JP7109726B2 - 車両用シート装置 - Google Patents
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以下、図1~図11に基づいて、本発明の実施形態1に係る車両用シート装置の説明を行なう。本実施形態に係る車両用シート装置10は、車両の車室内に設置されるシート装置である。ここで、図中に示す前後左右及び上下は、車両用シート装置10を備える車両の前後左右及び上下に対応している。
車両用シート装置10は、図1等に示すように、乗員が着座するシート本体12と、そのシート本体12を車両前向きの着座位置とドア開口部側(図示省略)を向く乗降位置間で移動させるシート移動装置20とから構成されている。シート移動装置20は、車室フロアF上に設置される前後スライド機構30と、その前後スライド機構30の前後スライドベース35上に設置される回転機構40とを備えている。
多段式ロック機構50は、図1、図3に示すように、ロアレール32に形成されたロック歯52と、アッパレール33内に設けられ、前記ロック歯52の歯溝に対して係合可能に構成されたロックスプリング53とから構成されている。ここで、ロアレール32は、図3に示すように、アッパレール33を幅方向両側から挟んでスライド方向にガイドする左右のガイド壁部32wを備えている。そして、左右のガイド壁部32wの下端位置には、前記ロック歯52がスライド方向に等ピッチで多数形成されている(図1参照)。即ち、多段式ロック機構50のロック歯52は、ロアレール32を介して車室フロアF側に設けられている。
ロック解除機構60は、多段式ロック機構50のロック動作を解除する機構である。ロック解除機構60は、図1、図2に示すように、例えば、シート本体12に着座している乗員が上方に引き操作可能なループハンドル状の操作レバー61と、その操作レバー61の操作力を多段式ロック機構50の左右のロックスプリング53に伝達する左右の解除部材63とを備えている。また、ロック解除機構60の操作レバー61の左端部と車両左側の解除部材63との間には、図2に示すように、クラッチ機構70とロック補助機構90とが設けられている。
ロック解除機構60の解除部材63は、図2、図3に示すように、アッパレール33内に収納されてロックスプリング53上に配置される上下動アーム65と、その上下動アーム65の基端部(前端部)に固定されて、アッパレール33から前方に突出する接続アーム64とから構成されている。そして、図2に示すように、操作レバー61の右端部が右側の解除部材63の接続アーム64に接続されている。また、操作レバー61の左端部が前記クラッチ機構70、ロック補助機構90を介して左側の解除部材63の接続アーム64に接続されている。
クラッチ機構70は、ロック解除機構60の操作レバー61の操作力を左側の解除部材63の接続アーム64に伝達し、あるいはその力伝達を解除する機構である。クラッチ機構70は、図2に示すように、クラッチ本体部70aとカム80とを備えている。クラッチ本体部70aは、ロック補助機構90と共にロック解除機構60の操作レバー61と解除部材63間に設けられて、前後スライドベース35の下面に取付けられている。カム80は、車室フロアF側に設けられて、前記クラッチ本体部70aをシート本体12の回転位置、即ち、スライド中間位置で動作させる部材である。
クラッチ本体部70aは、図2、及び図4~図6に示すように、前後スライドベース35(シート本体12側)の下面に固定される下側ベース部75を備えている。また、クラッチ本体部70aは、下側ベース部75に対して上下回動可能な状態で連結された第1連結板71と第2連結板72と、前記下側ベース部75に対して水平回動可能な状態で連結されたカムフォロア74とを備えている。
クラッチ本体部70aの下側ベース部75は、図4~図6に示すように、前後スライドベース35の下面に固定される略台形状のベース本体部75bと、ベース本体部75bの左右端で略直角下方に折り曲げられた右板部75rと左板部75sとを備えている。下側ベース部75の右板部75rと左板部75sとは、ベース本体部75bから前方に張り出しており、右板部75rの先端部と左板部75sの途中部位とに、図6に示すように、左右一対の連結軸78を水平に支持する軸受部75jが同軸に設けられている。
