JP7190573B2 - エレメント部材及びスライドファスナー付き製品 - Google Patents

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Description

本発明は、複数のファスナーエレメントが固定部材に取着されたエレメント部材、2つ一組のエレメント部材が衣料品などの製品に直接取り付けられたスライドファスナー付き製品に関する。
スライドファスナーは、一般的に、衣料品、日用雑貨品、産業用資材などの製品や、自動車、列車、航空機等の各種シート類などの製品の開閉具として多く使用されている。このような各種の製品に使用されるスライドファスナーは、一般的に、ファスナーテープのテープ側縁部にエレメント列が形成された左右一対のファスナーストリンガーと、左右のエレメント列に沿って摺動するスライダーとを有する。また、スライドファスナーの一つとして、左右のファスナーストリンガーを分離して離間可能にする開離嵌挿具が設けられたスライドファスナーが知られている。
従来のスライドファスナーやファスナーストリンガーでは、例えば射出成形された合成樹脂製のファスナーエレメントなどがファスナーテープのテープ側縁部に取着されることにより、そのテープ側縁部にエレメント列が形成されている。また、スライドファスナーを衣料品などのファスナー被着部材に取り付ける場合には、ファスナーテープにおけるテープ側縁部以外の部分(一般にテープ主体部と言う)を、ファスナー被着部材のファスナー取付部に重ねた状態で両者をミシンで縫い合わせることが一般的に行われている。このため、一般的なスライドファスナーでは、通常、ファスナーテープが、スライドファスナーを構成するために必要不可欠な部材(部品)として用いられる。
これに対して、例えば国際公開第2018/142548号(特許文献1)には、ファスナーテープを用いることなくスライドファスナーが構成されているとともに、開離嵌挿具が所定の位置に形成されたスライドファスナー付き製品が記載されている。
例えば特許文献1に記載されているスライドファスナー付き製品は、図16に示すようなエレメント部材80が、衣服を形成する左右の生地90にそれぞれ縫着されている。左右の各エレメント部材80は、紐状の固定部材(連結部材)81と、固定部材81に固着される複数の合成樹脂製のファスナーエレメント82とを有する。
エレメント部材80の各ファスナーエレメント82は、射出成形により所定の形状に形成されている。ファスナーエレメント82は、固定部材81に固定されるエレメント胴部と、エレメント胴部から延出するとともに括れた形状を有するエレメント首部と、エレメント首部から更に延出する噛合頭部と、エレメント首部から長さ方向の前方及び後方に薄板状に突出する突片部(肩部とも言う)とを有する。このような左右のエレメント部材80は、ミシンの縫製により形成される固定用縫製部85と補助縫製部86とによって、生地90のエレメント取付縁部に固定されている。
上述のような特許文献1の左右のエレメント部材80が生地90に直接縫着された衣服などのスライドファスナー付き製品では、従来の一般的なスライドファスナーでは必須であったファスナーテープが不要となるため、製品の軽量化や柔軟性を向上させることができる。
国際公開第2018/142548号
特許文献1に記載されているスライドファスナー付き製品の場合、エレメント部材80は、固定用縫製部85の縫製糸がファスナーエレメント82間に露呈する固定部材81を包むように保持することによって、生地90に固定されている。この場合、エレメント部材80は、ファスナーエレメント82の上面及び下面が、生地90の表面と平行となるように固定されている。
しかし、エレメント部材80は、縫製糸による固定部材81の保持によって生地90に固定されているため、例えばエレメント部材80が生地90の表裏方向の外力を受けたときに、エレメント部材80が生地90に取着されたまま、ファスナーエレメント82の上面及び下面が生地90の表面に対して斜めになるように一部のファスナーエレメント82の姿勢が固定部材81を軸にして傾く虞がある。このようにファスナーエレメント82の姿勢が傾くと、そのファスナーエレメント82がスライダーに引っ掛かり易くなり、スライダーの摺動操作に支障が生じるという問題があった。
また、特許文献1のスライドファスナー付き製品の場合、エレメント部材80を生地90に固定する固定用縫製部85の縫製糸や補助縫製部86の縫製糸が、スライダーの摺動時にスライダーの上フランジ部及び下フランジ部と擦れ易い位置に配されている。このため、スライダーの摺動操作が繰り返し行われることによって、縫製糸の切断を生じさせることも考えられる。
更に、生地90のエレメント部材80が取着される左右の対向縁部は、解れを生じさせ難くするために、生地90の末端部が折り返されて形成されていることがある。この場合、生地90の対向縁部の厚さ(表裏方向の寸法)が大きくなる。しかし、生地90の対向縁部は、スライダーを摺動させるときに、スライダーの上フランジ部及び下フランジ部間に形成される間隙に挿通されるため、対向縁部の厚さが増大すると、スライダーの摺動が重くなることやスライダーに対する生地90の噛み込み等の不具合を生じさせる可能性もあった。
また、特許文献1のエレメント部材80を、ミシンを用いて製品のファスナー被着部材(例えば衣服の生地90)に縫い付ける縫製加工を行う場合、エレメント部材80の隣接するファスナーエレメント82間にミシンの搬送ギアの歯(例えば図17に示す搬送ギア50の歯51)を挿入し、その搬送ギアでファスナーエレメント82を搬送しながら支持することによって、縫製加工中にエレメント部材80が左右方向に揺れることや捩じれること等を抑制している。しかし、このような搬送ギアによるエレメント部材の搬送及び支持をより安定して行うことによって、縫製加工の作業性や作業効率を更に高めることが要望されている。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、スライドファスナー付き製品においてエレメント部材が外力を受けてもファスナーエレメントの姿勢を傾き難くすることが可能なエレメント部材、及び、そのエレメント部材が取着されたスライドファスナー付き製品を提供することにある。更に、二次的な目的として、スライダーとの摩擦に起因する縫製糸の切断といった不具合を生じさせ難くすることが可能な、ファスナー被着部材の厚さに起因するスライダーの摺動性の低下やスライダーへの生地の噛み込みといった不具合を生じさせ難くすることが可能な、又は、ファスナー被着部材に対する縫製加工を安定して行うことが可能なエレメント部材、及び、そのエレメント部材が取着されたスライドファスナー付き製品を提供する。
上記目的を達成するために、本発明により提供されるエレメント部材は、固定部材と、前記固定部材に取着される複数のファスナーエレメントとを有するエレメント部材であって、前記ファスナーエレメントは、前記固定部材に固定されるエレメント固定部と、前記エレメント固定部から前記固定部材の長さ方向に対して直交する幅方向に延出する噛み合い部と、前記エレメント固定部から前記噛み合い部とは反対側に延出するとともに前記長さ方向と前記幅方向とに直交する高さ方向の寸法が前記エレメント固定部よりも小さいヒレ部とを有し、前記ファスナーエレメントは、前記エレメント固定部のみにおいて前記固定部材に固定されていることを最も主要な特徴とするものである。
本発明のエレメント部材において、前記ヒレ部は、前記高さ方向に貫通する1つの貫通孔を有することが好ましい。
また、前記ヒレ部は、高さ方向に直交する第1ヒレ面及び第2ヒレ面と、前記第1ヒレ面及び第2ヒレ面の何れかに前記長さ方向に沿って凹設される収容凹溝部を有することが好ましい。
本発明のエレメント部材において、前記ファスナーエレメントは、前記高さ方向の一方側に配される第1エレメント半部と、前記高さ方向の他方側に配される第2エレメント半部とを有し、前記第1エレメント半部と第2エレメント半部とは、互いに前記高さ方向に非対称な形状を備え、前記第1エレメント半部は、前記エレメント固定部の一部を形成するエレメント胴部と、前記噛み合い部を形成するエレメント首部及び噛合頭部とを有することが好ましい。
