「メニュースイッチ」65を、それぞれ備えている。
また、白米や玄米など炊飯するお米の種類を選択して入力する「お米種類スイッチ」63、炊飯ユニット1の状態と次に必要な操作を音声にて報知したり報知する音量を調整したり音声モードの入り切りを行う「音声ナビゲージョン用スイッチ」76、予約炊飯機能の設定を行う「予約スイッチ」68、各種入力操作やモードを取り消し又は切るための「切/取消スイッチ」66、炊き方(炊き加減)の「ふつう」、「かため」、通常炊飯とは異なる「おかゆ」をそれぞれ選択できる「炊き方スイッチ(硬さスイッチ)」64を、それぞれ備えている。
これら各スイッチは、使用者が押すことによって内蔵された電気接点が閉じられ、入力信号が発生するような機械的スイッチ又は静電容量式のタッチ式スイッチの何れでも良く、また組合せて使用しても良い。前記保温スイッチ75は、むらし工程が終わったあとに操作されると、保温モードを開始する。
77は、一度押すことによって消費電力を所定量だけ減らすことができる節電スイッチである。例えば、予熱工程でこの節電スイッチを押すと、最初の数分間だけ消費電力が減らせるが、その分予熱工程の所要時間が長くなるので、液晶表示画面等で構成される第1の表示画面11Aには、その旨注意事項が表示され、また前記音声ガイド(ナビゲージョン)用スイッチ76をその都度押さなくても「節電モードを選択しました。予熱工程の時間が数分間延びます」というような案内が行なわれる。
78は、一度押すことによって、健康的な炊飯に関する情報を第1の表示画面11Aに表示する健康情報表示スイッチである。なお、このキーを押した場合、誘導加熱調理器10の無線通信部26と電力指令装置200を介して外部機関113の情報サーバーから、米や炊飯方法等の情報を入手できる。
91は、NFC入出力部を有した情報通信端末機器115を接近させて、近距離無線通信を可能とするためのNFC入出力部(近距離無線通信部)であり、蓋体1Bの上面に接近してその内部に埋め込まれている。さらに蓋体1B上面には、NFC入出力部91の無線タグ(NFCタグ)91Tの位置を使用者が容易に視認できるよう、情報通信端末機器115を接近又は接触する目標位置を「TOUCH」と文字で表示している。
図31において、81は、前記第1の表示画面11Aに表示された電力優先情報であり、電力削減要請信号AS1、電力削減指令信号AS2等のような指令に関する情報を、無線通信部26で受信した場合、加熱調理装置100の主制御装置80が炊飯ユニット1に、赤外線信号送受信部34を介して赤外線信号で情報を転送し、それを受けて制御装置50が前記第1の表示画面11Aの駆動回路(図示せず)に表示を指令している。但し、炊飯ユニット1が予熱工程や炊飯工程を実行中の期間中だけ表示する。
82は、同じく第1の表示画面11Aに表示された沸騰工程表示情報である。この図31に示した状態は、現在炊飯工程実行しており、内釜3の内部は沸騰状態であるが、電力指令装置200から電力削減要請信号AS1と電力削減指令信号AS2を受信しても、電力を削減するような対応をしない家電機器(電気炊飯器)であることが、使用者には容易に分かる。
図31において、49は、第1の表示画面11Bにカロリー値を表示させるためのカロリー報知スイッチである。また音声報知装置70Vにおいて、音声でカロリー値を報知させることを指令する。つまり、49は、カロリー値を報知することを制御装置50に指令するスイッチである。制御装置50は、そのカロリー報知指令を受けると、誘導加熱調理器10へカロリー報知指令を発信する。
図31において、48は、人の存在を感知する人感知センサーであり、非接触入力手段の1種である。この人感知センサーは、前記蓋体1Bの前面から赤外線を、前方の一定の照射範囲に照射して、人の存在を検知するものである。また、この人感知センサー48は、カロリーの算出と報知を行わせるための「非接触入力手段」を兼ねており、蓋体1Bを開放した場合に、「非接触入力手段」に自動的に切り替わる。これは、実施の形態1で説明したように、蓋体開放センサー93と制御装置50によって行われる。
次に図32について説明する。図32は、実施の形態1の図8に相当する図であり、炊飯ユニット1における内部構成を示す制御ブロック図である。
56は、実施の形態1における無線通信モジュール(無線通信部)26と同様な無線通信部である。この無線通信部によってこの実施の形態4では、家庭内に設置したローカルネットワーク設備の1つである前記電力指令装置(統合管理装置)200との間で無線通信できるようになっている。但し、直接インターネット回線を通じて遠隔地にある携帯情報端末や通信機器等と情報の授受はできない。
この実施の形態4においては、誘導加熱調理器10には、第2の通信部CT2として前記無線通信モジュール(無線通信部)26と、第1の基準位置判定手段33の赤外線信号送受信部34とを備えている。一方、炊飯ユニット1側には、第1の通信部CT1として、赤外線信号送受信部35と無線通信部56とを備えている。
次に図33について説明する。図33は、図29に示した居住空間における加熱調理装置100と電力指令装置200との連携関係を時系列に示す説明図である。
図33において、L1~L10が、加熱調理装置100から電力指令装置200に送信される運転情報信号である。
図33において、破線で示す四角の枠は、誘導加熱調理器10が炊飯ユニット1のために連携する範囲を示している。
L1は、誘導加熱調理器10に商用電源71が接続された主電源投入(ON)を示す信号である。なお、誘導加熱調理器10に主電源を投入する電源スイッチがある場合には、当該スイッチを押してONした時点で発信される。
L2は、予約炊飯モードを選択した情報である。L3は、炊飯開始の予約時刻が接近した場合(例えば、予約炊飯の設定時刻の5分前)、発信される予告情報(「開始要請信号」ともいう)である。
図33において、KSは、前記開始予告情報(「開始要請信号」ともいう)L3から短時間(通常は数秒以内)の内に、電力指令装置200から発信される「炊飯開始許可信号」である。この信号が加熱調理装置100に届かない限り、加熱調理装置100の主制御装置80は、実際の加熱開始指令信号を、インバーター回路73に発信しない。
L4は、運転情報信号の1つであり、実際にインバーター回路73が駆動され、誘導加熱動作を開始し、予熱工程が開始されたことを示す。
L5は、炊飯工程が開始されたことを示す運転情報信号である。L6は、炊飯工程が終わったことを示す運転情報信号である。この炊飯工程の実行時間帯には外部からの操作や指令によって電力の削減が行われない。つまり、この加熱調理装置100が実際に電力削減指令信号AS2を受信しても、電力が削減されるのは、次の運転情報信号L6以降である。なお、電力指令装置200では、加熱調理装置100を電力削減対象電気機器に登録しておいても、当該電力指令装置200は、炊飯工程であるとの運転情報信号L5を受けると、電力削減指令信号AS2を受信しても、それに応じて加熱調理装置100に、電力削減指令信号を発信しないようになっている。
L6は、炊飯工程が終了した運転情報信号を示す。L7は、むらし工程が終了したことを示す。L8は、保温工程開始を示す運転情報信号である。L9は、保温工程終了を示す運転情報信号である。なお、保温工程は、蓋体加熱手段9Aと内釜側面加熱手段9Bの2つだけを通電して行う。
L10は、商用電源71と誘導加熱調理器10との接続を遮断した主電源遮断(OFF)を示す信号である。これら各情報L1~L10には、その現在時刻が秒単位まで含まれている。なお、各運転情報信号に対する電力指令装置200側からの応答信号もあるが、詳細な説明は省略する。
電力指令装置200は、加熱調理装置100の要求電力に対して(他の家電機器EEよりも)優先順位を最も高くして、加熱調理装置100の要求電力を最優先で確保するようにしているので、ブレーカーBKの定格容量が超えそうになっても、あるいは使用者が指定した上限の電力容量を超えそうになっても、沸騰工程において電力が削減されることがなく、美味しいご飯を炊くことができる。
(電気炊飯器の予約炊飯動作)
次にこの実施の形態4の特徴の1つである炊飯ユニット1の予約炊飯動作について、図34を参照しながら説明する。
ステップSE1~SE8までが予約炊飯の設定までの動作を示しており、炊飯ユニット1の制御装置50の動作である。
使用者が、第2の操作入力手段20の予約スイッチ68を押し、炊飯時刻の設定を行い、最後に炊飯開始スイッチ67を押すと、予約炊飯の設定確定信号が生成され、予約炊飯の設定が確定する(SE1)。
この確定信号を受けて予約炊飯モードの設定を示す運転情報信号L2を、無線通信部26から電力指令装置200に発信させる(SE2)。その際に、炊飯動作開始時刻情報を、「20:00」のように、24時間表示で併せて送信する。また予約設定者(使用者と推定される)の情報を、例えば「居住者B」を示すコード番号等でそれらデータに含めて送信すると良い。
次に、使用者が設定した炊飯開始時刻と、現在時刻の時間間隔を計算する。なお、使用者が炊飯希望時刻を設定する場合、「炊飯完了時刻」を設定するようになっている。つまり、帰宅時に炊飯完了させておきたいと考えて、設定時刻を「20時00分」と設定するが、制御装置50ではこの入力を受けて、炊飯工程(この場合、予熱工程、炊飯工程、むらし工程の3つを含む)の所要時間を計算し、予熱工程の開始時刻を計算する(SE3)。
ステップSE3の計算結果から、60分以上の時間がある場合には、次のステップSE4では、「Yes」となり、次のステップSE5に進む。ステップSE5の「待機処理」とは、制御装置50に内蔵されている待機判断部が、炊飯開始時刻の情報を受信した場合、現在時刻からその指定時刻の所定時間(例えば5分前)までの間は、待機状態にするため、制御装置50への電源供給を遮断し、第1の表示画面11Aも動作も停止することである。これにより炊飯ユニット1側での電力消費を無くすことになる。なお、前記待機判断部は、現在時刻から炊飯(開始)の指定時刻の所定時間(例えば5分間)前になるかどうかを、計時手段50Tからの時刻情報を使用して一定時間(例えば1分間)間隔でチェックしている。これ以降の動作については説明を省略する。
一方、前記ステップSE3の計算結果から、60分以上の時間が無い場合には、ステップSE6に進む。ステップSE6では、指定時刻の所定時間(例えば5分間)前になるかどうかを一定時間間隔でチェックし、このステップで「Yes」となると、次のステップS7に進む。
ステップSE7では、予約炊飯モードでの炊飯開始を示す運転情報信号(予告信号)L3を、無線通信部26から電力指令装置200に発信させる。その際に、炊飯動作開始時刻情報を、「20:00」のように、24時間表示で併せて送信する。
次のステップSE8では、音声報知手段90Vと第1の表示画面11Aによって、炊飯動作を開始したことを音声や文字で報知する。これ以降の動作については説明を省略する。
(予約炊飯中の監視動作)
次に図35について説明する。
この実施の形態4の特徴の1つである炊飯ユニット1の予約炊飯中の監視動作について、説明すると、ステップSU1~SU8までが監視動作のステップを示しており、加熱調理装置100の主制御装置80の動作である。炊飯ユニット1は、前述したように予約炊飯中は、制御装置50に電力が供給されない場合もあるので、誘導加熱調理器10側の主制御装置80で監視動作を実行するようになっている。
この実施の形態4の特徴の1つである炊飯ユニット1の監視動作は、予約炊飯中だけではなく、炊飯中でも行われる。
まず、監視動作は、ステップSU1で示すように炊飯工程又は予約炊飯工程が開始された段階からスタートする。
事前に近距離無線通信部91に情報通信端末機器115を接近させて、当該情報通信端末機器115を炊飯ユニット1に登録してある場合、炊飯工程又は予約炊飯工程が開始されると、主制御装置80は、炊飯ユニット1の制御装置50から事前に送信された登録データ(記憶手段80Rに格納してある)と照合し(SU2)、登録されている情報通信端末機器115がある場合には、当該情報通信端末機器115を指定して無線通信部26から炊飯開始又は予約炊飯セットしたことを報知する(SU3)。
なお、情報通信端末機器115は、誘導加熱調理器10側に登録しておいても良い。また加熱調理装置100(誘導加熱調理器10と炊飯ユニット1を含む)に対し、情報通信端末機器115の識別情報やアドレス等を事前に登録する方法は、MACアドレス送信等、色々知られているため、これらについての説明は省略する。
この後、炊飯ユニット1が、何らかの理由で誘導加熱調理器10のトッププレート22の上面の所定位置(基準位置)から移動した場合について説明する。例えば、居住者Aが炊飯ユニット1について予約炊飯セットしたものの、別の居住者Bがその事情を知らずに、不用意に炊飯ユニット1を移動させてしまった場合が該当する。
誘導加熱調理器10では、炊飯中も予約炊飯期間中(予約炊飯セットしてから、実際の炊飯工程、むらし工程、保温工程が全て終了するまで)は、一定時間又は所定のタイミングで、図11のステップS6のように基準位置判定動作を行っている。
従って、仮に炊飯ユニット1が何らかの理由で誘導加熱調理器10の基準位置から移動した場合には、ステップSU4は「No」となり、ステップSU6に進む。そのため、事前に登録された情報通信端末機器115が、仮に居住空間HAの外部の遠隔地にあっても、無線通信部26から電力指令装置200を経由して、当該情報通信端末機器115に通知される。当該情報通信端末機器115から何らかの返信があった場合には(SU7)、ステップSU8に進み、誘導加熱調理器10の報知手段70で文字や音声等で報知する。また、炊飯ユニット1に対しても誘導加熱調理器10の無線通信部26から外部の電力指令装置200を介して、返信情報を送信する。当該返信情報の内容は、電力指令装置200が炊飯ユニット1に無線通信で伝達し、炊飯ユニット1は、その無線通信部56で受信する。
ここでいう「返信」とは、情報通信端末機器115側で事前に複数種類の定形メッセージや警報から選択して登録してあるものであり、例えば「警報」という返信指定があった場合には、誘導加熱調理器10や炊飯ユニット1において、炊飯ユニットが使用中であるので、至急確認するように在宅の居住者に求める内容になっている。この返信は、情報通信端末機器115で、特に使用者が操作しない限り、速やかに(例えば10秒以内)に自動的に発信されるように設定しておいても良い。また、電力指令装置200でも無線通信部26から「返信」を受信した場合、即時炊飯ユニット1に転送するように設定しておくと良い。
仮に炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の基準位置から移動せずに、炊飯工程、むらし工程、保温工程が全て終了した場合には(SU5)、一連の監視動作は終了する。なお、この監視動作は、すべて誘導加熱調理器10の主制御装置80だけで実行するものではなく、その一部の動作を炊飯ユニット1に担当させても良い。実施の形態1で説明したように、炊飯ユニット1には二次電池等の給電部95を備えており、監視のための情報処理を実行させることは可能である。
なお、この実施の形態4では、誘導加熱調理器10で、炊飯中も予約炊飯期間中(予約炊飯セットしてから、実際の炊飯工程、むらし工程、保温工程が全て終了するまで)は、ステップS6で示したように基準位置判定動作を行っていたが、保温工程を対象にしないようにしても良い。すなわち、むらし工程を終えた段階で、誘導加熱調理器10と炊飯ユニット1との連携関係を維持せず、終了させるという意味であり、むらし工程を終えた段階で、炊飯ユニット1の位置が誘導加熱調理器10の上から外れて、他の場所例えば食卓等の上に変化しても、誘導加熱調理器10は何ら動作に影響受けないことである。このようにすると、むらし工程を終えた場合、第1の入力操作手段20に対する入力操作機能の制限は行わないので、誘導加熱調理器10を別の調理に直ぐに使用できる。
実施の形態4の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態4の加熱調理装置100は、
上面にトッププレート22を備えた誘導加熱調理器10と、前記トッププレート22上に近接又は接触するように置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定するため前記加熱コイル14よりも前方側に位置している第1の入力操作手段20と、第1の通信部としての赤外線通信部34と、前記炊飯ユニット1の重量を計測する重量計測手段94と、主制御装置80と、を備え、
前記炊飯ユニット1は、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、前記炊飯ユニット1の重量を計測することを指示する計測指示スイッチ(第3の入力操作手段)18C、49と、前記計測指示スイッチ(第3の入力操作手段)18C、49の入力によって、重量計測手段94で計測させた炊飯物の重量から、消費エネルギー量を演算するカロリー計算部(演算処理手段)50Cと、前記カロリー計算部50Cの演算結果をカロリー値で報知する報知手段90と、をそれぞれ備え、
前記誘導加熱調理器10に前記炊飯ユニット1を載置した状態で前記第1の入力操作手段20の上方を前記炊飯ユニット1が覆い隠し、
前記炊飯ユニット1の底面と前記誘導加熱調理器10の対向部には、当該炊飯ユニット1と前記誘導加熱調理器10との間で炊飯制御のための情報を伝達する赤外線信号を通過させるための窓37、38を形成し、
前記誘導加熱調理器10は、前記炊飯ユニット1が炊飯工程中の場合、前記第1の通信部(赤外線通信部)34で送信又は受信する赤外線信号によって、前記炊飯ユニット1の載置を確認し、所定の基準位置に前記炊飯ユニット1が無いと判定したときは、外部に無線で報知する前記第2の通信部CT2(無線通信部26)を備えていることを特徴とする構成である。
この構成の加熱調理装置100によれば、使用者が炊飯ユニット1の蓋体1Bを開けた状態で、カロリー報知モードに移行して、炊飯されたご飯の重量を計測することを指示するので、茶碗に盛り付ける動作をしている途中で、使用者の意図しない重量の計測がされて、混乱するという懸念がない。
また、炊飯ユニットが炊飯中や予約炊飯期間中に、基準位置から外れたことが検知された場合、外部に対して報知されるので、炊飯を確実に実行するように監視でき、使用者の利便性、安心感を増大させることができる。
さらにこの実施の形態4では、実施の形態1と同様に、前記第1の入力操作手段20上面と前記炊飯ユニット1の下面との間には、外部に通ずる空隙Sが形成されているので、誘導加熱調理器10の上面前方部に配置されている第1の入力操作手段20の過熱を、前記空隙Sによって防止することができる。
なお、この実施の形態4では、前記仕切り板96によって、その下方には防磁板19で囲まれた下部空間108が区画され、この空間に支持基板32によって固定された赤外線温度センサー5Bが配置されているので、赤外線温度センサー5Bは、加熱コイル14からの高熱を受けにくいので、より正確な温度検知ができる。
また、赤外線信号送受信部34は、前記部屋97の前方側にあり、加熱コイル14とは防磁板19を挟んで反対側にあるため、この赤外線信号送受信部34も加熱コイル14からの熱的な影響を受けにくいので、熱による故障や異常等の発生を抑制できる。また第1の入力操作手段20についても同様に、温度上昇が避けられる構成であるので、そこに配置された電子部品の故障や短寿命化が抑制できる。
さらにこの実施の形態4では、図30で説明したように、誘導加熱調理器10のトッププレート22の下方に部屋97を区画形成し、この内部に加熱コイル17を配置し、この部屋を冷却ファン13から供給された冷却風で冷却するようにしたので、加熱コイル14の過熱が防止され、トッププレート22の過熱防止に貢献する。
さらにその冷却ファン13は、前記送電コイル17も冷却するので、送電コイル17の過熱も防止できる。
実施の形態5.