クラッチ本体部70aの第1連結板71は、図2に示すように、ロック解除機構60の操作レバー61の左端部が固定される固定板部71fと、図4に示すように、固定板部71fの左端で略直角下方に折り曲げられ、さらに固定板部71fの後端から後方に張り出す第1クラッチ板部71cとを備えている。そして、第1連結板71の第1クラッチ板部71cが厚み方向から下側ベース部75の左板部75sに重ねられている。また、第1連結板71は、図6に示すように、固定板部71fの右端で略直角下方に折り曲げられ、さらに固定板部71fの後端から後方に張り出す支持板71sを備えている。
第2連結板72は、図4~図6に示すように、第1連結板71の第1クラッチ板部71cと下側ベース部75の左板部75sとの間に挟まれる縦板状の第2クラッチ板部72cを備えている。第2連結板72の第2クラッチ板部72cには、左側の連結軸78が通される軸受部(図番省略)が形成されている。また、第2クラッチ板部72cには、図9、図10に示すように、前記第1連結板71の一対の貫通穴71kに対応する位置にU字形のピン状部材76の先端が抜差しされる一対の貫通穴72kが形成されている。
ロック補助機構90は、シート本体12のスライド途中で、クラッチ機構70が後記するように操作レバー61の操作力の伝達を解除して、多段式ロック機構50が短時間でロック動作したときのロックスプリング53の振動を抑える機構である。ロック補助機構90は、図5、及び図7、図8に示すように、第2連結板72の円盤状平板部72fの下面に固定された磁石保持部91と、下側ベース部75の左板部75sの前端部に取付けられた受け板部92とを備えている。磁石保持部91は、浅い円筒容器状の磁石収納ケース91cと、その磁石収納ケース91cに同軸に収納される円板形磁石91m(永久磁石)とから構成されている。そして、磁石保持部91の磁石収納ケース91cが第2連結板72の円盤状平板部72fの下面にほぼ同軸の状態で固定ピン93により取付けられている。
クラッチ本体部70aのカムフォロア74は、図9等に示すように、カム80(後記する)にガイドされて移動することにより、U字形のピン状部材76の先端を第2連結板72の一対の貫通穴72kに対して抜差しする部材である。カムフォロア74は、横板部74yの後端部が下側ベース部75の軸受部75x(図6参照)に対して連結軸75cにより水平回動可能に連結されている。また、カムフォロア74の横板部74yの左辺における前端位置には、図9に示すように、半円状の突起物であるカムフォロア本体部74cが左方向に突出するように設けられている。
カム80は、シート本体12がスライド中間の回転位置近傍の所定範囲をスライドする際に、カムフォロア74のカムフォロア本体部74cをガイドすることで、そのカムフォロア74をコイルバネ77のバネ力に抗して右回動させる部材である。カム80は、図6、図9、図10に示すように、断面逆U字形に形成されたカムベース85と、そのカムベース85の右側で水平回動可能な状態で支持された第1カム片81と第2カム片82とを備えている。カム80のカムベース85は、シート本体12の回転位置で前後スライド機構30のロアレール32を下側から覆った状態で車室フロアF上に固定されている。
次に、車両用シート装置10の動作について説明する。シート本体12が前進限位置にある状態で(図6参照)、ロック解除機構60の操作レバー61をロック位置(下端位置)から上方の解除位置まで引き上げると、操作レバー61の操作力が第1連結板71、第2連結板72を介して解除部材63の接続アーム64に加わるようになる。これにより、解除部材63の上下動アーム65の基端部側が支点部65c(図2参照)を中心に引き上げられ、その上下動アーム65の先端の押圧部65pが、図3に示すように、ロックスプリング53の角形係合部53kを押し下げる。この結果、多段式ロック機構50のロック動作が解除され、シート本体12の後方スライドが可能になる。
本実施形態の前後スライド機構30のロアレール32が本発明の固定レールに相当し、アッパレール33が本発明のスライドレールに相当する。また、多段式ロック機構50が本発明のスライドロック機構に相当する。さらに、多段式ロック機構50のロックスプリング53が本発明のバネ材に相当する。また、ロック補助機構90の磁石保持部91が本発明の可動部に相当し、受け板部92が本発明の固定受け部に相当する。さらに、受け板部92を下側ベース部75に取付けるカシメ材94と、下側ベース部75の切欠部75k、及び受け板部92の鉤部92kとが本発明の姿勢を調整可能な機構に相当する。