この場合、前記第2エレメント半部は、前記エレメント胴部とともに前記エレメント固定部を形成するエレメント基部と、前記エレメント基部から前記幅方向に延出するエレメント延出部とを有し、前記エレメント基部は、前記ファスナーエレメントを前記高さ方向の一方側から見たときに、前記エレメント基部の前記固定部材に固定される幅方向の固定領域における80%以上の範囲において、前記長さ方向の寸法を一定の大きさにして形成され、前記エレメント延出部の前記長さ方向の寸法は、前記エレメント基部から離れる方向に漸減することが好ましい。
更に、前記ファスナーエレメントは、高さ方向の一方側に配される前記第1エレメント半部の第1端面と、高さ方向の他方側に配される前記第2エレメント半部の第2端面とを有し、高さ方向における前記第1エレメント半部の前記第1端面と前記ヒレ部との間の段差は、高さ方向における前記第2エレメント半部の前記第2端面と前記ヒレ部との間の段差よりも大きいことが好ましい。
次に、本発明により提供されるスライドファスナー付き製品は、上述したような特徴を備える2つ一組の前記エレメント部材と、前記エレメント部材がそれぞれ取着される一対のエレメント取付縁部を互いに対向する位置に備えるファスナー被着部材と、複数の前記ファスナーエレメントによって形成されるエレメント列に摺動可能に取着されるスライダーとを有することを特徴とするものである。
本発明のスライドファスナー付き製品において、前記スライダーは、上翼板と、前記上翼板から離間して配される下翼板と、前記上翼板の一端部及び前記下翼板の一端部間を連結する連結柱と、前記下翼板の左右側縁部に配される下フランジ部とを有し、前記スライダーを上方から見た平面視において、前記上翼板の左右側端縁は、前記下翼板の左右側端縁よりも幅方向の内側に配されていることが好ましい。
本発明のエレメント部材では、各ファスナーエレメントが、固定部材に固定されるエレメント固定部と、エレメント固定部から延出するとともに噛合相手のファスナーエレメントと噛み合うことが可能な噛み合い部と、エレメント固定部から噛み合い部とは反対側に板状に延出するヒレ部とを少なくとも有する。また、本発明のファスナーエレメントは、エレメント固定部のみにおいて固定部材に固定されており、ファスナーエレメントの噛み合い部及びヒレ部は、固定部材に直接固定されていない。このような本発明のエレメント部材によれば、エレメント部材を製品のファスナー被着部材に縫着したときに、各ファスナーエレメントのヒレ部をファスナー被着部材に面接触させた状態で縫製部により固定することが可能となる。
このため、例えば本発明のエレメント部材を用いて製造されたスライドファスナー付き製品において、エレメント部材が外力を受けた場合に、ファスナー被着部材に接触して固定されるヒレ部によって、ファスナーエレメントの姿勢がファスナー被着部材に対して傾くことを抑制できる。それにより、ファスナーエレメントがその姿勢の傾きに起因してスライダーに引っ掛かり難くなるため、スライダーの円滑な摺動操作を確保し、製品に一体的に形成されたスライドファスナーを安定して開閉することが可能となる。
このような本発明のエレメント部材において、ファスナーエレメントのヒレ部は、ファスナーエレメントの高さ方向に貫通する1つの貫通孔を有する。これにより、エレメント部材を製品のファスナー被着部材に縫着する縫製加工を行う際に、ミシン針をヒレ部に穿設した貫通孔に通しながらエレメント部材をファスナー被着部材に縫い付けることができるため、ファスナーエレメントのヒレ部を縫製部によってしっかりと安定して固定できる。従って、ファスナー被着部材に対してファスナーエレメントの姿勢が傾くことをより効果的に防止できる。
また、本発明のヒレ部は、高さ方向に直交する第1ヒレ面及び第2ヒレ面と、第1ヒレ面と第2ヒレ面の何れかに長さ方向に沿って凹設される収容凹溝部を有する。これにより、ファスナー被着部材にエレメント部材を縫着された製品において、縫製部の一部をヒレ部の収容凹溝部内に収容して保持できる。従って、ヒレ部の収容凹溝部内に保持されている縫製部をスライダーと接触させ難くすることができるため、スライダーの摺動操作が繰り返し行われても、スライダーとの接触に起因する縫製糸の切断を生じさせ難くすることができる。
本発明のエレメント部材において、ファスナーエレメントは、高さ方向の一方側に配される第1エレメント半部と、高さ方向の他方側に配される第2エレメント半部とを有する。第1エレメント半部と第2エレメント半部とは、互いに高さ方向に非対称な形状を備える。また、第1エレメント半部は、エレメント固定部の一部を形成するエレメント胴部と、噛み合い部を形成するエレメント首部及び噛合頭部とを有する。
各ファスナーエレメントが上述のような形態を有することにより、左右のファスナーエレメントを安定して噛合させることができる。また、ファスナーエレメントの噛合状態を安定して維持することができる。更に、第2エレメント半部は、噛み合い部を持たない形態に形成することが可能となり、それによって、外観品質に優れたスライドファスナー付き製品を製造することが可能となる。
この場合、第2エレメント半部は、第1エレメント半部のエレメント胴部とともにエレメント固定部を形成するエレメント基部と、エレメント基部から幅方向に延出するエレメント延出部とを有する。また、エレメント基部は、ファスナーエレメントを高さ方向の他方側から見たときに、エレメント基部の固定部材に固定される幅方向の固定領域における80%以上の範囲に、好ましくは100%以上の範囲において長さ寸法を一定の大きさにして形成されている。エレメント延出部は、その長さ寸法をエレメント基部から離れる方向に連続的に漸減させる形態に形成されている。
第2エレメント半部が上述のように形成されていることにより、エレメント部材の隣接する第2エレメント半部間に形成される間隔の長さ寸法を、固定部材から離れる方向に漸増させることができる。それにより、本発明のエレメント部材を、ミシンを用いて製品のファスナー被着部材に縫い付ける場合、例えば前記特許文献1のエレメント部材80に比べて、ファスナーエレメントの第2エレメント半部間にミシンの搬送ギアの歯を深く挿入できる。このため、その搬送ギアでファスナーエレメントをより安定して支持できる。従って、エレメント部材の縫製加工をより安定して行うことができ、それによって、縫製加工の作業性や作業効率を高めることができる。
また、本発明のファスナーエレメントは、高さ方向の一方側に配される第1エレメント半部の第1端面と、高さ方向の他方側に配される第2エレメント半部の第2端面とを有する。この場合、高さ方向における第1エレメント半部の第1端面とヒレ部との間の段差は、高さ方向における第2エレメント半部の第2端面とヒレ部との間の段差よりも大きい。すなわち、第1エレメント半部における高さ方向の一方側に配される第1端面とヒレ部の高さ方向の一方側に配される第1ヒレ面との間の高さ寸法が、第2エレメント半部における高さ方向の他方側に配される第2端面とヒレ部の高さ方向の他方側に配される第2ヒレ面との間の高さ寸法よりも大きく設定されている。これにより、本発明のエレメント部材を用いて製造されたスライドファスナー付き製品において、スライダーをスライドファスナーの閉鎖方向に摺動させたときに、スライダーに設けられるフランジ部を、噛み合い部が設けられた第1エレメント半部に安定して摺接させることができ、それによって、左右のファスナーエレメントを円滑に且つ安定して噛合させることができる。
次に、本発明に係るスライドファスナー付き製品は、上述したような特徴を備える2つ一組の前記エレメント部材と、エレメント部材がそれぞれ取着される一対のエレメント取付縁部を互いに対向する位置に備えるファスナー被着部材と、複数のファスナーエレメントによって形成されるエレメント列に摺動可能に取着されるスライダーとを有する。このような本発明のスライドファスナー付き製品によれば、エレメント部材が生地2の表裏方向の外力を受けた場合に、上述したようにファスナーエレメントの姿勢がファスナー被着部材に対して傾くことを抑制できる。それにより、スライダーを円滑に摺動操作できるため、スライドファスナーを安定して開閉することができる。また、スライダーの摺動操作が繰り返し行われても、スライダーとの接触に起因する縫製糸の切断を生じさせ難くすることが可能となる。