図36~図39は、本発明の実施の形態5に関するものであり、図36は、誘導加熱調理器と炊飯ユニットの制御動作を示すフローチャート1である。図37は、図36の誘導加熱調理器と炊飯ユニットの制御動作を示すフローチャート2である。図38は、図36の誘導加熱調理器と炊飯ユニットの制御動作を示すフローチャート3である。図39は、図36の炊飯ユニットの制御動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態1~4と同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
この実施の形態5における加熱調理装置100は、誘導加熱調理器10の起動時の動作プログラムを変更している。また、特に炊飯ユニット1の制御装置50の動作プログラムを変更し、使用者が米の重量を計測する場合の操作性を向上させることを目的にした構成を備えているものである。
以下、図36に示す制御動作のステップは、実施の形態1の図11におけるステップS1からS12までを改良したものである。
図11と同一又は同じステップは、同一符号を併記して説明する。
まず、誘導加熱調理器10の電源プラグ101を商用電源71に繋ぐと、炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていれば、リードスイッチ31がON(閉)となる(SM1)。
すると、使用者が第1の操作入力手段20や炊飯ユニット1の第2の操作入力手段12を何も操作しなくとも、主制御装置80は、赤外線温度センサー5Bや、その他の電流センサー(図示せず)によって誘導加熱調理器10の内部構成部品に異常がないかどうかの自己チェックを開始する(SM2)。
そして異常が無かった場合、主制御装置80は送電コイル17を駆動し、所定の電力を供給開始する。報知手段70も起動する(SM3)。一方、冷却ファン13を「弱」モードで運転開始する(SM4)。このため冷却風で送電コイル17が冷却される。
この段階では、主制御装置80は、リードスイッチ31がONしていることによって、炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていることが分かっているが、次に、炊飯ユニット1は、基準位置判定手段33Aを起動する。実施の形態1では、主制御装置80が基準位置判定手段(B)33を駆動していたが、この実施の形態5では、制御装置50に給電手段6から電力が供給された段階で、制御装置50の動作プログラムが開始され、赤外線信号送受信部35から、赤外線信号送受信部34に向けて赤外線信号が送信される(SM5)。
すると、赤外線信号送受信部35で受けた赤外線信号を基準位置判定手段33Bで解読してその結果を主制御装置80へ入力する。主制御装置80は、炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていることを最終確認する(SM6)。
もし、赤外線信号送受信部34に向けて赤外線信号送受信部35から事前に定めてある正規の赤外線信号が送信された後、基準位置判定手段33B側で、そのような正規の赤外線信号が受信できなかった場合には、炊飯ユニット1が正しい位置に載置されているとしても、窓37の上面に、前回調理した際の調理液が滴下して汚れとなって固着しており、赤外線通信を妨げている場合等が想定される。この場合は主制御装置80側ではエラー判定を下す。このエラー判定(SM6)以後の動作は、図38に示しており、あとで説明する。
炊飯動作中も2つの赤外線信号送受信部35、36の間で、動作データや温度データ等を交換するため、仮に窓37の汚れが原因でも炊飯動作は許可しない。
次のステップSM7では、主制御装置80は、第1の操作入力手段20からの入力指令信号発生を無効化する処理をする。具体的には、第1の操作入力手段20の入力信号を発生させるための信号を遮断して、入力信号が発生しないようにするが、この無効化手段については、この方法に何ら限定されない。
この第1の操作入力手段20からの入力操作部の無効化処理により、例えば、炊飯ユニット1を瞬間的に持ち上げて、第1の操作入力手段20を操作しても、そのような操作は主制御装置80に入力されないので、炊飯を直前で止めて、誘導加熱調理器10を単独で使用開始するということはできない。
次に炊飯ユニット1では、音声報知手段90V等の報知手段90によって、これから炊飯動作を行うことが報知される(SM8)。
なお、実施の形態1では、誘導加熱調理器10で、音声報知手段70V等の報知手段70によって報知するようにしていたので、この部分も実施の形態1と異なっている。
次のステップSM9では、炊飯ユニット1において炊飯開始の指令が行われたかどうかを判断するため、待機状態に入る。炊飯ユニット1を載置したあと、内釜3の中の水の量を調節する等、実際の炊飯開始までは時間が必要である。そのため、待機時間を計時手段80Tで計測する(SM10)。
例えば、炊飯を開始したことを示す指令信号がなく(SM11)、無線通信部26を経由した炊飯開始の指令信号もなく(SM12)、ステップ10の段階から所定時間T60(例えば、60分)を経過した場合(SM13:図37参照)、主制御装置80は、何らかの理由で炊飯を見合せているものと判断する。
次に図37について説明する。
図37に示す制御動作のステップは、実施の形態1の図12におけるステップS13からS18までを改良したものである。つまり、炊飯動作開始の準備をした状態のまま、肝心の炊飯指令がなく時間が経過した場合の動作を示すものである。
ステップSM10の段階から所定時間T60(例えば、60分)を経過した場合(SM13)、炊飯ユニット1では、音声報知手段70V等の報知手段70によって、炊飯動作をキャンセルしたことを報知する(SM14)。このステップで炊飯ユニット1が報知することが、実施の形態の図12と異なる。
次に、誘導加熱調理器10は、制御装置50が炊飯ユニット1の給電を停止する(SM15)。具体的には送電コイル17と冷却ファン13への給電を停止する指令を出す。
ステップSM10の段階から所定時間T61(例えば、61分)を経過した場合(SM16)、主制御装置80は、第1の操作入力手段20からの入力操作部の無効化処理を解除する(SM17)。このため、この段階で、例えば、炊飯ユニット1を他の場所へ移動させれば、第1の操作入力手段20を操作して、誘導加熱調理器10で別の加熱調理を開始できる。なお、この第1の操作入力手段20の操作も無い場合には、主制御装置80は、自ら主電源を自動で遮断し、不用意に加熱動作が行われないように安全性を考慮した動作をする(SM18)。
次に図38について説明する。
図38に示す制御動作のステップは、実施の形態1の図15におけるステップSA1からSA9までと同じものである。図36のステップSM6で「No」の判定となった場合は、この図38の処理が主制御装置80で実行される。つまり、炊飯動作開始前に、炊飯ユニット1が基準位置に存在しない事態を主制御装置80で検知した場合の動作を図38は示しており、図38に示すステップSA1~SA9は、図15に示すステップSA1~SA9と同じであるので、詳細な説明は省略する。
次に、図39について説明する。図39に示す制御動作のステップは、実施の形態1の図20におけるステップSR9以降を改良したものである。
実施の形態1の図20で説明した通り、使用者が炊飯するときのご飯の硬さの入力を終える(SR8)と、次に制御装置50は第2の表示画面11Bを起動し、米の重量を計測できることを表示する。また音声報知手段90Vでも報知する(SR9)。
この実施の形態5では、蓋体1Bが開けてある場合には、その後、蓋体1Bを閉じて、炊飯スイッチ67を押せば、米重量計測のステップを経由せずに直ぐに炊飯に移行できるものであり、炊飯の際の水加減に習熟した使用者にとって迅速に炊飯開始までのステップを進めることができるという利点がある。
図39において、第2の表示画面11Bが起動され(SR9)、所定の時間T30の計測を開始する(ST1)と、蓋体1Bが開放されているかどうかを判断するステップがある。
実施の形態1で説明したように蓋体1Bを開放する蓋体開閉ボタン8や、その開閉動作に連動する機構に、蓋体開放センサー93としてのマイクロスイッチやリードスイッチ等を設けて、蓋体1Bの開放を制御装置50が検知しても良い。
あるいは、第2の表示画面11Bが起動される前から、制御装置50が蓋体1Bの動く様子を監視し、蓋体1Bの開放を検知しても良い。
例えば、実施の形態1で述べたように、炊飯ユニット1や誘導加熱調理器10の前後方向に2つの重量センサーを設けて、この重量センサーにそれら炊飯ユニット1や誘導加熱調理器10の重量が加わるようにしている場合、蓋体1Bを開放すると、その蓋体1Bが後部のヒンジ部(図示せず)を介して垂直又はそれよりも安定する後方に傾いた状態で炊飯ユニット1に支持される。
このため、蓋体1Bを開放すると、その蓋体1Bの開放の前と後で、前方側の重量センサー4の計測値は減り、後方のヒンジ部(図示せず)側に蓋体1Bの重量が掛かるため、後方の側の重量センサー4の計測値は増える。
特に、第2の表示画面11Bが起動される前の段階で、米の銘柄とご飯の炊き加減、すなわちご飯の硬さの情報も、順次読み出して、それらを修正できるステップ(SR7、SR8)があるため、第2の入力操作手段12を操作している場面では、使用者は通常、蓋体1Bを閉じて行う必要があり、このときの前方側の重量センサー4の計測値と、後方側の重量センサー4の計測値のバランスが、その後の蓋体1Bの開放で変化する。
そこで、制御装置50は、蓋体開放センサー93としてのマイクロスイッチやリードスイッチ等のハードウエアを設けなくとも、上記のように複数の重量センサー4の計測値のデータを分析するというソフトウエアで蓋体1Bの開放を検知できる。
図39において、蓋体1Bの閉鎖が検知されると、制御装置50は次の動作ステップST12へ進む。そして念のため、もう1度蓋体1Bの開放有無をチェックし、このあと、炊飯スイッチ67が押されたことが検知される(ST13)と、第1の表示画面11Aと、音声報知手段90Vでは、そのまま蓋体1Bを閉めたままにし、開けないように、との注意喚起の報知を行い(ST15)、蓋体1Bが閉鎖されていることが検知される(ST16)と、前記したステップSR10に進む。
このため、ステップSR10では、音声報知手段90Vで、例えば「米の重量計測結果500gでした。適正水量判定しましたので、白米を柔らかモードで炊飯開始します」のような音声ガイドを行う。
また第2の表示画面11Bは表示動作を終える(OFFする)。
このように、米重量計測のステップを経由せずに直ぐに炊飯に移行できる。
一方、前記ステップST2で、蓋体1Bが開放されていると判定された場合には、次のステップST3に進む。
このステップST3では、米重量計測の操作部18に配置された操作キー18Aが操作され、米の計量指令があったかどうかを判断する。所定の操作キー18Aを押せば、米の重量の計測が蓋体1Bを開けたままの状態で行われる(ST4)。
重量計測手段94によって、内釜3の中に米を入れた状態で計量され、重量が音声報知手段90Vで報知され、また第2の表示画面11Bでも重量が数値で表示される(ST5)。
その後、その米の重量に見合った水量が、例えば「500ミリ・リットルです」のように音声によって音声報知手段90Vで報知され、また第2の表示画面11Bでも数値で表示される(ST6)。
そこで、蓋体1Bを開けたままの状態で、報知された量の水を注入し、所定の操作キー18Aを押せば、重量計測手段94によって、内釜3の中に米と水を入れた状態で再度計量され、その判定結果が音声報知手段90Vで報知され、また第2の表示画面11Bでも表示される(ST6)。
この後、炊飯スイッチ67が押されたことが検知される(ST13)と、第1の表示画面11Aと、音声報知手段90Vでは、そのまま蓋体1Bを閉めたままにし、開けないように、との注意喚起の報知を行い(ST15)、蓋体1Bが閉鎖されていることが検知される(ST16)と、前記したステップSR10に進む。
前記ステップST3で、米重量計測の操作部18に配置された操作キー18Aが操作されずに、時間が経過すると、その間にステップST8で経過時間(T30)のチェックがあり、第2の表示画面11Bが起動されてから30分経過していない場合には、重量計測の指令待ちであることを音声報知手段90Vで報知し、また第2の表示画面11Bで表示する(ST11)。
このような督促は、数分置きに行っても良い。もし、ステップST8で30分が経過していると判断されると、使用者が蓋体1Bを開けたまま、何らかの作業に手間取っているか、別の調理の準備に入ってしまい、炊飯セットは後回しにされている可能性あるので、使用者に注意を喚起するため、エラー報知を行う(ST9)。このエラー報知は、音声報知手段90と第2の表示画面11Bで行うことが良い。そして、制御装置50は、一連の炊飯条件の設定作業を中止し、第2の表示画面11Bと第1の表示画面11Aの動作を終了して、それらの画面表示を消す(ST10)。
なお、前記ステップST13で、炊飯スイッチ67が押されずに、そのまま時間経過すると、ステップST14で経過時間(T30)のチェックがあり、第2の表示画面11Bが起動されてから30分経過していない場合には、前記ステップST2に戻り、蓋体1Bが開放されているかどうかのチェックが再び行われる。しかし、30分経過している場合には、前記ステップST9に進み、エラー報知を行う。このエラー報知は、音声報知手段90と第1の表示画面11Aで行うことが良い。そして、制御装置50は、一連の炊飯条件の設定作業を中止し、第2の表示画面11Bと、第1の表示画面11Aの動作を終了して、それらの画面表示を消す(ST10)。
実施の形態5の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態5の加熱調理装置100は、
上面にトッププレート22を備えた誘導加熱調理器10と、前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22上に近接又は接触するように置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定するため前記加熱コイル14よりも前方側に位置している第1の入力操作手段20と、第1の通信部としての赤外線通信部34と、前記炊飯ユニット1の重量を計測する重量計測手段94と、主制御装置80と、を備え、
前記炊飯ユニット1は、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、前記炊飯ユニット1の重量を計測することを指示する計測指示スイッチ(第3の入力操作手段)18C、49と、前記第3の入力操作手段18C、49の入力によって、前記重量計測手段94で計測した炊飯物の重量をカロリー値に変換するカロリー計算部(演算処理手段)50Cと、前記演算処理手段の演算結果をカロリー値で報知する報知手段90と、をそれぞれ備え、
前記誘導加熱調理器10に前記炊飯ユニット1を載置した状態で前記第1の入力操作手段20の上方を前記炊飯ユニット1が覆い隠し、
前記第1の入力操作手段20上面と前記炊飯ユニット1の下面との間には、外部に通ずる空隙Sが形成され、
前記空隙Sよりも後方で前記炊飯ユニット1の底面と前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22との対向部には、当該炊飯ユニット1と前記誘導加熱調理器10との間で炊飯制御のための情報を伝達する赤外線信号を通過させるための窓37を形成し、
前記誘導加熱調理器10又は炊飯ユニット1は、前記炊飯ユニット1による炊飯工程開始前に、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、所定の基準位置に前記炊飯ユニット1が無いと判定したとき(図36のステップSM6)は、前記加熱コイル14に通電を開始しないまま、炊飯動作を中止する処理(図38のステップSA8)を行うとともに、前記炊飯ユニット1の載置に問題のあることを検知した後の段階で、報知(図38のステップSA1、SA8)することを特徴とする構成である。
この構成の加熱調理装置100によれば、使用者が炊飯ユニット1の重量を計測することを指示することによって炊飯物の重量の計測が行われるので、茶碗に盛り付ける動作をしている途中に重量の計測がされて、混乱するという懸念がない。
また、炊飯ユニット1による炊飯工程を開始する前の段階で、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、炊飯ユニット1の載置に問題のあることを検知した後の段階で、炊飯動作を中止すること等、使用者へ不具合を報知するので、使用者の使用上の誤解や誤操作を防止できるという利点がある。
実施の形態6.