本実施形態に係る車両用シート装置10によると、ロック解除方向の操作力が解除されて、ロックスプリング53(バネ材)がバネ力でロック歯52と係合する位置まで戻る際、ロック補助機構90の働きでロックスプリング53の振動が抑えられ、ロックスプリング53とロック歯52との係合が保持される。このため、シート本体12のスライド途中でロック解除方向の操作力が急に解除されても(多段式ロック機構50がロック動作しても)、ロックスプリング53がロック歯52に対して歯飛びすることがなく、シート本体12を狙いの位置でスライドロックできるようになる。また、アッパレール33(スライドレール)内のロックスプリング53の振動を直接的に抑えるのではなく、ロックスプリング53と共に振動する解除部材63の振動を抑える構成のため、ロックスプリング53の振動を抑える機構が簡単になる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、クラッチ機構70を備える車両用シート装置10において、ロック補助機構90をロック解除機構60の操作レバー61と解除部材63との間に設ける例を示した。即ち、ロックスプリング53のバネ力でロックスプリング53と共に上下振動しようとする解除部材63を第2連結板72、ロック補助機構90の磁石保持部91、受け板部92を介してシート本体12側の下側ベース部75に固定する例を示した。しかし、図11に示すように、クラッチ機構70を有しない車両用シート装置10においてロック補助機構90を使用することも可能である。
12・・・シート本体
32・・・ロアレール(固定レール)
33・・・アッパレール(スライドレール)
50・・・多段式ロック機構(スライドロック機構)
52・・・ロック歯
53・・・ロックスプリング(バネ材)
60・・・ロック解除機構
61・・・操作レバー
63・・・解除部材
70・・・クラッチ機構
70a・・クラッチ本体部(クラッチ機構)
75・・・下側ベース部
75k・・切欠部(姿勢を調整可能な機構)
90・・・ロック補助機構
91・・・磁石保持部(可動部)
92・・・受け板部(固定受け部)
92k・・鉤部(姿勢を調整可能な機構)
94・・・カシメ材(姿勢を調整可能な機構)
Claims (6)
- シート本体と、前記シート本体を支持するスライドレールと、車室フロア上で前記スライドレールをスライド可能に支持する固定レールと、前記固定レールに対するスライドレールのスライドを禁止するスライドロック機構と、前記スライドロック機構のロック動作を解除するロック解除機構とを備えている車両用シート装置であって、
前記スライドロック機構は、スライド方向に等間隔で並んだ状態で前記固定レールに形成されたロック歯と、前記スライドレールに収納されて前記ロック歯と係合する方向にバネ力が付勢されているバネ材とを備えており、
前記ロック解除機構は、ロック解除方向の操作力を受けて、前記スライドレール内で前記バネ材を前記ロック歯から外れる位置まで移動させる解除部材を備えており、
前記ロック解除方向の操作力が解除されて、前記バネ材がバネ力で前記解除部材を押圧しつつ前記ロック歯と係合する位置まで戻る際、前記バネ材と前記ロック歯との係合を保持するロック補助機構が設けられている車両用シート装置。 - 請求項1に記載された車両用シート装置であって、
前記ロック補助機構は、ロック解除操作がされている時に前記解除部材をシート本体、あるいは前記固定レールに固定する車両用シート装置。 - 請求項1又は請求項2のいずれかに記載された車両用シート装置であって、
前記ロック補助機構は、磁力を利用して前記解除部材をシート本体、あるいは前記固定レールに固定する車両用シート装置。 - 請求項3に記載された車両用シート装置であって、
前記ロック補助機構は、前記解除部材側に設けられて、前記解除部材と共に水平面に対して所定角度範囲内で傾斜可能に構成された可動部と、
前記シート本体、あるいは前記固定レールに設けられて、磁力により前記可動部に吸着される固定受け部と、
を備えている車両用シート装置。 - 請求項4に記載された車両用シート装置であって、
前記可動部、あるいは固定受け部には、前記可動部の吸着面と前記固定受け部の吸着面とが平行な状態で面接触可能なように、姿勢を調整可能な機構が設けられている車両用シート装置。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載された車両用シート装置であって、
前記ロック解除機構は、前記シート本体に設けられた操作レバーと、前記操作レバーと前記解除部材間に設けられたクラッチ機構とを備えており、
前記クラッチ機構は、前記解除部材が前記操作レバーの操作力を受けて前記バネ材を前記ロック歯から外している状態で、前記シート本体が所定位置までスライドしたときに、前記解除部材に対する前記操作レバーの力伝達を解除する車両用シート装置。
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