このような本発明のスライドファスナー付き製品において、スライダーは、上翼板と、上翼板から離間して配される下翼板と、上翼板の一端部及び下翼板の一端部間を連結する連結柱と、下翼板の左右側縁部に配される左右の下フランジ部とを有する。特に本発明において、上翼板の左右側端縁は、スライダーを上方から見た平面視にて、下翼板の左右側端縁よりも幅方向の内側に配されている。
このようなスライダーを有することにより、ファスナー被着部材が厚く形成される場合でも、その厚いファスナー被着部材によってスライダーの摺動性が低下することを防止できる。また、スライダーの摺動時に厚いファスナー被着部材がスライダーに噛み込まれることを確実に防止できる。
本発明の実施例に係るスライドファスナー付き製品(衣服)の要部を模式的に示す平面図である。 図1に示したII-II線における断面図である。 縫製部によりエレメント部材がファスナー被着部材(生地)に固定されている状態を模式的に示す平面図である。 図3に示したIV-IV線における断面図である。 ファスナーエレメントのみを示す斜視図である。 図5に示したファスナーエレメントを上方から見た平面図である。 図5に示したファスナーエレメントを下方から見た底面図である。 図5に示したファスナーエレメントを長さ方向から見た正面図である。 図5に示したファスナーエレメントを幅方向の噛合頭部側から見た側面図である。 スライダーのスライダー胴体のみを示す斜視図である。 図10に示したスライダー胴体を上方から見た平面図である。 図10に示したスライダー胴体を幅方向から見た側面図である。 エレメント部材をファスナー被着部材(生地)に縫着する縫製加工について模式的に説明する説明図である。 変形例に係るファスナーエレメントを長さ方向から見た正面図である。 別の変形例に係るファスナーエレメントを長さ方向から見た正面図である。 従来のスライドファスナー付き製品を示す平面図である。 従来のエレメント部材を生地に縫着する縫製加工について模式的に説明する説明図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下の各実施例では、スライドファスナー付き製品がスライドファスナー付き衣服である場合について説明するが、本発明に係るスライドファスナー付き製品には、衣服(衣料品)だけでなく、靴類や鞄類などの日用雑貨品、産業用資材などの製品、自動車、列車、航空機等の各種シート類などの様々な製品が含まれる。
図1は、本実施例に係るスライドファスナー付き衣服の要部を模式的に示す平面図であり、図2は、図1に示したII-II線における断面図である。なお、図1及び図2では、エレメント部材を固定する縫製部の図示が省略されている。図3は、縫製部によりエレメント部材が生地に固定されている状態を模式的に示す平面図であり、図4は、図3に示したIV-IV線における断面図である。図5~図9は、ファスナーエレメントを様々な方向から見た模式図であり、図10~図12は、スライダー胴体を様々な方向から見た模式図である。
また、以下の説明において、前後方向とは、スライダーの摺動方向に平行なエレメント部材の長さ方向を言い、特に、スライダーが左右のエレメント列を噛合させるように摺動する方向を前方とし、左右のエレメント列を分離させるように摺動する方向を後方とする。なお、エレメント部材の長さ方向を、長さ方向と略記することもある。
左右方向とは、スライドファスナー付き衣服で一対のエレメント部材が並べられる方向を言う。また、左右方向は、スライダーの摺動方向に直交し、且つ、ファスナー被着部材である生地の表面及び裏面に平行な方向であり、エレメント部材の幅方向と言い換えることもできる。
上下方向とは、前後方向と左右方向とに直交する方向を言い、例えばファスナー被着部材である生地の表面及び裏面に直交するエレメント部材の高さ方向(又は厚さ方向)を言う。特にこの場合、衣服を製造したときに生地の外面側となる向きを上方とし、その反対側の向きを下方とする。また具体的には、本実施例の場合、前後方向は図1の紙面における上下の方向であり、左右方向は図2の紙面における左右の方向である。また、上下方向は図2の紙面における上下の方向を言う。
本実施例1に係るスライドファスナー付き製品は、スライドファスナー付き衣服1であり、この衣服1において開閉部となる前身頃(特に、前立て部)に左右のエレメント取付縁部3が互いに対向して設けられる。また、衣服1の左右のエレメント取付縁部3にエレメント部材10がそれぞれ縫着されることによって、エレメント部材10の複数のファスナーエレメント20からなる左右のエレメント列12が形成されている。この場合、衣服1の前立て部を形成する生地2(ガーメント生地とも言う)が、エレメント部材10が取着されるファスナー被着部材となる。更に、これらの左右のエレメント列12には、スライダー40がエレメント列12に沿って摺動可能に取り付けられている。
この場合、左右のエレメント取付縁部3は、生地2の裁断端部となる側端縁が左右方向にU字状に折り返されることによって形成されている。これにより、エレメント取付縁部3が厚く形成されるため、エレメント取付縁部3の強度が高められる。また、生地2の側端縁に解れが生じていても、その解れをエレメント取付縁部3の裏面側に隠せるため、解れに起因してエレメント列12の噛み合わせが悪くなることや、スライダー40の摺動操作に支障が生じることを防止できる。なお、エレメント取付縁部3が厚いとは、エレメント取付縁部3の厚さ寸法(厚さ方向の寸法)が大きいことを言う。なお本発明において、衣服1の生地2は特に限定されるものではなく、適宜選択することができる。
本実施例における左右のエレメント部材10は、幅方向に互いに略平行に並べられて衣服1の左右のエレメント取付縁部3に、長さ方向に沿って縫着されている。左右の各エレメント部材10は、複数の独立したファスナーエレメント20(単独エレメントとも言う)と、これら複数のファスナーエレメント20を一定の間隔で連結する1本の紐状の固定部材11(連結部材とも言う)とを有する。
本実施例1の固定部材11は、引き揃えられた複数本のマルチフィラメントからなる芯糸を、複数の編糸で編成される袋織部で包み込むことにより形成される紐体(ニットコードとも言われる)であり、可撓性を備える。なお本発明で用いられる固定部材11は、複数のファスナーエレメントを取着することができれば特に限定されず、例えばモノフィラメントや撚糸(撚紐)により形成されていても良い。また、固定部材11の断面形状も特に限定されない。更に本発明において、1つのエレメント部材は、平行に配される2本以上の固定部材に複数のファスナーエレメントが取着されて形成されていても良い。
各エレメント部材10では、複数のファスナーエレメント20が、固定部材11の長さ方向に沿って、互いに同じ姿勢(向き)となるように固定部材11に等間隔で固定されている。これらのファスナーエレメント20は、例えば、ポリアミド、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を1本の固定部材11に射出成形することにより、固定部材11と一体的に形成されている。
なお本発明において、ファスナーエレメントの材質は、上述した熱可塑性樹脂に限定されるものではなく、例えばファスナーエレメントをその他の合成樹脂又は金属で形成することも可能である。また、本発明のエレメント部材は、ファスナーエレメントが固定部材に直接射出成形されて形成されたものに限定されず、例えば、予め所定の形状に形成された複数のファスナーエレメントが、溶着若しくは接着によって固定部材に固定されたもの、又は、押圧によるファスナーエレメントの塑性変形を利用して固定部材に取り付けられたものを含む。
本実施例の各ファスナーエレメント20は、図5~図9に示したように、固定部材11を内側に包み込んで形成されるエレメント本体部21と、エレメント本体部21から幅方向における生地2の内側に向けて板状に延出するヒレ部24とを有する。