図40は、本発明の実施の形態6に関するものであり、誘導加熱調理器の制御動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。また蓋体1Bの第2の操作入力手段12の構成は、図32(実施の形態4)と同じであるという前提で以下説明する。
この実施の形態6における電気炊飯器100は、誘導加熱調理器10の動作プログラムを変更している。また、特に炊飯ユニット1で炊飯工程を終えた後の制御装置50の動作プログラムを変更している。
電気炊飯器100の誘導加熱調理器10は、実施の形態1の図11~図13に示す動作ステップS1~S30と同じ動作を行うものである。
そしてステップS30以降を図40のように改良したものである。
まず、炊飯工程が終了する(S30。図13参照)と、誘導加熱調理器10の報知手段70によってむらし工程に入ることを報知する(SU1)。
一方、炊飯ユニット1でも、これと同期して報知手段90によってむらし工程に入ることを音声で報知する。
むらし時間を把握するためにステップSU1の時点で経過時間(T70)の計測を開始する。そして、所定のむらし工程の時間(T70。例えば5分間)が経過したかどうかの判定を行う(SU2)。
ステップSU2で、所定のむらし工程の時間T70が経過したと判定された場合、次のステップSU3に進み、報知手段70によって、例えば「むらし工程は終了したので、すぐに食べることができます」というような案内を音声で報知する。
ステップSU3の以降の時点で、炊飯ユニット1の制御装置50は、「カロリー報知モード」に自動的に移行する。具体的には、むらし工程の終了後に、使用者が蓋体1Bを開放した場合には、その時点で「カロリー報知モード」に自動的に移行する。
この「カロリー報知モード」に移行すると、第2の操作入力部12に配置してある「切/保温スイッチ」66(図5参照)は依然として入力ができる。つまり、炊飯スイッチ67と、予約スイッチ68と、時刻スイッチ69等の入力はできなくなるが、直前の入力を取り消すための取消スイッチ79と、カロリー報知スイッチ49と、切/保温スイッチ66は、それぞれ入力機能は有効に維持される。このような制御は、制御装置50が行う。
なお、切/保温スイッチ66を押すと、保温開始するが、その保温動作開始後でも、前記切/保温スイッチ66を押すと、保温中止の指令信号が発せられ、保温は中止される。このように、炊飯されたご飯を食することができる段階で、「カロリー報知モード」に移行しても、この実施の形態6では、むらし工程に続いて規定の限度内(例えば、むらし工程完了から1時間、3時間、又は6時間等)の期間中、制御装置50は、保温工程を行わせることができる制御プログラムを有している。
保温スイッチ75は、むらし工程が終わったあとに操作されると、保温モードを開始することを指令するものであるため、次のステップSU4では、保温スイッチ75が使用者に押されたかどうかの判断を行う。
保温スイッチ75が押された場合は、炊飯ユニット1の制御装置50は主制御装置80に対して、外気温度検出手段15からの温度計測結果のデータ提供を求め、提供されたデータに基づいて保温可能時間TXを計算する(SU5)。なお、制御装置50がデータ提供を求めず、主制御装置80自身で保温可能時間を計算し、その結果を制御装置50が取得する方法でも良い。後者の場合には、制御装置50は保温スイッチ75が押されたことを示す特定の識別コード又はデータを、赤外線信号送受信部35から発信させ、主制御装置80は、そのデータ等を受けて、保温可能時間の計算動作を開始する。
所定時間内に保温スイッチ75が押されなかった場合には、ステップSU14に進む。例えば、炊飯開始時点では使用者は炊飯のことをはっきり自覚していても、その後に炊飯のことを忘れる可能性がある。このように炊飯を忘れてしまうと、電気炊飯器100の近傍には居ない場合があり、むらし工程の終了も気が付かないで、そのまま放置される可能性がある。
ステップSU14では、猶予時間(例えば15分間)は、そのまま保温スイッチ75が押されたかどうかのチェックを、例えば1分おきにチェックするが、この猶予時間を過ぎると、ステップSU9へ進む。
ステップSU9では、誘導加熱調理器10の報知手段70によって保温工程を終了したことを報知する。
このステップSU4~SU9の間では、蓋体加熱手段9A、内釜側面加熱手段9B、加熱コイル14は、最小限度の加熱量(火力)で加熱する場合と、全く通電されない場合がある。居住空間の気温が低い冬季等では、外気温度検出手段15が低い気温の室温データを主制御装置80に入力するため、炊飯ユニット1が、上記の猶予時間(例えば15分間)の間に冷えてしまう可能性ある。
そこで、このような場面を想定して主制御装置80では、蓋体加熱手段9A、内釜側面加熱手段9B、誘導加熱コイル14の全部又は一部を駆動して、全体では例えば30W~100W程度の消費電力で保温動作を暫定的に行う場合もプログラムされている。
次のステップSU6では、報知手段70によって保温工程に入ることを報知する。次に、ステップSU7では、算出された保温可能時間TX(例えば3時間)の保温動作を開始する。
この実施の形態6の保温工程は、実施の形態1とは異なり、誘導加熱コイル14を駆動して行われる。このため、蓋体加熱手段9Aと内釜側面加熱手段9Bだけでは温度を上げにくい内釜3の底部も所定の保温温度(例えば70℃前後)を維持できる。
そして、保温可能時間TX(例えば3時間)が経過するかどうかのチェック(SU7)と、基準位置に炊飯ユニット1が存在するかどうかのチェック(SU8)を、繰り返し行う(例えば、数秒以内の時間間隔で行う)。
そのため、炊飯動作を指示した使用者とは別の使用者が、炊飯ユニット1が保温動作中であることに気が付かず、誘導加熱調理器10を別の加熱調理に使用するために、炊飯ユニット1を(誘導加熱調理器10の上から)別の場所へ移動させてしまった場合には、ステップSU8は「Yes」判定となる。すると、誘導加熱調理器10の報知手段70によって保温工程を終了したことを報知する。またこれとほぼ同時に炊飯ユニット1側の報知手段90でも同様に保温工程を終了したことを報知する(SU9)。
また、ステップSU8が「No」であった場合には、「カロリー報知モード」は自動的に解除される。そして、例えば誘導加熱調理器10と離れた場合には、給電手段6によって炊飯ユニット1には、給電手段6の電源供給能力によって定まる時間だけ電力供給が継続し、制御装置50は動作継続する。
なお、このような状態で、炊飯ユニット1の重量を計測することを指示する計測指示スイッチ(第3の入力操作手段)18C、49が押された場合、この時点からカロリー報知モードが再開されることが望ましいが、炊飯ユニット1側に重量計測手段94に相当する構成が無い場合には、ご飯の重量計測やカロリー値の算出はできない。そこで、このような、誘導加熱調理器10と離れた使用形態(第2の使用形態)に変化した場合においても、ご飯の重量計測やカロリー値の算出を行えるようにするために、炊飯ユニット1側に重量計測手段94に相当する手段を設けると更に利便性が向上する。
さらに誘導加熱調理器10の第1の操作入力手段20の入力機能を復活させる。つまり主制御装置80への入力禁止措置を解除する(SU10)。
このため、直ぐに誘導加熱調理器10の第1の操作入力手段20を操作して、希望する加熱調理が誘導加熱調理器10単体で開始できる。
前記保温工程において、誘導加熱コイル14が駆動されていた場合には、インバーター回路73は駆動が停止される(SU11)。また、炊飯ユニット1側でも、蓋体加熱手段9Aや内釜側面加熱手段9Bが給電手段6からの電力で加熱されていた場合には、炊飯ユニット1の制御装置50は、それらの加熱を即時停止する。
さらに、誘導加熱コイル14が駆動され、送電コイル17から給電が行われていた場合には、それらを冷却していた冷却ファン13の運転も停止する(SU13)。
そして、主制御装置80は自ら主電源回路を遮断する。一方、移動された炊飯ユニット9Aの制御装置50側でも、基準位置判定手段33によって基準位置には無いことが分かっているので、制御装置50は、給電手段6の給電を停止し、第2の入力操作手段12の機能を停止する。
実施の形態6の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態6の加熱調理装置100は、
上面にトッププレート22を備えた誘導加熱調理器10と、前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22上に近接又は接触するように置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定するため前記加熱コイル14よりも前方側に位置している第1の入力操作手段20と、第1の通信部としての赤外線通信部34と、前記炊飯ユニット1の重量を計測する重量計測手段94と、主制御装置80と、を備え、
前記炊飯ユニット1は、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、前記炊飯ユニット1の重量を計測することを指示する計測指示スイッチ(第3の入力操作手段)18C、49と、前記計測指示スイッチ18Cの入力によって、前記重量計測手段94で計測させた炊飯物の重量から、エネルギー量を演算するカロリー計算部(演算処理手段)50Cと、前記カロリー計算部50Cの演算結果をカロリー値で報知する報知手段70と、をそれぞれ備え、
前記誘導加熱調理器10に前記炊飯ユニット1を載置した状態で前記第1の入力操作手段20の上方を前記炊飯ユニット1が覆い隠し、
前記第1の入力操作手段20上面と前記炊飯ユニット1の下面との間には、外部に通ずる空隙Sが形成され、
前記空隙Sよりも後方で前記炊飯ユニット1の底面と前記誘導加熱調理器10の前記トッププレート22との対向部には、当該炊飯ユニット1と前記誘導加熱調理器10との間で赤外線信号を通過させるための窓37を形成し、
前記誘導加熱調理器10は、所定の位置に前記炊飯ユニット1が載置されて保温工程を実行中に、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を監視し、また前記第1の入力操作手段20の入力操作を無効にし、
さらに前記誘導加熱調理器10は、所定の位置に炊飯ユニット1があることを前記赤外線信号によって検知できない場合、前記炊飯ユニット1の保温工程を終了させ、かつ前記第1の入力操作手段20の入力操作の無効化を解除する構成である。
また、むらし工程が終わったあとに、炊飯ユニット1の蓋体IBが開放された場合には、「カロリー報知モード」に移行する。
この構成の加熱調理装置100によれば、使用者が炊飯ユニットの重量を計測することを指示することによって炊飯物の重量の計測が行われるので、茶碗に盛り付ける動作をしている途中に重量の計測がされて、混乱するという懸念がない。
また炊飯ユニット1による保温工程の段階で、前記赤外線信号によって前記炊飯ユニット1の載置を確認し、炊飯ユニット1の載置に問題のあることを検知した段階で、保温動作を中止し、かつ第1の入力操作手段20の入力操作の無効化を解除することができるので、使用者の使用上の誤解や誤操作を防止できるという利点がある。
また、炊飯ユニット1側を使用者が操作することで、誘導加熱調理器10からの重量計測データに基づいて、炊飯ユニット1側でご飯の消費エネルギー量を知ることができ、利便性が高い。
実施の形態7.
図41~図46は、本発明の実施の形態7に関するものであり、図41は、本発明の実施の形態7に係る加熱調理装置の斜視図である。図42は、炊飯ユニットの蓋体の平面図1である。図43は、炊飯ユニットの蓋体の平面図2である。図44は、図41に示した炊飯ユニットの制御手段の構成を示すブロック図である。図45は、図41の炊飯ユニットで、煮込み調理した場合の制御動作を示すフローチャートである。図46は、図41の炊飯ユニットの煮込み調理における制御パターンの説明図である。なお、実施の形態1~6と同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
この実施の形態7における加熱調理装置100では、特に炊飯ユニット1の調理メニューを充実化させている。すなわち、炊飯ユニット1では、「煮込み」調理、「おかゆ」、「蒸し」調理ができるようにしている。これを実現するため、炊飯ユニット1の制御装置50の動作プログラムを変更している。
また主制御装置80の動作プログラムも一部変更している。
さらに内釜3の内部で炊飯工程時等に発生する水蒸気を逃がすための蒸気排出器(おねば回収器と呼ぶ場合もある)を利用して、内釜3内部へ注水できるようにし、使用者の炊飯開始前の水量の調節の利便性を向上させている。
さらに第2の入力操作手段12を改良し、そこに配置された第1の表示画面11Aの視認性や、米の重量の計測指示と結果の確認等も容易にできるように改良している。
この実施の形態7における加熱調理装置100は、誘導加熱調理器10と炊飯ユニット1で構成されていることは実施の形態1と同じである。
実施の形態7の具体的説明に入る前に、「煮込み」調理、「おかゆ」、「蒸し調理」について、概要を説明する。
(1)「煮込み」調理:野菜や肉等の具材を水や調味料を加えたスープ等に入れて加熱し、煮物調理を行うことができる電気炊飯器は、例えば特開2005-296366、特開2007-181521及び特開2004-329488によって提案されている。また炊飯用と煮物用に専用の内釜を用意し、炊飯と煮物に応じてその内釜を取り換えて使用することも上記特開2004-329488で提案されている。
(2)「おかゆ」:電気炊飯器において「おかゆ」メニューを用意し、おかゆを作ることができる構成は、例えば特開2007-135884や特開平8-164065によって提案されている。上記特開2007-135884に示されているように、加熱時間を比較的長くして作る濃厚なおかゆと、逆に比較的短い時間でつくる、薄いおかゆがある。おかゆをつくる場合には、炊飯とは別の加熱パターン、火力にする必要がある。
「蒸し」調理:内釜3の中に多数の通気孔を有した蒸し台や網を入れ、その上に野菜等を入れて内釜底部に入れた水を沸騰させて、その発生する蒸気で野菜等を加熱するものである。このため、炊飯時とは異なり、蓋体1Bを閉じて調理する必要はなく、むしろ蓋体1Bを開けたまま行う方が良い。
この実施の形態7の炊飯ユニット1は、以上のような各調理の特性を踏まえて、以下のような構成である。
図41において、12は、蓋体1Bに設けた第2の入力操作手段であり、液晶表示画面等で構成される第1の表示画面11Aを備えている。
122は、平面形状が円形の蒸気排出器である。この蒸気排出器は、炊飯時に内釜3の内部に発生する蒸気を排出する第1の通路(図示せず)を内部に形成している。つまり、内釜3の内部空間と炊飯ユニット1の外部空間とを連通させている。
蒸気排出器122は、例えば特開平9-187371や特開2014-83203によって提案されている。
次に図42について説明する。
前記蒸気排出器122は、上記第1の表示画面11Bの後方の位置にあり、すり鉢状に凹んだ円形の凹部123の中に着脱自在に装着されている。
124は、円形の蓋であり、プラスチック材料で円盤状に形成されている。この蓋124は、前記蒸気排出器122の上面開口を塞いでいる。この蓋124は、使用者が清掃や後述する注水時に簡単に開けることができる。125は、前記蓋124の後部を回動自在に支持するヒンジ軸である。ヒンジ軸125は、蓋体1Bと前記蓋124とを連結する部材である。この構成により、前記蓋124は、最も開いた状態では前記ヒンジ軸125を支点として、略垂直状態になる。
126は、前記蓋124に上下に貫通するように複数個形成した蒸気排出孔であり、この実施の形態7では、合計5つ設けてある。
127は、前記蓋124を開けた場合に露出する注水口であり、この注水口は、蒸気排出器122の内部を上下に貫通している。言い換えると、この蒸気排出器は、炊飯時に内釜3の内部に発生する蒸気を排出する第2の通路(図示せず)を内部に形成している。なお、前記第1の通路とこの第2の通路を兼用しても良いが、通常は第1の通路には、内釜3内部で炊飯時に発生する蒸気の排出量を抑制して、内釜3の沸騰時の気圧を保つ絞り部や制御弁機構等を設けることがあり、また炊飯完了時には外部からの冷たい空気の侵入を防止する逆止弁を設ける場合もあるため、これら目的機能に適合するように、別個に形成しても良い。
図42において、前記第1の表示画面11Bの表面(上面)は、使用者が指等を触れた際の静電容量の変化を捉えて入力を行えるタッチ式入力画面を兼用している。
図42において、120は、タッチ式キーであり、アイコンとも呼ばれる場合がある。このタッチ式キーは、制御装置50が、必要な都度使用者に目視できるように表示画面11Bの表示と対応させて出現させる。なお、このようなタッチ式入力キーは周知であるので、詳しい説明は省略する。
120Aは、炊飯を行うことを制御装置50に指令する「炊飯キー」、120Bは、おかゆを作ることを指令する「おかゆキー」、120Cは、煮物・煮込み調理を行うことを指令する「煮込みキー」、120Dは、蒸し調理を指令する「蒸し調理キー」である。121は、動作開始スイッチであり、タッチ式キーで構成されている。この動作開始スイッチ121は、例えば炊飯等の動作が開始されたあとは、第1の表示画面11Aの表面から消える。
これらキー120A~120Dは、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10によって起動された際、メニュースイッチ65を押した場合に、図42に示しているように第1の表示画面11Aに一覧状態で出現する。また、これらキー120A~120Dの何れか1つにタッチした後、動作開始スイッチ121が第1の表示画面11Aに現れる(図43参照)。
図43は、図42と同じく炊飯ユニット1の蓋体1Bの平面図である。図43において、120Rは、前の画面に戻すためのタッチ式キーであり、これにタッチすると、図42に示した表示画面の状態に戻る。
128は、タッチ式キーであり、制御装置50に対して米の重量を計測する指示を行うためのものである。
一旦、加熱を開始するキー121を押すと、このキー120Rは直ぐに消え、重量計測指示は行えない。
129は、水量表示部であり、重量計測手段94で算出した重量に基づいて、その最適水量に対して不足している水量をイメージで表示している。そのため、三角形の図形(インジケータ)129Aが縦一列に表示されるが、内釜3に水を入れて重量が増えると、青く光った図形129Aが増える。5つの図形129Aが全部青く光ったものになった状態が適正水量である。なお、過剰に水を入れると、青く光った図形129Aではなく、赤色の図形129Aに変わり、しかもそれが全部同時に点滅して、使用者に過剰水量であると警告する。
図42と図43において、49は、第1の表示画面11Bにカロリー値を表示させるためのカロリー報知スイッチである。また音声報知装置70Vにおいて、音声でカロリー値を報知させることを指令する。このスイッチ49も、第2の入力操作手段12を構成するタッチ式入力操作手段の一部である。
次に図44を説明する。12Tは、第2の入力操作手段12を構成するタッチ式入力手段であり、図41と図42で示したタッチ式入力キー120A~120D、120R、49を含んでいる。
制御装置50を構成するマイクロコンピュータ(図示せず)は、炊飯を行う制御プログラムと、前記煮込み調理、おかゆ、蒸し調理を行える制御プログラムによって動作する。それら制御プログラムは、マイクロコンピュータの記憶手段(ROM)や記憶手段50Rに格納されている。50Cは、カロリー計算部(演算処理手段)、50Dは、カロリー計算結果のデータを記憶するカロリー記憶部である。
次に、第2の入力操作手段12で、煮込み調理開始の指令信号があった場合について、図45を参照しながら説明する。
図45は、炊飯ユニット1で、煮込み調理した場合の制御動作を示すフローチャートである。
ステップSW1は、煮込みキー120Cが押され、次に動作開始スイッチ121が押された場合である。
制御装置50は、音声報知手段90Vによって煮込み調理を開始することを知らせる(SW2)。
制御装置50は、蓋体開放センサー93によって蓋体1Bが閉じていることを確認し、閉じている場合、重量計測手段94に対して計測指令信号を出し、煮込み工程開始直前の段階の、炊飯ユニット1の重量を計測する(SW3)。
