JP7190616B2 - 車両用シート装置 - Google Patents
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Description
以下、図1~図10に基づいて、本発明の実施形態1に係る車両用シート装置の説明を行なう。本実施形態に係る車両用シート装置10は、車両の車室内に設置されるシート装置である。ここで、図中に示す前後左右及び上下は、車両用シート装置10を備える車両の前後左右及び上下に対応している。
車両用シート装置10は、図1等に示すように、乗員が着座するシート本体12と、そのシート本体12を車両前向きの着座位置とドア開口部側(図示省略)を向く乗降位置間で移動させるシート移動装置20とから構成されている。シート移動装置20は、車室フロアF上に設置される前後スライド機構30と、その前後スライド機構30の前後スライドベース35上に設置される回転機構40とを備えている。
多段式ロック機構50は、図3等に示すように、ロアレール32に形成されたロック歯52と、アッパレール33内に設けられ、前記ロック歯52の歯溝に対して係合可能に構成されたロックスプリング53とから構成されている。ここで、ロアレール32は、図3に示すように、アッパレール33を幅方向両側から挟んでスライド方向にガイドする左右のガイド壁部32wを備えている。そして、左右のガイド壁部32wの下端位置には、前記ロック歯52がスライド方向に等ピッチで多数形成されている(図1参照)。即ち、多段式ロック機構50のロック歯52は、ロアレール32を介して車室フロアF側に設けられている。
ロック解除機構60は、多段式ロック機構50のロック動作を解除する機構である。ロック解除機構60は、図1、図2に示すように、例えば、シート本体12に着座している乗員が上方に引き操作可能なループハンドル状の操作レバー61と、その操作レバー61の動作力を多段式ロック機構50の左右のロックスプリング53に伝達する左右の解除部材63とを備えている。また、ロック解除機構60は、図2に示すように、操作レバー61の左端部と、車両左側の解除部材63との間にクラッチ機構70を備えている。
ロック解除機構60の解除部材63は、図2、図3に示すように、アッパレール33内に収納されてロックスプリング53上に配置される上下動アーム65と、その上下動アーム65の基端部(前端部)に固定されて、アッパレール33から前方に突出する接続アーム64とから構成されている。そして、図2に示すように、操作レバー61の右端部が右側の解除部材63の接続アーム64に接続されている。また、操作レバー61の左端部が前記クラッチ機構70を介して左側の解除部材63の接続アーム64に接続されている。
クラッチ機構70は、ロック解除機構60の操作レバー61の動作力を左側の解除部材63の接続アーム64に伝達し、あるいはその力伝達を解除する機構である。クラッチ機構70は、図2に示すように、ロック解除機構60の操作レバー61と解除部材63間に設けられて、前後スライドベース35の下面に取付けられるクラッチ本体部70aと、車室フロアF側に設けられて、クラッチ本体部70aをシート本体12の回転位置、即ち、スライド中間位置で動作させるカム80とから構成されている。
クラッチ本体部70aは、図2、及び図6に示すように、前後スライドベース35の下面に固定される下側ベース部75を備えている。また、クラッチ本体部70aは、図2、図4~図6に示すように、下側ベース部75に対して上下回動可能な状態で連結された第1連結板71と第2連結板72と、前記下側ベース部75に対して水平回動可能な状態で連結されたカムフォロア74とを備えている。なお、図4、図5等では、下側ベース部75は省略されている。
クラッチ本体部70aの下側ベース部75は、図2、及び図6に示すように、前後スライドベース35の下面に固定される略台形状のベース本体部75bと、ベース本体部75bの左右端で略直角下方に折り曲げられた右板部75rと左板部75sとを備えている。下側ベース部75の右板部75rと左板部75sとは、図6に示すように、ベース本体部75bから前方に張り出しており、右板部75rの先端部と左板部75sの途中部位とに左右一対の連結軸78を水平に支持する軸受部75jが同軸に設けられている。
第1連結板71は、図2、図6に示すように、ロック解除機構60の操作レバー61の左端部が固定される固定板部71fと、固定板部71fの左端で略直角下方に折り曲げられ、さらに固定板部71fの後端から後方に張り出す第1クラッチ板部71cとを備えている。そして、第1連結板71の第1クラッチ板部71cが厚み方向から下側ベース部75の左板部75sに重ねられている。また、第1連結板71は、図6に示すように、固定板部71fの後端に固定され、その固定板部71fの後端から後方に張り出すように形成された平面逆L形の支持板71sを備えている。
第2連結板72は、図6に示すように、第1連結板71の第1クラッチ板部71cと下側ベース部75の左板部75sとの間に挟まれる第2クラッチ板部72cを備えている。そして、第2クラッチ板部72cの前端部には、上端位置から左方向に張り出す水平な角形平板部72fが設けられている。第2クラッチ板部72cには、図4~図6に示すように、左側の連結軸78が通される軸受部(図番省略)が形成されている。また、第2クラッチ板部72cには、前記第1連結板71の一対の貫通穴71kに対応する位置にU字形のピン状部材76の先端が抜差しされる一対の貫通穴72kが形成されている。