この場合、エレメント本体部21は、固定部材11に固定されるエレメント固定部22と、エレメント固定部22から幅方向における生地2の外方側(噛合相手のエレメント部材10側)に向けて延出するとともに噛合相手のファスナーエレメント20と噛み合わせられる噛み合い部23とを少なくとも有する。また、固定部材11は、エレメント固定部22を前後方向に貫通して配されており、ファスナーエレメント20の噛み合い部23とヒレ部24とには挿通されていない。このため、各ファスナーエレメント20は、エレメント固定部22のみが固定部材11に保持されることによって、固定部材11に固定されている。
本実施例のエレメント本体部21は、高さ方向の下側に配される第1エレメント半部(エレメント下半部)31と、高さ方向の上側に配されるとともに第1エレメント半部31とは高さ方向に非対称な形状を備える第2エレメント半部(エレメント上半部)36とを有する。この場合、ファスナーエレメント20の高さ方向に関して、ヒレ部24が形成される形成範囲(ヒレ部24の上面から下面までの高さ方向の範囲)内には、エレメント本体部21における第1エレメント半部31と第2エレメント半部36の境界部30が含まれる。
本実施例1の第1エレメント半部31は、第2エレメント半部36とともに固定部材11を包み込むエレメント胴部32と、エレメント胴部32からエレメント部材10の幅方向に延出するとともに長さ寸法(長さ方向の寸法)が所定の位置で最も小さくなるように括れた形状を有するエレメント首部33と、エレメント首部33から幅方向に延出する噛合頭部34とを有する。噛合頭部34は、エレメント部材10を下方から見た底面視にて略長円形を呈する形状を備える。このような第1エレメント半部31では、エレメント首部33と噛合頭部34とにより、噛合相手のエレメント部材10のファスナーエレメント20と係合する噛み合い部23が形成されている。
本実施例1において、エレメント胴部32及びエレメント首部33は、厚さ方向に直交して配される下面(第1エレメント面)32a,33aを有しており、エレメント胴部32の下面32aとエレメント首部33の下面33aとは、連続する単一の平坦面に形成されている。噛合頭部34の下面は、ファスナーエレメント20の正面視(図8)において、第1エレメント半部31の厚さ寸法が生地2から離れるにつれて漸減する湾曲面に形成されている。また、ファスナーエレメント20を噛合頭部34側から見た場合、噛合頭部34の前面部及び後面部は、前方又は後方に向けて噛合頭部34の厚さ寸法を漸減させる湾曲面を有する。
更に本実施例1のファスナーエレメント20において、第1エレメント半部31と第2エレメント半部36との境界部30は、第1エレメント半部31のエレメント首部33と噛合頭部34の間に段差30aが設けられるように形成されている。この場合、噛合頭部34に形成される境界部30が、エレメント首部33に形成される境界部30よりも下方の位置(第1エレメント半部31の下面に近い位置)に配されている。これにより、スライダー40を摺動させて左右のファスナーエレメント20を噛み合わせるときに、噛合頭部34を噛合相手のファスナーエレメント20のエレメント首部33に嵌入させ易くすることができる。
第2エレメント半部36は、第1エレメント半部31のエレメント胴部32とともに固定部材11を包み込んでエレメント固定部22を形成するエレメント基部37と、エレメント基部37からエレメント部材10の幅方向に延出するエレメント延出部38とを有する。第2エレメント半部36のエレメント基部37は、略直方体状の形態を有する。この場合、第1エレメント半部31のエレメント胴部32と、第2エレメント半部36のエレメント基部37とにより、ファスナーエレメント20の固定部材11に固定されるエレメント固定部22が形成されている。
特に本実施例のエレメント基部37は、エレメント胴部32及びエレメント首部33の下面32a,33aに対して平行に配される上面(第2エレメント面)37aを有し、また、互いに平行で且つ幅方向に沿って形成される前端面37b及び後端面37cを有する。この場合、エレメント基部37における前端面37bと後端面37c間の長さ寸法は、ファスナーエレメント20を上方から見た平面視(図6)において、エレメント基部37の固定部材11に固定される幅方向の固定領域における80%以上の範囲で、好ましくは100%以上の範囲で一定の大きさに設定されている。言い換えると、エレメント基部37の平坦な前端面37b及び後端面37cの幅寸法(幅方向の寸法)は、ファスナーエレメント20の平面視で、固定部材11の幅寸法の80%以上の大きさを、好ましくは100%以上の大きさを有する。なお、エレメント基部37の固定部材11に固定される幅方向の固定領域は、固定部材11の幅方向における配置領域と言うこともできる。
これにより、ファスナーエレメント20の射出成形後にファスナーエレメント20が冷却に伴って収縮するとき、固定部材11における幅方向の一方側の端部と幅方向の他方側の端部との間でエレメント基部37の長さ方向の熱収縮量に差が生じることを防止でき、又は熱収縮量に差を生じさせ難くすることができる。ここで、例えば固定部材11における幅方向の一方側の端部と幅方向の他方側の端部との間にファスナーエレメントの上記収縮量の差が生じる場合、ファスナーエレメントの冷却後に得られるエレメント部材は、幅方向の一方側(左側又は右側)に反るように湾曲する形態に形成される可能性がある。
一方、本実施例の場合、第2エレメント半部36のエレメント基部37は、固定部材11における幅方向の一方側の端部と幅方向の他方側の端部との間でファスナーエレメント20の収縮量に差が生じないように、又は生じ難いように形成される。このため、エレメント部材10は、ファスナーエレメント20の収縮に起因する上述のような湾曲状の形態に形成され難くなり、前後方向にまっすぐに延びる直線状の形態を安定して有することができる。
また、本実施例のファスナーエレメント20は、エレメント基部37の上面37aから固定部材11までの高さ寸法(特に高さ寸法の最小値)を、第1エレメント半部31におけるエレメント胴部32の下面32aから固定部材11までの高さ寸法(特に高さ寸法の最小値)よりも小さくして形成されている。
更に本実施例のエレメント基部37は、例えば図4及び図8に示すように、エレメント基部37の上面37aからヒレ部24の上面に向けて幅方向に下り傾斜するヒレ側側面部37dを有する。例えば後述するようにファスナーエレメント20のヒレ部24の上面に生地2を載置してエレメント部材10と生地2に対して縫製加工を行う場合、生地2の側面部を、このエレメント基部37のヒレ側側面部37d(言い換えると、エレメント基部37の上面37aとヒレ部24の上面との間の段差)に当てることにより、生地2に対してエレメント部材10の位置決めを行うことができる。
なお、このヒレ側側面部37dは、上述のように幅方向に下り傾斜する傾斜面ではなく、幅方向に対して直交して配される平面によって形成されていてもよい。このように幅方向に直交するヒレ側側面部37dは、エレメント基部37の上面37a及びヒレ部24の上面に対して直交している。ヒレ側側面部37dが幅方向に直交して配されることにより、上述のような生地2に対するエレメント部材10の位置決めをより安定して行うことができる。更に、エレメント基部37のヒレ側側面部37dに生地2の側面部を接触させた状態でエレメント部材10が生地2に縫着されることによって、生地2に対するファスナーエレメント20の姿勢(向き)をより安定させることができる、それによって、ファスナーエレメント20が生地2の表面(上面)側又は裏面(下面)側に傾くことを効果的に抑制できる。
第2エレメント半部36のエレメント延出部38は、エレメント基部37から噛合相手に近付くように(エレメント取付縁部3から離れるように)幅方向に延出する延出本体部38aと、延出本体部38aの先端部に一体的に設けられるとともに上方に隆起する先端隆起部38bとを有する。
本実施例の延出本体部38aは、エレメント基部37よりも厚さ寸法を小さくして形成されており、エレメント基部37の上面37aと延出本体部38aの上面との間には段差が設けられている。また、延出本体部38aは、延出本体部38aの長さ寸法(長さ方向の寸法)をエレメント基部37から離れるにつれて漸減させる先細りの形状に形成されており、ファスナーエレメント20の平面視(図6)において略台形(等脚台形)を呈する。特に本実施例において、延出本体部38aの前端縁及び後端縁は、延出本体部38aの長さ寸法を先端に向けて一定の割合で連続的に漸減させるように直線状に形成されている。