制御装置50は、重量計測手段94からの計測結果信号を受け、それに示された重量値を記憶手段50Rに記憶させる。
また計測結果について報知手段90によって報知する。具体的には音声報知手段で、例えば「現在の重量は1500gです」と報知し、また第1の表示画面11Aでも「計測結果:1500g」のように表示する(SW4)。
次に制御装置50は、誘導加熱調理器10に対して、赤外線信号送受信部35から赤外線信号によって、煮込み調理の実行に必要な基本的な情報を送信する。例えば、図46に示しているような動作パターンを行うために、煮込み工程と低温加熱工程を順次実行できるよう、区間A~Xまでの実行プログラムを送信する。
なお、煮込み調理や炊飯等の各種調理の制御プログラムを、その都度炊飯ユニット1から誘導加熱調理器10に対して送信するのではなく、誘導加熱調理器10で事前に用意(記憶手段80Rに記憶)しておいて、炊飯ユニット1からは、各工程の進捗や内釜3の温度データ等を送信するという方法でも良い。
誘導加熱調理器10では、炊飯ユニット1からの煮込み調理開始の指令信号を受けて、加熱コイル14をインバーター回路73で駆動し、冷却ファン13の運転も開始する。
次のステップSW5では、炊飯ユニット1の内釜は、加熱コイル14によって誘導加熱され、温度が上昇するので、沸騰温度になったかどうかの判定を行う。
図46に示しているように、沸騰する温度レベルになった状態を、ある時間TY維持する必要がある。この時間の長さは、調理する具材によって異なるが、例えば30分以上である。
この時間TYは、煮込み調理の開始前に、第2の入力操作手段12において指定できる。あるいは煮込む材料を選択すると、制御装置50によって時間TYが自動的に設定される。
重量計測手段94に対して計測指令信号を出し、炊飯ユニット1の重量を計測するタイミング(以下、「計測時期」という)は、制御装置50によって事前に決定されている。また前記キー128を押して、その都度計測指令を行える。
前記したように、動作開始スイッチ121が押された段階P1は、前記計測時期の1つ(最初)である。
また、前記キー128が任意に押された段階も、前記計測時期の1つである。
以下の説明では、前記キー128が任意に押されなくとも、制御装置50によって自動的に重量計測する場面について説明する。
自動的な「計測時期」は、図46に符号P1~P4で示しているように、合計4つある。
ステップSW6では、沸騰する温度レベルになった状態を確認した時点からの経過時間の計測を開始する。この時間は後述する「所定時間TY」維持したかどうかを判定する場合に必要である。この時間の長さは、調理する具材によって異なるが、例えば30分以上である。
ステップSW7で計測時期であるとの判断になると、ステップSW8に進み、制御装置50は、重量計測手段94に計測動作を指令する。そして重量計測手段94からの計測結果信号を受け、それに示された重量値と、記憶手段50Rに記憶させてある前回の重量値とを比較し、重量が減っているかどうかを判定する(SW9)。
ここでいう「重量の減少」は、事前に決定された重量値(例えば、100g)を基準にして、ここまで減少していない場合、ステップSW9は「No」となり、次のステップSW14で、沸騰工程(図46の区間B)を終えているかどうかを判定する。
ステップ重量が減っているという判定がされた場合(SW9)、次にその重量減少率を算出する(SW10)。
最初の重量(前述したように例えば1500g)に対して、減少の影響度を見るために率(%)を算出する。例えば100g軽くなった場合、1500gの6.6%相当であるので、「7%」と切り上げる。
このステップSW10で、判定が「No」であった場合、前記ステップSW14に進む。判定が「Yes」となった場合、その時の重量値と変化率(減少率)は、記憶手段50Rに格納して記憶される(SW12)。
次のステップSW13では、第2の表示画面11Bで「計測結果:1300g。重量200g減っています」のように表示する。また同様な情報を音声報知手段90Vでも音声で報知する。
次に制御装置50は、誘導加熱調理器10に対して、赤外線信号送受信部35から赤外線信号によって、煮込み調理を緊急に停止することを求める指令信号を送信する(SW13)。これによって炊飯ユニット1による煮込み調理は停止する。
なお、ステップSW14で、沸騰工程(図46の区間B)を終えているかどうかを判定し、終えている場合には、次の低温加熱工程に移行する。
次に図46について説明する。図46は、炊飯ユニット1の煮込み調理における制御パターンの説明図である。縦軸は内釜3の温度を示し、横軸は、煮込み調理開始からの経過時間を示している。内釜3の温度は、内釜温度検出手段5で計測されたものである。
図46から分かるように、区間Aでは、加熱コイル14は最大火力で加熱され、内釜3の温度は100℃まで一気に上昇する。
内釜3の温度が100℃になったことを内釜温度検出手段5で検出すると、この温度データは、誘導加熱調理器10に対して、赤外線信号送受信部35から赤外線信号で送信される。
誘導加熱調理器10は、インバーター回路73の火力を下げ、ある時間(TY)だけその状態を維持するように制御する。なお、実際には常に100℃である必要はなく、98℃以上維持されるようになれば良い。
図45のステップSW14で、沸騰工程(図45の区間B)を終えていると判定された時点で、図46の低温加熱工程のステップSW15に進む。
区間Cは、誘導加熱調理器10では、インバーター回路73を停止し、全く誘導加熱しない。そして内釜3が自然に冷えて85℃になることを炊飯ユニット1の内釜温度検出手段5が検出するまで待機する。
内釜3が自然に冷えて85℃になったことが内釜温度検出手段5で検知されると、その温度検出データを示す赤外線信号を受けて、誘導加熱調理器10では、インバーター回路73を駆動し、内釜3を加熱する。そして80℃~85℃のあたりに維持する。
図46に示すように、区間Dは誘導加熱し、区間Eは自然放熱、その後の区間Nは再び誘導加熱というように、数回以上の断続的加熱を繰り返し、煮物の具材に煮汁や調味液等が浸透して美味しくなるようにしている。なお、このような区間D、Eのように通電と非通電を繰り返す方法ではなく、通電率を下げて単位時間あたりの加熱量を減らすという方法もあるが、この実施の形態7では、加熱を断続的(間欠的)に行うことで、内釜3の内部の調理液に対流を発生させるということを期待している。
低温加熱工程の長さは、一定ではなく、煮物の種類や量によって変化する。じっくりと肉や野菜を煮て、煮汁等を内部に浸透させるため、数時間以上の場合もある。
そして最後は、加熱コイル14による誘導加熱を停止し、自然に冷えるまで待つ。
図46では、最終的に70℃程度まで温度が下がった時点を煮物調理の完了としており、この時点で、炊飯ユニット1の報知手段90と、誘導加熱調理器10の報知手段90によって、それぞれ調理終了の報知が行われる。
図46に示しているP1~P4は、前述したように、重量計測手段94に対して炊飯ユニット1が計測指令信号を出し、炊飯ユニット1の重量を計測するタイミング(計測時期)である。区間Bと、加熱コイル14での加熱を一時的に停止(休止)している区間E及び自然放熱の区間Xに、それぞれ1回ずつ設定してある。
この内、仮に煮込み工程の区間Bにおいて、計測時期P2の時点でステップSW11のように、大きく重量が減少したことが検知された場合、考えられる原因は、沸騰が激しくて水分が過剰に蒸発してしまったこと、又は沸騰が激しくて内釜3から被調理液が溢れてしまったこと等が想定される。
なお、この煮込み調理では、区間Cに入った場合、例えば図45のステップSW14の段階で、蓋体1Bを開けても良いと音声報知することもでき、また蓋体開放センサー93が蓋体1Bの開放を検知しても区間C~区間Xではエラーとして処理しないので、内釜3の中からの水分蒸発量は増えることも想定される。
このような煮込み調理において、この実施の形態7では、煮汁や調味液が減少したことを重量計測手段94が所定の計測時期に把握し、過剰に減ってしまった場合には加熱動作を途中で自動停止することができる。このため、比較的長時間を要する煮込み調理に、使用者が常に傍で見守っていなくとも、安心して調理をすることができる。
また、この実施の形態7では、重量計測手段94が炊飯ユニット1の重量を自動計測するタイミング(計測時期)として、加熱コイル14による加熱の停止(休止)中を選んでいる。このため、このように加熱停止中には、内釜3の内部の被調理物の対流や沸騰による微振動等の影響もなく、静かな状態で計測でき、正確な重量測定が期待できる。
またこの実施の形態7では、蒸気排出器を利用して、内釜3内部へ注水できるようにしているので、例えば大体の目安で水を内釜3に入れた後、蓋体1Bを閉じた状態にし、その状態で蓋124を開けて、注水口129の上からコップ等で水を補充することができる。しかもその状態(蓋体1Bを開けたり、閉めたりしない)で、使用者が、計量指示キー128を押せば、その時点で重量計測手段94が重量を計測する。このため、この前に米の量を第2の操作入力手段12で有力しておけば、その米量に適合する水量を加味した総重量と、注水された結果の内釜3の総重量との差を、水量表示部129に表示された図形129Aで認識できる。
なお、図形129Aに加えて、あるいはそれに代えて、例えば不足している水量を示す数値を表示しても良い。
この実施の形態7では、煮込み調理で、区間C(図46参照)を終えた以降に、蓋体1Bが開けられた場合、又は前記計測指示スイッチ(第3の入力操作手段)18C、49が押された場合に、カロリー報知モードに移行する。なお、ご飯とは異なるので、同じ重量でもカロリー値は異なるが、調理の開始時点で、第2の入力操作手段12において、具体的な調理名を選択できるようにしているので、制御装置50は、調理物に応じたカロリー値の算出ができる。
なお、煮込み調理で、区間X(図46参照)を終えた以降に、蓋体1Bが開けられた場合、又は計測指示スイッチ(第3の入力操作手段)18C、49が押された場合に、カロリー報知モードに移行するように変更しても良い。また、調理メニューに応じて、区間C~区間Xの中の適当な時点を起点としてカロリー報知モードに移行するようにしても良い。
以上の通り、この実施の形態7では、炊飯開始前の水量の調節の利便性を向上させている構成を備えている。
さらに、煮込み工程の場合だけについて炊飯ユニット1による重量変化の検出効果を説明したが、蓋体1Bを開けたまま比較的長時間加熱する工程が必要な「おかゆ」や、同様に内釜3内の水を加熱して連続的な蒸気発生を必要とする「蒸し」調理に適用しても同様な効果が期待できる。
実施の形態8.
図47~図49は、本発明の実施の形態8に関するものである。図47は、加熱調理装置の炊飯ユニットのカロリー報知モードの動作を示すフローチャート1である。図48は、図47に示した動作の続きを示すカロリー報知モードのフローチャート2である。図49は、誘導加熱調理器と炊飯ユニットの相互の運転関係を示すタイムチャートである。なお、実施の形態1~7と同一又は相当部分には、同一の符号を付し、重複した説明を省略している。
この実施の形態8における加熱調理装置100は、カロリー報知モードの動作を更に改良したものである。
図47に示す誘導加熱調理器100は、誘導加熱コイル14を備えた炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10とから構成されており、その炊飯ユニット1は、誘導加熱調理器10の上に載置した状態で誘導加熱コイル14によって加熱する第1の使用形態と、前記誘導加熱調理器と分離させた第2の使用形態とを選択できるものであり、この点は実施の形態1と同じである。
前記炊飯ユニット1は、制御装置50と、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、前記炊飯ユニット1の重量を計測することを指示する第3の入力操作手段18C、49と、前記第3の入力操作手段の入力によって、誘導加熱調理器10側に重量計測指令を与え、誘導加熱調理器10側の重量計測手段94によって計測された炊飯物の重量データを、誘導加熱調理器10側から受信し、その重量データに応じたカロリー値に変換する演算処理手段50Cと、前記演算処理手段50Cの計算結果をカロリー値で報知する報知手段90と、をそれぞれ備えている。
前記制御装置50は、むらし工程の完了前には前記第3の入力操作手段の入力を無効にし、むらし工程の完了後に自動的に有効にする。
なお、ここでいう「入力を無効」とは、入力を示す信号を制御装置50が受信することを拒否、禁止している場合と、受信したが、表示や報知手段等のための最終的な出力を、制御装置50が出さない場合、の両方を指している。
前記制御装置50は、むらし工程の完了後には、図47のステップSL1以降を行うような制御プログラムを有している。
まず、ステップSL1では、むらし工程を完了したかどうかの判断を行う。なお、むらし工程の時間は数分程度なので、むらし工程ではなく、炊飯工程の完了を判定しても良い。
ステップSL1の段階では、炊飯ユニット1は、給電装置6の電力で運転されている。炊飯ユニット1側の基準位置判定手段33Aと、誘導加熱調理器10側の基準位置判定手段33Bとの間では、一定の時間間隔で赤外線信号を交信させているが、炊飯ユニット1を使用者が持ち上げて他の場所に移動させていない場合には、当該赤外線信号が炊飯ユニット1側で受信できるので、制御装置50は、前記した第1の使用形態にある判定する(ステップSL2)。
なお、実施の形態1で説明した、磁気的手段を利用した基準位置判定手段47を更に設けても良い。つまり、実施の形態1では、誘導加熱調理器10側にリードスイッチを設け、炊飯ユニット側に永久磁石を設置したが、これと反対にして、炊飯ユニット側にリードスイッチを設け、このリードスイッチのON・OFFを、制御装置50が検知できるようにすれば、炊飯ユニット1側において誘導加熱調理器10と分離したことが即時検知できる。
このステップSL2の段階で、この実施の形態8では制御装置50が「カロリー報知モード」に自動的に移行する。つまり、この「カロリー報知モード」への移行には、使用者が入力キー等を操作する必要がない。
制御装置50は、まず、報知手段90によってカロリー報知モードに入ったことを音声で報知する(これに加えて、第1の表示画面11Aや第2の表示画面11Bにおいて、文字や図形等で表示しても良い)(ステップSL3)。なお、破線BL3は、カロリー報知モードの開始時点を示すものである。
そしてこの時点で、人感知センサー48を起動させる(SL4)。次に、重量センサー4を備えた重量計測手段94は、内釜3の中にある「炊飯されたご飯」の重量を計測する(SL5)。この場合、まだ蓋体1Bを開く前であり、炊飯されてから使用者が内釜3の中にある、ご飯を少しも取り出していないので、次回以降の計測値と比較する基準値となる重要なデータである。
この1回目の計測重量は、記憶手段50Rの中の一時的記憶部に記憶される(SL6)。このときの計測された重量をWT1とする。
次に制御装置50は、蓋体1Bが開放されているかどうかをチェックする(SL7)。もし、蓋体1Bが開放されていない場合には、一定の時間(例えば、後述するステップSE3の60分間)を経過するまで、この図47のステップSL13と、SL14の処理が順次繰り返し行われる。
次のステップSL8において、使用者がカロリーの報知を求めているかどうかを判断するため、「非接触入力手段」(人感知センサー48)によって、入力が行われたかどうかを判定する。なお、このステップSL8の時点で、第3の入力操作手段の1つであるカロリー計算キー18C、又はカロリー報知スイッチ49を再度押しても良い。その押した瞬間で、重量計測手段94が、炊飯ユニット1の総重量を計測する(SL9)。
内釜3の中にある炊飯されたご飯を、しゃもじ等で茶碗やお皿に盛りつける場合、1回の動作でご飯を取り出す場合と、2回以上しゃもじ等を入れて取り出す場合がある。
通常は片方の手でしゃもじを持ち、他方の手で茶碗やお皿を持ってご飯を盛り付ける動作をするため、両方の手がふさがっている状態である。そのため、一旦、茶碗やしゃもじを置いて、上記したような「重量計測」の押しボタンスイッチ等を操作することが現実的ではなく、このような方法では操作性を損なう。
そこで、実施の形態1でも説明したように、この実施の形態8においては、片方の手でしゃもじを持ち、他方の手で茶碗やお皿を持ってご飯を盛り付ける動作をしている途中でも、簡単に重量計測の指令を発信することができるように工夫をしている。
具体的には、前記人感知センサー48の上方に、例えば、しゃもじを持っている片方の手をかざすか、またはそのしゃもじをかざすことで、前記人感知センサー48(非接触入力手段)の入力が行われる。
つまり、前記ステップSL8の時点で、カロリー計算キー18Cやカロリー報知スイッチ49を再度押する必要はない。
以上の説明から明らかなように、非接触入力手段である人感知センサー48で入力が行われた場合、ステップSL8は「Yes」となり、次のステップSL9で再びご飯の重量が計測される。つまり、この時点で制御装置50は、誘導加熱調理器10側に対し、赤外線信号送受信部35を介して重量計測指令信号とカロリー報知指令信号を送信する。
重量計測手段94で、2回目に計測された重量をWT2とする。この2回目の計測重量は、誘導加熱調理器10側から赤外線信号送受信部34を経由して送信されてくるので、制御装置50は、記憶手段50Rの中の一時的記憶部に記憶させる。
次に、直近の2回の重量計測結果の差異を計算する(SL10)。この計算は、重量計測手段94で行うのではなく、制御装置50によって行う。前記したように、2回の計測で計測された重量は、WT1とWT2であるため、WT1からWT2を引けば、この2回の計測の間で減少した重量WXが算出される。
カロリー計算部50Cは、重量WXのデータを受け取り、この重量WXに換算値を乗じてカロリー値を算出する(SL10)。
算出されたカロリー値は、カロリー記憶部50Dに記憶される(SL11)。この記憶は、算出時間の順に順次蓄積し、そのカロリー値のデータは継続して記憶される。
そして算出されたカロリー値は、第2の表示画面11Bに表示されるが、蓋体1Bを閉じた直後に確認できるように、第1の表示画面11Aにも表示して良い。また、音声報知手段90Vによって「ただいまのご飯のカロリーは、252キロカロリーです」のように音声で報知する(SL12)。なお、制御装置50は、蓋体開放センサー93によって蓋体1Bが開放されたか、閉じられたかどうかを検知できるので、算出されたカロリー値を、第2の表示画面11Bに表示せず、第1の表示画面11Aによる表示と、音声報知だけ行うようにしても良い。さらには、音声報知だけ行うようにしても良い。
次にステップSL13に進む。このステップは、制御装置50が前記した「第2の使用形態」になったと判定(ステップSL2)した時点からの経過時間が、「第1の食事時間」になったかどうかを判定するものである。この「第1の食事時間」は、例えば59分である。なお、ステップSL2の時点からの経過時間ではなく、蓋体1Bを最初に開いた時点からの経過時間でも良い。
このステップSL13が「No」の場合には、ステップSL13に進む。「Yes」の場合は、ステップSF1に進む。ステップSF1については、次の図48で説明する。
ステップSL14は、内釜温度検出手段5によって検出された内釜3の温度から、その内側にあるご飯の温度を推定するものである。内釜3の温度は、むらし工程終了直後は100℃を少し超えているが、時間経過とともに自然放熱により徐々に温度は下がる。
使用者が、むらし工程の終了後に自動的に保温工程に移行するように設定していた場合、又はステップSL13の前の段階で切/保温スイッチ66を押した場合には、ステップSL14は無くなるので、図46に破線で示すように、ステップSL7に戻る。
内釜温度検出手段5によって検出された内釜3の温度が「第1ご飯温度」であるかどうかを判定する。ここでいう「第1ご飯温度」とは、例えば71℃であるが、この発明はこの温度だけに限定されるものではない。
前記ステップSL14が「Yes」の場合には、ステップSF2に進む。ステップSF2については、次の図48の説明の際に説明する。
前記ステップSL14が「No」の場合には、ステップSL7に戻り、蓋体1Bが開放されているかどうかをチェックする。