カムフォロア74は、カム80(後記する)にガイドされて移動することにより、U字形のピン状部材76の先端を第2連結板72の一対の貫通穴72kに対して抜差しする部材である。カムフォロア74は、図4、図5に示すように、横板部74yと縦板部74tとから断面L字形に形成されている。カムフォロア74の横板部74yは、図7等に示すように、前後に長い略長方形状に形成されており、その横板部74yの後端部が下側ベース部75の軸受部75x(図6参照)に対して連結軸75cにより水平回動可能に連結されている。また、カムフォロア74の横板部74yの左辺における前端位置には、図7等に示すように、半円状の突起物であるカムフォロア本体部74cが左方向に突出するように設けられている。
カム80は、シート本体12がスライド中間の回転位置近傍の所定範囲をスライドする際に、カムフォロア74のカムフォロア本体部74cをガイドすることで、そのカムフォロア74をコイルバネ77のバネ力に抗して右回動させる部材である。カム80は、図2、図4等に示すように、断面逆U字形に形成されたカムベース85と、そのカムベース85の右側で水平回動可能な状態で支持された第1カム片81と第2カム片82とを備えている。カム80のカムベース85は、シート本体12の回転位置で前後スライド機構30のロアレール32を下側から覆った状態で車室フロアF上に固定されている。
次に、車両用シート装置10の動作について説明する。シート本体12が前進限位置にある状態では、図6に示すように、クラッチ本体部70aのカムフォロア74のカムフォロア本体部74cがカム80の前方にあって第1カム片81のカム面81cから離れている。このため、カムフォロア74はコイルバネ77のバネ力で左回動限位置に保持されている。即ち、カムフォロア74のU字形のピン状部材76の先端は、第1連結板71の第1クラッチ板部71cの貫通穴71kと第2連結板72の第2クラッチ板部72cの貫通穴72kとの双方に挿入されている。このため、クラッチ本体部70aは、第1連結板71と第2連結板72間で力伝達が可能な状態に保持されている。
多段式ロック機構50が本発明のスライドロック機構に相当する。また、シート本体12の回転位置が本発明におけるスライド途中の所定位置である。また、前後スライド機構30が本発明のスライド機構に相当し、ロアレール32とアッパレール33とがそれぞれ固定部とスライド部とに相当する。
本実施形態に係る車両用シート装置10によると、操作レバー61を解除位置まで操作した状態で、シート本体12をスライドさせることで、シート本体12はスライド中間位置である回転位置(所定位置)で自動的に止まり、この位置でロックされる。また、シート本体12を回転位置から動かす場合には、操作レバー61をロック位置に戻し、再度、解除位置まで操作することでロック状態が解除される。即ち、シート本体12がスライド途中の回転位置にある場合のロック解除動作と、シート本体12のスライド範囲内におけるロック解除動作とを一つの操作レバー61で行えるため、操作性が向上する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、クラッチ機構70の第1連結板71の第1クラッチ板部71cと第2連結板72の第2クラッチ板部72c間の力伝達、及び力伝達解除をU字形のピン状部材と貫通穴71k,72kとにより行う例を示した。しかし、クラッチ機構70に電磁式のクラッチを使用することも可能である。この場合、カムフォロア74とカム80を使用する代わりに、リミットスイッチとストライカ等を使用し、シート本体12が回転位置まで前後スライドした段階でリミットスイッチを動作させ、電磁式のクラッチをオフする構成でも可能である。また、本実施形態では、第1カム片81と第2カム片82とからなるカム80を例示したが、一方のカム片を省略することも可能である。
12・・・・シート本体
30・・・・前後スライド機構(スライド機構)
32・・・・ロアレール(固定部)
33・・・・アッパレール(スライド部)
40・・・・回転機構
50・・・・多段式ロック機構(スライドロック機構)
60・・・・ロック解除機構
61・・・・操作レバー
63・・・・解除部材
64・・・・接続アーム
70・・・・クラッチ機構
70a・・・クラッチ本体部
71・・・・第1連結板
71c・・・第1クラッチ板部
71k・・・貫通穴
72・・・・第2連結板
72c・・・第2クラッチ板部
72k・・・貫通穴
74・・・・カムフォロア
76・・・・ピン状部材
80・・・・カム
81・・・・第1カム片
82・・・・第2カム片
Claims (8)
- シート本体と、前記シート本体を車室フロア上で往復スライド可能に支持するスライド機構と、スライドロック機構と、操作レバーをロック位置から解除位置まで操作する際の動作力を受けて前記スライドロック機構のロック動作を解除するロック解除機構とを備える車両用シート装置であって、
前記操作レバーが前記ロック位置にある状態では、前記操作レバーと前記ロック解除機構間の力伝達が可能であり、