本実施例のエレメント部材10では、長さ方向に隣接するファスナーエレメント20の第2エレメント半部36間に、後述するようにエレメント部材10を生地(ファスナー被着部材)2に縫い付ける縫製加工を行うときに(図13を参照)、ミシンの搬送ギア50の歯51を挿入可能なギア挿入間隙28が形成される。この場合、延出本体部38aが上述のような先細りの形状を有するため、第2エレメント半部36間に形成されるギア挿入間隙28を、固定部材11から離れるにつれて長さ方向に増大させることができる。それによって、例えば第1エレメント半部31の噛合頭部34間に搬送ギア50の歯51を挿入可能な間隙に比べて、ギア挿入間隙28を長さ方向に広く確保できる。このため、ミシンの搬送ギア50の歯51を第2エレメント半部36間のギア挿入間隙28に深く挿入することが可能となる。その結果、第2エレメント半部36と搬送ギア50の歯51とを安定して噛み合わせることができる。
また本実施例において、延出本体部38aのエレメント基部37と連結する基端部における長さ寸法は、エレメント基部37における長さ寸法の最大値の50%以上100%以下に設定される。更に、延出本体部38aの先端部における長さ寸法は、延出本体部38aの基端部における長さ寸法の30%以上90%以下に設定され、又は、第1エレメント半部31の噛合頭部34の長さ寸法の最大値の30%以上90%以下に設定される。延出本体部38aが上述のような寸法で形成されることにより、延出本体部38aの強度を安定して確保でき、また、長さ方向に隣接するファスナーエレメント20のエレメント延出部38間に、上述したようなギア挿入間隙28を安定して形成できる。
エレメント延出部38の先端隆起部38bは、延出本体部38aの先端部に配されるとともに、延出本体部38aから上方に向けて長さ寸法を漸減させるように膨出している。この先端隆起部38bの上面は、厚さ方向に直交する平坦面に形成されているとともに、エレメント基部37の上面37aと同じ高さ位置で平行に配されている。すなわち、先端隆起部38bの上面は、エレメント基部37の上面37aを幅方向に延長させた仮想平面に含まれるように設けられている。このようにエレメント基部37の上面37aと先端隆起部38bの上面とが同じ平面に含まれるように配されていることによって、スライダー40の後述するエレメント案内路内にファスナーエレメント20を導入したときに、そのファスナーエレメント20のエレメント基部37及び先端隆起部38bの各上面と、スライダー40の上翼板42の内面とを対面させることができ、それによって、エレメント案内路内でのファスナーエレメント20の向き(姿勢)を安定させることができる。
なお本実施例では、エレメント基部37の上面37aと延出本体部38aの上面との間に段差が設けられているとともに、延出本体部38aの先端部に先端隆起部38bが設けられている。しかし、本発明のファスナーエレメントでは、先端隆起部を設けずにエレメント延出部が形成されていても良い。また本発明のファスナーエレメントでは、エレメント基部37と延出本体部38aとの間の段差、及び先端隆起部38bを設けることなく、エレメント基部の上面と延出本体部の上面とが連続する同一平面を形成するようにエレメント延出部が形成されていても良い。
本実施例のエレメント本体部21(第1エレメント半部31及び第2エレメント半部36)の生地2に対向する対向側面には、ヒレ部24が、エレメント胴部32の下面32a及びエレメント基部37の上面37aと平行な方向に突出している。この場合、ヒレ部24は、第1エレメント半部31のエレメント胴部32と、第2エレメント半部36のエレメント基部37の両方に連結している。また、ヒレ部24の下面(第1ヒレ面)は、ファスナーエレメント20の正面視(図8)において、固定部材11の下端位置よりも下側に配されており、ヒレ部24の上面(第2ヒレ面)は、固定部材11の上端位置よりも上側に配されている。
ヒレ部24における上面から下面までの厚さ寸法は、エレメント固定部22の厚さ寸法(すなわち、エレメント基部37の上面37aからエレメント胴部32の下面32aまでの厚さ寸法)の10%以上50%以下に設定される。ヒレ部24の厚さ寸法がエレメント固定部22の厚さ寸法の10%以上であることにより、ヒレ部24の適切な強度を安定して確保できる。
また、ヒレ部24の厚さ寸法がエレメント固定部22の厚さ寸法の50%以下であることにより、エレメント胴部32の下面32aとヒレ部24の下面との間と、エレメント基部37の上面37aとヒレ部24の上面との間とに、それぞれ適切な高さ寸法(高さ方向の寸法)H1,H2を備える段差を安定して設けることができる。
この場合、エレメント胴部32の下面32aとヒレ部24の下面との間に上記段差を設けることにより、スライダー40をエレメント列12の閉鎖方向に向けて摺動させるときに、左右のファスナーエレメント20をスライダー40の後述する左右の下フランジ部45に安定して係合させ、左右のファスナーエレメント20を円滑に噛み合わせることができる。
また、エレメント基部37の上面37aとヒレ部24の上面との間に上記段差を設けることにより、エレメント部材10を生地2のエレメント取付縁部3に縫着する縫製加工を行う際に、生地2のエレメント取付縁部3に対してエレメント部材10の位置を合わせ易くすることができる。また、生地2の位置がファスナーエレメント20の先端側に少しずれたとしても、生地2がエレメント基部37の上面37aを被覆し難くすることができる。更に、エレメント基部37の上面37aとヒレ部24の上面との間の段差によって生地2のエレメント取付縁部3の厚さを吸収できる。それによって、エレメント取付縁部3の上面をエレメント基部37の上面37aよりも低い高さ位置に配置し易くできるため、生地2のエレメント取付縁部3をスライダー40に対して干渉し難くすることができる。
この場合、エレメント胴部32の下面32aとヒレ部24の下面との間に形成される段差の高さ寸法H1は、エレメント基部37の上面37aとヒレ部24の上面との間に形成される段差の高さ寸法H2よりも大きく設定されている。これにより、スライダー40をスライドファスナーの閉鎖方向に向けて摺動させたときに、スライダー40の後述する左右の下フランジ部45を、より安定してファスナーエレメント20の第1エレメント半部31に摺接させることができる。なお本発明において、エレメント固定部22に対するヒレ部24の高さ方向における形成位置は、例えば生地2のエレメント取付縁部3の厚さ等に応じて任意に変更することが可能である。
本実施例において、ヒレ部24の長さ寸法は、第2エレメント半部36におけるエレメント基部37の長さ寸法の50%以上100%以下に設定されている。ヒレ部24の幅寸法は、エレメント基部37の幅寸法の100%以上200%以下に設定されている。ヒレ部24の長さ寸法がエレメント基部37の長さ寸法の50%以上に設定され、又は、ヒレ部24の幅寸法がエレメント基部37の幅寸法の100%以上に設定されていることにより、生地2に縫着されたヒレ部24を生地2に安定して面接触させることができる。このため、例えばエレメント部材10が生地2の表裏方向の外力を受けても、ファスナーエレメント20の姿勢を安定して保持し、ファスナーエレメント20が生地2の表面(上面)側又は裏面(下面)側に傾くことを抑制できる。
また、ヒレ部24の長さ寸法がエレメント基部37の長さ寸法の100%以下に設定されていることにより、長さ方向に隣接するファスナーエレメント20のヒレ部24間に適切な空間部を設けることができ、それによって、エレメント部材10を後述するような縫製加工で生地2のエレメント取付縁部3に取り付ける際に、ミシン針をヒレ部24に接触させることなく、縫製加工を円滑に且つ安定して行うことができる。
更に、ヒレ部24の長さ寸法がエレメント基部37の長さ寸法の100%以下に設定され、且つ、ヒレ部24の幅寸法がエレメント基部37の幅寸法の200%以下(好ましくは150%以下)に設定されていることにより、エレメント部材10が生地2のエレメント取付縁部3に縫着されたときに、硬いヒレ部24と生地2のエレメント取付縁部3との接触範囲が大きくなり過ぎることを防止できる。それにより、エレメント部材10を縫着させたエレメント取付縁部3は、適切な柔軟性を有することができる。