もし、蓋体1Bが開放されていない場合には、この図47のステップSL13、SL14、順次繰り返し行われる。
制御装置50が前記した「第2の使用形態」になったと判定(ステップSL2)した時点からの経過時間が、ステップSL13で「第1の食事時間」になったと判定された場合、ステップSL13からSF1に進む。
次に図48について説明する。
図48において、ステップSF1は、カロリー報知モードを、まもなく終了するとの予告を報知手段90において行うものである。そして次のステップSF3に進む。
ステップSF3は、制御装置50が前記した「第1の使用形態」であると判定(ステップSL2)した時点からの経過時間が「第2の食事時間」になったと判定するものである。この実施の形態8では、この「第2の食事時間」は、例えば60分である。この発明はこの時間だけに限定されるものではなく、適宜変更しても良い。また使用者がこの時間を最初から設定できるようにしても良い。
前記ステップSF3が「Yes」の場合には、ステップSF4に進む。ステップSF4では、制御装置50によってカロリー報知モードを終了する。そして、ステップSF5に進む。制御装置50は、表示手段11に対する給電手段6からの電力供給を停止する。
ステップSL14が、「第1ご飯温度」になったと判定した場合、ステップSF2に進む。ステップSF2では、カロリー報知モードを、まもなく終了するとの予告を報知手段90において行うものである。そして次のステップSF6に進む。
ステップSF6では、内釜3の検出温度が「第2ご飯温度」になったかどうかの判定が行われる。この実施の形態8では、「第2ご飯温度」は、例えば70℃である。この発明はこの温度だけに限定されるものではない。また、ご飯の温度は、炊飯ユニット1が置かれる部屋の気温にも影響受けるので、季節や気温の情報を反映させて、前記した「第1ご飯温度」、「第2ご飯温度」を修正するようにしても良い。
制御装置50が前記した「第2ご飯温度」になったと判定(ステップSF6)した場合、ステップSF7に移行する。
ステップSF7では、報知手段90によってカロリー報知モードを終了する旨の報知を行う。そして、ステップSF8に進み、制御装置50は、表示手段11に対する給電手段6からの電力供給を停止する。
図48において、CBは、カロリー報知モードの運転期間を制限するカロリー報知モードの規制手段となる処理ステップである。つまり、破線で示した枠の中にあるステップSF3とSF6の2つが、カロリー報知モードの規制手段となる処理ステップである。
次に図49について説明する。
図49は、誘導加熱調理器と炊飯ユニットの相互の運転関係を示すタイムチャートである。
誘導加熱調理器10の上に炊飯ユニット1が載置されている状態で、誘導加熱調理器10の主電源が投入され、炊飯ユニット1が、誘導加熱調理器10の加熱コイル14によって炊飯工程、保温工程を実行した様子を示している。なお、実施の形態1の図9に示した予熱工程は省略している。
図49から明らかなように、炊飯ユニット1が載置されている状態(第1の使用形態)では、第1の入力操作手段20は、使用できないように入力無効化の処理が主制御装置80によって行われている。
そして、炊飯ユニット1が載置状態を解消し、第2の使用形態に移行した時点から、第1の入力操作手段20は、使用できるように入力無効化の解除処理が主制御装置80によって行われる。
図49では、第1の使用形態において炊飯ユニット1においてご飯の重量計測とカロリー報知動作を行わせている。これは、重量計測手段94が炊飯ユニット1側にはないため、炊飯ユニット1単体では、ご飯の重量計測ができないためである。
炊飯ユニット1においては、第1の使用形態の期間中、蓋体加熱手段9Aと、内釜側面加熱手段9Bに給電コイル6から電力を供給して保温工程の加熱を行っている。当該給電コイル6に対しては、誘導加熱調理器10側にある送電コイル17から非接触給電により電力が供給されている。
図49に示しているように、カロリー報知モードは、第1の使用形態の期間中で、しかも、むらし工程以降だけに制限されている。
図49では、第2の使用形態に変化した以降で、「給電手段自己電力」と示されているが、これは、誘導加熱調理器10側の送電コイル17からの非接触給電が停止した以降、給電手段6は自己に蓄えた電力の供給を制御装置50等へ開始するという意味である。
また、第2の使用形態に変化した以降においても、炊飯ユニット1単独でご飯の重量を計測してカロリーを報知させるようにするには、炊飯ユニット1側に重量計測手段94に相当する重量計測手段を設ければ良い。そして、第1の使用形態から第2の使用形態に変化した時点で、炊飯ユニット1側の重量計測手段を制御装置50が直接制御するように構成すれば良い。
図47で説明したように、この実施の形態8では、制御装置50が「カロリー報知モード」に自動的に移行する時点が、むらし工程終了の直後の、ステップSL2の時点であった。そのため、むらし工程終了直後に直ぐに「カロリー報知モード」に自動的に移行した。しかし、ステップSL2の段階ではなく、炊飯工程の完了からある時間(例えば10分間)経過時点でも良い。その10分間の間にむらし工程は終えている。
第2の使用形態の期間中は、蓋体加熱手段9Aと、内釜側面加熱手段9Bには給電コイル6から電力を供給していない。これは、給電コイル6の電源容量の制限があり、保温のための加熱用電力を供給すると、給電コイル6の給電時間が短くなってしまうからである。
なお、第1の使用形態に復帰させると、給電コイル6は、誘導加熱調理器10の送電コイル17からの非接触給電を受ける受電コイル7により、連続して電力を受けることができるので、保温用電力を最大限投入できる。
この実施の形態8の加熱調理装置100は、必ず炊飯ユニット1を第1の使用形態に復帰させて保温を行うということを条件にしているものではない。
この実施の形態8の加熱調理装置100では、炊飯ユニット1のカロリー報知モードでの連続運転を一定の範囲に制限するため、制御装置50が前記した「第2の使用形態」になったと判定(ステップSL2)した時点からの経過時間が、「第1の食事時間」になったかどうかを判定し、カロリー報知モードの終了を予告報知し、その後で、カロリー報知モードを自動的に終了させている。
このため、炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上に載置されたままの状態(第1の使用形態)であっても、長時間に亘り蓋体1Bを開けて、内釜3の内部のご飯の温度を下げてしまうことがないように使用者、居住者に注意喚起することができる。
以上の説明から明らかなように、実施の形態8において開示した加熱調理装置100は、以下の構成である。
すなわち、
加熱コイル14と、当該加熱コイル14の加熱条件を入力する第1の入力操作手段20と、第1の通信部としての赤外線通信部34と、前記炊飯ユニット1の重量を計測する重量計測手段94と、主制御装置80とを備えた誘導加熱調理器10と、
被炊飯物を収容し前記加熱コイル14によって加熱される内釜3と、炊飯条件を入力する第2の入力操作手段とを備えた炊飯ユニット1と、を備え、
前記炊飯ユニット1は、前記誘導加熱調理器10の上に載置した状態で前記加熱コイル14によって加熱する第1の使用形態と、前記誘導加熱調理器10と分離させた第2の使用形態とを選択できるものであり、
前記炊飯ユニット1には、炊飯工程の完了後において、前記内釜3から炊飯物を取り出すことによって変化する前記炊飯ユニット1の重量変化から、ご飯の重量に対応するカロリーを計算するカロリー計算部50Cと、前記カロリー計算部の演算結果をカロリーで表示する表示手段(第1の表示画面11A、第2の表示画面11Bが相当する)と、を備え、
前記炊飯ユニット1には、炊飯工程又はむらし工程の完了後において「カロリー報知モード」に切り替えた場合、当該カロリー報知モードでの運転期間を制限する「カロリー報知モードの規制手段」を備えていることを特徴とする加熱調理装置である。
この構成であるから、この実施の形態8においては、カロリー報知モードで過剰な使用を抑制し、炊飯後のご飯が過剰に温度低下したり、適当な水分が失われたりしないように防止できる。
また、カロリー報知モードを終了する場合に、図48に示したステップSF1、SF2のような事前報知を行えば、使用者への注意喚起となる。
さらに前記炊飯ユニット1には、炊飯されたご飯の重量を計測することを指示する第3の入力操作手段として、カロリー計算キー18Cと、カロリー報知スイッチ49を有しているが、これらの第3の入力操作手段は、むらし工程の完了前には入力を無効にし、むらし工程の完了後に自動的に有効にしている。
この構成であるから、この実施の形態8においては、前記炊飯ユニット1が誘導加熱調理器10の上に載置されている場合も、また誘導加熱調理器10から分離させた場合においても、カロリー報知やカロリー計算を実行する事態は発生しない。そのため、無用なカロリー計算や音声報知等の動作を防止でき、使用者の混乱を招くこともない。
なお、実施の形態8では、「カロリー報知モード」に切り替える方法として、炊飯ユニット1が、炊飯工程又はむらし工程の完了後において前記第1の使用形態から第2の使用形態に変化させた時点(ステップSL2)を制御装置50によって検知させ、この時点を起点として、ある期間中だけにカロリー報知モードでの運転を制限する「カロリー報知モードの規制手段」の動作フローチャートをスタートさせたため、使用者が特別に入力キー操作をしなくても、炊飯ユニット1を希望の場所へ移動させるという動作を行うことで「カロリー報知モード」に自動的に移行でき、使用者の操作を軽減していた。
しかしながら、本発明はこれに限定されず、使用者が第2の操作入力部12に用意された入力キーを操作したり、音声入力によってカロリー報知モードに移行することを指示したりする構成であっても良い。
なお、実施の形態9では、前記カロリー計算部の演算結果をカロリーで表示する表示手段として第1の表示画面11Aと、第2の表示画面11Bを設けたが、必ずしもこれら2つを設ける必要はない。
また、カロリー報知モードの運転期間を制限するカロリー報知モードの規制手段は、「第2の使用形態」になったと判定した時点からの経過時間条件と、時間経過と共にご飯の温度が下がることに着目してそのご飯の温度が下がり過ぎないことを目的とした温度条件と、の2つの基準で設定したが、この2つの何れか1つだけで実施しても良い。
また、実施の形態8では、炊飯ユニット1には、前記誘導加熱調理器10に載置されて誘導加熱されるときに当該誘導加熱調理器10の送電コイル17を介して(非接触給電方式で)供給される電力を蓄積する給電手段6を有しており、この給電手段6の電力で炊飯ユニット1の運転を維持していたが、この構成に限定される必要はなく、独自の蓄電池等を設けるようにしても良い。
実施の形態9.
実施の形態9の加熱調理装置は、図50~図53に示している。
図50は、本発明の実施の形態9に係る加熱調理装置の、誘導加熱調理器を上面側から見た平面図である。図51は、図50のX1-X1線における縦断面図である。図52は、図50のY1-Y1線における縦断面図である。図53は、図50に示した加熱調理装置の、炊飯ユニットの制御関係の構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1~8と重複するものについては説明を省略する場合があり、また実施の形態1~8と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付している。
この実施の形態9における誘導加熱調理器10は、家庭用の電源に接続できる電源プラグ101を一端部に備えた電源コード102を有しているので、この誘導加熱調理器10単体で使用できる。これに対し、炊飯ユニット1は、誘導加熱調理器10を起動し、その誘導加熱調理部10に内蔵された加熱コイル14から、非接触給電方式で電力を受けて動作する。そのために、非接触給電方式で電力を受ける給電手段6を備えている。ここまでの構成は、実施の形態1と同じであるが、前記給電コイル6からの給電に代えて、外部から直接電源部に給電ができるようにしていることがこの実施の形態9の1つの特徴である。詳しくは後で説明する。
実施の形態9に係る加熱調理装置100は、特に炊飯ユニット1を載せる誘導加熱調理器10の機械的強度を増強し、炊飯ユニット1を安定的に載置できるように工夫したものである。
図50に示すように、誘導加熱調理器10の左右中心線上に、中心部が位置するように平面形状が円形の加熱コイル14が配置されている。
冷却ファン13は、誘導加熱調理器10の中心点から見て、前方寄りで少し右方向の位置にある。この冷却ファン13は、真下の位置に吸気口131(図51参照)を配置し、その吸気口から冷たい空気を吸い込んで、第1の送風路SH1の内部へ冷却風として供給する。なお、吸気口131は、細長いスリット状の孔を並べた形態又は小径の孔を多数並べて構成している。
誘導加熱調理器10の外殻を構成する本体ケース132は、熱可塑性プラスチックで全体が形成されている。
本体ケース132は、上蓋132Aと、上面全体が開口した平坦な容器状の下ケース132Bの、2つの部品を上下に重ね、ネジ等で結合することで形成されている。この本体ケース132のようなプラスチック部品は、一般的に射出成形機を使用して製造される。ペレットと呼ばれる粒状のプラスチック材料を少しでも少なくして射出成形すれば、完成した上蓋132Aと下ケース132Bの重量が軽くなり、またコスト的にも安くできる。しかし、材料を少なくするとその分、薄肉になり、強度的に弱くなる。
そこで、この実施の形態9では、下ケース132Bから一体に形成されて上方向に突出する支柱133を、全部で4個所に分散して配置している。荷重を受ける上下方向に向けて支柱133を形成することで補強効果が期待できる。
133R1と133L1は、第1の入力操作手段20に近い位置にある前方の支柱である。133R2と133L2は、加熱コイル14の右側と左側方向に、加熱コイル14から5~10cm程度離れて設置された後方の支柱である。
前方の支柱133R1、133L1は、横断面形状が真円であるが、後方の支柱133R2、133L2は、図50に破線で示すように、前後方向に長く、表面が滑らかな曲面で構成された長円形状をしている。このような形状は、冷却ファン13の冷却風の流れをできるだけ妨げないようにするためである。
前方の支柱133R1、133L1は、第1の入力操作手段20において、使用者がタッチ入力する場合に、上から指で上蓋132Aの表面を覆う表面板(図示せず)を押し下げる動作が頻繁に行われるから、その際の力を分散して受けるように配置している。つまり、第1の入力操作手段20の部分は、特に上からの荷重を受けることを考慮して補強用の支柱133R1、133L1を配置した。
加熱コイル14の右側と左側に形成した2本の支柱133R2、133L2は、米と水を入れた内釜3や、水と食材を入れた鍋等の被加熱物が上蓋132Aの中央部に大きく形成した開口132Hの真上に置かれるので、その荷重を分散して受けるように設置している。
この実施の形態9では、加熱コイル14の真上の位置に、炊飯ユニット1の内釜3等が載置される。このため、加熱コイル14の真上の位置にあるトッププレート22が荷重を受けると、その真下にある上蓋132Aの開口132Hの口縁部が下方へ押し下げられる力が働く。
そこで、この実施の形態では、加熱コイル14の位置右側と左側に、それぞれ支柱133R2、133L2を配置しているため、上蓋132Aの開口132Hの口縁部が、支柱133R2、133L2で下方から支持され、上蓋132Bの湾曲等が防止できる。
134は、下ケース132Bの底面と一体に形成した仕切り壁である。この仕切り壁134は、前方側にあって冷却ファン13の前方側を横切っている前方円弧部134Cと、この前方円弧部134Cの後方端面に連続して後方に直線状に伸びた右側部134Rと、同じくこの前方円弧部134Cの後方端面に連続して後方に直線状に伸びた左側部134Lと、から構成されている。
図50と図51に示しているように、この実施の形態9では、赤外線信号送受信部34には、赤外線信号送信部34Sと赤外線信号受信部34Rの2つを備えている。赤外線信号送信部34Sと赤外線信号受信部34Rの双方の信号を、1つの通信制御部34Cで解析・処理し、その送受信データ解析結果を主制御装置80に対し出力する。
前記赤外線信号送信部(赤外線発光素子)34Sと、赤外線信号受信部(赤外線受光素子)34Rは、1つの支持基板135の上に取り付けられている。この支持基板135には、前記通信制御部34Cも設置してある。
支持基板135は、図51に示しているように、前記仕切り壁134の最上面に水平に固定されている。
図50と図51において、17は、外形形状が環状を呈している送電コイルである。
図50から明らかなように、第1の送風路SH1の中において、最も冷却ファン13に近い位置にあるのは、赤外線信号送受信部34(34R、34S)である。
送電コイル17は、第1の送風路SH1の中において加熱コイル14よりも冷却風の流れで上流側にあり、かつその加熱コイル14とは直線距離で10cm程度離れている。
この位置関係のため、送電コイル17は、加熱コイル14を冷却した後の温かい空気に触れることもなく、また加熱コイル14が発する強い交番磁界によって誘導加熱されることもない。
31は、磁力を受けて電気的接点を閉じるリードスイッチ(磁気形近接スイッチ)である。この種のリードスイッチの代表的な構成は、2枚のニッケル合金(磁性体)リードの一部をオーバーラップさせ、ガラス管に封入したものであり、オーバーラップ部分は金、銀等の接点処理が施されている。また接点の活性化を防ぐためにガラス管内に不活性ガスが封入されている。なお、炊飯部1の底部には、前記リードスイッチを閉じるように磁力を発する永久磁石136(図52参照)が設置されている。
さらに図50と図51について説明する。
誘導加熱調理器10は、その内部空間に、冷却ファン13と、円盤状に形成された加熱コイル14と、送電コイル17と、第1の送風路SH1と第2の送風路SH2を形成する仕切り壁134と、制御装置80と、第1の入力操作手段20と、赤外線信号送受信部34と、を備えている。
前記加熱コイル14は、耐熱性プラスチック等で形成されたコイルベースと呼ばれる支持枠136の上に設置されている。支持枠136は、通気性を増大させるため開口面積の大きな貫通孔136Aが多数形成されている。
誘導加熱調理部10は、その外殻を構成する本体ケース132が、有底の箱形形状の下ケース132Bと、この下ケースの上面全体を覆うような上蓋132Aによって構成されている。
下ケース132Bと上蓋132Aは、プラスッチックの一体成形(射出成形方法)で形成されている。そのため、材料は熱可塑性のプラスチックである。なお、下ケース132Bと上蓋132Aは、平面視で見た場合、完全に重なり合うような形状である。言い換えると上下に投影した場合の投影面積は同じである。また、上蓋132Aの方が下ケース132Bよりも高温環境で使用されるので、下ケース132Bよりも耐熱性の高い材料が選定されている。
下ケース132Bに対して上蓋132Aは、ネジ(図示せず)等の固定手段によって確実に固定されている。
22は、上蓋132Aの中央部に形成した円形の大きな穴132Hを覆うトッププレートであり、耐熱性の高い結晶化ガラスやプラスチック材料、例えばPET又はPPSから形成されている。このトッププレート22の真上に内釜3の底部が接触又は近接するように配置されている。
前記トッププレート22は、前記加熱コイル14の最大外径寸法よりも大きな直径を有している。
図51に示した水平線PL1は、誘導加熱調理器10の外観上で上蓋132Aと下ケース132Bとの境界が認識できるところを示している。誘導加熱調理器10の外殻となる本体ケース132を製造する際に、下ケース132Bと上蓋132Aが重ね合わされる水平位置である。以下、PL1は、「分離線1」と呼ぶ。
137は、前記上蓋132Aの下面に2個所に一体に形成した凸部であり、2本の支柱133R1、133L1の真上に位置している。
誘導加熱調理器10の本体ケース132を製造する際に、下ケース132Bと上蓋132Aを重ね合わせた場合、2つの支柱133R1、133L1と凸部73とは、接触又は微小間隙をおいて向かい合った状態になる。このため、上蓋132Aの上面に加わった荷重は、前記支柱133R1、133L1によって支えることが期待できる。