前記操作レバーを前記ロック位置から解除位置まで操作した状態で、前記シート本体がスライド途中の所定位置までスライドすると、前記操作レバーと前記ロック解除機構間の力伝達が解除されて、前記スライドロック機構がロック動作し、
前記操作レバーを前記解除位置からロック位置に戻すと、前記操作レバーと前記ロック解除機構間の力伝達が可能となり、再度、前記操作レバーを解除位置まで操作することで、前記所定位置における前記スライドロック機構のロック動作が解除される車両用シート装置。 - 請求項1に記載の車両用シート装置であって、
前記スライドロック機構は、前記スライド機構のスライド部を固定部に対してスライド方向において多段階でロックできるように構成されている車両用シート装置。 - 請求項1及び請求項2のいずれかに記載の車両用シート装置であって、
前記ロック解除機構は、前記操作レバーの動作力を受けて前記スライドロック機構のロック動作を解除する解除部材と、前記操作レバーと前記解除部材間に設けられたクラッチ機構とを備えており、
前記クラッチ機構は、前記操作レバーが解除位置にある状態で、前記シート本体が所定位置までスライドした段階で、前記解除部材に対する前記操作レバーの力伝達を解除し、前記所定位置で前記操作レバーがロック位置に戻された状態で、前記操作レバーと前記解除部材とを力伝達可能に連結する車両用シート装置。 - 請求項3に記載の車両用シート装置であって、
前記クラッチ機構は、カムとカムフォロアとを備えており、
前記カムフォロアが前記シート本体と共にスライド可能に設けられ、前記カムが前記車室フロア上に設けられており、
前記シート本体が所定位置から一定範囲内をスライドし、前記カムフォロアが前記カムにガイドされて移動する動作により、前記解除部材に対する前記操作レバーの力伝達が解除される車両用シート装置。 - シート本体と、前記シート本体を車室フロア上で往復スライド可能に支持するスライド機構と、スライドロック機構と、操作レバーをロック位置から解除位置まで操作して前記スライドロック機構のロック動作を解除するロック解除機構とを備える車両用シート装置であって、
前記操作レバーを解除位置まで操作した状態で、前記シート本体がスライド途中の所定位置までスライドしたときに、前記スライドロック機構がロック動作し、
前記操作レバーをロック位置に戻し、再度、解除位置まで操作することで、前記所定位置における前記スライドロック機構のロック動作が解除される構成であり、
前記ロック解除機構は、前記操作レバーの動作力を受けて前記スライドロック機構のロック動作を解除する解除部材と、前記操作レバーと前記解除部材間に設けられたクラッチ機構とを備えており、
前記クラッチ機構は、前記操作レバーが解除位置にある状態で、前記シート本体が所定位置までスライドした段階で、前記解除部材に対する前記操作レバーの力伝達を解除し、前記所定位置で前記操作レバーがロック位置に戻された状態で、前記操作レバーと前記解除部材とを力伝達可能に連結する構成であり、
また、前記クラッチ機構は、カムとカムフォロアとを備えており、
前記カムフォロアが前記シート本体と共にスライド可能に設けられ、前記カムが前記車室フロア上に設けられており、
前記シート本体が所定位置から一定範囲内をスライドし、前記カムフォロアが前記カムにガイドされて移動する動作により、前記解除部材に対する前記操作レバーの力伝達が解除される構成であり、
さらに、前記クラッチ機構は、前記操作レバーに固定されて、貫通穴を備える第1連結板と、前記解除部材に固定されて、前記第1連結板に対して厚み方向から重ねられ、前記第1連結板の貫通穴と重なる位置に貫通穴を備える第2連結板と、前記カムフォロアに取付けられて、前記第1連結板の貫通穴から第2連結板の貫通穴まで挿通可能なピン状部材とを備えており、
前記カムフォロアが前記カムにガイドされて移動することにより、前記カムフォロアに取付けられた前記ピン状部材が第2連結板の貫通穴から抜け、前記操作レバーの第1連結板と前記解除部材の第2連結板間の力伝達が解除される車両用シート装置。 - 請求項3から請求項5のいずれかに記載の車両用シート装置であって、
前記ロック解除機構の解除部材は、前記クラッチ機構により前記操作レバーからの力伝達が解除された状態で付勢力によりロック位置に戻される車両用シート装置。 - 請求項4から請求項6のいずれかに記載の車両用シート装置であって、
前記カムは、付勢力で使用位置に保持されている第1カム片と第2カム片とを備えており、
前記第1カム片は、前記シート本体が後方にスライドする際、前記使用位置にあって前記カムフォロアをガイド可能で、前記シート本体が前方にスライドする際、前記カムフォロアに押されて付勢力に抗して待避位置まで移動し、
前記第2カム片は、前記シート本体が前方にスライドする際、前記使用位置にあって前記カムフォロアをガイド可能で、前記シート本体が後方にスライドする際、前記カムフォロアに押されて付勢力に抗して待避位置まで移動する車両用シート装置。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の車両用シート装置であって、
前記スライド機構上には、前記シート本体を車両前向きの着座位置からドア開口部側を向く乗降位置間で水平回転させる回転機構が設けられている車両用シート装置。
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