本実施例のヒレ部24には、生地2の表裏方向(ファスナーエレメント20の厚さ方向)に貫通する1つの貫通孔24aが穿設されている。この貫通孔24aは、エレメント部材10を生地2のエレメント取付縁部3に縫い付ける縫製加工においてミシン針を挿通させる部分であり、また、この貫通孔24aの位置で、後述する縫製部15を生地2に刺通させることができる。これにより、ファスナーエレメント20のヒレ部24を縫製部15で生地2にしっかりと固定でき、ファスナーエレメント20がより安定して所定の姿勢を維持できる。本実施例において、ヒレ部24の貫通孔24aは、ミシン針を安定して挿通させるために、ファスナーエレメント20の平面視において1mm以上の直径を有する円形に形成されていることが好ましい。
また、本実施例のヒレ部24には、縫製部15の縫製糸を収容する収容凹溝部24bがヒレ部24の下面に凹設されている。この収容凹溝部24bは、ヒレ部24の前端縁から後端縁まで長さ方向に沿って形成されており、且つ、ヒレ部24に設けた貫通孔24aに接続されている。このような収容凹溝部24bが設けられていることにより、縫製部15の縫製糸を収容凹溝部24b内に収容して保持できる。これにより、ヒレ部24の収容凹溝部24b内に保持されている縫製糸をスライダー40と接触させ難くすることができるため、スライダー40の摺動操作が繰り返し行われても、スライダー40との接触に起因する縫製糸の切断を生じさせ難くすることができる。
上述のような形態を有する本実施例のファスナーエレメント20は、上下に分離する固定型と可動型を有する金型を用いて射出成形を行うことによって、固定部材11に一体的に形成される。一方、例えば前記特許文献1に記載されているファスナーエレメント82の場合、噛合頭部の先端部に長さ方向に沿った凹溝部が設けられているため、射出成形に用いる金型は、固定型、可動型、及びスライドコアを有することが必要となる。このため、本実施例のファスナーエレメント20は、前記特許文献1のファスナーエレメント82に比べて、より簡単な構造の金型を用いて成形可能であるため、製造コストの削減が図れる。
本実施例のエレメント部材10において、長さ方向に隣接するファスナーエレメント20のエレメント固定部22間には、固定部材11が露出する間隙が形成されている。このファスナーエレメント20間のそれぞれの間隙において、エレメント部材10が縫製部15によって生地(ファスナー被着部材)2に縫着されたときに、露出した固定部材11が縫製部15によってしっかりと保持されて固定される。
本実施例において、左右の各エレメント部材10は、所定の形状に裁断された生地2の対向縁部に、縫製糸の縫製部15によって取り付けられている。エレメント部材10を固定する縫製部(縫製線)15は、千鳥縫いミシンによる縫製加工が行われることにより、本縫いによって連続的に形成されている。
ここで、千鳥縫いミシンとは、上糸(針糸)及び下糸(ボビン糸)からなる縫製糸を用いて、ミシンの送り方向に対して交差する交差方向にミシン針を揺動させながら、生地2等を本縫いで縫うことが可能なミシンである。本実施例で用いる千鳥縫いミシンには、図示しない針板と、生地2及びエレメント部材10を下流側に送る図示しない送り歯と、送り歯による送り動作に同期して回転する図13に示すような搬送ギア50とが設けられている。また、図示しない針板には、ファスナーエレメント20の一部を挿通させる挿通溝部がエレメント部材10の送り方向に沿って形成されている。
この場合、搬送ギア50は、エレメント部材10の長さ方向に隣接する2つのファスナーエレメント20間に形成されたギア挿入間隙28に挿入可能な複数の歯51を有する。また、搬送ギア50は、生地2とエレメント部材10の送り方向を前方にして上側から見た場合(図13を参照)、ミシン針の位置よりも右側の所定位置に配されているとともに、ファスナーエレメント20の第2エレメント半部36に噛み合うことが可能な所定の高さ位置に配されている。
このような搬送ギア50は、搬送ギア50の複数の歯51をエレメント部材10の第2エレメント半部36間に形成されたギア挿入間隙28に順番に挿入しながら時計回り方向に回転する。これによって、エレメント部材10を、千鳥縫いミシンの図示しない送り歯とともに、ミシン針の昇降動作に合わせて前方(図13における紙面の上方)に向けて安定して搬送できる。
また、千鳥縫いミシンを用いて、エレメント部材10を生地2のエレメント取付縁部3に縫着する場合、千鳥縫いミシンには、図3に仮想線の円で示したような針落ち位置55の座標データが事前に設定される。本実施例の場合、各ファスナーエレメント20のヒレ部24に設けた貫通孔24aの位置と、ヒレ部24間に形成される間隙の貫通孔24aに対応する位置で縫製糸を生地2のエレメント取付縁部3に刺通させるとともに、固定部材11の外周面に接する位置で縫製糸(上糸及び下糸)を交差(交絡)させるように座標データが設定される。なお、エレメント部材10及び生地2に対する針落ち位置55は、図3に示した位置に限定されず、任意に変更可能である。
上述のような千鳥縫いミシンを用いて本実施例のエレメント部材10及び生地2に対して縫製加工を行う場合、先ず、千鳥縫いミシンの針板の上に、エレメント部材10と生地2とを、エレメント部材10が生地2に対してそのエレメント取付縁部3の幅方向の外側に隣接する位置に並べられた状態にセットする。このとき、各ファスナーエレメント20のヒレ部24の上面に生地2を載置する。更に、ファスナーエレメント20のエレメント基部37の上面37aとヒレ部24の上面との間に形成された段差に生地2の側面部を当てることによって、生地2に対してエレメント部材10を所定の位置関係で保持する。
ミシンにエレメント部材10及び生地2を上述のようにセットした後、エレメント部材10及び生地2を、千鳥縫いミシンの送り歯と搬送ギア50とによって送りながら、事前に設定した座標データに従ってミシン針を昇降させることによって、エレメント部材10を生地2のエレメント取付縁部3に縫着する縫製加工を行う。
このとき、本実施例のエレメント部材10では、上述したように、噛合頭部34を備える第1エレメント半部31と第2エレメント半部36とが高さ方向に非対称に形成されているとともに、第2エレメント半部36のエレメント延出部38(延出本体部38a)が先細りの形態に形成されている。このため、長さ方向に隣接するファスナーエレメント20の第2エレメント半部36間には、ギア挿入間隙28が長さ方向に比較的広く設けられている。
ここで、従来のエレメント部材70をミシンの図示しない送り歯と搬送ギア50とによって送る場合におけるファスナーエレメント71と搬送ギア50の歯51との噛み合いの状態を図17に模式的に示す。従来のエレメント部材70の場合、長さ方向に隣接するファスナーエレメント71間には、搬送ギア50の歯51を挿入可能なギア挿入間隙78が、図17に二点鎖線で示すように設けられる。しかしこの場合、ファスナーエレメント71の噛合頭部が長さ方向に長い略長円形の形状に形成されるため、ギア挿入間隙78の大きさが噛合頭部によって狭められている。このため、ギア挿入間隙78に挿入される搬送ギア50の歯51の挿入深さが噛合頭部によって制限される。
これに対して、本実施例のエレメント部材10の場合、図13に二点鎖線で示すように、第2エレメント半部36間に設けられるギア挿入間隙28を、第1エレメント半部31の噛合頭部34とは異なる高さ方向の範囲に形成できる。更に、ギア挿入間隙28を、図17に示したギア挿入間隙78に比べて長さ方向に大きく形成できる。これにより、本実施例のエレメント部材10のファスナーエレメント20間に搬送ギア50の歯51をより深くまで挿し込むことができる。それによって、エレメント部材10のファスナーエレメント20と搬送ギア50とをしっかりと噛み合わせることができる。
このため、搬送ギア50によって、ファスナーエレメント20を円滑に搬送できるとともに、ファスナーエレメント20を安定して支持できる。従って、縫製加工時にエレメント部材10が左右方向に揺れることや捩じれることを効果的に防止し、エレメント部材10を生地2のエレメント取付縁部3に安定して縫着することができる。その結果、縫製加工の作業性や作業効率の向上を図ることができる。