なお、支柱133R1、133L1と凸部137とは、図51に示すように直接接触する以外に、両者の間にクッション材等の介在物(固体に限らず、例えば、シリコンゴム製シール材のように、半分液体のように柔らかくなっている物でも良い)を挟んで間接的に接触させることでも良い。例えば、クッション材等が断熱性の高い材料であれば、上蓋132Aの凸部137側から支柱133R1、133L1側への熱伝導も少なくなり、下ケース132Bの温度を低く抑えることが期待できる。
前記仕切り壁134は、下ケース132Bと上蓋132Aで囲まれた空間の中を、図50と図51で示しているように、前後2つの空間に仕切るものである。言い換えると、誘導加熱調理器10の本体ケース132の内部空間を、2つの空間に仕切っている。なお、ここでいう「仕切る」とは、空気の移動を完全に遮断している気密性の高い状態をいうのではなく、冷却ファン13による冷却風の流れを積極的に漏洩させるような空隙や開口を設けていない状態をいう。
誘導加熱調理器10の内部を冷却する冷却ファン13は、下ケース132Bの前方側底壁面に形成した円形の吸気口131の真上に接近して配置されている。冷却ファン13は、例えば軸流型の送風ファンが使用されている。
13Mは、吸気口131の真上に設置したファンモータであり、これにより冷却ファン13が回転駆動される。前記ファンモータ13Mは、前記吸気口131の上方を跨ぐように前記下ケース132Bに一体成形された、縦断面形状が逆U字形状の支持脚を備えた円形のファンケース13Cの上面に固定されている。その支持脚は、1本又は2本あり、その周囲には通気性を阻害しないように大きな空間が確保されている。
138は、前記加熱コイル14に対して高周波電力を供給するインバーター回路73を実装した加熱回路基板であり、半導体電力制御素子、スイッチング素子等の各種電気部品が実装されている。なお、それら各種電気部品の内、IGBT等の半導体電力制御素子は、その制御動作中に発生する熱を逃がすために、アルミニウム製の放熱フィン(又は「ヒートシンク」という)139に装着されている。140は、この加熱回路基板139を支持する支持凸部であり、下ケース132Bの底面上に複数個一体成形により設置されている。
141は、前記放熱フィン139の真上に水平に設置されている電気絶縁性のシート又は薄い板であり、前記加熱コイル14と加熱回路基板138との間の前記絶縁性を高める目的で設置されている。この電気絶縁性シート又は板は、例えばPP又はPETなどのプラスチック材料から形成されている。図51に示すように水平に設置してあるのは、前記冷却ファン13から供給される冷却風の流れCF(図51参照)を妨げないようにするためである。
図51において、太い実線の矢印は、冷却ファン13から供給される冷却風の流れを示している。また太い破線の矢印は、冷却ファン13に(本体ケース132の外部から)導入される吸気流を示している。
142は、下ケース132Bの後部背面壁に形成した排気口である。前記冷却ファン13からの冷却風を排出するため、複数個並んで形成されている。
5Cは、前記トッププレート22の温度センサーであり、上蓋132Aの裏面(下面)に接触してその温度を計測する接触式の温度センサーとして、サーミスタ式温度検知素子が使用されている。
この温度センサー5Cの温度計測データは、温度検出回路143に信号線で送信され、その温度検出回路143で把握された温度の情報は、前記制御装置80に送信される。なお、サーミスタ(温度センサー)5Cは、図51に示すように平面形状が中空環状である加熱コイル14の、その中心部(中空部)を貫通するように設置されている。CL1は、前記加熱コイル14の垂直中心線を示しており、前記温度センサー5Cの垂直中心線とも一致している。
前記温度センサー5Cは、実施の形態1で説明した赤外線温度センサー5Bと同様な目的で使用される。赤外線温度センサー5Bは、炊飯ユニット1の内釜3の温度を赤外線で検知し、炊飯工程の把握や異常加熱の有無監視等に利用していたが、この実施の形態9の温度センサー5Cは、同様に炊飯ユニット1の内釜3の温度の影響を受けて温度上昇するトッププレート22の温度を検知し、炊飯工程の把握や異常加熱の有無監視等に利用する。
143は、前記温度センサーが計測した温度データが入力される温度検出回路であり、温度検出回路143と温度センサー5Cは、信号線144で接続されている。
前記制御装置80と、温度検出回路143は制御回路基板145の上に実装されている。146は、制御回路基板145を支持する支持凸部であり、下ケース132Bの底面上に複数個一体成形により設置されている。
仕切り壁134の前方側空間には、タッチ式入力部となる前記第1の入力操作手段20のタッチ操作を検知する検知部20S等の電気部品が収容されている。20Pは、前記タッチ式入力部の表面を構成する表面保護板である。
前記赤外線信号送受信部34からの赤外線信号を透過させるための専用の窓は、この実施の形態9では設けていない。赤外線信号は、上蓋132Aの中央部に大きく形成した正方形の開口132Hを通過させる構成である。
4は、前記本体ケース132の下面に固定されている重量計測手段94の重量センサーである。実施の形態1では、本体ケース10Aの底壁面10Bの上に重量センサー4が固定されていたが、この実施の形態9では、本体ケース132の下ケース132Bの下面に固定されている点で相違している。しかし、太い支柱状の脚部2の真上に、歪センサー(図示せず)が配置され、脚部2によって前記歪センサーを押す力、すなわち、誘導加熱調理器10の重量に応じて、歪センサーからの出力で重量を計測できるという原理は、実施の形態1のものと同じである。
次に、炊飯ユニット1について説明する。
炊飯ユニット1においても、前記赤外線信号受信部34Rと、赤外線信号送信部34Sの真上の位置に、赤外線信号送信部(赤外線発光素子)35Sと赤外線信号受信部(赤外線受光素子)35Rが、それぞれ設置されている。
147は、炊飯ユニット1の実質的な底壁面を構成する底枠149に形成した貫通孔形状の窓である。この窓は、赤外線信号送信部35Sと赤外線信号受信部35Rの真下の位置に対応している。この窓は、赤外線を透過させるプラスチックやガラス材料で覆われている。
炊飯ユニット1の箱型の本体1Aは、外殻を構成するプラスチック材料から一体に筒状に形成された上ケース148と、この上ケースの底面の開口部全体を覆うように、その上ケース148の下方に設けた耐熱性材料で形成された環状の底枠149とを備えている。
底枠149の下端部には、図51に示すように、底面から誘導加熱調理器10に向かって突き出す底面壁149Pが、底面の外縁部に沿って設けられている。底面壁149Pには、その底面壁149Pによって囲まれた内部空間と、外部空間とを連通させる壁面開口部149Hが形成されている。壁面開口部149は、切り欠きである。
前記底枠149は、前記上ケース148の底面を覆うように、ネジ(図示せず)でその上ケース148に結合されており、その下部が、前記誘導加熱調理器10に向かって突き出す底面壁149Pとなる。
底枠149の材料は、例えば、PET又はPAなどである。上ケース148の材料は、PP又はABSなどである。「PET」とは、ポリエチレンテレフタレートのことをいう。また「PA」はポリアミド、「PP」は、ポリプロピレンのことを意味する。
前記底枠149の中央部には円形の大きな貫通穴150が形成されている。153は、耐熱プラスチック材料から形成された底板であり、前記貫通穴150に緊密状態で嵌り合っており、その貫通穴150を密閉している。なお、底板の材料は、例えば、PET又はPAなどである。
前記底枠149と上ケース148の前後方向寸法は、図51から明らかなように略同一である。また、左右方向も略同一である。つまり、この上ケース148と、誘導加熱調理器10側の外殻寸法を決める本体ケース132の、それぞれの平面寸法も同等である。このため、炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10の上に載置した場合、第1の入力操作手段20の部分も含め、誘導加熱調理器10の上面全体が、炊飯ユニット1によって上方から覆い隠されることになる。第1の入力操作手段20の部分が覆われ、後部垂直部16は覆われなかった実施の形態1と、この点で大きく異なっている。
前記重量センサー4の計測結果を示す重量計測信号は、前記主制御装置80に入力され、主制御装置80から前記赤外線信号送受信部34によって、炊飯ユニット1の赤外線信号送受信部35に送信される。
赤外線信号送受信部35で受信した重量計測結果を示す重量データは、炊飯ユニット1の制御装置50に入力され、加熱プログラム(火力や通電時間等)を決めるために利用される。なお、炊飯のための加熱プログラムは、前記制御装置50から赤外線信号送受信部35経由で、誘導加熱調理器10に伝達され、主制御装置80がその加熱プログラムに従って、加熱コイル14や送電コイル17の通電を制御する。
前記重量センサー4は、炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10の上に載置している状態で、内釜3から取り出したご飯の重量も計測できる。言い換えると、食事の際に食器にご飯を盛り付けた場合や、しゃもじでお椀等にご飯を取り出した場合、その取り出したご飯の重量を計測できる。
このため、炊飯ユニット1から取り出したご飯の重量計測信号が、誘導加熱調理器10から、赤外線信号送受信部35経由で炊飯ユニット1に送信され、その送信データに基づいて炊飯ユニット1のカロリー計算部50Cによってご飯のカロリー値を計算できる。なお、カロリー計算は、制御装置50で行わせても良い。
誘導加熱調理器10の本体側表示部70Dは、炊飯ユニット1を載置している場合、それによって上方が覆われており、使用者には見えないので、カロリー算出結果は、誘導加熱調理器10では、表示しないし、報知もしない。但し、炊飯ユニット1を載置している場合でも、誘導加熱調理器10側において、カロリー計算結果を表示できるようにするためには、例えば、誘導加熱調理器10の表示画面の位置を変更し、炊飯ユニット1を載置した場合でも外部に露出する位置、例えば誘導加熱調理器10の前面や側面に表示画面を設ければ良い。
なお、前記炊飯ユニット1の制御装置50は、前記受電コイル17によって得た電力によって運転され、また第1の表示画面11Aも、前記受電コイル17によって得た電力が供給される給電手段6によって表示動作を行う。これは実施の形態1で説明した構成と同じである。なお、この実施の形態9では、第2の表示画面11Bは設けていない。従って、第3の入力手段18の各種操作キー18A~18Dは設けていない。
前記給電手段6に対して前記受電コイル17から電力が供給されるが、この供給は、誘導加熱調理部10の送電コイル17が制御装置50によって送電指令を受けている期間中だけである。もし、給電手段6の電力が不足する場合には、前記したように、外部から電源を供給できるように設けた汎用の接続端子151があるので、この接続端子に外部から電力を供給すれば良い。但し、この炊飯ユニット1は、このような外部電源での使用は例外的なものであるので、制御装置50によって、前記接続端子151を介しての電力供給は、連続して30分以内等の制限が設けてある。
このように給電手段6があるため、炊飯ユニット1から取り出したご飯のカロリー表示は、誘導加熱調理器10から炊飯ユニット1を分離させた場合も可能である。
第2の使用形態に変化すると、前記炊飯ユニット1に対しては、その移動前に計算されたカロリーデータは、誘導加熱調理部10から、無線通信部26を介して炊飯ユニット1の無線通信部56に直ぐに送信される。そのため、炊飯ユニット1を分離させても、その前に計測された結果を報知することができる。なお、カロリー計算結果は、制御装置50に付属している半導体記憶素子等の記憶手段によって時系列に記憶され、炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10へ戻した後、そのカロリー換算データは誘導加熱調理器10に移し変えることができる。
実施の形態9では、図51に示したように、底枠149から誘導加熱調理器10に向かって突き出す底面壁149Pが、底枠149の外縁部全体に沿って設けられている。底面壁149Pには、外部空間と連通させる壁面開口部149Hが形成されている。
前記壁面開口部149Hは、台形又は三角形等の切り欠きである。壁面開口部149Hは、底枠149の全周に沿って間隔をあけて複数個(例えば12個)形成されている。この壁面開口部149Hは、誘導加熱調理器10から分離させた炊飯ユニット1を、いわゆる御櫃として食卓に運びテーブル等に載置させた場合に、加熱された炊飯ユニット1の底面の熱を外部へ逃がす目的で形成されている。炊飯ユニット1を置いたテーブル等の上面が過度に加熱される事態を防止できる。
壁面開口部149Hは、空気の対流を形成するため、底枠149の前後左右において互いに対向するように形成することが望ましい。
次に図52について説明する。
図52は、炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10が重なった状態の左側部分の要部を示す縦断面図である。
図52において、31はリードスイッチであり、専用の取付板155の上に固定されている。取付板155は、前記仕切り壁134(湾曲部134C)の上面に固定されている。リードスイッチ31は、上蓋132Aの内側の最上部に配置している。
仕切り壁134の左側面と下ケース132Bとの間には、数mm~20mm程度の幅W2の空隙G2が確保されている。
さらに、冷却ファン13からの冷却風CF(図51参照)が通過する仕切り壁134の右側空間の上部には、リードスイッチ31が設置されているので、このリードスイッチ31の周辺にも冷却風CFが流れ、リードスイッチ31の雰囲気の温度も低く保たれる。
また永久磁石30も、内釜3の高熱を受けにくい位置に配置されているので、これらにより、永久磁石30の接近をリードスイッチ31が感知する動作を確実に行わせることができる。なお、炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10の真上に置いた場合に限り、前記永久磁石30がリードスイッチ31をONにする。
このような条件で、リードスイッチ31が閉じた場合(ON動作した場合)、それを主制御装置80が感知する。すると主制御装置80は、炊飯ユニット1が正規位置へ載置されていると判定し、炊飯ユニット1における炊飯動作の入力を許可する。つまり、リードスイッチ31がONとならない限り、炊飯ユニット1の第2の入力操作手段12の入力は無効にされ、制御装置50の炊飯動作は開始できない。
156は、この永久磁石30を底枠149の上面に固定する固定板であり、鉄やアルミニウムに比較して熱伝導性の低い材料、例えば耐熱性ゴムから形成されている。
前記永久磁石30は、有底円筒状の内釜3の周囲を、間隔を保って囲む熱遮蔽用の遮蔽板157から所定の距離W1だけ離して設置してある。これにより、永久磁石30が長期間の使用で繰り返し加熱されて劣化しないようにしている。
前記遮蔽板157は、実施の形態1で示した内側胴部25の底面を除去したものと同じである。言い換えると、遮蔽板157は前記永久磁石30に対して内釜3の熱を伝えにくくする役目においては、同じであり、遮蔽板157に代えて内側胴部25を設けても良い。
次に、図53について説明する。
この実施の形態9においても、前記炊飯ユニット1は、前記誘導加熱調理器10の上に載置した状態で前記誘導加熱コイル14によって加熱する第1の使用形態と、前記誘導加熱調理器10と分離させた第2の使用形態とを選択できるものである。
151は、炊飯ユニット1を第2の使用形態で使用する場合、外部から電源を供給できるように設けた汎用の接続端子である。152は、前記外部からの電源供給を受ける場合に、接続を切り替える切替回路である。
給電手段6に事前に蓄えた二次電池から電力が供給されて制御装置50が機能している期間中に、第2の操作入力手段12の特定の入力キーを押すと、制御装置50が切替回路152を切り替える処理をする。なお、外部から所定の電圧の電力を接続コード等で前記接続端子151に接続した場合、これを制御装置50が感知して、自動的に切替回路152を切り替えるようにしても良い。
以上の構成であるから、炊飯ユニット1を載置して炊飯動作を開始すると、冷却ファン13の運転により、吸気口131から、図51の太い破線の矢印で示すように外部の空気が吸引される。
誘導加熱調理器10に導入された吸気流は、その大半が誘導加熱コイル14側へ供給される。
図51の中に、太い実線の矢印で示しているように、冷却風の一部は加熱コイル14の下方を通過し、また冷却風の一部は加熱回路基板138の放熱フィン139の間を通過し、更に途中で分岐した冷却風の一部は、加熱回路基板138の真下の空隙を通過する。そして、これら冷却風は、下ケース132Bの後部に設けた排気口142から外部へ放出される。
以上の説明から明らかなように、この図50~図53に示した実施の形態9の加熱調理装置100は、以下の構成である。すなわち、
トッププレート22と、このトッププレート22の下方に配置された加熱コイル14と、当該加熱コイル14の加熱条件を入力する第1の入力操作手段20とを備えた箱型形状の誘導加熱調理器10と、
前記加熱コイル14によって加熱される内釜3と、炊飯条件を入力する第1入力操作手段12とを備えた炊飯ユニット1と、を備え、
前記炊飯ユニット1は、前記トッププレート20の上に置かれた状態において、前記加熱コイル14の駆動によって加熱されるものであり、
前記誘導加熱調理器10の内部には、前記加熱コイル14を冷却するための冷却風を供給する冷却ファン13と、当該誘導加熱調理器10と前記炊飯ユニット1との間で、炊飯のための制御情報を含んだ赤外線信号を伝達するための赤外線信号送受信部34と、をそれぞれ設け、
前記誘導加熱調理器10は、プラスチック製の上蓋132Aと、当該上蓋132Aと重なり合う大きさを有したプラスチック製の下ケース132Bとを上下に重ねて外殻が形成され、
前記上蓋132Aの上に前記トッププレート22が重ね合わせて固定され、
前記下ケース132Cの底部上面には、仕切り壁134を一体に形成し、当該仕切り壁134によって誘導加熱調理器10の内部に前記冷却ファン13の送風路が区画され、
前記赤外線信号送受信部34は、前記仕切り壁134によって支持されており、
さらに下ケース132Bと一体に上蓋132A側の荷重を受ける支柱133R1、133L1を垂直に設けていることを特徴とする構成である。
この構成により、実施の形態9に示した炊飯器では、仕切り壁134によって赤外線信号送受信部34が支持されるため、取付部品の点数を増やさずに赤外線信号送受信部34を設置できる。
また、下ケース132Bと一体に上蓋132A側の荷重を受ける支柱133R1、133L1を設けているため、誘導加熱調理器10の外殻となる本体ケース132の機械的強度が向上し、炊飯ユニット1を長期間に亘り安定的に支持でき、耐久性を向上させることが期待できる。
さらに、冷却ファン13からの冷却風CF(図51参照)が通過する仕切り壁134の内側空間の上部に、リードスイッチ31が設置されているので、このリードスイッチ31の周辺の雰囲気の温度も低く保たれる。なお、仕切り壁134は、後方に直線状に伸びた右側部134Rと左側部134Lの双方が必ずしも必要ではなく、例えば右側部134Rを設けず、本体ケース132の右側壁で代用させても良い。
また永久磁石30も、内釜3の高熱を受けにくい位置に配置されているので、これらにより、永久磁石の接近をリードスイッチ31が感知する動作を確実に行わせることができる。なお、炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10の真上に置いた場合に限り、前記永久磁石30がリードスイッチ31をONにするので、このリードスイッチ31のON動作を主制御装置80が感知し、炊飯ユニット1の正規位置への載置を検知し、炊飯ユニット1における炊飯動作の入力を許可する。つまり、リードスイッチ31がONとならない限り、炊飯ユニット1の第2の入力操作手段12の入力は無効にされ、炊飯ユニット1による不適切な載置状態での炊飯動作は開始できない。
実施の形態10.
実施の形態10の加熱調理装置は、図54~図58に示している。
図54は、本発明の実施の形態10に係る加熱調理装置の、誘導加熱調理器の前方部平面図である。図55は、図54の加熱調理装置の誘導加熱調理器における内部構成を示す制御ブロック図である。図56は、図54の誘導加熱調理器における重量計測とカロリー報知の動作を示すステップ説明図である。図57は、図54の加熱調理装置の誘導加熱調理器における主制御装置の制御動作を示すフローチャートである。図58は、図54の加熱調理装置の、炊飯ユニット1のカロリー報知モードにおける基本動作を示すフローチャートである。実施の形態1~9と重複するものについては説明を省略する場合があり、また実施の形態1~9と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付している。
この実施の形態10における加熱調理装置100は、炊飯ユニット1において2個所に表示手段(液晶表示画面や発光ダイオードによる数値表示部など)を設け、使用者が蓋体を開けた状態と閉めた状態の何れにおいても、カロリー値の表示を視認しやすいように工夫したことが1つの特徴である。
またもう1つの特徴は、誘導加熱調理器10側に、過去に計測又は演算によって算出した重量データやカロリーデータ等を記憶させ、これを適宜読み出せるようにしたものである。
図54は、実施の形態1の図6と同じく、誘導加熱調理器10における、前方部の平面図である。
第1の入力操作手段20には、複数の押圧式電子スイッチ41が横一列に一定の間隔で配置されている。実施の形態1で説明したように、前記電子スイッチ41の中の、電子スイッチ41W、41Cは、第4の入力操作手段84の一部である。
表示手段(本体側表示部)70Dを構成するものとして、液晶表示画面70D1と、LEDによる表示部70D2とを備えている。
170Uと170Dは、第1の入力操作手段20が起動されている期間中に、前記液晶表示画面70D1の中に現われるアイコンである。171は、前記液晶表示画面70D1の中の一部を構成する被調理物の表示部であり、図54に示すように、ご飯や、その他被調理物の具体的な名称が表示される。
前記アイコン171Dは、これをタッチすると前記表示部171に被調理物の具体的な名称を下方向に動かして、次々と次の被調理物の名称を表示させることができる。
前記アイコン171Uは、これをタッチすると前記表示部171に被調理物の具体的な名称を上方向に動かして、次々と次の被調理物の名称を表示させることができる。つまり、2つのアイコン170U、170Dをタッチする度に、使用者が選択できる被調理物の名称の候補を前記表示部171に表示させることができる。
41A3は、重量計測手段94で計測された重量に基づいて、食品の消費エネルギー量を演算させるカロリー報知スイッチ41Cの操作部である。
その他スイッチの操作部41A1、41A2、41A4~41A7は、実施の形態1の図6で説明したものと同じである。
41A8は、履歴確認スイッチ41Cの操作部であり、第1の入力操作手段20の中に配置している。
前記履歴確認スイッチ41Cは、以下のような場面の重量計測データやカロリー値算出結果を、時系列に呼び出し、前記液晶表示画面70D1に、それら重量計測データやカロリー値を、一覧表形式等で表示することを主制御装置80に指令するものである。
図55は、図54の加熱調理装置の誘導加熱調理器における内部構成を示す制御ブロック図である。この図55から明らかなように、重量計測手段94と、主制御装置80を有している。そして、主制御装置80には、カロリー計算部50Cと、カロリー記憶部80Dを備えている。
次に図56について説明する。
図56は、誘導加熱調理器10の重量計測とカロリー報知動作の基本ステップを示したものである。図中、破線で示したステップは、使用者の動作を示し、実線の枠で示したステップが、主制御装置80の動作を示している。
まず、使用者が電源プラグ101を商用電源71に繋ぐ(ステップSG1)と、電源部1に電力が供給される。なお、実施の形態1で説明したリードスイッチ31は、炊飯ユニット1が載せてないので、OFF(閉)のままとなる。
使用者がトッププレート22の上に、被加熱物としての磁性金属製の鍋を置いたり、誘導加熱できないプラスチック製容器を置いたりしても良いが、誘導加熱しない場合を以下説明するので、既に調理された料理の1種として、例えばカレーを入れたプラスチック製容器を置いたと仮定して、以下説明を続ける(SG2)。
電源部72に電力が印加されると、主電源装置80が起動し、表示手段70Dを起動する。そのため、液晶表示画面70D1、表示部70D1及び表示部171が、それぞれ起動される(SG3)。
前記主電源装置80は、リードスイッチ31がONしないので、第2の使用形態であると判定し、前記第1の操作入力手段20と第4の入力操作手段84の入力を受け付けるように待機する。なお、主制御装置80は、赤外線信号送受信部34から赤外線信号を、赤外線信号送受信部35に向けて送信しない。
この後、前記アイコン170D、170Uをタッチし(SG4)、前記表示部171に被調理物の具体的な名称、例えば「カレー」を表示させる(SG5)。
この状態では、被調理物がカレーであることは、主制御装置80側では認識している。カロリー報知を指示する操作部41A3を押す(SG6)と、カレーと、プラスチック製容器を含めた総重量が計測される。そして計測された重量データは、記憶手段80Rに一時的に記憶される(SG7)。
ここで、前記プラスチック製容器から、使用者がお皿等にカレーの一部分を取り出すと、その分、プラスチック製容器を含めた総重量が減少する。ここで、カロリー換算を指示する操作部41A3を再度押せば(SG8)、重量計測手段94によって、カレーと、プラスチック製容器を含めた総重量が計測される(第2回計測)。そして計測結果が記憶手段80Rに一時的に記憶される(SG9)。
前記主制御装置80は、前記カロリー計算部80Cに対して、ステップSG7の段階の重量計測値と、ステップSG9の段階の重量計測値とを比較し、その差を「正味重量」とするように指示し、その正味重量に対応したカロリー換算の処理を行うように指令する。そしてカロリー計算部80Cで算出されたカロリー値を、報知手段70で報知し、かつ、そのカロリー値は、カロリー記憶部に記憶される(SG10)。
なお、前記ステップSG10で、算出されたカロリー値は、表示手段70Dの液晶表示画面70D1で、具体的に数字等で表示される。
また、前記ステップSG6で、重量計測手段94に対して、重量計測を指令する電子スイッチ41Wの操作部41A2を操作すると、重量計測結果だけが前記ステップSG10で表示され、カロリー値の表示は行われない。
以上の説明で明らかなように、この実施の形態10においても、炊飯ユニット1は、前記誘導加熱調理器10の上に載置した状態で加熱コイル14によって加熱できる第1の使用形態と、前記誘導加熱調理器10と分離させた第2の使用形態とを選択できるものである。
炊飯ユニット1を使用せず、誘導加熱調理器10だけで重量計測し、カロリー換算値を報知させる場合においては、カロリー報知用スイッチ41Cが、前記重量計測手段94と前記カロリー計算部(演算処理手段)80Cに対し、カロリー換算動作の指令を与える第4の入力操作手段84に相当する。
実施の形態1における炊飯ユニット1の「カロリー報知モード」は、炊飯工程やむらし工程が終了していない限り開始されない構成であったが、この実施の形態10では、誘導加熱調理器10の「カロリー報知モード」は、カロリー報知用スイッチ41Cの操作部41A3を操作すれば、直ぐに開始される。
従って、加熱コイル14によって誘導加熱をする前に、トッププレート22の上に置いた測定物(加熱調理前の食材や、加熱調理途中の被調理物等)を置いて、カロリー報知用スイッチ41Cを操作すれば、測定物の重量を知ることができる。
さらに重量計測のあと、再度カロリー報知用スイッチ41Cを操作すれば、直ぐにカロリー換算値を前記表示部171に表示させることができる。
このため、この実施の形態10においては、誘導加熱調理器10だけで加熱調理をしたり、加熱調理をせずに重量計測だけをしたり、使い方の範囲が拡大できる。
また、加熱調理をせずに重量計測だけに使うことも可能である。例えば、メニュー選択用の電子スイッチ41M(第1の入力操作手段)(図示せず)の操作部41A1を押すと、「秤」というメニューを選択できる。これを選択すれば、トッププレート22の上に、例えば容器や袋に入った砂糖を置いて、その重量を計測することができる。そのため、事前に肉などの食材や水、調味料等の重量を計測して準備でき、便利である。
誘導加熱調理器10の主制御装置80は、炊飯ユニット1が「第1の使用形態」にある期間中と、「第2の使用形態」にある期間中とに分けて、炊飯ユニット1の第3の入力操作手段18C、49からの指令を受けて、炊飯前の米の重量を計測したデータと、カロリー計算部80Cによって算出したカロリー値のデータを、主制御装置80の一部を構成する記憶手段80Rに記憶させる動作を行う。
このため、米の重量を計測したデータと、カロリー計算部80Cによって算出したカロリー値のデータについて、「第1の使用形態」にある期間中と、「第2の使用形態」に変化してから再び「第1の使用形態」に復帰する時点までの期間、の2つの区間に分けて記憶されている。
また、米の重量を計測したデータと、カロリー計算部50Cによって算出したカロリー値のデータは、24時間(1日)単位、1週間(7日間)単位、30日単位等、幾つかの単位で集計された結果が、前記液晶表示画面70D1に表示され、また音声報知手段70Vでも報知されるように、主制御装置80の制御動作プログラムで規定されている。
使用者が、前記操作キー41Cを1回押すと、1日単位、短時間に2回続けて押すと1週間対、数秒間ずっと押している(長押し)と30日単位、等のように使用者の希望に応じて、炊飯した米の合計重量とカロリー値の合計値が報知される。1週間や30日単位の結果を確認する指令を主制御装置80が受けた際には、1日あたりの平均値データを報知しても良い。
このような主制御装置80の動作について、次に図57を参照しながら説明する。
ステップSQ1は、実施の形態1の図11のステップS6に相当するものである。このステップSQ1では、誘導加熱調理器10の赤外線信号送受信部34から赤外線信号を送信して、炊飯ユニット1の赤外線信号送受信部35からの応答信号の有無を検知し、炊飯ユニット1の載置された位置の判定を行う。また、経過時間TRのカウントを開始する。
実施の形態1と2で示したように、所定の位置に設置したリードスイッチ31と永久磁石30、ICタグ103とリーダー(ICタグ情報読み取り部)104を組み合わせた手段で、炊飯ユニット1の設置位置を確認し、炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10との間の相対的な位置をチェックするステップでも良い。
ステップSQ1で「No」の判定になった場合、炊飯ユニット1は、前記誘導加熱調理器10の上に載置されていた「第1の使用形態」から、「第2の使用形態」に変化したことが主制御装置80によって検知できる。
次のステップステップSQ2では、送電コイル17と冷却ファン13の運転を停止する。
次のステップSQ3では、炊飯ユニット1が「第1の使用形態」にある期間中に行った炊飯前の米の重量計測結果と、カロリー計算部50Cによって算出した結果が、記憶手段80Rの中の一次記憶エリアから、長期保管エリアに移し、記憶させる。この際に、計測した日時から重量データとカロリー値のデータは、時系列に並べられて、別々に記憶される。
次のステップSQ4では、「第1の使用形態」から「第2の使用形態」へ変化したことから、第1の操作入力手段20からの入力指令操作を無効化する処理(実施の形態1の図11のS7参照)は解除する。これにより、第1の操作入力手段20からの誘導加熱調理器10の制御は可能となる。
次のステップSQ5では、前記ステップSQ1からの経過時間が、一定の時間TRを超過するかどうかの判定を行う。この時間TRは、例えば3分間~10分程度である。使用者が、誘導加熱調理器10を使用するまでの猶予期間である。この時間TR中に、使用者が第1の操作入力手段20を全く操作しなかった場合、ステップSQ7の判定結果は「No」となり、ステップSQ5からステップSQ6に進む。そして、自動的に主電源を遮断し、一連の動作を終了する。つまり、一定の期間TRの間に、使用者が使用することを忘れている可能性もあるため、安全上強制的に運転を停止する。
一方、時間TR中に、使用者が第1の操作入力手段20の中の操作キー41A1~41A8を1つでも操作した場合、ステップSQ7の判定結果は「Yes」となり、ステップSQ8に進む。以後、この誘導加熱調理器10での運転継続ができる。
図58は、図54の加熱調理装置の炊飯ユニットの制御装置の動作を示すフローチャートである。以下、図58について詳細に説明する。
図58では、炊飯ユニット1のカロリー報知モードにおける制御装置50の制御動作の一部を示している。制御装置50は、ステップSN1~SN9を行う制御プログラムを有している。
まず、ステップSN1では、カロリー計算部50Cから、ご飯の重量に基づくカロリー換算値を受け取った場合、その時点からの経過時間のカウントを開始する。
次に、蓋体開放センサー93が蓋体1Bの開放を検知しているかどうかの判定を行う(ステップSN2)。使用者が内釜3の内部のご飯を自分の食器等に盛り付けた場合、その後は通常蓋体1Bを閉じるが、その閉じるタイミングには個人差があり、直ぐに閉めない場合もある。
もし、蓋体1Bが開かれたままの状態であることが蓋体開放センサー93によって検知されるので、その場合は、ステップSN3に進み、炊飯ユニット1の正面側に配置した第2の表示画面11Bにカロリー値を表示する。
第2の表示画面11Bは、炊飯ユニット1の前方に向けて表示するために設けているので、使用者は蓋体1Bが開放されていても、何ら支障なくその第2の表示画面11Bでカロリー値を確認できる。
この後、次のステップSN4に進み、音声報知手段90Vによってカロリー換算結果を音声で報知する。
蓋体1Bが開放されている状態では、通常蓋体1Bは使用者から見て第2の入力操作手段12側が蓋体1Bの背後側になるように垂直状態になっている。そこで、この状態では第2の入力操作手段12を操作するのは難しい。しかし、第3の入力操作手段であるカロリー計算キー18Cは、炊飯ユニット1の正面側にあるので、再び使用者が操作することは容易である。
このように、カロリー計算キー18Cが再び操作された場合には、ステップSN5が「Yes」判定になり、全ての表示画面(第1、第2の表示画面11A、11B)におけるカロリー値の表示を消す(ステップSN6)。そして、カロリー演算処理のステップに進む。
一方、ステップSN2において、蓋体開放センサー93が蓋体1Bの開放を検知していないという判定結果である場合、ステップSN7に進む。使用者が内釜3の内部のご飯を自分の食器等に盛り付け、その直後に蓋体1Bを閉じた場合、カロリー演算結果が出る前に蓋体1Bが閉じられる可能性がある。
もし、蓋体1Bが閉じられた状態にあることが蓋体開放センサー93によって検知された場合、ステップSN2は「No」判定になるので、その場合は、ステップSN7に進み、炊飯ユニット1の上面側に配置した第1の表示画面11Aにてカロリー値を表示する。
蓋体1Bが閉じられた状態では、蓋体1Bは水平状態に復帰しているので、炊飯ユニット1の近くに使用者が居れば、第1の表示画面11Aにてカロリー値を確認することは容易である。そして、前記ステップSN4に進み、音声報知手段90Vによってカロリー換算結果を音声で報知する。
この実施の形態10では、前記制御装置50は、前記第1の表示画面11Aと前記第2の表示画面11Bによるカロリー値表示の時間を制限する構成である。
具体的には、蓋体1Bが開いたままの状態では、カロリー計算キー18Cが再び操作される可能性が高い。また蓋体1Bが閉じた状態では、カロリー報知スイッチ49が再び操作される可能性が高い。
しかしながら、カロリー計算キー18Cと、カロリー報知スイッチ49の何れも操作されない状態が継続すると、ステップSN5からステップSN8に進み、前記ステップSN1からの経過時間が「制限時間」を超えない場合、再びステップSN2に戻るという動作になる。なお、ステップSN4では、前記制限時間内では2回の音声報知は行わないので、結局音声報知しないまま、再びステップSN5に戻るという循環になる。
前記「制限時間」とは、例えば最大で30秒に設定されている。この時間は、使用者がカロリーの報知結果を確認するのに十分な時間であれば良く、実際には10秒程度で良い。
前記ステップSN8において、「制限時間」を超えたと判定された場合には、ステップSN9に進み、ステップSN6と同様に、全ての表示画面(第1、第2の表示画面11A、11B)におけるカロリー値の表示を消す。
この図54には図示していないが、第1の表示画面11Aと第2の表示画面11Bは、相互に排他的にカロリー値を表示するようなプログラムになっている。
すなわち、制御装置50が、第1の表示画面11Aにおいてカロリー値を表示する場合には、その時点で第2の表示画面11Bでカロリー値を表示していた場合には、その表示を消すという制御を行う。
従って、この実施の形態10では、制御装置50において、使用者が視認しやすいと思われる表示の位置を、蓋体1Bの開放・閉鎖の状態で、択一的に切り替えている。そのため、無用な表示を止め、必要な表示を行うようにしているので、使用者の利便性を向上させている。なお、カロリー値の表示を止める場合、その表示画面自体の電力を遮断して省電力化にも寄与することが期待できる。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態10では、第4の発明を以下の構成で実施している。すなわち、
トッププレート22を備えた誘導加熱調理器10と、
前記トッププレート22の上に近接又は接触するように置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定する第1の入力操作手段20と、前記炊飯ユニット1が基準位置に載置された場合にその炊飯ユニット1の総重量を計測する重量計測手段94と、前記重量計測手段94で計測した炊飯物の重量をカロリー値に変換する演算処理手段80Cとを備え、
前記炊飯ユニット1は、前記内釜3の上面開口を開閉自在に閉鎖する蓋体1Bと、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、前記炊飯ユニット1の総重量を前記重量計測手段94で計測することを指示する第3の入力操作手段18C、49と、前記演算処理手段50Cの演算結果をカロリー値で報知する報知手段90と、炊飯工程の完了後において、前記蓋体1Bが開放状態にあるかどうかを検知する蓋体開放センサー93と、前記第2の入力操作手段12と前記第3の入力操作手段20の指令を受け、前記演算処理手段50Cと前記報知手段90とを制御し、かつ炊飯工程を制御する制御装置50と、をそれぞれ備え、
前記報知手段90には、前記炊飯ユニット1の上方に向けて表示するため前記蓋体の上部に配置した第1の表示画面11Aと、前記炊飯ユニット1の前方に向けて表示するため当該炊飯ユニット1の前部に配置した第2の表示画面11Bとを有し、
前記制御装置50は、前記第3の入力操作手段18C、49が操作された場合、蓋体開放センサー93によって蓋体1Bの開放が検知されている状態では、前記第2の表示画面11Bで前記カロリー値を表示し、前記蓋体開放センサー93によって蓋体1Bの閉鎖が検知されている状態では、前記第1の表示画面11Aで前記カロリー値を表示する構成である。
さらに、前記制御装置50は、蓋体開放センサー93によって蓋体1Bの開放が検知されている状態では、前記第2の表示画面11Bで前記カロリー値を表示し、その後、前記蓋体開放センサー93によって蓋体1Bの閉鎖が検知されている状態に変化した場合、前記第2の表示画面11Bでの前記カロリー値の表示を停止し、前記第1の表示画面11Aで前記カロリー値を表示する。
さらに、前記制御装置50は、前記第1の表示画面と前記第2の表示画面によるカロリー値表示の時間を制限する構成である。
また、実施の形態10では、第5の発明を以下の構成で実施している。
すなわち、
トッププレート22を上部に備えた誘導加熱調理器10と、
前記トッププレート22の上に近接又は接触するように置かれて使用され内釜3を内蔵した炊飯ユニット1と、を備え、
前記誘導加熱調理器10は、前記内釜3を誘導加熱する加熱コイル14と、当該加熱コイル14の通電条件を設定する第1の入力操作手段20と、前記炊飯ユニット1が基準位置に載置された場合にその炊飯ユニット1の総重量を計測し、炊飯ユニット1が載置されていない状態では、前記トッププレート22上に置かれた被加熱物の重量を計測する重量計測手段94と、前記重量計測手段94で計測した炊飯物の重量をカロリー値に変換する演算処理手段80Cと、前記重量計測手段94と前記演算処理手段80Cに動作指令を与える第4の入力操作手段84と、本体側表示部と、を備え、
前記炊飯ユニット1は、後部がヒンジ部で回動支持されて前記内釜3の上面開口を開閉自在に閉鎖する蓋体1Bと、炊飯条件を設定する第2の入力操作手段12と、前記炊飯ユニット3の重量を前記重量計測手段94で計測することを指示する第3の入力操作手段18C、49と、前記第3の入力操作手段18C、49の入力によって、前記演算処理手段80Cが演算したカロリー値を報知する報知手段90と、前記第2の入力操作手段12と前記第3の入力操作手段18C、49の指令を受け、かつ炊飯工程を制御する制御装置50と、をそれぞれ備え、
前記報知手段90には、表示画面11Aを有し、
前記制御装置50は、前記第3の入力操作手段18C、49が操作された場合、前記表示画面11Aで前記カロリー値を表示し、
前記誘導加熱調理器10は、前記炊飯ユニット1が載置されていない状態において、前記第4の入力操作手段84が操作された場合、前記重量計測手段で計測した被加熱物の重量又はその重量に対応するカロリー値の、少なくとも何れか一方を前記本体側表示部70Dで表示する構成である。
従って、この構成によれば、誘導加熱調理器10側で、炊飯ユニット1と独立して被調理物の重量又はその重量に応じたカロリーの値を報知でき、使い勝手が良い。
実施の形態11.