そして、千鳥縫いミシンでエレメント部材10及び生地2を送りながら縫製を行うことによって、エレメント部材10を、本縫いにより形成される縫製部15で、生地2のエレメント取付縁部3にしっかりと固定できる。またこのとき、エレメント部材10を固定する縫製部15の一部は、ファスナーエレメント20のヒレ部24に設けた収容凹溝部24b内に挿入されて保持される。なお、本実施例の縫製部15は、本縫いにより形成されているが、本発明では、エレメント部材を固定する縫製部を本縫い以外で形成することも可能である。
本実施例のエレメント列12に取り付けられるスライダー40は、スライダー胴体41と、図示しない引手とを有する。本実施例のスライダー胴体41は、図10~図12に模式的に示したように、上翼板42と、上翼板42と離間して平行に配される下翼板43と、上翼板42及び下翼板43の前端部(肩口側端部)間を連結する連結柱44と、下翼板43の左右側縁部に立設される左右の下フランジ部45と、上翼板42の上面に設けられる引手取付部46とを有する。スライダー胴体41の引手取付部46には、図示しない引手が取り付けられる。
スライダー胴体41の前端部には、左右の肩口が連結柱44の左右両側に形成されている。スライダー胴体41の後端部には後口が形成されている。上翼板42と下翼板43との間には、左右の肩口と後口とを連通する略Y字形状のエレメント案内路が形成されている。
本実施例のスライダー40において、上翼板42の下面全体は平坦な平面に形成されており、上翼板42の下面には、下翼板43に向けてファスナーエレメント20に係合するように突出する突出部が設けられていない。また、左右の下フランジ部45は、ファスナーエレメント20に係合可能なように下翼板43の左右側縁部に起立している。下フランジ部45における下翼板43の上面(内面)からの高さ寸法は、ファスナーエレメント20のエレメント胴部32の下面32aとヒレ部24の下面との間に設けられた高さ方向の段差の大きさに対応して設定される。
更に、本実施例の上翼板42は、下翼板43よりも幅寸法を小さくして形成されており、スライダー40を上方から見た平面視(図11)において、上翼板42の左右側端縁が、スライダー40の長さ方向の全体において、下翼板43の左右側端縁よりも幅方向の内側に配される。特にこの場合、上翼板42の左右側端縁は、スライダー40の平面視において、左右の下フランジ部45の内側縁と重なる位置に、又は左右の下フランジ部45よりも幅方向の少し内側に配される。すなわち、スライダー40の平面視において、左右の下フランジ部45は、上翼板42よりも幅方向の外側に露出して配されている。
なお、上翼板42は、上翼板42の左右側端縁間の幅寸法が、下翼板43の対応する位置における幅寸法の50%以上、特に60%以上となるように形成されることが好ましい。これにより、スライダー胴体41のエレメント案内路内に導入されたファスナーエレメント20を上翼板42で上面側から適切に被覆して(又は押さえて)、ファスナーエレメント20が上翼板42と下フランジ部45との間の間隙から外部に抜け出ることを防止できる。
本実施例の上翼板42が、上述のように下翼板43よりも幅寸法を小さくして形成されることによって、スライダー胴体41のエレメント案内路内にファスナーエレメント20を導入したときに、図2に示すように、エレメント部材10が縫着された生地2のエレメント取付縁部3を、上翼板42の左右側端縁よりも外側の位置に配置できる。これにより、生地2のエレメント取付縁部3の厚さが、例えばファスナーエレメント20のエレメント基部37の上面37aとヒレ部24の上面との間に設けられた高さ方向の段差よりも大きくなる場合であっても、生地2のエレメント取付縁部3がスライダー40の上翼板42と下フランジ部45との間に挟み込まれることはない。また、エレメント取付縁部3がスライダー40の上翼板42に干渉することも抑制できる。このため、生地2のエレメント取付縁部3の厚さに起因して、スライダー40の摺動性や操作性が低下することを防止でき、また、スライダー40の摺動操作に支障が生じることを防止できる。
以上のようなエレメント部材10が左右の生地2のエレメント取付縁部3に縫着された本実施例の衣服1によれば、従来のスライドファスナーでは必須であったファスナーテープの存在を省略した形態で、スライドファスナーの機能を有することができる。これにより、スライドファスナー付き衣服1について、製造コストの削減、衣服1の軽量化、衣服1の柔軟性の向上を実現できる。
また本実施例の衣服1では、各ファスナーエレメント20のヒレ部24が生地2に面接触した状態で縫製部15によって生地2に固定されている。このため、ヒレ部24によってファスナーエレメント20の姿勢をエレメント固定部22の上面37a及び下面32aが生地2の表面及び裏面と平行となるように安定して保持することができる。従って、例えばエレメント部材10に外力が加えられても、ファスナーエレメント20の姿勢が生地(ファスナー被着部材)2に対して傾くことを抑制できる。その結果、スライダー40の摺動操作を円滑に行うことができる。このため、衣服1に一体的に形成されたスライドファスナーを安定して開閉することが可能となる。
更に本実施例の衣服1では、スライダー40を摺動させるときに、スライダー40の下フランジ部45が、複数のファスナーエレメント20のヒレ部24に摺接しながら長さ方向に沿って移動し、又はヒレ部24に接近する位置で長さ方向に沿って移動する。一方、ファスナーエレメント20のヒレ部24には長さ方向に沿った収容凹溝部24bが凹設されている。更に、その収容凹溝部24bに縫製部15の縫製糸が収容されている。これにより、スライダー40の摺動時にスライダー40の下フランジ部45が縫製部15に擦れることを防止できるため、スライダー40の摺動操作が繰り返し行われても、スライダー40の下フランジ部45との接触に起因して縫製糸が切れることを防止できる。
なお、上述した実施例では、生地2をファスナーエレメント20のヒレ部24の上面に接触させた状態で縫製加工を行うことによって、エレメント部材10が生地2に縫製部15によって縫着されている。この場合、縫製部15を収容するためにファスナーエレメント20のヒレ部24に形成される収容凹溝部24bは、図8に示したように、ヒレ部24の生地2に接触しない側の下面に設けられている。
しかし本発明では、例えば図14に変形例に係るファスナーエレメント20aの正面図を示すように、ファスナーエレメント20aにおけるヒレ部25の上面に、縫製部を収容するための収容凹溝部25bを長さ方向に沿って設けてもよい。この場合、収容凹溝部25bは、ヒレ部25に設けた貫通孔24aに接続されている。なお、図14、及び以下で説明する図15において、上述の実施例に係るエレメント部材10と実質的に同じ形態又は構造を有する部分又は部材については同じ符号を用いて表すことによって、その説明を省略する。
図14に示したように、収容凹溝部25bがヒレ部25の上面に設けられている場合には、生地をファスナーエレメント20aのヒレ部25の下面に接触させた状態で縫製加工を行うことによって、ファスナーエレメント20aを有するエレメント部材を生地に縫着させることができる。また、ヒレ部25の上面に設けた収容凹溝部25bには縫製部の縫製糸を収容できるため、その縫製糸をスライダーと接触させ難くすることができる。
なお、図14に示したファスナーエレメント20aでは、エレメント胴部32の下面32aとヒレ部25の下面との間に形成される段差の高さ寸法H1が、エレメント基部37の上面37aとヒレ部25の上面との間に形成される段差の高さ寸法H2よりも大きくなっている。しかし図14に示したファスナーエレメント20aを有するエレメント部材によって形成されるスライドファスナー付き製品では、スライダーのフランジ部(上フランジ部)がヒレ部25の上面側に配される。このため、本発明では、図14に示したファスナーエレメント20aに関して、例えばエレメント基部37の上面37aとヒレ部25の上面との間に形成される段差の高さ寸法H2を、エレメント胴部32の下面32aとヒレ部25の下面との間に形成される段差の高さ寸法H1よりも大きくすることも可能である。それによって、スライダーをスライドファスナーの閉鎖方向に向けて摺動させたときに、スライダーに設けられたフランジ部を、ファスナーエレメント20aに対してより安定して摺接させて、左右のファスナーエレメントを噛み合わせることができる。