実施の形態11の加熱調理装置は、図59~図60に示している。
図59は、本発明の実施の形態11に係る加熱調理装置の、誘導加熱調理器の左側方要部の縦断面図である。図60は、図59の誘導加熱調理器における基本動作を示すステップ説明図である。実施の形態1~10と重複するものについては説明を省略する場合があり、また実施の形態1~10と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付している。
図59において、31はリードスイッチであり、専用の取付板155の上に固定されている。取付板155は、仕切り壁134(湾曲部134C)の上面に固定されている。リードスイッチ31は、上蓋132Aの内側の最上部に配置している。
仕切り壁134の左側面と下ケース132Bとの間には、数mm~20mm程度の幅W2の空隙G2が確保されている。
さらに、冷却ファン13からの冷却風CFが通過する仕切り壁134の左側空間の上部には、リードスイッチ31が設置されている。リードスイッチ31が、細長い筒状の外観形状であるが、その長手方向が前後方向になるように設置してある。
前記リードスイッチ31の周辺には、実施の形態9のように冷却風CFが直接流れない。しかし、耐熱プレスチック製の底枠149の下面から、前記仕切り板134の真上に沿って壁状に一体に形成されている壁172Hにより、送風機13の第1の送風路SH1と隔絶された空間の中に、リードスイッチ31が配置されている。このため、リードスイッチ31の雰囲気の温度も低く保たれる。
また永久磁石30も、内釜3の高熱を受けにくい位置に配置されているので、これらにより、永久磁石30の接近をリードスイッチ31が感知する動作を確実に行わせることができる。なお、炊飯ユニット1を誘導加熱調理器10の真上に置いた場合に限り、前記永久磁石30がリードスイッチ31をONにする。
なお、リードスイッチ31の設置された真横には、壁面開口部149Hによって外部と連通した空隙Sがあるため、リードスイッチ31の上部空間の温度上昇も抑制される。従って永久磁石136やリードスイッチ31の機能低下や故障等を防止できる。
なお、156は、永久磁石30を底枠149の上面に固定する固定板であり、鉄やアルミニウムに比較して熱伝導性の低い材料、例えば耐熱性ゴムから形成されている。
また、壁172と仕切り壁134の間に取付板155を挟み込み、その取付板155を設置しているので、取付板155の固定用部品も省略又は数を減らせ、製造コスト的に有利となる。
次に図60について説明する。この図60に示すものは、誘導加熱調理器10の動作ステップの一部を示したものである。実施の形態1の図11の動作ステップに対応しているので、図11と同一部分には、同一符号を付けている。
動作ステップは、S1~S8及びS9A~S12Aで示している。
まず、電源プラグ101を商用電源71に繋ぐと、電源部73に電力が供給される(S1)。
すると、使用者が第1の操作入力手段20や炊飯ユニット1の第2の操作入力手段12を何も操作しなくとも、主制御装置80は、炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていれば、リードスイッチ31がON(閉)となるので、リードスイッチ31がONとなっているかどうかをチェックする(S1A)。
リードスイッチ31がONしていると、所定電圧の電流が主制御装置80に供給されるので、その電流信号を受けると、主制御装置80はステップS1Aで「Yes」の判定を行う。
すると、赤外線温度センサー5Bや、その他の電流センサー(図示せず)によって誘導加熱調理器10の内部構成部品に異常がないかどうかの自己チェックを開始する(S3)。
そして異常が無かった場合、主制御装置80は冷却ファン13を「弱」モードで運転開始する(S3)。この後、さらに送電コイル17を駆動し、所定の電力を供給開始する。報知手段70も起動する(S4)。
この段階では、主制御装置80は、リードスイッチ31がONしていることによって、リードスイッチ31を経由した通電が行われる。この通電による信号で、主制御装置80は炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていることが分かる。そこで、主制御装置80は、赤外線信号送受信部34から赤外線信号を、赤外線信号送受信部35に向けて送信する(S5)。
その後、赤外線信号送受信部35側から、応答信号が赤外線で送信されるので、その応答信号を受けて、第1の基準位置判定手段33は炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていることを最終確認する(S6)。もし、赤外線信号送受信部35に向けて赤外線信号送受信部34から赤外線信号を送信した後、瞬時に所定の応答信号が無かった場合には、炊飯ユニット1が正しい位置に載置されていないか、または窓37の上面に、前回調理した際の調理液が滴下して汚れとなって固着しており、赤外線通信を妨げている場合等の異常が想定される。これら何れの場合でも主制御装置80側ではエラー処理を行う。
炊飯動作中も2つの赤外線信号送受信部35、36の間で、動作データや温度データ等を交換するため、仮に窓37の汚れが原因でも炊飯動作は許可しない。なお、ステップS6で、基準位置判定結果がNGになった場合には、実施の形態1の図16で説明したような異常対応ステップに進む。
次のステップS7では、主制御装置80は、第1の操作入力手段20からの入力指令信号発生を無効化する処理をする。
前記ステップS1Aにおいて、リードスイッチ31がONしていることを検知できない場合、主制御装置80は、炊飯ユニット1が載置されていないものと判定し、ステップS8に進む。そして、音声報知手段70V等の報知手段70によって、これから誘導加熱調理ができることを報知する。
次のステップS9Aでは、経過時間の計測を開始する。そして、第1の入力操作手段20又は第4の入力操作手段84の何れかが操作された場合には、操作信号ありと判定し、次のステップS11Aに進む。
ステップS11Aでは、加熱コイル14に対してインバーター回路73から高周波電力を供給する。また、冷却ファン13も「強」モードの運転に変更され、以後は誘導加熱調理の工程に進む。
一方、ステップS10Aにおいて、第1の入力操作手段20と第4の入力操作手段84の何れも、何も操作されないまま3分が経過すると、安全のため自動的に前記電源部73を遮断する。操作信号がないと、ステップS10AからS13Aに進み、またステップS10Aに戻るというサイクルを、繰り返すが、そのサイクルの途中にあるステップS13Aでは、前記ステップS8の時点から計測を開始していた経過時間が、3分間になった場合、電源部73を遮断する動作を行う。
以上のように、この実施の形態11では、誘導加熱調理器10の使用を開始すると、第1の操作入力手段20や炊飯ユニット1の第2の操作入力手段12を何も操作しなくとも、主制御装置80が、リードスイッチ31のON(閉)又はOFFを検知し、炊飯ユニット1が載置されていない状態を直ぐに判定し、誘導加熱調理の工程に進める。
その他の実施形態と変形例.
前記実施の形態1及び2では、基準位置判定手段33を構成するものが、誘導加熱調理器10側では赤外線信号送信34であり、炊飯ユニット1側では赤外線信号送受信部35であった。そして誘導加熱調理器10側から最初に赤外線信号を発信し、炊飯ユニット1側からの赤外線信号の応答を確認して、炊飯ユニット1の載置位置が基準となる位置にあるかどうかを判定する方法であったが、このように双方向からそれぞれ別々に赤外線信号で情報を送信する形態を採用しなくとも良い。例えば、誘導加熱調理器10側から最初に赤外線信号を発信し、その反射光の状態を誘導加熱調理器10側で判定する方法でも良い。
前記実施の形態1~11では、炊飯ユニット1側の制御装置50の記憶手段50Rに、炊飯動作を実行できる基本的な炊飯制御の動作プログラム(コンピューターソフトウエア)が格納され、それを利用して炊飯を行ったが、必ずしもこのように炊飯ユニット側で自律的に炊飯動作を実行できる動作プログラムを用意していなくとも良い。その場合は、誘導加熱調理器10側の主制御装置80に炊飯制御の動作プログラム(コンピューターソフトウエア)を格納しておき、この動作プログラムを利用して誘導加熱コイル14を制御して炊飯(予熱、炊飯、むらし)動作を実行し、炊飯工程の進捗を判断するために、内釜3の温度等の制御データを、赤外線信号で炊飯ユニット1側から随時取得するようにすれば良い。
第1の通信部CT1と第2の通信部CT2は、各実施の形態では、ハードウエア上では別々のものとして説明されていたが、これを共通のもので構成しても良い。例えば、赤外線信号受信部34Rと、赤外線信号送信部34Sは、同じハードウエアで構成しても良い。
カロリー報知スイッチ49と、カロリー計算キー18Cは、実施の形態1では、押しボタン式スイッチであったが、本発明はこの構成に何ら限定されない。例えば、第1の表示画面11Aと、第2の表示画面11Bの中に操作面が表示される「アイコン」のような、タッチ式スイッチであっても良い。また第1、第2の表示画面11A、11Bの真横部分など、それら画面の近傍位置に配置されたタッチ式スイッチでも良い。
さらに炊飯後のご飯(炊飯物)の重量をカロリー値に換算して報知することを指示するものが第3の入力操作手段であると説明した。各実施形態の説明では、操作キー18Cが指令を出すと、ご飯の重量を計測するために炊飯ユニット1の総重量を計測することと、それに続いて計測されたご飯の重量から、消費エネルギー量を換算することの一連の動作を指令することになる。
また、前記カロリー報知スイッチ49を押すと、その後で、制御装置50は、「カロリー報知モード」に設定される。制御装置50は、ご飯の重量計測と、エネルギー量の演算及びカロリー値の報知、を順次行う「カロリー報知モード」に設定される。
このように1つの操作キー18Cと、カロリー報知スイッチ49の何れを操作しても、重量計測とカロリー換算の2つの動作の指示をしているが、炊飯完了後のご飯の重量計測を行う操作キーと、カロリー換算と報知を指示する操作キーを別々のものにしても良い。あるいは、同じ操作キーを2回押すことで、重量計測とカロリー報知を個々に(段階的に)指示させても良い。
さらに実施の形態1と2で示したように、所定の位置に設置したリードスイッチ31と永久磁石30、ICタグ103とリーダー(ICタグ情報読み取り部)104の組み合わせのような手段で、炊飯ユニット1の設置位置を確認し、炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10との間の「重量計測データとカロリー値換算データ」の情報伝達だけを、赤外線信号送受信部34、35で行うようにしても良い。なお、誘導加熱調理器10は、高周波電力を使用し交番磁界が発生する関係で、電気的なノイズとして無線通信に影響与える懸念があり、この面でも赤外線信号での通信は有利である。
さらに実施の形態1~11では、炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10が重なり合っている部分で、しかも最も接近している部分に窓37を形成して、赤外線信号を送信していたので、室内の可視光線や太陽光等の外乱光の影響を受けない密着又は近接環境下での交信を実現でき、信号の伝達を確実にすることが期待できる。
なお、第1の入力操作手段20に赤外線透過孔を設けて、その透過孔を介して赤外線信号を炊飯ユニット1に送信するようにしても良い。この場合、使用者が押圧操作するボタン(キー)部分又はタッチスイッチの部分を避けて、透過孔を配置すると良い。
さらに、炊飯ユニット1においても、実施の形態4で採用したように、実施の形態1で説明した無線通信モジュール(無線通信部)26と同様な無線通信モジュールを設けても良い。
そして、第2の使用形態において、炊飯ユニット1と誘導加熱調理器10とを無線で交信させるようにしても良い。このように構成すれば、仮に炊飯ユニット1側と誘導加熱調理器10との間で、重量計測手段94で計測した重量に応じたご飯のカロリー量のデータを、誘導加熱調理器10が炊飯ユニット1のカロリー計算部50Cからその都度入手し、内部記憶媒体に記憶させることができ、1日単位や週単位等でのご飯の摂取カロリーを誘導加熱調理器10側で把握することができる。
さらに実施の形態1~8及び10、11では、誘導加熱調理器10は、後部垂直部16を有する形態であったため、通常の各種鍋やフライパン等の調理器具を誘導加熱する場合、後部垂直部16が背後側をガードしており、後方へそれら調理器具が落下することを防止できる構成であった。しかしながら、本発明の実施にあたり、後部垂直部16は必須ではない。すなわち、誘導加熱調理器10は上面全体が平坦な外形形状を有するものでも良い。具体的には実施の形態9が1例である。
すなわち、実施の形態1~8においては、前記誘導加熱調理器10に前記炊飯ユニット1を載置した状態で前記第1の入力操作手段20の上方を前記炊飯ユニット1が覆い隠す形態であった。
しかし、実施の形態9では、前記第1の入力操作手段20の上方だけではなく、誘導加熱調理器10の上面全体を前記炊飯ユニット1が覆い隠す形態であった。
このように、前記誘導加熱調理器10と前記炊飯ユニット1は、平面的な外形寸法を同一又は近似させるように形成すると、厨房家具や食卓の上の専有面積を最小限度にできる。また、実施の形態1に示したような、前記後部垂直部16を削除する場合、誘導加熱調理器10は平面形状を、例えば円形、楕円形、正方形又は長方形の何れにしても良い。そのような誘導加熱調理器10の平面的な外形形状・外径寸法と、前記炊飯ユニット1の外形寸法・外形形状を同一又は近似させれば、第1の使用形態(誘導加熱調理器10の上に、炊飯ユニットを載置)において、前記第1の入力操作手段20を含めた誘導加熱調理器上面全体を前記炊飯ユニット1によって、簡単に覆い隠すようにできる。