また上述した実施例のファスナーエレメント20では、図8に示したように、ヒレ部24の下面が高さ方向において固定部材11の下端位置よりも下側に配されるようにヒレ部24が設けられている。これによって、ヒレ部24を適切な厚さで形成でき、且つ、エレメント基部37の上面37aとヒレ部24の上面との間の段差を、その段差の高さ寸法H2が生地2の厚さを吸収可能な大きさとなるように形成できる。
しかし本発明では、上述したように、ファスナーエレメントにおけるヒレ部の形成位置を高さ方向に変更することが可能である。例えば本発明では、図15に別の変形例に係るファスナーエレメント20bの正面図を示すように、ファスナーエレメント20bのヒレ部26を、例えば図8に示した前記実施例に係るファスナーエレメント20よりも上側の位置に設けることも可能である。図15に示したファスナーエレメント20bの場合、ヒレ部26は、ヒレ部26の下面が高さ方向において固定部材11の下端位置よりも上側に配されるように形成されている。
これにより、図15のファスナーエレメント20bでは、図8の前記実施例に係るファスナーエレメント20に比べて、上述した高さ寸法H2が小さくなるものの、上述した高さ寸法H1を大きくすることができる。従って、スライダーをスライドファスナーの閉鎖方向に向けて摺動させたときに、スライダーに設けられた左右の下フランジ部を、より安定してファスナーエレメント20bの第1エレメント半部31に摺接させることができる。このため、左右のファスナーエレメント20bをより安定して噛み合わせることができる。
更に本発明では、図示を省略するが、例えばエレメント基部の上面とヒレ部の上面とが互いに同じ高さ位置に設けられることによって単一の平面を形成するように、ファスナーエレメントのヒレ部を、図15のファスナーエレメント20bよりも更に上側の位置に設けることも可能である。この場合、ファスナーエレメントにおいて生地の厚さを吸収できなくなるものの、スライダーに設けられた左右の下フランジ部を、ファスナーエレメントの第1エレメント半部(エレメント下半部)に対してより一層安定して摺接させることができる。
1 スライドファスナー付き衣服(スライドファスナー付き製品)
2 生地(ファスナー被着部材)
3 エレメント取付縁部
10 エレメント部材
11 固定部材
12 エレメント列
15 縫製部
20 ファスナーエレメント
20a,20b ファスナーエレメント
21 エレメント本体部
22 エレメント固定部
23 噛み合い部
24 ヒレ部
24a 貫通孔
24b 収容凹溝部
25 ヒレ部
25b 収容凹溝部
26 ヒレ部
28 ギア挿入間隙
30 境界部
30a 段差
31 第1エレメント半部(エレメント下半部)
32 エレメント胴部
32a 下面(第1エレメント面)
33 エレメント首部
33a 下面(第1エレメント面)
34 噛合頭部
36 第2エレメント半部(エレメント上半部)
37 エレメント基部
37a 上面(第2エレメント面)
37b 前端面
37c 後端面
37d ヒレ側側面部
38 エレメント延出部
38a 延出本体部
38b 先端隆起部
40 スライダー
41 スライダー胴体
42 上翼板
43 下翼板
44 連結柱
45 下フランジ部
46 引手取付部
50 搬送ギア
51 歯
55 針落ち位置
H1 エレメント胴部の下面とヒレ部の下面との間に形成される段差の高さ寸法
H2 エレメント基部の上面とヒレ部の上面との間に形成される段差の高さ寸法

Claims (8)

  1. 固定部材(11)と、前記固定部材(11)に取着される複数のファスナーエレメント(20,20a,20b)とを有するエレメント部材(10)であって、
    前記ファスナーエレメント(20,20a,20b)は、前記固定部材(11)に固定されるエレメント固定部(22)と、前記エレメント固定部(22)から前記固定部材(11)の長さ方向に対して直交する幅方向に延出する噛み合い部(23)と、前記エレメント固定部(22)から前記噛み合い部(23)とは反対側に延出するとともに前記長さ方向と前記幅方向とに直交する高さ方向の寸法が前記エレメント固定部(22)よりも小さいヒレ部(24,25,26)とを有し、
    前記ファスナーエレメント(20,20a,20b)は、前記エレメント固定部(22)のみにおいて前記固定部材(11)に固定されている
    ことを特徴とするエレメント部材。
  2. 前記ヒレ部(24,25,26)は、前記高さ方向に貫通する1つの貫通孔(24a)を有する請求項1記載のエレメント部材。
  3. 前記ヒレ部(24,25,26)は、前記高さ方向に直交する第1ヒレ面及び第2ヒレ面と、前記第1ヒレ面及び前記第2ヒレ面の何れかに前記長さ方向に沿って凹設される収容凹溝部(24b,25b)を有する請求項1又は2記載のエレメント部材。
  4. 前記ファスナーエレメント(20,20a,20b)は、前記高さ方向の一方側に配される第1エレメント半部(31)と、前記高さ方向の他方側に配される第2エレメント半部(36)とを有し、
    前記第1エレメント半部(31)と前記第2エレメント半部(36)とは、互いに前記高さ方向に非対称な形状を備え、
    前記第1エレメント半部(31)は、前記エレメント固定部(22)の一部を形成するエレメント胴部(32)と、前記噛み合い部(23)を形成するエレメント首部(33)及び噛合頭部(34)とを有する
    請求項1~3のいずれかに記載のエレメント部材。
  5. 前記第2エレメント半部(36)は、前記エレメント胴部(32)とともに前記エレメント固定部(22)を形成するエレメント基部(37)と、前記エレメント基部(37)から前記幅方向に延出するエレメント延出部(38)とを有し、
    前記エレメント基部(37)は、前記ファスナーエレメント(20,20a,20b)を前記高さ方向の一方側から見たときに、前記エレメント基部(37)の前記固定部材(11)に固定される前記幅方向の固定領域における80%以上の範囲において、前記長さ方向の寸法を一定の大きさにして形成され、
    前記エレメント延出部(38)の前記長さ方向の寸法は、前記エレメント基部(37)から離れる方向に漸減する
    請求項4記載のエレメント部材。
  6. 前記ファスナーエレメント(20,20a,20b)は、前記高さ方向の一方側に配される前記第1エレメント半部(31)の第1端面(32a)と、前記高さ方向の他方側に配される前記第2エレメント半部(36)の第2端面(37a)とを有し、
    前記高さ方向における前記第1エレメント半部(31)の前記第1端面(32a)と前記ヒレ部(24,25,26)との間の段差は、前記高さ方向における前記第2エレメント半部(36)の前記第2端面(37a)と前記ヒレ部(24,25,26)との間の段差よりも大きい
    請求項4又は5記載のエレメント部材。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の2つ一組の前記エレメント部材(10)と、前記エレメント部材(10)がそれぞれ取着される一対のエレメント取付縁部(3)を互いに対向する位置に備えるファスナー被着部材(2)と、複数の前記ファスナーエレメント(20,20a,20b)によって形成されるエレメント列(12)に摺動可能に取着されるスライダー(40)とを有することを特徴とするスライドファスナー付き製品。
  8. 前記スライダー(40)は、上翼板(42)と、前記上翼板(42)から離間して配される下翼板(43)と、前記上翼板(42)の一端部及び前記下翼板(43)の一端部間を連結する連結柱(44)と、前記下翼板(43)の左右側縁部に配される下フランジ部(45)とを有し、
    前記スライダー(40)を上方から見た平面視において、前記上翼板(42)の左右側端縁は、前記下翼板(43)の左右側端縁よりも前記幅方向の内側に配されている
    請求項7記載のスライドファスナー付き製品。
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